説明

照明装置およびこれを用いた照明装置付屋根構造体

【課題】光遮蔽部の下方を明るくでき、昼間でも開放感を得ることができる照明装置およびこれを用いた照明装置付屋根構造体を提供する。
【解決手段】光遮蔽部(屋根3等)の上方部から端部を覆って下方部まで回りこむように構成された導光板10と、光遮蔽部の端部に対向する導光板の外側端面に設けられた反射手段30とを備えており、太陽光を、導光板10内を進行させつつ反射手段30で下側へ反射させて、光遮蔽部の上方から端部を回りこむように下方へと案内して、光遮蔽部の下方を明るくするように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置およびこれを用いた照明装置付屋根構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バス停留所やタクシー乗り場などの待合スペースや、カーポートなどに用いられる屋根構造体としては、光遮蔽性の屋根面を備えたものが古くから多く採用されている。また、近年では、光透過性板材と金属形材からなる光透過性板材の枠材とを組み合わせたものが広く普及しつつある。この屋根構造体は、光透過性板材に着色されたポリカーボネートが一般的に使用されており、上方の景色を眺めることができ、快適な環境が得られる。
【0003】
しかし、バス停留所やタクシー乗り場やカーポートでは、夜間に照明が要求される場合があるが、駅から離れた場所に設置されているバス停留所やタクシー乗り場、あるいは近隣家屋から離れたカーポートなどのように、周辺に照明がなく特に照明が必要とされる場所では、電源を確保することが困難である。よって、夜間に快適な照明を得ることができない。
【0004】
そこで、電源の確保が困難な場所でも夜間の照明が確保できるように、太陽エネルギーを利用した照明装置を備えた屋根構造体が開発されてきた。特に商用電力を得ることが困難な場所、例えば、カーポート、倉庫、物置などを一時的に明るくする照明装置付の屋根構造体が開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの照明装置は、ソーラーパネルとバッテリーと蛍光灯とを備えており、昼間にソーラーパネルによって発電を行ってバッテリーに蓄電することで、夜間の照明を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−113255号公報
【特許文献2】特開2007−154509号公報
【特許文献3】特開2007−317360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の屋根構造体では、屋根面が光遮蔽性のものである場合や、ソーラーパネルが屋根面を覆って設けられている場合では、日中であっても、屋根面の下方には太陽光が差し込まず、天井面がうす暗くなってしまうので、開放感が得られず、利用者に閉塞感を与えてしまう問題があった。
【0007】
そこで、本発明は前記の問題を解決するために案出されたものであって、光遮蔽部の下方を明るくでき、昼間でも開放感を得ることができる照明装置およびこれを用いた照明装置付屋根構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、光遮蔽部の上方部から端部を覆って下方部まで回りこむように構成された導光板と、前記光遮蔽部の端部に対向する前記導光板の外側端面に設けられた反射手段とを備えており、太陽光を、前記導光板内を進行させつつ前記反射手段で下側へ反射させて、前記光遮蔽部の上方から端部を回りこむように下方へと案内して、前記光遮蔽部の下方を明るくするように構成したことを特徴とする照明装置である。
【0009】
このような構成によれば、屋根面が光遮蔽性のものである場合やソーラーパネルが屋根面を覆って設けられている場合であっても、太陽光を光遮蔽部の下方へ回り込ませることで光遮蔽部の下方を明るくでき、開放感を得ることができる。
【0010】
そして、本発明は、前記光遮蔽部が、屋根にて構成されており、前記導光板が、前記屋根の先端部を覆うように取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、既存の光遮蔽性の屋根に対してでも、本発明の照明装置を取り付けることによって、屋根の下方を明るくでき、開放感を得ることができる。
【0012】
また、本発明は、前記導光板が、前記光遮蔽部の上面に沿う上板部と、前記光遮蔽部の下面に沿う下板部と、前記上板部と前記下板部とを連結する連結部とを備えており、前記導光板の上板部に入射した太陽光は、前記導光板内を反射しながら前記下板部まで進み、この下板部が照明面を構成することを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、太陽光を上板部で集光して導光板内で連結部を介して下板部まで効率的に伝達させることで、光遮蔽部の下面を照らすことができるので、光遮蔽部の下方を明るくできる。
【0014】
さらに、本発明は、前記反射手段が、反射シートを前記導光板の前記外側端面に設置して構成されていることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、反射シートを導光板の端面に貼り付けるだけで反射手段を形成でき、製作工程が容易になる。
【0016】
また、本発明は、前記反射シートが、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを積層させてなるラミネートフィルムにて構成されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、反射シートの導光板の端部への設置が容易に行えるとともに、光の反射率を高めることができる。
【0018】
さらに、本発明は、前記導光板の少なくとも前記下板部が、その内部に蛍光体または色素を含有していることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、光遮蔽部の下方の照度を高めることができる。
【0020】
また、本発明は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーと、照明用光源とを、さらに備えたことを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、ソーラーパネルで太陽エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えているので、夜間においても照明用光源によって快適な照明を得ることができる。
【0022】
さらに、本発明は、前記ソーラーパネルが、前記導光板とは別体で構成され、前記屋根の上面に設置されていることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、ソーラーパネルの面積を大きく確保することができ、十分な電気エネルギーを得ることができる。
【0024】
また、本発明は、前記照明用光源が、発光ダイオードにて構成されていることを特徴とする。
【0025】
このような構成によれば、少ない消費電量で明るい照明を得られることができるとともに、照明用光源の小型化が達成される。
【0026】
さらに、本発明は、前記照明用光源が、前記導光板の前記下板部の先端面にその長手方向に沿って所定の間隔を隔てて配設されていることを特徴とする。
【0027】
このような構成によれば、光遮蔽部の下部をムラ無く均一に明るくすることができる。
【0028】
また、本発明は、前記光遮蔽部が、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルにて構成されており、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーと、照明用光源とを、さらに備え、前記導光板が、光透過性を有するとともに、前記ソーラーパネルの上面を覆う上板部と、前記ソーラーパネルの下面を覆う下板部と、前記ソーラーパネルの端部を覆うとともに前記上板部と前記下板部とを繋ぐ連結部とを備えて構成され、前記反射手段が、前記連結部の外側端面に設けられ、前記導光板の前記下板部の下面が照明面を構成することを特徴とする。
【0029】
このような構成によれば、ソーラーパネルが屋根面を覆って太陽光を遮る場合であっても、昼間においては、太陽光をソーラーパネルの下方へ回り込ませることで、ソーラーパネルの下方を明るくでき、開放感を得ることができるとともに、夜間においても、照明用光源によって快適な照明を得ることができる。
【0030】
さらに、本発明は、前記導光板が、前記上板部と前記下板部と前記連結部とが一体に形成されて、筒状を呈しており、前記ソーラーパネルは、前記導光板の内空部に挿入されていることを特徴とする。
【0031】
このような構成によれば、上板部と下板部と連結部とが一体に形成されているので、導光板内の光の伝導率が高く光の損失を低減でき、光遮蔽部の下方の照度を高めることができる。
【0032】
また、本発明は、前記導光板が、前記ソーラーパネルよりも大きい面積を有し前記ソーラーパネルを上下から挟むように配置される上部導光板と下部導光板とで構成され、前記上部導光板の一部が前記上板部を構成し、前記下部導光板の一部が前記下板部を構成するとともに、前記ソーラーパネルの平面位置よりも外側に突出した部分であって前記上部導光板と前記下部導光板とが当接する部分が前記連結部を構成することを特徴とする。
【0033】
このような構成によれば、上部導光板と下部導光板の形状を簡素化でき、その形成を容易に行うことができる。
【0034】
さらに、本発明は、前記ソーラーパネルが、前記導光板の面形状に追従可能なフレキシブルパネルにて構成されていることを特徴とする。
【0035】
このような構成によれば、平板形状以外の形状の導光板に追従して設けることができるので、屋根形状のデザインの自由度を高めることができる。
【0036】
また、本発明は、前記反射手段が、反射シートを前記導光板の前記連結部の外側端面に設置して構成されていることを特徴とする。
【0037】
このような構成によれば、反射シートを導光板の端面に貼り付けるだけで反射手段を形成でき、製作工程が容易になる。
【0038】
さらに、本発明は、前記反射シートが、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを積層させてなるラミネートフィルムにて構成されていることを特徴とする。
【0039】
このような構成によれば、反射シートの導光板の端部への設置が容易に行えるとともに、光の反射率を高めることができる。
【0040】
また、本発明は、前記導光板の少なくとも前記下板部が、その内部に蛍光体または色素を含有していることを特徴とする。
【0041】
このような構成によれば、光遮蔽部の下方の照度を高めることができる。
【0042】
さらに、本発明は、前記導光板の前記連結部の外側端面が、その断面が外側に突出する横V字形状であることを特徴とする。
【0043】
このような構成によれば、太陽光を、導光板内で上板部から連結部を介して下板部へと少ない反射回数で効率的に回り込ませることができる。
【0044】
また、本発明は、前記導光板の前記連結部の外側端面が、その断面が外側に突出する円弧形状であることを特徴とする。
【0045】
このような構成によれば、太陽光を、導光板内で上板部から連結部を介して下板部へと少ない反射回数で効率的に回り込ませることができる。
【0046】
さらに、本発明は、前記照明用光源が、発光ダイオードにて構成されていることを特徴とする。
【0047】
このような構成によれば、少ない消費電量で明るい照明を得られることができるとともに、照明用光源の小型化が達成される。
【0048】
また、本発明は、前記導光板の前記連結部には、光源用穴が形成されており、前記照明用光源は、前記光源用穴に挿入されて、前記導光板内に内蔵されていることを特徴とする。
【0049】
このような構成によれば、照明用光源の設置における位置決めを容易に行えるとともに、導光板に取付強度が高くなる。また、照明用光源が導光板の外部に露出しないので、照明装置の美観を高められるとともに、屋根面への取付施工性を高めることができる。
【0050】
さらに、本発明は、前記照明用光源には、当該照明用光源から放射される光の進行方向を前方に向けるリフレクターが設けられていることを特徴とする。
【0051】
