説明

現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び現像剤収容器

【課題】シート部材を引き抜いて開口部を開口させる際に、当該シート部材が切断されるのを防止する現像装置を提供する。
【解決手段】流入側開口部51を封止するシート部材52に弛み規制手段となる押圧板材81を、シート部材52の復路52Cと下側ハウジング32との間に設ける。押圧板材81は、シート部材52の復路52Cを往路52B側に押さえる形となり、復路52Cが往路52Bから浮くのを防止し、撓みの発生をなくす。また、シート部材52は復路52Cを往路52B(流入側開口部51)側に向けて押圧させることで、シート部材52が移動するのを規制する。現像剤が入り込む隙間をなくして、シート部材が引き抜かれる際に、当該シート部材が切断するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリンタ等に用いられる現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び現像剤収容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真の原理を応用した記録装置(プリンタ)としては、操作性の向上を図ると共に、電子写真プロセスを実行する部材を1つにまとめたカートリッジ(所謂、プロセスカートリッジ)を使用した機種が多く市場に出回っている。
【0003】
また、記録装置に対する小型化の要求もあり、プロセスカートリッジを構成する各構成要素も小型化が図られてきた。その構成要素の一つに現像装置がある。この現像装置には予め現像剤が充填される現像剤収容部が形成されており、この現像剤収容部内の現像剤は流出側開口部を介して外部に対して輸送されるようになっている。
【0004】
一方、未使用時のプロセスカートリッジを輸送する際、現像剤収容部内の現像剤が外部へ漏れ出すのを防止するために、前記流出側開口部をシート部材によって封止する技術がある(特許文献1から3、参照)。このシート部材は、使用するに際し、ユーザにより剥離されるものである(特許文献1,2、特許文献3の図16参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献2のように、シート部材を現像剤収容部側に設けたものにあっては、何らかの理由により上記シート部材を引き抜いている途中で切断されると、当該プロセスカートリッジは使用不能となり、ユーザに多大の迷惑をかけるものとなっていた。
【0006】
そこで、発明者は、その原因を探求した結果、以下の結論に達した。即ち、上述した特許文献におけるシート部材は、折り返し部が現像剤収容部内に配置される。このため、搬送時等において現像剤収容部内の現像剤が攪拌されることにより、シート部材の折り返し部の内側に現像剤が巻き込まれることがある。
そして、使用開始するに当たり、この状態のまま、ユーザがシート部材を引き抜く作業を始めると、折り返し部の内側に巻き込まれた現像剤が逃げられず、この現像剤がシート部材を引き抜く力で圧縮されて塊となり、シート部材を引き抜き際の抵抗となる。この状態で、ユーザが無理矢理にシート部材を引き続けると、シート部材が無理に引かれ続け、切断に至る。
また、シート部材とハウジングとの間に形成される隙間に現像剤が挟み込まれた場合でも、隙間に巻き込まれた現像剤が塊となって、シート部材を切断する可能性があった。
【0007】
【特許文献1】特開平07−168444号公報
【特許文献2】特開2001−125357号公報
【特許文献3】特開平09−26743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、シート部材を引き抜いて開口部を開口させる際に、当該シート部材が切断されるのを防止する現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び現像剤収容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明が採用する現像装置の構成は、現像剤が収容される現像剤収容部、および静電潜像が形成される像保持体に向けて前記現像剤収容部が開口し、前記現像剤が流出する流出側開口部を有するハウジングと、前記ハウジングに回転可能に取り付けられ、前記現像剤収容部に収容される現像剤を保持して前記像保持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤保持体と、前記ハウジングに設けられ、未使用状態において前記流出側開口部を封止し、使用状態において一方向に引