説明

物品搬送用台車

【課題】無線タグの読み出し精度を向上させることができ且つ無線タグの破損を抑制できる物品搬送用台車を提供する。
【解決手段】物品を載置支持する平面視が矩形状の載置台11と、その載置台11における4辺のうちの少なくとも3辺に相当する箇所から立ち上がる状態で備えられ、且つ、上端箇所に水平方向に沿う金属製で長尺状の上端フレーム部分18aを備える形態で全体として格子状に形成された周壁部12と、載置台11よりも下方に配置された複数の移動用車輪13と、記憶させた記憶情報を読み出し可能な無線タグ3とを備え、周壁部12の前記上端フレーム部分18aにおける長手方向の一部に、その上端フレーム部分の上側部分が欠如された形態の凹入部を設け、凹入部を覆う状態に上端フレーム部分に装着される非金属製のカバー体24の内面に、無線タグ3を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置支持する平面視が矩形状の載置台と、その載置台における4辺のうちの少なくとも3辺に相当する箇所から立ち上がる状態で備えられ、且つ、上端箇所に水平方向に沿う金属製で長尺状の上端フレーム部分を備える形態で全体として格子状に形成された周壁部と、前記載置台よりも下方に配置された複数の移動用車輪と、記憶させた記憶情報を読み出し可能な無線タグとを備えて構成された物品搬送用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品搬送用台車は、物品搬送用台車に取り付けられた無線タグに記憶させた記憶情報を読み出す通信手段の近くを通過させることにより、通信手段にて無線タグに記憶させた記憶情報を読み出すことができるように構成されている。
そして、このような物品搬送用台車において、従来では、周壁部における左右両側に位置する一対の横側の周壁部分のうちの一方の周壁部分に、その上下方向の中間部に位置するように無線タグが装着されていた(例えば、特許文献1参照。)。
説明を加えると、上記したような物品搬送用台車は、一般的に、周壁部が、金属製で長尺状の縦フレーム部分と横フレーム部分とを組み合わせて、上端箇所に水平方向に沿う金属製で長尺状の上端フレーム部分を備える形態で全体として格子状に形成されているが、無線タグを縦フレーム部分や横フレーム部分を金属製のフレーム部分に直接に貼付するように装着すると、無線タグにて発生した電波又は磁界が金属製の周壁部の影響を受けてしまい、通信手段にて無線タグに記憶されている記憶情報が読み出され難くなるため、上記従来の物品搬送用台車では、一対の横側の周壁部分のうちの一方の周壁部分における横幅方向に隣接する一対の縦フレーム部分に亘って架設したタグ取付板に無線タグを貼付することにより、無線タグにて発生した電波又は磁界が金属製の周壁部の影響を受け難いように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−327331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した物品搬送用台車では、周壁部における左右両側に位置する一対の横側の周壁部分のうちの一方の周壁部分に、その上下方向の中間部に位置するように無線タグが装着されているから、無線タグが装着されている位置が低いために載置台に金属を含む物品が載置された場合にその物品が無線タグと通信手段との間に位置し易く、無線タグにて発生した電波又は磁界が金属を含む物品の影響を受け易いため、通信手段にて無線タグに記憶させた記憶情報が読み取り難いものとなるので、無線タグの読み出し精度が悪くなってしまうものであった。
そこで、周壁部の上端箇所に備えられた水平方向に沿う金属製で長尺状の上端フレーム部分に装着することによって、無線タグが装着されている位置が高いために載置台に金属を含む物品が載置された場合でもその物品が無線タグと通信装置との間に位置し難く、無線タグにて発生した電波又は磁界が金属を含む物品の影響を受け難くすることが考えられるが、上端フレーム部分に直接に貼付するように装着すると上述の如く無線タグにて発生した電波又は磁界が金属製の上端フレーム部分の影響を受けてしまうから、無線タグを上端フレーム部分に装着する場合には、上端フレーム部分に上方に突出するタグ取付台を備え、そのタグ取付台に上端フレーム部分から間隔を隔てるように無線タグを装着することが考えられる。