説明

物体を乾燥するための装置

本発明は、絶縁されたハウジング(12)に配置された乾燥トンネル(14)と、それぞれが少なくとも1つの気体流出口(22)および少なくとも1つの気体流入口(24)を有する、複数のトンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)とを備える、物体、特に車体を乾燥するための装置に関する。加熱ユニット(26)が、トンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)の各々に割り当てられ、該加熱ユニット(26)に、トンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)の少なくとも1つの気体流出口(22)から気体を供給され、且つ、その内部で高温の1次ガス流が形成される。高温の1次ガスは、加熱ユニット(26)の循環気体熱交換器(54)に導入され、該循環気体熱交換器(54)において、循環気体が、高温の1次ガスによって加熱され、該循環気体は、少なくとも1つの気体流入口(24)によって、循環路において再度トンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)に供給される。加熱ユニット(26)は、分配システム(32)を有し、該分配装置(32)によって、トンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)から流出した気体が、循環気流と排気流とに分流される。さらに、加熱ユニット(26)は、熱的な後燃焼設備(42)を有し、該熱的な後燃焼設備(42)に排気が供給され、該熱的な後燃焼設備(42)によって、高温の1次ガス流が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体、特に車体を乾燥するための装置であって、
a)絶縁されたハウジング内に配置された乾燥トンネルと、
b)それぞれが、少なくとも1つの気体流出口、および少なくとも1つの気体流入口を有する、複数のトンネルセクションとを備え、
c)加熱ユニットが、各トンネルセクションと関連付けられており、該加熱ユニットは、上記少なくとも1つの気体流出口から気体を供給され、且つ、その内部で高温の1次ガス流を形成することができ、
d)上記1次ガス流は、加熱ユニットの循環気体熱交換器に導入可能であり、該循環気体熱交換器において、循環気体が、1次ガス流によって加熱可能であり、循環気体は、上記少なくとも1つの気体流入口によって、循環路において再度トンネルセクションに供給され得る、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商業的に知られているこのような乾燥機は、特に、塗装したての車体を乾燥するために用いられるが、それのみならず、他の物体を乾燥するためにも用いられる。このタイプの乾燥機は、以下のように加熱される。すなわち、(他の物体中の)気体が、乾燥トンネルの全長よりも短いトンネルセクションから取り出される。そして、該気体は、熱交換器を用いた加熱ユニット内で加熱され、循環路における対応するトンネルセクションに、再度供給される。塗装したての車体を乾燥する場合、トンネルセクションから取り出された気体は、主に溶媒を含んでおり、該溶媒は、乾燥処理の間に放出される。さらに、車体の乾燥処理の間に放出されるコーティング要素も、気体内に包含されている。しかしながら、説明を簡単とする観点から、溶媒を含む気体または排気のみに関して、以下に説明する。
【0003】
しかしながら、溶媒を含む排気は、加熱循環路から分離、独立したシステムにおいて、処理される。この目的のために、処理されるべき溶媒を含む排気は、乾燥トンネルの中央気体流出口にて取り出され、熱的または再生式の後燃焼工程に供給される。この工程にて、溶媒は焼失される。要求がある場合、熱交換器は、後燃焼ユニットの下流に配置される。ここで、該熱交換器にて、外気が、生成された燃焼ガスによって加熱される。この高温の外気は、次いで乾燥トンネルに供給され、結果として同様に加熱される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、溶媒を含む排気を後燃焼工程に導くためのパイプラインは、非常に長尺となってしまう。これらのパイプラインは、複雑な絶縁を要するので、システムに係る結果的なコストは、全体として、比較的に高くなってしまう。
【0005】
高温で純粋な燃焼ガスが、排気管を介して、(外気熱交換器における、これら燃焼ガスの使用とは別である)実質的に使用されていない環境に放出されるので、エネルギーの喪失も、比較的に大きくなってしまう。
【0006】
