説明

熱封止装置およびこれを備えた包装装置

【課題】包装物の特性に関わらず袋内の気密性を確保するための良好なシール状態を形成することが可能な熱封止装置およびこれを備えた包装装置を提供する。
【解決手段】製袋包装機1は、前側シールジョー51Aと、後側シールジョー51Bと、凸部61と、を備えている。前側シールジョー51Aは、加熱面に形成された歯溝60Aを有している。後側シールジョー51Bは、前側シールジョー51AとともにフィルムFを挟み込む際に、前側シールジョー51A側の歯溝60Aと係合する歯溝60Bを有している。凸部61は、前側シールジョー51Aあるいは後側シールジョー51Bの少なくとも一方の歯溝60A,60Bを形成する面に配置されており、前側シールジョー51Aと後側シールジョー51Bとが互いに対向する方向に交差する方向に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性の包装体の端部を熱封止して商品を包装する熱封止装置およびこれを備えた包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
袋を製造しながら袋の内部にスナック菓子などの被包装物を充填して製袋包装する包装装置として、製袋包装機が提供されている。
【0003】
例えば、ピロー包装機と呼ばれる製袋包装機では、熱可塑性の包装体としてフィルムロールから送り出されたシート状のフィルムをフォーマおよびチューブによって筒状に成形し、縦シール機構のヒータベルトに接触させて筒状フィルムの重ねられた縦の縁を熱シール(熱封止)して筒状フィルムとする。そして、最終的に袋となる筒状フィルムの内部にチューブから被包装物を充填し、チューブ下方の横シール機構によって袋の上端部と後続の袋の下端部とにまたがって熱シールした後、その熱シール部分(横シール部分)の中央をカッタで切断する。
【0004】
このような製袋包装機によって生産される商品は、包装物におけるシール部分の良否が、被包装物を酸化させたり、腐敗させたりする原因となっている。そこで、袋内部の機密性を高めるためのエアリーク(気体漏れ)対策として、様々な提案が行われている。
【0005】
例えば、特許文献1では、一対のシールジョーにおいて、互いに対向する方向において盛り上がった部分を設ける封止装置が開示されている。これによれば、フィルムにかける圧力を高めることによって、気密性を確保した良好なシール状態を形成することができる。
【特許文献1】特表2006−502920(平成18年1月26日公表)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の封止装置では、以下に示すような問題点を有している。
【0007】
すなわち、フィルムの特性、例えば、シーラント層が薄いフィルムの場合、シール部分の圧力を高めるだけでは、エアリークを防止することができなかった。そこで、フィルムを溶かすことによって切断する溶断ナイフ(ホットナイフ)を使用して、切断端部を溶かすことによって機密性を確保するという方法が一般的に行われていた。ところが、この方法はコストがかかり、また、ミシン目連袋を生産することができないという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、包装物の特性に関わらず袋内の気密性を確保するための良好なシール状態を形成することが可能な熱封止装置およびこれを備えた包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る熱封止装置は、商品を包装するフィルムの搬送経路を挟み込むように配置されており、互いに対向する加熱面を有する一対のシール部材の間にフィルムを挟み込むことによって、フィルムの一部をシールする熱封止装置であって、第1シール部材と、第2シール部材と、凸部と、を備えている。第1シール部材は、加熱面に形成された溝部を有している。第2シール部材は、第1シール部材とともにフィルムを挟み込む際に、第1シール部材側の溝部と係合する溝部を有している。凸部は、第1シール部材あるいは第2シール部材の少なくとも一方の加熱面に配置されており、第1シール部材と第2シール部材とが互いに対向する方向に交差する方向に突出している。
【0010】
ここでは、第1シール部材あるいは第2シール部材の少なくとも一方の加熱面に、第1シール部材と第2シール部材とが互いに対向する方向に交差する方向に突出した凸部が配置されている。
【0011】
なお、ここでいう第1シール部材と第2シール部材とが互いに対向する方向に交差する方向とは、第1シール部材と第2シール部材とがフィルムを挟み込むために移動する方向に交差する方向であって、フィルムの搬送方向に略平行な方向を含んでいる。
