説明

照明装置

【課題】より簡便な構成で、使用環境や経時変化に伴う色ずれを抑え、安定して所望の色調の混色光を得ることが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】発光色の異なる複数個の発光装置10b,10yの光出力比を制御する制御装置を備え、発光装置10b,10yから放射された混色光における色調を可変とする照明装置20であり、発光装置10b,10yは、LEDチップ(発光素子)1から放射された光の少なくとも一部を吸収し波長変換した蛍光を発する第一の波長変換部2を備え、複数個の発光装置10b,10yのうち、一部には、LEDチップ1または第一の波長変換部2の少なくとも一方から放射された光の少なくとも一部をLEDチップ1および第一の波長変換部2から放射された光の発光色とは異なる発光色に波長変換する第二の波長変換部4yを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光色の異なる複数個の発光装置を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、R(赤色),G(緑色),B(青色)の光を高出力に発光可能なLEDチップなどの半導体発光素子からなる発光素子を用いた発光装置が開発されている。また、LEDチップなどの半導体発光素子からなる発光素子と、該発光素子を被覆し、該発光素子からの光の少なくとも一部を吸収し波長変換して補色となる蛍光を発する蛍光体が含有された透光性部材からなる波長変換部とを備え、たとえば、発光素子からの青色光と波長変換部からの黄色光とを混色した白色光を放射する発光装置も開発されている。これらの発光装置は、各発光素子の光出力の高効率化にともない照明装置にまで利用されている。
【0003】
ところで、これら発光装置を利用した照明装置では、照明装置から放射する光の色調を所望の色温度の白色光などにさせるため、発光色の異なる複数種の発光装置を同一基板上に実装し、各発光装置の光出力を調整して発光させる場合がある。
【0004】
たとえば、発光色の異なる複数種の発光装置を備えた照明装置として、図6に示すXYZ表色系におけるxy色度図中において、色温度が黒体軌跡BL上の2つの色度点Wmin,Wmaxの中間の色度点(以下、白色点という)Wに設定された第一の発光装置(主光源となる白色を発光する白色LED)と、白色点Wと色温度の低い色度点Wminとを結ぶ線分をWminから延長したときにスペクトル軌跡SLと交わる点L1近傍にピーク波長を発する第二の発光装置(第一の補助光源)と、白色点Wと色温度の高い色度点Wmaxとを結ぶ線分をWmaxから延長したときにスペクトル軌跡SLと交わる点S1近傍にピーク波長を発する第三の発光装置(第二の補助光源)とを備え、黒体軌跡BL上で主光源となる第一の発光装置の色温度とは異なる色温度の混色光を得ることができる照明装置が知られている(たとえば、特許文献1を参照。)。
【0005】
この照明装置は、所定の色温度の白色点Wに設定された第一の発光装置に対し、特定の波長域にピーク波長を有する補正色用の第二および第三の発光装置を利用して、第二および第三の発光装置から放射される光との混色により、照明装置から放射される光の色温度だけでなく、演色性の補正が行うことが可能となる、とされている。
【0006】
なお、上述の特許文献1の照明装置では、たとえば、第一の発光装置が、450〜460nmの波長域にピーク波長を発する青色LEDチップと該青色LEDチップから放射される青色光によって励起されて黄色の蛍光を放射するYAG蛍光体とを組み合わせて、白色光を発光するように構成されている。また、第二の発光装置は、590nmにピーク波長を発するAlInGaP系の橙色LEDチップを用いて構成されている。さらに、第三の発光装置は、470〜480nmの波長域にピーク波長を発するInGaN系の青色LEDチップを用いて構成されている。このような、照明装置は、特に、無影灯、リビング室内灯、化粧灯などに適しているとされている。
【0007】
また、図7に示す、青色光を放射する青色LEDチップのみを利用した発光装置110と、青色LEDチップおよび青色光を吸収し緑色光を放射する緑色蛍光体を有する発光装置111と、青色LEDチップおよび青色光を吸収し赤色光を放射する赤色蛍光体を有する発光装置112と、青色LEDチップおよび青色光を吸収し黄色光を放射する黄色蛍光体を有する発光装置113と、緑色LEDチップのみを利用した発光装置114と、各発光装置110〜114それぞれの光出力を制御する制御装置120とを備えた照明装置も知られている(たとえば、特許文献2を参照。)。
【0008】
特許文献2の照明装置は、発光色の異なる複数個の発光装置を利用して照明装置から放射された光の演色性が高く、明るさ、および色調を変化させることが可能な照明装置を提供することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】再公表公報WO03/019072号公報
【特許文献2】特開2007−122950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の特許文献1の照明装置は、発光色の異なる発光装置ごとに、使用される半導体材料などが異なるLEDチップを使用しているため、LEDチップの初期発光特性および経時変化特性が異なり、駆動電流、使用時における発光装置の温度、周囲環境や時間の経過などにより、照明装置から放射される光の色調が変化する、色ずれが生じるという問題がある。
【0011】
また、上述の特許文献2の照明装置でも、LEDチップとして、青色光を発光する青色LEDチップと、緑色光を発光する緑色LEDチップとを用いているので、半導体材料の組成比などが異なり、LEDチップの初期発光特性および経時変化特性が異なることによる、駆動電流、使用時における発光装置の温度、周囲環境や時間の経過などにより、照明装置から放射される光の色調が変化する、色ずれが生じるという問題がある。なお、特許文献2の五種類の発光装置110から114のうち、発光装置110,111,112を用いれば、発光色の異なる発光装置のLEDチップとして青色LEDチップのみを用いることもできるが、青色LEDチップのみを利用した発光装置110の指向特性が他の発光装置111,112の指向特性に比べて強く、青色の発光色が目立つことになり、混色性が低いという問題があった。
【0012】
