説明

物体までの距離および/または物体の相対速度の明確な判定を行うための方法、運転者支援デバイス、および車両

本発明は、自動車(1)の中の周波数変調連続波レーダ(3、4)によって、自動車(1)に対する物体までの距離、および/または物体の相対速度の明確な判定を行うための方法に関する。周波数変調連続波レーダ(3、4)は、1回の測定サイクルの中で、所定のシーケンスの周波数変調信号パルス(23)を送信し、そのシーケンスによって、距離に対する明確エリア(RUn)、および/または相対速度に対する明確エリア(VUn)が判定される。この場合、距離に対する互いに異なる明確エリア(RUn)、および/または相対速度に対する互いに異なる明確エリア(VUn)が、連続する少なくとも2回の測定サイクルに対して規定され、距離および/または相対速度は、それぞれの場合に、各測定サイクルから得られる距離および/または相対速度に対する少なくとも1つの測定値に基づいて判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の中の周波数変調連続波レーダによって、自動車に対する物体までの距離、および/または物体の相対速度の明確な判定を行うための方法に関する。周波数変調連続波レーダは、個々の測定サイクルの中で、所定のシーケンスの周波数変調信号パルス(チャープ)を送信する。距離の判定に対する明確エリア、および/または相対速度の判定に対する明確エリアは、周波数変調信号パルスのシーケンスによって判定される。本発明はまた、運転者支援デバイス、およびこの運転者支援デバイスを有する車両にも関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の対象は、周波数変調連続波レーダにある。以下においては、このレーダを、FMCWレーダ、または単にレーダと呼ぶことにする。ここで言うレーダは、次のように動作する。レーダは、1回の測定サイクルの中で、送信信号として、所定の数の周波数変調信号パルス(また「チャープ」という用語でも呼ばれる)を送信する。そして、レーダは、受信信号を受信する。この受信信号は、送信信号が物体によって反射されたものである。送信信号は、受信信号と比較される。レーダの2つの主要な測定変数は、距離および相対速度である。距離は、送信信号の遅延時間によって判定され、相対速度は、ドップラ効果の結果で現れる送信信号の周波数の変化によって判定される。
【0003】
これらのレーダを、自動車の中で使用することは、従来既に公知である。特許文献1は、ここで述べるFMCWレーダを有する自動車に関して記述している。この方法は、自動車の周囲のエリアの中の少なくとも1つのサブエリアの中にある物体に対しては、測定サイクルの中の所定の時間間隔の中で距離だけを判定し、相対速度は判定しないという点が他と異なっている。16から64までの数の周波数変調信号パルス(それぞれが約の250μsの継続時間を有する)が、1回の測定サイクルの中で、またレーダローブ毎(ビーム毎)にレーダによって送信される。そして、信号パルスの全シーケンスに対する受信信号は、コヒーレントに評価される。これにより、比較的高いドップラ周波数分解能、および比較的高い信号対雑音比(SNR)が得られ、また同時に、利用可能な測定時間を上手に利用することができる。送信信号のパラメータ、およびシステムパラメータは、現在ある素子を使用して(具体的には、特に、個々の信号パルスの継続時間を250μsに選定することに基づいて、また、受信信号に対するアナログディジタル変換器のサンプリングレートに基づいて)、良い測定結果を達成することができるように選定されている。この場合には、サンプリングレートは1MHzである。
【0004】
実際には、2つの変数(距離および相対速度)の測定には、制限が加わる。これは、測定の分解能と明確さとが制約を受けるという点である。原理的には、レーダは、同時に複数のターゲットを処理することができる。レーダの分解能の能力は、レーダが2つのターゲットを別のターゲットとして検出できるためには、2つのターゲットが互いにどのくらい離れていなければならないかということを示している。特許文献1におけるレーダを使用すれば、ターゲットに対する距離と速度との両方の分解能を得ることができる。1つの例として、1mの距離分解能は、2つのターゲットをレーダによって識別するためには、レーダからのそれらの2つのターゲットまでの距離が少なくとも1mだけ異なっていなければならないということを意味している。
【0005】
既に述べたように、距離測定および相対速度測定には、不明確さが伴う可能性がある。一般的に、これはサンプリング効果に由来する。不明確さの問題は、次の例で示される。1つの例として、レーダは、最大距離300mまでのターゲットを検出することができる。しかしながら、距離の明確さ(明確エリア)は、例えば、100mであったとする。従ってこの値は、レーダの最大距離よりも大幅に小さな値である。この場合には、約10mの距離であるという測定値は、ターゲットが、距離10m、110m、または210mレーダから離れている可能性があるということを意味している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ国特許102005048209A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
