説明

物品搬送設備

【課題】 複数の物品搬送車のいずれかにおいて作動異常が発生した場合において、不必要なメンテナンス作業を行うことを防止することが可能となる物品搬送設備を提供する。
【解決手段】 複数の物品搬送車3の夫々に、走行作動データ及び移載作動データを実作動データとして取得する作動データ取得手段が設けられ、運転制御手段Hが、複数の物品搬送車の夫々における実作動データを評価して作動異常が発生している異常物品搬送車が存在するか否かを判別する異常判別処理、及び、作動異常が発生していると判別した異常発生評価済みの実作動データと、その異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で走行作動又は移載作動を別の物品搬送車が行ったときに取得される対比用の実作動データとを評価することにより、作動異常についての診断を行う異常診断処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所にわたって走行自在で且つ物品移載箇所に物品を移載可能な物品搬送車が複数設けられ、それら複数の物品搬送車の運転を制御する運転制御手段が設けられている物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成の物品搬送設備を自動倉庫に適用した従来例として、例えばスタッカークレーンにて構成される物品搬送車が同一の走行レール上を走行する状態で2台設けられ、複数の物品移載箇所として、収納棚における多数の物品収納部及び物品搬出入用の荷載置台が設けられ、物品搬送車が複数の物品移載箇所の夫々において物品を移載する構成となっており、2台の物品搬送車における運転を各別に制御する2つのコントローラが前記運転制御手段として備えられて、その運転制御手段が物品搬送車の運転を制御するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1には記載されていないが、このような物品搬送設備においては、前記運転制御手段は、走行作動や移載作動を実行するときに作動異常が検出されると、その作動異常が発生した物品搬送車の運転を停止させて報知ランプ等の報知手段を作動させるのが一般的な構成となっていた。又、上記作動異常を検出する構成としては、例えば、走行作動や移載作動を行うときに所定の速度で作動させるべく駆動用電動モータ等を制御しているにもかかわらず実際の作動速度が非常に遅い状態になるような場合や、駆動用電動モータに供給される電流値が異常に大きな値になる場合等において作動異常であると判別する構成がある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−175117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成においては、複数の物品搬送車のうちのいずれかにおいて作動異常が発生したときには、当該設備の使用者は作動異常が発生したことは認識できるが、作動異常の内容については判らないので、作動異常が発生した物品搬送車の運転を停止させたままメンテナンス作業者に連絡を取る等の措置を取ることになる。
【0006】
ところで、上記したような作動異常の発生原因としては種々の要因が考えられるが、例えば、搬送対象となる物品の重量が物品搬送車による許容上限値を超えるような大きい重量であることが異常発生の原因であれば、許容上限値より軽量の適正な重量の物品を搬送するようにすると正常な状態に復帰することになる。
【0007】
しかし、上記従来構成では、メンテナンス作業者は、作動異常の原因が積載する物品についての条件等の作動条件の異常にある場合であっても、そのことについては判断することができないので、物品搬送車において作動異常の対象となった駆動用電動モータ等は故障していないにもかかわらず、その駆動用電動モータに異常の故障にあると判断して、故障していない駆動用電動モータの交換作業等、不必要なメンテナンス作業を行うことになる。
【0008】
本発明の目的は、複数の物品搬送車のいずれかにおいて作動異常が発生した場合において、不必要なメンテナンス作業を行うことを防止することが可能となる物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る物品搬送設備は、複数の物品移載箇所にわたって走行自在で且つ物品移載箇所に物品を移載可能な物品搬送車が複数設けられ、それら複数の物品搬送車の運転を制御する運転制御手段が設けられているものであって、
その第1特徴構成は、前記複数の物品搬送車の夫々に、走行作動を実行するときの走行作動データ及び物品の移載作動を実行するときの移載作動データを実作動データとして取得する作動データ取得手段が設けられ、
前記運転制御手段が、
前記作動データ取得手段が取得した複数の物品搬送車の夫々における実作動データを評価して、走行作動又は移載作動に作動異常が発生している異常物品搬送車が存在するか否かを判別する異常判別処理、及び、
その異常判別処理にて作動異常が発生していると判別した異常発生評価済みの実作動データと、その異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で走行作動又は移載作動を別の物品搬送車が行ったときに前記作動データ取得手段にて取得される対比用の実作動データとを評価することにより、前記作動異常についての診断を行う異常診断処理を実行するように構成されている点にある。
【0010】
第1特徴構成によれば、複数の物品搬送車は、複数の物品移載箇所にわたって走行する走行作動及び物品移載箇所に物品を移載する移載作動を実行するが、前記作動データ取得手段により、前記走行作動を実行するときの走行作動データ及び前記移載作動を実行するときの移載作動データが実作動データとして取得される。前記走行作動データとしては、走行作動を行うときの作動速度や走行作動を行うための電動モータ等の駆動手段に対して供給される電圧値あるいは電流値等の各種のデータを用いることができ、前記移載作動データとしては、移載作動を行うときの作動速度や移載作動を行うための電動モータ等の駆動手段に対して供給される電圧値あるいは電流値等の各種のデータを用いることができる。
【0011】
そして、前記運転制御手段は、前記作動データ取得手段が取得した複数の物品搬送車の夫々における実作動データを評価して、走行作動又は移載作動に作動異常が発生している異常物品搬送車が存在するか否かを判別する異常判別処理を実行する。
【0012】
説明を加えると、物品搬送車が走行作動又は移載作動を正常に実行しているときには、それらの作動を複数回繰り返し実行しても実作動データは大きく変化することはないが、物品搬送車において何らかの作動異常が発生すると、同じ作動を実行した場合であっても実作動データが大きく変化する場合がある。例えば、走行作動又は移載作動を行うときの作動速度は変化していないが走行作動又は移載作動を行うために設けられる駆動手段に対して供給される電圧値あるいは電流値が大きく変化しているような場合、あるいは、上記したような駆動手段に対して供給される電圧値あるいは電流値は変化していないが走行作動又は移載作動を行うときの作動速度が大きく変化している場合等がある。そこで、そのような実作動データを評価することで、走行作動又は移載作動に作動異常が発生している異常物品搬送車が存在するか否かを判別することができるのである。
【0013】
そして、その異常判別処理にて作動異常が発生していると判別した異常発生評価済みの実作動データと、その異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で走行作動又は移載作動を別の物品搬送車が行ったときに作動データ取得手段にて取得される対比用の実作動データとを評価することにより、作動異常についての診断を行う異常診断処理を実行する。
【0014】
前記作動条件というのは、異常物品搬送車が前記走行作動又は移載作動を行うための条件であり、例えば、積載する物品についての条件、あるいは、走行作動又は移載作動を実行するときの物品搬送車の位置についての条件等の種々の条件がある。そして、作動条件と同じ条件というのは上記したような種々の条件が全て同一の場合であり、類似条件というのは、種々の条件のうちの一部が異なるような場合であり、例えば、積載する物品が同じであるが物品搬送車の位置についての条件の条件が異なるような場合等である。
