説明

現像剤担持体、現像剤担持体の製造方法、現像装置、および画像形成装置

【課題】耐久性の向上を図るとともに、優れた現像特性を有する現像剤担持体、現像剤担持体の製造方法、現像装置、および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】円筒状または円柱状をなし、現像剤を担持するための現像剤担持体であって、その外周面に、規則的に配列された多数の突起部23を有し、突起部23の頂部に凹没した凹部24が形成されている。
互いに平行に形成された多数の第1の溝21と、第1の溝21に交差するとともに、互いに平行に形成された多数の第2の溝とを有しており、突起部23は、多数の第1の溝21のうち互いに隣接する一対の溝と、多数の第2の溝のうち互いに隣接する一対の溝とで囲まれることにより形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体、現像剤担持体の製造方法、現像装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用するプリンタ、複写機、ファクシミリ装置などの画像形成装置は、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程などの一連の画像形成プロセスによって、紙などの記録媒体上に、トナーからなる画像を形成する。
このような画像形成装置には、静電的な潜像を担持する感光体に対向して配設され、トナーを担持する現像ローラ(現像剤担持体)を有する現像装置が備えられている。かかる現像装置は、現像工程にて、現像ローラから感光体へトナーを付与することにより、前記潜像をトナー像として可視化する。
【0003】
従来、かかる現像装置に備えられる現像ローラとしては、その外周面をブラスト処理により粗面化して、凹凸を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これにより、現像ローラ上にトナーを確実に担持させることができる。
しかしながら、特許文献1にかかる現像ローラは、前述したような凹凸をブラスト処理により形成するため、形成された凹凸の形状、大きさ、配置が不均一なものとなり、現像特性の低下を招く場合がある。
【0004】
例えば、現像ローラの外周面に担持されるトナー量の分布が不均一となったり、現像ローラの外周面でのトナー粒子の転動性(転がりやすさ)が不均一になったりする。そのため、現像ローラ上のトナーを規制ブレードにより摩擦帯電する際に、局所的にトナーの帯電不良や搬送不良などを生じる場合がある。その結果、いわゆるカブリなどの現像不良が生じてしまう。
【0005】
また、ブラスト処理により得られた凹凸は、その凸部の先端の形状が比較的鋭利なものとなるため、例えば、前述した規制ブレードなどとの接触により磨耗しやすく、特許文献1にかかる現像ローラは、耐久性が低いものとなってしまう。
また、現像ローラの外周面の凹凸の形状を所望のものに任意に設定することができる方法が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】特開2003−263018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、耐久性の向上を図るとともに、優れた現像特性を有する現像剤担持体、現像剤担持体の製造方法、現像装置、および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の現像剤担持体は、円筒状または円柱状をなし、現像剤を担持するための現像剤担持体であって、
その外周面に、規則的に配列された多数の突起部を有し、該突起部の頂部に凹没した凹部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
これにより、複数の突起部の頂面に現像剤を担持することができる。そのため、現像剤担持体は、その外周面に均一かつ最適な量の現像剤を担持させることができ、また、現像剤担持体の外周面での現像剤の転動性(転がりやすさ)も均一なものとすることができる。その結果、現像剤の局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、優れた現像特性を発揮させることができる。
さらに、突起部を比較的大きく形成することができるため、突起部の耐久性を向上させることができる。
【0010】
本発明の現像剤担持体では、前記現像剤担持体は、その外周面に、互いに平行に形成された多数の第1の溝と、該第1の溝に交差するとともに、互いに平行に形成された多数の第2の溝とを有しており、
前記突起部は、前記多数の第1の溝のうち互いに隣接する一対の溝と、前記多数の第2の溝のうち互いに隣接する一対の溝とで囲まれることにより形成されることが好ましい。
これにより、現像剤担持体の外周面に比較的簡単な凹凸パターンを形成するだけで、突起部を形成することができ、現像剤担持体の製造コストを安価なものとすることができる。
【0011】
本発明の現像剤担持体では、前記第1の溝および/または前記第2の溝の深さをD1とし、前記現像剤の平均粒径をdとしたとき、D1/dは、0.5〜2であることが好ましい。
これにより、現像剤担持体は、第1の溝および第2の溝内に現像剤を均一かつ最適な量で担持することができる。
【0012】
本発明の現像剤担持体では、前記突起部の頂面は、前記凹部と、該凹部の周囲を囲む縁部とで構成されることが好ましい。
これにより、突起部上に現像剤を担持することができ、現像剤担持体は、現像剤を均一かつ最適な量で担持することができる。
本発明の現像剤担持体では、前記縁部は、ほぼ平坦面をなしていることが好ましい。
これにより、突起部の頂面の耐久性が向上し、さらに、突起部の先端が磨耗しても形状変化が少なく、現像特性が急激に低下することを防止して、長期にわたり優れた現像特性を発揮することができる。
【0013】
本発明の現像剤担持体では、前記凹部は、前記突起部の頂部のほぼ中央部に形成されていることが好ましい。
