説明

照明装置及び投写型映像表示装置

【課題】色純度と光量とのバランスを可変とすることによりニーズの多様化に対応できるようにした照明装置及びこれを用いた投写型映像表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る照明装置1は、光源2から一方向に偏光方向が揃った偏光光2aを射出し、これを光分割部材3により任意の比率で複数の偏光光32a,32bに分割する。そして、この複数に分割された偏光光32a,32bを、複数の光変換部材4を所定通りに切り換えることができるように構成された切換装置5により、複数の光変換部材4を切り換えながら複数の色光4a,4bを射出し、これを合成することにより色純度と光量のバランスを変化しうるようにしたものである。また、本発明に係る投写型映像表示装置はこのような照明装置1を用いたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を複数の色の光に変換して順次射出する照明装置、並びにこのような照明装置を用いた投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DMD(Digital Micromirror Device)と略称されているマイクロミラー素子からなる反射型表示素子を用いた投写型映像表示装置がある。また、この投写型映像表示装置には、光源からの白色光を順次赤色波長領域の光(以下単に赤色光という)、緑色波長領域の光(以下単に緑色光という)、青色波長領域の光(以下単に青色光という)に色時分割し、色時分割された照明光を順次射出する照明装置が用いられている。
【0003】
このような照明装置を用いた投写型映像表示装置は、例えば図9に示すように構成されていた。
この投写型映像表示装置は、光源からの全方位光である白色光を色時分割し、均一な輝度として射出する照明装置110が用いられている。そして、この投写型映像表示装置は、照明装置110と、照明装置110から順次射出される各色光の光束を目的物へガイドするガイド光学系120と、ガイド光学系120から順次照射されるカラー照明光を光変調する変調装置130と、変調された映像光を投影する投写レンズ140とから構成されている。
【0004】
照明装置110は、光源111として、全方位光である白色光を発生するキセノンランプや超高圧水銀ランプ等の放電ランプ111aを備えた白色光源が用いられている。この光源111は、回転放物面状の鏡面を有するリフレクタ111bの焦点位置に放電ランプ111aを設けたものである。そして、放電ランプ111aから放射された光は、リフレクタ111bによって反射され、白色スポット光111cとして光源111から出射される。
【0005】
また、この照明装置110は、光源111から出射された白色スポット光111cを色時分割する装置としてカラーホイール112が用いられている。カラーホイール112は、ホイールの中心を回転中心として回転するように構成された円盤状物体であって、この円盤状物体の一定円周上に、赤色光を透過するフィルタ(Rフィルタ)112R、緑色光を透過するフィルタ(Gフィルタ)112G及び青色光を透過するフィルタ(Bフィルタ)112Bが回転方向に向かって順次配置されている。これらフィルタ112R,112G,112Bはガラス部材により構成されている。また、このカラーホイール112は、光源111から出射された白色光が所定半径上に配列されているフィルタ112R,112G,112B上にスポット光として照射されると、各フィルタ112R,112G,112Bにおける透過作用により赤色光、緑色光及び青色光が順次抽出されて透過されるように構成されている。
【0006】
また、この照明装置110では、カラーホイール112から透過された光束を均一な輝度分布の色光とするために、ガラス等の角棒体からなるロッドインテグレータ113が設けられている。カラーホイール112からこのロッドインテグレータ113に導入された色光は、ロッドインテグレータ113の内面で繰り返し反射されることにより輝度分布が均一な光となって出射される。
【0007】
また、上記照明装置110を備えた投写型映像表示装置において、照明装置110から出射された光をガイドするガイド光学系120は、コンデンサレンズ121、123及び全反射ミラー122等の機器から構成されており、これら機器により照明装置110から出射された光を変調装置130へ照射するように構成されている。
【0008】
変調装置130は、DMD131と略称されているマイクロミラー素子及びアブソーバ(吸収体)132を用いたものであって、ディジタル光変調が行われる。また、変調装置130は、ガイド光学系120を介して照明装置110から順次照射される赤色光、緑色光及び青色光に同期して映像信号が提供され、各色光毎に映像信号によりDMD131がオンオフ制御され、かつ、スイッチングレシオが制御されて光変調される。すなわち、所謂PWM制御により光変調される。
【0009】
また、この投写型映像表示装置においては、このようにして光変調されたカラー映像光が、人の目には合成された映像として投写レンズ140を介してスクリーン等に投影されている。図9に示す照明装置及びこれを用いた投写型映像表示装置は以上のようなものである。これを従来技術Aと称する。なお、このような従来技術Aは、例えば特許文献1に記載されている。
【0010】
