説明

物品搬送装置

【課題】 物品搬送台車の走行を管理する構成の簡素化およびコストの低減を図りながら、物品搬送台車の走行を的確に管理することができる物品搬送装置の提供。
【解決手段】 物品搬送台車3の走行速度を検出する走行速度検出手段15と、物品搬送台車3に備えられて、走行駆動手段7に優先して走行装置6を作動停止させることが可能な走行制御手段10とが設けられ、地上側制御手段14が、走行速度指令情報にて指令した走行速度と走行速度検出手段15の検出情報に基づく実走行速度との差が設定範囲よりも大きいときには、走行制御手段10に走行停止情報を送信し、走行制御手段10が、地上側制御手段14からの走行停止情報に基づいて、物品搬送台車3を走行停止させるべく、走行装置6を作動停止させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所を経由するように設置される軌道上を走行する物品搬送台車と、その物品搬送台車に備えられて前記物品搬送台車の走行装置の作動を制御する走行駆動手段と、前記物品搬送台車の走行を管理する地上側制御手段とが設けられ、
前記地上側制御手段が、前記物品搬送台車についての走行速度指令情報を前記走行駆動手段に送信するように構成され、前記走行駆動手段が、前記地上側制御手段からの走行速度指令情報に基づいて、その走行速度指令情報にて指令された走行速度で前記物品搬送台車を走行させるべく、前記走行装置を作動させるように構成されている物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品搬送装置は、例えば、自動倉庫などに適応されるものであり、物品搬送台車を有端式の直線状の軌道上を往復走行させて、複数の物品移載箇所に対する物品の搬送を物品搬送台車にて行うようにしているものである。
【0003】
このような物品搬送装置として、従来、地上側制御手段が、走行速度指令情報を走行駆動手段に送信し、走行駆動手段が、走行速度指令情報にて指令された走行速度で物品搬送台車を走行させるように、走行装置を作動させることにより、地上側制御手段からの走行速度指令情報に基づいて物品搬送台車の走行速度を調整しながら、物品搬送台車を走行させるようにしているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
そして、この物品搬送装置では、物品搬送台車の走行を管理するためのプログラムなどを、物品搬送台車側に備えるのではなく、地上側制御手段に備えさせることにより、例えば、バージョンアップや物品搬送台車の台数の増加などにより、物品搬送台車の走行を管理するための構成を変更する必要が生じても、物品搬送台車側には変更を加えることなく、地上側制御手段に備えさせたプログラムを変更するだけで対応することができることになり、物品搬送台車の走行を管理するための構成の簡素化およびコストの低減を図ることができるものである。
【0005】
【特許文献1】特許第2896968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の物品搬送装置では、物品搬送台車の走行を管理するための構成の簡素化およびコストの低減を図ることができるものの、地上側制御手段が、走行駆動手段に走行速度指令情報を送信するので、物品搬送台車の走行を的確に管理することができない虞がある。
説明を加えると、地上側制御手段が、単に、走行駆動手段に走行速度指令情報を送信するだけであると、例えば、異常の発生により、実際には物品搬送台車が走行速度指令情報にて指令した走行速度で走行していない状態でも、地上側制御手段が、走行駆動手段に走行速度指令情報を送信して、物品搬送台車の走行を継続させてしまい、物品搬送台車の走行を的確に管理することができないことになる。
【0007】
ちなみに、物品搬送台車が走行速度指令情報にて指令した走行速度で走行していない状態で、物品搬送台車の走行を継続させると、例えば、物品搬送台車の走行速度が走行速度指令情報にて指令した走行速度よりも大きくなり、目標とする停止位置に物品搬送台車を停止させることができないなどの問題を生じることになる。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、物品搬送台車の走行を管理する構成の簡素化およびコストの低減を図りながら、物品搬送台車の走行を的確に管理することができる物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品搬送装置の第1特徴構成は、複数の物品移載箇所を経由するように設置される軌道上を走行する物品搬送台車と、その物品搬送台車に備えられて前記物品搬送台車の走行装置の作動を制御する走行駆動手段と、前記物品搬送台車の走行を管理する地上側制御手段とが設けられ、
前記地上側制御手段が、前記物品搬送台車についての走行速度指令情報を前記走行駆動手段に送信するように構成され、前記走行駆動手段が、前記地上側制御手段からの走行速度指令情報に基づいて、その走行速度指令情報にて指令された走行速度で前記物品搬送台車を走行させるべく、前記走行装置を作動させるように構成されている物品搬送装置において、
前記物品搬送台車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、前記物品搬送台車に備えられて、前記走行駆動手段に優先して前記走行装置を作動停止させることが可能な走行制御手段とが設けられ、
前記地上側制御手段が、前記走行速度指令情報にて指令した走行速度と前記走行速度検出手段の検出情報に基づく実走行速度との差が設定範囲よりも大きいときには、前記走行制御手段に走行停止情報を送信し、前記走行制御手段が、前記地上側制御手段からの走行停止情報に基づいて、前記物品搬送台車を走行停止させるべく、前記走行装置を作動停止させるように構成されている点にある。
【0010】
すなわち、地上側制御手段が、走行速度指令情報にて指令した走行速度と実走行速度との差が設定範囲よりも大きいときには、走行速度指令情報にて指令した走行速度で物品搬送台車を走行させることができない状態であるとして、走行制御手段に走行停止情報を送信し、走行制御手段は、走行駆動手段に優先して走行装置を作動停止させて、物品搬送台車を走行停止させることができることになるので、物品搬送台車が走行速度指令情報にて指令した走行速度で走行していない状態では、物品搬送台車の走行を継続させるのを回避することができることになる。
【0011】
そして、走行速度指令情報にて指令した走行速度と実走行速度との差が設定範囲よりも大きいときには、走行制御手段に走行停止情報を送信するための制御構成を、物品搬送台車とは別の地上側制御手段に備えさせることにより、物品搬送台車の走行を管理するための構成を変更する必要が生じても、物品搬送台車側には変更を加えることなく、地上側制御手段に備えさせたプログラムを変更するだけで対応することができることになる。
しかも、物品搬送台車に、走行駆動手段に優先して走行装置を作動停止させることが可能な走行制御手段を備えさせることにより、走行駆動手段の異常により、走行速度指令情報にて指令した走行速度で物品搬送台車を走行させることができない状態となったときでも、物品搬送台車を走行停止させることができることになる。
【0012】
したがって、物品搬送台車の走行を管理するための構成を変更する必要が生じても、地上側制御手段側の変更だけで対応することを可能としながら、物品搬送台車が走行速度指令情報にて指令した走行速度で走行していない状態では、走行駆動手段が異常であっても、物品搬送台車を走行停止させることができることとなって、物品搬送台車の走行を管理する構成の簡素化およびコストの低減を図りながら、物品搬送台車の走行を的確に管理することができる物品搬送装置を提供できるに至った。