送信信号に対するパラメータの選定は、システムパラメータの選定とともに、距離の判定に対する明確エリアと速度の判定に対する明確エリアとに影響を与える。上記したように、ここで挙げたパラメータの場合では、距離に対する明確エリアは、約100mであり、速度の判定に対する明確エリアは、約80km/hである。しかしながら、実際には、レーダはまた、レーダから100mよりも大幅に離れた距離にあるターゲットを検出することができる。また、実際には、特に自動車道路の上では、−200km/hと+200km/hとの間にある相対速度が、さらに加わる可能性がある。従って、主要な要求条件として、距離および速度に対する明確エリアを総合的に増加させるという課題がある。
【0008】
距離の判定に対する明確エリアを増加させるために、原理的には、受信機の中のアナログディジタル変換器のサンプリングレートを増加させることが可能である。しかしながら、この解決策は最適ではない。アナログディジタル変換器のサンプリングレートを増加させれば、アナログディジタル変換器の素子のコストが増加する。一方、個々の周波数変調信号パルスの継続時間を低減することにより、速度の判定に対する明確エリアは、増加させることができると考えられる。しかしながら、この場合には、距離分解能を一定に保つためには、アナログディジタル変換器のサンプリングレートは、それに対応させて増加させなければならない。さらに、同じドップラ周波数分解能を得るためには、対応して更に多くの信号パルスを送信しなければならないこととなる。これにより、更に、ハードウェアのコストが増加するという問題が生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、初めに挙げた一般的なタイプの方法の場合に、距離の判定に対する明確エリア、および/または相対速度の判定に対する明確エリアを、従来技術と比較して、いかにして総合的に増加させることができるかということに対する解決策を提供することである。
【0010】
本発明においては、この目的は、請求項1における要件を有する方法と、請求項9における要件を有する運転者支援デバイスと、請求項10における要件を有する車両とによって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項およびその説明において記載してある。
【0011】
本発明による方法は、自動車等の車両に対する物体への距離、および/または物体の相対速度の明確な判定を、自動車の中のFMCWレーダによって行うものである。レーダは、1回の測定サイクルの中で、所定のシーケンスの周波数変調信号パルス(チャープ)を送信する。所定のシーケンスの周波数変調信号パルスによって、距離に対する明確エリア、および/または相対速度に対する明確エリアは、事前に設定される。本発明によれば、少なくとも2つの測定サイクル(特に、接して連続した)が提供され、これら2つの測定サイクルの距離に対する明確エリア、および/または相対速度に対する明確エリアは、互いに異なっている。そして、距離および/または相対速度は、それぞれの場合で、各測定サイクルから得られた、距離および相対速度に対する少なくとも1つの測定値に基づいて判定される。
【0012】
これは、距離に対する、互いに異なる明確エリア、および/または相対速度に対する、互いに異なる明確エリアが、少なくとも2つの連続した測定サイクルに対して事前に設定されるということを意味している。例えば、レーダは、1つのこのようなシーケンスの周波数変調信号パルスを、第1の測定サイクルの中で送信して、距離に対する第1の明確エリアと相対速度に対する第1の明確エリアとを規定することができる。第2の測定サイクルの中で、例えば、レーダは、1つのこのようなシーケンスの周波数変調信号パルスを送信することができ、これにより、距離に対する第2の明確エリアと相対速度に対する第2の明確エリアとを事前に設定することができる。これによって、従来技術と比較して、距離に対する明確エリア、および/または相対速度に対する明確エリアを、総合的に増加させることが可能になる。これにより、距離および/または相対速度の明確な判定を保証することができる。従って、本発明は、異なる明確エリアを有する複数の測定を行うことにより、総合的な測定の総合的な明確エリアを増加させることができるという知識に基いているものである。これにより、不明確な測定による測定値を比較することにより、不明確さの少ない測定値を求めることができる。
【0013】
特に、少なくとも2回の連続した測定サイクルで、距離に対する異なる明確エリアと、相対速度に対する異なる明確エリアの両方が、事前に設定されていることが望ましい。これにより、総合的な測定の2つの明確エリアを、従来技術と比較して、総合的に増加させることが可能となり、明確な測定を保証することができる。
【0014】
原理的に、少なくとも2回の異なる測定サイクルで、レーダの受信機の中のアナログディジタル変換器のサンプリングレートを変化させて、距離に対する明確エリアとして異なる値を定めることができる。しかしながら、距離に対する異なる明確エリアの規定が、周波数変調信号パルスのそれぞれのシーケンスに対して設定される、互いに異なる周波数シフトを含むことが有利であるということが見出された。これは、異なる周波数シフトが、それぞれの場合に、信号パルスのシーケンスに対して、その少なくとも2回の測定サイクルの中で事前に設定されているということを意味している。例えば、第1の周波数シフトは、第1の測定サイクルの中の周波数変調信号パルスの全シーケンスに対して設定することができ、それとは異なる第2の周波数シフトは、第2の測定サイクルの中の周波数変調信号パルスの全シーケンスに対して設定することができる。距離に対する明確エリアは、周波数シフトを変化させることにより、技術的に単純な様式で変化させることができる。また、個々の測定サイクルの間の周波数シフトの変化を、アナログディジタル変換器のサンプリングレートの変化と合成することも価値があることである。
