説明

燃料電池に使用される電極を製造するためのプロセス

負極および正極を備えたメンブラン電極アセンブリを有する、燃料電池に使用される電極を製造するためのプロセスを開示した。該プロセスは、以下の工程からなる:(i)電極基体を準備する工程、ならびに(ii)該電極基体をメッキ浴からの金属層で被覆する工程、ただし前記金属はAg、Au、Pdおよびこれらの合金から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に使用される電極を製造するためのプロセス、そして特に、負極および正極を備えたメンブラン電極アセンブリを有する、直接メタノール型に使用される電極を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料の酸化反応による自由エネルギーの変化が電気的エネルギーに変換される電気化学的セルである。燃料電池の下位分類としては、通常、直接メタノール型燃料電池(DMFC)と呼ばれ、空気によって水性メタノールを燃焼させて電気を生成する、燃料としてメタノールを使用する燃料電池がある。DMFC技術は、電気装置、車輌、軍備品、航空宇宙産業などといった多くの領域に適用される実施可能な燃料電池として広く受け入れられている。
【0003】
DMFCの如き燃料電池は、通常のバッテリーのように、2つの電気化学反応によってDC電流を生成する。これらの反応は、反応物が連続的に供給される電極(または極)において起こる。DMFCにおいて、例えば負極(アノード)にはメタノールの供給が続けられ、一方正極(カソード)には空気の供給が続けられる。電流を生成するとき、メタノールはアノード電極触媒において電気化学的に酸化されて電子を生成し、該電子は外部回路を通ってカソード電極触媒に移動し、還元反応において酸素とともに消費される。回路は、電解質中におけるプロトンの移動によって電池内に維持される。メタノール(CHOH)の1分子および水(HO)の1分子の双方で水素6原子を保有している。これらが混合物としてDMFCに供給されると、これらは反応してCOを1分子、6つのプロトン(H)および6つの電子を生成し、電気の流れが発生する。メタノールおよび水から生成するプロトンおよび電子は酸素と反応して水を生成する。メタノール−水混合物は、水素を保持し、これを移動するための容易な手段を提供する。保存タンク中に液体状または気体状の水素を保存するよりはずっとよい。水素とは異なってメタノールおよび水は室温で液体状であり、器壁の薄いプラスチック容器中で容易に保存できる。従ってDMFCは、その最も近い競合である水素−空気型燃料電池よりも容易である。
DMFCの如き燃料電池の正極および負極は、通常、反応性電解質媒体と接触している。該媒体は、多くの場合、鉱酸または酢酸、プロピオン酸もしくは蟻酸などの有機酸のような酸をさらに含有する。酸の添加は、燃料電池内におけるプロトンの移動性を向上するものであり、その詳細は、ETS Transactions, 1(6), 2006, 273〜281ページに記載されている。
従って燃料電池は苛酷な化学環境にさらされ、従って腐食の影響を受けやすい。かかる腐食は電気的断絶を結果し、燃料電池の有効寿命を短縮し、および/または、電力密度を減少させる。
【0004】
US特許第6,338,913号および第6,399,232号は、マイクロセル素子または構造中における集電体の耐食性を向上するためのいくつかの腐食管理構造を提案している。例えば、集電体をグラファイト材料で製造することができ;これに代えて、集電体を耐食性の炭素質被膜で被覆されたアルミニウムまたは銅で形成することができる。グラファイトまたは炭素被覆の集電体は、旧来の金属製集電体と比較して著しく向上された耐食性を持ってはいるけれども、これらは機械的に頑丈ではなく(すなわち、グラファイト集電体は破損しやすく、炭素被覆は剥離しやすくて下層の金属コアが腐食性電解質にさらされる)、結局はマイクロセル中またはマイクロセル間の電気的断絶を結果する。
【0005】
Journal of Power Sources 144(2005) 113−121には、空気吸込みおよびパッシブ型ポリマー電解質燃料電池のためのデザインが記載されている。アノード集電体は薄い銅箔でできている。この箔は粘着性および導電性を有する被覆を提供し、カソードは裏材、金メッキされたステンレス鋼製のメッシュおよびプリント基板から切断された集電体からなる。アノードは、片面または両面に導電性の粘着フィルムを有する銅箔から製造されると、115ページにさらに記載されている。この粘着性は、銀を配合したアクリル系材料に基づく。
しかしながら、このような粘着剤は耐久性が極めて高くはなく、剥離しやすい。さらに、銀を配合したアクリル系組成物は高価で、従って、工業的規模での燃料電池の製造には使用できない。しかも、この銀を配合したアクリル系組成物は低減された導電性しか有さない。
【0006】
WO 2004/006377 A1は、耐食性集電体を有するマイクロセル型電気化学素子およびアセンブリに関する。内部電極、該内部電極に接触する中空の繊維状メンブランセパレータ、該中空の繊維状メンブランセパレータ中に埋め込まれた電解質および外部電極からなり、そして内部電極および外部電極のうちの少なくとも1つは、固相接合により互いに接合された2層以上の金属層を有する金属被覆複合体からなる、繊維状のマイクロセル構造が開示されている。しかしながら、かかる固相接合は、高温において2つの金属を圧着する高温共押出しプロセスを必要とする。このようなプロセスは、種々の基体に適用することのできない高温を使用する点で不利である。このように、WO 2004/006377 A1に記載されたプロセスは、2つの金属の固相接合層が多層金属被覆複合体を形成するような苛酷な環境の使用を必要とするのである。
