説明

現像装置、及び画像形成装置

【課題】キャリアの磁化量を下げずに現像領域中の磁気ブラシの密度を高めることで、ザラツキ感の無い画像を形成することができる現像装置を提供する。
【解決手段】現像スリーブ51上の現像剤搬送方向におけるドクタブレード53の下流側であって、現像スルーブ51と感光体2との対向位置の上流側の現像スリーブ51の長手方向両端部の位置に、現像スリーブ51表面と近接するように現像剤圧迫手段57a、bを配置する。そして、現像剤圧迫手段57a、bの現像スリーブ51の長手方向中央側を向いた面である圧迫面58a、bを、現像スリーブ51上の現像剤搬送方向の上流側よりも下流側の方が中央に近づくように形成している。つまり、現像剤圧迫手段57a、bは、それぞれの圧迫面58a、bの間隔が、現像スリーブ51上の現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって狭くなるように形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機、複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式によって画像を形成する画像形成方法としては、特許文献1や特許文献2などに記載のものが知られており、例えば次のようなプロセスで画像を形成する。まず、感光体等の潜像担持体上に対して露光処理等を施して静電潜像を担持させた後、トナーの静電的な付着によってこの静電潜像を現像する。次いで、現像によって得られたトナー像を転写紙等の記録体に静電転写した後、定着ローラ等の加熱部材との密着によってそのトナー像を加熱して記録体に定着させる。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成方法においては、電子化された画像情報に基づいて画像を容易に形成し得るというメリットがある反面、オフセット印刷法に比べてどうしても画質が悪くなるというデメリットがあった。特に、写真や絵などといった濃度階調のある画像では、オフセット印刷法によるものに比べてザラツキ感が目立ってしまい、見た人に低画質であるという印象を与え易くなる。このため、電子写真方式では、いかにしてこのザラツキ感に起因する低画質感を抑えるかが、重要な課題となっている。
【0004】
電子写真方式のザラツキ感を抑えるための基本的なアプローチは、画像形成に用いるトナーの小粒径化である。これは、感光体へのトナーの現像を、電子潜像をトナーの電荷で中和する行為と考えると、粒径が小さい方が、より過不足の無いトナー個数で、潜像を中和することができる。そして、一つのドット潜像に対するトナーの付着量は、粒径が小さいトナーの方が安定するので、画像のザラツキ感の改善につながるものと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の電子写真の高画質化はこのトナーの小粒径化による寄与が大きい。一方で、各社のトナー粒径は5μm程度まで小さくなっている。さらに、小粒径化した場合、非画像部にトナーが付着してしまう"地肌汚れ"が悪化するこや、感光体上の残トナーを除去するクリーニングも困難になることも指摘されている。よって、今後は、トナーの小粒径化以外の手段によって、高画質化を図る必要があるが、その場合に考えられるアプローチは、感光体・現像スリーブ間のニップ領域である、現像領域で磁気ブラシをより密に形成することである。
【0006】
具体的には、磁性キャリアの飽和磁化を小さくすることにより、磁気ブラシの穂を緻密にする方法が試みられている。特許文献3においては、現像領域中の法線磁束密度が最大となる位置におけるキャリアの磁化の強さを100emu/cm(=60〜25emu/g:キャリアの見かけ比重を1.6〜4.0とした場合)以下と、キャリアの磁化を下げることで磁気ブラシを緻密化させ、ザラツキ感を低減させることとしている。
【0007】
しかしながら、磁化を低下させると磁気ブラシが緻密になる反面、現像剤の磁界から受ける力が低下するため、感光体へのキャリア付着が発生しやすくなる。キャリア付着を低減する方法としては、剤抵抗を高くするといった方法があるが、この方法では、現像性が低下してしまう。
【0008】
また、磁性キャリアの粒径を小さくすることで、磁気ブラシ間の空隙率を低下させて、磁気ブラシを密に形成することもおこなわれている。この方法でもキャリア1個あたりの体積が小さくなるため、キャリア1個あたりの磁化が低下することになる。よって、キャリア付着が発生して、ひどい場合は画像の欠損を発生することがある。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、キャリアの磁化量を下げずに現像領域中の磁気ブラシの密度を高めることで、ザラツキ感の無い画像を形成することができる現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、トナーとキャリアからなる現像剤を担持し潜像担持体に対向する現像領域へ搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体上に担持された現像剤量を規制する層規制部材と、現像剤を撹拌・搬送する現像剤攪拌搬送部材と、現像剤を収容する現像剤収容部を形成するケースとを少なくとも有し、該現像剤担持体によって現像領域へ搬送された現像剤によって潜像担持体上の潜像を現像する現像装置において、上記現像剤担持体上に担持されて搬送される現像剤を、現像剤担持体長手方向に圧迫する面が形成された現像剤圧迫手段を備え、上記現像剤圧迫手段は、上記層規制部材と上記現像領域の間であって、上記現像剤担持体の長手方向両端部に位置し、上記現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面の現像剤担持体長手方向の間隔が、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって狭くなることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面が、フッ素コートされていることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面が、導電性DLCでコートされていることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一に記載の現像装置において、現像剤担持体の両端部に位置する現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面は、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって該現像剤担持体の長手方向中央側に近づくように形成され、現像剤担持体表面には、両端部から中央に現像剤が集まるような溝が、上記現像剤担持体の長手方向中央の現像剤担持体回転軸に垂直な平面に対して対称に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一に記載の現像装置において、現像剤担持体の一端部に位置する現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面は、現像剤担持体回転軸に対し垂直に形成され、他端部に位置する現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面は、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって現像剤担持体の長手方向中央側に近づくように形成されており、現像剤担持体表面には、螺旋状に溝が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の現像装置において、現像剤担持体表面に形成される溝と現像剤担持体回転軸に垂直な平面とがなす角度が、現像剤担持体の長手方向中央側に近づくように形成された現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面と上記現像剤担持体回転軸に垂直な平面とがなす角度よりも、大きいことを特徴とするものである。
また、請求項7に記載の画像形成装置の発明は、現像装置として、請求項1乃至6のいずれか一に記載の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
本発明では、現像剤担持体上に担持された現像剤の長手方向幅を、層規制部材通過後に、現像剤圧迫手段で狭めることができる。現像剤担持体上に担持された現像剤の長手方向幅を狭めることで、現像剤は長手方向に圧迫されて現像剤間の空隙は減少し、現像剤密度を高めることができる。このように、現像剤密度を高めた現像剤を現像領域に搬送することで、現像領域中の磁気ブラシの密度を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、キャリアの磁化量を下げずに、現像領域中の磁気ブラシの密度を高めることで、ザラツキ感の無い画像を形成することができる現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る現像装置を感光体の近傍とともに示す概略図。
【図2】本発明を適用可能なプリンタの一例の主要構成を示す模式図。
【図3】本発明を適用可能なプリンタの他の例の主要構成を示す模式図。
【図4】本発明を適用可能なプリンタのさらに他の例の主要構成を示す模式図。
【図5】実施例1の現像剤圧迫手段と現像スリーブとの配置平面図。
【図6】実施例1の現像剤圧迫手段と現像スリーブとの配置斜視図。
【図7】実施例1の現像剤圧迫手段により、現像剤密度を高める作用の説明図。
【図8】実施例2の現像剤圧迫手段と現像スリーブとの配置斜視図。
【図9】実施例3の現像剤圧迫手段と現像スリーブの溝の説明図。
【図10】実施例3の現像剤圧迫手段の圧迫面と現像スリーブの溝との角度に関する説明図。
【図11】実施例4の現像剤圧迫手段と現像スリーブの溝の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を画像形成装置としてのプリンタ(以下、プリンタ100という)に適用した実施形態について、図を用いて説明する。ここで、本発明に係る現像装置は、従来から用いられている二成分現像剤を用いた電写真方式の画像形成装置の多くに適用可能であるので、画像形成装置の構成・動作については適宜省略して説明する。また、説明の用いる各図においては、本発明の特徴を理解し易く説明するために、記載する各部材の形状等については、実際の大小関係にとわられず、誇張又は簡略化して記載している。
【0014】
図2は、本発明を適用したプリンタ100の一例における主要構成を示す模式図である。図2に示すプリンタ100においては、本体筐体(不図示)内に、図2中時計方向に回転駆動される感光体2が収納されている。感光体2の周囲には、帯電手段としての帯電部3、静電潜像形成手段としての書込部4、現像手段としての現像装置5、転写手段としての転写ローラ6、クリーニング手段としてのクリーニング部7、除電手段としての感光体除電部8等が設けられている。そして、プリンタ100は、複数枚の記録材としての記録紙Pを収納する給紙カセット(不図示)を備えている。給紙カセット内の記録紙Pは、給紙ローラ(不図示)により1枚ずつレジストローラ対9に送られ、レジストローラ対9でタイミング調整された後、転写ローラ6と感光体2との間の転写領域に送り出される。
【0015】
