説明

玄関子機の取付金具構造

【課題】玄関子機を壁面にがたつくことなく容易に取り付けることができ、而も取付金具の加工がし易くなるようにする。
【解決手段】玄関に設置され、来訪者が呼び出しをおこない居住者と通話をするための玄関子機を玄関壁面に取り付けるための取付金具1を、壁面に向かって手前に玄関子機と面接触する玄関子機接触面11、壁面に金具厚で線接触する壁面接触端面12をそれぞれ有するように金属板をプレス加工して形成する。また、取付ボックスに取り付けるためのボックス取付面13を玄関子機接触面11と一体的に、かつ玄関子機接触面11から離間して平行に延設し、ボックス取付面と壁面接触端面12とを同一面とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は玄関子機の取付金具構造に係り、特に、玄関子機を壁面にがたつくことなく容易に取り付けることができ、而も取付金具の加工がし易い玄関子機の取付金具構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、玄関子機、電話器、インターホン等を含む各種電子機器の筐体を壁面に取り付ける電子機器取付け構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この電子機器取付け構造は、電子機器を掛け止めする取付金具と、取付金具を固定するために壁に設置される埋め込みボックス(取付ボックス)とを設けている。この取付金具は、壁面に取り付ける取付面に開孔および開孔の周縁に設けられ取付金具を埋め込みボックスに固定するためのビス穴を有し、電子機器の筐体を掛け止めするための機器掛け止め部は取付面から立ち上がる一対の側面の先端部に設けられている。
【0004】
また、このような構成の取付金具で電子機器を壁面に固定できるような取付金具も知られている。この取付金具は図3に示すように、壁面に取り付けるための取付面51と、取付面51に穿孔され電子機器の配線を通すための開孔52と、開孔52の周縁に設けられ取付金具50を埋め込みボックスに固定するためのビス穴53と、電子機器を固定するために取付面51から立ち上がる一対の側面54と、取付面51から電子機器側に向かって隆起され電子機器をビス止めするビス止め面55とから構成されている。
【0005】
【特許文献1】実公平7−41183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、背景技術において示した取付金具では、電子機器と接触させる一対の側面の部位が端面状となっていることから電子機器と接触する面積が非常に狭くなるので、一対の側面に接触させる面に凹部が形成された電子機器ではビス止めしてもがたつく虞があった。また、この取付金具では、壁面に接触させる取付面は平面状となっていることから壁面に接触する面積が広くなるので、ざらつきのある壁面ではがたつく虞があった。さらに、電子機器を側面側に固定できるような取付金具の場合には、ビス止め面を隆起させなければならないので、加工がしにくく製造コストを上げる一因となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来の難点を解決するためになされたもので、玄関子機を壁面にがたつくことなく容易に取り付けることができ、而も取付金具の加工がし易くなる玄関子機の取付金具構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器の取付金具構造は、玄関に設置され、来訪者が呼び出しを行い居住者と通話をするための玄関子機を玄関壁面に取り付けるための取付金具の構造についてである。
【0009】
本発明の第1の態様である取付金具は、壁面に向かって手前に玄関子機と面接触する玄関子機接触面、壁面に金具厚で線接触する壁面接触端面をそれぞれ有するように金属板をプレス加工して形成したものである。
【0010】
このように構成された玄関子機の取付金具構造によれば、玄関子機に接触させる取付金具の玄関子機接触面が面接触になるので、玄関子機と接触する面積を広くすることができ、また、壁面に接触させる取付金具の壁面接触端面が線接触になるので、壁面と接触する面積を狭くすることができる。したがって、玄関子機を壁面に対して、がたつきのない取り付けを行なうことができるようになる。
また、第1の態様である取付金具は、取付ボックスに取り付けるためのボックス取付面を玄関子機接触面と一体的に、かつ玄関子機接触面から離間して平行に延設し、ボックス取付面と壁面接触端面とを同一面とするものである。