このような構成によれば、照明用光源から後方に出射された光をリフレクターによって前方に向かって反射させることができるので、照明用光源からの光全体を有効に利用でき、光遮蔽部の下方の照度を高めることができる。
【0052】
また、本発明は、前記下板部の下側の表面に、光を拡散させる拡散シートが設けられていることを特徴とする。
【0053】
このような構成によれば、導光板の下板部の下面から出射される光を、拡散させて下方に出射させることで均一化することができる。
【0054】
さらに、本発明は、前記ソーラーパネルが、前記上部導光板の下面、または前記下部導光板の上面に固定されていることを特徴とする。
【0055】
このような構成によれば、上下の上部導光板および下部導光板とソーラーパネルとを一体的に構成することができ、構造が簡素化され、照明装置の製造を効率的に行うことができる。
【0056】
また、本発明は、前記ソーラーパネルが、前記上部導光板と前記下部導光板とによって挟持されていることを特徴とする。
【0057】
このような構成によれば、上下の上部導光板および下部導光板とソーラーパネルとを一体的に構成することができるとともに、容易にソーラーパネルを支持することができる。これによって、構造がさらに簡素化され、照明装置の製造をより一層効率的に行うことができる。
【0058】
さらに、本発明は、前記ソーラーパネルが、前記上部導光板の下面、または前記下部導光板の上面に形成された凹部に収容されていることを特徴とする。
【0059】
このような構成によれば、上部導光板の下面と下部導光板の上面との密着性を高めることができ、導光板内の光の伝導率が高くなるので、光遮蔽部の下方の照度を高めることができる。
【0060】
そして、本発明は、前記上部導光板の上側または下側の表面に、プリズムシートが布設されていることを特徴とする。
【0061】
このような構成によれば、ソーラーパネルへの集光効果が高まるので、発電効率を高めることができる。
【0062】
また、本発明は、前記ソーラーパネルは、両面で受光して発電可能な太陽電池セルを備えて構成されていることを特徴とする。
【0063】
このような構成によれば、夜間においても照明用光源からの光を利用して、ソーラーパネルで発電してバッテリーに蓄えることができる。
【0064】
さらに、本発明は、前記下部導光板の上面に、前記下部導光板内の光を部分的に反射させる第二反射手段を設けたことを特徴とする。
【0065】
このような構成によれば、照明用光源からの光の一部が反射することで、下部導光板の中心部分まで届くので、均一な照度の照明面を得ることができるとともに、ソーラーパネルの下面に光を供給できソーラーパネルによる発電ができる。
【0066】
また、本発明は、前記第二反射手段が、前記下部導光板の上面に付設される半透過型反射ドットシートにて構成されていることを特徴とする。
【0067】
このような構成によれば、ドット部分で光を反射させ、ドット以外の部分で光を透過させることができる。また、半透過型反射ドットシートを下部導光板に貼り付けるだけで第二反射手段が構成されるので、比較的大きな面積の下部導光板であっても第二反射手段の形成加工が容易である。
【0068】
さらに、本発明は、前記第二反射手段が、前記下部導光板の上面に形成される反射ドットにて構成されていることを特徴とする。
【0069】
このような構成によれば、ドット部分で光を反射させ、ドット以外の部分で光を透過させることができる。
【0070】
また、本発明は、前記第二反射手段が、前記下部導光板の上面に形成される反射溝にて構成されていることを特徴とする。
【0071】
このような構成によれば、光が反射溝に当たる角度によって光の一部は内側に反射され、一部は外側に出射されることとなる。また、下側導光板の表面に反射溝を形成するだけで第二反射手段が構成されるので、比較的大きな面積の下部導光板であっても第二反射手段の形成加工が容易である。
【0072】
さらに、本発明は、請求項1乃至請求項31のいずれか1項に記載の照明装置を備えたことを特徴とする照明装置付屋根構造体である。
【0073】
このような構成によれば、光遮蔽部の下方を明るくでき、昼間でも開放感を得ることができる照明装置付屋根構造体を得ることができる。
【発明の効果】
【0074】
本発明によれば、光遮蔽部の下方を明るくでき、昼間でも開放感を得ることができるといった優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第一実施形態に係る照明装置を屋根構造体に取り付けた状態を示した全体斜視図である。
【図2】第一実施形態に係る照明装置を示した断面図である。
【図3】第一実施形態に係る照明装置を示した斜視図である。
【図4】第一実施形態に係る照明装置の第一の変形例を示した斜視図である。
【図5】第一実施形態に係る照明装置の第二の変形例を示した斜視図である。
【図6】第二実施形態に係る照明装置を屋根構造体に取り付けた状態を示した全体斜視図である。
【図7】第二実施形態に係る照明装置を示した斜視図である。
【図8】第二実施形態に係る照明装置を示した断面図であって、(a)は昼間の光の反射状態を示した図、(b)は夜間の光の反射状態を示した図である。
【図9】第二実施形態に係る照明装置の照明用光源を示した断面図である。
【図10】第二実施形態に係る照明装置の変形例を示した斜視図である。
【図11】第二実施形態に係る照明装置を庇の屋根構造体に取り付けた状態を示した全体斜視図である。
【図12】第二実施形態に係る照明装置を庇の屋根構造体に取り付けた状態を示した断面図である。
【図13】第三実施形態に係る照明装置を示した斜視図である。
【図14】第三実施形態に係る照明装置を示した断面図であって、(a)は昼間の光の反射状態を示した図、(b)は夜間の光の反射状態を示した図である。
【図15】第三実施形態に係る照明装置の照明用光源を示した斜視図である。
【図16】第三実施形態に係る照明装置の変形例を示した図であって、(a)は第一の変形例を示した断面図、(b)は第二の変形例を示した断面図、(c)は第三の変形例を示した断面図である。
【図17】第三実施形態に係る照明装置の第四の変形例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
(第一実施形態)
まず、第一実施形態に係る照明装置および照明装置付屋根構造体の構成について説明する。
【0077】
図1に示すように、第一実施形態に係る照明装置付屋根構造体2は、例えばカーポート用屋根として用いられるものであって、本実施形態では、光遮蔽性の屋根3を有している。屋根3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の耐食性および耐候性を備えた部材からなるパネル材にて構成されている。このパネル材は、例えば、内部にアルミニウム合金製のハニカム状コア材を備え、このコア材をアルミニウム合金製の表面材で挟み込んだサンドイッチハニカムパネルを用いてもよい。屋根3は、平面視長方形状を呈している。屋根3は、柱4によって支持されている。柱4は、屋根3の四隅から所定距離内側にオフセットした位置に配置されており、屋根3の周縁部が柱4の位置から外方に張り出すように構成されている。柱4は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。なお、本実施の形態では、柱4は中空状(ホロー)に形成されているが、中実状(ソリッド)であってもよい。
【0078】
屋根3の周縁部の一部には、照明装置1が取り付けられている。具体的には、照明装置1は、屋根3の幅方向(図1中Y軸方向)両端で、X軸方向に延在する辺部分に沿って取り付けられている。照明装置1は、光遮蔽部である屋根3の上方部から端部を覆って下方部まで回りこむように構成された導光板10と、光遮蔽部(屋根3)の端部に対向する導光板10の外側端面に設けられた反射手段30とを備えている。
【0079】
図2に示すように、導光板10は、その板材に導入された光を全反射させながら平板方向(板が広がる方向)に伝達させ、そして、光は、伝達されるうちに加工が施された板材表面に反射して向きを変え、全反射臨界角度より大きくなった成分の光が板材の表面に出てくる現象を用いて、照明効果を得るものである。導光板10は、例えば、ポリメチルメタクリレート系、ポリカーボネート系、ポリスチレン系またはアクリル系などの光透過性樹脂板にて構成されている。この光透過性樹脂板は、ガラス板と比べると光透過率は低いが、導光板10としての透過率は十分に確保できる。また、光透過性樹脂板は、強度が高く、軽量であるので、導光板10の大面積化に対応することができる。なお、本実施形態では導光板10の材質を光透過性樹脂板としているが、これに限定する趣旨ではなく、光透過性ガラス板にて構成するようにしてもよい。また、導光板10は、棒状の導光部材(図示せず)を複数配列して板状になるようにして構成してもよい。
【0080】
図2および図3に示すように、導光板10は、光遮蔽部(屋根3)の上面に沿う上板部11と、光遮蔽部(屋根3)の下面に沿う下板部13と、上板部11と下板部13とを連結する連結部12とを備えている。連結部12は、光遮蔽部(屋根3)の先端部に対向して覆う部分であって、導光板10は、外方に張り出した屋根3の周縁先端部を覆うように取り付けられている。上板部11と下板部13は、ともに平板状に形成されており、互いに平行になっている。連結部12は、断面円弧状に形成されている。下板部13の幅寸法(屋根面に沿って屋根3の幅方向に広がる寸法)は、上板部11の幅寸法よりも小さくなっており、導光板10は、断面J字状を呈している。下板部13は、屋根3の下面に近接しており、屋根3を照らす照明面を構成している。導光板10は、上板部11、連結部12および下板部13が一体成型されている。なお、導光板10は、各部を適宜分割成型して接着剤等で一体化するようにしてもよい。
【0081】
導光板10は、平板状のブラケット14を介して屋根3の上面にボルト止めされており、上板部11と下板部13がともに屋根3と平行になるように固定されている。このように導光板10は、ブラケット14を介して屋根3に取り付けられているので、屋根3と所定の隙間をあけて配置されることとなる。これによって、雨水はこの隙間を流れることとなり、導光板10の連結部12の内側に流れ込む。つまり、導光板10が樋の役目を果たすこととなるので、導光板10の端部等の適所に縦樋(図示せず)を設置することで、雨水処理を行うことができる。なお、連結部12に、その長手方向に沿って所定ピッチで水抜き穴(図示せず)を形成して、縦樋を省略するようにしてもよい。
【0082】
導光板10の少なくとも下板部13(本実施形態では導光板10全体)は、その内部に蛍光体を含有している。蛍光体は、例えば、リン酸カルシウム3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sbなどが用いられ、蛍光体を導光板10に含有させると、近紫外線や可視光線が蛍光体に照射されて、蛍光を発するので、導光板10の照度が高くなる。また、導光板10には、蛍光体に代えて色素を含有させてもよい。色素を導光板10に含有させると、照明を所望の色に着色できるので、周辺環境に馴染ませることができ、美観を高めることができる。
【0083】
反射手段30は、反射シートにて構成されており、屋根3の端部に対向する導光板10の外側端面、すなわち連結部12の外周面に設置されている。反射シートは、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを積層させてなるラミネートフィルムにて構成されている。ラミネートフィルムは、樹脂フィルムがアルミニウム箔を両側から挟むように形成されており、アルミニウム箔を外気と遮断するように構成されている。二層の樹脂フィルムのうち、少なくとも導光板10側に位置する樹脂フィルムは、透明樹脂フィルムにて構成されている。反射手段30は、導光板10よりも光屈折率が低い接着剤によって導光板10に接着されている。また、反射手段30は、屋根3の上部に位置する導光板10(上板部11)の上面(太陽光入射面)と、屋根3の下部に位置する導光板10(下板部13)の端面(太陽光出射面)を除く導光板10の各面に設置してもよい。
【0084】
なお、アルミニウム箔は、他の金属であっても鏡面を有するものであれば他の材質に代えてもよい。また、ラミネートチューブに代えて、発泡樹脂(発泡プラスチック)からなる発泡PET(ポリエチレン−テレフタレート)シートや発泡ポリカーボネートシートを反射手段30として採用してもよい。この際に形成される泡の直径は数μm程度であるが、泡の密度が高いほど反射率は高くなる。この発泡PETシートや発泡ポリカーボネートシートは、前記のラミネートフィルムよりも光反射率が高いので、導光板10内部の光の損失を抑えることができる。
