物体検出装置
【課題】光学窓の汚れを検出するための受光素子を設けることなく、光学窓の汚れを検出できるようにする。
【解決手段】鉛直下方向を含む面内を走査するようにレーザー光の向きを変化させて光学窓を介して照射するとともに、レーザー光が物体に反射した反射光を光学窓を介して受光するレーザーセンサ10を備え、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定する(S202〜S216)。
【解決手段】鉛直下方向を含む面内を走査するようにレーザー光の向きを変化させて光学窓を介して照射するとともに、レーザー光が物体に反射した反射光を光学窓を介して受光するレーザーセンサ10を備え、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定する(S202〜S216)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺に存在する物体を検出する物体検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアの回転軸の近傍に設置され、車両ドアの表面に対し、車両ドアが開扉される方向に所定角度ずれた平面を走査するようにレーザー光を照射し、障害物によって反射した反射光を受光するようにして、車両のドアに接触する可能性のある物体を検出する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−101150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような装置では、光学窓に泥や汚れ等が付着してレーザー光や反射光が遮られると、車両のドアに接触する可能性のある物体を検出することができず、車両ドアの開閉時に車両ドアが障害物と接触してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、例えば、反射光を受光するための受光素子とは別に、装置内に、レーザー光が光学窓に付着した汚れに反射した内部反射光を検出する受光素子を設け、この光学窓に付着した汚れに反射した光を検出する受光素子により光学窓に付着した汚れを検出することが考えられる。しかし、このような光学窓の汚れ検出用の受光素子を新たに備える構成ではコストが高くなってしまうといった問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、光学窓の汚れを検出するための受光素子を設けることなく、光学窓の汚れを検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両周辺に存在する物体を検出する物体検出装置であって、鉛直下方向を含む面内を走査するようにレーザー光の向きを変化させて光学窓を介して照射するとともに、レーザー光が物体に反射した反射光を光学窓を介して受光するレーザーセンサと、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定する汚れ判定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定するので、例えば、光学窓の汚れ検出用の受光素子を新たに備えることなく、光学窓の汚れを検出することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、車両ドア開を自動制御するドア開閉機構を備えた車両に搭載され、レーザーセンサは、車両ドアを開く際に当該車両ドアに接触する可能性のある物体を検出するものを特徴としている。
【0010】
このように、車両ドア開を自動制御するドア開閉機構を備えた車両に搭載され、レーザーセンサは、車両ドアを開く際に当該車両ドアに接触する可能性のある物体を検出するものとすることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、汚れ判定手段は、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定することを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定するので、例えば、光学窓に汚れが付着している場合、鉛直下方向に障害物が存在する場合、鉛直下方向に障害物が存在しない場合を区別して認識することが可能である。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、汚れ判定手段は、車両ドア開の自動制御を開始する前にレーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させることを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、汚れ判定手段は、車両ドア開の自動制御を開始する前にレーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させるので、車両ドア開の自動制御を開始する前に光学窓に泥や汚れ等が付着しているか否かを認識することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、汚れ判定手段により光学窓が汚れていることが判定された場合、ドア開閉制御部に車両ドアの自動開閉制御を停止するように指示する自動開閉制御停止指示手段を備えたことを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、光学窓が汚れていることが判定された場合、ドア開閉制御部に車両ドアの自動開閉制御を停止するように指示するので、光学窓に泥や汚れ等が付着してレーザー光や反射光が遮られ、車両ドアに接触する可能性のある物体を検出することができず、車両ドアの開閉時に車両ドアが障害物と接触してしまうといった状況を回避することができる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明では、汚れ判定手段により光学窓が汚れていることが判定された場合、光学窓が汚れていることを乗員に報知する報知手段を備えたことを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、光学窓が汚れていることが判定された場合、光学窓が汚れていることが乗員に報知されるので、乗員は容易に光学窓が汚れていることを認識することができ、汚れを拭き取る等の措置をとることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る物体検出装置の一部を構成するレーザーセンサが乗用車に取り付けられた様子を示す図である。
【図2】レーザーセンサについて説明するための図である。
【図3】レーザーセンサの光学系の構成を示す図である。
【図4】レーザー光の照射方向について説明するための図である。
【図5】物体検出装置のブロック構成を示す図である。
【図6】スイングドアECUのフローチャートである。
【図7】汚れ検出処理のフローチャートである。
