説明

熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ、金属張積層板、配線板

【課題】誘電特性、耐熱性、耐湿性、耐電食性及び銅箔との接着性、耐薬品性、並びに非ハロゲン難燃剤による難燃性の全てに関して優れる熱硬化性樹脂組成物、及びプリプレグ、金属張積層板及び配線板を提供する。
【解決手段】(A)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂、(C)難燃剤として2置換ホスフィン酸の金属塩とホスファゼン化合物、(D)式RSiO3/2(式中、Rは有機基であり、シリコーン重合体中のR基は互いに同一であっても異なってもよい)で表される3官能性シロキサン単位及び式SiO4/2で表される4官能性シロキサン単位から選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、重合度は7,000以下であり、末端に水酸基と反応する官能基を1個以上有するシリコーン重合体、及び(E)無機充填剤を含む熱硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ、金属張積層板、配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器用のプリント配線板として、主にエポキシ樹脂を用いた積層板が広く使用されている。しかしながら、電子機器における実装密度の増大に伴うパターンの細密化、表面実装方式の定着並びに信号伝播速度の高速化と取り扱う信号の高周波化に伴い、プリント配線板材料の低誘電損失化や耐熱性及び耐電食性の向上が強く要望されている。また、近年の環境問題から、ハロゲン系の難燃剤を使用せず、非ハロゲン系で良好な難燃性を有する材料も強く要望されている。
【0003】
エポキシ樹脂を硬化剤とし、スチレンと無水マレイン酸からなる共重合樹脂を使用する樹脂組成物又は積層板の事例として、例えば、特開昭49−109476号公報には、可撓性付与のために、反応性エポキシ希釈剤とアクリロニトリル−ブタジエン共重合体を必須とする、可撓性エポキシ樹脂、スチレンと無水マレイン酸からなる共重合樹脂等による可撓性印刷配線板が記載されている。また、特開平1−221413号公報には、エポキシ樹脂、芳香族ビニル化合物及び無水マレイン酸から得られる酸価が280以上の共重合樹脂、並びにジシアンアミドを含有するエポキシ樹脂化合物が記載されている。
【0004】
更に、特開平9−25349号公報には、ブロム化されたエポキシ樹脂、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂(エポキシ樹脂硬化剤)、スチレン系化合物、及び溶剤を含むプリプレグ、電気用積層板材料が記載されている。特開平10−17685号公報及び特開平10−17686号公報には、エポキシ樹脂、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸の共重合樹脂、フェノール化合物を含むプリプレグ、電気用積層板材料が記載されている。特表平10−505376号公報には、エポキシ樹脂、カルボン酸無水物型エポキシ樹脂用架橋剤、アリル網目形成化合物を含む樹脂組成物、積層板、プリント配線板が記載されている。
【0005】
しかしながら、これらはいずれもパターンの細密化、信号の高周波化等に伴い要求されている性能が不充分である。すなわち、低誘電損失性、高耐熱性、高耐湿性、銅箔との高接着性等における性能が不充分である。さらに、これらはハロゲン系難燃剤を使用している。
【0006】
また、近年、パターンの細密化に伴いスルーホールの穴径はより小さくなり、穴壁間も狭められる傾向にある。このような状況下でプリント配線板は、絶縁材料上または絶縁材料内に配線や回路パターンあるいは電極などを構成する金属が、高湿環境下、電位差の作用によって絶縁材料上または絶縁材料内を移行する金属マイグレーション(電食)が発生しやすくなり高い絶縁信頼性を満足できなくなってきている。更には、スルーホールのドリル加工時などに微少なクラックが発生し、この微少クラックから金属マイグレーションが発生することも懸念されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭49−109476号公報
【特許文献2】特開平1−221413号公報
【特許文献3】特開平9−25349号公報
【特許文献4】特開平10−17685号公報
【特許文献5】特開平10−17686号公報
【特許文献6】特表平10−505376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の問題を踏まえ、誘電特性、耐熱性、耐湿性、耐電食性、銅箔との接着性及び耐薬品性、並びに非ハロゲン系難燃剤による難燃性の全てに関して優れる熱硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたプリプレグ、金属張積層板及び配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため、高い耐熱性、接着性、絶縁信頼性及び非ハロゲン系難燃剤を用いて高い耐燃性を有し、且つ優れた誘電特性と低吸水性を併せ持つ熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、金属張積層板、配線板を提供することを目的に鋭意検討した。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.(A)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂、(C)2置換ホスフィン酸の金属塩とホスファゼン化合物、(D)式RSiO3/2(式中、Rは有機基であり、シリコーン重合体中のR基は互いに同一であっても異なってもよい)で表される3官能性シロキサン単位及び式SiO4/2で表される4官能性シロキサン単位から選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、重合度は7,000以下であり、末端に水酸基と反応する官能基を1個以上有するシリコーン重合体、及び(E)無機充填剤を含む熱硬化性樹脂組成物。
2.(A)1分子中にシアナト基を含有するシアネート化合物が、(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物を(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のシアナト基と(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類のフェノール化合物のフェノール性水酸基との配合当量比(水酸基/シアナト基比)が0.01〜0.3の範囲で反応させることを特徴とするフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物であって、(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマーの転化率が20〜70%となるように反応させたフェノール変性シアネートエステルオリゴマである項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0011】
【化1】

