説明

熱分解装置およびそのクリーニング方法

【課題】既存の伝熱管を利用して付着プラスチックを効果的に除去することができる熱分解装置およびそのクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】、本発明の熱分解装置は、処理対象物を入れる入口を一端側に有し、他端側に出口を備える熱分解ドラムと、該熱分解ドラムの内壁面に沿って設けられ、加熱媒体が流れる伝熱管とを備え、前記熱分解ドラムの入口から入れられた処理対象物を、前記伝熱管を前記熱分解ドラムの出口側部位から入り前記熱分解ドラムの入口側部位から出る方向に流れる加熱媒体によって加熱して熱分解ガスと熱分解残渣を産出する熱分解装置であって、前記加熱媒体を、熱分解ドラムの前記入口側部位から入り前記出口側部位から出る状態に切り換える切り換え部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物(処理対象物)を熱分解処理する熱分解装置に関し、特にカーシュレッダーダスト等のプラスチック含有割合の高い廃棄物の熱分解処理に適した熱分解装置およびそのクリーニング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック含有割合の高い廃棄物の熱分解処理に適した熱分解装置として、例えば特許文献1に記載されるものが挙げられる。この熱分解装置はロータリーキルンを備えている。
【0003】
図5に、熱分解装置の一例としてのロータリーキルンの概略の縦断面図を示す。ロータリーキルン2は、横型回転ドラム式の熱分解炉であって、処理対象物Aに対して熱分解処理を行う熱分解ドラム3と、この熱分解ドラム3を回転可能に支持する支持体13、14と、加熱処理によって生じた熱分解ガス及び熱分解残渣を排出する排出装置18と、を備えて構成されている。熱分解ドラム3の入口4側から投入された処理対象物Aは、該熱分解ドラム3の回転に伴ってゆっくりと出口5側に移動しながら加熱されることにより熱分解される。
【0004】
熱分解ドラム3は、その内壁面17に沿って多数の伝熱管16を有している。この伝熱管16には、加熱媒体である高温の加熱ガスGが処理対象物Aの移動方向に対して対向流で流れるように構成されている。すなわち、加熱ガスGは、熱分解ドラム3の出口5側が加熱ガス入口8となり、該熱分解ドラム3の入口4側が加熱ガス出口9となっている。この対向流で高温の加熱ガスGが伝熱管16内を通ることにより、内部の処理対象物Aは間接的に加熱され、熱分解されるようになっている。
【0005】
尚、図5において、符号11は処理対象物Aを運搬するコンベアを示しており、符号12は処理対象物を熱分解ドラム3内に定量供給するスクリューフィーダーを示している。
【特許文献1】特開2003−321573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、都市ゴミ等の一般廃棄物を処理する場合に比して、産業廃棄物、その中でも特にカーシュレッダーダスト(以下「ASR」と言う)を処理する場合には、以下の様な不具合が生じる。即ち、ASRは、自動車のシートやインパネ等の部品を構成するプラスチック、繊維、発泡ウレタン等の可燃物と、金属やガラス等の不燃物とからなるが、都市ゴミ等と比べてプラスチックの比率が大きいという性質を有している。
【0007】
加熱分解のために伝熱管16内を流される加熱ガスは、その温度が伝熱管16の前記入口8側(熱分解ドラム3の出口5側)で通常500℃〜550℃程度である。この加熱ガスGの温度は、伝熱管16内をその出口9(熱分解ドラム3の入口4側)に向かって流れ、その間に処理対象物Aに熱を吸収されて次第に温度が下がり、図7に示したような温度プロファイルL1となる。すなわち、出口9(熱分解ドラム3の入口4側)において280℃〜300℃程度に温度が下がる。
【0008】
一方、処理対象物Aは、熱分解ドラム3の入口4から室温(20℃程度)で熱分解ドラム3内に投入され、伝熱管16内を流れる対向流の加熱ガスGによって間接加熱され、次第に温度が上昇し、熱分解ドラム3の出口5では430℃〜500℃程度になる。図7に、処理対象物Aの温度プロファイルL2を示した。
【0009】
図7に示したように、熱分解ドラム3の入口4から出口5までの全領域におけるほぼ中央部の約3分の1の領域Mにおいて、処理対象物Aの温度が200℃〜400℃になる。処理対象物AがASR等のプラスチックの比率の多いものである場合、この温度の領域Mにおいて、熱分解ドラム3の内壁面17(伝熱管16の表面)にプラスチックが分解しきれずに付着し、成長する問題が発生する。この問題は熱分解処理の効率を低下させ、運転継続を困難にする。
【0010】