【0015】
従って、周波数シフトは、1つの測定サイクルから、別の測定サイクルに対して変化させることができる。例えば、この実施形態は、次に示すシナリオで実施することができる。すなわち、第1の測定サイクルの中では、平均周波数24GHzに対して、250MHzの周波数シフトを使用する。第2の測定サイクルの中では、257MHzの周波数シフトが設定される。第3の測定サイクルの中では、264MHzの周波数シフトが規定される。従って、周波数シフトは、僅かだけ変化させることができる。周波数シフトを変化させることにより、距離の判定に対する明確エリアは、各測定サイクルの中で、従って、各測定に対して変化させることができる。しかしながら、以下で更に述べるように、距離の判定は、不明確さを解消することには関係しない。しかし、それぞれの距離に対する不明確エリアの外(過剰距離と呼ばれる)に位置するターゲットであれば、それを選り分けることだけでもできれば、それは望ましいことである。
【0016】
相対速度に対する異なる明確エリアの規定は、周波数変調信号パルスのそれぞれのシーケンスに対して設定される、互いに異なるパルス繰り返し周波数を含むことができる。これは、異なるパルス繰り返し周波数は、それぞれの場合、少なくとも2つの引き続く測定サイクルに対して設定することができるということを意味している。例えば、第1のパルス繰り返し周波数は、第1のサイクルにおける周波数変調信号パルスの全シーケンスに対して規定することができる。また例として、第2のパルス繰り返し周波数は、第2の測定サイクルにおける周波数変調信号パルスのシーケンスに対して設定することができる。1つの例として、これは、個々の周波数変調信号パルスの間に、所定の継続時間の空き時間を導入して、パルス繰り返し周波数が測定サイクルによって変化していると見えるようにすることもできる。従って、この空き時間は、それぞれの測定サイクルに対して変化させることができる。従って、相対速度の判定に対する不明確エリアは、各測定に対して変化する。具体的には、3つの異なる継続時間が、空き時間に対して使用される。第1の測定サイクルにおいては、約256μsの個々の信号パルスの継続時間に対して、個々の信号パルスの間の空き時間に対する継続時間として約144μsを設定することができる。この結果、パルス繰り返し周波数は、約2.5kHzとなる。第2の測定サイクルにおいては、空き時間に対して約244μsの継続時間を規定することができる。この場合には、パルス繰り返し周波数は、2kHzになる。1つの例として、第3の測定サイクルにおける空き時間に対する継続時間は、約411μsとすることができ、この場合のパルス繰り返し周波数は、1.5kHzになる。従って、相対速度は、これら3回の測定サイクルから得られた個々の測定を比較することにより、明確に判定することができる。これにより、相対速度の判定に対する総合的な明確エリアは増加する。従って、パルス繰り返し周波数を変化させることにより、それほど大きな努力を払わずに、相対速度の判定に対する明確エリアを変化させることができる。
【0017】
既に述べたように、距離に対する明確エリア、および/または速度に対する明確エリアは、少なくとも2回の測定サイクルに対して変化させる。従って、その結果、少なくとも2回の測定サイクルの合計から、距離に対する不明確な測定値、および/または相対速度に対する不明確な測定値が得られる。従って、最終的な距離および/または最終的な相対速度は、各測定サイクルからの測定値の関数として判定することができる。この判定処理の詳細については、以下で述べることにする。
【0018】
1つの実施形態においては、過剰距離ターゲットと呼ばれるターゲットは、距離の判定の対象から除外される。これは、不明確エリアよりも外に位置するターゲットは除外されるということである。これは、過剰距離ターゲットに対しては、距離を判定する必要がないということを意味している。物体が過剰距離物体であるか、または実際に明確エリアの中に位置しているかに関しては、各測定サイクルの測定値を評価することにより、調べることができる。1つの例として、これは、次に示すように行うことができる。第1の測定サイクルでは、レーダは、距離の判定に対する第1の所定の明確エリアを有する周波数変調信号パルスのシーケンスを送信する。続く第2の測定サイクルでは、レーダは、距離の判定に対する異なる第2の明確エリアを有する周波数変調信号パルスの、異なるシーケンスを送信する。最後に、第3の測定サイクルでは、レーダは、距離の判定に対する異なる第3の明確エリアを有する周波数変調信号パルスの、さらに別のシーケンスを送信する。それぞれの明確エリアとそれに対応した不明確さとによって、第1、第2、および第3の測定サイクルの各測定に対して、距離に対する複数の測定値を得ることができる。ターゲットが、それぞれの明確エリアの中に位置している場合には、全ての測定サイクルにおけるそれぞれの第1の測定値(すなわち、それぞれの明確エリアに対する測定値)は、互いに一致する。従って、この場合には、最終的な距離が判定され、これは具体的には、それぞれの明確エリアに対する測定値に対応している。しかしながら、これらの測定値が一致しない場合には、これは、物体が明確エリアの外にあるということを示している。このような物体は、フィルタで取り除き、運転者には示さないことが望ましい。その理由は、自動車から、例えば、100mよりも遠くに離れた距離にある物体は、示さない方がよいからである。従って、約100mの最大距離は、所望の応用に対しては十分である。距離の判定に対する不明確さを解消するのではなくて、第1の明確エリアの外にあるターゲットを削除することで十分である。これにより、不明確さの分解能に起因する誤差を回避することが可能になる。
