特定部位検出方法、及び該方法を用いた試料分析装置
【課題】従来のデジタル画像相関法では負荷試験前後の試料上の同一点を探索するために輝度画像上で識別可能な模様が必要であり、こうした模様がない場合にはマーキングを行う必要があった。本発明ではこうしたマーキングを行うことなく高い精度での同一点探索を行えるようにする。
【解決手段】金属試料片では表面の平滑化処理を行っても、微細で且つ試料毎及び部位毎に相違する凹凸プロファイルが存在する。そこで、負荷試験前の試料の凹凸プロファイル(基準高さ分布)と負荷試験後の試料の凹凸プロファイル(比較対象高さ分布)とを用い(S1、S2)、デジタル画像相関法と同様の手法により相関係数の分布を求め(S3〜S8)、最大の相関係数を与える位置が同一点であるとして(S9、S10)、負荷試験前の試料上の注目点に対応する負荷試験後の試料上の点を求める。
【解決手段】金属試料片では表面の平滑化処理を行っても、微細で且つ試料毎及び部位毎に相違する凹凸プロファイルが存在する。そこで、負荷試験前の試料の凹凸プロファイル(基準高さ分布)と負荷試験後の試料の凹凸プロファイル(比較対象高さ分布)とを用い(S1、S2)、デジタル画像相関法と同様の手法により相関係数の分布を求め(S3〜S8)、最大の相関係数を与える位置が同一点であるとして(S9、S10)、負荷試験前の試料上の注目点に対応する負荷試験後の試料上の点を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料上の特定部位を検出する方法に関し、さらに詳しくは、試料の表面形状の測定・観察結果に基づいて試料表面上の特定部位を検出する方法に関する。また、本発明は、その特定部位検出方法を用いた顕微鏡などの試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体分野やマイクロマシン分野などにおける急速な技術の進展に伴い、金属材料や非金属材料の微視的な変形挙動の評価や解析の重要性が増している。従来、橋梁などの構造体や或る程度大きな金属製試料の歪みや変形などを解析するための手法はいくつか知られているが、その一つに、デジタル画像相関法(Digital Image Correlation=DIC)と呼ばれる手法がある(非特許文献1〜3、特許文献1など参照)。デジタル画像相関法では、変形前の試料のデジタル画像と変形後の試料のデジタル画像とを取得し、画素単位の輝度(つまり濃淡)情報を用いて相関係数を計算することで、変形前の試料上の或る計測点が変形後に試料上のどの位置に移動したのかを把握し(つまり変形前後での同一点探索を実行し)、これに基づいて変形に関する情報を得る。
【0003】
上記のようなデジタル画像相関法による同一点探索技術は、顕微鏡により得られる観察画像にも適用可能である。しかしながら、デジタル画像相関法を適用するには、試料の表面に輝度画像で判別が可能な、何らかの模様が必要である。それ故に、もともとそうした模様が試料表面にある場合はよいが、模様がない場合や不明瞭である場合には、塗料の塗布・吹き付けやレーザ光などを用いた着色、部分的な材料の除去、圧痕導入などの力学的変形といった手法によって試料表面にマーキングを施す、つまり意図的に模様を付ける必要がある。そのため、こうしたマーキングを施すことが困難又は不可能であって、輝度画像で判別が可能な模様が表面にない試料については、デジタル画像相関法による同一点探索を行うことができないという制約がある。
【0004】
一方、従来より、試料台上に載置又は収容された小形の試料の表面形状を非常に高い倍率で観察したり測定したりするために、走査型プローブ顕微鏡(SPM=Scanning Probe Microscope)、走査型共焦点レーザ顕微鏡、デジタルホログラフィック顕微鏡など、各種の表面分析装置が知られている(非特許文献4、5参照)。これら装置は測定原理は異なるものの、いずれも、試料表面の凹凸のプロファイル、つまり試料表面の三次元形状情報を取得することができる。しかしながら、試料表面の、特に垂直方向(高さ方向)に高い分解能を有する三次元形状を観測することはできるものの、この観測結果から試料の変形状態を把握するのは困難である。また、上記のような従来の各種装置は、そうした機能も持ち合わせていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−329628号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】チョウ(T. C. Chou)ほか3名、「アプリケイションズ・オブ・デジタル−イメージ−コリレイション・テクニクス・トゥー・エクスペリメンタル・メカニクス(Applications of Digital-Image-Correlation Techniques to Experimental Mechanics)」、エクスペリメンタル・メカニクス(Experimental Mechanics)、Vol. 25、 No. 3、 pp. 232-244(1985)
【非特許文献2】西川、「デジタル画像相関法による全視野微小変移分布計測」、非破壊検査、第54巻、3号、pp. 132-138(2005)
【非特許文献3】パン(B. Pan)ほか3名、「パフォーマンス・オブ・サブ−ピクセル・レジストレイション・アルゴリズムズ・イン・デジタル・イメージ・コリレイション(Performance of Sub-Pixel Registration Algorithms in Digital Image Correlation)」、メジャーメント・サイエンス・アンド・テクノロジー(Measurement Science and Technology)、Vol. 17、 No. 6、 pp. 1615-1621(2006)
【非特許文献4】宮本、伊藤、「走査型レーザ顕微鏡/走査型プローブ顕微鏡複合装置の技術と応用」、月刊トライボロジー、2005年7月号、pp. 30-33
【非特許文献5】「DHM 1000 Family」、愛知産業株式会社、[online]、[平成21年2月25日検索]、インターネット <URL: http://www.aichi-sangyo.co.jp/product/lyncee_tec/Lyncee_DHM1000_J.AS.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その主な目的とするところは、試料表面に意図的なマーキングを施すことなく、高い精度で同一点探索を行うことができる特定部位検出方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的とするところは、上記のような特定部位検出方法を利用して、例えば試料上の微視的な変形挙動の評価や解析を行うことができる、或いは、試料上の或る領域を連続的に観察する際にドリフト等による意図せぬ視野ずれが生じることを防止する等、新たな機能を付加した試料分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係る特定部位検出方法は、試料の表面形状の測定結果に基づいて該試料上の特定部位を検出する特定部位検出方法であって、
a)目的試料の表面高さの二次元分布である比較対象高さ分布を計測する高さ分布計測ステップと、
b)特定部位検出の基準となる、所定領域における表面高さの二次元分布である基準高さ分布を取得する基準高さ分布取得ステップと、
c)前記基準高さ分布と、前記比較対象高さ分布の中で前記所定領域と同じ大きさの比較領域における高さ分布と、についての相関を示す指標値を、前記所定領域の位置を比較対象高さ分布の中で移動させつつそれぞれ計算することにより、両高さ分布の相関を示す指標値の分布を求める高さ相関取得ステップと、
d)前記両高さ分布の相関を示す指標値分布を用いて、前記比較対象高さ分布の中で最大の相関を与える位置を見いだして該位置を特定部位であると認識する認識ステップと、
を有することを特徴としている。
【0010】
ここで特定部位とは、例えば、ユーザ(測定者等)が関心を有していてユーザ自身により指定される注目部位、試料を特徴付けるのに都合がよい又は試料の変形などの挙動を調べるのに都合がよいために自動的に設定される部位、などである。
【0011】
上記基準高さ分布取得ステップは、高さ分布計測ステップと同様に、目的試料の表面高さの二次元分布(つまりは試料表面形状の三次元分布)を計測して高さ分布を求めるものであってもよいし、或いは、基準高さ分布データが予め作成され格納されている記憶部などから、そのデータを読み出すことにより基準高さ分布を求めるものであってもよい。
【0012】
本発明に係る特定部位検出方法において、二つの高さ分布からその相関を示す指標値を算出するために、従来から知られているデジタル画像相関法の手法を利用することができる。即ち、本発明に係る特定部位検出方法において、前記高さ相関取得ステップは、試料表面上の各微小位置の高さの値で構成される高さ分布画像データに対し、デジタル画像相関法と同等のアルゴリズムを適用することにより、相関を示す指標値としての相関係数の分布を求めるようにすることができる。
【0013】
前述のようにデジタル画像相関法では、画素値(輝度値)が二次元的に配列された二枚のデジタル画像の相関性を求めることで対象物の変形や歪みなどを調べるが、本発明に係る特定部位検出方法では、画素値が高さ値に置き換えられた画像、つまり高さ分布画像を処理対象としてデジタル画像相関法と同等のアルゴリズムを適用して相関係数の分布を求めればよい。
【0014】
但し、高さ分布計測ステップにおいて高さ分布の計測を行う際に目的試料の試料表面全体が傾いていたり湾曲していたりすると、得られた高さ分布は試料表面の本来の凹凸の状態を表したものではなく、局所的な凹凸の相関を調べる際に正確性を損なう要因となる。そこで、本発明に係る特定部位検出方法では、高さ分布計測ステップ及び基準高さ分布取得ステップにより得られた高さ分布に対し、その高さの基準面の傾きや曲がりを補正する平面補正処理ステップをさらに含むようにすることが好ましい。
【0015】
これによれば、基準高さ分布及び比較対象高さ分布の基準面が一致する(同一平面になる)ので、高さ相関取得ステップにおいて、本来の試料表面の局所的な凹凸を反映した高さ分布の相関を求めることができる。それによって、相関性の指標値分布の精度が向上するので、特定部位の探索の精度も向上する。なお、例えば後述するような各種顕微鏡を用いて試料表面の三次元形状を計測する場合には、試料表面全体の傾きなどの補正が既になされた三次元形状データが得られることもある。
【0016】
また本発明に係る特定部位検出方法では、好ましくは、空間的に隣接する微小領域における相関係数を用いて、その隣接する微小領域の間の相関係数を連続化する連続化処理ステップさらに含むようにするとよい。ここでいう「連続化」とは平滑化又はスムージングと言い換えることができる。
【0017】
即ち、上記「連続化」がなされる前の相関係数の分布の空間分解能(水平方向の分解能)は、元の高さ分布の水平方向の空間分解能で決まる。これに対し連続化処理を行うと、高さ分布において高さ情報が得られている座標位置だけでなく、実際には高さ情報が得られていない位置に対しても相関係数が求められるので、実質的に水平方向の空間分解能を上げる効果が得られる。それにより、高い精度でもって最大の相関係数を与える位置を見いだすことができるので、同一点探索の精度も向上する。
【0018】
本発明に係る特定部位検出方法を利用することにより、試料に対する様々な分析が可能である。ここでいう分析は、試料に関する各種の物理量の測定・計測にとどまらず、試料表面の観察、試料の同定(或る試料が他の試料と同一であるか否かの判定)、なども含む。
【0019】
本発明に係る特定部位検出方法を用いた第1の態様の試料分析装置は、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
第1の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる表面高さの二次元分布の中で、注目点の周りの注目領域を前記所定領域として設定して前記基準高さ分布を取得し記憶する基準高さ分布記憶手段と、
第1の時点から時間が経過した第2の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている基準高さ分布との相関を示す指標の分布を求める高さ相関算出手段と、
前記高さ相関算出手段で得られた相関を示す指標分布を用いて、第2の時点における目的試料上の前記注目点の位置を見つける同一点検出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0020】