ところで、照明装置は、R,G,Bなど発光色の異なる発光装置をそれぞれ組み合わせ各発光装置から放射される光出力を、常時、調整することで、所望の色調となる混色光の発光を維持することもできる。たとえば、照明装置から放射された光の一部を受光センサなどで検出し、照明装置における各発光装置の光出力をフィードバック制御することで、照明装置から安定した色調の光を得ようとすることが考えられる。
【0013】
しかしながら、照明装置は、各発光装置から放射された光の光出力をフィードバック制御するフィードバック制御回路部を制御装置に設けると、制御装置の構造がより複雑になり高価となる。また、照明装置全体での光取り出し効率の向上を図る場合、照明装置は、フィードバック回路部を備えた制御装置でのシステム効率も問題となる。
【0014】
特に、照明装置は、より高い光出力が求められており、照明装置に用いられるLEDチップの光出力が大きくなる程、照明装置から放射される光が、初期発光特性、使用環境や経時変化特性の違いに起因して、色ずれとして顕著になる傾向にあり、上述の照明装置の構成だけでは十分ではなく更なる改良が求められている。
【0015】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、より簡便な構成で、使用環境や経時変化に伴う色ずれを抑え、安定して所望の色調の混色光を得ることが可能な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明は、発光色の異なる複数個の発光装置と、複数個の前記発光装置における光出力比を制御する制御装置とを備え、発光色の異なる複数個の前記発光装置から放射された光の混色光における色調を可変とする照明装置であって、複数個の前記発光装置は、発光素子と、該発光素子から放射された光の少なくとも一部を吸収し波長変換した蛍光を発する第一の波長変換部とをそれぞれ備え、複数個の前記発光装置のうち、一部の前記発光装置には、前記発光素子または前記第一の波長変換部の少なくとも一方から放射された光の少なくとも一部を前記発光素子および前記第一の波長変換部から放射された光の発光色とは異なる発光色に波長変換する第二の波長変換部を有することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、複数個の発光装置が、発光素子と、該発光素子から放射された光の少なくとも一部を吸収し波長変換した蛍光を発する第一の波長変換部とをそれぞれ共通に備え、第二の波長変換部によって発光色を異ならせしめることによって、それぞれ略同一の発光スペクトルの光で発光する前記発光素子と、略同一の波長変換特性を有する前記第一の波長変換部とを有しており、前記発光素子の駆動電流、使用時の温度、周囲環境や時間の経過により、照明装置から放射される光に色ずれが生ずることを低減させることができる。
【0018】
特に、照明装置において、前記発光装置の基本構成が共通し、前記発光素子の初期発光特性および経時劣化特性を実質的に同一とすることができるから、異なる発光色の前記発光装置に基づく、色ずれを抑制することができる。そのため、照明装置の前記制御装置は、安定して所望の色調の混色光を得るために、照明装置から放射された光を光センサなどで検出し、前記発光装置それぞれから放射される光出力のフィードバック制御を行うフィードバック制御回路部を省略することもできる。すなわち、照明装置は、より簡便な構成で、安定して所望の色調の混色光を得ることが可能となる。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、第二の波長変換部は、光を拡散させる光拡散材が含有されてなることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、複数個の前記発光装置の一部に設けられた前記第二の波長変換部は、光拡散材を含有しているので、光拡散材による光拡散性を調整することにより、複数個の前記発光装置それぞれから放射される光の配光特性を実質的に揃えることが可能となり、照明装置から放射される光の混色性を、より向上させることができる。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、複数個の前記発光装置のうち、前記第二の波長変換部を有しない前記発光装置は、前記第一の波長変換部からの光を拡散させる拡散層を有することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、複数個の前記発光装置のうち、前記第二の波長変換部を有しない前記発光装置は、前記第一の波長変換部からの光を拡散させる拡散層を有しているので、拡散層の光拡散性を調整することにより、発光色の異なる複数個の前記発光装置それぞれから放射させる光の配光特性を実質的に揃えることが可能となり、照明装置から放射される光の混色性を、さらに向上させることができる。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記第二の波長変換部は、前記発光装置ごとに複数種類あって、各第二の波長変換部が、それぞれ共通する二種類以上の蛍光体を含有しており、二種類以上の前記蛍光体の含有比率が異なることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、前記第二の波長変換部は、前記発光装置ごとに複数種類あって、各第二の波長変換部が、それぞれ共通する二種類以上の蛍光体を含有しており、二種類以上の前記蛍光体の含有比率が異なることで、それぞれ異なる波長変換特性を有する複数種類の前記第二の波長変換部に形成している。そのため、照明装置の前記発光装置は、複数種類の前記第二の波長変換部における各蛍光体の含有比率を調節するのみで、前記発光装置から放射する異なる発光色の光の色温度を容易に設計することができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明では、複数個の発光装置が、発光素子と、該発光素子から放射された光の少なくとも一部を吸収し波長変換した蛍光を発する第一の波長変換部とをそれぞれ備え、複数個の前記発光装置のうち、一部の前記発光装置には、前記発光素子または前記第一の波長変換部の少なくとも一方から放射された光の少なくとも一部を前記発光素子および前記第一の波長変換部から放射された光の発光色とは異なる発光色に波長変換する第二の波長変換部を有することにより、より簡便な構成で、使用環境や経時変化に伴う色ずれを抑え、安定して所望の色調の混色光を得ることが可能な照明装置を提供できるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1の照明装置を示し、(a)は概略斜視図、(b)は概略断面図、(c)は原理説明図である。