【図8】障害物検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る物体検出装置の一部を構成するレーザーセンサ10が車両(乗用車)2に取り付けられた様子を図1に示す。本実施形態における車両2は、ユーザによるドア開スイッチ21への操作に応じて、車両ドア開を自動制御する機能を備えている。本物体検出装置は、車両ドア20が車両周辺の物体と接触しないように車両ドア開を自動制御するために設けられている。
【0021】
本レーザーセンサ10は、車両2のドアミラー22の下部に取り付けられ、鉛直下方向を含む面内を走査するように、レーザー光の照射方向を変化させながら物体に反射した反射光を検出することにより、車両ドア20の外側周辺に存在する物体を検出する。
【0022】
図2に示すように、レーザーセンサ10は、光学窓11を有しており、この光学窓11を介してレーザー光を照射するとともに、光学窓11を介して物体に反射した反射光を受光する。
【0023】
図3に、レーザーセンサ10の光学系の構成図を示す。レーザーセンサ10は、レーザー光を照射するレーザーダイオード(以下、LDと記す)22、物体に反射した反射光を受光するフォトダイオード(以下、PDと記す)23、LD22のレーザー光を反射して光学窓11より出射させるとともに、光学窓11からのレーザー光(反射光)を反射してPD23に入射するミラー21を備えている。ミラー21は、後述する駆動部14(図5に示す)により、図3中の矢印Aに示す方向に回転するように構成されている。このようにミラー21を回転させることにより、図1に示したように、車両ドア20の外側周辺を走査するように車両周辺の物体を検出するようになっている。
【0024】
また、図4に示すように、レーザーセンサ10は、車両ドア20の外側表面に対してレーザー光が車両ドア20が開扉される方向に一定角度φずれて出射されるように、ドアミラー22の下部に取り付けられている。このようにレーザー光の照射方向を車両ドア20が開扉される方向にずらすことで、車両ドア開を自動制御する際に、事前に車両ドア20の周辺の物体を事前に検出することが可能となる。
【0025】
図5に、本物理量検出装置のブロック構成を示す。本物理量検出装置は、レーザーセンサ10、スイングドアECU30および表示部31により構成されている。スイングドアECU30には、ドア開スイッチ21およびドア開閉機構23が接続されている。
【0026】
レーザーセンサ10は、LD12、PD13、駆動部14、スキャン角度検出部15および制御部16を備えている。
【0027】
LD12は、制御部16から入力される駆動信号に応じたレーザー光を照射する。PD13は、受光したレーザー光に応じた電気信号を制御部16へ出力する。
【0028】
駆動部14は、制御部16からの信号に応じて回転するモータ(図示せず)と、このモータの回転軸の回転力を、図3に示したレンズ21に伝達する駆動機構を備えている。制御部16からの信号に応じてモータが回転すると、モータの回転軸の回転力が駆動機構によりレンズ21に伝達され、レンズ21が回転するようになっている。
【0029】
スキャン角度検出部15は、レンズ21の回転角度に応じたスキャン角度信号を出力するものである。本実施形態では、走査範囲の開始位置(図1中のθ=0°)を基準として、レンズ21の回転角度に応じたスキャン角度信号を出力するようになっている。
【0030】
ドア開スイッチ21は、車両ドア20を開扉あるいは閉扉する際に操作するスイッチである。ユーザがドア開スイッチ21をタッチ操作すると、ユーザ操作に応じた信号がドア開スイッチ21からスイングドアECU30へ入力される。
【0031】
ドア開閉機構23は、スイングドアECU30からの信号に応じて回転する開閉モータと、この開閉モータの回転軸の回転力に応じて車両ドア20を開閉させるドア開閉機構(いずれも図示せず)を備えている。例えば、スイングドアECU30からの信号に応じて開閉モータが正転すると、ドア開閉機構により車両ドア20が開扉し、開閉モータが逆転すると、ドア開閉機構により車両ドア20が閉扉する。
【0032】
スイングドアECU30は、ドア開閉機構23を制御して車両ドア20の開閉を自動制御する。スイングドアECU30は、CPU、RAM、ROM、EEPROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0033】
表示部31は、液晶等のディスプレイを有し、スイングドアECU30より入力される画像信号に応じた画像をディスプレイに表示させる。本実施形態における表示部31は、車両のメータ内に配置されている。
【0034】
ところで、レーザーセンサ10の光学窓11に泥や汚れ等が付着してレーザー光や反射光が遮られると、車両ドア20に接触する可能性のある物体を検出することができず、車両ドアの開閉時に車両ドアが障害物と接触してしまう。
【0035】
そこで、本物理量検出装置におけるスイングドアECU30は、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定する処理を実施するようになっている。すなわち、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させた場合には、必ず路面に反射した反射光が検出されることを利用して光学窓の汚れを判定するようになっている。
【0036】
次に、図6に従って、このスイングドアECU30の処理について説明する。スイングドアECU30は、定期的に図6に示す処理を実施する。
【0037】
まず、ドア開スイッチ21がオンしたか否かを判定する(S100)。具体的には、ドア開スイッチ21からユーザのタッチ操作に応じた信号が入力されたか否かに基づいてドア開スイッチ21がオンしたか否かを判定する。
【0038】
ドア開スイッチ21からユーザのタッチ操作に応じた信号が入力されない場合、S100の判定を繰り返し実施し、ユーザによりドア開スイッチ21がタッチされ、ドア開スイッチ21からユーザのタッチ操作に応じた信号が入力されると、S100の判定はYESとなり、次に、汚れ検出処理を実施する(S200)。
【0039】
図7に、この汚れ検出処理のフローチャートを示す。この汚れ検出処理では、まず、レーザー照射方向を鉛直下方向へ移動させる(S202)。具体的には、レーザー照射方向を鉛直下方向へ移動させるように指示する信号を制御部16に送出する。制御部16は、この信号に応じてレーザー照射方向が鉛直下方向となるように駆動部14のモータを駆動する。このモータの駆動によりレンズ21が回転し、レーザー光を照射する方向が移動する。
【0040】
次に、レーザー照射方向が鉛直下方向であるか否かを判定する(S204)。制御部16は、スキャン角度検出部15より出力される信号に基づいてレーザー照射方向が鉛直下方向であるか否かを判定する。
【0041】
ここで、レーザー照射方向が鉛直下方向へ到達していない場合、S204の判定はNOとなり、S202へ戻る。そして、レーザー照射方向が鉛直下方向へ到達すると、S204の判定はYESとなり、レーザー照射方向に移動を停止する(S206)。具体的には、レーザー照射方向の移動を停止するように制御部16に指示する信号を送出する。制御部16は、駆動部14のモータ駆動を停止させ、レーザー光の照射方向が鉛直下方向の状態が維持される。