【0085】
図1に示すように、照明装置1は、導光板10と反射手段30の他に、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネル40と、このソーラーパネル40で変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリー(図示せず)と、照明用光源50とを、さらに備えて構成されている。
【0086】
図1に示すように、ソーラーパネル40は、導光板10とは別体で構成されており、屋根3の上面に設置されている。ソーラーパネル40は、公知のソーラーパネルで構成すればよいが、本実施形態では、例えば、薄膜系太陽電池セルに、光透過性のバックシートを布設して構成されている。ソーラーパネル40は、フィルム状を呈して適度な柔軟性を備えており、屋根3の面形状に追従可能なフレキシブルパネルとなっている。薄膜系太陽電池セルは、例えば、薄膜シリコン型太陽光発電セルが用いられている。薄膜シリコン型太陽光発電セルは、柔軟性を有する基板の上に、アモルファスシリコン(a−Si:H)や微結晶シリコン(μc−Si:H)等からなる数μmの薄膜を形成して構成されており、一枚ものの大面積に形成されている。薄膜は、CVD(化学気相成長)法等によって形成される。なお、薄膜系太陽電池セルは、従来の結晶系ウェハ型の太陽光発電セルと比較して発電効率が低いが、大面積に形成することで、発電量を確保している。
【0087】
なお、本実施形態では、厚さが数μmの薄膜を基板上一面に形成してなる薄膜系太陽電池セルを用いているがこれに限定されるものではない。例えば、基板上に、厚さが150〜300μmであるpc−Si型(多結晶Si型)の太陽電池セル等を所定の隙間を空けて配置するようにしてもよい。
【0088】
バックシート(図示せず)は、薄膜を保護するために薄膜系太陽電池セルの表面を覆って布設されるものであって、本実施形態では、薄膜系太陽電池セルの上表面を覆って布設されている。バックシートは、太陽光の少なくとも一部を透過するようになっている。具体的には、バックシートは、三層構造を呈しており、最外層は、耐候性に優れたフィルム、またはシート材料(フッ素樹脂フィルム、フッ素樹脂塗膜、耐熱低オリゴマー、PETフィルム等)にて構成されている。中間層は、水蒸気バリアー性に優れた光透過性の蒸着PETフィルム等を設置して構成されている。最内層は、耐熱性、耐湿性、耐電性等に優れた電気絶縁用PETフィルムにて構成されている。
【0089】
以上のような構成のソーラーパネル40は、屋根3の上面にボルト等の公知の固定治具を用いて固定されている。なお、ソーラーパネル40は、接着剤によって屋根3の上面に固定するようにしてもよい。
【0090】
バッテリーは、ソーラーパネル40および照明用光源50と電気的に接続されており、例えば、柱4の内部に収容されている。なお、バッテリーの収容位置はこれに限定されるものではなく、屋根3の下側などの風雨に晒されない場所であれば他の場所であってもよい。バッテリーは、例えば、アルカリ蓄電池、ニッケル-水素蓄電池、リチウムイオン電池などで構成されている。バッテリーは、前記の電池に限られるものではなく、小型で軽量、高性能の充電式電池であればどのような蓄電池であってもよい。これらの中で、リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いため、特に好ましい。一般的には、正極はLiCoO、負極はC、セパレータとしての電解質にはLiClO、LiPFなどのLiイオンを含む有機電解液が使用されている。ここでLiイオンは正極、負極の材料の結晶中に出入りすることができ、充電、放電できる仕組みとなっている。Liイオン電池内において、充電中はセパレータを介してLiイオンが正極から負極に移動し、逆に放電中はLiイオンが負極から正極に移動する。
【0091】
照明用光源50は、発光ダイオードにて構成されている。発光ダイオードは、電子と正孔の再結合によって可視光あるいは紫外光を発する発光素子を利用するものであれば、どのようなタイプのものであってもよい。発光素子としては、例えば、赤色、緑色、青色ダイオードのいずれの発光ダイオードを使用してもよいし、またこれら3色の発光ダイオードを組み合わせて白色光を発するものとしてもよい。なお、青色ダイオードとすれば、見る者の感情をクールダウンさせて落ち着いた印象を与えることができる。
【0092】
本実施形態では、発光ダイオードは、少なくとも発光層が窒化物半導体である発光素子と、この発光素子が発光する光の少なくとも一部を吸収して波長変換することで蛍光を発する無機蛍光体とを有するものである。具体的には、紫外LED発光素子として発光スペクトルが主ピークとして350nm〜390nmに発光可能なものが使用されている。この場合、発光層は、有機金属気相成長法(MOCVD法)などによって、例えばサファイア基板上にAlNなどの低温バッファー層を設け、その上部にAlGaN厚膜、AlGaN系のn型窒化物半導体とp型窒化物半導体の薄膜を形成させてあり、クラッド層としてInAlGaN発光層を形成させたものが挙げられる。勿論、半導体層に用いる材料やその組成によって、発光波長を種々選択することができる。
【0093】
また、無機蛍光体としては、白色発光するものとして、例えば、3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sbなどが挙げられる。この他、青色、緑色、赤色の各色発光の蛍光体混合物からなる白色発光する混合蛍光体とすることも可能である。これら蛍光物質を利用する場合には、硝子などの透光性無機部材や樹脂などの透光性有機部材中にこれら蛍光物質を適量混合させて形成させても良い。さらにこれら蛍光物質と有機バインダーと溶媒の混合物を硝子などの内壁あるいは外壁に塗布した後、加熱してバインダーと溶媒のみを分解ガス化して飛ばしてもよい。このような発光装置とすれば、無機蛍光体によって発光ダイオードの発する紫外線を効率よく白色光に変換することで、明るい照明を得ることができる。
【0094】
照明用光源50は、導光板10の下板部13の先端面にその長手方向に沿って所定の間隔を隔てて配設されている。
【0095】
図2に示すように、発光ダイオードの周囲には、放射される光の進行方向を前方向(下板部13の延出方向前方)に向けるリフレクター51が設けられている。リフレクター51は、耐熱衝撃性に優れたアルミニウム板またはアルミニウム合金板をプレス加工することで形成されており、その表面(照明面)は、CMP(Chemical Mechanical Polishing(化学・機械的研磨))によって研磨されて、その表面粗さが小さくなって、光の反射率が高められている。リフレクター51は、発光ダイオードの先端の発光部を覆うように傘状に形成されており、発光ダイオードから後方に照射された光を、発光ダイオードの正面方向に反射させるようになっている。ここで屋根3は下方に向かって湾曲して形成されているので、リフレクター51を介して発光ダイオードの正面方向に反射した光が屋根3の下面を照らすようになっている。なお、リフレクター51は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製に限られるものではない。例えば、ガラス板の表面にアルミニウムなどの金属を蒸着させたガラス製リフレクターであってもよい。
【0096】
次に、前記構成による照明装置1および照明装置付屋根構造体2の作用について説明する。
【0097】
かかる照明装置1および照明装置付屋根構造体2によれば、屋根3が光遮蔽性のものであっても、昼間においては、太陽光を、導光板10を介して屋根3(光遮蔽部)の下方へ回り込ませることで屋根3の下方を明るくでき、開放感を得ることができる。具体的には、図2に示すように、導光板10の上板部11に照射された太陽光は、上板部11に入射して、その内部で反射を繰り返しながら、連結部12へ進み、さらに下板部13まで伝達される。このとき、連結部12の外周面では、太陽光が全反射臨界角度より大きい角度で表面に当たる場合が多いが、外周面には反射手段30が設置されているので、全ての光を内側に反射させることができ、光伝達のロスを防止できる。下板部13では、太陽光の一部は反射し、またその他の一部が表面から出射されるので、下板部13の表面全体が、屋根3の奥行方向に沿った照明面となる。これによって、屋根3の端部に沿って帯状の照明面が形成され、屋根3の下方を明るくできる。また、下板部13から出射された光は、屋根3の下面を照らして下方に反射するので、間接照明のような照明効果を得ることもできる。
【0098】
さらに、本実施形態の照明装置1によれば、既設の屋根面に容易に取り付けることが可能であり、照明効果を容易に得ることができる。
【0099】
ここで、導光板10は少なくとも下板部13が、その内部に蛍光体を含有しているので、導光板10内で近紫外線や可視光線が蛍光体に照射されて、蛍光を発するので、導光板10の照度が高くなる。また、導光板10に、蛍光体に代えて色素を含有させると、照明を所望の色に着色できるので、周辺環境に馴染ませることができ、美観を高めることができる。
【0100】
また、本実施形態では、反射手段30が、反射シートを導光板10の外側端面に布設して構成されているので、反射シートを導光板10の端面に貼り付けるだけで反射手段30を形成でき、製作工程が容易になる。さらに、反射シートが、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを積層させてなるラミネートフィルムにて構成されているので、アルミニウム箔によって高い光反射率を得られるとともに、樹脂フィルムによってアルミニウム箔を外気と遮断することができるので、アルミニウム箔の腐食を防止でき、光の反射率の低下を抑えることができる。
【0101】
さらに、照明装置1は、図1に示すように、ソーラーパネル40とバッテリーと照明用光源50とを、さらに備えているので、ソーラーパネル40で太陽エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えることができ、夜間においても照明用光源50によって快適な照明を得ることができる。特に、ソーラーパネル40は、導光板10とは別体で構成され、屋根3の上面に設置されているので、ソーラーパネル40の面積を大きく確保することができ、十分な電気エネルギーを得ることができる。
【0102】
また、照明用光源50は発光ダイオードにて構成されているので、少ない消費電量で明るい照明を得られることができるとともに、照明用光源50の小型化が達成される。さらに、照明用光源50が、導光板10の下板部13の先端面にその長手方向に沿って所定の間隔を隔てて配設されているので、光遮蔽部の下部をムラ無く均一に明るくすることができる。
【0103】
次に、図4を参照して、第一実施形態に係る照明装置1の第一の変形例について説明する。この照明装置1’は、図1乃至図3に示した照明装置1が、屋根3の周縁部で奥行方向(X方向)に延在して形成されているのに対して、図4に示すように、屋根3’の周縁部で奥行方向(図4に示すX方向)に断続的に設けられていることを特徴とする。屋根3’は、折板屋根にて構成されており、山部3’aと谷部3’bとを備えている。照明装置1’は、山部3’aの水平部分と同じ奥行寸法(X軸方向長さ)を備えており、屋根3’の各山部3’aの端部(Y方向端部)にそれぞれ設けられている。なお、照明装置1’の断面形状およびその他の構成は、図1の照明装置1と同等であるので、照明装置1と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0104】
このような構成によれば、照明装置1と同様の作用効果を得ることができる他に、屋根3’のように凹凸形状であっても、照明装置1’を設置することができるといった作用効果を得られる。また、夜間において、下板部13の先端面に設けた照明用光源(図示せず)を点灯すると、山部3’aの下面とその両側の傾斜部分3’cの下面がそれぞれ照らされるが、各山部3’aごとに直線状に明るい部分が形成され、屋根3’の下面に、ストライプ状の被照明部分(各山部3’aと傾斜部分3’cの下面)が形成されることとなり、見る者に軽快な印象を与えることができる。
【0105】
また、本実施形態では、照明装置1’を屋根3’の山部3’aに取り付けているが、これに限定されるものではなく、谷部3’bに取り付けてもよい。但し、雨水等の水仕舞や照明部分の形状を考慮すると、照明装置1’は山部3’aに取り付けるのが好ましい。