また、上記照明装置及びこれを用いた投写型映像表示装置に類似するものとして、光源として、蛍光体を励起する励起用光源が用いられるとともに、カラーホイールとして、光源からの出射光により励起されて赤色光、緑色光及び青色光を発光する蛍光体層が一定半径上において周方向に配列されて用いられるものがある。このような照明装置及びこれを用いた投写型映像表示装置を従来技術Bと称する。なお、このような従来技術Bは、例えば特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−85813号公報
【特許文献2】特開2004−325874号公報、段落0057−0064
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで従来技術Aにおける照明装置110は、フィルタ112R,112G,112Bにより光源111から出射される白色光から赤色光、緑色光及び青色光を抽出して透過する構成である。このため、照明装置110は、色純度を良くしようとすると光源111から出射される光量のうち利用される光量が少なくなり、逆に、輝度を向上させるために光量を多くしようとすると色純度を犠牲にしなければならないという問題があった。すなわち、色純度と光量とはトレードオフの関係にあった。
【0013】
また、この従来技術Aの場合は、色純度と光量のバランスはカラーホイール112の仕様に依存し、特に原色の色純度はカラーホイール112を構成するフィルタ112R,112G,112Bのフィルタ特性で一意的に決定される。このため、色純度と光量のバランスを変更するには、異なるフィルタ特性を備えたカラーホイールに変更しなければならず、対応が複雑になるという問題があった。
【0014】
なお、色純度と光量のバランスを改善する方法として、原色の赤色光、緑色光及び青色光用のフィルタ112R,112G,112B以外に黄色やシアン色などを加える方法もあるが、この場合にはカラーホイール112の1回転に対し原色(赤色光、緑色光及び青色光)の占める割合が減少するため、原色を多用する映像では暗くなるという問題があった。また、色純度と光量のバランスを変更するには、異なるフィルタ特性を備えたカラーホイールに変更しなければならず、この点に関しこの方法は何ら解決されていない。
【0015】
一方、従来技術Bは、光源から出射される光がカラーホイールに配列された蛍光体層により赤色光、緑色光及び青色光に変換されるように構成されているため、色純度を向上させようとすると光量が低下するという関係においては従来技術Aと略同一である。また、色純度と光量とのバランスも、カラーホイールに配列された蛍光体層の特性により一意的に決定されるため、このバランスを変更するには異なる特性の蛍光体層が配列されたカラーホイールに変更することを余儀なくされる点においても、従来技術Aと同様の問題があった。
【0016】
しかしながら、近年は色の再現性を重視する用途、明るさを重視する用途などのように用途が多様化し、これに対応してニーズの多様化が進んでいる。これに対し、従来技術A及びBは、上述のようにカラーホイールの特性により色純度と光量とのバランスが一意的に定められるため、このようなニーズの多様化に対応することが困難になりつつあるという問題があった。
【0017】
本発明は、このような背景に基づき、色純度と光量とのバランスを可変とすることによりニーズの多様化に対応できるようにした照明装置及びこれを用いた投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明に係る照明装置は、一方向に偏光方向が揃った偏光光を射出する光源と、光源から射出された偏光光を、分割比率調整可能に複数の偏光光に分割することのできる光分割部材と、光分割部材から射出された複数の偏光光それぞれを予め設定された異なる複数の色光に変換するための複数の光変換部材と、これら複数の光変換部材の配列と切換えにより、入射される複数の偏光光を同時に予め定められた順序に従い色変換する切換装置と、切換装置から同時に射出される異なる色に色変換された複数の色光を合成して射出する合成装置とを備えていることを特徴とする。
【0019】
このように構成されていると、光源から照射される偏光光を、光分割部材により任意の比率で複数の偏光光に分割することができる。また、分割された複数の偏光光は、切換装置に配列された光変換部材により、同時にかつ予め設定された順序で異なる色光に色変換されるとともに、合成装置において合成されて射出される。したがって、この照明装置は、光分割部材における偏光光の分割比率を調節することにより、出射される照明光の色度を、合成される複数の色光の色度の中間の任意の色度とすることができる。
【0020】
具体的には、複数の偏光光は、複数の光変換部材により例えば同時に異なる色度の赤色光系に変換され、次には、異なる色度の緑色光系に変換され、次いで、異なる色度の青色光系に変換され、以後これが繰り返される。また、このように切換装置で同時に色変換された複数の色光は、合成装置により合成されるので、合成されて出射される照明光は、複数の色光の色度の中間に位置する色度となる。また、その色度は、合成される色光の光量により変化するので、光分割部材における分割比率を任意に調節できるようにしておけば、合成光の色度を可変とすることができる。したがって、この照明装置は、赤色光系、緑色光系、及び青色光系の単色の色光を順次出射することができるとともに、光分割部材における分割比率を任意に調節することにより単色色純度を動的に変化させることができる。したがって、この照明装置は投写型映像表示装置用として好適である。
【0021】
また、前記光源は、半導体レーザにより構成されていることが好ましい。
このように構成されていると、一方向に偏光方向が揃った偏光光を射出する光源としては簡略な構成とすることができる。
【0022】
