説明

物品供給装置

【課題】高速包装処理時に前工程からの物品の供給に遅れが生じた場合、後工程の包装機への物品の供給タイミングに合わせて物品を移載できる装置を得る。
【解決手段】搬送コンベヤ5は前工程から搬送される物品を受入位置Aで区画部10に受け入れて排出位置Bまで搬送する。ロボット7は排出位置Bの区画部10から所定個数の物品を取り出す把持部16を有している。把持部16が搬送コンベヤ5から取り出した物品を、後工程の包装機3に接続した供給コンベヤ6に載置する。前工程から搬送される所定時間あたりの物品数に対する包装機3の処理能力の差によって、搬送コンベヤ5の受入位置Aから排出位置Bまでの区画部10に収容された物品の貯留量を変化させる際に、物品の貯留量を増加させる条件が満たされると包装機3の処理能力を低くし、物品の貯留量を減少させる条件が満たされると包装機3の処理能力を高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前工程から所定間隔毎に搬送されてくる物品を複数個ずつ集合させて後工程の包装機に供給する物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、コンベヤ等の搬送手段上に所定の間隔をあけて前工程から一列に搬送されてくる物品がバケットコンベヤのバケット内に順次受け渡される毎に、バケットが間欠駆動される。そして、バケット内に収容された物品が所定の位置まで移動すると、複数のバケット内の物品がまとめて取り出されて後工程の包装機に向けて移送される技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
このように、前工程から搬送されてくる物品を後工程で所定数ずつにまとめて袋詰め包装や箱詰め包装するに際して、包装の高速化を図り、生産数を増やすニーズがあれば、後工程の包装機の処理能力(単位時間あたりの包装個数)等を高めて、バケットに蓄積される物品を速やかに包装する対応が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−75109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、高速包装処理時に、前工程からの物品の供給に遅れが生じた際には、後工程の包装機への物品供給タイミングに間に合わず、物品が包装機の移送通路上の適正な位置に載置されないといった移載不良を招いてしまう。その結果、後工程が、例えば、横形製袋充填機等のように、筒状のフィルムの中に物品を収容した状態で筒状のフィルムを熱シールする包装機の場合、熱シールする際に物品が適正な位置からずれるため、シール不良を招いてしまう。
【0006】
この発明は、高速包装処理時に、前工程から搬送されてくる物品供給に遅れが生じた際に、後工程の包装機への物品供給タイミングに合わせて、物品を移載できる装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る物品供給装置1は、下記の搬送コンベヤ5と移載手段7とを備えている。搬送コンベヤ5は、前工程から所定間隔毎に搬送されてくる物品4を受入位置Aで区画部10に受け入れて排出位置Bまで搬送する。移載手段7は、前記排出位置Bに移動した区画部10から所定個数の複数の物品4を把持して取り出す把持部16を有し、該把持部16が該搬送コンベヤ5から取り出した物品4を、包装機3に接続した供給コンベヤ6の供給タイミングに合わせて該供給コンベヤ6に載置する。前工程から搬送されてくる所定時間あたりの物品4の数に対する前記包装機3の処理能力の差によって、前記搬送コンベヤ5の受入位置Aから排出位置Bまでの区画部10に収容された物品4の貯留量を変化させる際に、該物品4の貯留量を増加させる条件が満たされると包装機3の処理能力を低くし、該物品4の貯留量を減少させる条件が満たされると包装機3の処理能力を高くして、該物品4の貯留量を変化させる。また、前記排出位置Bで該物品4の貯留量の変化に応じて位置が変化する物品4を把持するに際して、前記把持部16を搬送コンベヤ5上において物品4と共に搬送する方向に移動させるようにした。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記包装機3の処理能力は前記所定時間あたりに受け入れる物品4の数に対し包装機3の処理能力が均衡する場合の基準となる包装機3の処理能力の基準値より、低い設定値と高い設定値に基づき変化させられるものであり、該高い設定値の方が、該低い設定値より、前記基準値に対する前記包装機3の処理能力の変化の幅が小さく設定されている。