そこで、付着したプラスチックを除去する必要がある。その除去方法として、定期的に熱分解装置の運転を停止して物理的に内部をクリーニングして付着プラスチックを除去する、或いは装置全体として運転温度を上げて付着プラスチックを溶融除去する方法が考えられる。
【0011】
しかし、前者の方法では、一旦付着・固化したプラスチックは非常に硬く、手作業等の物理的除去に長時間を要するため、当該装置の稼働率が低下して処理能力低下につながる。また後者の方法では、付着プラスチックの除去は可能であるが、その高温化のための設備が別途必要となり、大型化及び高コスト化につながる。すなわち、いずれの方法も実用化するのは困難である。
【0012】
そこで、付着プラスチックの量があるレベルに達したときに、熱分解ドラム3内に処理対象物Aを投入しないで、伝熱管16内に加熱ガスGを流すクリーニング方法が提案された。図6は、図5の熱分解装置において、このクリーニング運転を行っている状態を示す概略の要部縦断面図である。図6において、符号Pは付着プラスチックを示す。このクリーニング方法は、クリーニング運転時には処理対象物Aが熱分解ドラム3内に投入されない分、伝熱管16の入口8から送られた加熱ガスGの温度低下は少ない。すなわち、図7に示した温度プロファイルL3のようになる。
【0013】
上記のように、領域Mにおいて温度プロファイルL1よりも温度プロファイルL3が高温になっているその差の分だけ、付着プラスチックPに対して、より高温で間接加熱することが可能になので、付着プラスチックをある程度除去することが可能になる。
【0014】
しかし、付着プラスチックPは、領域Mの内、熱分解ドラム3の入口4に近い側の領域M1に多量に付着し、出口5に近い側の領域M2は少量の付着になる傾向にある。そのため、上記クリーニング方法(温度プロファイルL3)では、付着プラスチック量の多い領域M1に対して充分に高温の加熱ガスGで間接加熱することができず、除去効率が低くなる問題がある。
【0015】
本発明の目的は、既存の伝熱管を利用して付着プラスチックを効果的に除去することができる熱分解装置およびそのクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る熱分解装置は、処理対象物を入れる入口を一端側に有し、他端側に出口を備える熱分解ドラムと、該熱分解ドラムの内壁面に沿って設けられ、加熱媒体が流れる伝熱管とを備え、前記熱分解ドラムの入口から入れられた処理対象物を、前記伝熱管を前記熱分解ドラムの出口側部位から入り前記熱分解ドラムの入口側部位から出る方向に流れる加熱媒体によって加熱して熱分解ガスと熱分解残渣を産出する熱分解装置であって、前記加熱媒体を、熱分解ドラムの前記入口側部位から入り前記出口側部位から出る状態に切り換える切り換え部を備えることを特徴とするものである。
【0017】
本態様によれば、熱分解ドラム内にプラスチックが付着した場合、そのクリーニング運転時に、切り換え部によって前記加熱媒体を、対向流に代えて、熱分解ドラムの入口側部位から入り出口側部位から出る状態に切り換えてクリーニングを実行することができるので、付着プラスチックが多量に存在する領域に対して、より高温の加熱を行うことが可能となり、付着プラスチックを効果的に除去することができる。
【0018】
本発明の第2の態様に係る熱分解装置は、前記第1の態様に係る熱分解装置において、前記切り換え部は、熱分解ドラム内に付着したプラスチックを除去するクリーニング運転時に、加熱媒体を熱分解運転時と逆向きに流すように構成されていることを特徴とするものである。本態様によれば、第1の態様と同様の効果が得られる。
【0019】
本発明の第3の態様に係る熱分解装置は、前記第2の態様に係る熱分解装置において、前記切り換え部は、前記加熱媒体の供給元と、前記伝熱管の前記熱分解ドラムの前記出口側部位及び前記入口側部位とを連通する第1連通路と、前記伝熱管の前記熱分解ドラムの前記出口側部位及び前記入口側部位と、加熱媒体の送り先とを連通する第2連通路と、前記第1流通路及び第2流通路にそれぞれ設けられた第1開閉弁部及び第2開閉弁部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0020】
本態様によれば、プラスチックの比率が多くない都市ゴミ等の一般廃棄物を処理する場合と、例えばASR等のプラスチックの比率の多い処理対象物を処理する場合を、第1流通路及び第2流通路にそれぞれ設けられた第1開閉弁部及び第2開閉弁部を調整することにより、構造簡単にして、容易に切り換えて対応することができる。
【0021】