【0106】
次に、図5を参照して、第一実施形態に係る照明装置1の第二の変形例について説明する。この照明装置1”は、図1乃至図3に示した照明装置1が、連結部12が断面円弧状に形成されているのに対して、図5に示すように、屋根3”の連結部12”の断面が外側に突出する横V字形状であることを特徴とする。連結部12”の形状に応じて、反射手段30”も断面が横V字形状に形成されている。なお、照明装置1”のその他の構成は、図1の照明装置1と同等であるので、照明装置1と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0107】
このような構成によれば、照明装置1と同様の作用効果を得ることができる他に、太陽光を、導光板10”内で上板部11から連結部12”を介して下板部13へと少ない反射回数で効率的に回り込ませることができるといった作用効果を得られる。
【0108】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係る照明装置および照明装置付屋根構造体の構成について説明する。
【0109】
図6に示すように、第二実施形態に係る照明装置付屋根構造体102は、例えばバス停用屋根として用いられるものであって、光透過性の屋根103を備えている。屋根103は、複数の光透過性板材103aにて構成されている。光透過性板材103aは、例えば、平面視で略矩形状に形成されており、その周縁部が枠材(梁材105)に支持されて、屋根面を構成している。
【0110】
枠材は、金属形材からなる梁材105で格子状の区画を有するように構成されている。梁材105は、柱材104によって支持されている。柱材104は、所定の間隔で地盤に立設されており、その下端部にベースプレートを有している。ベースプレートには、地盤の基礎に設けられたアンカーボルト(図示せず)が挿通されて、柱材104を地盤に固定するようになっている。梁材105は、隣り合う柱材104間で架け渡される大梁105aと、大梁105aから張り出す複数の片持ち梁105bと、片持ち梁105bの先端部間に架け渡されるつなぎ梁105cとで構成されている。これら梁材105は、中空状に形成されており、必要に応じて、内側あるいは外側に補強リブ(図示せず)が形成されている。
【0111】
梁材105および柱材104は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。アルミニウム合金製の押出形材は、6063合金をベースとして形成されている。6063合金をベースとした押出形材は、押出後の熱処理によってMgSiがマトリックス中に微細に析出するため、強度、靭性が高い。さらに、押出形材の表面には、陽極酸化皮膜処理が施されており、耐食性、耐候性に優れている。陽極酸化皮膜処理の工程で、封孔処理前に表面の酸化皮膜中に顔料を含有させることにより、多様な色調の形材として美観を向上することも可能である。なお、本実施の形態では、梁材105および柱材104は中空状(ホロー)に形成されているが、中実状(ソリッド)であってもよい。
【0112】
梁材105は、光透過性板材の周縁部を支持するようになっている。具体的には、大梁105a、片持ち梁105bおよびつなぎ梁105cの光透過性板材103a側の側面には、把持溝(図示せず)がそれぞれ形成されており、この把持溝に光透過性板材103aの周縁部が挿入されて支持されることとなる。把持溝は、中空の梁材105の側面を開口するように成形することで形成され、梁材105の中空部が把持溝の内部空間を構成することとなる。
【0113】
本実施形態では、照明装置101は、屋根103の下側に設けられている。照明装置101は、図示しないブラケットやボルト等の公知の取付治具によって光透過性板材103aの下面に当接するように固定されている。なお、照明装置101は、接着剤によって光透過性板材103aの下面に固定するようにしてもよい。図7および図8に示すように、照明装置101は、光遮蔽部の上方部から端部を覆って下方部まで回りこむように構成された導光板110と、光遮蔽部の端部に対向する導光板110の外側端面に設けられた反射手段130とを備えて構成されている。
【0114】
導光板110は、その板材に導入された光を全反射させながら平板方向(板が広がる方向)に伝達させ、そして、光は、伝達されるうちに加工が施された板材表面に反射して向きを変え、全反射臨界角度より大きくなった成分の光が板材の表面に出てくる現象を用いて、照明効果を得るものである。導光板110は、例えば、ポリメチルメタクリレート系、ポリカーボネート系、ポリスチレン系またはアクリル系などの光透過性樹脂板にて構成されている。この光透過性樹脂板は、ガラス板と比べると光透過率は低いが、導光板110としての透過率は十分に確保できる。また、光透過性樹脂板は、強度が高く、軽量であるので、導光板110の大面積化に対応することができる。なお、本実施形態では導光板110の材質を光透過性樹脂板としているが、これに限定する趣旨ではなく、光透過性ガラス板にて構成するようにしてもよい。
【0115】
本実施形態では、光遮蔽部は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネル140にて構成されており、このソーラーパネル140を取り囲むように、導光板110が設けられている。照明用光源150は、光遮蔽部となるソーラーパネル140を内蔵しており、さらに、このソーラーパネル140で変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリー(図示せず)と、照明用光源150とを、さらに備えている。
【0116】
導光板110は、ソーラーパネル140の上面を覆う上板部111と、ソーラーパネル140の下面を覆う下板部113と、ソーラーパネル140の端部を覆うとともに上板部111と下板部113とを繋ぐ連結部112とを備えて構成されている。上板部111と下板部113と連結部112,112は一体的に形成されており、導光板110は筒状を呈している。なお、導光板110は、上板部111と下板部113の長さ寸法に対して、全体の厚さは薄く、内側に内空部を有する偏平筒状を呈している。導光板110は、上板部111、連結部112および下板部113が一体成型されている。なお、導光板110は、各部を分割成型して接着剤等で一体化するようにしてもよい。
【0117】
上板部111と下板部113は、ともに平板状で同等の厚さに形成されており、ソーラーパネル140の全面を上下からそれぞれ覆う。上板部111と下板部113は、ソーラーパネル140の厚さ寸法より僅かに大きい寸法の間隔を隔てて互いに平行に配置されている。つまり、導光板110の筒状形状はその内空部がソーラーパネル140の断面と略同等の断面形状(ソーラーパネル140を挿入可能なクリアランスを含む形状)を有しており、ソーラーパネル140を側方から内空部に挿入することで、ソーラーパネル140が上板部111と下板部113との間に設置される。下板部113は、屋根103の下方を照らす照明面を構成している。
【0118】
連結部112は、ソーラーパネル140の両端を外側から取り囲むように、上板部111と下板部113の両端にそれぞれ一体的に形成されている。連結部112は、上板部111と下板部113とを連結する部分であって、上板部111および下板部113を繋がる断面長方形状の内側部112aと、この内側部112aの外側に繋がる断面半円状の外側端部112bとを備えて構成されている。そして、外側端部112bの外周面が、反射手段130が設けられる外側端面となる。
【0119】
導光板110の少なくとも下板部113(本実施形態では導光板110全体)は、その内部に蛍光体を含有している。蛍光体は、例えば、リン酸カルシウム3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sbなどが用いられ、蛍光体を導光板110に含有させると、近紫外線や可視光線が蛍光体に照射されて、蛍光を発するので、導光板110の照度が高くなる。また、導光板110には、蛍光体に代えて色素を含有させてもよい。色素を導光板110に含有させると、照明を所望の色に着色できるので、周辺環境に馴染ませることができ、美観を高めることができる。
【0120】
反射手段130は、反射シートにて構成されており、導光板110の円弧状の外側端面に設置されている。反射シートは、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを積層させてなるラミネートフィルムにて構成されている。ラミネートフィルムは、樹脂フィルムがアルミニウム箔を両側から挟むように形成されており、アルミニウム箔を外気と遮断するように構成されている。二層の樹脂フィルムのうち、少なくとも導光板110側に位置する樹脂フィルムは、透明樹脂フィルムにて構成されている。反射手段130は、導光板110よりも光屈折率が低い接着剤によって導光板110に接着されている。
【0121】
なお、アルミニウム箔は、他の金属であっても鏡面を有するものであれば他の材質に代えてもよい。また、ラミネートチューブに代えて、発泡樹脂(発泡プラスチック)からなる発泡PET(ポリエチレン−テレフタレート)シートや発泡ポリカーボネートシートを反射手段130として採用してもよい。この際に形成される泡の直径は数μm程度であるが、泡の密度が高いほど反射率は高くなる。この発泡PETシートや発泡ポリカーボネートシートは、前記のラミネートフィルムよりも光反射率が高いので、導光板110内部の光の損失を抑えることができる。
【0122】
ソーラーパネル140は、公知のソーラーパネルで構成すればよいが、本実施形態では、例えば、薄膜系太陽電池セルに、光透過性のバックシートを布設して構成されている。ソーラーパネル140は、フィルム状を呈して適度な柔軟性を備えており、導光板110の面形状に追従可能なフレキシブルパネルとなっている。薄膜系太陽電池セルは、例えば、薄膜シリコン型太陽光発電セルが用いられている。薄膜シリコン型太陽光発電セルは、柔軟性を有する基板の上に、アモルファスシリコン(a−Si:H)や微結晶シリコン(μc−Si:H)等からなる数μmの薄膜を形成して構成されており、一枚ものの大面積に形成されている。薄膜は、CVD(化学気相成長)法等によって形成される。なお、薄膜系太陽電池セルは、従来の結晶系ウェハ型の太陽光発電セルと比較して発電効率が低いが、大面積に形成することで、発電量を確保している。本実施形態の薄膜系太陽電池セルは、薄膜が基板の両面に形成されており、両面で受光して発電可能な太陽電池セルとなっている。
【0123】
なお、本実施形態では、厚さが数μmの薄膜を基板上一面に形成してなる薄膜系太陽電池セルを用いているがこれに限定されるものではない。例えば、基板上に、厚さが150〜300μmであるpc−Si型(多結晶Si型)の太陽電池セル等を所定の隙間を空けて配置するようにしてもよい。
【0124】
バックシート(図示せず)は、薄膜を保護するために薄膜系太陽電池セルの表面を覆って布設されるものであって、本実施形態では、薄膜系太陽電池セルの上下両面を覆って布設されている。バックシートは、太陽光の少なくとも一部を透過するようになっている。具体的には、バックシートは、三層構造を呈しており、最外層は、耐候性に優れたフィルム、またはシート材料(フッ素樹脂フィルム、フッ素樹脂塗膜、耐熱低オリゴマー、PETフィルム等)にて構成されている。中間層は、水蒸気バリアー性に優れた光透過性の蒸着PETフィルム等を設置して構成されている。最内層は、耐熱性、耐湿性、耐電性等に優れた電気絶縁用PETフィルムにて構成されている。
【0125】
以上のような構成のソーラーパネル140は、導光板110の内空部に挿入されて収容されており、上板部111と下板部113に挟持されて固定されている。なお、ソーラーパネル140は、上板部111の下面または下板部113の上面に接着するようにしてもよい。
【0126】