(式中、R、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基を示し、それぞれ同一であっても異なっても良い。また、nは1〜3の整数を表す)
【0012】
【化2】

【0013】
【化3】

(式中、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基を示し、Rはメチル、エチル、又は式(2a)から選ばれるアルキル基を表す。またnは1〜2の整数を表す)
【0014】
3.(A)の数平均分子量が380〜2500となるように反応させたフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを含む項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
4.(A)のモノマー転化率が45〜65%となるように反応させたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物を含む項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
5.(A)の数平均分子量が400〜1600となるように反応させたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物を含む項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
6.(A)及び(a)の1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物が式(3)で表される化合物から選ばれるシアネート化合物またはこれら2種類以上の混合物であることを特徴とする項1ないし5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

(式中、Rはハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキレン基、式(3a)、又は式(3b)を表し、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
【0018】
7.(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂が、式(4)で表されるジシクロペンタジエン骨格を含有するジシクロペンタジエン−フェノール重付加物から誘導されるエポキシ樹脂、式(5)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂、式(6)で表されるビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上含有する項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0019】
【化7】

(式中nは0又は1以上の整数を表す)
【0020】
【化8】

【0021】
【化9】

(式中nは1〜10の整数である)
【0022】
8.(E)無機充填剤を(D)式RSiO3/2(式中、Rは有機基であり、シリコーン重合体中のR基は互いに同一であっても異なってもよい)で表される3官能性シロキサン単位及び式SiO4/2で表される4官能性シロキサン単位から選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、重合度は7,000以下であり、末端に水酸基と反応する官能基を1個以上有するシリコーン重合体で表面処理して用いる項1ないし項7いずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
9.(F)式(7)で示されるモノマー単位と式(8)で示されるモノマー単位を含む共重合樹脂を含む項1ないし項8いずれかにに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0023】
【化10】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5個の1価の炭化水素基であり,Rはそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜5個の1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基又は水酸基を表し、xは0〜3の整数でありmは自然数である)
【0024】
【化11】

(式中nは自然数である)
【0025】
10.(G)硬化促進剤として鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズの有機金属塩及び有機金属錯体とイミダゾール類化合物を併用することを特徴とした項1ないし項9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
11.(G)硬化促進剤として鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズの有機金属塩及び有機金属錯体と式(9)で表されるイミダゾール類化合物を併用することを特徴とした請求項1ないし項10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0026】
【化12】

(式中、R10は炭素数1〜11のアルキル基又はベンゼン環を表す)
【0027】
12.(A)100重量部に対して(B)を25〜300重量部、(C)を10〜150重量部、(D)を0.025〜60重量部、(E)を50〜300重量部、(F)を10〜200重量部、(G)を0.1〜5重量部含む項1ないし項11のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
13.項1ないし項12のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物をワニス化し、基材に含浸、乾燥して得られるプリプレグ。
14.項13に記載のプリプレグを1枚又は複数枚重ね、さらにその上下面又は片面に金属箔を積層し、加熱加圧して得られる金属張積層板。
15.項14に記載の金属張積層板を回路加工してなる配線板。
【発明の効果】
【0028】
誘電特性、耐熱性、耐湿性、耐電食性、銅箔との接着性及び耐薬品性、並びに非ハロゲン系難燃剤による難燃性の全てに関して優れる熱硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたプリプレグ、金属張積層板及び配線板を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いる(A)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物は特に限定されるものではないが、式(3)で表されるシアネート化合物が好ましい。
【0030】
【化13】

【0031】
【化14】

【0032】
【化15】

(式中、Rはハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキレン基、式(3a)、又は式(3b)を表し、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
【0033】
具体例としては2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、フェノールとジシクロペンタジエン共重合物のシアネートエステル化物などが挙げられ、これらは1種類又は2種類以上を混合して用いても良い。
【0034】
本発明における(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物のうち、式(1)で表されるフェノール化合物は、p−(α−クミル)フェノール、モノ(又はトリ)(α−メチルベンジル)フェノールが挙げられる。式(2)で表されるフェノール化合物は、p−tert−ブチルフェノール、2,4(又は2,6)ジ−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミノフェノール及びp−tert−オクチルフェノールが挙げられる。また、これらフェノール化合物の1種類単独及び2種類以上を混合しても良い。
【0035】
【化16】

(式中、R、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基を示し、それぞれ同一であっても異なっても良い。また、nは1〜3の整数を表す)
【0036】
【化17】