【0013】
本発明にかかる物品搬送装置の第2特徴構成は、前記物品搬送台車が複数台であり、それら複数台の物品搬送台車が有端形式の軌道上を走行するように設けられ、前記地上側制御手段が、複数台の前記物品搬送台車の走行を管理するように構成されている点にある。
【0014】
すなわち、地上側制御手段が、複数台の物品搬送台車の走行を管理することにより、複数台の物品搬送台車を活用しながら、物品の搬送を行うことができ、搬送能力の向上を図ることができることになる。
しかしながら、複数台の物品搬送台車が軌道上を走行するときには、走行速度指令情報にて指令した走行速度で物品搬送台車を走行させることができない状態で、物品搬送台車の走行を継続させてしまうと、物品搬送台車どうしが衝突する可能性が生じることになる。
したがって、上記第1特徴構成で述べた如く、走行速度指令情報にて指令した走行速度で物品搬送台車を走行させることができない状態では、物品搬送台車を走行停止させることにより、物品搬送台車どうしの衝突を回避することができるので、搬送能力の向上を図りながら、物品搬送台車どうしの衝突を回避することができる有用な物品搬送装置を提供できることになる。
【0015】
本発明にかかる物品搬送装置の第3特徴構成は、隣接する前記物品搬送台車どうしの車間距離を検出する車間距離検出手段と、隣接する前記物品搬送台車夫々についての走行方向および走行速度を検出する走行状態検出手段とが設けられ、
前記走行制御手段が、前記走行状態検出手段の検出情報に基づいて物品搬送台車どうしの車間距離が小さくなるように走行する接近走行状態であると判別したときに、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が、隣接する物品搬送台車の夫々における現在の走行速度情報に基づいて定められる走行停止用車間距離以下になると、前記物品搬送台車を走行停止させるべく、前記走行装置を作動停止させるように構成されている点にある。
【0016】
すなわち、走行制御手段が、走行状態検出手段の検出情報に基づいて接近走行状態であるか否かを判別することにより、物品搬送台車が軌道上のどこに存在するかにかかわらず、隣接する物品搬送台車どうしが衝突する可能性があるか否かを判別することができるので、軌道上の全範囲において、物品搬送台車どうしが衝突する可能性があるか否かを判別することができることになる。
そして、走行制御手段が、接近走行状態であると判別したときに、隣接する物品搬送台車どうしが衝突する可能性があるとして、車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が走行停止用車間距離以下になると、物品搬送台車を走行停止させることにより、軌道上の全範囲において、隣接する物品搬送台車どうしが衝突するのを回避することができることになる。
【0017】
しかも、走行制御手段は、地上側制御手段とは無関係に、物品搬送台車どうしが衝突する可能性があるか否かを判別して、物品搬送台車を走行停止させることができるので、地上側制御手段に異常が発生したときでも、物品搬送台車を走行停止させることができ、かつ、上記第1特徴構成で述べた如く、走行駆動手段に異常が発生したときでも、物品搬送台車を走行停止させることができることとなって、物品搬送台車どうしの衝突を確実に回避することができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明にかかる物品搬送装置の実施形態について、図面に基づいて説明を加える。
この物品搬送装置は、物品収納棚を設けた自動倉庫などに適応され、図1に示すように、物品移載箇所としてのステーション1の複数にわたる軌道2上を走行する物品搬送台車としての荷捌き台車3を複数台設け、それら複数台の荷捌き台車3が、軌道2上を往復走行して、複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0019】
前記軌道2は、両端部が定められた有端式の直線状に構成され、この軌道2の左右両側に軌道2の長手方向に間隔を隔てて複数のステーション1が配設されている。
そして、複数のステーション1としては、物品収納棚から出庫する物品を搬送する出庫コンベヤを設けた出庫用のステーション1、物品収納棚へ入庫する物品を搬送する入庫コンベヤを設けた入庫用のステーション1、外部から搬入する物品を搬送する搬入コンベヤを設けた搬入用のステーション1、および、外部へ搬出する物品を搬送する搬出コンベヤを設けた搬出用のステーション1などを組み合わせて構成されている。
【0020】
前記荷捌き台車3は、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの二台設けられており、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、自己とステーション1との間で物品Bを移載するローラコンベヤなどの電動式の移載装置4、軌道2に沿って配設された走行レールを走行する複数の走行車輪5などが設けられている。
前記走行車輪5は、走行装置としてのインバータ式の走行モータ6にて回転駆動する駆動用の走行車輪5と、従動回転自在な従動用の走行車輪5とから構成されている。
【0021】
そして、第1荷捌き台車3aには、図2に示すように、走行モータ6を作動させて荷捌き台車3を走行駆動させる走行駆動手段としての走行用インバータ7、相手の荷捌き台車 3との車間距離を検出する車間距離検出手段としての車間距離センサ8、相手の荷捌き台車3との間で情報を通信するための台車間光伝送装置9、走行用インバータ7に優先して走行モータ6を作動停止させることが可能な走行制御手段としてのスレーブコントローラ10、走行モータ6への電力供給を停止してメカブレーキをかけて走行モータ6を作動停止させる電力停止手段18、移載装置4を作動させる移載用インバータ11、移載装置4に物品Bが存在する在荷状態であるかまたは移載装置4に物品Bが存在しない空荷状態であるかを検出する在荷センサ12aおよび第1荷捌き台車3aの走行速度を検出するためのエンコーダ12bなどのセンサ類12、そのセンサ類12の検出情報を出力するための入出力装置13などが設けられている。
【0022】
また、第2荷捌き台車3bには、第1荷捌き台車3aと同様に、走行用インバータ7、台車間光伝送装置9、スレーブコントローラ10、在荷センサ12aなどのセンサ類12、および、入出力装置13が設けられている。
そして、第2荷捌き台車3bには、車間距離センサ8が設けられていないが、その車間距離センサ8の代わりに、第1荷捌き台車3aの車間距離センサ8から投光する光を反射する反射体8aが設けられており、第1荷捌き台車3aの車間距離センサ8は、反射体8aにて反射された光を受光して、その受光した光に基づいて荷捌き台車3どうしの車間距離を検出するように構成されている。
【0023】
床面などの地上側には、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの運転を管理する地上側制御手段としての地上側コントローラ14が一つ設けられ、その地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bにおける走行用インバータ7や移載用インバータ11などの作動を制御するように構成されている。
また、軌道2の両端部の夫々には、その端部から荷捌き台車3までの距離を検出することにより、軌道2上における荷捌き台車3の位置を検出する走行速度検出手段としての位置検出センサ15が設けられている。
【0024】