図2に示すプリンタ100において画像形成を行う場合、まず、感光体2を図2中、矢印で示す時計方向に回転駆動して感光体2の表面を帯電部3で一様に帯電する。その後、一様に帯電された感光体2の表面部分に対し、画像データで変調されたレーザを書込部4により照射して、感光体2の表面に静電潜像を形成する。感光体2の表面上の静電潜像は、現像装置5でトナーを付着させてトナー像化することで現像される。そして、このトナー像は、感光体2と転写ローラ6との間の転写領域に搬送されてきた記録紙P上に転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着部10に搬送される。定着部10は、内蔵ヒータにより所定の定着温度に加熱される定着ローラと、定着ローラに所定圧力で押圧される加圧ローラとを備え、転写領域から搬送されてきた記録紙Pを加熱及び加圧して、記録紙P上のトナー像を記録紙Pに定着させる。そして、定着後の記録紙Pは、排紙トレー(不図示)上に排出する。また、トナー像を記録紙Pに転写した感光体2は、さらに回転されて転写領域を通過後の感光体2の表面に残留した転写残トナーが、ファーブラシ13及びのクリーニング部7のクリーニングブレードにより掻き取られて感光体2の表面から除去される。その後、感光体除電部8により感光体2の表面を除電し、次の画像形成工程に移行する。
【0016】
図3は、本発明を適用したプリンタ100の他の例における主要構成を示す模式図である。図3に示すプリンタ100は、いわゆるタンデム型のフルカラー画像形成装置である。このプリンタ100は、図示しない本体筐体内に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色に対応した潜像担持体としての4つの感光体2が収納されている。各感光体2の周囲には、それぞれ、帯電手段としての帯電部3、静電潜像形成手段としての書込部4、現像手段としての現像装置5、中間転写手段を構成する中間転写ベルト16、クリーニング手段としてのクリーニング部7等が設けられている。また、このプリンタ100は、複数枚の記録材としての記録紙Pを収納する給紙カセット(不図示)を備えている。給紙カセット内の記録紙Pは、給紙ローラ(不図示)により1枚ずつレジストローラ対(不図示)に送られ、このレジストローラ対でタイミング調整された後、二次転写ローラ18と中間転写ベルト16との間の二次転写領域に送り出される。
【0017】
図3に示すプリンタ100において画像形成を行う場合、まず、各感光体2を図3中、時計方向に回転駆動するとともに中間転写ベルト16を図3中、反時計方向に回転駆動する。そして、各感光体2の表面を帯電部3で一様に帯電した後、各感光体2の表面に対して画像データで変調されたレーザを書込部4により照射して、各感光体2の表面に各色の静電潜像を形成する。各感光体2の表面上の各色静電潜像には、各現像装置5により各色トナーがそれぞれ付着し、これにより各色トナー像が形成される。この各色トナー像は、各感光体2と中間転写ベルト16との間の一次転写領域で中間転写ベルト16上に互いに重なり合うように一次転写される。中間転写ベルト16上の各色トナー像は、互いに重なり合った状態で、中間転写ベルト16と二次転写ローラ18との間の二次転写領域に搬送されてきた記録紙P上に転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、定着部(不図示)に搬送される。この定着部も、図2に示したプリンタ100と同様のものであり、記録紙Pを加熱及び加圧して、記録紙P上のトナー像を記録紙Pに定着させる。定着後の記録紙Pは、排紙トレー(不図示)上に排出される。一方、一次転写領域を通過後の感光体2の表面に残留した転写残トナーは、各クリーニング部7のクリーニングブレードにより掻き取られて感光体2の表面から除去される。その後、感光体除電部(不図示)により感光体2の表面を除電し、次の画像形成工程に移行する。クリーニング部7は、クリーニングブレードで感光体2上の転写残トナーを掻き落とすものに限るものではなく、例えばファーブラシ13で感光体2上の転写残トナーを掻き落とすものであってもよい。
【0018】
図4は、本発明を適用したプリンタ100の他の例における主要構成を示す模式図である。図4に示すプリンタ100は、リボルバタイプとよばれる、いわゆる1ドラム型のフルカラー画像形成装置である。このプリンタ100は、図示しない本体筐体内に、潜像担持体としての感光体2が収納されている。感光体2の周囲には、帯電手段としての帯電部3、静電潜像形成手段としての書込部4、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色に対応した現像手段としての現像装置5C,5M,5Y,5K、中間転写手段を構成する中間転写ベルト16、クリーニング手段としてのクリーニング部7等が設けられている。また、このプリンタ100は、複数枚の記録材としての記録紙Pを収納する給紙カセット(不図示)を備えている。給紙カセット内の記録紙Pは、給紙ローラ(不図示)により1枚ずつ図示しないレジストローラ対に送られ、このレジストローラ対(不図示)でタイミング調整された後、二次転写ローラ18と中間転写ベルト16との間の二次転写領域に送り出される。
【0019】
図4に示すプリンタ100において画像形成を行う場合、まず、感光体2を図4中時計方向に回転駆動するとともに中間転写ベルト16を図4中反時計方向に回転駆動する。そして、感光体2の表面を帯電部3で一様に帯電した後、感光体2の表面に対してC用画像データで変調されたレーザを書込部4により照射して、感光体2の表面にC用静電潜像を形成する。そして、このC用静電潜像をシアン用現像装置5CによりCトナーで現像を行う。これにより感光体2上に形成されたC用トナー像は、感光体2と中間転写ベルト16とによって形成されるC用の一次転写領域で中間転写ベルト16上に一次転写される。その後、感光体2の表面に残留した転写残トナーをクリーニング部7で除去した後、再び感光体2の表面を帯電部3で一様に帯電する。次に、感光体2の表面に対してM用画像データで変調されたレーザを書込部4により照射して、感光体2の表面にM用静電潜像を形成する。