【0007】
EP 0913009 B1は、溶融炭酸塩型燃料電池のための、耐食被覆を有する電荷移動要素に関する。この耐食被覆は、少なくとも2層の金属層からなり、第一の層はニッケル、金または銅からなり、第二の層は銀からなる。
【0008】
US 2006/0040169 A1およびUS 2006/0040170 A1は、フラットパネル型直接メタノール型燃料電池およびその製造方法に関する。これら文献に記載されているフラットパネル型DMFCは、集積型カソード電極シート、1組のメンブラン電極アセンブリ、中間接合層、集積型アノード電極シートおよび燃料収容基体からなる。集積型カソード/アノード電極シートは、PCB適合プロセスによって製造される。カソード電極プレートを腐食から保護するために、これらの文献は、金メッキ処理されたチタンメッシュを使用して、電気メッキされた銅層にグラファイト保護層を形成するか、あるいは電気メッキされた銅層上に金もしくはニッケル合金を電気メッキすることを提案している(US 2006/0040170 A1の段落[0010]、[0024]、[0053]および[0050])。しかしながら、これらのプロセスは繁雑であり、従って高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根底にある目的は、例えば単純且つ経済的なプロセスによって腐食から保護された電極を有するメタノール燃料電池の如き燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、燃料電池に使用される電極を製造するためのプロセス、そして特に、負極および正極を備えたメンブラン電極アセンブリを有する、直接メタノール型燃料電池に使用される電極を製造するためのプロセスに関し、前記プロセスは、以下の工程を含むものである:
(i) 電極基体を準備する工程、そして
(ii) 該電極基体をメッキ浴からの金属層で被覆する工程、ただし前記金属はAg、Au、Pdおよびこれらの合金から選択される。
【0011】
メッキ浴からの被覆は、外部電流を付加した電解メッキまたは無電解(自己触媒)メッキまたは浸漬メッキによって行うことができる。すべてのメッキ手順は、当業界でよく知られており、堆積されるべき金属のイオンを含有する電解質が適用される。無電解メッキおよび浸漬メッキは、例えばMetal Finishing, 2006、354〜369ページに記載されている。本明細書中、メッキという語はこれら3つのメタライゼーション方法のすべてを指す。
本発明の利点は、上記の方法による電解質浴からのメッキによって、正確な層厚を有し、空孔のない金属層を堆積することができることであり、そしてほぼいかなる基体形状にも堆積可能なことである。さらに、基体の表面部分のみ選択的にメタライゼーションすることが可能なことであり、このことによって基体、例えば電極前駆体(electrode supplies)など、の上に機能性構造をメッキすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本明細書に記載した電極とともに使用される直接メタノール型燃料電池の平面図である。
【図2】図2Aは、バイポーラープレートを有する個々の電気化学セルのスタックのデザインを示す。ただし前記各電気化学セルは、電極あたり1つの流れ場、電極2つあたり1つのバイポーラープレートを有する。 図2Bは、モノポーラープレートを有する電気化学セルのスタックのデザインを示す。ただし前記各電気化学セルは、電極あたり2つの流れ場、電極1つあたり1つの導電性箔を有する。 図2Cは、ストライプ状スタックのデザインを示す。
【図3】図3は、(i)被覆していない参照基体(SS 316 L、厚さ0.2mm)、(ii)10μmのAgで被覆した参照基体(実施例1b)および(iii)10μmのAuで被覆した参照基体(実施例1b)の直線掃引ボルタモグラムの片対数プロットを、各試料について測定した抵抗値とともに示す。
【図4】図4は、被覆したおよび被覆していないSS 316 L基体の4点抵抗測定の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明における電極基体は、導電性または非導電性の基体であることができる。
好ましい態様によると、上記非導電性基体は、ポリイミド、ポリアミド、BT、アルミナセラミクスの如きセラミクスまたは以下に記載のFR1、FR2、FR3、FR4、FR5、CEM1、CEM3、GI、PEEK、Cyanatester、GETEK、PPE、APPE、PTFE−タイプの如き補強ポリマー材料から選択される;
CEM1:エポキシ樹脂およびガラス織布が含浸した紙芯を有する複合材料
CEM3:エポキシ樹脂が含浸した繊維ガラス不織布を有する異なる芯材料の複合材料
FR1、FR2:フェノール樹脂が含浸した紙の複合材料
FR3:エポキシ樹脂の複合材料
FR4、FR5:繊維ガラス織布で補強されたエポキシ樹脂の複合材料
BT:ビスマレイミドトリアジンの複合材料
BT/エポキシ:ビスマレイミドトリアジンおよびエポキシ樹脂の複合材料
GI−タイプ:ポリイミド樹脂が含浸した多層のガラス織布の複合材料
PEEK:ポリエーテルエーテルケトン
