説明

現像ローラ、それを用いた現像装置及び画像形成装置

【課題】耐久印刷時のカブリや現像スジを改良した現像ローラを提供する、また、このような現像ローラを用いた高画質な現像装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】軸芯体1の外周に弾性層2を有し、その外周に樹脂と、樹脂粒子とを含有している表面層3を有している現像ローラであって、該表面層3は、該樹脂粒子に由来する凸部を有し、かつ、粗さ曲線の歪度Rskが0.15以上、0.70以下である粗さの表面を有しており、該樹脂粒子は、体積粒度分布において粒径d1にピークP1を有し、粒径d1の粒子が全樹脂粒子に占める体積分率をa、かつd1より大きい粒径d2、d3の樹脂粒子が全樹脂粒子に占める体積分率をb、cとしたとき、d1、d2、d3及びa、b、cが特定の関係を満たしている現像ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、レーザープリンタ等の画像形成装置などにおいて用いられる現像ローラ、現像ローラを用いた現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機やファクシミリ、プリンターにおいては、感光体が帯電ローラにより均一に帯電され、レーザー等により静電潜像を形成する。次に、現像容器内の現像剤が現像剤塗布ローラ及び現像剤規制部材により適正電荷で均一に現像ローラ上に塗布され、感光体と現像ローラとの接触部で現像剤の転写(現像)が行われる。その後感光体上の現像剤は、転写ローラにより記録紙に転写され、熱と圧力により定着され、感光体上に残留した現像剤はクリーニングブレードによって除かれ、一連のプロセスが完了する。
【0003】
これらの画像形成装置に用いられる現像ローラに求められる特性としては、(1)現像剤への均一で高い帯電性、(2)均一な現像剤搬送性が挙げられる。
【0004】
そして、シャフトとその外周に形成された弾性層と弾性層の外周に形成された少なくとも1層の樹脂被覆層を有する現像ローラにおいて、該樹脂被覆層中に種々の微粒子を分散させることにより上記特性の改善を図ることが提案されている(特許文献1〜4)。
【0005】
ところで、近年の画像形成装置の高画質化に伴い、画像形成装置に用いられる現像剤は小粒径化が進んでいる。現像剤の平均粒径を小さくすることは、画質特性のうち特に粒状性や文字再現性をより良くする有効な手段である。しかし、特定の画質項目、特に耐久印刷時のカブリやスジ状の画像不良(以下、現像スジと称す)において改善すべき課題を有している。
【0006】
すなわち現像剤を小粒径化すると、現像剤どうし、或いは現像剤と現像ローラや現像剤規制部材との接触・衝突回数が増加し、現像剤の劣化する傾向が見られる。そして、劣化した現像剤は、現像ローラや現像剤規制部材の表面に融着し易くなる。表面に劣化した現像剤が融着した現像ローラは、現像剤への帯電付与量が低下し、その結果として電子写真画像にカブリを発生させることがある。また、現像剤規制部材の表面に部分的に劣化した現像剤が融着した場合、現像ローラ上の現像剤のコート量が不均一になり易い。その結果、電子写真画像に現像スジを生じさせてしまうことがある。
【0007】
また、近年、所謂ベタ画像(ソリッドな画像)の出力が多いカラー画像形成装置においても、さらなる画像の均一性、画像濃度の高濃度化が求められている。
【0008】
このような要求に対して、現像ローラ上の現像剤量を規制する現像ブレードにバイアスを印加する現像装置が提案されている(特許文献5)。
【0009】
しかし、現像剤規制部材(現像ブレード)にバイアスを印加することにより、前記トナーの小粒径化と同様に、耐久印刷時のカブリや現像スジの発生が顕著となる場合があった。すなわち、現像ブレードにバイアスを印加することにより現像剤に与えるストレスが増大し、現像剤や現像剤の外添剤が現像ローラ表面や現像ブレードに融着することによりカブリや現像スジが発生しやすくなる。
【0010】
上記したように、現像剤の小粒径化や、現像ブレードへのバイアス印加といった、電子写真画像へのカブリ、現像スジの発生がより生じやすくなっている近年の技術動向を考慮して現像ローラについての検討を重ねた。その結果、上記特許文献1乃至4に記載されているような、従来提案されている現像ローラは、特に低温低湿環境における耐久印刷時において、電子写真画像にカブリや現像スジを生じさせる場合があった。
【0011】
【特許文献1】特開2004−191561号公報
【特許文献2】特開2005−258201号公報
【特許文献3】特開2005−115265号公報
【特許文献4】特開平11−212354号公報
【特許文献5】特開2000−112212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、耐久印刷時のカブリや現像スジを改良した現像ローラを提供すること、このような現像ローラを用いた高画質な現像装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、現像ローラの表面層中に添加する弾性樹脂粒子及び表面状態に関して鋭意検討を行った結果、上記目的を達成できる現像ローラ、現像装置及び画像形成装置を得ることができることを見出した。
【0014】
すなわち本発明に係る現像ローラは、軸芯体の外周に弾性層を有し、その外周に樹脂と、樹脂粒子とを含有している表面層を有している現像ローラであって、
該表面層は、該樹脂粒子に由来する凸部を有し、
かつ粗さ曲線の歪度Rskが0.15以上、0.70以下である粗さの表面を有しており、
該樹脂粒子は、体積粒度分布において粒径d1にピークP1を有し、
粒径d1の粒子が全樹脂粒子に占める体積分率をa、かつd1より大きい粒径d2、d3の樹脂粒子が全樹脂粒子に占める体積分率をb、cとしたとき、d1、d2、d3及びa、b、cが下記関係式(1)から(7)を満足することを特徴とする。
4μm≦d2−d1≦12μm (1)
6μm≦d1≦22μm (2)
10μm≦d2≦27μm (3)
2.0体積%≦b≦8.0体積% (4)
1.5≦a/b≦7.0 (5)
0.0≦c/b≦1.1 (6)
d1<d3<d2 (7)
【0015】
また、本発明に係る現像装置は、少なくとも一成分乾式現像剤と、上記の現像ローラと、現像ローラ上の現像剤量を制御する現像ブレードとを有することを特徴とする。
【0016】
更に本発明に係る画像形成装置は、少なくとも、現像剤を表面に担持する請求項1乃至6の何れかに記載の現像ローラと、該現像ローラ上の現像剤量を制御する現像ブレードと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、耐久印刷時のカブリや現像スジを改良した現像ローラを提供することができ、安定して高画質な画像形成が可能な現像装置、及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記の目的達成のための種々の検討の結果、現像スジを改良するためには現像ローラと現像剤規制部材(現像ブレード)との接触点を少なくすることが必要であるとの知見を得た。即ち、現像ローラの表面粗さの粗さ曲線の歪度Rskを大きくする必要があることが分かった。
【0019】
一方、カブリを改良するためには、現像ローラ表面を現像ブレードで掻き取った際に、現像ローラ上において現像剤を滞留させないことが好ましいとの知見を得た。即ち、現像ローラの表面粗さの粗さ曲線の歪度、即ち、Rskを0に近づけることが好ましいことが分かった。
【0020】
ここで、現像ローラの表面粗さの粗さ曲線の歪度について図3A〜3E及び図4A〜4Dを用いて説明する。図3A〜3Eは現像ローラ表面近傍の断面概略図であり、弾性層2の外周に表面層3が配置されている。また表面層3中には相対的に大きな粒径を有するウレタン樹脂粒子31や相対的に小さな粒径を有するウレタン樹脂粒子32が分散・含有されている。図4A〜4Dは現像ローラの表面粗さの粗さ曲線の模式図であり、図の水平方向が現像ローラ表面の軸方向、図の垂直方向が現像ローラ表面の粗さ形状を示している。図4A、4B、4CはそれぞれRsk>0、Rsk≒0、Rsk<0の場合の粗さ曲線の例である。
【0021】
すなわち、図3Aに示すように、現像ローラ表面層中に大きめの粒子が少量含有される場合には、現像ローラ表面粗さにおける粗さ曲線は図4Aに示すようなプロファイルとなり、粗さ曲線の歪度Rskの値は0より大きくなる。
