説明

燃料電池自動車

【課題】水素漏れが発生した場合に水素が直ちに漏れるのを防止でき、しかも車両搭載性を損なうことがない燃料電池自動車を提供する。
【解決手段】燃料電池20および補機21をフロアパネル4のセンターコンソール4a内に収容し、水素供給配管5aと水素供給配管5bとの接続部5cは、センターコンソール4aの内側に位置している。また、水素供給配管5aは、サブフレーム22(22a)の上側とフロアパネル4との間を貫通している。センターコンソール4a内の上部には、水素センサ40が設けられている。水素供給配管5(5a,5b)は、水素ストレージシステム3に直接に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池自動車では、水素タンクと、燃料電池および補機とを別々のサブフレームに搭載したうえで、シャーシ(メインフレーム)に組付けを行うことが一般的に行われていた。この場合、水素タンク側のサブフレームと、燃料電池および補機側のサブフレームとの間には、水素タンクから水素を供給するための水素供給ラインの接続部が最低1箇所必要になる。
【0003】
また、水素タンク側のシステムと、燃料電池側のシステムは、それぞれ車両搭載前にサブフレーム上で圧検(気密試験)が行われるが、前記水素供給ラインにおける水素タンク側と燃料電池側との接続部は、車両搭載後に圧検が必要となり、組み付け不具合による水素漏れ有無の検出は、市場における不具合を防止する上で重要なものとなっている。
【0004】
例えば、水素が漏れたときに車両外に広がる前に車両内で検出するためのパッケージ技術として、燃料電池システムを車両の中央に配置する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−15612号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術のように、単純に水素供給ラインの接続部を車両中央に配置した場合、車両搭載性が著しく損なわれ、また走行時のチッピング(路面にある砂利などを跳ね上げて車両に当たること)に対する耐久性が低下するという問題がある。
【0006】
また、車両搭載性を優先して、水素供給ラインの接続部を接続し易い位置(例えば、工具が入り易い所)に設定すると、接続部から水素漏れが発生したときの検知性が大幅に悪化する可能性がある。そのための対策として、水素センサの設置数を増やさざるを得なくなり、また部品構成や組み付け時の圧検工程が煩雑化してコストアップにつながるという問題がある。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、水素漏れが発生した場合に水素が直ちに車両外に漏れるのを防止でき、しかも車両搭載性を損なうことがない燃料電池自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、燃料電池と、前記燃料電池の補機とがサブフレームを介して車両のフロアパネルの下方に取り付けられる燃料電池自動車において、水素供給部から前記補機を通って前記燃料電池へ水素を供給する水素供給配管を有し、前記フロアパネルが凸形状で前記サブフレームとの間で上部に閉空間を構成し、前記水素供給配管と水素供給配管との接続部は、凸形状の前記フロアパネルの内側に位置している。
【0009】
請求項1に係る発明によれば、接続部が凸形状のフロアパネルの内側に位置している、すなわち接続部の上部にフロアパネルの凸形状が位置しているので、接続部から仮に水素漏れが発生したとしても、直ちに車両の外部に水素が漏れ出ることがない。しかも、アンダーカバーを取り外すと見える位置にできるので、取り付けが容易になる。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記水素供給配管は、前記サブフレームの上側と前記フロアパネルとの間を貫通していることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、アンダーカバー上に位置することになり、チッピングせず、取り付けも容易になる。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記接続部は、断面視したときに、前記補機の外側の視認性を有する位置にあることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、水素供給部側の水素供給配管を設置した状態において、燃料電池および補機を備えたサブフレームの取付時に接続部が干渉することなく取り付けることができる。しかも、接続部が視認性を有することによりメンテナンスも容易になる。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記閉空間の上部には、水素センサが設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、水素は空気よりも非常に軽い気体であり、水素が外部より先に内側(閉空間)に充満するため、水素漏れを直ちに検知することが可能になる。