説明

熱可塑性材料の前処理、再処理、又はリサイクル方法

【課題】高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、又はポリプロピレン(PP)からなるプラスチック材料を、穏やかで効率的かつ経済的な手法で再処理する方法の提供。
【解決手段】プラスチック材料を、少なくとも一つの収容槽又は反応槽において、混合及び粉砕をしながら加熱し、前記プラスチック材料の結晶化、乾燥、及び/又は浄化を行い、前記プラスチック材料の混合、粉砕及び加熱は、鉛直軸の回りを回転でき、少なくとも一つの粉砕又は混合用具を使用し、該粉砕又は混合用具は材料を粉砕及び/又は混合する効果を奏するように働く刃を有し、加熱が機械的エネルギーを与えることにより行われ、前記プラスチック材料が、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、又はポリプロピレン(PP)であり、
前記プラスチック材料の形態が、容器を粉砕してできた部分的に結晶質又は非晶質の粒状物やフレークの形態であり、高密度ポリエチレン(HDPE)の加熱温度が50〜130℃であり、低密度ポリエチレン(LDPE)の加熱温度が50〜110℃であり、ポリプロピレン(PP)の加熱温度が50〜155℃であり、
粉砕又は混合用具の最も外側の刃の周方向速度が1〜35m/s、収容槽又は反応槽における平均滞留時間が10〜100分、かつ150mbar以下で処理が行なわれる、
ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1による熱可塑性材料の前処理、再処理、又はリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラスチック廃棄物の再処理(reprocessing)がますます重大な問題になってきている。どんな場合でも、効率的なリサイクルには多くの問題がかかわっており、これらが考慮される必要がある。例えば、扱われるプラスチック製品は通常、極めて多様な形状、形態、厚さ、などの廃棄物である。その上、個々のプラスチック製品は、互いに異なる化学的及び物理的性質を有している。また、リサイクルされるプラスチック製品のほとんどは、有毒物質やその他の汚染物質で汚染されており、再び市場に出すためには浄化を必要とする。
プラスチック製品の再生及びリサイクルには多くのさまざまな方法がある。しかしながら、これらの方法はどれも個々のとらえ方で取り組んでいるばかりで、それゆえ、従来公知の方法は特定の利用には適しているが、その他の分野ならびに他の条件や課題においてはうまくいかない。
【0003】
例えば、(特に吸湿性の)プラスチック製品のリサイクルにおいては、可塑化あるいは溶融時における分子鎖の加水分解を防ぐため、リサイクルされる製品は出来るだけ乾燥していることが重要である。これは処理操作(process management)に考慮されなければならない。
高温における多くのプラスチック製品の粘着性など、処理技術の問題も考慮されなければならない。
リサイクルされたプラスチック製品の再使用が増えるにつれ、食品容器の分野においても、リサイクル製品の使用が増えている。しかし、リサイクルされたプラスチックと食品が直接接触する場合には、リサイクルされたプラスチックをもとに製造された容器材料から、望まれない汚染物質が食品に移らないことが保証されなければならない。この問題を解決するために、使用後の、それ故に食品に関して汚染や多くの場合有害な不純物を有するプラスチックを、全く問題なしに食品容器の分野において再使用可能なプラスチック製品となるようにリサイクルするための、多くの方法が既に開発されている。
【0004】
第一に、化学的な手法が知られている。例えば、使用後のプラスチック製品を熱分解する方法が提案された。この方法においては,プラスチックを空気中の酸素を排除した雰囲気で分解する。もう一つの化学的リサイクル法はプラスチック製品の水素化を伴うものであり、この方法においては加圧及び昇温状態において水素との化学反応が起こる。これらの化学的手法は、製造されるプラスチック製品が殆ど有害物質を含まないというメリットを有するものの、経済的に実施するにはエネルギー的な懸念や特定の工場設備費用が障害となっている。
他方で、物理的手法はずっと低い温度で実施でき、このためリサイクルされたプラスチック製品の構造、特に分子鎖長は基本的に変化しない。
重要度が増大しているプラスチックはポリ乳酸、すなわちポリラクチド(以下、PLAという。)である。ポリ乳酸すなわちPLAは下記式で表される熱可塑性の合成物質である。
【0005】
【化1】

【0006】
PLA[26100-51-6]はポリエステル類に属する。光学活性ポリマーはD−又はL−ラクチドの形態で存在する。
PLAは包装業界において最も利用範囲が広い。この物質の1つの顕著な性質は、大変優れた生分解性を有し、生体適合性があり、環境に優しく、従って微生物によって簡単に分解され得るということである。
PLAの医学的利用も同様に注目されている。例えば、移植組織片や活性成分賦形(ふけい)剤(active ingredient vehicles)はPLAで作られており、人体の中で分解される。PLA製の骨板及び/又はねじは、折れた骨が治っていくにつれて体内で分解されるため、もはや2度目の手術をして取り除く必要はない。再吸収に要する期間は、使用されるポリマーの鎖長によるだけでなく、L及びD成分の混合比率によっても、調整することが可能である。活性成分を埋め込んだPLAスポンジ(sponges)は、特定の期間に特定の場所でこれらを放出することができる。
【0007】
PLAの物性は本来、分子量、結晶化度、そして場合によってはコポリマーの割合によって決まる。分子量が大きければ、融点、引張り強度やヤング率だけでなく、ガラス転移点が上昇し、破壊ひずみは低下する。メチル基に起因して、この材料は撥水性すなわち疎水性を示す。PLAはジクロルメタンなどの多くの有機溶媒に可溶である。PLAは加工用に繊維補強することもできる。
【0008】
