説明

熱誘導された誤差に対してスリープクロックを修正する際の精度を高めるために、起こりうるマルチパス誤差を識別し、除去するようにプログラムされたネットワーク無線通信デバイス

【解決手段】無線通信デバイス(100)のスリープ発振器(116)の動作を修正する方法。スリープ発振器周波数は、推定された温度誘導誤差を補償できるように推定される(412)。温度誘導誤差を推定する際に、スリープ発振器周波数における誤差(504)が、温度誘導誤差として扱われる(522)。しかしながら、予想されるマルチパス誤差は、誤差が生じたスリープ持続時間に対応する予め定めたスリープクロック誤差最大値(602)に制限される(410,520)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、無線通信ネットワークで使用される無線通信デバイスに関する。更に詳しくは、本発明は、温度誘導誤差を明らかにするためにスリープクロックを修正しようと努める無線通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話は、着呼を知らせる基地局からのページング信号を受信するために、また近くの基地局のパイロット信号を探索するような他のタスクを行なうために、定期的に、短時間の間、スリープ状態からアウェイクする。このウェイク状態のタイミングは重要である。なぜなら、これは、予め定めたネットワーク確立時間をオーバラップするからである。ウェイク状態が遅すぎて、あるいは早すぎて起これば、この電話は、ネットワーク確立時間において信号を送受信する機会を逃すだろう。この場合、携帯電話は、あらゆる着呼を逃し、ネットワーク・サービスを完全に失うかもしれない。
【0003】
したがって、無線環境内で動作するスリープクロックを修正する正確な方法に対するニーズが存在する。
【発明の開示】
【0004】
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の本質、目的、および長所は、添付図面に関連した次の詳細記述を考慮した後、当該技術分野における熟練者に対し、より明らかになるであろう。
【0006】
携帯電話設計者は、種々の異なる工学的な挑戦に直面する。最も当惑させる問題のうちの1つは、電話のトランシーバ、スピーカ、マイクロホン、ディスプレイ、および他の全ての内蔵エレクトロニクスを駆動するためにバッテリ電源の使用を必要とすることである。バッテリは、消耗するまでのみ、有限量の電力を提供する。消耗すると、電話は動作を停止する。もちろん、ほとんどの携帯電話のバッテリは、充電可能である。しかし、これは、電源へアクセスすることが必要である。
【0007】
従って、携帯電話は、様々な低電力モードで動作する機能を備えて設計されている。発呼又は着呼の何れも無い場合、携帯電話は「アイドル」状態にある。時々、電話モデルの中には、「ノーマル・スループ」状態に入るものもある。この状態では、携帯電話は、例えばそのトランシーバ、中央処理装置、及びその他のハードウェアのような様々な回路を選択的にディセーブルする。この時点では、携帯電話は、ほとんど電流を消費しない。正確にスケジュールされた間隔で、携帯電話は、主として着呼を伝える基地局からのページング信号の受信、及び近くの基地局のパイロット信号の探索のようなその他の理由のために、一時的にアウェイクする。
【0008】
「ディープ・スリープ」モードに入ることができるモデルもある。この状態では、携帯電話は、ある長さの時間の間、何れの基地局とも通信することができない。このモードにおいて、携帯電話は、通信を全て停止し、かなりの間、電源を落としたままユーザ入力を待つ。携帯電話は、単にほとんどの動作を止めるので、ディープ・スリープモードを実行することは簡単である。
【0009】
しかし、ノーマル・スリープ状態に関しては、特別な課題を克服しなければならない。この主な課題は、正確に計時し続けることである。この基本原則は、携帯電話は、スリープしている場合、計時のための専用のスリープ発振器を使用するということである。また、理想的な状態では、そのような発振器は、時間の進行を完全に追跡するだろう。しかしながら、携帯電話の温度変動が、発振器に、スピードアップ又はスローダウンを引き起こす。携帯電話の温度の著しい変動は、極端な天候あるいはその他周囲の空気の挙動に起因するかもしれないが、携帯電話は、使用時に熱くなり、未使用時に冷えるので、より顕著な影響が生じる。
【0010】
一見して気がつく1つのアプローチは、基地局との通信を保証するために、携帯電話のウェイク状態を単に延長することだろう。これは不適当である。なぜなら、それは、より多くのバッテリ電力を使用し、充電が必要になるまでの携帯電話の機能時間を短くするからである。別のアプローチは、ウェイク状態の間、時々、ネットワークからの時間基準信号に、携帯電話の発振器を修正することであろう。しかしながら、そのように頻繁なクロック・リセットを行っていては、携帯電話の発振器が、安定しないかもしれない。
【0011】
一見して気がつく別の解決策は、発振器の周波数を追跡するために、携帯電話自身の回路を使うことである。このアプローチは、スリープクロックの発振器周波数を変更する困難さを認識する。よって、それに代わって、温度を考慮するために、発振器とネットワーク基準信号との間の誤差に基づいて、スリープクロックの実際の周波数の追跡を試みる。図1Aは、このアプローチの例をモデル化する制御ループを示す。このアプローチは、これらの問題のうちのいくつかに取り組むが、このアルゴリズムは、短い持続時間のスリープサイクルを頻繁に繰り返すので、全く正確ではない。実際、温度誘導誤差は、先のアプローチによってより悪化するかもしれない。更に、温度による誤差を修正することは、見かけよりも困難である。なぜなら、発振器動作に対する温度の、知らぬ間に進行する影響を装い隠す他の誤差が存在するからである。
【0012】
そのような1つの誤差は、「マルチパス」である。つまり、携帯電話がウェイクアップし、最初の利用可能な基地局タイミング信号を受信した場合、その信号は、同じタイミング信号が携帯電話によって使用された最後の時に対して遅れるかもしれない。この遅延は、建物、地球、及びその他の構造物からの反射の変化によって引き起こされうる。したがって、携帯電話におけるタイミング信号の到着は、予期された時間に対して遅れてしまい、完全に計時された発振器でさえも、誤って早く動いているように見えるようになる。反対のことも起こりうる。この場合、発振器が、マルチパスによって遅延した初めのタイミング信号によって、誤って、後のタイミング信号よりも大幅に遅れているように見える。
【0013】
従って、携帯電話のスリープサイクル中に計時する際における温度誘導誤差を認識し最小化する分野において、進歩が続けられる。
【0014】
方法は、無線通信デバイスのスリープクロックの修正のために示される。スリープ発振器周波数は、推定された温度誘導誤差を補償するように推定される。温度誘導誤差を推定する際に、スリープ発振器周波数における誤差は、温度誘導誤差であるとして扱われる。しかしながら、予想されるマルチパス誤差は、誤差が生じたスリープ持続時間に対応する予め定めたスリープクロック誤差最大値に制限される。
【0015】
(ハードウェア要素及び相互接続)
(イントロダクション)
おおまかに言って、本開示の1つの局面は、無線通信ネットワーク内で動作する無線通信デバイスである。このデバイスは、電力が低減されたスリープ状態からウェイクするときを規定するためにスリープクロックを利用する。このデバイスは、スリープクロック動作中における温度誘導誤差の修正精度を高めるために、予想されるマルチパス誤差を除去するように構成される。この技術の応用の一例は、符号分割多元接続(CDMA)タイプ・ネットワークにおける無線携帯電話である。温度補償精度を高めるために、このデバイスは、予想されるマルチパスによる誤差を識別し、制限する。もちろん、本開示は、遠隔のデバイスがスリープクロックを利用するその他の無線通信技術も広く想定している。