【図2】同上の他の照明装置を示す概略断面図である。
【図3】実施形態2の照明装置を示し、(a)は概略斜視図、(b)は概略断面図、(c)は原理説明図である。
【図4】同上の他の照明装置を示す概略断面図である。
【図5】実施形態3の照明装置を示す概略断面図である。
【図6】従来の照明装置を説明する説明図である。
【図7】従来の別の照明装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
以下、本実施形態の照明装置を図1および図2に基づいて説明する。なお、図1および図2において同じ部材に対しては、同じ番号を付して重複する説明を省略している。
【0028】
本実施形態の図1(a),(b)に示す照明装置20は、所望の色調の混色光を放射するため、図1(c)に示すCIE(Commission International de l'Eclairage;国際照明委員会)のXYZ表色系におけるxy色度図に示した黒体軌跡BLに沿う線分上で規定した異なる色度点Wb,Wyの発光色を発光する複数種(本実施形態では、二種類)の発光装置10b,10yを備えている。なお、図1(c)のxy色度図中には、黒体軌跡BLとそれぞれ交差する線分で示した一連の等色温度線も例示してある。
【0029】
本実施形態の照明装置20では、発光装置10bが、xy色度図において色温度の高い色度点Wbで示される青色系の白色光を発光し、発光装置10yが、xy色度図において色温度の低い色度点Wyで示される黄色系の白色光を発光する。
【0030】
照明装置20は、発光装置10bと発光装置10yとの光出力比を制御装置(図示していない)により制御することで、補色関係となる発光装置10byから放射される光の色度点Wbと、発光装置10yから放射される光の色度点Wyとを結んだ一点鎖線の線分上における色調の混色光(ここでは、白色光)を放射することができる。
【0031】
より具体的には、本実施形態の図1(a)に示す照明装置20では、二個の青色系の白色光を発光する発光装置10b,10bと、二個の黄色系の白色光を発光する発光装置10y,10yとが、各発光装置10b,10yへの給電路となる配線パターンを有する回路基板11の一表面上にそれぞれ実装されている。回路基板11は、たとえば、Auでメッキされた配線パターンが形成された円形平板状の金属ベース基板としている。回路基板11の一対の配線パターンのランド12には、各発光装置10b,10yの各外部電極が、それぞれ導電性部材(たとえば、AuSnやAgペーストなど)で電気的に接続されている。なお、本実施形態の照明装置20の回路基板11は、円板状に形成されているが、円板状に限らず、たとえば、楕円の板状や矩形板状などの多角形の板状に形成されていてもよい。
【0032】
照明装置20の各発光装置10b,10yは、たとえば、共通の外形を持ち、内部に窪んだ凹部と、該凹部の内底面上に一対の導体パターン(図示していない)が形成されたアルミナセラミック材料からなるパッケージ3を用いている。発光装置10b,10yのパッケージ3における前記凹部の内底面には、LEDチップ1が実装されている。
【0033】
LEDチップ1は、サファイア基板上にn型の窒化ガリウム系化合物半導体層、Inが含有された窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層、p型の窒化ガリウム系化合物半導体層が順に積層されている。また、LEDチップ1は、前記発光層および前記p型の窒化ガリウム系化合物半導体層の一部が除去されて前記n型の窒化ガリウム系化合物半導体層が部分的に露出しており、同一平面側にp型およびn型の各窒化ガリウム系化合物半導体層と電気的に接続されるアノード電極およびカソード電極がそれぞれ設けられている。LEDチップ1は、LEDチップ1の同一平面側に設けられた前記アノード電極および前記カソード電極を、発光装置10b,10yのパッケージ3に形成された一対の導体パターン上に、Auバンプを用いてフリップチップ実装により給電可能に実装している。
【0034】
回路基板11上に実装された発光装置10b,10yのLEDチップ1は、それぞれ共通であって、通電による発光により、ピーク波長が、たとえば、450nm〜470nmの範囲内にある青色光(たとえば、図1(c)のxy色度図中における色度点B)をそれぞれ放射する。また、各発光装置10b,10yのパッケージ3における前記凹部の内底面に実装されたLEDチップ1には、LEDチップ1を被覆するように第一の波長変換部2が設けられている。第一の波長変換部2は、それぞれ共通であって、LEDチップ1からの青色光を吸収して黄色の蛍光が発光可能な黄色蛍光体(たとえば、Euで付活された(Sr,Ba)SiOやCeで付活されたYAl12など)をバインダーとなるシリコーン樹脂中に均一に分散させ、LEDチップ1上に塗布し、硬化させている。
【0035】
第二の波長変換部4b,4yは、LEDチップ1からの光を吸収して黄色光が発光可能な黄色蛍光体(たとえば、Euで付活された(Sr,Ba)SiOやCeで付活されたYAl12など)をバインダーとなるシリコーン樹脂中に均一に分散させ、フィルム状に形成している。なお、第二の波長変換部4b,4yにおける前記蛍光体の種類は共通であり、バインダーにおける含有比率が異なっている。
【0036】
各発光装置10b,10y上の前記凹部内に第二の波長変換部4b,4yを嵌め込んで固定することで、LEDチップ1から放射され第一の波長変換部2を透過した青色光の一部が、第二の波長変換部4b,4yで黄色光に波長変換される割合が異なることになり、発光装置10bは、青色系の白色光を発光し、発光装置10yは、黄色系の白色光を発光することができる。
【0037】
照明装置20は、制御装置(図示していない)により、各発光装置10b,10yの光出力比を制御することで照明装置20から所望の色調の混色光を制御して放射することができる。
【0038】