き出されて前記流出側開口部を開口させるシート部材と、前記ハウジングに形成され、前記シート部材で前記流出側開口部を封止する際に当該シート部材が挿入され、前記シート部材を引き出す際に当該シート部材を案内する案内孔と、前記ハウジング或いは前記シート部材に設けられ、当該シート部材が弛むのを規制する弛み規制手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記現像剤収容部および前記流入側開口部に加え、外部に向けて前記現像剤収容部が開口し、現像剤が流入される流入側開口部をさらに有するハウジングと、前記ハウジングに設けられ、未使用状態において前記流入側開口部を封止し、使用状態において一方向に引き出されて前記流入側開口部を開口させるシート部材と、前記流入側開口部を封止する際に当該シート部材が挿入され、前記シート部材を引き出す際に当該シート部材を案内する案内孔と、前記ハウジング或いは前記シート部材に設けられ、当該シート部材が弛むのを規制する弛み規制手段と、を備えたことが好ましい。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記シート部材は、前記開口部に対して折り返して封止され、基点から折り返し部までが往路、折り返し部から往路に重なって自由端が前記ハウジングの前記案内孔を介して外部に突出する復路となり、前記弛み規制手段は、前記復路のうち前記案内孔側に設けられ、当該復路における移動を規制する部材であることが好ましい。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記シート部材は、前記開口部に対して折り返して封止され、基点から折り返し部までが往路、折り返し部から往路に重なって自由端が前記ハウジングの前記案内孔を介して外部に突出する復路となり、前記弛み規制手段は、前記折り返し部側に設けられ、当該折り返し部における移動を規制する部材であることが好ましい。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記シート部材は、前記開口部に対して折り返して封止され、基点から折り返し部までが往路、折り返し部から往路に重なって自由端が前記ハウジングの前記案内孔を介して外部に突出する復路となり、前記弛み規制手段は、前記復路に貼り付けられ、当該復路における撓みを規制する部材であることが好ましい。
【0014】
請求項6記載の発明は、前記移動を規制する部材は、前記シート部材の硬さよりも硬いシート部材によって形成されることが好ましい。
【0015】
前記目的を達成するために、請求項7記載の発明が採用するプロセスカートリッジの構成は、表面に静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化する、請求項1から6のいずれか1に記載の現像装置と、を備えることを特徴とする。
【0016】
前記目的を達成するために、請求項8記載の発明が採用する画像形成装置の構成は、表面に静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化する上記記載の現像装置と、前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像を前記現像装置により可視像化したトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
前記目的を達成するために、請求項9記載の発明が採用する現像剤収容器の構成は、現像剤が収容される現像剤収容部、および外部に向けて前記現像剤収容部が開口し、現像剤が流出される流出側開口部を有するハウジングと、前記ハウジングに設けられ、未使用状態において前記流出側開口部を封止し、使用状態において一方向に引き出されて前記流出側開口部を開口させるシート部材と、前記流出側開口部を封止する際に当該シート部材が挿入され、前記シート部材を引き出す際に当該シート部材を案内する案内孔と、前記ハウジング或いは前記シート部材に設けられ、当該シート部材が弛むのを規制する弛み規制手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1および2記載の発明は、弛み規制手段が搬送等の振動によりシート部材が弛むのを規制することにより、当該シート部材自体、或いは当該シート部材とハウジングとの間に隙間が形成されるのを防止する。これにより、シート部材自体、或いは当該シート部材とハウジングとの間に、現像剤が入り込む隙間が形成されるのを阻止し、シート部材を引き抜く際に、当該シート部材が切断されるのを防止することができる。この結果、当該現像装置の信頼性を高めることができる。