【0042】
次に、レーザー光の射出を行う(S208)。具体的には、レーザー光の射出を行うように制御部16に指示する信号を送出する。制御部16は、LD12より輝度変調を掛けたレーザー光を射出させる。このようにして、鉛直下方向の路面に対してレーザー光が射出される。
【0043】
次に、反射光を受光するまでの時間を計測する(S210)。制御部16は、LD12より輝度変調を掛けたレーザー光を射出させてから、このレーザー光が路面に反射した反射光を受光するまでの時間差を計測し、この計測した時間差を示す情報をスイングドアECU30へ送出するようになっている。ここでは、制御部16より送出される時間差を示す情報に基づいて反射光を受光するまでの時間を特定する。
【0044】
次に、規定時間内に受光信号があるか否かを判定する(S212)。ここで、規定時間とは、ドアミラー22の下部に取り付けられたレーザーセンサ10からレーザー光を鉛直下方向へ照射してから路面に反射した反射光が受光されるまでの時間を規定した規定時間である。この規定時間は、レーザーセンサ10の取り付け位置(路面からの高さ)および誤差等を考慮して規定されている。すなわち、車両形状によって規定時間が異なるように構成されている。
【0045】
ここで、レーザーセンサ10の光学窓11に汚れ等が付着しておらず、ドアミラー22の下部に取り付けられたレーザーセンサ10から鉛直下方向へ照射したレーザー光が路面に反射して受光され、規定時間内に受光信号が受光されると、S212の判定はYESとなり、光学窓11の汚れなしと特定する(S214)。具体的には、光学窓11の汚れがあることを示すフラグを0にする。なお、このとき、鉛直下方向へレーザー光を照射してから、路面に反射した反射光が受光されるまでの時間により、鉛直下方向に障害物が存在するか否かを区別して認識することもできる。
【0046】
また、レーザーセンサ10の光学窓11に汚れ等が付着しており、ドアミラー22の下部に取り付けられたレーザーセンサ10から鉛直下方向へ照射したレーザー光が路面に反射して受光され、規定時間内に受光信号が受光されない場合、S212の判定はNOとなり、光学窓11の汚れありと特定する(S216)。具体的には、光学窓11の汚れがあることを示すフラグを1にする。
【0047】
図6の説明に戻り、S110にて、汚れありか否かを判定する。ここでは、光学窓11の汚れがあることを示すフラグの値に基づいて光学窓11の汚れがあるか否かを判定する。
【0048】
ここで、光学窓11の汚れがあることを示すフラグが1となっており、光学窓11の汚れがあると判定した場合、S110の判定はYESとなり、レーザーセンサが汚れていることの警告表示を行う(S112)。具体的には、車両2のメータ内に配置された表示部31のディスプレイにレーザーセンサ10が汚れている旨の表示体を表示させ、ドア開自動制御、障害物検出処理を実施することなく、処理を終了する。
【0049】
また、光学窓11の汚れがあることを示すフラグが0となっており、光学窓11の汚れがないと判定した場合、S110の判定はNOとなり、次に、車速が0(時速0キロメートル)であるか否かを判定する(S114)。スイングドアECU30には車両2の車速センサ(図示せず)から車速に応じた車速信号が入力されるようになっており、この車速信号に基づいて車速が0であるか否かを判定する。
【0050】
ここで、車両が停止しておらず、車速が0となっていない場合、S114の判定はNOとなり、障害物検出処理を実施することなく、本処理を終了する。
【0051】
また、車両が停止しており、車速が0となっている場合、S114の判定はYESとなり、次に、目標開度に到達したか否かを判定する(S116)。ここで、目標開度とは、車両ドア20を自動で開扉する際の最大開度のことをいう。スイングドアECU30のEEPROMに目標開度を表す情報が記憶されている。この目標開度を表す情報は、ユーザ操作により好みの値に変更することが可能となっている。また、ドア開閉機構23内に車両ドア20の開度に応じた信号を出力するドア開度センサが設けられている。本実施形態では、このドア開度センサからの出力信号とEEPROMに記憶された目標開度を表す情報とに基づいて車両ドア20が目標開度に到達したか否かを判定する。
【0052】
ここで、既に、車両ドア20が目標開度に到達している場合、S116の判定はYESとなり、障害物検出処理を実施することなく、本処理を終了する。
【0053】
また、車両ドア20が目標開度に到達していない場合には、S116の判定はNOとなり、次に、ドア開制御を開始する(S118)。ここでは、車両ドア20が閉扉状態となっているものとする。この状態で障害物検出処理を実施する(S300)。
【0054】
図8に、この障害物検出処理のフローチャートを示す。この障害物検出処理では、まず、障害物検出範囲を特定する(S302)。本実施形態におけるスイングドアECU30のEEPROMには、図1に示した走査範囲を表す障害物検出範囲データが記憶されており、この障害物検出範囲データをスイングドアECU30のEEPROMより読み込み、障害物検出範囲を特定する。
【0055】
次に、走査角度θnを走査範囲の開始位置(0°)に設定する(S304)。具体的には、走査角度θnを走査範囲の開始位置(0°)にするように制御部16に指示する信号を送出する。制御部16は、この信号に応じて走査角度θnが走査範囲の開始位置(0°)となるように駆動部14のモータを駆動する。このモータの駆動によりミラー21が回転し、レーザー光を照射する方向が走査範囲の開始位置(0°)へと移動する。
【0056】
次に、走査角度θnが走査範囲の終了位置(上限角度)に到達したか否かを判定する(S306)。具体的には、制御部16を介してスキャン角度検出部15より出力される信号を取得して走査角度θnが走査範囲の終了位置(上限角度)に到達したか否かを判定する。
【0057】
ここで、走査角度θnが走査範囲の終了位置(上限角度)に到達していない場合、S306の判定はNOとなり、次に、走査角度θnで障害物との距離を測定する(S310)。具体的には、LD12からレーザー光を照射して、物体に反射した反射光を受光するまでの時間から障害物検出範囲内に物体が有るか否かを判定する。
【0058】
ここで、障害物検出範囲内に物体がない場合、S312の判定はNOとなり、走査角度θnに一定角度αを増加させることにより走査角度を更新する(S314)。具体的には、走査角度θnがθn+αとなるように制御部16に指示する信号を送出する。制御部16は、駆動部14のモータを駆動させ、レーザー光の照射方向が更新される。
【0059】
次に、S306へ戻り、走査角度θn+αの状態で、障害物検出処理を実施する。このように、走査角度θnが上限角度になるまで物体の走査が行われ、走査角度θnが上限角度になると、S306の判定はYESとなり、走査角度θnを走査範囲の開始位置(0°)に戻す(S308)。
【0060】
この間に、障害物検出範囲内に物体が検出されると、S312の判定はYESとなり、障害物ありと特定する(S316)。具体的には、障害物が検出されたことを表すフラグに1を設定し、本処理を終了する。