PLAポリマーは本来、乳酸の環状二量体であるラクチドのイオン重合によって得られる。140℃と180℃の間の温度において、スズ化合物(酸化スズなど)の触媒存在下で開環重合が起きる。このようにして、高分子量及び高強度のプラスチックが生産される。ラクチド自体は、各種バクテリアによる糖液(molasses)やブドウ糖の発酵により作ることができる。高分子で純粋なPLAは重縮合により乳酸から直接製造することも可能である。しかし、溶媒の廃棄が工業生産における問題である。
【0009】
PLAのガラス転移点又は範囲は55℃と58℃の間にあり、結晶化温度は100℃と120℃の間、そして融点は165℃と183℃の間にある。
PLAプラスチックのリサイクルにおいて、可塑化あるいは分解時における分子鎖の加水 分解を防ぐため、リサイクルされる材料は出来るだけ乾燥していることが重要である。
ところが、PLAは吸湿性であり、そのため効率的な乾燥が難しい。
その温度以上ではPLA材料が粘性を発現することになるガラス転移点が低いこと、そして比較的結晶化時間が長いことが、従来の結晶化装置及び乾燥装置を用いた、非晶質の製品廃棄物、特に、厚く製造されたフィルム(deep-drawn films)の残留物、の結晶化及び/又は乾燥を難しくしている。
このような従来から知られている乾燥装置は、乾燥空気ドライヤーであり、粒状物(granulate)1kgにつき、およそ1.85m/hの流量で作動する。例えば、非結晶質PLAは露点が−40℃の空気を用いて45℃で約4時間、結晶PLAは露点が−40℃の空気を用いて90℃で約2時間、乾燥される。
【0010】
乾燥温度がかなり低いため、特に非結晶質材料を処理する場合、乾燥時間が比較的長く、極めて精密な温度管理が必要である。これは、粒状物についてだけでなく、フレーク(flake)状、フィルム状、フリース(fleece)状、などその他いかなる形状についても、不可能か極めて困難である。
このような理由で、乾燥前に該プラスチックの結晶化を行うことが考えられる。このような結晶化は例えば、乾燥温度より低い温度で、いかなる場合も融点あるいは可塑化温度より低い温度で、粒子を均一に揺動(振動、movement)又は機械的に操作することにより達成できる。この揺動は、各々の粒子の相互付着の防止に有利である。
【0011】
しかし、リサイクルを意図される材料は通常汚染されており、洗浄や、必要であればソイリング(soiling)と同時に事前の粉砕処理が行われるため、通常はまず既定の粉砕又は粉状化、洗浄、そして乾燥が行われる。この予備乾燥は、少なくとも含水量を、使用又はリサイクルされるプラスチック材料の1.5重量%未満の値まで低下させてはならない。
従来の結晶化装置で早期結晶化段階に直接進もうとすると、それも極めて困難で、粘着性の問題が慣例である。
【0012】
プラスチック製品の再処理のための処理プロセスを複雑化しているのは、化学的及び物理的性質がかなり互いに異なる実に様々なプラスチックが極めて多様な用途に使用されているという事実である。例えば、PETはPEとは全く異なる性質を有しているし、PSはPPとは異なる性質を有している。
従って、あるポリマー材料の再処理に関して得られた知識を、別の材料に適用したり直接転用することは容易にできることではない。よってどのポリマーも、個別に特に考慮すべき事柄や評価、そして特に、その特定の材料に合わせた処理条件を必要とする。その上、詳細な処理調整(process control)は、扱っている材料の形状や、特に厚さにも影響される。
さらに、結晶化、乾燥、浄化、粘度の増大等の条件が複雑に相互作用し、これを予め予測することは極めて困難であり、共通に適用できる通則は当てはまらないため、個別のポリマーごとに、そしてリサイクルされる廃棄物の各々の種類や形状に合わせて、処理条件を個別に適合させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、多くの異なるプラスチック製品を、穏やかで効率的かつ経済的な手法で再処理することが可能な方法を創出することにある。
さらにこの方法は、影響を受けやすく不安定な、特に吸湿性のプラスチック製品や、含水量の多いプラスチック製品を、穏やかに処理することを可能にしなければならない。
さらに本発明の課題は、リサイクルされるプラスチック製品、特にポリ乳酸PLAを、その種類、形状、及び組成に拘わらず、乾燥させ、場合によっては同時に1段階(one step)で結晶化できる方法を創出することにある。
【0014】
さらに本発明の課題は、プラスチック製品を迅速で可能な限り省エネルギーのリサイクル処理し、リサイクル済み及び再生済みプラスチック製品や、生じた溶融物でできた粒状物(granulate)や、該粒状物からできた製品が、可能な限り高い粘度、特にリサイクルされた材料の粘度に匹敵する粘度を有するような方法を提供することにある。粒状物の粘度を上昇させる必要がある。
【0015】
さらに本発明の課題は、大量に土が付着したり(soiled)、汚染したり、多くの印刷が施された(highly imprinted)プラスチック製品を、該プラスチックの物理的性質及び/又は溶融物の性質を劣化させずに再生できる方法を提供することにある。リサイクル済み及び再生済みプラスチック製品や、生じたプラスチック溶融物や、該溶融物からできた粒状物は、食品用として清潔で、特に食品に関する規制を満足し、食品への使用に適し、あるいは欧州ILSIの文書又はFDAにより承認を受けなければならない。よって、リサイクル用に送られた材料に含まれる毒素、移動物質や汚染物質は、この方法により可能な限り完全に除去されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの課題は、請求項1に記載された構成要件によって解決される。
1.処理されるプラスチック材料を、少なくとも一つの収容槽又は反応槽において、該プラスチックの融点より低く、好ましくはガラス転移点より高い温度にて、常に、混合し又は揺動させ、及び/又は粉砕しながら加熱し、これにより、特には1段階で、同時に、結晶化、乾燥、及び/又は浄化を行い、かつ、
上記プラスチック材料の混合及び加熱は、鉛直軸の回りを回転でき、場合によって上下に数段に配置された、少なくとも一つの粉砕又は混合用具を使用し、該用具は材料を粉砕及び/又は混合する効果を奏するように働く刃を有し、加熱は、特には機械的エネルギーを与えることにより行われることを特徴とする熱可塑性材料、特に種々の形状の廃棄物の、前処理、再処理又はリサイクル方法。