なお、照明装置20は、照明装置20から放射される光の色温度を調整するために、発光色の異なる発光装置10b,10yがあればよい。したがって、可視光における短波長側となる青色光を発光する発光装置10bの構成として、図2に示す本実施形態の別の照明装置20のように、発光装置10bおよび発光装置10yは、共通のパッケージ3における前記凹部の内底面に、共通のLEDチップ1および共通の第一の波長変換部2を用いるものの、発光装置10bには、第二の波長変換部4bを用いないだけの構成とすることもできる。
【0039】
たとえば、図2に示す照明装置20では、各発光装置10b,10yを、それぞれ、ピーク波長が420nmで青紫色光を放射することができるLEDチップ1と、LEDチップ1を凹部の内底面に実装させるセラミック材料からなるパッケージ3と、パッケージ3における前記凹部の内底面に実装されたLEDチップ1を被覆し、LEDチップ1が放射した青紫色の光を吸収して波長変換し、青色の蛍光が発光可能な青色蛍光体(たとえば、Ceで付活されたLaSi11やCeで付活されたLaAl(Si6−zAl)N10−zなど)を含有させた透光性材料(たとえば、ガラス、シリコーン樹脂など)からなる第一の波長変換部2とを備えて構成することができる。
【0040】
なお、発光装置10bから青色系の白色光を放射させるためには、蛍光体の発光スペクトルがブロードであることが好ましく、第一の波長変換部2中に青色の蛍光が発光可能な前記青色蛍光体に加えて、黄色の蛍光が発光可能な黄色蛍光体(たとえば、Euで付活された(Sr,Ba)SiOやCeで付活されたYAl12など)を含有させていてもよい。
【0041】
ここで、発光装置10yは、発光装置10bと基本的に同じ構成であって、光放射面側に第二の波長変換部4yが、空気層5を介して別途に設けられており、第二の波長変換部4yは、青紫色の光を発するLEDチップ1および第一の波長変換部2から放射される青色光の少なくとも一方の光によって励起されて黄色光を発光する黄色蛍光体(たとえば、Euで付活された(Sr,Ba)SiOやCeで付活されたYAl12など)を含有させてある。なお、本実施形態の発光装置10b,10yでは、パッケージ3の材料として、セラミック材料を用いて形成しているが、セラミック材料に限定するものではない。
【0042】
本実施形態の図2に示す照明装置20では、各LEDチップ1として、同一の仕様(発光層の半導体材料、発光波長や構造が略同じ)のLEDチップ1を用いている。
【0043】
以上説明した本実施形態の照明装置20では、図1(c)に示すxy色度図における黒体軌跡BL上で規定した2つの色度点Wb,Wyを結んだ線分上の色度点に照明装置20から放射される混色光の色調を設定できるように各色度点Wb,Wyにおける発光色を発する二種類の発光装置10b,10yを構成している。
【0044】
したがって、照明装置20は、青紫色のLEDチップ1の駆動電流、使用環境や経時変化に伴う、発光装置10b,10yから放射される光の色ずれを抑えた信頼性の高いものとすることができる。しかも、照明装置20は、照明装置20から放射される混色光における色調を変更させる場合、フィードバック制御回路部を備えていない簡便な構成の制御装置であっても、発光装置10b,10yから放射される光出力比を単に変えるだけで、安定して所望の色調の混色光を得ることが可能になる。
【0045】
また、本実施形態の照明装置20の製造にあたっては、全ての発光装置10b,10yで同一仕様の青紫色のLEDチップ1、第一の波長変換部2およびパッケージ3を備えた発光装置10bを複数個準備するとともに、黄色系の白色光を発光する発光装置10yとする一部の発光装置10bにだけ、第二の波長変換部4yを別途に被覆するように構成すればよい。したがって、各発光装置10b,10yの製造が容易になり、照明装置20の製造歩留まりも高く、色ずれの発生を抑制可能な照明装置20を容易に製造することが可能となる。
【0046】
照明装置20から放射される混色光は、発光装置10b,10yのLEDチップ1に供給する駆動電流を制御装置によって制御し、各発光装置10から放射される光出力の強弱の制御により、色調を制御することができる。本実施形態の照明装置20では、フィードバック制御回路部を備えていない前記制御装置であっても、使用環境や経時変化に伴う色ずれを抑え、安定して、所望の色調の混色光を得ることができる。
【0047】
なお、発光素子たるLEDチップ1は、光出力を向上させようとすると、LEDチップ1の発光スペクトルが蛍光体から放射される光の発光スペクトルと比較して、シャープで狭い波長の光を発光する傾向にある。また、LEDチップ1は、駆動電流の増加に伴う発熱などにより、光出力が低下するだけでなく、発光スペクトルが長波長側にシフトする場合もある。
【0048】
そのため、LEDチップ1から放射される光の波長が変化するだけでなく、LEDチップ1から放射される光の発光スペクトルと、LEDチップ1からの光を吸収する蛍光体の励起スペクトルとのずれも生じるため、蛍光体の励起効率の変化により蛍光体から放射される光出力の変化なども生ずる場合がある。
【0049】
しかしながら、本実施形態の図2における発光装置10b,10yでは、LEDチップ1と、蛍光体を備えた第一の波長変換部2とを基本構成として組み合わせており、第一の波長変換部2から放射される光の発光スペクトルが、LEDチップ1の発光スペクトルと比較して、より広いスペクトル幅をもつため、第二の波長変換部4yにおける光出力の変化を抑制し、発光装置10b,10yから放射される光の色調が変化することを抑制することもできる。
【0050】
以下、本実施形態の照明装置20に用いられる各構成について詳述する。
【0051】
本実施形態1の照明装置20に用いられる発光素子は、通電により光を発光可能なものである。発光素子の放射する光は、たとえば、ピーク波長が405nmから490nmの青紫色光や青色光とすることができるが、青紫光や青色光のみに限定するものではなく、紫外線など他の波長を用いてもよい。発光素子たるLEDチップ1としては、たとえば、サファイア基板、スピネル基板、窒化ガリウム基板、酸化亜鉛基板や炭化シリコン基板などの結晶成長基板上にn型の窒化ガリウム系化合物半導体層、多重量子井戸構造や単一量子井戸構造の発光層となるインジウムが含有された窒化ガリウム系化合物体層、p型の窒化ガリウム系化合物半導体層を順に積層させたものが挙げられる。
【0052】