【0009】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記包装機3は、物品が供給された筒状フィルムに対しシール手段による熱溶着によってシールを施す横形製袋充填機であって、前記包装機3の処理能力を高くする設定値と前記包装機3の処理能力を低くする設定値に基づき処理能力が変化させられるものであり、該高い設定値と該低い設定値との変化の幅をフィルムの熱溶着不良を回避し得る範囲の値に設定した。
【0010】
請求項1〜3のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項4の発明において、前記搬送コンべヤ5は個々の物品4を受け入れる複数の区画部10を配設した無端状のコンベヤにより構成されている。
【0011】
請求項1〜4のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項5の発明において、前記包装機3は、物品が供給された筒状フィルムに対しシール手段による熱溶着によってシールを施す横形製袋充填機であって、前記移載手段7は、前記把持部16が前記区画部10から上方に取り出した状態で水平方向に回転させた前記複数の物品4を、前記供給コンベヤ6上を搬送方向の下流側に移動しながら刺身重ね状に載置する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、搬送コンベヤの区画部に収容された物品の貯留量を増加させる条件が満たされると包装機の処理能力を低くし、該物品の貯留量を減少させる条件が満たされると包装機の処理能力を高くして、物品の貯留量を変化させることにより、高速包装処理時に、搬送コンベヤを大型化しなくても、夫々の物品供給タイミングに供給し得る物品数を搬送コンベヤに貯留することができる。
【0013】
また、排出位置で物品の貯留量の変化に応じて位置が変化する物品を把持するに際して、把持部を搬送コンベヤ上において物品と共に搬送する方向に移動させるようにしたので、物品の位置が区画部と共に変化しても物品を確実に把持して搬送コンベヤから取り出すことができる。
【0014】
以上のことから、高速包装処理時に、前工程から搬送されてくる物品に遅れが生じても、搬送コンベヤに貯留した物品を後工程の包装機への物品供給タイミングに合わせて、的確な位置に供給することができる。
【0015】
請求項2の発明では、包装機の処理能力について、所定時間あたりに受け入れる物品の数に対し包装機の処理能力が均衡する場合の基準となる包装機の処理能力の基準値より、高い設定値の方を低い設定値より、基準値に対する変化の幅を小さく設定したので、搬送コンベヤに物品が貯留され易い。このため、高速包装処理時に、前工程から搬送されてくる物品に遅れが生じても、搬送コンベヤに貯留した物品を後工程の包装機への物品供給タイミングに合わせて、的確な位置に供給することができる。
【0016】
請求項3の発明では、包装機の処理能力を高くする設定値と包装機の処理能力を低くする設定値に基づき処理能力が変化させられるものであり、高い設定値と低い設定値との変化の幅を、包装能力が変更された時にフィルム搬送速度が変化しても熱溶着不良とならない適切な範囲の値に設定したので、包装不良品の発生を防止できる。
【0017】
請求項4の発明では、複数の区画部を配設した無端状のコンベヤで搬送コンベヤが構成されることによって、前工程から搬送されてくる物品が区画部に収容されると回転して、次の区画部に次の物品が収容されるので、個々の物品を確実に取り出して載置することができる。
【0018】
請求項5の発明では、把持部が搬送コンベヤの区画部から上方に取り出した状態で水平方向に回転させた物品を供給コンベヤ上を搬送方向の下流側に移動しながら刺身重ね状に載置する手段を移載手段に付加するだけで、該手段を別途配設する必要がなく、物品供給装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は物品供給装置と前後両工程の横形製袋充填機の概略平面図であり、(b)は物品供給装置の搬送コンベヤ及びロボットアームの概略側面図である。
【図2】本装置の制御ブロック図である。
【図3】刺身重ね状に載置した物品とそれを支持する支持片を示す概略図である。
【図4】(a)は図3の物品を斜め上方から見た図であり、(b)は該物品を斜め下方から見た図である。