これにより、現像剤担持体は、突起部の耐久性を向上させつつ、現像剤をより均一かつ最適な量で担持することができる。
本発明の現像剤担持体では、前記凹部の開口面積をS1とし、前記縁部の外周縁に囲まれた領域の面積をS2としたとき、S1/S2は、0.1〜0.7であることが好ましい。
これにより、現像剤担持体は、突起部に現像剤を均一かつ最適な量で担持することができる。
【0014】
本発明の現像剤担持体では、前記凹部の深さをD2とし、前記現像剤の平均粒径をdとしたとき、D2/dは、0.5〜2であることが好ましい。
これにより、現像剤担持体は、突起部に現像剤を均一かつ最適な量で担持することができ、さらに、現像剤の局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、優れた現像特性を発揮させることができる。
【0015】
本発明の現像剤担持体では、前記凹部の開口面積をS1とし、前記現像剤の粒子の平均最大断面積をsとしたとき、S1/sは、1より大きいことが好ましい。
これにより、枠部の幅を太くすることで、突起部の頂面の耐久性を向上しつつ、凹部に現像剤を均一かつ最適な量で担持させることができる。
本発明の現像剤担持体では、前記凹部は、その底面が湾曲凹面をなしていることが好ましい。
これにより、現像剤の搬送性を優れたものとすることができるとともに、突起部の頂面に形成された凹部内での現像剤のつまり等をより効果的に防止することができる。さらに、現像剤の局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、現像剤担持体は、優れた現像特性を発揮させることができる。
【0016】
本発明の現像剤担持体の製造方法は、本発明の現像剤担持体を製造する方法であって、
前記現像剤担持体となるべき円筒状または円柱状の基材を用意する工程と、
前記基材の外周面に型を押圧することにより、前記複数の突起部を形成する工程とを含むことを特徴とする。
これにより、現像剤担持体の外周面に規則的かつ均一な凹凸部を形成することができる。そのため、得られる現像剤担持体は、その外周面に均一かつ最適な量の現像剤を担持させることができ、また、現像剤担持体の外周面での現像剤の転動性(転がりやすさ)も均一なものとすることができる。その結果、現像剤の局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、優れた現像特性を発揮させることができる。
【0017】
本発明の現像装置は、本発明の現像剤担持体を備え、該現像剤担持体は、潜像を担持する潜像担持体に接触または近接して対向しており、前記現像剤担持体から前記潜像担持体へ現像剤を付与することにより、前記潜像を現像剤像として可視化することを特徴とする。
これにより、現像特性および耐久性に優れた現像装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置は、帯電・露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスにより、画像を記録媒体に形成する画像形成装置であって、
本発明の現像装置を備えることを特徴とする。
これにより、現像特性および耐久性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の現像剤担持体、現像剤担持体の製造方法、現像装置、および画像形成装置の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<画像形成装置>
まず、本発明の画像形成装置、すなわち本発明の現像装置を備える画像形成装置を簡単に説明する。
【0019】
図1は、本発明にかかる画像形成装置の1実施形態を示す全体構成の模式的断面図である。
図1に示す本実施形態の画像形成装置10は、主として露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体に記録するものである。このような画像形成装置10は、図1に示すように、静電的な潜像を担持し図示矢印方向に回転する感光体20を有し、その回転方向に沿って順次、帯電ユニット30、露光ユニット40、現像ユニット50、一次転写ローラ60、クリーニングユニット75が配設されている。また、画像形成装置10は、図1にて下部に、紙などの記録媒体Pを収容する給紙トレイ82が設けられ、その給紙トレイ82に対して記録媒体Pの搬送方向下流に、二次転写ローラ80、定着装置90が記録媒体Pの搬送方向に沿って順次配設されている。また、画像形成装置10には、記録媒体の両面に画像を形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転させて二次転写ローラ80へ帰還させるための搬送部88が設けられている。
【0020】
感光体20は、円筒状の導電性基材(図示せず)と、その外周面に形成された感光層(図示せず)とを有し、その軸線まわりに図1中矢印方向に回転可能となっている。
帯電ユニット30は、コロナ帯電などにより感光体20の表面を一様に帯電するための装置である。
露光ユニット40は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受けこれに応じて、一様に帯電された感光体20上に、レーザを照射することによって、静電的な潜像を形成する装置である。
【0021】
現像ユニット50は、ブラック現像装置51と、マゼンタ現像装置52と、シアン現像装置53と、イエロー現像装置54との4つの現像装置を有し、これらの現像装置を感光体20上の潜像に対応して選択的に用いて、前記潜像をトナー像(現像剤像)として可視化する装置である。この装置では、現像剤として、ブラック現像装置51はブラック(K)トナー、マゼンタ現像装置52はマゼンタ(M)トナー、シアン現像装置53はシアン(C)トナー、イエロー現像装置54はイエロー(Y)トナーを用いて現像を行う。
【0022】