【0019】
これは、それぞれの明確エリアの中にある、各測定サイクルから得られた測定値に対しては、それらに関連する所定の明確規準が満足された場合だけは、不明確さを解消することをせずに、距離を判定することが望ましいということを意味している。この所定の明確規準は、所定の確度で互いに一致しているそれぞれの明確エリアからの測定値を含むことができる。これは、既に具体的に述べている。測定サイクルにおける明確エリアから得られた測定値が一致しない場合には、距離は判定されない。
【0020】
ターゲット距離は、レーダ受信機の受信信号の周波数に比例している。従って、原理的には、過剰距離は、急峻なエッジを有する低域通過フィルタによって取り除くこともできると考えられる。このようなフィルタは、特定の周波数のターゲットエコーを取り除くことができ、従って、過剰距離を取り除くことができる。このようなフィルタは、上記で記述した実施形態に、追加として、または代替として、使用することができる。
【0021】
相対速度の判定は、少なくとも2回の測定サイクルの中の第1の測定サイクルに対して行い、これは、相対速度に対する、少なくとも2つの可能な(不明確な)測定値を含むことができる。従って、少なくとも2つの前提ができあがる。この場合には、相対速度に対する最終的な測定値としての所定の検出規準を満足している測定値として、その測定値を使用することができる。1つの例として、第1の測定サイクルから得られる可能なそれぞれの測定値の周囲に、許容値範囲を定義することができる。従って、所定の検出規準は、それぞれの許容値範囲の中に入る、他の測定サイクルから得られた、少なくとも所定の数の測定値を含むことができる。これにより、レーダに対する物体の相対速度を明確に判定することができ、これにより、不明確さを取り除くことができる。
【0022】
1つの例として、この実施形態は、次のように実行することができる。レーダは、第1の測定サイクルにおいて、相対速度の判定に対する第1の明確エリアを有する周波数変調信号パルスの第1のシーケンスを送信する。原理的には、第1の測定サイクルにおいて、相対速度に対する単一の測定値が初期に得られる。しかしながら、この測定値は明確なものではない。不明確さがあるが故に、更なる前提、および予測される可能な測定値を、この測定値から判定する。1つの例として、2つ、3つのまたはそれ以上の予測される測定値を判定することができる。許容値範囲(例えば、相対速度の分解能の大きさ程度の)は、それぞれの場合で規定される。許容値範囲は、これらの可能な測定値のそれぞれに対して、その周りに対称であることが望ましい。更なる測定サイクルにおいて、レーダは、周波数変調信号パルスの更なるシーケンスを送信する。この周波数変調信号パルスは、具体的には、第2の明確エリアを有し、例えば、第2の明確エリアは、第1の測定サイクルにおける明確エリアよりも大きい。1つの例として、この第2のサイクルから、相対速度に対する3つの測定値を得ることができる。そして、これらの測定値を調べて、これらがいずれかの許容値範囲に入るか否かを判定する。第3の測定サイクルでは、レーダは、周波数変調信号パルスの更に別のシーケンスを送信する。この場合には、周波数変調信号パルスは、相対速度に対する更に大きな第3の明確エリアを有する。これは、再び、例えば、相対速度に対する、2つ、3つ、または更に多くの測定値を得る結果になる。そして、同様にこれらの測定値を調べて、規定された許容値範囲のいずれかの中にはいるか否かを判定する。そして最終的に、例えば、少なくとも2つの測定値が、いずれかの許容値範囲の中にあるか否かを判定する。許容値範囲の中にあった場合には、所定の検出規準は満足されており、許容値範囲を満足しているその測定値を相対速度に対する最終的な測定値として使用し、例えば具体的に、更なる処理ステップを行うことができる。
【0023】
これは、距離に対する互いに異なる明確エリア、および/または相対速度に対する互いに異なる明確エリアは、少なくとも2つの連続した測定サイクルに対して事前に決められているということを意味している。この目的は、総合的な測定の総合的な明確エリアを増加させることである。距離および/または相対速度の判定に対する確度を更に増加させるために、個々の測定サイクルの明確エリアに対して、具体的な条件を規定することができる。
【0024】
1つの例として、相対速度に対するに対する互いに異なる明確エリアは、それらは公約数を持たないということを基本として、事前に決めておくことができる。さらに、相対速度に対するこれらの異なる明確エリアは(相対速度とともに距離を評価する場合には、距離に対する明確エリアも)、個々の不明確な測定値の間の差が、上記で述べた許容値範囲よりも大きいように規定されることが望ましい。一方、距離分解能の低下が回避されるように、距離に対する明確エリアの変化は、大きくなりすぎるべきではない。
【0025】
距離に対する明確エリアの場合には、明確エリアは、約2%から4%だけ変化することが有利であるということが見出された。
【0026】
本発明による運転者支援デバイスは、運転者支援デバイスを有する自動車に対する物体までの距離、および/または物体の相対速度の明確な判定を行うように設計されている。この運転者支援デバイスは、FMCWレーダを備えており、このFMCWレーダは、1回の測定サイクルの中で、所定のシーケンスの周波数変調信号パルスを送信するように設計されている。距離に対する明確エリア、および/または相対速度に対する明確エリアは、周波数変調信号パルスのこのシーケンスによって判定される。運転者支援デバイスは、信号処理デバイスを更に備え、この信号処理デバイスは、距離および/または相対速度を、受信信号の関数として判定するようにされている。距離に対する互いに異なる明確エリア、および/または相対速度に対する互いに異なる明確エリアは、少なくとも2つの連続した測定サイクルに対して運転者支援デバイスの中で規定することができる。さらに、信号処理デバイスは、距離および/または相対速度を、それぞれの場合で、各測定サイクルから得られる距離および/または相対速度に対する少なくとも1つの測定値に基づいて判定するようになっている。