【0022】
一方、図3Bに示すように、現像ローラ表面層中に粒子が多量に含有される場合には、現像ローラ表面粗さにおける粗さ曲線は図4Bに示すようなプロファイルとなり、粗さ曲線の歪度Rskの値は概ね0となる。
【0023】
また、現像ローラ表面に微細な凹みがある場合の粗さ曲線は、図4Cに示すようなプロファイルになる。
【0024】
また、図3Cに示す様に、現像ローラ表面層中に相対的に大きな粒径の粒子と、相対的に小さな粒径の粒子が同時に含有される場合、現像ローラの表面粗さにおける粗さ曲線は図4Dに示す様なプロファイルとなる。
【0025】
つまり、現像ローラ表面層中に大きめの粒子を少量添加した図3Aに示すような構成とした場合、前記Rskの値を大きくすることができる。Rskは、粗さ曲線の尖鋭度を表わすパラメータであるところ、Rskを、0.15以上、0.70以下とした場合、表面の突起を適度に尖鋭化させることができる。その結果、現像ブレードと現像ローラ表面の接触点、或いは接触面積を、現像剤の帯電させる能力を維持しつつ少なくすることができ、現像剤の劣化を有効に抑制できるものと考えられる。その為に現像スジが改善するものと考えられる。
【0026】
一方、粒子の非存在部であり表面が粗面化されていない部分が多く存在すると、現像ローラ表面での現像剤の流動性が低くなる。
【0027】
また、現像ローラ6の表面層3と現像ブレード9とで形成されるギャップ(図3A〜3EのG)が大きくなった場合、現像ブレード9で摺擦しても現像ローラ表面近傍の前記ギャップ内に現像剤が滞留し、カブリが悪化することがある。
【0028】
現像ローラ表面層中に粒子を多量に添加した図3Bに示すような構成とし、現像ローラ表面を微細に粗面化する(前記Rskの値を概ね0にする)ことにより現像ローラ上において現像剤の滞留を防止でき、カブリが改善する。
【0029】
しかし、このような構成にすると、現像ローラと現像剤規制部材(現像ブレード)との接触点が多くなり、現像スジが相対的に悪化する。
【0030】
そこで、本発明者等は、添加する粒子の粒度分布と粒径に関してさらに検討を進めた。その結果、カブリと現像スジの両方を同時に改善するためには、以下の要件が必要であることを見出した。
【0031】
1)図3Cに示すように、表面層中に相対的に大きな特定の粒径範囲の粒子と、相対的に小さな特定の粒径範囲の粒子を同時に含有する構成とすること。
【0032】
2)Rskを所定の数値範囲内にコントロールすること。
【0033】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0034】
本発明に係る現像ローラは、図1に示したように、軸芯体1と、軸芯体の外周に弾性層2と、該弾性層の外周に表面層3を有する。
【0035】
該表面層は、樹脂と、該樹脂に分散された樹脂粒子とを含む。また、該表面層は、該樹脂粒子に由来する凸部を表面に有している。また、該表面層は、粗さ曲線の歪度(以降「Rsk」ともいう)が0.15以上、0.70以下である粗さの表面を有する。
【0036】
そして、該表面層に凸部を担持させる粗し粒子である樹脂粒子は、体積粒度分布において、粒径d1にピークP1を有する。該粒径d1の粒子が全樹脂粒子に占める体積分率をa、かつd1より大きい粒径d2、d3の樹脂粒子が全樹脂粒子に占める体積分率をb、cとしたとき、d1、d2、d3及びa、b、cが下記関係式(1)から(7)を満足する。
【0037】
4μm≦d2−d1≦12μm (1)
6μm≦d1≦22μm (2)
10μm≦d2≦27μm (3)
2.0体積%≦b≦8.0体積% (4)
1.5≦a/b≦7.0 (5)
0.0≦c/b≦1.1 (6)
d1<d3<d2 (7)。
【0038】
このような構成の採用により、上記した課題、即ち、カブリと現像スジの両方を同時に改善できる。
【0039】
図3Cは、本発明の一態様に係る現像ローラの表面近傍の断面概略図を示したものである。弾性層2の外周には、表面層3が配置されている。表面層3は、結着樹脂であるウレタン樹脂と、該ウレタン樹脂中に分散されてなるウレタン樹脂粒子31、及び該ウレタン樹脂中に分散されてなり、かつウレタン樹脂粒子31と比較して相対的に粒径の小さいウレタン樹脂粒子32とからなる。そして該ウレタン樹脂粒子31、32により、該表面層の表面には凸部が形成されている。
【0040】
そして、該ウレタン樹脂粒子は、その体積粒度分布において、上記式(1)〜(7)を満たし、かつ該表面層の表面のRskが、0.15以上、0.70以下、特には0.3以上、0.60以下の数値範囲にある。
【0041】
Rskは、表面の粗さを構成している凸部の尖鋭度の指標であり、Rskを規定することによって、現像ブレードと現像ローラとの接触状態(接触点、接触面積など)が特定できることになる。そして、Rskを上記数値範囲内とした場合、電子写真画像に現像スジが発生することを顕著に改善できる。これは、現像ブレードと現像ローラとの接触箇所における現像剤の劣化を抑制できるためであると考えられる。
【0042】
また、上記の関係を満足することにより、電子写真画像へのカブリの発生を顕著に抑制できる。これは、図3Cで示されるように、相対的に大きなウレタン樹脂粒子31の非存在部が、相対的に小さなウレタン樹脂粒子32により微細に粗面化され、現像剤の滞留を抑制できるためであると考えられる。
【0043】
以上のことから、本発明に係る現像ローラによれば、電子写真画像へのカブリの発生、現像スジの発生の双方を極めて有効に改善することができる。
【0044】
本発明の現像ローラにおける、樹脂粒子の体積粒度分布の測定方法を以下に示す。
【0045】
<樹脂粒子の体積粒度分布の測定方法>
まず、現像ローラから表面層を切り取った。切り取った表面層を適当な方法で引き裂いて破断し、破断面を、ビデオマイクロスコープの如き光学的拡大観察手段で観察する。観察倍率は500〜2000倍が好ましい。
【0046】
観察された破断面から、ウレタン樹脂粒子の輪郭線が全て観察可能であるウレタン樹脂粒子のみを1000個選び出す。選び出したウレタン樹脂粒子の各々について、その面積相当径(投影面積と等しい面積を持つ円の直径):R(μm)を求める。
【0047】
本発明において用いられる樹脂粒子は、基本的には球状であるので、各々のウレタン樹脂粒子の体積:Vn(μm3)は、式(14)によって算出できる。
【0048】
Vn=(4π/3)・(R/2)3 ・・・式(14)
(ただし、nは1〜1000の整数)。
【0049】
選び出した1000個の樹脂粒子の各々について、該樹脂粒子の体積:Vn(nは1〜1000の整数)を求める。
【0050】
以上の操作により得られたVnから、横軸が粒子直径(μm)で示され、縦軸が体積分率で示されるヒストグラムを作成する。ヒストグラムの作成は以下のようにする。
【0051】
まず、ヒストグラムの横軸は、樹脂粒子の面積相当径:R(μm)である。ヒストグラムの階層は、直径1.59μmから64μmの区間を等比級数で32分割する。
【0052】
つまり、ヒストグラムの階級値(階級の区切り値):Xm(μm)は、式(15)で示される。
【0053】
【数1】

【0054】
(ただし、mは1〜33の整数)。
【0055】
ヒストグラムの各階級に属する樹脂粒子の体積の総和を、下記式で示される1000個の樹脂粒子の体積の総和で除した値を、その階級におけるヒストグラムの縦軸の値とする。
【0056】
1000
Σ Vn
n=1
【0057】
以上のようにして、樹脂粒子1000個の体積粒度分布を、ヒストグラムで示す。
【0058】
なお、上記ヒストグラムにおいて、各階級の粒径:RSj(μm)(ただし、jは1〜32の整数)を、式(16)にしたがって求め、RSjを、その階級における代表粒径と定義する。すなわちヒストグラムの縦軸は、ある代表粒径の粒子が全粒子に占める体積分率である。
【0059】
Rsj=(Xm+1+Xm)/2 ・・・式(16)
(ただし、j=nであり、jは1〜32の整数)。
【0060】
上記体積粒度分布を示すヒストグラムから、本発明における粒径d1、d2及びd3の決定方法を以下に示す。
【0061】
<樹脂粒子の体積粒度分布におけるd1、d2及びd3の決定方法>
[d1の決定方法]
ヒストグラムの縦軸において極大かつ最大値を示す階級の代表粒径をd1(μm)とする。