バッテリーは、ソーラーパネル140および照明用光源150と電気的に接続されており、例えば、柱材104または梁材105の内部に収容されている。なお、バッテリーの収容位置はこれに限定されるものではなく、屋根103の下側などの風雨に晒されない場所であれば他の場所であってもよい。バッテリーは、例えば、アルカリ蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池などで構成されている。バッテリーは、前記の電池に限られるものではなく、小型で軽量、高性能の充電式電池であればどのような蓄電池であってもよい。これらの中で、リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いため、特に好ましい。一般的には、正極はLiCoO、負極はC、セパレータとしての電解質にはLiClO、LiPFなどのLiイオンを含む有機電解液が使用されている。ここでLiイオンは正極、負極の材料の結晶中に出入りすることができ、充電、放電できる仕組みとなっている。Liイオン電池内において、充電中はセパレータを介してLiイオンが正極から負極に移動し、逆に放電中はLiイオンが負極から正極に移動する。
【0127】
照明用光源150は、発光ダイオードにて構成されている。発光ダイオードは、電子と正孔の再結合によって可視光あるいは紫外光を発する発光素子を利用するものであれば、どのようなタイプのものであってもよい。発光素子としては、例えば、赤色、緑色、青色ダイオードのいずれの発光ダイオードを使用してもよいし、またこれら3色の発光ダイオードを組み合わせて白色光を発するものとしてもよい。なお、青色ダイオードとすれば、見る者の感情をクールダウンさせて落ち着いた印象を与えることができる。
【0128】
本実施形態では、発光ダイオードは、少なくとも発光層が窒化物半導体である発光素子と、この発光素子が発光する光の少なくとも一部を吸収して波長変換することで蛍光を発する無機蛍光体とを有するものである。具体的には、紫外LED発光素子として発光スペクトルが主ピークとして350nm〜390nmに発光可能なものが使用されている。この場合、発光層は、有機金属気相成長法(MOCVD法)などによって、例えばサファイア基板上にAlNなどの低温バッファー層を設け、その上部にAlGaN厚膜、AlGaN系のn型窒化物半導体とp型窒化物半導体の薄膜を形成させてあり、クラッド層としてInAlGaN発光層を形成させたものが挙げられる。勿論、半導体層に用いる材料やその組成によって、発光波長を種々選択することができる。
【0129】
また、無機蛍光体としては、白色発光するものとして、例えば、3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sbなどが挙げられる。この他、青色、緑色、赤色の各色発光の蛍光体混合物からなる白色発光する混合蛍光体とすることも可能である。これら蛍光物質を利用する場合には、硝子などの透光性無機部材や樹脂などの透光性有機部材中にこれら蛍光物質を適量混合させて形成させても良い。さらにこれら蛍光物質と有機バインダーと溶媒の混合物を硝子などの内壁あるいは外壁に塗布した後、加熱してバインダーと溶媒のみを分解ガス化して飛ばしてもよい。このような発光装置とすれば、無機蛍光体によって発光ダイオードの発する紫外線を効率よく白色光に変換することで、明るい照明を得ることができる。
【0130】
図7に示すように、照明用光源150は、導光板110の連結部112に形成された光源用穴114内に挿入されて、導光板110に内蔵されている。光源用穴114は、下板部113の側方位置で、導光板110の外側端面から下板部113に向かって延在し、その先端面(底面)が下板部113に対向するように形成されている。光源用穴114は、断面円形に形成され、その開口部は、反射手段130である反射シートによって覆われている。光源用穴114は、導光板110の外側端面の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて複数形成されている。
【0131】
図9に示すように、発光ダイオード(照明用光源150)の周囲には、放射される光の進行方向を前方向(下板部113側方向)に向けるリフレクター151が設けられている。リフレクター151は、耐熱衝撃性に優れたアルミニウム板またはアルミニウム合金板をプレス加工することで形成されており、その表面(照明面)は、CMP(Chemical Mechanical Polishing(化学・機械的研磨))によって研磨されて、その表面粗さが小さくなっている。リフレクター151は、発光ダイオードの先端の発光部を覆うように傘状に形成されており、発光ダイオードから後方に照射された光を、発光ダイオードの正面方向に反射させるようになっている。なお、リフレクター151は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製に限られるものではない。例えば、ガラス板の表面にアルミニウムなどの金属を蒸着させたガラス製リフレクターであってもよい。
【0132】
リフレクター151の後方には、発光ダイオードの胴部を固定するベース部152が設けられている。ベース部152は、例えば、樹脂等によって形成されており、円筒形状を呈している。発光ダイオードの胴部にはオネジ部153が形成されており、ベース部152の内周面にはネジ孔154が形成されている。発光ダイオード(照明用光源150)は、そのオネジ部153をネジ孔154に螺合することで、軸方向位置を調整できる。照明用光源150が取り付けられたベース部152を、光源用穴114に嵌合挿入することで、照明用光源150が導光板110に固定される。このように、ベース部152を光源用穴114に嵌合挿入するといった簡単な作業で、照明用光源150の向きや軸方向を正確に位置決めすることができる。
【0133】
照明用光源150は、一対の連結部112,112にそれぞれ設けられており、互いに対向するように構成されている。図9に示すように、各照明用光源150の後方には反射手段130が設けられており、照明用光源150が配置された側の端面に対向する端面に、反射手段130が設けられていることとなる。これによって、導光板110の端面から外部に出射しようとする光を内側へと反射して、導光板110の内部に戻すことができ、照明用光源150からの光を無駄にすることなく効率よく利用することができる。また、反射手段130を、連結部112の外側端面だけでなく、導光板110の端面全周に亘って設ければ、下板部113に入射された光は端面から逃げることはなく、光をより一層効率的に利用することができる。
【0134】
図7および図8に示すように、導光板110の下板部113の下側の表面には、光を拡散させて下方に出射させる拡散シート120が布設されている。拡散シート120は、下板部113の下面と、連結部112の内側部112aの下面の全体を覆うように貼り付けられている。拡散シート120は、ポリエチレン・テレフタレート(PET)やポリカーボネートなどの光学的に透明度の高い樹脂と、この樹脂とは屈折率の異なる樹脂を不均一に混合して形成されている。拡散シート120は、その片側表面(下面)に凹凸を形成したマットタイプのシートとしてもよい。
【0135】
次に、前記構成による照明装置101および照明装置付屋根構造体102の作用について、適宜図6乃至図9を参照して説明する。
【0136】
かかる照明装置101および照明装置付屋根構造体102によれば、昼間においては、屋根103を構成する光透過性板材103aを透過した太陽光の一部は、導光板110の上板部111を透過してソーラーパネル140に照射される。このとき、太陽光がソーラーパネル140によって遮られるが、太陽光の一部を、導光板110を介してソーラーパネル140の下方へ回り込ませることで屋根103の下方を明るくでき、開放感を得ることができる。
【0137】
具体的には、図8の(a)に示すように、導光板110の上板部111に照射された太陽光は、上板部111に入射して、その内部で反射を繰り返しながら、連結部112へ進み、さらに下板部113まで伝達される。このとき、連結部112の外側端面では、太陽光が全反射臨界角度より大きい角度で表面に当たる場合が多いが、外側端面には反射手段130が設置されているので、全ての光を内側に反射させることができ、光伝達のロスを防止できる。下板部113では、太陽光の一部は反射し、またその他の一部が表面から出射されるので、下板部113の表面全体が照明面となる。これによって、屋根103の下方を明るくできる。
【0138】
ここで、導光板110は少なくとも下板部113が、その内部に蛍光体を含有しているので、導光板110内で近紫外線や可視光線が蛍光体に照射されて、蛍光を発するので、導光板110の照度が高くなる。また、導光板110に、蛍光体に代えて色素を含有させると、照明を所望の色に着色できるので、周辺環境に馴染ませることができ、美観を高めることができる。
【0139】
また、本実施形態では、反射手段130が、反射シートを導光板110の外側端面に設置して構成されているので、反射シートを導光板110の端面に貼り付けるだけで反射手段130を形成でき、製作工程が容易になる。さらに、反射シートが、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを積層させてなるラミネートフィルムにて構成されているので、アルミニウム箔によって光の反射率を高められるとともに、樹脂フィルムによってアルミニウム箔を外気と遮断することができるので、アルミニウム箔の腐食を防止でき、光の反射率の低下を抑えることができる。
【0140】
一方、本実施形態の照明装置101によれば、光透過性板材103aを透過した太陽光の一部が、導光板110の上板部111を透過してソーラーパネル140に照射されるので、ソーラーパネル140で太陽エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄電することができる。また、ソーラーパネル140は、両面で受光して発電可能であり、導光板110内を伝達されて下板部113まで進んだ太陽光の一部は、下板部113の上面から上方に出射されてソーラーパネル140の下面に照射されるので、ソーラーパネル140で発電を行い、バッテリーに蓄電することができる。
【0141】
また、本実施形態では、ソーラーパネル140が、偏平筒状の導光板110の内空部に挿入されて上板部111と下板部113との間で挟持されているので、ソーラーパネル140を一体的に把持することができ、構造が簡素化され、照明装置101の製造を効率的に行うことができる。一方、ソーラーパネル140が、光を透過可能な薄膜シリコン型太陽光発電セルからなる薄膜系太陽電池セルを備えて構成されているので、薄膜系太陽電池セルをソーラーパネル140全体に布設することができ、受光面積を大きく確保できる。また、薄膜系太陽電池セルはフィルム状で、屋根103および導光板110の面形状に追従可能なフレキシブルパネルにて構成されているので、平板形状以外の形状の屋根103に追従して設けることができ、屋根形状のデザインの自由度を高めることができる。
【0142】
以上のようにソーラーパネル140で太陽エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えているので、夜間においても、照明用光源150によって快適な照明を得ることができる。
【0143】
具体的には、図8の(b)に示すように、照明用光源150からの光が光源用穴114の底面から下板部113に向かって入射される。ここで、照明用光源150は発光ダイオードにて構成されているので、少ない消費電量で明るい照明を得られることができるとともに、照明用光源150の小型化が達成され、導光板110の薄型化に貢献している。これによって、照明装置101を見る者に軽快な印象を与えることができる。さらに、発光ダイオードを、ベース部152に取り付けて、導光板110の連結部112の光源用穴114に挿入して固定しているので、固定および位置決め作業を容易に行うことができる。
【0144】
また、発光ダイオードの周囲にはリフレクター151が設けられているので、発光ダイオードからの光は前方に反射される。したがって、発光ダイオードからの光を無駄にすることなく効率的に利用できる。さらに、照明用光源150は、オネジ部153を備えており、ベース部152に形成されたネジ孔154に螺合するようになっているので、軸方向位置の調整を容易に行うことができる。
【0145】
光源用穴114の底面から導光板110の下板部113に入射された光は、下板部113の上面と下面との間で全反射を繰り返しながら、他方の端面に進んでいく。その途中で、下面に向かって放射された光は、スネルの法則に従って、下面への入射角が全反射の臨界角よりも大きい場合は下面から下板部113の下方外部へ放射され、一方、前記入射角が全反射の臨界角よりも小さい場合は下面で上方に反射されて下板部113の内部へ戻る。下板部113に入射された光は、その内部に含有された蛍光体に照射されて蛍光を発するので、照明面の照度が高くなる。さらに、導光板110に色素を含有させた場合には、屋根面が所望の色に発光して美観を高めることができる。