【0016】
(無線電話)
図1Bは、無線通信デバイス100を例示している。この例では、無線電話である。このデバイス100は、通信技術、アプリケーション、電話特徴等に依存して変わるかもしれない他の従来の回路類に加えて、スピーカ108、ユーザインタフェース110、マイクロホン114、トランシーバ104、アンテナ106、データ処理機器102、およびスリープクロック116を含んでいる。データ処理機器102は、1つ以上の論理回路、ディスクリート回路素子、特定用途向集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、コンピュータ、あるいは他の装置を含みうる。様々な具体例を、図2,3を用いて後述する。データ処理機器102は、コンポーネント104,108,110,114の動作のみならず、これらコンポーネント間の信号ルーティングをも管理する。
【0017】
これらコンポーネントは、バッテリ(示されない)によって駆動される。バッテリ電力を節約するために、これらコンポーネント108,110,114,104の何れか又は全てが、電力が低減されたスリープ状態中、完全にあるいは部分的にシャット・ダウンされる。更に、データ処理機器102の何れか又は全ては、この時間中、電源がオフされうる。スリープ状態中に計時し続けることの他に、スリープクロック116は、これらコンポーネント108,110,114,104,102の何れか又は全てのウェイクアップをトリガする。通常の熟練者であれば(本開示の恩恵によって)異なる実施が明白になるが、本例におけるスリープクロック116は、公称周波数を備えた発振器を含む。この周波数は、温度によって変化するかもしれない。これに対する補償が、本開示の1つの目的である。
【0018】
関連して、機器102は、更に、誤差修正ユニット180を含んでいる。誤差修正ユニット180は、スリープクロック116の動作中における温度誘導誤差を認識し、修正するようにプログラムされているか、電気的に形成されているか、構成されている。このユニット180は、データ処理機器102のサブコンポーネントを含み、個別のソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、これらあるいは他の技術の組み合わせ含むかもしれない。ユニット180については、後に詳述する。
【0019】
デバイス100は、無線モバイルユニットの点から議論されるが、このデバイス100はモバイル又は固定式でもありうる。更に、デバイス100は、無線チャネル、あるいは例えば光ファイバや同軸ケーブルを使用した有線チャネルを介して通信するデータ・デバイスを含みうる。無線電話及び有線電話に加えて(あるいはそれらの代わりに)、デバイス100は、限定される訳ではないが、PCカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、外部あるいは内蔵モデム等を含む様々な他のデバイスを実装するように構成されうる。
【0020】
(誤差修正ユニット)
上述したように、ユニット180(図1B)は、スリープクロック116の動作中の温度誘導誤差を認識し、修正する役目をする。ユニット180は、1つ以上の論理回路、ディスクリート回路素子、特定用途向集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、コンピュータ、データ処理機器102と同じか異なる技術の他の装置を含みうる。
【0021】
より明確にユニット180を説明するために、図1Cは、制御ループ178を説明する。実際の回路部品を記載するのではなく、制御ループ178は、ユニット180の動作をモデル化する。185で、ループ178はタイミング誤差を受信する。秒又は分ではなく、この例におけるタイミング誤差は、CDMAチップのパーツの観点から説明される。信号185は、CDMAチップによって測定された最後のスリープ状態の期間における合計誤差を表わす。すなわち、最後のスリープサイクルがどれくらい早く、又はどれくらい遅れて終了したのかを表している。この誤差は、システム再捕捉処理から得られる。ある場合には、この誤差は、1つのCDMAチップのオーダかもしれない。
【0022】
推定された周波数と、実際の周波数との誤差が183である。しかし、この周波数誤差は、直接的には観察されず、それから得られるタイミング誤差185のみが観察される。周波数誤差ではなくタイミング誤差が観察されるという事実をモデル化するために、周波数誤差183は、184aにおいて、184bが乗じられる。回路またはプログラミングの積極的な動作は要らず、この動作は無理なく行なわれる。以下は一つの例を示す。この例において、周波数推定値は、スリープ・クロック・サイクル当たり600.00 cx16(cx16は、一つのCDMAチップの16番目のパーツである)であり、希望するスリープ状態持続時間は1.28sである。これは、1.28*16*1.2288e6=25165824 cxl6に相当する。ここで、600.00 cx16_per_clkの推定値を用いると、25165824cx16は、41943のスリープ・クロック・サイクルに相当する。次のスリープが、多くのスリープ・クロック・サイクルのために起こる。真の周波数が、スリープ・クロック・サイクル当たり600.01 cxl6である場合、電話は、望まれるような25165824 cxl6の間スリープせず、41943*600.01cx16=25166219cx16、すなわち1.28002秒間スリープする。したがって、システムを再捕捉する場合、25166219−25165824の=395 cxl6(約25チップ)の誤差が観察される。
【0023】
タイミング誤差185の生成をモデル化するために、図1Cは、遅延194(スリープ時間をモデル化する)、得難い発振器周波数182(これは未知である)、スリープしたスリープクロック数184bが乗じられる乗算184aを含んでいる。
【0024】
ある要因によって、制限ユニット186は、誤差185を、規定された最大値に選択的に制限する。この信号185を制限するべきかどうか、どの最大値を使用するかの問題を、図5を用いて以下に説明する。
【0025】
制限ユニット186の出力187は、所定のゲイン188が乗じられて、増幅信号189が得られる。このゲイン188は、ループ178のスピードを規制し、かつ安定した運転モードに維持する役目をする。一つの例では、ゲイン188のために、適応性ゲインが使用される。この例では、217のスリープクロック発振よりも多いスリープ状態のために、スリープしたスリープクロック発振数に逆比例するゲインが使用される。また、217及びそれ以下のスリープ状態のために2−18の固定ゲインが使用される。適応性ゲインの目的は、217スリープクロック発振まで続くスリープ状態のために、ループ定数の時定数を維持することである。
【0026】
増幅された信号189は、アキュムレータ190に供給される。アキュムレータ190は、推定値193を調節する。言いかえれば、タイミング誤差185の、制限され(演算186)、スケールされた(乗算188)バージョンが、推定値193に加えられる。この推定値は、スリープクロック発振の観点から、新たなスリープ持続時間を計算するために使用される。遅延194は、スリープ状態の持続時間をモデル化する。遅延した推定値196と、物理発振周波数182との差は、乗算184aとともに、タイミング誤差185の生成をモデル化する。タイミング誤差185は、スリープクロック周波数の推定値196が、実際のクロック周波数182と一致しないので発生する。