【0012】
従来、シール部材が互いに対向する面に溝部、すなわち、互いに対向する方向に対する高さに変化を設け、圧力を高めることによって気密性の高いシールを行うことが一般的に行われていた。ところが、シーラント層の薄いフィルムに対して上記のように圧力を高めてシールを行うと、フィルムがフィルムの幅方向に沿って切断されてしまう。このため、薄いフィルムによって商品を包装する場合には、上記従来の方法を採用することができず、溶断ナイフを使用して、切断端部を溶着させることによって気密性を確保するという方法を採用しなければならなかった。
【0013】
そこで、本発明においては、第1シール部材あるいは第2シール部材の少なくとも一方の加熱面に、第1シール部材と第2シール部材とが互いに対向する方向に交差する方向に突出する凸部を設けている。言い換えれば、フィルムの搬送方向に対して略平行な方向に突出する凸部を設けている。
【0014】
これにより、シーラント層が薄いフィルム(以下、薄いフィルムと示す)と、シーラント層が薄いものでなく一般的なフィルム、つまり、溝部の係合による圧力では切断されないようなフィルム(以下、厚いフィルムと示す)とに対して、凸部は、それぞれ以下の作用効果を及ぼす。
【0015】
薄いフィルムに対しては、上記凸部を設けることによってシール部材が互いに対向する溝部の頂点部分を面状にすることができるので、溝部の係合による圧力を緩和することが可能となる。このため、凸部が設けられた位置のシール部材と当接するフィルムの一部分は切断されず、フィルムの幅方向に沿って完全に切断されることがなくなる。また、凸部がない位置のシール部材と当接するフィルムの一部分は溝部の頂点部分と当接するため切断されるが、溶着による溶断効果によって気密性を高いシールを行うことができる。すなわち、フィルムの幅方向に沿った一部を切断し、その部分の溶断効果によって気密性の高いシールを施すことを可能としている。
【0016】
一方、厚いフィルムに対しては、上記凸部を設けることによってフィルムとシール部材の加熱面との接触面積を増やすことができるので、溝部の係合時におけるシール部分の面積を増やすことが可能となる。このため、良好なシール状態を形成することができ、気密性の高いシールを施すことを可能としている。すなわち、本発明の熱封止装置においては、薄いフィルムに対しても、厚いフィルムに対しても、気密性の高いシールを施すことを可能としている。
【0017】
この結果、包装物の特性に関わらず、袋内の気密性を確保するための良好なシール状態を形成することが可能となる。
【0018】
第2の発明に係る熱封止装置は、第1の発明に係る熱封止装置であって、第1シール部材および第2シール部材の加熱面には、フィルムを挟み込む際に互いに係合する溝部が形成されており、凸部は、溝部を形成する面に配置されている。
【0019】
ここでは、第1シール部材および第2シール部材の加熱面には、フィルムを挟み込む際に互いに係合する、例えば、歯溝形状の溝部が形成されており、凸部は、その溝部を形成する面に配置されている。
【0020】
これにより、包装物の特性に関わらず、シール部分における気密性の高いシールを行うことが可能となる。また、溝部を形成する面がフィルムの搬送方向に対して斜めであれば、第1シール部材あるいは第2シール部材がフィルムを挟み込む方向に交差する方向に突出する凸部を容易に形成することが可能となる。
【0021】
なお、溝部を形成する面に凸部を設ける際に、フィルムを挟み込む方向に突出する溝部の頂点に隣接して凸部を設けた場合には、溝部の係合による圧力を緩和する効果が大きくなる。また、上記溝部の頂点から離れた位置に凸部を設けた場合には、溝部の係合時におけるシール部分の面積を増やす効果が大きくなる。
【0022】
第3の発明に係る熱封止装置は、第1または第2の発明に係る熱封止装置であって、凸部は、フィルムが3枚以上重なった位置に配置されている。
【0023】
ここでは、溝部の表面に形成される凸部が、例えば、縦シール部分等のフィルムが3枚以上重なった位置(以下、フィルムが3枚以上重なった位置を2枚のフィルムを重ね合わせてシールする位置と区別してフィルム重合部と示す)をシールする部分に形成されている。
【0024】
これにより、特にエアリークが発生しやすいフィルム重合部である、例えば、縦シール部やエッジ部(ヘム部)のフィルム重合部において、シール部材と加熱面との接触面積を増やすことによって良好な状態でシールすることが可能となるので、袋内の気密性を確保することがより確実となる。
【0025】
第4の発明に係る熱封止装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る熱封止装置であって、第1シール部材および第2シール部材の少なくとも一方に配置された凸部に対応する他方の第2シール部材および第1シール部材における位置に配置された凹部をさらに備えている。