【0146】
一方、下板部113の上面で全反射の臨界角よりも大きい入射角で放射された光は、上面からソーラーパネル140の下面へ照射される。ここで、ソーラーパネル140は、薄膜系太陽電池セルの薄膜が基板の両面に形成されており、両面で受光して発電可能な太陽電池セルとなっているので、下板部113から放射される光を利用して発電することが可能である。照明用光源150として使用される発光ダイオードから放射される光のピーク波長、薄膜系太陽電池セルに用いられる半導体の種類等にもよるが、下板部113から上方へ放射される光エネルギーのうち5%程度のエネルギーを電気エネルギーとして回収でき、光の損失を低減することができる。
【0147】
導光板110の下板部113の下側表面には、拡散シート120が布設されているので、導光板110の下板部113の下面から出射される光を、拡散させて下方に出射させることで明るさのムラをなくして、照度を均一化することができ、安定した照度の照明を得ることができる。
【0148】
なお、本実施形態では、ソーラーパネル140の両面に太陽光の少なくとも一部を透過する光透過性のバックシートを布設して、両面で受光して発電可能なものを採用しているが、これに限定されるものではない。下面のバックシートをアルミニウム箔で構成されたものとしてもよい。この場合、下面からの受光はできないが、下板部113に入射した光は、全て下面から出射されることとなるので、下板部113における照度を高めることができる。
【0149】
本実施形態では、照明用光源150を、導光板110の連結部112の外周端面の近傍に設けているが、これに限定されるものではない。図10に示すように、偏平筒体を呈する導光板110の内空部が開口する端面115に照明用光源150を設けるようにしてもよい。端面115の下板部113には、複数の光源用穴114が形成され、その内部に、ベース部152(図9参照)に取り付けられた照明用光源150が挿入されている。光源用穴114は、下板部113の一方の端面115から、下板部113の内部に向かって延在し、その先端面(底面)が他方の端面115に対向するように形成されている。両側の端面115,115には、反射手段130である反射シートが敷設されており、光源用穴114の開口部は、反射シートによって覆われている。光源用穴114は、導光板110の端面115の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて複数形成されている。
【0150】
このような構成によれば、図7に示した照明装置101と同様の作用効果を得ることができる上に、以下の作用効果を得られる。この変形例では、各端面115,115が互いに平行になっているので、一方の端面115から出射された光が他方の端面115に当たる際に、上板部111側に反射せず下板部113に戻るので、光のロスを防いで照度を高めることができる。なお、昼間においては、図7の照明装置101と同様に、太陽光が、上板部111から連結部112を介して下板部113へと伝達される。
【0151】
次に、本実施形態に係る照明装置101を庇の屋根構造体に取り付けた場合について、図11および図12を参照しながら説明する。
【0152】
図11および図12に示すように、庇160は、玄関等に取り付けられており、例えば、アルミニウム製のハニカムパネルにて構成されており、光を透過しない部材である。ハニカムパネルは、コア材161(図12参照)の上下に表面材162,162を設けたサンドイッチパネルである。照明装置101は、コア材161と同等の厚さ寸法となるように形成されている。照明装置101は、庇160に内蔵されており、庇160中間部の適所に設けられた表面材162の開口部163から上下に露出されるように設けられている。照明装置101は、その周縁部がコア材161または上下の表面材162,162に連結されて、庇160に固定されている。バッテリーは、図示しないが、庇160の内部あるいは庇の下側等の風雨に晒されない位置に別途設ける。
【0153】
以上のように、照明装置101を庇160に取り付けると、光を透過しない庇160であっても、太陽光の一部が、導光板110の上板部111から連結部112を介して下板部113へと伝達されて下方に照射されるので、庇160の下方を明るくでき、開放感を得ることができる。
【0154】
また、太陽光の一部は、上板部111を透過してソーラーパネル140に照射されるので、ソーラーパネル140で太陽エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄電することができる。そして、照明用光源(図12では図示せず)によって、夜間においても快適な照明を得ることができる。
【0155】
以上のような構成の照明装置101の設置位置は、屋根や庇に限定されるものではない。例えば、店舗等のショウウインドウの壁面に設置してもよい。この場合、ソーラーパネルの受光面側に照明用光源を設けるようにする。このような構成によれば、昼間にソーラーパネルで発電してバッテリーに蓄電しておいて、夜間に照明用光源を点灯させることで、ショウウインドウを照らすことができる。
【0156】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態に係る照明装置の構成について説明する。
【0157】
第三実施形態に係る照明装置201は、第二実施形態の照明装置101と同様に、光透過性の屋根を構成する光透過性板材の下面に当接するように固定されている。
【0158】
図13および図14に示すように、照明装置201は、光遮蔽部の上方部から端部を覆って下方部まで回りこむように構成された導光板210と、光遮蔽部の端部に対向する導光板210の外側端面に設けられた反射手段230とを備えて構成されている。導光板210は、第二実施形態と同様に、例えば、ポリメチルメタクリレート系、ポリカーボネート系、ポリスチレン系またはアクリル系などの光透過性樹脂板にて構成されている。この光透過性樹脂板は、ガラス板と比べると光透過率は低いが、導光板210としての透過率は十分に確保できる。また、光透過性樹脂板は、強度が高く、軽量であるので、導光板210の大面積化に対応することができる。なお、本実施形態では導光板210の材質を光透過性樹脂板としているが、これに限定する趣旨ではなく、光透過性ガラス板にて構成するようにしてもよい。
【0159】
光遮蔽部は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネル240にて構成されており、このソーラーパネル240を取り囲むように、導光板210が設けられている。つまり、照明装置201は、光遮蔽部となるソーラーパネル240を導光板210に内蔵しており、さらに、このソーラーパネル240で変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリー(図示せず)と、照明用光源250とを、さらに備えている。
【0160】
導光板210は、ソーラーパネル240の上面を覆う上板部211と、ソーラーパネル240の下面を覆う下板部213と、ソーラーパネル240の端部を覆うとともに上板部211と下板部213とを繋ぐ連結部212とを備えて構成されている。本実施形態では、導光板210は、ソーラーパネル240よりも大きい面積を有しソーラーパネル240を上下から挟むように配置される上部導光板210aと下部導光板210bとで構成されている。上部導光板210aの一部(中心側のソーラーパネル240を覆っている部分)が上板部211を構成し、下部導光板210bの一部(中心側のソーラーパネル240を覆っている部分)が下板部213を構成するとともに、ソーラーパネル240の平面位置よりも外側に突出した部分であって上部導光板210aと下部導光板210bとが当接する部分(上部導光板210aおよび下部導光板210bの両端部分)が連結部212を構成している。
【0161】
上部導光板210aは、上辺が短く下辺が長い断面台形状を呈する板状に形成され、下部導光板210bは、上辺が長く下辺が短い断面台形状を呈する板状に形成されている。上部導光板210aの下面と下部導光板210bの上面は同等の形状に形成されており、互いに当接している。上部導光板210aの台形断面の両側の斜辺と下部導光板210bの台形断面の両側の斜辺は、上下方向および水平方向に対称形となっており、上部導光板210aの下面(下部導光板210bの上面)との傾斜角度は40〜45度の範囲であるのが好ましい。これによって、導光板210の連結部212の外側端面は、その断面が外側に突出する横V字形状となっている。
【0162】
なお、本実施形態では、上部導光板210aと下部導光板210bは、平らな平板状に形成されているが、これに限定されるものではなく、屋根の光透過性板材が湾曲している場合は、その曲率半径に合わせた湾曲形状に形成される。
【0163】
上部導光板210aの下面(下部導光板210b側の面)には、ソーラーパネル240を収容するための凹部214が形成されている。凹部214は、周壁が下面に対して垂直で矩形平面の形状に形成されており、ソーラーパネル240と同等の平面積を有している。また、凹部214は、ソーラーパネル240と後記するプリズムシート215とを収容可能な深さ(高さ)を有している。
【0164】
上部導光板210aと下部導光板210bとは、上部導光板210aおよび下部導光板210bよりも光屈折率が低い樹脂系接着剤によって固定されている。樹脂系接着剤は、光透過性のものであって、上部導光板210aの凹部214の周縁部に環状に塗布されて、上部導光板210aと下部導光板210bを一体的に固定する。樹脂系接着剤は、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤などが使用される。なお、粘着テープなどに使用される接着剤を使用してもよい。
【0165】
凹部214の底面には、プリズムシート215が布設されている。プリズムシート215は、ソーラーパネル240への集光効果を高めるものであって、例えば樹脂性シートの表面に凹凸を形成して構成されている。プリズムシート215は、平面矩形形状を呈しており、樹脂系接着剤によって、凹部214の底面全体に亘って貼り付けられている。これによって、プリズムシート215は、凹部214に挿入されるソーラーパネル240の表面全体を覆うこととなる。なお、プリズムシート215の布設位置は、凹部214の底面に限定されるものではなく、上部導光板210aの上面であってもよい。但し、凹部214の底面に設ける方が外部に露出されないので、保護されて好ましい。
【0166】
導光板210の少なくとも下部導光板210b(本実施形態では上部導光板210aも含んだ導光板210全体)は、その内部に蛍光体(第二実施形態と同等品)を含有している。また、導光板210には、蛍光体に代えて色素を含有させてもよい。
【0167】
反射手段230は、反射シートにて構成されており、導光板210の横V字形状の外側端面に設置されている。反射シートは、第二実施形態と同様に、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを積層させてなるラミネートフィルムにて構成されている。なお、本実施形態においても、アルミニウム箔は、他の金属であっても鏡面を有するものであれば他の材質に代えてもよい。また、ラミネートチューブに代えて、発泡樹脂(発泡プラスチック)からなる発泡PET(ポリエチレン−テレフタレート)シートや発泡ポリカーボネートシートを反射手段130として採用してもよい。
【0168】
ソーラーパネル240は、公知のソーラーパネルで構成すればよいが、本実施形態では、例えば、薄膜系太陽電池セルに、光透過性のバックシートを布設して構成されている(第二実施形態と同等品)。ソーラーパネル240は、フィルム状を呈して適度な柔軟性を備えており、導光板210の面形状に追従可能なフレキシブルパネルとなっている。薄膜系太陽電池セルは、薄膜が基板の両面に形成されており、両面で受光して発電可能な太陽電池セルとなっている。
【0169】
以上のような構成のソーラーパネル240は、プリズムシート215と共に、上部導光板210aの凹部214内に収容されて、上部導光板210aと下部導光板210bとで挟持されて固定されている。なお、ソーラーパネル240は、プリズムシート215と一体的に、上部導光板210aの下面または下部導光板210bの上面に接着するようにしてもよい。
【0170】