【0015】
そして、前記異常発生評価済みの実作動データと、作動異常が発生したと想定される時点において異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で別の物品搬送車が走行作動又は移載作動を行ったときに取得される対比用の実作動データとを用いて、それらの実作動データを評価することにより作動異常についての診断を行うのである。
【0016】
説明を加えると、例えば、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが類似している場合には、異常物品搬送車における作動異常の対象となる駆動手段等に異常があるのではなく前記作動条件に異常があると診断することが可能であり、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが類似していない場合には、異常物品搬送車に異常があると診断することが可能である。
【0017】
その結果、異常物品搬送車に異常があると診断したときには、例えば駆動手段の交換等のメンテナンス作業を適正に行うことができ、前記作動条件に異常があると診断したときには、駆動手段の交換等の不必要なメンテナンス作業を行うことなく、作動条件を変更する等の適切な措置を取ることが可能となる。
【0018】
従って、複数の物品搬送車のいずれかにおいて作動異常が発生した場合において、不必要なメンテナンス作業を行うことを防止することが可能となる物品搬送設備を提供できるに至った。
【0019】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記異常判別処理にて作動異常が発生している前記異常物品搬送車が存在すると判別した後において、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で点検用の走行作動又は点検用の移載作動を行うように別の物品搬送車を運転制御して、前記作動データ取得手段にて前記対比用の実作動データを取得するように構成されている点にある。
【0020】
第2特徴構成によれば、運転制御手段は、異常判別処理にて作動異常が発生している異常物品搬送車が存在すると判別した後に、異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で、別の物品搬送車に点検用の走行作動又は点検用の移載作動を行わせてそのとき作動データ取得手段にて取得される実作動データを対比用の実作動データとして取得するのである。
【0021】
このように、異常判別処理にて作動異常が発生している異常物品搬送車が存在すると判別した後に、別の物品搬送車に点検用の走行作動又は点検用の移載作動を行わせて対比用の実作動データを取得するようにしたので、例えば、予め記憶されている過去の実作動データの中から異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件に対応するデータを抽出するようなものに比べて、対比用の実作動データとして、作動異常を診断するのに適した実作動データとして得ることができ、作動異常についての診断を適切に行うことが可能となる。
【0022】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が扱っていた物品と同じ物品を扱って、前記点検用の走行作動又は前記点検用の移載作動を行わせるように構成されている点にある。
【0023】
第3特徴構成によれば、前記別の物品搬送車は、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常物品搬送車が扱っていた物品と同じ物品を扱って前記点検用の走行作動又は前記点検用の移載作動を行うので、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常物品搬送車が扱っていた物品の重量が物品搬送装置による許容上限値を超えるような大きい重量であれば、そのことが作動異常の原因であると考えることができる。そして、同じ物品を扱って前記点検用の走行作動又は前記点検用の移載作動を行い、そのときに別の物品搬送車でも作動異常が判別されると、物品の重量が過大であることが作動異常の原因であることを推定でき、作動異常についての診断を適切に行うことが可能となる。
【0024】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記作動データ取得手段が取得した複数の物品搬送車の夫々における過去の実作動データをその作動条件と対応させて記憶して、その記憶した過去の実作動データのうちで、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で別の物品搬送車が行った走行作動又は移載作動に対応する実作動データを前記対比用の実作動データとして用いるように構成されている点にある。
【0025】
第4特徴構成によれば、前記運転制御手段は、複数の物品搬送車の夫々において、各物品搬送車が走行作動又は移載作動を実行するときに作動データ取得手段が取得した実作動データをそのときの作動条件と対応させて記憶しておく。そして、異常判別処理にて作動異常が発生している異常物品搬送車が存在すると判別したときには、記憶した過去の実作動データのうちで、異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で別の物品搬送車が走行作動又は移載作動を行ったときに取得した実作動データを対比用の実作動データとして用いるのである。
【0026】
このように構成すると、物品搬送車が走行作動又は移載作動を実行するときの作動条件と対応させて記憶されている過去の実作動データを対比用の実作動データとして用いるようにしているので、異常判別処理にて作動異常が発生している異常物品搬送車が存在すると判別したときに、対比用の実作動データを迅速に得ることができ、その対比用の実作動データを用いて作動異常についての診断を行う異常診断処理を迅速に行うことが可能となる。
【0027】
又、記憶されている過去の実作動データのうち、同じ作動条件又は類似する作動条件に対応する実作動データが複数存在するときには、それら複数のデータの平均値を用いることでノイズによる影響を少なくした適正なデータとして対比用の実作動データを得ることが可能であり、作動異常についての診断処理をより適正に行うことが可能となる。
【0028】
本発明の第5特徴構成は、第1特徴構成〜第4特徴構成のいずれかに加えて、前記運転制御手段が、前記異常診断処理において、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが類似しているか否かを評価して、類似しているときには、作動条件に異常があったと判断するように構成されている点にある。
【0029】
第5特徴構成によれば、前記運転制御手段は、前記異常診断処理において、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが類似しているか否かを評価する。そして、異常発生評価済みの実作動データと対比用の実作動データとが類似しているときには作動条件に異常があったと判断する。
【0030】
説明を加えると、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが類似しているということは、前記別の物品搬送車が、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常物品搬送車が行っていたのと同じ走行作動又は移載作動を行っても、前記異常発生評価済みの実作動データと類似した実作動データが取得されることを意味する。これは、異常物品搬送車におけるいずれかの部位に故障が発生する等の異常物品搬送車自身の異常ではなく作動条件に異常があったものと考えられるから、運転制御手段は、異常発生評価済みの実作動データと対比用の実作動データとが類似しているときには作動条件に異常があったと判断するのである。
【0031】
従って、設備の使用者は、作動異常が発生した原因が作動条件の異常であることが判るから、作動条件を適正な状態になるように調整する等の措置をとることができる。