【0027】
(デジタルデータ処理装置)
例えば、図1Bに示すコンポーネント102,180,116,104、又はそれらのサブコンポーネントのうちの任意の一つ又は複数のようなデータ処理エンティティは、様々な形式で実現される。一つの例は、図2のデジタルデータ処理装置200のハードウェアコンポーネント及び相互接続で例示されるようなデジタルデータ処理装置である。
【0028】
この装置200は、例えばマイクロプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、コントローラ、マイクロコントローラ、状態機械、あるいはその他の処理機械のように、記憶装置204に接続されたプロセッサ202を含んでいる。この例では、記憶装置204は、非揮発性記憶装置208と同様に、高速アクセス記憶装置206を含んでいる。高速アクセス記憶装置206は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)を含むかもしれないし、プロセッサ202によって実行されるプログラム命令を格納するために使用されるかもしれない。非揮発性記憶装置208は、例えば、バッテリー・バックアップRAM、EEPROM、フラッシュPROM、「ハードドライブ」やテープドライブやその他任意の適切な記憶装置のような1つ以上の磁気データ記憶ディスクを含みうる。この装置200は更に、ライン、バス、ケーブル、電磁気リンク、チャネル、インタフェース、あるいはその他の手段のように、プロセッサ202が、装置200に外付けされた他のハードウェアとデータを交換するための入力/出力210を含んでいる。
【0029】
先の具体的な説明にもかかわらず、(本開示の恩恵を得た)通常の熟練者は、上述した装置が、本発明の範囲から逸脱することなく、別の構成の機械において実現されうることを認識するだろう。具体的な例として、コンポーネント206,208のうちの1つが削除されるかもしれない。更に、記憶装置204,206及び/又は208が、プロセッサ202上に搭載されるかもしれないし、あるいは、装置200に外付けされて備えられるかもしれない。
【0030】
(ロジック回路)
上述したデジタルデータ処理装置とは対照的に、本発明の別の実施例は、上述したような様々な処理エンティティを実現するために、コンピュータによって実行される命令の代わりにロジック回路を使用する。速度、費用、ツールコストの領域における特定の要求に依存して、このロジック回路は、何千もの小さな集積トランジスタを有する特定用途向け集積回路(ASIC)の構築により実現されるかもしれない。そのようなASICは、CMOS、TTL、VLSIあるいはその他の適切な設計で実現されるかもしれない。他の代替物は、デジタル信号処理チップ(DSP)、ディスクリート回路(抵抗、コンデンサ、ダイオード、インダクタ、およびトランジスタ等)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)等を含んでいる。
【0031】
(動作)
様々な構成的特徴を記載して、本開示のいくつかの動作局面について記載する。
【0032】
(信号搬送媒体)
本開示の如何なる機能も、1つ以上の機械実行されるプログラムシーケンスを用いて実現される。そのようなシーケンスは、様々な信号搬送媒体の形式で具体化されうる。図2によれば、そのような信号搬送媒体は、プロセッサ202によって直接的又は間接的にアクセス可能な、例えば記憶装置204、あるいはリムーバブルデータ記憶媒体300(図3)のようなその他の信号搬送媒体を含む。記憶装置206、媒体300、あるいは別のところに含まれていようと、命令は、様々な機械読取可能なデータ記憶媒体に格納されうる。いくつかの例は、直接アクセス記憶装置(例えば、従来型の「ハードドライブ」、「RAID」(redundant array of inexpensive disks)、又はその他の「DASD」(direct access storage device))、例えば磁気又は光テープ、電子非揮発性メモリ(例えばROM、EPROM、フラッシュPROM、又はEEPROM)、バッテリバックアップRAM、光記憶装置(例えばCD−ROM、WORM、DVD、デジタル光テープ)、ペーパ「パンチ」カードのようなシリアルアクセス記憶装置、あるいはアナログ/デジタル送信媒体、アナログ通信リンク、無線通信を含むその他の信号搬送媒体を含む。本発明で例示する実施例では、機械読取可能命令は、アセンブリ言語、C等のような言語からコンパイルされたソフトウェア・オブジェクトコードを含みうる。
【0033】
(ロジック回路)
上述した信号搬送媒体とは対照的に、本開示の機能のうちのいくつかあるいは全ては、命令を実行するために、プロセッサを使用する代わりに、ロジック回路を使用して実装されうる。従って、そのようなロジック回路は、本開示の方法局面の幾つか又は全てを実行する動作を行なうように構成される。上述するように、ロジック回路は、多くの異なる種類の回路を用いて実現されうる。
【0034】
(動作上の詳細に対するイントロダクション)
上述したように、本開示の1つの動作局面は、スリープクロック動作を予測し、電力が低減されたスリープ状態中に、正確な計時を妨げうる温度誘導誤差を解明しようとする処理である。如何なる限定もなく、これらの動作上の詳細は、適用可能な場合、図1Bの回路を用いて詳述される。
【0035】
(全体的な動作シーケンス)
図4は、スリープ/ウェイク動作を実行するための動作シーケンスを示しており、スリープクロック周波数を推定し、修正する動作を含んでいる。ステップ402では、発振器周波数が推定され、初期値が与えられる。この推定は、ヘルツ又は他の単位での周波数の推定、スリープクロック(つまり1/周波数)の1つの発振の長さ(「クロック・サイクル」)の推定、スリープクロック持続時間当たりの別の時間基準(例えばCDMAチップ)の推定、あるいはその他の有用な比較を含みうる。例えば、オリジナルの推定値は、スリープクロックサイクル当たり600/16CDMAチップかもしれない。この推定値は、設計/製造時にプリセットされたり、デバイス100の起動時にプログラムされたり、デバイス100によるネットワーク信号の捕捉時に確立されたり、機器102がそれぞれブート・アップした際に非揮発性メモリから呼び戻されたりする。
【0036】
ステップ404では、デバイス100のコンポーネント(例えば102,108,110,114,104)は、規定された持続時間、スリープ状態に入る。スリープクロック116は、別の規定された時間に、機器102をウェイクアップするように設定されている。この規定された時間は、スリープクロック発振によって測定される。ステップ406では、スリープクロック116が、この規定された時間に、ウェイクアップするように機器102にトリガをかける。ステップ404,406の動作は、当技術において既に周知である技術によって行なわれうる。
【0037】
次に、シーケンス400は、修正動作407を行なう。この修正動作は更にステップ408,410および412を含んでいる。動作407は、例えば、図1Cの制御ループ178に従って行なわれるかもしれない。ステップ407は、最後のスリープ状態(404)中にスリープクロックによって経験されたあらゆる温度誘導誤差を解明するスリープクロック周波数を予測する役目をする。ステップ408では、ユニット180が、スリープクロック116の予期された周波数と、実際の周波数との間の誤差を測定する。これは、例えば、先ず、ネットワークによって提供された時間基準信号に従って、ユニット100がアウェイクした(ステップ406)実際の時間を決定し、次に、スリープクロックによって示されたウェイクアップ時間と、実際のウェイクアップ時間との差を計算し、最後に、不正確なウェイクアップ時間となるに違いないスリープクロック116の誤差を含む周波数を演算することによって決定されうる。