また、前記光分割部材は、光源から射出された一方向の偏光光の偏光方向を調整可能に回転して出射する1個又は複数個の偏光回転素子と、入射する偏光光の偏光方向により異なる比率で二つの偏光光に分離する1個又は複数個の偏光ビームスプリッタとが組み合わされて構成されているようにすることができる。
【0023】
このように構成すると、偏光回転素子により偏光光の偏光方向の回転角度を変更することができ、これにより偏光ビームスプリッタにおける二つの偏光光の分割光量を容易に変更することができる。光源からの偏光光を二つに分割する場合は、1個の偏光回転素子と1個の偏光ビームスプリッタにより可能となるが、これをさらに分岐するには、分岐する偏光光に対しさらにこれら機器の一対の組合せを付加すればよい。
【0024】
前記偏光回転素子は、旋光性を有する液晶素子により構成され、液晶素子に印加する電圧を調整することにより偏光方向を調整できるように構成されていることが好ましい。
このように構成されていると、偏光光の偏光方向の回転角度を電気的に調整することができるので、この照明装置及びこの照明装置を用いた応用機器における制御装置を簡略化することができる。
【0025】
前記光源は紫外光を発光する光源からなり、前記光変換部材は紫外光が照射されることにより励起されて予め設定された色度の色光を発光する蛍光体層からなり、前記切換装置は透明基板を備えるとともに、回転ホイール状に形成され、さらに、透明基板の出射側表面に、異なる色度の色光を発光するための蛍光体層からなる複数の光変換部材が予め設定された順序で円周方向に配列されていることが好ましい。
【0026】
このように構成されていると、光源から分割されて導入される偏光光が切換装置に照射されることにより、それぞれの偏光光により、予め設定された順序で円周方向に配列された光変換部材を成す蛍光体層が順次励起され、所定の色度の色光が順次射出される。また切換装置は、回転ホイール状に形成されているので、光を容易に色時分割できる装置として構成される。
【0027】
また、前記切換装置は、回転ホイールが外周側領域と内周側領域とに大きく区分けされるとともに、外周側領域は赤色光、緑色光、及び青色光の原色用の蛍光体層からなる光変換部材が配列されるように分割され、内周側領域はこの原色を色調整する蛍光体層からなる光変換部材が配列されるように構成されていることが好ましい。
【0028】
このように構成されていると、回転ホイール1回転に対し赤色光、緑色光、及び青色光の原色の占める割合が減少しないため、原色を多用する映像でも明るくすることができる。
【0029】
また、このような各照明装置において、合成装置は、前記切換装置から順次出射される異なる色度の色光を合成するとともに、その輝度分布を均一化する導光部材であることが好ましい。
【0030】
このような合成装置を備えていることにより、切換装置から順次出射される異なる色度の色光が合成されるとともに、均一な輝度分布の照明光として射出される。
また、本発明に係る投写型映像表示装置は、上記記載の照明装置と、この照明装置から照射された色光を映像信号に基づいて光変調する変調装置と、変調装置で光変調された映像光を拡大投写する投写レンズとを備えていることを特徴とする。
【0031】
このように構成されていると、単色色純度と光量とのバランスを動的に変化させることのできる照明装置を用いているので、投写映像の色の再現性を向上することができる。また、照明装置の色純度と光量とのバランスを変更することにより、色純度優先の用途や光量優先の用途にも素早く対応することができる。また、応答速度の速い変更回転素子を用いると、単色色純度をフレーム毎に変更し、xy色度図上における広い領域で映像を表示することができる。
【0032】
また、前記投写型映像表示装置において、前記偏光回転素子は、旋光性を有する液晶素子により構成されるとともに、液晶素子に印加する電圧を調整することにより入射された偏光光の偏光方向を調整できるように構成され、さらに、映像信号に応じて偏光回転素子により入射された偏光光の偏光方向の回転角度が調節されるように構成されているようにしてもよい。このように構成されていると、映像信号に応じた調節により自動的に色純度と光量のバランスが調節され、色再現性の高い映像を提供することができる。
【0033】
また、前記投写型映像表示装置において、前記偏光回転素子は、旋光性を有する液晶素子により構成されるとともに、液晶素子に印加する電圧を調整することにより入射された偏光光の偏光方向を調整できるように構成され、さらに、手入力の信号により入射された偏光光の偏光方向の回転角度が調節されるように構成されているようにしてもよい。このように構成されていると、操作者が自分の好みや用途の特性に応じ随時色純度と光量のバランスを変更することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る照明装置によれば、出射される照明光は、光分割部材における偏光光の分割比率を調節することにより、合成される複数の偏光光の色度の中間の任意の色度とすることができる。したがって、この照明装置は、赤色光系、緑色光系、及び青色光系の単色の色光を順次出射することができるとともに、光分割部材における分割比率を任意に調節することにより単色色純度を動的に変化させることができるので、投写型映像表示装置の照明装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置の概略構成図である。
【図2】同照明装置における光分割作用の説明図である。
【図3】同照明装置における蛍光体カラーホイールの説明図である。