【0062】
[d2、d3の決定方法]
<ヒストグラムの縦軸において、d1より大きい粒径に極大値を持つ場合>
前記d1よりも大きな代表粒径を有する階級に、ヒストグラムの縦軸において極大値を示す階級を1つ以上有する場合、極大値を示す階級のうち代表粒径が最大の階級の代表粒径をd2(μm)とする。こうして定めたd2における階級が、本発明におけるピークP2となる。
【0063】
また、d3(μm)はヒストグラムの代表粒径d1とd2の間の区間において、ヒストグラムの縦軸が極小かつ最小値を示す階級を示す。
【0064】
<ヒストグラムの縦軸において、d1より大きい粒径に極大値を持たない場合>
一方、ヒストグラムの代表粒径がd1よりも大きな粒径区間において、ヒストグラムの縦軸に極大値を有さない場合は、以下の操作を行うことによりd2、d3を決定する。
【0065】
前記d1よりも大きな代表粒径を有する階級の代表粒径を、代表粒径が小さい方から順に、R1、R2・・・Rxとする(ただし、xは1以上の整数)。つぎに、前記d1よりも大きな代表粒径を有する階級のヒストグラムの縦軸の値をAxとし、該Axと、その両隣の階級における縦軸の値(Ax−1及びAx+1)の相加平均値を比較する。すなわち、代表粒径Rxを横軸に、式(17)で求められるBxの値を縦軸にプロットしたグラフにおいて極大値を示す代表粒径Rxを本発明においてはd2(μm)とする。また、前記グラフにおいて極大値を複数有する場合は、最も代表粒径が大きいRxをd2(μm)とする。こうして定めたd2における階級が、本発明におけるピークP2となる。
【0066】
また、代表粒径Rxを横軸に、式(17)で求められるBxの値を縦軸にプロットしたグラフにおいて、代表粒径d1とd2の間に存在する極小値を示す代表粒径Rxをd3(μm)とする。前記グラフにおいて極小値となる代表粒径が複数存在する場合は、極小値となる代表粒径のなかでヒストグラムの縦軸が最小となる代表粒径をd3(μm)とする。
【0067】
Bx=Ax−(Ax+1+Ax−1)/2 ・・・式(17)
(ただし、xは1以上の整数)。
【0068】
<a、b、cの決定方法>
また、以上のようにして決定した代表粒径d1、d2及びd3の粒径の粒子が全粒子に占める体積分率を、前記体積粒度分布を示すヒストグラムから読み取りそれぞれa、b及びcとする。図2A、図2Bに各体積粒度分布におけるa、b及びcを示す。
【0069】
<粗さ曲線の歪度Rskの測定方法>
本発明における現像ローラ表面粗さの粗さ曲線の歪度RskはJIS B0601−2001に準拠して測定した。具体的な測定方法を以下に示す。
現像ローラを温度23℃/湿度55%Rhの環境に24時間静置した。次いで、温度23℃/湿度55%Rhの環境において、接触式表面粗さ計(商品名:SE−3500;小阪研究所製)を用いて当該現像ローラの軸方向に関して、表面粗さの粗さ曲線の歪度Rskを測定した。
【0070】
測定位置は以下に示すように、軸方向3箇所×周方向4箇所の合計12箇所を測定し、これらの12点の平均値を現像ローラ表面粗さの粗さ曲線の歪度Rskの値とした。測定位置、測定条件を以下に示す。軸方向中心部と、軸方向両端部から内側に各30mmの位置の3点を周方向に角度90°刻みで合計12点に関して、現像ローラ軸方向に測定し、その平均値を現像ローラのRskの値とした。測定条件を以下に示す。
【0071】
<測定位置>
軸方向:現像ローラ軸方向中心部と、軸方向両端部から内側に各30mmの位置の3点
周方向:上記軸方向3点にそれぞれに関して、周方向に角度90°刻み。
【0072】
<測定条件>
測定方向 :現像ローラ軸方向
カットオフ :0.8mm
フィルター :2CR
評価長さ :4mm
測定速度 :1mm/秒。
【0073】
ここで樹脂粒子の体積粒度分布において、下記(aa)、(ab)又は(ac)の場合、及びRskの値が0.70を超える場合、図3CのGで示される現像ローラ表面と現像ブレードで形成されるギャップが過度に大きくなる。そして、このギャップ内に現像剤が滞留することがある。
【0074】
(aa)d2が27μmを超える場合
(ab)d1とd2の粒径差d2−d1が12μmを超える場合
(ac)bが8.0体積%を超える場合。
【0075】
また、樹脂粒子の体積粒度分布において以下の(ad)、(ae)又は(af)の場合、図3CのGで示される現像ローラ表面と現像ブレードで形成されるギャップ内において、現像ローラ表面と現像剤の接触面積が増大することで現像剤の滞留が発生する。
【0076】
(ad)d1が6μm未満の場合、図3Cの32で示される粒子が小さすぎることにより、現像ローラ表面近傍は図3Dに示すようになり、相対的に大きな粒子31の非存在部を粗面化できない。
【0077】
(ae)a/bの値が1.5未満の場合、図3Cにおいて32で示される粒子の含有率が低く、現像ローラ表面を微細に粗面化できない。
【0078】
(af)d1が22μmを超える場合、現像ローラ表面近傍は図3Eに示すようになり、32で示される粒子が大きく粒子の曲率が小さいことから、相対的に大きな粒子31の非存在部を微細に粗面化できない。
【0079】
以上のような要因で、図3A〜3EのGで示される現像ローラ表面と現像ブレードで形成されるギャップ内において現像剤の滞留が発生した場合、感光ドラムや現像剤供給部材などの部材と繰り返し摺擦されるうちに現像剤が潰れることがある。その結果として、現像ローラ表面に融着し、電子写真画像にカブリが発生する場合がある。
【0080】
一方、樹脂粒子の体積粒度分布において以下の(ag)、(ah)、(ai)、(aj)又は(ak)の場合とRskの値が0.15未満の場合、図3CのGで示されるギャップが過度に小さくなる。
【0081】
(ag)d2が10μm未満の場合
(ah)d1とd2の粒径差d2−d1が4μm未満の場合
(ai)a/bの値が7.0を超える場合
(aj)bが2.0体積%未満の場合
(ak)c/bの値が1.1を超える場合。
【0082】
このような場合、現像ローラと現像ブレードとの接触部が多くなり、現像スジが発生し易くなる。
【0083】
ここで、本発明において表面層の結着樹脂にウレタン樹脂を用いた場合には、樹脂粒子もウレタン樹脂粒子を用いることが好ましい。耐久により結着樹脂中から樹脂粒子が脱落し、現像ローラの表面プロファイルや前記ギャップが変化することがないからである。
【0084】
<軸芯体>
本発明において、軸芯体1としては良好な導電性を有するものであれば、いずれのものも使用し得る。通常は金属、例えば、アルミニウムや鉄、ステンレス(SUS)などの円柱体や円筒体が用いられる。当該円柱体や円筒体の外径は、例えば4〜10mmである。
【0085】
<弾性層>
次に、前記軸芯体1の外周に形成する導電性の弾性層2について説明する。シリコーンゴムやEPDM又はウレタン等のエラストマー、あるいはその他の樹脂成型体を基材として用いる。当該基体に対して、カーボンブラック、金属、金属酸化物のような電子導電性物質や、過塩素酸ナトリウムのようなイオン導電物質を配合する。該電子導電性物質やイオン導電物質の配合により、適切な抵抗領域103〜1010Ωcm、好ましくは104〜108Ωcmに調整する。このとき、弾性層の硬度は、ASKER−C硬度25〜60°とすることが好ましい。
【0086】
前記弾性層2の基材の材料の例は、以下のものを含む。
【0087】
ポリウレタン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、これらの混合物等。
【0088】
これらの中で、低硬度でかつ高反発弾性という特異な特性を有することからシリコーンゴムが好ましく用いられる。
【0089】
<表面層の結着樹脂>
前記弾性層の外周に形成される表面層3の結着樹脂としては、トナーの帯電性や耐摩耗性からポリウレタン樹脂が好ましい。特に、表面層の硬度を小さくできること、トナーの帯電能が高いことから、ポリエーテルポリウレタン樹脂が特に好ましい。
【0090】
ポリエーテルポリウレタン樹脂は公知のポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物との反応により得ることができる。ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。また、これらのポリオール成分は必要に応じて予め2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,4ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等のイソシアネートにより鎖延長したプレポリマーとしてもよい。