【0061】
図6の説明に戻り、S122では、障害物ありか否かを判定する。ここでは、障害物が検出されたことを表すフラグに基づいて障害物ありか否かを判定する。
【0062】
ここで、障害物が検出されたことを表すフラグが0となっている場合、S122の判定はNOとなり、次に、車両ドア20が目標開度に到達したか否かを判定する(S124)。
【0063】
ここで、車両ドア20が目標開度に到達していない場合、S124の判定はNOとなり、S118へ戻る。なお、S118では、車両ドア20を予め定められた角度分、開扉方向に開くようにドア開閉機構23へ指示する信号を送出する。ドア開閉機構23は、この信号に応じて車両ドア20が一定角度開扉方向に開くように制御する。このように、車両ドア開を自動制御しながら、車両ドア20の周辺に位置する物体を検出する処理を繰り返し実施する。
【0064】
そして、車両ドア20が目標開度に到達すると、S124の判定はYESとなり、ドア開制御を終了する(S126)。
【0065】
また、車両ドア20が目標開度に到達する前に、障害物検出範囲内に物体が検出されると、障害物が検出されたことを警告し、車両ドア20が目標開度に到達する前であってもドア開制御を終了する。
【0066】
上記した構成によれば、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定するので、例えば、光学窓の汚れ検出用の受光素子を新たに備えることなく、光学窓の汚れを検出することができる。
【0067】
また、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定するので、例えば、光学窓に汚れが付着している場合、鉛直下方向に障害物が存在する場合、鉛直下方向に障害物が存在しない場合を区別して認識することが可能である。
【0068】
また、車両ドア開の自動制御を開始する前にレーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させるので、車両ドア開の自動制御を開始する前に光学窓に泥や汚れ等が付着しているか否かを認識することができる。
【0069】
また、光学窓が汚れていることが判定された場合、ドア開閉制御部に車両ドアの自動開閉制御を停止するように指示するので、光学窓に泥や汚れ等が付着してレーザー光や反射光が遮られ、車両ドアに接触する可能性のある物体を検出することができず、車両ドアの開閉時に車両ドアが障害物と接触してしまうといった状況を回避することができる。
【0070】
また、光学窓が汚れていることが判定された場合、光学窓が汚れていることが乗員に報知されるので、乗員は容易に光学窓が汚れていることを認識することができ、汚れを拭き取る等の措置をとることもできる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0072】
例えば、上記実施形態では、自動車のドア開を自動制御する場合を例に、本物理量検出装置の作動について説明したが、自動車に限定されるものではなく、例えば、鉄道車両、一人乗り小型車両等に適用することもできる。
【0073】
また、上記実施形態では、車両ドア開を自動制御する機能を備えた車両に、車両ドアが車両周辺の物体と接触しないように物体検出装置を搭載し、この物体検出装置において光学窓の汚れを判定する処理を実施する例について説明したが、車両ドア開を自動制御する機能を備えていない車両に搭載するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、運転席のドアのドア開を自動制御する場合について説明したが、運転席のドアの限定されるものではなく、助手席側のドア、後部座席のドア、トランクのドア等に適用することもできる。
【0075】
上記実施形態では、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否か、すなわち、レーザーセンサによって検出されるレーザーセンサと路面との距離が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定するようにしたが、レーザー光を鉛直下方向に照射した際に、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、S100にてドア開スイッチがオンしたことをトリガとして、S200の汚れ検出処理、S300の障害物検出処理等を実施する例を示したが、このようなトリガに限定されるものではなく、例えば、キーレスエントリシステムにおける電子キーの照合が成立したことをトリガとして、S200の汚れ検出処理、S300の障害物検出処理等を実施するようにしてもよい。
【0077】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S200が汚れ判定手段に相当し、S126が自動開閉制御停止指示手段に相当し、S112が報知手段に相当する。
【符号の説明】
【0078】
2 車両
10 レーザーセンサ
11 光学窓
12 LD
13 PD
14 駆動部
15 スキャン角度検出部
16 制御部
20 車両ドア
21 ドア開スイッチ
22 ドアミラー
23 ドア開閉機構
30 スイングドアECU
31 表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺に存在する物体を検出する物体検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアの回転軸の近傍に設置され、車両ドアの表面に対し、車両ドアが開扉される方向に所定角度ずれた平面を走査するようにレーザー光を照射し、障害物によって反射した反射光を受光するようにして、車両のドアに接触する可能性のある物体を検出する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−101150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような装置では、光学窓に泥や汚れ等が付着してレーザー光や反射光が遮られると、車両のドアに接触する可能性のある物体を検出することができず、車両ドアの開閉時に車両ドアが障害物と接触してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、例えば、反射光を受光するための受光素子とは別に、装置内に、レーザー光が光学窓に付着した汚れに反射した内部反射光を検出する受光素子を設け、この光学窓に付着した汚れに反射した光を検出する受光素子により光学窓に付着した汚れを検出することが考えられる。しかし、このような光学窓の汚れ検出用の受光素子を新たに備える構成ではコストが高くなってしまうといった問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、光学窓の汚れを検出するための受光素子を設けることなく、光学窓の汚れを検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両周辺に存在する物体を検出する物体検出装置であって、鉛直下方向を含む面内を走査するようにレーザー光の向きを変化させて光学窓を介して照射するとともに、レーザー光が物体に反射した反射光を光学窓を介して受光するレーザーセンサと、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定する汚れ判定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定するので、例えば、光学窓の汚れ検出用の受光素子を新たに備えることなく、光学窓の汚れを検出することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、車両ドア開を自動制御するドア開閉機構を備えた車両に搭載され、レーザーセンサは、車両ドアを開く際に当該車両ドアに接触する可能性のある物体を検出するものを特徴としている。