【0026】
ここでは、第1シール部材の溝部に凸部が形成されている場合には、第1シール部材の溝部に形成された凸部がフィルムを圧接する際に接触する第2シール部材の溝部の位置に、凹部が形成されている。また、第2シール部材の溝部に凸部が形成されている場合には、第2シール部材の溝部に形成された凸部がフィルムを圧接する際に接触する第1シール部材の溝部に、凹部が形成されている。
【0027】
これにより、フィルムの圧接時において、第1シール部材と第2シール部材とによって凹凸の係合部が形成されるので、凹凸の係合部にフィルムを挟持することによって、シール部材の加熱面との接触面積をさらに確実に増やすことが可能となる。
【0028】
第5の発明に係る熱封止装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る熱封止装置であって、第1シール部材あるいは第2シール部材の少なくとも一方に設けられており、フィルムに対してミシン目を形成するミシン目形成部をさらに備えている。
【0029】
ここでは、第1シール部材あるいは第2シール部材の少なくとも一方は、フィルムに対してミシン目を形成することが可能な、例えば、ミシン目形成カッタを備えている。
【0030】
ここで、ミシン目連袋仕様の熱封止装置においては、フィルムの幅方向に横シールした後、その部分をミシン目形成用のカッタでミシン目を形成し、上下の製品を分離し易くしている。しかし、包装材に薄いフィルムを使用する場合には、袋内部の気密性を確保するために、フィルムを溶着しながら上下の製品を切断(溶断)する溶断ナイフを使用する必要があった。このため、包装物に薄いフィルムを使用した場合、上下の製品がつながった状態でミシン目を入れるミシン目連袋製品を生産することができなかった。
【0031】
ところが、本発明の熱封止装置においては、溶断ナイフによる気密性確保の対策を講じなくても気密性を確保した横シールを行うことが可能である。これにより、薄いフィルムによる包装として使用する場合であっても、ミシン目連袋の製品を生産することが可能である。すなわち、ミシン目連袋の製品を生産する場合に、本発明の熱封止装置を適用することは非常に効果が高い。
【0032】
第6の発明に係る包装装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る熱封止装置を備えている。
【0033】
ここでは、例えば、包装装置の一つである製袋包装機が、上記に述べたような熱封止装置を備えている。これにより、包装物の特性に関わらず袋内の気密性を確保するための良好なシール状態を確保した製品を生産することが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る熱封止装置およびこれを備えた包装装置によれば、包装物の特性に関わらず袋内の気密性を確保するための良好なシール状態を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一実施形態に係る横シール機構(熱封止装置)を含む製袋包装機(包装装置)について、図1〜図7を用いて説明すれば以下の通りである。
【0036】
[製袋包装機1の全体構成]
本発明の一実施形態に係る製袋包装機1は、ポテトチップス等の被包装物Cを袋詰めする機械であり、図1および図2に示すように、主として、被包装物Cの袋詰めを行う本体部分である製袋包装ユニット5と、この製袋包装ユニット5に袋となるフィルムを供給するフィルム供給ユニット6とから構成されている。また、製袋包装ユニット5の前面には操作スイッチ類7が配置されており、この操作スイッチ類7を操作する操作者が視認できる位置に操作状態を示す液晶ディスプレイ8が配置されている。
【0037】
フィルム供給ユニット6は、後述する製袋包装ユニット5の成形機構13にシート状のフィルムFを供給するユニットであって、ここでは製袋包装ユニット5に隣接して設けられている。このフィルム供給ユニット6にはフィルムFが巻かれたロールがセットされ、このロールからフィルムFが繰り出される。
【0038】
製袋包装ユニット5は、図1〜図3に示すように、シート状で送られてくるフィルムFを筒状に成形する成形機構13と、筒状となったフィルムF(以下、筒状フィルムFという。)を下方に搬送するプルダウンベルト機構14と、筒状フィルムFの重ね合わせ部分を縦にシール(熱封止)する縦シール機構15と、筒状フィルムFを横にシール(熱封止)することで袋の上下端を閉止する横シール機構16と、これらの各機構を支える支持フレーム12と、から構成されている。また、支持フレーム12の周囲には、ケーシング9が取り付けられている。