【0091】
これらのポリオール成分と反応させるイソシアネート化合物の例は、以下のものを含む。
【0092】
エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ポリイソシアネート;
上記のものの変性物、共重合物、そのブロック体。
【0093】
ただし、これらに限定されるものではない。
【0094】
<樹脂粒子>
前記表面層3に含有される樹脂粒子としては、球状の樹脂粒子が好ましい。
【0095】
また、結着樹脂との密着性とトナーへの電荷付与性からウレタン樹脂粒子が好ましい。
【0096】
また、前述のようにカブリと現像スジの観点から、球状ウレタン樹脂粒子が体積粒度分布において前記関係式(1)から(7)を満足すれば、含有されるウレタン樹脂粒子は単独でも複数混合しても構わない。
【0097】
また、樹脂粒子の体積粒度分布を制御する為に、樹脂粒子を分級しても良い。ここで、分級機は特に制限されるものではない。例えば、ふるい分け機、重力分級機、遠心分級機、慣性分級機等の通常の分級機を用いることができる。特に、重力分級機、遠心分級機、慣性分級機等の風力分級機を使用することが好ましい。生産性が良好で分級点の変更が容易にできるからである。
【0098】
また、現像ローラ表面層において、以下の式(8)から(10)を満足することが好ましい。なお、ウレタン樹脂100質量部に対する樹脂粒子の配合量をA[質量部]とする。表面層の厚さをt[μm]とする。また、球状ウレタン樹脂粒子の体積粒度分布において、表面層の厚さの1.2倍以上の粒径の粒子の割合をB[%]とする。これにより、前記現像ローラの表面粗さにおいて、粗さ曲線の歪度Rskを、0.15以上、0.7以下に正確にコントロールできる。
【0099】
15≦A≦40 (8)
8.0≦t≦15.0 (9)
3.0≦A×B/100≦9.0 (10)。
【0100】
また、前記現像ローラの表面粗さにおいて、粗さ曲線の歪度Rskを本発明の好ましい範囲である0.3から0.6にコントロールできることから、前記tが式(11)を満足し、前記A及びBが式(12)を満足することが好ましい。
【0101】
9.0≦t≦12.0 (11)
3.5≦A×B/100≦6.0 (12)。
【0102】
また、現像ローラ表面のマイクロゴム硬度を30度以上38度以下にすることにより、カブリの抑制効果を高めることができる。これは、現像ローラ表面硬度を適度に小さくすることにより現像剤に対するダメージを軽減できることによるものである。
【0103】
<製法>
本発明に係る現像ローラは、軸芯体の外周に弾性層を形成する。該弾性層の外周に表面層を配置する。
【0104】
該表面層は、結着樹脂100質量部に対して、体積平均粒径が6μm以上、22μm以下の樹脂粒子を12質量部以上、35質量部以下、体積平均粒径が10μm以上、27μm以下の樹脂粒子を3質量部以上、15質量部以下含有させることにより得られる。
【0105】
特に、結着樹脂100質量部に対して、前記体積平均粒径が7μm以上、10μm以下の樹脂粒子を15質量部以上、25質量部以下、体積平均粒径が12μm以上、20μm以下の樹脂粒子を5質量部以上、10質量部以下含有する表面層が好ましい。
【0106】
ウレタン樹脂粒子としては、どのようなものでも使用できるが、分散性、安定性に優れることから架橋ウレタン樹脂からなる球状粒子が好ましい。
【0107】
ウレタン樹脂粒子の体積平均粒径は、精密粒度分布測定装置(商品名:マルチサイザー(Multisizer)2;ベックマン・コールター社製)により測定することができる。上記精密粒度分布測定装置に、個数分布及び体積分布を出力するインターフェース(日科機バイオス社製)並びにパーソナルコンピューターを接続する。電解液として、一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。電解液としては、アイソトン(ISOTON) R−II:商品名;ベックマン・コールター社製)などを使用してもよい。前記電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。測定試料を懸濁した電解液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理する。前記超音波処理された電解液を測定サンプルとして、100μmのアパーチャーを採用した上記精密粒度分布測定装置により、1.59μmから64.00μmの範囲で128チャンネルの体積粒度分布を測定する。測定された50%D径を本発明における球状ウレタン樹脂粒子の体積平均粒径とする。
【0108】
本発明に係る現像ローラは、軸芯体の外周に公知の方法を用いて弾性層を形成しその外周に表面層を公知の方法により形成することにより得ることができる。ここで、弾性層の形成方法としては特に限定されるものではないが、高い寸法精度で弾性層を形成できることから型内に弾性材料を注入することにより弾性層を形成する方法が好ましい。
【0109】
また、表面層の形成方法としても特に限定されるものではない。安定した表面形状を得ることができることから、表面層塗料を弾性層上にコートする方法が好ましい。特に生産安定性に優れることから特開昭57−5047号公報に記載されているような浸漬槽上端から塗料をオーバーフローさせるディップコートが好ましい。図6はオーバーフロー方式の浸漬塗工の概略図である。25は円筒形の浸漬槽であり、ローラ外形よりも大きな内径を有し、ローラの軸方向長さよりも大きな深さを有している。浸漬槽25の上縁外周には環状の液受け部が設けられており、撹拌タンク27と接続されている。
【0110】
また浸漬槽25の底部は撹拌タンク27と接続されており、撹拌タンク27の塗料は、液送ポンプ26により浸漬槽25の底部に送り込まれる。浸漬槽25の底部に送り込まれた塗料は、浸漬槽の上端部からオーバーフローして浸漬槽25の上縁外周の液受け部を介して撹拌タンク27に戻る。軸芯体1上に弾性層2を設けたローラ部材は、昇降装置28に垂直に固定され、浸漬槽25中に浸漬し、引き上げることで樹脂層3が形成される。
【0111】
<抵抗調整剤>
本発明において弾性層2及び表面層3の電気抵抗を調整するために用いられる導電性材料としては、電子導電性材料でもイオン導電性材料でもよい。
【0112】
<電子導電性材料>
電子導電性材料の例は以下のものを含む。
【0113】
1)導電性カーボン(例えば、ケッチェンブラックEC,アセチレンブラック等)。
【0114】
2)ゴム用カーボン(例えば、超耐摩耗性ファーネス(Super Abrasion Furnace (SAF))、準超耐摩耗性ファーネス(IntemediateSAF(ISAF))、高耐摩耗性ファーネス(High Abrasion Furnace(HAF))、良押出性ファーネス(Fast Extrusion Furnace(FEF))、一般用途ファーネス(General Purpose Furnace (GPF))、Semi Reinforcing Furnace(SRF))、微粒熱分解(Fine Thermal(FT))、中熱分解(Medium Thermal(MT))等)。
【0115】
3)酸化処理等を施したカラ−(インク)用カーボン。
【0116】
4)銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び金属酸化物等。
【0117】
この中で、少量で導電性を制御できることからカーボンブラックが好ましい。これら導電性粉体は、通常基材100重量部に対して0.5〜50重量部、特に1〜30重量部の範囲で好適に用いられる。
【0118】
<イオン導電性材料>
イオン導電性材料の例は以下のものを含む。
【0119】
1)過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質。
【0120】
2)変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフェート、ステアリルアンモニウムアセテートの有機イオン性導電物質。
【0121】