【0019】
請求項3〜5記載の発明は、未使用状態においてシート部材は折り畳まれて往路、折り返し部および復路となって、シート部材の往路が開口部に接着され、折り返し部が案内孔に対して奥側となり、復路の先端が案内孔を介して外部に露出するように、ハウジングに設けられる。これにより、自由端となる復路の先端を一方向に引き出すことで、開口部からシート部材を剥離して開口部を開口させる。
【0020】
請求項3記載の発明は、弛み規制手段がシート部材の復路における移動、さらに撓みを規制する部材となり、当該シート部材自体、或いは当該シート部材とハウジングとの間に隙間が形成されるのを防止する。
【0021】
請求項4記載の発明は、弛み規制手段がシート部材の折り返し部における移動を規制する部材となり、当該シート部材自体、或いは当該シート部材とハウジングとの間に隙間が形成されるのを防止する。
【0022】
請求項5記載の発明は、弛み規制手段がシート部材の復路における撓みを規制する部材となり、当該シート部材自体、或いは当該シート部材とハウジングとの間に隙間が形成されるのを防止する。
【0023】
請求項6記載の発明は、弛み規制手段をシート部材の硬さよりも硬いシート部材によって形成することにより、簡単に当該シート部材の弛みを規制する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[実施形態]
<画像形成装置の全体構成>
図1は、本実施形態による現像装置が搭載される画像形成装置の全体構成を示した図である。
本実施形態に係る画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラー画像形成装置であり、装置筐体2内に4つの色(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成ユニット11(具体的には11Y,11M,11C,11B)が縦方向に配列され、その下方には供給用の用紙Pが収容される給紙カセット61が配設されると共に、各画像形成ユニット11に対応した箇所には給紙カセット61からの用紙Pの搬送路となる用紙搬送路62を垂直方向に配置したものである。
【0025】
画像形成ユニット11は、用紙搬送路62の上流側から順に、イエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用のトナー像を形成するものであり、各種プロセスユニットを組み込んだプロセスカートリッジ12と、このプロセスカートリッジ12に対して作像用の走査光を照射する露光装置21と、を備えている。
【0026】
ここで、プロセスカートリッジ12は、感光体ドラム13と、この感光体ドラム13を予め帯電させる帯電ロール14と、帯電された感光体ドラム13上に前記露光装置21にて露光形成された静電潜像を対応する色トナー(本実施形態では例えば負極性)で可視像化する現像装置30と、感光体ドラム13上の廃トナーを除去するクリーニング装置15とを一体的にカートリッジ化したものである。
【0027】
一方、露光装置21は、ケース内に図示しない半導体レーザ、ポリゴンミラー、結像レンズ及びミラーが格納され、半導体レーザからの光をポリゴンミラーで偏向走査し、結像レンズ、ミラーを介して感光体ドラム13上の露光ポイントに光像を導くようにしている。
【0028】
さらに、各画像形成ユニット11の感光体ドラム13に対応した箇所には用紙搬送路62に沿って循環移動する搬送ベルト63が配設されている。この搬送ベルト63は、用紙Pを静電吸着し得るベルト素材(ゴム又は樹脂)にて構成され、一対の張架ロール64,65に架設されている。
【0029】
搬送ベルト63の入口部位(張架ロール64対向部位)には用紙吸着ロール66が配設されており、この用紙吸着ロール66に高電圧な吸着電圧を印加することにより、搬送ベルト63に用紙Pが吸着される。また、各画像形成ユニット11の感光体ドラム13に対応した搬送ベルト63の裏面側には転写ロール67がそれぞれ配設されており、この転写ロール67により感光体ドラム13と搬送ベルト63上の用紙Pとを密着させている。そして、転写ロール67と感光体ドラム13との間には転写バイアス電源により所定の転写バイアスが印加される。
【0030】
また、給紙カセット61には、用紙Pを所定のタイミングで送出するピックアップロール71が設けられており、搬送ロール72及びレジストレーションロール73を介して用紙Pを転写位置へと送り込む。
最下流側の画像形成ユニット11Bの下流側に位置する用紙搬送路62には定着装置74が設けられると共に、この定着装置74の下流側には用紙排出用の複数個の排出ロール76が設けられており、装置筐体2の上部に形成された収容部77に排出用紙が収容される。