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記水素供給配管は、前記水素供給部に直接に接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、水素供給配管における水素漏れの箇所を少なくでき、接続部がフロアパネルにあるため水素センサによる検知性を高めることができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、燃料電池と、前記燃料電池の補機とがサブフレームを介して車両のフロアパネルの下方に取り付けられる燃料電池自動車において、水素供給部から前記補機を通って前記燃料電池へ水素を供給する水素供給配管を有し、前記燃料電池および前記補機を前記フロアパネルのセンターコンソール内に収容し、前記水素供給配管と水素供給配管との接続部は、前記センターコンソールの内側下方、かつ、前記サブフレームの内側に位置していることを特徴とする。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、接続部がセンターコンソールの内側に位置しているので、仮に接続部から水素が漏れたとしても、水素がセンターコンソール内に先に流れ、直ちに車両の外部に水素が漏れ出ることがない。しかも、接続部が例えばアンダーカバーを取り外すと見える位置にできるので、取り付けが容易になる。
【0020】
請求項7に係る発明は、前記水素供給配管は、前記サブフレームの上側と前記フロアパネルとの間を貫通していることを特徴とする。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、アンダーカバー上に位置することになり、チッピングせず、取り付けも容易になる。
【0022】
請求項8に係る発明は、前記接続部は、断面視したときに、前記補機の外側の視認性を有する位置にあることを特徴とする。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、水素供給部側の水素供給配管を設置した状態において、燃料電池および補機を備えたサブフレームの取付時に接続部が干渉することなく取り付けが可能になる。しかも、接続部が視認性を有することによりメンテナンスも容易になる。
【0024】
請求項9に係る発明は、前記センターコンソール内の上部には、水素センサが設けられていることを特徴とする。
【0025】
請求項9に係る発明によれば、水素は空気よりも非常に軽い気体であり、水素が外部より先に内側(センターコンソール内)に充満するため、水素漏れを直ちに検知することが可能になる。
【0026】
請求項10に係る発明は、前記水素供給配管は、前記水素供給部に直接に接続されていることを特徴とする。
【0027】
請求項10に係る発明によれば、水素供給配管における漏れの箇所を少なくでき、接続部がフロアパネルにあるため水素漏れの箇所を少なくでき、水素センサによる検知性を高めることできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、水素漏れが発生した場合に水素が直ちに車両外に漏れるのを防止でき、しかも車両搭載性を損なうことがない燃料電池自動車を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は本実施形態の燃料電池自動車における主要部の配置を側面から見たときの透視図、図2は燃料電池自動車を車両下側から見たときの平面図、図3は水素供給配管の接続部およびその周辺の配置を後方から見たときの断面図、図4は水素供給配管の接続部を示す拡大図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の燃料電池自動車1は、燃料電池システム2、水素ストレージシステム(水素供給部)3、水素供給配管5などを含んで構成されている。なお、本実施形態における燃料電池自動車1では、フロアパネル4の中央部を前後方向に延びるセンターコンソール4aを有する車両を例に挙げて説明する。
【0031】
前記燃料電池システム2は、燃料電池20および補機21がサブフレーム22に搭載されて構成されている。
【0032】
前記燃料電池20は、例えば、固体高分子からなる電解質膜、電極触媒層(アノード、カソード)、ガス拡散層を積層してなる膜電極接合体(MEA;Membrane Electrode Assembly)を有し、さらに膜電極接合体の両面を導電性のセパレータで挟んで構成した単セルを厚み方向(本実施形態では車両の前後方向)に複数積層した構造を有している。また、アノードに対向するセパレータには水素が流通する流路、カソードに対向するセパレータには空気が流通する流路がそれぞれ形成されるとともに、セパレータ同士を連通させる貫通孔などが形成されている。
【0033】
このような燃料電池20では、アノード側のセパレータに水素ストレージシステム3から供給された水素がガス拡散層によって拡散してアノードに供給され、カソード側のセパレータにエアコンプレッサから供給された空気(酸素)がガス拡散層によって拡散してカソードに供給される。アノードでは、触媒の作用によって水素が水素イオンと電子に分離して、水素イオンが電解質膜を介してカソードに透過し、カソードでは、触媒の作用によって透過した水素イオンと、外部負荷を通ってカソードに移動した電子と、供給された空気中の酸素との電気化学反応によって水が生成される。
【0034】
前記補機21は、アノード系(水素系)の補機であり、燃料電池20の後方に位置し、例えば、図示しないレギュレータ(減圧弁)やエゼクタなどを含み、これらが組み合わされて集合体として構成されている。
