説明

物品検査装置

【課題】物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示するための領域が広くなることを抑制し、表示領域を効率よく利用できる物品検査装置を提供する。
【解決手段】物品を搬送している間に該物品の物理量を計測する計測手段と、該計測手段により計測した計測値と予め設定された判定基準値とを比較して前記物品の合否を判定する合否判定手段とを有する物品検査装置において、前記計測値の前記判定基準値に対する量または比率となる比較値を算出する比較値算出手段と、前記比較値を表示する際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色を選択する表示色選択手段と、前記表示色および予め設定した表示形態で前記比較値を表示する比較値表示手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の物理量を計測して得られた計測値と予め設定された判定基準値とを比較して物品の合否を判定する物品検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような物品検査装置として、X線異物検出装置、金属検出装置、重量選別装置などがある。
X線異物検出装置は、搬送される物品にX線を曝射し、この曝射したX線の透過量から物品中に異物が混入しているか否かを検出する装置である。金属検出機は、搬送ラインに交番磁界を発生させておき、交番磁界中を各品種の物品を通過させ、磁界を通過しているときの検波出力から金属が混入しているか否かを検出する装置である。重量選別装置は、物品の重量を計量し、得られた計量値と判定基準値とを比較して物品を選別する装置である。
これらの装置においては、物品に異物が混入しているか否かや物品の重量や外観の良否などを判定するため、予め判定基準値を設定し、この判定基準値と各装置により計測され評価の対象となるよう処理された計測値とが比較されている。このような判定基準値は、検査される物品の特性や各検査条件に適するように設定され、また検査中においてもより精度の高い判定基準値になるようにレベル調整が行われる。この場合、合否判定の対象となる計測値と判定基準値との差が大きすぎても、小さすぎても誤判定の可能性が高くなってしまうので、検査者は、計測値と判定基準値との差などを表す比較値を参照して判定基準値のレベル調整を行っている。判定基準値あるいは計測手段が複数ある場合、検査者は、それぞれの判定基準値あるいは計測手段について同様に計測値と判定基準値との比較値を参照してどの判定基準値をどの程度調整すべきかを決定している。
検査者が判定基準値のレベル調整を的確に行うための支援手段として、判定基準値のレベルをレベルゲージ表示領域に10段階で定量的に表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、検査される物品から得た計測値と判定基準値との比較値を表示部に表示する際に、比較値に応じて表示面積を変えることができるようにして、検査者に比較値を視認し易くするものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3700577号公報(第3頁、第2図)
【特許文献2】特許第3494977号公報(第7頁、第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいては、計測手段が複数搭載され、その計測手段が多く搭載される程判定基準値のレベルの種類も多くなり、レベルゲージ表示領域を広くする必要が生じ、その他の情報を表示する領域が狭められてしまうという問題がある。特許文献2に記載のものにおいては、表示面積を可変するので測定結果1個について表示に必要な面積を大きくとる必要があり、その他の情報を表示する領域が狭められてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示するための領域が広くなることを抑制し、表示領域を効率よく利用できる物品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる物品検査装置においては、前記の目的を達成するため、(1)物品を搬送している間に該物品の物理量を計測する計測手段と、該計測手段により計測した計測値と予め設定された判定基準値とを比較して前記物品の合否を判定する合否判定手段とを有する物品検査装置において、前記計測値の前記判定基準値に対する量または比率となる比較値を算出する比較値算出手段と、前記比較値を表示する際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色を選択する表示色選択手段と、前記表示色および予め設定した表示形態で前記比較値を表示する比較値表示手段とを備える。
以上の構成により、本発明に係わる物品検査装置においては、物品の物理量が計測手段により計測されると、合否判定手段により計測値と判定基準値とが比較され物品の合否が判定される。合否判定手段に用いられた計測値の判定基準値に対する量または比率となる比較値が比較値算出手段により算出され、算出された比較値は表示される際に異なる色または単一色の濃淡の表示色が表示色選択手段により選択され、選択された表示色および予め設定した表示形態で各比較値が表示される。
【0007】
本発明に係わる物品検査装置においては、(2)前記比較値表示手段が、前記比較値を表示する際に前記比較値に対応した点滅周期で前記比較値を点滅して表示させてもよい。
この構成により、本発明に係わる物品検査装置においては、比較値算出手段により比較値が算出されると、比較値表示手段により比較値が表示される際に比較値に対応した点滅周期で比較値が点滅して表示される。
【0008】
本発明に係わる物品検査装置においては、(3)前記計測手段が、複数の計測アルゴリズムを用いて各計測アルゴリズムに基づく計測値を求め、前記比較値算出手段が、各計測アルゴリズムに基づいて得られた前記計測値毎に、該計測値の前記判定基準値に対する量または比率となる比較値を算出し、前記比較値表示手段が、それぞれの前記比較値を表示する際所定の基準に基づいて昇順または降順に並べて表示してもよい。
この構成により、本発明に係わる物品検査装置においては、計測手段により複数の計測アルゴリズムが用られ、各計測アルゴリズムに基づく計測値が求められると、比較値算出手段により、各計測アルゴリズムに基づいて得られた計測値毎に、この計測値の判定基準値に対する量または比率となる比較値が算出される。比較値が算出されると比較値表示手段により、それぞれの比較値が表示される際、例えば、比較値の大きさの昇順または降順に並べて表示される。
【0009】
本発明に係わる物品検査装置においては、(4)前記比較値表示手段が、予め設定された表示形態において前記比較値の表示個数および前記比較値の大きさの少なくともいずれかに対応し、表示画面における比較値表示領域内でかつ該比較値表示領域を広げずに比較値の表示のサイズを変えて前記比較値を表示してもよい。
この構成により、本発明に係わる物品検査装置においては、予め設定された表示形態で、表示画面における比較値表示領域内でかつ該比較値表示領域を広げずに、比較値表示手段により比較値の表示個数または比較値の大きさに応じて表示サイズが拡大縮小されて比較値が表示される。
【0010】
本発明に係わる物品検査装置においては、(5)物品を順次計測して得られた各計測値を記憶する計測値記憶手段と、前記計測値記憶手段に記憶された前記計測値に基づいて前記計測値の平均値を算出する平均値算出手段とを有し、前記比較値表示手段が、前記平均値と前記比較値とを並べて表示してもよい。
この構成により、本発明に係わる物品検査装置においては、計測値記憶手段により物品を順次計測して得られた各計測値が記憶されると、平均値算出手段により記憶された計測値が読み出され、読み出された計測値の平均値が算出される。算出された平均値は比較値表示手段により、比較値と並べて表示される。
【0011】
本発明に係わる物品検査装置においては、(6)前記比較値算出手段が、前記平均値と予め設定した前記平均値の変動を許容しうる限界値との差に関する変動許容値を算出し、前記表示色選択手段が、前記変動許容値を表示する際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色を選択し、前記比較値表示手段が、前記表示色による表示および前記変動許容値に対応して設定した点滅周期による点滅表示の少なくともいずれかにより前記変動許容値を表示してもよい。
この構成により、本発明に係わる物品検査装置においては、平均値算出手段により平均値が算出されると、予め設定された平均値の変動を許容しうる限界値との差に関する変動許容値が比較値算出手段により算出され、算出された変動許容値が表示される際に異なる色または単一色における濃淡の表示色が表示色選択手段により選択され、比較値表示手段により、表示色による表示および変動許容値に対応して設定した点滅周期による点滅表示の少なくともいずれかにより変動許容値が表示される。