しかしながら、この構成の場合、無線タグにて発生した電波又は磁界が金属製の上端フレーム部分の影響も受け難くなるものの、無線タグが上端フレーム部分から外方に突出するように装着されるため、無線タグが他物と接触しやすく、無線タグが破損し易くなってしまうものであった。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、無線タグの読み出し精度を向上させることができ且つ無線タグの破損を抑制できる物品搬送用台車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品搬送用台車は、物品を載置支持する平面視が矩形状の載置台と、その載置台における4辺のうちの少なくとも3辺に相当する箇所から立ち上がる状態で備えられ、且つ、上端箇所に水平方向に沿う金属製で長尺状の上端フレーム部分を備える形態で全体として格子状に形成された周壁部と、前記載置台よりも下方に配置された複数の移動用車輪と、記憶させた記憶情報を読み出し可能な無線タグとを備えて構成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記周壁部の前記上端フレーム部分における長手方向の一部に、その上端フレーム部分の上側部分が欠如された形態の凹入部が設けられ、前記凹入部を覆う状態に前記上端フレーム部分に装着される非金属製のカバー体の内面に、前記無線タグが装着されている点にある。
【0007】
すなわち、周壁部の上端フレーム部分における長手方向の一部に、その上端フレーム部分の上側部分が欠如された形態の凹入部が設けられ、凹入部を覆う状態に上端フレーム部分に装着される非金属製のカバー体の内面に、無線タグが装着されているから、無線タグが装着されている位置が高いため、載置台に金属を含む物品が載置された場合でも無線タグにて発生した電波又は磁界が金属を含む物品の影響を受け難くすることができる。
また、凹入部を覆う状態に上端フレーム部分に装着される非金属製のカバー体の内面に無線タグを装着しているから、無線タグを上端フレーム部分に対して間隔を隔てた箇所に位置させて無線タグにて発生した電波又は磁界が金属製の上端フレーム部分の影響を受け難くしながら、上端フレーム部分から外方に突出しない又は略突出しない状態として他物と接触し難くなるようにすることができる。
従って、無線タグにて発生した電波又は磁界が載置台に載置された物品並びに上端フレーム部分の影響を受け難く、無線タグの読み出し精度を向上させることができ、また、無線タグの破損を抑制することができるものとなり、もって、無線タグの読み出し精度を向上させることができ且つ無線タグの破損を抑制できる物品搬送用台車を提供することができるに至った。
【0008】
本発明にかかる物品搬送用台車の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記上端フレーム部分が、その横断面視において外形が円形であり、前記カバー体が、その横断面視において外形が前記上端フレーム部分の外形に沿う円弧状である点にある。
【0009】
すなわち、カバー体が、横断面視において外形が上端フレーム部分の外形に沿う円弧状であるため、上端フレーム部分の凹入部を覆う状態にカバー体を装着したとしても、カバー体が外方に大きく突出することなく、カバー体が他物に接触し難くすることができるので、カバー体ひいては無線タグが破損し難くなり、もって、無線タグが破損し難い物品搬送用台車を提供することができるに至った。
【0010】
本発明にかかる物品搬送用台車の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記上端フレーム部分がパイプ状に構成され、前記凹入部が、前記上端フレーム部分の上側壁部分を下方に凹入する状態に変形加工して形成されている点にある。
【0011】
すなわち、パイプ状に構成された上端フレーム部分の上側壁部分を下方に凹入する状態に変形加工することにより、上端部分の上側部分が欠如された形態の凹入部を形成することにより、例えば、パイプ状に構成された上端フレーム部分の上側壁部分を切り欠いて凹入部を形成した場合に比べて、凹入部を形成し易くなり、また、凹入部を形成した上端フレーム部分の強度低下を抑えることができるものとなり、もって、凹入部を形成し易く且つ凹入部を形成した上端フレーム部分の強度低下を抑えることができる物品搬送用台車を提供することができるに至った。