【0010】
このように、車両ドア開を自動制御するドア開閉機構を備えた車両に搭載され、レーザーセンサは、車両ドアを開く際に当該車両ドアに接触する可能性のある物体を検出するものとすることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、汚れ判定手段は、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定することを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定するので、例えば、光学窓に汚れが付着している場合、鉛直下方向に障害物が存在する場合、鉛直下方向に障害物が存在しない場合を区別して認識することが可能である。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、汚れ判定手段は、車両ドア開の自動制御を開始する前にレーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させることを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、汚れ判定手段は、車両ドア開の自動制御を開始する前にレーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させるので、車両ドア開の自動制御を開始する前に光学窓に泥や汚れ等が付着しているか否かを認識することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、汚れ判定手段により光学窓が汚れていることが判定された場合、ドア開閉制御部に車両ドアの自動開閉制御を停止するように指示する自動開閉制御停止指示手段を備えたことを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、光学窓が汚れていることが判定された場合、ドア開閉制御部に車両ドアの自動開閉制御を停止するように指示するので、光学窓に泥や汚れ等が付着してレーザー光や反射光が遮られ、車両ドアに接触する可能性のある物体を検出することができず、車両ドアの開閉時に車両ドアが障害物と接触してしまうといった状況を回避することができる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明では、汚れ判定手段により光学窓が汚れていることが判定された場合、光学窓が汚れていることを乗員に報知する報知手段を備えたことを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、光学窓が汚れていることが判定された場合、光学窓が汚れていることが乗員に報知されるので、乗員は容易に光学窓が汚れていることを認識することができ、汚れを拭き取る等の措置をとることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る物体検出装置の一部を構成するレーザーセンサが乗用車に取り付けられた様子を示す図である。
【図2】レーザーセンサについて説明するための図である。
【図3】レーザーセンサの光学系の構成を示す図である。
【図4】レーザー光の照射方向について説明するための図である。
【図5】物体検出装置のブロック構成を示す図である。
【図6】スイングドアECUのフローチャートである。
【図7】汚れ検出処理のフローチャートである。
【図8】障害物検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る物体検出装置の一部を構成するレーザーセンサ10が車両(乗用車)2に取り付けられた様子を図1に示す。本実施形態における車両2は、ユーザによるドア開スイッチ21への操作に応じて、車両ドア開を自動制御する機能を備えている。本物体検出装置は、車両ドア20が車両周辺の物体と接触しないように車両ドア開を自動制御するために設けられている。
【0021】
本レーザーセンサ10は、車両2のドアミラー22の下部に取り付けられ、鉛直下方向を含む面内を走査するように、レーザー光の照射方向を変化させながら物体に反射した反射光を検出することにより、車両ドア20の外側周辺に存在する物体を検出する。
【0022】
図2に示すように、レーザーセンサ10は、光学窓11を有しており、この光学窓11を介してレーザー光を照射するとともに、光学窓11を介して物体に反射した反射光を受光する。
【0023】
図3に、レーザーセンサ10の光学系の構成図を示す。レーザーセンサ10は、レーザー光を照射するレーザーダイオード(以下、LDと記す)22、物体に反射した反射光を受光するフォトダイオード(以下、PDと記す)23、LD22のレーザー光を反射して光学窓11より出射させるとともに、光学窓11からのレーザー光(反射光)を反射してPD23に入射するミラー21を備えている。ミラー21は、後述する駆動部14(図5に示す)により、図3中の矢印Aに示す方向に回転するように構成されている。このようにミラー21を回転させることにより、図1に示したように、車両ドア20の外側周辺を走査するように車両周辺の物体を検出するようになっている。
【0024】
また、図4に示すように、レーザーセンサ10は、車両ドア20の外側表面に対してレーザー光が車両ドア20が開扉される方向に一定角度φずれて出射されるように、ドアミラー22の下部に取り付けられている。このようにレーザー光の照射方向を車両ドア20が開扉される方向にずらすことで、車両ドア開を自動制御する際に、事前に車両ドア20の周辺の物体を事前に検出することが可能となる。
【0025】
図5に、本物理量検出装置のブロック構成を示す。本物理量検出装置は、レーザーセンサ10、スイングドアECU30および表示部31により構成されている。スイングドアECU30には、ドア開スイッチ21およびドア開閉機構23が接続されている。
【0026】
レーザーセンサ10は、LD12、PD13、駆動部14、スキャン角度検出部15および制御部16を備えている。
【0027】
LD12は、制御部16から入力される駆動信号に応じたレーザー光を照射する。PD13は、受光したレーザー光に応じた電気信号を制御部16へ出力する。
【0028】
