説明

熱硬化性樹脂組成物、Bステージ化した樹脂フィルムおよび多層ビルドアップ基板

【課題】高耐熱で低膨張係数であり、(セミ)アディティブ工法に適合した粗化後の表面粗さが小さいところでの引きはがし強さに優れ、かつ弾性率、破断強度、破断伸びなどのバランスのとれた樹脂物性の層間絶縁材料を提供することである。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物は、(a) 25℃での粘度が1.0〜120Pa・sの液状エポキシ樹脂を50〜100重量%含むエポキシ樹脂、(b)トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤および(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂を含む。(a)エポキシ樹脂と(b)トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤との合計量を100重量部としたときの(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂の量が10〜250重量部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Bステージ化した樹脂フィルムに関するものであり、低膨張係数で、低粗度-高接着強度、高耐熱、高信頼性の高密度ビルドアッププリント配線板等に使用される。ここで、Bステージとは、樹脂組成物を半硬化させた状態をさす。
【背景技術】
【0002】
近年、MPUやASIC用のパッケージ基板には、細線化、小径狭パッドピッチ化、多層化、接続の最短化、低伝送損失化等が求められている。このためには基板構造的には高密度ビルドアップ基板又は高密度一括成形基板が必要であり、細線化対応のためにはサブトラ法から(セミ)アディティブ法へ、小径狭パッドピッチ化対応のためには小径レーザービア化が必要であり、厚さ方向の接続もスタックビアなどでの接続が必要となる。このため基板材料に求められる主特性は、細線化のための(セミ)アディティブ法に対応した、低粗化での高ピール強度と小径でのレーザー加工性と信頼性向上、寸法精度、位置精度向上のための低膨張係数と弾性率、破断強度、破断伸びなどのバランスのとれた樹脂物性、低誘電率・低誘電正接となっている。このうち、低誘電率・低誘電正接化については、MPUの性能向上の手法が高周波数化から並列度のアップの方向に移行したため、その重要度が少し低下している。こうしたフィルム製品としては、例えば特許文献1〜11記載のものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平11-1547
【特許文献2】特開平11-87927
【特許文献3】特開2000-17148
【特許文献4】特開2000-198907
【特許文献5】特開2003-238772
【特許文献6】特開2001-181375
【特許文献7】特開2002-241590
【特許文献8】特開2002-309200
【特許文献9】特開2003-127313
【特許文献10】特開2003-321607
【特許文献11】特開2005-154727
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの要求を満たす材料は現在なく、特にビルドアップ基板用の層間絶縁材料については特に顕著である。すなわち、高耐熱で低膨張係数であり、(セミ)アディティブ工法に適合した粗化後の表面粗さが小さいところでの引きはがし強さに優れ、かつ弾性率、破断強度、破断伸びなどのバランスのとれた樹脂物性の熱硬化性樹脂組成物は知られていない。
【0005】
本発明の課題は、高耐熱で低膨張係数であり、(セミ)アディティブ工法に適合した粗化後の表面粗さが小さいところでの引きはがし強さに優れ、かつ弾性率、破断強度、破断伸びなどのバランスのとれた樹脂物性の層間絶縁材料を提供することである。
【0006】
また、本発明の課題は、このような熱硬化性樹脂組成物を層間絶縁材料として用いて製造された高密度ビルドアッププリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、(a) 25℃での粘度が1.0〜120Pa・sの液状エポキシ樹脂を50〜100重量%含むエポキシ樹脂、(b)トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤、(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂を含み、前記(a) 25℃での粘度が1.0〜120Pa・sの液状エポキシ樹脂を50〜100重量%含むエポキシ樹脂及び、前記(b) トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤との合計量を100重量部としたときの前記(c) 溶剤可溶性ポリイミド樹脂の量が10〜250重量部であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記熱硬化性樹脂組成物から作成された、Bステージ化した樹脂フィルムに係るものである。また、本発明は、このBステージ化した樹脂フィルムを含む、多層ビルドアップ基板に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