【0012】
本発明に係わる物品検査装置においては、(7)前記比較値表示手段により前記比較値表示領域に表示された比較値表示が指示されると指示された比較値表示を認識する比較値表示認識手段と、前記判定基準値を調整する判定基準値調整手段とを有し、前記比較値表示認識手段が、指示された前記比較値表示を認識すると前記判定基準値調整手段が起動するようにしてもよい。
この構成により、本発明に係わる物品検査装置においては、比較値表示手段により比較値表示領域に表示された比較値表示が指示されると、指示された比較値表示が比較値表示認識手段により認識される。比較値表示認識手段により、指示された比較値表示が認識されると判定基準値調整手段が起動され、検査者が判定基準値を調整できる状態になる。
【0013】
本発明に係わる物品検査装置においては、(8)物品の物理量を計測する複数の計測手段を有し、計測手段別に計測した計測手段別計測値と前記計測手段別に予め設定された計測手段別判定基準値とを比較して前記物品の合否を判定する合否判定手段とを有する物品検査装置において、複数の前記計測手段のうち同一の計測手段により計測された前記計測手段別計測値を複数の前記計測手段別計測値毎に記憶する計測手段別計測値記憶手段と、前記計測手段別計測値の前記計測手段別判定基準値に対する量または比率となる計測手段別比較値を算出する計測手段別比較値算出手段と、前記計測手段別比較値を表示する際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色を選択する計測手段別表示色選択手段と、前記計測手段別表示色選択手段により選択された表示色および予め設定した表示形態で前記計測手段別比較値を同一画面に表示する計測手段別比較値表示手段とを備える。
この構成により、本発明に係わる物品検査装置においては、物品の物理量を計測する複数の計測手段、例えば、一のX線異物検出装置における検出アルゴリズムA、検出アルゴリズムBといった複数の検出アルゴリズムからなる複数の計測手段、また、X線異物検出装置a、X線異物検出装置bのように同種の装置からなる複数の計測手段、X線異物検出手段、金属検出手段、重量選別手段などのように異種の装置からなる複数の計測手段を備えている。これらのうちの一の計測手段により物品の物理量が計測されると、得られた計測値と一の計測手段に対応して予め設定された計測手段別判定基準値とが比較されて合否判定手段により物品の合否が判定される。複数の計測手段により物品の物理量が計測されると、得られた複数の計測手段別計測値について計測手段別計測値記憶手段により同一の計測手段により計測された計測手段別計測値毎に、例えば、メモリに記憶される。計測手段別計測値毎に計測手段別計測値が記憶されると、計測手段別比較値算出手段により記憶された計測手段別計測値が読み出され、計測手段別計測値の計測手段別判定基準値に対する量または比率となる計測手段別比較値が算出される。計測手段別比較値が算出されると、算出された計測手段別比較値に基づいて計測手段別表示色選択手段により計測手段別比較値を表示する際に異なる色および単一色における濃淡の少なくともいずれかの表示色が選択され、計測手段別比較値表示手段により選択された表示色および予め設定した表示形態で計測手段別比較値が同一画面に表示される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の物品検査装置においては、比較値算出手段により算出された比較値が表示される際に異なる色または単一色の濃淡の表示色が表示色選択手段により選択され、選択された表示色および予め設定した表示形態で各比較値が同一画面に表示されるので、不良要素を判断するための視認性が高まるとともに、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できるという効果がある。
【0015】
請求項2に記載の物品検査装置においては、比較値表示手段により比較値が表示される際に比較値に対応した点滅周期で比較値の表示が点滅するので、この点滅により比較値の特定の情報を把握することができ、比較値を新たに表示するスペースは不要となる。その結果物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できるという効果がある。
【0016】
請求項3に記載の物品検査装置においては、比較値算出手段により、各計測アルゴリズムに基づいて得られた計測値毎に比較値が算出され、比較値表示手段により、それぞれの比較値が表示される際、比較値の大きさの昇順または降順に並べて表示されるので、比較値の大きさを容易に把握することができ、比較値の大きさを新たに表示するスペースは不要となり、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できるという効果がある。
【0017】
請求項4に記載の物品検査装置においては、予め設定された表示形態で、表示画面における比較値表示領域内でかつ該比較値表示領域を広げずに、比較値表示手段により比較値の表示個数または比較値の大きさに応じて表示サイズが拡大縮小されて比較値が表示されるので、比較値表示領域が拡大されることがなく、かつ比較値を新たに表示するスペースは不要となり、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できるという効果がある。
【0018】
請求項5に記載の物品検査装置においては、平均値算出手段により計測値の平均値が算出され、比較値表示手段により、比較値とともに同一画面に表示されるので、表示領域を効率よく利用しながら、該計測値が平均値とかけ離れた特殊なものなのか、あるいは平均値に近い誤差レベルのものなのかを判断することができる。また、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できるという効果がある。
【0019】
請求項6に記載の物品検査装置においては、比較値算出手段により変動許容値が算出され、比較値表示手段により、表示色による表示および変動許容値に対応して設定した点滅周期による点滅表示の少なくともいずれかにより変動許容値が表示されるので、予め設定された平均値の変動を許容しうる限界値との差を容易に把握することができ、比較値を新たに表示するスペースは不要となり、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できるという効果がある。
【0020】
請求項7に記載の物品検査装置においては、比較値表示認識手段により、指示された比較値表示が認識されると判定基準値調整手段が起動され、検査者は指示した比較値表示に対応する判定基準値を容易に調整できるので、判定基準値を調整するための新たな表示スペースは不要となり、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できるという効果がある。
【0021】
請求項8に記載の物品検査装置においては、X線異物検出手段、金属検出手段、重量選別手段などからなる複数の計測手段で構成されていても、計測手段毎に計測手段別比較値が算出され、算出された計測手段別比較値に基づいて計測手段別表示色選択手段により計測手段別比較値を表示する際に異なる色および単一色における濃淡の少なくともいずれかの表示色が選択され、計測手段別比較値表示手段により選択された表示色および予め設定した表示形態で計測手段別比較値が同一画面に表示されるので、不良要素を判断するための視認性が高まるとともに、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係わる物品検査装置について、計測手段が単一の第一実施の形態、計測手段がX線異物検出部、金属検出部、重量選別部などの複数の計測手段からなる第二実施の形態に分けて図面を参照して説明する。
【0023】
図1〜図10は、本発明に係わる物品検査装置の第一実施の形態を示す図であり、本発明をX線を利用した計測手段からなるX線異物検出装置に適用した例を示している。
【0024】
図1および図2に示すように、X線異物検出装置1は、物品を搬送する搬送部2と、X線発生部3と、計測手段としてのX線検出部4と、投受光部5と、比較値表示手段としての表示部6と、操作部7と、処理部8とで構成される。
X線異物検出装置1は、物品としてのパッケージ10を搬送する搬送ラインの一部に設置され、所定間隔をおいて順次搬送されてくるパッケージ10の中に混入した金属、ガラス、石、骨などの異物の有無を検出するものである。
【0025】