【0032】
本発明の第6特徴構成は、第5特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記作動データ取得手段が取得した複数の物品搬送車の夫々における過去の実作動データをその作動条件と対応させて記憶して、前記異常診断処理において、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが非類似であるときには、その記憶した過去の実作動データのうちで、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件でその異常物品搬送車が行った走行作動又は移載作動に対応する過去の実作動データを診断用の過去実作動データとして抽出して、その抽出した過去の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとを評価して、前記作動異常についての診断を行うように構成されている点にある。
【0033】
第6特徴構成によれば、前記運転制御手段は、複数の物品搬送車の夫々において、各物品搬送車が走行作動又は移載作動を実行するときに作動データ取得手段が取得した実作動データをそのときの作動条件と対応させて記憶しておく。
【0034】
そして、異常判別処理にて作動異常が発生している異常物品搬送車が存在すると判別して、前記異常診断処理を行う場合、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが非類似であるときには、上記したように記憶されている過去の実作動データのうちで、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件でその異常物品搬送車が行った走行作動又は移載作動に対応する過去の実作動データを診断用の過去実作動データとして抽出して、その抽出した過去の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとを評価して作動異常についての診断を行うようにしている。
【0035】
すなわち、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが非類似であるときは、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件以外の原因が考えられる。そこで、上記したような異常物品搬送車における過去の診断用の過去実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとの関係を調べることで、作動異常の発生原因がどのような要因によるものかを推定することが可能であり、作動異常についての診断をより適切に行うことが可能となる。
【0036】
本発明の第7特徴構成は、第6特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記診断用の過去実作動データとして、設備設置初期における実作動データと最近の実作動データとを抽出して、その設備設置初期における実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似しているか否か、及び、その最近の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似しているか否かを評価して、前記作動異常についての診断を行うように構成されている点にある。
【0037】
第7特徴構成によれば、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが非類似であり作動条件に異常はないと判断している場合において、前記設備設置初期における実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似していれば、設備設置初期においては物品搬送車は正常に動作しているものと考えられるので、その実作動データが関連する部位以外の部位において異常が発生しているか又は作動条件に異常があることを推定できる。又、前記設備設置初期における実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似していない場合であれば、その実作動データが関連する部位において異常が発生していることが推定できる。
【0038】
一方、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが非類似であり作動条件に異常はないと判断している場合において、最近の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似している場合であれば、突発的に発生した異常ではなく、異常又はそれに近い状態が継続して発生していることが推定できる。又、最近の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似していない場合であれば、その実作動データが関連する部位において異常が発生していることを推定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明にかかる物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に前記物品搬送設備を示している。この物品搬送設備は、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した二つの収納棚1と、それらの収納棚1どうしの間に形成した走行通路2を自動走行する物品搬送車としてのスタッカークレーン3とを設けて構成され、各収納棚1は、多数の物品収納部4を縦横に複数並べて構成されている。前記走行通路2には、その下方側に走行レール5が収納棚1の長手方向に沿って設置され、上方側にもガイドレール6が収納棚1の長手方向に沿って設置されている。そして、走行レール5の一端側には走行レール5を挟んで一対の荷載置台8が設けられている。一対の荷載置台8と多数の物品収納部4の夫々が物品移載箇所Kとして構成されている。
【0040】
そして、1つの走行通路2中に2台のスタッカークレーン3、3が備えられており、それら2台のスタッカークレーン3、3の運転を管理する1つの地上側コントローラ7が設けられている。
【0041】
前記各スタッカークレーン3は夫々同じ構成であるから、そのうちの1つを代表して以下に構成を説明する。つまり、スタッカークレーン3は、図2に示すように、走行レール5に沿って走行自在な走行体としての走行台車10と、その走行台車10に対して昇降自在な昇降台12とを備えて構成され、昇降台12に物品9を載せたパレットPごと移載可能な電動式の物品移載装置としてのフォーク装置11を設けて構成され、走行台車10の走行、昇降台12の昇降、および、フォーク装置11の出退作動により、荷載置台8に載置されているパレットPを物品収納部4に移載させたり、物品収納部4に収納されているパレットPを荷載置台8に移載させるように構成されている。
【0042】
前記昇降台12は、走行台車10に立設して上端部が上部フレーム15にて連結された前後一対の昇降マスト13にて昇降自在に案内支持され、その左右両側に連結した昇降用チェーン14にて吊下げ支持されるようになっている。昇降用チェーン14は、上方側従動プーリ16、走行台車側従動プーリ17、昇降台側従動プーリ18、および、駆動プーリ19に巻き掛けられている。また、駆動プーリ19を駆動回転させる減速機付き昇降用電動モータ(以下、昇降モータという)20が設けられ、その昇降モータ20にて駆動プーリ19を正逆に駆動させることにより昇降用チェーン14をその長手方向に移動操作して、昇降台12を昇降させる構成となっている。又、昇降モータ20に供給される電流値を検出する昇降用電流検出器21が設けられている。
【0043】
図3に示すように、昇降台12に、昇降経路上の昇降位置を検出する昇降台側ロータリーエンコーダ22が設けられている。この昇降台側ロータリーエンコーダ22は、その回転軸に昇降マスト13の上下方向に敷設されたチェーン13aに噛み合うスプロケット22aが取り付けられ、昇降台12の昇降によりスプロケット22aが回転して、昇降経路の下端部に設定された基準位置からの昇降台12の昇降距離を検出する基準位置からの昇降台12の昇降距離を検出することにより昇降位置を検出するように構成されている。