【0037】
【化18】

(式中、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基を示し、Rはメチル、エチル、又は式(2a)から選ばれるアルキル基を表す。またnは1〜2の整数を表す)
【0038】
本発明に用いられる(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物の配合量は(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のシアナト基1当量に対する(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物のフェノール性水酸基比(水酸基/シアナト基当量比)で0.01〜0.03の範囲で反応させることが好ましい。水酸基/シアナト基比が0.01未満では十分な誘電特性が得られず、また0.03を超えると誘電特性の悪化や吸湿時の耐熱性の悪化及び、ワニス作製時にワニスの粘度が増化する傾向があり好ましくない。
【0039】
更に、誘電特性や吸湿時の耐熱性を向上させるために、(a)シアネート化合物と(b)フェノール化合物を反応させてフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物とした後、(b)フェノール化合物を、原料とした(a)シアネート化合物のシアナト基1当量に対して、そのフェノール性水酸基が0〜0.29当量の範囲で追加配合することができる。更にはフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物とする際の(a)シアネート化合物のシアナト基1当量に対する(b)フェノール化合物のフェノール性水酸基比を0.005〜0.03当量の範囲で配合し、追加配合時に(a)シアネート化合物のシアナト基1当量に対する(b)フェノール化合物のフェノール性水酸基比を0.03〜0.10の範囲で配合することが好ましい。
【0040】
本発明で用いられる(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物を反応させて得られるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーは、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物が単独で環化反応によりトリアジン環を形成するシアネートエステルオリゴマー(主にシアネート化合物の3、5、7、9及び11量体を含む)と、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のシアナト基に、(b)式(1)及び式(2)で表されるフェノール化合物のフェノール性水酸基が付加したイミドカーボネート化変性オリゴマー及び式(1)及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物の1つ又は2つがトリアジン環を構成する構造内に導入したことによって生成する、すなわちトリアジン環から伸びる3つの鎖のうち1つまたは2つが1価フェノール化合物に由来する分子に置き換わったことにより、シアネート化合物の単独オリゴマーよりも架橋点が少ない変性オリゴマーとの混合オリゴマーである。
【0041】
本発明におけるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーは、(a)分子中に2個以上含有するシアネート化合物のモノマーの転化率を10〜70%となるように反応させて得られる。好ましくは(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマーの転化率として20〜70%が好ましい。モノマーの転化率が10%未満の場合、(a)シアネート化合物は結晶性が高いため、本発明のフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物を溶剤に溶解しワニス化した際に溶剤中にシアネート化合物モノマーが再結晶する場合があるため好ましくない。また、70%を超える場合は、ワニスとした時の粘度が高くなりガラス基材等への含浸性が低下しプリプレグ表面の平滑性が失われることがあったり、ゲル化時間が塗工作業上問題となるまで短くなったりワニスの保存安定性(ポットライフ)が低下したりするため好ましくない。さらには、モノマーの転化率45〜65%が、ワニスの取り扱い性、ガラス基材等への含浸性、積層板の耐湿耐熱性や誘電特性等が良好となり特に好ましい。
【0042】
さらに加えて、本発明におけるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーは、数平均分子量が380〜2500となるように反応させて得られる。好ましくは、フェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量が400〜1600とするのが望ましい。380未満では、前述同様、シアネート化合物は結晶性が高いため、本発明のフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物を溶剤に溶解しワニス化した際に溶剤中にシアネート化合物モノマーが再結晶する場合があるため好ましくなく、2500を超える場合は、ワニスとした時の粘度が高くなりガラス基材等への含浸性が低下しプリプレグ表面の平滑性が失われることがあったり、ゲル化時間が塗工作業上問題となるまで短くなったりワニスの保存安定性(ポットライフ)が低下したりするため好ましくない。
【0043】
本発明において用いる(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂は式(4)で表されるジシクロペンタジエン骨格を含有するジシクロペンタジエン−フェノール重付加物から誘導されるエポキシ樹脂、式(5)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂、式(6)で表されるビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上含有し、これらと他の1分子中に2個以上のエポキシ基をもったエポキシ樹脂を併用してもよい。その配合量は特に限定されるものではないが、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂の全配合量の20重量%以下とすることが好ましい。20重量%以上ではTg(ガラス転移温度)の低下や、吸水率の上昇、耐燃性が低下する等の傾向があり好ましくない。
【0044】
【化19】

(式中nは0又は1以上の整数を表す)
【0045】
【化20】

【0046】
【化21】

(式中nは1〜10の整数である)
【0047】
また、上記式(4)ないし(6)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも1種以上と併用する1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂は、得に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0048】
本発明に用いる(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂の配合量は、(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート類化合物100重量部に対して(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂が25〜300重量部とすることが好ましい。25重量部未満では吸湿時の耐熱性が悪化する傾向を示し、300重量部を超えると誘電特性の悪化やTg(ガラス転移温度)が低下するため好ましくない。
【0049】
本発明に用いる(C)難燃剤の2置換ホスフィン酸の金属塩は、例えば下記の一般式(10)で示される。
【0050】
【化22】

(式中、R11及びR12は、それぞれ独立して、炭素数1〜5の1価の脂肪族炭化水素基、又は1価の芳香族炭化水素基であり、Mは、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ge、Sn、Sb、Bi、Zn、Ti、Zr、Mn、Fe、Ceから選ばれる金属であり、そしてzは、Mの原子価に相当する整数である。)
【0051】
一般式(10)のMは、化合物中のリン含有量を多くできることや、耐湿性の点からAl又はNaが好ましく、低誘電特性の点からAlが特に好ましい。また、上記R11及びR12は化合物中のリン含有量を多くできることから、炭素数1〜5の1価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基であることが特に好ましい。このような特に好ましい2置換ホスフィン酸の金属塩として、ジメチルホスフィン酸アルミニウムを挙げることができる。
【0052】
本発明に用いられる(C)難燃剤のホスファゼン化合物は、例えば下記の一般式(11)で示される直鎖状ホスファゼン化合物、又は下記一般式(12)で示される環状ホスファゼン化合物である。
【0053】
【化23】

