説明

照明装置、およびその製造方法

【課題】各照明パネルの発光斑を低減し、かつ、もし仮に生じてしまった場合でも利用者がそれを視認し難い構成を有し、そして更に、容易に大面積化を実現することが可能な照明装置、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の照明パネル10’が配列しており、その各照明パネル10’上の複数の有機EL素子20の電極に、配線機能を有したラダーコード6から電圧を印加できるように構成されている。この際、複数の有機EL素子20の一部で、仮に輝度不足(発光斑)が生じてしまった場合でも、それを視認し難いよう配列していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面型の光源装置の一つとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)を用いた光源装置が注目を集めている。有機EL素子を用いた光源装置は、自発光、広視野角、および高速応答性等の種々の優れた特性を有する。
【0003】
有機EL素子とは、一般的には、透明電極である第一電極(陽極)と、反射電極である第二電極(陰極)との間に発光層を有する有機層を配した構造を透明基板上に設けている。また、当該有機層は、発光層以外に、正孔輸送層、および電子輸送層等を有しているものが一般的である。このような構成の有機EL素子の第一電極と第二電極との間に数ボルトの電圧を印加することによって、第一電極から有機層に注入された正孔と、第二電極から有機層に注入された電子とが発光層内で再結合する。発光層内で正孔と電子とが再結合すると、エキシトンが生成され、当該エキシトンが基底状態に戻る際に発光する。有機EL素子はこのようなメカニズムで発光する素子である。
【0004】
また、有機EL素子が発した光を第一電極および透明基板側から取り出すタイプはボトムエミッション型、逆に、有機EL素子が発した光を第二電極側から取り出すタイプはトップエミッション型と呼ばれる。
【0005】
有機EL素子を光源装置に用いるにあたり、有機EL素子の大面積化が求められる。ここで、有機EL素子の製造方法の一つとして真空プロセスが挙げられるが、当該真空プロセスでは、大型の有機EL素子を作製するのが困難である。これは、大型基板を使用して有機EL素子を作製することが技術上難しく、膨大なタクトタイムを要してしまうためである。また、大型の有機EL素子を作製する製造装置を導入するためのコスト、更に当該製造装置のランニングコストが大きい。特に、第8世代および第10世代の基板での有機EL素子の作製報告例は未だない。
【0006】
一方、有機EL素子の他の製造方法として、ウェットプロセスが挙げられるが、当該ウェットプロセスでも、真空プロセスと同様に、大型の有機EL素子を作製することが技術上困難である。また、ウェットプロセスは真空プロセスと比較して技術開発が数年遅れており、その性能もまだまだ劣っており、また、均質製膜などにおいて課題が多く、大型の有機EL素子の作製において、真空プロセスの代替手段とまで至っていない。
【0007】
上記のような問題を解決するために、中規模の真空製膜装置によって作製した小面積の有機EL素子を複数搭載することによって大型の光源装置を作製する方法が最近では採られている。これによれば、大型の光源装置を簡易な方法で製造することができ、得られる光源装置の性能は高く、製造コストは高くないので、実現性が高い。特に、帯状の有機EL素子を複数搭載した光源装置は、その形状からブラインド型照明装置等と呼ばれ、平面型の光源装置として普及しつつある。
【0008】
また最近では、有機EL素子以外の発光素子を搭載したブラインド型照明装置も開発されている。ブラインド型照明装置とは、窓に設置することによって採光量を調節することができるいわゆるブラインド(スクリーンと称する場合もある)機能に加えて、照明機能も兼ね備えた装置のことである。このようなブラインド型照明装置の一例として、特許文献1には、太陽電池が生成した電気エネルギーを利用して発光する発光体を搭載した複数のスラット(=羽根)を集積したブラインド型照明装置が開示されている。
【0009】
図31は、特許文献1のブラインド装置の構成を説明する要部斜視図である。ブラインド装置100は、図31に示すスラット102を多数水平に並設させた横型ブラインドであり、各スラット102には巻き上げ紐109が結合して各スラット102を巻き上げ自在に構成されており、更に各スラット102にラダーコード108が結合していて前後に回動自在に構成されている。
【0010】
スラット102は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池103と、太陽電池103で変換された電気エネルギーを蓄えるシート状ポリマー二次電池104と、シート状ポリマー二次電池104からの電圧供給で発光するシート状面発光体105とがこの順で積層された3層構造をなしている。太陽電池103は、光エネルギーを直接、電気エネルギーに変換し、変換した電気エネルギーをシート状ポリマー二次電池104へ蓄電するための端子を備えている。シート状ポリマー二次電池104は、固体のポリマーからなる固体電解質を有しており、太陽電池103によって変換された電気エネルギーを蓄積し、蓄積した電気エネルギーをシート状面発光体105に供給するための端子を備えている。シート状面発光体105は、有機薄膜を電界発光層に用いる有機EL素子等である。シート状面発光体105には電圧供給を受けるための端子が設けられており、シート状ポリマー二次電池104から蓄積した電気エネルギーの供給を受けることで発光する。
【0011】
また、各スラット102からは、シート状面発光体105の発光を制御する信号を送るための電線106がスラット102の短辺側に配設されておりされ、さらに各電線106はスイッチ107と接続されている。
【0012】
このようなブラインド装置100を、室内の窓側近傍へ設置し、各スラット102の太陽電池103側を太陽光を受光できる方向に配置し、受光した太陽光の太陽エネルギーを電気エネルギーへ変換し、それをシート状ポリマー二次電池104で蓄電し、シート状面発光体105へ電圧を供給することで発光を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−82058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来技術においては、パネル内の電圧降下等の理由により、パネルに発光斑が生ずる場合があるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、発光斑の発生を防止できる照明装置、およびその製造方法を提供する。
すなわち、本発明の一態様は、電極が設けられた発光素子であって当該電極に電極端子を介して電圧もしくは電流が供給されることによって発光する発光素子が複数並べられた照明パネルと、間隔を空けて積層されている複数の上記照明パネルを支え、導電性を有する支持コードと、を備え、上記電極端子は、上記支持コードの導電部分と電気的に接続しており、上記照明パネルは、隣り合った発光素子の発光斑を相殺するように、上記発光素子が複数並べられていることを特徴とする照明装置である。
上記の構成によれば、支持コードが発光素子の端子に対して電圧もしくは電流を供給することができるように構成されており、支持コードと発光素子の端子とが、互いに電気的に接続されている。
これによって、支持コードと、各照明パネルに電圧を印加する配線コードとを別々に構成する従来のものに比べて、構成を簡略化することができる。また、配線コードを別途設けることによる照明パネルの発光の遮断がなく、デザインをすっきりさせると共に、照明装置を設置した部屋の照度を効率良く高めることが出来る。
ヘッドボックスより一定間隔で複数本垂れ下っている支持コードを利用することにより、電圧もしくは電流を効率良く各照明パネルに供給することが出来、それにより有機EL素子全体に電圧もしくは電流が行き渡らないことによる電圧降下現象を抑制し、それにより有機EL素子上の発光斑をより発生し難くすることが出来る。
これはまた、素子作成プロセスに起因する、全素子に共通して発生する欠陥や劣化による、発光斑が発生した際にも効果が有る。
大規模照明パネルでは特に、上記の電圧効果現象が、輝度斑を如実に発生させてしまう。補助電極等の利用や、集積型照明を構成する有機EL素子自体の縮小などにより改善を図っているが、まだまだ生じている。そのため、特定の端子近傍部分の有機EL素子劣化が早く進むといった現象が散見される。
それを受け、輝度不足(発光斑)が生じてしまった場合でも、それを視認し難くする工夫を導入した。照明パネルは複数の有機EL素子から構成されるが、そのうち一つの有機EL素子の電圧降下により輝度が低下している箇所と、それに隣接する有機EL素子の同じく輝度低下している箇所が、出来るだけ接しないように配置することによって、通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにし、輝度斑を気付かせず、均一に発光しているように認識させることが出来る。つまり、本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、各証明パネルの発光班を低減(均質発光)でき、同時に、利用者が発光班を認識することを低減できる。
【0016】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、陰極と、上記支持コードから陰極より高い電圧が印加される、もしくは、上記支持コードから陰極へ流れる電流が供給される、陽極と、が設けられており、上記照明パネルは、陽極と陰極とを交互させるように、上記発光素子が複数並べられていることを特徴とする。
上記構成によれば、輝度不足が生じてしまった場合でも、それを視認し難くすることができる。
具体的には、劣化等で各有機EL素子の陽極側の輝度が低下したと仮定した際、照明パネルのある一辺側には、配された有機EL素子は一つおきにしか陽極側が来ていないため、隣り合う素子で輝度低下部分同士が接する可能性を低くすることが出来る。これにより、通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにすることが出来、使用者に輝度斑を気付かせず、均一に発光しているように認識させることが出来る。
【0017】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、上記照明パネルの短軸方向に離れて、陽極と陰極とが設けられており、上記照明パネルは、上記照明パネルの長軸方向に陽極と陰極とを交互させるように、上記発光素子が複数並べられていることを特徴とする。
上記構成によれば、輝度不足が生じてしまった場合でも、それを視認し難くすることができる。
具体的には、劣化等で各有機EL素子の陽極側の輝度が低下したと仮定した際、
照明パネル長軸方向のある一辺側には、配された有機EL素子は一つおきにしか陽極側が来ていないため、隣り合う素子で輝度低下部分同士が接する可能性を低くすることが出来る。これにより、通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにすることが出来、使用者に輝度斑を気付かせず、均一に発光しているように認識させることが出来る。
【0018】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子の陽極に接続している支持コードと、当該発光素子と隣り合った発光素子の陰極に接続している支持コードが、束ねられていることを特徴とする。
上記構成によれば、支持コードは、照明パネル長軸方向の一辺側の隣り合った発光素子の間に設けられ、互いに離れないように束ねられるため、照明パネルの発光の遮断がなく、デザインをすっきりさせると共に、照明装置を設置した部屋の照度を効率良く高めることが出来る。
【0019】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、上記照明パネルの長軸方向と、短軸方向に平行な辺を持ち、前記素子の、対角方向の角部に陰極と陽極がそれぞれ設けられており、上記照明パネルは、上記照明パネルの長軸方向に陽極と陰極とを交互させるように、上記発光素子が複数並べられていることを特徴とする。
上記構成によれば、輝度不足が生じてしまった場合でも、それを視認し難くすることができる。
具体的には、劣化等で各有機EL素子の陽極側の輝度が低下したと仮定した際、照明パネルの短手方向のある一辺側に、各有機EL素子はすべて陽極を向けているため、隣り合う素子で輝度低下部分同士が接する可能性を低くすることが出来る。これにより、通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにすることが出来、使用者に輝度斑を気付かせず、均一に発光しているように認識させることが出来る。
【0020】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記照明パネルの少なくとも1つに繋がれており、巻き取られることで当該照明パネルを積層方向に移動させて、上記照明装置の上記積層方向の長さを調整する巻き取りコードを備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、複数の照明パネルは巻き取りコードによって保持されている。また、当該巻き取りコードは、のびている長さを変えることができる。巻き取りコードの長さが可変することによって、配列している照明パネルの長さを調整することができる。
【0021】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記当該巻き取りコードを動かして、上記配列している照明パネルの長さを調整する器具を備え、上記器具が、上記巻き取りコードを巻き取る、または繰り出すことによって、上記複数の照明パネルを重ねてまとめるようにして移動させ、且つ、まとめた状態から互いに離すようにして移動させることを特徴とする。
上記の構成によれば、照明装置を使用していない時には、複数の照明パネルを重ねてまとめることができる。
本発明のような、いわゆるブラインド型照明装置は、通常のウィンドウトリートメントでの遮光インテリアのブラインドとしての機能も兼ね備えている。そのため、上記の構成を採用することにより、当該ブラインド型照明装置を使用していないときには巻き上げて折りたたむことができる。
【0022】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記支持コードに繋がっていて、当該支持コードを動かして、上記配列している照明パネルの傾きを調整する器具を有し、上記器具が、上記支持コードを巻き取る、または繰り出すことによって、上記複数の照明パネルをまとめて傾けることができ、且つ、傾いた状態から水平や垂直方向に戻すことができることを特徴とする。
上記の構成によれば、誰でも簡単に上記支持コードを巻き取る、または繰り出すことによって、上記複数の照明パネルをまとめて傾けることができ、且つ、傾いた状態から水平や垂直方向に戻すことができる。
上記器具は、支持コードと繋がっているロッドのような調整器具でもよく、スイッチやリモコンのような遠隔無線操作等の器具でも良い。
【0023】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記支持コードは、上記配列方向に沿ってのびており、照明パネルにおける上記長軸方向に沿った端辺において所定の間隔を有して複数設けられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、支持コードが、複数の照明パネルにおける長軸方向に沿った端部に在って、且つ、当該長軸方向に沿って所定の間隔を有して複数設けられている。そのため、支持コード(配線)と照明パネルの電極との間の距離を比較的短く構成することができるため、従来のような電圧降下現象の発生を回避することができる。したがって、発光斑の無い、良好な照明を実現することができる。
【0024】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記支持コードは、上記発光素子の電極と接続する分岐配線を有しており、上記支持コードと上記分岐配線との接点は固定されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、上記支持コードと上記分岐配線との接点が固定されていることによって、支持コードから各照明パネルへの電力供給が安定化される。
【0025】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記巻き取りコードが、帯状の上記複数の照明パネル長軸方向の端部側に配設されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、例えば図31に示した従来構成では巻き取り紐109がスラット102の中央部に設けられた穴を貫通して配設されているのに対して、そのような穴を設ける必要が無くなる。これにより、構造上発光部分の面積を広く取ることができ、また、必要な照度を稼ぐことが容易となる。
更に、パネル中央に穴を設ける必要が無いため、発光素子製造プロセス(パネル製造プロセス)が簡略化できる。
【0026】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、各上記照明パネルには、上記支持コードをガイドする支持コード用のガイド部、および、上記巻き取りコードをガイドする巻き取りコード用ガイド部のうちの何れか一方のガイド部が設けられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、各照明パネルに形成されたガイド部を用いて、各照明パネルの所望の位置にコードを接続することできる。
【0027】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記ガイド部は、各上記照明パネルにおける上記発光素子の形成領域の外に設けられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、ガイド部が上記発光素子の形成領域の外に設けられているため、上記発光素子の製造プロセスを妨げることがなく、且つ、上記発光が形成された位置にコードが配されないため上記発光素子から発する光を妨害することがない。
【0028】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記ガイド部は、上記照明パネルの縁部から内側10mm以内に設けられた空孔、溝、切り込み、または外側10mm以内に設けられたフックであることを特徴とする。
上記の構成によれば、各照明パネルに形成された空孔、溝、切り込み、または、フックにコードを通して、当該コードと各照明パネルとを接続することできる。
また、上記の構成によれば、ガイド部が照明パネルの中央部分を除いた箇所に形成されるので、当該中央部分において発光部分を大きく設けることができる、すなわち、当該中央部分にガイド部が設けられた場合、その分、発光部分の領域は狭くなる。そのため、輝度および照度を高めることができる。
また、上記ガイド部が巻き取りコード用である場合、当該ガイド部を照明パネルの端部から10mm以内に設けることによって、照明パネルの巻き上げ時に巻き取りコードとパネルの接触が確保され、安定した巻き上げが可能となる。
【0029】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、可撓性の基板を備えていることを特徴とする。
上記の構成によれば、基板が可撓性を有することから、ロールツウロール(roll to roll)製法を用いて有機EL素子を上記発光素子として作製することができる。これによって、有機EL素子を搭載する場合であっても、装置導入の初期投資、およびランニングコスト等を低減することが可能である。
【0030】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、各上記照明パネルは、短軸方向に沿って湾曲していることを特徴とする。
上記の構成によれば、発光素子が発した光を発散光(拡散光)としたり、集光させることができる照明装置を実現することができる。
また、照明パネルが湾曲している照明装置が実現されるので、本発明に係る照明装置のデザインの幅が広がる。
【0031】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記照明パネルは、上記発光素子の光出射面側を凸状にして湾曲していることを特徴とする。
上記の構成によれば、照明装置の光を容易に発散させることができ、当該照明装置を設置した部屋、または空間を広範囲に照らすことが可能となる。
【0032】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記照明パネルは、上記発光素子の光出射面側を凹状にして湾曲していることを特徴とする。
上記の構成によれば、照明装置の光を容易に集光させることができ、当該照明装置の設置位置からほど近い、点または面等を集中的に照らすことが可能となる。
【0033】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記照明パネルは短軸方向に沿って湾曲可能な構成となっており、当該照明パネルの当該湾曲率を調整する調整手段をさらに備えていることを特徴とする。
上記の構成によれば、照明パネルの湾曲率を適宜調整することができるため、照明パネルの湾曲率を、所望の値に設定することができる。従って、発光素子が発した光の出射面側を凸状に湾曲させたときには、容易に出射光を発散させ、集積型照明装置を設置した部屋、または空間を広範囲に照らすことが可能となる。また、発光素子が発した光の出射面側を凹状に湾曲させたときには、容易に出射光を集光させることができ、集積型照明装置の設置位置からほど近い、点または面等を集中的に照らすことが可能となる。
【0034】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記照明パネルの短軸方向に沿って、上記発光素子が、当該発光素子の光出射面を凸状にして湾曲していることを特徴とする。
上記の構成によれば、発光素子の光を発散させることができ、集積型照明装置を設置した部屋、または空間を広範囲に照らすことが可能となる。
また、上記の構成によれば、照明パネル自体が湾曲していない形状であっても、発光素子を湾曲させるだけで上記した効果を奏することができる。
【0035】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記照明パネルの短軸方向に沿って、上記発光素子が、当該発光素子の光出射面を凹状にして湾曲していることを特徴とする。
上記の構成によれば、発光素子の光を容易に集光させることができ、集積型照明装置の設置位置からほど近い、点または面等を集中的に照らすことが可能となる。
また、上記の構成の場合も、照明パネル自体が湾曲していない形状であっても、発光素子を湾曲させるだけで上記した効果を奏することができる。