【0044】
前記フォーク装置11は、減速機付き物品移載用電動モータ23(以下、移載モータという)の駆動により突出位置まで突出したり退入位置まで退入するように出退操作自在に構成されている。また、昇降台12には、フォーク装置11が突出位置まで突出したことを検出する突出検出リミットスイッチ24、フォーク装置11が退入位置まで退入したことを検出する退入検出リミットスイッチ25、及び、移載モータ23に供給される電流値を検出する移載用電流検出器26が設けられている。
【0045】
図3に示すように、走行台車10に、走行経路2上の走行位置を検出する車体側ロータリーエンコーダ27が設けられている。この車体側ロータリーエンコーダ27は、その回転軸に走行レール5に沿って敷設されたチェーン5aに噛み合うスプロケット27aが取り付けられ、走行台車10の走行によりスプロケット27aが回転して、走行経路2の一端部に設定された基準位置からの走行台車10の走行距離を検出することにより走行位置を検出するように構成されている。
【0046】
走行台車10には、走行レール5上を走行自在な前後二つの車輪28が設けられ、それら二つの車輪28のうちの車体前後方向の一端側の車輪が減速機付き走行用電動モータ(以下、走行モータという)29にて駆動される推進用の駆動輪28aとして構成され、車体前後方向の他端側の車輪が遊転自在な従動輪28bとして構成されている。つまり、走行台車10は、走行モータ29の作動で走行レール5に沿って走行するように構成されている。そして、走行モータ29に供給される電流値を検出する走行用電流検出器30が設けられている。
【0047】
前記各スタッカークレーン3には、図4に示すように、地上側コントローラ7から入庫指令又は出庫指令を受けてスタッカークレーン3の運転を制御する車体制御部31、昇降モータ20に供給する駆動用電流値を変更調整する昇降用インバータ32、移載モータ23に供給する駆動用電流値を変更調整する移載用インバータ33、走行モータ29に供給する駆動用電流値を変更調整する走行用インバータ34が設けられ、前記車体制御部31は、昇降台側ロータリーエンコーダ22、車体側ロータリーエンコーダ27等の検出情報に基づいて駆動用電流値を変更調整して、昇降モータ20、走行モータ29、移載モータ23の作動を制御するように構成されている。
【0048】
又、地上側コントローラ7側に地上側光伝送装置35が備えられ、走行台車10側に移動側光伝送装置36が備えられ、前記車体制御部31は、地上側光伝送装置35と移動側光伝送装置36との間での通信により、地上側コントローラ7との間で情報の授受を行うように構成されている。
【0049】
そして、前記地上側コントローラ7は、荷載置台8から複数の物品収納部4のうちの一つの物品収納部4に物品9が載せられたパレットPを搬送させる入庫指令、及び、複数の物品収納部4のうちの一つの物品収納部4から荷載置台8に物品9が載せられたパレットPを搬送させる出庫指令を車体制御部31に指令するように構成されている。
【0050】
車体制御部31は、地上側コントローラ7から入庫指令が指令されたときには、次のような一連の動作を実行する。すなわち、走行台車10を目的の物品移載箇所Kとしての荷載置台8に対応する走行用目標停止位置まで移動走行させる走行作動を実行したのち、昇降台12を荷載置台8に対して物品の移載を行う移載用昇降位置に昇降させて荷載置台8からパレットPを移載させる移載作動を実行する。その後、走行台車10をパレットPを目的の物品移載箇所Kとしての物品収納部4に対応する走行用目標停止位置まで移動走行させる走行作動を実行したのち、昇降台12を前記物品収納部4に対応する移載用昇降位置に昇降させてパレットPを前記物品収納部4に移載させる移載作動を実行して、入庫指令に対する一連の動作を終了する。
【0051】
車体制御部31は、地上側コントローラ7から出庫指令が指令されたときには、次のような一連の動作を実行する。すなわち、走行台車10を出庫対象である物品が収納される物品収納部4に対応する走行用目標停止位置まで移動走行させる走行作動を実行したのち、昇降台12を前記物品収納部4に対する移載用昇降位置に昇降させて物品収納部4からパレットPを移載させる移載作動を実行する。その後、走行台車10を荷載置台8に対応する走行用目標停止位置まで移動走行させる走行作動を実行したのち、昇降台12を荷載置台8に対応する移載用昇降位置に昇降させてパレットPを荷載置台8に移載させる移載作動を実行して、出庫指令に対する一連の動作を終了する。
【0052】
前記走行作動について説明を加えると、車体制御部31は、走行台車10を目的の物品移載箇所Kまで走行するに当り、まず、走行台車10の現在位置と走行用目標停止位置との走行距離に基づいて、図5に示すように、走行速度カーブを設定するように構成されている。前記走行速度カーブについて説明を加えると、まず、停止している走行台車10の走行速度を設定走行速度まで増速させる増速運転を行い、次に、走行速度を設定走行速度に維持して走行させる定速運転を行い、その後、設定走行速度から停止用低走行速度(クリープ速度)まで減速させる減速運転を行うようにしている。そして、停止用低走行速度(クリープ速度)での走行中に走行台車10の走行位置が走行用目標停止位置に達すると、走行モータ29への駆動用電流の供給を停止してブレーキをかけて、走行台車10を走行用目標停止位置に停止させるようにしている。
【0053】
そして、増速運転における走行速度カーブは、走行開始後の経過時間または走行開始後の走行距離に対応させて目標走行速度を定めた増速用の目標遷移速度であり、この増速用の目標遷移速度は予め設定されている。また、減速運転における走行速度カーブも、減速開始後の経過時間または減速開始後の走行距離に対応させて目標走行速度を定めた減速用の目標遷移速度であり、この減速用の目標遷移速度も予め設定されている。前記設定走行速度や停止用低走行速度も予め設定されており、走行距離によって増速運転から定速運転に切り換えるタイミングや、定速運転から減速運転に切り換えるタイミングなどを求めて、図5に示すような走行速度カーブを設定するように構成されている。
【0054】
走行モータ29に対して供給する駆動用電流値の制御について説明を加えると、走行を開始した後、単位時間経過するごとに走行台車10の現在の実走行速度と設定した目標遷移速度から得られる現在の目標走行速度との偏差を求め、その偏差と、次の単位時間が経過する時点において走行パターンから得られる次の目標走行速度とに基づいて、実走行速度が目標走行速度になるように駆動用電流値をフィードバック制御するのである。
【0055】
走行作動データとしての走行台車10の走行位置および走行速度についての情報は、車体側ロータリーエンコーダ27の検出情報に基づいて求められ、走行作動データとしての走行モータ29に対して実際に供給される供給電流値が走行用電流検出器30にて検出される構成となっている。
【0056】
次に、移載作動について説明を加えると、荷載置台8や物品収納部4にパレットPを降ろす場合には、図6(イ)に示すように、まず、昇降台を物品の移載を行う移載用昇降位置にまで昇降させる。この昇降作動について説明を加えると、昇降台側ロータリーエンコーダ22の検出情報に基づいて昇降台12の昇降位置を管理しながら昇降モータ20を作動させて昇降台12を昇降させて、昇降台12の昇降位置が昇降用目標停止位置に達すると、昇降モータ20の作動を停止させるように構成されている。この昇降制御においても、走行制御の場合と同様に、増速運転、定速運転、減速運転の夫々を実行するように走行速度カーブが設定されており、実昇降速度及び昇降位置の情報により昇降モータ20への供給電流値をフィードバック制御するように構成されている。尚、昇降モータ20の作動は昇降用インバータ32の出力を調整して昇降モータ20に対して供給する電流値を制御するように構成されている。
【0057】
移載作動データとしての昇降台12の昇降位置および昇降速度は、昇降台側ロータリーエンコーダ22の検出値に基づいて求められることになる。又、昇降モータ20に対して実際に供給される電流値が移載作動データとして昇降用電流検出器21にて検出される構成となっている。