搬送部2は、4つのプーリ2a、2b、2c、2dとこれらのプーリに巻き付けられている無端状の搬送ベルト2eとにより構成されており、包装された生肉、魚、加工食品、医薬などの各種のパッケージ10が搬送されるようになっており、X線発生部3から曝射されるX線をパッケージ10が垂直に被曝するように配置されている。搬送部2は、プーリ2aに接続された駆動モータMの駆動により予め設定された一定の搬送速度でパッケージ10が搬送されるようになっている。
【0026】
X線発生部3は、搬送部2の上方に所定の高さ離隔し、かつ搬送ベルト2eの下部に設けられているX線検出部4と対向して配置されている。X線発生部3は、例えば、金属製の箱体内部に設けられる円筒状のX線管が絶縁油により浸漬されており、X線管の陰極からの電子ビームを陽極ターゲットに照射させてX線を生成するようになっている。X線管は、その長手方向がパッケージ10の搬送方向と直交する幅方向に設けられている。X線管により生成されたX線は、下方のX線検出部4に向けて、箱体底面にX線管の長手方向に沿って形成された不図示のスリットにより、搬送方向と直交する幅方向に略三角形状のスクリーン状にして曝射されるようになっている。
【0027】
X線検出部4は、パッケージ10に対して曝射され透過したX線の透過量を検出する。このX線検出部4には、例えば、ライン状に配列された複数のフォトダイオードと、フォトダイオード上に設けられたシンチレータとを備えたアレイ状のラインセンサが用いられる。このフォトダイオードは、例えば、1ラインで構成されライン方向(Y方向)に0.4mmピッチで640個配置されている。シンチレータはX線のエネルギーを吸収し蛍光を発するようになっている。
【0028】
このX線検出部4では、パッケージ10に対してX線発生部3からX線が曝射され、パッケージ10および搬送ベルト2eを透過したX線をシンチレータで受けて光に変換するようになっている。さらに、シンチレータで変換された光は、その下部に配置されるフォトダイオードによって受光されるようになっている。そして、各フォトダイオードは、受光した光を電気信号に変換し、X線強度データ11aとして出力するようになっている。X線強度データ11aは、図示しないA/D変換部でA/D変換された後、データメモリ11に格納されるようになっている。
【0029】
投受光部5は、投光部5aと受光部5bとで構成されている。投光部5aは搬送部2の搬入口側において、搬送ベルト2eの一側面に備えられ、受光部5bは搬送ベルト2eの他の一側面で投光部5aと対向する位置に備えられている。パッケージ10が投光部5aおよび受光部5bの間を通過すると受光部5bが遮光されるようになっている。
【0030】
表示部6はバス9に接続され、比較値表示領域21が形成された表示画面6aを備えている。表示画面6aにおいては、例えば、図3〜図8に示すように、数字表示部6b、X線透視表示6c、品種表示6d、検査結果表示6e、比較値表示領域21における異物検査条件ごとの比較値の表示T1〜T6、ヒストグラム42、グラフ43、44などが表示されるようになっている。表示部6において、表示画面6aに表示された画面を切り替えると、異なった画面が表示がされるようになっている。例えば、画面切り替えにより図3、図4、図7および図8に示すような異なった画面が表示されるようになっている。この表示部6の表示画面6aの前面に比較値表示認識手段として、電磁誘導式、電気抵抗式、静電容量結合式、感圧式などのタッチパネル22を設け、例えば、タッチ操作画面上に指やペンを接触させると、接触した座標が算出され、該算出された座標部分に表示された内容、例えば、比較値の表示T1〜T6に関する操作をすることができるようにしてもよい。
【0031】
図3に示す表示部6には、X線透視表示6c、品種表示6d、検査結果表示6e、比較値表示領域21内に表示された異物検査条件ごとの比較値の表示T1〜T6が表示されている。
【0032】
X線透視表示6cは、パッケージ10にX線を曝射し透過した際、パッケージ10に吸収されたX線の吸収量に関する計測値11cに基づいて、例えば、計測値11cを0から255までの256階調の輝度情報に変換した濃淡の色合いとして表されるようになっている。品種表示6dは、パッケージ10の品種に関する情報が表示されるようになっている。検査結果表示6eは、検査結果が合格の場合はOK、不合格の場合はNGと表示されるようになっている。
【0033】
比較値表示領域21は、比較値表示プログラム12gにより表示処理された比較値を表示するための領域で、この領域内に表示処理された比較値の表示がなされ、比較値の個数や各比較値の表示サイズが拡大縮小されても、比較値表示領域21は拡大されないようになっている。この比較値表示領域21内における上段部分の比較値の表示T1〜T6は、異物検査条件ごとの比較値が表示されている。例えば、T1は金属、T2はガラス、T3は骨などのように検出しようとする異物に対応して設定された異物検査条件の下で、パッケージ10から得た計測値11cに基づいて算出され比較値が異物検査条件の順番で表示されている。比較値の表示T1〜T6は、表示色選択プログラム12fにより比較値の大きさに対応して表示色が選択され、色付の長方形で比較値表示領域21内において適当な間隔を設けてバランスよく表示されている。比較値表示領域21内の下段部分の枠の表示は異物検査条件が増加した場合の比較値を表示してもよく、他の内容を表示してもよい。
【0034】
ヒストグラム42は、計測値11cの個数を累積し、横軸に個数、縦軸に計測値11cの濃度をとり棒グラフとして表したものである。グラフ43は、1個のパッケージ10における計測地点毎の計測値11cを横軸にパッケージ10の搬送方向に直交する横方向の位置、縦軸に計測値11cの濃度をとり棒グラフとして表したものである。グラフ44は、過去の計測値11cを、横軸に時間、縦軸に計測値11cの濃度をとり時系列として並べ、棒グラフとして表示したものである。
【0035】
比較値の表示T1〜T6は、例えば、T1〜T12のように表示個数が増加した場合でも、比較値表示領域21内にT1〜T12を表示するようにし、この場合、各比較値の表示における表示面積を小さくするようになっている。また、T1〜T3のように表示個数が減少した場合でも、比較値表示領域21内にT1〜T3を表示するようにし、この場合、各比較値の表示における表示面積を大きくするように表示するようになっている。このように、表示面積の大きさを表示個数に従って替えることができるので、表示個数が増加しても、表示領域が大きくなることはなく効率よく表示することができる。
【0036】
比較値の表示T1〜T6の表示色は、比較値算出プログラム12dにより、算出され結果に基づいて表示色選択手段により選択されたもので、例えば、比較結果がパッケージ10の計測値11cと判定基準値との差と判定基準値との比率を百分率で表示する場合、判定基準値に対するパッケージ10の計測値11cと判定基準値との比率が、0〜50%のときは濃い緑色、51〜70%のときは黄緑色、71〜85%のときは黄色、86〜99%のときは橙色、100%以上のときは赤色で表示してもよい。[0054]の図5(B)の上段に示すように、T1は40%であり濃い緑色、T2は20%であり濃い緑色、T3は60%で黄緑色、T4は80%で黄色、T5は70%で黄色、T6は120%で赤色というように比率の大きさに対応して色表示されている。この色表示は、黒白などの単一色における濃淡の諧調により表示してもよい。
【0037】
図3および図5(A)の上段に示すように、比較値の表示T1〜T6は、比較値の大きさに係わらず紙面に向かって左側からT1〜T6の順番で、同じ大きさの長方形成で表示されているものを、矢印で示すように、比較値の大きさに対応して表示サイズを切り替え比較値の大きさに対応した大きさの面積で表示してもよい。
【0038】
図5(A)に示すように、比較値の表示T1〜T6が表示されている比較値表示領域21は、比較値の大きさに対応して表示サイズを切り替え比較値の大きさに対応した大きさの面積で表示されても、拡大されないように固定された領域となっている。
【0039】
図5(B)の上段に示すように、比較値の表示T1〜T6は、比較値の大きさに係わらず紙面に向かって左側からT1〜T6の順番で、同じ大きさの長方形で表示するとともに、比較値の大きさを表す比率の数値を比較値の表示の下側に表示してもよい。このように数値とともに表示すると、検査者は比較値の内容をより詳細に認識することができる。図5(B)の上段に示す数値とともに表示した比較値の表示T1〜T6を矢印に示すように、比較値の大きさの順番に並べ替え、紙面に向かって左側からT6、T4、T5、T3、T1、T2のように表示してもよい。さらに、矢印で下側に示すように、比較値の大きさに対応して表示サイズを切り替え比較値の大きさに対応した大きさの面積で表示してもよい。
【0040】
図6(C)に示すように、比較値の表示T1〜T6は、比較値表示プログラム12gにより設定された点滅間隔で、例えば、目的に応じて、T1を1,000〜600ms、T3を500〜400ms、T6を300〜100msのように異なる点滅間隔で点滅させて表示させてもよい。