そして、このM用静電潜像をマゼンタ用現像装置5MによりMトナーで現像を行う。これにより感光体2上に形成されたM用トナー像は、中間転写ベルト16上に既に一次転写されているC用トナー像と重なり合うようにして、M用の一次転写領域で中間転写ベルト16上に一次転写される。以後、Y及びKについても、同様に中間転写ベルト16上に一次転写する。このようにして互いに重なり合った状態となった中間転写ベルト16上の各色トナー像は、中間転写ベルト16と二次転写ローラ18との間の二次転写領域に搬送されてきた記録紙P上に転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、定着部(不図示)に搬送される。この定着部も、図2に示したプリンタ100と同様のものであり、記録紙Pを加熱及び加圧して、記録紙P上のトナー像を記録紙Pに定着させる。定着後の記録紙Pは、排紙トレー(不図示)上に排出される。クリーニング部7は、クリーニングブレードで感光体2上の転写残トナーを掻き落とすものに限るものではなく、例えばファーブラシ13で感光体2上の転写残トナーを掻き落とすものであってもよい。
【0020】
次に、図2〜4のプリンタ100に適用可能な本発明の特徴部を備えた現像装置5につ
いて、実施例を挙げ図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る現像装置5の一例の構成を、感光体2の近傍とともに示す概略図である。図5は、実施例1の現像剤圧迫手段と現像スリーブとの配置平面図、図6は、実施例1の現像剤圧迫手段と現像スリーブとの配置斜視図、図7は、実施例1の現像剤圧迫手段により、現像剤密度を高める作用の説明図である。図8は、実施例2の現像剤圧迫手段と現像スリーブとの配置斜視図である。図9は、実施例3の現像剤圧迫手段と現像スリーブの溝の説明図、図10は、実施例3の現像剤圧迫手段の圧迫面と現像スリーブの溝との角度に関する説明図である。図11は、実施例4の現像剤圧迫手段と現像スリーブの溝の説明図である。なお、図1には、分かり易く説明するために、現像装置及び感光体の概略と現像スリーブ表面上における法線磁束密度の分布も記載している。
【0021】
(実施例1)
まず、本実施形態に係る現像装置5の第1の実施例である、実施例1について説明する。図1に示す現像装置5は、ケーシング56内に現像スリーブ51を備える。現像スリーブ51は、磁界発生手段であるマグネットロール52を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分の現像剤を表面に担持する現像剤担持体である。さらに、現像装置5は、現像スリーブ51の表面に供給する現像剤を収容する現像剤収容部54と、現像剤収容部54内の現像剤を撹拌・搬送する現像剤撹拌搬送部材である搬送スクリュ55とを備える。
【0022】
トナーと磁性キャリアとを混合した現像剤収容部54内の現像剤は、搬送スクリュ55によって撹拌されながら現像スリーブ51の表面上まで搬送される。このとき、現像剤は、搬送スクリュ55により、撹拌・搬送されながら、感光体2上の潜像を現像するのに必要な帯電量をもつ。撹拌・帯電させられながら搬送された現像剤は、現像スリーブ51上に供給された後、現像スリーブ51上に担持されて、その回転方向に沿って現像スリーブ51と感光体2との対向位置、つまり現像領域に向けて搬送され始める。現像スリーブ51上の現像剤は、現像スリーブ51上での担持・搬送が開始された後に、層規制部材であるドクタブレード53によって、その搬送量を規制される。ここで、現像スリーブ51の表面とドクタブレード53との位置関係は、感光体2との対抗位置に供給すべき現像剤量によって決定され、その距離は、0.1〜0.5mmの範囲内にある。より厳密には、感光体2、現像スリーブ51の線速、現像スリーブ51の径、現像剤中のトナー濃度等によって決定される。ただし、搬送量があまりに多いと、現像剤圧迫手段を通過する際に、現像剤が両端部から溢れてしまうため、現像剤の搬送量は40mg/cm以下になるようにすることが好ましい。
【0023】
現像スリーブ51には、現像剤担持体バイアス電源(不図示)よりDC、もしくは、DC+ACバイアスが印加される。この装置例においては、現像剤収容部54内の現像剤は、搬送スクリュ55により現像スリーブ51上に供給される。現像スリーブ51上に供給された現像剤は、現像スリーブ51上に担持され、その回転方向に搬送され始めることとなる。そして、現像スリーブ51上で担持・搬送され始めた現像剤は、現像スリーブ51とドクタブレード53との対向位置まで搬送され、この対向位置を通過することにより層厚が規制されて、画像出力に必要な量の現像剤薄層を形成する。その後、現像剤は現像スリーブ51と感光体2とが対向する現像領域まで搬送される。この現像領域では感光体2の表面と現像スリーブ51の表面との間の電位差により、現像スリーブ51上の現像剤中のトナーが感光体2上の潜像に移動し、感光体2上の潜像が現像される。
【0024】
現像スリーブ51に内包されるマグネットロール52は、材料としてSrフェライトないしBaフェライトの磁性粉に、6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)またはEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料の高分子化合物を混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることができる。また、マグネットロール52の各磁極を構成するマグネット成型体は、現像スリーブ51の回転軸方向に延びる棒状のブロックである。そして、幅が狭く、かつ、高い磁気特性を得るために、Br>0.5T(テスラ)の材料を用いることが望ましく、多くはNe系(Ne・Fe・B等)又はSm系(Sm・Co、Sm・Fe・N等)の希土類マグネットもしくはこれらのマグネット粉を上記と同様の高分子化合物と混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることができる。