上記第1の態様及び以下の各態様の試料分析装置において、高さ分布計測手段は、例えば、デジタルホログラフィック顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、又は走査型プローブ顕微鏡のいずれかとすることができる。当然のことながら、垂直方向、つまり試料表面の高さ方向の空間分解能は高いことが望ましい。例えば高さ方向の空間分解能がナノメータレベルであれば、高さ分布(試料表面の凹凸プロファイル)には原子配列が反映されるから、単に形状だけでなく試料の組成を反映した試料同定も可能である。
【0021】
第1の態様の試料分析装置では、同一試料(目的試料)について第1の時点とそれから時間を経た第2の時点とで同一点探索が実行される。例えば、第1の時点において測定者が試料表面の高さ分布で或る位置を注目点として指定すると、それから時間を経た第2の時点において同一試料上で上記注目点が探索される。例えば、1つの試料を第1の時点で当該試料分析装置で観察したあとに試料を一旦取り外し、それから再び同じ試料を当該試料分析装置に装着して観察する際に、試料を装着する位置がずれていても、速やかに先の第1の時点における観察箇所を見つけて観察を行うことができる。
【0022】
こうした目的のためには、第1の態様の試料分析装置が、
試料の表面観察画像を取得する画像取得手段と、
第2の時点において前記画像取得手段により取得される前記目的試料の表面観察画像上で、前記同一点検出手段により検出された注目点の位置を表示する特定位置表示手段と、
をさらに備える構成とするとよい。
【0023】
また第1の態様の試料分析装置は、
試料の表面観察画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段による表面観察画像の位置を変更するべく、試料又は該画像取得手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段と、
第2の時点において前記画像取得手段により前記目的試料の表面観察画像を得る際に、前記同一点検出手段により検出された注目点が画像上で所定の位置に来るように又は所定範囲に入るように前記移動手段を制御する追尾制御手段と、
をさらに備える構成とすることもできる。
【0024】
上記移動手段は一般的には、試料が載置される又は試料を保持する試料ステージを移動させる手段である。上記構成の試料分析装置によれば、例えば測定者が注目する試料上の箇所が移動してもその箇所が観察できるように、自動的に位置の追尾が実行される。したがって、例えば上述したように試料が一旦装置から取り外されて再び装着されたときでも、取り外し前に観察していた箇所を自動的に探してその箇所の観察が可能なように観察視野を設定することができる。また、例えば試料の変形、膨張・収縮、或いは観察対象物の自発的な移動など、時間経過に伴って試料上の注目点の位置が移動する場合でも、それが観察視野から外れないように常に追従させることも可能になる。
【0025】
また本発明に係る特定部位検出方法を用いた第2の態様による試料分析装置は、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
試料を特徴付ける部位を特定部位とし、それに対応する基準高さ分布を記憶しておく基準高さ分布記憶手段と、
目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている基準高さ分布との相関を示す指標の分布を求める高さ相関算出手段と、
前記高さ相関算出手段で得られた相関を示す指標分布を用いて、目的試料上、目的試料上の特定位置、又は目的試料上の特定領域内に、前記試料を特徴付ける部位が存在するか否かを判断する特定部位検出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0026】
ここで「試料を特徴付ける部位」とは、もともと試料が有している特徴的な表面形状(表面の凹凸プロファイル)であってもよいし、或いは、ユーザなどが意図的に施したマーキングによる凹凸プロファイルであってもよい。
【0027】
上記「試料を特徴付ける部位」が他の試料にはないものであれば、第2の態様の試料分析装置を用いて、或る唯一の試料を見つける(同定する)ことができる。また、正規品のみが「試料を特徴付ける部位」を有しているのであれば、第2の態様の試料分析装置を用いて、正規品と類似品(偽造品)とを識別することができる。さらにまた、或る製品の製造者が意図的に特有のマーキングである凹凸プロファイルを製品に施せば、これを一種の製品のタグとして利用することができる。また、製品の流通段階でのトレーサビリティの把握などに利用することもできる。この場合、第2の態様の試料分析装置はタグを読み取るタグリーダとして機能する。
【0028】
上記のような目的のためには、第2の態様の試料分析装置が、
前記特定部位検出手段による判断結果に応じて、前記目的試料が基準試料と同一又は同等であるか否かを表示する表示手段をさらに備える構成とするとよい。
【0029】
また本発明に係る特定部位検出方法を用いた第3の態様による試料分析装置は、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
第1の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる表面高さの二次元分布の中で、複数の注目点の周りの注目領域を前記所定領域として設定して前記基準高さ分布をそれぞれ取得し記憶する基準高さ分布記憶手段と、
第1の時点から時間が経過した第2の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている複数の基準高さ分布との相関を示す指標の分布をそれぞれ求める高さ相関算出手段と、
前記相関を示す指標分布を用いて、第2の時点における目的試料上の複数の注目点の位置をそれぞれ見つける同一点検出手段と、
第1の時点における前記複数の注目点の位置と前記同一点検出手段により見いだされた複数の注目点との位置とから同一注目点の移動量及び移動方向を算出し、それに基づき、第1の時点から第2の時点までの試料の変形や変位に関する情報を求める変位検出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0030】
第3の態様による試料分析装置によれば、機械的な負荷を試料に掛けることで変形が生じたときの、或いは熱等の機械的な負荷以外のストレスによる試料の膨張や収縮が生じたときの、試料の変形の解析や評価を定量的に行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る特定部位検出方法によれば、その試料がもともと持つ表面高さの情報を利用して、同一点や同一領域を探索することができる。一般的に、金属、非金属に拘わらず、各種の材料からなる試料の表面は、平滑化のための加工や処理が施されたものであっても、微視的には明瞭な凹凸が存在する。したがって、従来のデジタル画像相関法を利用した同一点探索とは異なり、輝度画像では識別ができないような試料表面に対しても同一点検出を行うことができる。そのため、試料に対し着色、材料除去、力学的変形などのマーキングを施す必要がなく、そうしたマーキングの労力や時間を省くことができる。また、マーキングを施すことが難しい又はできない試料についても、精度の高い同一点探察を行うことができる。
【0032】
また本発明に係る特定部位検出方法を用いた試料分析装置によれば、走査型プローブ顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、デジタルホログラフィック顕微鏡などの各種の表面分析装置に、従来にない新たな機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る特定部位検出方法の一形態である同一部位検出処理の実施手順を示すフローチャート。
【図2】平面補正処理の概念図。
【図3】基準高さ分布における注目点及び注目領域の概念図。
【図4】走査領域内における比較領域の移動及び相関計算の概念図。
【図5】相関係数の連続化処理の概念図。
【図6】相関係数の連続化処理の説明図。
【図7】同一試料の異なる部位の表面凹凸プロファイルを示す図。
【図8】無負荷試験片を用いた同一領域探索の一例の説明図。
【図9】無負荷試験片を用いた同一領域探索の一例の説明図。
【図10】負荷試験片を用いた同一領域探索の一例の説明図。
【図11】負荷試験片を用いた同一領域探索の一例の説明図。
【図12】本発明に係る特定部位検出方法を用いた試料分析装置の一実施例の概略ブロック構成図。
【図13】本発明に係る特定部位検出方法を用いた試料分析装置の他の実施例の概略ブロック構成図。
【図14】一実施例の試料分析装置における測定動作の一例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
まず本発明に係る特定部位検出方法の一実施形態について説明する。この実施形態は、基準試料上の或る点又は領域と同一である、比較対象試料上の点又は領域を探索する同一部位検出処理を行うものである。
【0035】
なお、ここでいう「基準試料」及び「比較対象試料」は異なる試料である場合もあるが、同じ試料であってもよい。例えば、試料の変形や試料の移動などの計測においては、そうした変形や移動が生じる前の試料が基準試料であり、同一の試料であって変形や移動が生じた後の該試料が比較対象試料となる。また、比較対象試料が正規品であるか或いは偽造品であるのかを調べるような用途では、基準試料と比較対象試料とは異なる試料であり、基準試料は正規品又は正規品と同等の標準品である。
【0036】
図1はこの実施形態による同一部位検出処理の実施手順を示すフローチャートである。
まず最初の工程として、基準試料の表面の高さの二次元分布と、比較対象試料の表面の高さの二次元分布をそれぞれ取得する(ステップS1、S2)。ここでは、比較対象試料表面の高さの二次元分布を比較対象高さ分布という。このような試料表面の高さ分布を取得するために、前述のデジタルホログラフィック顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡などを用いることができる。試料表面の高さ情報は、水平面であるx−y面を形成する互いに直交するx軸及びy軸にそれぞれ離散的な座標を持つ位置における情報である。したがって、高さ分布は例えば図4(a)に示すように、三次元的なヒストグラム様になる。
【0037】
次に、ステップS1、S2で取得された二つの高さ分布に対し、高さの基準面を揃えるために平面補正処理を実施する(ステップS3)。これは、ここで問題としている局所的な試料表面の凹凸とは異なる要素、例えば、試料表面全体の傾斜や局所的な凹凸とは異なる試料表面の大きな湾曲など、を除外するための処理である。図2は平面補正処理の概念を示す図であり、(a)は平面補正前の高さ分布、(b)は平面補正後の高さ分布を示す図である。
【0038】
いま、図2(a)に示すように、高さ分布の基準面がx'−y'面に対して傾いている状態を想定する。このとき、例えば次のような演算処理により、高さ分布の本質を反映しない平均傾斜の影響を除去することができる。
即ち、基準面Gstd(x',y')は次の(1)式で近似できる。
Gstd(x',y')=Lx'+my'+n …(1)
x'−y'面上の座標(xi',yi')における実高度値をG(xi',yi')、基準面Gstd(x',y')上での値をGstd(xi',yi')とすると、平面補正後の各座標における高さdiは、
di=G(xi',yi')−Gstd(xi',yi')
である。基準面Gstd(x',y')がx'−y'面と一致するように平面補正がなされた状態では平面傾斜の影響は除去されるから、基準面と実高度値との差diの二乗和が最小となると考えるのが妥当である。そこで、diの二乗和が最小になるように(1)式の定数L、m、nを決める。つまり、次の(2)式で表される、定数L、m、nに関する連立一次方程式を解くことでL、m、nを求める。
(∂/∂L)Σdi2=(∂/∂m)Σdi2=(∂/∂n)Σdi2=0 …(2)
(ここでΣはiについての総和を表す)
最小二乗法については周知であり、ここでは詳細には説明しない。
上記演算により基準面Gstd(x',y')が求まるから、これに基づいて各座標位置の高さG(xn',yn')を修正することにより、図2(b)に示すような高さ分布を求めることができる。