2.使用されるプラスチック材料は、ポリ乳酸(PLA)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)やスチレン・アクリロニトリル(SAN)などのスチレンコポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及び/又は、特にデンプン由来又はデンプンを混合したバイオプラスチック、あるいは、例えばPET/PE、PET/PA、及びPP/PA等のプラスチック材料の混合物である、上記1に記載の方法。
3.プラスチック材料は、
新品あるいは再生品の容器を粉砕してできた部分的に結晶質又は非晶質の粒状物やフレークの形態、
特には100μmと2mmの間の厚さを有する、厚く成形される装置で特に発生する、部分的に結晶質又は非晶質の粉砕フィルム廃棄物の形態、
特に5μmと100μmの間の厚さを有する、成形装置で発生する薄いフィルム廃棄物の形態、
及び/又はファイバーやフリース廃棄物の形態、
で使用される、上記1又は2に記載の方法。
4.プラスチック材料は、容器を粉砕してできたフレーク及び/又は粒状物の形態である場合は特に、粉砕又は混合用具の最も外側の混合チップの周方向速度が1〜35m/s、好ましくは3〜20m/s、で揺動及び/又は混合される、上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5.プラスチック材料は、ポリ乳酸(PLA)である場合は特に、また、特に100μmと2mmの間の厚さを有する、薄いフィルム状、ファイバー状、あるいはフリース状である場合は特に、粉砕又は混合用具の最も外側の混合チップの周方向速度が15〜58m/s、好ましくは35〜47m/s、で揺動及び/又は混合される、上記1〜3のいずれかに記載の方法。
6.プラスチック材料は、容器を粉砕してできたフレーク及び/又は粒状物の形態である場合は特に、150mbar以下、好ましくは50mbar以下、特に20mbar以下、特に0.1〜2mbarの間の真空下で処理される、上記1〜5のいずれかに記載の方法。
7.プラスチック材料は、ポリ乳酸(PLA)である場合は特に、薄いフィルム状、ファイバー状、あるいはフリース状である場合は特に、大気圧下で処理される、上記1〜5のいずれかに記載の方法。
8.プラスチック材料は、ポリ乳酸(PLA)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、及び/又はポリスチレン(PS)である場合は特に、容器を粉砕してできたフレーク及び/又は粒状物の形態である場合は特に、10分〜100分、特に20分〜70分までの平均滞留時間の間、反応槽に留まる、上記1〜7のいずれかに記載の方法。
9.プラスチック材料は、ポリカーボネート(PC)及び/又はポリエチレンナフタレート(PEN)であるものは特に、容器を粉砕してできたフレーク及び/又は粒状物の形態である場合は特に、30分〜200分、特に40分〜120分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる、上記1〜7のいずれかに記載の方法。
10.プラスチック材料は、ポリ乳酸(PLA)である場合は特に、フィルム状、ファイバー状、あるいはフリース状である場合は特に、3分〜60分、特に10分〜25分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる、上記1〜9のいずれかに記載の方法。
11.ポリ乳酸(PLA)からできたプラスチック材料は、65℃〜120℃、好ましくは90℃〜110℃の温度に加熱される、上記1〜10のいずれかに記載の方法。
12.高密度ポリエチレン(HDPE)からできたプラスチック材料は、50℃〜130℃、好ましくは90℃〜122℃の温度に加熱される、上記1〜10のいずれかに記載の方法。
13.低密度ポリエチレン(LDPE)からできたプラスチック材料は、50℃〜110℃、好ましくは75℃〜105℃の温度に加熱される、上記1〜10のいずれかに記載の方法。
14.ポリプロピレン(PP)からできたプラスチック材料は、50℃〜155℃、好ましくは100℃〜150℃の温度に加熱される、上記1〜10のいずれかに記載の方法。
15.ポリカーボネート(PC)からできたプラスチック材料は、110℃〜240℃、好ましくは130℃〜210℃の温度に加熱される、上記1〜10のいずれかに記載の方法。
16.ポリスチレン(PS)からできたプラスチック材料は、50℃〜110℃、好ましくは75℃〜105℃の温度に加熱される、上記1〜10のいずれかに記載の方法。
17.ポリエチレンナフタレート(PEN)からできたプラスチック材料は、110℃〜250℃、好ましくは140℃〜235℃の温度に加熱される、上記1〜10のいずれかに記載の方法。
18.処理は単一の処理槽において1段階で行われ、プラスチック材料は、特に単一の処理槽において、単一の作業プロセスで加熱、乾燥、結晶化及び浄化される、上記1〜17のいずれかに記載の方法。
19.処理は、プラスチック材料の予備乾燥あり又はなし、及び/又は、予備結晶化あり又はなし、で行われる、上記1〜18のいずれかに記載の方法。
20.処理は、複数の段階、特に2段階で行われ、2又はそれ以上の収容槽あるいは反応槽が連続して、及び/又は並行して配置され、処理されるプラスチック材料はこれらの処理槽を順次流れていく、上記1〜17、及び19のいずれかに記載の方法。
21.上記1〜21各々の処理条件は、少なくとも一つの処理槽、特に最初に充填される処理槽、又は、前処理槽において使用される、上記20に記載の方法。
22.プラスチック材料は、低活性及び/又は拡散時間が長いポリマーを含む場合は特に、上流の前処理において、特に本処理の処理温度近くの温度にされる、上記20〜21のいずれかに記載の方法。