熱硬化性樹脂組成物の低膨張係数化は、ベース樹脂での低膨張率化を前提に無機フィラーを添加することにより、ある程度実現できるが、しかしベース樹脂自体の熱膨張係数を低下させない場合には限界がある。エポキシ樹脂の熱膨張係数を低下させるためには硬化剤の選択が重要である。しかし、硬化剤の選択だけでは限界があるが、特定の溶剤可溶性ポリイミド樹脂を併用することによって、さらなる熱膨張係数の低下が可能となることを発見した。この変性は、硬化物に可とう性を付与し、Tgを低下させることなくフィルム物性を向上させ得ることも発見した。また、溶剤可溶性ポリイミド樹脂添加によって樹脂組成物自体の接着強度が向上したことにより、(セミ)アディティブ工法での低プロファイルでの高ピール強度の粗化面形成をも実現できることも見いだし、本発明に到達した。
【0010】
本発明の熱硬化性樹脂組成物によれば、例えば、高耐熱(Tg:150℃以上)、低膨張係数(25℃〜150℃で40ppm/℃以下)、かつ (セミ)アディティブ工法に適合した粗化後の表面粗さが小さい(Ra0.3μm以下)ところでの引きはがし強さに優れ、かつ弾性率、破断強度、破断伸びなどのバランスのとれた樹脂物性の層間絶縁材料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、(a)エポキシ樹脂のうち50〜100重量%は、25℃での粘度が1.0〜120Pa・sの液状エポキシ樹脂からなる。25℃での粘度が1.0〜120Pa・sの液状エポキシ樹脂としては、ビスA型エポキシ樹脂、ビスF型エポキシ樹脂、水添ビスA型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ターシャリーブチルカテコール型エポキシ樹脂などがあり、単独、又は2種以上組み合わせて用いることができる。この粘度は、E型粘度計を用いて測定した値で定義する。
【0012】
(a)エポキシ樹脂には、「25℃での粘度が1.0〜120Pa・sの液状エポキシ樹脂」以外のポポキシ樹脂が含まれていてもよく、含まれていなくともよいが、含有量は50重量%以下である。「25℃での粘度が1.0〜120Pa・sの液状エポキシ樹脂」以外のエポキシ樹脂は、2個以上のグリシジル基を持つエポキシ樹脂ならば、すべて使用することができるが、好適には、25℃で固形樹脂であるノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などであり、単独、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0013】
ここで 25℃での粘度が1.0〜120Pa・sの液状エポキシ樹脂を(a)エポキシ樹脂全体のうち50重量%以上使用することによって、以下の作用効果が得られる。すなわち、細線化対応、具体的には、L/Sが20/20μm以下のためにはサブトラ法から(セミ)アディティブ法へ移行し、低Ra(0.3μm以下)で高ピール強度(0.7kN/m以上)を実現することが必須条件となる。しかし、(セミ)アディティブ工程における粗化工程に入る時の絶縁層の平坦性も、これに大きく影響を与える。即ち、粗化工程の前の表面凹凸は、低粗度面では、そのRaにも影響を与えてしまう。これを防ぐには、粗化工程の前、即ち真空ラミネート-平坦化の第一回目の硬化工程後において、表面が平坦化されていることが必要となる。この平坦化の基準は、諸工程条件により変化するが、我々の実験では、表面凹凸がパターン密度に関係なく、各パターントップとそのエッチング面トップの差(段差)で1.5μm以下であることが必要であると実証されている。
【0014】
このような高度の平坦性を実現するためには、各工程条件の最適化に加えて、真空ラミネート平坦化工程と第一回目の硬化時での適度の流動性が必要であり、これには25℃での粘度が1.0〜120Pa・s の液状エポキシ樹脂を50%以上使用することが最も有効であることを発見した。この量が50重量%未満では、高度の平坦性を実現することができない。また25℃での粘度が120Pa・s以上の液状エポキシ樹脂でも、この平坦性に効果があるが、その効果は著しく減少する。さらに、25℃での粘度が1.0Pa・s未満の液状エポキシ樹脂では、耐熱性を満足させるものがない。
【0015】
本発明の観点からは、(a)エポキシ樹脂のうち、25℃での粘度が1.0〜120Pa・s の液状エポキシ樹脂の割合が50〜100重量%であることが好ましく、60重量%以上であることが更に好ましい。
【0016】
本発明において、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤(b)は、ベンゾグアナミン変性ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ベンゾグアナミン変性クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ベンゾグアナミン変性フェノールノボラック型フェノール樹脂、メラミン変性ビスフェノールA型ノボラック樹脂、メラミン変性クレゾールノボラック型フェノール樹脂、メラミン変性フェノールノボラック型フェノール樹脂等がある。