本実施形態におけるYMCK現像ユニット50は、前述の4つの現像装置51、52、53、54を選択的に感光体20に対向するように、回転可能となっている。具体的には、このYMCK現像ユニット50は、軸50aを中心として回転可能な保持体55の4つの保持部55a、55b、55c、55dにそれぞれ4つの現像装置51、52、53、54が保持されており、保持体55の回転により、4つの現像装置51、52、53、54が相対位置関係を維持したまま、感光体20に選択的に対向するようになっている。各現像装置51、52、53、54は、本発明の現像剤担持体の製造方法を用いて製造された現像剤担持体を備えるものである。なお、各現像装置51、52、53、54については、後に詳述する。
【0023】
中間転写体61は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト70を有し、この中間転写ベルト70は、一次転写ローラ60、従動ローラ72、駆動ローラ71で張架されており、駆動ローラ71の回転により、図1に示す矢印方向に、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
一次転写ローラ60は、感光体20に形成された単色のトナー像を中間転写ベルト70に転写するための装置である。
【0024】
中間転写ベルト70上には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのうちの少なくとも1色のトナー像が担持され、例えばフルカラー画像の形成時に、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が形成される。本実施形態では、駆動ローラ71が、後述する二次転写ローラ80のバックアップローラとしても機能する。また、一次転写ローラ60、駆動ローラ71、従動ローラ72は、基体73によって支持されている。
【0025】
二次転写ローラ80は、中間転写ベルト70上に形成された単色やフルカラーなどのトナー像を、紙、フィルム、布等の記録媒体Pに転写するための装置である。
定着装置90は、前記トナー像の転写を受けた記録媒体Pを加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着させるための装置である。
【0026】
クリーニングユニット75は、一次転写ローラ60と帯電ユニット30との間で感光体20の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ローラ60によって中間転写ベルト70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
搬送部88は、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラ対88A、88Bと、搬送ローラ対88A、88Bによって搬送される記録媒体Pを表裏反転しつつレジローラ86へ向け案内する搬送路88Cとを備えている。これにより、記録媒体の両面に画像形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させる。
【0027】
次に、このように構成された画像形成装置10の動作を説明する。
まず、図示しないホストコンピュータからの指令により、感光体20、現像ユニット50に設けられた現像ローラ(図示せず)、および中間転写ベルト70が回転を開始する。そして、感光体20は、回転しながら、帯電ユニット30により順次帯電される。
感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
【0028】
感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置54によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体20上にイエロートナー像が形成される。このとき、YMCK現像ユニット50は、イエロー現像装置54が、前記現像位置にて感光体20と対向している。
感光体20上に形成されたイエロートナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置(すなわち、感光体20と一次転写ローラ60との対向部)に至り、一次転写ローラ60によって、中間転写ベルト70に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ60には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。なお、この間、二次転写ローラ80は、中間転写ベルト70から離間している。
【0029】
前述の処理と同様の処理が、第2色目、第3色目および第4色目について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写ベルト70に重なり合って転写される。これにより、中間転写ベルト70上にはフルカラートナー像が形成される。
一方、記録媒体Pは、給紙トレイ82から、給紙ローラ84、レジローラ86によって二次転写ローラ80へ搬送される。
【0030】
中間転写ベルト70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト70の回転に伴って二次転写位置(すなわち、二次転写ローラ80と駆動ローラ71との対向部)に至り、二次転写ローラ80によって記録媒体Pに転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ80は中間転写ベルト70に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。
【0031】
記録媒体Pに転写されたフルカラートナー像は、定着装置90によって加熱および加圧されて記録媒体Pに融着される。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対87によって画像形成装置10の外部へ排出される。