【図5】(a)は刺身重ね状に載置して二列に並べた状態で包装機に向けて搬送される物品を斜め上方から見た図であり、(b)は該物品を斜め下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1(a)に示すように、物品供給装置1の前工程と後工程には包装機2,3が配設されている。包装機2,3については、図示しないが、原反ロールから引き出された帯状フィルムを製袋手段で筒状に成形し、該筒状フィルムに熱溶着による縦シール4aを施した後に、筒状フィルム中に物品を所定間隔毎に供給して、各物品間でシール装置(シール手段)により筒状フィルムに熱溶着による横シールを施すと共に筒状フィルムを切断するといった周知の横形製袋充填機である。
【0021】
図1(a)(b)及び図3に示すように、物品供給装置1は、前工程の包装機2から所定間隔毎に搬送されてくる、例えば、せんべい等が包装された食品等の物品4を複数個ずつ集合させる搬送コンベヤ5と、搬送コンベヤ5に集合した複数の物品4を把持して、後工程の包装機3に接続された供給コンベヤ6に物品4を載置する移載手段としてのパラレルリンクタイプのロボット7を備えている。ロボット7はフレーム1aによって支持されており、フレーム1aには前工程の包装機2に接続された排出コンベヤ8上の物品4を検知する物品検知センサ9が配設されている。
【0022】
搬送コンベヤ5では複数の仕切部材10aが無端状のチェーン11に等間隔に配設され、各仕切部材10aの間には物品4を収容し得る区画部10が形成されている。搬送コンベヤ5は、前工程の包装機2から排出コンベヤ8を通って所定間隔毎に搬送されてくる物品4を各区画部10が受入位置Aで受け入れるように、排出コンベヤ8の下流側に配設されており、エンコーダ12が付設されたサーボモータ13によって後述のごとく物品4を搬送する。
【0023】
ロボット7は、例えば特開2002−234615号公報に開示されたものと同種のものであって、サーボモータ14により駆動される複数本のロボットアーム15の先端には、吸着チャンバや吸着パッド等からなる吸着手段(不図示)が配設された把持部16が設けられている。把持部16は、各ロボットアーム15によって水平な状態を保ったまま三次元的に移動し得ると共に、水平面内で回転し得るものであり、搬送コンベヤ5上の搬送ラインに沿って移動しながら、排出位置Bにある複数の区画部10内に収容された所定個数の物品4を一度にエアー吸着によって把持して上方に移動し、該把持状態で水平を保ったまま供給コンベヤ6上に移動する。更に、把持部16は、供給コンベヤ6上の搬送ラインに沿って移動すると共に、水平面内で180度回転し、物品4の向きを変える。即ち、把持部16は、ロボットアーム15によって、搬送コンベヤ5と供給コンベヤ6との間で以上のような一連の動きを繰り返す。
【0024】
図2に示すように、制御手段17は、搬送コンベヤ5に配設されたサーボモータ13とエンコーダ12と、物品検知センサ9と、ロボット7に配設されたサーボモータ14と、包装機3の制御手段18に接続されており、物品供給装置1が以下のように駆動される。
【0025】
包装機2から搬送コンベヤ5の受入位置Aの区画部10に受け渡される直前の排出コンベヤ8上の物品4が物品検知センサ9によって検知される度に、制御手段17は、該検知された物品4が受入位置Aの区画部10に収容されると、区画部10を排出位置B側に向けて一つ分だけ移動させるように搬送コンベヤ5のサーボモータ13を駆動すると共に、サーボモータ13に付設されたエンコーダ12からパルスを受けて、区画部10に収容された最先の区画部10の位置に対応するデータを随時更新する。
【0026】
このように、順次、受入位置Aに達した区画部10に物品4を収容して定められた排出位置Bの下流側に向けて移動させることにより、受入位置Aから排出位置Bの間の区画部10内に物品4を貯留し続ける。その際、搬送コンベヤ5の物品4を搬送する搬送処理速度は、実質、前工程の包装機2の処理能力(所定時間あたりの包装個数)と対応した同速度に設定されている。
【0027】
搬送コンベヤ5の排出位置Bは、ロボット7の把持部16が、最先の区画部10を含む所定数の区画部10内に収容された物品4を一度に把持する位置であり、位置Pから位置Qの範囲で変化する。
【0028】
搬送コンベヤ5が物品4を区画部10に収納し始めてから、最先の区画部10が位置Pに到達するまでは、物品4の貯留量が不十分であるため、ロボット7及び後工程の包装機3は稼働しないように設定されており、最先の区画部10が位置Pに到達すると、ロボット7及び後工程の包装機3が稼働し始める。
【0029】