【0027】
本発明によるによる車両は、本発明による運転者支援デバイスを備えている。この車両は、旅客自動車であることが望ましい。
【0028】
1つの例として、運転者支援デバイスは、自動車の死角範囲に対する監視システム、および/または事故早期警告システム(特に、後方からの衝突に関わる事故)、および/またはACC(車間自動制御システム:Additive Course Control)システム)であってよい。
【0029】
本発明による方法に基づく好適な実施形態、およびそれらの利点は、本発明による運転者支援デバイスに対して、また本発明による車両に対して、対応した様式で適用することができる。
【0030】
本発明の更なる特徴は、特許請求の範囲、図面、および図面の説明から明らかになると思う。上記の説明で述べる全ての特徴および特徴の組み合わせ、以下の図面の説明で述べる特徴および特徴の組み合わせ、および/または図面に示された特徴および特徴の組み合わせは、それぞれに述べられている組み合わせの中ばかりでなく、他の組み合わせの中で、またはそれら自身の中で使用することができる。
【0031】
次に、本発明の1つの好適な典型的実施形態を、添付の図面を参照して、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の1つの実施形態における自動車の平面図である。
【図2】図1に示す自動車におけるレーダのブロック図である。
【図3】レーダによって運転者支援デバイスに対して送信される、線形周波数変調信号パルスの時系列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に示す自動車1は、運転者支援デバイス2を備え、この運転者支援デバイス2は、運転者が自動車1を制御する際の支援を行う。典型的な実施形態では、自動車1は、旅客自動車である。1つの例として、運転者支援デバイス2は、死角範囲に対する監視システム、および/または事故早期警告システム、および/またはACCシステムであってよい。運転者支援デバイス2は、第1のレーダ3と第2のレーダ4とを備えている。第1のレーダ3は、後部バンパの左側角に配置され、第2のレーダ4は、同じバンパの右側角に配置されている。第1および第2のレーダ3、4は、周波数変調連続波レーダ(FMCWレーダ)である。
【0034】
第1および第2のレーダ3、4は、信号処理デバイス5に結合している。1つの例として、前記信号処理デバイス5は、第1および第2のレーダ3、4が共有するマイクロコントローラ6、または図には示されていないディジタル信号プロセッサを備えることができる。あるいは、2つのマイクロコントローラ6、および/または2つのディジタル信号プロセッサを備えることができ、これらは、例えば、自動車1の中に備えられている通信バスを介して互いに通信する。
【0035】
第1のレーダ3は、第1の検出エリア7を有する。検出エリア7は、水平方向に方位角範囲αで画定され、これは、図1では2つの線7a、7bによって境界が決められている。それに対応して、第2のレーダ4は、検出エリア8を有し、これは、具体的には水平方向に、対応した方位角範囲αで画定される。方位角範囲αは、2つの線8a、8bによって境界が決められている。方位角範囲αは、典型的な実施形態では約170°である。レーダ3、4の検出エリア7、8は、互いに交差しており、従って、オーバーラップエリア9が生ずる。このオーバーラップエリア9は、線7b、8bによって角度の境界が決められている。典型的な実施形態では、オーバーラップエリア9の開口角βは、約70°である。
【0036】
レーダ3、4は、それぞれ自分の検出エリア7、8の中の物体の位置判定を行うことができる。特に、レーダ3、4は、それぞれのレーダ3、4から物体までの距離と、物体の自動車1に対する相対速度とを判定することができる。
【0037】
図2は、信号処理ユニット5を含む単一のレーダ3、4のブロック図を示す。レーダ3、4は、送信アンテナユニット13を備えている。送信アンテナユニット13は、アンテナアレイまたはアンテナ行列であってよく、複数のパッチアンテナを備えることができる。送信アンテナユニット13は、給電回路14を介して給電される。送信アンテナユニット13は、送信信号S0を生成する局部発振器15によって給電される。この送信信号S0は、周波数変調された電磁波であり、典型的な実施形態におけるこの周波数は、鋸歯状波形プロファイルを有している。これに関しては、以下で、図3を参照して更により詳細に説明する。従って、送信信号S0は、周波数変調されて、その周波数は、第1の周波数値と第2の周波数値との間を周期的に変化する。典型的な実施形態における送信信号S0の中心周波数は、24GHzである。
【0038】
局部発振器15は、信号処理ユニット5によって制御される。1つの例として、発振器15は、電圧制御発振器であり、これは、DC電圧の振幅に依存した周波数の送信信号S0を生成する。このDC電圧は、信号処理ユニット5によって発振器15に与えられる。
【0039】