23.プラスチック材料は第1段階において、特に真空状態において機械的エネルギーを与える前処理が行われ、これにより加熱され、昇温されて乾燥され、そして場合によっては同時に結晶化され、次いで、全体的な可塑化あるいは溶融に先立つ第2段階において、プラスチック材料の本処理が、特に真空状態において行われ、揺動による機械的エネルギーを与えることにより再度乾燥され、そしてさらに結晶化され、かかる本処理は前処理よりも高い温度で特に行われる、上記20〜22のいずれかに記載の方法。
24.プラスチック材料は前処理に先立って、予備粉砕、及び/又は洗浄、及び/又は予備乾燥される、上記20〜23のいずれかに記載の方法。
25.本処理の温度は、プラスチック材料の可塑化温度あるいは融点より低く保たれる、上記20〜24のいずれかに記載の方法。
26.プラスチック材料は、連続的な流れにおいて前処理される、上記20〜25のいずれかに記載の方法。
27.連続的に、又は非連続的に、又はバッチ処理として行われる、上記1〜26のいずれかに記載の方法。
28.プラスチック材料は、最終的に可塑化あるいは溶融され、次いで、場合によっては濾過の後に、特に真空状態において、成形装置に運ばれ、あるいは粒状物に加工される、上記1〜27のいずれかに記載の方法。
【0017】
本発明によれば、化学的に異なるプラスチック製品を、それらの形状に関係なく、有利に再生できる。これにより、処理調整における柔軟性が確実に拡大し、極めて多様なプラスチック製品を扱うことが可能となる。
結晶化、乾燥、浄化(purification)あるいは無毒化が、場合によってはPA(もしかするとPCも)などのある種の重縮合物における粘度の上昇も、同時に、特に一度の共通の処理段階(process step)により、有利に行われる。よって、この再生方法は迅速で、しかも穏やかである。
例えば、結晶質及び非結晶質のポリマー材料の両方が、予め粉砕されるか、又は緩く流れているいかなる形態でも、どんな混合比率でも、乾燥でき、必要であれば1段階(single step)で結晶化でき、そして望むなら該材料が溶融される成形機に直接投入できる。
【0018】
本発明の方法には、請求項1に記載されている、ポリマー材料の穏やかでありながらも安定した揺動が有利である。この揺動が、粒子の表面が適度に結晶化し、それによって各粒子の相互粘着が起こらなくなるまで、臨界温度範囲における材料の凝集や粘着を防ぐ。さらに、この揺動のおかげで、より高い処理温度が可能となる。処理槽(treatment tank)においては、この穏やかで安定した揺動が、粘着の停止を確実にするだけでなく、同時に、槽内の温度が十分高いか高く維持されていること、及び各粒子が適正な温度であるか又は適正な温度まで穏やかな加熱状態にあることをも確実にする。この揺動は同時に、粒子表面からの移動分子の分離を助ける。この目的で、連続した処理のいろいろな段階での用具の使用、あるいはバッチ処理の混合用具の使用を、有利に行うことができる。
【0019】
本発明の有利な実施態様は、従属請求項の特徴により達成できる。
プラスチック材料のより優れた乾燥は、例えば、真空(vacuum)を利用して達成される。また、このようにして行われる処理は、真空を利用するおかげで、その他の装置より少ない供給エネルギーで済む。
真空にすることによって、材料からの不純物の拡散を助け、また不純物の除去を確実にする。
さらに真空が、高温のポリマー粒子あるいはフレークを酸化的影響又はダメージから保護するため、他の処理装置と比べてより高い粘度を得ることも可能である。基本的にどの不活性ガスを使用しても無毒化は可能である。しかしこれは相当の、より高額の費用がかかる。
乾燥は、設定温度におけるその材料の一定の有利な最小限の滞留時間(dwell time)、そして場合によっては選択された真空度によってサポートされる。
従来行われていた、複雑で費用のかかる、外部における処理材料の予備乾燥及び結晶化、ならびに化学添加物の使用及び/又は固体凝縮(solid state condensation)は必要でない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
再処理に投入する材料は概ね、牛乳のボトルやヨーグルトのカップなどの食品産業からでる容器である。これらの容器はまず第一段階の、上流における収集、選別、粉砕、及び洗浄というレイアウト(layout)において、普通の粗い不純物が除去される。しかし、容器の最外層に拡散したごくわずかの不純物は残存する。
このために、洗浄及び乾燥されたフレークは、昇温下及び場合により真空下に、本発明の浄化処理に委ねられ、一方で指定された処理条件下での反応装置内における滞留時間も浄化の役割を果たす。処理条件は、扱っているポリマーの不活性度ならびに化学的及び物理的性質によって決まる。
【0021】
材料の昇温方法は決定的なものではない。上流のプロセスにおいて、あるいは処理槽内で行うことができる。しかし都合よく、回転混合用具(rotating mixing tools)そのものを通じて行われる。
拡散生成物はポリマー粒子の境界層で見つかることから、そのすぐ後に溶融物の脱気(degassing)を行う成形処理と比較して、拡散経路が大幅に短縮される。
基本的に本発明の方法は、バッチ処理により、あるいは連続的に行うことができる。都合のいいことに、温度、滞留時間、及び真空度などの処理条件が、処理時間を通してずっと維持されていることを確実にすることだけが必要である。連続処理は、処理を確実に一定に保つことにより特に効果的となることが判明している。
【0022】
さらに、上流のプロセスにおける材料を、処理温度に近づけることが有利になるかもしれない。これは、低活性及び/又は拡散時間が長いポリマーについて特に当てはまる。
さらに、汚染物質の除去は、有害なにおいをも低減する。
【0023】
滞留時間(dwell time)は、材料の最低限の浄化がおこる時間を確保するものであり、いろいろな基準、すなわち、当該ポリマーにおける拡散物質の拡散速度、ならびに該ポリマーの軟化点あるいは融点によって決まる。
滞留時間は、ある種のポリマーに関しては大変長くなることがある。反応槽内に普及している温度でその材料を溶かさないために、該粒子に、溶融物の脱気を伴う成形処理(extrusion process)を直接施すのが得策である場合もある。これは、LDPE、HDPE、PS及び/又はPPについては特に当てはまる。PCやPENのポリマーに関しては通常、溶融物の脱気なしで済ますことができる。