【0011】
このように構成された玄関子機の取付金具構造によれば、ボックス取付面は金属板をプレス加工のみで簡単な形状に形成させているだけなので、加工がし易くなる。
【0012】
さらに、第1の態様である取付金具は、玄関子機の取り付け時における変形を防止するための変形防止リブを玄関子機接触面と一体的に、かつ玄関子機接触面から垂直に延設し、変形防止リブと壁面接触端面とを同一面とするものである。
【0013】
このように構成された玄関子機の取付金具構造によれば、玄関子機の取り付けの際、変形防止リブにより取付金具の変形を防止することができ、また、変形防止リブを玄関子機接触面から垂直に延設させているだけなので、加工がし易くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の玄関子機の取付金具構造によれば、玄関子機を壁面にがたつくことなく容易に取り付けることができ、而も取付金具の加工がし易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の玄関子機の取付金具構造における好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態例である取付金具構造が適用される玄関子機は、玄関に設置され、来訪者が呼び出しを行い居住者と通話をするためのもので、取付金具によって玄関壁面に取り付けられる。図1に示すように玄関子機2は、玄関子機本体2aと化粧パネル2bから構成されており、取付金具1を壁面に固定した後、玄関子機本体2aを取付金具1にねじ止めして、その上から化粧パネル2bをかぶせて設置される。
【0017】
このような取付金具は図2(a)、(b)に示すように、金属板を断面が略コの字形で平面10が略矩形状になるようにプレス加工して形成されている。この取付金具1の平面10には、玄関子機2と壁面に埋め込まれる取付ボックス(図示せず)内の配線を接続するために開孔16が設けられている。
【0018】
また、取付金具1は、壁面に向かって手前に玄関子機2の玄関子機本体2aと面接触する玄関子機接触面11、壁面に金具厚で線接触する壁面接触端面12をそれぞれ有するように金属板をプレス加工して形成されている。玄関子機接触面11は、平面10の開孔16を除く部分が該当し、壁面接触端面12は、平面10の図中左右となる一対の対辺からそれぞれ実質的に垂直方向に向かって延設されている各壁面17の端面が該当する。玄関子機接触面11には、玄関子機2の玄関子機本体2aをねじ止めするためのねじ穴15が所定箇所に設けられている。ここで、延設とは、一方向に延びるように設けることをいう。このような玄関子機接触面11及び壁面接触端面12を取付金具1に設けることにより、玄関子機2の玄関子機本体2aに対して玄関子機接触面11を面接触できるので、玄関子機本体2aと接触する面積を広くすることができ、また、壁面に対して壁面接触端面12を線接触できるので、壁面と接触する面積を狭くすることができる。したがって、玄関子機2は壁面に対して、がたつきのない取り付けを行なうことができるようになる。
【0019】
さらに、取付金具1は、取付ボックスに取り付けためのボックス取付面13、玄関子機2の取り付け時における変形を防止するための変形防止リブ14をそれぞれ有するように金属板をプレス加工して形成されている。ボックス取付面13は、平面10の開孔16内における図中上下方向にそれぞれ設けられ、玄関子機接触面11と一体的に、かつ玄関子機接触面11から離間して当該玄関子機接触面11に対して平行に延設され、壁面接触端面12と同一面、即ち、ボックス取付面13と壁面接触端面12の各接触部位は平面10からの高さが等しくなっている。このようなボックス取付面13は金属板を簡単な形状に形成させているだけなので、加工がし易くなる。また、変形防止リブ14は、平面10の開孔16内における図中各ボックス取付面13の両側に設けられ、玄関子機接触面11と一体的に、かつ玄関子機接触面11から垂直に延設し、壁面接触端面12と同一面、即ち、変形防止リブ14と壁面接触端面12の各接触部位は平面10からの高さが等しくなっている。なお、変形防止リブ14は金属板を玄関子機接触面11から垂直に延設しているだけなので、壁面に金具厚で線接触することになる。このような変形防止リブ14は玄関子機2の取り付けの際、取付金具1の変形を防止することができ、また、玄関子機接触面11から垂直に延設させているだけなので、加工がし易くなる。
【0020】