地上側に設けられた地上側コントローラ14、荷捌き台車3側に設けられた走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13の夫々には、図示はしないが、通信コントローラが備えられており、地上側コントローラ14と第1荷捌き台車3aとの間で情報の授受を行うための第1光伝送装置16と、地上側コントローラ14と第2荷捌き台車3bとの間で情報の授受を行うための第2光伝送装置17とが設けられている。
そして、地上側コントローラ14側に備えられた通信コントローラ、荷捌き台車3側に備えられた通信コントローラ、第1光伝送装置16、第2光伝送装置17により、通信ネットワークいわゆるデバイスネットが構成されており、地上側コントローラ14がマスタに構成され、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13がスレーブに構成されている。
【0025】
また、軌道2の両端部に配設された位置検出センサ15の検出情報は、地上側コントローラ14に入力されるように構成されており、地上側コントローラ14は、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、軌道2上における第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの位置および走行速度を管理するように構成されている。
【0026】
このようにして、地上側コントローラ14は、軌道2上における第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの位置を管理しながら、通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bとに各種指令情報を与えることにより、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの運転を管理するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、複数のステーション1のうちから移載対象のステーション1を指示する搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとのいずれかにて移載対象のステーション1との間で物品Bの移載を行うべく、二台の荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。
【0027】
前記二台の荷捌き台車3の運転について説明を加えると、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理用の荷捌き台車3を選択する選択処理を行い、その選択処理にて選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させたのち、移載対象のステーション1との間で物品Bの移載を行う搬送処理を行うように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、搬送要求情報が発生するたびに、選択処理、搬送処理を順次行うことを繰り返して、二台の荷捌き台車3にて複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0028】
ちなみに、搬送要求情報については、キーボードなどの人為操作式の入力装置や上位コントローラなどにより、地上側コントローラ14に対して搬送要求情報を入力可能であり、例えば、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1と物品Bを卸すための移載対象のステーション1を指示する搬送要求情報としている。
【0029】
また、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づく搬送処理としての、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1に選択した荷捌き台車3を走行させる掬い用の搬送処理と、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を物品Bを卸すための移載対象のステーション1に走行させる卸し用の搬送処理とを、別の搬送処理として、荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。
説明を加えると、地上側コントローラ14は、まず、選択処理、掬い用の搬送処理を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを掬い取り、その掬い用の搬送処理を行った後、選択処理、卸し用の搬送処理を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを卸すように構成されている。
【0030】
前記選択処理について説明を加えると、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行うときかあるいは卸し用の搬送処理を行うときか、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが現在搬送処理中であるか否か、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが軌道2上のどこに位置するかなどの各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうちから、搬送処理用の荷捌き台車3を選択するように構成されている。
【0031】
すなわち、掬い用の搬送処理を行うときには、地上側コントローラ14は、二台の荷捌き台車3ともが現在搬送処理中ではない待機中である場合に、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bのうち、移載対象のステーション1に近くに位置する荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、一台が現在搬送処理中でありもう一台が待機中である場合に、その待機中の荷捌き台車3が掬い用の搬送処理を行っても現在搬送処理中の荷捌き台車3と干渉しないときには、その待機中の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0032】
そして、卸し用の搬送処理を行うときには、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3とは別のもう一台の荷捌き台車3が待機中であれば、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、もう一台の荷捌き台車3が現在搬送処理中である場合には、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3が卸し用の搬送処理を行っても現在搬送処理中のもう一台の荷捌き台車3と干渉しないときには、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0033】
このようにして、地上側コントローラ14は、二台の荷捌き台車3のいずれもが、複数のステーション1のすべてに対して物品Bを搬送する搬送処理を行うことを可能としながら、選択処理を行うことにより、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3を現在搬送処理中である荷捌き台車3と干渉しない範囲を走行させることを条件として、搬送処理用の荷捌き台車3を選択するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、選択処理において、現在搬送処理中の荷捌き台車3と干渉する場合には、搬送処理用の荷捌き台車3としての選択を行わず、現在位置に待機させる待機状態とするか、または、現在搬送処理中の荷捌き台車3と干渉しない位置に移動させる追い出し作動を実行させるように構成されている。