【0031】
このように構成される画像形成装置にあっては、以下のプロセスによって画像形成が行われる。
各画像形成ユニット11(11Y,11M,11C,11B)では、感光体ドラム13が帯電ロール14により帯電され、露光装置21により感光体ドラム13上に潜像が形成された後に、現像装置30により可視像(トナー像)が形成される。
【0032】
一方、給紙カセット61の用紙Pは、ピックアップロール71にて所定のタイミングで繰り出され、搬送ロール72及びレジストレーションロール73を介して搬送ベルト63の吸着位置へと送り込まれ、搬送ベルト63に吸着された状態で転写位置へと送り込まれる。
各画像形成ユニット11における感光体ドラム13上のトナー像は、転写ロール67により用紙Pに順次転写され、定着装置74にて用紙P上の各色成分未定着トナー像が定着された後、定着済みの用紙Pは収容トレイ77へ排出される。
【0033】
<プロセスカートリッジの概要>
プロセスカートリッジ12は、感光体ドラム13、帯電ロール14、現像装置30、クリーニング装置15等を具備している。
【0034】
<現像装置の概要>
図2乃至図4は、本実施形態に係る現像装置30を示した図であり、図2は現像装置30の斜視図、図3は要部の分解斜視図、図4は図2中の矢視IV−IV方向から見た断面図である。以下の説明においては、便宜上、現像装置30の横方向をX軸、長手方向をY軸とする。
現像装置30は、図4に示すように現像剤収容部35,現像部36に分けた部屋と開口部31Aとを有する筐体31と、前記現像剤収容部35に配置された攪拌螺旋体41、供給螺旋体42と、前記現像部36に配置されたマグロール43、トリマー部材44、パドル45と、を具備している。
【0035】
マグロール43の一部は筐体31の開口部31Aから露出されて感光体ドラム13に近接配置される。トリマー部材44は、マグロール43の表面に保持される現像剤の量を規制する。パドル45は、現像終了後にマグロール43からリリースされた現像剤を供給螺旋体42側に戻す。そして、攪拌螺旋体41、供給螺旋体42、マグロール43、およびパドル45には、同じ駆動源の回転がギア(いずれも図示せず)を介して伝達され、各部位が回転駆動される。
【0036】
筐体31は、図2及び図3に示すように、下側ハウジング32、上側ハウジング33、左右のサイドカバー34,34によって構成される。各部位32〜34を組み立てて形成される筐体31内は、仕切用枠体46によって、現像剤収容部35と現像部36とに分けられる。この現像剤収容部35内には、現像剤Gが充填される。
筐体31には、図4に示すように、現像剤収容部35と現像部36との境目となる部位に溝が形成される。この溝は、下側ハウジング32に形成される下溝37、上側ハウジング33に形成される上溝38となり、サイドカバー34に形成される溝は図示を省略する。この溝には、未使用状態においてはシート部材48が貼り付けられた仕切用枠体46が嵌め込まれる。
一方、上側ハウジング33の長手方向一側には、後述する現像剤受給部50が形成される。
【0037】
ここで、仕切用枠体46とシート部材48について、図5に基づいて説明する。
図5は、仕切用枠体46とシート部材48との関係を示した図である。仕切用枠体46は、現像剤収容部35と現像部36とをつなぐ流出側開口部47を有する。この流出側開口部47は現像部36を介して筐体31の開口部31Aとつながるため、流出側開口部47は、現像剤収容部35と開口部31Aとを連続・遮断させるようになる。
【0038】
また、シート部材48は、ベース層と熱溶着層(いずれも図示せず)を重ね合わせて形成されており、ベース層は、ポリエステル,ポリプロピレン,ポリスチレン,ナイロン等によって、厚さが20μm以上・50μm以下となるフィルム状に形成され、熱溶着層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体を数%以上・数十%以下含むポリエチレン系シーラントを、厚さ20μm以上・40μm以下の膜状に形成される。
【0039】
さらに、シート部材48は、この流出側開口部47を封止するように、仕切用枠体46の一側面に、その周縁が接着剤によって貼り付けられる。シート部材48の長さは、仕切用枠体46の長手(Y軸)方向に往復して貼り付けられるために、現像装置30の長手方向長さの2倍以上となる。シート部材48は、図5の手前側が折り返し部48Aとなり、基点から折り返し部48Aまでが往路48Bとなって仕切用枠体46に貼り付けられ、折り返し部48Aから自由端までが復路48Cとなって、この自由端が、上側ハウジング33と下側ハウジング32との間に形成された案内孔(図示せず)およびサイドカバー34のシール通路(図示せず)を介して外部に引き出される。
