説明

物品の形状検査装置

【課題】検査体において設計形状との誤差が公差から外れている箇所を検査体上で容易に特定できる物品の形状検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】XY平面に設置されたベースと、ベース上に設置された検査体の寸法を計測するセンサユニット3a,3bと、検査体において、センサユニット3a,3bによって計測された検査体の形状実測値と予め設定されている設計値との誤差が公差を外れている箇所を特定する処理装置10と、処理装置10によって誤差が公差を外れていると判定された箇所にマーキングを行う印字ノズルとを具備する物品の形状検査装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査体の形状を測定し、実測値と設計値との誤差が公差内であるか否かを判定する物品の形状検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の寸法を測定する装置として、特許文献1に開示される装置が知られている。特許文献1には、互いに間隔をあけ、平行に配列された複数の探触ピンおよびこれら探触ピンを少なくとも先端側が突出した状態で長手方向摺動可能に支持する支持体を具備した一対の片側検査体と、これら片側検査体を前記各探触ピンの先端を対向させた状態で互いに離間させて支持するとともに、各片側検査体を接触離間させうる検査体開閉機構と、前記各片側検査体の対向し合う各探触ピンの間に、検査すべき箇所を位置決めして物品を固定する物品固定手段とを具備した物品の寸法検査装置が開示されている。また、特許文献1では、寸法検査装置の出力をコンピュータに取り込み、コンピュータ上で検査体の断面形状を推定し、この断面形状と予めコンピュータに入力されている物品の設計形状との誤差を計算し、この誤差が公差内であるか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−83102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来の物品の寸法検査装置では、コンピュータ上で検査体の断面形状と設計形状とを比較して、その差分が公差内か否かを判定し、その結果をディスプレイ上または印刷することにより、ユーザに提示している。
したがって、表示等された結果と照合しながら、実際の物品において公差を外れている箇所を再度特定しなければならず、該当箇所の特定に相当な労力と時間とを要していた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、検査体において設計形状との誤差が公差から外れている箇所を検査体上で容易に特定できる物品の形状検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、XY平面に設置されたベースと、前記ベース上に設置された検査体の寸法を計測する計測手段と、前記検査体において、前記計測手段によって計測された前記検査体の形状実測値と予め設定されている設計値との誤差が公差を外れている箇所を特定する処理手段と、前記処理手段によって前記誤差が公差を外れていると判定された箇所にマーキングを行うマーキング手段とを具備する物品の形状検査装置を提供する。
【0007】
このような構成によれば、計測手段によって計測された物品形状の実測値と予め規定されている設計形状との誤差が公差内になかった箇所にマーキングが行われる。すなわち、本発明によれば、検査体において、設計値との誤差が公差内になかった箇所に直接マーキングがされるので、検査体において当該箇所を容易に把握することができ、形状の修正作業などの効率を向上させることができる。
【0008】
上記物品の形状検査装置において、前記計測手段は、検査体のXY断面形状の寸法を測定するセンサユニットと、該センサユニットをZ軸方向に移動させる移動機構とを有しており、前記マーキング手段は、前記センサユニットに設けられていることとしてもよい。
【0009】
このように、センサユニットにマーキング手段が設けられているので装置を小型化させることができるとともに、同期して移動させることができる。これにより、センサユニットとマーキング手段とをそれぞれ個別に作動させる場合に比べて作業性を高めることができる。
【0010】
上記物品の形状検査装置において、前記センサユニットは、前記検査体の設計形状におけるXY断面形状を膨らませたプロファイルに沿って配置された複数のセンサを有し、前記マーキング手段は、前記センサのそれぞれに対応して設けられ、対応するセンサの計測位置にマーキングするように前記センサユニットに取り付けられていることとしてもよい。
【0011】
このように、検査体の設計形状のXY断面形状を拡張させたプロファイルに沿って複数のセンサが配置されている、すなわち、一のXY平面内で前記検査体の表面を取り囲むように複数のセンサが配置されているので、検査体のXY断面形状の計測を効率的に行うことができる。更に、各センサに対応してマーキング手段が設けられ、対応するセンサの計測位置にマーキングを行うようになっているので、実測値と設計値との誤差が公差を外れていたセンサを特定することで、容易にマーキングを行うことができる。