【図4】同照明装置で表現されるxy色度図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る投写型映像表示装置の概略構成図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る投写型映像表示装置の概略構成図である。
【図7】同投写型映像表示装置における蛍光体カラーホイールの出射側表面図である。
【図8】変形例に係る蛍光体カラーホイールの側面図である。
【図9】従来の照明装置及び投写型映像表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る照明装置1について、図1〜図4に基づいて説明する。
【0037】
本発明の実施の形態1に係る照明装置1は、図1に示すように、光源2と、光源2から射出された偏光光を任意の比率で分割することのできる光分割部材3と、光分割部材3から射出された二つの偏光光を複数の色に変換するための複数の光変換部材4と、複数の光変換部材4が順次切り換えられるように構成された切換装置5とを備えている。また、照明装置1は、切換装置5から順次出射される異なる色の複数の色光を合成して輝度を均一化をするための合成装置6を備えている。
【0038】
光源2は、一方向に偏光方向が揃った偏光光2aとして紫外線を放出する半導体レーザが用いられている。また、光源2としては、半導体レーザが複数列配列されたアレイ状のもの(不図示)を用いることができる。
【0039】
光分割部材3は、図1及び図2に示すように、光源2から射出された一方向の偏光光2a、すなわち直線偏光光を任意の偏光方向に回転して出射する偏光回転素子31と、偏光ビームスプリッタ32とから構成されている。
【0040】
偏光回転素子31としては、旋光性を有する液晶素子、例えばTNモード(ツイステッドネマティックモード)の液晶層からなる液晶偏光回転素子が用いられている。液晶偏光回転素子に対し、偏光光の偏光方向2bが液晶分子のディレクタと平行になるようにして光源2からの偏光光2aが入射される。入射された偏光光は、図2に示すように、液晶層の旋回性により偏光光の偏光方向31aが回転されて出射される。この回転角度αは、最大90度であるが液晶層に印加される電圧により調整することができる。図2においては、回転後の偏光光の偏光方向31aを示す。
【0041】
偏光ビームスプリッタ32は、入射した光をP偏光光とS偏光光とに分離するものである。図1及び図2に示すように、偏光ビームスプリッタ32は、二つのプリズム33,34がアレイ状に形成されたものであって、光が入射される方のプリズム33には、P偏光が透過されS偏光光が反射される薄膜35がコーティングにより施され、他方のプリズム34には、反射されたS偏光を出射側へ反射するミラー36が取り付けられている。したがって、この偏光ビームスプリッタ32においては、入射される偏光光の偏光方向31aが異なると、入射される偏光光のP偏光成分とS偏光成分とが異なるため、出射されるP偏光光である偏光光32aとS偏光光である偏光光32bとの比率も変わることになる。
【0042】
したがって、上記のように直線偏光光を任意の偏光方向31aに回転して出射する偏光回転素子31としての液晶偏光回転素子と偏光ビームスプリッタ32とが組み合わされた構成にすれば、偏光ビームスプリッタ32により入射される偏光光をP偏光光である偏光光32aとS偏光光である偏光光32bとに分割することができる。また、液晶偏光回転素子における直線偏光の回転角度αにより、その分割比率を変えることができる。なお、この回転角度αの調整は、液晶偏光回転素子に印加する電圧を調整することにより行うことができる。
【0043】
次に、光変換部材4であるが、これは切換装置5と一体的に構成されているので、両者を以下に同時に説明する。
切換装置5は、光変換部材4を順次切り換えられるように構成されたものであって、具体的には所謂蛍光体カラーホイール51からなる。切換装置5は、図1に示すように、中心に回転軸52を備え、この回転軸52がモータ53により回転するように構成されている。ここで、光変換部材4は、偏光光を所定の色光に変換する部材をいい、所定の波長の色光を選択的に透過するガラス部材から形成された所謂カラーフィルタや、紫外光などの励起光を照射すると励起されて異なる所定の色光を発生する蛍光体層などを包含する概念である。なお、この実施の形態における光変換部材4は後者のもので構成されている。この詳細は以下の説明によるものとする。
【0044】
蛍光体カラーホイール51は、図1に示すように、透明基板54と、透明基板54の入射側表面に形成された可視光反射膜55と、透明基板54の出射側に形成された蛍光体層56とを備えている。
【0045】
前述の透明基板54は、光源2を成す半導体レーザからの紫外光に対し透明な光学特性を有する材料からなるものであって、例えばフェーズドシリカや石英ガラス等が用いられている。
【0046】
可視光反射膜55は、紫外光を透過して可視光を反射させるものであって、紫外線反射特性を持たせたコールドミラーや、誘電多層膜からなるバンドパスフィルターが使用される。
【0047】
蛍光体層56は、紫外光を予め設定された色の可視光に変換させる波長変換層であって、内周側領域57と外周側領域58とに区分けされている。そして、図3に示すように、外周側領域58には切換装置5からの射出される偏光光32aが照射されるとともに,内周側領域57には偏光光32bがスポット光として照射されるように構成されている。なお、図3における蛍光体カラーホイール51は、出射側の蛍光体層56のみの構成が模式的に示されている.