本発明において、弾性層2を形成する材料中への前記抵抗調整材の分散方法としては特に制限されるものではなく、ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等の公知の装置を用いて分散することができる。
【0122】
表面層3を形成する塗料中への前記抵抗調整剤や前記ウレタン樹脂粒子の分散方法は特に制限されない。樹脂材料を適当な有機溶剤に溶解させた樹脂溶液中に前記抵抗調整剤や前記ウレタン樹脂粒子等を添加し、サンドグラインダー、サンドミル、ボールミル等の公知の装置を用いて分散することができる。
【0123】
<現像ローラの電気抵抗>
本発明の現像ローラの電気抵抗としては、1×105Ω以上、1×107Ω以下が好ましい。すなわち、現像ブレードにバイアスを印加したプロセスに使用した場合、電気抵抗値が1×105Ω未満の場合にはブレードバイアスリークが発生しやすく、電気抵抗値が1×107Ωを超える場合には現像ネガゴーストが発生しやすい。
【0124】
<現像ローラの電気抵抗測定方法>
電気抵抗測定装置としては、図7に示されるような装置を用いる。現像ローラ6は、現像ローラの軸芯体の両端にそれぞれ4.9Nの荷重をかけて直径50mmの金属ドラム29に当接されており、金属ドラム29を不図示の駆動手段により表面速度50mm/secで駆動することにより現像ローラ6は従動回転される。
【0125】
高圧電源HVから現像ローラの軸芯体に+50Vの電圧を印加する。金属ドラム29とグランドとの間に配設した既知の電気抵抗を有する抵抗器Rの両端の電位差をデジタルマルチメーターDMM(FLUKE社製 189TRUE RMS MULTIMETER)を用いて計測する。当該電気抵抗は、現像ローラの電気抵抗に対して2桁以上電気抵抗が低いものを用いる。
【0126】
その電位差と抵抗器の電気抵抗から、現像ローラを介して金属ローラに流れた電流を計算により求める。その電流と印加電圧50Vから計算することにより現像ローラの電気抵抗値を求める。
【0127】
ここで、デジタルマルチメーターでの測定は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値を現像ローラの抵抗値とする。
【0128】
<現像装置>
また、本発明に係る現像装置10は、前記現像ローラを具備した、電子写真装置に用いられる現像装置である。
【0129】
当該現像装置は、一成分乾式現像剤と、現像剤を表面に担持する現像ローラと、現像ローラ上の現像剤量を制御する現像ブレードを有する。
【0130】
そして、現像ローラとして、本発明に係る現像ローラを用いることにより、どのようなトナーを用いた場合においてもカブリと現像スジの両方を同時に改善できる。
【0131】
また、より高い現像スジとカブリの改善効果が得られることから、前記現像剤の体積平均粒径をdtとしたとき、以下の関係式(13)を満足することが好ましく、現像剤の体積平均粒径dtは5.0μm以上6.5μm以下であることが特に好ましい。
【0132】
1.0≦(d2−d1)/dt≦2.0 ・・・式(13)。
【0133】
これらの現像装置は、図5に示すように、感光ドラム、クリーニングブレード、廃トナー収容容器、帯電装置とともに一体のオールインワンプロセスカートリッジ4として用いることもできる。
【0134】
ここで、現像剤の体積平均粒径は、精密粒度分布測定装置(商品名:マルチサイザー(Multisizer)2;ベックマン・コールター社製)により測定することができる。
当該精密粒度分布測定装置に、個数分布及び体積分布を出力するインターフェース(日科機バイオス社製)並びにパーソナルコンピューターを接続する。
【0135】
電解液として、一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。電解液としては、アイソトン(ISOTON) R−II:商品名;ベックマン・コールター社製)などを使用してもよい。前記電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。測定試料を懸濁した電解液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理する。前記超音波処理された電解液を測定サンプルに用いる。そして、100μmのアパーチャーを採用する前記コールターマルチサイザーにより、1.59μmから64.00μmの範囲で16チャンネルの体積粒度分布を測定する。測定された550%D径を本発明における現像剤の体積平均粒径とする。
【0136】
本発明に用いることのできる現像剤(トナー)は例えば以下のような方法で製造することができるが、以下の方法に限定されるものではない。
【0137】
1)特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報、特開2006−106198号公報等に記載されている懸濁重合法を用いて直接トナー粒子を生成する方法。
【0138】
2)単量体には可溶で水溶性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナー粒子を生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法。
【0139】
3)マイクロカプセル製法のような界面重合法。
【0140】
4)in site重合法による方法。
【0141】
5)コアセルベーション法による方法。
【0142】
6)特開昭62−106473号公報や特開昭63−186253号公報等に開示されている少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のトナー粒子を得る会合重合法による方法。
【0143】
7)単分散を特徴とする分散重合法による方法。
【0144】
8)非水溶性有機溶媒に必要な樹脂類を溶解させた後、水中でトナー粒子を得る乳化分散法による方法。
【0145】
9)以下の工程を含む破砕法。
【0146】
加圧ニーダーやエクストルーダー、又はメディア分散機等を用いてトナー成分を混練、均一に分散させる工程。
【0147】
その後、冷却し、混練物を機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させて所望のトナー粒径に微粉砕する工程。
【0148】
その後、更に粒度分布をシャープにする分級工程。
【0149】
10)粉砕法で得られたトナー粒子を溶媒中で加熱等により球形化処理し、トナー粒子を得る方法。
【0150】
なかでも、懸濁重合法、会合重合法、乳化分散法によるトナー粒子の製造が好ましく、より好ましくは小粒径のトナー粒子が容易に得られる懸濁重合方法である。
【0151】
また、トナー粒子の形状は球形に近いことが好ましく、具体的にはトナー粒子の形状係数は、SF−1が100〜150、より好ましくは100〜140、さらに好ましくは100〜130の範囲である。また、SF−2が100〜140、より好ましくは100〜130、さらに好ましくは100〜120の範囲内である。トナーの形状係数(SF−1、SF−2)の測定方法を以下に示す。
【0152】
<トナーの形状係数SF−1、SF−2の測定方法>
電子顕微鏡(商品名:FE−SEM(S−800);日立製作所製)を用い、拡大倍率3000倍でトナー像を無作為に100個サンプリングする。その画像情報を画像解析装置(商品名:Luzex3;ニレコ社製)にインターフェースを介して導入し、解析を行い、下式より算出して得られた値と定義している。
【0153】
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(π/4)×100
SF−2={(PERI)2/AREA}×(1/4π)×100
(MXLNG:絶対最大長、AREA:トナー投影面積、PERI:周長)。
【0154】
また、前記現像ブレードにバイアスを印加する機構を有する現像装置においても、本発明の現像ローラを用いた場合、現像スジとカブリを改善できることから好ましい。
【0155】
図5は、本発明の現像ローラ及び現像ローラを具備したプロセスカートリッジを用いた画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図5の画像形成装置には、プロセスカートリッジ4が脱着可能に装着されている。
【0156】