【0058】
前記昇降台が移載用昇降位置にまで昇降すると、突出位置まで突出したことを突出検出リミットスイッチ24にて検出するまで移載モータ23を作動させてパレットPを載置した状態でフォーク装置11を突出させる。その後、昇降台12を移載用設定量だけ下降させるように昇降モータ20を作動させて荷載置台8や物品収納部4にパレットPごと降ろす。そして、退入位置まで退入したことを退入検出リミットスイッチ25にて検出するまでフォーク装置11を退入させる。
【0059】
前記移載モータ23に対する制御について説明すると、移載用インバータ33の出力を調整して移載モータ23に対して供給する電流値を予め設定した設定値になるように制御する。又、昇降台12を移載用設定量だけ下降させるときには、昇降用インバータ32の出力を調整して昇降モータ20に対して供給する電流値を予め設定した下降用設定値に制御するように構成されている。
【0060】
そして、移載作動データとしてのフォーク装置11の突出作動の終了タイミング及び退入作動の終了タイミングが、突出検出リミットスイッチ24と退入検出リミットスイッチ25にて夫々検出され、移載作動データとしての昇降モータ20に対して実際に供給される供給電流値が昇降用電流検出器21にて検出される。
【0061】
前記移載作動として、荷載置台8や物品収納部4からパレットPを掬い取る場合には、図6(ロ)に示すように、上記したような昇降作動により、昇降台12を物品の移載を行う移載用昇降位置に昇降させる。そして、突出位置まで突出したことを突出検出リミットスイッチ24にて検出するまで移載モータ23を作動させてパレットPを載置していない空の状態でフォーク装置11を突出させる。その後、昇降台12を移載用設定量だけ上昇させるように昇降モータ20を作動させて荷載置台8や物品収納部4から物品が載置されているパレットPを掬い取る。そして、退入位置まで退入したことを退入検出リミットスイッチ25にて検出するまでフォーク装置11を退入させる。
【0062】
前記移載モータ23の作動についてはパレットPを降ろす場合と同様である。昇降台12を移載用設定量だけ上昇させるときの昇降モータ20の作動は昇降用インバータ32の出力を調整して昇降モータ20に対して供給する電流値を予め設定した上昇用設定値に制御するように構成されている。そして、このときに移載モータ23に対して実際に供給される電流値が移載作動データとして移載用電流検出器26にて検出される。
【0063】
このパレットPを掬い取る場合にも、パレットPを降ろす場合と同様に、移載作動データとしてのフォーク装置11の突出作動の終了タイミング及び退入作動の終了タイミングが突出検出リミットスイッチ24と退入検出リミットスイッチ25にて夫々検出され、移載作動データとしての昇降モータ20に対して実際に供給される電流値が昇降用電流検出器21にて検出される。
【0064】
従って、スタッカークレーン3には、走行作動を実行するときの走行作動データ及び物品移載作動を実行するときの移載作動データを取得する作動データ取得手段SDとして、車体側ロータリーエンコーダ27、昇降台側ロータリーエンコーダ22、突出検出リミットスイッチ24、退入検出リミットスイッチ25、昇降用電流検出器21、移載用電流検出器26、走行用電流検出器30の夫々が設けられる。
【0065】
そして、この物品搬送設備では、上述したように地上側コントローラ7からの入庫指令や出庫指令に基づいて前記各スタッカークレーン3の運転が制御されることになり、地上側コントローラ7により複数のスタッカークレーン3の運転を制御する運転制御手段Hが構成される。
【0066】
前記地上側コントローラ7は、前記作動データ取得手段SDが取得した2台のスタッカークレーン3の夫々における実作動データを評価して、走行作動又は移載作動に作動異常が発生している異常物品搬送車としての異常スタッカークレーン3が存在するか否かを判別する異常判別処理、及び、その異常判別処理にて作動異常が発生していると判別した異常発生評価済みの実作動データと、その異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常スタッカークレーン3が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で走行作動又は移載作動を別のスタッカークレーン3が行ったときに作動データ取得手段SDにて取得される対比用の実作動データとを評価することにより、前記作動異常についての診断を行う異常診断処理を実行するように構成されている。
【0067】
又、前記地上側コントローラ7は、前記異常判別処理にて作動異常が発生している前記異常スタッカークレーン3が存在すると判別した後において、異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常スタッカークレーン3が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で点検用の走行作動又は点検用の移載作動を行うように別のスタッカークレーン3を運転制御して、作動データ取得手段SDにて前記対比用の実作動データを取得するように構成されている。
【0068】
さらに、前記地上側コントローラ7は、入庫指令や出庫指令に基づいて前記各スタッカークレーン3の運転を制御する入出庫処理を行っているときに前記作動データ取得手段SDが取得した複数のスタッカークレーン3の夫々における過去の実作動データをその作動条件と対応させて記憶して、前記異常診断処理において、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが非類似であるときには、その記憶した過去の実作動データのうちで、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常スタッカークレーン3が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件でその異常スタッカークレーン3が行った走行作動又は移載作動に対応する過去の実作動データであって且つ設備設置初期における実作動データと最近の実作動データとを、診断用の過去実作動データとして抽出して、その抽出した過去の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似しているか否を評価して、前記作動異常についての診断を行うように構成されている。
【0069】
以下、地上側コントローラ7の具体的な制御動作について説明する。
すなわち、地上側コントローラ7は、図7に示すように、入庫指令や出庫指令を各スタッカークレーン3に指令してスタッカークレーン3の運転を制御する入出庫処理を実行する(ステップ1)。その入出庫処理において、各スタッカークレーン3における車体制御部31が上記したような各種の制御を実行したときに、そのときの作動条件と対応させて、前記作動データ取得手段SDが取得した実作動データを記憶手段としてのメモリMに記憶するように構成されている。
【0070】
走行作動を実行しているときにおける実作動データについて説明する。
走行作動を実行するときは、上述したように、現在の停止位置から移動目標である荷載置台8又は対象とする物品収納部4に対応する走行用目標停止位置まで走行させる場合、図5に示すような走行速度カーブを設定して、増速運転、定速運転、及び、減速運転を実行することになるが、実作動データとして、車体側ロータリーエンコーダ27の検出情報に基づいて求められる前記各運転を行っているときの実際の走行台車10の走行位置および走行速度、前記各運転を行っているときの走行モータ29に実際に供給された電流値等の走行作動データを単位時間毎に検出してメモリMに記憶することになる。
【0071】
又、走行作動を実行するときの前記作動条件としては、スタッカークレーン3が走行開始した位置及び走行を終了した位置等の走行レール5上における位置について条件、走行作動を行うときに物品を載置しているか否かについての条件、走行作動を行うときに昇降台12がどの昇降位置にあるかについての条件等がある。
【0072】
次に、移載作動を実行しているときにおける実作動データについて説明する。