また、蛍光体層56は、スポット光が照射される内周側領域57及び外周側領域58は、同一角度の半径方向の仕切線でそれぞれが3等分され、計6個の領域に区分けされている。このように区分けされた各領域の蛍光体層56は、本発明における光変換部材4の個々の部分、すなわち、複数の光変換部材4Ra、4Ga,4Ba,4Rb、4Gb,4Bbを形成している。各光変換部材4Ra、4Ga,4Ba,4Rb、4Gb,4Bbは、光源2からの励起光をそれぞれの所定の色光に変換することのできるように、各種蛍光物質を所定の濃度、所定の配合比になるように合成樹脂溶液に含有させ、透明基板54の出射側表面上に所定厚みに塗布、乾燥させて設けられている。
【0048】
また、蛍光体層56は、内周側領域57と外周側領域58とで対を成す領域には同一系統の色度の色光を発光するように対応されている。すなわち、光変換部材4Ra、4Rbは赤色光系に形成され、光変換部材4Ga、4Gbは緑色光系に形成され、光変換部材4Ba、4Bbは緑色光系に形成されている。また、これら領域の光変換部材により変換される色度は、図4のxy色度図に示す刺激値に設定されているものであって、外周側領域58の光変換部材4Ra,4Ga,4Baには赤色光、緑色光、及び青色光の原色用の蛍光体層が配列され、内周側領域57の光変換部材4Rb,4Gb,4Bbにはこれら原色を色調整する蛍光体層が配列されている。
【0049】
光変換部材4及び切換装置5は以上のように構成されているので、光分割部材3により分割された偏光光32a,32bは、切換装置5の外周側領域58及び内周側領域57に入射されて、赤色光系統の色光、緑色光系統の色光、青色光系統の色光に順次色変換され、色時分割された色光4a,4bとなって合成装置6へ出射される。
【0050】
合成装置6は、切換装置5から色時分割されて出射される異なる色の色光4a,4bを合成するものである。なお、この実施の形態における合成装置6は、輝度分布を均一にすることができるようにとの配慮から、ガラス等の透明な角棒体からなるロッドインテグレータにより構成されている。前述のように、この合成装置6には、切換装置5から予め設定された色度の色光に変換された二つの色光4a,4bが色時分割されて同時に導入される。そして、導入された二つの色光4a,4bは、ロッドインテグレータの内面で繰り返し反射されることにより合成されるとともに輝度分布が均一な光となって出射される。したがって、本実施の形態にかかる照明装置1から出射される出射光は、図4のxy色度図における6R,6G,6Bに示される刺激値の色度の色光に時分割される。
【0051】
以上のように構成された実施の形態1に係る照明装置は、次のように動作する。
光源2から出射された一方向の偏光光2aである白色レーザ光は、光分割部材3を構成する偏光回転素子31により偏光方向2bが回転される。回転後の偏光方向31aの回転角度αにより、光分割部材3を構成する偏光ビームスプリッタ32に導入される光のP偏光成分の光量及びS偏光成分の光量が変化し、偏光ビームスプリッタ32により分割されるP偏光成分の偏光光32aとS偏光成分の偏光光32bとの分割比率が変化する。また、偏光回転素子31における偏光方向31aの回転角度αは、この照明装置1の制御信号により液晶層に印加される電圧を変化させることにより調整される。この制御信号は、照明装置1が投写型映像表示装置に用いられる場合には映像信号である。また、照明光の色度を好みのレベルするために手動により液晶層に印加する電圧を変化できるように構成してもよい。
【0052】
このようにして、光分割部材3で2分割された偏光光32a,32bは、複数の光変換部材4、すなわち、光変換部材4Ra、4Ga,4Ba,4Rb、4Gb,4Bbが順次切り換えられるように構成された切換装置5としての蛍光体カラーホイール51の内周側領域57及び外周側領域58の所定位置に対しスポット光として導入される。そして、このスポット光が透明基板54及び可視光反射膜55を透過して、複数の光変換部材4Ra、4Ga,4Ba,4Rb、4Gb,4Bbを構成する蛍光体層56に照射され、蛍光体層56が励起されて所定の色の全方位の可視光が発光される。また、蛍光体層56で発光された色光のうち入射側に向けて発光された色光は、可視光反射膜55により出射側へ反射されるので、略全ての変換光が出射側へ射出される。
【0053】
なお、この切換装置5に入射された二つの偏光光32a,32bが照射される光変換部材4は、蛍光体カラーホイール51が回転することにより赤色光系の色光を発光する光変換部材4Ra,4Rb、緑色光系の色光を発光する光変換部材4Ga,4Gb、青色光系の色光を発光する光変換部材4Ba,4Bbへと順次切り変えられる。これに伴い切換装置5から出射される二つの二つの色光4a,4bは、二つの赤色光系の色光(4Ra,4Rbの刺激値)、二つの緑色光系の色光(4Ga,4Gbの刺激値)、二つの青色光系の色光(4Ba,4Bbの刺激値)へと順次切り換えられて、すなわち色時分割されて合成装置6へ射出される。
【0054】
そして、合成装置6へ射出された二つの色光4a,4bは、合成装置6を構成するロッドインテグレータにより合成され、その色度をxy色度図における6R,6G,6Bで表示される個所の刺激値に順次変換されながら出射される。また、この出射光は、ロッドインテグレータにおいて輝度分布均一な色光として出射される。
【0055】
以上のように構成された実施の形態1に係る照明装置1によれば、次の効果を奏することができる。