【0038】
ステップ410では、ユニット180は、ステップ408で測定された誤差を選択的に「制限する」。すなわち、誤差履歴と誤差の大きさに基づいて、ユニット180は、誤差を、規定された最大値に選択的に制限する。これは温度誤差に対してスリープクロックを調節する際に、マルチパス誤差を考慮することを除外するのに役立つ。一つの例では、ステップ410は、スリープ状態持続時間と、予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を利用して、適切な最大誤差を特定し、現在の誤差を、特定された最大誤差に選択的に制限する。図6は、異なるスリープ時間に対するスリープクロック誤差最大値の一例を示すグラフである。制限ルーチンの詳細を、図5を用いて後述する。
【0039】
次に、ステップ412では、ユニット180が、(ステップ410からの)制限された誤差を用いることによって、スリープクロック116の実際の動作周波数を推定する。1つの実施例では、これは、前の推定値を調節することによって実施される。前の推定値は、ルーチン400が初めて完了した場合にはステップ402から、それ以外の場合にはステップ412の最後の実施から得られる。誤差の選択及び制限は新規なことであるが、ある測定された誤差に基づいて、スリープクロックの実際の動作周波数を推定する動作は、当該技術では周知であり、更に、例えばVerizonモデル7135CDMA電話機のように、様々な市販の利用可能な製品における実施が見られる。
【0040】
スリープクロック116の動作周波数の修正された推定値を準備すると、次に、ステップ414では、機器102が、次のスリープ状態の発生をシグナルするまで待ち、スループ状態になると、ステップ404に制御を返す。従って、ステップ404が次に行なわれる場合、次のウェイクアップ時間(406)と一致するスリープクロック値を計画するときに、機器102は、(ステップ412からの)動作周波数の修正された推定値を利用する。
【0041】
(制限−具体例)
図5は、図4からのステップ410を実施するための制限ルーチン500の一例を示す。ステップ502は、カウンタを0に初期化する。このカウンタは、温度誘導誤差を示していると思われる大きな誤差が起きた連続回数をカウントする。マルチパスによる誤差は、連続的に同じ数学的な符号を示さないかもしれない。
【0042】
ステップ504では、「現在の」誤差を(ステップ408から)取得する。ステップ506では、この誤差を、与えられた誤差しきい値と比較する。現在の誤差が誤差しきい値よりも大きい場合、ステップ506は、ステップ507(後述する)に進む。現在の誤差が誤差しきい値よりも小さい場合、ステップ506は、ステップ508(後述する)に進む。図示する例では、しきい値は、図6(後述する)のグラフ602を含む。現在の誤差を曲線602と比較することは、小さな誤差(多分、温度又はノイズによって誘導された)が、誤差が制限されないステップ508に送られ、大きな誤差(おそらく、マルチパスによる)が、ステップ507において開始される十分な分析がなされることを保証する。典型的なスリープ時間の場合、温度誘導による発振器ドリフトによる最悪ケースの誤差は、マルチパス条件が変化することによって一般に生じる誤差よりも著しく小さい。曲線602の特徴(後述する)はまた、チャーニングを避けるために、発振器切り換え、又は同様のノイズによる誤差が、制限されないことを保証する。
【0043】
上述したように、小さな誤差は、ステップ508で取り扱われる。これらの誤差は小さいので、温度、ノイズ、あるいはその他の影響のように、マルチパス以外によって生じたものと思われる。ステップ(508)は、連続同一符号大誤差(consecutive-same-sign-large-error)カウンタをゼロにリセットし、現在の誤差は制限されない(ステップ516)。このカウンタは、回路、ソフトウェア、ファームウェア、あるいは、ユニット180の一部として実装されるか、少なくともそれにアクセス可能なその他の技術からなるデバイス(図示せず)を含む。この場合、現在の誤差は、制限されないので、ステップ412における推定値の調整において使用されるために出力される(522)。ステップ522の後、ルーチン500はステップ504に戻り、次のスリープ状態のための誤差を取得する。
【0044】
大きな誤差に関しては、ステップ507から取り扱われる。大きな誤差は、マルチパス同様、温度かノイズからも生じうる。ステップ507は、(最後のスリープ状態からの)最後の誤差もしきい値を超えているかを尋ねる。超えていなければ、連続同一符号大誤差(consecutive-same-sign-large-error)カウンタが1に設定され(ステップ509)、現在の誤差はステップ520で制限される。次に、この(制限された)誤差が使用され(522)、クロック周波数が推定される。次に、シーケンス500は、ステップ504に戻り、次のスリープサイクルの誤差を取得する。
【0045】
一方、最後の誤差が大きかった場合には、ステップ510は、現在の誤差が、最後の誤差から、数学符号が変化しているかを尋ねる。同じ数学符号は、スリープクロックが、最後のスリープ状態に対して早く進んだ場合の誤差を説明するために使用される。また、反対の数学符号は、スリープクロックが遅く進んだ場合の誤差を説明するために使用される。したがって、誤差がゼロより大きい(同一符号)か、あるいはゼロより小さい(他の符号)かは、最後のスリープ状態が早く終わったか、遅く終わったかを示している。
【0046】
ステップ520が、符号の変化を見つけた場合、この誤差は、マルチパス又は温度に由来するかもしれない。従って、カウンタはゼロにリセットされ(ステップ518)、現在の誤差が制限される(ステップ520)。ステップ520において、現在の誤差を制限する理由は、スリープクロックの周波数推定値におけるジッタ量を低減するためである。この例では、誤差制限が、図6に示すグラフ602に従って起こる。これについては、以下により詳細に説明する。ステップ520の後、現在の誤差は、ステップ412(図4)における推定値の調整に使用するために出力される(522)。そして、シーケンス500は、ステップ504に戻り、次のスリープサイクルの誤差が取得される。
【0047】
前述したシナリオとは対照的に、現在の誤差が、誤差しきい値を超えた最後の誤差から、符号が変わっていないとステップ510が認識した場合には、(ステップ518の代わりに)ステップ512が用いられる。この状況では、誤差は温度影響のみから来る。それは、カウンタを注目することにより確認される(詳細は後述する)。ステップ512は、符号変化の無かったことを記録するためにカウンタをインクリメントする。本例では、1を加えることによって達成される。そして、ステップ514は、カウンタが、あるカウンタしきい値に達したかを尋ねる。この例では、カウンタしきい値は2に設定される。しかし、この数は、(より大きなカウンタしきい値を用いることによって)より著しいマルチパス問題、又は(より小さなカウンタしきい値を用いることによって)より著しい温度変化を予想するために、(マニュアルで、適応して、経験的に、あるいはその他の手段によって)変わりうる。
【0048】