したがって、本発明の目的は、エネルギーバランスが特に改善された、前述したタイプの装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述したタイプの装置において、この目的は以下の構成により達成される。すなわち、
e)加熱ユニットは、分配装置を有し、該分配装置によって、トンネルセクションから流出した気体が、循環気流と排気流とに分流され、
f)加熱ユニットは、熱的な後燃焼装置を有し、該熱的な後燃焼装置に排気が供給され、該熱的な後燃焼装置によって、高温の1次ガス流が形成される。
【0008】
したがって、本発明によれば、後燃焼工程と、それによる溶媒を含む気体の処理工程とが、加熱ユニットに組み込まれ、トンネルセクションから取り出された気体の一部のみが、循環気体としてトンネルセクションに戻されて供給されることとなる。高温の燃焼ガスの少なくとも一部は、循環気体を加熱するために利用される高温の1次ガス流を形成する。その結果、燃焼ガスに含まれるエネルギーは、乾燥機を加熱するために効果的に利用されることとなる。
【0009】
それ故に、商業的に公知であるシステムにおいて従来の方式となっていた、外部の後燃焼工程を省略することが可能となる。これにより、一方では構造的コストを低減することができ、他方では乾燥機の構造をより簡単とすることができる。したがって、乾燥機の空間的要求をより小さくすることに加えて、熱の喪失も、より低減することができる。
【0010】
後燃焼装置がガスバーナーである場合、実用上好ましいことが明らかとなっている。
【0011】
ここで、乾燥機における気体のバランスに関して、ガスバーナーが2次気体の供給を受けることなく動作可能である場合、特に好ましい。この場合、高温の1次ガス流は、高温の燃焼ガスのみからなり、それ故に、該燃焼ガスは、循環気体を加熱するために完全且つ効果的に利用されることとなる。
【0012】
ガスバーナーが表面燃焼バーナーである場合、特に好ましい。表面燃焼バーナーは、良好な燃焼性能を提供するとともに、気体のさらさる供給を必要としない。
【0013】
加熱ユニットが排気熱交換器を有し、該排気熱交換器内に排気が導入され、該排気熱交換器において、排気が、後燃焼装置に到達する前に、高温の1次ガスによって加熱される場合、排気は、燃焼前に予め加熱され得る。これにより、溶媒を含む気体を、バーナーに到達したときの初期温度から、燃焼温度まで加熱するためのバーナーに必要となるエネルギーを、低減することが可能となる。
【0014】
排気熱交換器に供給される高温の1次ガスの量が、第1の制御フラップによって調整されることが好ましい。これにより、排気が予め加熱される度合いを調整することが可能となる。
【0015】
要求がある場合、第1の制御フラップは、バイパスラインに配置され、該バイパスラインを介して、高温の1次ガスが、排気熱交換器を通過するように導かれる。
【0016】
排気熱交換器を通過した高温の1次ガスが循環気体熱交換器に供給される場合、高温の燃焼ガスは、2度利用され、これにより特に効果的となり得る。そして、この燃焼ガスは、一方では排気を予め加熱するように機能し、他方では循環気体を加熱するように機能する。
【0017】
排気熱交換器から流出した高温の1次ガスの温度が、循環気体を所望の温度まで加熱するのに十分でない場合、高温の1次ガスが、バイパスラインのセクションから循環気体熱交換器に供給され、該セクションが第1の制御フラップの下流に配置される場合、有利となる。これにより、未だ(または、僅かにしか)冷却されていない1次ガスを、循環気体熱交換器に供給することが可能となる。
【0018】
バイパスラインのセクションが、第1の制御フラップと第2の制御フラップとの間に配置される場合、第1の制御フラップの位置と、排気熱交換器を通過した1次ガス流の割合とを変更することを必要とすることなく、循環気体熱交換器用の1次ガスの量を、第2の制御フラップによって制御することができる。
【0019】
加熱ユニットが外気熱交換器を有し、該外気熱交換器内に高温の1次ガスが導入され、該外気熱交換器において、外気が高温の1次ガスによって加熱される場合、1次ガスは、あるいは乾燥機の加熱用として要求される外気を加熱するために、さらに利用され得る。
【0020】
加熱ユニットが外気熱交換器を有し、該外気熱交換器内に、排気熱交換器および循環気体熱交換器を通過した高温の1次ガスが導入される場合、1次ガスを3度利用することが可能となる。変形例として、外気熱交換器に供給された高温の1次ガスは、外気熱交換器のみ、または循環気体熱交換器のみを、予め通過してもよい。
【0021】
制御された方法で外気を加熱可能とするためには、外気熱交換器が、バイパスラインのセクションから高温の1次ガスを供給され、該セクションが、第2の制御フラップの下流に配置される場合、有利である。
【0022】