【0012】
上記物品の形状検査装置において、前記センサは、例えば、検査体に向けて光を射出し、その反射光を受光して、前記検査体表面までの距離を計測するセンサであってもよい。
【0013】
このようなセンサは汎用性が高く比較的安価であるため、コスト低減に寄与する。
【0014】
上記物品の形状検査装置において、前記センサは、マイクロスイッチや近接スイッチなどのように、前記検査体との距離が所定の距離に達したときにオン状態となるセンサであってもよい。
【0015】
このようなセンサは汎用性が高く比較的安価であるため、コスト低減に寄与する。
【0016】
上記物品の形状検査装置において、前記処理手段は、前記センサの作動開始から所定の時間内にオンしなかったセンサがあった場合に、そのセンサの計測位置において、実測値と設計値との誤差が公差を外れていると判定することとしてもよい。
また、センサが公差内でオンする距離範囲を時間帯に換算してテーブルを持たせておいて、距離範囲外の位置でオンしたセンサの位置を実測値と設計値との誤差が公差を外れていると判定することにしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、XY形状の計測値と設計値とを照合させる必要がなく、非常に容易に該当箇所を検出することができる。
【0018】
上記物品の形状検査装置において、前記センサユニットは、前記検査体の断面形状を膨らませたプロファイルを直線近似可能な範囲で分割し、分割した直線をつなぎ合わせることで一のXY平面内において前記検査体の表面を取り囲む一本のレールを形成し、該レール上をセンサが移動することにより前記検査体の断面形状を非接触で計測する構成とされており、前記マーキング手段は前記センサに一体化されて取り付けられていることとしてもよい。
【0019】
このような構成によれば、一つのセンサでXY断面形状を計測することが可能となる。また、マーキング手段も該センサに対応する一つのマーキング手段で足りる。これにより、装置構成を簡易な構成にすることができる。また、上記センサのセンサ軸は、検査体の表面の法線方向と一致するように、前記レール上を移動させられることが好ましい。これにより、計測精度を向上させることができる。
【0020】
上記物品の形状検査装置において、前記検査体における一のXY断面形状の計測からマーキングが終了するまで、前記センサユニットのZ軸位置は固定されていることが好ましい。
【0021】
このように、XY断面形状の計測からマーキングが終了するまではZ軸方向における位置が変わらないので、Z軸方向における位置がずれることによるマーキングの精度低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、検査体において設計形状との誤差が公差から外れている箇所を容易に把握することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る物品の形状検査装置の概略構成を示した図である。
【図2】図1に示したセンサユニットについて説明するための図である。
【図3】図1に示したセンサユニットについて説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る物品の形状検査装置の概略構成を示した図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る物品の形状検査装置の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の物品の形状検査装置をタービン翼の形状検査に適用した場合の実施形態について説明する。なお、本発明の物品の形状検査装置は、タービン翼の形状検査に限定されず、さまざまな検査体の形状検査に広く適用されるものである。
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る物品の形状検査装置について、図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る形状検査装置の概略構成を示した図である。図1(a)に示すように、形状検査装置1は、XY平面に設置されたベース2を有している。ベース2上には、長手方向がZ方向になるように、検査体であるタービン翼Aが固定されている。タービン翼Aの腹側と背側には、ベース2上に設置されたタービン翼AのXY断面寸法を計測するためのセンサユニット(計測手段)3a,3bが配置されている。センサユニット3a,3bは、図2に示すように、タービン翼AのXY断面形状の設計形状を膨張させたプロファイルPに沿って配置された複数のセンサ4を有している。ここで、各センサ4は、センサ軸がプロファイルPの翼面の法線と一致するようにそれぞれ取り付け角度が調整されている。
【0026】