このような玄関子機の取付金具構造において、取付金具1によって玄関子機2を玄関壁面に取り付けるには、まず、玄関壁面に予め埋め込まれている取付ボックスの所定位置に取付金具1の取付ボックス取付面13を当接させ、ねじ止めする。この際、取付金具1の壁面接触端面12が壁面と接触するが線接触なので、例え壁面にざらつきがあってもがたつくことはなく、安定した取り付けを行なうことができる。
【0021】
次に、玄関子機本体2aを取付金具1の玄関子機接触面11に当接させ、ねじ穴15を用いてねじ止めする。この際、取付金具1の玄関子機接触面11は玄関子機本体2aと接触するが面接触なので、例え、玄関子機本体2aの接触面に凹部が形成されていてもがたつくことはなく、安定した取り付けを行なうことができる。また、このねじ止めにより取付金具1は玄関子機取付側から壁面取付側に向かって加圧されるが、変形防止リブ14は剛性が高いので、取付金具1が変形することはない。
【0022】
玄関子機本体2aを取付金具1に固定後、その上から化粧パネル2bをかぶせて玄関子機2の玄関壁面への取り付けが終了する。なお、玄関子機本体2aに化粧パネル2bをかぶせてから取付金具1に固定してもよい。また、化粧パネル2bの内側凹部の深さを、玄関子機本体2aの厚み方向の高さと取付金具1の壁面17の高さの合計値とすれば、取付金具1は化粧パネル2bに覆い隠すことができるので、美観的にも有効である。
【0023】
なお、上述した実施の形態例によれば、取付金具1のボックス取付面13は、平面10の開孔16内における図中上下方向にそれぞれ設けられていたが、これに限らず、取付ボックスの構造により配置位置は異なっていてもよく、また、設置数は2箇所に限定されない。
【0024】
また、上述した実施の形態例によれば、取付金具1の変形防止リブ14は、各ボックス取付面13の両側に設けられていたが、これに限らず、取付金具1の変形を防止することができれば配置位置は異なっていてもよく、また、設置数は4箇所に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の玄関子機の取付金具構造における好ましい実施の形態例を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の玄関子機の取付金具構造の主要部である取付金具の斜視図で、(a)は玄関子機を取り付ける側から見た図、(b)は壁面に取り付ける側から見た図である。
【図3】従来の取付金具の構造を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)のA−A断面図、(d)は(a)の上面図である。
【符号の説明】
【0026】
1……取付金具
11……玄関子機接触面
12……壁面接触端面
13……ボックス取付面
14……変形防止リブ
2……玄関子機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関に設置され、来訪者が呼び出しを行い居住者と通話をするための玄関子機(2)を玄関壁面に取り付けるための取付金具(1)の構造であって、
前記取付金具は、壁面に向かって手前に前記玄関子機と面接触する玄関子機接触面(11)、壁面に金具厚で線接触する壁面接触端面(12)をそれぞれ有するように金属板をプレス加工して形成したものであることを特徴とする玄関子機の取付金具構造。
【請求項2】
前記取付金具は、取付ボックスに取り付けるためのボックス取付面(13)を前記玄関子機接触面と一体的に、かつ前記玄関子機接触面から離間して平行に延設し、前記ボックス取付面と前記壁面接触端面とを同一面とすることを特徴とする請求項1記載の玄関子機の取付金具構造。
【請求項3】
前記取付金具は、前記玄関子機の取り付け時における変形を防止するための変形防止リブ(14)を前記玄関子機接触面と一体的に、かつ前記玄関子機接触面から垂直に延設し、前記変形防止リブと前記壁面接触端面とを同一面とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の玄関子機の取付金具構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−238079(P2006−238079A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50042(P2005−50042)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】