【0012】
本発明にかかる物品搬送用台車の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれか1つにおいて、前記周壁部が、前記載置台における4辺のうちの3辺に相当する箇所の夫々から立ち上がる状態で備えられる3つの周壁部分にて構成され、前記複数の移動用車輪が、前記周壁部の下端部に装着され、前記載置台が、前記3つの周壁部分のうちの中間部に位置する周壁部分に、上方側に折り畳み自在に枢支され、前記3つの周壁部分のうちの左右両側に位置する一対の横側の周壁部分のうちの一方の周壁部分が、前記中間部に位置する周壁部分に、上方側に折り畳まれた前記載置台を前記中間部に位置する周壁部分との間で挟む形態で折り畳み自在に枢支され、前記載置台及び前記一対の横側の周壁部分のうちの一方を折り畳んだ状態において、その折り畳まれた前記横側の周壁部分に対して接近する他の物品搬送用台車を間隔を空けた状態に受け止める受止体が、前記周壁部の下部に備えられている点にある。
【0013】
すなわち、周壁部が、載置台における4辺のうちの3辺に相当する箇所の夫々から立ち上がる状態で備えられる3つの周壁部分にて構成されており、載置台を中間部に位置する周壁部分に上方側に折り畳んだ後、一対の横側の周壁部分のうちの一方の周壁部分を中間部に位置する周壁部分に内方側に折り畳むことにより、物品搬送用台車を載置台及び一対の横側の周壁部分のうちの一方を折り畳んだ平面視でL字状となる状態に折り畳むことができるため、L字状に折り畳んだ物品搬送用台車の内方側や外方側に他のL字状に折り畳んだ物品搬送用台車を重ねることで、複数の物品搬送用台車を省スペースで格納することができる。
そして、L字状に折り畳んだ状態において、その折り畳まれた横側の周壁部分に対して接近する他の物品搬送用台車を間隔を空けた状態に受け止める受止体が、周壁部の下部に備えられているから、L字状に折り畳んだ物品搬送用台車の外方側に他のL字状に折り畳んだ他の物品搬送用台車を重ねたとしても、その他の物品搬送用台車が中間部に位置する周壁部分に接当し難く、また、内方側には折り畳まれた載置台が位置するため、折り畳まれた横側の周壁部分が中間部に位置する周壁部分に接当し難いものとなる。
よって、中間部に位置する周壁部分の上端フレーム部分における長手方向の一部に凹入部を設け、この凹入部を覆う状態に上端フレーム部分に装着されるカバー体の内面に、無線タグを装着することにより、上述の如く、L字状に折り畳んだ物品搬送用台車の内方側や外方側に他のL字状に折り畳んだ物品搬送用台車を重ねたとしても、カバー体が他物に接触し難くすることができるため、カバー体ひいては無線タグが破損し難くすることができ、もって、L字状に折り畳んだ物品搬送用台車の内方側や外方側に他のL字状に折り畳んだ物品搬送用台車を重ねた際に無線タグが破損し難い物品搬送用台車を提供することができるに至った。
【0014】
本発明にかかる物品搬送用台車の第5特徴構成は、第4特徴構成において、前記受止体が、前記移動用車輪を前記周壁部に取り付ける取付体にて構成されている点にある。
【0015】
すなわち、受止体を、移動用車輪を周壁部に取り付ける既設の取付体にて構成することによって、受止体として新たな部材を備える必要がないため、物品搬送用台車の構成の簡素化を図ることができ、もって、構成の簡素化を図ることができる物品搬送用台車を提供することができるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品1を載置搬送する物品搬送用台車2をトラック等に積み込む場所やトラック等から物品搬送用台車2を降ろす場所には、通過する物品搬送用台車2やこの物品搬送用台車に載置支持された物品1に備えられた無線タグとしてのRFIDタグ3に書き込まれて記憶されている記憶情報を読み取り可能で且つ管理手段としてのコンピュータ4と通信可能な門型通信装置5が設けられており、門型通信装置5に物品搬送用台車2を通過させることによりコンピュータ4にて物品搬送用台車2やそれに載置支持された物品1を管理することができるように構成されている。