(式中、R12及びR13は、互いに独立して、炭素数1〜5の1価の脂肪族炭化水素基、又は1価の芳香族炭化水素基であり、qは自然数である)
【0054】
【化24】

(式中、R14及びR15は互いに独立して、炭素数1〜5の1価の脂肪族炭化水素基、又は1価の芳香族炭化水素基でありrは3〜8、好ましくは3又は4の整数である)
【0055】
本発明に用いられる(C)難燃剤の配合量は(A)100重量部に対して10〜150重量部とすることが好ましい。配合量が10重量部未満では難燃効果に乏しく、150重量部以上では耐熱性が低下してしまうので好ましくない。
【0056】
本発明に用いられるシリコーン重合体(D)は、式RSiO3/2(式中、Rは有機基であり、シリコーン重合体中のR基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)で表される3官能性シロキサン単位及び式SiO4/2で表される4官能性シロキサン単位から選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、重合度は7,000以下であり、末端に水酸基と反応する官能基を1個以上有するシリコーン重合体である。より好ましい重合度の下限は3で、さらに好ましくは3〜1,000である。ここで、重合度は、その重合体の分子量(低重合度の場合)又はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレン若しくはポリエチレングリコールの検量線を利用して測定した数平均分子量から算出したものである。(D)シリコーン重合体は、上記3官能性シロキサン単位及び4官能性シロキサン単位以外に、RSiO2/2(式中、Rは有機基であり、シリコーン重合体中のR基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)で表される2官能性シロキサン単位を含んでもよい。
【0057】
前記3官能性シロキサン単位及び2官能性シロキサン単位の式におけるRとしては、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基等があり、水酸基と反応する官能基としては、シラノール基,炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基等がある。
【0058】
前記の4官能性シロキサン単位には1〜3個の加水分解可能な基又はOH基、3官能性シロキサン単位には1〜2個の加水分解可能な基又はOH基及び2官能性シロキサン単位には1個の加水分解可能な基又はOH基が残存していてもよい。
【0059】
前記一般式で表されるシラン化合物は、具体的にはSi(OCH,Si(OC、Si(OC等のテトラアルコキシシランなどの4官能性シラン化合物、HCSi(OCH、HSi(OCH、HSi(OCH、HSi(OCH、HCSi(OC、HSi(OC等のモノアルキルトリアルコキシシラン、PhSi(OCH、PhSi(OC、PhSi(OC、PhSi(OC(ただし、Phはフェニル基を示す。)等のフェニルトリアルコキシシラン、(HCCOO)SiCH、(HCCOO)SiC等のモノアルキルトリアシルオキシシランなどの3官能性シラン化合物、(HC)Si(OCH、(HSi(OCH、(HC)Si(OC、(HSi(OC、(HC)Si(OC、(HSi(OC、(HC)Si(OC、(HSi(OC、(HSi(OC等のジアルキルジアルコキシシラン、PhSi(OCH、PhSi(OC等のジフェニルジアルコキシシラン、(HCCOO)Si(CH、(HCCOO)Si(C、(HCCOO)Si(C等のジアルキルジアシルオキシシランなどの2官能性シラン化合物がある。
【0060】
本発明に用いられる(E)無機充填剤は特に限定されるものではないが、具体的にはアルミナ、酸化チタン、マイカ、シリカ、ベリリア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、窒化珪素、窒化ホウ素等が用いられる。これら無機充填剤は単独でも2種以上を併用してもよい。また、その形状及び粒径についても特に限定されるものではない。形状の例としては、粉末状、球形化したビーズ状、繊維状等が挙げられる。粒径は通常0.01〜50μm、好ましくは0.1〜15μmが用いられる。
【0061】
本発明に用いられる(E)無機充填剤はそのままの状態で配合するか、若しくは(D)シリコーン重合体で表面処理して用いていることもできる。この表面処理した無機充填剤を用いると、その効果は一層顕著となる。(E)無機充填剤を(D)シリコーン重合体で処理する方法は特に限定するものではなく、(E)無機充填剤と(D)シリコーン重合体とを直接混合する乾式法や、(E)無機充填剤と(D)シリコーン重合体とを混合する希釈処理液を用いた湿式法等が好適である。また、(E)無機充填剤への(D)シリコーン重合体の付着量も特に制限はないが、通常、無機充填剤重量の0.01〜20重量%が用いられ、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜7重量%である。0.01重量%未満では無機充填剤の樹脂材料への分散性が不十分になり電気絶縁信頼性が低下することがあり、20重量%を超えると耐熱性等が低下することがある。
【0062】
本発明において用いられる(F)式(7)で示されるモノマー単位と式(8)で示されるモノマー単位を含む共重合樹脂は、スチレンと無水マレイン酸の共重合体が挙げられる。
【0063】
【化25】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5個の1価の炭化水素基であり,Rはそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜5個の1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基又は水酸基を表し、xは0〜3の整数でありmは自然数である)
【0064】
【化26】