なお、基準面がx'−y'面に対して単純に傾斜しているのではなく湾曲している場合には平面補正は複雑になるが、多くの場合、上記のような傾斜のみを考慮すれば十分である。
【0039】
次に、平面補正がなされた基準高さ分布の中で、図3に示すように、注目点(POI)及び注目領域(ROI)を設定する(ステップS4)。いま、ここでは注目領域は矩形状であり、注目点はその注目領域の略中心に設定されている場合を考える。注目領域が小さすぎると、後述する相関係数計算の際に比較領域と同一部位でないにも拘わらず相関が高いと判断され、偽検出となるおそれが高くなる。逆に、注目領域を広くしすぎると、偽検出は避けられるものの、実際には同一部位であるにも拘わらず相関が低いと判断される見逃しが発生し易い。したがって、注目領域の広さはそのときの試料表面の凹凸状態などに応じて適宜に決めることが望ましい。図3の例では、図中に示す注目領域が設定されると、斜線で示す高さ分布が抽出され、これが基準高さ分布となる。
【0040】
続いて、図4(a)に示すように、比較対象高さ分布において走査領域を設定する(ステップS5)。走査領域とは、比較対象高さ分布が得られている領域の中で、上記注目領域と同様の(つまり相関性が高い)高さ分布を有する領域を探索する範囲である。この走査領域が広いほど相関係数の算出等の演算量が増加するため、同一部位の探索処理に時間を要する。一方、同一部位の探索はこの走査領域の範囲内でしか行われないから、例えば試料の変形等によって位置が移動した同一点を見つけたい場合に、その移動先が確実に含まれるように走査領域を設定する必要がある。したがって、移動量や移動方向が不明である場合には、或る程度余裕をもって広めに走査領域を設定する。
【0041】
そして、図4(a)に示すように、比較対象高さ分布の中で上記注目領域ROIと同じx'−y'面上の大きさの比較領域を設定し、この比較領域を走査領域の範囲内で離散的に、つまり座標位置単位でステップ的に移動させながら(ステップS6)、比較領域に含まれる比較対象高さ分布と注目領域に含まれる基準高さ分布とを比較して、その高さ分布の相関係数を計算する(ステップS7)。図3及び図4の例では、注目領域ROIに含まれる基準高さ分布データの個数はx軸方向、y軸方向にそれぞれ3個ずつの、合計9個である(図4(b)参照)。したがって、比較領域に含まれる高さデータも同様に9個であり、図4(a)に示すように比較領域を、x軸方向及びy軸方向に隣接する9個の比較対象高さ分布データが含まれるようにステップ状に順次移動させてゆく。
【0042】
基準高さ分布データとこれと同数の比較対象高さ分布データとの相関係数の計算、及びその計算結果に基づく同一点探索には、デジタル画像相関法と同じアルゴリズムを用いる。一例を挙げる。いま、基準高さ分布を表す関数をF、比較対象高さ分布を表す関数をGとしたとき、関数Fと関数Gとの相関の強さを表す相関係数R(u,v)を例えば次の(3)式により求める。相関係数が採り得る値の範囲は−1≦R(u,v)≦1である。
【数1】
ここで、Sは注目領域、(x'L,x'L)は注目領域S内の座標、Fm,Gm はそれぞれ関数F、Gの平均値である。また(x'L+u,y'L+v)は座標(x'L,x'L)の移動後の座標である。
【0043】
上述したように比較領域を走査領域内で移動させる毎に上記(3)式により相関係数R(u,v)を求めることにより、走査領域よりも一回り小さい領域に図5(a)に示すような相関係数の値の二次元分布が得られる。この二次元分布はx−y面上の座標位置毎の値である。高さ分布つまりは試料表面の三次元計測の水平方向の空間分解能が十分に高ければ、相関係数の二次元分布はほぼ曲面形状になる。しかしながら、一般に上述したような各種の表面分析装置による、試料表面三次元計測の水平方向の空間分解能は垂直方向の空間分解能に比べて低い。そこで、上記のように求めた相関係数を用いて、x−y面上で隣接する座標位置の間の連続的な(実際にはより微小間隔毎の離散的な)位置における相関係数を平滑化処理により求めることで、相関係数を連続化する(ステップS8)。相関係数の連続化は、例えば上記非特許文献3に記載の技術を利用して行うことができる。
【0044】
相関係数の連続化の一例を説明する。いま、x−y面上で或る座標位置を(uL,vL)=(0,0)とし、この周囲に隣接する座標位置を図6に示すように−1、0、1で表すものとする。このとき、(uL,vL)=(0,0)である座標位置とそれに隣接する座標位置との間の連続的な相関係数を次の(4)式で求めるようにする。
R(uL,vL)=a0+a1uL+a2vL+a3uLvL+a4uL2+a5vL2 …(4)
ここで、−1≦R(uL,vL)≦1、−1≦uL≦1、−1≦vL≦1、である。a0、a1、a2、a3、a4、a5は最小二乗法により決定される係数であり、上記の相関係数の分布で得られた値を(4)式に入れて計算することができる。
【0045】
このような相関係数の連続化処理を行うことで、図5(a)に示すような相関係数の二次元分布は、図5(b)に示すような滑らかな曲面で近似される。これにより、試料表面の三次元計測の水平方向の空間分解能が或る程度悪くても、水平方向の分解能が高い相関係数分布を求めることができる。そうして求めた相関係数分布において、最大の相関係数を与える位置を探索する(ステップS9)。上述したように相関係数分布は連続化されているから、相関係数が最大になる位置は必ずしも離散的な座標位置上であるとは限らない。最大の相関係数を与える位置が見つかったならば、そこが比較対象試料において注目点POIと同一点であり、それを囲む領域が注目領域ROIであると決定する(ステップS10)。
【0046】
但し、相関係数の最大値が小さな値である場合や相関係数の最大値を与える明確なピークが現れない場合には、同一点及び同一領域がないと判断するようにしてもよい。
以上のような手順により、比較対象試料の表面上で、基準試料の表面上に設定された注目点及び注目領域と同一である点や領域を精度よく見つけることができる。
【0047】
次に上記の同一部位検出処理を実際の試料に適用した実験例について説明する。
この実験では、試料として5mm×5mm×10mmの四角柱形状の純チタン試験片を用い、これに、力学的試験を実行する前に通常行われる表面処理である、機械研磨、熱処理、電解研磨、及び化学腐食を行った。デジタルホログラフィック顕微鏡(スイスLyncee Tec社製 DHM R1000)を用いて計測した、同一試料の異なる部位の表面凹凸プロファイルの例を図7に示す。
【0048】
この図に示した範囲は一辺が約20〜30μmであり、高さの差は数十nm程度である。上記のような平坦化のための表面処理を施しても、ナノメートルオーダでは明瞭な凹凸プロファイルが現れており、しかもその凹凸プロファイルは部位毎に異なっていることが分かる。即ち、この凹凸プロファイルは人間の指紋と同様に取り扱うことができるものであり、これを利用して、試料上の同一点の探索や同一試料であることの検証・認証が可能となる。
【0049】
図8は上記デジタルホログラフィック顕微鏡を用いて計測した、無負荷状態における同一試料の表面凹凸プロファイルをもとに上記手法による同一点探索を実施した結果を示す画像であって、(a)が基準高さ分布を有する表面観察画像、(b)が比較対象高さ分布を有する表面観察画像である。同一点探索条件は、全測定領域のサイズ:700×700ピクセル、注目領域ROIのサイズ:40×40ピクセル、注目点POI:注目領域の中心点、走査領域のサイズ:80×80ピクセル、である。この例では基準高さ分布上に設定した23個の注目点について同一点探索を実施しているが、その全てについて同じ箇所が比較対象高さ分布上で検出されている。図9はこのときの三次元計測画像であって、(a)が基準高さ分布の注目点[1]周辺の画像、(b)が比較対象高さ分布で探索結果点周辺の画像である。この図から、両者が同一の凹凸パターンであることが分かる。
この結果から、上記の同一部位探索処理が有効であることが確認できる。
【0050】
一方、図10は、圧縮負荷試験前後における同一試料の表面凹凸プロファイルをもとに上記手法による同一点探索を実施した結果を示す画像であって、(a)が基準高さ分布(負荷試験前)、(b)が比較対象高さ分布(負荷試験後)である。同一点探索条件は上述の無負荷の場合と同じである。この例でも基準高さ分布上に設定した23個の注目点について同一点探索を実施しているが、その全てについて類似の箇所が比較対象高さ分布上で的確に検出されていることが分かる。図11はこのときの三次元計測画像であって、(a)が基準高さ分布の注目点[1]周辺の画像、(b)が比較対象高さ分布で探索結果点周辺の画像である。この図から、きわめて類似した凹凸パターンであることが分かる。
以上のことから、上記の同一部位探索処理は試料に負荷が掛かって或る程度の変形が生じた状態であっても、十分に有効であることが確認できる。
【0051】
次に、本発明に係る特定部位検出方法を用いた試料分析装置の実施例を説明する。図12はこの実施例による試料分析装置の概略ブロック構成図である。
【0052】
この試料分析装置は、試料ステージ1上に載置された試料2に対して三次元形状データを取得するとともに撮像を行う計測部3と、計測部3で得られた三次元形状データに基づいて高さ分布を形成する三次元計測データ処理部5と、計測部3で撮像された画像信号を処理する観察画像処理部4と、基準高さ分布を記憶する基準高さ情報記憶部7と、基準高さ分布と比較対象高さ分布とから上述したような連続化された相関係数分布を算出する高さ相関処理部6と、相関係数分布に基づいて同一点や同一領域を探索する同一点検出部8と、試料ステージ1を少なくともx軸方向及びy軸方向(通常はさらにこれら二軸に直交するz軸方向にも)に所定範囲内で移動させるモータ等を含むステージ駆動部9と、各種制御を実行する制御部10と、ユーザが操作するための操作部11と、表示部12と、を備える。計測部3は試料2の表面の三次元形状のデータが取得可能であればその計測手法は問わないが、例えば、走査型プローブ顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、又はデジタルホログラフィック顕微鏡などによる計測手法を用いることができる。
【0053】
この試料分析装置による特徴的な動作を、図14を参照して以下に説明する。
即ち、試料ステージ1上に試料2が載置されると、計測部3は試料2に対する計測を実行し、三次元計測データ処理部5は三次元計測データに基づいて試料2上の所定範囲の凹凸プロファイル(高さ分布)を求める。これと並行して観察画像処理部4は例えば試料2上の所定範囲の光学的観察画像を形成する。この光学的観察画像は制御部10により表示部12の画面上に表示され、測定者はこの観察画像を見ながら操作部11により観察ポイントを指定する。
【0054】
いま、例えば図14(a)に示すように、試料ステージ1上の試料載置範囲30内に試料2が載置され、その中の観察視野31の範囲だけが光学的観察画像として表示部12の画面上に表示されているものとする。この観察視野31の位置は固定される一方、試料載置範囲30及び試料2は試料ステージ1の移動に伴って移動可能であるから、試料ステージ1を移動させると試料2上で観察視野31に収まる部位が変化する。つまり、試料ステージ1を適宜に移動させることで、測定者は試料2上の任意の部位を観察することができる。また観察視野31の大きさは倍率により相違し、倍率を上げれば観察視野31は小さくなる。ここでは、図14(a)において、点32で示す位置を測定者が観察ポイントとして設定したものとする。
【0055】
観察ポイントが指定されると制御部10は、試料ステージ9の位置を定めるステージ座標上での観察ポイントに対応した座標位置を求め、高さ相関処理部6に通知する。高さ相関処理部6は高さ分布の中で観察ポイントに対応した位置を求め、これを注目点としてその周りに所定の大きさの注目領域を設定する。そしてその注目領域内に収まる高さ分布を抽出し、これを基準高さ分布として基準高さ情報記憶部7に保存する。
【0056】
測定者が試料2の計測や観察を終了して一旦、その試料2を試料ステージ1から取り出したあと、再び同じ試料(試料が同一であれば負荷試験等により或る程度の変形があってもよい)2を試料ステージ1上に載置して観察を行う場合を考える。このとき、試料ステージ1上での試料2の載置位置は、多くの場合、1回目の測定時と同一とはならず、図14(b)に示すように位置ズレ(ここではx−y面上で平行移動した状態の位置ズレを想定する)が生じる。このとき、測定者が先の観察ポイントを再び観察したい場合であっても、その観察ポイントが観察視野31から外れていることもあるし、観察画像上からはどこが観察ポイントであるかを見つけるのが難しいこともある。