【0017】
図2に示すように、物品搬送用台車2は、物品1を載置支持する平面視が矩形状の載置台11と、この載置台11における4辺のうちの3辺に相当する箇所から立ち上がる状態で備えられ、且つ、上端箇所に水平方向に沿う金属製で長尺状の上端フレーム部分18aを備える形態で全体として格子状に形成された周壁部12と、前記載置台11よりも下方に配置された複数の移動用車輪13と、記憶させた記憶情報を読み出し可能な前記RFIDタグ3とを備えて構成されている。
尚、RFIDタグ3としては、読み出しのみが可能なものでもよく、また、読み出し並びに書き込み可能なものでもよい。
【0018】
以下、物品搬送用台車2について説明を加えるが、便宜上、載置台11における周壁部12が備えられていない側を前側、その反対側を後側とし、前側から後側に向いた状態で左右方向を特定して説明する。
物品搬送用台車2における周壁部12は、前記載置台における4辺のうちの3辺に相当する箇所の夫々から立ち上がる状態で備えられる3つの周壁部分14、15、16にて構成され、3つの周壁部分14、15、16として、中間部に位置する周壁部分となる後側の周壁部分14と、左右両側に位置する一対の横側の周壁部分15、16のうちの一方となる右側の周壁部分15と、左右両側に位置する一対の横側の周壁部分15、16のうちの他方となる左側の周壁部分16とが備えられている。
そして、左側の周壁部分16の前端部には、横軸心周りの揺動操作自在で且つ縦軸心周りの回転操作自在に連結杆26が連結されており、右側の周壁部分15の前端部には、連結杆26の先端部を受け止め支持する支持部材27が設けられている。
【0019】
3つの周壁部分14、15、16の夫々は、周壁部分14、15、16の下端に位置する横向きの下端フレーム17に逆U字状の周囲フレーム18を立設し、下端フレーム17と周囲フレーム18とに囲まれる空間内に複数本の横向きフレーム19と複数本の縦向きフレーム20とを組み付けて、上端箇所に水平方向に沿う長尺状の上端フレーム部分18aを備える形態で全体として格子状に形成されている。
そして、下端フレーム17、周囲フレーム18、横向きフレーム19及び縦向きフレーム20の夫々が金属製のフレーム材にて構成されており、周囲フレーム18における上端に位置する水平部分が、周壁部14、15、16の金属製で長尺状の上端フレーム部分18aに相当する。また、周囲フレーム18はパイプ状のフレーム材にて構成されており、上端フレーム部分18aは、その断面視において外形が円形のパイプ状に構成されている。
【0020】
図3に示すように、前記載置台11は、その後端部が後側の周壁部分14の下端部に載置台用のヒンジ部材(図示せず)を介して横軸心周りに揺動自在に枢支されることにより、前記後側の周壁部分14に、上方側に折り畳み自在に枢支されている。
後側の周壁部分14は、その右側端部が周壁部分用のヒンジ部材21を介して右側の周壁部分15の後端部に連結されており、左側端部が周壁部分用のヒンジ部材21を介して左側の周壁部分16の後端部に連結されている。
また、前記右側の周壁部分15が、その後端部が後側の周壁部分14の右側端部に前記周壁部分用のヒンジ部材21を介して縦軸心周りに揺動自在に枢支されることにより、前記後側の周壁部分14に、上方側に折り畳まれた前記載置台11を前記後側の周壁部分14との間で挟む状態で折り畳み自在に枢支されている。
【0021】
つまり、載置台11は、横軸心周りの揺動操作により水平方向に沿う姿勢の載置姿勢と上方側に折り畳まれて後側の周壁部分14と前後に重なる垂直方向に沿う格納姿勢とに姿勢変更自在に構成され、且つ、右側の周壁部15は、縦軸心周りの揺動操作により前後方向に沿う姿勢の使用姿勢と内方側に折り畳まれて後側の周壁部分14及び載置台11と前後方向に重なる横幅方向に沿う折畳姿勢とに姿勢変更自在に構成されている。そして、物品搬送用台車2は、載置姿勢の載置台11を上方側に折り畳んで格納姿勢に姿勢変更させた後、使用姿勢の右側の周壁部分15を内方側に折り畳んで折畳姿勢に姿勢変更させることにより、平面視でL字状となるように折り畳むことができ、図4に示すように、L字状に折り畳んだ物品搬送用台車2の内方側や外方側に他のL字状に折り畳んだ物品搬送用台車2を重ねることで、複数の物品搬送用台車2を省スペースで格納することができるように構成されている。