ロボット7は、供給コンベヤ6を駆動するサーボーモータ(不図示)に付設されたエンコーダ(不図示)のパルスによる供給コンベヤ6の物品供給タイミングを、後工程の包装機3の制御手段18から得ると、その供給タイミングに合わせるように制御手段17によって駆動制御されるものである。このため、実質、ロボット7が区画部10に収容された複数の物品4を把持するタイミング及び該複数の物品4を供給コンベヤ6に載置するタイミングは、後工程の包装機3の処理能力が以下のように変化するのに対応して変化する。
【0030】
物品4が収容された最先の区画部10が位置Pに達した時点では、搬送コンベヤ5が所定時間あたりに受け入れる物品4の数に対し後工程の包装機3の処理能力が均衡する場合の包装機3の処理能力を基準値とすると、後工程の包装機3を基準値より低い設定値となる処理能力で稼働させるために制御手段17から制御手段18に信号が送られる。
【0031】
よって、ロボット7が区画部10に収容された物品4を取り出して供給コンベヤ6に載置する処理速度の方が、搬送コンベヤ5の搬送処理速度より遅い状態が続き、搬送コンベヤ5における物品4の貯留量が徐々に増えることで、物品4が収容された最先の区画部10が位置Pから下流側の位置Qに向けて移動する。
【0032】
物品4が収容された最先の区画部10が位置Qに達した時点では、後工程の包装機3の処理能力が前述の基準値より約1〜2%高い設定値で包装機3を稼働させるために制御手段17から制御手段18に信号が送られる。
【0033】
よって、ロボット7が区画部10に収容された物品4を取り出して供給コンベヤ6に載置する処理速度の方が、搬送コンベヤ5の搬送処理速度より速い状態が続き、搬送コンベヤ5における物品4の貯留量が徐々に減ることで、物品4が収容された最先の区画部10が位置Qから上流側の位置Pに向けて移動する。
【0034】
そして、物品4が収容された最先の区画部10が位置Pに達した時点では、後工程の包装機3の処理能力が前述の基準値より約3%低い設定値で、包装機3を稼働させるために制御手段17から制御手段18に信号が送られる。
【0035】
このように物品4が収容された最先の区画部10が搬送コンベヤ5の位置Pに達して物品4の貯留量を増加させる条件が満たされると、包装機3の処理能力を低くし、最先の区画部10が位置Qに達して物品4の貯留量を減少させる条件が満たされると、包装機3の処理能力を高くする動作を繰り返して、物品4が収容された最先の区画部10が常に位置Pと位置Qの間の範囲で変化し、前工程の包装機2からの物品4を受け入れるタイミングに遅れが生じても、物品4を滞りなく包装機3に供給し得る状態を維持している。
【0036】
後工程の包装機3の処理能力を、物品4が収容された最先の区画部10が位置Qに達した際に基準値より約1〜2%高く、また、位置Pに達した際に基準値より約3%低くすることで、前工程の包装機2の処理能力の低下時において、物品4を搬送コンベヤ5に貯留できるようにしている。
【0037】
また、位置Pと位置Qで設定する包装機3の処理能力の差は、包材の材質や厚み等の性状に応じて15%未満に設定することが好ましく、略5%にすることが最も好ましい。処理能力の変化の幅が15%を超えると、シール手段によるフィルムの溶着に不良が生じるからであり、それを回避し得る前記した範囲の値を採用している。
【0038】
ロボット7の把持部16は、搬送コンベヤ5の排出位置Bから複数の物品4を吸着把持した状態で上方に持ち上げて水平面内で180度反転した後、供給コンベヤ6上の物品4を搬送する方向に、搬送コンベヤ5の移動速度より速い速度で移動することで、図3及び図4に示すように前工程で包装された得られたピロー包装品における縦シール4aが形成された物品4の裏面が夫々下方に向くように各物品4を供給コンベヤ6上に刺身重ね状に載置する。
【0039】
その際、刺身重ね状に載置した各物品4のうち搬送方向における最も下流側の物品4の裏面が、供給コンベヤ6の搬送方向に所定間隔ごとに配設された支持片19によって支持される。
【0040】
そして、供給コンベヤ6に刺身重ね状に載置された複数の物品4は、図3の矢視の向きへ搬送されて刺身重ね状の集合単位で所定間隔毎に包装機3における筒状フィルムに供給され、シール手段により所要の横シールが施される。そして、ピロー包装品として、包装機3から排出される。