【0036】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記照明パネルの短軸方向に沿って上記発光素子は湾曲可能であり、当該発光素子の湾曲率を調整する調整手段をさらに備えていることを特徴とする。
上記の構成によれば、発光素子の湾曲率を適宜調整することができるため、発光素子の湾曲率を、所望の値に設定することができる。従って、発光素子が発した光の出射面側を凸状に湾曲させたときには、容易に出射光を発散させ、照明装置を設置した部屋、または空間を広範囲に照らすことが可能となる。また、発光素子が発した光の出射面側を凹状に湾曲させたときには、容易に出射光を集光させることができ、照明装置の設置位置からほど近い、点または面等を集中的に照らすことが可能となる。
【0037】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記複数の照明パネル同士をその長軸方向を水平に揃えて配列しており、上記複数の照明パネルは、鉛直方向に移動するように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記複数の照明パネル同士をその長軸方向を鉛直に揃えて配列しており、上記複数の照明パネルは、水平方向に移動するように構成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、器具で巻き取りコードを巻き取ったり、繰り出したりすることによって、複数の照明パネルを重ねてまとめるようにして移動させ、かつまとめた状態から互いに離すようにして移動させることができる。
【0038】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、複数の発光色を有しており、当該発光色ごとに、独立して駆動することができるように構成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、集積型照明装置に調色性および調光性を持たせることができる。
【0039】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記電極は、陽極および陰極であり、当該陽極および陰極のうち、光の出射面とは反対側に位置する電極は、光反射性の材料を含んでなることを特徴とする。
上記の構成によれば、発光素子が発した光が非光出射面側に出射されても、光反射性を有する電極によって反射され、光出射面側から出射される。その結果、発光素子が発した光の利用効率を高めることができる。
【0040】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記電極は、陽極および陰極であり、当該陽極および陰極のうちの少なくとも一方は透明電極であることを特徴としていることを特徴とする。
上記の構成によれば、発光素子が発した光は、透明電極側から出射され、光を効率的に素子の外に取り出すことが可能となる。また、光取り出し側にある電極を透明電極とすることによって、マイクロキャビティ(微小共振器)効果で集光させることができる。その結果、発光効率の向上、および色純度の向上が実現され、光に指向性等を持たせることができる。
【0041】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記照明パネルは、対向する1対の基板の間に、上記発光素子を配設した構造となっており、上記1対の基板のうち、光の出射側とは反対側に位置する基板は、光反射性の材料、または光反射性の表面を有する材料から構成されており、上記1対の基板の周囲の間隙部分は、光反射性の材料、または光反射性の表面を有する材料で封じられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、発光素子の光出射面以外の面から出射された光は、照明パネルの壁面(有機EL素子を取り囲む照明パネルの壁面)に反射する。従って、より効果的に発光素子から漏れ出た光を取り出すことができる。
【0042】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、その光出射面側に、光拡散性を有する樹脂層を有していることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、その光出射面側に、光拡散性を有する光拡散板を有していることを特徴とする。
上記の構成によれば、光出射面側に光拡散性の樹脂層を形成、または、光拡散板を導入している。これによって、出射光は、光拡散部分を通過し、光出射面から均一に拡散して出射され、照明装置の色純度と発光効率とを向上させると共に、広視野角化を実現することができる。
また、上記拡散樹脂、及び、光拡散板を透過した光は拡散されるため、ある一定範囲において透過前の光が均一の輝度でなくてもある程度平均化されるので、発光斑の視認性を更に低減させる効果がある。
【0043】
また、本発明の一態様は、上記1対の基板のうち、光出射面側の基板が、光拡散性の材料で構成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、光出射面側の基板を光拡散性の材料で構成している。これによって、出射光は、光拡散部分を通過し、光出射面から均一に拡散して出射され、照明装置の色純度と発光効率とを向上させると共に、広視野角化を実現することができる。
また、光拡散性の基板は、上記拡散樹脂、及び、光拡散板同様、発光斑の視認性を更に低減させる効果がある。
【0044】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、その光出射面側に、波長変換層を有していることを特徴とする。
上記の構成によれば、波長変換層を用いることによって、有機EL素子が発した光を所望の波長の光へと変換することができる。
【0045】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、その光出射面側に、円偏光板を有していることを特徴とする。
上記の構成によれば、円偏光板によって、発光素子が発した光を円偏光させ、外光反射を抑制することができる。
【0046】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、その光出射面側に、カラーフィルタを有していることを特徴とする。
上記の構成によれば、カラーフィルタによって、発光素子が発した光を所望の波長の光のみを出射させることができ、なおかつ外光反射の抑止・低減効果を得ることができる。
【0047】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、上記電極として陽極および陰極を有している、有機エレクトロルミネッセンス素子であり、上記有機エレクトロルミネッセンス素子は、更に、電荷発生層を有していることを特徴とする。
上記の構成によれば、陽極から伝搬された正孔と、陰極から伝搬された電子とを、効率的に発光領域に伝播することができる。そして、電荷発生領域が有機EL層の間に形成されており隣り合う各発光領域の間に等電位面を形成することにより、駆動電圧は高くなる一方で流れる電流が小さくなり、優れた発光寿命を得ることができる。
【0048】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、上記電極として陽極および陰極を有している、有機エレクトロルミネッセンス素子であり、上記陰極は、マグネシウムと銀とを1対9の割合で共蒸着して形成されてなり、上記有機エレクトロルミネッセンス素子は、フッ化リチウムからなる電子注入層を有していることを特徴とする。
上記の構成によれば、陰極から注入される電子を、効率良く発光領域に注入することができる。
【0049】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、上記電極として陽極および陰極を有している、有機エレクトロルミネッセンス素子であり、上記有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光領域を含む有機層を有しており、当該有機層は、両電荷輸送性材料で構成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、両電荷輸送材料が、陽極から注入された正孔、および陰極から注入された電子を、(1)高移動度かつ高バランスで発光領域にまで伝播することができ、また、(2)最高被占準位/最低空準位(HOMO/LUMO)エネルギー差が十分大きく(3eV程度)、なおかつワイドギャップ材料であることから、高い発光効率を得ることができる。
【0050】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記発光素子は、上記電極として陽極および陰極を有している、有機エレクトロルミネッセンス素子であり、上記発光領域は、上記両電荷輸送性材料に発光ドーパントをドープして形成されており、上記陽極および上記発光領域の間に、上記両電荷輸送性材料と電子阻止性材料とによって形成された電子阻止領域と、上記陰極および上記発光領域の間に、上記両電荷輸送性材料と正孔阻止性材料とによって形成された正孔阻止領域と、をさらに有しており、上記電子阻止領域を構成する上記両電荷輸送性材料は、上記発光領域を構成する両電荷輸送性材料の最低空軌道よりも高い最低空軌道を有しているという第一条件、および上記正孔阻止領域を構成する上記両電荷輸送性材料は、上記発光領域を構成する両電荷輸送性材料の最高被占軌道よりも浅い最高被占軌道を有しているという第二条件のうち、少なくとも何れかの条件を満たしていることを特徴とする。
上記の構成によれば、両電荷輸送材料によって構成されている発光領域を挟んで、電子の移動を阻止する電子阻止領域と、正孔の移動を阻止する正孔阻止領域とが設けている。そのため、陽極から伝搬された正孔と、陰極から伝搬された電子とが、発光領域内に閉じ込められるので、発光領域において正孔および電子が再結合する確率が高まり、有機EL素子の駆動電圧を低下することができる。
また、発光領域において正孔および電子が再結合する確率が上がるので、内部量子収率は向上し、発光効率を向上させることができる。しかし、必ずしも電子阻止領域と正孔阻止領域との双方を具備する必要はなく、何れか一方を有しているだけでも、正孔および電子の再結合確率を十分に高めることができる。従って、高輝度、高効率および長寿命を実現する有機EL素子を提供することができる。
【0051】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記巻き取りコードは、上記発光素子に設けられた上記端子に対して電圧もしくは電流を供給することができるように構成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、支持コードに加え巻き取りコードも配線機能を有することになり、これにより電力供給元が更に多く確保されることにより、電力の供給が安定化される。また、各コードから流れる電圧の低下による発光斑の発生を防止され、より均一な発光が得られる。
【0052】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記巻き取りコードは、上記発光素子の端子と接続する分岐配線を有しており、当該分岐配線の分岐起点は固定されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、上記の構成によれば、巻き取りコードとその分岐配線との接点が固定されていることによって、コードから各照明パネルへの電力供給が安定化される。
【0053】
また、本発明の一態様は、上記照明装置において、上記支持コードと上記分岐配線との接点は可動であることを特徴とする。
上記の構成によれば、上記の構成によれば、コードと分岐配線との接点が可動であることによって、複数の照明パネルを重ねてまとめる際に、照明パネルをスライドさせることができる。
【0054】
また、本発明の一態様は、電極が設けられた発光素子であって当該電極端子に電圧もしくは電流が供給されることによって発光する発光素子が複数並べられた照明パネルと、間隔を空けて積層されている複数の上記照明パネルを支え、導電性を有する支持コードと、を備えた照明装置の製造方法であって、隣り合った発光素子の発光斑を相殺するように、上記発光素子が複数並べられた照明パネルを形成する照明パネル形成工程と、上記支持コードが上記電極端子に対して電圧もしくは電流を供給することができるように、導電性を有する支持コードを準備し、当該支持コードの導電部分と上記発光素子の端子とを電気的に接続する接続工程とを含むことを特徴とする照明装置の製造方法である。
上記の方法によれば、複数の照明パネルの傾きを変える支持コードに、各照明パネルに電力を供給する配線機能を付加させている。これによって、配線コードを別途設ける場合と比較して当該配線コードによる照明パネルの発光の遮断を回避することができ、照明装置を設置した部屋を高い照度で照明することができる。
また、小型の発光素子(有機EL素子)を複数搭載した照明パネルを複数配置することによって、大面積の集積型照明装置が実現され、製造コストも低く抑えることができる。
【0055】
また、本発明の一態様は、上記照明装置の製造方法において、上記照明パネル形成工程には、少なくとも陽極、発光領域を含む有機層、および陰極をこの順で基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を上記発光素子として形成する有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程が含まれており、有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子をロールツウロール法によって形成することを特徴とする。
上記の方法によれば、大面積の集積型照明装置が実現され、製造コストも低く抑えることができる。
【0056】
また、本発明の一態様は、上記照明装置の製造方法において、上記照明パネル形成工程には、少なくとも陽極、発光領域を含む有機層、および陰極をこの順で基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を上記発光素子として形成する有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程が含まれており、上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、両電荷輸送性材料に発光ドーパントをドープして上記発光領域を形成し、上記陽極および上記発光領域の間に、上記両電荷輸送性材料と電子阻止性材料とによって電子阻止領域を形成し、上記陰極および上記発光領域の間に、上記両電荷輸送性材料と正孔阻止性材料とによって正孔阻止領域を形成し、当該電子阻止領域および当該正孔阻止領域のうち、少なくとも何れか一方を蒸着重合法によって形成することを特徴とする。
上記の方法によれば、蒸着重合法という簡易な方法によって、安定した電子阻止領域、および正孔阻止領域を形成することができる。
【0057】
また、本発明の一態様は、上記照明装置の製造方法において、上記照明パネル形成工程には、少なくとも陽極、発光領域を含む有機層、および陰極をこの順で基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を上記発光素子として形成する有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程が含まれており、上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、上記有機層を構成する材料の少なくとも1種類の材料を真空条件下で蒸着するのと同時に、あるいは蒸着した後に、熱処理を行うことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記照明装置の製造方法において、上記照明パネル形成工程には、少なくとも陽極、発光領域を含む有機層、および陰極をこの順で基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を上記発光素子として形成する有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程が含まれており、上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、上記有機層を構成する材料の少なくとも1種類の材料を真空条件下で蒸着するのと同時に、あるいは蒸着した後に、紫外線を照射することを特徴とする。
上記の方法によれば、熱処理または紫外線照射によって、基板が加熱され、反応が促進し、(1)蒸着重合を完遂させることができ、なおかつ(2)重合度をコントロールすることができる。さらに、熱処理によって、蒸着膜内の分子配向を制御することもできる。
【0058】
また、本発明の一態様は、上記照明装置の製造方法において、上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、上記紫外線を照射した後に、熱処理を行うことを特徴とする。
上記の方法によれば、紫外線照射によって基板が加熱され、反応が促進し、(1)蒸着重合を完遂させることができ、なおかつ(2)重合度をコントロールすることができる。そして、熱処理をその後に行うことによって、蒸着膜内の分子配向を制御することができる。
【0059】
また、本発明の一態様は、上記照明装置の製造方法において、上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、上記紫外線を照射する時に、マスクを用いてパターン形成することを特徴とする。
上記の方法によれば、有機層の表面にパターンを形成する場合には、効率的にパターニングすることができる。
【発明の効果】
【0060】
上記の構成によれば、発光斑の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機EL照明装置を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る照明パネルとラダーコード及び昇降コードの位置関係を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る有機ELパネルを示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る照明パネルの断面を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る照明パネルの上面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る照明パネルの側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る有機ELパネルと、有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図兼俯瞰図である。
【図8】本発明の実施例1に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図9】本発明の実施例2に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図10】本発明の実施例3に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図11】本発明の実施例4に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図12】本発明の実施例5に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図13】本発明の実施例6に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図14】本発明の実施例7に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図15】本発明の比較例1に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図16】本発明の比較例2に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図17】本発明の比較例3に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図18】本発明の比較例4に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図19】本発明の比較例5に係る有機EL素子とラダーコードとの関係を示した概念図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の断面を示す図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の一配置例を示す図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る第一基板にボトムエミッション型の有機EL素子を配し、第二基板にトップエミッション型の有機EL素子を配し、発光部分を広げた有機EL照明装置の断面を示す図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る第一基板および第二基板にボトムエミッション型の有機EL素子を配し、発光部分を広げた有機EL照明装置の断面を示す図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る第一基板にトップエミッション型の有機EL素子を配し、反射性の第二基板ではね返った光を取り出すことによって、間接的に照らすことができる有機EL照明装置の断面を示す図である。
【図25】本発明の一実施形態に係る両面発光性の有機EL照明装置の断面を示す図である。
【図26】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の製造工程を示す工程図である。(a)は、支持基板を用意する工程を示す図であり、(b)は、第一電極を形成する工程を示す図であり、(c)は、有機EL層を形成する工程を示す図であり、(d)は、第二電極を形成する工程を示す図であり、(e)は、保護膜を形成する工程を示す図であり、(f)は、有機EL素子を切り取る工程を示す図である。
【図27】本発明の一実施形態に係る有機EL照明装置の製造工程を示す工程図である。(a)は、有機EL素子を形成するロールツウロール蒸着装置を示す概略図であり、(b)は、第一基板上に有機EL素子を配置した状態を示す図であり、(c)は、第一基板を覆うようにして第二基板を配置する工程を示す図であり、(d)は、ヘッドボックスとボトムレールとの間に、複数の照明パネルが配置された状態を示す図である。
【図28】本発明の一実施形態の代替形態を示した図である。
【図29】本発明の一実施形態に係る発光パネルと調整手段との配置を示す図である。