レーダ3、4は、受信機16を更に備える。この受信機16は、受信機アンテナユニット17を備える。受信機アンテナユニット17は、典型的な実施形態では、複数のパッチアンテナを備えることができる。受信アンテナユニット17は、同様に2次元のアンテナ行列(アレイ)であってよい。受信アンテナユニット17は、給電回路18に結合している。給電回路18は、信号SEを生成し、これは受信信号である。受信信号SEは、低雑音増幅器19によって増幅され、ミキサ20によってダウンコンバートされ、低域通過フィルタ21によって低域通過フィルタリングされ、さらに、アナログディジタル変換器22によって、アナログ形からディジタル形に変換される。送信信号S0を使用して受信信号SEがダウンコンバートされる。送信信号S0はミキサ20に渡される(具体的には、例えば、方向性結合器によって)。受信されたディジタル信号SEは、その後、信号処理デバイス5によって処理される。1つの例として、信号処理デバイス5は、信号SEを使用して、物体の距離と共に相対速度を判定する。
【0040】
図2は、レーダ3、4の概略を示している。1つの例として、レーダ3、4はまた、更なる受信機16を含むこともでき、各受信機は、受信アンテナユニット17を有する。レーダ3、4は、同様に、複数の送信アンテナユニット13を含むことができる。従って、レーダ3、4は、図2には、1つの例だけを示している。
【0041】
次に、レーダ3、4を動作させる方法を、より詳細に説明する。
【0042】
送信アンテナユニット13と、さらに正確には、給電回路14とは、検出エリア7の異なるサブエリアA、B、C、D、E、F、G、Hを順次に連続して照らすことができるように制御することができる。1つの例として、送信アンテナユニット13の送信ローブは、水平方向に電子的に指向性を向けることができる(フェーズドアレイ原理に基づいて)。この場合には、受信アンテナユニット17は、水平方向に広い受信特性を有することができ、検出エリア7の全域をカバーすることができる。更に、代替として、または追加的に、広い送信ローブと連携させて、狭い受信角度範囲にするように工夫することもできる。
【0043】
明白にするために、図1では、第1のレーダ3の検出エリア7のサブエリアA〜Hだけを示している。この場合には、レーダ4の検出エリア8は、それに対応して、やはり複数のサブエリアに分割されており、これらのサブエリアは、レーダ4によって順次に連続的にカバーされる。以下の記述はレーダ3だけに関連して説明するが、レーダ4の操作の方法も、レーダ3の操作の方法に対応している。
【0044】
サブエリアA〜Hは、単一の測定サイクルの中で、レーダ3によって連続的にカバーされる。レーダ3は、それぞれの場合に、単一の測定サイクルの中で、各サブエリアA〜Hに対して所定のシーケンスの周波数変調信号パルス(チャープ)を個別に送信する(つまり、ビーム毎に)。従って、レーダ3は、それぞれの場合に、測定サイクル毎に、またサブエリアA〜H毎に1シーケンスの周波数変調信号パルスを送信する。正確に言うと、レーダ3は、それぞれの場合に、16から64までの周波数変調信号パルスから成るブロックを送信する。線形周波数変調信号パルス23のこのようなブロック、またはこのようなシーケンスは、図3に示されている。この図は、周波数fの関数を時間tの関数として示している。信号パルス23のシーケンスに対するパラメータは、
−個々の周波数変調信号パルスの継続時間TChirp
−個々の信号パルス23の間の空き時間の継続時間TPause
−1つのブロックの中の信号パルスの数NChirp
−周波数シフトfShift(上限周波数fEと下限周波数fAとの間の差)、
−中心周波数f0=24GHz
である。
【0045】
上記のパラメータから、次に示すパラメータを導出することができる。
−パルス繰り返し周波数PRF=1/(TChirp+TPause)、
−ブロック総合の継続時間TBlock=NChirp(TChirp+TPause
である。
【0046】
周波数シフトfShiftは、距離の判定に対する分解能を決定する。一方、全ブロックの継続時間TBlockは、ドップラ周波数の分解能、従って、相対速度の判定の分解能を決定する。さらに、パルス繰り返し周波数PRFは、相対速度の判定に対する明確エリアVUn(ドップラ明確エリアと呼ばれる)を決定する。さらに、周波数シフトfShiftは、アナログディジタル変換器22のサンプリングレートと同様に、距離の判定に対する明確エリアRUn(距離明確エリア)を決定する。
【0047】
距離測定に対する明確エリアRUnは、次式によって与えられる。
Un=(fA・TChirp/2)・(c/2fShift
ここでcは光速(=3×108m/s)であり、fAはアナログディジタル変換器22のサンプリングレートである。
【0048】
距離分解能ΔRは、次に示す公式で与えられる。
ΔR=c/2fShift
【0049】
明確エリアVUnは、次に示す関係式によって与えられる。
Un=PRF・c/2f0
【0050】
最後に、速度分解能ΔVは、次式から算出することができる。
ΔV=(1/TBlock)・(c/2f0
【0051】
本発明の目的は、最終的な相対速度および距離の判定に対する総合的な明確エリアを増加させることである。速度の判定に対する明確エリアVUnは、3回の連続した測定サイクルの間の測定例で、パルス繰り返し周波数PRFを変化させることにより変化する。相対速度の判定における不明確さは、−200km/hから+200km/hまでの総合的な速度範囲では解消される。同様に、距離の判定に対する明確エリアRUnは、典型的な実施形態においては、3回の連続した測定サイクルの間で変化する。これは、1つの測定サイクルから別の測定サイクルに対して周波数シフトfShiftを変化させることにより達成される。この場合には、RUnよりも大きな距離にあるターゲットは、取り除くことにより、運転者には示されないようにすることを意図している。ここに挙げる次に示す値は、単なる例である。