【0041】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 搬送コンベヤ5の区画部10に収容された物品4の貯留量を増加させる条件が満たされると包装機3の処理能力を低くし、該物品4の貯留量を減少させる条件が満たされると包装機3の処理能力を高くして、物品4の貯留量を変化させることにより、高速包装処理時に、搬送コンベヤ5を大型化しなくても、夫々の物品供給タイミングに供給し得る物品数を搬送コンベヤ5に貯留することができる。
【0042】
また、排出位置で物品4の貯留量の変化に応じて位置が変化する物品4を把持するに際して、把持部16を搬送コンベヤ5上において物品4と共に搬送する方向に移動させるようにしたので、物品4の位置が区画部10と共に変化しても物品4を確実に把持して搬送コンベヤ5から取り出すことができる。
【0043】
よって、高速包装処理時に、前工程から搬送されてくる物品4に遅れが生じても、搬送コンベヤ5に貯留した物品4を後工程の包装機3ヘタイミングを合わせて、的確な位置に供給することができる。
【0044】
* 例えば、前工程の包装機2からの物品4の供給が一時的に途絶える場合であっても、搬送コンベヤ5の排出位置Bに所定数の物品4が貯留しているので、後工程の包装機3への物品4の供給が滞ることなく、後工程の包装機3への物品4の供給遅れに伴って空袋を発生させることなく、また、空袋の発生を防止するために包装機3を停止させる場合においては、包装機3の停止・起動を頻繁に行わなくてよい。
【0045】
* 前工程の包装機2で物品4に不良等が生じて、前工程の実際の処理能力が計算値より低くなることを想定し、後工程の包装機3の処理能力を、物品4が収容された最先の区画部10が位置Qに達した際に基準値より約1〜2%高く、また、位置Pに達した際に基準値より約3%低くすることで、処理能力の変化の幅を異ならせたので、物品4が搬送コンベヤ5に貯留され易い。
【0046】
* 包装機3の処理能力の変化の幅が15%を超えると、シール手段によるフィルムの溶着不良を招く恐れがあることから、位置Pと位置Qで設定する包装機3の処理能力の差を略5%程度にして、シール手段によるフィルムの溶着不良を回避している。
【0047】
* 複数の区画部10を配設した無端状のコンベヤで搬送コンベヤ5が構成されることによって、前工程から搬送されてくる物品4が区画部10に収容されると回転して、次の区画部10に次の物品が収容されるので、個々の物品4を確実に取り出して載置することができる。
【0048】
* 把持部16が搬送コンベヤ5の区画部10から上方に取り出した状態で水平方向に回転させた物品4を供給コンベヤ6上を搬送方向の下流側に移動しながら刺身重ね状に載置する手段をロボット7に付加するだけで、該手段を別途配設する必要がなく、物品供給装置1の小型化を図ることができる。
【0049】
* 物品4を収容した最先の区画部10の位置情報をエンコーダ12によって精度良く確実に得ることができる。
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
【0050】
・ 本実施形態では、物品4を収容した最先の区画部10の位置をエンコーダ12のパルスに基づき求めたが、位置Q乃至位置Pで区画部10に物品4が収容状況を光電センサ或いはイメージセンサ等を用いて監視してもよい。例えば、位置Qと位置Pで区画部10に対する物品4の有無を夫々別の光電センサで検知してもよく、或いは、位置Qと位置Pの間に光電センサを一つ設置して、物品4を検知してから所定時間が経過した際に、後工程の包装機3の処理能力を切り替えることも可能である。
【0051】
・ 本実施形態では、一つの区画部10内に物品4を一つ収容したが、一つの区画部10内に複数の物品4を収容してもよい。また、区画部10への物品4の収容形態は、物品4を受け入れて寝かせた状態を維持してもよく、或いは、起立させてもよい。
【0052】
・ 本実施形態の搬送コンベヤ5では、区画部10の仕切部材10aが無端状のチェーン11に等間隔に並べられているが、仕切部材10aがローラによって自走するコンベヤや、仕切部材10aの間隔が不均一に配設される構成であってもよい。
【0053】
・ 本実施形態では、把持部16に設けた吸着手段で複数の物品4をまとめて吸着する構成としたが、把持部16に複数の爪を配設して、該爪で物品を把持するようにしてもよい。
【0054】