【0024】
成形装置(extruder)は槽(tank)に直結させるのが有利であり、真空が有利に溶融域まで達していると同時に、フレークに蓄えられたエネルギーの出来るだけ多くが、成形装置あるいは下流にある真空下の成形溶融物(extruder melts)に運ばれる。
処理槽と成形装置間の輸送段階におけるエネルギー損失の発生を防ぐため、輸送設備、断熱、溶融域における真空度の増加などの方策が可能である。
成形装置の溶融域や下流の溶融物脱気においては、最後に残った揮発成分が真空下において、さらに高温で除去される。
PCやPENのポリマーに関しては、溶融物の脱気を省略できる。しかし溶融域において脱気効果は有益である。
最終的には、上記溶融物は、必要に応じて、濾過、造粒、あるいは、最終製品又は半完成品の製造のための次の製造段階に移すことができる。
【0025】
本発明における熱可塑性合成材料の前処理、再処理、又はリサイクルの方法は、そのすべての有利な態様において、収容槽(receiving tank)又は反応槽(reactor)で通常行われる。処理する合成材料は、該収容槽又は反応槽に入れられ、昇温下に一定の攪拌又は揺動、及び/又は粉砕処理される。
【0026】
プラスチック材料の混合及び加熱については、鉛直軸の回りを回転でき、少なくとも一段、場合によっては一つの上方に一つというように数段に配置され、材料を粉砕及び/又は混合する効果を奏するように働く刃(edges)を有する、粉砕又は混合用具(comminuting or mixing tool)が反応槽に設けられている。この粉砕又は混合用具がポリマー材料に機械的エネルギーを与え、その結果該ポリマー材料の加熱及び同時に攪拌及び揺動が行われる。この場合加熱は、与えた機械的エネルギーの変化により行われる。
このような反応槽は実用化されており、例を挙げると、「エレマ プラスチックリサイクル装置PC(EREMA Plastic Recycling System PC)」や、「1段又は2段階ヴァキュレマ装置(one- or two-stage VACUREMA layouts)」などとして知られている。
【0027】
再処理は、プラスチック材料の融点未満で、好ましくはガラス転移点を超える温度で行われ、その際に該ポリマー材料は均一にかつ安定して動かされかつ混ぜ合わされる。このようにしてプラスチック材料は1段階で結晶化、乾燥、及び浄化される。
処理対象となるプラスチック材料は主としてポリ乳酸(PLA)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)やスチレン・アクリロニトリル(SAN)などのスチレンコポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及び/又はバイオプラスチック、特にデンプン由来あるいはデンプンを混合したものである。これらのプラスチック材料を混合したもの、例えばPET/PE、PET/PA、またPP/PA等も使用される。
【0028】
プラスチック材料は通常、新品あるいは再生品の、少なくとも部分的に結晶質、非結晶質、又は非晶質の粒状物(granulate)の形態で存在する。しかし、特に100μmと2mmの間の厚さを有する厚く成形される用途(deep drawn applications)から特に発生する、かなり非晶質の粉砕フィルム廃棄物の形態や、特に5μmと100μmの間の厚さを有する、成形工場(drawing plants)から発生する薄いフィルム廃棄物の形態や、及び/又はファイバー(fiber)やフリース廃棄物の形態で存在する場合もある。さらにプラスチック材料は、廃棄ボトルあるいは射出成形された廃棄物の形態の場合もある。
【0029】
正確な処理条件、特に温度は、その材料の形態や厚さ、そしてもちろんポリマー自体の種類によって決まる。
特に粒状物やフレーク等の形態のポリマー片に対しては、1段階ヴァキュレマ反応槽(one-stage VACUREMA reactor)で処理するのが好ましい。このような反応槽は上述の特徴を有し、真空を適用することも可能である。
薄いフィルム、ファイバーやフリースの形態のポリマーに対しては、1段階エレマ ピーシー反応槽(one-stage EREMA PC reactor)で処理するのが有利である。この場合、真空を用いず、大気圧(ambient pressure)下でも十分処理されることが多い。この反応槽も同様に上述の特徴を有している。
【0030】
この方法は2段階で行うこともできる。例えば、結晶質若しくは非結晶質の粒状物又はフレークの混合物を、2段階ヴァキュレマ反応槽(two-stage VACUREMA reactor)の結晶化乾燥機に、浄化する材料として投入してもよい。上流の結晶化乾燥機には、鉛直軸の回りを回転し、材料を粉砕、及び/又は攪拌する効果を奏するように働く刃(working edges)を有する、粉砕及び攪拌手段が設けられている。この粉砕及び攪拌手段が材料に機械的エネルギーを与え、その結果、該材料の予備加熱、及び同時に該材料の混合及び揺動が行われる。次いで、予備加熱及び予備乾燥された材料に本処理が行われる。
【0031】
本発明による方法を有利な手法で実施するために、例えば、以下のような装置を使用することができる。すなわち、処理するプラスチック用の処理槽を有する装置であって、搬入開口部を通って該材料が該装置に供給され、該処理槽の側壁に接続された少なくとも一つのウオーム(worm)を通って該材料が該装置から取り出されるようになっており、該処理槽の底部には、鉛直軸の回りを回転可能で、材料を粉砕及び/又は混合する効果を奏するように働く刃を有する、少なくとも一つの用具が設けられており、前記ウオームの取り入れ開口部が少なくともおよそ該用具の高さにあり、処理槽内に真空発生及び/又は気体供給するための、処理槽に接続された少なくとも一つのライン(line)が設けられている。このような装置は、例えば、ヴァキュレマ(VACUREMA)反応槽や、エレマ ピーシー(EREMA PC)反応槽などとして提供されている。
【0032】