なお、結晶成長基板として絶縁性基板を用いたLEDチップ1は、前記p型の窒化ガリウム系半導体層側から前記n型の窒化ガリウム系化合物半導体層の一部を露出させることにより、同一平面側でアノード電極およびカソード電極をそれぞれ形成することができる。また、導電性基板を用いたLEDチップ1は、LEDチップ1の厚み方向の両面側にアノード電極やカソード電極を形成すればよい。
【0053】
LEDチップ1に設けられる前記アノード電極や前記カソード電極は、Ni膜とAu膜との積層膜、Al膜、ITO膜など、窒化ガリウム系化合物半導体層などと良好なオーミック特性が得られる材料であれば、限定されるものではない。
【0054】
同一平面側に前記アノード電極および前記カソード電極が設けられたLEDチップ1は、発光装置10b,10yのパッケージ3における凹部の内底面上に形成した一対の導電パターンに、Auバンプなどの金属バンプを用いてフリップチップ実装させることができる。また、LEDチップ1として、厚み方向の両面側に前記アノード電極や前記カソード電極が形成されたLEDチップ1を用いる場合は、LEDチップ1が実装されるパッケージ3上に形成された一対の導体パターンのうちの一方の導体パターンと、LEDチップ1の前記アノード電極あるいは前記カソード電極とを導電性部材(たとえば、AuSnやAgペーストなど)を介してダイボンディングなどして電気的に接続させる。また、LEDチップ1の光取り出し面側の他方の前記カソード電極あるいは前記アノード電極は、ワイヤ(たとえば、金線やアルミニウム線など)を介して他方の導体パターンと電気的に接続させればよい。
【0055】
なお、本実施形態の照明装置20では、各発光装置10b,10yに、それぞれ一個のLEDチップ1を実装しているが、各LEDチップ1の数は、一個だけに限らずそれぞれ複数個用いることができる。この場合、各LEDチップ1は、導体パターンを用いて、適宜に直列、並列や直並列に電気的に接続させればよい。また、LEDチップ1は、同種のものを用いてもよいし、異なる発光波長を発光する複数個のLEDチップ1を用いてもよい。
【0056】
照明装置20は、放射させる光を白色光とするために、発光色の異なる発光装置10b,10yから放射する光を補色関係とさせることが好ましい。たとえば、照明装置20は、青色光を発光する発光装置10bと、黄色光を発光する発光装置10yとを用いる。そのため、発光装置10b,10yは、発光色の異なる発光装置10b,10yのうち、発光装置10b,10yから放出される光の主発光波長が最も短い青色光よりも、短波長側(たとえば、青紫色)の光を放射するLEDチップ1をそれぞれ用いることで、第一の波長変換部2や第二の波長変換部4b,4yを効率よく発光させることができる。
【0057】
次に、パッケージ3は、発光素子たるLEDチップ1がそれぞれ実装可能なものであればよく、パッケージ3における凹部の内底面上の前記一対の導体パターン(たとえば、最表面がAuでメッキされた導体パターン)を利用して、LEDチップ1の通電経路を構成することができる。このような発光装置10b,10yのパッケージ3は、アルミナや窒化アルミニウムなどを用いたセラミック基板、Cu、AlやFeなどの金属材料を用いた金属ベース基板やエポキシ樹脂基板などを用いて形成することができる。また、パッケージ3は、一対の導体パターンを、たとえば、アクリル樹脂やエポキシ樹脂などで樹脂成形させたものでもよい。
【0058】
なお、発光装置10b,10yには、パッケージ3における凹部の内底面からパッケージ3の側面および裏面にも導体パターンを延設させて発光装置10b,10yの外部電極として構成してもよい。このような発光装置10b,10yの外部電極は、リフロー工程などによって回路基板11と電気的に容易に接続させることができる。
【0059】
本実施形態の照明装置20の回路基板11は、複数個の発光装置10b,10yを実装して発光装置10b,10yに通電可能なものである。本実施形態の照明装置20における回路基板11は、円形平板状に形成させているが、回路基板11の上記一表面の周部に発光装置10b,10yからの光を反射させるリフレクターを備えてもよい。また、照明装置20は、発光装置10b,10yからの光を混色させて所望の方向に放射させるために、反射板、拡散板やレンズなどの配光制御部(図示していない)を発光装置10b,10y上に別途設けても良い。
【0060】
また、照明装置20は、回路基板11上に、反射膜(図示していない)を設けても良く、このような反射膜は、発光装置10b,10yから放射される光を効率よく反射可能なものであって、具体的には、Al、Al合金、Ag、Ag合金などの金属材料やBaSOなどの白色顔料となる無機材料が含有されたガラスを用いて構成すればよい。
【0061】
本実施形態に用いられる第一の波長変換部2は、発光素子たるLEDチップ1が放射する光の少なくとも一部を吸収して波長変換し、LEDチップ1からの光よりも長波長側に主発光波長となる蛍光を発するものである。
【0062】
第一の波長変換部2は、たとえば、LEDチップ1から放射された光の一部を吸収して、より長波長側に主発光波長となる蛍光を放射する蛍光体をシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂やガラスなどの透光性材料中に含有して形成すればよい。
【0063】
また、第二の波長変換部4b,4yは、LEDチップ1から放射された光あるいは第一の波長変換部2から放射された蛍光の一部を吸収して、より長波長側に主発光波長となる蛍光を放射する蛍光体を含有するものであり、第一の波長変換部2から放射されれた光の主発光波長よりも長波長となる光を放射する。第二の波長変換部4b,4yも、第一の波長変換部2と同様に、たとえば、蛍光体をシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂やガラスなどの透光性材料中に含有することができる。
【0064】
照明装置20が放射する混色光を、より演色性の高い白色光とするため、発光装置10b,10y青色光を放射するLEDチップ1と第一の波長変換部2および第二の波長変換部4b,4yとの組み合わせにおいて、第一の波長変換部2用の蛍光体として黄色蛍光体、第二の波長変換部4b,4y用の蛍光体として緑色蛍光体および赤色蛍光体を用いることもできる。
【0065】