【0057】
そこで、測定者が操作部11で観察ポイント追尾実行の指示を行うと、高さ相関処理部6は、そのときに三次元計測データ処理部5により作成された試料2表面の高さ分布を比較対象高さ分布とし、これと基準高さ情報記憶部7に保存されている基準高さ分布との相関係数分布を求める。同一点検出部8はその相関係数分布から注目点に対する同一点を探索し、その同一点の座標位置を制御部10に知らせる。この同一点の座標位置が現在の観察ポイントの座標位置であるから、制御部10において追尾移動量算出部100は上記同一点を観察視野31の中央まで移動させるためのx軸方向、y軸方向の移動量をそれぞれ算出し、これに応じてステージ駆動部9を制御して試料ステージ1を移動させる。これにより、図14(c)に示すように、試料ステージ1上の試料載置範囲は30a→30b、試料は2a→2bへ移動し、観察ポイントは32a→32bのように観察視野31の略中央に移動する。このようにして、試料2上の観察ポイントを観察視野31の範囲に収めるようにすることができる。
【0058】
上記説明は同一試料が試料ステージ1上に置き直されたことにより試料の載置位置がずれてしまった場合の例であるが、何らかの要因により試料自体又は試料上の観察ポイントが移動する場合でも、上記と同様にして観察ポイントに追従させることができる。試料自体又は試料上の観察ポイントの移動は自発的な移動、外的要因による移動、の両方が考えられる。前者としては例えばマイクロマシンの運動や動作などがある。また後者としては例えば熱等による膨張・圧縮などがある。また、試料ステージ1や試料2の位置自体には変化がなく、計測部3における温度変化などの要因により観察視野31自体がずれる(ドリフトする)ことにより観察ポイントから外れてしまう場合でもあっても、上記と同様にして観察視野を観察ポイントに追従させることができる。
【0059】
なお、図14に示した例は試料がx−y面上で平行移動する位置ズレを想定していたが、z軸周りの回転による位置ズレがあってもその成分が小さければ上記のようなx軸方向及びy軸方向の移動のみで対応可能である。一方、z軸周りの回転成分が或る程度大きな場合には、試料ステージ1をz軸周りに回動可能な構成としておき、同一部位探索の際にz軸周りに所定微小角度ずつ回転させたときの相関係数分布を求めるような処理を追加すればよい。
【0060】
図13は本発明に係る特定部位検出方法を用いた他の実施例による試料分析装置の概略ブロック構成図である。図12に示した試料分析装置と基本的には同じ構成であるが、基準高さ情報記憶部7に代えて正規品高さ情報記憶部20を設け、制御部10は追尾移動量算出部100に代えて正規品識別部101を備える。
【0061】
この試料分析装置は、或る種の製品の正規品に予め特徴的な凹凸プロファイルを形成しておき、この凹凸プロファイルと同じ凹凸プロファイルを有するか否かを調べることにより、製品が正規品であるか偽造品であるかを識別するものである。この場合、上記の特徴的な凹凸プロファイルを基準高さ分布として正規品高さ情報記憶部20に保存しておく。検査対象の製品が試料2として試料ステージ1上に置かれ、検査実行が指示されると、高さ相関処理部6は、そのときに三次元計測データ処理部5により作成された試料2の表面の高さ分布を比較対象高さ分布とし、これと正規品高さ情報記憶部20に保存されている基準高さ分布との相関係数分布を求める。同一点検出部8はその相関係数分布から特徴的な凹凸プロファイルと同一である領域を探索し、その探索結果を制御部10に知らせる。
【0062】
正規品は全て上記特徴的な凹凸プロファイルを有しているとの前提の下では、或る製品にこの凹凸プロファイルが見いだせない場合、この製品は偽造品の可能性が高いと判断できる。そこで、特徴的な凹凸プロファイルと同一である領域が見いだされたとの探索結果が同一点検出部8において得られた場合、正規品識別部101は、検査した試料2が正規品であるとの識別結果を表示部12に表示させる。一方、特徴的な凹凸プロファイルと同一である領域が見いだせないとの探索結果が得られた場合には、正規品識別部101は検査した試料2が偽造品であるとの識別結果を表示部12に表示させる。
【0063】
また、上記のような特徴的な凹凸プロファイルを用いた製品の確認・評価は、正規品/偽造品の識別以外に様々な用途に利用することができる。例えば、製品の種別毎、或いは同じ製品でも製造工場毎に異なる特徴的な凹凸プロファイルを製品の表面に形成しておくことにより、この特徴的な凹凸プロファイルを識別して製品の種別や製造工場を特定することが可能となる。つまりは、凹凸プロファイルを製品タグとして利用したり、或いは製品のトレーサビリティに利用したりすることができる。
【0064】
さらにまた、上記の実験例で示したように、負荷試験前の試料表面において複数の注目点を設定し、負荷試験後にそれら複数の注目点とそれぞれ同一である点を探索して、各注目点の移動量や移動方向を求めれば、負荷試験による試料の変形の定量評価を行うことができる。
【0065】
なお、上記実施例は本発明の一例であるから、上記に記載した以外の点において、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても、本願発明に包含されることは明らかである。
【符号の説明】
【0066】
1…試料ステージ
2…試料
3…計測部
4…観察画像処理部
5…三次元計測データ処理部
6…高さ相関処理部
7…基準高さ情報記憶部
8…同一点検出部
9…ステージ駆動部
10…制御部
100…追尾移動量算出部
101…正規品識別部
11…操作部
12…表示部
20…正規品高さ情報記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料上の特定部位を検出する方法に関し、さらに詳しくは、試料の表面形状の測定・観察結果に基づいて試料表面上の特定部位を検出する方法に関する。また、本発明は、その特定部位検出方法を用いた顕微鏡などの試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体分野やマイクロマシン分野などにおける急速な技術の進展に伴い、金属材料や非金属材料の微視的な変形挙動の評価や解析の重要性が増している。従来、橋梁などの構造体や或る程度大きな金属製試料の歪みや変形などを解析するための手法はいくつか知られているが、その一つに、デジタル画像相関法(Digital Image Correlation=DIC)と呼ばれる手法がある(非特許文献1〜3、特許文献1など参照)。デジタル画像相関法では、変形前の試料のデジタル画像と変形後の試料のデジタル画像とを取得し、画素単位の輝度(つまり濃淡)情報を用いて相関係数を計算することで、変形前の試料上の或る計測点が変形後に試料上のどの位置に移動したのかを把握し(つまり変形前後での同一点探索を実行し)、これに基づいて変形に関する情報を得る。
【0003】
上記のようなデジタル画像相関法による同一点探索技術は、顕微鏡により得られる観察画像にも適用可能である。しかしながら、デジタル画像相関法を適用するには、試料の表面に輝度画像で判別が可能な、何らかの模様が必要である。それ故に、もともとそうした模様が試料表面にある場合はよいが、模様がない場合や不明瞭である場合には、塗料の塗布・吹き付けやレーザ光などを用いた着色、部分的な材料の除去、圧痕導入などの力学的変形といった手法によって試料表面にマーキングを施す、つまり意図的に模様を付ける必要がある。そのため、こうしたマーキングを施すことが困難又は不可能であって、輝度画像で判別が可能な模様が表面にない試料については、デジタル画像相関法による同一点探索を行うことができないという制約がある。
【0004】
一方、従来より、試料台上に載置又は収容された小形の試料の表面形状を非常に高い倍率で観察したり測定したりするために、走査型プローブ顕微鏡(SPM=Scanning Probe Microscope)、走査型共焦点レーザ顕微鏡、デジタルホログラフィック顕微鏡など、各種の表面分析装置が知られている(非特許文献4、5参照)。これら装置は測定原理は異なるものの、いずれも、試料表面の凹凸のプロファイル、つまり試料表面の三次元形状情報を取得することができる。しかしながら、試料表面の、特に垂直方向(高さ方向)に高い分解能を有する三次元形状を観測することはできるものの、この観測結果から試料の変形状態を把握するのは困難である。また、上記のような従来の各種装置は、そうした機能も持ち合わせていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−329628号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】チョウ(T. C. Chou)ほか3名、「アプリケイションズ・オブ・デジタル−イメージ−コリレイション・テクニクス・トゥー・エクスペリメンタル・メカニクス(Applications of Digital-Image-Correlation Techniques to Experimental Mechanics)」、エクスペリメンタル・メカニクス(Experimental Mechanics)、Vol. 25、 No. 3、 pp. 232-244(1985)
【非特許文献2】西川、「デジタル画像相関法による全視野微小変移分布計測」、非破壊検査、第54巻、3号、pp. 132-138(2005)
【非特許文献3】パン(B. Pan)ほか3名、「パフォーマンス・オブ・サブ−ピクセル・レジストレイション・アルゴリズムズ・イン・デジタル・イメージ・コリレイション(Performance of Sub-Pixel Registration Algorithms in Digital Image Correlation)」、メジャーメント・サイエンス・アンド・テクノロジー(Measurement Science and Technology)、Vol. 17、 No. 6、 pp. 1615-1621(2006)
【非特許文献4】宮本、伊藤、「走査型レーザ顕微鏡/走査型プローブ顕微鏡複合装置の技術と応用」、月刊トライボロジー、2005年7月号、pp. 30-33
【非特許文献5】「DHM 1000 Family」、愛知産業株式会社、[online]、[平成21年2月25日検索]、インターネット <URL: http://www.aichi-sangyo.co.jp/product/lyncee_tec/Lyncee_DHM1000_J.AS.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その主な目的とするところは、試料表面に意図的なマーキングを施すことなく、高い精度で同一点探索を行うことができる特定部位検出方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的とするところは、上記のような特定部位検出方法を利用して、例えば試料上の微視的な変形挙動の評価や解析を行うことができる、或いは、試料上の或る領域を連続的に観察する際にドリフト等による意図せぬ視野ずれが生じることを防止する等、新たな機能を付加した試料分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係る特定部位検出方法は、試料の表面形状の測定結果に基づいて該試料上の特定部位を検出する特定部位検出方法であって、
a)目的試料の表面高さの二次元分布である比較対象高さ分布を計測する高さ分布計測ステップと、
b)特定部位検出の基準となる、所定領域における表面高さの二次元分布である基準高さ分布を取得する基準高さ分布取得ステップと、
c)前記基準高さ分布と、前記比較対象高さ分布の中で前記所定領域と同じ大きさの比較領域における高さ分布と、についての相関を示す指標値を、前記所定領域の位置を比較対象高さ分布の中で移動させつつそれぞれ計算することにより、両高さ分布の相関を示す指標値の分布を求める高さ相関取得ステップと、
d)前記両高さ分布の相関を示す指標値分布を用いて、前記比較対象高さ分布の中で最大の相関を与える位置を見いだして該位置を特定部位であると認識する認識ステップと、
を有することを特徴としている。
【0010】
ここで特定部位とは、例えば、ユーザ(測定者等)が関心を有していてユーザ自身により指定される注目部位、試料を特徴付けるのに都合がよい又は試料の変形などの挙動を調べるのに都合がよいために自動的に設定される部位、などである。
【0011】