該プロセスカートリッジ4は、現像ローラ6、現像剤塗布部材7、現像剤8、現像装置10、感光ドラム5、クリーニングブレード14、廃トナー収容容器13、帯電装置12とを含む。現像装置10は、ブレードバイアスを印加できるような機構を有する現像ブレード9からなる。感光ドラム5は矢印方向に回転し、感光ドラム5を帯電処理するための帯電部材12によって一様に帯電され、感光ドラム5に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光11により、その表面に静電潜像が形成される。上記静電潜像は、感光ドラム5に対して接触配置される現像装置10によってトナーを付与されることにより現像され、トナー像として可視化される。
【0157】
現像は露光部にトナー像を形成する所謂反転現像を行っている。記録媒体である紙22は、給紙ローラ23と吸着ローラ24とで、転写搬送ベルト20に供給される。18は、吸着ローラ24にバイアスを印加するバイアス電源である。転写搬送ベルト20は、駆動ローラ16、テンションローラ19及び従動ローラ21との間に張架され、駆動ローラ16により回転させられている。そして、可視化された感光ドラム5上のトナー像は、転写搬送ベルト20により搬送される紙22に、転写ローラ17によって転写される。トナー像を転写された紙22は、定着装置15により定着処理され、装置外に排紙されプリント動作が終了する。
【0158】
一方、転写されずに感光ドラム5上に残存した転写残トナーは、感光体表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード14により掻き取られ廃トナー容器13に収納され、クリーニングされた感光ドラム5は上述作用を繰り返し行う。
【0159】
現像装置10は、一成分現像剤として非磁性トナー8を収容した現像容器と、現像容器内の長手方向に延在する開口部に位置し感光ドラム5と対向設置された現像剤担持体としての現像ローラ6とを備える。そして、感光ドラム5上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
【0160】
現像装置10における現像プロセスを以下に説明する。回転可能に支持されたトナー塗布部材7により現像ローラ6上にトナーが塗布される。現像ローラ6上に塗布されたトナーは、現像ローラ6の回転により現像ブレード9と摺擦される。ここで、現像ブレード9に印加されたバイアスにより現像ローラ上のトナーは現像ローラ上に均一にコートされる。現像ローラ6は感光ドラム5と回転しながら接触し、感光ドラム5上に形成された静電潜像を現像ローラ6上にコートされたトナーにより現像することにより画像が形成される。ここで、現像ブレード9に印加されるバイアスの極性は、トナーの帯電極性と同極性であり、その電圧としては現像バイアスよりも数十Vから数百V高い電圧が一般的である。このように現像ブレードにバイアスを印加する場合は、現像ブレードは導電性であることが好ましく、リン青銅やステンレス等の金属であることがより好ましい。
【0161】
トナー塗布部材7の構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や軸芯体上にレーヨン、ポリアミド等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ6へのトナー8供給及び未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。例えば、軸芯体上にポリウレタンフォームを設けた弾性ローラを用いることができる。
【0162】
このトナー塗布部材7の現像ローラ6に対する当接幅としては、1mm以上、8mm以下が好ましい。また、現像ローラ6に対してその当接部において相対速度をもたせることが好ましい。
【実施例】
【0163】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0164】
各実施例及び比較例において用いた樹脂粒子の種類は以下の通りである。尚、各樹脂粒子の体積平均粒径は、精密粒度分布測定装置(商品名:マルチサイザー(Multisizer) 2;ベックマン・コールター(Beckman Coulter, Inc.)社製での測定値である。
【0165】
<樹脂粒子A>
ウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC800透明;根上工業社製、体積平均粒径7.3μm)。
【0166】
<樹脂粒子B>
ウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC600透明;根上工業社製、体積平均粒径10.3μm)。
【0167】
<樹脂粒子C>
ウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC400透明;根上工業社製、体積平均粒径14.0μm)。
【0168】
<樹脂粒子D>
ウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC300透明;根上工業社製、体積平均粒径21.5μm)。
【0169】
<樹脂粒子E>
ウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC200透明;根上工業社製、体積平均粒径30.5μm)。
【0170】
<樹脂粒子Aa>
樹脂粒子Aを分級装置(商品名:ターボフレックス100ATP;ホソカワミクロン社製)を用いて粗粉を除去し、体積平均粒径6.0μm、25%D径5.0μm、75%D径6.7μmに調整したもの。
【0171】
<樹脂粒子Ab>
樹脂粒子Aを上記の分級装置を用いて微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径6.8μm、25%D径5.3μm、75%D径7.3μmに調整したもの。
【0172】
<樹脂粒子Ac>
樹脂粒子Aを上記の分級装置を用いて粗粉を除去し、体積平均粒径4.7μm、25%D径4.0μm、75%D径5.2μmに調整したもの。
【0173】
<樹脂粒子Ad>
粒子Aを上記の分級装置を用いて微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径7.5μm、25%D径6.5μm、75%D径7.8μmに調整したもの。
【0174】
<樹脂粒子Ae>
粒子Aを上記の分級装置を用いて微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径7.0μm、25%D径6.2μm、75%D径7.2μmに調整したもの。
【0175】
<樹脂粒子Ba>
粒子Bを上記の分級装置を用いて粗粉を除去し、体積平均粒径9.3μm、25%D径7.6μm、75%D径10.7μmに調整したもの。
【0176】
<樹脂粒子Bb>
樹脂粒子Bを上記の分級装置を用いて微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径10.0μm、25%D径8.5μm、75%D径10.7μmに調整したもの。
【0177】
<樹脂粒子Ca>
樹脂粒子Cを上記の分級装置を用いて微粉を除去し、体積平均粒径15.3μm、25%D径12.3μm、75%D径17.0μmに調整したもの。
【0178】
<樹脂粒子Cb>
樹脂粒子Cを上記の分級装置を用いて微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径12.3μm、25%D径9.2μm、75%D径14.7μmに調整したもの。
【0179】
<樹脂粒子Cc>
樹脂粒子Cを上記の分級装置を用いて微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径14.8μm、25%D径13.5μm、75%D径15.1μmに調整したもの。
【0180】
<樹脂粒子Ce>
樹脂粒子Cを上記の分級装置を用いて微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径12.0μm、25%D径10.5μm、75%D径12.9μmに調整したもの。
【0181】
<樹脂粒子Cf>
樹脂粒子Cを上記の分級装置を用いて微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径17.3μm、25%D径15.3μm、75%D径18.4μmに調整したもの。