【0025】
マグネットロール52には、複数の固定磁極、S1極、N1極、S2極、N2極及びS3極が設けられている。現像スリーブ51は図中矢印方向に回転するので、現像剤は、現像スリーブ51の表面を、S1極→N1極→S2極→N2極→S3極→剤離れの順に移行する。現像剤収容部54内の現像剤は、汲み上げ極として作用するS1極により現像スリーブ51の表面上に汲み上げられる。汲み上げられた現像剤は、S1極の磁力によって現像スリーブ51の表面に担持された状態で、現像スリーブ51の回転によって現像スリーブ51とドクタブレード53との対向位置を通過する。このとき、S1極はドクタ極として作用する。その後、現像極として作用するN1極の磁力によって現像スリーブ51と感光体2との対抗位置、つまり現像領域で穂立ちして磁気ブラシを形成して現像に寄与することとなる。現像領域を通過した現像スリーブ51上の現像剤は、搬送極として作用するS2極とN2極との磁力によって現像スリーブ51上に担持され、現像スリーブ51の回転によってS3極の位置に到達する。その後、S3極とS1極との反発力によって現像スリーブ51上から現像剤収容部54内に落下する。このとき、S3極は剤離れ極として作用する。
【0026】
次に、本実施例の現像装置5の特徴部である現像スルーブ51上の現像剤を現像剤担持体である現像スリーブ51の長手方向に圧迫する現像剤圧迫手段57a、bについて説明する。図1、図5に示すように、現像剤圧迫手段57a、bは、ドクタブレード53と現像領域との間であって、現像スリーブ51の長手方向両端部に位置する。言い換えると、現像剤圧迫手段57a、bは、現像スリーブ51上の現像剤搬送方向におけるドクタブレード53の下流側であって、現像スルーブ51と感光体2との対向位置の上流側の現像スリーブ51の長手方向両端部に位置する。そして、現像スリーブ51表面に、近接するように配置されている。現像スリーブ51表面と、現像剤圧迫手段57a、bの現像スリーブ51表面に対向する面の離間距離は、キャリア粒径や現像スリーブ51の振れ幅に依存するが、およそ0.01〜0.1mmの範囲で設定できる。
【0027】
また、図5、6に示すように、現像剤圧迫手段57a、bの現像スリーブ51の長手方向中央側を向いた面(以下、圧迫面という)58a、bは、現像スリーブ51上の現像剤搬送方向の上流側よりも下流側の方が中央に入り込むようになっている。つまり、現像剤圧迫手段57a、bは、それぞれの圧迫面58a、bの間隔が、現像スリーブ51上の現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって狭くなるように形成されている。そのため、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、b間を通過する際に、現像スリーブ51の長手方向の現像剤幅が狭められる。より具体的には、A4サイズの用紙の長手方向の長さに対応できる現像スリーブ51では、上流側よりも両端部とも1.0〜5.0mm程度、下流側が現像スリーブ51の長手方向中央側へ近づくように現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bを形成されている。つまり、圧迫面58a、b間を通過する現像剤幅は、2.0〜10.0mm程度、狭められることとなる。なお、本実施例の現像装置5では、感光体2の直径は、φ=40.0mm、現像スリーブ51の直径は、φ=18.0mmである。また、現像剤圧迫手段57a、bが現像スリーブに対向する面を、現像スリーブ側の仮想平面上へ投影したときの、現像スリーブ51の現像剤搬送方向の幅は、およそ5.0〜10.0mmの範囲で設定できる。そして、本実施例では5.0mmとした。
【0028】
このように、ドクタブレード53を通過後に、現像スリーブ51上に担持・搬送される現像剤の長手方向幅を狭めることで、現像剤は長手方向に圧迫されて現像剤間の空隙は減少し、現像剤密度を高めることができる。そして、ドクタブレード53を通過後に、現像剤密度を高めることで、現像領域で穂立ちする現像剤を密にでき、従来よりも密な状態で、磁気ブラシを形成することができる。よって、キャリアの磁化量を下げずに、現像領域中の磁気ブラシの密度を高めることで、ザラツキ感の無い画像を形成することができる。以下に、従来よりも密な状態で、磁気ブラシを形成することができることを、図7を用いてより分かり易く説明する。
【0029】
図7(a)に示すように、従来の構成では、現像スリーブ上を担持・搬送される現像剤のキャリア粒子は現像剤密度が低いまま、現像領域に担持・搬送されて、図(b)に示すように空隙率が大きい状態、つまり疎らな状態で穂立ちすることとなる。そして、形成する磁気ブラシも疎らな状態となる。それに対して、本実施例の構成では、図7(c)に示すように、現像剤圧迫手段57aの圧迫面58aに接触して、現像剤のキャリア粒子が現像スリーブ51の長手方向、現像スリーブ51中央側へ向けて移動する。また、現像剤圧迫手段57aに対向する現像剤圧迫手段57bも同様に構成されており、現像剤のキャリア粒子は、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、b間を通過することで、現像スリーブ51の長手方向に圧迫されることとなる。そして、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bにより、現像スリーブ51の長手方向に圧迫された現像剤密度は高くなり、図7(d)に示すように、空隙率が小さい状態、つまり密な状態で穂立ちすることとなる。したがって、従来よりも密な状態で、磁気ブラシを形成することができる。よって、キャリアの磁化量を下げずに、現像領域中の磁気ブラシの密度を高めることで、ザラツキ感の無い画像を形成することができる現像装置を提供することができる。