カウンタが、カウンタしきい値に達しない場合、ステップ514は、ステップ520に進む。この現在の誤差は、マルチパス又は温度に由来している。これは、未だに区別することができない。したがって、誤差は、ステップ520で制限され、次に、上述したように、ステップ522が繰り返される。
【0049】
一方、カウンタがしきい値に達したことをステップ514が把握すると、この誤差は、明らかに、マルチパスによるものではなく、温度によるものと推測される。従って、この誤差は制限されず(ステップ516)、この値が、ステップ412(図4)における推定値の調節に使用されるために出力される(ステップ522)。そして、ルーチンはステップ504に戻り、次のスリープ状態からの誤差が取得される。
【0050】
(制限−最大値)
図6は、ステップ520で使用される最大値を制限するための一つの実施例を示すグラフ600である。横軸は、スリープ時間に相当し、縦軸は、温度によって誘導されたスリープクロック誤差を示す。境界608は、本発明者の研究および発見を通じて展開された理論上最悪の温度ドリフトシナリオを図示している。境界602は、部分604および部分606を含む境界608の修正された表示である。部分606は、誤差しきい値605を超えた境界608の線形近似であり、数学的に単純な線形限界を用いることによって、計算上のリソースを節約するために実施される。部分604は、ベースミニマム(base minimum)である。これは、理論的な境界608に意図的に追従しない。すなわち、恐らくはノイズ、スリープクロック116の切り換え処理、又は温度誤差に関係のないその他のソースによって引き起こされる誤差を制限しないように、十分高い値で部分604は確立される。したがって、部分604を課すことは、チャーニング、ジッタ、及び予測不能で恐らくは無関係な誤差の過剰な分析を防ぐ。
【0051】
(他の実施例)
当該技術分野における熟練者であれば、これら情報および信号が、種々異なった技術や技法を用いて表されることを理解するであろう。例えば、上述した記載の全体で引用されているデータ、指示、命令、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光学場または光学微粒子、あるいはこれら何れかの組み合わせによって表現されうる。
【0052】
これら熟練者であれば、更に、ここで開示された実施例に関連して記載された様々な説明的論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子工学ハードウェア、コンピュータソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせとして実現されることを理解するであろう。ハードウェアとソフトウェアとの相互互換性を明確に説明するために、様々に例示された部品、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能に関して一般的に記述された。それら機能がハードウェアとして又はソフトウェアとして実現されているかは、特定のアプリケーション及びシステム全体に課せられている設計制約に依存する。熟練した技術者であれば、各特定のアプリケーションに応じて変更した方法で上述した機能を実施しうる。しかしながら、この適用判断は、本発明の範囲から逸脱したものと解釈されるべきではない。
【0053】
ここで開示された実施例に関連して記述された様々の説明的論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、アプリケーションに固有の集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)あるいはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートあるいはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、又は上述された機能を実現するために設計された上記何れかの組み合わせを用いて実現又は実行されうる。汎用プロセッサとしてマイクロプロセッサを用いることが可能であるが、代わりに、従来技術によるプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいは状態機器を用いることも可能である。プロセッサは、たとえばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに接続された1つ以上のマイクロプロセッサ、またはこのような任意の構成である計算デバイスの組み合わせとして実現することも可能である。
【0054】
ここで開示された実施例に関連して記述された方法やアルゴリズムのステップは、ハードウェアや、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールや、これらの組み合わせによって直接的に具現化される。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、あるいは当該技術分野で知られているその他の型式の記憶媒体に収納されうる。好適な記憶媒体は、プロセッサがそこから情報を読み取り、またそこに情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。または、記憶媒体はプロセッサに統合されうる。このプロセッサと記憶媒体は、ASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することもできる。あるいはこのプロセッサと記憶媒体は、ユーザ端末内のディスクリート部品として存在しうる。
【0055】
開示された実施例における上述の記載は、当該技術分野におけるいかなる人であっても、本発明の活用または利用を可能とするように提供される。これらの実施例への様々な変形例もまた、当該技術分野における熟練者に対しては明らかであって、ここで定義された一般的な原理は、本発明の主旨または範囲を逸脱せずに他の実施例にも適用されうる。このように、本発明は、ここで示された実施例に制限されるものではなく、ここで記載された原理と新規の特徴に一致した最も広い範囲に相当するものを意図している。
【0056】
用語「典型的」は、ここでは、例、インスタンス、例示として役立つことを意味するために使用される。ここで「典型的」と記載された如何なる実施例も、他の実施例よりも好適であるとか、有利であると必ずしも解釈される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】図1Aは、先行技術に従ったスリープクロック動作修正のための制御ループのブロック図である。
【図1B】図1Bは、無線通信デバイス内の幾つかのハードウェア要素及び相互接続のブロック図である。
【図1C】図1Cは、スリープクロック動作を修正するための制御ループの概略図である。
【図2】図2は、デジタルデータ処理装置のブロック図である。
【図3】図3は、信号搬送媒体の平面図である。
【図4】図4は、スリープクロック周波数を推定及び修正する動作を含むスリープ/ウェイク動作を行う方法を例示するフローチャートである。
【図5】図5は、スリープクロック周波数を修正するためのより詳細な動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、一例に従った最悪ケースシナリオによる温度誘導発振器ドリフトと、それに対応する制限曲線とを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する方法であって、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、スリープクロックによって出力された時間基準と、ネットワーク時間基準との差を測定し、前記差を用いて、前記スリープクロックの周波数における現在の誤差を計算することと、