【0182】
<樹脂粒子Ea>
樹脂粒子Eを上記の分級装置を用いて粗粉を除去し、体積平均粒径26.5μm、25%D径19.6μm、75%D径32.0μmに調整したもの。
【0183】
<樹脂粒子Da>
樹脂粒子Dを上記の分級装置を用いて粗粉を除去し、体積平均粒径19.3μm、25%D径15.5μm、75%D径23.3μmに調整したもの。
【0184】
<樹脂粒子Db>
樹脂粒子Dを上記の分級装置を用いて微粉を除去し、体積平均粒径24.2μm、25%D径20.2μm、75%D径26.9μmに調整したもの。
【0185】
<樹脂粒子Dc>
樹脂粒子Dを上記の分級装置を用いて微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径19.5μm、25%D径17.3μm、75%D径20.5μmに調整したもの。
【0186】
<樹脂粒子F>
アクリル樹脂粒子(商品名:ケミスノーMX1500H;綜研化学社製、体積平均粒径15.0μm)。
【0187】
(実施例1)
[現像ローラの調製]
[弾性層の形成]
直径8mmの、SUS製の芯金の表面にニッケルメッキを施し、さらにプライマ−(商品名:DY35−051、東レダウコーニングシリコーン社製)を塗布、焼付けしたものを軸芯体1として用意した。
【0188】
当該軸芯体1を、内径16mmの円筒状金型の内部に、当該円筒状金型と同心となるように配置した。次いで、以下の組成の付加型シリコーンゴム組成物を金型内に注入した。続いて、金型を加熱して当該付加型シリコーンゴム組成物を温度150℃で、15分間、加硫硬化した。硬化したシリコーンゴムを金型から脱型した後、当該シリコーンゴムを、更に温度200℃で、2時間、加熱して、硬化反応を完結させた。そして、厚み4mmのシリコーンゴムからなる弾性層2を軸芯体1の外周に設けた。
【0189】
<付加型シリコーンゴム組成物の組成>
・液状シリコーンゴム(商品名:SE6724A/B、東レ・ダウコーニングシリコーン社製):100質量部、
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB、東海カーボン社製):35質量部、
・耐熱性付与剤としてのシリカ粉体:0.2質量部、
・白金触媒:0.1質量部。
【0190】
[ポリオールの合成]
下記の材料をMEK溶媒中で段階的に混合し、窒素雰囲気下80℃にて7時間反応させて、水酸基価が20のポリエーテルポリオールを作製した。
・ポリテトラメチレングリコール(商品名:PTG1000SN、保土谷化学社製):100質量部、
・イソシアネート化合物(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業社製):20質量部。
【0191】
[イソシアネートの合成]
窒素雰囲気下、下記の材料を温度90℃で2時間加熱反応させた。
・数平均分子量500のポリプロピレングリコール:100質量部、
・粗製MDI:57質量部。
【0192】
次いで、ブチルセロソルブを固形分70%になるように加え、固形分当たりのNCO%が5.0%のイソシアネート化合物を得た。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシム22質量部を滴下し、ブロックポリイソシアネートAを得た。
【0193】
[表面層用塗料の作製]
上記のようにして作製したポリオールと、ブロックポリイソシアネートAとを、NCO/OH基比が1.4になるように混合した。当該混合物に、結着樹脂固形分100質量部に対し、カーボンブラック(商品名:MA100、三菱化学社製、Ph=3.5)20質量部を混合した。更に、総固形分比が35質量%になるようにMEKを加え、1.5mmの粒径のガラスビースを用いてサンドミルを用いて4時間分散して分散液1を作製した。
【0194】
一方、上記分散液1中の結着樹脂成分固形分と同量のMEK中に、下記の樹脂粒子を添加し、超音波分散することにより球状樹脂粒子分散液を得た。
・樹脂粒子A:24質量部、
・樹脂粒子C;6質量部。
【0195】
得られた樹脂粒子分散液を分散液1に追加して、サンドミルを用いてさらに30分間分散して表面層用塗料を得た。
【0196】
本発明においては、表面層中に添加した樹脂粒子の、表面層結着樹脂添加量と結果を表1に示す。
【0197】
[弾性層上への表面層の形成]
前記表面層用塗料を、図6に示すオーバーフロー方式の浸漬塗工装置を用いて前記弾性層上にそれぞれ浸漬塗工した後乾燥させ、150℃にて2時間加熱処理することで弾性層表面に厚さ10μmの樹脂層を設け、実施例1の現像ローラを得た。
【0198】
得られた現像ローラを23℃/55%Rhの環境に24時間以上静置し、以下の各種測定を行った。
【0199】
[現像ローラ表面層中における樹脂粒子の体積粒度分布の測定]
上記のようにして得られた現像ローラの表面層中における樹脂粒子の体積粒度分布を前述の方法により測定した。測定結果を表2−1に示す。
【0200】
[現像ローラ表面層の厚さ測定]
現像ローラの中央部、ローラ両端部からそれぞれ30mm中央部側の合計3点から、鋭利なかみそり刃を用いて、現像ローラの表面層を弾性層ごとかまぼこ形状に切り出して表面層厚さ測定サンプル(1)〜(3)を得た。得られたサンプル(1)〜(3)それぞれにおいて、測定位置を変えて5点表面層厚さを測定し、合計15点の測定結果の平均値を現像ローラの表面層厚さとした。ここで、表面層厚さを測定する手段としては、ビデオマイクロスコープ(キーエンス社製、倍率2000倍)を用いた。測定結果を表1に示す。
【0201】
[現像ローラ表面粗さにおける粗さ曲線の歪度Rskの測定]
上記のようにして得られた現像ローラの、表面粗さにおける粗さ曲線の歪度Rskを前述の方法により測定した。測定結果を表2−1に示す。
【0202】
[現像ローラの電気抵抗の測定]
前述のようにして、得られた現像ローラの電気抵抗を測定した。結果を表2−1に示す。
【0203】
[現像ローラ表面のマイクロゴム硬度の測定]
マイクロゴム硬度計MD−1タイプA(高分子計器社製)を用いて、現像ローラの表面硬度を測定した。測定点は、現像ローラ表面粗さにおける粗さ曲線の歪度Rskの測定点と同様の12点とし、その平均値を現像ローラの表面硬度とした。測定結果を表2−1に示す。
【0204】
[樹脂粒子の粗粒成分量の測定]
表面層塗料中に添加した樹脂粒子と同一混合比になるように樹脂粒子を混合し、混合粒子の体積粒度分布を、精密粒度分布測定装置(商品名:マルチサイザー(Multisizer)2;ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。具体的には、当該精密粒度分布測定装置に、個数分布及び体積分布を出力するインターフェース(日科機バイオス社製)並びにパーソナルコンピューターを接続した。電解液として、一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製した。前記電解液100ml中に分散剤として界面活性剤を0.1ml加え、さらに測定試料を約5mg加え、測定試料を懸濁した電解液を、超音波分散器で約1分間分散処理した。前記超音波処理された電解液を測定サンプルとして、100μmのアパーチャーを採用した上記精密粒度分布測定装置を用いて、1.59μmから64.00μmの範囲で128チャンネルの体積粒度分布を測定した。測定結果から、表面層膜厚の1.2倍以上の粒径を有する粒子の体積分率B[%]を求めた。また、前記表面層の樹脂100質量部に対する前記樹脂粒子の配合量をA[質量部]としたとき、以下の関係式で導かれる値を樹脂粒子の粗粒成分量とした。測定結果を表1に示す。
【0205】
(樹脂粒子の粗粒成分量)=A×B/100。
【0206】
[画像出力試験]
プリンター(商品名:LBP5500;キヤノン株社製)用のプロセスカートリッジについて、現像ブレードに、厚み80μmのSUS製ブレードを用い、この現像ブレードにブレードバイアスを印加できるように改造を施した。
【0207】
このプロセスカートリッジに、特開2006−106198の実施例1に記載された重合方法により製造した体積平均粒径5.5μm、形状係数SF−1が114、SF−2が108のマゼンタトナーを充填した。更に、このプロセスカートリッジに、上記で調製した現像ローラを組み込んで画像出力試験用カートリッジを3本作製した。
【0208】