【0017】
(a)エポキシ樹脂のエポキシ当量((a)の合計値)を1としたとき、(b) トリアジン変性フェノールノボラック樹脂の使用量は、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂の水酸基当量で0.35〜0.80が最適である。硬化剤の使用量(当量)が0.35未満であると、適正な熱膨張係数の組成物が得られない。硬化剤の使用量(当量)が0.80を超えると、バランスの良い破断強度、破断伸びが得られない。
【0018】
本発明において、(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂は、組成物の製造に使用する有機溶剤に可溶性のポリイミド樹脂である。例えばNMP(N−メチルピロリドン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAC(ジメチルアセトアミド)を例示出来る。この樹脂は、高Tg、低C.T.E、優れたフィルム物性、高接着強度の特性を持つものが好適であり、分子量としては、数平均分子量(Mn)で10,000から50,000が好適であり、更には12,000から20,000が好適である。
【0019】
(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂としては、例えばジアミノトリメチルフェニルインダンとベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物を反応させて得られる完全イミド化した可溶性ポリイミド樹脂 (1式)などがある。
【化1】

【0020】
(a)エポキシ樹脂および(b)硬化剤の合計量を100重量部としたときの(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂の量は、10〜250重量部の範囲とすることが好ましい。これを10重量部以上とすることによって、接着強度と可とう性とを付与できる。この観点からは、15重量部以上とすることが更に好ましい。また、これが250重量部を超えると、フィルムとしての破断強度が低下するので、250重量部以下とすることが好ましい。
【0021】
本発明の組成物中においては、(d)フィラーを添加することができる。(d)フィラーは、具体的には、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素 、酸化マグネシウムなどが好適である。また、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c) 溶剤可溶性ポリイミド樹脂の合計量を100重量部としたときに、(d)フィラーの量を0〜150重量部とすることが好ましい。低膨張係数を加味する場合にはシリカ主体が良い。この場合シリカは表面処理(エポキシシラン処理、アミノシラン処理、ビニルシラン処理など)されたシリカを用いても良い。また、粒径としては狭ピッチ対応(L/S≦20/20μm)と表面粗さの低減(Ra≦0.3μm)の観点から平均粒径が0.5μm以下の球状ものが望ましい。また0.5kN/m以上のピール強度をRa≦0.3μmで出す為には、シリカ添加量を10重量部以上添加するのが良い。また150重量部以上添加するとレーザー加工性などの加工性やピール強度などを悪化させるので、150重量部以下とすることが好ましい。その他には、アルミナ、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、酸化マグネシウムなどのフィラーを同様に用いることができる。
【0022】
また本発明の組成物には、必要に応じて硬化促進剤を併用することができる。硬化促進剤としては各種イミダゾール類や有機ホスフィン系化合物などの一般的なものを使用することができる。主に反応速度(硬化速度)、ポットライフの観点から選択する。例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、4,4’-メチレンビス(2-エチル-5-メチルイミダゾール)やTPPなどがある。
【0023】
さらに本発明の成分には、難燃性の付与のために難燃剤を添加することができる。特にハロゲンフリーの難燃剤としては、縮合型リン酸エステル類、ホスファゼン類、ポリリン酸塩類、HCA(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド)誘導体等が良好である。
【0024】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に使用可能な溶媒は特に限定されないが、NMPやジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの高沸点溶剤とシクロヘキサノンやMEKなどの中、低沸点溶剤を組み合わせることが特に好ましい。
【0025】