【0022】
図3に示すように、右側の周壁部分15の前端部と後端部、並びに、左側の周壁部分16の前端部と後端部との夫々に、前記移動用車輪13を前記周壁部12に取り付ける取付体22が設けられており、複数の移動車輪13として4つの移動用車輪13が周壁部12に装着されている。そして、後側の周壁部分14の右側端部の下端が右側の周壁部分15の後端部に設けられた取付体22に連結されており、後側の周壁部分14の左側端部の下端が左側の周壁部分16の後端部に設けられた取付体22に連結されている。
【0023】
そして、図5に示すように、取付体22は、L字状に折り畳んだ物品搬送用台車2の内方側や外方側にL字状に折り畳んだ他の物品搬送用台車2を重ねた際に、他の物品搬送用台車2の同じ箇所に備えられた取付体22が前後方向に接当するような大きさに形成されており、これにより、取付体22は、前記載置台11及び前記右側の周壁部分15を折り畳んだ状態において、その折り畳まれた前記右側の周壁部分15に対して接近する他の物品搬送用台車2を間隔をあけた状態に受け止める受け止め体として機能するように構成されている。
【0024】
図6に示すように、前記周壁部12の後側の周壁部分14の前記上端フレーム部分18aにおける長手方向の一部に、その上端フレーム部分18aの上側部分が欠如された形態の凹入部23が設けられ、前記凹入部23を覆う状態に前記上端フレーム部分18aに装着される樹脂材にて構成された非金属製のカバー体24の内面に、前記RFIDタグ3が装着されている。
【0025】
そして、図7及び図8に示すように、凹入部23は、上端フレーム部分18aの上側壁部分18bを下方に凹入する状態に変形加工して形成されている。
説明を加えると、上端フレーム部分18aにおける凹入部23を形成する部分の両側の上部に切れ込みが入れられており、その切れ込みの間に位置する上側壁部分18bを下方に凹入する状態に変形加工して、上端フレーム部分18aにおける凹入部23を形成した箇所においては下側壁部分18cに上側壁部分18bが重なる2重構造に構成されている。
ちなみに、凹入部23は、上端フレーム部分18aにおける複数の縦向きフレーム19が接続される複数の接続箇所のうちの隣接する一対の接続箇所の間に位置するように形成されている。
【0026】
前記カバー体24は、その横断面視において外形が前記上端フレーム部分18aの外形に沿う円弧状に形成されてあり、ビス25により上端フレーム部分18aに凹入部23を上方から覆う状態で固定されている。
そして、カバー体24の内面側に貼付されたRFIDタグ3はアンテナやICチップを備えて構成されている。
【0027】
また、図1に示すように、物品搬送用台車2は、物品1として折り畳みコンテナを載置支持しており、この折り畳みコンテナにおける上枠部分31の側面に、RFIDタグ3が貼付されている。
説明を加えると、図9に示すように、物品1としての折り畳みコンテナは、平面視が矩形状の底面部分32と、この底面部分32における4辺に相当する箇所の夫々から立ち上がる状態で備えられる4つの側面部分33と、この4つの側面部分33のうちの対向する一対の側壁部分33の上端箇所に連結される平面視が矩形状の上枠部分31とを備えて構成されている。そして、底面部分32の周辺部に側面部分33を立設させた箱状態(図9(A)参照)と、この箱状態から周壁部分33を底面部分32と上下方向に重なるように内方に折り畳んだ折り畳み状態(図9(C)参照)とに変更可能に構成されており、RFIDタグ3は、折り畳まれることがない上枠部分31の横側面に貼付されている。
ちなみに、上枠部分31の一部である取り外し部31aは側面部分33のひとつと連結したままで上枠部分31の本体部31bに対して取り外し可能に構成されており、RFIDタグ3は、上枠部分31の本体部31bに貼付されている。
【0028】
図1に示すように、門型通信装置5は、床面に立設された縦向き姿勢の左右一対の支柱枠36の上端部に亘って横向き姿勢の横枠37が架設された門状枠体38と、この門状枠体38に支持されて、前記門状枠体38を通過する物品搬送用台車2並びにこの物品搬送用台車2に載置支持された物品1に取り付けられたRFIDタグ3に書き込まれている情報を読み取る又はRFIDタグ3に対して情報の書き込みを行う通信手段としてのリーダライタ装置39とを備えて構成されている。また、門状枠体38には、左右一対の支柱枠36の間に位置する縦向き姿勢の中間縦枠40が横枠37に沿って位置調節自在に備えられている。