上記基準高さ分布取得ステップは、高さ分布計測ステップと同様に、目的試料の表面高さの二次元分布(つまりは試料表面形状の三次元分布)を計測して高さ分布を求めるものであってもよいし、或いは、基準高さ分布データが予め作成され格納されている記憶部などから、そのデータを読み出すことにより基準高さ分布を求めるものであってもよい。
【0012】
本発明に係る特定部位検出方法において、二つの高さ分布からその相関を示す指標値を算出するために、従来から知られているデジタル画像相関法の手法を利用することができる。即ち、本発明に係る特定部位検出方法において、前記高さ相関取得ステップは、試料表面上の各微小位置の高さの値で構成される高さ分布画像データに対し、デジタル画像相関法と同等のアルゴリズムを適用することにより、相関を示す指標値としての相関係数の分布を求めるようにすることができる。
【0013】
前述のようにデジタル画像相関法では、画素値(輝度値)が二次元的に配列された二枚のデジタル画像の相関性を求めることで対象物の変形や歪みなどを調べるが、本発明に係る特定部位検出方法では、画素値が高さ値に置き換えられた画像、つまり高さ分布画像を処理対象としてデジタル画像相関法と同等のアルゴリズムを適用して相関係数の分布を求めればよい。
【0014】
但し、高さ分布計測ステップにおいて高さ分布の計測を行う際に目的試料の試料表面全体が傾いていたり湾曲していたりすると、得られた高さ分布は試料表面の本来の凹凸の状態を表したものではなく、局所的な凹凸の相関を調べる際に正確性を損なう要因となる。そこで、本発明に係る特定部位検出方法では、高さ分布計測ステップ及び基準高さ分布取得ステップにより得られた高さ分布に対し、その高さの基準面の傾きや曲がりを補正する平面補正処理ステップをさらに含むようにすることが好ましい。
【0015】
これによれば、基準高さ分布及び比較対象高さ分布の基準面が一致する(同一平面になる)ので、高さ相関取得ステップにおいて、本来の試料表面の局所的な凹凸を反映した高さ分布の相関を求めることができる。それによって、相関性の指標値分布の精度が向上するので、特定部位の探索の精度も向上する。なお、例えば後述するような各種顕微鏡を用いて試料表面の三次元形状を計測する場合には、試料表面全体の傾きなどの補正が既になされた三次元形状データが得られることもある。
【0016】
また本発明に係る特定部位検出方法では、好ましくは、空間的に隣接する微小領域における相関係数を用いて、その隣接する微小領域の間の相関係数を連続化する連続化処理ステップさらに含むようにするとよい。ここでいう「連続化」とは平滑化又はスムージングと言い換えることができる。
【0017】
即ち、上記「連続化」がなされる前の相関係数の分布の空間分解能(水平方向の分解能)は、元の高さ分布の水平方向の空間分解能で決まる。これに対し連続化処理を行うと、高さ分布において高さ情報が得られている座標位置だけでなく、実際には高さ情報が得られていない位置に対しても相関係数が求められるので、実質的に水平方向の空間分解能を上げる効果が得られる。それにより、高い精度でもって最大の相関係数を与える位置を見いだすことができるので、同一点探索の精度も向上する。
【0018】
本発明に係る特定部位検出方法を利用することにより、試料に対する様々な分析が可能である。ここでいう分析は、試料に関する各種の物理量の測定・計測にとどまらず、試料表面の観察、試料の同定(或る試料が他の試料と同一であるか否かの判定)、なども含む。
【0019】
本発明に係る特定部位検出方法を用いた第1の態様の試料分析装置は、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
第1の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる表面高さの二次元分布の中で、注目点の周りの注目領域を前記所定領域として設定して前記基準高さ分布を取得し記憶する基準高さ分布記憶手段と、
第1の時点から時間が経過した第2の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている基準高さ分布との相関を示す指標の分布を求める高さ相関算出手段と、
前記高さ相関算出手段で得られた相関を示す指標分布を用いて、第2の時点における目的試料上の前記注目点の位置を見つける同一点検出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0020】
上記第1の態様及び以下の各態様の試料分析装置において、高さ分布計測手段は、例えば、デジタルホログラフィック顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、又は走査型プローブ顕微鏡のいずれかとすることができる。当然のことながら、垂直方向、つまり試料表面の高さ方向の空間分解能は高いことが望ましい。例えば高さ方向の空間分解能がナノメータレベルであれば、高さ分布(試料表面の凹凸プロファイル)には原子配列が反映されるから、単に形状だけでなく試料の組成を反映した試料同定も可能である。
【0021】
第1の態様の試料分析装置では、同一試料(目的試料)について第1の時点とそれから時間を経た第2の時点とで同一点探索が実行される。例えば、第1の時点において測定者が試料表面の高さ分布で或る位置を注目点として指定すると、それから時間を経た第2の時点において同一試料上で上記注目点が探索される。例えば、1つの試料を第1の時点で当該試料分析装置で観察したあとに試料を一旦取り外し、それから再び同じ試料を当該試料分析装置に装着して観察する際に、試料を装着する位置がずれていても、速やかに先の第1の時点における観察箇所を見つけて観察を行うことができる。
【0022】
こうした目的のためには、第1の態様の試料分析装置が、
試料の表面観察画像を取得する画像取得手段と、
第2の時点において前記画像取得手段により取得される前記目的試料の表面観察画像上で、前記同一点検出手段により検出された注目点の位置を表示する特定位置表示手段と、
をさらに備える構成とするとよい。
【0023】
また第1の態様の試料分析装置は、
試料の表面観察画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段による表面観察画像の位置を変更するべく、試料又は該画像取得手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段と、
第2の時点において前記画像取得手段により前記目的試料の表面観察画像を得る際に、前記同一点検出手段により検出された注目点が画像上で所定の位置に来るように又は所定範囲に入るように前記移動手段を制御する追尾制御手段と、
をさらに備える構成とすることもできる。
【0024】
上記移動手段は一般的には、試料が載置される又は試料を保持する試料ステージを移動させる手段である。上記構成の試料分析装置によれば、例えば測定者が注目する試料上の箇所が移動してもその箇所が観察できるように、自動的に位置の追尾が実行される。したがって、例えば上述したように試料が一旦装置から取り外されて再び装着されたときでも、取り外し前に観察していた箇所を自動的に探してその箇所の観察が可能なように観察視野を設定することができる。また、例えば試料の変形、膨張・収縮、或いは観察対象物の自発的な移動など、時間経過に伴って試料上の注目点の位置が移動する場合でも、それが観察視野から外れないように常に追従させることも可能になる。
【0025】
また本発明に係る特定部位検出方法を用いた第2の態様による試料分析装置は、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
試料を特徴付ける部位を特定部位とし、それに対応する基準高さ分布を記憶しておく基準高さ分布記憶手段と、
目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている基準高さ分布との相関を示す指標の分布を求める高さ相関算出手段と、
前記高さ相関算出手段で得られた相関を示す指標分布を用いて、目的試料上、目的試料上の特定位置、又は目的試料上の特定領域内に、前記試料を特徴付ける部位が存在するか否かを判断する特定部位検出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0026】
ここで「試料を特徴付ける部位」とは、もともと試料が有している特徴的な表面形状(表面の凹凸プロファイル)であってもよいし、或いは、ユーザなどが意図的に施したマーキングによる凹凸プロファイルであってもよい。
【0027】
上記「試料を特徴付ける部位」が他の試料にはないものであれば、第2の態様の試料分析装置を用いて、或る唯一の試料を見つける(同定する)ことができる。また、正規品のみが「試料を特徴付ける部位」を有しているのであれば、第2の態様の試料分析装置を用いて、正規品と類似品(偽造品)とを識別することができる。さらにまた、或る製品の製造者が意図的に特有のマーキングである凹凸プロファイルを製品に施せば、これを一種の製品のタグとして利用することができる。また、製品の流通段階でのトレーサビリティの把握などに利用することもできる。この場合、第2の態様の試料分析装置はタグを読み取るタグリーダとして機能する。
【0028】
上記のような目的のためには、第2の態様の試料分析装置が、
前記特定部位検出手段による判断結果に応じて、前記目的試料が基準試料と同一又は同等であるか否かを表示する表示手段をさらに備える構成とするとよい。
【0029】
また本発明に係る特定部位検出方法を用いた第3の態様による試料分析装置は、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
第1の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる表面高さの二次元分布の中で、複数の注目点の周りの注目領域を前記所定領域として設定して前記基準高さ分布をそれぞれ取得し記憶する基準高さ分布記憶手段と、
第1の時点から時間が経過した第2の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている複数の基準高さ分布との相関を示す指標の分布をそれぞれ求める高さ相関算出手段と、
前記相関を示す指標分布を用いて、第2の時点における目的試料上の複数の注目点の位置をそれぞれ見つける同一点検出手段と、
第1の時点における前記複数の注目点の位置と前記同一点検出手段により見いだされた複数の注目点との位置とから同一注目点の移動量及び移動方向を算出し、それに基づき、第1の時点から第2の時点までの試料の変形や変位に関する情報を求める変位検出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0030】
第3の態様による試料分析装置によれば、機械的な負荷を試料に掛けることで変形が生じたときの、或いは熱等の機械的な負荷以外のストレスによる試料の膨張や収縮が生じたときの、試料の変形の解析や評価を定量的に行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る特定部位検出方法によれば、その試料がもともと持つ表面高さの情報を利用して、同一点や同一領域を探索することができる。一般的に、金属、非金属に拘わらず、各種の材料からなる試料の表面は、平滑化のための加工や処理が施されたものであっても、微視的には明瞭な凹凸が存在する。したがって、従来のデジタル画像相関法を利用した同一点探索とは異なり、輝度画像では識別ができないような試料表面に対しても同一点検出を行うことができる。そのため、試料に対し着色、材料除去、力学的変形などのマーキングを施す必要がなく、そうしたマーキングの労力や時間を省くことができる。また、マーキングを施すことが難しい又はできない試料についても、精度の高い同一点探察を行うことができる。
【0032】
また本発明に係る特定部位検出方法を用いた試料分析装置によれば、走査型プローブ顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、デジタルホログラフィック顕微鏡などの各種の表面分析装置に、従来にない新たな機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る特定部位検出方法の一形態である同一部位検出処理の実施手順を示すフローチャート。
【図2】平面補正処理の概念図。
【図3】基準高さ分布における注目点及び注目領域の概念図。
【図4】走査領域内における比較領域の移動及び相関計算の概念図。