【図30】本発明の一実施形態に係る調整手段を用いて光を拡散光とする様子を示した概念図である。
【図31】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明に係る照明装置の一実施形態である有機エレクトロルミネッセンス照明装置(以下、有機EL照明装置)について説明する。
本実施形態に係る有機EL照明装置は、ブラインド型照明装置であり、一般的なブラインド(装置)と同様に採光量をスラット(羽根)の傾斜角度によって調整することができるのに加えて、各スラットが発光機能を有した照明パネルとなっていることから照明装置としても用いることができる。そのため、本実施形態に係る有機EL照明装置1は、例えば、オフィス照明、店舗照明、施設照明、舞台照明、演出照明、屋外照明、住宅照明、ディスプレイ照明(アミューズメント機器、パチンコ機、自動販売機、または冷凍・冷蔵ショーケース等)、機器・什器組み込み照明、避難誘導照明、または局所照明等に好適に用いられる。
【0063】
(有機EL照明装置の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る有機EL照明装置1の構成を示す概略図(斜視図)である。
上述した機能を実現するために、本実施形態に係る有機EL照明装置1は、図1に示すように、ヘッドボックス2、昇降コード(巻き取りコード)3、ボトムレール4、ラダーコード(支持コード)6、ロッド(器具)7、および照明パネル10を有している。
以下、図1に示すように、照明パネル10の長軸方向をx軸、短軸方向をy軸、照明パネルがヘッドボックス2とボトムレール4の間で積層している方向をz軸として説明をする。
【0064】
有機EL照明装置1では、照明パネル10が上述したスラット(羽根)に相当する。照明パネル10は複数在って、その各々は、互いに同一の構成を有した帯状の形状である。全ての照明パネル10は、ヘッドボックス2とボトムレール4との間において、照明パネル10同士がその長軸方向に揃えて平行に配列している。すなわち、配列した照明パネル10群の一方の端に位置する照明パネル10側にヘッドボックス2が配設されており、他方の端に位置する照明パネル10側にボトムレール4が配設されている。有機EL照明装置1では、図1に示すように、各照明パネル10を横(水平)にして吊り下げている形式、すなわちベネシャン型の照明装置である。
【0065】
なお、本実施形態では、有機EL照明装置1が各照明パネル10を横(水平)にして吊り下げている形式、すなわちベネシャン型の照明装置である場合について説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、有機EL照明装置1は、各照明パネル10を縦(鉛直)にして吊り下げる形式、すなわちバーティカル型の照明装置であっても良い。バーティカル型の有機EL照明装置1の場合には、複数の照明パネル10を左右(水平方向)にスライドして巻き取ることができる。そして、バーティカル型の有機EL照明装置1では、各照明パネル10を左右に回転させることによって当該照明パネル10の角度(回転角度)を調整でき、直接照明にも間接照明にもすることができる。一般的に、バーティカル型ブラインドの場合、ベネシャン型での昇降コード3にあたるコードをドライブコードと呼び、ベネシャン型でのスラット(水平に保持された照明パネル10)にあたる、鉛直に保持された羽根(鉛直に保持された照明パネル10)をルーバーと呼んでいる。
【0066】
図1の有機EL照明装置1では、平行に配列している複数の照明パネル10は、ヘッドボックス2から伸びる昇降コード3によって吊り下げて保持されている。言い換えれば、昇降コード3によって吊り下げていることによって、複数の照明パネル10がその長軸方向に揃えて平行に配列している状態を維持している。
【0067】
昇降コード3の配設位置について、図2を用いて説明する。
図2は、1枚の照明パネル10と、昇降コード3およびラダーコード(支持コード)6の配置関係を示す概略図(斜視図)である。この図において、ラダーコード6から照明パネル10に電圧もしくは電流を供給するために分岐配線5が設けられている。昇降コード3は、図2に示すように、帯状をなした照明パネル10の長軸方向の一方の端側と他方の端側とにそれぞれ配設されている。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、昇降コード3は、照明パネル10の外周に、少なくとも1本設けていれば良い。
【0068】
次に図2に示すラダーコード6は、各照明パネル10を支持する機能を有している。ラダーコード6は、ヘッドボックス2から伸びてボトムレール4まで繋がった一対のコードである。ラダーコード6の一対のコードのうちの一方のコードと他方のコードとの間を橋渡しするように設けられた複数のラダーコード6−2とを有している。一対のうちの一方のラダーコード6と他方のラダーコード6とは、帯状をなした照明パネル10の短軸を挟むように対向して設けられていて、ラダーコード6−2はちょうど照明パネル10の短軸に沿ってのびているかたちとなる。もちろん、上記一対のラダーコード6と、それらを橋渡しするように設けられた複数のラダーコード6−2は、帯状をなした照明パネル10の長軸を挟むように対向して設けられていても構わない。更に、照明パネル10が正方形の場合では、どちらか一方の軸に対向して設けていれば良い。
【0069】
ラダーコード6の配設位置は、図2に示すように、ラダーコード6の一対のコードが、照明パネル10における長軸方向に沿った端辺において所定の間隔を有して複数設けられている構成となっている。図2では、照明パネル10における長軸方向に沿った端辺の中央と、これを挟んで右側および左側とにそれぞれ一対のラダーコード6が配設されている。各照明パネル10は、各上記ラダーコード6−2の上に載置されることで支持されており、図2では、中央と、これを挟んで右側および左側との計3箇所で照明パネル10を支持している。
【0070】
昇降コード3およびラダーコード6は、ヘッドボックス2を介してロッド7(図1)に接続されている。なお、ロッド7は、昇降コード3を巻き取る、及び、照明パネル10の傾きを変える器具の一例である。有機EL照明装置1では、マルチロッド型の場合について説明するが、本発明はこれに限らず、コード&ロッド型、またはコード型等であっても良い。さらに、有機EL照明装置1では、ロッド7による手動での切り替え手法を用いる場合について説明をしたが、本発明はこれに限らず、スイッチまたはリモコン等による遠隔無線操作等の電動式、またはセンサ等による感応式等の操作手法を用いても良い。
【0071】
ヘッドボックス2内の昇降コード3の先に接続されたロッド7の先端に設けられたグリップ21を引くことにより、昇降コード3が鉛直方向に巻き上げられ、その結果、ボトムレール4および複数の照明パネル10も巻き上げられて、配列している照明パネル10群の配列長(配列した部分の長さ)を短くすることができる構成になっている。すなわち、昇降コード3は、ボトムレール4に繋がれており、巻き取られることで少なくとも1つの照明パネル10を積層方向(図1のz軸方向)に移動させて、有機EL照明装置1の積層方向の長さを調整する。このように、ロッド7の先の昇降コード3を巻き上げることによって、複数の照明パネル10の配置位置を調整することができる。
【0072】
また、ロッド7先端のグリップ21を軸回りに回転させれば、各照明パネル10をその長軸(x軸)の周りに回転させることができる。具体的には、ラダーコード6の一対のコードのうちの一本を僅かに巻き上げるか、もしくは、もう一方を繰り出すことにより、上記第2のコードの傾斜角度が変化して、ラダーコード6−2のコードの上に載置することによって支持している照明パネル10の表面角度を変えることができる。
【0073】
このように、有機EL照明装置1は、各照明パネル10の外周に昇降コード3が備えられている。また、照明パネル10は、ラダーコード6−2のコード上に載っているだけで、当該照明パネル10とラダーコード6とは互いに分岐配線5によって繋がれているだけである。従って、照明パネル10は昇降コード3およびラダーコード6に固定されていない。そのため、ロッド7先端のグリップ21によってラダーコード6の一対のコードのうちの一本を僅かに巻き上げるか、もしくは、もう一方を繰り出すことにより、照明パネル10を傾けることが可能である。つまり、有機EL照明装置1は、当該照明パネル10を所望の傾きに調整することができ、その傾きによって直接照明にも間接照明にもなり得る。また、有機EL照明装置1を使用していないときには、ロッド7先端のグリップ21を引くことにより、各照明パネル10を巻き上げることができる。
【0074】
複数の照明パネル10を吊るしている昇降コード3は、ボトムレール4および照明パネル10を巻き上げると同時に、ヘッドボックス2内に巻き取られる構成になっている。すなわち、昇降コード3は、ロッド7によってヘッドボックス2内に巻き取られたり、ヘッドボックス2内から繰り出されたりする構成になっている。一方、ヘッドボックス2から伸びてボトムレール4まで繋がった一対のラダーコード6と、一対のうちの一方のラダーコード6と他方のラダーコード6との間を橋渡しするように設けられた複数のラダーコード6−2を用いて、ロッド7によって、第1のコードのうちの一方をヘッドボックス2内に僅かに巻き取る、または、繰り出すことにより、複数設置されている照明パネル10の傾きを水平や垂直など任意の角度に調節することができる。
【0075】
このラダーコード6が導電性を有していて、照明パネル10に設けられた有機EL素子の電極に対して電圧もしくは電流を供給することができるように構成されている。具体的には、ラダーコード6は、上述したようにヘッドボックス2から伸びてボトムレール4まで繋がった一対のラダーコード6と、複数のラダーコード6間を接続するラダーコード6−2とを有しているが、ラダーコード6が導電性を有している。そして、このラダーコード6導電部分に、図2に示すように、分岐配線5が接続されており、この分岐配線5が当該有機EL素子の電極と電気的に接続されている構成となっている。ラダーコード6は、ヘッドボックス2内に設けられている電源に繋がっている。なお、ラダーコード6またはラダーコード6−2の一部については、導電性を有していなくても良い。
【0076】
この際、ラダーコード6と、当該ラダーコード6に接続された分岐配線5との接点は、電気的に接続されていれば良く、固定されていても良いし、スライドさせる等して可動式にしても良い。接点が固定されていれば、ラダーコード6から照明パネル10への電力供給が安定化される。一方、接点を可動できるように構成することによって、複数の照明パネル10を重ねてまとめる際に、照明パネル10をラダーコード6に対してスライドさせることができる。
また、分岐配線5には、他の配線や照明パネル等に触れてショートしないために、プラスチック等のカバー等を設けても良い。
ラダーコード6は、照明パネル10、ボトムレール4などを、そして、ラダーコード6自体の自重を支えるだけの強度と耐久性、及び、昇降コード3を巻き上げた際の柔軟性を有する。ラダーコード6は、例えば、次の構造によって、導電性を有し、強度と耐久性、及び柔軟性を兼ね備える構造を有する。
【0077】
ラダーコード6の具体的な構造についてであるが、基本的には絶縁電線であり、単純には、芯材と導電性材料と絶縁被覆層により構成される。更に、保護被覆層が有っても良い。もちろん、これら構成要素のうち複数を一つの材料で担っても良い。
芯材は上記のように、照明パネル10、ボトムレール4などを、そして、ラダーコード6自体の自重を支える働きを担っており、それ単独では導電性を有していてもよいし、有していてもいなくても良い。
導電性材料は例えばFeやそれを含んだ合金、絶縁被覆層は例えば各種プラスチック類、ガラスファイバーである。芯材は、新円の材料でも楕円の材料でも良く、また、フィルムなど平面帯状等の形状であっても良い。更に、一つで構成されるだけでなく、複数本束ねて構成しされていても良い。
【0078】
導電性材料は、上記芯材に、鍍金、厚膜印刷法、フォトリソグラフィ、真空蒸着等の手法を用いて形成される。
具体的材料としては、めっき法では、単体ではNi、Co、Ag、Pd、Ru、Sn、Pb等、合金ではSn−Pb等の上記金属からなるものであるが、これに限られない。厚膜印刷法では、Au、Ag、Pt、Ag−Pd、Ag−Pt、Ag−Pd−Pt、W、Cu、C等があり、フォトリソグラフィ法では、Al、Cu、Mo、ITO、IZO等があるが、これに限られない。
もちろん、芯材と導電性材料の両者の性能を兼ね備えても良い。具体的には、金属線であるが、これに限られない。
絶縁被覆層としては、ショート等を防ぐためのカバーであり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等、各種ビニル化合物(ポリ塩化ビニル等)、ゴム(ケイ素ゴム等)あるが、これに限られない。
【0079】
導電性を有するラダーコード6の構成は、これらの上記の構成に限ったものではなく、耐久性を高めるために、ガラス編み込み等をしても良いし、逆に被覆層を無くしても良い。
【0080】
(照明パネル10の構成)
以下、照明パネル10の詳細について説明する。
図3は、照明パネル10の一部の構成を示した概略図である。図3では、2個の有機EL素子20を長軸方向に並べ、各有機EL素子の長軸方向の両端に電極201、202を配した例を示している。照明パネル10は、図3に示す有機ELパネル10’を第二基板18によって覆ったものである。説明の都合上、図3には、第二基板を示していない。
図4は、図3に示した照明パネル10を切断線A−A’で切断した状態を示した矢視断面図である。面状の有機EL層13は支持基板11上に形成した第一電極12、及び第二電極14の間に設けられている。有機EL素子20の向かい合った2組の辺のうち、長軸方向に対をなした一対の辺では、一方で第一電極が、他の一方で第二電極が端子201、または202と接続される。これは、端子が有機EL素子の一対の角の部分に設けられた場合でも同様で、一方で第一電極が、他の一方で第二電極が端子201、及び202と接続される。端子201、202は、接続配線8、及び導電配線9を介して、ラダーコード6(図2)へと接続される。照明パネル10は、第一基板17、第2基板18、及び側板(樹脂)19によって密閉されている。
図5は、図3に示した照明パネル10を、図1で定義した座標系のz方向から見た図である。この図に示す例では、有機EL素子20の短辺方向に沿って、端子201、及び202が有機EL素子20の端に設けられている。端子201は第一電極12のむき出し部分であり陽極端子(電極端子)を構成し、端子202は第一電極14のむき出し部分であり陰極端子(電極端子)を構成する。
なお、図5では、説明のため、第二基板18を示していない。
図6は、照明パネル10を、図5の矢視方向Bから見た、短辺側から見た図である。導電配線9は、図示するように、左右にある分岐配線5及びラダーコード6のうち、片側にある分岐配線5及びラダーコード6と順に接続されている。図6において破線9aの内側にある導電配線9及び分岐配線5は、有機EL素子20の図示した短辺と反対側の短辺の側にある。示した部分にある図6において、説明の便宜上、第一基板17とラダーコード6−2とは離して描いてあるが、実際は第一基板17はラダーコード6−2に載っている。
【0081】
有機EL素子20では配線の抵抗による電圧降下により輝度の低下(発光斑)ができる場合がある。この発光斑は、有機EL素子20内の位置によって供給される電圧もしくは電流が異なることに起因する場合がある。また、有機ELに用いられる材料や材料の量の偏り等によって、有機EL素子20には、決まった発光斑ができる場合がある。また、長期間の使用により、端子からの侵食などによって、陰極または陽極のいずれかに偏って発光斑が発生する場合がある。
いずれの場合も、有機EL素子20には、陽極と陰極からの位置に応じた発光量の違いによって、発光斑が発生する。以下、照明パネル10では、隣り合った有機EL素子20の発光斑を相殺するように、有機EL素子20が複数並べられている場合について説明をする。
【0082】
図7は本発明の一実施形態に係る有機ELパネル10’と、有機EL素子20とラダーコード6との関係を分かりやすく説明するための概念図であり、以下の複数の実施形態の理解を容易にするものである。示した概念図である。この図に示す座標は、図1の座標と同じものであり、有機ELパネル10’の長軸方向がx軸、短軸方向がy軸である。図7では、4個の有機EL素子20をx軸方向に一列に並べた状態を示している。図7において、符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6は、分岐配線5を介して陽極に電気的に接続されるラダーコード6を示す。符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6は、分岐配線5を介して陰極に電気的に接続されるラダーコード6を示す。図7において、有機EL素子20は4個あり、その各々の有機EL素子20の両側に分岐配線5とラダーコード6が配設されているが、図面を見やすくするために符号「20」、「5」、「6」は一箇所のみに付す。このことは他の実施形態についても同様である。
【0083】
以下、図8〜図14を用いて、有機ELパネル10’と、有機EL素子20、及び、その端子201、202と、ラダーコード6との関係の例について説明をする。これらの図に示す座標は、図1の座標と同じものであり、有機ELパネル10’の長軸方向がx軸、短軸方向がy軸である。また、図8〜図14において、符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6は、分岐配線5を介して陽極に電気的に接続されるラダーコード6を示す。符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6は、分岐配線5を介して陰極に電気的に接続されるラダーコード6を示す。つまり、符号「+」を記載したラダーコード6には、符号「−」を記載したラダーコード6より、高い電圧が印加されている。
【0084】
図8は、本発明の実施形態1に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、そのx軸方向に伸びた一対の端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の短軸方向に離れて、端子201と202とが設けられている。
【0085】
図8において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、y座標の値の大きい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、y座標の値の小さい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。
一対の端子のうち、他方の端子202は陰極である。この図において、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、y座標の値の小さい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。また、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、y座標の値の大きい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極と陰極とを交互させるように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0086】
図8において、端子201(陽極)は、分岐配線5を介して符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6に接続されている。端子202(陰極)は、分岐配線5を介して符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6に接続されている。
有機EL素子20の一対の端子のうちy座標の値の大きい方の位置にある端子は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうちy座標の値の小さい方の位置にある端子は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。なお、端子201または、端子202のいずれにも接続されていないラダーコードはダミーコードである。この点は以下の実施形態において同様である。
【0087】
例えば、劣化等で各有機EL素子20の陽極側の端子201付近の輝度が低下したと仮定した際、有機ELパネル10’の長軸方向のある一辺側には、配された有機EL素子20は一つおきにしか陽極側が来ていないため、隣り合う素子で輝度低下部分同士が接する可能性を低くすることができる。これにより、使用者は通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにすることができ、使用者に発光斑(輝度斑)を気付かせず、均一に発光しているように認識させることができる。
【0088】
図9は、本発明の実施形態2に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、そのy軸方向に伸びた一対の端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の長軸方向に離れて、端子201と202とが設けられている。
【0089】
図9において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、有機EL素子20の一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、有機EL素子20の一対の端子のうち、x座標の値の大きな方の位置にある端子が端子202(陰極)である。
すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極と陰極とを交互させるように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0090】
図9において、端子201(陽極)は、分岐配線5を介して符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6に接続されている。端子202(陰極)は、分岐配線5を介して符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6に接続されている。
有機EL素子20の一対の端子のうち端子201(陽極)は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうち端子202(陰極)は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
【0091】