(式中nは自然数である)
【0065】
式(7)のモノマー単位としては、スチレン、1−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン及びブロムスチレン等が挙げられこれら1種又は2種以上の混合した化合物として用いることができる。さらには、上記モノマー単位以外に各種の重合可能な成分と共重合させてもよく例として、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル及びフルオロエチレン等のビニル化合物、メチルメタクリレートのようなメタクリレート及びメチルアクリレートのようなアクリレート等のメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物等が挙げられる。式(8)のモノマー単位としては各種水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、シアネート基含有化合物及びエポキシ基含有化合物を導入することができる。
【0066】
本発明において用いられる(F)式(7)で示されるモノマー単位と式(8)で示されるモノマー単位を含む共重合樹脂の配合量は(a)100重量部に対して10〜200重量部とすることが好ましい。10重量部未満では配合効果が無く、200重量部以上ではガラス転移温度(Tg)や耐湿耐熱性が著しく低下するため好ましくない。
【0067】
本発明において用いられる(G)硬化促進剤は、(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれるフェノール化合物との反応を促進させる触媒機能を有する化合物と、(B)分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂のグリシジル基の硬化反応を促進させる触媒機能を有する化合物を併用することが好ましい。
【0068】
【化27】

(式中、R、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基を示し、それぞれ同一であっても異なっても良い。また、nは1〜3の整数を表す)
【0069】
【化28】

【0070】
【化29】

(式中、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基を示し、Rはメチル、エチル、又は式(2a)から選ばれるアルキル基を表す。またnは1〜2の整数を表す)
【0071】
具体的には(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれるフェノール化合物との反応を促進させる触媒機能を有する化合物として鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズの有機金属塩及び有機金属錯体等がある。その配合量は(a)100重量部に対して0.01〜3重量部配合することが好ましく、その一部又は全部を(a)分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれるフェノール化合物とを反応させて得られるフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを合成する際に配合しても、合成後に配合してもよい。また、(B)分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂のグリシジル基の硬化反応を促進させる触媒機能を有する化合物としてはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、イミダゾール類化合物、有機リン化合物、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩等が挙げられるが、グリシジル基の硬化反応を促進する触媒機能としてはイミダゾール化合物がもっとも良好であるのでこれを使用するのが好ましい。さらには、式(9)で表したイミダゾール類化合物が特に好ましい。
【0072】
【化30】