駆動部14は、制御部16からの信号に応じて回転するモータ(図示せず)と、このモータの回転軸の回転力を、図3に示したレンズ21に伝達する駆動機構を備えている。制御部16からの信号に応じてモータが回転すると、モータの回転軸の回転力が駆動機構によりレンズ21に伝達され、レンズ21が回転するようになっている。
【0029】
スキャン角度検出部15は、レンズ21の回転角度に応じたスキャン角度信号を出力するものである。本実施形態では、走査範囲の開始位置(図1中のθ=0°)を基準として、レンズ21の回転角度に応じたスキャン角度信号を出力するようになっている。
【0030】
ドア開スイッチ21は、車両ドア20を開扉あるいは閉扉する際に操作するスイッチである。ユーザがドア開スイッチ21をタッチ操作すると、ユーザ操作に応じた信号がドア開スイッチ21からスイングドアECU30へ入力される。
【0031】
ドア開閉機構23は、スイングドアECU30からの信号に応じて回転する開閉モータと、この開閉モータの回転軸の回転力に応じて車両ドア20を開閉させるドア開閉機構(いずれも図示せず)を備えている。例えば、スイングドアECU30からの信号に応じて開閉モータが正転すると、ドア開閉機構により車両ドア20が開扉し、開閉モータが逆転すると、ドア開閉機構により車両ドア20が閉扉する。
【0032】
スイングドアECU30は、ドア開閉機構23を制御して車両ドア20の開閉を自動制御する。スイングドアECU30は、CPU、RAM、ROM、EEPROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0033】
表示部31は、液晶等のディスプレイを有し、スイングドアECU30より入力される画像信号に応じた画像をディスプレイに表示させる。本実施形態における表示部31は、車両のメータ内に配置されている。
【0034】
ところで、レーザーセンサ10の光学窓11に泥や汚れ等が付着してレーザー光や反射光が遮られると、車両ドア20に接触する可能性のある物体を検出することができず、車両ドアの開閉時に車両ドアが障害物と接触してしまう。
【0035】
そこで、本物理量検出装置におけるスイングドアECU30は、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定する処理を実施するようになっている。すなわち、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させた場合には、必ず路面に反射した反射光が検出されることを利用して光学窓の汚れを判定するようになっている。
【0036】
次に、図6に従って、このスイングドアECU30の処理について説明する。スイングドアECU30は、定期的に図6に示す処理を実施する。
【0037】
まず、ドア開スイッチ21がオンしたか否かを判定する(S100)。具体的には、ドア開スイッチ21からユーザのタッチ操作に応じた信号が入力されたか否かに基づいてドア開スイッチ21がオンしたか否かを判定する。
【0038】
ドア開スイッチ21からユーザのタッチ操作に応じた信号が入力されない場合、S100の判定を繰り返し実施し、ユーザによりドア開スイッチ21がタッチされ、ドア開スイッチ21からユーザのタッチ操作に応じた信号が入力されると、S100の判定はYESとなり、次に、汚れ検出処理を実施する(S200)。
【0039】
図7に、この汚れ検出処理のフローチャートを示す。この汚れ検出処理では、まず、レーザー照射方向を鉛直下方向へ移動させる(S202)。具体的には、レーザー照射方向を鉛直下方向へ移動させるように指示する信号を制御部16に送出する。制御部16は、この信号に応じてレーザー照射方向が鉛直下方向となるように駆動部14のモータを駆動する。このモータの駆動によりレンズ21が回転し、レーザー光を照射する方向が移動する。
【0040】
次に、レーザー照射方向が鉛直下方向であるか否かを判定する(S204)。制御部16は、スキャン角度検出部15より出力される信号に基づいてレーザー照射方向が鉛直下方向であるか否かを判定する。
【0041】
ここで、レーザー照射方向が鉛直下方向へ到達していない場合、S204の判定はNOとなり、S202へ戻る。そして、レーザー照射方向が鉛直下方向へ到達すると、S204の判定はYESとなり、レーザー照射方向に移動を停止する(S206)。具体的には、レーザー照射方向の移動を停止するように制御部16に指示する信号を送出する。制御部16は、駆動部14のモータ駆動を停止させ、レーザー光の照射方向が鉛直下方向の状態が維持される。
【0042】
次に、レーザー光の射出を行う(S208)。具体的には、レーザー光の射出を行うように制御部16に指示する信号を送出する。制御部16は、LD12より輝度変調を掛けたレーザー光を射出させる。このようにして、鉛直下方向の路面に対してレーザー光が射出される。
【0043】
次に、反射光を受光するまでの時間を計測する(S210)。制御部16は、LD12より輝度変調を掛けたレーザー光を射出させてから、このレーザー光が路面に反射した反射光を受光するまでの時間差を計測し、この計測した時間差を示す情報をスイングドアECU30へ送出するようになっている。ここでは、制御部16より送出される時間差を示す情報に基づいて反射光を受光するまでの時間を特定する。
【0044】
次に、規定時間内に受光信号があるか否かを判定する(S212)。ここで、規定時間とは、ドアミラー22の下部に取り付けられたレーザーセンサ10からレーザー光を鉛直下方向へ照射してから路面に反射した反射光が受光されるまでの時間を規定した規定時間である。この規定時間は、レーザーセンサ10の取り付け位置(路面からの高さ)および誤差等を考慮して規定されている。すなわち、車両形状によって規定時間が異なるように構成されている。
【0045】
ここで、レーザーセンサ10の光学窓11に汚れ等が付着しておらず、ドアミラー22の下部に取り付けられたレーザーセンサ10から鉛直下方向へ照射したレーザー光が路面に反射して受光され、規定時間内に受光信号が受光されると、S212の判定はYESとなり、光学窓11の汚れなしと特定する(S214)。具体的には、光学窓11の汚れがあることを示すフラグを0にする。なお、このとき、鉛直下方向へレーザー光を照射してから、路面に反射した反射光が受光されるまでの時間により、鉛直下方向に障害物が存在するか否かを区別して認識することもできる。
【0046】
また、レーザーセンサ10の光学窓11に汚れ等が付着しており、ドアミラー22の下部に取り付けられたレーザーセンサ10から鉛直下方向へ照射したレーザー光が路面に反射して受光され、規定時間内に受光信号が受光されない場合、S212の判定はNOとなり、光学窓11の汚れありと特定する(S216)。具体的には、光学窓11の汚れがあることを示すフラグを1にする。
【0047】
図6の説明に戻り、S110にて、汚れありか否かを判定する。ここでは、光学窓11の汚れがあることを示すフラグの値に基づいて光学窓11の汚れがあるか否かを判定する。
【0048】
ここで、光学窓11の汚れがあることを示すフラグが1となっており、光学窓11の汚れがあると判定した場合、S110の判定はYESとなり、レーザーセンサが汚れていることの警告表示を行う(S112)。具体的には、車両2のメータ内に配置された表示部31のディスプレイにレーザーセンサ10が汚れている旨の表示体を表示させ、ドア開自動制御、障害物検出処理を実施することなく、処理を終了する。