バッテリーは、ソーラーパネル240および照明用光源250と電気的に接続されており、例えば、柱材等の内部に収容されている。なお、バッテリーの収容位置はこれに限定されるものではなく、屋根の下側などの風雨に晒されない場所であれば他の場所であってもよい。バッテリーは、第二実施形態と同様のもので構成されている。
【0171】
図15に示すように、照明用光源250は、第二実施形態と同様に、発光ダイオードにて構成されている。発光ダイオードは、電子と正孔の再結合によって可視光あるいは紫外光を発する発光素子を利用するものであれば、どのようなタイプのものであってもよい。発光素子としては、例えば、赤色、緑色、青色ダイオードのいずれの発光ダイオードを使用してもよいし、またこれら3色の発光ダイオードを組み合わせて白色光を発するものとしてもよい。
【0172】
照明用光源250は、図14の(b)に示すように、上部導光板210aの端部の連結部212に形成された光源用穴216内に挿入されて、導光板210に内蔵されている。光源用穴216は、上部導光板210aの側方位置で、外側端面の上側から下方に向かって延在し、その先端面(底面)が下部導光板210bの外側端面の傾斜面に対向するように形成されている。光源用穴216は、断面円形に形成され、その開口部は、反射手段230である反射シートによって覆われている。光源用穴216は、導光板210の外側端面の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて複数形成されている。
【0173】
図14および図15に示すように、発光ダイオード(照明用光源250)の周囲には、放射される光の進行方向を下方および外側(上部導光板210aの傾斜面側)に向けるリフレクター251が設けられている。リフレクター251は、発光ダイオードの胴部を固定するベース部252と一体的に形成されている。ベース部252は円柱形に形成されており、その下部に円筒形の一部を切り欠いた断面円弧状のリフレクター251が一体的に形成されている。リフレクター251およびベース部252の外周径は、光源用穴216の内周径と同等の寸法を有している。リフレクター251およびベース部252は、耐熱衝撃性に優れたアルミニウム板またはアルミニウム合金板からなり、その表面(照明面)は、CMP(Chemical Mechanical Polishing(化学・機械的研磨))によって研磨されて、その表面粗さが小さくなっており、反射率が高くなっている。また、リフレクター251およびベース部252の外周面も、研磨されてその表面粗さが小さくなっており、反射率が高くなっている。ベース部252の内周面にはネジ孔254(図15参照)が形成されており、発光ダイオードの胴部に形成されたオネジ部253(図15参照)が螺合するようになっている。発光ダイオード(照明用光源250)は、そのオネジ部253をネジ孔254に螺合することで、軸方向位置を調整できる。照明用光源250が取り付けられたベース部252およびリフレクター251を、光源用穴216に嵌合挿入することで、照明用光源250が導光板210に固定される。このとき、リフレクター251の切欠き部251aは、上部導光板210aの傾斜面に設けられた反射手段230に対向するように配置・挿入される。このように、ベース部252およびリフレクター251を光源用穴216に嵌合挿入するといった簡単な作業で、照明用光源250の向きや軸方向を正確に位置決めすることができる。
【0174】
照明用光源250は、一対の連結部212,212にそれぞれ設けられている(図13参照)。照明用光源250を導光板210に設置した状態で、発光ダイオードの前方には、下部導光板210bの傾斜面に設けられた反射手段230が位置し、リフレクター251の切欠き部251aが、上部導光板210aの傾斜面に設けられた反射手段230が位置している。これによって、発光ダイオードから周辺に出射しようとする光は、リフレクター251によって上部導光板210aの傾斜面に設けられた反射手段230に向かって出射され、その反射手段230で下側に反射された後、下部導光板210bの傾斜面に設けられた反射手段230によって下部導光板210bの中央側に向かって反射される。一方、発光ダイオードから前方に出射された光は、下部導光板210bの傾斜面に設けられた反射手段230で、下部導光板210bの中央側に向かって反射される。以上のように、リフレクター251を設けたことによって、照明用光源250からの光を無駄にすることなく効率よく下部導光板210bの中央側に向かって反射させて利用することができる。また、反射手段230を、連結部212の外側端面だけでなく、導光板210の端面全周に亘って設ければ、下部導光板210bに入射された光は端面から逃げることはなく、光をより一層効率的に利用することができる。
【0175】
図14に示すように、下部導光板210bの下側の表面には、光を拡散させて下方に出射させる拡散シート220が布設されている。拡散シート220は、第二実施形態と同様のものが用いられており、下部導光板210bの下面全体を覆うように貼り付けられている。
【0176】
次に、前記構成による照明装置201および照明装置付屋根構造体(図示せず)の作用について説明する。
【0177】
かかる照明装置201によれば、昼間においては、屋根を構成する光透過性板材を透過した太陽光の一部は、導光板210の上部導光板210aを透過してソーラーパネル240に照射される。このとき、太陽光がソーラーパネル240によって遮られるが、第二実施形態と同様に、太陽光の一部を、導光板210を介してソーラーパネル240の下方へ回り込ませることで屋根の下方を明るくでき、開放感を得ることができる。
【0178】
一方、本実施形態の照明装置201によれば、上部導光板210aを透過した太陽光の一部が、ソーラーパネル240に照射されるので、ソーラーパネル240で太陽エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄電することができる。したがって、夜間においても、照明用光源250によって快適な照明を得ることができる。
【0179】
本実施形態では、導光板210が上部導光板210aと下部導光板210bとで構成されているので、ソーラーパネル240の設置は、上部導光板210aと下部導光板210bで挟み込んで、上部導光板210aと下部導光板210bを接着するだけで済む。したがって。照明装置201の構造が簡素化され、その製造を効率的に行うことができる。
【0180】
照明装置201によれば、その他にも第二実施形態の照明装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0181】
次に、第三実施形態に係る照明装置の変形例について説明する。
【0182】
第一変形例では、図16の(a)に示すように、下部導光板210bの上面に、下部導光板210b内の光を部分的に反射させる第二反射手段217が設けられている。第二反射手段217は、第一変形例では、半透過型の反射ドットシートにて構成されており、下部導光板210bの上面に付設されている。反射ドットシートは、ポリエチレン・テレフタレート(PET)やポリカーボネートなどの樹脂シートに、基材となるチタン白(TiO)や沈降性硫酸バリウム(BaSO)などの光学的に吸収がなく、反射率の高い顔料と樹脂バインダーを練り合わせた反射インク217aをスクリーン印刷法によって塗布することで製造されている。半透過型反射ドットシートは、反射インク217aが塗布された部分で光を反射・屈折(一部透過)させ、反射インク217aが塗布されていない部分で光を透過させることで半透過型となる。
【0183】
反射インク217aは、独特なグラデーションパターンに従って塗布される。具体的には、照明用光源250の光の放射方向に沿っており、照明用光源250に近い部分は小さく、照明用光源250から遠くなるに従って大きくなるように、反射インク217aが塗布される。ところで、導光板210両側に照明用光源250が設けられているので、中間部分が大きくなるように反射インク217aが塗布されており、下部導光板210bの平面的に見て反射量が均一になるように構成されている。半透過型反射ドットシートは、下部導光板210bの上面に貼り付けられるために、反射インク217aが印刷された面とは反対面に接着剤が塗布される。すなわち、半透過型反射ドットシートは、反射インク217aが印刷された面が上側になるように配置され、その下面に接着剤が塗布される。接着剤は、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤などが使用される。なお、粘着テープなどに使用される接着剤を使用してもよい。
【0184】
なお、その他の構成については、第三実施形態と同様であるので、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0185】
このような構成によれば、下部導光板210bの端面からその内部に反射された光は、下部導光板210bの上面と下面との間で全反射を繰り返しながら、他方の端面に進んでいく。その途中で、入射された光は、第二反射手段217である反射ドットシートの反射インク217aで形成された反射ドットに当たって、反射ドット内で乱反射して、下部導光板210bの下面(照明面)またはその反対方向(上面)に向かって放射される。下面に向かって放射された光は、スネルの法則に従って、下面への入射角が全反射の臨界角よりも大きい場合は下面から下部導光板210bの下方外部へ放射され、一方、前記入射角が全反射の臨界角よりも小さい場合は下面で上方に反射されて下部導光板210bの内部へ戻る。このとき、反射インク217aは、発光ダイオードの配置に応じたグラデーションパターンに従って塗布されているので、効率的に光を反射させることができ、照度を高めることができる。また、下部導光板210bに入射された光は、その内部に含有された蛍光体に照射されて蛍光を発するので、下部導光板210bからなる照明面の照度が高くなる。さらに、下部導光板210bに色素を含有させた場合には、照明面が所望の色に発光して美観を高めることができる。
【0186】
一方、下部導光板210bの上面で反射ドットがない部分に放射された光は、上面への入射角が全反射の臨界角よりも大きい場合に上面から下部導光板210bの上方外部へ放射される。ここで、ソーラーパネル240は、薄膜系太陽電池セルの薄膜が基板の両面に形成されており、両面で受光して発電可能な太陽電池セルとなっているので、下部導光板210bから放射される光を利用して発電することが可能である。ここで、照明用光源250として使用される発光ダイオードから放射される光のピーク波長、薄膜系太陽電池セルに用いられる半導体の種類等にもよるが、下部導光板210bから上方外部へ放射される光エネルギーのうち5%程度のエネルギーを電気エネルギーとして回収でき、光の損失を低減することができる。
【0187】
なお、第二変形例では、第二反射手段217として、半透過型反射ドットシートが採用されているが、これに限定されるものではない。例えば、図16の(b)に示すように、下部導光板210bの上面に反射インク217bを直接印刷して反射ドットを形成して、これを反射手段としてもよい(第三変形例)。この場合、反射インク217bは、下部導光板210bの上面にチタン白(TiO)や沈降性硫酸バリウム(BaSO)などの光学的に吸収がなく、反射率の高い顔料と樹脂バインダーを練り合わせた反射インク217bをスクリーン印刷法によって塗布することで構成されている。反射ドットの形状は、半透過型反射ドットシートと同様のグラデーションパターンに従って塗布される。
【0188】
また、第二反射手段217は、図16の(c)に示すように、下部導光板210bの上面に形成される反射溝218にて構成してもよい(第四変形例)。反射溝218は、例えば、断面V字状を呈して複数形成されており、下部導光板210bの射出成形の際に、型に加工された凸部により一体形成される。また、反射溝218は、下部導光板210bの表面に切削加工などによって形成してもよい。このような構成によれば、反射溝218へ入射する光はその入射角によって、光が下方へ反射したり上方へ出射したりするので、第二反射手段217は半透過型となる。
【0189】
以上のような第三変形例および第四変形例の構成によれば、第二変形例と同様に、ソーラーパネル240の下面で下部導光板210bから放射される光を利用して発電することが可能である。
【0190】
次に、第三実施形態に係る照明装置のさらなる変形例について説明する。
【0191】