照明装置20は、発光装置10b,10yが異なる二色、あるいは、三色の光を発光可能な発光装置を用いた場合、色を変化させたときの彩度をできる限り大きくするためには、色を変化させたい範囲に対して、できる限り離れた色度点の光を発光する発光装置10b,10yの構成とすることが望ましい。一方、色を変化させたい範囲に対して、できる限り離れた色度点の光を発光する発光装置10b,10yの構成では色ずれが大きくなり、所望の色調の混色光に制御するための制御精度が低くなるので、得られる混色光の色調や発光色の色ずれの両者を考慮して、適宜設定することが重要である。
【0066】
第一の波長変換部2および第二の波長変換部4b,4yに用いられる蛍光体としては、たとえば、Ceで付活されたYAl12やCeで付活されたTbAl12などのアルミネート系の蛍光体のほか、Euで付活されたBaSiOやEuで付活された(Sr,Ba)SiOなどの珪酸塩系の蛍光体、Euで付活されたCaAlSiN、Euで付活されたSrSi、Euで付活されたCaSi、Euで付活されたSrSi10やEuで付活されたCaSi10などの窒化物系の蛍光体を採用することもできる。
【0067】
たとえば、緑色光を発光する緑色蛍光体としては、Ceで付活されたCaScSi12、Ceで付活されたCaScやEuで付活された(Sr,Ba,Ca)SiOなど、黄色光を発光する黄色蛍光体としては、Ceで付活されたYAl12、Ceで付活されたTbAl12などのアルミン酸蛍光体やEuで付活された(Sr,Ba)SiOなど、赤色蛍光体としては、Euで付活されたCaAlSiNやEuで付活された(Sr,Ca,Mg)AlSiN、Ceで付活された(Sr,Ca,Mg)AlSiN、Ceで付活された(Sr,Ca)Siなどの窒化物蛍光体が挙げられる。
【0068】
なお、本実施形態の図2に示す照明装置20の発光装置10bでは、LEDチップ1や第一の波長変換部2を収納したパッケージ3に何も設けていないが、LEDチップ1や第一の波長変換部2を保護する目的で透光性部材からなる封止部を別途に設けてもよい。
【0069】
また、本実施形態の照明装置20の制御装置は、電源により電力を供給され二種類の発光装置10b,10yそれぞれの光出力を各別に制御可能な制御装置(図示していない)を備えている。ここにおいて、制御装置は、たとえば、照明装置20から放射される光の色温度を調整する際の色温度と各発光色ごとの発光装置10b,10yの光出力とを対応させたテーブルを記憶した記憶部と、各発光装置10b,10yをそれぞれ点灯させる各点灯回路部と、各点灯回路部に供給する駆動電流の電流値を制御する電流制御回路部とを備えており、色温度設定部(図示していない)の操作によって設定された色温度に対応する調色信号に基づいて、発光装置10b,10yの光出力を制御するように構成されている。
【0070】
すなわち、照明装置20は、図1(c)のxy色度図に示す、黒体軌跡BLに沿った上述の色度点Wb,Wyを結ぶ線分上で照明装置20から放射される混色光の色温度を変化させることができるように、あらかじめ、色温度と各発光装置10b,10yへの駆動電流の電流値との関係を測定し、前記電流制御回路部を構成するマイクロコンピュータの記憶部に、色温度と各発光装置10b,10yの光出力比とを対応させたテーブルを記憶させている。
【0071】
したがって、照明装置20は、前記色温度設定部の操作によって設定された色温度に基づいて各発光装置10b,10yへの駆動電流の電流値を変えて光出力比を制御すれば、照明装置20から放射される混色光の色温度を黒体軌跡BL上で調整することが可能となる。
【0072】
また、色温度と照度との関係においては、一般的に明るさ感(照明された部屋全体を人間が見たときの明るさの印象)は、同じ照度であっても色温度が低いほど暗く感じる傾向にある。そこで、照明装置20の制御装置は、照射される混色光の色温度が低いほど照度が高くなるように、各発光装置10b,10yの光出力比を制御すれば、照明装置20は、視認者に略一定の明るさ感を与えながら、放射された混色光の色調を変化させることが可能となる。
【0073】
(実施形態2)
図3(a),(b)に示す本実施形態の照明装置20は、図1で示した実施形態1の照明装置20における二種類の発光装置10b,10yを用いる代わりに、図3(c)に示すxy色度図上の三つの色度点Wr,Wg,Wbを発光する三種類の発光装置10r,10g,10bを用いた点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0074】
本実施形態の照明装置20は、発光色の異なる三種類の発光装置10r,10g,10bから放射された光の光出力比を制御した加法混色により、所望の色調の混色光を得られるように構成している。
【0075】
具体的には、本実施形態の照明装置20の発光装置10bは、青色の光を放射するLEDチップ1と、LEDチップ1からの青色光の一部を吸収して波長変換した黄色の蛍光を発する第一の波長変換部2と、第二の波長変換部4bとを備えた青色系の白色光を放射する。発光装置10gは、青色の光を放射するLEDチップ1と、LEDチップ1からの青色光の一部を吸収して波長変換した黄色の蛍光を発する第一の波長変換部2および青色のLEDチップ1からの青色光の一部を吸収して波長変換した緑色の蛍光を発する第二の波長変換部4gとを備え、緑色系の白色光を放射する。また、発光装置10rは、青色の光を放射する青色のLEDチップ1と、青色のLEDチップ1からの青色光の一部を吸収して波長変換した黄色の蛍光を発する第一の波長変換部2および青色のLEDチップ1からの青色光の一部を吸収して波長変換した赤色の蛍光を発する第二の波長変換部4とを備え、橙色系の白色光を放射する。
【0076】
ここで、発光装置10r,10g,10bは、それぞれ青色の光を放射する青色のLEDチップ1と、青色のLEDチップ1からの青色光の一部を吸収して波長変換した蛍光を発する第一の波長変換部2とを備えており、異なる発光色に応じて第二の波長変換部4r,4g,4bを組み合わせて、三色の発光を得ている。
【0077】
すなわち、各発光装置10r,10g,10bは、基本構成として、それぞれ共通のパッケージ3における凹部の内底面に、それぞれ共通の青色光を発光するLEDチップ1と、各LEDチップ1をそれぞれ共通の第一の波長変換部2で被覆した構成としている。
【0078】
なお、各発光装置10bの構成として、図3(b)に示す発光装置10r,10g,10bのパッケージ3における凹部内に第一の波長変換部2と空気層5を介して、各第二の波長変換部4r,4g,4bを設ける代わりに、図4(a)に示す照明装置20のように、