【0041】
図6(D)に示すように、比較値の表示T1〜T6は、例えば、比較値の表示T1について長方形の表示を上下に分割し、上側を個々のパッケージ10の比較値の大きさを数値とともに表示し、下側を平均値算出プログラム12jにより算出したパッケージ10の平均値の数値とともに表示してもよい。さらに、各平均値の大きさの順番に並べ替えてもよい。また、上側をパッケージ10について平均値の変動を許容しうる限界値を数値とともに表示し、下側を比較値算出プログラム12dにより算出した平均値の変動を許容しうる限界値との差に関する変動許容値を数値とともに表示してもよい。
【0042】
また、図6(E)に示すように、比較値表示プログラム12gにより設定された点滅間隔で、例えば、目的に応じてT1の平均値を1,000ms、T3の平均値を500ms、T5を300msのように異なる点滅間隔で点滅させて表示させてもよい。さらに、さらに、各平均値の大きさの順番に並べ替えてもよい。
【0043】
また、図7は比較値の表示T1〜T6を表示画面6aの右側中央部に示した例である。図8は比較値の表示T1〜T6を表示画面6aの右側中央部に示すとともに、ヒストグラム42、パッケージ10の計測値11cを時系列で表示した例であり、グラフ43および44とともに表示してもよい。
【0044】
操作部7は、バス9に接続されている。表示部6とは別個に、スイッチなどを備えた操作部7として構成してもよく、前述のように表示部6の表示画面6aの前方部にタッチパネル22を設け、このタッチパネル22におけるタッチ操作画面上に指やペンを接触させ、接触した座標を算出し、該算出した座標部分に表示された内容、例えば、図3に示す比較値の表示T1〜T6に関する操作をすることができるように構成してもよい。
図4に示す操作部7は、タッチパネル22を設けた例を示している。図4に示すように、異物検出モードを起動させるスイッチ表示7aと基準値設定モードを起動させるスイッチ表示7bとが設けられており、各モードのスイッチ表示をタッチすることで、その各モードを実行することができるようになっている。すなわち、この操作部7と、CPU19と、モード実行プログラム12bとにより、本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置1における計測手段、合否判定手段、比較値算出手段、表示色選択手段、比較値表示手段、計測値記憶手段、平均値算出手段、比較値表示認識手段、判定基準値調整手段などがそれぞれ実行されるように構成されている。
【0045】
さらに、操作部7には、テンキー表示7cが設けられており、このテンキー表示7cにより入力された数字が、表示部の一部である3桁の日の字状セグメントからなる数字表示部6bに表示されるようになっている。このテンキー表示7cから、例えば、判定基準値を入力し、数字表示部6bに表示させ、表示された数値を参照して適切な判定基準値を入力し、本発明の判定基準値調整手段として判定基準値の調整を好適に実施することができる。また、操作部7には、エンターキー表示7dが設けられており、最終的な決定をするときに押下することで、設定が完了するようになっている。
【0046】
処理部8は、ハードディスクなどの記録媒体からなり、データメモリ11、プログラム格納部12、X線発生部3を駆動させるX線発生部駆動回路16、X線検出部4を駆動させるX線検出部駆動回路17、モータMを駆動させるモータ駆動回路18、各部を制御するCPU19及びこれらを接続するバス9で構成される。
【0047】
データメモリ11は、RAM等のリード/ライト可能な半導体メモリであり、そのデータメモリ11には、1ライン(Y方向)当たり640個のX線強度データが、少なくとも搬送されるパッケージ10の搬送方向Xの長さに対応した所定ライン数(例えば、480ライン)格納されるようになっている。また、データメモリ11には、X線強度データ11a、予め設定された判定基準値の設定データ11b、計測値11cが収納領域に格納されるようになっている。
【0048】
プログラム格納部12には、X線検出部を動作させて計測値11cを生成する計測手段としての計測値生成プログラム12a、モード実行プログラム12b、計測値記憶手段としての計測値記憶プログラム12c、比較値算出手段としての比較値算出プログラム12d、合否判定手段としての合否判定プログラム12e、表示色選択手段としての表示色選択プログラム12f、比較値表示手段としての比較値表示プログラム12g、比較値表示認識手段としての比較値表示認識プログラム12h、平均値算出手段としての平均値算出プログラム12iなどが格納されている。
【0049】
計測値生成プログラム12aにおいては、まず、パッケージ10を透過し、さらに搬送ベルト2eを透過した透過X線がX線検出部4に設けられたシンチレータに入力され光に変換され、変換された光がX線検出部4に設けられたフォトダイオードにより電気信号に変換され、X線強度信号11aとしてデータメモリ11に格納される。このX線強度信号11aにはX線を透過したX線透過データとX線を吸収したX線吸収データとが含まれ適宜目的に沿って用いられる。データメモリ11に格納されたX線強度信号11aは読み出され、読み出されたX線強度信号11aは図示しないA/D変換部でアナログ信号からデジタル信号に変換され、さらに、0から255までの256階調の輝度情報に変換され、異物に対応する部分を強調するようにフィルタ処理がなされ、濃度と対応した値となるように画像処理がなされて計測値11cが生成される。この計測値11cは、パッケージ10における異物の有無の合否判定や欠品の有無の合否判定に用いられる。
【0050】
モード実行プログラム12bにおいては、基準値設定モード及び異物検出モードのいずれかのモードが選択され実行される。
【0051】
計測値記憶プログラム12cにおいては、計測値生成プログラム12aにおいて生成された計測値11cがデータメモリ11における所定の格納領域に格納される。
【0052】
比較値算出プログラム12dにおいては、データメモリ11に格納されている所定個数の計測値11cが読み出され、計測値11cと判定基準値との差を比較値として算出し、算出した比較値について各々計測値11cの大きさが比較される。算出した比較値および比較結果は、データメモリ11に格納しておいてもよい。この比較値は、例えば、計測値11cと判定基準値が、画像処理されて0から255までの256階調の輝度情報に変換されているものについては、諧調の差として表される。比較方法としては、計測値11cが判定基準値に対してどの程度の余裕があるかが分るようなものであればよく、例えば、計測値11cと判定基準値との差に対応した値でもよく、計測値11cと判定基準値との比率でもよく、計測値11cと判定基準値との差と判定基準値との比率などでもよい。
【0053】
合否判定プログラム12eにおいては、初期判定基準値Kまたは調整後の判定基準値Kとパッケージ10の計測値11cとが比較され、異物が含まれているか否かの合否がなされる。
【0054】
表示色選択プログラム12fにおいては、比較値算出プログラム12dにより、算出され結果に基づいて比較値を表示する際に表示画面6aに表示する表示色を選択する。例えば、比較結果がパッケージ10の計測値11cと判定基準値との比率を百分率で表示する場合、判定基準値に対するパッケージ10の計測値11cの比率が0〜50%のときは濃い緑色、51〜70%のときは黄緑色、71〜85%のときは黄色、86〜99%のときは橙色、100%以上のときは赤色で表示してもよい。
また、平均値算出プログラム12iにおいて算出された平均値とこの平均値を許容しうる限界値との差に関する変動許容値を表示画面6aに表示する際に、平均値と限界値との比率を百分率で表示し、パッケージ10の計測値11cと判定基準値との比率を百分率で表示する場合、と同様に表示色を選択してもよい。
【0055】
比較値表示プログラム12gにおいては、比較値算出プログラム12dにより、算出された比較値が表示色選択プログラム12fにより選択された表示色および表示形態で、前述のように、図3〜図8に示す表示画面6aに表示する。この比較値に関する値は、表示処理がなされ、図3〜図8に示すように所定の面積を有する形状および色で所定の領域に表示される。平均値算出プログラム12iにおいて算出された平均値とこの平均値を許容しうる限界値との差に関する変動許容値を表示画面6aに表示する際に、平均値と限界値とを同一画面に表示してもよい。既に表示されている比較値について、比較値の大きさの昇順または降順に並び替えるようにしてもよい。また、比較値の大きさに基づいて、表示面積のサイズを変えて表示するようにしてもよい。これらの比較値の表示について、比較値表示プログラム12gにより設定された点滅間隔で点滅表示してもよい。
【0056】