GETEK(登録商標):ガラス繊維で補強されたポリフェニレンオキシド/エポキシ樹脂
PPE:ポリフェニレンエーテル樹脂
APPE:改良ポリフェニレンエーテル樹脂
PTFE:フルオロポリマー樹脂
このようなポリマー材料は、市販されており、また例えばCoomb’s Printed Circuits Handbook, 2001, 5.1〜5.8ページおよび6.4ページに記載されている。
【0014】
上述の非導電性基体に代えて、後述のようなステンレス鋼製の基体も本発明のプロセスに使用することができる。
最後に、鋼製の基体よりも良好な導電性を有する基体も使用することができる。使用される基体は、特許請求された発明における他の好ましい態様のとおり、銅または銅合金である。
本発明のプロセスにおけるその他の好ましい態様は、従属項8〜30の内容である。
上記したように、本発明においては、耐食性電極の調製に異なるタイプの基体を使用することができる。
例えば、メタノール、水および任意的に酢酸および/またはギ酸の混合物を含有する直接メタノール型燃焼電池に使用する際にすでに十分な耐食性を有するステンレス鋼を使用することができる。しかしながら、ステンレス鋼は、それ自体、DMFCの如き燃料電池に使用するための十分な導電性を持たない。従って、本発明によると、十分な導電性、すなわち表面上の抵抗値が9mΩ(mOhm)/cm以下、好ましくは4mΩ/cm以下、最も好ましくは2mΩ/cm以下の範囲の導電性を付与するために、ステンレス鋼基体上に金属層が形成される。
【0015】
一般に、下記のような層の厚さによってステンレス鋼ベースの材料に十分な導電性が付与される;
銀:0.5〜40μm、好ましくは0.5〜20μm、最も好ましくは0.5〜15μm。
金:0.05〜40μm、好ましくは0.05〜25μm、より好ましくは0.05〜1μm、最も好ましくは0.06〜0.1μm。
パラジウム:0.05〜60μm、好ましくは0.05〜30μm、最も好ましくは0.05〜15μm。
【0016】
本発明に使用される適当な鋼基体は、以下のとおりである。一般に、Cr16〜28重量%、Ni6〜32重量%、Mo<7重量%および任意的にTi<1重量%および/またはNb<1重量%を含有するステンレス鋼を使用することができる。
以下の表に、ドイツおよび米国工業基準に従った参照番号によって特定された好ましいステンレス鋼を列挙する。
【0017】
【表1】

【0018】
その他の好ましいステンレス鋼基体は、1.4300、1.4316、1.4370、1.4406、1.4427、1.4441、1.4452、1.4455、1.4536、1.4546、1.4567、1.4576、1.4578、1.4597、1.4893鋼である。
【0019】
上述したステンレス鋼基体上へのメッキは、基本的には以下のようにして行われる。
先ず、ステンレス鋼基体を、無電解またはカソード処理および/もしくはアノード処理により洗浄してオイル、グリースおよび汚れを除去する。この方法は、当業界でよく知られており、例えばMetal Finishing, 2006, 151〜157ページに記載されている。
次いで、好ましくはステンレス鋼の表面を酸洗いして、酸化物、水和酸化物の薄膜およびその他の不動態層を除去する。これらは、引き続いてなされる電気メッキ被覆の接合強度に悪影響を及ぼす。この方法は、当業界でよく知られており、例えばMetal Finishing, 2006, 143〜150ページに記載されている。
このように処理された表面を、次いで金属、好ましくは金の薄い中間層を、強酸性電解質から電気メッキすることによって活性化する。この方法もまた、中間ニッケル層の堆積としてMetal Finishing, 2006, 162〜163ページに記載されている。かかる中間層は、ストライクと呼ばれる。
その後、耐食性金属被覆のメッキが行われる。
【0020】
特許請求された発明のさらなる態様では、電極材料の調製に非導電性基体が使用される。
エポキシ樹脂などの、FR4およびプリント基板基体材料の如き非導電性基体上へのメッキは、例えば以下のようにしてなされる。
非導電性表面の基体を、先ず、プリント基板製造工業において使用され、例えばMetal Finishing, 2006, 151〜157ページに記載されている標準的な洗浄プロセスを適用して洗浄する。非導電性基体は、通常メタライゼーションに先立ってスミア除去しなければならないドリル孔を有する。
【0021】
本発明のある態様では、非導電性基体は、その一部がすでにAg、AuまたはPd製金属箔で積層されているものであってもよい。この箔は、メッキされる金属層と金属層とほぼ同じ厚さを有する。この態様によると、基体のうち金属で未だ被覆されていない部分のみ、依然として本発明の方法によってメッキされなければならない。これらの部分は、特に、積層できないドリル孔および構築された表面部品を有する。
【0022】
非導電性基体は、例えばHandbuch der Leiterplattentechnik, Vol. 4, 2003, 292〜300ページに記載されている種々の方法によって活性化することができる。これらのプロセスは、炭素粒子、Pdコロイドまたは導電性ポリマーを含有する導電性層の生成を伴う。炭素粒子の使用を伴うプロセスは、Electrochemicals社によって開発され、例えば「Shadow」の商品名で市販されている。他のプロセスは、MacDermid社によって開発された「ブラックホール」プロセスとして当業界で知られている。パラジウムコロイドの使用を伴うプロセスは、Shipley Ronal社およびAtotech社によって開発され、それぞれ、例えば「Crimson」、「Conduction」および「Neopact」の商品名で知られている。