平板状の各第二の波長変換部4r,4g,4bを各パッケージ3における前記凹部上に形成させて、第二の波長変換部4r,4g,4bと、LEDチップ1を被覆した第一の波長変換部2とを空気層5を介して対向配置させてもよい。
【0079】
また、図4(b)に示す照明装置20のように、発光装置10r,10g,10bのうち、青色系の白色光を発光する発光装置10bにだけ、第二の波長変換部4bを用いずにLEDチップ1と第一の波長変換部2を用いたパッケージ3により形成させてもよい。
【0080】
また、照明装置20の各発光装置10b,10g,10rは、図4(c)で示すように、第二の波長変換部4r,4g,4bの内側においてLEDチップ1および第一の波長変換部2を封止し、パッケージ3との間に囲む形で配設されたドーム状の透光性材料(たとえば、シリコーン樹脂など)からなる封止部7を備えており、第二の波長変換部4r,4g,4bの内面と各封止部7の光出射面との間には空気層5が形成されてもよい。このような、発光装置10b,10g,10rは、各第二の波長変換部4r,4g,4bから各封止部7側へ光が伝搬するのを抑制することができ外部への光取出し効率を高めることができる。
【0081】
さらにまた、照明装置20の発光装置10r,10g,10bは、図4(d)に示すように、LEDチップ1と、LEDチップ1を被覆する第一の波長変換部2とを配置させた同一仕様のパッケージ3を基本構成として利用し、このパッケージ3を異なる発光色を発する第二の波長変換部4r,4g,4bが光出射面側に別途に備えられた収納部8の内部に配置して構成させてもよい。
【0082】
このように、本実施形態の照明装置20の発光装置10r,10g,10bは、いずれもパッケージ3の内底面上にLEDチップ1と、LEDチップ1を被覆する第一の波長変換部2とを同一仕様の基本構成として利用し、異なる発光色を発する第二の波長変換部4r,4g,4bをそれぞれ設けるなどにより、LEDチップ1および第一の波長変換部2を有する同一仕様となるパッケージ3で、主たる発熱が発生することになる。
【0083】
このような発熱が、どの発光色の発光装置10r,10g,10bにも共通に生ずるため、照明装置20から放射される混色光の使用環境や経時変化に伴う、色ずれを抑え、安定して所望の色調の混色光を得ることが可能となる。
【0084】
なお、照明装置20の発光装置10r,10g,10bは、第二の波長変換部4r,4g,4bと、パッケージ3における前記凹部の内底面上にLEDチップ1およびLEDチップ1を被覆する第一の波長変換部2とを、たとえば、空気層5を介して対向配置させ、熱的に分離して構成させることにより、LEDチップ1の発熱に伴う第二の波長変換部4r,4g,4bでの色ずれを、より抑制したり、信頼性を向上させることも可能となる。
【0085】
さらに、本実施形態の照明装置20では、図3(c)のxy色度図において、発光色の異なる発光装置10r,10g,10bから放射される光を、それぞれ色度点Wr,Wg,Wbとし、一点鎖線で示した三角形で図示した範囲内の混色光を照明装置20から放射可能にしてあるが、照明装置20を構成する各発光装置10r,10g,10bなどから放射される光のxy色度図上での色度点は、前記三角形に限らず、たとえば、発光色の異なる五種類の発光装置を用いた五角形などの多角形状とさせてもよい。
【0086】
また、本実施形態の照明装置20は、拡散透光性材料により形成した拡散パネルを回路基板11に対向する形で配置し、各発光装置10b,10g,10rから放射された光の混色性を、前記拡散パネルで向上させるようにしてもよい。
【0087】
また、各発光装置10b,10g,10rを回路基板11に実装する代わりに、たとえば、照明装置20において熱伝導性の高い材料(金属など)により形成された器具本体などのベース部材に搭載して、各発光装置10b,10g,10rそれぞれの一部ないし全部を露出させる複数の窓孔が形成された回路基板11をベース部材に対向配置するようにしてもよい。
【0088】
(実施形態3)
本実施形態は、図4(b)で示した実施形態2の照明装置20における第二の波長変換部4bが設けられていない発光装置10bを用いる代わりに、図5に示すように第一の波長変換部2やLEDチップ1から放射された光を拡散させる拡散層9が設けられた発光装置10bを用いた点が異なる。なお、実施形態2と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0089】
図4(b)の照明装置20では、発光装置10r,10g,10bのうち、発光装置10bにだけ、第二の波長変換部が設けられていない。そのため、照明装置20の各発光装置10r,10g,10bから放射される光の配光特性は、第二の波長変換部4r,4gを透過した光と、第二の波長変換部が設けられずに第一の波長変換部2から放射された光とで異なることになる。
【0090】
より具体的には、本実施形態の図5(a)に示す照明装置20の発光装置10r,10g,10bは、パッケージ3上に設けられた第二の波長変換部4r,4gとして、蛍光体が含有されている。そのため、各発光装置10r,10g,10bから放射される光は、第二の波長変換部4r,4gの前記蛍光体で散乱などされ配光特性が異なる。
【0091】
その結果、照明装置20から放射された混色光は、レンズや反射鏡などの光学系の配光制御部(図示していない)により配光制御させた場合、照明装置20の被照射面における配光パターンに各発光装置10r,10g,10bから放射された光の配光特性による差異が強調されやすい傾向にあり、色むらが目立つ恐れがある。
【0092】
すなわち、照明装置20の発光装置10r,10g,10bは、第二の波長変換部4r,4gを用いた発光装置10r,10gと、第二の波長変換部を用いていない発光装置10bとでは、光の拡散の程度が異なり、第二の波長変換部を用いていない発光装置10bから放射された光の散乱の程度が低くなる。そこで、図5(a)に示す本実施形態の照明装置20では、第二の波長変換部を用いていない発光装置10bに、他の発光装置10r,10gにおける第二の波長変換部4r,4gの代わりに、光拡散材を含有させた拡散層9を配置している。拡散層9は、光拡散材を含有する透光性材料(たとえば、シリコーン樹脂など)への含有比率を調整することで、各発光装置10r,10g,10bから放射される光の拡散の程度を均一にさせ、照明装置20から放射される混色光の配光特性を揃えることができ、照明装置20から放射される光の混色性を向上させることができる。