【0034】
以下、選択処理において、第1荷捌き台車3aを搬送処理用の荷捌き台車3として選択し、その第1荷捌き台車3aにて搬送処理を行う場合について説明を加える。
前記地上側コントローラ14は、まず、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に走行方向をも指示する走行開始情報を送信し、その走行開始情報を受信した走行用インバータ7が、第1荷捌き台車3aの走行を開始させるように構成されている。
その後、地上側コントローラ14は、設定時間が経過するごとに、走行速度指令情報を第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に送信するように構成されている。
一方、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7は、地上側コントローラ14からの走行速度指令情報に基づいて、その走行速度指令情報にて指令された走行速度で第1荷捌き台車3aを走行させるべく、走行モータ6に対する電流値を調整するように構成されている。
【0035】
以上の如く、第1荷捌き台車3aを走行させるときには、走行用インバータ7が、地上側コントローラ14からの走行指令情報に基づいて、第1荷捌き台車3aの走行速度を調整しながら走行させるように構成されている。
そして、地上側コントローラ14に対して位置検出センサ15の検出情報が入力されているので、地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aの走行位置を管理しながら、第1荷捌き台車3aを走行させるように構成されている。
【0036】
前記地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3aの走行位置を管理しながら走行させている状態において、第1荷捌き台車3aの走行位置が移載対象のステーション1に対応する目標停止位置に達すると、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に停止指令情報を送信し、その停止指令情報を受信した第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7が、走行モータ6を作動停止させて、第1荷捌き台車3aを目標停止位置に停止させるように構成されている。
【0037】
また、地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aの走行中に、走行速度指令情報にて指令した走行速度と位置検出センサ15の検出情報に基づく実走行速度との差が設定範囲よりも大きいときには、第1荷捌き台車3aに備えられたスレーブコントローラ10に走行停止情報を送信するように構成されている。
そして、そのスレーブコントローラ10は、地上側コントローラ14からの走行停止情報に基づいて、第1荷捌き台車3aを走行停止させるべく、走行モータ6を作動停止させるように構成されている。
【0038】
説明を加えると、地上側コントローラ14は、図3のグラフに示すように、走行速度指令情報にて指令した走行速度Vaと、第1荷捌き台車3aの位置を検出する図1中左側の位置検出センサ15の検出情報に基づく実走行速度Vbとから、走行速度Vaと実走行速度Vbとの差W=|Va−Vb|をリアルタイムで監視するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、走行速度Vaと実走行速度Vbとの差Wが設定範囲Rよりも大きくなると、異常であるとして、通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aに備えられたスレーブコントローラ10に走行停止情報を送信するように構成されている。
第1荷捌き台車3aに備えられたスレーブコントローラ10は、地上側コントローラ14からの走行停止情報を受信すると、走行モータ6への電力供給を停止する電力停止手段18を作動させてメカブレーキをかけて、第1荷捌き台車3aを走行停止させるように構成されている。
【0039】
このようにして、地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aの走行中に、走行速度指令情報にて指令した走行速度Vaと実走行速度Vbとの差Wをリアルタイムで監視し、その差Wに基づいて異常であると判別すると、荷捌き台車3を走行停止させ、異常のまま走行を継続することを回避するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、第2荷捌き台車3bの走行中にも、第1荷捌き台車3aと同様に、走行速度指令情報にて指令した走行速度Vaと実走行速度Vbとの差Wをリアルタイムで監視し、その差Wに基づいて異常であると判別すると、荷捌き台車3を走行停止させ、異常のまま走行を継続することを回避するように構成されている。
【0040】
また、地上側コントローラ14は、位置検出センサ15にて検出される第1荷捌き台車3aまたは第2荷捌き台車3bの現在位置が、残りの一台の搬送処理中の荷捌き台車3の確保範囲内に侵入しているときに、荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
説明を加えると、地上側コントローラ14は、例えば、搬送処理を行う前の荷捌き台車3の位置と搬送先のステーション1との間を、搬送処理を行う荷捌き台車3の確保範囲として、第1荷捌き台車3aの現在位置が搬送処理中の第2荷捌き台車3bの確保範囲内に侵入しているか否かをリアルタイムで監視するように構成されている。
【0041】
そして、地上側コントローラ14が、例えば、第1荷捌き台車3aの現在位置が搬送処理中の第2荷捌き台車3bの確保範囲内に侵入していると判別すると、通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aに備えられたスレーブコントローラ10および第2荷捌き台車3bに備えられたスレーブコントローラ10の夫々に走行停止情報を送信するように構成されている。
第1荷捌き台車3aに備えられたスレーブコントローラ10は、地上側コントローラ14からの走行停止情報を受信すると、電力停止手段18を作動させて、第1荷捌き台車3aを走行停止させ、第2荷捌き台車3bに備えられたスレーブコントローラ10も、地上側コントローラ14からの走行停止情報を受信すると、電力停止手段18を作動させて、第2荷捌き台車3bを走行停止させるように構成されている。
【0042】
前記地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aを目標停止位置に停止させると、通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの移載用インバータ11に移載指令情報を送信するように構成されている。
そして、第1荷捌き台車3aの移載用インバータ11は、地上側コントローラ14からの移載指令情報に基づいて、移載装置4を作動させて、移載対象のステーション1に存在する物品Bを掬い取るあるいは移載対象のステーション1に物品Bを卸すように構成されている。
【0043】
また、入出力装置13は、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、センサ類12の検出情報を地上側コントローラ14に送信するように構成されており、地上側コントローラ14は、入出力装置13からの情報に基づいて、搬送処理が終了したことを認識するように構成されている。