一方、感光体20は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75のクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット75内の残存トナー回収部に回収される。
【0032】
記録媒体の両面に画像形成する場合には、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦排紙ローラ対87により挟持した後に、排紙ローラ対87を反転駆動するとともに、搬送ローラ対88A、88Bを駆動して、当該記録媒体Pを搬送路88Cを通じて表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
【0033】
<現像装置>
次に、現像ユニット50の現像装置51、52、53、54を詳細に説明する。なお、現像装置51、52、53、54は、使用するトナーが異なるが、それ以外は同様の構成であるため、以下、図2に基づいて、イエロー現像装置54を代表的に説明する。
図2は、本発明の現像装置の概略構成を示す模式的断面図である。
図2に示すイエロー現像装置54は、現像剤たるトナーT(イエロートナー)を収容するハウジング540と、現像剤担持体たる現像ローラ510と、この現像ローラ510にトナーTを供給するトナー供給ローラ550と、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制する規制ブレード560とを有している。
【0034】
ハウジング540は、その内部空間として形成された収容部530内にトナーTを収容する。ハウジング540では、収容部530の下部に形成された開口およびその近傍において、トナー供給ローラ550および現像ローラ510が互いに圧接回転するように支持されている。また、ハウジング540には、規制ブレード560が取り付けられていて、これが現像ローラ510に圧接している。さらに、ハウジング540には、前記開口におけるハウジング540と現像ローラ510との間からのトナーの漏れを防止するためのシール部材520が取り付けられている。
【0035】
現像ローラ510は、その外周面にトナーTを担持しつつ、現像ローラ510と感光体20との対向部である現像位置(以下、単に「現像位置」という)へトナーTを搬送するものである。また、現像ローラ510は、円筒状をなし、その軸線まわりに回転可能となっている。本実施形態では、現像ローラ510は、感光体20の回転方向と逆の方向に回転する。なお、現像ローラ510については、後に詳述する。
また、本実施形態では、イエロー現像装置54による現像時に、現像ローラ510と感光体20とが微小間隙をもって、非接触状態で対向する。そして、現像ローラ510と感光体20との間に交番電界を印加することにより、トナーTを現像ローラ510上から感光体20へ飛翔させて、感光体20上の潜像が現像される。
【0036】
トナー供給ローラ550は、収容部530に収容されたトナーTを現像ローラ510に供給する。このトナー供給ローラ550は、ポリウレタンフォーム等からなり、弾性変形された状態で現像ローラ510に圧接している。本実施形態では、トナー供給ローラ550は、現像ローラ510の回転方向と逆の方向に回転する。なお、トナー供給ローラ550は、収容部530に収容されたトナーTを現像ローラ510に供給する機能を有するだけでなく、現像後に現像ローラ510に残存しているトナーTを現像ローラ510から剥ぎ取る機能をも有している。
【0037】
規制ブレード560は、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制するとともに、その規制時に、摩擦帯電により、現像ローラ510に担持されたトナーTに電荷を付与する。この規制ブレード560は、現像ローラ510の回転方向にて現像位置の上流側のシール部材としても機能している。
この規制ブレード560は、現像ローラ510の軸方向に沿って当接される当接部材としてのゴム部560aと、このゴム部560aを支持する支持部材としてのゴム支持部560bとを有している。ゴム部560aは、シリコンゴム、ウレタンゴム等を主材料として構成され、ゴム支持部560bは、ゴム部560aを現像ローラ510側に付勢する機能も有するため、リン青銅、ステンレス等のバネ性(弾性)を有するシート状の薄板が用いられる。ゴム支持部560bは、その一端がブレード支持板金562に固定されている。ブレード支持板金562は、ハウジング540に取り付けられ、シール部材520もハウジング540に取り付けられる。さらに現像ローラ510が取り付けられた状態で、ゴム部560aは、ゴム支持部560bの撓みによる弾性力によって、現像ローラ510に押しつけられている。
また、本実施形態では、規制ブレード560の現像ローラ510側とは逆側には、ブレード裏部材570が設けられ、ゴム支持部560bとハウジング540との間にトナーTが入り込むことを防止するとともに、ゴム部560aを現像ローラ510へ押圧して、ゴム部560aを現像ローラ510に押しつけている。
本実施形態では、規制ブレード560の自由端部、すなわち、ブレード支持板金562に支持されている側とは逆側の端部は、その端縁で現像ローラ510に接触せずに、端縁から若干離れた部位で現像ローラ510に接触している。また、規制ブレード560は、その先端が現像ローラ510の回転方向の上流側に向くように配置されており、いわゆるカウンタ当接している。
【0038】
<現像剤担持体>
ここで、図3および図4に基づき、本発明の現像剤担持体の一例である現像ローラ510を詳細に説明する。
図3は、図2に示す現像装置に備えられた現像剤担持体の概略構成を示す平面図、図4は、図3におけるA−A線での拡大断面図である。
図3に示す現像ローラ510は、円筒状の本体300と、この本体300の両端から突出する軸受部310とを有している。
【0039】