また、比較値表示プログラム12gにおいては、比較値算出プログラム12dにより、算出され結果に基づいて比較値を表示する際に表示画面6aの表示を点滅する間隔を設定する。例えば、点滅間隔は、CPU19のシステムクロックの周波数に基づいて、所定の周波数単位で計算処理され、100ms単位で設定される。具体的には、比較結果がパッケージ10の計測値11cと判定基準値との比率を百分率で表示する場合、判定基準値に対するパッケージ10の計測値11cの比率が0〜50%のときは0msとして点滅のない表示、51〜70%のときは1,000〜900ms、71〜85%のときは800〜600ms、86〜99%のときは500〜400ms、100%のときは300〜100msで図6(C)および(E)に示すように点滅表示してもよい。
【0057】
比較値表示認識プログラム12hにおいては、検査者により比較値表示領域21に表示された目的の比較値表示が指示されると、指示された比較値表示がCPU19を介して認識される。具体的には、検査者が表示部6の表示画面6aの前方部も受けられているタッチパネル22のタッチ操作画面上に指を接触させると、その接触した部分が比較値表示認識プログラム12hにより認識されその部分の座標が算出される。算出された座標部分に表示された比較値表示の内容、例えば、表示画面6aが比較値表示から検査条件設定の表示に切り替えられる。その結果、検査者は表示画面により検査検査条件などの調整操作をすることができる。
【0058】
平均値算出プログラム12iにおいては、データメモリ11に格納されている計測値11cが読み出され、所定個数の計測値11cに基づいて平均値mが算出される。本発明においては平均値mは所定個数の計測値11cの平均値をいい、次式(1)で表される算術平均値(相加平均値)を表す。
【0059】
【数1】

式(1)中、nは自然数、xは検出された個々の計測値11cを表す。
【0060】
計測値11cの所定個数は、初期判定基準値Kまたは調整後の判定基準値Kとパッケージ10の計測値11cとが比較され、良品と判定されたパッケージ10の計測値11cのみが含まれることが好ましい。
この所定個数は、精度の高い値を得るため多いほどよいが、多いほど算出処理が煩雑となる。そのため所定個数は、品種、パッケージの特性、蓄積データや経験値などにより適宜選択され、例えば、5,000個〜50個が好ましく、1,000個〜100個がより好ましい。
【0061】
X線発生部駆動回路16は、CPU19からの検出開始指令によりX線検出部4に対し所定の電力を印加することで、X線発生部3からX線を常時曝射する状態にして、X線発生部3から曝射されたX線がX線検出部4に入力されるようになっている。
【0062】
X線検出部駆動回路17は、CPU19からの検出開始指令によりX線発生部3を常時ON状態にして、X線発生部3から曝射されたX線を入力するようになっている。
【0063】
モータ駆動回路18は、CPU19からの駆動開始指令によりモータMに対し所定電力を供給してモータMを駆動するようになっている。
【0064】
CPU19は、X線異物検出装置1の全体を統轄制御するプロセッサであり、各駆動回路17〜19への駆動指令、データメモリ11からのX線強度データなどの読み出し、プログラム格納部12に格納された計測値生成プログラム12aその他の各種プログラムの実行、その他計測値11cの転送、種々の演算および計測値11cの一時的な格納などを行うようになっている。
【0065】
次に、本発明に係わるX線異物検出装置の第一実施の形態において、設定された判定基準値を用いて、パッケージ10の異物含有の有無を検出し、合否を判定する異物検出モードによる処理手順について図9を参照して説明する。なお、この異物検出モードによる処理手順は、パッケージ10に対応した判定基準値が予め設定されており、初期判定基準値の設定を必要としない処理手順について説明する。この判定基準値は操作部7におけるテンキー表示7cから手動で直接入力し、設定データ11bとしてデータメモリ11に格納しておいてもよい。また、検査条件などが設定されているメモリカードやバーコードなどから直接読み込んでデータメモリ11に格納しておいてもよい。
【0066】
まず、検査者は、図2に示す操作部7に設けられているスイッチ表示7aをタッチ操作して異物検出モードを選択する。異物検出モードが選択されると、CPU19は、選択された異物検出モードを認識する。異物検出モードが認識されるとプログラム格納部12内のモード実行プログラム12bにより、異物検出の実行が開始される(S1)。
【0067】
異物検出の実行が開始されると、CPU19からX線発生部駆動回路16、X線検出部駆動回路17、モータ駆動回路18へ駆動指令が出力される。これにより、X線発生部3からX線がX線検出部4に向けて略三角形状のスクリーン状に曝射される(S2)。
X線が曝射されると、モータMが回転駆動して搬送部2が、搬送ベルト2eに載置されたパッケージ10の搬送を開始する(S3)。
【0068】
パッケージ10が搬送されると、パッケージ10が投光部5a、受光部5b間を通過して投光部5aからの出射光を遮光する。受光部5bが遮光を検出してから数秒後に、パッケージ10が、X線の略三角形状のスクリーンを通過することにより、パッケージ10にX線が曝射される。X線検出部4では、パッケージ10を透過した透過X線がシンチレータに入力され、シンチレータでX線が光に変換される。さらに、シンチレータで変換された光は、その下部に配置されたフォトダイオードによって受光され、各フォトダイオードにより光が電気信号に変換され、X線強度データ11aとして出力される。このX線強度データはデータメモリ11へ格納される(S4)。
格納されたX線強度データ11aは、合否判定プログラム12eにより読み出されA/D変換部でアナログ信号からデジタル信号にA/D変換され、計測値11cとして判定基準値と比較できる値になるように画像処理がなされ(S5)、計測値11cが生成される(S6)。データメモリ11へ格納されている判定基準値が合否判定プログラム12eにより読み出され、生成された計測値11cと比較され、計測値11cが判定基準値未満である否かが比較され判定される(S7)。
【0069】
計測値11cが判定基準値未満でないと判定されると、検査不合格とされる(S8)。不合格とされたパッケージ10の計測値11cは表示処理がなされ(S10)、例えば、このパッケージ10の計測値11cが、図3、図7および図8に示す検査結果表示6eに赤色で表示されるとともに「NG」のように表示される。また、図8示すように、判定基準値を超えた計測値11cはヒストグラム42やグラフ43、44として表示画面6aに表示される(S11)。
【0070】
計測値11cが判定基準値未満であると判定されると、検査合格とされる(S9)。合格とされたパッケージ10の計測値11cは比較値表示プログラム12gにより表示処理がなされ(S10)、例えば、このパッケージ10の計測値11cについて、図3〜図8に示すように、比較値の表示T1〜T6やグラフ43、44として、表示画面6aに表示される(S11)。
【0071】
検査者は表示されたこれらの比較値の表示T1〜T6やグラフ43、44を参照して、判定基準値が適正か否かを判断する(S12)。適正と判断した場合は、異物検出処理を終了するか否かが判断され、終了しない場合には、異物検出が続行され、さらにパッケージ10が搬送され(S3)、表示画面6aに比較値の表示T1〜T6、グラフ43および44が表示され(S11)判定基準値が適正か否かの判断がされる(S12)までの各ステップが繰り返し行われる。全てのパッケージ10の異物検出が行われると、異物検出処理は終了する。
適正でないと判断した場合は、検査者により判定基準値のレベル調整がおこなわれる(S13)。レベル調整は、パッケージ10の品種、パッケージの特性、検査条件、蓄積されたデータや経験値に基づいて検査者が判断し、判定基準値のレベルを調整する。この判定基準値のレベルを調整するには図4に示す操作部7のテンキー表示7cに適切な値を入力し、数字表示部6bで確認し、エンターキー表示7dをタッチ操作することにより新たに設定する。設定後、異物検出処理を終了しない場合には、異物検出処理が続行され、さらにパッケージ10が搬送され(S3)、表示画面6aに比較値の表示T1〜T6やグラフ43、44が表示され(S11)判定基準値が適正か否かの判断がされる(S12)までの各ステップが繰り返し行われる。全てのパッケージ10の異物検出が行われると異物検出処理は終了する。
【0072】
以下、本発明に係わる物品検査装置について、本発明における計測手段が、例えば、X線異物検出部、金属検出部、重量選別部などの複数の計測手段からなる第二実施の形態について図面を参照して説明する。
【0073】