前のスリープ状態からの誤差に関する(1)大きさ、及び(2)特徴を含む現在の誤差の局面によって、予め定めた基準が満たされているかを判定することと、
前記基準が満たされていないのであれば、現在の誤差を制限することであって、この制限動作は、スリープ状態持続時間と、予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、適切な最大誤差を明らかにし、前記現在の誤差の大きさを、前記最大誤差に制限することを含むことと、
前記制限された現在の誤差を含む入力を利用して、スリープクロックの周波数を推定することと、
ウェイクアップ時間を計画している場合にはいつでも、前記スリープクロックの周波数の最新の推定値を利用することと
の各動作を含む方法。
【請求項2】
前記現在の誤差が、規定されたしきい値を超え、連続した前の誤差の指定回数分、同じ数学符号を持ち、前記連続した前の誤差もまた前記しきい値を超えていたのであれば、前記予め定めた基準が満たされる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の誤差の大きさが、前記しきい値を超えない場合もまた、前記予め定めた基準が満たされる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記現在の誤差の特徴が、前記現在の誤差が、マルチパスによって引き起こされたかもしれないことを示すのであれば、前記制限動作が実行され、
前記現在の誤差の特徴が、前記現在の誤差が、マルチパスによって引き起こされないことを示すのであれば、前記制限動作が省略される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
適切な最大誤差を明らかにする動作は、与えられた持続時間までのスリープ状態のために、予め定めた回数を選択することと、
前記与えられた持続時間を超えるスリープ状態のために、スリープ状態持続時間の増加に伴う予め定めた関係に従って増加する最大値から、適切な値を選択することと
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記各動作は更に、前記測定する動作、判定する動作、制限する動作、推定する動作、及び利用する動作をそれぞれ、次のスリープ状態のために繰り返すことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記判定する動作は、前記現在の誤差が、予め定めたしきい値を超えない場合には、前記基準が満たされたものと結論し、カウンタをリセットすることと、
前記現在の誤差が、前記予め定めたしきい値を超える場合、
前記現在の誤差が、最後の誤差から符号が変化し、前記最後の誤差が前記しきい値を超えた場合には、前記カウンタをリセットし、前記基準が満たされていないと結論し、
前記現在の誤差が、前記最後の誤差から符号が変化せず、前記最後の誤差が前記しきい値を超えた場合には、前記カウンタをインクリメントし、前記カウンタが指定された値に達したかを判定し、達している場合には前記基準が満足たれていると結論し、達していない場合には前記基準が満たされていないと結論することと
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
無線通信デバイスによって使用されるスリープクロックによって経験された温度誘導誤差を最小化する方法であって、前記方法は、スリープ状態の後に続く各ウェイクアップに応答して実行される以下の動作、すなわち、
無線通信ネットワークによって出力された時間基準を調べて、前記時間基準を前記スリープクロックの出力と比較し、前記比較を用いてスリープクロック周波数における現在の誤差を計算することと、
現在の誤差を修正することであって、
前記現在の誤差が予め定めたしきい値を超えない場合には、前記現在の誤差を、前記修正された誤差として利用し、
前記現在の誤差が前記予め定めたしきい値を超える場合、
前記現在の誤差が最後の誤差から符号が変化し、前記最後の誤差の大きさが前記しきい値を超えた場合には、カウンタをリセットし、スリープ状態持続時間に従って変化する予め規定された最大値に従って前記現在の誤差を制限し、
前記現在の誤差が前記最後の誤差から符号が変化せず、前記最後の誤差が前記しきい値を超えた場合には、前記カウンタをインクリメントし、前記カウンタが、指定された値に達したかを判定し、達したのであれば、前記現在の誤差を、前記修正された誤差として利用し、達していないのであれば、前記現在の誤差を、前記予め規定された最大値に従って制限し、前記制限された現在の誤差を、前記修正された誤差として利用することと、
前記修正された誤差を含む入力を利用してスリープクロックの周波数を推定することと、
次のウェイクアップ時間を計画する際に、前記スリープクロックの周波数のうち最新の推定値を利用することと
を含む方法。
【請求項9】
予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する方法であって、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、ネットワーク時間基準を用いて、現在のスリープクロック周波数誤差を決定することと、
スリープ持続時間と予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、前記スリープ状態に対応する適切な最大誤差を識別することと、
前記現在の誤差を含めて、予め定めた連続回数同じ数学符号であり、予め規定したしきい値を上回る誤差が生じなければ、前記識別された最大誤差に制限された現在のスリープクロック周波数誤差を含む条件付きスリープクロック周波数誤差を識別することであって、前記条件付きスリープクロック周波数誤差は、制限されることなく現在のスリープクロック周波数を含むことと、
前記条件付きスリープクロック周波数誤差を含む情報を用いて、スリープクロック周波数を推定することと
の各動作を含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記推定された周波数を含む情報を利用して、将来のウェイクアップ時間を計画することを含む方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、遅い現在のスリープクロック周波数誤差は、同じ数学符号を示し、早い現在のスリープクロック周波数誤差は、反対の数学符号を示す方法。
【請求項12】
無線通信デバイスのスリープ発振器動作を修正する方法であって、
推定された温度誘導誤差を補償するように、スリープ発振器周波数を推定することと、
温度誘導誤差を推定する際には、予想されるマルチパス誤差を、誤差が発生しているスリープ持続時間に対応した予め定めたスリープクロック誤差最大値に制限して、スリープ発振器周波数の誤差を、温度誘導誤差として取り扱うことと
の各動作を含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記取り扱う動作は、大きさが、与えられたしきい値を超える誤差のみを取り扱い、大きさが、前記与えられたしきい値を超えないスリープクロック誤差を無視する方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、前記予想されるマルチパス誤差は、与えられたしきい値を超え、予め定めた連続した回数、前の誤差と同じ数学符号を持たない全ての誤差を含み、前記連続した前の誤差は、前記与えられたしきい値を超える方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において、与えられた回数の連続した前の誤差として、与えられたしきい値を超え、同じ数学符号を示す誤差を制限しないままにすることであって、前記連続した前の誤差は、前記与えられた誤差を超えることを更に含む方法。