【0044】
前記地上側コントローラ14とは独立した車間距離センサ8、台車間光伝送装置9および第1スレーブコントローラ10aを第1荷捌き台車3aに設け、地上側コントローラ14とは独立した台車間光伝送装置9および第2スレーブコントローラ10bを第2荷捌き台車3bに設けることにより、地上側コントローラ14の暴走などにより誤って荷捌き台車3どうしが衝突する可能性が生じる場合でも、その衝突を防止するように構成されている。
【0045】
二台の荷捌き台車3のうち、一方の第1荷捌き台車3aに備えられた第1スレーブコントローラ10aは、二台の荷捌き台車3夫々についての走行方向および走行速度を検出する走行状態検出手段19の検出情報に基づいて荷捌き台車3どうしの車間距離が小さくなるように走行する接近走行状態であると判別したときに、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が、二台の荷捌き台車3の夫々における現在の走行速度情報に基づいて定められる走行停止用車間距離以下になると、荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
【0046】
前記第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに荷捌き台車3どうしの走行方向が異なる場合には、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が走行停止用車間距離以下になると、二台の荷捌き台車3の両方を走行停止させるように構成されている。
また、第1スレーブコントローラ10aが、接近走行状態であると判別したときに荷捌き台車3どうしの走行方向が同じである場合には、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が走行停止用車間距離以下になると、二台の荷捌き台車3のうち、後続の荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
【0047】
そして、第1スレーブコントローラ10aが、走行停止用車間距離として、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が異なるときと隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じときとで、別の走行停止用車間距離を定めるように構成されている。
また、第1スレーブコントローラ10aが、走行停止用車間距離として、荷捌き台車3に物品Bが存在する在荷状態と荷捌き台車3に物品Bが存在しない空荷状態とで、別の走行停止用車間距離を定めるように構成されている。
【0048】
以下、走行停止用車間に基づいて荷捌き台車3を走行停止させる際の構成について説明を加える。
前記第1スレーブコントローラ10aは、まず、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2および走行方向、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3および走行方向を求める走行状態演算を行い、接近走行状態であるか否かを判別するように構成されている。
そして、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに、二台の荷捌き台車3夫々の現在の走行速度に基づいて走行停止用車間距離Qを定めて、車間距離センサ8にて検出される車間距離が走行停止用車間距離Q以下であると、荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
【0049】
このようにして、第1スレーブコントローラ10aは、走行状態演算、接近走行状態であるか否かの判別、車間距離センサ8にて検出される車間距離が走行停止用車間距離Q以下であるか否かの判別を繰り返し行うことにより、軌道2上の全範囲において、二台の荷捌き台車3どうしの衝突を回避するように構成されている。
【0050】
前記走行状態演算について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、まず、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1、および、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2を求めるとともに、第1荷捌き台車3aが前進であるか後進であるかの第1荷捌き台車3aの走行方向を判別するように構成されている。
ちなみに、走行方向は、図1において、第1荷捌き台車3aの前進側を図中右側、後進側を図中左側として、第2荷捌き台車3aの前進側を図中左側、後進側を図中右側としている。
【0051】
前記相対速度V1については、第1スレーブコントローラ10aが、設定時間(例えば、5ms)経過するごとに、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離を読み込み、車間距離センサ8にて検出される現在の車間距離と設定時間(例えば、100ms)前に車間距離センサ8にて検出された車間距離との変化量から第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1を求めるように構成されている。
前記第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2については、第1スレーブコントローラ10aが、第1荷捌き台車3aに備えられたエンコーダ12bの検出情報に基づいて、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2を求めるように構成されている。
前記走行方向については、第1スレーブコントローラ10aが、走行用インバータ7の出力信号に基づいて、その出力信号が正転出力信号であるかまたは逆転出力信号であるかにより、第1荷捌き台車3aが前進であるか後進であるかを判別して走行方向を判別するように構成されている。
【0052】
そして、第1スレーブコントローラ10aは、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2、および、第1荷捌き台車3aが前進であるか後進であるかの走行方向に基づいて、第2荷捌き台車3bが前進であるか後進であるかの走行方向を判別したのち、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3を求めるように構成されている。
【0053】
第2荷捌き台車3bの走行方向を判別する構成について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、第1荷捌き台車3aが前進である場合に、相対速度V1から第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2を引いた値(V1−V2)>0かつ相対速度V1<0であると、第2荷捌き台車3bが前進であると判別するように構成されている。
また、第1スレーブコントローラ10aは、第1荷捌き台車3aが前進である場合に、相対速度V1<0であると、第2荷捌き台車3bが後進であると判別し、第1荷捌き台車3aが後進である場合に、相対速度V1<0であると、第2荷捌き台車3bが後進であると判別するように構成されている。
【0054】