(1)光分割部材3における偏光光の分割比率を調節することにより、この照明装置1から出射される照明光の色度を、合成される複数の色光4a,4bの色度の中間の任意の色度とすることができる。したがって、この照明装置1は、赤色光系、緑色光系、及び青色光系の単色の色光を色時分割して順次出射することができるとともに、光分割部材3における分割比率を任意に調節することにより単色色純度を動的に変化させることができるので、投写型映像表示装置の照明装置として好適である。
【0056】
(2)また、光源2は、半導体レーザにより構成されているので、一方向に偏光方向2bが揃った偏光光2aを射出する光源としては簡略な構成とすることができる。
(3)また、光分割部材3は、光源2から射出された一方向の偏光光2aを任意の偏光方向31aに回転して出射する偏光回転素子31と、入射する偏光光の偏光方向31aにより異なる比率で二つの偏光に分離する偏光ビームスプリッタ32とが組み合わされて構成されている。したがって、偏光回転素子31により偏光光の偏光方向31aの回転角度αを変更することにより、偏光ビームスプリッタ32における二つの偏光光32a,32bの分割比率を容易に変更することができる。
【0057】
(4)また、偏光回転素子31は、旋光性を有する例えばTNモードの液晶素子により構成され、液晶素子に印加される電圧を調整することにより偏光方向31aを調整できるように構成されているので、偏光方向31aの回転角度αを電気的に調整することができる。したがって、この照明装置1及びこの照明装置1を用いた応用機器における制御装置を簡略化することができる。
【0058】
(5)また、光源2は紫外光を発光する光源であり、光変換部材4は紫外光が照射されることにより励起される蛍光体層56からなる。また、切換装置5は透明基板54を備えるとともに、回転ホイール状に形成され、さらに、透明基板54の出射側表面に異なる色光を発光するための蛍光体層からなる複数の光変換部材4が予め設定された順序で配列されている。したがって、光源2から分割されて導入される偏光光32a,32bが切換装置5に照射されると、それぞれの偏光光32a,32bが予め設定された順序で配列された複数の光変換部材4Ra、4Ga,4Ba,4Rb、4Gb,4Bbの蛍光体層を順次励起して所定の色度の色光が順次射出される。また切換装置5は、回転ホイール状に形成されているので光を容易に色時分割できる装置として構成される。
【0059】
(6)また、切換装置5は、回転ホイールの出射側表面を外周側領域58と内周側領域57とに大きく分けるとともに、外周側領域58には赤色光、緑色光、及び青色光の原色用の蛍光体層を配列するように分割し、内周側領域57にはこの原色を色調整する蛍光体層を配列するように構成されている。したがって、回転ホイール1回転に対し赤色光、緑色光、及び青色光の原色の占める割合が減少しないため、原色を多用する映像でも明るくすることができる。
【0060】
(7)また、合成装置6は、切換装置5から順次出射される異なる色度の色光4a,4bを合成するとともに、その輝度分布を均一化する導光部材であるので、均一な輝度分布の照明光を射出することができる。
【0061】
(実施の形態2)
次に実施の形態2について、図5に基づき説明する。
実施の形態2は、実施の形態1に係る照明装置を用いた投写型映像表示装置である。なお、この実施の形態1における照明装置については、実施の形態1における符号と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
この実施の形態に係る投写型映像表示装置は、実施の形態1に係る照明装置1と、照明装置1から照射された色光を変調装置へガイドするガイド光学系7と、映像信号に基づいて光変調する変調装置8と、変調装置8で変調された映像光を拡大投写する投写レンズ9とを備えている。
【0063】
ガイド光学系7は、コンデンサレンズ71,72、全反射ミラー73等により構成されており、照明装置1から出射された色光を変調装置8へと導いている。
変調装置8は、一般にDMD(Digital Micromirror Device)81と略称されているマイクロミラー素子及びアブソーバ(吸収体)82を用いたものであって、ディジタル光変調が行われる。
【0064】
DMD81は、約50万〜130万個のマイクロミラー素子がマトリックス状に敷き詰められた構造の半導体集積光スイッチであり、画像フレームにおける画素と、DMD81におけるマイクロミラー素子とが対応するように配列されている。DMD81のマイクロミラー素子は、オンとオフの状態で±10度程度傾斜が変化するように支柱に取り付けられており、オン状態において、マイクロミラー素子から反射された光は投写レンズ9を通してスクリーン(不図示)に投影されるように反射される。また、DMD81のマイクロミラー素子は、オフ状態において、マイクロミラー素子から反射された光はオン状態の光線から約20度傾斜する方向に配置されたアブソーバ82に吸収されるように反射される。
【0065】
このように構成されたDMD81は、蛍光体カラーホイール51を用いた照明装置1から順次入射される赤色光系の色光、緑色光系の色光及び青色光系の色光に同期して、マイクロミラー素子がオンオフされるとともにスイッチングレシオが制御される、所謂PWM制御により光変調される。
【0066】
投写レンズ9は、DMD81のマイクロミラー素子がオン状態となって反射された出射光を、その光束を拡大してスクリーン等の投写面(不図示)に投写するものであって、レンズ収差を小さくするために複数枚のレンズが組み合わされている。また、この投写レンズ9は、実際には、マイクロミラー素子のオン状態の光線が正面方向に出射されることに応じ、その光軸をマイクロミラー素子から出射される光の光軸と一致させるように配置されている。
【0067】
以上のように構成された投写型映像表示装置は次のように動作する。