高温の外気は、乾燥トンネルの入口に配置された入口ゲート領域、および/または、乾燥トンネルの出口に配置された出口ゲート領域に供給され、該ゲート領域から、高温の外気が乾燥トンネル内に流入する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】加熱ユニットが各ケースに関連付けられた、複数のトンネルセクションを有する乾燥トンネルを備えた乾燥機の概略レイアウト図である。
【図2】図1に示す加熱ユニットを拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0025】
図1において、符号10は、全体としての乾燥機を示しており、該乾燥機10は、乾燥トンネル14が配置された、絶縁されたハウジング12を備える。乾燥トンネル14は、連続して配置された、複数のトンネルセクション16.1、16.2、... 、16.nを有する。
【0026】
乾燥機10は、如何なるタイプの物体を乾燥させるという基本的概念において用いられることも可能ではあるが、特には、塗装したての車体を乾燥させるために用いられる。
【0027】
車体は、コンベアシステム(図示せず)上に設置され、乾燥機10の一方端から乾燥機10に入れられる。そして、車体は、まず、入口ゲート18に到達し、そこから、乾燥トンネル14内に入る。車体は、トンネルセクション16.1、16.2、... 、16.n内を通過した後、最終的には、乾燥した状態で、出口ゲート20を通って乾燥機10から出る。
【0028】
トンネルセクション16.1、16.2、... 、16.nの各々は、気体流出口22と気体流入口24とを含む。
【0029】
さらに、それぞれの加熱ユニット26は、トンネルセクション16.1、16.2、... 、16.nの各々と関連付けられている。なお、トンネルセクション16.1および16.2の加熱ユニット26のみが、図1に示されている。
【0030】
それぞれのトンネルセクション16.1、16.2、... 、16.nから取り出された気体は、加熱ユニット26によって加熱され、循環路において各気体流入口24を介して、対応するトンネルセクション16.1、16.2、... 、16.nに再供給され得る。再供給された気体は、ノズル(図示せず)を介して、乾燥すべき車体上に導かれる。
【0031】
このように、トンネルセクション16.1、16.2、... 、16.nにおいて、異なる温度を維持することが可能であって、このことは、事例毎の乾燥処理に関して、最も好ましい。
【0032】
加熱ユニット26の動作モードおよび構成に関して、トンネルセクション16.1に関連付けられた加熱ユニット26を参照して、以下に説明する。他の加熱ユニット26も、これに準じて構成されており、同様に機能する。
【0033】
トンネルセクション16.1に配置されている車体を乾燥させる場合、溶媒が、他の物質内に放出され、その結果、トンネルセクション16.1内の雰囲気は、溶媒を含む気体を有することとなる。
【0034】
加熱ユニット26は、通気孔28を有しており、該通気孔28は、トンネルセクション16.1の気体流出口22に連結されたライン30に配置されている。これにより、溶媒を含む気体を、トンネルセクション16.1から取り出すことができる。この溶媒を含む気体は、通常、約140℃〜約220℃の範囲の温度である。
【0035】
以下の説明にて示されている温度は、乾燥処理と、電気泳動浸漬塗装によってコーティングされた車体を乾燥させる場合に、通常、即座に発生するような気体バランスとに関連する。ここで、用いられる塗装のタイプに依存して、上方および下方への変動が起こり得る。
【0036】
トンネルセクション16.1における溶媒を含む気体は約200℃であることが、以下に推測されるべきである。
【0037】
ライン30は、分配装置32内へと下流に向けて延び、該分配装置32は、取り出された気体を、排気流と循環気流とに分流する。
【0038】
排気流は、分配装置32から、さらにライン34を通って、排気熱交換器38の熱交換器チェーン36内へと流れる。そこから、排気流は、ガスバーナー44を有する、熱的な後燃焼装置42の燃焼チャンバ40内に流入する。なお、この排気流は、2つの矢印46と48によって図示されている。ここで述べられている例示的な実施形態においては、ガスバーナー44として用いられているバーナーは、2次気体の供給を受けることなく、動作可能である。実用上においては、表面燃焼バーナーが、それ自体は公知であるが、この用途において有効であることが明らかとなっている。しかしながら、動作用として、公知の方法で気体を特に供給する必要があるファンバーナーを用いることも可能である。
【0039】
熱的な後燃焼装置40において、排気内の溶媒は、約700℃の高温の燃焼ガスが1次ガスとして生成されている間に、実質的に燃焼する。これらの高温の燃焼ガスは、供給ライン50によって排気熱交換器38へと案内される。該排気熱交換器38において、高温の燃焼ガスが、熱交換器チェーン36内を流れる溶媒を含む排気を、約400℃の温度まで加熱する。この温度にて、溶媒を含む排気は、熱的な後燃焼装置42の燃焼チャンバ40内に流入する。