【0023】
導電性ポリマーの使用を伴うプロセスは、OMI Enthone社およびAtotech社によって開発され、それぞれ、例えば「DMSE」、「Seleo CP」および「Compact CP」の商品名で知られている。
これらのプロセスのうちのいくつかは、特許文献および以下に示した例に記載されている。
【0024】
欧州特許EP 0 616 053号には、非導電性基体に金属被覆を(無電解被覆法を用いずに)形成するための、以下の工程を含むプロセスが記載されている:
a. 上記基体を、貴金属/IVA族金属ゾルを含有する活性化剤に接触させ、処理基体を得る工程;
b. 上記処理基体を、以下の溶液を含有するpH約11〜pH13の自己促進および補充性浸漬金属組成物と接触させる工程;
(i) Cu(II)、Ag、AuもしくはNiの可溶性金属塩またはこれらの混合物、
(ii)IA族金属の水酸化物、
(iii)上記金属塩の金属イオンに対する全生成定数(cumulative formation constant)log Kが0.73〜21.95の有機材料を含有する錯化剤。
このプロセスは、次の電気被覆に使用することのできる薄い導電層を結果する。このプロセスは、当業界で「Connect」プロセスとして知られている。
【0025】
米国特許第5,503,877号には、非金属性基体上に金属シードを生成するための錯化合物の使用を伴う非導電性基体のメタライゼーションが記載されている。この金属シードは、次の電気メッキのために十分な導電性を与える。このプロセスは、当業界でいわゆる「Neoganth」プロセスとして知られている。
米国特許第5,693,209号は、導電性ピロールポリマーの使用を伴う非導電性基体のメタライゼーションプロセスに関する。このプロセスは、当業界で「Compact CP」プロセスとして知られている。
欧州特許第1 390 568 B1号もまた、非導電性基体の直接電解メタライゼーションに関する。これは、次の電気被覆のための導電性層を得るために導電性ポリマーの使用を伴う。上記導電性ポリマーはチオフェン単位を有する。このプロセスは、当業界で「Seleo CP」プロセスとして知られている。
最後に、非導電性基体は、例えばHandbuch der Leiterplattentechnik, Vol. 4, 2003, 307〜311ページに記載された、コロイド状またはイオノマー性パラジウムイオンを含有する溶液を使用する方法によっても活性化することができる。
【0026】
次いで、PdまたはPdPの薄い中間被覆層の無電解メッキが行われる(P含量:0.5〜10重量%、好ましくは0.5〜6重量%)。かかるメッキは、当業界でよく知られており、例えばHandbuch der Leiterplattentechnik, Vol. 4, 2003, 383〜384ページに記載されている。
耐食性被覆のメッキの後、好ましくは銀処理が行われる。銀メッキ浴は、当業界でよく知られており、例えばMetal Finishing, 2006, 257〜265ページに記載されている。銀層をメッキした後、Pd、Au、Rh、Ruの任意的防曇処理を行ってもよい。
上述の各プロセスによって、基体上に十分な導電性を与える金属層を得ることができる。
【0027】
一般に、金属層の厚さは、メンブラン電極アセンブリのデザインおよび使用する基体材料に依存する。例えば非導電性のFR4ベースの材料からなる基体(36×36mm、240孔、孔径2mm)は、1〜20μm、好ましくは1〜15μmの範囲の厚さを持つ銀層に被覆されるベきである。かかる銀層は、メタノール、水ならびに酢酸および/またはギ酸を含有する媒体中、70℃の温度における2,000時間のDMFC処理の後であっても、いかなる腐食も示さない。例えば10μmの厚さを持つ銀層の導電性は一定に維持され、その抵抗は約3.5mΩ/cmである。
一般に、非導電性ベースの材料には、下記の層厚さが好ましい:
銀:1〜40μm、好ましくは1〜20μm、最も好ましくは1〜15μm。
金:1〜40μm、好ましくは1〜20μm、最も好ましくは1〜10μm。
パラジウム:1〜60μm、好ましくは1〜30μm、最も好ましくは1〜15μm。
【0028】
本発明の他の態様では、例えば実質的に銅または銅合金からなる導電性基体が使用される。銅は、燃料電池における電極材料として使用するためにすでに十分な導電性を有しているが、十分な耐食性は有していない。従って、本発明によれば、銅箔の如き銅基体上に金属層がメッキされる。従って、本発明によれば、銅基体上に金属層が形成され、下層の銅が腐食しない十分な耐食性が付与される。下層の銅基体の腐食を回避するには、銅上に孔を有さない耐食性金属の層を堆積することが必要である。今までは、このことを実現することが困難であった。
【0029】
一般に、銅または銅合金ベースの材料には、下記の層厚さが好ましい:
銀:0.1〜40μm、好ましくは0.2〜20μm、最も好ましくは0.5〜10μm。
金:0.05〜40μm、好ましくは0.05〜20μm、最も好ましくは0.05〜1μm。
パラジウム:0.05〜40μm、好ましくは0.05〜20μm、最も好ましくは0.05〜10μm。
かかる層の厚さにより、孔を有さない耐食性金属被覆が得られる。
【0030】
本発明によると、導電性基体上のメッキは、下記のようにして行われる。