【請求項16】
予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する動作を実行するために、デジタルデータプロセッサによって実行可能な機械読取可能命令のプログラムを具体的に組み込んだ信号搬送媒体であって、前記各動作は、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、スリープクロックによって出力された時間基準と、ネットワーク時間基準との差を測定し、前記差を用いて、前記スリープクロックの周波数における現在の誤差を計算することと、
前のスリープ状態からの誤差に関する(1)大きさ、及び(2)特徴を含む現在の誤差の局面によって、予め定めた基準が満たされているかを判定することと、
前記基準が満たされていないのであれば、現在の誤差を制限することであって、この制限動作は、スリープ状態持続時間と、予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、適切な最大誤差を明らかにし、前記現在の誤差の大きさを、前記最大誤差に制限することを含むことと、
前記制限された現在の誤差を含む入力を利用して、スリープクロックの周波数を推定することと、
ウェイクアップ時間を計画している場合にはいつでも、前記スリープクロックの周波数の最新の推定値を利用することと
を含む信号搬送媒体。
【請求項17】
予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する動作を実行するために、デジタルデータプロセッサによって実行可能な機械読取可能命令のプログラムを具体的に組み込んだ信号搬送媒体であって、前記各動作は、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、ネットワーク時間基準を用いて、現在のスリープクロック周波数誤差を決定することと、
スリープ持続時間と予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、前記スリープ状態に対応する適切な最大誤差を識別することと、
前記現在の誤差を含めて、予め定めた連続回数同じ数学符号であり、予め規定したしきい値を上回る誤差が生じなければ、前記識別された最大誤差に制限された現在のスリープクロック周波数誤差を含む条件付きスリープクロック周波数誤差を識別することであって、前記条件付きスリープクロック周波数誤差は、制限されることなく現在のスリープクロック周波数を含むことと、
前記条件付きスリープクロック周波数誤差を含む情報を用いて、スリープクロック周波数を推定することと
を含む信号搬送媒体。
【請求項18】
無線通信デバイスのスリープ発振器動作を修正する動作を実行するデジタルデータプロセッサによって実行可能な機械読取可能命令のプログラムを具体的に組み込んだ信号搬送媒体であって、前記各動作は、
推定された温度誘導誤差を補償するように、スリープ発振器周波数を推定することと、
温度誘導誤差を推定する際には、予想されるマルチパス誤差を、誤差が発生しているスリープ持続時間に対応した予め定めたスリープクロック誤差最大値に制限して、スリープ発振器周波数の誤差を、温度誘導誤差として取り扱うことと
を含む信号搬送媒体。
【請求項19】
予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する動作を実行するように構成された複数の相互接続された導電素子を含む回路であって、前記各動作は、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、スリープクロックによって出力された時間基準と、ネットワーク時間基準との差を測定し、前記差を用いて、前記スリープクロックの周波数における現在の誤差を計算することと、
前のスリープ状態からの誤差に関する(1)大きさ、及び(2)特徴を含む現在の誤差の局面によって、予め定めた基準が満たされているかを判定することと、
前記基準が満たされていないのであれば、現在の誤差を制限することであって、この制限動作は、スリープ状態持続時間と、予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、適切な最大誤差を明らかにし、前記現在の誤差の大きさを、前記最大誤差に制限することを含むことと、
前記制限された現在の誤差を含む入力を利用して、スリープクロックの周波数を推定することと、
ウェイクアップ時間を計画している場合にはいつでも、前記スリープクロックの周波数の最新の推定値を利用することと
を含む回路。
【請求項20】
予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する動作を実行するように構成された複数の相互接続された導電素子を含む回路であって、前記各動作は、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、ネットワーク時間基準を用いて、現在のスリープクロック周波数誤差を決定することと、
スリープ持続時間と予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、前記スリープ状態に対応する適切な最大誤差を識別することと、
前記現在の誤差を含めて、予め定めた連続回数同じ数学符号であり、予め規定したしきい値を上回る誤差が生じなければ、前記識別された最大誤差に制限された現在のスリープクロック周波数誤差を含む条件付きスリープクロック周波数誤差を識別することであって、前記条件付きスリープクロック周波数誤差は、制限されることなく現在のスリープクロック周波数を含むことと、
前記条件付きスリープクロック周波数誤差を含む情報を用いて、スリープクロック周波数を推定することと
を含む回路。
【請求項21】
無線通信デバイスのスリープ発振器動作を修正する動作を実行するように構成された複数の相互接続された導電素子を含む回路であって、前記各動作は、
推定された温度誘導誤差を補償するように、スリープ発振器周波数を推定することと、
温度誘導誤差を推定する際には、予想されるマルチパス誤差を、誤差が発生しているスリープ持続時間に対応した予め定めたスリープクロック誤差最大値に制限して、スリープ発振器周波数の誤差を、温度誘導誤差として取り扱うことと
を含む回路。
【請求項22】
無線通信デバイスであって、
トランシーバと、
スピーカと、
マイクロホンと、
ユーザインタフェースと、
前記トランシーバ、前記スピーカ、前記マイクロホン、及び前記ユーザインタフェースに接続され、予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する動作を実行するようにプログラムされたデータ処理機器であって、前記各動作は、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、スリープクロックによって出力された時間基準と、ネットワーク時間基準との差を測定し、前記差を用いて、前記スリープクロックの周波数における現在の誤差を計算することと、
前のスリープ状態からの誤差に関する(1)大きさ、及び(2)特徴を含む現在の誤差の局面によって、予め定めた基準が満たされているかを判定することと、