【0040】
そして、仕切用枠体46からシート部材48を剥離する場合、サイドカバー34から外部に引き出された自由端を矢印A方向に引っ張ることによって、復路48Cが奥側に引かれて折り返し部48Aが奥側に順次移動し、往路48Bの奥側が仕切用枠体46から順次剥がれる。そして、シート部材48が仕切用枠体46から剥ぎ取られることにより、流出側開口部47が開口し、現像剤収容部35と現像部36とがつながる。
【0041】
次に、現像剤受給部50の構造について、図4および図6を参照しつつ説明する。図6は図4中の矢視VI−VI方向から見た断面図である。
この現像剤受給部50は、上側ハウジング33上に蒲鉾状に形成され、その長さ方向(X軸方向)に穿設された長尺な規制孔50Bを有する外形部50Aと、この外形部50A内を摺動し突起50Dが突設された蓋部50Cと、この蓋部50Cを閉扉する方向に押し付けるバネ50Eとを有する。前記上側ハウジング33のうち現像剤受給部50が形成される位置には、流入側開口部51が穿設される。
【0042】
次に、現像剤受給部50およびシート部材52との関係を説明する。シート部材52は、流入側開口部51を封止するように、上側ハウジング33の内側面に、その周縁が接着剤によって貼り付けられる。シート部材52は、図6の左側が折り返し部52Aとなり、基点から折り返し部52Aまでが往路52Bとなって流入側開口部51の周囲部位に貼り付けられ、折り返し部52Aから自由端52Dまでが復路52Cとなる。シート部材52の自由端52Dは、上側ハウジング33に形成された案内孔53と下側ハウジング32に貼り付けられる密閉シール材54との間、さらにサイドカバー34に形成されたシール通路(図示せず)を介して外部に引き出される。
【0043】
<実施形態の特徴>
本実施形態による現像装置30の特徴は、図6に示すように、流入側開口部51を封止するシート部材52に弛み規制手段となる押圧板材81を、シート部材52の復路52Cと下側ハウジング32との間に設けたことにある。なお、流出側開口部47を封止するシート部材48においても弛み規制手段を設けるが、同じ構成・動作となるため、その説明は省略する。
【0044】
この押圧板材81は、シート部材52の復路52Cと密閉シール材54(下側ハウジング32)との間に挟まれ、基端側81Aがシート部材52の自由端52Dと同様に、筐体31から外部に飛び出し、先端側81Bが流入側開口部51の中央まで延びる。
また、押圧板材81の幅寸法は、シート部材52の幅寸法の25%以上・100%以下としても、流入側開口部51のX軸方向の寸法よりも長くしてもよい。さらに、押圧板材81の材質は、シート部材52の材質よりも硬い材質によって形成される。例えば、金属,プラスチック,木材等を厚さ0.05mm以上・2mm以下に形成したものを用いてもよく、本実施形態では、厚さ0.1mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を使用した。
【0045】
これにより、押圧板材81は、シート部材52の復路52Cを往路52B側に押さえる形となり、復路52Cが往路52Bから浮くのを防止し、撓みの発生をなくす。また、シート部材52は復路52Cを往路52B(流入側開口部51)側に向けて押圧させることで、シート部材52が移動するのを規制する。
【0046】
本実施形態による現像装置30では、シート部材52に設けた押圧板材81が、シート部材52の復路52Cが往路52Bから浮き上がって弛むのを防止すると共に、復路52Cが移動するのを規制する。これにより、現像装置30が搬送等により振動した場合であっても、シート部材52が弛むのを規制することで、当該シート部材52自体、或いは当該シート部材52と上側ハウジング33との間に隙間が形成されるのを防止し、現像剤Gが堆積する隙間が形成されないようにする。
シート部材52の自由端52Dを外側に引っ張って、シート部材52を抜き取る際に、シート部材52と下側ハウジング32との間に挟んだ押圧板材81も一緒に抜き取られるから、押圧板材81が現像剤収容部35内に残って流入側開口部51を塞いだり、他の部位に接触する等の不具合が防止される。
【0047】
[変形例]
以上、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、以下のように変形して本発明を実施してもよい。
【0048】
<変形例1>