先ず、導電性基体を、無電解またはカソード処理および/もしくはアノード処理により洗浄してオイル、グリースおよび汚れを除去する。これらの方法は、当業界でよく知られており、例えばMetal Finishing, 2006, 151〜157ページに記載されている。
次いで、好ましくは導電性金属の表面を酸洗いして、酸化物、水和酸化物の薄膜およびその他の不動態層を除去する。これらは、引き続いてなされる電気メッキ被覆の接合強度に悪影響を及ぼす。この方法は当業界でよく知られており、例えばMetal Finishing, 2006, 143〜150ページに記載されている。
このように処理された表面を、次いで金属の薄い中間層を電気メッキすることによって活性化する。この方法もまた、例えば中間ニッケル層の堆積としてMetal Finishing, 2006, 162〜163ページに記載されている。かかる中間層は、ストライクと呼ばれる。その後、耐食性金属被覆のメッキが行われる。
【0031】
上述のようにして調製された電極は、さらに、直接メタノール型燃料電池に使用されるメンブラン電極アセンブリを得るために使用される。一般にメンブランは、プロトンが浸透しうる適当なプラスチック材料で作られる。かかるメンブランは市販されており、その一例がDuPont社から市販されているパーフルオロ硫酸のポリマー、Nafionである。このメンブランは、アノード室をカソード室から分離する。例えばDMFC中において、メンブランは、アノード室中のメタノール/水混合物をカソード室中の酸化剤から分離する。PEMFC(ポリマー電解質型燃料電池)におけるエネルギーキャリアは、(DMFCの場合における)メタノールの如きアルコールとは対照的に、水素である。水素が関わる反応は水を生成する;メタノールが関わる反応では、水のほかに二酸化炭素、ギ酸、ホルムアルデヒドの如き生成物および他の生成物を生成する。電気化学変換において、もし純水素の代わりに改質ガスを使用した場合には、ガス中に一酸化炭素も含まれることを考慮しなければならない。さらに、パーフルオロ化および硫化された電解質メンブランとの相互作用によって硫酸イオンおよびフッ素イオンまたはフッ素が放出されるものと推察される。これら全部のことから、セル中には、電極を通常は破壊するpHが1.5から5の間の腐食性混合物が存在する。
上述のように、本発明によると、腐食から保護され、従って燃料電池中で好適に使用できる電極を、簡単且つ経済的なプロセスによって調製することができる。
【0032】
電極は、直接メタノール型燃料電池中で使用されることが好ましい。かかるDMFCは、バイポーラープレートもしくはモノポーラープレート、またはストライプ形状に配列された、メンブラン電極アセンブリを有する個々の電気化学セルのスタックを有することができる。これに対応するデザインを図2A〜2Cに示す。
【実施例】
【0033】
以下の実施例によって本発明についてさらに説明する。
実施例1〜6に記載された被覆されたおよび被覆されていないすべての試料につき、浸漬テストを行った。その結果、これらの試料は、脱イオン水中に30体積%のメタノールを含有する溶液(pH値は酢酸によって3に調整した)中に70℃において一週間放置された。各試料用の浸漬溶液は、次いで、基体材料および種々の金属被覆の双方の元素を検出するために、原子吸光分析による化学分析に供された。
実施例1〜6に従って行ったすべての浸漬テストにおいて、浸漬溶液中の金属含量は0.1ppm未満であった。従って、開示された被覆系は、燃料電池、特に直接メタノール型燃料電池中で使用される電極に十分な耐食性を付与するものである。
【0034】
実施例1
ステンレス鋼基体上に耐食性被覆を堆積するために、下記の一連のプロセスを適用することができる:
1. 被覆されるべき鋼基体を、5分間、約70℃の温度において、グリース除去する。グリース除去剤は、Metal Finishing, 2006, 153ページ、表II、ステンレス鋼基体に記載されている。
2. 約40℃の温度、約13のpHおよび10A/dmの電流密度において、約2分間カソード洗浄する。鋼製の電極を使用した。使用したカソード洗浄用組成物は、Metal Finishing, 2006, 154ページ、表VI、ステンレス鋼基体に記載されている。このような洗浄液は、一般に、水酸化カリウムまたはナトリウム、汚れ除去剤、スケール除去剤、湿潤剤および界面活性剤を含有し、二次的に有機的な汚れを除去する。
3. 酸性の酸洗い溶液中、約1分間、約70℃の温度において酸洗いする。酸洗い用組成物は、Metal Finishing, 2006, 156ページ、表X、ステンレス鋼基体に記載されている。
4. ステンレス鋼基体に、金の強酸性直流電気浴中で金の、ニッケルのストライク浴中でニッケルの、銀のストライク浴中で銀の、パラジウムの薄い金属層を堆積することによって活性化する。各金属層は、通常、0.03〜0.5μmの厚さを有する。
5. 上記活性化工程において、ニッケルストライク浴からのニッケルを堆積したのであれば、好ましくはその後、銀のストライク浴中で銀の薄層を堆積する。
6. 銀または金またはパラジウムの耐食性金属被覆を堆積する。
7. 耐食性銀被覆の場合には、任意的にAu、Pd、RhまたはRuの防曇被覆を堆積する。
SS 316 L基体上の純AgおよびAu被覆、ならびに参照としての被覆していない同じタイプの基体の腐食挙動は、pH2(硫酸で調整した)の水溶液中、60℃における直線掃引ボルタメトリー(LSV)により調べた。結果は図3にまとめた。