【0030】
また、現像剤圧迫手段57a、bの材質はALやSUSのような金属材料が使用可能である。通過途中に、トナーが電気的に付着しないように、現像スリーブと同電位になるように配線する。また、本実施例の説明図である図5では、現像スリーブ51の長手方向中央の現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面に対して対称になるように、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bを形成しているが、これの構成に限定されるものでない。
【0031】
(実施例2)
次に、本実施形態に係る現像装置5の第2の実施例である、実施例2について説明する。本実施例と上述した実施例1とは、本実施例が、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bの表面をコート材でコートしている点のみが異なる。したがって、他の共通する構成、作用・効果については、適宜省略して説明する。
【0032】
実施例1の構成では、現像剤圧迫手段57a、b間を通る現像剤は、現像剤との接触面である圧迫面58a、b表面に適切な表面加工を施していないと、長手方向に圧迫される際に、現像剤圧迫手段57a、b近傍をズムーズに通過できない場合がある。そして、現像剤圧迫手段57a、b近傍をズムーズに通過できない現像剤材が蓄積されると、現像スリーブ51の両端部で溢れて、現像領域まで到達しない現像剤が発生してしまう。
【0033】
そこで、本実施例では、図8に示すように、本実施例の現像装置5では、現像剤との接触面である現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bを低表面エネルギー材料でコートしている。このように、現像剤との接触面である圧迫面58a、bを低表面エネルギー材料でコートすることで、現像剤が長手方向に圧迫される際に、現像剤圧迫手段57a、b近傍をズムーズに通過させることができる。そして、現像剤が現像剤圧迫手段57a、b近傍をズムーズに通過できることで、現像剤圧迫手段57a、b近傍で現像剤材が蓄積されることもなく、現像スリーブ51の両端部で溢れて、現像領域まで到達しない現像剤の発生を抑制することができる。具体的には、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、b表面を、フッ素やシリコーン系材料でコートすると効果的である。また、図8には、圧迫面58aをフッ素でコートした例を記載している。
【0034】
また、可動状態にある現像装置5における現像剤との接触面の1つであるである現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bでは、トナーやキャリアからの電荷注入、もしくは、トナーやキャリアとの摩擦帯電が発生し、常に電荷が発生し易い状態にある。そこで、実施例1では、現像剤圧迫手段57a、bに、導電性材料を用いて、かつ、接地して発生した電荷を中和する構成としているが、圧迫面58a、bの低表面エネルギー材料でコートする場合に絶縁性材料を用いると、接触面に電荷が溜まり続けてしまう。そして、溜まり続けた電荷はある閾値を超えると、トナーやキャリアに逆注入され、トナーやキャリアの帯電量が変化してしまい、トナーの帯電状態を乱してしまうこととなる。また、圧迫面58a、bにコートした低表面エネルギー材料の表面の電位が、接地されていない状態となってしまうため、トナーが電気的に付着してしまうこともある。
【0035】
そこで、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、b表面を、導電性ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の、導電性の低表面エネルギー材料でコートすれば、その表面電位も管理できる。つまり、現像剤圧迫手段57a、bのトナーとの接触面である圧迫面58a、b表面の帯電状態が、現像装置5の可動履歴により変化してしまうことを防げ、トナーの帯電状態を乱してしまうことを無くせるるためより効果的である。また、圧迫面58a、b表面にトナーが電気的に付着してしまうことも防げる。
【0036】
(実施例3)
次に、本実施形態に係る現像装置5の第3の実施例である、実施例3について説明する。本実施例と上述した実施例1、2とは、次の点のみが異なる。本実施例の現像装置5では、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bを現像スリーブ51の長手方向中央の回転軸に垂直な平面に対して対称に形成し、現像スリーブ51表面に、両端部から中央に現像剤が集まるような溝を形成している点である。したがって、他の共通する構成、作用・効果については、適宜省略して説明する。図9は、本実施例の現像剤圧迫手段57a、bと現像スリーブ51の溝の説明図であり、現像スリーブ51の両端部から中央に現像剤が集まるような溝を形成した例である。また、図10は、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bと現像スリーブ51の溝との角度に関する説明図である。
【0037】
本実施例も含め本実施形態の現像装置5では、図1で示すようにドクタブレード53の下流側であって、現像領域の上流側の狭小な部分に現像剤圧迫手段57a、bを設ける必要がある。そして、近年、画像形成装置のコンパクト化や、パーソナルユーズの小型のフルカラー画像形成装置等の要求が高まっており、現像剤圧迫手段57a、bを設置することができる部分が、さらに狭小なものとなる傾向がある。しかし、次に説明する理由により、現像剤圧迫手段57a、bの現像スリーブ51の現像剤搬送方向のサイズを、あまり小さくしてしまうと、所望の現像剤を圧迫する効果が得られなくなってしまうことがある。