本発明の熱硬化性樹脂組成物をBステージ化することにより、樹脂フィルムを得ることができる。すなわち、以上述べてきた本発明の樹脂組成物は、必要ならばこれをNMP、(ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)/MEK、(シクロヘキサノン)等の好適な混合有機溶剤で希釈してワニスとなし、これを必要に応じて離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上にダイコーターなどで塗布し、加熱するという通常の方法によりB状態の熱硬化性樹脂フィルムを製造する事が出来る。
【0026】
又、本発明の熱硬化性樹脂組成物を金属箔にダイコーターなどで塗工することにより、接着剤付き金属箔を製造する事ができる。この金属箔としては、表面粗化した銅箔、アルミニウム箔を例示できるが、銅箔が特に好ましい。
【0027】
本発明のフィルム付き製品は、リジッドコアなどを有するビルドアップ多層板などのHDI材料としてレーザービアなどの非貫通ビアホールを持つプリント配線板に使用することができる。
【実施例】
【0028】
以下に、本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
141重量部のナフタレン型エポキシ樹脂エピクロンHP-4032D(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量141 粘度23Pa・s/25℃)、95重量部のメラミン変性クレゾールノボラック樹脂EXB-9854(大日本インキ化学工業社製、水酸基価151、樹脂固形分80重量%)、360重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、樹脂固形分20重量%)、0.7重量部の2-エチル-4メチルイミダゾール、192重量部のエポキシシラン処理球状シリカ(平均粒径 0.3μm)からなる混合物を調製し樹脂固形分61重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0029】
(実施例2)
180重量部のフェノールノボラック型エポキシ樹脂エピクロンN-730A(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量180 粘度95Pa・s/25℃)、95重量部のメラミン変性クレゾールノボラック樹脂EXB-9854(大日本インキ化学工業社製、水酸基価151、樹脂固形分80重量%)、420重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、樹脂固形分20重量%)、0.7重量部の2-エチル-4メチルイミダゾール、220重量部のエポキシシラン処理球状シリカ(平均粒径 0.3μm)からなる混合物を調製し樹脂固形分63重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0030】
(実施例3)
141重量部のナフタレン型エポキシ樹脂エピクロンHP-4032D(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量141 粘度23Pa・s/25℃)、63重量部のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP-7200H(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量283、樹脂固形分80重量%)、112重量部のメラミン変性クレゾールノボラック樹脂EXB-9854(大日本インキ化学工業社製、水酸基価151、樹脂固形分80重量%)、470重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、樹脂固形分20重量%)、0.7重量部の2-エチル-4メチルイミダゾール、250重量部のエポキシシラン処理球状シリカ(平均粒径 0.3μm)からなる混合物を調製し樹脂固形分60重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0031】
(実施例4)
126重量部のフェノールノボラック型エポキシ樹脂エピクロンN-730A(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量180 粘度95Pa・s/25℃)、54重量部のナフタレン型多官能エポキシ樹脂エピクロンHP4700(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量162)、109重量部のメラミン変性クレゾールノボラック樹脂EXB-9854(大日本インキ化学工業社製、水酸基価151、樹脂固形分80重量%)、420重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、樹脂固形分20重量%)、0.7重量部の2-エチル-4メチルイミダゾール、220重量部のエポキシシラン処理球状シリカ(平均粒径 0.3μm)からなる混合物を調製し樹脂固形分61重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0032】
(比較例1)