移載作動においては、上述したように、荷載置台8や物品収納部4にパレットPを降ろす場合には、図6(イ)に示すように昇降、突出、下降、退入を順次実行し、荷載置台8や物品収納部4からパレットPを掬い取る場合には、図6(ロ)に示すように昇降、突出、上昇、退入を順次実行するが、実作動データとして、フォーク装置11を突出させるときにおける突出検出リミットスイッチ24にて検出される検出タイミング、及び、退入させるときにおける退入検出リミットスイッチ25にて検出される検出タイミングを、移載作動を開始してから終了するまでの時間の経過に対応させて検出してメモリMに記憶する。又、移載モータ23に実際に供給された電流値、及び、昇降処理や下降処理を行うときにおける昇降台側ロータリーエンコーダ22にて検出される検出情報に基づいて求められる昇降台12の実昇降位置並びに実昇降速度を、単位時間毎に検出してメモリMに記憶する。
【0073】
又、移載作動を実行するときの前記作動条件としては、移載作動を行うときに物品を載置しているか否かについての条件、移載作動を開始するときの昇降台12の昇降位置についての条件等がある。
【0074】
そして、地上側コントローラ7は、上記したように前記作動データ取得手段SDが取得した実作動データに基づいて、走行作動又は移載作動に作動異常が発生している異常スタッカークレーン3が存在するか否かを判別する異常判別処理を実行する(ステップ2)。
【0075】
このときの作動異常が発生しているか否かの判別としては、例えば、走行作動において増速運転を実行しているときに、走行モータ29に供給する供給電流値が予め設定している許容上限値を超えるような大きな値になったことが検出されるような場合、走行作動を行うべく走行モータ29を制御しているにもかかわらず設定時間以上経過しても走行用目標停止位置に到達しないような場合、又、移載作動において、昇降モータ20を作動させて昇降台12を昇降させているときに、設定許容時間以上経過しても昇降用目標昇降位置にまで到達しないような場合、昇降モータ20に供給される供給電流値が設定上限値を超えるような異常に大きい値になっているような場合等がある。
【0076】
そして、上記したような異常判別処理にて作動異常が発生している異常スタッカークレーン3が存在すると判別したときは、その後において点検用作動処理を実行する(ステップ3、4)。この点検用作動処理においては、異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常スタッカークレーン3が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で点検用の走行作動又は点検用の移載作動を行うように別のスタッカークレーン3を運転制御して、作動データ取得手段SDにて前記対比用の実作動データを取得することになる。
【0077】
前記点検用の走行作動としては、上記したような増速運転、定速運転、及び、減速運転の夫々の運転状態のいずれか対応する運転状態で行われることになる。
【0078】
例えば、異常スタッカークレーン3が、物品を積載した状態で走行レール5上の所定の走行開始位置から目標とする走行用目標停止位置まで走行する走行作動を行う場合において、増速運転を実行しているときに異常発生評価済みの実作動データが取得された場合であれば、点検用の走行作動として、別のスタッカークレーン3を、異常スタッカークレーン3が実行したのと同じ作動条件、つまり、同じ物品を積載した状態で、昇降台12が同じ昇降位置にあり、前記所定の走行開始位置から前記走行用目標停止位置まで走行する走行作動を行う条件で、前記増速運転を行うときにおける実作動データを計測するのである。このときの実作動データとしては、走行モータ29に実際に供給した供給電流値の単位時間毎の検出値、車体側ロータリーエンコーダ27の検出情報に基づいて求められる実際の走行台車10の単位時間毎の走行速度等の走行作動データがある。
尚、点検用の走行作動として、同じ物品ではなく他の物品を積載したり、昇降台12の位置が異なっていたり、走行距離が同じであっても走行開始位置が異なる等の走行作動を行う条件が一部異なっている類似条件で実行するようにしてもよい。
【0079】
前記点検用の移載作動としては、上記したようにパレットPを降ろす場合の昇降、突出、下降、退入の各動作のうちのいずれか対応する運転動作にて行われ、パレットPを掬い取る場合の昇降、突出、上昇、退入の各動作のうちのいずれか対応する運転動作にて行われることになる。
【0080】
例えば、異常スタッカークレーン3が移載作動において昇降台12を上昇させているときに、異常発生評価済みの実作動データが取得された場合であれば、点検用の移載作動として、別のスタッカークレーン3を、異常スタッカークレーン3が実行したのと同じ条件、つまり、同じ物品を対象として、移載作動において昇降台12を上昇させたときにおける実作動データを計測するのである。このときの実作動データとしては、昇降モータ20に実際に供給した供給電流値の単位時間毎の検出値、及び、昇降台側ロータリーエンコーダ22の検出情報に基づいて求められる実際の昇降台12の昇降位置や走行速度等の移載作動データ等がある。
【0081】
図8に、上記したような上昇作動において作動異常が発生した場合における点検用作動処理を示している。
この点検用作動処理では、異常スタッカークレーン3に対して、作動異常が発生していると判別されたときにフォーク装置11にパレットP上に載せた状態で積載していた物品9をパレットPごと所定の物品収納部4に降ろすように指令する(ステップ41)。その後、別のスタッカークレーン3に対して、異常スタッカークレーン3が降ろした前記所定の物品収納部4における物品9を対象として、作動異常が発生していると判別したときに異常スタッカークレーン3が実行していたのと同じ点検用の移載作動、具体的には、物品9を積載しない空のフォーク装置11を突出位置まで突出させたのちに、昇降台12を設定量上昇させるように指令する(ステップ42)。そして、その点検用の移載作動を実行したときに対比用の実作動データを計測して読み込む処理を実行する(ステップ43)。具体的には、実作動データとして、昇降モータ20に実際に供給した供給電流値の単位時間毎の検出値、及び、昇降台側ロータリーエンコーダ22の検出情報に基づいて求められる実際の昇降台12の昇降位置や走行速度等の移載作動データを計測して読み込むことになる。
【0082】
従って、この場合には、異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常スタッカークレーン3が扱っていた物品9と同じ物品9を扱って点検用の移載作動を行うことになる。
【0083】
次に、異常スタッカークレーン3において検出された異常発生評価済みの実作動データと、点検用の走行作動又は点検用の移載作動において別のスタッカークレーン3において検出された対比用実作動データとを評価することにより、前記作動異常についての診断を行う異常診断処理を実行する(ステップ5)。
【0084】
この異常診断処理においては、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが類似しているか否かを評価して、類似しているときには、作動条件に異常があったと判断する。又、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが非類似であるときには、上述したように入出庫処理を実行するに伴って逐次検出して記憶した過去の実作動データのうちで、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常スタッカークレーン3が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件でその異常スタッカークレーン3が行った走行作動又は移載作動に対応する過去の実作動データであって且つ設備設置初期における実作動データと最近の実作動データとを、診断用の過去実作動データとして抽出して、その抽出した過去の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似しているか否を評価して、前記作動異常についての診断を行うように構成されている。
【0085】