図9の配置の場合で、仮に、劣化等で各有機EL素子20の陽極側の輝度が低下したとした際、有機ELパネル10’の短軸方向のある一辺側に、各有機EL素子20はすべて陽極を向けているため、隣り合う素子で輝度低下部分同士が接する可能性を低くすることができる。これにより、使用者は通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにすることができ、使用者に輝度斑を気付かせず、均一に発光しているように認識させることができる。
【0092】
図10は、本発明の実施形態3に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、そのy軸方向に伸びた一対の端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の長軸方向に離れて、端子201と202とが設けられている。
【0093】
図10において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、有機EL素子20の一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、有機EL素子20の一対の端子のうち、x座標の値の大きな方の位置にある端子が端子202(陰極)である。
すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極と陰極とが交互に繰り返すように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0094】
図10において、端子201(陽極)は、分岐配線5を介して符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6に接続されている。端子202(陰極)は、分岐配線5を介して符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6に接続されている。
図10において、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、端子201,202とラダーコード6は、次のように接続されている。
(1)有機EL素子20の一対の端子のうちx座標の値の小さい方の位置にある端子201(陽極)は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
(2)有機EL素子20の一対の端子のうちx座標の値の大きい方の位置にある端子202(陰極)は、y座標の値の小さい側側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
一方、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、端子201,202とラダーコード6は、次のように接続されている。
(1)有機EL素子20の一対の端子のうちx座標の値の小さい方の位置にある端子201(陽極)は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
(2)有機EL素子20の一対の端子のうちx座標の値の大きい方の位置にある端子202(陰極)は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。以上説明したように、近接した位置にある2本のラダーコードが存在する場合、そのようなラダーコードは絶縁導線を2つ有する1本のラダーコードで代替しても良い。
【0095】
図10の配置の場合、劣化等で各有機EL素子20の陽極側の輝度が低下したと仮定した際、有機ELパネル10’の短軸方向のある一辺側に、各有機EL素子20はすべて陽極を向けているため、隣り合う素子で輝度低下部分同士が接する可能性を低くすることができる。これにより、通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにすることができ、使用者に輝度斑を気付かせず、均一に発光しているように認識させることができる。
【0096】
図11は、本発明の実施形態4に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、その四隅のうちの対角の2つの隅の位置に端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の対角方向に離れて、端子201と202とが設けられている。端子201、202を結ぶ対角線の向きは隣接する有機EL素子20間で同じである。
【0097】
図11において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、有機EL素子20の一対の端子のうち、x座標の値の小さい方(y座標の値の大きい方)の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、有機EL素子20の一対の端子のうち、x座標の値の大きい方(y座標の値の小さい方)の位置にある端子が端子202(陰極)である。
すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極と陰極とを交互させるように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0098】
図11において、端子201(陽極)は、分岐配線5を介して符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6に接続されている。端子202(陰極)は、分岐配線5を介して符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6に接続されている。
有機EL素子20の一対の端子のうちx座標の値の小さい方の位置にある端子は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうちx座標の値の大きい方の位置にある端子は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
【0099】
図11の配置の場合、劣化等で各有機EL素子20の陽極側の輝度が低下したと仮定した際、各有機EL素子20は左上が陽極となるため、隣り合う素子で輝度低下部分同士が接する可能性を低くすることができる。これにより、使用者は通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにすることができ、使用者に輝度斑を気付かせず、均一に発光しているように認識させることができる。
【0100】
図12は、本発明の実施形態5に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、その対角の位置に端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の対角方向に離れて、端子201と202とが設けられている。端子201、202を結ぶ対角線の向きは隣接する有機EL素子20間で異なっている。
【0101】
図12において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、有機EL素子20の一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、有機EL素子20の一対の端子のうち、x座標の値の大きい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。
すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極と陰極とを交互させるように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0102】
図12において、端子201(陽極)は、分岐配線5を介して符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6に接続されている。端子202(陰極)は、分岐配線5を介して符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6に接続されている。
有機EL素子20の一対の端子のうちy座標の値の小さい方の位置にある端子は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうちy座標の値の大きい方の位置にある端子は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
【0103】
図12の配置の場合、劣化等で各有機EL素子20の陽極側の輝度が低下したと仮定した際、各有機EL素子20は有機ELパネル10’の長軸方向に沿って陽極が左上、左下、左上、左下、と交互に位置するため、隣り合う素子で輝度低下部分同士が接する可能性を低くすることができる。これにより、使用者は通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにすることができ、使用者に輝度斑を気付かせず、均一に発光しているように認識させることができる。
【0104】
図13は、本発明の実施形態6に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向およびy軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、y軸方向に2個、並べられている。有機EL素子20には、そのx軸方向に伸びた一対の端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の短軸方向に離れて、端子201と202とが設けられている。
【0105】
図13において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、y座標の値の大きい方の位置にあって、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、y座標の値の大きい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、y座標の値の大きい方の位置にあって、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、y座標の値の小さい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。
一対の端子のうち、他方の端子202は陰極である。この図において、y座標の値の小さい方の位置にあって、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、y座標の値の小さい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。また、y座標の値の小さい方の位置にあって、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、y座標の値の大きい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の短軸方向および長軸方向の両方に陽極と陰極とを交互させるように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0106】
端子が、有機ELパネル10’の長辺に面している場合、一対の端子のうち、y座標の値の大きな側の端子は、各端子の両端部のうち、x座標の小さい側に設けられた側から、最も近接したラダーコード6へと、分岐配線5を介して接続される。一方、y座標の値の小さな側の端子は、端子の両端部のうち、x座標の値の大きな側に設けられた側から、最も近接したラダーコード6と、分岐配線5を介して接続される。有機ELパネル10’の長辺に面していない端子は、最も近接した、同極性のラダーコードに、分岐配線5を介して接続される。この実施形態においても、使用者が通常通り高い輝度で発光している個所に平均的に取り囲まれるようにすることが出来、使用者に発光班を築かせず、均一に発光しているように認識させることができる。
【0107】
図14は、z軸方向に2枚の有機ELパネル10’を並べた状態を示している。有機ELパネル10’は4個の有機EL素子20をx軸方向に一列に並べてある。図14においても、図1で定義した通り、有機ELパネル10’の長軸方向がx軸と、短軸方向がy軸となる。有機EL素子20には、そのy軸方向に伸びた一対の端子201、202が設けられている。
【0108】
図14において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、z座標の値の大きい方の位置にあって、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の大きい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、z座標の値の大きい方の位置にあって、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。
【0109】
一対の端子のうち、他方の端子202は陰極である。この図において、z座標の値の小さい方の位置にあって、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。また、z座標の値の小さい方の位置にあって、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の大きい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。つまり、x座標およびy座標の値が同じ位置にある端子は、z軸方向に陽極と陰極とが交互している。すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の積層方向(z軸)および長軸方向の両方に陽極と陰極とを交互させるように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0110】
z座標の値の大きい方の位置にある有機ELパネル10’に属する端子201は、そのy軸方向に伸びた端子の両端のうち、y座標の値の小さな側から最も近接したラダーコード6へと分岐配線5を介して接続される。z座標の値の小さな方の有機ELパネル10’に属する端子201は、そのy軸方向に伸びた端子の両端のうち、y座標の大きな側からx軸方向で最も近く位置するラダーコード6へと分岐配線5を介して接続される。z座標の値の大きな方の有機ELパネル10’に属する端子202は、そのy軸方向に伸びた端子の両端のうち、y座標の大きな側からx軸方向で最も近く位置するラダーコード6へと分岐配線5を介して接続される。z座標の値の小さな方の有機ELパネル10’に属する端子202は、そのy軸方向に伸びた端子の両端のうち、y座標の小さな側から最も近接したラダーコード6へと分岐配線5を介して接続される。
図14に示す例では、有機ELパネル10’を積層させた例を示したが、この2枚を単位としてz軸方向(鉛直方向)に複数繰り返して設けても良い。
【0111】
なお、図3では、二つの有機EL素子20が第一基板17上に配されている構成を、図7〜図12では4個の有機EL素子20が第一基板17上に配されている構成を、図13では8個の有機EL素子20が第一基板17上に配されている構成を、図14では4個の有機EL素子20が第一基板上に配された有機ELパネル10’がz軸方向(鉛直方向)に2枚積層した例を示したが、必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、1つ、または3つ、もしくは5つ以上の有機EL素子20を第一基板17上に配した構成でも良い。更に、直線状に複数の有機EL素子20を配列しただけであったが、二次元平面上に長軸方向に20個の有機EL素子20を配列し、短軸方向に個の有機EL素子20を配置するといった具合に多くの素子を配列しても良い。また、短軸、長軸方向に複数の有機EL素子20を配列した有機ELパネル10’を用いて、図14に示した積層構造を複数回繰り返した構造としても良い。
【0112】
もちろん、使用者に輝度斑を気付かせず、均一に発光しているように認識させるための、有機EL素子構造、特に端子構造と、パネル外のラダーコードの配置場所は、図8〜図14に記載の例に限ったものではなく、これ以外の形状でも構わない。
【0113】
また、図15〜図19は、本発明の一実施形態の比較例として提示した有機ELパネル10’と、有機EL素子20、及びその端子201,202と、ラダーコード6との関係を示した概念図である。これらの比較例は、本発明の実施形態と比較して、複数の輝度むら領域が隣接していることにより、使用者に輝度斑を気づかれやすく、均一発光の特性において劣るものである。
【0114】
図15は、本発明の実施形態1に対する比較例である比較例1に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、そのx軸方向に伸びた一対の端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の短軸方向に離れて、端子201と202とが設けられている。
【0115】
図15において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、一対の端子のうち、y座標の値の大きい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。一対の端子のうち、他方の端子202は陰極である。この図において、y座標の値の小さい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極同士、陰極同士が隣り合うように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0116】
図15において、端子201(陽極)は、分岐配線5を介して符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6に接続されている。端子202(陰極)は、分岐配線5を介して符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6に接続されている。
有機EL素子20の一対の端子のうちy座標の値の大きい方の位置にある端子は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。この際、端子の両端部のうち、x座標の値の小さい側が、ラダーコード6に接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうちy座標の値の小さい方の位置にある端子は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。この際、端子の両端部のうち、x座標の値の大きい側が、ラダーコード6に接続されている。
【0117】
図16は、本発明の実施形態2に対する比較例である比較例2に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、そのy軸方向に伸びた一対の端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の長軸方向に離れて、端子201と202とが設けられている。
【0118】
図16において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の大きい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。一対の端子のうち、他方の端子202は陰極である。この図において、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の大きい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。また、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極同士、陰極同士が隣り合うように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0119】
図16において、端子201(陽極)は、分岐配線5を介して符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6に接続されている。端子202(陰極)は、分岐配線5を介して符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6に接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうちx座標の値の小さい方の位置にある端子は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうちx座標の値の大きい方の位置にある端子は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
【0120】
図17は、本発明の実施形態3に対する比較例である比較例3に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、そのy軸方向に伸びた一対の端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の長軸方向に離れて、端子201と202とが設けられている。図16において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。
【0121】
図17において、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の大きい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。一対の端子のうち、他方の端子202は陰極である。この図において、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の大きい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。また、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極同士、陰極同士が隣り合うように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0122】
図17において、端子201(陽極)は、分岐配線5を介して符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6に接続されている。端子202(陰極)は、分岐配線5を介して符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6に接続されている。