本体300の外周面301には、図3、図4に示すように、トナーT(現像剤)を担持するための凹凸部2が形成されている。この凹凸部2は、互いにほぼ平行な多数の第1の溝21と、この第1の溝21に交差(本実施形態ではほぼ直交)するとともに、互いにほぼ平行な多数の第2の溝22と、第1の溝21と第2の溝22とで囲まれることで形成された突起部23と、この突起部23の頂部に形成された凹部24とで構成されている。
【0040】
図3に示すように、第1の溝21は、外周面301に沿って螺旋状をなすように形成されている。言い換えすれば、第1の溝21は、外周面301の周方向に対して傾斜する方向に延在している。
また、第1の溝21同士間および/または第2の溝22同士間のピッチをpとしたとき、pは、用いられる解像度(画像の解像度)のピッチよりも小さいのが好ましく、より具体的には、例えば、pは、前記解像度が150dpiである場合には、169μmよりも小さいのが好ましく、前記解像度が200dpiである場合には、127μmよりも小さいのが好ましく、前記解像度が300dpiである場合には、85μmよりも小さいのが好ましい。これにより、現像によって得られるトナー像のムラを防止することができる。
【0041】
また、第1の溝21および/または第2の溝22の深さをD1とし、トナーT(現像剤)の平均粒径をdとしたとき、D1/dは、0.5〜2であるのが好ましく、0.9〜1.3であるのがより好ましい。これにより、現像ローラ510は、第1の溝21および第2の溝22にトナーTを均一かつ最適な量で担持することができる。これに対し、D1/dが前記下限値未満であると、凹凸部2の形状などによっては、突起部23に引っ掛かりにくく、トナーの転動性が悪化し、帯電不良を生じやすくなる。一方、D1/dが前記上限値を超えると、凹凸部2の形状などによっては、溝内(第1の溝21および/または第2の溝22)のトナーTが現像ローラ510および規制ブレード560のいずれにも接触せずに帯電不良を生じる場合がある。
【0042】
また、第1の溝21および/または第2の溝22の幅をWとし、トナーT(現像剤)の平均粒径をdとしたとき、W/dは、2〜20であるのが好ましく、W/dは、4〜10であるのがより好ましい。これにより、現像ローラ510は、その凹凸部2にトナーTを均一かつ最適な量で担持することができる。これに対し、W/dが前記下限値未満であると、凹凸部2の形状などによっては、トナーTが溝内に入り込まず転動性が悪化し帯電不良を生じたり、トナーTが溝内に入っても溝内に滞留してフィルミングを生じたりする傾向となる。一方、W/dが前記上限値を超えると、凹凸部2の形状などによっては、現像ローラ510に担持されるトナー量が少なく搬送不良を生じたり、トナーTが凹凸部2の突起部23に接触する機会が少なくなり転動性が悪化し、帯電不良を生じたりする場合がある。
なお、第2の溝22の構成は、前述したように延在方向が異なる以外は、第1の溝21の構成と同様である。
【0043】
また、本実施形態では、互いにほぼ平行な複数の第1の溝21と、この第1の溝21に交差するとともに、互いにほぼ平行な複数の第2の溝22とで囲まれることにより突起部23が形成されているが、突起部23を形成することができればこれに限定されず、例えば、第1の溝21と第2の溝22のほかに第3の溝を形成することで突起部23を形成してもよい。また、第1の溝21および第2の溝22は、直線的な溝でなくてもよく、例えば、蛇行しているものであってもよく、屈折しているものであってもよい。また、第1の溝21と第2の溝22の横断面形状が、第1の溝21と第2の溝22それぞれの溝の延在方向において変化するものであってもよい。
【0044】
突起部23は、図3に示すように、多数の第1の溝21のうち互いに隣接する一対の溝と、多数の第2の溝22のうち互いに隣接する一対の溝とで格子状をなすことにより形成されている。これにより、現像ローラ510の外周面に比較的簡単な凹凸パターンを形成するだけで、突起部23を形成することができ、現像ローラ510の製造コストを安価なものとすることができる。
【0045】
また、突起部23の頂部には、凹部24と、凹部24の周囲を囲む縁部25とが形成されている。これにより、突起部23上にトナーTを担持することができ、現像ローラ510は、トナーTを均一かつ最適な量で担持することができる。
また、縁部25は、平坦面からなっている。これにより、突起部23の頂面の耐久性が向上し、さらに、突起部23の先端が磨耗しても形状変化が少なく、現像特性が急激に低下することを防止して、長期にわたり優れた現像特性を発揮することができる。
【0046】
なお、突起部23の形状は、突起部23の頂部に凹部24を形成することができれば特に限定されない。
凹部24は、前述したように突起部23の頂部に形成されている。これにより、現像ローラ510は、突起部23の頂部にもトナーTを担持することができる。その結果、トナーTをより均一に担持することができる。
【0047】
凹部24の形状は、トナーTを担持することができれば特に限定されないが、その底面が湾曲凹面(現像ローラ510の軸線に向けて凹となる湾曲面)をなしているのが好ましい。これにより、トナーTの搬送性を優れたものとしつつ、凹部24内でのトナーTのつまり等を効果的に防止することができ、さらに、トナーTの局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、優れた現像特性を発揮させることができる。
【0048】
また、凹部24の深さをD2とし、トナーTの平均粒径をdとしたとき、D2/dは、0.5〜2であるのが好ましく、0.9〜1.3であるのがより好ましい。これにより、凹部24にトナーTを均一かつ最適な量で担持することができる。これに対し、D2/dが前記下限値未満であると、凹部24の形状などによっては、突起部23に引っ掛かりにくく、トナーTの転動性が悪化し、帯電不良を生じやすくなる。一方、D2/dが前記上限値を超えると、凹部24の形状などによっては、凹部24内のトナーTが現像ローラ510および規制ブレード560のいずれにも接触せずに帯電不良を生じる場合がある。
【0049】