【0049】
また、光学窓11の汚れがあることを示すフラグが0となっており、光学窓11の汚れがないと判定した場合、S110の判定はNOとなり、次に、車速が0(時速0キロメートル)であるか否かを判定する(S114)。スイングドアECU30には車両2の車速センサ(図示せず)から車速に応じた車速信号が入力されるようになっており、この車速信号に基づいて車速が0であるか否かを判定する。
【0050】
ここで、車両が停止しておらず、車速が0となっていない場合、S114の判定はNOとなり、障害物検出処理を実施することなく、本処理を終了する。
【0051】
また、車両が停止しており、車速が0となっている場合、S114の判定はYESとなり、次に、目標開度に到達したか否かを判定する(S116)。ここで、目標開度とは、車両ドア20を自動で開扉する際の最大開度のことをいう。スイングドアECU30のEEPROMに目標開度を表す情報が記憶されている。この目標開度を表す情報は、ユーザ操作により好みの値に変更することが可能となっている。また、ドア開閉機構23内に車両ドア20の開度に応じた信号を出力するドア開度センサが設けられている。本実施形態では、このドア開度センサからの出力信号とEEPROMに記憶された目標開度を表す情報とに基づいて車両ドア20が目標開度に到達したか否かを判定する。
【0052】
ここで、既に、車両ドア20が目標開度に到達している場合、S116の判定はYESとなり、障害物検出処理を実施することなく、本処理を終了する。
【0053】
また、車両ドア20が目標開度に到達していない場合には、S116の判定はNOとなり、次に、ドア開制御を開始する(S118)。ここでは、車両ドア20が閉扉状態となっているものとする。この状態で障害物検出処理を実施する(S300)。
【0054】
図8に、この障害物検出処理のフローチャートを示す。この障害物検出処理では、まず、障害物検出範囲を特定する(S302)。本実施形態におけるスイングドアECU30のEEPROMには、図1に示した走査範囲を表す障害物検出範囲データが記憶されており、この障害物検出範囲データをスイングドアECU30のEEPROMより読み込み、障害物検出範囲を特定する。
【0055】
次に、走査角度θnを走査範囲の開始位置(0°)に設定する(S304)。具体的には、走査角度θnを走査範囲の開始位置(0°)にするように制御部16に指示する信号を送出する。制御部16は、この信号に応じて走査角度θnが走査範囲の開始位置(0°)となるように駆動部14のモータを駆動する。このモータの駆動によりミラー21が回転し、レーザー光を照射する方向が走査範囲の開始位置(0°)へと移動する。
【0056】
次に、走査角度θnが走査範囲の終了位置(上限角度)に到達したか否かを判定する(S306)。具体的には、制御部16を介してスキャン角度検出部15より出力される信号を取得して走査角度θnが走査範囲の終了位置(上限角度)に到達したか否かを判定する。
【0057】
ここで、走査角度θnが走査範囲の終了位置(上限角度)に到達していない場合、S306の判定はNOとなり、次に、走査角度θnで障害物との距離を測定する(S310)。具体的には、LD12からレーザー光を照射して、物体に反射した反射光を受光するまでの時間から障害物検出範囲内に物体が有るか否かを判定する。
【0058】
ここで、障害物検出範囲内に物体がない場合、S312の判定はNOとなり、走査角度θnに一定角度αを増加させることにより走査角度を更新する(S314)。具体的には、走査角度θnがθn+αとなるように制御部16に指示する信号を送出する。制御部16は、駆動部14のモータを駆動させ、レーザー光の照射方向が更新される。
【0059】
次に、S306へ戻り、走査角度θn+αの状態で、障害物検出処理を実施する。このように、走査角度θnが上限角度になるまで物体の走査が行われ、走査角度θnが上限角度になると、S306の判定はYESとなり、走査角度θnを走査範囲の開始位置(0°)に戻す(S308)。
【0060】
この間に、障害物検出範囲内に物体が検出されると、S312の判定はYESとなり、障害物ありと特定する(S316)。具体的には、障害物が検出されたことを表すフラグに1を設定し、本処理を終了する。
【0061】
図6の説明に戻り、S122では、障害物ありか否かを判定する。ここでは、障害物が検出されたことを表すフラグに基づいて障害物ありか否かを判定する。
【0062】
ここで、障害物が検出されたことを表すフラグが0となっている場合、S122の判定はNOとなり、次に、車両ドア20が目標開度に到達したか否かを判定する(S124)。
【0063】
ここで、車両ドア20が目標開度に到達していない場合、S124の判定はNOとなり、S118へ戻る。なお、S118では、車両ドア20を予め定められた角度分、開扉方向に開くようにドア開閉機構23へ指示する信号を送出する。ドア開閉機構23は、この信号に応じて車両ドア20が一定角度開扉方向に開くように制御する。このように、車両ドア開を自動制御しながら、車両ドア20の周辺に位置する物体を検出する処理を繰り返し実施する。
【0064】
そして、車両ドア20が目標開度に到達すると、S124の判定はYESとなり、ドア開制御を終了する(S126)。
【0065】
また、車両ドア20が目標開度に到達する前に、障害物検出範囲内に物体が検出されると、障害物が検出されたことを警告し、車両ドア20が目標開度に到達する前であってもドア開制御を終了する。
【0066】
上記した構成によれば、レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定するので、例えば、光学窓の汚れ検出用の受光素子を新たに備えることなく、光学窓の汚れを検出することができる。
【0067】
また、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定するので、例えば、光学窓に汚れが付着している場合、鉛直下方向に障害物が存在する場合、鉛直下方向に障害物が存在しない場合を区別して認識することが可能である。
【0068】
また、車両ドア開の自動制御を開始する前にレーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させるので、車両ドア開の自動制御を開始する前に光学窓に泥や汚れ等が付着しているか否かを認識することができる。
【0069】
また、光学窓が汚れていることが判定された場合、ドア開閉制御部に車両ドアの自動開閉制御を停止するように指示するので、光学窓に泥や汚れ等が付着してレーザー光や反射光が遮られ、車両ドアに接触する可能性のある物体を検出することができず、車両ドアの開閉時に車両ドアが障害物と接触してしまうといった状況を回避することができる。
【0070】
また、光学窓が汚れていることが判定された場合、光学窓が汚れていることが乗員に報知されるので、乗員は容易に光学窓が汚れていることを認識することができ、汚れを拭き取る等の措置をとることもできる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0072】