【0039】
[製袋包装ユニット5の詳細構成]
成形機構13は、図2および図3に示すように、チューブ31と、フォーマ32とを有している。
【0040】
チューブ31は、円筒形状の部材であり、上下端が開口している。チューブ31は、平面的に天板29の中央の開口部分に配置され、図示しないブラケットを介してフォーマ32と一体にされている。このチューブ31の上端の開口部には、コンピュータスケール2から計量された被包装物Cが投入される。
【0041】
フォーマ32は、チューブ31を取り囲むように配置されている。このフォーマ32の形状は、フィルム供給ユニット6から送られてきたシート状のフィルムFがフォーマ32とチューブ31との間を通るときに筒状に成形されるような形状とされている。このフォーマ32も、図示しない支持部材を介して支持フレーム12に固定されている。
【0042】
プルダウンベルト機構14と縦シール機構15とは、天板29から吊り下げられているレール40に支持されており、チューブ31を両側から挟むように配置されている。これらの機構14,15は、チューブ31が取り付けられるときに、レール40に沿って移動して位置合わせがされる。
【0043】
プルダウンベルト機構14は、チューブ31に巻き付いた筒状フィルムFを吸着して下方に搬送する機構であり、主として、駆動ローラ41および従動ローラ42と、吸着機能を有するベルト43とから構成されている。なお、ここでは、駆動ローラ41等を回転させる駆動モータの図示を省略している。
【0044】
縦シール機構15は、チューブ31に巻き付いている筒状フィルムFの重なり部分を、一定の加圧力でチューブ31に押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。この縦シール機構15は、ヒータや、ヒータにより加熱され筒状フィルムFの重なり部分に接触するヒータベルト等を有している。また、縦シール機構15は、図示しないが、ヒータベルトをチューブ31に近づけたり遠ざけたりするための縦シール駆動部も備えている。
【0045】
横シール機構16は、図3に示すように、ヒータベルト等を内蔵する一対のシールジョー(前側シールジョー(第1シール部材)51A,後側シールジョー(第2シール部材)51B)と、後側シールジョー51Bに内蔵されたミシン目カッタ(ミシン目形成部)53と、図示しないが、一対のシールジョー51A,51Bを筒状フィルムFに近づけたり遠ざけたりするための横シール駆動部とを含むように構成されている。横シール機構16は、筒状フィルムFの搬送方向に対して上側から下側に移動する。また、横シール機構16は、同時に、フィルムFに圧接する方向に移動する。この圧接の際における一対のシールジョー51A,51BのフィルムFに対する圧力と、熱とにより、フィルムFの圧接された部分に横シールが施される。一対のシールジョー51A,51Bは、フィルムFに対して圧接した後、それ以上筒状フィルムFに接近することなく、フィルムFと略同一速度で下方に移動する。そして、一対のシールジョー51A,51Bは、所定距離下方に移動した後、互いに離反しながら上方に移動する。(いわゆる、Dモーション移動)。これにより、フィルムFの移送を横シールの度に停止することなく、連続送りしながら熱封止できるようにしている。なお、横シール機構16については、後段にて詳述する。
【0046】
(横シール機構16の詳細)
一対のシールジョー51A,51Bは、図3に示すように、左右側方向に延びた熱伝導率の高い金属素材で形成されており、図4に示すように、ヒータ54・・・54が左右側方向に挿通されている。シールジョー51A,51Bの対向面には、内蔵されたヒータ54によって加熱されるシール面が形成されている。筒状フィルムFは、前側シールジョー51Aと後側シールジョー51Bとによって挟み込まれることによって熱シールされる。
また、シールジョー51A,51Bの対向面には、相互に係合するように多数の歯溝(溝部)60A、60Bが設けられており、筒状フィルムFを圧接して加熱するシール面を形成している。そして、前側シールジョー51Aに設けられている歯溝60Aと、後側シールジョー51Bに設けられている歯溝60Bとが筒状フィルムFを挟んで係合して熱シールを行う。
【0047】
一対のシールジョー51A,51Bには、それぞれ左右側方向に沿ってスリット52が設けられており、後側シールジョー51Bのスリット52内に、筒状フィルムFの左右側方向(フィルム幅方向)にミシン目を形成するミシン目カッタ53が格納されている。ミシン目カッタ53は、図示しないエアシリンダ等によって移動させられることにより、後側シールジョー51Bのスリット52から前側シールジョー51Aに向けて突出し、前側シールジョー51Aと後側シールジョー51Bとによって圧接された筒状フィルムFに対してミシン目を形成する。