(式中、R10は炭素数1〜11のアルキル基又はベンゼン環を表す)
【0073】
その配合量は(B)エポキシ樹脂100重量部に対して0.05〜3重量部配合することが好ましい。0.05重量部未満では触媒機能に劣り、硬化時間が長くなる。また、3重量部を超えるとワニスやプリプレグの保存安定性に劣るようになる。そして両者の硬化促進剤を併用する場合、その合計は、(a)シアネート類化合物100重量部に対して0.1〜5重量部とすることが好ましい。0.1重量部未満では触媒機能に劣り硬化時間が長くなる。また、5重量部を超えるとワニスやプリプレグの保存安定性に劣るようになる。
【0074】
本発明の樹脂組成物をワニス化する場合、溶剤は特に制限するものではないが、ケトン系、芳香族炭化水素系、エステル系、アミド系、アルコール系等が用いられる。具体的には、ケトン系溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が、芳香族炭化水素系としては、トルエン、キシレン等が、エステル系溶剤としてはメトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等が、アミド系溶剤としてはN−メチルピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が、アルコール系溶剤としてはメタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0075】
本発明の樹脂組成物は、加熱硬化させることにより、誘電特性、耐熱性、絶縁信頼性、耐電食性、難燃性に優れ、かつ、低吸水率である金属張り積層板及びプリント配線板の製造に供せられる。すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物を溶媒に溶解してワニス化し、ガラス布等の基材に含浸して乾燥することによって、まずプリプレグを作製する。ついでこのプリプレグを任意枚数と、片面若しくは上下に金属箔を重ねて加熱、加圧成型することにより、金属張り積層板を作製し、更にパターン化によりプリント配線板とすることができる。
【0076】
本発明のプリプレグは本発明のプリプレグは、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工し、次いで加熱等により半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを製造することができる。本発明の基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものを使用することができる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びポリテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要に応じて単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90重量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
【0077】
本発明の金属張積層板は、例えば本発明のプリプレグを、1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途に用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力2〜100kg/cm、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。また本発明の金属張積層板に回路加工をすることにより配線板を製造することができ、その回路加工は、一般的な配線板の製造に用いられる手法を用いればよい。
【実施例】
【0078】
以下、具体例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0079】
合成例1:成分(A):フェノール変性シアネートエステルオリゴマーの調製(A−1)
温度計、冷却管、攪拌装置を備えた3リットル容の反応容器にトルエン652.5g、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−10、旭チバ株式会社製商品名)1500g、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業株式会社製商品名)22.5gを配合し、液温を120℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製商品名)0.3g添加して4時間加熱反応(反応濃度:70重量%)させてシアネート化合物モノマーの転化率が約55%となるようなフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを合成した。シアネート化合物モノマーの転化率は、液体クロマトグラフィー(機種:ポンプ;株式会社日立製作所製L−6200、RI検出機;L−3300、カラム:東ソー株式会社製TSKgel−G4000H、G2000H、溶媒:THF、濃度:1%)で確認した。また、この時のフェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量(Mn)は1430であった。
【0080】
合成例2:シリコーン重合体の合成(1)
温度計、冷却管、攪拌装置を備えた200ミリリットルの4つ口フラスコに、テトラメトキシシラン16g及びメタノール24gを入れ、酢酸0.21g及び蒸留水4.0gを添加し、50℃で攪拌して、シロキサン単位の重合度が20のシリコーン重合体(D−1)を合成した。得られたシリコーン重合体は、水酸基と反応する末端官能基としてメトキシ基及びシラノール基を有するものである。
【0081】
合成例3:シリコーン重合体の合成(2)
温度計、冷却管、攪拌装置を備えた200ミリリットルの4つ口フラスコに、ジメトキシジメチルシラン6.5g、トリメトキシメチルシラン13g及びメタノール29gを入れ、酢酸0.23g及び蒸留水4.9gを添加し、50℃で8時間攪拌して、シロキサン単位の重合度が18のシリコーン重合体(D−2)を合成した。得られたシリコーン重合体は、水酸基と反応する末端官能基としてメトキシ基又はシラノール基を有するものである。
【0082】
合成調製例1:シリコーン重合体処理無機充填剤の調製
温度計、冷却管、攪拌装置を備えた200ミリリットルの4つ口フラスコに、ジメトキシジメチルシラン10g、テトラメトキシシラン12g及びメタノール33gを入れ、酢酸0.3g及び蒸留水5.7gを添加し、50℃で8時間攪拌して、シロキサン単位に重合度が28のシリコーン重合体を合成した。得られたシリコーン重合体は、水酸基と反応する末端官能基としてメトキシ基又はシラノール基を有するものである。得られたシリコーン重合体含有溶液を温度計、冷却管、攪拌装置を備えた5リットルの4つ口セパラブルフラスコに入れ、さらに、メチルエチルケトン443gと無機充填剤として、シリカ(平均粒径:0.5μm)1102gを配合した後、80℃で1時間攪拌して、シリコーン重合体で表面処理した無機充填剤入り処理液(DE−1)を得た。
【0083】
比較合成例1:成分(A):フェノール変性シアネートエステルオリゴマーの調製(A−2)
温度計、冷却管、攪拌装置を備えた3リットル容の反応容器にトルエン652.5g、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−10、旭チバ株式会社製商品名)1500g、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業株式会社製商品名)22.5gを配合し、液温を120℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製商品名)0.3g添加して1時間加熱反応(反応濃度:70重量%)させてシアネート化合物モノマーの転化率が約15%となるようなフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを合成した。シアネート化合物モノマーの転化率は、液体クロマトグラフィー(機種:ポンプ;株式会社日立製作所製L−6200、RI検出機;L−3300、カラム:東ソー株式会社製TSKgel−G4000H、G2000H、溶媒:THF、濃度:1%)で確認した。また、この時のフェノール変性シアネートエステルオリゴマーの数平均分子量(Mn)は250であった。
【0084】
(実施例1)
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)、成分(B)としてジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(HP−7200L、大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼンとジメチルホスフィン酸アルミニウム、成分(D)として合成例2で得られたシリコーン重合体(D−1)、成分(E)としてシリカ(平均粒径:0.5μm)、成分(F)としてEF−40(サートマー社製商品名)を表1に示す配合量で配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(G)としてナフテン酸亜鉛と2−メチルイミダゾールトリメリテートを表1に従って配合し、不揮発分70重量%のワニスを得た。
【0085】
(実施例2)
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)、成分(B)としてビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼンとジメチルホスフィン酸アルミニウム、成分(D)として合成例3で得られたシリコーン重合体(D−2)、成分(E)としてシリカ(平均粒径:0.5μm)、成分(F)としてEF−40(サートマー社製商品名)を表1に示す配合量で配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(G)としてナフテン酸亜鉛と2−メチルイミダゾールトリメリテートを表1に従って配合し、不揮発分70重量%のワニスを得た。
【0086】
(実施例3)
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)、成分(B)としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬株式会社製商品名)、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼンとジメチルホスフィン酸アルミニウム、成分(D)及び成分(E)として合成調整例1で得られたシリコーン重合体処理無機充填剤(DE−1)、成分(F)としてSMA1000(サートマー社製商品名)を表1に示す配合量で配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(G)としてナフテン酸亜鉛と2−メチルイミダゾールトリメリテートを表1に従って配合し、不揮発分70重量%のワニスを得た。
【0087】
(実施例4)
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)、成分(B)としてビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬株式会社製商品名)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER331L、ダウ・ケミカル株式会社製商品名)、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼンとジメチルホスフィン酸アルミニウム、成分(D)及び成分(E)として合成調整例1で得られたシリコーン重合体処理無機充填剤(DE−1)、成分(F)としてSMA1000(サートマー社製商品名)を表1に示す配合量で配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(G)としてナフテン酸亜鉛と2−メチルイミダゾールトリメリテートを表1に従って配合し、不揮発分70重量%のワニスを得た。
【0088】
(比較例1)
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)、成分(B)としてジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(HP−7200L、大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼンとジメチルホスフィン酸アルミニウム、成分(D)は配合せず、成分(E)としてシリカ(平均粒径:0.5μm)、成分(F)としてEF−40(サートマー社製商品名)を表1に示す配合量で配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(G)としてナフテン酸亜鉛と2−メチルイミダゾールトリメリテートを表1に従って配合し、不揮発分70重量%のワニスを得た。
【0089】
(比較例2)
成分(A)として2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Arocy B−30、旭チバ株式会社製商品名)、成分(B)としてジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(HP−7200L、大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼンとジメチルホスフィン酸アルミニウム、成分(D)として合成例2で得られたシリコーン重合体(D−1)、成分(E)としてシリカ(平均粒径:0.5μm)、成分(F)としてEF−40(サートマー社製商品名)を表1に示す配合量で配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(G)としてナフテン酸亜鉛と2−メチルイミダゾールトリメリテートを表1に従って配合し、不揮発分70重量%のワニスを得た。
【0090】
(比較例3)
成分(A)として、合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−1)、成分(B)としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬株式会社製商品名)、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼンとジメチルホスフィン酸アルミニウム、成分(D)としてシラン系カップリング剤γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A−187、日本ユニカー社製商品名)、成分(E)としてシリカ(平均粒径:0.5μm)、成分(F)としてSMA1000(サートマー社製商品名)を表1に示す配合量で配合し、メチルエチルケトンに溶解後、成分(G)としてナフテン酸亜鉛と2−メチルイミダゾールトリメリテートを表1に従って配合し、不揮発分70重量%のワニスを得た。
【0091】
(比較例4)
成分(A)として、比較合成例1で得られたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー(A−2)、成分(B)としてジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(HP−7200L、大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、成分(C)としてポリジフェノキシホスファゼンとジメチルホスフィン酸アルミニウム、成分(D)及び成分(E)として合成調整例1で得られたシリコーン重合体処理無機充填剤(DE−1)、成分(F)としてEF−40(サートマー社製商品名)を表1に示す配合量で配合し、メチルエチルケトンに溶解後、ナフテン酸亜鉛と2−メチルイミダゾールトリメリテートを表1に従って配合し、不揮発分70重量%のワニスを得た。
【0092】
実施例1〜4及び比較例1〜4のワニスを0.2mm厚のガラス布(坪量210g/m)に含浸し160℃で5分間乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグ4枚と上下に厚み18μmの銅箔を積層し、230℃、2.45MPaの条件で2時間プレス成形し銅張積層板を作製した。次いで、銅張積層板の銅をエッチングにより除去した後、積層板の試験片を得た。評価は誘電特性、ガラス転移温度(Tg)、はんだ耐熱性、吸水率、外層ピール強度、耐電食性、耐燃性を評価した。なお、評価方法は、下記のようにして行った。
(1)ワニス外観:配合後のワニスの外観を目視評価した。樹脂の析出及び無機充填剤の沈降のないものを○、樹脂の析出及び無機充填剤が沈降したものを×とした。
(2)プリプレグの外観:表面が平滑であるものを○、その他(塗り斑、充填剤の凝集等)のあるものを×とした。
(3)誘電特性:1GHzの誘電特性をトリプレート構造直線線路共振器法により測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg):熱機械分析法(TMA法)により測定した。
(5)はんだ耐熱性:50mm×50mmにカットした試験片をプレッシャークッカーにより121℃、0.22MPaの条件で5h吸湿処理した後、260℃のはんだ浴に20秒間浸漬し試験片の状態を目視により観察し、ふくれ、ミーズリングのないものを○、ミーズリングの発生したものを△、フクレの発生したものを×とした。
(6)吸水率:50mm×50mmにカットした試験片をプレッシャークッカーにより121℃、0.22MPaの条件で5h吸湿処理し、吸湿処理前後の重量差より吸水率を算出した。
(7)銅箔引き剥がし強さ:エッチングにより1cm幅の銅ラインを形成し90℃方向の銅箔ピール強度をオートグラフにより測定した。
(8)耐電食性:スルーホール穴壁間隔を350μmとしたテストパターンを用いて、各試料について400穴の絶縁抵抗を経時的に測定した。測定条件は、85℃/85%RH雰囲気中100V印加して行い、導通破壊が発生するまでの時間を測定した。
(9)難燃性:UL94垂直試験法に準拠して評価した。
評価結果を表1に示した。
【0093】
【表1】