そして、横枠37には長手方向に間隔を隔てる状態で2つのリーダライタ装置39が備えられており、左右一対の支柱枠36のうちの中間縦枠40との間に通路を形成する支柱枠(図1においては左側の支柱枠)36と中間縦枠40とのそれぞれにもリーダライタ装置39が備えられている。
【0029】
〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、上端フレーム部分18aにおける凹入部23を形成する部分の両側の上部に切れ込みを入れた後、その切れ込みの間に位置する上側壁部分18bを下方に凹入させて、凹入部23を、上端フレーム部分18aの上側壁部分18bを下方に凹入する状態に変形加工して形成したが、図10に示すように、切れ込みを入れずに、単に、上側壁部分18aを下方に凹入させて、凹入部23を、上端フレーム部分18aの上側壁部分18bを下方に凹入する状態に変形加工して形成してもよい。
【0030】
(2) 上記実施の形態では、上端フレーム部分18aの横断面視における外形を円形としたが、円形以外でもよく、例えば、上端ブレーム部分18aの横断面視における外形を矩形としてもよい。
また、上端フレーム部分18aを中空のフレーム材にてパイプ状に構成したが、上端フレーム部分18aを中空ではないフレーム材にて構成してもよい。
【0031】
(3) 上記実施の形態では、上端フレーム部分18aの上端壁部分を下方に凹入する状態に変形加工して凹入部23を形成したが、上端フレーム部分18aの上端壁部分18bを切り欠いて凹入部23を形成してもよい。また、上端フレーム部分18aにおける長手方向の一部を下方に折り曲げ形成することにより凹入部23を形成してもよい。
【0032】
(4) 上記実施の形態では、周壁部12を、載置台11における4辺のうちの3辺に相当する箇所の夫々から立ち上がる状態で備えられる3つの周壁部分14、15、16にて構成したが、周壁部12を、載置台11における4辺に相当する箇所の夫々から立ち上がる状態で備えられる4つの周壁部分にて構成してもよい。ちなみに、このように4つの周壁部分にて構成した場合でも、前側に位置する前側の周壁部分を開閉操作自在に設けて、物品1を物品搬送用台車2の前側から乗せ降ろしすることができるように構成してもよい。
【0033】
(5) 上記実施の形態では、カバー体24を、その横断面視において外形が上端フレーム部分18aの外形に沿う形成したが、横断面視における外形が円形状の上端フレーム部分18aに対してカバー体24の横断面視における外形を角形状に形成する等、カバー体24を、その横断面視において外形が上端フレーム部分18aの外形に沿わない形状に形成してもよい。
また、上記実施の形態では、カバー体24を、上端フレーム部分18aにおける凹入部23に隣接する部分と面一又は略面一となる形状に形成したが、カバー体24を、凹入部23に相当する部分を少し上端フレーム部分18aの内方に向けて凹入させる又は外方に向けて突出させる形状に形成してもよい。
【0034】
(6) 上記実施の形態では、ビス25を用いてカバー体24を上端フレーム部分18aに固定したが、上端フレーム部分18aに係合用凹部を形成し、カバー体24に係合用突起部を形成して、係合用突起部を係合用凹部に係合するようにしてカバー体24を上端フレーム部分18aに固定してもよく、また、両面テープを用いてカバー体24を上端フレーム部分18aに固定してもよい。
【0035】
(7) 上記実施の形態では、載置台11を、上方側に折り畳み自在に後側の周壁部分14に枢支し、右側の周壁部分15を、上方側に折り畳まれた載置台11を後側の周壁部分14との間で挟む形態で折り畳み自在に後側の周壁部分14に枢支したが、載置台11を、後側の周壁部分14に折り畳み不能に連結してもよく、また、右側の周壁部分15を、後側の周壁部分14に折り畳み不能に連結してもよい。
また、載置台11を、内方側に折り畳まれた右側の周壁部分15を後側の周壁部分14との間で挟む形態で折り畳み自在に後側の周壁部分14に枢支してもよい。