この異常診断処理について、上記したように移載作動において昇降台12を上昇させているときに作動異常が発生した場合を例にして図9のフローチャートを参照しながら具体的に説明する。尚、この実施形態では、2台のスタッカークレーン3のうちの1号機が作動異常であり、2号機は異常が発生していないものとし、夫々対応するスタッカークレーン3についての実作動データであることを表す符号(1)(2)を付している。つまり、(1)は1号機のスタッカークレーン3において取得される実作動データであることを表し、(2)は2号機のスタッカークレーン3において取得される実作動データであることを表している。
【0086】
先ず、前記異常発生評価済みの実作動データとしての、異常スタッカークレーン3が昇降台12を上昇させていたときに検出された昇降モータ20の供給電流値の検出値についての設定時間内での平均値Ia(1)と、対比用実作動データとしての、別のスタッカークレーン3が点検用の移載作動を行ったときに取得した供給用電流値の設定時間内での平均値Ib(2)とが略等しいか否かを判別することにより、それらが類似しているか否かを評価する(ステップ51)。
【0087】
前記異常発生評価済みの実作動データとしての供給電流値の平均値Ia(1)と、対比用実作動データとしての前記供給用電流値の平均値Ib(2)とが類似していない場合には、異常スタッカークレーン3が各種の作動を実行するに伴って上述したようにメモリMに記憶されている種々の実作動データの中から、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに異常スタッカークレーン3が行っていた作動条件と同じ条件でその異常スタッカークレーン3が昇降台12を上昇させているときに検出された過去の実作動データであって且つ設備設置初期における実作動データと最近の実作動データとを、診断用の過去実作動データとして抽出する(ステップ52)。
【0088】
説明を加えると、異常スタッカークレーン3が、最近において、すなわち異常が発生した時よりも以前の設定期間内において、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときと同じ物品を積載している状態で昇降台12を上昇させているときに取得された昇降モータ20の供給電流値の検出値すなわち最近供給電流値と、異常スタッカークレーン3が、設備設置初期において、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときと同じ物品を積載している状態で昇降台12を上昇させているときに取得された昇降モータ20の供給電流値の検出値すなわち設置初期供給電流値とを抽出する。
【0089】
そして、前記供給電流値の平均値Ia(1)と前記最近供給電流値の設定回数分の平均値Ic(1)とが略等しいか否かにより、それらが類似しているか否かを評価する(ステップ53)。さらに、前記供給電流値の平均値Ia(1)と前記最近供給電流値の設定回数分の平均値Ic(1)とが類似していない場合には、前記供給電流値の平均値Ia(1)と前記設置初期供給電流値の設定時間内での平均値Id(1)とが略等しいか否かにより、それらが類似しているか否かを評価する(ステップ54)。
【0090】
上記したような夫々の評価に基づいて、ステップ61にて前記供給電流値の平均値Ia(1)と前記供給用電流値の平均値Ib(2)とが類似していると判別したときには、別のスタッカークレーン3が異常スタッカークレーン3と同じ物品を積載して昇降台12を昇降させても互いに同じ実作動データが得られるので、スタッカークレーン3の故障ではなく、積載していた物品9についての異常であること、具体的には物品9の重量が積載可能な許容上限値を越えている積載オーバーであることが作動異常の原因であると推定する(ステップ55)。この異常原因が作動条件の異常に対応する。
【0091】
ステップ63にて前記供給電流値の平均値Ia(1)と前記最近供給電流値の設定回数分の平均値Ic(1)とが類似していると判別したときには、昇降台12に装備されているフォーク装置11の取り付け状態における調整がずれているおそれがあり、昇降操作の移動抵抗が大きくなっていることが作動異常の原因であると推定する(ステップ56)。
【0092】
ステップ64にて前記供給電流値の平均値Ia(1)と前記設置初期供給電流値の平均値Id(1)とが類似していると判別したときには、例えば、昇降用チェーン14が経年変化による磨耗に起因して伸長して昇降台12が適正に支持されていないことが作動異常の原因であると推定する(ステップ57)。
【0093】
ステップ64にて前記供給電流値の平均値Ia(1)と前記設置初期供給電流値の平均値Id(1)とが類似していない場合には、例えば、昇降モータ20における減速機が損傷している等、突発的な部品の破損が作動異常の原因であると推定する(ステップ58)。
【0094】
そして、上記したように推定した結果を地上側コントローラ7に備えられた表示部に表示する(ステップ59)。このようにして設備の使用者は作動異常の発生原因の推定結果を確認することで、その後の適切な後処理を行うことができ、物品の搬送作業を行う状態に迅速に復帰させることが可能となるのである。
【0095】
上述の例では、移載作動において昇降台12を上昇させているときに作動異常が発生した場合を例にして、異常診断処理の具体例を示したが、走行作動において作動異常が発生したような場合であっても、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとを評価することで、その作動異常の発生原因を推定することができる。例えば、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが類似しているときには、作動条件として、走行レール5の途中部に走行抵抗となるような異常があるか、又は、積載している物品が重量オーバーしている等の作動条件の異常と判別することができる。そして、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが類似していなければ、走行モータ29の駆動機構、例えば減速機等に異常があることが推定できる。
【0096】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を説明する。
【0097】
(1)上記実施形態では、前記運転制御手段が、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前異常物品搬送車が扱っていた物品と同じ物品を扱って、前記点検用の走行作動又は前記点検用の移載作動を行わせるように構成したが、このような構成に代えて、異常物品搬送車が扱う複数の物品が全て同じ又は略同じ重量であることが判っているときには、前記異常物品搬送車が扱っていた物品とは異なる別の物品を用いて前記点検用の走行作動又は前記点検用の移載作動を行わせるようにしてもよい。
【0098】
(2)上記実施形態では、前記運転制御手段が、前記異常判別処理にて作動異常が発生している前記異常物品搬送車が存在すると判別した後において、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で点検用の走行作動又は点検用の移載作動を行うように別の物品搬送車を運転制御して、前記作動データ取得手段にて前記対比用の実作動データを取得するように構成としたが、このような構成に代えて、次のように構成するものでよい。
【0099】
つまり、運転制御手段が、物品搬送車が各種の作動を実行するに伴って、記憶処理を逐次実行することにより、過去の実作動データをその作動条件と対応させて記憶して、その記憶した過去の実作動データのうちで、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で別の物品搬送車が行った走行作動又は移載作動に対応する実作動データを前記対比用の実作動データとして用いるように構成するものでもよい。
【0100】
すなわち、作動異常が発生している異常物品搬送車が存在していると判別したときに、点検用の走行作動又は点検用の移載作動を行うように別の物品搬送車を運転制御するのではなく、過去において既に記憶されている実作動データを利用して作動異常についての診断を行う構成である。
【0101】