【0094】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜4で得られたワニスは樹脂の析出や無機充填剤の沈降はなく、プリプレグについても表面は平滑で良好であった。一方、比較例1、3、4のワニスは無機充填剤の沈降、樹脂の析出が発生し、プリプレグにはスジ、発砲、無機充填剤の凝集が発生した。また、積層板では、実施例1〜4の誘電特性、はんだ耐熱性、吸水率、接着性(銅箔引き剥がし強さ)、耐電食性、耐燃性の特性において全てに優れているが、比較例1〜4は誘電特性、はんだ耐熱性、吸水率、接着性、耐電食性、耐燃性のいずれかが実施例より劣る。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の組成物を基材に含浸又は塗工して得たプリプレグ、及びプリプレグを積層成形することにより製造した積層板は、プリント配線板を製造するための材料として有用である。本発明のプリント配線板は、誘電特性に優れることから高速情報処理機器、ハロゲン化合物を含まずに優れた耐燃性を示すことから環境対応型電子機器等、各種の電子機器回路形成に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂、(C)2置換ホスフィン酸の金属塩とホスファゼン化合物、(D)式RSiO3/2(式中、Rは有機基であり、シリコーン重合体中のR基は互いに同一であっても異なってもよい)で表される3官能性シロキサン単位及び式SiO4/2で表される4官能性シロキサン単位から選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、重合度は7,000以下であり、末端に水酸基と反応する官能基を1個以上有するシリコーン重合体、及び(E)無機充填剤を含む熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)1分子中にシアナト基を含有するシアネート化合物が、(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物と(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むフェノール化合物を(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のシアナト基と(b)式(1)で表されるフェノール化合物及び式(2)で表されるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種類のフェノール化合物のフェノール性水酸基との配合当量比(水酸基/シアナト基比)が0.01〜0.3の範囲で反応させることを特徴とするフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物であって、(a)1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物のモノマーの転化率が20〜70%となるように反応させたフェノール変性シアネートエステルオリゴマである請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化1】