第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3を求める構成について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、図4の表に示すように、第1荷捌き台車3aが前進か後進か、第2荷捌き台車3bが前進か後進かにより、相対速度V1と第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2とから、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3を求めるように構成されている。
例えば、第1荷捌き台車3aが前進でかつ第2荷捌き台車3bも前進であれば、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3=|V1−V2|と求め、第1荷捌き台車3aが後進でかつ第2荷捌き台車3bが前進であれば、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3=|V1+V2|と求めるように構成されている。
【0055】
このようにして、第1スレーブコントローラ10aは、車間距離センサ8の検出情報、エンコーダ12bの検出情報、および、走行用インバータ7の出力信号に基づいて、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3b夫々についての走行方向および走行速度を検出するように構成されており、これら第1スレーブコントローラ10、車間距離センサ8、エンコーダ12b、および、走行用インバータ7により、走行状態検出手段19が構成されている。
【0056】
前記接近走行状態であるか否かの判別について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1<0であれば、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとの車間距離が小さくなるように走行する接近走行状態であると判別するように構成されている。
【0057】
前記走行停止用車間距離Qを定める構成について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、まず、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bについて走行停止させる際に要する停止距離を求めて、その停止距離から走行停止用車間距離Qを求めるように構成されている。
【0058】
説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、第1荷捌き台車3aに備えられた在荷センサ12aの検出情報に基づいて、第1荷捌き台車3aが在荷状態であるか空荷状態であるかを判別するとともに、下記の〔数1〕に基づいて、空荷状態のときの第1荷捌き台車3aの停止距離S1と在荷状態のときの第1荷捌き台車3aの停止距離S2を求めるように構成されている。
ただし、下記の〔数1〕において、V2は、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度であり、α1は、空荷状態での減速度であり、α2は、在荷状態での減速度であり、α1>α2となるように設定されている。
【0059】
〔数1〕
S1=V22/2×α1×9.8
S2=V22/2×α2×9.8
【0060】
また、第1スレーブコントローラ10aは、台車間光伝送装置9により第2スレーブコントローラ10bとの間で、第2荷捌き台車3bに備えられた在荷センサ12aの検出情報について、通信自在に構成されている。
そして、第1スレーブコントローラ10aは、第2スレーブコントローラ10bとの通信により取得する第2荷捌き台車3bに備えられた在荷センサ12aの検出情報に基づいて、第2荷捌き台車3bが在荷状態であるか空荷状態であるかを判別するとともに、下記の〔数2〕に基づいて、空荷状態のときの第2荷捌き台車3bの停止距離S3と在荷状態のときの第2荷捌き台車3bの停止距離S4を求めるように構成されている。
ただし、下記の〔数2〕において、V3は、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度であり、α3は、空荷状態での減速度であり、α4は、在荷状態での減速度であり、α3>α4となるように設定されている。
【0061】
〔数2〕
S3=V32/2×α3×9.8
S4=V32/2×α4×9.8
【0062】
以上の如く、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに、第1荷捌き台車3aについての停止距離S1,S2および第2荷捌き台車3bについての停止距離S3,S4を求めると、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとの走行方向が異なる対向動作であるかまたは1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとの走行方向が同じである追従動作であるか、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが空荷状態であるかまたは在荷状態であるかの各種条件によって、走行停止用車間距離Qを定めるように構成されている。
【0063】
説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに、第1荷捌き台車3aが前進でありかつ第2荷捌き台車3bが前進であると、対向動作であると判別するように構成されている。
この対向動作では、第1スレーブコントローラ10aが、図5の表に示すように、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが在荷状態であるか空荷状態であるかによって、第1荷捌き台車3aについての空荷状態の停止距離S1および在荷状態の停止距離S2、ならびに、第2荷捌き台車3bについての空荷状態の停止距離S3および在荷状態の停止距離S4から、走行停止用車間距離Qを求めるように構成されている。
例えば、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bがともに空荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=S1+S3と求め、第1荷捌き台車3aが空荷状態でかつ第2荷捌き台車3bが在荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=S1+S4と求めるように構成されている。
【0064】
また、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに、第1荷捌き台車3aが前進でありかつ第2荷捌き台車3bが後進であるまたは第1荷捌き台車3aが後進でありかつ第2荷捌き台車3bが前進であると、追従動作であると判別するように構成されている。
この追従動作では、図6の表に示すように、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが在荷状態であるか空荷状態であるかによって、第1荷捌き台車3aについての空荷状態の停止距離S1および在荷状態の停止距離S2、ならびに、第2荷捌き台車3bについての空荷状態の停止距離S3および在荷状態の停止距離S4から、走行停止用車間距離Qを求めるように構成されている。
【0065】
第1荷捌き台車3aが後進でありかつ第2荷捌き台車3bが前進である場合には、第1荷捌き台車3aが先行し、第2荷捌き台車3bが後続することになり、先行の第1荷捌き台車3aについては空荷状態の停止距離S1のみを用いて、走行停止用車間距離Qを求めるように構成されている。