照明装置1から出射された照明光は、コンデンサレンズ71,72、全反射ミラー73を経て変調装置8を構成するDMD81に導かれ、入力される映像信号に応じて光変調される。ここで蛍光体カラーホイール51とDMD81とは同期制御されており、蛍光体カラーホイール51が回転して各光変換部材4Ra、4Ga,4Ba,4Rb、4Gb,4Bbが切り換わり各色光がDMD81に照射されるのに合わせてDMD81も各色光の映像に順次切り換えて表示される。また、液晶偏光回転素子からなる偏光回転素子31についても、各映像モード又は各シーンに応じて最適な色純度と成るように同期制御が行われる。そして、DMD81を経て得られた変調光(すなわち、各色映像光)は、投写レンズ9によって拡大され、図示しないスクリーン上に投影される。
【0068】
以上のように構成された実施の形態2に係る投写型映像表示装置によれば、次のような効果を奏することができる。
(8)単色色純度と光量とのバランスを動的に変化させることのできる照明装置1を用いているので、投写映像の色の再現性を向上することができる。
【0069】
(9)偏光回転素子31を成す液晶偏光回転素子の印加電圧を映像信号により調節して照明装置の色純度と光量とのバランスを変更することにより、xy色度図上における広い領域で映像を表示することができる。これにより、色再現性の高い映像を提供することができる。
【0070】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1の照明装置1において、光源から出射される偏光光2aを任意の比率で3分割するように変更した照明装置である。これを図6及び図7に基づき説明する。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
この場合は、図6に示されるように、光分割部材3は、実施の形態1の場合と同様に、光源2から射出された一方向の偏光光2aを任意の偏光方向に回転して出射する偏光回転素子31と、この偏光回転素子31により偏光方向が変更された偏光光を2分割する偏光ビームスプリッタ32を有する。そして、この実施の形態の場合は、偏光ビームスプリッタ32から射出された二つの偏光光32a,32bのうちの一方の偏光光32b(この場合S偏光)を、さらに任意の比率で2分割するようにするために、偏光光32bの光路上に偏光回転素子37と、偏光ビームスプリッタ38とを設けている。
【0072】
このように構成すると、実施の形態1の場合におけると同様の原理により、一方の偏光光32bを任意の分割比で偏光光32b1と偏光光32b2とに2分割することができる。これにより光源2から射出された一方向の偏光光2aを任意の分割比率で3分割することができる。
【0073】
また、このように3分割された偏光光32a,32b1,32b2をそれぞれ異なる色光に変換するために、図7及び図8に示すように、実施の形態1における蛍光体カラーホイール51の蛍光体層56を径方向に3層に区分けしている。また、これら3層をそれぞれ円周方向に3等分した領域を形成するとともに各領域を個々の光変換部材4Ra、4Ga,4Ba,4Rb、4Gb,4Bb,4Rc、4Gc,4Bcとし、これらをそれぞれ異なった色光に変換するように構成している。
【0074】
実施の形態3に係る照明装置は、以上のように構成されているので次のような効果を奏することができる。
(10)実施の形態1の場合に比較すると、より多くの色度の色光を利用することができるので、よりきめ細かな色純度の照明光を射出することができる。したがってこれを用いる投写型映像表示装置は、より色再現性の高い映像を提供することができる。
【0075】
(変形例)
・光源2は、前記実施の形態においては、単一波長の偏光光を出射する半導体レーザが用いられているが、これに限定されるものではなく、全方位光である白色光を発生する放電ランプを備えた白色光源を用いてもよい。ただしこの場合は、偏光変換素子により光源から出射される光を一方向に変更された偏光光にすることが必要となる。
【0076】
・偏光回転素子31は、液晶回転表示素子に限ったものではなく、他のものを用いてもよい。
・前記実施の形態においては、光源2から出射される偏光光2aを2分割及び3分割する例について述べたが、同様に原理により4分割以上するように構成してもよい。
【0077】
・光変換部材4は、前記実施の形態においては、蛍光体層が用いられているが、前述のように所定の波長の色光を選択的に透過するガラス部材から形成された所謂カラーフィルタを用いるようにしてもよい。
【0078】
・蛍光体カラーホイール51において、可視光反射膜55は透明基板54の入射側表面ではなく、図8に示すように、透明基板54の出射側表面に形成し、この可視光反射膜55の出射側表面に蛍光体層56を形成するようにしてもよい。このように構成しても、先の実施の形態の場合と同様の作用効果をそうすることができる。
【0079】
・合成装置6は、ロッドインテグレータに代わり断面四角形で、内面をミラーに形成された筒状のライトトンネルとしてもよい。これを用いても同様の効果を奏することができる。また、合成装置6は、複数の色光を合成のみし、色光の輝度分布の均一化作業を行わないものも包含されるものとする。
【0080】
・また、本発明における照明装置は、前記実施の形態においては、実施の形態2において必要とされるガイド光学系7を含めた概念としてもよい。
・前記実施の形態においては、変調装置8として反射型表示素子であるDMD81を用いているが、透過型の液晶表示素子等により光変調するようにしてもよい。
【0081】