(式中、R、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基を示し、それぞれ同一であっても異なっても良い。また、nは1〜3の整数を表す)
【化2】

【化3】

(式中、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基を示し、Rはメチル、エチル、又は式(2a)から選ばれるアルキル基を表す。またnは1〜2の整数を表す)
【請求項3】
(A)の数平均分子量が380〜2500となるように反応させたフェノール変性シアネートエステルオリゴマーを含む請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
(A)のモノマー転化率が45〜65%となるように反応させたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物を含む請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
(A)の数平均分子量が400〜1600となるように反応させたフェノール変性シアネートエステルオリゴマー組成物を含む請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
(A)及び(a)の1分子中に2個以上のシアナト基を含有するシアネート化合物が式(3)で表される化合物から選ばれるシアネート化合物またはこれら2種類以上の混合物であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化4】

【化5】

【化6】

(式中、Rはハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキレン基、式(3a)、又は式(3b)を表し、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
【請求項7】
(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂が、式(4)で表されるジシクロペンタジエン骨格を含有するジシクロペンタジエン−フェノール重付加物から誘導されるエポキシ樹脂、式(5)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂、式(6)で表されるビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上含有する請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化7】

(式中nは0又は1以上の整数を表す)
【化8】

【化9】

(式中nは1〜10の整数である)
【請求項8】
(E)無機充填剤を(D)式RSiO3/2(式中、Rは有機基であり、シリコーン重合体中のR基は互いに同一であっても異なってもよい)で表される3官能性シロキサン単位及び式SiO4/2で表される4官能性シロキサン単位から選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、重合度は7,000以下であり、末端に水酸基と反応する官能基を1個以上有するシリコーン重合体で表面処理して用いる請求項1ないし請求項7いずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
(F)式(7)で示されるモノマー単位と式(8)で示されるモノマー単位を含む共重合樹脂を含む請求項1ないし請求項8いずれかにに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化10】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5個の1価の炭化水素基であり,Rはそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜5個の1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基又は水酸基を表し、xは0〜3の整数でありmは自然数である)
【化11】

(式中nは自然数である)
【請求項10】
(G)硬化促進剤として鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズの有機金属塩及び有機金属錯体とイミダゾール類化合物を併用することを特徴とした請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
(G)硬化促進剤として鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズの有機金属塩及び有機金属錯体と式(9)で表されるイミダゾール類化合物を併用することを特徴とした請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化12】

(式中、R10は炭素数1〜11のアルキル基又はベンゼン環を表す)
【請求項12】
(A)100重量部に対して(B)を25〜300重量部、(C)を10〜150重量部、(D)を0.025〜60重量部、(E)を50〜300重量部、(F)を10〜200重量部、(G)を0.1〜5重量部含む請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物をワニス化し、基材に含浸、乾燥して得られるプリプレグ。
【請求項14】
請求項13に記載のプリプレグを1枚又は複数枚重ね、さらにその上下面又は片面に金属箔を積層し、加熱加圧して得られる金属張積層板。
【請求項15】
請求項14に記載の金属張積層板を回路加工してなる配線板。

【公開番号】特開2011−74397(P2011−74397A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290877(P2010−290877)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【分割の表示】特願2005−115859(P2005−115859)の分割
【原出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】