・ 本実施形態では、包装機3に接続した供給コンベヤ6上に刺身重ね状の物品4を一列に載置するものであったが、図5(a)(b)に示すように供給コンベヤ6に刺身重ね状の物品4を複数列互いに平行に載置してもよい。このように物品4を供給コンベヤ6に平行に載置する具体的方法として、まず、把持部16が搬送コンベヤ5の最先の区画部10を含む所定数の区画部10内に収容された一列分に相当する物品4を一度に吸着して持ち上げる。次に、把持部16がその状態で供給コンベヤ6の搬送方向に対し交差する横方向に物品4の略横幅分を移動して、再度、最先の区画部10を含む一列分に相当する物品4を吸着し、二列分の物品4を把持する。そして、二列分の物品4を把持した状態で、本実施形態と同様に動いて、供給コンベヤ6上に物品4を載置するように駆動制御することで実施可能である。
【0055】
・ 物品4を供給コンベヤ6上に直接載置したが、供給コンベヤ6上を搬送されるトレイ上に物品4を刺身重ね状に載置してもよい。
・ 本実施形態では、後工程の包装機3として、横形製袋充填機を用いたが、例えば、箱詰めやストレッチフィルム包装機等の包装機を利用可能である。
【0056】
・ 本実施形態で、前工程は、包装機2に限ることなく、製造装置等の各種物品処理機械であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…物品供給装置、3…後工程の包装機、5…搬送コンベヤ、6…供給コンベヤ、7…ロボット(移載手段)、10…区画部、16…把持部、A…受入位置、B…排出位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前工程から所定間隔毎に搬送されてくる物品を受入位置で区画部に受け入れて排出位置まで搬送する搬送コンベヤと、
前記排出位置に移動した区画部から所定個数の複数の物品を把持して取り出す把持部を有し、該把持部が該搬送コンベヤから取り出した物品を、包装機に接続した供給コンベヤの供給タイミングに合わせて該供給コンベヤに載置する移載手段と
を備えた物品供給装置であって、
前工程から搬送されてくる所定時間あたりの物品数に対する前記包装機の処理能力の差によって、前記搬送コンベヤの受入位置から排出位置までの区画部に収容された物品の貯留量を変化させる際に、該物品の貯留量を増加させる条件が満たされると包装機の処理能力を低くし、該物品の貯留量を減少させる条件が満たされると包装機の処理能力を高くして、該物品の貯留量を変化させ、
前記排出位置で該物品の貯留量の変化に応じて位置が変化する物品を把持するに際して、前記把持部を搬送コンベヤ上において物品と共に搬送する方向に移動させるようにした
ことを特徴とする物品供給装置。
【請求項2】
前記包装機の処理能力は、前記所定時間あたりに受け入れる物品の数に対し包装機の処理能力が均衡する場合の基準となる包装機の処理能力の基準値より、低い設定値と高い設定値に基づき変化させられるものであり、該高い設定値の方が、該低い設定値より、前記基準値に対する前記包装機の処理能力の変化の幅が小さく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の物品供給装置。
【請求項3】
前記包装機は、物品が供給された筒状フィルムに対しシール手段による熱溶着によってシールを施す横形製袋充填機であって、前記包装機の処理能力を高くする設定値と前記包装機の処理能力を低くする設定値に基づき処理能力が変化させられるものであり、該高い設定値と該低い設定値との変化の幅をフィルムの熱溶着不良を回避し得る範囲の値に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品供給装置。
【請求項4】
前記搬送コンべヤは個々の物品を受け入れる複数の区画部を配設した無端状のコンベヤにより構成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の物品供給装置。
【請求項5】
前記包装機は、物品が供給された筒状フィルムに対しシール手段による熱溶着によってシールを施す横形製袋充填機であって、前記移載手段は、前記把持部が前記区画部から上方に取り出した状態で水平方向に回転させた前記複数の物品を、前記供給コンベヤ上を搬送方向の下流側に移動しながら刺身重ね状に載置することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の物品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−57310(P2011−57310A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205987(P2009−205987)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】