図6の(イ)に示すように、例えば、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bがともに空荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=|S1−S3|と求め、第1荷捌き台車3aが在荷状態でかつ第2荷捌き台車3bが空荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=|S1−S3|と求めるように構成されている。
【0066】
また、第1荷捌き台車3aが前進でありかつ第2荷捌き台車3bが後進である場合には、第2荷捌き台車3bが先行し、第1荷捌き台車3aが後続することになり、先行の第2荷捌き台車3bについては空荷状態の停止距離S3のみを用いて、走行停止用車間距離Qを求めるように構成されている。
図6の(ロ)に示すように、例えば、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bがともに空荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=|S3−S1|と求め、第1荷捌き台車3aが空荷状態でかつ第2荷捌き台車3bが在荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=|S3−S1|と求めるように構成されている。
【0067】
このようにして、第1スレーブコントローラ10aは、走行停止用車間距離Qとして、対向動作か追従動作かにより別の走行停止用車間距離を求めるとともに、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとが在荷状態あるか空荷状態であるかにより別の走行停止用車間距離を求めるように構成されている。
【0068】
そして、第1スレーブコントローラ10aは、対向動作のときに車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が走行停止用車間距離Q以下になると、車間異常であるとして、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの両方を走行停止させるように構成されている。
【0069】
説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、電力停止手段18を作動させて、第1荷捌き台車3aを走行停止させるように構成されている。
そして、第1スレーブコントローラ10aは、台車間光伝送装置9により第2荷捌き台車3に対して第2荷捌き台車3bを走行停止させるための異常停止情報を送信するように構成されており、第2スレーブコントローラ10bは、第1スレーブコントローラ10aからの異常停止情報に基づいて、電力停止手段18を作動させて、第2荷捌き台車3bを走行停止させるように構成されている。
【0070】
また、第1スレーブコントローラ10aは、追従動作のときに車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が走行停止用車間距離Q以下になると、車間異常であるとして、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、後続の荷捌き台車3のみ走行停止させるように構成されている。
【0071】
説明を加えると、第1荷捌き台車3aが後続の荷捌き台車3であるときには、第1スレーブコントローラ10aが、電力停止手段18を作動させて、第1荷捌き台車3aを走行停止させるように構成されている。
そして、逆に、第2荷捌き台車3bが後続の荷捌き台車3であるときには、第1スレーブコントローラ10aが、台車間光伝送装置9により第2荷捌き台車3に対して第2荷捌き台車3bを走行停止させるための異常停止情報を送信するように構成されており、第2スレーブコントローラ10bは、第1スレーブコントローラ10aからの異常停止情報に基づいて、電力停止手段18を作動させて、第2荷捌き台車3bを走行停止させるように構成されている。
【0072】
前記第1スレーブコントローラ10aの動作について図7のフローチャートに基づいて説明を加える。
第1スレーブコントローラ10aは、まず、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2および走行方向、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3および走行方向を求める走行状態演算を行う(ステップ1)。
そして、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別すると、走行停止用車間距離Qを定めて、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離Pが定められた走行停止用車間距離Q以下であるか否かを判別する(ステップ2〜4)。
【0073】
前記第1スレーブコントローラ10aは、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離Pが走行停止用車間距離Q以下である場合に対向動作のときには、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの両方の荷捌き台車3を走行停止させる(ステップ5,6)。
また、第1スレーブコントローラ10aは、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離Pが走行停止用車間距離Q以下である場合に追従動作のときには、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、後続の荷捌き台車3を走行停止させる(ステップ7,8)。
【0074】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、走行制御手段としてスレーブコントローラ10を例示し、そのスレーブコントローラ10が、地上側コントローラ14からの走行停止情報に基づいて、電力停止手段18を作動させて、走行モータ6を作動停止させるように構成されているが、例えば、地上側コントローラ14と電力停止手段18との間で直接通信可能となるように構成し、電力停止手段18が、地上側コントローラ14からの走行停止情報に基づいて、走行モータ6を作動停止させるように構成して実施することも可能であり、走行制御手段の構成については、地上側コントローラ14からの走行停止情報に基づいて、走行モータ6を作動停止させるものであればよく、適宜変更が可能である。
【0075】
(2)上記実施形態では、第1スレーブコントローラ10aが、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離Pが走行停止用車間距離Q以下である場合に、二台の荷捌き台車3の走行方向が同じであるときには、二台の荷捌き台車3のうち、後続の荷捌き台車3のみを走行停止させるようにしているが、二台の荷捌き台車3の両方を走行停止させるように構成して実施することも可能である。
【0076】
(3)上記実施形態では、走行停止用車間距離として、二台の捌き台車3どうしの走行方向が異なるときと二台の荷捌き台車3どうしの走行方向が同じときとで、別の走行停止用車間距離を定めるとともに、在荷状態と空荷状態とで、別の走行停止用車間距離を定めるようにしているが、走行停止用車間距離については、例えば、二台の捌き台車3どうしの走行方向が異なるときと二台の荷捌き台車3どうしの走行方向が同じときとで、同じ走行停止用車間距離を定めることも可能であり、走行停止用車間距離をどのように定めるかについては適宜変更が可能である。
【0077】