また、凹部24の開口面積をS1とし、トナーTの粒子の平均最大断面積をsとしたとき、S1/sは、1より大きいことが好ましい。これにより、凹部24は、トナーTを均一かつ最適な量で担持することができる。これに対し、S1/sが前記下限値未満であると、凹部24の形状などによっては、トナーTが凹部24内に入り込まず転動性が悪化し帯電不良を生じたり、トナーが凹部24内に入っても溝内に滞留してフィルミングを生じたりする傾向となる。
【0050】
また、凹部24の開口面積をS1とし、突起部23の頂面の外周に囲まれた面積をS2としたとき、S1/S2は、0.1〜0.7であるのが好ましく、S1/S2は、0.15〜0.5であるのがより好ましい。これにより、縁部25の幅を太くすることで、突起部23の頂面の耐久性を向上しつつ、凹部24にトナーTを均一かつ最適な量で担持させることができる。これに対し、S1/S2が前記下限値未満であると、凹部24の開口面積や開口の形状などによっては、現像ローラ510に担持されるトナーTの量が少なく搬送不良を生じたりする場合がある。一方、S1/S2が前記上限値を超えると、凹部24の開口面積や開口の形状などによっては、現像ローラ510は、規制ブレードなどとの接触により磨耗しやすく耐久性が低いものとなってしまう。
【0051】
凹部24は、図4に示すように、突起部23の頂面のほぼ中央部に形成されている。これにより、凹部24の周囲に縁部25の幅を全周にわたって均一化することができるため、突起部23の耐久性が向上する。さらに、このような現像ローラ510は、トナーTをより均一かつ最適な量で担持することができる。
凹部24の開口形状は、トナーTを担持することができれば特に限定されず、例えば、円形状でもよく、多角形状でもよく、異形状でもよい。
【0052】
凹部24の開口形状は、縁部25の外周縁に囲まれた領域の形状と相似である。すなわち、凹部24の開口面の形状は、ほぼ正方形をなしている。これにより、縁部25の幅を太くしつつ、凹部24の開口面積を大きくすることができる。その結果、現像ローラ510は、突起部23の頂部の耐久性を向上しつつ、トナーTをより均一かつ最適な量で担持することができる。
【0053】
このような凹凸部2は規則的かつ均一であり、これにより、現像ローラ510上に均一かつ最適な量のトナーTを担持させることができ、また、現像ローラ510の外周面でのトナーの転動性(転がりやすさ)も均一なものとすることができる。さらに、凹部24により、突起部23上にトナーTを担持せることができる。その結果、トナーの局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、優れた現像特性を発揮させることができる。
【0054】
また、このような凹凸部2は、後述するように型を用いた転写(転造)のような処理によって得られるものであるため、押圧された部分の強度が向上し、ブラスト処理などで得られたものと比しても、優れた機械的強度を有する。このような凹凸部2を有する現像ローラ510は、前述したような規制ブレード560やトナー供給ローラ550などの摺動を受けていても、優れた耐久性を発揮することができる。したがって、このような現像ローラ510は、乾式一成分非磁性トナーを用いる現像装置に好適に用いることができる。
このような現像ローラ510の本体300は、アルミニウム、ステンレス、鉄等のような金属材料を主材料として構成されている。
【0055】
なお、本体300の外周面(外周面301)には、必要に応じて、ニッケルメッキ、クロムメッキ等が施されていてもよい。
また、本体300の外径(直径)は、特に限定されないが、例えば、10〜30mmであるのが好ましく、15〜20mmであるのがより好ましい。
このような、現像ローラ510は、例えば、次のように製造される。
【0056】
<現像剤担持体の製造方法>
図5ないし図7に基づいて、本発明の現像剤担持体の製造方法の一例として、前述した現像ローラ510の製造方法を説明する。
図5は、本発明の実施形態にかかる現像剤担持体の製造方法を説明するための図、図6は、図5に示す製造方法において基材の外周面に凹凸部を形成する装置の概略構成を示す斜視図、図7は、図6に示す装置の平面図である。
現像ローラ510の製造方法は、[1]現像ローラ510となるべき円筒状の基材を用意する工程と、[2]この基材の外周面に凹凸部2を形成する工程とを有する。
【0057】
以下、各工程を順次詳細に説明する。
[1]基材を用意する工程
まず、図5(a)に示すように、現像ローラ510となるべき円筒状の基材300Aを用意する。
この基材300Aは、前述した現像ローラ510の本体300となるべきものであり、アルミニウム、ステンレス、鉄等のような金属材料を主材料として構成されている。より具体的には、基材300Aの構成材料としては、STKM、STK、SGPなどの鉄系材料や、A6063、A5056などのアルミ系材料が好適に用いられる。これにより、後述する製造工程において、凹凸部2を本体300(現像ローラ510)の外周面301に形成するとき、当該溝を容易かつ確実に形成することができる。
【0058】
また、この基材300Aの外径は、特に限定されないが、10〜30mmであるのが好ましく、15〜25mmであるのがより好ましい。
また、基材300Aの厚さは、特に限定されないが、0.2〜3mmであるのが好ましく、0.5〜3mmであるのがより好ましい。
このような基材300Aの軸線方向での端部における内周部を、図5(b)に示すように、切削加工などにより例えば厚さ0.5〜1mm程度除去して、薄肉化し、軸受部310となるべき軸部材310Aを圧入するための圧入部302を形成する。
これにより、圧入部302の寸法精度が優れたものなり、基材300Aに軸部材310Aを簡単に圧入することができるとともに、接着剤や溶接などを用いなくても、その圧入後に軸部材310Aを基材300Aに強固に固定することができる。
【0059】
そして、図5(c)に示すように、基材300Aの圧入部302に軸部材310Aを圧入する。これにより、軸部材310Aが基材300Aに固定される。