【図5】相関係数の連続化処理の概念図。
【図6】相関係数の連続化処理の説明図。
【図7】同一試料の異なる部位の表面凹凸プロファイルを示す図。
【図8】無負荷試験片を用いた同一領域探索の一例の説明図。
【図9】無負荷試験片を用いた同一領域探索の一例の説明図。
【図10】負荷試験片を用いた同一領域探索の一例の説明図。
【図11】負荷試験片を用いた同一領域探索の一例の説明図。
【図12】本発明に係る特定部位検出方法を用いた試料分析装置の一実施例の概略ブロック構成図。
【図13】本発明に係る特定部位検出方法を用いた試料分析装置の他の実施例の概略ブロック構成図。
【図14】一実施例の試料分析装置における測定動作の一例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
まず本発明に係る特定部位検出方法の一実施形態について説明する。この実施形態は、基準試料上の或る点又は領域と同一である、比較対象試料上の点又は領域を探索する同一部位検出処理を行うものである。
【0035】
なお、ここでいう「基準試料」及び「比較対象試料」は異なる試料である場合もあるが、同じ試料であってもよい。例えば、試料の変形や試料の移動などの計測においては、そうした変形や移動が生じる前の試料が基準試料であり、同一の試料であって変形や移動が生じた後の該試料が比較対象試料となる。また、比較対象試料が正規品であるか或いは偽造品であるのかを調べるような用途では、基準試料と比較対象試料とは異なる試料であり、基準試料は正規品又は正規品と同等の標準品である。
【0036】
図1はこの実施形態による同一部位検出処理の実施手順を示すフローチャートである。
まず最初の工程として、基準試料の表面の高さの二次元分布と、比較対象試料の表面の高さの二次元分布をそれぞれ取得する(ステップS1、S2)。ここでは、比較対象試料表面の高さの二次元分布を比較対象高さ分布という。このような試料表面の高さ分布を取得するために、前述のデジタルホログラフィック顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡などを用いることができる。試料表面の高さ情報は、水平面であるx−y面を形成する互いに直交するx軸及びy軸にそれぞれ離散的な座標を持つ位置における情報である。したがって、高さ分布は例えば図4(a)に示すように、三次元的なヒストグラム様になる。
【0037】
次に、ステップS1、S2で取得された二つの高さ分布に対し、高さの基準面を揃えるために平面補正処理を実施する(ステップS3)。これは、ここで問題としている局所的な試料表面の凹凸とは異なる要素、例えば、試料表面全体の傾斜や局所的な凹凸とは異なる試料表面の大きな湾曲など、を除外するための処理である。図2は平面補正処理の概念を示す図であり、(a)は平面補正前の高さ分布、(b)は平面補正後の高さ分布を示す図である。
【0038】
いま、図2(a)に示すように、高さ分布の基準面がx'−y'面に対して傾いている状態を想定する。このとき、例えば次のような演算処理により、高さ分布の本質を反映しない平均傾斜の影響を除去することができる。
即ち、基準面Gstd(x',y')は次の(1)式で近似できる。
Gstd(x',y')=Lx'+my'+n …(1)
x'−y'面上の座標(xi',yi')における実高度値をG(xi',yi')、基準面Gstd(x',y')上での値をGstd(xi',yi')とすると、平面補正後の各座標における高さdiは、
di=G(xi',yi')−Gstd(xi',yi')
である。基準面Gstd(x',y')がx'−y'面と一致するように平面補正がなされた状態では平面傾斜の影響は除去されるから、基準面と実高度値との差diの二乗和が最小となると考えるのが妥当である。そこで、diの二乗和が最小になるように(1)式の定数L、m、nを決める。つまり、次の(2)式で表される、定数L、m、nに関する連立一次方程式を解くことでL、m、nを求める。
(∂/∂L)Σdi2=(∂/∂m)Σdi2=(∂/∂n)Σdi2=0 …(2)
(ここでΣはiについての総和を表す)
最小二乗法については周知であり、ここでは詳細には説明しない。
上記演算により基準面Gstd(x',y')が求まるから、これに基づいて各座標位置の高さG(xn',yn')を修正することにより、図2(b)に示すような高さ分布を求めることができる。
なお、基準面がx'−y'面に対して単純に傾斜しているのではなく湾曲している場合には平面補正は複雑になるが、多くの場合、上記のような傾斜のみを考慮すれば十分である。
【0039】
次に、平面補正がなされた基準高さ分布の中で、図3に示すように、注目点(POI)及び注目領域(ROI)を設定する(ステップS4)。いま、ここでは注目領域は矩形状であり、注目点はその注目領域の略中心に設定されている場合を考える。注目領域が小さすぎると、後述する相関係数計算の際に比較領域と同一部位でないにも拘わらず相関が高いと判断され、偽検出となるおそれが高くなる。逆に、注目領域を広くしすぎると、偽検出は避けられるものの、実際には同一部位であるにも拘わらず相関が低いと判断される見逃しが発生し易い。したがって、注目領域の広さはそのときの試料表面の凹凸状態などに応じて適宜に決めることが望ましい。図3の例では、図中に示す注目領域が設定されると、斜線で示す高さ分布が抽出され、これが基準高さ分布となる。
【0040】
続いて、図4(a)に示すように、比較対象高さ分布において走査領域を設定する(ステップS5)。走査領域とは、比較対象高さ分布が得られている領域の中で、上記注目領域と同様の(つまり相関性が高い)高さ分布を有する領域を探索する範囲である。この走査領域が広いほど相関係数の算出等の演算量が増加するため、同一部位の探索処理に時間を要する。一方、同一部位の探索はこの走査領域の範囲内でしか行われないから、例えば試料の変形等によって位置が移動した同一点を見つけたい場合に、その移動先が確実に含まれるように走査領域を設定する必要がある。したがって、移動量や移動方向が不明である場合には、或る程度余裕をもって広めに走査領域を設定する。
【0041】
そして、図4(a)に示すように、比較対象高さ分布の中で上記注目領域ROIと同じx'−y'面上の大きさの比較領域を設定し、この比較領域を走査領域の範囲内で離散的に、つまり座標位置単位でステップ的に移動させながら(ステップS6)、比較領域に含まれる比較対象高さ分布と注目領域に含まれる基準高さ分布とを比較して、その高さ分布の相関係数を計算する(ステップS7)。図3及び図4の例では、注目領域ROIに含まれる基準高さ分布データの個数はx軸方向、y軸方向にそれぞれ3個ずつの、合計9個である(図4(b)参照)。したがって、比較領域に含まれる高さデータも同様に9個であり、図4(a)に示すように比較領域を、x軸方向及びy軸方向に隣接する9個の比較対象高さ分布データが含まれるようにステップ状に順次移動させてゆく。
【0042】
基準高さ分布データとこれと同数の比較対象高さ分布データとの相関係数の計算、及びその計算結果に基づく同一点探索には、デジタル画像相関法と同じアルゴリズムを用いる。一例を挙げる。いま、基準高さ分布を表す関数をF、比較対象高さ分布を表す関数をGとしたとき、関数Fと関数Gとの相関の強さを表す相関係数R(u,v)を例えば次の(3)式により求める。相関係数が採り得る値の範囲は−1≦R(u,v)≦1である。
【数1】
ここで、Sは注目領域、(x'L,x'L)は注目領域S内の座標、Fm,Gm はそれぞれ関数F、Gの平均値である。また(x'L+u,y'L+v)は座標(x'L,x'L)の移動後の座標である。
【0043】
上述したように比較領域を走査領域内で移動させる毎に上記(3)式により相関係数R(u,v)を求めることにより、走査領域よりも一回り小さい領域に図5(a)に示すような相関係数の値の二次元分布が得られる。この二次元分布はx−y面上の座標位置毎の値である。高さ分布つまりは試料表面の三次元計測の水平方向の空間分解能が十分に高ければ、相関係数の二次元分布はほぼ曲面形状になる。しかしながら、一般に上述したような各種の表面分析装置による、試料表面三次元計測の水平方向の空間分解能は垂直方向の空間分解能に比べて低い。そこで、上記のように求めた相関係数を用いて、x−y面上で隣接する座標位置の間の連続的な(実際にはより微小間隔毎の離散的な)位置における相関係数を平滑化処理により求めることで、相関係数を連続化する(ステップS8)。相関係数の連続化は、例えば上記非特許文献3に記載の技術を利用して行うことができる。
【0044】
相関係数の連続化の一例を説明する。いま、x−y面上で或る座標位置を(uL,vL)=(0,0)とし、この周囲に隣接する座標位置を図6に示すように−1、0、1で表すものとする。このとき、(uL,vL)=(0,0)である座標位置とそれに隣接する座標位置との間の連続的な相関係数を次の(4)式で求めるようにする。
R(uL,vL)=a0+a1uL+a2vL+a3uLvL+a4uL2+a5vL2 …(4)
ここで、−1≦R(uL,vL)≦1、−1≦uL≦1、−1≦vL≦1、である。a0、a1、a2、a3、a4、a5は最小二乗法により決定される係数であり、上記の相関係数の分布で得られた値を(4)式に入れて計算することができる。
【0045】
このような相関係数の連続化処理を行うことで、図5(a)に示すような相関係数の二次元分布は、図5(b)に示すような滑らかな曲面で近似される。これにより、試料表面の三次元計測の水平方向の空間分解能が或る程度悪くても、水平方向の分解能が高い相関係数分布を求めることができる。そうして求めた相関係数分布において、最大の相関係数を与える位置を探索する(ステップS9)。上述したように相関係数分布は連続化されているから、相関係数が最大になる位置は必ずしも離散的な座標位置上であるとは限らない。最大の相関係数を与える位置が見つかったならば、そこが比較対象試料において注目点POIと同一点であり、それを囲む領域が注目領域ROIであると決定する(ステップS10)。
【0046】
但し、相関係数の最大値が小さな値である場合や相関係数の最大値を与える明確なピークが現れない場合には、同一点及び同一領域がないと判断するようにしてもよい。
以上のような手順により、比較対象試料の表面上で、基準試料の表面上に設定された注目点及び注目領域と同一である点や領域を精度よく見つけることができる。
【0047】
次に上記の同一部位検出処理を実際の試料に適用した実験例について説明する。
この実験では、試料として5mm×5mm×10mmの四角柱形状の純チタン試験片を用い、これに、力学的試験を実行する前に通常行われる表面処理である、機械研磨、熱処理、電解研磨、及び化学腐食を行った。デジタルホログラフィック顕微鏡(スイスLyncee Tec社製 DHM R1000)を用いて計測した、同一試料の異なる部位の表面凹凸プロファイルの例を図7に示す。
【0048】
この図に示した範囲は一辺が約20〜30μmであり、高さの差は数十nm程度である。上記のような平坦化のための表面処理を施しても、ナノメートルオーダでは明瞭な凹凸プロファイルが現れており、しかもその凹凸プロファイルは部位毎に異なっていることが分かる。即ち、この凹凸プロファイルは人間の指紋と同様に取り扱うことができるものであり、これを利用して、試料上の同一点の探索や同一試料であることの検証・認証が可能となる。
【0049】
図8は上記デジタルホログラフィック顕微鏡を用いて計測した、無負荷状態における同一試料の表面凹凸プロファイルをもとに上記手法による同一点探索を実施した結果を示す画像であって、(a)が基準高さ分布を有する表面観察画像、(b)が比較対象高さ分布を有する表面観察画像である。同一点探索条件は、全測定領域のサイズ:700×700ピクセル、注目領域ROIのサイズ:40×40ピクセル、注目点POI:注目領域の中心点、走査領域のサイズ:80×80ピクセル、である。この例では基準高さ分布上に設定した23個の注目点について同一点探索を実施しているが、その全てについて同じ箇所が比較対象高さ分布上で検出されている。図9はこのときの三次元計測画像であって、(a)が基準高さ分布の注目点[1]周辺の画像、(b)が比較対象高さ分布で探索結果点周辺の画像である。この図から、両者が同一の凹凸パターンであることが分かる。
この結果から、上記の同一部位探索処理が有効であることが確認できる。
【0050】