【0035】
なお、レギュレータは、水素ストレージシステム3から供給される水素の圧力を減圧する機能を有する。エゼクタは、水素ストレージシステム3から供給された水素を噴射するノズル部(図示せず)を有し、燃料電池20から排出された未反応の水素を再循環させる循環配管と接続され、ノズル部から水素を噴射する際に発生する負圧によって循環配管側の未反応の水素が吸引されて燃料電池20に供給されるように構成されている。
【0036】
また、補機21は、アノード系の排出側の弁や、カソード系の補機が組み合わされて構成されていてもよい。ちなみに、アノード系の排出側の弁は、水素循環系に蓄積した不純物を排出する際のパージ弁など、カソード系の補機は、加湿器、背圧弁などである。
【0037】
燃料電池20および補機21は、サブフレーム22上に固定された状態で、燃料電池自動車1における車体のフロアパネル4に対して下方から取り付けられる。このフロアパネル4は、車体の一部で車室内の床面を構成する板材であり、車幅方向の中央部に前後方向に延びるセンターコンソール(センタートンネル)4aを有している。このセンターコンソール4a内には、前側に燃料電池20、その後側に補機21が位置した状態で収容され、サブフレーム22が車体にマウント部材(図示せず)を介して取り付けられる。
【0038】
なお、本実施形態における燃料電池20は、単セルが車両の前後方向に積層されたものであり、例えば運転席と助手席との間に位置している。また、補機21は、燃料電池20の後側に隣接して配置され、燃料電池20の後端面に形成された水素導入口と接続されている。
【0039】
前記水素ストレージシステム3は、水素タンク30、遮断弁31、リアサスペンション(図示せず)などがリアサブフレーム32に搭載されて構成されている。
【0040】
前記水素タンク30は、例えば、アルミニウム合金により形成され、その内部に高純度の水素ガスを高圧で貯留するタンク室(図示せず)を有し、そのタンク室の周囲をCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)や、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic:ガラス繊維強化プラスチック)等で形成されたカバー(図示せず)で被覆して構成されている。
【0041】
前記遮断弁31は、例えば、ソレノイドを有する電磁作動式のものであり、水素タンク30と一体に構成されたインタンク式のものである。
【0042】
このような遮断弁31を備えた水素タンク30は、リアサブフレーム32上に固定され、燃料電池自動車1における車体のフロアパネル4に対してマウント部材(図示せず)を介して下方から取り付けられる。
【0043】
図2に示すように、前記サブフレーム22は、車両の前後方向に平行に延びる一対のフレーム部22a,22b、車幅方向に延びるフレーム部22c,22dなどが井桁状に組み合わされて構成されている。
【0044】
燃料電池20は、フレーム部22a,22b,22cで囲まれる領域のサブフレーム22上において、フレーム部22aとフレーム部22bとに跨るようにしてボルトなどで固定されている。
【0045】
補機21は、フレーム部22a〜22dで囲まれる領域のサブフレーム22上において、車幅方向右寄りにボルトなどで固定される。
【0046】
前記リアサブフレーム32は、例えば井桁状に形成され、水素タンク30が横置きされた状態でボルトなどによって固定されている。
【0047】
前記した燃料電池システム2と水素ストレージシステム3とは、水素供給配管5を介して接続される。この水素供給配管5は、遮断弁31を備えた水素タンク30と補機21とを接続するものであり、水素タンク30から延びる水素供給配管5aと、補機21から延びる水素供給配管5bとが接続部5cを介して着脱できるように構成されている。本実施形態では、水素タンク30と補機21とは、接続部5cを除いて他に接続部分を持たないように構成されている。
【0048】
また、水素供給配管5aは、水素タンク30から前方へ延び、補機21の位置において、車幅方向内側(図示右側)に折り曲げられた折曲部5a1を有している。水素供給配管5bは、補機21から下方に向けて延びて形成され(図3参照)、車幅方向外側(図3において左側)に延びて形成された折曲部5b1を有している。そして、折曲部5a1と折曲部5b1とが車幅方向(左右方向)に向いた状態で接続部5cを介して接続されている。
【0049】
なお、接続部5cは、例えば、水素供給配管5bにねじ溝が形成され、水素供給配管5aにナットが取り付けられて、Oリングを介して水素供給配管5a,5b同士のシール性が確保されるようになっている。
【0050】
図3に示すように、水素供給配管5は、サブフレーム22(フレーム部22a)の上部とフロアパネル4との間を貫通するように配置されている。なお、貫通させる手段としては、サブフレーム22のフレーム部22aの上面に凹み部(左右方向に延びる凹条の切欠き)を形成して、この凹み部に水素供給配管5を通すことで貫通させることができる。また、接続部5cは、センターコンソール4aの凸形状において、車幅方向の内側に位置するように構成されている。
【0051】