基材300Aに対する軸部材310Aの固定方法としては、軸部材310Aを基材300Aの圧入部302に圧入するのみでもよいし、接着剤や溶接を用いてもよい。
その後、基材300Aの軸線と、軸部材310Aのうちの基材300Aの端面から突出した部分の軸線とが一致するように、基材300Aの外周面と軸部材310Aの前記突出した部分の外周面とを研削する。これにより、図5(d)に示すように、基材300Aの両端から突出する軸受部310が形成される。
この研削方法としては、特に限定されないが、例えば、センタレス研磨を好適に用いることができる。
【0060】
また、研削後の基材300Aおよび軸受部310において、外径精度を±10〜±50μmとするのが好ましく、また、ふれを10〜50μmとするのが好ましく、さらに、表面粗さを0.5〜1μmとするのが好ましい。これらにより、得られる現像ローラ510の寸法精度をより優れたものとすることができる。
なお、圧入部302の形成や、軸部材310Aの圧入は、後述する工程[2]の後に行ってもよい。また、圧入部302の形成や、基材300Aおよび軸部材310Aの外周面の研削を省略することもできる。
【0061】
[2]凹凸部を形成する工程
次に、図5(e)に示すように、基材300Aの外周面に、凹凸部2を形成する。
以下、凹凸部2の形成について、図6および図7に基づいて、詳細に説明する。
凹凸部2の形成に際しては、例えば、図6および図7に示すような加工装置200を用いる。
【0062】
図6および図7に示す加工装置200は、前述した工程[1]で得られた基材300Aをその下方から支持する基台210と、基台210上の基材300Aをその両側から押圧する第1の型220および第2の型230(1対のダイス)を有している。
第1の型220および第2の型230は、それぞれ、円板状(短い円柱状)をなし、その軸線まわりに回転可能となっている。
【0063】
また、第1の型220には、図7に示すように、形成すべき複数の第1の溝21の形状に対応した形状をなす複数の凸条(凸部)221および形成すべき複数の凹部24の形状に対応した突起部222が形成されている。一方、第2の型230には、形成すべき複数の第2の溝22の形状に対応した形状をなす複数の凸条(凸部)231が形成されている。
【0064】
このような第1の型220および第2の型230の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、基材300Aよりも硬質な材料であるのが好ましく、具体的には、SKD、SKH、SLDなどを好適に用いることができる。
このような第1の型220および第2の型230は、それぞれ、その板面が基材300Aの軸線に直角な方向に対し若干傾斜するように配設されている。
このような第1の型220および第2の型230を基材300Aに押圧することで凹凸部2を形成することができる。
【0065】
第1の型220および第2の型230を基材300Aに押圧しつつ互いに逆方向に回転すると、図6中矢印で示すように、基材300Aがその軸線方向に搬送されながら、第1の型220および第2の型230による加工が行われる。その結果、図4に示すような凹凸部2を外周面に有する現像ローラ510が製造される。
このような、押圧により凹凸部2を形成することにより、ブラスト処理により凹凸部を形成する場合と比べ、突起部23の耐久性が向上する。
【0066】
以上のようにして型を用いて凹凸部2を形成した後に、その表面に、必要に応じて、メッキ処理を施す。これにより、得られる凹凸部2の機械的強度をさらに優れたものとすることができる。
このようなメッキ処理の方法としては、特に限定されないが、無電解Ni−Pメッキ、電気メッキ、硬質クロムメッキなどを好適に用いることができる。
また、メッキの厚さは、2〜10μm程度であるのが好ましい。
以上のようにして現像ローラ510を製造することができる。
このような現像ローラ510、およびこれを備える現像装置や画像形成装置は、現像特性および耐久性に優れたものとすることができる。
【0067】
以上、本発明の現像剤担持体、現像剤担持体の製造方法、現像装置、および画像形成装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、現像剤担持体、現像装置、および画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
前述した実施形態では、現像剤担持体およびこれを形成するための基材が円筒状をなすものについて説明したが、現像剤担持体(本体)および基材が円柱状をなしていてもよい。
【0068】
また、前述した実施形態では、第1の溝21と第2の溝22とがほぼ直交していたが、これに限定されず、鋭角または鈍角をもってこれらが交差するように形成されていてもよい。
また、前述した実施形態では、凹部24が各突起部23の頂面に1つ形成されているものについて説明したが、突起部23の頂面にトナーTを担持することができればこれに限定されず、例えば、各突起部23の頂面に2つ以上の凹部を形成してもよい。
【0069】
また、前述した実施形態では、第1の溝21および凹部24を第1の型220で、第2の溝22を第2の型230で、それぞれ別の型を用いて形成したが、1つの型に第1の溝21および第2の溝22、凹部24の形成のための凹凸パターンを形成してもよい。この場合、例えば、第1の型220または第2の型230のうちの一方の型の外周面に前記凹凸パターンを形成し、他方の型の外周面を平坦面としてもよいし、両方の型に前記凹凸パターンを形成してもよい。
【0070】
また、前述した実施形態では、凹部24と第1の溝21とを同じ型220を用いて形成したが、別の型に凹部24の形成のための凹凸パターンを形成してもよい。
また、前述した実施形態では、円板状(短い円柱状)の型を用いて、基材300Aを軸線方向に移動させながら、凹凸部2の形成を行ったが、基材300Aの凹凸部2形成予定部位の軸線方向での長さとほぼ同じ長さの円柱状の型を用い、基材300Aを軸線方向に移動せずに、凹凸部2の形成を行ってもよい。