【0048】
次に、図5,図6を用いて、歯溝60Bを形成する溝面に配置されている凸部61について説明する。
【0049】
後側シールジョー51Bに設けられている歯溝60Bを形成する溝面には、凸部61が、後側シールジョー51Bの左右側方向に沿って配置されている。そして、凸部61は、図5に示すように、歯溝60Bを形成する溝面に対して略直交する方向に突出している。また、凸部61は、図6に示すように、筒状フィルムFと対向する面、すなわち、筒状フィルムFの搬送方向に略平行方向に突出している。このため、凸部61が設けられた位置における筒状フィルムFに対向する面(図6:A部)の歯溝60Bは、筒状フィルムFの搬送方向と略平行な面を有する形状となっている。一方、凸部61が配置されていない位置における筒状フィルムFに対向する面の歯溝60Bの形状は角状である。
【0050】
このように、左右側方向に沿って凸部61が配置されている歯溝60Bによって筒状フィルムFを圧接すると、シーラント層が薄いフィルムFを使用する場合には、筒状フィルムFの幅方向(左右側方向)に沿って切断された箇所と切断されない箇所とが形成される。これは、凸部61が配置されていない位置の歯溝60Bと当接する部分が鋭角状であり、筒状フィルムFに対して強い圧力を与えてフィルムFを切断することによる。また、切断された部分は、切断面の溶着による溶断効果によってシール部分の気密性を高めることができる。
【0051】
また、シーラント層が薄いものでなく一般的なフィルム、つまり、歯溝60A,60Bの係合による圧力では切断されないようなフィルム(以下、厚いフィルムF1と示す)を使用する場合には、凸部61を設けることによってフィルムF1と後側シールジョー51Bの加熱面とのフィルム幅方向における接触面積を増やしシール部分の面積を増やすことが可能となる。このため、良好なシール状態を形成することができ、気密性の高いシールを施すことを可能としている。
【0052】
なお、凸部61が溝面に対して略直角方向に突出している方向は、後側シールジョー51Bが、筒状フィルムFを圧接するために移動する方向ではなく、その方向とは直交する方向、すなわち、筒状フィルムFの搬送方向に近い向きであって、歯溝60Bを形成する溝面の角度等によって変化する。
【0053】
一対のシールジョー51A,51Bの左右側方向における略中心付近は、図7に示すように、熱シールする際に一対のシールジョー51A,51Bが筒状フィルムFの縦シール部分Svを圧接する部分に該当する。すなわち、本実施形態の製袋包装機1においては、筒状フィルムFの縦シール部分Svが、シールジョー51A,51Bの左右側方向における中心付近に搬送されてくるようになっている。これにより、一般的に、シール不良が発生しやすい縦シール部分Svの横シール箇所Shvに対して、凸部61が接触することになる。このため、本実施形態の製袋包装機1において厚いフィルムF1を使用する場合には、筒状フィルムFの縦シール部分Svの横シール箇所Shvにおいて、後側シールジョー51Bの加熱面と筒状フィルムFとの接触面積が増えることとなり、気密性の高いシールを行うことができる。
【0054】
[製袋包装機1の動作]
次に、製袋包装機1の一連の動作について、図3〜図7を用いて説明する。
【0055】
フィルム供給ユニット6から成形機構13に送られたシート状のフィルムFは、図3に示すように、フォーマ32からチューブ31に巻き付けられて筒状に成形され、そのままプルダウンベルト機構14によって下方に搬送される。そして、フィルムFはチューブ31に巻き付けられた状態において両端部が周面上で重ね合わせられた状態となり、その重ね合わせ部分が縦シール機構15によって縦にシールされる。
【0056】
縦にシールされて円筒形状となった筒状フィルムFは、チューブ31を抜けて横シール機構16へと降りていく。また、このときには筒状フィルムFの移動と同時に、被包装物Cの固まりがコンピュータスケール2からチューブ31を通って落下してくる。
【0057】
次に、横シール機構16において、図3に示すように、筒状フィルムF内に被包装物Cが存在する状態で、その袋Bの上端および被包装物Cが存在する袋Bの上部の袋Bの下端の部分が、一対のシールジョー51A,51Bによって圧接され、横シールされる。このとき、筒状フィルムFは、シールジョー51A,51Bの対向面に設けられている多数の歯溝60A、60Bによって圧接される。
【0058】