さらに、右側の周壁部分15に代えて、左側の周壁部分16を、上方側に折り畳まれた載置台11を後側の周壁部分14との間で挟む形態で折り畳み自在に後側の周壁部分14に枢支してもよい。
【0036】
(8) 上記実施の形態では、移動用車輪13を周壁部12に取り付ける取付体22を、折り畳まれた横側の周壁部分に対して接近する他の物品搬送用台車2を間隔を空けた状態に受け止める受止体として利用したが、取付体22を受止体として利用せずに、受止体として専用の部材を設けてもよい。
また、折り畳まれた横側の周壁部分に対して接近する他の物品搬送用台車2を間隔を空けた状態に受け止める受止体を設けたが、このような受止体を設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】物品搬送用台車と門型通信装置とを示す斜視図
【図2】物品搬送用台車を示す斜視図
【図3】物品搬送用台車の折り畳み作用図
【図4】複数の物品搬送用台車を重ねた平面図
【図5】複数の物品搬送用台車を重ねた横断平面図
【図6】上端フレーム部分を示す斜視図
【図7】上端フレーム部分を示す縦断側面図
【図8】上端フレーム部分を示す縦断正面図
【図9】物品を示す斜視図
【図10】別実施の形態における上端フレーム部分を示す斜視図
【符号の説明】
【0038】
1 物品
2 物品搬送用台車
3 無線タグ
11 載置台
12 周壁部
13 移動用車輪
14 周壁部分
15 周壁部分
16 周壁部分
18a 上端フレーム部分
22 取付体
23 凹入部
24 カバー体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置支持する平面視が矩形状の載置台と、
その載置台における4辺のうちの少なくとも3辺に相当する箇所から立ち上がる状態で備えられ、且つ、上端箇所に水平方向に沿う金属製で長尺状の上端フレーム部分を備える形態で全体として格子状に形成された周壁部と、
前記載置台よりも下方に配置された複数の移動用車輪と、
記憶させた記憶情報を読み出し可能な無線タグとを備えて構成された物品搬送用台車であって、
前記周壁部の前記上端フレーム部分における長手方向の一部に、その上端フレーム部分の上側部分が欠如された形態の凹入部が設けられ、
前記凹入部を覆う状態に前記上端フレーム部分に装着される非金属製のカバー体の内面に、前記無線タグが装着されている物品搬送用台車。
【請求項2】
前記上端フレーム部分が、その横断面視において外形が円形であり、
前記カバー体が、その横断面視において外形が前記上端フレーム部分の外形に沿う円弧状である請求項1記載の物品搬送用台車。
【請求項3】
前記上端フレーム部分がパイプ状に構成され、
前記凹入部が、前記上端フレーム部分の上側壁部分を下方に凹入する状態に変形加工して形成されている請求項1又は2記載の物品搬送用台車。
【請求項4】
前記周壁部が、前記載置台における4辺のうちの3辺に相当する箇所の夫々から立ち上がる状態で備えられる3つの周壁部分にて構成され、
前記複数の移動用車輪が、前記周壁部の下端部に装着され、
前記載置台が、前記3つの周壁部分のうちの中間部に位置する周壁部分に、上方側に折り畳み自在に枢支され、
前記3つの周壁部分のうちの左右両側に位置する一対の横側の周壁部分のうちの一方の周壁部分が、前記中間部に位置する周壁部分に、上方側に折り畳まれた前記載置台を前記中間部に位置する周壁部分との間で挟む形態で折り畳み自在に枢支され、
前記載置台及び前記一対の横側の周壁部分のうちの一方を折り畳んだ状態において、その折り畳まれた前記横側の周壁部分に対して接近する他の物品搬送用台車を間隔を空けた状態に受け止める受止体が、前記周壁部の下部に備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送用台車。
【請求項5】
前記受止体が、前記移動用車輪を前記周壁部に取り付ける取付体にて構成されている請求項4記載の物品搬送用台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−67477(P2009−67477A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234182(P2007−234182)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】