このような処理調整は、空気中の酸素、及び/又は湿気に敏感なプラスチックを処理する場合であっても、通常満足に進む。それは、処理槽の排気や、処理槽内への保護ガスの導入によって、これらの有害な影響からプラスチック材料を保護することが可能であるからである。
【0033】
しかしながら、多くの場合、ウオームを通って取り出されたプラスチック材料の均質度が十分でないことが判明してきた。これは、特に、このようなプラスチック材料の乾燥達成度に関して顕著であり、このようなプラスチック材料は劣化を防止するため可塑化する前であっても完全に乾燥していなければならない。
【0034】
より厚いフィルムは、厚さとともに増大する乾燥費用を必要とし、このようなものは、例えば特別の乾燥機で脱水素空気を使用するなど、別の乾燥処理が必要となる。その上これらの乾燥機は、結晶質の材料のみが使用可能な温度域で作動する。非晶質材料は粘性がでるためにこびりついてしまう。
これは、結晶化工程は乾燥工程より前にくる必要があることを意味する。しかし、もし処理槽内で処理中の材料が上記手段によって長い間処理されると、該装置を連続稼動する場合は特に、特定のプラスチック粒子が非常に早く搬出ウオームに捕まる一方で、他のプラスチック粒子はずっと遅れて捕まるという危険がある。早期に捕まる粒子はまだ比較的低温で、よって前処理が不十分であり、その結果、連結された装置、例えば成形ヘッドへ、ウオームを通って運ばれる材料内において不均質性が生じる。
【0035】
これを防止し、搬出される材料の均質化を著しく向上させるため、本発明の方法は別の装置で行うことができる。かかる装置においては、主処理槽の搬入開口部が少なくとも一つの他の処理槽の搬出開口部に接続されており、該他の処理槽においても同様に鉛直軸の回りを回転する少なくとも一つの用具が槽底部に設けられている。このように二つ以上の処理槽が直列に配列され、処理されているプラスチック材料はこれらの一連の処理槽を通過しなければならない。第1の処理槽では、既に前もって粉砕、加熱、乾燥、及び圧縮され、このようにして前もって均質化された材料が生産され、これが次の処理槽に入れられる。これにより、低温、未圧縮、未粉砕、すなわち非均質な材料が、搬出ウオームへ、そしてこれを通って連結された成形装置等へ、直接進むことがないことが確実となる。
【0036】
これらの利点は、第2の及び/又は次の処理槽において、熱可塑性材料の真空あるいは保護ガス処理を行う場合でも、保証される。通常、流出路断面(overflow cross section)は小さく、気圧の均一化は材料輸送により大きく抑えられる。さらに、上流の処理槽において形成された混合塊(mixing clot)がこの処理槽の搬出開口部を塞ぎ、これによりシール(封印)としてもある程度機能する。
【0037】
追加の処理槽、すなわち上流の処理槽の搬出開口部が、少なくともおおよそ当該処理槽の上記手段の高さ、すなわち該処理槽の底部にあれば、連結関係は特に好ましくなる。当該処理槽において回転する上記手段が、遠心力により搬出開口部へ運び、その結果、流出路断面は常に材料で十分満たされている。
【0038】
ある有利な態様によれば、搬出開口部は次の搬入開口部とパイプソケット(pipe socket)を使用して連結され、該パイプソケットには遮断部品(shutoff element)が設けられている。このようにして二つの処理槽間の完全なシールが達成可能となり、その結果、真空あるいは保護ガスの損失は完全に防止される。最も単純な場合としては、該遮断部品はスライド弁(slide gate)でもよく、これが下流の処理槽で真空処理あるいはガス導入が起こるとすぐに閉じる。しかし、この場合、完全な連続稼動はもはや不可能である。しかしもし、本発明の好ましい態様のように、遮断部品が仕切弁、特に区画式車輪状仕切弁(cellular wheel sluice)であれば、上述した二つの処理槽間の封印が維持され、かつ連続稼動は依然として可能である。仕切弁の区画は同様に、普通の方法でガス導入あるいは排気が可能である。
【0039】
下流の処理槽で形成された真空は、上流の処理槽から処理中の材料を吸い込むのを援助する。このようなレイアウトにおいては、処理槽は同じ高さに設けられてもよい。しかし、下流の処理槽の充填(filling)を重力の働きによって向上させたい場合には、本発明の一態様のように、材料の流れの方向において上流の処理槽を、次の処理槽よりも高くなるように配置してもよい。後者は、その側壁の中央領域、あるいは上方領域からも充填でき、場合によっては上方から頂部カバーを通って充填することもできる。
【0040】
上述したように、本発明の方法は2段階で、それに対応して設計された装置において有利に実施することもできる。かかる処理操作において、生じた又は運ばれた材料は2段階で処理されるが、前処理レイアウトにおける前処理の間は該材料の可塑化は行われず、その代わりに、乾燥と同時の、結晶化、及び/又はある程度の予備圧縮が行われる。予備圧縮は適正な温度において機械的作用あるいは材料へのエネルギー投入によって達成される。特に温度の上昇や調節は、材料に対する機械的作用により、少なくとも一つの混合及び/又は粉砕部品の回転エネルギーを、発生する摩擦損失によって熱エネルギーへ変換することで行われる。
【0041】
本処理レイアウトにおける本処理の間に、材料は昇温下でさらに乾燥され、有害物が除去され、さらに、必要であれば結晶化され、一定の平均滞留時間の間、高真空下に保持される。再度、材料に機械的作用又は圧縮を加え、少なくとも一つの攪拌及び/又は粉砕手段によってエネルギー投入が行われる。これにより、その回転による相当熱エネルギーを材料に供給し、さらに材料が加熱される。
本処理は真空下で行われ、残留水分量をあらかじめ設定された低い値まで減少させ、また揮発性の有害物質を材料から確実に分離する。
【0042】
本処理中の温度は、材料の融点より低く保たれる。しかし、この温度をできるだけ高く設定するようにすべきである。