1300重量部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂YDCN-704P(東都化成社製、エポキシ当量210:樹脂固形分70重量%:25℃で固形)、140重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(JER社製、エポキシ当量456、樹脂固形分70重量%:25℃で固形)、327重量部のフェノキシ樹脂YP-55(東都化成社製)、925重量部のメラミン変性フェノールノボラック樹脂LA-7054(大日本インキ化学工業社製、水酸基価125、樹脂固形分60重量%)、240重量部の縮合型リン酸エステルPX-200(大八化学社製)、0.7重量部の2-エチル-4メチルイミダゾール、320重量部のエポキシ化ポリブタジエン樹脂E-1800-6.5(日本石油化学社製)、1050重量部のエポキシシラン処理球状シリカ(平均粒径 0.3μm)からなる混合物に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を加えて樹脂固形分65重量%のエポキシ樹脂ワニスを調整した。
【0033】
(比較例2)
600重量部の臭素化エポキシ樹脂エピコート5045(JER社製、エポキシ当量480樹脂固形分80重量%:25℃で固形)、85重量部のフェノキシ樹脂YP-55(東都化成社製)、13重量部のジシアンジアミド及び0.5重量部の2-エチル-4メチルイミダゾール、100重量部のエポキシ化ポリブタジエン樹脂E-1800-6.5(日本石油化学社製)、291重量部のエポキシシラン処理球状シリカ(平均粒径 0.3μm)からなる混合物に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)とジメチルホルムアミドを加えて樹脂固形分65重量%のエポキシ樹脂ワニスを調整した。
【0034】
(比較例3)
126重量部のフェノールノボラック型エポキシ樹脂エピクロンN-740(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量180 粘度は50℃で75Pa、25℃で半固体状)、54重量部のナフタレン型多官能エポキシ樹脂エピクロンHP4700(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量162)、109重量部のメラミン変性クレゾールノボラック樹脂EXB-9854(大日本インキ化学工業社製、水酸基価151、樹脂固形分80重量%)、420重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、樹脂固形分20重量%)、0.7重量部の2-エチル-4メチルイミダゾール、220重量部のエポキシシラン処理球状シリカ(平均粒径 0.3μm)からなる混合物を調製し樹脂固形分61重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0035】
(比較例4)
126重量部の液状エポキシ樹脂デコナール EX321L(ナガセケムテックス社製、エポキシ当量160、粘度は25℃で0.8Pa・s)、54重量部のナフタレン型多官能エポキシ樹脂エピクロンHP4700(大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量162)、109重量部のメラミン変性クレゾールノボラック樹脂EXB-9854(大日本インキ化学工業社製、水酸基価151、樹脂固形分80重量%)、420重量部の可溶性ポリイミド樹脂Q-VR-X0163(ピーアイ技術研究所社製、樹脂固形分20重量%)、0.7重量部の2-エチル-4メチルイミダゾール、220重量部のエポキシシラン処理球状シリカ(平均粒径 0.3μm)からなる混合物を調製し樹脂固形分61重量%の樹脂ワニスを調整した。
【0036】
前記各例の樹脂ワニスを3本ロールで良く分散した。これを必要により離型処理した25μmポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上にダイコーターで塗布し120℃の温度で乾燥して厚さ40μmのB状態の熱硬化性樹脂フィルム(A)を製造した。揮発分は3.0wt%に調整した。また保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(PEフィルム)をラミネートした。
これを18μmの表面処理なし銅箔と重ねあわせ、真空プレスに仕込み180℃×120分、4Mpaで加熱・加圧(真空度5torr)成形した(成形物(1))。
【0037】
同様に処理足付きの銅箔と重ねあわせ、真空プレスに仕込み180℃×120分、4Mpaで加熱・加圧(真空度5torr)成形した。(成形物(2))
【0038】
一方、厚さ0.6mmの高TgハロゲンフリーFR-4両面銅張積層板(銅箔18μm)[商品名TLC-W-552Y、京セラケミカル社製]に回路を形成し、導体に黒色酸化銅処理後に、真空ラミネーターで、この面に上記フィルムAを保護フィルムを剥離してラミネートを両面に行い平坦化プレス工程を経て平坦化を行う。これをトンネル乾燥炉で190℃×30分の一段階目の加熱硬化を行う。冷却取り出し後、CO2レーザーで所定孔径(60μm、100μm)のブラインドビアを形成した。
【0039】