【0093】
次に、本実施形態の別の照明装置20として、図5(b)に示す本実施形態の別の照明装置20は、図5(a)の照明装置20の構成に加え、発光装置10r,10gの第二の波長変換部4r,4g’から放射される光の配光特性を実質的に揃えることができるように、第二の波長変換部4g’中に光拡散材を配合させている。
【0094】
より具体的には、本実施形態の図5(b)に示す照明装置20の発光装置10r,10g,10bは、パッケージ3上に設けられた第二の波長変換部4r,4g’として、蛍光体の含有濃度が各色異なる二種類の波長変換部4r,4g’を用いている場合がある。そのため、照明装置20の発光装置10r,10g,10bは、光が第二の波長変換部4r,4g’の前記蛍光体で散乱される程度が異なる。
【0095】
しかしながら、図5(b)に示す本実施形態の照明装置20は、発光装置10gの第二の波長変換部4g’中に光拡散材を含有させることで、発光装置10r,10gから放射される光の配光特性を第二の波長変換部4g’中の光拡散材の配合で揃えている。
【0096】
なお、第二の波長変換部4g’に含有させる光拡散材(図示していない)は、第二の波長変換部4g’の蛍光体を含有させるバインダーとなる透光性材料(たとえば、シリコーンなど)との屈折率差が大きいほど、光の散乱する程度を大きくすることができる。したがって、第二の波長変換部4g’から放射される光の配光特性が、略同一となる光の拡散の程度であれば、光拡散材と、透光性材料との屈折率差が大きい材料の光拡散材を用いる程、透光性材料中の光拡散材の含有比率を低減させることが可能となる。
【0097】
このような光拡散材の材料としては、たとえば、酸化アルミニウム、シリカ、酸化チタンなどの無機材料やフッ素系樹脂などの有機材料、有機成分と無機成分とを分子レベルや粒子レベルで複合化した有機無機ハイブリッド材料などの粒子、透光材料中に形成された空孔などが挙げられ、平均粒径もたとえば、数μmから数十μmなど適宜に選択すればよい。
【0098】
なお、図5(b)に示す照明装置20では、発光装置10gの第二の波長変換部4g’にだけ、光拡散材を含有させたが、発光装置10rの第二の波長変換部4rにだけ光拡散材を含有させてもよいし、発光装置10r,10gそれぞれに光拡散材を含有させてもよい。
【0099】
(実施形態4)
本実施形態は、図3で示した実施形態2の照明装置20における発光装置10r,10g,10bのそれぞれ異なる蛍光体を含有させた第二の波長変換部4r,4g,4bを用いる代わりに、第二の波長変換部4r,4g,4bは、第二の波長変換部4r,4g,4bが、共通の二種類以上の蛍光体を含有しており、前記蛍光体の含有比率が異なる点が相違する。
【0100】
本実施形態の照明装置20を構成する発光装置10r,10g,10bは、異なる発光色の光を放射させるために、LEDチップ1、第一の波長変換部2およびパッケージ3が同一仕様のものを用いる。また、発光装置10r,10g,10bの第二の波長変換部4r,4g,4bは、発光装置10r,10g,10bごとに、それぞれ三種類あって、各第二の波長変換部4r,4g,4bが、それぞれ共通する二種類以上の蛍光体(たとえば、青色光を吸収して緑色の蛍光を発する緑色蛍光体と、青色光を吸収して赤色の蛍光を発する赤色蛍光体)をバインダーと成る透光性材料中に含有しており、各蛍光体の含有比率を、たとえば、下記表1に示す含有比率に異ならしめることで、第二の波長変換部4r,4g,4bから放射される光の色調を制御している。
【0101】
【表1】

その結果、照明装置20の、全ての発光装置10r,10g,10bは、各蛍光体の含有比率を調整するのみで、発光装置10r,10g,10bから放射する異なる発光色の光の色温度を容易に設計することができる。また、照明装置20は、発光装置10r,10g,10bにおける第二の波長変換部4r,4g,4bが、共通する同じ蛍光体で組み合わさっているため、LEDチップ1や第二の波長変換部4r,4g,4bの初期特性および経時変化特性が実質的に同一となり、周囲環境や時間の経過による色ずれを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0102】
1 LEDチップ(発光素子)
2 第一の波長変換部
3 パッケージ
4r,4g,4b,4b’,4y 第二の波長変換部
9 拡散層
10r,10g,10b,10y 発光装置
20 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色の異なる複数個の発光装置と、複数個の前記発光装置における光出力比を制御する制御装置とを備え、発光色の異なる複数個の前記発光装置から放射された光の混色光における色調を可変とする照明装置であって、複数個の前記発光装置は、発光素子と、該発光素子から放射された光の少なくとも一部を吸収し波長変換した蛍光を発する第一の波長変換部とをそれぞれ備え、複数個の前記発光装置のうち、一部の前記発光装置には、前記発光素子または前記第一の波長変換部の少なくとも一方から放射された光の少なくとも一部を前記発光素子および前記第一の波長変換部から放射された光の発光色とは異なる発光色に波長変換する第二の波長変換部を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第二の波長変換部は、光を拡散させる光拡散材が含有されてなることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
複数個の前記発光装置のうち、前記第二の波長変換部を有しない前記発光装置は、前記第一の波長変換部からの光を拡散させる拡散層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第二の波長変換部は、前記発光装置ごとに複数種類あって、各第二の波長変換部が、それぞれ共通する二種類以上の蛍光体を含有しており、二種類以上の前記蛍光体の含有比率が異なることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−114097(P2011−114097A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268110(P2009−268110)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】