有機EL素子20の一対の端子のうち、端子201(陽極)は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうち、端子202(陰極)は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
【0123】
図18は、本発明の実施形態4に対する比較例である比較例4に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、その対角の位置に端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の対角方向に離れて、端子201と202とが設けられている。端子201、202を結ぶ対角線の向きは隣接する有機EL素子20間で同じである。
図18において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、この図において、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。また、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の大きい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。一対の端子のうち、他方の端子202は陰極である。この図において、x座標の値の小さい方から数えて奇数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の大きい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。また、x座標の値の小さい方から数えて偶数番目の有機EL素子20では、一対の端子のうち、x座標の値の小さい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極同士、陰極同士が隣り合うように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0124】
有機EL素子20の一対の端子のうちy座標の値の小さい方の位置にある端子は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうちy座標の値の大きい方の位置にある端子は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
【0125】
図19は、本発明の実施形態5に対する比較例である比較例5に係る有機EL素子とラダーコードとの関係の一例を示した概念図である。この図の有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に一列に並べられている。具体的に、有機ELパネル10’には、有機EL素子20がx軸方向に4個、並べられている。有機EL素子20には、その対角の位置に端子201、202が設けられている。つまり、有機ELパネル10’の対角方向に離れて、端子201と202とが設けられている。端子201、202を結ぶ対角線の向きは隣接する有機EL素子20間で異なる。
【0126】
図19において、有機EL素子20の一対の端子のうち、一方の端子201は陽極である。この図において、一対の端子のうち、y座標の値の大きい方の位置にある端子が端子201(陽極)である。一対の端子のうち、他方の端子202は陰極である。この図において、y座標の値の小さい方の位置にある端子が端子202(陰極)である。すなわち、有機ELパネル10’は、有機ELパネル10’の長軸方向に陽極同士、陰極同士が隣り合うように、有機EL素子20が複数並べられている。
【0127】
図19において、端子201(陽極)は、分岐配線5を介して符号「+」(プラス)を記載したラダーコード6に接続されている。端子202(陰極)は、分岐配線5を介して符号「−」(マイナス)を記載したラダーコード6に接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうち、端子201(陽極)は、y座標の値の大きい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。有機EL素子20の一対の端子のうち、端子202(陰極)は、y座標の値の小さい側に位置するラダーコード6であってx軸方向で最も近く位置するラダーコード6に、分岐配線5を介して接続されている。
【0128】
また、図4に示すように、昇降コード3は、照明パネル10の発光領域を大きく取るために、照明パネル10の中心以外の箇所に配設した構成としている。
照明パネル10は、図4に示すように、複数の有機EL素子20を有する第一基板17と、これに対向するように配置された第二基板18とを備えている。第一基板17と第二基板18とは、樹脂19によって接続されている。
【0129】
第一基板17および第二基板18の詳細については後述するが、照明パネル10を支えるラダーコード6に接続された分岐配線5は、有機EL素子20と電気的に接続した第一基板17上に配された導電配線9と繋がっており、導電配線9は有機EL素子20と接続配線8を介して接続されている。
ここで、複数の有機EL素子20を並べた場合には、1本のラダーコード6に複数の配線機能を持たせても良い。例えば、1本のラダーコード6にプラスの配線とマイナスの配線等、複数の配線で構成することも可能である。逆に、複数のラダーコード6を用いて、配線機能を分散させても良い。これによって、各ラダーコード6から供給される電圧の低下が防げるため、電圧降下による発光斑を防止することができる。
【0130】
また、陽極と電気的に接続された導電部分を含むラダーコード6と、陰極と接続された導電部分を含むラダーコード6は、必ずしも一対の第1のコードである必要はない。
また、上記ラダーコード内を通る導電部分は、ラダーコードを構成する一方の第1のコードと他方の第1のコードとの間を橋渡しするように設けられた第2のコード内を通り、他方の第1のコードに集約しても良い。
【0131】
また、これらラダーコード6は、照明パネルの長軸端面に配されるが、有機EL素子の発光部分にかぶらないように配することが好ましい。これにより、素子の発光部分から発する光を遮ることなく、効率良く必要な照度を稼ぐことが容易となる。
更に、図8〜図14において、全てのラダーコード6に導電配線が通っていなくても良い。配線自体が不要で、かつ、照明パネル10やボトムレール4を支える上で必要なラダーコード6の箇所には、導電配線が内蔵されていないダミーコードを用いても良い。
【0132】
以下では、照明パネル10を構成する各部材について、詳しく説明する。
(第一基板17および第二基板18の構成)
第一基板17および第二基板18のうちの少なくとも一方は、光透過性を有する材料で構成されている。光透過性を有する材料としては、例えば、ガラス基板、または樹脂基板等の透明材料が適用可能である。なお、一方の基板を、光透過性を有しない材料で形成する場合には、不透明な金属材料等を適用できる。
第一基板17および第二基板18は、PETまたはPEN等の可撓性を有する材料で構成しても良い。可撓性材料を用いて第一基板17および第二基板18を構成すれば、有機EL照明装置1を湾曲させる場合にも、第一基板17および第二基板18が湾曲可能であるため、問題なく対応することができる。
【0133】
このように、第一基板17および第二基板18は、平板状であっても良いし、曲面を有する形状であっても良い。この際、有機EL照明装置1の光出射面側を凸状に湾曲させても良いし、凹状に湾曲させても良い。
有機EL照明装置1の光出射面側を凸状に湾曲させた場合には、有機EL照明装置1の光を容易に発散させることができ、当該有機EL照明装置1を設置した部屋、または空間を広範囲に照らすことが可能となる。
反対に、有機EL照明装置1の光出射面側を凹状に湾曲させた場合には、有機EL照明装置1の光を容易に集光させることができ、当該有機EL照明装置1の設置位置からほど近い、点または面等を集中的に照らすことが可能となる。
【0134】
また、これらの可撓性材料の表面には、ガスバリア性および機械強度を高め、ガス透過性を低減するために、有機無機ハイブリッド層、または有機層と無機層との多積層膜等を形成しても良い。
なお、第一基板17および第二基板18は、例えば、幅70mm、長さ1000mm、および厚さ0.7mm程度の矩形平板状にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0135】
第一基板17および第二基板18は、有機EL素子20を挟むようにして配置されており、当該第一基板17および第二基板18は熱硬化樹脂またはUV硬化樹脂等の樹脂19を介して接続されている。第一基板17および第二基板18によって囲まれる領域、すなわち有機EL素子20が封止されている領域は、例えば、窒素またはアルゴン等の不活性ガス下、または真空下に調整されている。このように、両基板間の領域に不活性ガスを充填したり、当該領域を真空下にしたりすることによって、外部からの酸素または水分が有機EL素子20の有機EL層13に侵入するのを抑制することができる。従って、各有機EL素子20にガスバリア性を持たせるための処理を施す必要がない。
なお、両基板間の領域には、酸化バリウム等の吸湿剤が配合されていても良い。これによれば、有機EL素子20の周囲を乾燥した状態に保つことができる。
また、両基板間の領域に、熱伝導性が高い放熱樹脂を充填した構成にすることも可能である。放熱樹脂としては、例えば、絶縁性のアクリルゴム、またはエチレンプロピレンゴム等が適用できる。これによれば、熱伝導性が高い放熱樹脂が充填されていることによって、両基板間の領域内の熱を効率良く外部へ放出したり、均熱性を上げたりすることができる。
【0136】
ここで、各照明パネルの第一基板17および第二基板18のうち、光出射面側ではない基板は、光反射性の材料、または光反射性の表面を有する材料で構成することが好ましい。更に、第一基板17と第二基板18との接続部分は、光反射性の材料、または光反射性の表面を有する材料で囲まれ、封じられていることが好ましい。これによれば、有機EL素子20の光出射面以外の面から出射された光は、照明パネル10の壁面(有機EL素子20を取り囲む照明パネル10の壁面)に反射する。従って、より効果的に有機EL素子20から漏れ出た光を取り出すことができる。
【0137】
(各配線の概要)
第一基板17の有機EL素子20が配設されている側の表面には、上記導電配線9が形成されている。導電配線9は、有機EL素子20の幅方向に伸びるように配置されている。
導電配線9としては、例えば、ITO、IZO、アルカリ金属またはアルカリ土類金属等が適用可能である。導電配線9は、例えば、幅2mm、長さ20mm、および厚さ150μm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0138】
これらの導電配線9は2つで1組を形成し、2つのうち一方が有機EL素子20の第一電極12(図20)に接続配線8、及び端子201、又は202を介して接続し、他方が第二電極14(図20)に接続配線8、及び端子201、又は202を介して接続する。この1組の導電配線9に電圧を印加することによって有機EL素子20に電流を流すことができる。なお、導電配線9の各組を、それぞれ個別に制御できることが好ましい。これによれば、1組の導電配線9に接続された有機EL素子20を独立して駆動させることができる。従って、各有機EL素子20をそれぞれ個別に駆動させることができるので、有機EL照明装置1の発光強度または色調等の調光を行うことができる。
【0139】
なお、後ほど詳しく説明するが、有機EL照明装置1に調光性および調色性を持たせるために、1つの有機EL素子20を複数色に塗り分けたり、互いに異なる発光色を持つ複数種類の有機EL素子20を使用したりすることができる。1つの有機EL素子20を複数色に塗り分ける場合には、複数本の導電配線9を長軸方向に平行に配置する。
例えば、3種類(赤色,緑色,青色)の有機EL素子20によって白色を調色する場合には、赤色発光有機EL素子(R)の点灯率を30%、緑色発光有機EL素子(G)の点灯率を22%、および青色発光有機EL素子(B)の点灯率を48%となるように、それぞれの導電配線9に電圧を印加すると良い。ここで、点灯率とは、照明パネル10のアノードまたはカソードに流れる最大電流に対する割合を意味する(ただし、デューティ比は1/1とする)。例えば、カソードに流れる最大電流を200mAとすれば、デューティ比1/1において、60mAの電流が流れていれば点灯率は30%(60/200=0.3)である。以上では、白色に調色する場合の例を示したが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0140】
導電配線9は、分岐配線5と、接続配線8を介して、有機EL素子20とラダーコード6とを電気的に接続する。この際、接続配線8は、無鉛ハンダまたは銀ペースト等によって形成されていることが好ましい。
ここで、矩形状の有機EL素子20を用いる場合には、当該有機EL素子20の長軸方向に沿って、補助電極(端子)または補助配線を設けても良い。これによれば、有機EL素子20の第一電極12および第二電極14の抵抗による電圧降下を低減して発光ムラを抑制することができる。補助電極(端子)は、有機EL素子の全周に渡って設けても良いし、長辺の一端または両端等に部分的に設けても良い。
また、ラダーコード6に加え、昇降コード3にも配線機能を持たせても良い。これにより電力供給元がより多く確保されることにより、電力の供給が安定化される。また、短い間隔での電力供給元が用意されることから、各コードの電圧の低下による発光斑の発生を防止することができる。
【0141】
(有機EL素子20の構成)
次に、この有機EL素子20の詳細について図20を用いて説明する。
図20は、図5に示した切断線B−B’において切断した状態を示した矢視断面図である。なお、図20には、説明の便宜上、第一基板17、第二基板18、接続配線9、導電配線8、及び端子201,202は示していない。
有機EL素子20は、図20に示すように、支持基板11上に、第一電極12、有機EL層13、および第二電極14がこの順で積層された構成である。また、両電極および有機EL層13を保護するために、第二電極14の表面を覆うようにして保護層15を設けているが、これは有機EL素子20の必須構成ではない。
【0142】
有機EL素子20は、第一電極12および第二電極14に電圧を印加することによって、一方の電極から正孔が注入され、他方の電極から電子が注入される。有機EL層13は発光層を有しており、注入された正孔および電子が当該発光層において再結合することによって、有機EL素子20は発光する。
有機EL素子20は、例えば、幅50mm、長さ200mm、および厚さ0.7mm程度の矩形平板状にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0143】
支持基板11
支持基板11は、絶縁性を有する材料によって構成されていることが好ましい。絶縁性を有する材料とは、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはポリフェニレンサルファイト(PPS)等の透明のプラスチックフィルム等である。このように、支持基板11として絶縁性の材料を用いる場合には、支持基板11を絶縁膜として採用することが可能となる。ただし、必ずしもこれに限定されるわけではなく、支持基板11上に絶縁膜を別途設けても良い。また、支持基板11上には、酸化ケイ素膜等の保護膜が形成されていることが好ましい。これによって、支持基板11の内部からアルカリ酸化物が溶出するのを防止することができる。
【0144】
また、上記したようなプラスチックフィルム等の可撓性を有する材料を用いることによって、有機EL素子20を配設する箇所(第一基板17)が湾曲していても問題なく配設することができる。これによれば、有機EL素子20の光出射面側を凸状に湾曲させた場合には、有機EL素子20の光を容易に発散させることができ、有機EL照明装置1を設置した部屋、または空間を広範囲に照らすことが可能となる。逆に、有機EL素子20の光出射面側を凹状に湾曲させた場合には、有機EL素子20の光を容易に集光させることができ、有機EL照明装置1の設置位置からほど近い、点または面等を集中的に照らすことが可能となる。
【0145】
更に、以上の構成によれば、照明パネル10自体が湾曲していない形状であっても、有機EL素子20を湾曲させるだけで上記した効果を奏することができる。また、支持基板11の湾曲率を適宜調整できる調整手段を設けた構成にしても良い。これによれば、上述のように、有機EL素子20の光出射面側を凸状に湾曲させた場合には、有機EL素子20の光を容易に発散させることができ、当該有機EL素子20搭載の有機EL照明装置1を設置した部屋、または空間を広範囲に照らすことが可能となり、一方、有機EL素子20の光出射面側を凹状に湾曲させた場合には、有機EL素子20の光を容易に集光させることができ、当該有機EL素子20搭載の有機EL照明装置1の設置位置からほど近い、点または面等を集中的に照らすことが可能となる。調整手段としては、後述する態様がある。
【0146】
また、支持基板11が可撓性を有することから、ロールツウロール法を用いて有機EL素子20を作製することができる。これによって、装置導入の初期投資、およびランニングコスト等を低減することが可能である。更に、支持基板11を酸素透過性または水透過性の低い基板等で両側からパッキングすることによって、有機多層膜または無機多層膜等が不要であり、かつ安価な有機EL素子20を製造することが可能である。しかし、必ずしもこれに限定されるわけではなく、例えば、ガラス等の材料で支持基板11を構成しても良い。
【0147】
なお、支持基板11として、金属フィルム等の光反射性の材料を用いることが可能である。この場合には、エポキシ樹脂等の合成樹脂、またはプラズマCVD装置等により厚さ500nm程度の窒化シリコン(SiNx)等の絶縁膜を表面に形成することが好ましい。
【0148】
支持基板11には、光拡散性を有する材料を更に添加していても良い。光拡散性を有する材料とは、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ノーマルブチル、メタクリル酸ノーマルブチルメチル、メタクリル酸メチル、及びアクリル酸メチルの共重合体または三元重合体等のアクリル系粒子、ポリエチレン、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン等のオレフィン系粒子、またはアクリル系粒子とオレフィン系粒子との共重合体等である。あるいは、単一重合体の粒子を形成した後、その上層に他種類の単量体をコーティングした多層多成分系粒子等も光拡散性を有するので、このような粒子も適用可能である。
【0149】
一般的に、有機EL素子20が発した光は広く拡散されて出射される。そのため、通常はマイクロキャビティ(微小共振器)構造を採用し、光路長を調節することによって有機EL素子20が発した光を共振させ集光している。その結果、発光効率の向上、および色純度の向上が実現され、光に指向性等を持たせることができる。しかし、本実施形態では、上記のような光拡散性を有する材料を支持基板11に添加することによって、出射光は光拡散部分を通過し、光出射面から均一に拡散して出射され、有機EL照明装置1の色純度と発光効率とを向上させると共に、広視野角化を実現することができる。
【0150】
第一電極12および第二電極14
次に、第一電極12および第二電極14について説明する。当該第一電極12および第二電極14のうち、一方の電極が陰極であり、他方の電極が陽極である。陽極の材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、または酸化インジウム亜鉛(IZO)等が挙げられる。
一方、陰極の材料としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属等が挙げられ、安定性の観点からは、カルシウム膜、アルミニウム膜、カルシウム膜とアルミニウム膜との積層膜、マグネシウム合金膜、バリウム膜、バリウム化合物膜、セシウム膜、セシウム化合物膜、またはフッ素化合物膜等で構成されていることが好ましい。
【0151】
なお、有機EL素子20がボトムエミッション型の場合には、第一電極12を光透過性または光半透過性の材料(透明電極)で形成し、第二電極14を光反射性の材料で形成することが好ましい。逆に、有機EL素子20がトップエミッション型の場合には、第一電極12を光反射性の材料で形成し、第二電極14を光透過性または光半透過性の材料(透明電極または半透明電極)で形成することが好ましい。
これによれば、有機EL素子20が発した光は透明電極側から出射され、光を効率的に素子の外に取り出すことが可能となる。また、光取り出し側にある電極を透明電極とすることによって、マイクロキャビティ(微小共振器)効果で集光させることができる。その結果、発光効率の向上、および色純度の向上が実現され、光に指向性等を持たせることができる。また、光取り出し側とは反対側の電極には反射電極を用いることによって、有機EL素子20が発した光が非光出射面側に出射されても、光反射性を有する電極によって反射され、光出射面側から出射される。その結果、有機EL素子20が発した光の利用効率を高めることができる。
【0152】
なお、有機EL素子20は、光強度が等方的なランバート分布に近い発光分布を持つため、反射電極と透明電極とで有機層を挟み込むことによって得られるマイクロキャビティ効果を利用して、有機EL素子20の光を集光させることも可能である。光の出射面側に透明電極を用い、その反対側に反射電極を用いることによって、2つの電極間で反射を繰り返す多重反射干渉をさせ、共振・強調させる。そして、両電極間の光路長に合致した光のみを取り出すことによって、有機EL素子20の発光輝度を高められる。これにより、光路長から外れた不要な光が弱められ、外部に取り出される光のスペクトルが急峻となることから、有機EL素子20の色純度が向上する。また、光に指向性を持たせることができる。ここで、赤色発光(R)、緑色発光(G)、および青色発光(B)では、それぞれの光の波長が異なるため、光源ごとに透明電極または半透明電極の膜厚を調整する必要がある。
【0153】
保護層15
保護層15の材料としては、例えば、酸窒化珪素等が挙げられる。当該保護層15は、例えば、厚さ100nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0154】
なお、有機EL素子20の光取り出し側の面には、光拡散機能を有する拡散樹脂層が設けられていても良い。拡散樹脂層は、内部に複数の光拡散粒子を含有したバインダー樹脂である。当該バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、またはポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