図12に示すように、本発明に係わる物品検査装置の第二実施の形態は、計測手段A61、計測手段B62、計測手段C63、計測手段D64、計測手段別計測値記憶手段81、計測手段別比較値算出手段82、計測手段別比較値表示色選択手段83、計測手段別表示比較値手段84、計測手段別比較値の表示85、図示しないCPU、表示部、操作部、処理部、データメモリ、プログラム格納部とにより構成されている。
【0074】
計測手段A61、計測手段B62、計測手段C63および計測手段D64は、同種の装置における計測手段でもよく、異種の装置における計測手段でもよい。例えば、一のX線異物検出装置における検出アルゴリズムA、検出アルゴリズムB、検出アルゴリズムC、検出アルゴリズムDといった複数の検出アルゴリズムからなる複数の計測手段、またX線異物検出装置a、X線異物検出装置b、X線異物検出装置c、X線異物検出装置dのように同種の装置からなる複数の計測手段、さらにX線異物検出手段、金属検出手段、重量選別手段などのように異種の装置からなる複数の計測手段、またはこれらの同種の装置、異なった検出アルゴリズム、異種の装置の組み合わせからなる複数の計測手段でもよい。
【0075】
具体的には、計測手段A61におけるX線異物検出部Aからは計測値Aが出力され、計測手段B62における金属検出部Bから計測値Bが出力され、計測手段C63における重量選別部Cから計測値Cが出力され、計測手段D64におけるX線異物検出部Dから計測値Dが出力されるようになっている。各計測手段から出力された、計測値A〜Dは、計測手段別計測値記憶手段により、計測手段別の計測値か否か判別され計測手段別の計測値毎にそれぞれの判定基準値、すなわち、計測値Aは判定基準値Aと、計測値Bは判定基準値Bと、計測値Cは判定基準値Cと、計測値Dは判定基準値Dと、比較できるように画像処理され、処理された後の各計測値A〜Dはデータメモリの計測手段別計測値毎の格納領域にそれぞれ記憶される。この計測手段別計測値記憶手段は、同一の計測手段により計測された計測手段別計測値毎に1つの記憶手段で記憶するものでもよく、例えば、単一の記憶媒体に記憶領域を設定し計測手段別計測値毎に設定された各領域に記憶するものでもよい。また、各計測手段別計測値に対応する複数の記憶媒体を設け、各々の計測手段別計測値を別個の記憶媒体に記憶するものでもよい。
【0076】
計測手段別計測値記憶手段により記憶された各計測値A〜Dは計測手段別合否判定手段により読み出され、計測手段別の各計測値A〜D毎に計測手段別の判定対象値A〜Dと比較され合否の判定がなされる。
【0077】
各計測値A〜Dに関する検査結果情報および計測手段別比較値は、第一実施の形態で実施したものと同様の手段でそれぞれ実施され表示部に計測手段別比較値などが第一実施の形態で表示したものと同様に表示される。具体的には、計測手段別比較値算出手段82は第一実施の形態における比較値算出プログラム12dにより実施することができ、計測手段別表示色選択手段83は第一実施の形態における表示色選択プログラム12fにより実施することができ、計測手段別比較値表示手段84は第一実施の形態における比較値表示プログラム12gにより計測手段別比較値の表示85を表示画面に表示することができる。また、CPU、表示部、操作部、処理部、データメモリ、プログラム格納部は第一実施の形態におけるCPU19、表示部6、操作部7、処理部8、データメモリ11、プログラム格納部12により好適に実施することができる。
【0078】
次に、本発明に係わる第二実施の形態において、計測手段A61、計測手段B62、計測手段C63および計測手段D64のうち、例えば、計測手段A61が金属検出装置で構成された例について、その金属検出処理手順を図10を参照して説明する。
【0079】
この金属検出装置は、磁界を利用して物品中に金属が混入しているかいないかを検査する装置である。例えば、搬送ライン中の検出領域に交番磁界を発生させておき、物品がこの検出領域内を通過すると、磁界が変動することを利用したもので、物品が磁界を通過しているときの検波出力を処理した計測手段別計測値と計測手段別判定基準とを比較して金属の有無を検出する。
【0080】
この金属検出処理手順は、物品としてのパッケージに対応した計測手段別判定基準値が予め設定されており、初期計測手段別判定基準値の設定を必要としない処理手順について説明する。この計測手段別判定基準値は操作部から手動で直接入力し、設定データとしてデータメモリに格納しておいてもよい。また、検査条件などが設定されているメモリカードやバーコードなどから直接読み込んでデータメモリに格納しておいてもよい。
【0081】
まず、検査者は、操作部に設けられているスイッチ表示をタッチ操作して異物検出モードを選択する。異物検出モードが選択されると、CPUは、選択された異物検出モードを認識する。異物検出モードが認識されるとプログラム格納部内のモード実行プログラムにより、異物検出の実行が開始される(S21)。
【0082】
異物検出の実行が開始されると、CPUから磁界発生部駆動回路、磁界検出部駆動回路、モータ駆動回路へ駆動指令が出力される。これにより、磁界発生部から交番磁界が発生される(S22)。磁界が発生すると、モータMが回転駆動して搬送部が、搬送ベルトに載置されたパッケージの搬送を開始する(S23)。
【0083】
パッケージが搬送されるとパッケージは磁界中を通過する。磁界検出部では、磁界の変動を検出し、磁界変動信号を磁界変動データとして出力する。出力された磁界変動データはデータメモリへ格納される(S24)。
格納された磁界変動データは、計測手段別合否判定プログラムにより読み出され演算処理がなされ(S25)、計測手段別判定基準値と比較できる計測手段別計測値が生成される(S26)。データメモリへ格納されている計測手段別判定基準値が計測手段別合否判定プログラムにより読み出され、生成された計測手段別計測値と比較され、計測手段別計測値が計測手段別判定基準値未満である否かが比較され判定される(S27)。
【0084】
計測手段別計測値が計測手段別判定基準値未満でないと判定されると、検査不合格とされる(S28)。不合格とされたパッケージの計測手段別計測値は表示処理がなされ(S30)、例えば、このパッケージの計測手段別計測値が、検査結果表示に赤色で表示されるとともに「NG」のように表示される。また、計測手段別判定基準値を超えた計測手段別計測値はヒストグラムやグラフとして表示部に表示される(S31)。
【0085】
計測手段別計測値が計測手段別判定基準値未満であると判定されると、検査合格とされる(S29)。合格とされたパッケージの計測手段別計測値は比較値表示プログラムにより表示処理がなされ(S30)、例えば、このパッケージの計測手段別計測値について、計測手段別比較値の表示やグラフとして、表示画面に表示される(S31)。
【0086】
検査者は表示されたこれらの計測手段別比較値の表示やグラフを参照して、計測手段別判定基準値が適正か否かを判断する(S32)。適正と判断した場合は、異物検出処理を終了するか否かが判断され、終了しない場合には、異物検出処理が続行され、さらにパッケージが搬送され(S23)、表示画面に計測手段別比較値の表示やグラフが表示され(S31)計測手段別判定基準値が適正か否かの判断がされる(S32)までの各ステップが繰り返し行われる。全てのパッケージの異物の検出が行われると、異物検出処理は終了する。
適正でないと判断した場合は、検査者により計測手段別判定基準値のレベル調整が行われる(S33)。レベル調整は、パッケージの品種、パッケージの特性、検査条件、蓄積されたデータや経験値に基づいて検査者が判断し、計測手段別判定基準値を調整する。計測手段別判定基準値を調整するには操作部に適切な値を入力し新たに設定する。設定後、異物検出処理を終了しない場合には、異物検出処理が続行され、さらにパッケージが搬送され(S23)、表示画面に計測手段別比較値の表示やグラフが表示され(S31)計測手段別判定基準値が適正か否かの判断がされる(S32)までの各ステップが繰り返し行われる。全てのパッケージの異物の検出が行われると異物検出処理は終了する。
【0087】
次に、本発明に係わる第二実施の形態において、計測手段A61、計測手段B62、計測手段C63および計測手段D64のうち、例えば、計測手段A62が重量選別装置で構成された例について、その重量検出処理手順を図11を参照して説明する。
【0088】
この重量選別装置は、計量コンベア上の物品の重量を検査する装置である。計量コンベア上の物品の重量を計量して計量信号を出力し、出力された計量信号から処理した計測手段別計測値と計測手段別判定基準とを比較して物品の重量が所定の範囲内にあるか否かを検出する。
【0089】
この重量検出処理手順は、物品としてのパッケージに対応した計測手段別判定基準値が予め設定されており、初期計測手段別判定基準値の設定を必要としない処理手順について説明する。この計測手段別判定基準値は操作部から手動で直接入力し、設定データとしてデータメモリに格納しておいてもよい。また、検査条件などが設定されているメモリカードやバーコードなどから直接読み込んでデータメモリに格納しておいてもよい。