変形例1では、図7に示すような押圧板材82を下側ハウジング32に設ける。この押圧板材82は、「L」字状に折り曲げられた板体からなり、その基端側82Aが下側ハウジング32の内側のうち、密閉シール材54側に固着され、先端側82Bが流入側開口部51の一方の縁まで延びる。押圧板材82の材質は、シート部材52の材質よりも硬い材質によって形成される。
このような押圧板材82であっても、実施形態と同じ作用により、シート部材52の復路52Cが往路52Bから浮き上がって弛むのを防止すると共に、復路52Cが移動するのを規制する。
【0049】
<変形例2>
変形例2では、図8に示すような押圧板材83を上側ハウジング33に設ける。この押圧板材83は、「へ」字状に折り曲げられた板体からなり、その基端側83Aが上側ハウジング33の内側のうち、流入側開口部51の奥側に固着され、先端側83Bがシート部材52の折り返し部52A(流入側開口部51の他方の縁)まで延びる。押圧板材83の材質は、シート部材52の材質よりも硬い材質によって形成される。
このような押圧板材83にあっては、シート部材52の折り返し部52Aが移動するのを規制するため、復路52Cが往路52Bから浮き上がって弛むのを防止する。
【0050】
<変形例3>
変形例3では、図9に示すような押圧板材84をシート部材48の復路48Cに貼り付ける。この押圧板材84の材質は、シート部材48の材質よりも硬い材質によって形成される。
この押圧板材84は、シート部材48の復路52Cが往路52Bから浮き上がって弛むのを防止する。
【0051】
<変形例4>
前記実施形態および変形例1,2については、弛み規制手段として押圧板材によってシート部材52が弛むのを防止する場合を例示し、変形例3では、押圧板材によってシート部材48が弛むのを防止する場合を例示したが、シート部材48,52の両方に対して、押圧板材を用いてよい。
さらに、弛み規制手段は押圧板材に限るものではなく、シート部材の弛みを規制する部材であればよい。
【0052】
<変形例5>
前記実施形態および変形例では、弛み規制手段を現像装置30に用いた場合を例示したが、本発明はこれに限らず、トナーカートリッジ等のように、現像剤収容部を備え、現像収容部内で開口部を封止するシート部材が採用されている現像剤収容器に適用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】実施形態による現像装置を示す斜視図である。
【図3】実施形態による現像装置の要部を示す分解斜視図である。
【図4】図2中の矢視IV−IV方向から見た部分断面図である。
【図5】仕切用枠体とシート部材とを示す斜視図である。
【図6】図4中の矢視VI−VI方向から見た部分断面図である。
【図7】変形例1による図6と同様位置から見た断面図である。
【図8】変形例2による図6と同様位置から見た断面図である。
【図9】変形例3による図5と同様位置から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1…画像形成装置、11(11Y,11M,11C,11B)…画像形成ユニット、12…プロセスカートリッジ、13…感光体ドラム(像保持体)、14…帯電ロール、21…露光装置、30…現像装置、31…筐体、31A…開口部、32…下側ハウジング、33…上側ハウジング、34…サイドカバー、35…現像剤収容部、36…現像部、43…マグロール(現像剤保持体)、44…トリマー部材、45…パドル、46…仕切用枠体、47…流出側開口部、48,52…シート部材、48A,52A・・・折り返し部、48B,52B・・・往路、48C,52C・・・復路、50…現像剤受給部、51…流入側開口部、52D・・・自由端、53…案内孔、53A,53B…孔端面、54…密閉シール材、55…漏れ防止シール材材、81,82,83,84…押圧板材(弛み規制手段)、G…現像剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤が収容される現像剤収容部、および静電潜像が形成される像保持体に向けて前記現像剤収容部が開口し、前記現像剤が流出する流出側開口部を有するハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に取り付けられ、前記現像剤収容部に収容される現像剤を保持して前記像保持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤保持体と、
前記ハウジングに設けられ、未使用状態において前記流出側開口部を封止し、使用状態において一方向に引き出されて前記流出側開口部を開口させるシート部材と、
前記ハウジングに形成され、前記シート部材で前記流出側開口部を封止する際に当該シート部材が挿入され、前記シート部材を引き出す際に当該シート部材を案内する案内孔と、