被覆していない参照基体は、腐食電圧約−100mVのとき、0.8Vを超える顕著な腐食電流を示した。このことは、耐食性に乏しいことを示す。
抵抗値の測定は、図4に示したような4点配置によって行った。被覆していないSS 316 L参照基体は、25mΩ/cmの抵抗値を有する。この値は、燃料電池、特に直接メタノール型燃料電池の電極へ適用するためには高すぎる値である。
【0035】
実施例1a
ステンレス鋼基体(36×36×0.2mm、240孔、孔径2mm)を洗浄し、実施例1の工程1〜3に従って前処理した。
次いで基体を水ですすぎ、KAg(CN)4g/L、KCN80g/L、KCO15g/Lを含有する浴から銀(ストライク)の薄層を堆積した。基体は、この浴中、25℃の温度、約15秒間、1A/dmの電流密度にて活性化した。このような浴は、Metal Finishing, 2006, 258ページに記載されている。
次いで、活性化した基体を銀浴に移し、銀の耐食性金属層を堆積した。この銀浴は、以下から構成される:KAg(CN)20g/L、KCN80g/L、KCO15g/L。この浴中、25℃の温度において約25分間、1A/dmの電流密度にて基体を活性化した。このような浴は、Metal Finishing, 2006, 257ページに記載されている。
実施例1aで得た被覆のLSV測定により、厚さ10μmのAg被覆は、腐食電圧+200mV付近で約0.4Vより高い電圧において強く攻撃されることが示された。
実施例1aで10μmのAg層が得られたSS 316 L基体の被覆は3.6mΩ/cmの抵抗値を有する。この値は、燃料電池、特に直接メタノール型燃料電池の電極としての適用に適する値である。
【0036】
実施例1b
鋼製基体上に金の耐食性金属被覆を得るために、上記実施例1aで使用した基体につき、先ず実施例1の工程1〜2に従った酸洗いによってグリース除去した。
次いでこの基体を、以下の成分を含有する金浴から金の薄層を堆積することによって活性化した:KAu(CN)4g/L、リン酸二カリウム22g/L、KCN15g/L。この浴中、30℃の温度において約1分間、2A/dmの電流密度にて基体を活性化した。
最後に、KAu(CN)18g/L、リン酸二カリウム30g/L、KCN15g/Lの金浴から金の耐食性金属を堆積した。この浴中、65℃の温度において約50分間、0.3A/dmの電流密度にて基体を活性化した。このような浴は、Metal Finishing, 2006, 220ページに記載されている。
実施例1bで得た被覆のLSV測定により、厚さ10μmのAu被覆のアノード電流は、約0.8Vより高い電圧において、被覆していない参照SS 316 Lの値よりも約1,000倍小さいことが示された。腐食電圧は450mVであり、少なくとも+1Vまでの電圧範囲において高い耐食性を示すものと思われる。
実施例1bで10μmのAu層が得られたSS 316 L基体の被覆は5.2mΩ/cmの抵抗値を有する。この抵抗値は、目的の用途に適する。
【0037】
実施例2
非導電性基体上に耐食性被覆を堆積するために、下記の一連のプロセスを適用することができる:
1. 汚れを除去する。汚れ除去プロセスは、例えばEP 1 390 568 B1に記載された如くして実施することができる。このプロセスは、有機膨潤剤によって基体を膨潤する工程、過マンガン酸塩溶液によって基体をエッチする工程および適当な還元剤によって二酸化マンガンを除去する工程からなる。これらの工程の間および還元工程の終了時には、通常、基体をすすぐ。
2. 非導電性基体上に、金属層、好ましくはパラジウム層を堆積することにより、基体を活性化する。
3. 任意的に、0.05〜0.4μmの厚さを持つパラジウム層を堆積する。
4. 銀または金の耐食性金属層を堆積する。
【0038】
実施例2a
FR4ベースの材料で製造された非導電性基体(36×36×0.2mm、240孔、孔径2mm)を下記の如くして処理した。この処理は、汚れ除去工程、活性化工程およびPd堆積工程を含む。
1. 汚れ除去:
炭酸ナトリウム溶液40g/L(超音波処理) 60秒 75℃
膨潤剤 300秒 70℃
過マンガン酸塩溶液(50g/L) 240秒 180℃
還元溶液(次亜リン酸ナトリウム) 60秒 50℃
2. US5,421,989の実施例1に記載された如き、塩化パラジウム、塩化水素酸およびポリビニルピロリドンを含有するパラジウムコロイドを用いた活性化。 90秒 55℃
任意的:基体の調質 1h 100℃
3. 基本的にリン酸パラジウム1.1g/L、次亜リン酸ナトリウム4.8g/L、エチレンジアミン10g/Lを含有するめっき欲を用いたパラジウムの化学堆積。 10分 52℃
基体の調質 1h 120℃
上記基体上に耐食性銀被覆を得るため、以下の追加工程を実施した:
4. 実施例1の工程3に従った酸洗い。
5. 実施例1aに従った、銀浴(ストライク)からの銀の薄層の堆積による活性化。
6. 実施例1aに従った銀浴からの銀の耐食性金属被覆の堆積。
上記銀の被覆は、十分な耐食性および≦20mΩ/cmの抵抗値を示した。
【0039】
実施例2b
金の耐食性金属被覆を得るために、先ず基体を上述の工程1〜3に従って処理した。
次いで、実施例1の工程3に従って基体を酸洗いした。
酸洗い工程に続き、実施例1bに従って60秒間、25℃、2A/dmの電流密度にて、金浴(ストライク)から金の薄層を堆積することによって活性化した。
最後に、実施例1bに従って50分間、65℃、0.3A/dmの電流密度にて、金浴から金の耐食性金属被覆を堆積した。