本実施形態では、図5,図6に示すように、後側シールジョー51Bの加熱面に、シールジョー51A、51Bが互いに対向する方向と直交する方向に突出する凸部61を設けている。このため、シールジョー51A,51Bによってシールされる時には、図6に示すように、筒状フィルムFは、歯溝60Bの頂点部分がなくなったA部と当接する。また、筒状フィルムFの幅方向において凸部61は、後側シールジョー51Bが筒状フィルムFの縦シール部Svを当接する位置に配置されている。このため、筒状フィルムFが3枚以上重なっている場所と凸部61とが当接する。
【0059】
そして、一対のシールジョー51A,51Bによって圧接され、横シールされた筒状フィルムFは、後側シールジョー51Bのスリット52に格納されたミシン目カッタ53によって、横シール部分のほぼ中央部を左右側方向にミシン目が形成される。これによって、隣接する袋Bの間にミシン目が形成されて、消費者が袋Bの一つ一つを切り離し易くなったミシン目連袋製品を生産することが可能となる。
【0060】
[製袋包装機1の特徴]
(1)
本実施形態の製袋包装機1は、後側シールジョー51Bの加熱面に、シールジョー51A、51Bが互いに対向する方向ではなく、シールジョー51A、51Bが互いに対向する方向と交差する方向に突出する凸部61が配置されている。つまり、図5に示すように、前後側方向に交差する方向である上下側方向に突出している。言い換えれば、筒状フィルムFの搬送方向に対して略平行な方向に突出する凸部61を配置している。
【0061】
本実施形態の製袋包装機1においては、後側シールジョー51Bの加熱面に、シールジョー51A、51Bが互いに対向する方向と直交する方向に突出する凸部61を設けることによって、歯溝60A,60Bの係合による圧力を緩和して筒状フィルムFが切断されない部分を設けている。
【0062】
これにより、薄いフィルムFを本実施形態の製袋包装機1に使用した場合、左右側方向に沿って凸部61が配置されている歯溝60Bによって筒状フィルムFを圧接することによって、筒状フィルムFの幅方向(左右側方向)に沿って切断された箇所と切断されない箇所とが形成される。そして、切断された部分は、切断面の溶着による溶断効果によってシール部分の気密性を高めることができる。
【0063】
また、厚いフィルムF1を本実施形態の製袋包装機1に使用した場合、凸部61を設けることによって厚いフィルムF1と後側シールジョー51Bの加熱面との接触面積をフィルムF1幅方向に増やし、シール部分の面積を増やすことが可能となる。このため、良好なシール状態を形成することができ、気密性の高いシールを施すことを可能としている。
【0064】
この結果、薄いフィルムFであっても厚いフィルムF1であっても、袋内の気密性を確保するための良好なシール状態を形成することを可能としている。
【0065】
(2)
本実施形態の製袋包装機1では、前側シールジョー51Aおよび後側シールジョー51Bの加熱面には、筒状フィルムFを挟み込む際に互いに係合する歯溝60A,60Bが形成されており、凸部61は、歯溝60Bを形成する溝面に配置されている。
【0066】
これにより、前側シールジョー51Aあるいは後側シールジョー51Bが筒状フィルムFを挟み込む方向(前後側方向)に交差する方向(上下側方向)に突出する凸部61を容易に形成することを可能としている。
【0067】
(3)
本実施形態の製袋包装機1では、凸部61が配置されている左右側方向おける後側シールジョー51Bの略中心付近は、図7に示すように、熱シールする際に一対のシールジョー51A,51Bが筒状フィルムFの縦シール部分Svを圧接する部分に該当している。すなわち、凸部61は、筒状フィルムFが3枚以上重なった位置に配置されている。
【0068】
これにより、一般的にシール不良が発生しやすい縦シール部分Svの横シール箇所Shvに対して、凸部61が接触することとなる。この結果、後側シールジョー51Bの加熱面と筒状フィルムFとの接触面積が増えることとなり、気密性の高いシールを行うことができる。
【0069】
(4)
本実施形態の製袋包装機1では、後側シールジョー51Bが、筒状フィルムFに対して上下の製品を分離し易くするためのミシン目を形成するミシン目カッタ53を有している。
【0070】
本実施形態の製袋包装機1においては、溶断ナイフによる気密性確保の対策を講じなくても気密性を確保した横シールを行うことが可能となるので、薄いフィルムによる包装であっても、溶断ナイフの代わりにミシン目カッタ53を配備して、ミシン目連袋の製品を生産することを可能としている。
【0071】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0072】
(A)