前記フロアパネル4のセンターコンソール4a内の上部には、水素センサ40が設けられている。この水素センサ40は、水素漏れを検知するセンサであり、例えば接触燃焼式、半導体式のもので構成されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、センターコンソール4aの一部が燃料電池20と補機21との境界付近においてさらに上方に突出する凸部4a1を有しており、その凸部4a1内に水素センサ40が設けられている。つまり、水素センサ40は、センターコンソール4a内における最も高い位置に設けられている。
【0052】
図4に示すように、水素タンク30から延びる水素供給配管5a(5)は、サブフレーム22のフレーム部22a上を通過して内側(図示右側)に延びて形成されている。接続部5cは、補機21の左端面よりも車幅方向の外側に位置している。また、接続部5cは、符号S1の破線で示す接続部5cのジョイント端面(水素供給配管5aと水素供給配管5bとが切り離されたときの境界面)が、符号S2の破線で示すセンターコンソール4aの端面よりも内側に位置している。このようにジョイント端面S1がセンターコンソール4aの端面から離れているのは、接続部5cに設けられたOリングをP方向から目視するための角度α(例えば、60度)を確保するためである。
【0053】
なお、本実施形態における燃料電池自動車1では、サブフレーム22上に燃料電池20および補機21を取り付けた燃料電池システム2の状態において圧検が行われ、また、リアサブフレーム32上に水素タンク30などが取り付けられた水素ストレージシステム3の状態において圧検が行われる。そして、それぞれの圧検が完了した後、水素ストレージシステム3のリアサブフレーム32を車体に取り付け、水素ストレージシステム3と水素供給配管5a(5)とを接続する。そして、燃料電池システム2のサブフレーム22を車体に取り付けた後、水素供給配管5bと水素供給配管5aとを接続部5cを介して接続する。そして、このように接続部5cを接続した状態において、最終的な圧検が行われる。
【0054】
このように構成された燃料電池自動車1では、発電時において、遮断弁31が開放されて、水素タンク30から水素供給配管5を介して補機21に水素が供給される。補機21では、供給された水素が図示しないレギュレータによって所定の圧力に減圧された後、エゼクタ(図示せず)を通って燃料電池20のアノードに供給される。また、図示しないエアコンプレッサによって取り込まれた空気が加湿器(図示せず)で加湿された後、燃料電池20のカソードに供給される。燃料電池20によって発電された電力(電流)は、図示しない走行モータに供給されて、駆動輪(前輪)が駆動されるようになっている。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の燃料電池自動車1によれば、水素ストレージシステム3に接続された水素供給配管5aと、補機21に接続された水素供給配管5bとを接続する接続部5cが、センターコンソール4aの車幅方向の内側に位置しているので、接続部5cから仮に水素が漏れたとしても、漏れた水素は、先にセンターコンソール4aに溜まり、直ちに車両の外部に漏れ出ることがない。したがって、水素センサの設置個数を増やすことがないので、コストアップを招くこともない。例えば、燃料電池20や補機21を覆うアンダーカバー(図示せず)が取り付けられるが、本実施形態のように接続部5cがサブフレーム22の内側に位置しているので、そのアンダーカバーを取り外したときに接続部5cを容易に視認することができ、水素供給配管5aと、水素供給配管5bとの接続(取り付け)を容易にできる。なお、サブフレーム22の内側とは、フレーム部22a〜22dで囲まれる四角枠状の内側を意味している。
【0056】
また、本実施形態によれば、水素供給配管5(5a)がサブフレーム22(フレーム部22a)の上部とフロアパネル4との間を貫通するように形成されているので、走行時のチッピングに対して、接続部5cがサブフレーム22(フレーム部22a)によって保護されるので、接続部5cおよびその周辺の配管の耐久性を向上できる。
【0057】
しかも、本実施形態では、接続部5cが補機21の端部(端面)よりも車幅方向の外側(図示左側)に位置しているので(図4参照)、水素供給配管5aが先に固定された状態において、燃料電池システム2のみを着脱することが容易になる。つまり、燃料電池システム2を取り付ける際および取り外す際に、水素供給配管5aの端部が補機21に当たることなく、燃料電池システム2を車両に対して着脱できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、水素センサ40がセンターコンソール4a内の上部に設けられているので、空気よりも非常に軽い水素がセンターコンソール4aの上部に溜まり、水素センサ40によって早期に水素漏れを検出できる。その結果、水素センサ40による検知性を向上できる。
【0059】