また、凹凸部2の形成に用いる型は、前述したような円板状または円筒状のものに限定させず、板状などの他の形状のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の画像形成装置の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の現像装置の概略構成を示す模式的断面図である。
【図3】図2に示す現像装置に備えられた現像剤担持体の概略構成を示す平面図である。
【図4】図3におけるA−A線での拡大断面図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる現像剤担持体の製造方法を説明するための図である。
【図6】図5に示す製造方法において基材の外周面に凹凸部を形成する装置の概略構成を示す斜視図である。
【図7】図6に示す装置の平面図である。
【符号の説明】
【0072】
10……画像形成装置 2……凹凸部 21……第1の溝 22……第2の溝 23……突起部 24……凹部 25……縁部 20……感光体 30……帯電ユニット 200……加工装置 210……基台 220……第1の型 221……凸条 230……第2の型 231……凸条 300……本体 300A……基材 301……外周面 302……圧入部 310……軸受部 310A……軸部材 40……露光ユニット 50……現像ユニット 50a……軸 51……ブラック現像装置 52……マゼンタ現像装置 53……シアン現像装置 54……イエロー現像装置 55……保持体 55a〜55d……保持部 510……現像ローラ(現像剤担持体) 520……シール部材 530……収容部 540……ハウジング 550……トナー供給ローラ 560……規制ブレード 560a……ゴム部 560b……ゴム支持部 562……ブレード支持板金 570……ブレード裏部材 60……一次転写ローラ 61……中間転写体 70……中間転写ベルト 71……駆動ローラ 72……従動ローラ 73……基体 75……クリーニングユニット 76……クリーニングブレード 80……二次転写ローラ 87……排紙ローラ対 88……搬送部 88A、88B……搬送ローラ対 88C……搬送路 82……給紙トレイ 84……給紙ローラ 86……レジローラ 90……定着装置 p……ピッチ P……記録媒体 T……トナー(現像剤)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状または円柱状をなし、現像剤を担持するための現像剤担持体であって、
その外周面に、規則的に配列された多数の突起部を有し、該突起部の頂部に凹没した凹部が形成されていることを特徴とする現像剤担持体。
【請求項2】
前記現像剤担持体は、その外周面に、互いに平行に形成された多数の第1の溝と、該第1の溝に交差するとともに、互いに平行に形成された多数の第2の溝とを有しており、
前記突起部は、前記多数の第1の溝のうち互いに隣接する一対の溝と、前記多数の第2の溝のうち互いに隣接する一対の溝とで囲まれることにより形成される請求項1に記載の現像剤担持体。
【請求項3】
前記第1の溝および/または前記第2の溝の深さをD1とし、前記現像剤の平均粒径をdとしたとき、D1/dは、0.5〜2である請求項2に記載の現像剤担持体。
【請求項4】
前記突起部の頂面は、前記凹部と、該凹部の周囲を囲む縁部とで構成される請求項1ないし3のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項5】
前記縁部は、ほぼ平坦面をなしている請求項4に記載の現像剤担持体。
【請求項6】
前記凹部は、前記突起部の頂部のほぼ中央部に形成されている請求項4または5に記載の現像剤担持体。
【請求項7】
前記凹部の開口面積をS1とし、前記縁部の外周縁に囲まれた領域の面積をS2としたとき、S1/S2は、0.1〜0.7である請求項4ないし6のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項8】
前記凹部の深さをD2とし、前記現像剤の平均粒径をdとしたとき、D2/dは、0.5〜2である請求項1ないし7のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項9】
前記凹部の開口面積をS1とし、前記現像剤の粒子の平均最大断面積をsとしたとき、S1/sは、1より大きい請求項1ないし8のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項10】
前記凹部は、その底面が湾曲凹面をなしている請求項1ないし9のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の現像剤担持体を製造する方法であって、
前記現像剤担持体となるべき円筒状または円柱状の基材を用意する工程と、
前記基材の外周面に型を押圧することにより、前記複数の突起部を形成する工程とを含むことを特徴とする現像剤担持体の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれかに記載の現像剤担持体を備え、該現像剤担持体は、潜像を担持する潜像担持体に接触または近接して対向しており、前記現像剤担持体から前記潜像担持体へ現像剤を付与することにより、前記潜像を現像剤像として可視化することを特徴とする現像装置。
【請求項13】
帯電・露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスにより、画像を記録媒体に形成する画像形成装置であって、
請求項12に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−279250(P2007−279250A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103585(P2006−103585)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】