プリンター(商品名:LBP5500;キヤノン(株)社製)について、現像ブレードにブレードバイアスを印加できるように改造した。このプリンターに、上記の画像出力試験用カートリッジを装着し、画像出力試験を行った。ここで、現像バイアスに対して−200Vのブレードバイアスを印加して、温度23℃/湿度55%Rh(N/N環境)、温度15℃/湿度10%Rh(L/L環境)、温度30℃/湿度80%Rh(H/H環境)の各環境で印字率が1%の画像を連続して出力した。1000枚出力する毎に現像スジ発生の有無を確認し、最終的に20000(20K)枚の画像出力を行い、現像スジとカブリを以下の方法で評価した。
【0209】
現像スジ発生の有無の確認は、ベタ画像、ハーフトーン画像を出力して画像を目視することにより判断した。そして、20000(20K)枚画像出力後においても現像スジの発生のない現像ローラは、評価ランクにおいて最良の「A」を付した。
【0210】
一方、20000(20K)枚の画像出力以前に、軽微であっても現像スジが発生したものに関しては、現像スジが発生した枚数を記録した。
【0211】
カブリについては、ベタ白画像を出力し、そのベタ白画像を反射式濃度計TC−6DS/A((有)東京電色製)を用いて、白地部の反射濃度を測定し、画像上で測定した10点の平均値をDsとする。そしてベタ白画像出力前の用紙の反射濃度(その平均値をDrとする)とDsとの差(Dr−Ds)を求め、これをカブリ量とした。一般的にカブリ濃度が1.0を超えるものは画像不良として画像への影響が認められる。
【0212】
本実施例においては、いずれの環境においても、現像スジ及びカブリは良好であった。結果を表3に示す。
【0213】
(実施例2〜実施例25及び比較例1〜比較例10)
添加する樹脂粒子、樹脂粒子の添加量、及び表面層厚みの各々を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラを作成した。また、実施例1と同様に各種測定、評価を行った。結果を表2−1、表2−2及び表3に示す。
【0214】
【表1】

【0215】
【表2−1】

【0216】
【表2−2】

【0217】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】本発明に係る現像ローラの一例を示す軸方向の断面図である。
【図2A】本発明に係る球状ウレタン樹脂粒子の体積粒度分布のピークを説明する図である。
【図2B】本発明に係る球状ウレタン樹脂粒子の体積粒度分布のピークを説明する図である。
【図3A】本発明に係る現像ローラ表面近傍状態を説明する概念図である。
【図3B】本発明に係る現像ローラ表面近傍状態を説明する概念図である。
【図3C】本発明に係る現像ローラ表面近傍状態を説明する概念図である。
【図3D】本発明に係る現像ローラ表面近傍状態を説明する概念図である。
【図3E】本発明に係る現像ローラ表面近傍状態を説明する概念図である。
【図4A】表面粗さにおける粗さ曲線の歪度を説明する概念図である。
【図4B】表面粗さにおける粗さ曲線の歪度を説明する概念図である。
【図4C】表面粗さにおける粗さ曲線の歪度を説明する概念図である。
【図4D】表面粗さにおける粗さ曲線の歪度を説明する概念図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図6】本発明に係る現像ローラの樹脂層を形成する際に使用する浸漬塗工機の一例を示す概略図である。
【図7】本発明に係る現像ローラの電気抵抗の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
【0219】
1 軸芯体
2 弾性層
3 表面層
4 プロセスカートリッジ
5 感光ドラム
6 現像ローラ
7 現像剤塗布部材
8 現像剤
9 現像ブレード
10 現像装置
11 レーザー光
12 帯電装置
13 廃トナー収容容器
14 クリーニングブレード
15 定着装置
16 駆動ローラ
17 転写ローラ
18 バイアス電源
19 テンションローラ
20 転写搬送ベルト
21 従動ローラ
22 紙
23 給紙ローラ
24 吸着ローラ
25 浸漬槽
26 液送ポンプ
27 攪拌タンク
28 昇降装置
29 金属ドラム
31 ウレタン樹脂粒子
32 ウレタン樹脂粒子31と比較して相対的に粒径の小さいウレタン樹脂粒子
G ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯体の外周に弾性層を有し、その外周に樹脂と、樹脂粒子とを含有している表面層を有している現像ローラであって、
該表面層は、該樹脂粒子に由来する凸部を有し、
かつ粗さ曲線の歪度Rskが0.15以上、0.70以下である粗さの表面を有しており、
該樹脂粒子は、体積粒度分布において粒径d1にピークP1を有し、
粒径d1の粒子が全樹脂粒子に占める体積分率をa、かつd1より大きい粒径d2、d3の樹脂粒子が全樹脂粒子に占める体積分率をb、cとしたとき、d1、d2、d3及びa、b、cが下記関係式(1)から(7)を満足することを特徴とする現像ローラ。
4μm≦d2−d1≦12μm (1)
6μm≦d1≦22μm (2)
10μm≦d2≦27μm (3)
2.0体積%≦b≦8.0体積% (4)
1.5≦a/b≦7.0 (5)
0.0≦c/b≦1.1 (6)
d1<d3<d2 (7)
【請求項2】
前記樹脂粒子は、粒径d2にピークP2を有し、該粒径d2が、体積粒度分布において、極大値を示す最大の代表粒径である請求項1記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記樹脂粒子は、体積粒度分布において有するピークが、前記ピークP1及び前記ピークP2の2つである請求項2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
前記d1が7μm以上、10μm以下、d2が12μm以上、20μm以下に存在する請求項1から請求項3の何れかに記載の現像ローラ。
【請求項5】
前記粗さ曲線の歪度Rskが0.3以上、0.60以下である請求項1から請求項4の何れかに記載の現像ローラ。
【請求項6】
前記表面層において、前記樹脂100質量部に対する前記樹脂粒子の配合量をA[質量部]、前記表面層の厚さをt[μm]、前記樹脂粒子の体積粒度分布において、前記表面層の厚さの1.2倍以上の粒径の粒子の体積分率をB[%]としたとき、以下の式(8)から(10)を満足する請求項1から請求項5の何れかに記載の現像ローラ。
15≦A≦40 (8)
8.0≦t≦15.0 (9)
3.0≦A×B/100≦9.0 (10)
【請求項7】
前記tが式(11)を満たし、前記A及びBが式(12)を満足する請求項6に記載の現像ローラ。
9.0≦t≦12.0 (11)
3.5≦A×B/100≦6.0 (12)。
【請求項8】
前記現像ローラの表面硬度が30度以上38度以下であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の現像ローラ。
【請求項9】
少なくとも一成分乾式現像剤と、請求項1から請求項8の何れかに記載の現像ローラと、現像ローラ上の現像剤量を制御する現像ブレードとを有することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
前記現像剤の体積平均粒径をdtとしたとき、以下の関係式(13)を満足する請求項9に記載の現像装置。
1.0≦(d2−d1)/dt≦2.0 (13)
【請求項11】
前記現像剤の体積平均粒径が5.0μm以上、6.5μm以下である請求項10に記載の現像装置。
【請求項12】
前記現像ブレードにバイアスを印加する機構を有する請求項9から請求項11の何れかに記載の現像装置。
【請求項13】
少なくとも、現像剤を表面に担持する請求項1から請求項8の何れかに記載の現像ローラと、該現像ローラ上の現像剤量を制御する現像ブレードと、を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−112150(P2008−112150A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259900(P2007−259900)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】