また、光拡散粒子としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ノーマルブチル、メタクリル酸ノーマルブチルメチル、メタクリル酸メチル、及びアクリル酸メチルの共重合体または三元重合体等のアクリル系粒子、ポリエチレン、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン等のオレフィン系粒子、またはアクリル系粒子とオレフィン系粒子との共重合体等である。
【0155】
あるいは、単一重合体の粒子を形成した後、その上層に他種類の単量体をコーティングした多層多成分系粒子等も光拡散性を有するので、このような粒子も適用可能である。特に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の使用が好ましい。このような光拡散粒子がバインダー樹脂内に含有された拡散樹脂層を設けることによって、当該拡散樹脂層を通過する光を均一に拡散することができる。そのため、有機EL照明装置1の広視野角化が実現され、光取り出し効率が上がることから、有機EL照明装置1の輝度が向上する効果が得られる。当該拡散樹脂層は、例えば、厚さ150μm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0156】
上記した拡散樹脂層を設ける場合には、当該拡散樹脂層は拡散板であっても良い。当該拡散板としては、例えば、光拡散粒子が分散されたアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、架橋ポリメタクリル酸メチル、または架橋ポリスチレン等が挙げられる。
【0157】
更に、有機EL素子20の光取り出し側の面には、光の波長を変換する波長変換層が設けられていても良い。当該波長変換層は、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)等の無機蛍光体、有機EL素子に好的に用いられる公知の有機蛍光体、または他の蛍光体等で形成されていることが好ましい。波長変換層を用いることによって、有機EL素子20が発した光を所望の波長の光へと変換することができる。当該波長変換層は、例えば、厚さ100μm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0158】
また、有機EL素子20の光取り出し側の面には、円偏光板またはカラーフィルタを設けることも可能である。円偏光板によって、有機EL素子20が発した光を円偏光させ、外光反射を抑制することができる。円偏光板は、直線偏光板に1/4λ板として機能する位相差板を張り合わせた構造をしており、直線偏光板の吸収軸に対し、1/4位相差フィルムを45度だけ軸を傾けて貼れば右回転円偏光板になる。逆に、直線偏光板の吸収軸に対し、1/4位相差フィルムを135度(−45度)傾けて貼れば左回転円偏光板になる。例えば、右回転円偏光板を用いた場合には、直線偏光板を透過した光は、右回転円偏光板を通るときに右回りに回転する光となり、当該光がガラス面等で反射すると、回転方向が反転して左回りの光となって再び右回転円偏光板に入る。このようにして、右回転円偏光板は右回りの光だけを透過させ、左回りの光は吸収し、最終的に外光の反射光はほぼゼロにすることができる。この性質を利用し、円偏光板は、有機EL照明装置1における外光反射を除去することができる。
【0159】
位相差板は、複屈折率を持つフィルムであり、プラスチックフィルムを特定方向に延伸処理することによって作製することが可能である。材料としては、透明であり、延伸処理が可能な材料であれば良い。例えば、ポリカーボネート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリフェニレンオキシド系高分子、またはポリオレフィン系高分子等を挙げることができる。
【0160】
また、カラーフィルタを用いることによって、有機EL素子が発した光のうち所望の波長の光のみを出射させることができ、なおかつ外光反射の抑止および低減効果を得ることができる。有機EL素子20が発する光は、無機EL素子が発する光と比較して、スペクトル形状が幅広く、長波長側の裾が広いので高色純度を再現しようとする際に問題となる。しかしながら、カラーフィルタを併用することによって、不要領域のスペクトルがカットされ、狭い幅(およそ半分の幅)のスペクトルにすることができる。
また、カラーフィルタの外光反射の抑止および低減効果は、円偏光板と比較して高くはないが、当該カラーフィルタを用いた場合は、有機EL素子20が発した光の不要領域波長を除去することができ、色純度を高める効果も同時に発現することができる。更に、円偏光板と比較して光取り出し効率が高いため、有機EL素子20の発光効率が相対的に高く、有機EL照明装置1への導入は非常に効果的である。
【0161】
有機EL層13
有機EL層13は、少なくとも発光層を備えていれば良く、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、および電子注入層のうちの複数から構成されていれば良い。例えば、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層が積層された3層構造であっても良い。または、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層が積層された5層構造、あるいは、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、および電子注入層が積層された7層構造などが挙げられる。
また、上記したような各層ごとに機能を分離させた構造とは逆に、正孔輸送性および電子輸送性が高く、なおかつ正孔および電子のバランスが取れている両電荷輸送性発光層からなる単層構造の有機EL層13を構成しても良い。
【0162】
これによれば、両電荷輸送材料が、陽極から注入された正孔、および陰極から注入された電子を、(1)高移動度かつ高バランスで発光領域にまで伝播することができ、また、(2)最高被占準位/最低空準位(HOMO/LUMO)エネルギー差が十分大きく(3eV程度)、なおかつワイドギャップ材料であることから、高い発光効率を得ることができる。
上記の両電荷輸送材料を以っても、単層構成の場合、正孔及び電子の注入性が劣ることが有るため、当該単層の有機EL層13は、発光領域の他に、正孔注入領域、および電子注入領域を有しても良い。
【0163】
上述したように、有機EL層13は、少なくとも発光層を有していれば良い。当該発光層は、正孔輸送性材料または電子輸送性材料等のホスト材料に、発光ドーパントをドープした両電荷輸送性材料で形成されている。
上記ホスト材料としては、例えば、下記に化学構造式を示している4,4’−N,N’−ジカルバゾリルビフェニル(以下、CBP)等が挙げられる。
【化1】

【0164】
赤色発光する発光層を作製する場合には、上記発光ドーパントとして赤色発光ドーパントを用いる。赤色発光ドーパントとしては、例えば、下記に化学構造式を示しているビス(1−(フェニル)イソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトネート) (以下、(piq)Ir(acac))等の赤色燐光発光ドーパントが挙げられる。当該赤色発光ドーパントとホスト材料とを共蒸着することによって赤色発光層が得られる。赤色発光層は、例えば、厚さ5nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【化2】

【0165】
また、緑色発光する発光層を作製する場合には、上記発光ドーパントとして緑色発光ドーパントを用いる。緑色発光ドーパントとしては、例えば、下記に化学構造式を示している(2−フェニルピリジン)イリジウム (以下、Ir(ppy))等の緑色燐光発光ドーパントが挙げられる。当該緑色発光ドーパントとホスト材料とを共蒸着することによって緑色発光層が得られる。緑色発光層は、例えば、厚さ20nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【化3】

【0166】
また、青色発光する発光層を作製する場合には、上記発光ドーパントとして青色発光ドーパントを用いる。青色発光ドーパントとしては、例えば、イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C2]ピコリネート (以下、FIrpic)等の青色燐光発光ドーパントが挙げられる。当該青色発光ドーパントとホスト材料とを共蒸着することによって青色発光層が得られる。青色発光層は、例えば、厚さ30nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【化4】

【0167】
上述したように、有機EL層13には、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、電子注入層、電子輸送層、および正孔阻止層を設けることができる。
正孔注入層は、陽極から受け取った正孔を効率良く発光層へ注入する機能を有する。正孔注入性材料としては、例えば、下記に化学構造式を示しているスターバーストアミンの4,4’,4’’−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン (以下、m−MTDATA)等が挙げられる。当該正孔注入層は、例えば、厚さ30nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【化5】

【0168】
正孔輸送層は、陽極から受け取った正孔を効率良く発光層へ輸送する機能を有する。正孔輸送性材料としては、例えば、下記に化学構造式を示している4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン (以下、TCTA)等の芳香族第三級アミン化合物が挙げられる。当該正孔輸送層は、例えば、厚さ10nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【化6】

【0169】
電子阻止層は、陽極側に電子が移動するのをブロックする機能を有する。電子阻止性材料としては、例えば、下記に化学構造式を示している4,4’−ビス−[N,N’−(3−トリル)アミノ−3,3’−ジメチルビフェニル (以下、HMTPD)等が挙げられる。当該電子阻止層は、例えば、厚さ10nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【化7】

【0170】
電子注入層は、陰極から受け取った電子を効率良く発光層へ注入する機能を有する。電子注入性材料としては、例えば、フッ化リチウム(LiF)等が挙げられる。当該電子注入層は、例えば、厚さ1nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。なお、電子注入層としてLiFを用いる場合には、陰極としては、マグネシウムと銀とを例えば1対9の割合で共蒸着したものを用いても良い。
電子輸送層は、陰極から受け取った電子を効率良く発光層へ輸送する機能を有する。電子輸送性材料としては、例えば、下記に化学構造式を示しているトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム (以下、Alq)、または、下記に化学構造式を示している3−フェニル−4(1’−ナフチル)5−フェニル−1,2,4−トリアゾール (以下、TAZ)等が挙げられる。当該電子輸送層は、例えば、厚さ30nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【化8】

【化9】

【0171】
正孔阻止層は、陰極側に正孔が移動するのをブロックする機能を有する。正孔阻止性材料としては、例えば、下記に化学構造式を示している2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン (以下、BCP)等が挙げられる。当該正孔阻止層は、例えば、厚さ10nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【化10】

【0172】
なお、電子阻止層および正孔阻止層を設ける場合には、両阻止層のうち何れか一方は蒸着重合法によって形成することが好ましい。これによれば、蒸着重合法という簡易な方法によって、安定した電子阻止層、および正孔阻止層を形成することができる。
また、電子阻止層および正孔阻止層を両電荷輸送性材料によって構成する場合には、電子阻止層を構成する両電荷輸送性材料は、発光層を構成する両電荷輸送性材料の最低空軌道よりも高い最低空軌道を有しているという第一条件、および正孔阻止層を構成する両電荷輸送性材料は、発光層を構成する両電荷輸送性材料の最高被占軌道よりも低い最高被占軌道を有しているという第二条件のうち、少なくとも何れかの条件を満たしていることがより好ましい。
これによれば、両電荷輸送材料によって構成されている発光層を挟んで、電子の移動を阻止する電子阻止層と、正孔の移動を阻止する正孔阻止層とが設けている。そのため、陽極から伝搬された正孔と、陰極から伝搬された電子とが、発光層内に閉じ込められるので、発光層において正孔および電子が再結合する確率が高まり、有機EL素子20の駆動電圧を低下することができる。
【0173】
また、発光層において正孔および電子が再結合する確率が上がるので、内部量子収率は向上し、発光効率を向上させることができる。しかし、必ずしも電子阻止層と正孔阻止層との双方を具備する必要はなく、何れか一方を有しているだけでも、正孔および電子の再結合確率を十分に高めることができる。従って、高輝度、高効率および長寿命を実現する有機EL素子20を提供することができる。
【0174】
なお、有機EL層13は更に電荷発生層を含んでいても良く、この場合には、例えば、正孔輸送層、発光層、電荷発生層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層が、この順に積層されて有機EL層13が形成される。つまり、発光層を複数備えた有機EL素子20を形成することができる。電荷発生層が隣り合う発光層の間に等電位面を形成することにより、駆動電圧は高くなる一方で流れる電流が小さくなり、優れた発光寿命を得ることができる。電荷発生層の材料としては、例えば、五酸化バナジウム(V)等が挙げられる。当該電荷発生層は、例えば、厚さ20nm程度にすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0175】
(有機EL素子20の配置)
本実施形態で用いる照明パネル10は、白色発光する有機EL素子20からなることを基本とする。ただし、有機EL照明装置1に調光性および調色性を持たせるために、互いに異なる波長の光を発する複数種類の有機EL素子20を用いても良い。
ここで、それぞれの有機EL素子20は、互いに同一の形状であっても良いし、互いに異なる形状であっても良い。例えば、異なる波長の光を発する有機EL素子20から構成される照明パネル10の場合、発光色ごとに有機EL素子20の長さまたは幅を変えても良い。この場合には、各発光ドーパントの発光効率等の特性を考慮して、任意の幅に設計することにより、消費電力、発光輝度および発光寿命の点で優れた有機EL照明装置1が実現できる。
【0176】
例えば、互いに異なる波長の光を発する3種類の有機EL素子20を用いる場合には、赤色発光有機EL素子(R)、緑色発光有機EL素子(G)、および青色発光有機EL素子(B)の有機EL素子20を用いることができる。RGBの有機EL素子20を1セットとして、図21に示すように、当該セットが第一基板17上に繰り返し配列されたレイアウトにしても良い。図21は、有機EL素子20の一配置例を示す図である。本図では、有機EL素子20のレイアウトをより分かりやすくするために、図を簡略化している。
【0177】
また、例えば、互いに異なる波長の光を発する2種類の有機EL素子20を用いる場合には、橙色発光有機EL素子と青色発光有機EL素子との有機EL素子20を用いることができる。ここで、1つの有機EL素子で複数色の光を発するために、マスクパターニング等の方法で1つの有機EL素子20を複数色に塗り分けても良い。これによれば、1つの有機EL素子20で有機EL照明装置1に調光性および調色性を持たせることができる。
【0178】
照明パネル10に複数色の有機EL素子20を配する場合には、各発光色の有機EL素子20を平行に並べる以外に、その他のレイアウトに配置しても良い。例えば、3種類(RGB)の有機EL素子20を用いる場合には、RGBの有機EL素子20を1セットとし、各セットにおいてRGBの有機EL素子20をL字型に配置しても良いし、放射状に配置しても良い。
【0179】
以上では、各有機EL素子20を並置する構成を示したが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、例えば、各色の発光層が積層されたタンデム構造の有機EL素子20であっても良い。
【0180】
なお、有機EL素子20では、支持基板11が第一基板17に接するように配置されていても良いし、支持基板11とは反対側の第二電極14が第一基板17に接するように配置されていても良い。有機EL層13は第一電極12と第二電極14に挟まれる様に配置されている。なお、有機EL素子20の第二電極14が第一基板17に接するように配置されている場合には、第二電極14が下部電極となり、第一電極12が上部電極となる。そのため、第一基板17上の導電配線9と有機EL素子20とを絶縁するための絶縁膜を設ける場合には、当該絶縁膜を第二電極14と第一基板17との間に設ける。また、有機EL素子20が保護層15を有している場合には、当該保護層15を絶縁膜として採用しても良いが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、保護層15と第一基板17との間に絶縁膜を別途設けても良い。
【0181】
(有機EL素子20の他の配置例)
以上では、第一基板17に有機EL素子20が配された構成を説明したが、特にこれに限定されず、例えば、第一基板17および第二基板18の両方に有機EL素子20が配置されていても良い。また、支持基板11と第一基板17とが接するように有機EL素子20が配されている構成を示したが、特にこれに限定されず、第二電極14側が第一基板17または第二基板18に接するような構成でも良い。これについて、図22〜図24を参照して説明する。
【0182】
図22は、第一基板17にボトムエミッション型の有機EL素子20を配し、第二基板18にトップエミッション型の有機EL素子20を配した有機EL照明装置1の断面を示す図である。図23は、第一基板17および第二基板18にボトムエミッション型の有機EL素子20を配した有機EL照明装置1の断面を示す図である。図24は、第一基板17にトップエミッション型の有機EL素子20を配した有機EL照明装置1の断面を示す図である。以上の図では、図を簡略化するために保護層15を図示していない。
【0183】
例えば、図22に示すように、ボトムエミッション型の有機EL素子20の支持基板11が第一基板17に接するように配置し、トップエミッション型の有機EL素子20の支持基板11が第二基板18に接するように配置しても良い。このとき、第一基板17には透明性を有する材料を用い、第二基板18には光反射性を有する材料を用いる。これによって、第一基板17に配された有機EL素子20からの光は第一基板17側から放出され、第二基板18に配された有機EL素子20からの光も第一基板17側から放出されることになる。また、第一基板17における有機EL素子20の配置位置と、第二基板18における有機EL素子20の配置位置とが重なり合わないようにすることが好ましい。これによれば、有機EL照明装置1の実質的な発光面積を増やすことができる。
【0184】
なお、図23に示すように、第二基板18には、ボトムエミッション型の有機EL素子20の第二電極14が接するように配置されていても良い。これによれば、第二基板18に配された有機EL素子20からの光は第一基板17側から放出される。
【0185】
また、以上では、第一基板17には、有機EL素子20の光出射面が第一基板17側に面するように配置されているが、例えば、図24に示すように、光出射面が第二基板18側に面するように配置しても良い。すなわち、トップエミッション型の有機EL素子20の支持基板11が第一基板17に接するように配置しても良い。この場合、有機EL素子20から放出された光は、光反射性を有する第二基板18によって反射され、その反射光が第一基板17側から放出されることになる。つまり、有機EL照明装置1を間接照明装置にすることができる。なお、第一基板17には、ボトムエミッション型の有機EL素子20の第二電極14が接するように配置しても良い。
【0186】
更には、図25に示すように、第一基板17および第二基板18の双方を透明性の材料で構成し、第一基板17側および第二基板18側の双方から有機EL素子20の光が放出されるようにしても良い。これによれば、両面発光性の有機EL照明装置1が得られる。この際、第一基板17および第二基板18には、ボトムエミッション型の有機EL素子20を配しているが、特にこれに限定されるわけではない。
【0187】
以上では、第一基板17および第二基板18を対向するように配置した構成を示したが、必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、3枚以上の基板によって、柱状、直方体状、または球体状等に構成された空間内に有機EL素子20が封止された構成でも良い。
【0188】
(有機EL素子20の製造方法)
以下では、本実施形態に係る有機EL照明装置1の製造方法について説明する。まず、有機EL素子20の製造方法について、図26を参照して説明する。図26(a)は、支持基板11を用意する工程を示す図である。図26(b)は、第一電極12を形成する工程を示す図である。図26(c)は、有機EL層13を形成する工程を示す図である。図26(d)は、第二電極14を形成する工程を示す図である。図26(e)は、保護層15を形成する工程を示す図である。図26(f)は、有機EL素子20を切り取る工程を示す図である。以下では、有機EL素子20の製造方法について、具体例を用いて説明するが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0189】
まず、図26(a)に示すように、支持基板11となるPETフィルム等のフィルムテープ11’を用意する。有機EL素子20の製造は、例えば、ドライエアー下のグローブボックス等、水分濃度が低い環境で行うことが好ましい。
【0190】
次に、図26(b)に示すように、スパッタ法を用いてITO膜(例えば、厚さ150nm)を成膜し、ITO膜の一部をレーザーアブレーションによってエッチングして第一電極12を形成する。そして、第一電極12の表面を超音波洗浄およびUV−オゾン洗浄によって洗浄する。超音波洗浄では、例えば、アセトン、またはイソプロピルアルコール(IPA)を洗浄液として10分間程度の洗浄を行う。また、UV−オゾン洗浄では、例えば、UV−オゾン洗浄機を用いて30分間程度の洗浄を行う。なお、支持基板11(フィルムテープ11’)を金属板等で形成する場合には、金属板表面に予めプラズマCVD処理等を施し、絶縁処理を行う。
【0191】