(4)上記実施形態では、第2荷捌き台車3bに車間距離センサ8を備えず、第1荷捌き台車3aに備えられた第1スレーブコントローラ10aのみに、走行状態演算、接近走行状態であるか否かの判別、走行停止用車間距離に基づいて荷捌き台車3を走行停止させる制御構成を備えているが、例えば、第2荷捌き台車3bにも、車間距離センサ8を備えて、第1スレーブコントローラ10aに加えて、第2スレーブコントローラ10bにも、走行状態演算、接近走行状態であるか否かの判別、走行停止用車間距離に基づいて荷捌き台車3を走行停止させる制御構成を備えて実施することも可能である。
【0078】
(5)上記実施形態では、第1スレーブコントローラ10aが、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度を、二台の荷捌き台車3夫々についての走行方向および走行速度についての情報として、接近走行状態であるか否かを判別するようにしているが、第1スレーブコントローラ10aが、二台の荷捌き台車3夫々についての走行方向および走行速度から直接接近走行状態であるか否かを判別することも可能である。
【0079】
(6)上記実施形態では、第1スレーブコントローラ10aが、第2荷捌き台車3bの走行方向および走行速度について、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度、第1荷捌き台車3aの走行方向および走行速度から求めるようにしているが、例えば、第2荷捌き台車3bの走行方向および走行速度を検出する第2荷捌き台車用の走行状態検出手段を第2荷捌き台車3bに備えて、その第2荷捌き台車用の走行状態検出手段の検出情報を台車間光伝送装置9により第1スレーブコントローラ10aに通信するように構成して、第1スレーブコントローラ10aが、その通信により取得した第2荷捌き台車用の走行状態検出手段の検出情報に基づいて、第2荷捌き台車3bの走行方向および走行速度を求めることも可能である。
すなわち、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの走行方向と走行速度とを、どのようにして求めるかについては適宜変更が可能である。
【0080】
(7)上記実施形態では、地上側コントローラ14と独立したスレーブコントローラ10を走行制御手段としているが、例えば、地上側コントローラ14を走行制御手段として実施することも可能である。
【0081】
(8)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、走行速度検出手段としての位置検出センサ15の検出情報に基づいて、複数台の荷捌き台車3の軌道2上での位置を管理するように構成されているが、例えば、荷捌き台車3の夫々に走行速度検出手段としてのエンコーダを設けて、そのエンコーダの検出情報を入出力装置13にて地上側コントローラ14に通信することにより、地上側コントローラ14が、複数台の荷捌き台車3の軌道2上での位置を管理するようにして実施することも可能である。
【0082】
(9)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理を実行する荷捌き台車3を選択する選択処理を行うように構成されているが、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理を実行する荷捌き台車3を選択するための条件については、適宜変更が可能である。
【0083】
(10)上記実施形態において、ステーション1の数やどの位置にステーション1を配置するかについては適宜変更可能である。
【0084】
(11)上記実施形態では、荷捌き台車3を二台設けた例を示したが、荷捌き台車3の台数については適宜変更が可能である。
【0085】
(12)上記実施形態では、物品搬送台車として荷捌き台車3を例示したが、物品搬送台車としては、例えば、一対の物品収納棚の間口に沿う軌道上を往復走行するスタッカークレーンを適応することも可能であり、荷捌き台車3以外の物品搬送台車も適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】物品搬送装置の平面図
【図2】物品搬送装置のブロック図
【図3】走行速度指令情報にて指令した走行速度と荷捌き台車の実走行速度との時間変化を示すグラフ
【図4】第2荷捌き台車の現在の走行速度を求めるための表
【図5】対向動作における走行停止用車間距離を求めるための表
【図6】追従動作における走行停止用車間距離を求めるための表
【図7】第1スレーブコントローラの動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0087】
1 物品移載箇所
2 軌道
3 物品搬送台車
7 走行駆動手段
8 車間距離検出手段
10 走行制御手段
14 地上側制御手段
15 走行速度検出手段
19 走行状態検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品移載箇所を経由するように設置される軌道上を走行する物品搬送台車と、その物品搬送台車に備えられて前記物品搬送台車の走行装置の作動を制御する走行駆動手段と、前記物品搬送台車の走行を管理する地上側制御手段とが設けられ、
前記地上側制御手段が、前記物品搬送台車についての走行速度指令情報を前記走行駆動手段に送信するように構成され、
前記走行駆動手段が、前記地上側制御手段からの走行速度指令情報に基づいて、その走行速度指令情報にて指令された走行速度で前記物品搬送台車を走行させるべく、前記走行装置を作動させるように構成されている物品搬送装置であって、
前記物品搬送台車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、前記物品搬送台車に備えられて、前記走行駆動手段に優先して前記走行装置を作動停止させることが可能な走行制御手段とが設けられ、
前記地上側制御手段が、前記走行速度指令情報にて指令した走行速度と前記走行速度検出手段の検出情報に基づく実走行速度との差が設定範囲よりも大きいときには、前記走行制御手段に走行停止情報を送信し、
前記走行制御手段が、前記地上側制御手段からの走行停止情報に基づいて、前記物品搬送台車を走行停止させるべく、前記走行装置を作動停止させるように構成されている物品搬送装置。
【請求項2】
前記物品搬送台車が複数台であり、それら複数台の物品搬送台車が有端形式の軌道上を走行するように設けられ、
前記地上側制御手段が、複数台の前記物品搬送台車の走行を管理するように構成されている請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
隣接する前記物品搬送台車どうしの車間距離を検出する車間距離検出手段と、隣接する前記物品搬送台車夫々についての走行方向および走行速度を検出する走行状態検出手段とが設けられ、
前記走行制御手段が、前記走行状態検出手段の検出情報に基づいて物品搬送台車どうしの車間距離が小さくなるように走行する接近走行状態であると判別したときに、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が、隣接する物品搬送台車の夫々における現在の走行速度情報に基づいて定められる走行停止用車間距離以下になると、前記物品搬送台車を走行停止させるべく、前記走行装置を作動停止させるように構成されている請求項2に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−62841(P2006−62841A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248770(P2004−248770)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】