前記した第三実施形態では、上部導光板210aに凹部214を形成してソーラーパネル240等を収容するようにしたが、これに限定されるものではなく、図17に示すように、下部導光板210bの上面にソーラーパネル240等を収容する凹部219を形成してもよい。なお、その他の構成については、第三実施形態と同様であるので、同じ符号を付してその説明を省略する。このような構成によっても、第三実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0192】
また、図示しないが、凹部を上部導光板210aの下面と下部導光板210bの上面の両面にそれぞれ形成するようにしてもよい。この場合、上下の凹部の深さを合わせて、ソーラーパネル240等の内部に収容される収容物と同じ厚さとなるように形成する。
【0193】
さらに、前記した第三実施形態では、導光板210の外側端部が外側に突出する横V字形状であるが、これに限定されるものではなく、本変形例のように、断面円弧状になるように形成してもよい(図17参照)。このような構成によっても、前記した第三実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0194】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施形態では、導光板は光透過性樹脂板にて構成されているが、これ限られるものではなく、ガラス板で形成してもよい。導光板をガラス板で形成すれば、光透過性樹脂板よりも高い透過率を得ることができるので、照度を高めることができる。光透過性樹脂板を採用するかガラス板を採用するかは、要求される照度、構造強度、形状などに応じて適宜決定される。
【0195】
また、本発明の照明装置付屋根構造体を構成する枠材や柱材は、アルミニウム製やアルミニウム合金製に限られるものではなく、必要な強度を有していればスチール、ステンレス、チタンや銅あるいは木材など他の材質であっても適用できるのは勿論である。但し、重量やコストや美観を考慮すると、枠材や柱材をアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成するのが好ましい。
【0196】
さらに、本発明に係る照明装置付屋根構造体は、カーポート用屋根や庇として利用するのに限られるものではないのは勿論である。例えば、待合スペース用屋根や、公園内の休憩所や住宅のテラスなどで用いることも可能である。
【符号の説明】
【0197】
1 照明装置
2 照明装置付屋根構造体
10 導光板
11 上板部
12 連結部
13 下板部
30 反射手段
40 ソーラーパネル
50 照明用光源
51 リフレクター
101 照明装置
102 照明装置付屋根構造体
110 導光板
111 上板部
112 連結部
113 下板部
120 拡散シート
130 反射手段
140 ソーラーパネル
150 照明用光源
151 リフレクター
201 照明装置
210 導光板
210a 上部導光板
210b 下部導光板
211 上板部
212 連結部
213 下板部
214 凹部
215 プリズムシート
217 第二反射手段
219 凹部
220 拡散シート
230 反射手段
240 ソーラーパネル
250 照明用光源
251 リフレクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光遮蔽部の上方部から端部を覆って下方部まで回りこむように構成された導光板と、
前記光遮蔽部の端部に対向する前記導光板の外側端面に設けられた反射手段とを備えており、
太陽光を、前記導光板内を進行させつつ前記反射手段で下側へ反射させて、前記光遮蔽部の上方から端部を回りこむように下方へと案内して、前記光遮蔽部の下方を明るくするように構成した
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光遮蔽部は、屋根にて構成されており、
前記導光板は、前記屋根の先端部を覆うように取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記導光板は、前記光遮蔽部の上面に沿う上板部と、前記光遮蔽部の下面に沿う下板部と、前記上板部と前記下板部とを連結する連結部とを備えており、
前記導光板の上板部に入射した太陽光は、前記導光板内を反射しながら前記下板部まで進み、この下板部が照明面を構成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記反射手段は、反射シートを前記導光板の前記外側端面に設置して構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記反射シートは、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを積層させてなるラミネートフィルムにて構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記導光板の少なくとも前記下板部は、その内部に蛍光体または色素を含有している
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーと、照明用光源とを、さらに備えた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記ソーラーパネルは、前記導光板とは別体で構成され、前記屋根の上面に設置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記照明用光源は、発光ダイオードにて構成されている
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記照明用光源は、前記導光板の前記下板部の先端面にその長手方向に沿って所定の間隔を隔てて配設されている
ことを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記光遮蔽部は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルにて構成されており、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーと、照明用光源とを、さらに備え、
前記導光板は、光透過性を有するとともに、前記ソーラーパネルの上面を覆う上板部と、前記ソーラーパネルの下面を覆う下板部と、前記ソーラーパネルの端部を覆うとともに前記上板部と前記下板部とを繋ぐ連結部とを備えて構成され、
前記反射手段は、前記連結部の外側端面に設けられ、
前記導光板の前記下板部の下面が照明面を構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項12】
前記導光板は、前記上板部と前記下板部と前記連結部とが一体に形成されて、筒状を呈しており、
前記ソーラーパネルは、前記導光板の内空部に挿入されている
ことを特徴とする請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記導光板は、前記ソーラーパネルよりも大きい面積を有し前記ソーラーパネルを上下から挟むように配置される上部導光板と下部導光板とで構成され、
前記上部導光板の一部が前記上板部を構成し、前記下部導光板の一部が前記下板部を構成するとともに、前記ソーラーパネルの平面位置よりも外側に突出した部分であって前記上部導光板と前記下部導光板とが当接する部分が前記連結部を構成する
ことを特徴とする請求項11に記載の照明装置。
【請求項14】
前記ソーラーパネルは、前記導光板の面形状に追従可能なフレキシブルパネルにて構成されている
ことを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項15】
前記反射手段は、反射シートを前記導光板の前記連結部の外側端面に布設して構成されている
ことを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項16】
前記反射シートは、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを積層させてなるラミネートフィルムにて構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の照明装置。
【請求項17】
前記導光板の少なくとも前記下板部は、その内部に蛍光体または色素を含有している
ことを特徴とする請求項11乃至請求項16のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項18】
前記導光板の前記連結部の外側端面は、その断面が外側に突出する横V字形状である
ことを特徴とする請求項11乃至請求項17のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項19】
前記導光板の前記連結部の外側端面は、その断面が外側に突出する円弧形状である
ことを特徴とする請求項11乃至請求項17のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項20】
前記照明用光源は、発光ダイオードにて構成されている
ことを特徴とする請求項11乃至請求項19のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項21】
前記導光板の前記連結部には、光源用穴が形成されており、
前記照明用光源は、前記光源用穴に挿入されて、前記導光板内に内蔵されている
ことを特徴とする請求項11乃至請求項20のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項22】
前記照明用光源には、当該照明用光源から放射される光の進行方向を前方に向けるリフレクターが設けられている
ことを特徴とする請求項11乃至請求項21のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項23】
前記下板部の下側の表面に、光を拡散させる拡散シートが設けられている
ことを特徴とする請求項11乃至請求項22のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項24】
前記ソーラーパネルは、前記上部導光板の下面、または前記下部導光板の上面に固定されている
ことを特徴とする請求項13に記載の照明装置。
【請求項25】
前記ソーラーパネルは、前記上部導光板と前記下部導光板とによって挟持されている
ことを特徴とする請求項13に記載の照明装置。
【請求項26】
前記ソーラーパネルは、前記上部導光板の下面、または前記下部導光板の上面に形成された凹部に収容されている
ことを特徴とする請求項13または請求項24に記載の照明装置。
【請求項27】
前記上部導光板の上側または下側の表面に、プリズムシートが布設されている
ことを特徴とする請求項13乃至請求項26のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項28】
前記ソーラーパネルは、両面で受光して発電可能な太陽電池セルを備えて構成されている
ことを特徴とする請求項11乃至請求項27のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項29】
前記下部導光板の上面に、前記下部導光板内の光を部分的に反射させる第二反射手段を設けた
ことを特徴とする請求項28に記載の照明装置。
【請求項30】
前記第二反射手段は、前記下部導光板の上面に付設される半透過型反射ドットシートにて構成されている
ことを特徴とする請求項29に記載の照明装置。
【請求項31】
前記第二反射手段は、前記下部導光板の上面に形成される反射ドットにて構成されている
ことを特徴とする請求項29に記載の照明装置。
【請求項32】
前記第二反射手段は、前記下部導光板の上面に形成される反射溝にて構成されている
ことを特徴とする請求項29に記載の照明装置。
【請求項33】
請求項1乃至請求項32のいずれか1項に記載の照明装置を備えた
ことを特徴とする照明装置付屋根構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−18459(P2011−18459A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160633(P2009−160633)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】