続いて、図26(c)に示すように、真空蒸着法によって有機EL層13を第一電極12上に形成する。具体的には、第一電極12上に、正孔注入層としてスターバーストアミンのm−MTDATA(例えば、厚さ30nm)を成膜する。また、正孔注入層上には、正孔輸送層(電子阻止層)としてTCTA(例えば、厚さ10nm)を成膜する。なお、膜厚は水晶振動子によって測定することが好ましい。
【0192】
次に、正孔輸送層上に、発光層として緑色発光層、青色発光層、および赤色発光層の順に積層する。これらの発光層は、2成分の共蒸着によって達成できる。緑色発光層は、例えば、CBP(ホスト材料)、およびIr(ppy)(緑色発光ドーパント)を、それぞれの蒸着速度比が0.92:0.08となるように制御して共蒸着する。例えば、膜厚は5nmである。
【0193】
また、青色発光層は、例えば、CBP(ホスト材料)、およびFIrpic(青色発光ドーパント)を、それぞれの蒸着速度比が0.92:0.08となるように制御して共蒸着する。例えば、膜厚は30nmである。
【0194】
同様に、赤色発光層は、例えば、赤色発光層の形成は、例えば、CBP(ホスト材料)、および(piq)Ir(acac)(赤色発光ドーパント)を、それぞれの蒸着速度比が0.92:0.08となるように制御して共蒸着する。例えば、膜厚は5nmである。
【0195】
続いて、発光層上に、正孔阻止層としてBCP(例えば、厚さ10nm)を成膜し、電子輸送層としてAlq(30nm)を成膜する。そして、電子輸送層上に、電子注入層としてLiF(0.5nm)を成膜する。
【0196】
次に、図26(d)に示すように、電子注入層上に、真空蒸着法によってアルミニウム膜(例えば、厚さ100nm)を成膜して第二電極14を形成する。
【0197】
その後、図26(e)に示すように、第二電極14上に、保護層15としてSiON膜(例えば、厚さ100nm)を成膜する。なお、以上の有機EL層13は、当該有機EL層13を構成する材料の少なくとも1種類の材料を真空条件下で蒸着するのと同時、あるいは蒸着した後に、熱処理または紫外線照射することが好ましい。これによれば、熱処理または紫外線照射によって、基板が加熱され、反応が促進し、(1)蒸着重合を完遂させることができ、なおかつ(2)重合度をコントロールすることができる。
さらに、熱処理によって、蒸着膜内の分子配向を制御することもできる。また、紫外線照射した場合には、紫外線照射した後に、熱処理を行うことがより好ましい。これによれば、紫外線照射によって基板が加熱され、反応が促進し、(1)蒸着重合を完遂させることができ、なおかつ(2)重合度をコントロールすることができる。そして、熱処理をその後に行うことによって、蒸着膜内の分子配向を制御することができる。さらに、紫外線照射時に、マスクを用いてパターンを転写し、紫外線照射後に硬化していない部分を除去すれば、パターン形成を行うことも可能である。
【0198】
最後に、図26(f)に示すように、フィルムテープ11’を所定の長さに分断して、有機EL素子20を1つ1つ切り分ける。
【0199】
複数色の有機EL素子20を用いる場合には、発光領域から有機EL素子20の端部までのマージンの長さを不均一にすることにより、各有機EL素子20を長軸方向にずらして配設した場合でも、各発光領域の位置を長軸方向に揃えることができる。
【0200】
(有機EL照明装置1の製造方法)
上述したように、本実施形態では、フィルムテープ11’上に複数の第一電極12を形成し、各第一電極12上に有機EL層13および第二電極14等を順に積層して形成している。有機EL層13および第二電極14等の形成は、ロールツウロール蒸着装置(リールツウリール蒸着装置)を用いている。これについて、図27を参照して説明する。
【0201】
図27(a)は、本実施形態に係る有機EL素子20を形成するロールツウロール蒸着装置を示す概略図である。図27(b)は、第一基板17上に有機EL素子20を配置した状態を示す図である。図27(c)は、第一基板17を覆うようにして第二基板18を配置し、照明パネル10を作製する工程を示す図である。図27(d)は、ヘッドボックス2とボトムレール4との間に、複数の照明パネル10が配置された状態を示す図である。
【0202】
複数の第一電極12が形成されたフィルムテープ11’を、図27(a)に示すように、ロールツウロール蒸着装置に設置する。当該ロールツウロール蒸着装置は、フィルムテープ11’を巻き掛けるための2つのロール22と、有機EL層13および第二電極14等を形成する複数の形成部23を備えている。
例えば、1m/secの定速でフィルムテープ11’が各形成部23を通過するように送り出す。これによって、フィルムテープ11’が各形成部23を通過する際に、当該形成部23によって第一電極12上に有機EL層13および第二電極14等が順に蒸着され、最終的には、フィルムテープ11’上に第一電極12、有機EL層13、および第二電極14が積層されたものが複数形成される。
【0203】
第一電極12、有機EL層13、および第二電極14が積層されたフィルムテープ11’をロール22に巻き取った後、ロール22に巻き取られたフィルムテープ11’を所定の長さに分断する。このようにして、複数の有機EL素子20を作製することができる。ここで、公知の検査方法によって、作製した有機EL素子20の検査を行い、不良品を取り除くことが好ましい。
【0204】
次に、図27(b)に示すように、第一基板17上に、作製した有機EL素子20を配置して、有機ELパネル10’を形成する。この際、第一基板17上には、マスクを用いた真空蒸着法、スパッタ法、フォトリソグラフィ技術等の方法を用いて、予め導電配線9を形成しておく。そして、例えば、無鉛ハンダ等によって形成した接続配線8を介して、第一基板17上に配置した有機EL素子20を導電配線9と接続する。
【0205】
続いて、図27(c)に示すように、有機EL素子20を配置した第一基板17を覆うようにして、第二基板18を第一基板17上に固定する。なお、第二基板18の固定には、例えば、UV硬化樹脂を用いることができる。当該UV硬化樹脂として、例えば、スリーボンド社製の30Y−332等のエポキシ樹脂等が適用できる。
【0206】
最後に、図27(d)に示すように、ヘッドボックス2とボトムレール4との間に、複数の照明パネル10を配置する。具体的には、ヘッドボックス2から伸びたラダーコード6の上記第2のコード上に照明パネル10を載せ、当該ラダーコード6に接続された分岐配線5と導電配線9とを接続配線8(図4)を介して接続する。その後、昇降コード3を照明パネル短辺近傍に配する。このようにして、有機EL照明装置1を作製することができる。
【0207】
なお、上述したように、本実施形態においてはロールツウロール蒸着装置を用いて有機EL素子20を作製することが好ましい。これは、ロールツウロール蒸着装置では、装置が大型化せず、かつ材料の利用効率が優れているためである。しかしながら、特にこれに限定されるわけではなく、他の装置を用いて有機EL素子20を作製しても良い。
【0208】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態における有機EL照明装置1は、ラダーコード6が導電性を有しており、照明パネル10に設けられた有機EL素子の端子に対して電圧もしくは電流を供給することができるように構成されている。従来では、各照明パネルを支えるラダーコードと、各照明パネルに電圧を印加する配線コードとが別々に設けられていた。そのため、照明装置を構成する配線が照明パネルの発光面からみて、正面及び側面等に配され、照明光を遮断するという、不利な効果を生み出していた。しかしながら、本実施形態に係る有機EL照明装置1では、複数の照明パネルを支え、これらの傾きを変えるためのラダーコードが、各照明パネルに電圧もしくは電流を供給する配線機能をも具備している。これによって、ラダーコードと、各照明パネルに電圧を印加する配線コードとを別々に構成する従来の技術に比べて、電圧を印加する配線コードを省略することができ、その結果配線コードを別途設けることによる照明パネルの発光の遮断がなく、照明装置を設置した部屋の照度を効率良く高めることができる。
【0209】
また、本実施形態の構成によれば、ラダーコード6が、複数の照明パネル10における長軸方向に沿った端部に在って、且つ、当該長軸方向に沿って所定の間隔を有して複数設けられている。そのため、ラダーコード6(配線)と照明パネル10の端子との間の距離を従来の技術に比べて短く構成することができる。したがって、ラダーコード(配線)と照明パネルの端子との間の距離が離れている場合に発生する電圧降下現象を回避することができ、その結果、発光斑の無い、良好な照明を実現することができる。
また、上記の効果と共に、小型の有機EL素子を複数搭載した照明パネルを複数配置することによって、大面積の集積型照明装置が実現され、製造コストも低く抑えることができる。
【0210】
なお、本実施形態では、ラダーコード6が、二本一組の第1のコードと、この2本の第1のコードを橋渡しする第2のコードと、分岐配線5とを備えた構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該第2のコードを設けず、分岐配線5が照明パネル10に電気的に接続されているとともに、照明パネル10に物理的にも接続されていて照明パネル10を支持するように構成されていても良い。
【0211】
(代替形態1)
以上で説明した本実施形態では、照明パネル10(第一基板17および第二基板18)には空孔が一切設けられていない。しかしながら、必ずしもこれに限定されるわけではなく、照明パネル10(第一基板17および第二基板18)に複数の空孔が設けられており、当該空孔内を昇降コード3が通るように構成されていても良い。図28は、この形態について示した図である。
【0212】
この形態では、図28に示すように、照明パネル10(第一基板17および第二基板18)の長軸方向の両端付近に、空孔(ガイド部)16が設けられており、1本の昇降コード3が各照明パネル10の一方側の空孔16を通っており、別の1本の昇降コード3が各照明パネル10の他方側の空孔16を通っている。昇降コード3は空孔16内を通っているだけで、照明パネル10と昇降コード3とが互いを固定しているわけではない。しかしながら、それぞれの位置関係が定まるため、安定した巻き取りが可能となる。
【0213】
なお、この空孔16は、昇降コード3と照明パネル10との間を固定化せずに巻き取りを安定化する機構としての働きを具備するために設けたものであり、そのような働きをすれば空孔という形式に捕らわれない。他のガイド部としては、照明パネルの端部に設けた溝、切り込み、及び、照明パネル端部より出たフック等が挙げられる。
【0214】
ここで、空孔、溝、または切り込みであれば、その配設位置は、照明パネル10の端辺(縁)から内側に10mm以内の範囲内であることが好ましく、フックであれば、照明パネル10の端辺(縁)から外側に10mm以内の範囲内に設けられていることが好ましい。これにより、照明パネル10中において有機EL素子20の発光部分の面積を広く取ることができ、また、必要な照度を稼ぐことが容易となる。
【0215】
また、空孔16が設けられている場合には、第一基板17と第二基板18とを接続する際に、この空孔16を位置決め部として用いて、第一基板17に設けた空孔16と、第二基板18に設けた空孔16とが一致するようにして第一基板17と第二基板18との位置を決めることができる。なお、溝、切り込み、フックなどが形成されている場合でも同様に上下基板の該当部が一致するよう配置して照明パネル10を形成することができる。
【0216】
なお、図28では、照明パネル10の長軸方向の両端付近に設けた構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、有機EL素子20の形成に支障がない位置に設ければ良い。従って、上記両端付近に加えて、例えば、照明パネル10の中央部、すなわち、2つの有機EL素子20と有機EL素子20との間にも設けても良く、あるいは、1本の昇降コード3のみを設ける構成の場合には、この中央部のみに空孔を設けて、これに当該昇降コード3を通しても良い。
(本代替形態1の作用効果)
以上のように、本代替形態1によれば、照明パネル10と昇降コード3との位置関係が定まるため、安定した巻き取りが可能となる。さらに、巻き取りコードを短辺から内側、又は外側10mm以内に設けることにより、有機EL素子20の発光部分の面積を広く取ることができ、また、必要な照度を稼ぐことが容易となる。また、第一基板17と第二基板18との位置決めが容易になる。
【0217】
(代替形態2)
本実施形態に設けられた照明パネル10の第一基板17および第二基板18は、湾曲できる構成としているが、これに更に、第一基板17および第二基板18の湾曲率を適宜調整することが調整手段を設けた構成であっても良い。
【0218】
図28は、調整手段を設けた態様を説明する図であり、図29は、照明パネル10を、その短辺側からみた図である。なお、本実施形態の構成に基づけば図29に示す3つの照明パネル10のそれぞれの中心部分に昇降コード3が配設されているはずであるが、説明の便宜上、昇降コード3は図示を省略する。また、図30は、1つの照明パネルとその近傍の構成だけを抜粋して示したものであり、図29に破線で囲みを設けた箇所に相当する。
【0219】
本形態では、ラダーコード6の第2の部分と、照明パネル10の長辺側の端部であり、ラダーコード6の第2の部分と接する部分を固定してある。また、照明パネル10の片面側に、照明パネル10の長軸方向に沿った中心軸部分に沿って調整手段30が配設されている。より具体的には、照明パネル10の片面と、照明パネル10をその短軸方向に横断するラダーコード6との間に配置されている。
【0220】
調整手段30の、照明パネル10の上記短軸の方向に沿った長さは、照明パネル10の上記短軸の長さの10分の1〜2分の1であれば、後述する仕組みによって照明パネル10を湾曲させることができるため好ましい。10分の1を下回ると充分にスラットを加圧することができず、2分の1を上回ると照明パネル10の中心部分のみを加圧することができないため照明パネル10を湾曲させることが困難になる虞がある。
調整手段30は、短軸の方向に沿って照明パネル10を横断するラダーコード6に固定されていれば良い。しかしながら、これに限定されるものではなく、照明パネル10の片面に固定されていてもよく、ラダーコード6および照明パネル10の片面の両方に固定されていても良い。
【0221】
以下、本実施形態の照明パネル10が、図29のように照明パネル10の表面を水平にしたときに、上方に向いて光が出射されるように構成されているものとして説明する。
【0222】
図29の状態の場合、ラダーコード6が撓んでおり、調整手段30は照明パネル10に対して押圧を加えていない。
そこで図29の状態から、照明パネル10の上記表面角度を変化させるためにラダーコード6を動かすと、例えば図30に示すように、照明パネル10の光出射面側が紙面右側に向き、紙面右側に向けて光を出射することができる。この傾斜状態において、調整手段30は、照明パネル10における光出射面側とは反対側(背面側と称する)に在って、近接するラダーコード6の張力を受けて、照明パネル10の背面側から照明パネル10を光出射面側に向けて加圧する。
【0223】
調整手段30から押圧を受けた照明パネル10は、調整手段30に対向する領域、すなわち照明パネル10の上記中心軸部分のみが押圧方向に向けて突出し図30に示すように湾曲した状態となる。これにより、この照明パネル10から出射される光は、図29に示すフラットな照明パネル10から出射される光に比べて、拡散光となる。
このように拡散光とすることで室内を広く照明することができる。
【0224】
調整手段30の材料としては、照明パネル10を加圧できるものであれば特に有機・無機材料に限定されないが、好適にはプラスチック材料が好ましい。プラスチック材料としては公知の材料を使用でき、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどが挙げられる。
なお、後述する変形例において説明するボトムエミッション型のスラットを用いる場合には、照明パネル10における調整手段30側から光が出射されるので、その場合には調整手段30として光透過性を有する材料を用いる。また調整手段30の形状は、照明パネル10をその短軸方向に横断するラダーコード6に接着されていれば特に限定されない。
【0225】
このように、調整手段30を備えることにより、可塑性を有する照明パネル10は、照明パネル10の回動に応じて、湾曲する。すなわち、照明パネル形状を短軸方向に沿って任意の曲率半径に可逆的に変化させることができる。照明パネルを曲率半径に可逆的に変化させることで、照明パネルに配設した有機EL素子から出射される光を拡散させたり、集光させたりすることができる。
【0226】
上述のように調整手段30を設けることによって、有機EL照明装置1の光出射面側を凸状に湾曲させた場合には、有機EL照明装置1の光を容易に発散させることができ、当該有機EL照明装置1を設置した部屋、または空間を広範囲に照らすことが可能となり、一方、有機EL照明装置1の光出射面側を凹状に湾曲させた場合には、有機EL照明装置1の光を容易に集光させることができ、当該有機EL照明装置1の設置位置からほど近い、点または面等を集中的に照らすことが可能となる。
更に、有機EL照明装置1自体のデザインの幅が広がる。
【0227】
(本代替形態2の作用効果)
以上のように、本代替形態2によれば、この照明パネル10から出射される光は、曲率半径を可逆的に変化させることで、図29に示すフラットな照明パネル10から出射される光に比べて、拡散させたり、集光させたりすることができる。これにより、拡散光とすることで室内を広く照明することができ、集光することにより、設置位置からほど近い、点または面等を集中的に照らすことが可能となる。更に、有機EL照明装置1自体のデザインの幅が広がる。
【0228】
(代替形態3)
本実施形態は有機EL照明装置について説明したが、例えば、無機EL照明装置、プラズマ照明、または電界放出型ランプ(FEL;Field Emission Lamp)等の照明装置であっても良い。また、本実施形態では、有機EL照明装置1を照明装置として用いる場合を示したが、例えば、有機薄膜太陽電池または有機トランジスタ(有機FET)等として用いても良い。これらの場合でも、各パネルに電圧もしくは電流を供給する配線機能具備し、また、余計な配線を増やさずに電力供給元の配線を多く短い間隔で敷設したことにより、電圧降下現象を防ぐことができ、均一発光照明を提供できる。また、当該配線コードが照明パネルの発する光を遮断することなく、照明装置を設置した部屋の照度を効率良く高めることもできる。
【実施例】
【0229】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。
【0230】
〔実施例1〕
長さ200mm、および幅50mmの帯状のRGB積層型白色有機EL素子を採用した有機EL照明装置を作製した。
具体的には、本実施例1では、図4に示した第一基板17および第二基板18として、縦1000mm、横70mm、および厚さ0.7mmのガラス基板を用いた。第一基板17の表面には、真空度6×10−4Paの下で厚さ100nmの導電配線の形成を行った。当該第一基板17上に2個の有機EL素子20を配置し、第一基板17の導電配線9と有 機EL素子20とを接続させた。
この際、有機EL素子は、仮に輝度の斑が生じてもそれを認識し難くなるよう、図8のパターンに有機EL素子を配した。
その後、第一基板17と第二基板18とを樹脂19を介して貼りあわせ、照明パネル10を作製した。
【0231】
作製した25個の照明パネルを、ヘッドボックスとボトムレールとを繋ぐラダーコード6−2上に載せ、各照明パネルの短辺側付近に昇降コードを配置して、その後ラダーコードと照明パネルを接続した。具体的には、照明パネルの導電配線と、ラダーコード6に接続された分岐配線とを、無鉛ハンダによって接続した。このようにして有機EL照明装置を得た。照明パネルを傾けて垂直になる(有機EL照明装置が全開になる)ようにすると、上下に並ぶ2つの照明パネルは10mm重なる。そのため、得られた有機EL照明装置の高さは、1510mm(幅60mm×25枚+端の重ならない部分10mm)となる。ここで、ヘッドボックス(幅40mm)およびボトムレール(幅10mm)を考慮すると、有機EL照明装置の高さは、1550mmとなる。
【0232】
得られた有機EL照明装置の色度を株式会社トプコン製の色彩輝度計BM−5Aを用いて測定したところ、色度は(0.33,0.33)であった。また、色温度を大塚電子株式会社製の分光放射輝度計MCPD−7000によって測定したところ、色温度は5600Kの昼白色発光であった。そして、上記輝度計によって測定した発光輝度は、16V時において50000cd/mであった。また、端子近傍と端子から最も離れた箇所を含めた全体の輝度比は、ピーク輝度比で2.3%以内であり、良好な発光均質性が得られた。
【0233】
〔実施例2〕
有機ELパネル10’上に、有機EL素子20を図9のパターンに配したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.33,0.33)で、色温度は5600Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で2.1%以内であり、良好な発光の均質性が得られた。
【0234】
〔実施例3〕
有機ELパネル10’上に、有機EL素子20を図10のパターンに配したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.33,0.33)で、色温度は5600Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で2.1%以内であり、良好な発光の均質性が得られた。
【0235】
〔実施例4〕
有機ELパネル10’上に、有機EL素子20を図11のパターンに配したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.33,0.33)で、色温度は5650Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で1.9%以内であり、更に良好な発光の均質性が得られた。
【0236】
〔実施例5〕
有機ELパネル10’上に、有機EL素子20を図12のパターンに配したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.33,0.33)で、色温度は5650Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で1.9%以内であり、更に良好な発光の均質性が得られた。
【0237】
〔実施例6〕
有機ELパネルの光取り出し側に拡散樹脂を充填したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.34,0.33)で、色温度は5600Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で1.5%以内であり、更に良好な発光の均質性が得られた。