【0040】
一方、高温の燃焼ガスは、元々は約700℃であり、排気熱交換器38において冷却され、約450℃の温度で、第1の中間ライン52を介して該排気熱交換器38から流出する。
【0041】
燃焼ガスは、中間ライン52によって循環気体熱交換器54内へと導かれる。循環気体は、分配装置32によって、ライン56を介して循環気体熱交換器54へと供給され、該循環気体熱交換器54の熱交換器チェーン56内を流れる。約200℃の温度で分配装置32から流入した循環気体は、燃焼ガスによって約220℃まで加熱される一方、その間に燃焼ガスは、約450℃から約350℃の温度まで冷却される。
【0042】
高温の循環気体は、約200℃であって、循環気体熱交換器54の熱交換器チェーン56から、トンネルセクション16.1の気体流入口24に繋がる回帰ライン58へと流れる。そこから、気体は、乾燥すべき車体へと導かれて回帰する。
【0043】
高温の燃焼ガスは、この段階で約350℃であり、加熱ユニット26内を流れる。そして、該燃焼ガスは、循環気体熱交換器54から、中間ライン60を介して、外気熱交換器62内に流入する。外気熱交換器62において、熱交換器チェーン64が、通気孔68によって、外気ライン66を介して外気を供給される。外気熱交換器62内を流れる高温の燃焼ガスは、熱交換器チェーン64において、外気を約200℃まで加熱する一方、その間に燃焼ガスは、約80℃まで冷却される。
【0044】
高温の外気は、外気熱交換器62から、入口ゲート18に繋がるライン70を介して流出し、そこから、外気は、乾燥トンネル14に流入する。出口ゲート20に近接して配置される加熱ユニット26の各ライン70は、相当の方法で出口ゲート20に繋がる。これにより、高温の外気は、そこから乾燥トンネル14内に流入することができる。
【0045】
約80℃まで冷却された燃焼ガスは、供給ライン72を介して、キャパシタセパレータ74を通って、排気通気孔76へと導かれる。このようにして、純粋な燃焼ガスが、外部環境へ到達することとなる。
【0046】
加熱ユニット26において、排気熱交換器38における供給ライン50は、バイパスライン78を介して、外気熱交換器62における供給ライン72と連通している。このバイパスライン78は、4つのバイパスセクション78a、78b、78c、および78dを有している。このバイパスライン78には、第1のバイパスセクション78aと第2のバイパスセクション78bとの間に配置された第1の制御フラップ80と、第2のバイパスセクション78bと第3のバイパスセクション78cとの間に配置された第2の制御フラップ82と、第3のバイパスセクション78cと第4のバイパスセクション78dとの間に配置された第3の制御フラップ84とが設けられている。
【0047】
第2のバイパスセクション78bは、ライン86を介して、排気熱交換器38と循環気体熱交換器54との間の中間ライン52と連通している。
【0048】
第3のバイパスセクション78cは、ライン88を介して、排気熱交換器38と循環気体熱交換器54との間の中間ライン60と連通している。
【0049】
上記した処理および温度は、第1の制御フラップ80が完全に閉じられたときに達成される。第2の制御フラップ82と第3の制御フラップ84も完全に閉じられていることが、追加的に推測されるべきである。
【0050】
この場合、高温の燃焼ガスは、全て、燃焼チャンバ40から流出し、排気熱交換器38内に導かれる。このように、排気は、排気熱交換器38において、約400℃まで予め加熱され、その結果、このように予め加熱された排気を700℃の燃焼温度まで加熱するために、比較的に小さなガスバーナー44用のエネルギーを要することとなる。
【0051】
しかしながら、全ての燃焼ガスが排気熱交換器38において冷却されるので、燃焼ガスの残りのエネルギーは、200℃の循環気体を、循環気体熱交換器54にて220℃まで加熱するのに対してのみ、十分なエネルギーとなる。しかしながら、循環気体熱交換器がより多くのエネルギーを必要とする場合、その構成、および、循環気体をより高温の最終温度とする目的のいずれかに基づいて、第1の制御フラップ80は、開放されてもよい。
【0052】
このように、約700℃である高温の燃焼ガスの一部は、最初の2つのバイパスセクション78aおよび78bと、ライン86とを介して、燃焼チャンバから第1の中間ライン52内に導かれる。第1の中間ライン52にて、これらの燃焼ガスは、排気熱交換器38から到達した燃焼ガスと混合される。その結果生成される燃焼ガス流は、排気熱交換器38から到達した燃焼ガスよりも高温となる。したがって、より多くのエネルギーが、循環気体を加熱するために、循環気体熱交換器54に供給される。
【0053】