この金被覆は、十分な耐食性および≦20mΩ/cmの抵抗値を示した。
【0040】
実施例3
本実施例は、導電性基体上に、Ni−Pd/Ni−Auのメッキからなる耐食性被覆を堆積するためのプロセスを記述するものである。先ず、実施例1の工程1〜3に従って銅基体(36×36×0.2mm、240孔、孔径2mm)の前処理を行う。
以下のプロセス工程に従ったNi−Pd/Ni−Auメッキ:
1. 350g/Lのスルファミン酸ニッケルおよび30g/Lのホウ酸を含有する浴中、45分間、55℃、4A/dmにおける電解的ニッケル堆積。このような浴は、Metal Finishing, 2006, 227〜239ページに記載されている。
2. 実施例1bに従った、1分間、30℃、2A/dmにおける金(ストライク)の薄い金属層の堆積。
3. 基本的にPd(NHCl20g/L、塩化アンモニウム60g/L、塩化ニッケル12g/Lを含有する電解質浴からのパラジウムニッケルの堆積(25分間、30℃、1A/dm)。このような浴は、Metal Finishing, 2006, 248〜249ページに記載されている。
4. 実施例1bに従った、25分間、65℃、0.3A/dmにおける金浴からの金の堆積。
銅上のこのNi−Pd/Ni−Au被覆は、十分な耐食性および≦5mΩ/cmの抵抗値を示した。
【0041】
実施例4
上記実施例1に記載された前処理工程1〜3によって得られたのと同じ基体につき、該基体を実施例3に従ったPd/Ni浴に25分間、55℃の温度および電流密度1A/dmにて浸漬してPd/Niで被覆した。
ステンレス鋼上のPd/Ni被覆は、十分な耐食性および≦20mΩ/cmの抵抗値を示した。
【0042】
実施例5
上記実施例3に記載された前処理工程1〜4によって得られたのと同じ基体につき、該基体を以下の追加するプロセス工程に供することによってPd/Ni−Ag被覆で被覆した:
5. 実施例3に従った浴中、25分間、55℃、1A/dmの電流密度におけるパラジウムニッケルの堆積。
6. 実施例1に従った浴(ストライク)からの、15秒間、25℃、5A/dmの電流密度おける銀薄層の堆積による活性化。
7. 実施例1に従った銀浴からの、25分間、25℃、1A/dmの電流密度における銀の耐食性金属層の堆積。
銅基体上のこのPd/Ni−Au被覆は、十分な耐食性および≦5mΩ/cmの抵抗値を示した。
【0043】
実施例6
実施例3に記載された前処理工程を適用して得られた基体につき、該基体を以下の追加工程に供することによって耐食性金属被覆を得た。
5. 実施例1に従った浴からの、15秒間、5A/dmの電流密度における銀(ストライク)の薄層の堆積による活性化。
6. 実施例1に従った銀浴からの、25分間、1A/dmの電流密度における銀の耐食性金属層の堆積。
銅基体上のこのAg被覆は、十分な耐食性および≦5mΩ/cmの抵抗値を示した。
【符号の説明】
【0044】
(1)、(2) セルのカソード
(3) 外部電力供給の5V端子
(4) 制御回路のデータ端子
(5) 制御回路のクロック端子
(6) 電力供給のグラウンド端子
(7)、(8) セルのアノード
(9) golden fingerの信号ピン(8ピンを有する信号回路)
(10)アノード流れのインレット;燃料のインレット(3.0%〜10.0%v/vメタノール)
(11)アノード流れのアウトレット;燃料のアウトレット(3.0%〜10.0%v/vメタノール)
(12)カソード電流集電メッシュ;燃料電池のカソード側の電流集電回路
(13)EMS制御回路;電流および電圧の強度、モジュールの温度などを測定する機能を有するエネルギー処理システムの制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極および正極を備えたメンブラン電極アセンブリを有する、燃料電池に使用される電極を製造するためのプロセスであって、下記工程:
(i) 電極基体を準備する工程、ならびに
(ii) 該電極基体をメッキ浴からの金属層で被覆する工程、ただし前記金属はAg、Au、Pdおよびこれらの合金から選択される
を含む、前記プロセス。
【請求項2】
上記基体が非導電性基体から選択されるものである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
上記非導電性基体が、エポキシ樹脂の基体、セラミクス、ポリイミドの基体、PEEK、Cyanatester、PPE、APPEおよびPTFE−タイプ、ビスマレイミドトリアジンの複合材料からなる基体、補強されたポリマー材料からなる基体および金属箔により部分的に積層されている基体から選択されるものである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
上記セラミクスがアルミナセラミクスであり、上記基体がFR1、FR2、FR3、FR4、FR5、CEM1、CEM3、GIおよびGETEKよりなる群から選択される補強ポリマー材料からなるものである、実施例3に記載のプロセス。
【請求項5】
上記基体が導電性基体である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
上記導電性基体がステンレス鋼の基体である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
上記導電性基体が銅または銅合金の基体である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