前記基準が満たされていないのであれば、現在の誤差を制限することであって、この制限動作は、スリープ状態持続時間と、予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、適切な最大誤差を明らかにし、前記現在の誤差の大きさを、前記最大誤差に制限することを含むことと、
前記制限された現在の誤差を含む入力を利用して、スリープクロックの周波数を推定することと、
ウェイクアップ時間を計画している場合にはいつでも、前記スリープクロックの周波数の最新の推定値を利用することとを含むデータ処理機器と
を備えた無線通信デバイス。
【請求項23】
無線通信デバイスであって、
トランシーバと、
スピーカと、
マイクロホンと、
ユーザインタフェースと、
前記トランシーバ、前記スピーカ、前記マイクロホン、及び前記ユーザインタフェースに接続され、予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する動作を実行するようにプログラムされたデータ処理機器であって、前記各動作は、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、ネットワーク時間基準を用いて、現在のスリープクロック周波数誤差を決定することと、
スリープ持続時間と予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、前記スリープ状態に対応する適切な最大誤差を識別することと、
前記現在の誤差を含めて、予め定めた連続回数同じ数学符号であり、予め規定したしきい値を上回る誤差が生じなければ、前記識別された最大誤差に制限された現在のスリープクロック周波数誤差を含む条件付きスリープクロック周波数誤差を識別することであって、前記条件付きスリープクロック周波数誤差は、制限されることなく現在のスリープクロック周波数を含むことと、
前記条件付きスリープクロック周波数誤差を含む情報を用いて、スリープクロック周波数を推定することとを含むデータ処理機器と
を備えた無線通信デバイス。
【請求項24】
無線通信デバイスであって、
トランシーバと、
スピーカと、
マイクロホンと、
ユーザインタフェースと、
前記トランシーバ、前記スピーカ、前記マイクロホン、及び前記ユーザインタフェースに接続され、無線通信デバイスのスリープ発振器動作を修正する動作を実行するようにプログラムされたデータ処理機器であって、前記各動作は、
推定された温度誘導誤差を補償するように、スリープ発振器周波数を推定することと、
温度誘導誤差を推定する際には、予想されるマルチパス誤差を、誤差が発生しているスリープ持続時間に対応した予め定めたスリープクロック誤差最大値に制限して、スリープ発振器周波数の誤差を、温度誘導誤差として取り扱うこととを含むデータ処理機器と
を備えた無線通信デバイス。
【請求項25】
無線モバイル電話であって、
信号を無線で送受信するトランシーバ手段と、
オーディオ出力を生成するスピーカ手段と、
マイクロホンのためのマイクロホン手段と、
ユーザ入力を受け取り、人間が解読可能な出力を提供するユーザインタフェース手段と、
前記トランシーバ手段、前記スピーカ手段、前記マイクロホン手段、及び前記ユーザインタフェース手段に接続され、予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する動作を実行するデータ処理機器であって、前記各動作は、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、スリープクロックによって出力された時間基準と、ネットワーク時間基準との差を測定し、前記差を用いて、前記スリープクロックの周波数における現在の誤差を計算することと、
前のスリープ状態からの誤差に関する(1)大きさ、及び(2)特徴を含む現在の誤差の局面によって、予め定めた基準が満たされているかを判定することと、
前記基準が満たされていないのであれば、現在の誤差を制限することであって、この制限動作は、スリープ状態持続時間と、予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、適切な最大誤差を明らかにし、前記現在の誤差の大きさを、前記最大誤差に制限することを含むことと、
前記制限された現在の誤差を含む入力を利用して、スリープクロックの周波数を推定することと、
ウェイクアップ時間を計画している場合にはいつでも、前記スリープクロックの周波数の最新の推定値を利用することとを含むデータ処理機器と
を備えた無線モバイル電話。
【請求項26】
無線通信デバイスであって、
信号を無線で送受信するトランシーバ手段と、
オーディオ出力を生成するスピーカ手段と、
マイクロホンのためのマイクロホン手段と、
ユーザ入力を受け取り、人間が解読可能な出力を提供するユーザインタフェース手段と、
前記トランシーバ手段、前記スピーカ手段、前記マイクロホン手段、及び前記ユーザインタフェース手段に接続され、予想されるマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する動作を実行するデータ処理機器であって、前記各動作は、
スリープ状態の後に続くウェイクアップに応答して、ネットワーク時間基準を用いて、現在のスリープクロック周波数誤差を決定することと、
スリープ持続時間と予め定めたスリープクロック誤差最大値との間の予め定めた関係を用いて、前記スリープ状態に対応する適切な最大誤差を識別することと、
前記現在の誤差を含めて、予め定めた連続回数同じ数学符号であり、予め規定したしきい値を上回る誤差が生じなければ、前記識別された最大誤差に制限された現在のスリープクロック周波数誤差を含む条件付きスリープクロック周波数誤差を識別することであって、前記条件付きスリープクロック周波数誤差は、制限されることなく現在のスリープクロック周波数を含むことと、
前記条件付きスリープクロック周波数誤差を含む情報を用いて、スリープクロック周波数を推定することとを含むデータ処理機器と
を備えた無線通信デバイス。
【請求項27】
無線通信デバイスであって、
信号を無線で送受信するトランシーバ手段と、
オーディオ出力を生成するスピーカ手段と、
マイクロホンのためのマイクロホン手段と、
ユーザ入力を受け取り、人間が解読可能な出力を提供するユーザインタフェース手段と、
前記トランシーバ手段、前記スピーカ手段、前記マイクロホン手段、及び前記ユーザインタフェース手段に接続され、予想される高いマルチパス誤差を識別し、制限することによって、温度誘導誤差を解明するために、無線通信デバイスのスリープクロックを修正する動作を実行するデータ処理機器であって、前記動作は、
推定された温度誘導誤差を補償するように、スリープ発振器周波数を推定することと、
温度誘導誤差を推定する際には、予想されるマルチパス誤差を、誤差が発生しているスリープ持続時間に対応した予め定めたスリープクロック誤差最大値に制限して、スリープ発振器周波数の誤差を、温度誘導誤差として取り扱うこととを含むデータ処理手段と
を備えた無線通信デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−532064(P2007−532064A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506453(P2007−506453)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/010438
【国際公開番号】WO2005/099107
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】