バイパスライン78を介して中間ライン52に流入する燃焼ガスの割合と、これによる、2つのガス流の混合の結果として循環気体熱交換器54に供給されるエネルギーとは、第1の制御フラップ80の開放角度によって制御可能である。
【0054】
次いで、第1の制御フラップ80が開放されている場合、排気熱交換器38における排気は、もはや、第1の制御フラップ80が閉じられている場合と同程度まで、予め加熱されることはない。したがって、ガスバーナー44のパワーを、ガスチャンバ40において燃焼温度を達成するために増加する必要があり、その結果、ガスバーナー44用の燃焼ガスの消費が増大する。
【0055】
対応する方法において、バイパスライン78における第2の制御フラップ82を追加的に開放することによって、高温の燃焼ガスが、燃焼チャンバ40から中間ライン60に流入し、そこで循環気体熱交換器54から流れてくる燃焼ガス流を加熱することが保証される。
【0056】
そして、燃焼ガスは、制御フラップ82が閉じられている場合よりも高い温度で、外気熱交換器62に流入する。
【0057】
バイパスライン78を介して中間ライン60に流入する燃焼ガスの割合と、これによる、2つのガス流の混合の結果として外気熱交換器62に供給されるエネルギーとは、第2の制御フラップ82の開放角度(あるいは第1の制御フラップ80の開放角度と併せて)によって制御可能である。なお、当然のことながら、第2の制御フラップ82の開放角度は、バイパスライン78内を流れる燃焼ガスの割合に同様に影響を与える。ここで、バイパスライン78内を流れる燃焼ガスは、第1の中間ライン52に到達し、次いで、結果的に循環気体熱交換器54へと案内される燃焼ガス流の温度に影響を与える。
【0058】
第3の制御フラップ84を開放することによって、さらに、バイパスセクション78c内を流れる燃焼ガスの一部を、外気熱交換器62を通り過ぎて、供給ライン72へと案内することが可能となる。その結果、最終的に外気熱交換器62に到達した燃焼ガス流の温度は、第3の制御フラップ84が閉鎖され、且つ第1および第2の制御フラップ80および82が開放されている場合よりも低い温度に再度設定され得る。
【0059】
全体として、3つの制御フラップ80、82、および84を有するバイパスライン78は、循環気体熱交換器54および外気熱交換器62に、高温燃焼ガスの形態で供給されるエネルギーを変化、設定するために用いられ得る。
【0060】
変形例において、制御フラップは、ライン86および88のいずれか一方、または双方に設けられていてもよい。この場合、排気熱交換器38と循環気体熱交換器54を通過し外気熱交換器62へ流入する燃焼ガスのバイパス流路、または、3つの熱交換器38、54、および62の全てを通り過ぎて供給ライン72へ流入する燃焼ガスのバイパス流路が、追加的に可能となる。
【0061】
各加熱チャンバ26は、それ故に、溶媒を含む排気の処理と、乾燥機の加熱の双方に寄与する。排気内に混入した汚染物質の多くは、加熱チャンバ26において有用なエネルギーに変換される。さらに、バーナーに外気を追加的に供給する必要がない。何故ならば、高温の排気が、気体燃焼と1次ガス流に直接利用されるからである。
【0062】
さらに、先行技術により知られており、且つ排気の外部後燃焼を実現する、現存の乾燥機に、上記のような加熱チャンバ26を組み込んで改良することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)絶縁されたハウジング(12)内に配置された乾燥トンネル(14)と、
b)それぞれが少なくとも1つの気体流出口(22)および少なくとも1つの気体流入口(24)を有する、複数のトンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)と、を備え、
c)加熱ユニット(26)が、前記トンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)の各々に関連付けられ、該加熱ユニット(26)は、前記トンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)の前記少なくとも1つの気体流出口(22)から気体を供給され、且つ、その内部で高温の1次ガス流を形成することができ、
d)前記高温の1次ガスは、前記加熱ユニット(26)の循環気体熱交換器(54)に導入可能であり、該循環気体熱交換器(54)において、循環気体が、前記高温の1次ガスによって加熱可能であり、該循環気体は、前記少なくとも1つの気体流入口(24)によって、循環路において再度前記トンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)に供給可能である、物体、特に車体を乾燥するための装置であって、