1段階プロセスにおける処理、あるいは2段階プロセスにおける本処理の後、取り出された材料は成形装置を用いて有利に可塑化される。該成形装置は本処理レイアウトに間接的に連結されているのが好ましい。気密性を有する直接連結によって、本処理レイアウトにおける真空が成形装置の入口領域まで達することができる。成形装置は多くの場合、可塑化ゾーンを有し、これと隣接して圧縮ゾーン及び停留(retention)ゾーンを有する。この停留ゾーンは普通、脱気すなわち排気ゾーンと隣接し、ここでは真空、特に高真空により、溶融物から揮発性物質が吸い取られる。1段階あるいは多段階の脱気が可能である。また連続したいくつかの、真空度の異なる圧縮及び減圧ゾーンも設置可能である。こうすれば、頑固でなかなか揮発しない汚染物質でも気化させることができる。
【0043】
前処理及び本処理において温度及び滞留時間を適正に選択することにより、成形装置から取り出された溶融物や該溶融物から作られた粒状物の粘度を調節できる。真空下における適正に長い滞留時間と、対応する高い温度によって、粘度に顕著な影響が及ぼされ、再重合が起こる。
基本的に、リサイクルされ、結晶化され、そして乾燥されたプラスチック片を溶融する必要はない。これらは乾燥及び結晶化状態を保ちながら蓄えられ、冷却され、あるいは搬送設備により成形装置へ運ばれ、又は他の変形プロセスによりさらに処理されることができる。
【0044】
現在知られている装置で結晶化された状態を達成するのは難しいため、乾燥された状態を維持するのを断念することもできるが、これは通常、新たな乾燥処理を直接行うと品質の損失が生じる。もし材料を再度乾燥すると、投入した乾燥エネルギーの損失に至る。
EP123 771, EP0 390 873, AT396 900,AT407 235, AT407 970, AT411 682,AT411 235, AT413 965, AT413 673 や AT501 154の公報において詳細に、かつ明確に記載されている装置は、それらの全ての有利な態様とともに、本出願に引用され、本発明の開示の欠かせない部分を構成する。このような装置は実際に使用されており、例えば、「エレマ プラスチックリサイクル装置 ピーシー(EREMA Plastic Recycling System PC)」や、「1段又は2段階 ヴァキュレマ装置(one- or two-stage VACUREMA layouts)」などとして知られている。
【実施例】
【0045】
以下に、いろいろなプラスチックに関する可能な条件範囲を挙げ、可能な処理操作の概括的な例をいくつか記載する。
【0046】
実施例1
粉砕された容器から得られるフレーク又は粒状物の形態のポリ乳酸(PLA)は、
− 65℃〜120℃、好ましくは90℃〜110℃の温度に加熱され、
− 10分〜100分、特に20分〜70分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる。
− ここで、粉砕又は混合用具の最も外側の攪拌チップの周方向速度(circumferential velocity)は1〜35m/s、好ましくは3〜20m/sの範囲内にあり、
− ここで、150mbar以下、好ましくは50mbar以下、特に20mbar以下、特に0.1〜2mbarの間の真空が使用される。
【0047】
実施例2
薄いフィルム状、ファイバー状、あるいはフリース状のポリ乳酸(PLA)は、
− 65℃〜120℃、好ましくは90℃〜110℃の温度に加熱され、
− 3分〜60分、特に10分〜25分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる。
− ここで、粉砕又は混合用具の最も外側の攪拌チップの周方向速度が15〜58m/s、好ましくは35〜47m/sの範囲内にあり、
− ここで、この処理は大気圧下で行われる。
【0048】
実施例3
粉砕された容器から得られるフレーク状の高密度ポリエチレン(HDPE)は、
− 50℃〜130℃、好ましくは90℃〜122℃の温度に加熱され、
− 10分〜100分、特に20分〜70分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる。
− ここで、粉砕又は混合用具の最も外側の攪拌チップの周方向速度が1〜35m/s、好ましくは3〜20m/sの範囲内にあり、
− ここで、150mbar以下、好ましくは50mbar以下、特に20mbar以下、特に0.1〜2mbarの間の真空が使用されてもよい。
【0049】
実施例4
粉砕された容器から得られるフレーク状の低密度ポリエチレン(LDPE)は、
− 50℃〜110℃、好ましくは75℃〜105℃の温度に加熱され、
− 10分〜100分、特に20分〜70分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる。
− ここで、粉砕又は混合用具の最も外側の攪拌チップの周方向速度が2〜35m/s、好ましくは3〜20m/sの範囲内にあり、
− ここで、150mbar以下、好ましくは50mbar以下、特に20mbar以下、特に0.1〜2mbarの間の真空が使用されてもよい。
【0050】
実施例5
粉砕された容器から得られるフレーク状のポリプロピレン(PP)は、
− 50℃〜155℃、好ましくは100℃〜150℃の温度に加熱され、
− 10分〜100分、特に20分〜70分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる。
− ここで、粉砕又は混合用具の最も外側の攪拌チップの周方向速度が2〜35m/s、好ましくは3〜20m/sの範囲内にあり、
− ここで、150mbar以下、好ましくは50mbar以下、特に20mbar以下、特に0.1〜2mbarの間の真空が使用されてもよい。
【0051】
実施例6
特に、粉砕された容器から得られるフレーク状の、ポリカーボネート(PC)は、
− 110℃〜240℃、好ましくは130℃〜210℃の温度に加熱され、
− 30分〜200分、特に40分〜120分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる。
− ここで、粉砕又は混合用具の最も外側の攪拌チップの周方向速度が2〜35m/s、好ましくは3〜20m/sの範囲内にあり、
− ここで、150mbar以下、好ましくは50mbar以下、特に20mbar以下、特に0.1〜2mbarの間の真空が使用されてもよい。