前記ハウジング或いは前記シート部材に設けられ、当該シート部材が弛むのを規制する弛み規制手段と、を備えた
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像剤収容部および前記流入側開口部に加え、外部に向けて前記現像剤収容部が開口し、現像剤が流入される流入側開口部をさらに有するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、未使用状態において前記流入側開口部を封止し、使用状態において一方向に引き出されて前記流入側開口部を開口させるシート部材と、
前記流入側開口部を封止する際に当該シート部材が挿入され、前記シート部材を引き出す際に当該シート部材を案内する案内孔と、
前記ハウジング或いは前記シート部材に設けられ、当該シート部材が弛むのを規制する弛み規制手段と、を備えた
ことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の現像装置において、
前記シート部材は、前記開口部に対して折り返して封止され、基点から折り返し部までが往路、折り返し部から往路に重なって自由端が前記ハウジングの前記案内孔を介して外部に突出する復路となり、
前記弛み規制手段は、前記復路のうち前記案内孔側に設けられ、当該復路における移動を規制する部材である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の現像装置において、
前記シート部材は、前記開口部に対して折り返して封止され、基点から折り返し部までが往路、折り返し部から往路に重なって自由端が前記ハウジングの前記案内孔を介して外部に突出する復路となり、
前記弛み規制手段は、前記折り返し部側に設けられ、当該折り返し部における移動を規制する部材である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の現像装置において、
前記シート部材は、前記開口部に対して折り返して封止され、基点から折り返し部までが往路、折り返し部から往路に重なって自由端が前記ハウジングの前記案内孔を介して外部に突出する復路となり、
前記弛み規制手段は、前記復路に貼り付けられ、当該復路における撓みを規制する部材である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1に記載の現像装置において、
前記弛み規制手段は、前記シート部材の硬さよりも硬いシート部材によって形成される
ことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
表面に静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化する、請求項1から6のいずれか1に記載の現像装置と、を備える
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
表面に静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化する、請求項1から6のいずれか1に記載の現像装置と、
前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記静電潜像を前記現像装置により可視像化したトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
現像剤が収容される現像剤収容部、および外部に向けて前記現像剤収容部が開口し、現像剤が流出する流出側開口部を有するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、未使用状態において前記流出側開口部を封止し、使用状態において一方向に引き出されて前記流出側開口部を開口させるシート部材と、
前記流出側開口部を封止する際に当該シート部材が挿入され、前記シート部材を引き出す際に当該シート部材を案内する案内孔と、
前記ハウジング或いは前記シート部材に設けられ、当該シート部材が弛むのを規制する弛み規制手段と、を備えた
ことを特徴とする現像剤収容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−39348(P2010−39348A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204119(P2008−204119)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】