【0052】
3回の測定サイクルの中の、それぞれ第1の測定サイクルでは、
Chirp=16
Chirp=256μs
Pause=144μs
PRF=1/400μs=2.5kHz
Shift=250MHz
である。
【0053】
3回の測定サイクルの中の、それぞれ第2の測定サイクルでは、
Chirp=16
Chirp=256μs
Pause=244μs
PRF=1/500μs=2kHz
Shift=257MHz
である。
【0054】
3回の測定サイクルの中の、それぞれ第3の測定サイクルでは、
Chirp=16
Chirp=256μs
Pause=411μs
PRF=1/667μs=1.5kHz
Shift=264MHz
である。
【0055】
従って、これら3回の測定サイクルに対して、それぞれ、距離の判定および速度の判定の両方に対して、異なる明確エリアRUn、VUnが得られる結果になる。上記で記述した例では、第1の測定サイクルに対する明確エリアRUnは約76.8mであり、第2の測定サイクルに対する明確エリアRUnは約74.7mであり、また第3の測定サイクルに対する明確エリアRUnは約72.7mである。速度の判定に対する明確エリアVUnは、第1の測定サイクルでは約56.25km/h、第2の測定サイクルでは約45km/h、また第3の測定サイクルでは約34km/hである。
【0056】
それぞれの測定サイクルの後に、信号処理ユニット5は、それぞれの場合に、距離および相対速度の両方に対する複数の測定値を判定する。その理由は、それぞれ不明確さが生じているからである。最終的な距離および最終的な相対速度は、信号処理デバイス5によって、次に示すように判定される。
【0057】
信号処理デバイス5は、第1の測定サイクルの中で判定した相対速度に対する各測定値を取り出し、それらを最終的な速度の値に対する可能性のある候補と考えて、これらの各測定値に対する、許容値範囲を規定する。許容値範囲の値は、ドップラ周波数の分解能に対応させることができる。従って、それぞれの場合で、第1の測定サイクルから得られた相対速度の各測定値の周りに、同一の許容値範囲が規定される。第2の測定サイクルの中では、信号処理デバイス5は、同様に、相対速度に対して不明確な測定値を判定する。その後、信号処理デバイス5は、この新たに判定した測定値が、どの許容値範囲の中に入るかを調べる。信号処理デバイス5は、第3の測定サイクルの中で、対応した処理を実行する。そして、適切である場合には、更なる測定サイクルにおいても実行する。所定の数の測定値(例えば、2つの測定値)が、許容値範囲の中の1つの許容値範囲の中に入った場合には、第1の測定サイクルにおけるこの許容値範囲に関連した測定値が、相対速度に対する最終的な測定値として使用される。
【0058】
同時に、第1の測定サイクルにおいて、信号処理デバイス5は、距離に対する複数の不明確な測定値を判定する。許容値範囲はまた、それぞれの場合に、距離に対する測定値の周りに規定することができる。しかしながら、典型的な実施形態では、距離の判定に対して関係する測定値は、第1の測定サイクルの明確エリアの中に位置する測定値だけである。信号処理デバイス5は、第2および第3の測定サイクル(さらに、適切である場合には、それぞれ更なる測定サイクル)から得られる、それぞれの明確エリアの中に位置する測定値が、第1の測定サイクルの明確エリアから得られる測定値に対応しているか否かを調べる。この場合の許容値範囲は、測定が高精度測定であったとしても、異なる測定サイクルにおける測定値は、互いに異なっている可能性があるということを意味している。従って、第2および第3の測定サイクルの明確エリアから得られた測定値が、第1の測定サイクルの明確エリアからから得られた測定値の周りの許容値範囲の中に入っている場合には、物体は、それぞれの明確エリアの中に位置している。この場合には、物体は表示されて、第1の測定サイクルの明確エリアから得られた測定値が、距離に対する最終的な測定値として使用される。反対に、全ての測定サイクルの、それぞれの明確エリアから得られた測定値が一致していない場合には、これは、物体が明確エリアの外に位置しているということを示している。この場合には、物体は、フィルタで除去され、距離は判定されない。これらは、過剰距離物体と呼ばれるものである。
【0059】
以上のようにして、自動車1に対する物体までの距離、および物体の相対速度を、総合的に明確に判定することを可能にする方法および運転者支援デバイスが提供される。距離および相対速度の総合的な測定に対して、総合的に非常に大きな明確エリアが達成される。さらに正確に言うと、少なくとも2回の測定サイクルが提供され、その距離に対する明確エリア、および/またはその相対速度に対する明確エリアは、互いに異なり、これらの明確エリアは、事前に設定される。これにより、信号処理デバイス5は、各測定サイクルから得られた距離および/または相対速度に対するそれぞれの測定値に基づいて、距離および相対速度を判定することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 自動車
2 運転者支援デバイス
3 第1のレーダ
4 第2のレーダ
5 信号処理デバイス
6 マイクロコントローラ
7 第1の検出エリア
7a、7b 第1の検出エリアの境界線
8 第2の検出エリア
8a、8b 第2の検出エリアの境界線
9 オーバーラップエリア
13 送信アンテナユニット
14、18 給電回路
15 局部発振器
16 受信機
17 受信アンテナユニット
19 低雑音増幅器
20 ミキサ
21 低域通過フィルタ
22 アナログディジタル変換器