一方、図10は、圧縮負荷試験前後における同一試料の表面凹凸プロファイルをもとに上記手法による同一点探索を実施した結果を示す画像であって、(a)が基準高さ分布(負荷試験前)、(b)が比較対象高さ分布(負荷試験後)である。同一点探索条件は上述の無負荷の場合と同じである。この例でも基準高さ分布上に設定した23個の注目点について同一点探索を実施しているが、その全てについて類似の箇所が比較対象高さ分布上で的確に検出されていることが分かる。図11はこのときの三次元計測画像であって、(a)が基準高さ分布の注目点[1]周辺の画像、(b)が比較対象高さ分布で探索結果点周辺の画像である。この図から、きわめて類似した凹凸パターンであることが分かる。
以上のことから、上記の同一部位探索処理は試料に負荷が掛かって或る程度の変形が生じた状態であっても、十分に有効であることが確認できる。
【0051】
次に、本発明に係る特定部位検出方法を用いた試料分析装置の実施例を説明する。図12はこの実施例による試料分析装置の概略ブロック構成図である。
【0052】
この試料分析装置は、試料ステージ1上に載置された試料2に対して三次元形状データを取得するとともに撮像を行う計測部3と、計測部3で得られた三次元形状データに基づいて高さ分布を形成する三次元計測データ処理部5と、計測部3で撮像された画像信号を処理する観察画像処理部4と、基準高さ分布を記憶する基準高さ情報記憶部7と、基準高さ分布と比較対象高さ分布とから上述したような連続化された相関係数分布を算出する高さ相関処理部6と、相関係数分布に基づいて同一点や同一領域を探索する同一点検出部8と、試料ステージ1を少なくともx軸方向及びy軸方向(通常はさらにこれら二軸に直交するz軸方向にも)に所定範囲内で移動させるモータ等を含むステージ駆動部9と、各種制御を実行する制御部10と、ユーザが操作するための操作部11と、表示部12と、を備える。計測部3は試料2の表面の三次元形状のデータが取得可能であればその計測手法は問わないが、例えば、走査型プローブ顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、又はデジタルホログラフィック顕微鏡などによる計測手法を用いることができる。
【0053】
この試料分析装置による特徴的な動作を、図14を参照して以下に説明する。
即ち、試料ステージ1上に試料2が載置されると、計測部3は試料2に対する計測を実行し、三次元計測データ処理部5は三次元計測データに基づいて試料2上の所定範囲の凹凸プロファイル(高さ分布)を求める。これと並行して観察画像処理部4は例えば試料2上の所定範囲の光学的観察画像を形成する。この光学的観察画像は制御部10により表示部12の画面上に表示され、測定者はこの観察画像を見ながら操作部11により観察ポイントを指定する。
【0054】
いま、例えば図14(a)に示すように、試料ステージ1上の試料載置範囲30内に試料2が載置され、その中の観察視野31の範囲だけが光学的観察画像として表示部12の画面上に表示されているものとする。この観察視野31の位置は固定される一方、試料載置範囲30及び試料2は試料ステージ1の移動に伴って移動可能であるから、試料ステージ1を移動させると試料2上で観察視野31に収まる部位が変化する。つまり、試料ステージ1を適宜に移動させることで、測定者は試料2上の任意の部位を観察することができる。また観察視野31の大きさは倍率により相違し、倍率を上げれば観察視野31は小さくなる。ここでは、図14(a)において、点32で示す位置を測定者が観察ポイントとして設定したものとする。
【0055】
観察ポイントが指定されると制御部10は、試料ステージ9の位置を定めるステージ座標上での観察ポイントに対応した座標位置を求め、高さ相関処理部6に通知する。高さ相関処理部6は高さ分布の中で観察ポイントに対応した位置を求め、これを注目点としてその周りに所定の大きさの注目領域を設定する。そしてその注目領域内に収まる高さ分布を抽出し、これを基準高さ分布として基準高さ情報記憶部7に保存する。
【0056】
測定者が試料2の計測や観察を終了して一旦、その試料2を試料ステージ1から取り出したあと、再び同じ試料(試料が同一であれば負荷試験等により或る程度の変形があってもよい)2を試料ステージ1上に載置して観察を行う場合を考える。このとき、試料ステージ1上での試料2の載置位置は、多くの場合、1回目の測定時と同一とはならず、図14(b)に示すように位置ズレ(ここではx−y面上で平行移動した状態の位置ズレを想定する)が生じる。このとき、測定者が先の観察ポイントを再び観察したい場合であっても、その観察ポイントが観察視野31から外れていることもあるし、観察画像上からはどこが観察ポイントであるかを見つけるのが難しいこともある。
【0057】
そこで、測定者が操作部11で観察ポイント追尾実行の指示を行うと、高さ相関処理部6は、そのときに三次元計測データ処理部5により作成された試料2表面の高さ分布を比較対象高さ分布とし、これと基準高さ情報記憶部7に保存されている基準高さ分布との相関係数分布を求める。同一点検出部8はその相関係数分布から注目点に対する同一点を探索し、その同一点の座標位置を制御部10に知らせる。この同一点の座標位置が現在の観察ポイントの座標位置であるから、制御部10において追尾移動量算出部100は上記同一点を観察視野31の中央まで移動させるためのx軸方向、y軸方向の移動量をそれぞれ算出し、これに応じてステージ駆動部9を制御して試料ステージ1を移動させる。これにより、図14(c)に示すように、試料ステージ1上の試料載置範囲は30a→30b、試料は2a→2bへ移動し、観察ポイントは32a→32bのように観察視野31の略中央に移動する。このようにして、試料2上の観察ポイントを観察視野31の範囲に収めるようにすることができる。
【0058】
上記説明は同一試料が試料ステージ1上に置き直されたことにより試料の載置位置がずれてしまった場合の例であるが、何らかの要因により試料自体又は試料上の観察ポイントが移動する場合でも、上記と同様にして観察ポイントに追従させることができる。試料自体又は試料上の観察ポイントの移動は自発的な移動、外的要因による移動、の両方が考えられる。前者としては例えばマイクロマシンの運動や動作などがある。また後者としては例えば熱等による膨張・圧縮などがある。また、試料ステージ1や試料2の位置自体には変化がなく、計測部3における温度変化などの要因により観察視野31自体がずれる(ドリフトする)ことにより観察ポイントから外れてしまう場合でもあっても、上記と同様にして観察視野を観察ポイントに追従させることができる。
【0059】
なお、図14に示した例は試料がx−y面上で平行移動する位置ズレを想定していたが、z軸周りの回転による位置ズレがあってもその成分が小さければ上記のようなx軸方向及びy軸方向の移動のみで対応可能である。一方、z軸周りの回転成分が或る程度大きな場合には、試料ステージ1をz軸周りに回動可能な構成としておき、同一部位探索の際にz軸周りに所定微小角度ずつ回転させたときの相関係数分布を求めるような処理を追加すればよい。
【0060】
図13は本発明に係る特定部位検出方法を用いた他の実施例による試料分析装置の概略ブロック構成図である。図12に示した試料分析装置と基本的には同じ構成であるが、基準高さ情報記憶部7に代えて正規品高さ情報記憶部20を設け、制御部10は追尾移動量算出部100に代えて正規品識別部101を備える。
【0061】
この試料分析装置は、或る種の製品の正規品に予め特徴的な凹凸プロファイルを形成しておき、この凹凸プロファイルと同じ凹凸プロファイルを有するか否かを調べることにより、製品が正規品であるか偽造品であるかを識別するものである。この場合、上記の特徴的な凹凸プロファイルを基準高さ分布として正規品高さ情報記憶部20に保存しておく。検査対象の製品が試料2として試料ステージ1上に置かれ、検査実行が指示されると、高さ相関処理部6は、そのときに三次元計測データ処理部5により作成された試料2の表面の高さ分布を比較対象高さ分布とし、これと正規品高さ情報記憶部20に保存されている基準高さ分布との相関係数分布を求める。同一点検出部8はその相関係数分布から特徴的な凹凸プロファイルと同一である領域を探索し、その探索結果を制御部10に知らせる。
【0062】
正規品は全て上記特徴的な凹凸プロファイルを有しているとの前提の下では、或る製品にこの凹凸プロファイルが見いだせない場合、この製品は偽造品の可能性が高いと判断できる。そこで、特徴的な凹凸プロファイルと同一である領域が見いだされたとの探索結果が同一点検出部8において得られた場合、正規品識別部101は、検査した試料2が正規品であるとの識別結果を表示部12に表示させる。一方、特徴的な凹凸プロファイルと同一である領域が見いだせないとの探索結果が得られた場合には、正規品識別部101は検査した試料2が偽造品であるとの識別結果を表示部12に表示させる。
【0063】
また、上記のような特徴的な凹凸プロファイルを用いた製品の確認・評価は、正規品/偽造品の識別以外に様々な用途に利用することができる。例えば、製品の種別毎、或いは同じ製品でも製造工場毎に異なる特徴的な凹凸プロファイルを製品の表面に形成しておくことにより、この特徴的な凹凸プロファイルを識別して製品の種別や製造工場を特定することが可能となる。つまりは、凹凸プロファイルを製品タグとして利用したり、或いは製品のトレーサビリティに利用したりすることができる。
【0064】
さらにまた、上記の実験例で示したように、負荷試験前の試料表面において複数の注目点を設定し、負荷試験後にそれら複数の注目点とそれぞれ同一である点を探索して、各注目点の移動量や移動方向を求めれば、負荷試験による試料の変形の定量評価を行うことができる。
【0065】
なお、上記実施例は本発明の一例であるから、上記に記載した以外の点において、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても、本願発明に包含されることは明らかである。
【符号の説明】
【0066】
1…試料ステージ
2…試料
3…計測部
4…観察画像処理部
5…三次元計測データ処理部
6…高さ相関処理部
7…基準高さ情報記憶部
8…同一点検出部
9…ステージ駆動部
10…制御部
100…追尾移動量算出部
101…正規品識別部
11…操作部
12…表示部
20…正規品高さ情報記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の表面形状の測定結果に基づいて該試料上の特定部位を検出する特定部位検出方法であって、
a)目的試料の表面高さの二次元分布である比較対象高さ分布を計測する高さ分布計測ステップと、
b)特定部位検出の基準となる、所定領域における表面高さの二次元分布である基準高さ分布を取得する基準高さ分布取得ステップと、
c)前記基準高さ分布と、前記比較対象高さ分布の中で前記所定領域と同じ大きさの比較領域における高さ分布と、についての相関を示す指標値を、前記所定領域の位置を比較対象高さ分布の中で移動させつつそれぞれ計算することにより、両高さ分布の相関を示す指標値の分布を求める高さ相関取得ステップと、
d)前記両高さ分布の相関を示す指標値分布を用いて、前記比較対象高さ分布の中で最大の相関を与える位置を見いだして該位置を特定部位であると認識する認識ステップと、
を有することを特徴とする特定部位検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の特定部位検出方法であって、
前記高さ相関取得ステップは、試料表面上の各微小位置の高さの値で構成される高さ分布画像データに対し、デジタル画像相関法と同等のアルゴリズムを適用することにより、相関を示す指標値としての相関係数の分布を求めることを特徴とする特定部位検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の特定部位検出方法であって、
前記高さ分布計測ステップ及び前記基準高さ分布取得ステップにより得られた高さ分布に対し、その高さの基準面の傾き及び/又は曲がりを補正する平面補正処理ステップをさらに含むことを特徴とする特定部位検出方法。
【請求項4】
請求項2に記載の特定部位検出方法であって、
空間的に隣接する微小領域における相関係数を用いて、その隣接する微小領域の間の相関係数を連続化する連続化処理ステップさらに含むことを特徴とする特定部位検出方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の特定部位検出方法を用いた試料分析装置であって、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
第1の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる表面高さの二次元分布の中で、注目点の周りの注目領域を前記所定領域として設定して前記基準高さ分布を取得し記憶する基準高さ分布記憶手段と、