本発明の第4の態様に係る熱分解装置のクリーニング方法は、熱分解ドラムの入口から入れられた処理対象物を、該熱分解ドラムの内壁面に沿って設けられた伝熱管内を前記熱分解ドラムの出口側部位から入り前記熱分解ドラムの入口側部位から出る方向に流れる加熱媒体によって加熱して熱分解ガスと熱分解残渣を産出する熱分解運転時に、前記熱分解ドラム内に付着したプラスチックを除去するための熱分解装置のクリーニング方法であって、クリーニング工程は、前記熱分解運転時と逆に、前記加熱媒体を、熱分解ドラムの前記入口側部位から入り前記出口側部位から出る状態に切り換えて行われることを特徴とするものである。
【0022】
本態様に係るクリーニング方法によれば、クリーニング工程は、熱分解運転時と逆に、加熱媒体を、熱分解ドラムの入口側部位から入り、出口側部位から出る状態に切り換えて行われる。従って、加熱媒体を熱分解運転時の対向流の向きから逆の向きに変えるだけで、付着プラスチックが多量に存在する領域に対して、より高温の加熱を行うことが可能となり、付着プラスチックを効果的に除去することができる。
【0023】
本発明の第5の態様に係る熱分解装置のクリーニング方法は、前記第4の態様に係る熱分解装置のクリーニング方法において、前記熱分解運転時と逆に加熱媒体を流す前記クリーニング工程に続いて、前記空気管内を再び前記熱分解運転時と同じ方向に加熱媒体を流す続クリーニング工程が行われることを特徴とするものである。
【0024】
本態様によれば、続クリーニング工程によって、その前のクリーニング工程で除去しきれずに残った付着プラスチックに対して、更に新たな温度プロファイルによって加熱処理を行うことができるので、付着プラスチックに対する一層効果的な除去を実現することができる。
【0025】
本発明の第6の態様に係る熱分解装置のクリーニング方法は、前記第4の態様又は第5の態様に係る熱分解装置のクリーニング方法において、前記クリーニング工程時に熱分解ドラム内に鉄筋等の機械的除去材をいれて前記プラスチックを除去することを特徴とするものである。
【0026】
本態様によれば、前記各態様による加熱による除去効果に加えて、鉄筋等による機械的除去の効果が相乗的に加わり、一層効果的なプラスチック除去を実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、熱分解ドラム内にプラスチックが付着した場合、そのクリーニング運転時に、切り換え部によって前記加熱媒体を、対向流に代えて、熱分解ドラムの入口側部位から入り出口側部位から出る状態に切り換えてクリーニングを実行することができるので、付着プラスチックが多量に存在する領域に対して、より高温の加熱を行うことが可能となり、付着プラスチックを効果的に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[実施の形態1]
以下、図面を参照しながら本発明に係る熱分解装置及びそのクリーニング方法の実施形態について説明する。
先ず、図1を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。ここで、図1は本発明の第1実施形態に係る熱分解装置の全体構成及びクリーニング工程を示す概略構成図である。
【0029】
本実施の形態に係る熱分解装置は、処理対象物Aを入れる入口4を一端側に有し、他端側に出口5を備える熱分解ドラム3と、該熱分解ドラム3の17内壁面に沿って設けられ、加熱媒体である高温の加熱ガスGが流れる伝熱管16とを備える。熱分解ドラム3の入口4から入れられた処理対象物Aを、伝熱管16を前記熱分解ドラム3の出口5側部位から入り前記熱分解ドラム3の入口4側部位から出る方向に流れる加熱ガスGによって加熱して熱分解ガスと熱分解残渣を産出するようになっている。
【0030】
そして、前記加熱ガスGを、熱分解ドラム3の前記入口4側部位から入り前記出口5側部位から出る状態に切り換える切り換え部20を備えている。該切り換え部20は、前記加熱ガスGの供給元30と、前記伝熱管16の前記熱分解ドラム3の前記出口5側部位及び前記入口4側部位とを連通する第1連通路21と、前記伝熱管16の前記熱分解ドラム3の前記出口5側部位及び前記入口4側部位と、加熱ガスGの送り先40とを連通する第2連通路22と、前記第1流通路21及び第2流通路22にそれぞれ設けられた第1開閉弁部23a,23b及び第2開閉弁部24a,24bとを備えている。
【0031】
第1連通路21は、前記加熱ガスGの供給元30に接続された配管が途中で分岐して、熱分解ドラム3の入口4側に位置する伝熱管16の入口81、更に熱分解ドラム3の出口5側に位置する伝熱管16の他の入口82にそれぞれ接続されている。そして、該第1連通路21の各入口81,82の上流(手前)位置に、第1開閉弁部23a,23bが、図1に示したように、それぞれ設けられている。尚、第1開閉弁部23a,23bは、単一の三方切換弁で構成してもよい。