【0038】
現像剤を圧迫する効果は一定の範囲で、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bで現像スリーブ51の長手方向の現像剤幅を狭くできる距離にほぼ比例する。しかし、圧迫面58a、bと、現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角が大きすぎると、圧迫面58a、b表面に適切な表面加工を施していても、現像剤圧迫手段57a、b間を通る現像剤は、現像剤圧迫手段57a、b近傍をズムーズに通過できない。そして、現像剤圧迫手段57a、b近傍をズムーズに通過できない現像剤は、圧迫面58a、b表面の現像スリーブ51中央側に三角状に蓄積され、現像スリーブ51の両端部で溢れるだけでなく、現像スリーブ51の長手方向に圧迫する効果自体が失われてしまう。そのため、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bが、現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角を、圧迫面58a、b表面に現像剤が三角状に蓄積されない角度以下にする必要がある。
【0039】
したがって、所望の現像剤を圧迫する効果が得るためには、現像剤圧迫手段57a、bの現像スリーブ51の現像剤搬送方向のサイズをある程度確保する必要があるが、上述した理由により、そのサイズを確保することが困難な場合も考えられる。
【0040】
そこで、本実施例では、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bを現像スリーブ51の長手方向中央の回転軸に垂直な平面に対して対称に形成し、現像スリーブ51表面に、両端部から中央に現像剤が集まるような溝を形成することとした。そして、図9に示すように、現像スリーブ51上に形成する溝を、圧迫面58a、bと同様に現像スリーブ51の長手方向中央の回転軸に垂直な平面に対して対称であって、等間隔な螺旋状の溝とした。
【0041】
このように、両端部から中央に現像剤が集まるような溝を形成して、現像剤の現像スリーブ51の長手方向中央側への移動を促進することで、このような溝を形成しない場合よりも、圧迫面58a、bが、現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角を大きくできる。さらに、圧迫面58a、bにより現像剤が両端部から圧迫される際に、現像スリーブ51表面の溝に従って現像剤が現像スリーブ51中央部に移動するので、現像スリーブ51の長手方向の現像密度を高くし易くできる。
【0042】
また、図10に示すように、現像スリーブ51上に形成する溝と現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角度βが、現像剤圧迫手段57aの圧迫面58aと現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角度αよりも、大きくなるように溝を形成している。このような角度で溝を形成することで、圧迫面58a、bにより現像剤が両端部から圧迫される際に、現像スリーブ51表面の溝に従った現像剤の移動を確実に促進させることができる。なお、溝のピッチ幅と深さは、使用するキャリア粒径によって最適化すべきであるが、ピッチ幅は50〜500μm、深さは10〜100μmの範囲で使用できる。
【0043】
また、本実施例では、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bと、現像スリーブ51上に形成する溝のいづれも、現像スリーブ51の長手方向中央の回転軸に垂直な平面に対して対称に形成している。しかし、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、現像装置の現像剤を現像スリーブで担持・搬送する際の、現像スリーブ長手方向の現像剤濃度の分布特性等に応じ、螺旋状の溝を折り返す基準平面の位置を現像スリープ長手方向中央から所定量ズラす構成としても良い。また、螺旋状の溝を折り返す基準平面をズラす場合には、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bと現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角度、及び溝と現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角度は、螺旋状の溝を折り返す基準平面に対して対称でなくても良い。要は、現像剤を現像スリーブ51の両端部から現像スリーブ51の中央部側に向けて集め、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、b間を通過する現像剤密度を高めることができる構成であれば良い。
【0044】
(実施例4)
次に、本実施形態に係る現像装置5の第4の実施例である、実施例4について説明する。本実施例と上述した実施例1乃至3とは、次の点のみが異なる。本実施例の現像装置5では、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bの内、一端側の圧迫面58bを現像スリーブ51の回転軸に垂直に形成し、他端側の圧迫面58a側から圧迫面58b側に現像剤を集めるような溝を現像スリーブ51上に形成した点である。したがって、他の共通する構成、作用・効果については、適宜省略して説明する。図11は、本実施例の現像剤圧迫手段57a、bと現像スリーブ51の溝の説明図であり、圧迫面58a側から圧迫面58b側に現像剤が集まるような溝を形成した例である。
【0045】