【0090】
まず、検査者は、操作部に設けられているスイッチ表示をタッチ操作して重量検出モードを選択する。重量検出モードが選択されると、CPUは、選択された重量検出モードを認識する。重量検出モードが認識されるとプログラム格納部内のモード実行プログラムにより、重量検出の実行が開始される(S41)。
【0091】
重量検出の実行が開始されると、CPUから、重量検出部駆動回路、モータ駆動回路へ駆動指令が出力される。これにより、重量検出可能状態となり、モータMが回転駆動して搬送部が、搬送ベルトに載置されたパッケージの搬送を開始する(S42)。
【0092】
パッケージが搬送されると重量検出部では、物品の重力を検出し、重力信号を重力検出データとして出力する。出力された重力検出データはデータメモリへ格納される(S43)。
格納された重力検出データは、計測手段別合否判定プログラムにより読み出され演算処理がなされ(S44)、計測手段別判定基準値と比較できる計測手段別計測値が生成される(S45)。データメモリへ格納されている計測手段別判定基準値が計測手段別合否判定プログラムにより読み出され、生成された計測手段別計測値と比較され、計測手段別計測値が計測手段別判定基準値未満である否かが比較され判定される(S46)。
【0093】
計測手段別計測値が計測手段別判定基準値未満でないと判定されると、検査不合格とされる(S47)。不合格とされたパッケージの計測手段別計測値は表示処理がなされ(S49)、例えば、このパッケージの計測手段別計測値が、検査結果表示に赤色で表示されるとともに「NG」のように表示される。また、計測手段別判定基準値を超えた計測手段別計測値はヒストグラムやグラフとして表示部に表示される(S50)。
【0094】
計測手段別計測値が計測手段別判定基準値未満であると判定されると、検査合格とされる(S48)。合格とされたパッケージの計測手段別計測値は比較値表示プログラムにより表示処理がなされ(S49)、例えば、このパッケージの計測手段別計測値について、計測手段別比較値の表示やグラフとして、表示画面に表示される(S50)。
【0095】
検査者は表示されたこれらの計測手段別比較値の表示やグラフを参照して、計測手段別判定基準値が適正か否かを判断する(S51)。適正と判断した場合は、重量検出処理を終了するか否かが判断され、終了しない場合には、重量検出処理が続行され、さらにパッケージが搬送され(S42)、表示画面に計測手段別比較値の表示やグラフが表示され(S50)計測手段別判定基準値が適正か否かの判断がされる(S51)までの各ステップが繰り返し行われる。全てのパッケージの重量の検出が行われると、重量検出処理は終了する。
適正でないと判断した場合は、検査者により計測手段別判定基準値のレベル調整がおこなわれる(S52)。レベル調整は、パッケージの品種、パッケージの特性、検査条件、蓄積されたデータや経験値に基づいて検査者が判断し、計測手段別判定基準値を調整する。この計測手段別判定基準値を調整するには操作部に適切な値を入力し新たに設定する。設定後、重量検出処理を終了しない場合には、重量検出処理が続行され、さらにパッケージが搬送され(S42)、表示画面に計測手段別比較値の表示やグラフが表示され(S31)計測手段別判定基準値が適正か否かの判断がされる(S51)までの各ステップが繰り返し行われる。全てのパッケージの重量の検出が行われると重量検出処理は終了する。
【0096】
以上説明したように、本発明に係わる物品検査装置は、(1)パッケージ10の物理量を計測するX線検出部4と、X線検出部4により計測した計測値11cとX線検出部4に対応して予め設定された判定基準値とが比較されて合否判定プログラム12eにより合否判定がなされる。計測値11cの判定基準値に対する量または比率となる比較値が比較値算出プログラム12dにより算出され、算出された比較値に基づいて比較値の表示T1〜T6を表示画面6aに表示する際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色が表示色選択手段プログラム12fにより選択され、選択された表示色および予め設定した長方形などの表示形態で比較値表示プログラム12gにより比較値の表示T1〜T6が同一画面に表示される。その結果、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できる。
【0097】
また、(2)比較値表示プログラム12gにより比較値を表示する際、その比較値に対応した点滅周期、例えば、300msの点滅周期で表示される。その結果、比較値を新たに表示するスペースは不要となり、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できる。
【0098】
また、(3)X線検出部4において、複数の計測アルゴリズムが用いられ各計測アルゴリズムに基づく計測値11c求められ、比較値算出プログラム12dにより、各計測アルゴリズムに基づいて得られた計測値11c毎に計測値11その判定基準値に対する量または比率となる比較値が算出される。比較値表示プログラム12gにより、それぞれの比較値を表示する際、例えば、大きさの昇順または降順に並べて表示される。その結果、比較値を新たに表示するスペースは不要となり、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できる。
【0099】
また、(4)比較値表示プログラム12gにより、予め設定された表示形態において、比較値の表示T1〜T6の表示個数および比較値の大きさの少なくともいずれかに応じて表示サイズを替えて表示される。その結果、比較値を新たに表示するスペースは不要となり、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できる。
【0100】
また、(5)計測値11cを記憶する計測値生成プログラム12aにより記憶された複数の計測値11cに基づいて計測値11cの平均値mが平均値算出プログラム12iにより算出され、比較値表示プログラム12gにより、平均値mと比較値の表示T1〜T6とが表示画面6aに表示される。その結果、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できる。
【0101】
また、(6)平均値算出プログラム12iにより算出した平均値mと予め設定した平均値mの変動を許容しうる限界値との差に関する変動許容値が比較値算出プログラム12dにより算出され、算出された変動許容値が表示される際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色が表示色選択プログラム12fにより選択され、算出された変動許容値が表示される際に異なる間隔の点滅が比較値表示プログラム12gにより設定され、選択された表示色による表示および設定された点滅間隔による点滅表示の少なくともいずれかにより変動許容値が表示される。その結果、変動許容値を新たに表示するスペースは不要となり、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できる。
【0102】
また、(7)比較値表示プログラム12gにより表示された比較値の表示T1〜T6のいずれかがタッチパネル22を介して指示されると、比較値表示認識プログラム12hにより指示された比較値の表示T1〜T6のいずれかについて、CPU19を介して判定基準値を調整する判定基準値調整プログラムが動作し、指示された比較値の表示T1〜T6に対応する判定基準値を調整できる状態になる。その結果、新たな表示スペースは不要となり、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できる。
【0103】
また、(8)パッケージ10の物理量を計測する複数の計測手段A61、計測手段B62、計測手段C63および計測手段D64を有し、計測手段別に計測した計測値11cと計測手段別に予め設定された計測手段別判定基準値とを比較してパッケージ10の合否の判定が合否判定プログラム12eにより実行される。計測手段A61、計測手段B62、計測手段C63および計測手段D64のうち、同一の計測手段により計測された計測手段別計測値毎の記憶が計測値記憶プログラム12cにより実行され、計測手段別計測値の計測手段別判定基準値に対する量または比率となる計測手段別比較値の算出が比較値算出プログラムdにより実行され、計測手段別比較値を表示する際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色の選択が表示色選択プログラム12fにより実行され、選択された表示色および予め設定した表示形態で計測手段別比較値の表示画面への表示85が、比較値表示プログラム12gにより実行される。その結果、計測手段が複数ある場合でも、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示する領域を効率よく利用できるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、本発明に係る物品検査装置は、物品の合否判定に使用する計測値や判定基準値を表示するための領域が広くなることを抑制し、表示領域を効率よく利用できるという効果を有し、食品等の生産ライン上に設置されるX線異物検出装置、金属検出装置および重量選別装置などの物品検査装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置の表示部の正面図である。