23 線形周波数変調信号パルス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)に対する物体までの距離および前記物体の相対速度の明確な判定を行うための方法であって、
前記自動車(1)の中にある周波数変調連続波レーダ(3、4)によって、前記周波数変調連続波レーダ(3、4)が1回の測定サイクルの中で送信する所定のシーケンスの周波数変調信号パルス(23)を使用して、前記距離に対する明確エリア(RUn)を判定し、および/または前記相対速度に対する明確エリア(VUn)を判定し、
少なくとも2回の連続した測定サイクルに対して、前記距離に対する互いに異なる明確エリア(RUn)、および/または前記相対速度に対する互いに異なる明確エリア(VUn)が規定され、前記距離および/または前記相対速度は、それぞれの場合に、各測定サイクルから得られる、前記距離および/または前記相対速度に対する少なくとも1つの測定値に基づいて判定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記距離に対する異なる明確エリア(RUn)の前記規定は、周波数変調信号パルス(23)の前記それぞれのシーケンスに対して設定される、互いに異なる周波数シフト(fShift)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相対速度に対する異なる明確エリア(VUn)の前記規定は、周波数変調信号パルス(23)の前記それぞれのシーケンスに対して設定される、互いに異なるパルス繰り返し周波数(PRF)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
互いに異なるパルス繰り返し周波数(PRF)は、前記信号パルス(23)の間の空き時間の継続時間(TPause)の変化によって設定されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記それぞれの明確エリアの中にある、各測定サイクルから得られた測定値に対しては、関連する所定の明確規準が満足された場合だけは、明確さを解消することをせずに、前記距離が判定されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の明確規準は、所定の確度の中で互いに一致している、前記それぞれの明確エリアから得られた前記測定値を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記相対速度の前記判定は、前記少なくとも2つの測定サイクルの第1の測定サイクルに対して判定された前記相対速度に対する、可能性がある少なくとも2つの測定値を含み、所定の検出規準を満足した測定値が、前記相対速度に対する最終的な測定値として使用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
それぞれの許容値範囲は、前記第1の測定サイクルから得られる、可能なそれぞれの測定値の周りに規定され、前記所定の検出規準は、前記それぞれの許容値範囲の中に入る、他の測定サイクルから得られた、少なくとも所定の数の測定値を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記相対速度に対する前記互いに異なる明確エリアは、それらが公約数を持たないように事前に設定されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
自動車(1)に対する物体への距離、および/または前記物体の相対速度の明確な判定を行うための運転者支援デバイス(2)であって、
1回の測定サイクルの中で、所定のシーケンスの周波数変調信号パルス(23)を送信するように設計された周波数変調連続波レーダ(3、4)と、
−前記距離および/または前記相対速度を、受信信号(SE)の関数として判定するための信号処理デバイス(5)とを有し、
前記周波数変調信号パルス(23)のシーケンスによって、前記距離に対する明確エリア(RUn)、および/または前記相対速度に対する明確エリア(VUn)が判定され、
前記運転者支援デバイス(2)は、
前記距離に対する互いに異なる明確エリア(RUn)、および/または前記相対速度に対する互いに異なる明確エリア(VUn)を、少なくとも2回の連続した測定サイクルに対して、前記運転者支援デバイス(2)の中で規定することができ、前記信号処理デバイス(5)は、前記距離および/または前記相対速度を、それぞれの場合に、各測定サイクルから得られる前記距離および/または前記相対速度に対する少なくとも1つの測定値に基づいて判定するように設計されていることを特徴とする運転者支援デバイス(2)。
【請求項11】
請求項10に記載の運転者支援デバイスを有することを特徴とする車両(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−513093(P2013−513093A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541361(P2012−541361)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007382
【国際公開番号】WO2011/066993
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(508108903)ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (22)
【Fターム(参考)】