e)前記加熱ユニット(26)は、分配装置(32)を有し、該分配装置(32)によって、トンネルセクション(16.1、16.2、... 、16.n)から流出した気体が、循環気流と排気流とに分流され、
f)前記加熱ユニット(26)は、熱的な後燃焼装置(42)を有し、該熱的な後燃焼装置(42)に前記排気が供給可能であり、該熱的な後燃焼装置(42)によって、前記高温の1次ガス流を形成可能であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記後燃焼装置(42)は、ガスバーナーであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガスバーナー(42)は、2次気体の供給を受けることなく動作可能であることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガスバーナー(42)は、表面燃焼バーナーであることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記加熱ユニット(26)は、排気熱交換器(38)を有し、該排気熱交換器(38)内に前記排気が導入され、該排気熱交換器(38)において、前記排気が、前記後燃焼装置(42)に到達する前に、高温の1次ガスによって加熱されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記排気熱交換器(38)に供給される高温の1次ガスの量は、第1の制御フラップ(80)によって調整されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の制御フラップ(80)は、バイパスライン(78)に配置され、該バイパスライン(78)を介して、高温の1次ガスが、前記排気熱交換器(38)を通過するように導かれることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記循環気体熱交換器(54)は、前記排気熱交換器(38)を通過した高温の1次ガスを供給されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記循環気体熱交換器(54)は、前記バイパスライン(78)のセクション(78b)から高温の1次ガスを供給され、該セクション(78b)は、前記第1の制御フラップ(80)の下流に配置されることを特徴とする、請求項7を引用する請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記バイパスライン(78)のセクション(78b)は、前記第1の制御フラップ(80)と、第2の制御フラップ(82)との間に配置されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記加熱ユニット(26)は、外気熱交換器(62)を有し、該外気熱交換器(62)内に高温の1次ガスが導入され、該外気熱交換器(62)において、外気が、高温の1次ガスによって加熱されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記加熱ユニット(26)は、外気熱交換器(62)を有し、該外気熱交換器(62)内に、前記排気熱交換器(38)および前記前記循環気体熱交換器(54)の少なくとも一方を通過した高温の1次ガスが導入されることを特徴とする、請求項5〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記外気熱交換器(62)は、前記バイパスライン(78)のセクション(78c)から高温の1次ガスを供給され、該セクション(78c)は、前記第2の制御フラップ(82)の下流に配置されることを特徴とする、請求項10を引用する請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
高温の外気は、前記乾燥トンネル(14)の入口に配置された入口ゲート領域(18)、および、前記乾燥トンネル(14)の出口に配置された出口ゲート領域(20)の少なくとも一方に供給され、該ゲート領域から、前記高温の外気が乾燥トンネル内に流入することを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−518236(P2013−518236A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550366(P2012−550366)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000324
【国際公開番号】WO2011/091992
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(511056714)アイゼンマン アクチェンゲゼルシャフト (15)
【Fターム(参考)】