【0032】
第2連通路22は、前記加熱ガスGの送り先40に接続された配管がその上流側途中まで分岐しており、該第2連通路22の基端は熱分解ドラム3の入口4側に位置する伝熱管16の出口91、更に熱分解ドラム3の出口5側に位置する伝熱管16の他の出口92にそれぞれ接続されている。そして、該第2連通路22の各出口91,92の下流位置に、第2開閉弁部24a,24bが、図1に示したように、それぞれ設けられている。尚、第2開閉弁部24a,24bは、単一の三方切換弁で構成してもよい。
【0033】
[熱分解装置のクリーニング]
続いて、図1の熱分解装置のクリーニング方法を説明する。切り換え部20は、熱分解ドラム3内に付着したプラスチックPを除去するクリーニング運転時に、加熱ガスGを熱分解運転時と逆向きに流すようになっている。この切り換えは図示しない制御部によって行われるようになっている。尚、作業者がマニュアルで順番に切り換えることも可能である。
【0034】
すなわち、通常の熱分解運転時には、熱分解ドラム3の入口4から入れられたASR等の処理対象物Aを、熱分解ドラム3の内壁面17に沿って設けられた伝熱管16内を対向流で流れる加熱ガスGによって加熱して熱分解ガスと熱分解残渣を産出する。しかし、クリーニング工程では、前記熱分解ドラム3内に付着したプラスチックPを除去するため、前記熱分解運転時の対向流に代えて、前記加熱ガスGを、熱分解ドラム3の入口4側部位から入り前記出口5側部位から出る状態に切り換えて行われる。尚、このクリーニング工程では、当然に処理対象物Aは熱分解ドラム内に投入しない。
【0035】
具体的には、第1連通路21の第1開閉弁部23aを開(ON)にすると同時に、第1開閉弁部23bを閉(OFF)にする。更に、第2連通路22の第2開閉弁部24aを閉(OFF)にすると同時に、第2開閉弁部24bを開(ON)にする。これにより、加熱ガスGは、伝熱管16内を熱分解ドラム3の入口4側から流入し、同出口5側から流出する流れとなり、その温度は従来のクリーニング運転時の温度プロファイルL3とは逆の勾配となる。すなわち、その温度プロファイルL4は図2に示したようになる。
【0036】
この温度プロファイルL4によって以下の効果が得られる。すなわち、付着プラスチック量の多い領域M1に対して充分に高温の加熱ガスGで間接加熱することができ、もって付着プラスチックPの除去効率を向上することができる。
【0037】
[実施の形態2]
図3は本発明の実施の形態2に係る熱分解装置のクリーニング方法を説明する概略構成図である。この実施の形態においては、図1に示した熱分解運転時と逆に加熱ガスGを流すクリーニング工程に続いて、前記空気管16内を再び前記熱分解運転時と同じ方向に加熱ガスGを流す続クリーニング工程が行われている。
【0038】
この続クリーニング工程は、具体的には、第1連通路21の第1開閉弁部23aを閉(OFF)にすると同時に、第1開閉弁部23bを開(ON)にする。更に、第2連通路22の第2開閉弁部24aを開(ON)にすると同時に、第2開閉弁部24bを閉(OFF)にする。これにより、加熱ガスGは、伝熱管16内を熱分解ドラム3の出口5側から流入し、同入口4側から流出する流れとなり、その温度は図1のクリーニング運転時の温度プロファイルL4とは逆の勾配となる。すなわち、その温度プロファイルは図7に示したL3に近いものとなる。この工程では付着プラスチックPの量が減っているので、L3よりも少し高温側にシフトした温度プロファイルになる。
【0039】
本実施の形態2によれば、続クリーニング工程によって、その前のクリーニング工程で除去しきれずに、領域M2に主に残った付着プラスチックP(図3に示したように付着量は減少している)に対して、更に新たな温度プロファイルによって領域M2に対して加熱処理を行うことができるので、付着プラスチックPに対する一層効果的な除去を実現することができる。
【0040】
[実施の形態3]
図4は本発明の実施の形態3に係る熱分解装置のクリーニング方法を説明する概略構成図である。この実施の形態においては、図1に示した実施の形態1に係る熱分解装置のクリーニング方法において、そのクリーニング工程時に熱分解ドラム3内に鉄筋等の機械的除去材50をいれて前記付着プラスチックPを除去するものである。なお、図3に示した実施の形態2に係る熱分解装置のクリーニング方法において、そのクリーニング工程及び続クリーニング工程の両方又は一方の工程において、熱分解ドラム3内に鉄筋等の機械的除去材50をいれて前記付着プラスチックPを除去するようにしてもよい