・前記実施の形態2においては、液晶偏光回転素子に印加する電圧を映像信号に基づき調整し画面毎に色純度と光量とのバランスを制御するものについて述べていたが、これを操作者が操作部を操作することにより手作業で変更できるようにしてもよい。このようにすれば、用途や使用者の好みに応じて色再現性や明るさを調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る投写型映像表示装置は、ホームシアター、会議室、研修室、教室、娯楽場、各種展示室、スタジオなど多方面の施設における映像表示システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
α…回転角度、1…照明装置、2…光源、2a,32a,32b,32b1,32b2…偏光光、2b,31a…偏光方向、3…光分割部材、4,4Ra、4Ga,4Ba,4Rb、4Gb,4Bb,4Rc、4Gc,4Bc…光変換部材、4a,4b…色光、5…切換装置、6…合成装置、8…変調装置、9…投写レンズ、31,37…偏光回転素子、32,38…偏光ビームスプリッタ、54…透明基板、56…蛍光体層、57…内周側領域、58…外周側領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に偏光方向が揃った偏光光を射出する光源と、
光源から射出された偏光光を、分割比率調整可能に複数の偏光光に分割することのできる光分割部材と、
光分割部材から射出された複数の偏光光それぞれを予め設定された異なる複数の色光に変換するための複数の光変換部材と、
これら複数の光変換部材の配列と切換えにより、入射される複数の偏光光を同時に予め定められた順序に従い色変換する切換装置と、
切換装置から同時に射出される異なる色に色変換された複数の色光を合成して射出する合成装置とを備えている
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置において、
前記光源は、半導体レーザにより構成されている
ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の照明装置において、
前記光分割部材は、光源から射出された一方向の偏光光の偏光方向を調整可能に回転して出射する1個又は複数個の偏光回転素子と、入射する偏光光の偏光方向により異なる比率で二つの偏光光に分離する1個又は複数個の偏光ビームスプリッタとが組み合わされて構成されている
ことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3記載の照明装置において、
前記偏光回転素子は、旋光性を有する液晶素子により構成され、液晶素子に印加する電圧を調整することにより偏光方向を調整できるように構成されている
ことを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の照明装置において、
前記光源は、紫外光を発光する光源であり、
前記光変換部材は紫外光が照射されることにより励起されて予め設定された色度の色光を発光する蛍光体層からなり、
前記切換装置は透明基板を備えるとともに、回転ホイール状に形成され、さらに、透明基板の出射側表面に、異なる色度の色光を発光するための蛍光体層からなる複数の光変換部材が予め設定された順序で円周方向に配列されている
ことを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項5記載の照明装置において、
回転ホイールを外周側領域と内周側領域とに区分するとともに、外周側領域は赤色光、緑色光、及び青色光の原色用の蛍光体層からなる光変換部材が配列されるように分割され、内周側領域はこの原色を色調整する蛍光体層からなる光変換部材が配列されるように構成されている
ことを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の照明装置において、
前記合成装置は、前記切換装置から順次出射される異なる色度の色光を合成するとともに、その輝度分布を均一化する導光部材である
ことを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の照明装置と、
この照明装置から照射された色光を映像信号に基づいて光変調する変調装置と、
変調装置で光変調された映像光を拡大投写する投写レンズとを備えている
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項9】
請求項8記載の投写型映像表示装置において、
前記偏光回転素子は、旋光性を有する液晶素子により構成されるとともに、液晶素子に印加する電圧を調整することにより入射された偏光光の偏光方向を調整できるように構成され、さらに、映像信号に応じて偏光回転素子により入射された偏光光の偏光方向の回転角度が調節されるように構成されている
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項10】
請求項8記載の投写型映像表示装置において、
前記偏光回転素子は、旋光性を有する液晶素子により構成されるとともに、液晶素子に印加する電圧を調整することにより入射された偏光光の偏光方向を調整できるように構成され、さらに、手入力の信号により入射された偏光光の偏光方向の回転角度が調節されるように構成されている
ことを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113224(P2012−113224A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263799(P2010−263799)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】