(3)上記実施形態では、前記異常診断処理において異常発生評価済みの実作動データと対比用実作動データとを評価するときに、実作動データとして昇降モータの供給電流値を用いるようにしているが、実作動データとしては、供給電流値に限らず走行モータ、昇降モータ、移載モータ等に対する供給電圧値を用いるようにしたり、あるいは、走行作動や移載作動を実行するときにおける作動速度等、各種の実作動データを用いて診断することが可能である。
【0102】
又、この場合、上記したように単に供給電流値の大小を比較するような構成に限らず、時間の経過と共に変化する実作動データの変化の仕方、例えば単位時間当たりの変化量の違いや変化パターンの違いを評価して診断する等、各種の形態で実施することができる。
【0103】
(4)上記実施形態では、前記運転制御手段が、前記作動データ取得手段が取得した複数の物品搬送車の夫々における過去の実作動データをその作動条件と対応させて記憶して、異常物品搬送車にて取得されて記憶された過去の実作動データの中から前記診断用の過去実作動データを抽出して、その抽出した過去の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとを評価して作動異常についての診断を行うように構成したが、このような異常物品搬送車にて取得された過去の実作動データを用いないで、別の物品搬送車が前記点検用の走行作動又は前記点検用の移載作動を行うときに取得される実作動データだけを対比用実作動データとして用いて作動異常についての診断を行うように構成するものでもよい。
【0104】
(5)上記実施形態では、走行経路上における走行台車の走行位置および走行速度を検出する検出手段として、ロータリーエンコーダを設けているが、例えば、レーザ光式の測距計を用いることも可能であり、各種のセンサを適用することができる。又、走行台車に対する昇降台の昇降位置及び昇降速度を検出する検出手段として、ロータリーエンコーダを設けているが、例えば、レーザ光式の測距計を用いることも可能であり、各種のセンサを適用することができる。
【0105】
(6)上記実施形態では、複数の物品搬送車としての2台のスタッカークレーンが同一走行経路上に沿って走行する状態で設けられるものを例示したが、複数の異なる走行経路が設けられ、それら複数の走行経路の夫々にスタッカークレーンが備えられる構成としてもよい。
【0106】
(7)上記実施形態では、本発明にかかる物品搬送車としてスタッカークレーンを例示したが、走行台車に例えばローラコンベア式の物品移載装置を設けた物品搬送車に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】物品搬送設備の斜視図
【図2】スタッカークレーンの側面図
【図3】スタッカークレーンの要部を拡大した側面図
【図4】物品搬送設備の制御ブロック図
【図5】走行作動における走行速度カーブを示す図
【図6】移載作動を説明するための図
【図7】制御動作のフローチャート
【図8】制御動作のフローチャート
【図9】制御動作のフローチャート
【符号の説明】
【0108】
3 物品搬送車
K 物品移載箇所
H 運転制御手段
SD 作動データ取得手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品移載箇所にわたって走行自在で且つ物品移載箇所に物品を移載可能な物品搬送車が複数設けられ、それら複数の物品搬送車の運転を制御する運転制御手段が設けられている物品搬送設備であって、
前記複数の物品搬送車の夫々に、走行作動を実行するときの走行作動データ及び物品移載作動を実行するときの移載作動データを実作動データとして取得する作動データ取得手段が設けられ、
前記運転制御手段が、
前記作動データ取得手段が取得した複数の物品搬送車の夫々における実作動データを評価して、走行作動又は移載作動に作動異常が発生している異常物品搬送車が存在するか否かを判別する異常判別処理、及び、
その異常判別処理にて作動異常が発生していると判別した異常発生評価済みの実作動データと、その異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で走行作動又は移載作動を別の物品搬送車が行ったときに前記作動データ取得手段にて取得される対比用の実作動データとを評価することにより、前記作動異常についての診断を行う異常診断処理を実行するように構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記運転制御手段が、前記異常判別処理にて作動異常が発生している前記異常物品搬送車が存在すると判別した後において、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で点検用の走行作動又は点検用の移載作動を行うように別の物品搬送車を運転制御して、前記作動データ取得手段にて前記対比用の実作動データを取得するように構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記運転制御手段が、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が扱っていた物品と同じ物品を扱って、前記点検用の走行作動又は前記点検用の移載作動を行わせるように構成されている請求項2記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記運転制御手段が、前記作動データ取得手段が取得した複数の物品搬送車の夫々における過去の実作動データをその作動条件と対応させて記憶して、その記憶した過去の実作動データのうちで、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件で別の物品搬送車が行った走行作動又は移載作動に対応する実作動データを前記対比用の実作動データとして用いるように構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記運転制御手段が、前記異常診断処理において、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが類似しているか否かを評価して、類似しているときには、作動条件に異常があったと判断するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記運転制御手段が、前記作動データ取得手段が取得した複数の物品搬送車の夫々における過去の実作動データをその作動条件と対応させて記憶して、前記異常診断処理において、前記異常発生評価済みの実作動データと前記対比用の実作動データとが非類似であるときには、その記憶した過去の実作動データのうちで、前記異常発生評価済みの実作動データが取得されたときに前記異常物品搬送車が行っていた作動条件と同じ条件又は類似条件でその異常物品搬送車が行った走行作動又は移載作動に対応する過去の実作動データを診断用の過去実作動データとして抽出して、その抽出した過去の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとを評価して、前記作動異常についての診断を行うように構成されている請求項5に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
前記運転制御手段が、前記診断用の過去実作動データとして、設備設置初期における実作動データと最近の実作動データとを抽出して、その設備設置初期における実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似しているか否か、及び、その最近の実作動データと前記異常発生評価済みの実作動データとが類似しているか否かを評価して、前記作動異常についての診断を行うように構成されている請求項6に記載の物品搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−1752(P2007−1752A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186636(P2005−186636)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】