【0238】
〔比較例1〕
有機ELパネル10’上に、有機EL素子20を図15のパターンに配したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.33,0.33)で、色温度は5600Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で4.5%以内であり、発光斑が認識される程度に均質性にばらつきが有った。
【0239】
〔比較例2〕
有機ELパネル10’上に、有機EL素子20を図16のパターンに配したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.33,0.33)で、色温度は5600Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で4.4%以内であり、発光斑が認識される程度に均質性にばらつきが有った。
【0240】
〔比較例3〕
有機ELパネル10’上に、有機EL素子20を図17のパターンに配したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.33,0.33)で、色温度は5600Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で4.4%以内であり、発光斑が認識される程度に均質性にばらつきが有った。
【0241】
〔比較例4〕
有機ELパネル10’上に、有機EL素子20を図18のパターンに配したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.33,0.33)で、色温度は5650Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で4.2%以内であり、発光斑が認識される程度に均質性にばらつきが有った。
【0242】
〔比較例5〕
有機ELパネル10’上に、有機EL素子20を図19のパターンに配したことを除いては、実施例1と全く同じ製造方法で有機EL照明装置を作製した。
得られた有機EL照明装置の色度を測定したところ、端子近傍や、端子から最も離れた箇所など発光位置に因らず、色度は(0.33,0.33)で、色温度は5650Kの昼白色発光であった。また、発光輝度も発光位置に因らず、16V時においてほぼ50000cd/mであり、全体のピーク輝度比で4.2%以内であり、発光斑が認識される程度に均質性にばらつきが有った。
【0243】
以上の各実施例で示したように、上記有機EL照明装置は、昇降コードを照明パネル中央よりパネル外周付近に移動し、且つ、ラダーコードに配線機能を具備させたことによって、余計な配線を増やさずに電力供給元の配線を多く短い間隔で敷設することができ、電圧降下現象を防ぐことができた。また、仮に発光斑が生じた場合でも、実施例1〜5のように複数の有機EL素子のうち一つの有機EL素子の電圧降下により輝度が低下している箇所と、それに隣接する有機EL素子の同じく輝度低下している箇所が、できるだけ接しないように配置することによって、通常通り高い輝度で発光している箇所に平均的に取り囲まれるようにした場合、発光斑を意識せず配した比較例1〜5に比べ、全体のピーク輝度比でより小さい範囲に収まった。何より使用者が発光の斑が生じていることを認識しなくなり、均一に発光しているように認識されたことが最大の成果として挙げられる。
【0244】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0245】
本発明に係る照明装置は、オフィス照明、店舗照明、または施設照明等の各種照明機器として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0246】
1 有機EL照明装置(照明装置)
2 ヘッドボックス
3 昇降コード(巻き取りコード)
4 ボトムレール
5 分岐配線
6 ラダーコード(支持コード)
6−2 ラダーコード
7 ロッド(器具)
8 接続配線
9 導電配線
10 照明パネル
10’ 有機ELパネル
11 支持基板
11’ フィルムテープ
12 第一電極
13 有機EL層
14 第二電極
15 保護層
16 空孔(ガイド部)
17 第一基板
18 第二基板
19 樹脂
20 有機EL素子(発光素子)
201 陽極(端子)
202 陰極(端子)
21 グリップ
22 ロール
23 形成部
100 ブラインド装置
102 スラット
103 太陽電池
104 シート状ポリマー二次電池
105 シート状面発光体
106 電線
107 スイッチ
108 ラダーコード
109 巻き上げ紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が設けられた発光素子であって当該電極に電極端子を介して電圧もしくは電流が供給されることによって発光する発光素子が複数並べられた照明パネルと、
間隔を空けて積層されている複数の上記照明パネルを支え、導電性を有する支持コードと、を備え、
上記電極端子は、上記支持コードの導電部分と電気的に接続しており、
上記照明パネルは、隣り合った発光素子の発光斑を相殺するように、上記発光素子が複数並べられていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記発光素子は、陰極と、上記支持コードから陰極より高い電圧が印加される、もしくは、上記支持コードから陰極へ流れる電流が供給される、陽極と、が設けられており、
上記照明パネルは、陽極と陰極とを交互させるように、上記発光素子が複数並べられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記発光素子は、上記照明パネルの短軸方向に離れて、陽極と陰極とが設けられており、
上記照明パネルは、上記照明パネルの長軸方向に陽極と陰極とを交互させるように、上記発光素子が複数並べられていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
上記発光素子は、上記照明パネルの長軸方向に離れて、陽極と陰極とが設けられており、
上記照明パネルは、上記照明パネルの長軸方向に陽極と陰極とを交互させるように、上記発光素子が複数並べられていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
上記発光素子の陽極に接続している支持コードと、当該発光素子と隣り合った発光素子の陰極に接続している支持コードが、束ねられていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
上記発光素子は、上記照明パネルの長軸方向と、短軸方向に平行な辺を持ち、前記素子の、対角方向の角部に陰極と陽極がそれぞれ設けられており、
上記照明パネルは、上記照明パネルの長軸方向に陽極と陰極とを交互させるように、上記発光素子が複数並べられていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項7】
巻き取られることで少なくとも1つの照明パネルを積層方向に移動させて、上記照明装置の上記積層方向の長さを調整する巻き取りコードを備えることを特徴とする請求項1から6までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
上記当該巻き取りコードを動かして、上記配列している照明パネルの長さを調整する器具を備え、
上記器具が、上記巻き取りコードを巻き取る、または繰り出すことによって、上記複数の照明パネルを重ねてまとめるようにして移動させ、且つ、まとめた状態から互いに離すようにして移動させることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
上記支持コードに繋がっていて、当該支持コードを動かして、上記配列している照明パネルの傾きを調整する器具を有し、
上記器具が、上記支持コードを巻き取る、または繰り出すことによって、上記複数の照明パネルをまとめて傾けることができ、且つ、傾いた状態から水平や垂直方向に戻すことができることを特徴とする請求項7または8に記載の照明装置。
【請求項10】
上記支持コードは、上記配列方向に沿ってのびており、照明パネルにおける上記長軸方向に沿った端辺において所定の間隔を有して複数設けられていることを特徴とする請求項7から9までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
上記支持コードは、上記発光素子の端子と接続する分岐配線を有しており、
上記支持コードと上記分岐配線との接点は固定されていることを特徴とする請求項7から10までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
上記巻き取りコードが、帯状の上記複数の照明パネル長軸方向の端部側に配設されていることを特徴とする請求項7から11までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
各上記照明パネルには、上記支持コードをガイドする支持コード用のガイド部、および、上記巻き取りコードをガイドする巻き取りコード用ガイド部のうちの何れか一方のガイド部が設けられていることを特徴とする請求項7から12までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項14】
上記ガイド部は、各上記照明パネルにおける上記発光素子の形成領域の外に設けられていることを特徴とする請求項13に記載の照明装置。
【請求項15】
上記ガイド部は、上記照明パネルの縁部から内側10mm以内に設けられた空孔、溝、切り込み、または外側10mm以内に設けられたフックであることを特徴とする請求項13または14に記載の照明装置。
【請求項16】
上記発光素子は、可撓性の基板を備えていることを特徴とする請求項1から15までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項17】
上記照明パネルは、短軸方向に沿って湾曲していることを特徴とする請求項1から16までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項18】
上記照明パネルは、上記発光素子の光出射面側を凸状にして湾曲していることを特徴とする請求項1から17までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項19】
上記照明パネルは、上記発光素子の光出射面側を凹状にして湾曲していることを特徴とする請求項1から17までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項20】
上記照明パネルは短軸方向に沿って湾曲可能な構成となっており、当該照明パネルの当該湾曲率を調整する調整手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から19までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項21】
上記照明パネルの短軸方向に沿って、上記発光素子が、当該発光素子の光出射面を凸状にして湾曲していることを特徴とする請求項1から20までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項22】
上記照明パネルの短軸方向に沿って、上記発光素子が、当該発光素子の光出射面を凹状にして湾曲していることを特徴とする請求項1から20までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項23】
上記照明パネルの短軸方向に沿って上記発光素子は湾曲可能であり、当該発光素子の湾曲率を調整する調整手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から22までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項24】
上記複数の照明パネル同士をその長軸方向を水平に揃えて配列しており、
上記複数の照明パネルは、鉛直方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1から23までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項25】
上記複数の照明パネル同士をその長軸方向を鉛直に揃えて配列しており、
上記複数の照明パネルは、水平方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1から24までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項26】
上記発光素子は、複数の発光色を有しており、当該発光色ごとに、独立して駆動することができるように構成されていることを特徴とする請求項1から25までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項27】
上記電極は、陽極および陰極であり、当該陽極および陰極のうち、光の出射面とは反対側に位置する電極は、光反射性の材料を含んでなることを特徴とする請求項1から26までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項28】
上記電極は、陽極および陰極であり、当該陽極および陰極のうちの少なくとも一方は透明電極であることを特徴としていることを特徴とする請求項1から27までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項29】
上記照明パネルは、対向する1対の基板の間に、上記発光素子を配設した構造となっており、
上記1対の基板のうち、光の出射側とは反対側に位置する基板は、光反射性の材料、または光反射性の表面を有する材料から構成されており、
上記1対の基板の周囲の間隙部分は、光反射性の材料、または光反射性の表面を有する材料で封じられていることを特徴とする請求項1から28までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項30】
上記発光素子は、その光出射面側に、光拡散性を有する樹脂層を有していることを特徴とする請求項1から29までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項31】
上記発光素子は、その光出射面側に、光拡散性を有する光拡散板を有していることを特徴とする請求項1から30までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項32】
上記1対の基板のうち、光出射面側の基板が、光拡散性の材料で構成されていることを特徴とする請求項29に記載の照明装置。
【請求項33】
上記発光素子は、その光出射面側に、波長変換層を有していることを特徴とする請求項1から32までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項34】
上記発光素子は、その光出射面側に、円偏光板を有していることを特徴とする請求項1から33までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項35】
上記発光素子は、その光出射面側に、カラーフィルタを有していることを特徴とする請求項1から34までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項36】
上記発光素子は、上記電極として陽極および陰極を有している、有機エレクトロルミネッセンス素子であり、
上記有機エレクトロルミネッセンス素子は、更に、電荷発生層を有していることを特徴とする請求項1から35までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項37】
上記発光素子は、上記電極として陽極および陰極を有している、有機エレクトロルミネッセンス素子であり、
上記陰極は、マグネシウムと銀とを1対9の割合で共蒸着して形成されてなり、
上記有機エレクトロルミネッセンス素子は、フッ化リチウムからなる電子注入層を有していることを特徴とする請求項1から36までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項38】
上記発光素子は、上記電極として陽極および陰極を有している、有機エレクトロルミネッセンス素子であり、
上記有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光領域を含む有機層を有しており、当該有機層は、両電荷輸送性材料で構成されていることを特徴とする請求項1から37までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項39】
上記発光素子は、上記電極として陽極および陰極を有している、有機エレクトロルミネッセンス素子であり、
上記発光領域は、上記両電荷輸送性材料に発光ドーパントをドープして形成されており、
上記陽極および上記発光領域の間に、上記両電荷輸送性材料と電子阻止性材料とによって形成された電子阻止領域と、
上記陰極および上記発光領域の間に、上記両電荷輸送性材料と正孔阻止性材料とによって形成された正孔阻止領域と、
をさらに有しており、
上記電子阻止領域を構成する上記両電荷輸送性材料は、上記発光領域を構成する両電荷輸送性材料の最低空軌道よりも高い最低空軌道を有しているという第一条件、および上記正孔阻止領域を構成する上記両電荷輸送性材料は、上記発光領域を構成する両電荷輸送性材料の最高被占軌道よりも浅い最高被占軌道を有しているという第二条件
のうち、少なくとも何れかの条件を満たしていることを特徴とする請求項38に記載の照明装置。
【請求項40】
上記巻き取りコードは、上記発光素子に設けられた上記電極に対して電圧もしくは電流を供給することができるように構成されていることを特徴とする請求項1から39までの何れか1項に記載の照明装置。
【請求項41】
上記巻き取りコードは、上記発光素子の電極と接続する分岐配線を有しており、当該分岐配線の分岐起点は固定されていることを特徴とする請求項40に記載の照明装置。
【請求項42】
上記支持コードと上記分岐配線との接点は可動であることを特徴とする請求項1から40に記載の照明装置。
【請求項43】
電極が設けられた発光素子であって当該電極端子に電圧もしくは電流が供給されることによって発光する発光素子が複数並べられた照明パネルと、
間隔を空けて積層されている複数の上記照明パネルを支え、導電性を有する支持コードと、を備えた照明装置の製造方法であって、
隣り合った発光素子の発光斑を相殺するように、上記発光素子が複数並べられた照明パネルを形成する照明パネル形成工程と、
上記支持コードが上記電極端子に対して電圧もしくは電流を供給することができるように、導電性を有する支持コードを準備し、当該支持コードの導電部分と上記発光素子の電極とを電気的に接続する接続工程とを含むことを特徴とする照明装置の製造方法。
【請求項44】
上記照明パネル形成工程には、少なくとも陽極、発光領域を含む有機層、および陰極をこの順で基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を上記発光素子として形成する有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程が含まれており、
有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子をロールツウロール法によって形成することを特徴とする請求項43に記載の照明装置の製造方法。
【請求項45】
上記照明パネル形成工程には、少なくとも陽極、発光領域を含む有機層、および陰極をこの順で基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を上記発光素子として形成する有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程が含まれており、
上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、両電荷輸送性材料に発光ドーパントをドープして上記発光領域を形成し、上記陽極および上記発光領域の間に、上記両電荷輸送性材料と電子阻止性材料とによって電子阻止領域を形成し、上記陰極および上記発光領域の間に、上記両電荷輸送性材料と正孔阻止性材料とによって正孔阻止領域を形成し、当該電子阻止領域および当該正孔阻止領域のうち、少なくとも何れか一方を蒸着重合法によって形成することを特徴とする請求項43または44に記載の照明装置の製造方法。
【請求項46】
上記照明パネル形成工程には、少なくとも陽極、発光領域を含む有機層、および陰極をこの順で基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を上記発光素子として形成する有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程が含まれており、
上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、上記有機層を構成する材料の少なくとも1種類の材料を真空条件下で蒸着するのと同時に、あるいは蒸着した後に、熱処理を行うことを特徴とする請求項43に記載の照明装置の製造方法。
【請求項47】
上記照明パネル形成工程には、少なくとも陽極、発光領域を含む有機層、および陰極をこの順で基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を上記発光素子として形成する有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程が含まれており、
上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、上記有機層を構成する材料の少なくとも1種類の材料を真空条件下で蒸着するのと同時に、あるいは蒸着した後に、紫外線を照射することを特徴とする請求項43に記載の照明装置の製造方法。
【請求項48】
上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、上記紫外線を照射した後に、熱処理を行うことを特徴とする請求項47に記載の照明装置の製造方法。
【請求項49】
上記有機エレクトロルミネッセンス素子形成工程では、上記紫外線を照射する時に、マスクを用いてパターン形成することを特徴とする請求項47に記載の照明装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−99319(P2012−99319A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245503(P2010−245503)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】