本実施の形態3によれば、前記実施の形態1又は2による加熱(温度プロファイルL4、更にL3)による除去効果に加えて、鉄筋等50による機械的除去の効果が相乗的に加わり、一層効果的なプラスチック除去を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態1に係る熱分解装置の全体構成及びクリーニング工程を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る熱分解装置のクリーニング工程時の温度プロファイル等、熱分解ドラムの各領域(入口からの距離)と加熱ガスの温度等との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る熱分解装置の全体構成及びクリーニング工程を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る熱分解装置の全体構成及びクリーニング工程を示す概略構成図である。
【図5】従来の熱分解装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図6】従来の熱分解装置の全体構成及びクリーニング工程を示す概略構成図である。
【図7】従来の熱分解装置のクリーニング工程時の温度プロファイル等、熱分解ドラムの各領域(入口からの距離)と加熱ガスの温度等との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
2 ロータリーキルン(熱分解装置)
3 熱分解ドラム
4 熱分解ドラムの入口
5 熱分解ドラムの出口
6 排ガス処理装置
8 伝熱管の入口
9 伝熱管の出口
20 切り換え部
21 第1連通路
22 第2連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を入れる入口を一端側に有し、他端側に出口を備える熱分解ドラムと、
該熱分解ドラムの内壁面に沿って設けられ、加熱媒体が流れる伝熱管と、を備え、
前記熱分解ドラムの入口から入れられた処理対象物を、前記伝熱管を前記熱分解ドラムの出口側部位から入り前記熱分解ドラムの入口側部位から出る方向に流れる加熱媒体によって加熱して熱分解ガスと熱分解残渣を産出する熱分解装置であって、
前記加熱媒体を、熱分解ドラムの前記入口側部位から入り前記出口側部位から出る状態に切り換える切り換え部を備えることを特徴とする熱分解装置。
【請求項2】
請求項1に記載に熱分解装置であって、
前記切り換え部は、熱分解ドラム内に付着したプラスチックを除去するクリーニング運転時に、加熱媒体を熱分解運転時と逆向きに流すように構成されていることを特徴とする熱分解装置。
【請求項3】
請求項2に記載に熱分解装置であって、
前記切り換え部は、
前記加熱媒体の供給元と、前記伝熱管の前記熱分解ドラムの前記出口側部位及び前記入口側部位とを連通する第1連通路と、
前記伝熱管の前記熱分解ドラムの前記出口側部位及び前記入口側部位と、加熱媒体の送り先とを連通する第2連通路と、
前記第1流通路及び第2流通路にそれぞれ設けられた第1開閉弁部及び第2開閉弁部と、を備えていることを特徴とする熱分解装置。
【請求項4】
熱分解ドラムの入口から入れられた処理対象物を、該熱分解ドラムの内壁面に沿って設けられた伝熱管内を前記熱分解ドラムの出口側部位から入り前記熱分解ドラムの入口側部位から出る方向に流れる加熱媒体によって加熱して熱分解ガスと熱分解残渣を産出する熱分解運転時に、前記熱分解ドラム内に付着したプラスチックを除去するための熱分解装置のクリーニング方法であって、
クリーニング工程は、前記熱分解運転時と逆に、前記加熱媒体を、熱分解ドラムの前記入口側部位から入り前記出口側部位から出る状態に切り換えて行われることを特徴とする熱分解装置のクリーニング方法。
【請求項5】
請求項4に記載の熱分解装置のクリーニング方法において、
前記熱分解運転時と逆に加熱媒体を流す前記クリーニング工程に続いて、前記空気管内を再び前記熱分解運転時と同じ方向に加熱媒体を流す続クリーニング工程が行われることを特徴とする熱分解装置のクリーニング方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の熱分解装置のクリーニング方法において、
前記クリーニング工程時に熱分解ドラム内に鉄筋等の機械的除去材をいれて前記プラスチックを除去することを特徴とする熱分解装置のクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−242613(P2009−242613A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91322(P2008−91322)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】