図1(a)および図2に示すように、本実施形態では、タービン翼Aを腹側と背側の2つの領域に分割し、腹側に対応するセンサユニット3aと背側に対応するセンサユニット3bとを用意し、これらを図1(b)及び図2に示すようにタービン翼Aを挟んで両側から結合させることにより、センサユニット3a,3bに配置された各センサ4が一のXY平面内でタービン翼の外周(表面)を取り囲むようにし、タービン翼AのXY断面形状の寸法を計測する。
また、図3に示すように、センサユニット3a,3bには、各センサ4に対応するように印字ノズル(マーキング手段)6が設置されている。各印字ノズル6は、それぞれ対応するセンサ4の計測位置にインクが噴射されるように取り付け角度が調整されている。また、印字ノズル6の後方には、インクタンク(図示略)が設けられており、このインクタンクからインクが供給されることにより、インクが噴射される。印字ノズル6の噴射タイミングなどの制御は、後述する処理装置10(図4参照)によって行われる。
【0027】
センサユニット3a,3bにおいて、各センサ4は、タービン翼表面に向けて光を射出し、その反射光を受光して、タービン翼表面までの距離を計測する変位センサであり、変位センサの出射端が上述のように、タービン翼の外周を取り囲むようにセンサユニット3a,3bにそれぞれ設置されている。また、変位センサの出射端には、各出射端に光を送り込むための光ファイバケーブル7a,7bが接続されている。
【0028】
図4に示すように、光ファイバケーブル7a,7bは、それぞれに対応する光マルチプレクサ8a,8bに接続されており、この光マルチプレクサ8a,8bは処理装置10に接続されている。処理装置10は、光マルチプレクサ8a,8bの切り換えや、各光マルチプレクサ8a,8bのオンオフ走査を制御することにより、各センサユニット3a,3bにおける各出射端からの光の出射タイミングを制御する。例えば、処理装置10は各光マルチプレクサ8a,8bにおいて、1〜Nチャネルまでを順次走査することで、各出射端から順番に光を出射させる。なお、このとき、光の干渉を考えて、各チャネルを走査することが好ましい。例えば、各センサユニット3a,3bにおいて、光の干渉が生ずる領域内で2つ以上の出射端から同時に光が出射されないように制御することが好ましい。
【0029】
図1に戻り、センサユニット3a,3bは、これらをZ軸方向に移動させるZ軸ステージ(計測手段)9a,9bに支持されている。更に、Z軸ステージ9aは腹側直動ステージ5aに、Z軸ステージ9bは背側直動ステージ5bに支持されており、腹側直動ステージ5a及び背側直動ステージ5bがX軸方向に沿って互いに移動することで、Z軸ステージ9a,9bにそれぞれ支持されたセンサユニット3a,3bが検査体であるタービン翼Aをはさんで接近/離間させられる構成とされている。
【0030】
図4に示すように、上記腹側直動ステージ5a、背側直動ステージ5b、Z軸ステージ9a,9bは、ステージコントローラドライバ12に接続されている。ステージコントローラドライバ12は処理装置10に接続されている。ステージコントローラドライバ12は、処理装置10からの制御信号に基づいて各ステージを駆動する。これにより、処理装置10からの指令に基づいて、腹側直動ステージ5a、背側直動ステージ5bがX軸方向に移動することによりセンサユニット3a,3bが結合/離間させられ、また、Z軸ステージ9a,9bが所定の位置に移動させられて位置決めされることにより、センサユニット3a,3bによるタービン翼Aの断面寸法の計測位置が固定される。
【0031】
次に、このような構成を備える物品の形状検査装置1の作用について説明する。
まず、測定を開始する際には、処理装置10がステージコントローラドライバ11に対して、ユニットセンサ3a,3bを結合させるような指令を出力する。これにより、腹側直動ステージ5a、背側直動ステージ5bが互いに近づく方向に移動させられ、ユニットセンサ3a,3bが結合させられる(図1(b)参照)。これにより、センサユニット3a,3bの各センサは、図2に示すように、検査体であるタービン翼Aの表面を一のXY平面で取り囲むように配置される。
【0032】
この状態で、処理装置10は、ステージコントローラドライバ11に対して、Z軸ステージをZ=1の位置に移動させる旨の指令を出力する。これにより、Z軸ステージ8a,8bが同期してZ軸方向に移動し、センサユニット3a,3bが結合された状態でZ=1の位置に移動させられる(図5のステップSA1)。ここで、Z=1の位置は、タービン翼Aの形状検査範囲におけるZ軸の最も小さい位置を意味する。
【0033】
続いて、処理装置10は各センサ4を作動させ、形状計測を実施する(図5のステップSA2)。具体的には、処理装置10は、各光マルチプレクサのチャネルを順次走査する。これにより、各センサユニット3a.3bに配置された各出射端から光が出射され、その戻り光が順次受光されて、光マルチプレクサ8a,8bを介してコントローラ11a,11bに入力される。コントローラ11a.11bは、各出射端から光が出射されてから光を受光するまでの時間からタービン翼表面までの距離をセンサ4毎に計算し、この距離情報をセンサ情報4と対応付けて処理装置10に出力する。