【0052】
実施例7
粉砕された容器から得られるフレーク状のポリスチレン(PS)は、
− 50℃〜110℃、好ましくは75℃〜105℃の温度に加熱され、
− 10分〜100分、特に20分〜70分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる。
− ここで、粉砕又は混合用具の最も外側の攪拌チップの周方向速度が2〜35m/s、好ましくは3〜20m/sの範囲内にあり、
− ここで、150mbar以下、好ましくは50mbar以下、特に20mbar以下、特に0.1〜2mbar以下の間の真空が使用されてもよい。
【0053】
実施例8
特に、粉砕された容器から得られるフレーク状の、ポリエチレンナフタレート(PEN)は、
− 110℃〜250℃、好ましくは140℃〜235℃の温度に加熱され、
− 30分〜200分、特に40分〜120分の平均滞留時間の間、反応槽に留まる。
− ここで、粉砕又は混合用具の最も外側の攪拌チップの周方向速度が2〜35m/s、好ましくは3〜20m/sの範囲内にあり、
− ここで、150mbar以下、好ましくは50mbar以下、特に20mbar以下、特に0.1〜2mbarの間の真空が使用されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理されるプラスチック材料を、少なくとも一つの収容槽又は反応槽において、混合及び粉砕をしながら加熱し、前記プラスチック材料の結晶化、乾燥、及び/又は浄化を行い、
前記プラスチック材料の混合、粉砕及び加熱は、鉛直軸の回りを回転でき、少なくとも一つの粉砕又は混合用具を使用し、該粉砕又は混合用具は材料を粉砕及び/又は混合する効果を奏するように働く刃を有し、加熱が機械的エネルギーを与えることにより行われ、 前記プラスチック材料が、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、又はポリプロピレン(PP)であり、
前記プラスチック材料の形態が、容器を粉砕してできた部分的に結晶質又は非晶質の粒状物やフレークの形態であり、
高密度ポリエチレン(HDPE)の加熱温度が50〜130℃であり、低密度ポリエチレン(LDPE)の加熱温度が50〜110℃であり、ポリプロピレン(PP)の加熱温度が50〜155℃であり、
粉砕又は混合用具の最も外側の刃の周方向速度が1〜35m/s、収容槽又は反応槽における平均滞留時間が10〜100分、かつ150mbar以下で処理が行なわれる、
ことを特徴とするプラスチック材料の、前処理、再処理又はリサイクル方法。
【請求項2】
処理は単一の処理槽において1段階で行われ、プラスチック材料は、単一の作業プロセスで加熱、乾燥、結晶化及び浄化される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処理は、プラスチック材料の予備乾燥及び/又は予備結晶化ありで行われる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
処理は、複数の段階で行われ、2又はそれ以上の収容槽あるいは反応槽が連続して、及び/又は並行して配置され、処理されるプラスチック材料はこれらの処理槽を順次流れていく、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載の処理条件が、少なくとも一つの処理槽において使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プラスチック材料が、上流の前処理において、本処理の処理温度近くの温度にされる、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
プラスチック材料は第1段階において、真空状態において機械的エネルギーを与える前処理が行われ、これにより加熱され、昇温されて乾燥され、次いで、全体的な可塑化あるいは溶融に先立つ第2段階において、プラスチック材料の本処理が、真空状態において行われ、揺動による機械的エネルギーを与えることにより再度乾燥され、そしてさらに結晶化され、かかる本処理は前処理よりも高い温度で特に行われる、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
プラスチック材料は前処理に先立って、予備粉砕、洗浄又は予備乾燥される、請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
本処理の温度は、プラスチック材料の可塑化温度あるいは融点より低く保たれる、請求項4〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
プラスチック材料は、連続的な流れにおいて前処理される、請求項4〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
連続的又はバッチ処理として行われる、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
プラスチック材料は、最終的に可塑化あるいは溶融され、真空状態において、成形装置に運ばれ、あるいは粒状物に加工される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2012−66588(P2012−66588A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235339(P2011−235339)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【分割の表示】特願2009−535521(P2009−535521)の分割
【原出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(503433958)エレマ エンジニアリング リサイクリング マシネン ウント アンラーゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトフング (27)
【Fターム(参考)】