上記実施形態の製袋包装機1では、凸部61が、シールジョー51A,51Bの対向面に相互に係合するように設けられた歯溝60Bを形成する面に設けられている例を挙げて説明した。また、上記実施形態において凸部61が形成される歯溝60Bを形成する溝面は、後側シールジョー51Bの歯溝60Bを形成する溝面の左右側方向から見た断面形状が、図5に示すような角度を有する三角形や台形である例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
凸部が形成される溝面については、その有無、あるいは、溝面の形状を問うものではない。シールジョーが互いに対向する方向と交差する方向、すなわち、上下側方向に突出するような凸部が配置されていれば、上記の実施形態に係る製袋包装機1と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(B)
上記実施形態の製袋包装機1では、凸部61が、後側シールジョー51Bの歯溝60Bを形成する面に配置されており、シールジョー51A,51Bが互いに筒状フィルムFを挟み込んだ時に凸部61に対応する前側シールジョー51Aにおける歯溝60Aの面には、凹凸が形成されていない例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
例えば、図8に示すように、後側シールジョー(第2シール部材)151Bの歯溝(溝部)160Bを形成する面と、前側シールジョー(第1シール部材)151A側の歯溝(溝部)160Aを形成する面との両方に凸部161A,161Bを配置してもよいし、図示しないが、前側シールジョー151Aの歯溝160Aを形成する面にのみ配置してもよい。
【0076】
また、例えば、図8に示すように、横シール機構(熱封止装置)116を構成する一対のシールジョー151A,151Bが互いに筒状フィルムFを挟み込んだ時に、凸部161Bに対応する前側シールジョー151Aにおける歯溝160Aの面に、凹部162Aが形成されていてもよい。
【0077】
(C)
上記実施形態の製袋包装機1では、後側シールジョー51Bに内蔵されたカッタが、ミシン目カッタ53である例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
例えば、筒状フィルムFに対してミシン目を形成するものではなく、筒状フィルムFを切断するための一般的な切断用カッタであってもよい。
【0079】
(D)
上記実施形態の製袋包装機1では、凸部61が、図7に示すように、筒状フィルムFの縦シール部分Svに該当する左右側方向における後側シールジョー51Bの略中心付近に配置した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0080】
例えば、熱シールする際に一対のシールジョーが筒状フィルムの縦シール部分を圧接する部分が、左右側方向における中心よりも右側である場合には、その部分に凸部を配置するように配置してもよい。すなわち、熱シールする際に一対のシールジョーが筒状フィルムの縦シール部分を圧接する部分に凸部を配置すればよい。
【0081】
また、上記の条件を満たせば、例えば、凸部は、シールジョーの長手方向(左右側方向)に沿って配置する位置を限定することなく、一様に配置してもよい。
【0082】
(E)
上記実施形態の製袋包装機1では、熱シールする際に一対のシールジョー51A,51Bが筒状フィルムFの縦シール部分を圧接する部分に凸部61が配置された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
例えば、熱シールする際に一対のシールジョーが筒状フィルムの幅方向端部であるヘム部を圧接する部分に凸部を配置する等、重なりの状態が変化してエアリークの発生しやすい部分である、筒状フィルムが3枚以上重なる部分を圧接する部分に凸部が配置することによって、上記の実施形態に係る製袋包装機1と同様の効果を得ることができる。
【0084】
(F)
上記実施形態の製袋包装機1では、後側シールジョー51Bの歯溝60Bを形成する溝面に配置された凸部61が、シール幅方向、すなわち、図5で示すように、左右側方向に沿って2箇所に配置されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
溝面に配置する凸部は、例えば、1箇所であっても、3箇所以上であってもよい。
【0086】
(G)
上記実施形態の製袋包装機1では、一対のシールジョー51A,51Bが、フィルムFに対して圧接した後、それ以上筒状フィルムFに接近することなく、フィルムFと略同一速度で下方に移動し、所定距離下方に移動した後、互いに離反しながら上方に移動する、いわゆる、Dモーション移動の例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