【0034】
次に、処理装置10は、入力された情報に基づいてタービン翼AのZ=1におけるXY断面形状を作成する(図5のステップSA3)。続いて、作成したXY断面形状と予め登録されている設計形状とを比較し、誤差が公差を外れている箇所があるか判定する(図5のステップSA4)。次に、誤差が公差を外れている箇所が存在した場合には(図5のステップSA5において「YES」)、そのセンサに対応する印字ノズル6を作動させ、インクを噴射させる(図5のステップSA6)。この場合において、各印字ノズル6は、それぞれ対応するセンサ4の計測位置にインクが噴射されるように調整されているので、公差を外れていると判定された測定位置にマーキングが行われることとなる。このように、検査体に対して直接マーキングが行われるので、公差から外れている箇所を容易に確認することができ、修正作業の効率を向上させることができる。
【0035】
このようにして、Z=1の位置において、マーキングまで終了すると、Z=1の位置において取得したXY断面形状の情報および判定結果を保存する(図5のステップSA7)。次に、処理装置10は、ステージコントローラドライバ12に対して、Z軸ステージ9a,9bをZ=1の位置から所定量移動させたZ=2の位置に移動させる旨の指令を出力する(図5のステップSA1)。そして、Z=2の位置において上述の処理を実行させる。そして、Z軸における検査範囲全域に対して上記処理が終了すると(図5のステップSA8において「YES」)、処理装置10はステージコントローラドライバ12に対して、ユニットセンサ3a,3bを離間させるような指令を出力する。これにより、腹側直動ステージ5a、背側直動ステージ5bが互いに離間する方向に移動させられ、元の位置に戻り停止する。
【0036】
以上説明してきたように、本実施形態に係る物品の形状検査装置1によれば、検査体であるタービン翼Aの一のXY平面上において、タービン翼の表面を取り囲むようにセンサ4を配置し、更にそのセンサ4の近傍に各センサ4に対応する印字ノズル6を設置し、設計形状との誤差が公差をはずれていると判定されたセンサ箇所においては、そのセンサ4に対応する印字ノズル6を作動させて、マーキングを行わせるので、検査体に対して直接マーキングを行うことができる。これにより、公差から外れている箇所を容易に確認することができ、修正作業の効率を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、センサ4として光を用いる変位センサを例示したが、これに限定されず、例えば、超音波式、渦電流式、接触式など種々の変位センサを採用することが可能である。
【0038】
また、上記の変位センサに代えて、例えば、マイクロスイッチや近接スイッチなどのように、検査体であるタービン翼Aとの距離が所定の距離に達したときにオン状態となるセンサを用いることとしてもよい。ここで、近接スイッチを採用した場合には、光などの干渉の問題が生じるので、干渉が生じる範囲内において複数の近接スイッチを同時に作動させることがないように気をつける必要がある。
【0039】
また、マイクロスイッチを採用する場合には、マイクロスイッチが配置された腹側および背側のセンサユニット3a,3bをタービン翼Aの腹側および背側から徐々に接近させ、マイクロスイッチなどのセンサがタービン翼Aに接触することによりオン状態とされるタイミングと移動速度とに基づいてタービン翼断面形状を測定することとしてもよい。
このとき、各マイクロスイッチの移動方向と翼面の法線方向とを一致させておくことで、断面形状の寸法計測の精度を向上させることが可能となる。
【0040】
また、本実施形態では、処理装置10が計測したXY断面形状と予め登録されている設計形状とを照合することで誤差を算出し、公差範囲にない箇所を判定していたが、例えば、センサ4としてマイクロスイッチや近接スイッチを用いる場合には、以下の方法により、公差範囲にない箇所を特定することとしてもよい。
例えば、センサとしてマイクロスイッチを採用する場合には、センサ毎に、マイクロスイッチの移動開始時から公差範囲内に入るまでの時間範囲を予め求めて処理装置10に登録させておき、計測時においては、登録されている時間範囲内にオンされなかったマイクロスイッチによる測定位置を公差範囲から外れている箇所として特定する。なお、このような判定方法を採用する場合には、各センサの移動速度も考慮する必要がある。このように、センサがオン状態となるタイミングによって公差範囲内か否かを判定するので、XY断面形状と設計形状とを照合する必要がなくなり、判定処理を容易に行うことが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、センサユニット3a,3bをZ軸方向に1つしか設けなかったが、腹側直動ステージ5a、背側直動ステージ5bのそれぞれにおいて、Z軸方向に間隔をあけて複数のセンサユニット3a,3bを配置することとしてもよい。このとき、腹側直動ステージ5aと背側直動ステージ5bとでセンサユニット3a,3bを配置するZ軸位置を一致させることが必要である。このようにすることで、複数のZ軸位置において同時に断面形状の計測および公差判定を行うことができ、計測効率を向上させることができる。