過マンガン酸デスミア溶液で表面粗化を行い、同時に孔内底部の残存樹脂も溶解除去した。これに無電解銅メッキ0.8μm、電解銅メッキ20μmを付け、180℃×60分のアフターベーキングを行った。これを繰り返しビルドアップ層が片側2層の6層ビルドアップ多層プリント配線板(I)を作製した(ビルトアップ部パターン形成なし、ただしピール測定可のベタ銅部は有り)。
【0040】
上記各例の各パラメーターを表1にまとめて示す。また、各例の特性評価結果を表2、表3に示す。表2のPWB(II)は、PWB(I)の製造法に準拠して作製したJPCA-HD01のテストパターン基板である。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
評価方法は以下のとおりである。
平坦性: PWB(II)平坦化プレス後の表面凹凸で、各パターントップとそのエッチング面トップの差
(段差); (レーザー顕微鏡による)
表面粗さ: レーザー顕微鏡による。
PWB(II) :
PWB(I)の製造方法に準拠して作製したJPCA-HD01のテストパターン基板。
フィルム物性: オートグラフによる。
信頼性 : JPCA-BU01による。
(a)熱衝撃試験 150℃×30min ←→ −65℃×30min (1
cycle)
(b)高温高湿バイアス試験 85℃×85%RH,DC=50V
(ただし槽内測定)
【0045】
以上述べたように、本発明の実施例1〜4によれば、低膨張係数で、低粗度-高接着強度、高耐熱、高信頼性の高密度ビルドアッププリント配線板用の樹脂組成物を提供することができる。そして、このような諸特性を付与したプリント配線板は半導体プラスチックパッケージ用などに使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 25℃での粘度が1.0〜120Pa・sの液状エポキシ樹脂を50〜100重量%含むエポキシ樹脂、(b)トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤および(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂を含み、前記(a)エポキシ樹脂と前記(b)トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤との合計量を100重量部としたときの前記(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂の量が10〜250重量部であることを特徴とする、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(d)フィラーを含み、前記(a)エポキシ樹脂、前記(b)トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤および前記(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂の合計量を100重量部としたときの前記(d)フィラーの量が150重量部以下であることを特徴とする、請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(a)エポキシ樹脂のエポキシ当量を1としたときの前記(b) トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤の水酸基当量比が0.35〜0.80であることを特徴とする、請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(b)トリアジン変性フェノールノボラック樹脂硬化剤が、メラミン変性フェノールノボラック樹脂、メラミン変性クレゾールノボラック樹脂、ベンゾグアナミン変性フェノールノボラック樹脂およびベンゾグアナミン変性クレゾールノボラック樹脂からなる群より選ばれていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(c)溶剤可溶性ポリイミド樹脂が、ジアミノトリメチルフェニルインダンとベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物を反応させて得られる完全イミド化した可溶性ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(d)フィラーが、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及び酸化マグネシウムから選ばれた一種または二種以上のフィラーである、請求項2〜5のいずれか一つの請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物から作成された、Bステージ化した樹脂フィルム。
【請求項8】
請求項7記載のBステージ化した樹脂フィルムを含む、多層ビルドアップ基板。


【公開番号】特開2007−224242(P2007−224242A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50087(P2006−50087)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000108823)タムラ化研株式会社 (23)
【Fターム(参考)】