例えば、シールジョーがフィルムに対して横シールを施す時にフィルムの搬送を一時的に停止するように制御される製袋包装機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明によれば、包装物の特性に関わらず袋内の気密性を確保するための良好なシール状態を形成することが可能となるため、製袋包装機だけでなく、被包装物をシールする他の包装装置、例えば、ストレッチ包装機等にも広く適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態に係る製袋包装機の斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る製袋包装機の側面図。
【図3】図1に含まれる製袋包装ユニットの斜視図。
【図4】図3に含まれる横シール機構の断面図。
【図5】図4で示されたシールジョーの加熱面を拡大した斜視図。
【図6】図4で示されたシールジョーの歯溝を拡大した断面図。
【図7】図4で示されたシールジョーと筒状フィルムとの相対位置関係を示した説明図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る製袋包装機に含まれるシールジョーが互いに係合する状態を示した側面図。
【符号の説明】
【0090】
1 製袋包装機(包装装置)
2 コンピュータスケール
5 製袋包装ユニット
6 フィルム供給ユニット
7 操作スイッチ類
8 液晶ディスプレイ
9 ケーシング
12 支持フレーム
13 成形機構
14 プルダウンベルト機構
15 縦シール機構
16 横シール機構(熱封止装置)
29 天板
31 チューブ
32 フォーマ
40 レール
41 駆動ローラ
42 従動ローラ
43 ベルト
51A 前側シールジョー(第1シール部材)
51B 後側シールジョー(第2シール部材)
52 スリット
53 ミシン目カッタ(ミシン目形成部)
54 ヒータ
60A,60B 歯溝(溝部)
61 凸部
116 横シール機構(熱封止装置)
151A 前側シールジョー(第1シール部材)
151B 後側シールジョー(第2シール部材)
160A,160B 歯溝(溝部)
161 凸部
162 凹部
F,F1 フィルム,筒状フィルム
B 袋
C 被包装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を包装するフィルムの搬送経路を挟み込むように配置されており、互いに対向する加熱面を有する一対のシール部材の間に前記フィルムを挟み込むことによって、前記フィルムの一部をシールする熱封止装置であって、
前記加熱面に形成された溝部を有する第1シール部材と、
前記第1シール部材とともに前記フィルムを挟み込む際に、前記第1シール部材側の前記溝部と係合する溝部を有する第2シール部材と、
前記第1シール部材あるいは前記第2シール部材の少なくとも一方の前記加熱面に配置されており、前記第1シール部材と前記第2シール部材とが互いに対向する方向に交差する方向に突出している凸部と、
を備えた熱封止装置。
【請求項2】
前記第1シール部材および前記第2シール部材の前記加熱面には、前記フィルムを挟み込む際に互いに係合する溝部が形成されており、
前記凸部は、前記溝部を形成する面に配置されている、
請求項1に記載の熱封止装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記フィルムが3枚以上重なった位置に配置されている、
請求項1または2に記載の熱封止装置。
【請求項4】
前記第1シール部材および前記第2シール部材の少なくとも一方に配置された前記凸部に対応する他方の前記第2シール部材および前記第1シール部材における位置に配置された凹部をさらに備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱封止装置。
【請求項5】
前記第1シール部材あるいは前記第2シール部材の少なくとも一方に設けられており、前記フィルムに対してミシン目を形成するミシン目形成部をさらに備えている、
請求項1から4のいずれ1項に記載の熱封止装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱封止装置を備えている、包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−189332(P2008−189332A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23204(P2007−23204)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】