第1の時点から時間が経過した第2の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている基準高さ分布との相関を示す指標の分布を求める高さ相関算出手段と、
前記高さ相関算出手段で得られた相関を示す指標分布を用いて、第2の時点における目的試料上の前記注目点の位置を見つける同一点検出手段と、
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の試料分析装置であって、
試料の表面観察画像を取得する画像取得手段と、
第2の時点において前記画像取得手段により取得される前記目的試料の表面観察画像上で、前記同一点検出手段により検出された注目点の位置を表示する特定位置表示手段と、
をさらに備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項7】
請求項5に記載の試料分析装置であって、
試料の表面観察画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段による表面観察画像の位置を変更するべく、試料又は該画像取得手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段と、
第2の時点において前記画像取得手段により前記目的試料の表面観察画像を得る際に、前記同一点検出手段により検出された注目点が画像上で所定の位置に来るように又は所定範囲に入るように前記移動手段を制御する追尾制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする表面観察装置。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の特定部位検出方法を用いた試料分析装置であって、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
試料を特徴付ける部位を特定部位とし、それに対応する基準高さ分布を記憶しておく基準高さ分布記憶手段と、
目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている基準高さ分布との相関を示す指標の分布を求める高さ相関算出手段と、
前記高さ相関算出手段で得られた相関を示す指標分布を用いて、目的試料上、目的試料上の特定位置、又は目的試料上の特定領域内に、前記試料を特徴付ける部位が存在するか否かを判断する特定部位検出手段と、
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項9】
請求項8に記載の試料分析装置であって、
前記特定部位検出手段による判断結果に応じて、前記目的試料が基準試料と同一又は同等であるか否かを表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれかに記載の特定部位検出方法を用いた試料分析装置であって、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
第1の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる表面高さの二次元分布の中で、複数の注目点の周りの注目領域を前記所定領域として設定して前記基準高さ分布をそれぞれ取得し記憶する基準高さ分布記憶手段と、
第1の時点から時間が経過した第2の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている複数の基準高さ分布との相関を示す指標の分布をそれぞれ求める高さ相関算出手段と、
前記相関を示す指標分布を用いて、第2の時点における目的試料上の複数の注目点の位置をそれぞれ見つける同一点検出手段と、
第1の時点における前記複数の注目点の位置と前記同一点検出手段により見いだされた複数の注目点との位置とから同一注目点の移動量及び移動方向を算出し、それに基づき、第1の時点から第2の時点までの試料の変形や変位に関する情報を求める変位検出手段と、
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれかに記載の試料分析装置であって、
前記高さ分布計測手段は、デジタルホログラフィック顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、又は走査型プローブ顕微鏡のいずれかであることを特徴とする試料分析装置。
【請求項1】
試料の表面形状の測定結果に基づいて該試料上の特定部位を検出する特定部位検出方法であって、
a)目的試料の表面高さの二次元分布である比較対象高さ分布を計測する高さ分布計測ステップと、
b)特定部位検出の基準となる、所定領域における表面高さの二次元分布である基準高さ分布を取得する基準高さ分布取得ステップと、
c)前記基準高さ分布と、前記比較対象高さ分布の中で前記所定領域と同じ大きさの比較領域における高さ分布と、についての相関を示す指標値を、前記所定領域の位置を比較対象高さ分布の中で移動させつつそれぞれ計算することにより、両高さ分布の相関を示す指標値の分布を求める高さ相関取得ステップと、
d)前記両高さ分布の相関を示す指標値分布を用いて、前記比較対象高さ分布の中で最大の相関を与える位置を見いだして該位置を特定部位であると認識する認識ステップと、
を有することを特徴とする特定部位検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の特定部位検出方法であって、
前記高さ相関取得ステップは、試料表面上の各微小位置の高さの値で構成される高さ分布画像データに対し、デジタル画像相関法と同等のアルゴリズムを適用することにより、相関を示す指標値としての相関係数の分布を求めることを特徴とする特定部位検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の特定部位検出方法であって、
前記高さ分布計測ステップ及び前記基準高さ分布取得ステップにより得られた高さ分布に対し、その高さの基準面の傾き及び/又は曲がりを補正する平面補正処理ステップをさらに含むことを特徴とする特定部位検出方法。
【請求項4】
請求項2に記載の特定部位検出方法であって、
空間的に隣接する微小領域における相関係数を用いて、その隣接する微小領域の間の相関係数を連続化する連続化処理ステップさらに含むことを特徴とする特定部位検出方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の特定部位検出方法を用いた試料分析装置であって、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
第1の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる表面高さの二次元分布の中で、注目点の周りの注目領域を前記所定領域として設定して前記基準高さ分布を取得し記憶する基準高さ分布記憶手段と、
第1の時点から時間が経過した第2の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている基準高さ分布との相関を示す指標の分布を求める高さ相関算出手段と、
前記高さ相関算出手段で得られた相関を示す指標分布を用いて、第2の時点における目的試料上の前記注目点の位置を見つける同一点検出手段と、
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の試料分析装置であって、
試料の表面観察画像を取得する画像取得手段と、
第2の時点において前記画像取得手段により取得される前記目的試料の表面観察画像上で、前記同一点検出手段により検出された注目点の位置を表示する特定位置表示手段と、
をさらに備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項7】
請求項5に記載の試料分析装置であって、
試料の表面観察画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段による表面観察画像の位置を変更するべく、試料又は該画像取得手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段と、
第2の時点において前記画像取得手段により前記目的試料の表面観察画像を得る際に、前記同一点検出手段により検出された注目点が画像上で所定の位置に来るように又は所定範囲に入るように前記移動手段を制御する追尾制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする表面観察装置。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の特定部位検出方法を用いた試料分析装置であって、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
試料を特徴付ける部位を特定部位とし、それに対応する基準高さ分布を記憶しておく基準高さ分布記憶手段と、
目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている基準高さ分布との相関を示す指標の分布を求める高さ相関算出手段と、
前記高さ相関算出手段で得られた相関を示す指標分布を用いて、目的試料上、目的試料上の特定位置、又は目的試料上の特定領域内に、前記試料を特徴付ける部位が存在するか否かを判断する特定部位検出手段と、
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項9】
請求項8に記載の試料分析装置であって、
前記特定部位検出手段による判断結果に応じて、前記目的試料が基準試料と同一又は同等であるか否かを表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれかに記載の特定部位検出方法を用いた試料分析装置であって、
試料の表面高さの二次元分布を計測する高さ分布計測手段と、
第1の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる表面高さの二次元分布の中で、複数の注目点の周りの注目領域を前記所定領域として設定して前記基準高さ分布をそれぞれ取得し記憶する基準高さ分布記憶手段と、
第1の時点から時間が経過した第2の時点において目的試料を前記高さ分布計測手段により計測して得られる比較対象高さ分布に対し、前記高さ相関取得ステップによる処理によって、前記基準高さ分布記憶手段に記憶されている複数の基準高さ分布との相関を示す指標の分布をそれぞれ求める高さ相関算出手段と、
前記相関を示す指標分布を用いて、第2の時点における目的試料上の複数の注目点の位置をそれぞれ見つける同一点検出手段と、
第1の時点における前記複数の注目点の位置と前記同一点検出手段により見いだされた複数の注目点との位置とから同一注目点の移動量及び移動方向を算出し、それに基づき、第1の時点から第2の時点までの試料の変形や変位に関する情報を求める変位検出手段と、
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれかに記載の試料分析装置であって、
前記高さ分布計測手段は、デジタルホログラフィック顕微鏡、走査型共焦点レーザ顕微鏡、又は走査型プローブ顕微鏡のいずれかであることを特徴とする試料分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−203999(P2010−203999A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51773(P2009−51773)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 中国四国支部第47期総会・講演会 講演論文集、No.095−1、平成21年2月26日 社団法人日本機械学会中国四国支部発行
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 中国四国支部第47期総会・講演会 講演論文集、No.095−1、平成21年2月26日 社団法人日本機械学会中国四国支部発行
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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