【図4】本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置の操作部の正面図である。
【図5】本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置の表示部における表示形態を説明するための説明図である。
【図6】本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置の表示部における表示形態を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置の表示部における表示画面の例である。
【図8】本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置の表示部における表示画面の例である。
【図9】本発明の第一実施の形態に係わるX線異物検出装置の異物検出処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第二実施の形態に係わる金属検出装置の金属検出処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第二実施の形態に係わる重量選別装置の重量検出処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第二実施の形態に係わる物品検査装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0106】
1 X線異物検出装置(物品検査装置)
2 搬送部
2a、2b、2c、2d プーリ
2e 搬送ベルト
3 X線発生部
4 X線検出部(計測手段)
5 投受光部
5a 投光部
5b 受光部
6 表示部(比較値表示手段)
6a 表示画面
6b 数字表示部
6c X線透視表示
6d 品種表示
6e 検査結果表示
7 操作部
7a、7b スイッチ表示
7c テンキー表示
7d エンターキー表示
8 処理部
9 バス
10 パッケージ(物品)
11 データメモリ
11a X線強度データ
11b 設定データ
11c 計測値
12 プログラム格納部
12a 計測値生成プログラム(計測手段)
12b モード実行プログラム
12c 計測値記憶プログラム(計測値記憶手段)
12d 比較値算出プログラム(比較値算出手段)
12e 合否判定プログラム(合否判定手段)
12f 表示色選択プログラム(表示色選択手段)
12g 比較値表示プログラム(比較値表示手段)
12h 比較値表示認識プログラム(比較値表示認識手段)
12i 平均値算出示プログラム(平均値算出手段)
16 X線発生部駆動回路
17 X線検出部駆動回路
18 モータ駆動回路
19 CPU
21 比較値表示領域
42 ヒストグラム
43、44 グラフ
61 計測手段A
62 計測手段B
63 計測手段C
64 計測手段D
66 計測値A
67 計測値B
68 計測値C
69 計測値D
71 判定基準値A
72 判定基準値B
73 判定基準値C
74 判定基準値D
81 計測手段別計測値記憶手段
82 計測手段別比較値算出手段
83 計測手段別表示色選択手段
84 計測手段別比較値表示手段
85 計測手段別比較値の表示
T1〜T6 異物検査条件ごとの比較値の表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送している間に該物品の物理量を計測する計測手段と、該計測手段により計測した計測値と予め設定された判定基準値とを比較して前記物品の合否を判定する合否判定手段とを有する物品検査装置において、
前記計測値の前記判定基準値に対する量または比率となる比較値を算出する比較値算出手段と、
前記比較値を表示する際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色を選択する表示色選択手段と、
前記表示色および予め設定した表示形態で前記比較値を表示する比較値表示手段と、
を有することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記比較値表示手段が、前記比較値を表示する際に前記比較値に対応した点滅周期で前記比較値の表示を点滅させることを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記計測手段が、複数の計測アルゴリズムを用いて各計測アルゴリズムに基づく計測値を求め、前記比較値算出手段が、各計測アルゴリズムに基づいて得られた前記計測値毎に該計測値の前記判定基準値に対する量または比率となる比較値を算出し、前記比較値表示手段が、それぞれの前記比較値を表示する際所定の基準に基づいて昇順または降順に並べて表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記比較値表示手段が、予め設定された表示形態において前記比較値の表示個数および前記比較値の大きさの少なくともいずれかに対応し、表示画面における比較値表示領域内でかつ該比較値表示領域を広げずに比較値の表示のサイズを変えて前記比較値を表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項5】
物品を順次計測して得られた各計測値を記憶する計測値記憶手段と、前記計測値記憶手段に記憶された前記計測値に基づいて前記計測値の平均値を算出する平均値算出手段とを有し、前記比較値表示手段が、前記平均値と前記比較値とを並べて表示することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記比較値算出手段が、前記平均値と予め設定した前記平均値の変動を許容しうる限界値との差に関する変動許容値を算出し、前記表示色選択手段が、前記変動許容値を表示する際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色を選択し、前記比較値表示手段が、前記表示色による表示および前記変動許容値に対応して設定した点滅周期による点滅表示の少なくともいずれかにより前記変動許容値を表示することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項7】
前記比較値表示手段により前記比較値表示領域に表示された比較値表示が指示されると指示された比較値表示を認識する比較値表示認識手段と、前記判定基準値を調整する判定基準値調整手段とを有し、前記比較値表示認識手段が、指示された前記比較値表示を認識すると前記判定基準値調整手段が起動することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項8】
物品の物理量を計測する複数の計測手段を有し、計測手段別に計測した計測手段別計測値と前記計測手段別に予め設定された計測手段別判定基準値とを比較して前記物品の合否を判定する合否判定手段とを有する物品検査装置において、
複数の前記計測手段のうち同一の計測手段により計測された前記計測手段別計測値を複数の前記計測手段別計測値毎に記憶する計測手段別計測値記憶手段と、
前記計測手段別計測値の前記計測手段別判定基準値に対する量または比率となる計測手段別比較値を算出する計測手段別比較値算出手段と、
前記計測手段別比較値を表示する際に異なる色および単一色における異なる濃淡の少なくともいずれかの表示色を選択する計測手段別表示色選択手段と、
前記計測手段別表示色選択手段により選択された表示色および予め設定した表示形態で前記計測手段別比較値を同一画面に表示する計測手段別比較値表示手段と、
を有することを特徴とする物品検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−286014(P2007−286014A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116873(P2006−116873)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】