【0042】
また、上記のように、複数のセンサ4を配置するのではなく、一つのセンサ4をタービン翼Aを取り囲むようにXY平面上を走査させることで、同様の作用効果を得ることとしても良い。以下、この場合について説明する。
例えば、タービン翼の設計断面形状を膨らませた、換言すると、同じ倍率で横および縦に拡張させたプロファイルを作成し、このプロファイルを直線近似可能な範囲で分割し、分割した直線をつなぎ合わせることで、一のXY平面内におけるタービン翼の表面を取り囲む一本のレールを形成する。続いて、このレール上にセンサを取り付け、該レール上をセンサが移動しながら測定をおこなうことで、1つのセンサによりタービン翼の断面形状の寸法を計測する。
【0043】
ここで用いられるセンサは、例えば、上述した変位センサなどが挙げられる。測定に関する各種設定、例えば、移動速度、移動距離、測定点のセンサ角度などは予め処理装置に設定しておくことで測定を速やかに実行することができる。また、上述した実施形態と同様に、センサの近傍に噴射ノズルを設けておき、リアルタイムで測定を行いながら、誤差が公差範囲にない箇所についてマーキングを実施する構成としてもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、各Z軸位置において、測定処理、判定処理、マーキング処理を行っていたが、これに代えて、例えば、Z軸における検査範囲全域において計測処理を先に行ってしまい、その後、判定処理およびマーキング処理を実施することとしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 物品の形状検査装置
2 ベース
3a,3b センサユニット
4 センサ
5a 腹側直動ステージ
5b 背側直動ステージ
6 印字ノズル
7a,7b 光ファイバケーブル
8a,8b 光マルチプレクサ
9a,9b Z軸ステージ
10 処理装置
11a,11b コントローラ
12 ステージコントローラドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
XY平面に設置されたベースと、
前記ベース上に設置された検査体の寸法を計測する計測手段と、
前記検査体において、前記計測手段によって計測された前記検査体の形状実測値と予め設定されている設計値との誤差が公差を外れている箇所を特定する処理手段と、
前記処理手段によって前記誤差が公差を外れていると判定された箇所にマーキングを行うマーキング手段と
を具備する物品の形状検査装置。
【請求項2】
前記計測手段は、検査体のXY断面形状の寸法を測定するセンサユニットと、該センサユニットをZ軸方向に移動させる移動機構とを有しており、
前記マーキング手段は、前記センサユニットに設けられている請求項1に記載の物品の形状検査装置。
【請求項3】
前記センサユニットは、前記検査体の設計形状におけるXY断面形状を膨らませたプロファイルに沿って配置された複数のセンサを有し、
前記マーキング手段は、前記センサのそれぞれに対応して設けられ、対応するセンサの計測位置にマーキングするように前記センサユニットに取り付けられている請求項2に記載の物品の形状検査装置。
【請求項4】
前記センサは、前記検査体に向けて光を射出し、その反射光を受光して、前記検査体表面までの距離を計測するセンサである請求項3に記載の物品の形状検査装置。
【請求項5】
前記センサは、マイクロスイッチや近接スイッチなどのように、前記検査体との距離が所定の距離に達したときにオン状態となるセンサである請求項3に記載の物品の形状検査装置。
【請求項6】
前記処理手段は、前記センサの作動開始から所定の時間内にオンしなかったセンサがあった場合に、そのセンサの計測位置において、実測値と設計値との誤差が公差を外れていると判定する請求項5に記載の物品の形状検査装置。
【請求項7】
前記センサユニットは、前記検査体の断面形状を膨らませたプロファイルを直線近似可能な範囲で分割し、分割した直線をつなぎ合わせることで一のXY平面内において前記検査体の表面を取り囲む一本のレールを形成し、該レール上をセンサが移動することにより前記検査体の断面形状を非接触で計測する構成とされており、
前記マーキング手段は前記センサに一体化されて取り付けられている請求項2に記載の物品の形状検査装置。
【請求項8】
前記検査体における一のXY断面形状の計測からマーキングが終了するまで、前記センサユニットのZ軸位置は固定されている請求項1から請求項7のいずれかに記載の物品の形状検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−150057(P2012−150057A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10092(P2011−10092)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】