また、本実施形態によれば、水素供給配管5が接続部5cを除いて1本の配管で接続されているので、水素が漏れる箇所を最小限にすることができ、水素センサ40による検知性を高めることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、センターコンソール4a内に燃料電池20および補機21を収容する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示すような構成が可能である。すなわち、燃料電池自動車のフロアパネル4に凸部4cが形成され、燃料電池20および補機21が固定された井桁状のサブフレーム22(22a,22b)がフロアパネル4の下方にマウント部材(図示せず)を介して取り付けられている。また、水素ストレージシステム(図示せず)側に接続された水素供給配管5a(5)と補機21側に接続された水素供給配管5b(5)とが接続部5cを介して接続され、この接続部5cがフロアパネル4の凸部4cとフレーム部22a,22bとで囲まれる閉空間の内側に位置している。
【0061】
図5に示す実施形態においても、前記した実施形態と同様に、接続部5cから仮に水素が漏れたとしても、漏れた水素は、先に凸部4c内に溜まり、直ちに車両の外部に漏れ出ることがなく、しかも接続部5cがアンダーパネル(図示せず)を取り外して視認できる位置にあるので、水素供給配管5aと水素供給配管5bとの接続を容易にできる。また、水素供給配管5a(5)がフレーム部22a(22)の上部とフロアパネル4との間を貫通しているので、接続部5cにおけるチッピングに対する耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態の燃料電池自動車における主要部の配置を側面から見たときの透視図である。
【図2】燃料電池自動車を車両下側から見たときの平面図である。
【図3】水素供給配管の接続部およびその周辺の配置を後方から見たときの断面図である。
【図4】水素供給配管の接続部を示す拡大図である。
【図5】他の実施形態における水素供給配管の接続部およびその周辺の配置を後方から見たときの断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 燃料電池自動車
2 燃料電池システム
3 水素ストレージシステム(水素供給部)
4 フロアパネル
4a センターコンソール
5,5a,5b 水素供給配管
5c 接続部
20 燃料電池
21 補機
22 サブフレーム
30 水素タンク
31 遮断弁
40 水素センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、前記燃料電池の補機とがサブフレームを介して車両のフロアパネルの下方に取り付けられる燃料電池自動車において、
水素供給部から前記補機を通って前記燃料電池へ水素を供給する水素供給配管を有し、
前記フロアパネルが凸形状で前記サブフレームとの間で上部に閉空間を構成し、
前記水素供給配管と水素供給配管との接続部は、凸形状の前記フロアパネルの内側に位置していることを特徴とする燃料電池自動車。
【請求項2】
前記水素供給配管は、前記サブフレームの上側と前記フロアパネルとの間を貫通していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池自動車。
【請求項3】
前記接続部は、断面視したときに、前記補機の外側の視認性を有する位置にあることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池自動車。
【請求項4】
前記閉空間内の上部には、水素センサが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池自動車。
【請求項5】
前記水素供給配管は、前記水素供給部と直接に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池自動車。
【請求項6】
燃料電池と、前記燃料電池の補機とがサブフレームを介して車両のフロアパネルの下方に取り付けられる燃料電池自動車において、
水素供給部から前記補機を通って前記燃料電池へ水素を供給する水素供給配管を有し、
前記燃料電池および前記補機を前記フロアパネルのセンターコンソール内に収容し、
前記水素供給配管と水素供給配管との接続部は、前記センターコンソールの内側に位置していることを特徴とする燃料電池自動車。
【請求項7】
前記水素供給配管は、前記サブフレームの上側と前記フロアパネルとの間を貫通していることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池自動車。
【請求項8】
前記接続部は、断面視したときに、前記補機の外側の視認性を有する位置にあることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池自動車。
【請求項9】
前記センターコンソール内の上部には、水素センサが設けられていることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池自動車。
【請求項10】
前記水素供給配管は、前記水素供給部に直接に接続されていることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の燃料電池自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−220741(P2009−220741A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68819(P2008−68819)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】