上記被覆された基体が≦20mΩ/cmの抵抗値を有するものである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
上記被覆された基体が≦10mΩ/cmの抵抗値を有するものである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
上記基体が、第一のシードおよびPdからなる第二の中間層およびAgまたはAuからなる第三の表面層によって被覆されている、請求項2に記載のプロセス。
【請求項11】
上記基体が、Pdからなる第一の層およびAgからなる第二の層によって被覆されている、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
上記第二の層の表面上に、Auからなる第三の層が被覆している、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
基体と上記第一の層との間に、Niまたはその合金からなる中間層が形成されている、請求項11または12に記載のプロセス。
【請求項14】
上記ステンレス鋼基体が、Auからなる第一の層およびAgからなる第二の層に被覆されている、請求項6に記載のプロセス。
【請求項15】
上記ステンレス鋼基体が、Niからなる第一の層およびAgからなる第二の層に被覆されている、請求項6に記載のプロセス。
【請求項16】
上記ステンレス鋼基体が、Auからなる第一の層およびAuからなる第二の層に被覆されている、請求項6に記載のプロセス。
【請求項17】
上記非導電性基体が、Pdからなる第一の層およびAgからなる第二の層に被覆されている、請求項2に記載のプロセス。
【請求項18】
上記非導電性基体が、Auからなる第一の層およびAuからなる第二の層に被覆されている、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
上記Ag層の表面上に、Pd、Au、RhまたはRuからなる防曇層が形成されている、請求項11および14〜17に記載のプロセス。
【請求項20】
上記基体が、直流電気浴からの0.05〜40μmの厚さを持つ金属層によって電解的に被覆されたものである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項21】
上記基体が、直流電気浴からの、0.5〜15μmの厚さを持つAg、0.05〜1μmの厚さを持つAuおよび0.05〜30μmの厚さを持つパラジウムよりなる群から選択される金属層によって電解的に被覆されたものである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
上記基体が、直流電気浴からの、1〜40μmの厚さを持つAg、1〜40μmの厚さを持つAuおよび1〜60μmの厚さを持つパラジウムよりなる群から選択される金属層によって電解的に被覆されたものである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項23】
上記Ag/Au層が1〜15μmの厚さを持つものである、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
上記基体が、直流電気浴からの0.05〜40μmの厚さを持つ金属層によって電解的に被覆されたものである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項25】
上記金属層が、0.05〜10μm厚さを持つものである、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
上記燃料電池が直接メタノール型燃料電池である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項27】
上記直接メタノール型燃料電池が、メンブラン電極アセンブリに接触するバイポーラープレートを有するものである、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
上記Pd層が、上記Ag層と上記Au層との間に形成されているものである、請求項1または21に記載のプロセス。
【請求項29】
上記基体がステンレス鋼基体であり、該ステンレス鋼基体が0.05〜1.0μmの厚さを持つAu層に被覆されている、請求項21に記載のプロセス。
【請求項30】
上記ステンレス鋼基体が0.06〜0.1μmの厚さを持つAu層に被覆されている、請求項29に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−524160(P2010−524160A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501427(P2010−501427)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002615
【国際公開番号】WO2008/122397
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(503037583)アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (55)
【氏名又は名称原語表記】ATOTECH DEUTSCHLAND GMBH
【Fターム(参考)】