例えば、上記実施形態では、自動車のドア開を自動制御する場合を例に、本物理量検出装置の作動について説明したが、自動車に限定されるものではなく、例えば、鉄道車両、一人乗り小型車両等に適用することもできる。
【0073】
また、上記実施形態では、車両ドア開を自動制御する機能を備えた車両に、車両ドアが車両周辺の物体と接触しないように物体検出装置を搭載し、この物体検出装置において光学窓の汚れを判定する処理を実施する例について説明したが、車両ドア開を自動制御する機能を備えていない車両に搭載するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、運転席のドアのドア開を自動制御する場合について説明したが、運転席のドアの限定されるものではなく、助手席側のドア、後部座席のドア、トランクのドア等に適用することもできる。
【0075】
上記実施形態では、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否か、すなわち、レーザーセンサによって検出されるレーザーセンサと路面との距離が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定するようにしたが、レーザー光を鉛直下方向に照射した際に、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて光学窓の汚れを判定するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、S100にてドア開スイッチがオンしたことをトリガとして、S200の汚れ検出処理、S300の障害物検出処理等を実施する例を示したが、このようなトリガに限定されるものではなく、例えば、キーレスエントリシステムにおける電子キーの照合が成立したことをトリガとして、S200の汚れ検出処理、S300の障害物検出処理等を実施するようにしてもよい。
【0077】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S200が汚れ判定手段に相当し、S126が自動開閉制御停止指示手段に相当し、S112が報知手段に相当する。
【符号の説明】
【0078】
2 車両
10 レーザーセンサ
11 光学窓
12 LD
13 PD
14 駆動部
15 スキャン角度検出部
16 制御部
20 車両ドア
21 ドア開スイッチ
22 ドアミラー
23 ドア開閉機構
30 スイングドアECU
31 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺に存在する物体を検出する物体検出装置であって、
鉛直下方向を含む面内を走査するようにレーザー光の向きを変化させて光学窓を介して照射するとともに、前記レーザー光が物体に反射した反射光を前記光学窓を介して受光して前記物体を検出するレーザーセンサと、
前記レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて前記光学窓の汚れを判定する汚れ判定手段と、を備えたことを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
車両ドア開を自動制御するドア開閉機構を備えた車両に搭載され、
前記レーザーセンサは、前記車両ドアを開く際に当該車両ドアに接触する可能性のある物体を検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記汚れ判定手段は、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記汚れ判定手段は、前記車両ドア開の自動制御を開始する前に前記レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させることを特徴とする請求項2または3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記汚れ判定手段により前記光学窓が汚れていることが判定された場合、前記ドア開閉制御部に車両ドアの自動開閉制御を停止するように指示する自動開閉制御停止指示手段を備えたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記汚れ判定手段により前記光学窓が汚れていることが判定された場合、前記光学窓が汚れていることを乗員に報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の物体検出装置。
【請求項1】
車両周辺に存在する物体を検出する物体検出装置であって、
鉛直下方向を含む面内を走査するようにレーザー光の向きを変化させて光学窓を介して照射するとともに、前記レーザー光が物体に反射した反射光を前記光学窓を介して受光して前記物体を検出するレーザーセンサと、
前記レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させて、路面に反射した反射光が検出されたか否かに基づいて前記光学窓の汚れを判定する汚れ判定手段と、を備えたことを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
車両ドア開を自動制御するドア開閉機構を備えた車両に搭載され、
前記レーザーセンサは、前記車両ドアを開く際に当該車両ドアに接触する可能性のある物体を検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記汚れ判定手段は、レーザー光を鉛直下方向に照射してから、路面に反射した反射光が検出されるまでの時間が規定範囲内か否かに基づいて光学窓の汚れを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記汚れ判定手段は、前記車両ドア開の自動制御を開始する前に前記レーザー光の照射方向を鉛直下方向に変化させることを特徴とする請求項2または3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記汚れ判定手段により前記光学窓が汚れていることが判定された場合、前記ドア開閉制御部に車両ドアの自動開閉制御を停止するように指示する自動開閉制御停止指示手段を備えたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記汚れ判定手段により前記光学窓が汚れていることが判定された場合、前記光学窓が汚れていることを乗員に報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の物体検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−192775(P2012−192775A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56796(P2011−56796)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]