上述した本実施3の現像装置では、図1で示すようにドクタブレード53の下流側であって、現像領域の上流側の狭小な部分に、現像剤圧迫手段57a、bを設置する場合であっても、所望の現像剤を圧迫する効果を得ることができるという点で優れている。そして、近年、パーソナルユーズの小型のフルカラー画像形成装置等の要求が高まっている。また、従来から画像形成装置のコストダウン化は、パーソナルユーズの小型のフルカラー画像形成装置に限らず求められてきた。しかし、実施例3の現像装置では、現像スリーブ51の長手方向中央の回転軸に垂直な平面に対して対称に螺旋状の溝を設ける構成としているため、溝の加工コストが高くなってしまい、その分画像形成装置の製造コストも高くなってしまう。
【0046】
そこで、本実施例の現像装置5では、図11に示すように、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bの内、一端側の圧迫面58bを現像スリーブ51の回転軸に垂直に形成し、他端側の圧迫面58a側から圧迫面58b側に現像剤を集めるような溝を現像スリーブ51上に形成している。つまり、現像スリーブ51上に形成する溝の加工パターンを、現像剤を現像スリーブ51の両端部から中央部に集めるような現像スリーブ51の長手方向中央の回転軸に垂直な平面に対して対称に形成するのではなく、片方向に集める単純な加工パターンの等間隔の螺旋状の溝とした。そして、現像剤を片方向に移動させるため、現像剤圧迫手段57a、bの一端側の圧迫面58bを現像スリーブ51の回転軸に垂直に形成し、他端側の圧迫面58aのみ、上流側よりも下流側が現像スリーブ51の長手方向中央側へ近づくように形成している。
【0047】
このように、現像スリーブ51の一端部の位置に設けた現像剤圧迫手段57aの圧迫面58a側から、他端部の位置に設けた現像剤圧迫手段57bの圧迫面58b側へ現像剤を移動させて、現像剤を現像スリーブ51の長手方向に圧迫することができる。現像剤を現像スリーブ51の長手方向に圧迫することができることで、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、b間を通過する現像剤密度を高めることができる。さらに、現像剤圧迫手段57a、bを設ける部分が狭小で、現像剤圧迫手段57a、bの現像スリーブ51の現像剤搬送方向のサイズを適正にできない場合の作用・効果は、実施例3の構成に一歩譲るものの、現像スリーブ51上に形成する溝の加工コストを削減できる。
【0048】
また、実施例3と同様に、現像スリーブ51上に形成する溝と現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角度βが、現像剤圧迫手段57aの圧迫面58aと現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角度αよりも、大きくなるように溝を形成している。このような角度で溝を形成することで、圧迫面58a、bにより現像剤が両端部から圧迫される際に、現像スリーブ51表面の溝に従った現像剤の移動を確実に促進させることができる。なお、溝のピッチ幅と深さは、実施例3と同様に使用するキャリア粒径によって最適化すべきであるが、ピッチ幅は50〜500μm、深さは10〜100μmの範囲で使用できる。
【0049】
以上、本実施形態に係る現像装置5では、現像スリーブ51上に担持された現像剤の現像スリーブ51長手方向の幅を、ドクタブレード53通過後に、現像剤圧迫手段57a、bで狭めることができる。現像スリーブ51上に担持された現像剤の現像スリーブ51長手方向の幅を狭めることで、現像剤は現像スリーブ51長手方向に圧迫されて現像剤間の空隙は減少し、現像剤密度を高めることができる。このように、現像剤密度を高めた現像剤を現像領域に搬送することで、現像領域中の磁気ブラシの密度を高めることができる。よって、キャリアの磁化量を下げずに、現像領域中の磁気ブラシの密度を高めることで、ザラツキ感の無い画像を形成することができる現像装置を提供することができる。
また、本実施形態に係る現像装置5では、圧迫面58a、b表面を、低表面エネルギー材料であるフッ素でコートする構成とすることで、現像剤が長手方向に圧迫される際に、現像剤を、現像剤圧迫手段57a、b近傍をズムーズに通過させれることができる。
また、本実施形態に係る現像装置5では、圧迫面58a、b表面を、導電性ダイヤモンドライクカーボンでコートする構成とすることで、現像剤が長手方向に圧迫される際に、現像剤を、現像剤圧迫手段57a、b近傍をズムーズに通過させることができる。さらに、導電性ダイヤモンドライクカーボンが、導電性の低表面エネルギー材料であることで、圧迫面58a、b表面の帯電状態が、現像装置5の可動履歴により変化してしまうことを防げ、トナーの帯電状態を乱してしまうことを無くせるるためより効果的である。また、圧迫面58a、b表面にトナーが電気的に付着してしまうことも防げる。
また、本実施形態に係る現像装置5では、現像剤を現像スリーブ51長手方向の中央部に集めるように、現像剤圧迫手段57a、bの圧迫面58a、bと現像スリーブ51上の螺旋状の溝を、現像スリーブ51の長手方向中央の回転軸に垂直な平面に対して対称に形成しているので、現像剤の現像スリーブ51長手方向の中央部への移動を促進させることができ、現像スリーブ51の長手方向の現像密度を高くし易くできる。
また、本実施形態に係る現像装置5では、現像剤を現像スリーブ51長手方向の現像剤圧迫手段57bの圧迫面58b側に集めるように、現像剤圧迫手段57aの圧迫面58aと、現像スリーブ51上の螺旋状の溝を形成しているので、低コストで現像スリーブ51の長手方向の現像密度を高くできる。
また、本実施形態に係る現像装置5では、現像スリーブ51上の溝と現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角度が、現像スリーブ51上長手方向の中央側に近づくように形成された現像剤圧迫手段57の圧迫面と現像スリーブ51の回転軸に垂直な平面とがなす角度よりも大きくなるように構成している。このように構成しているので、現像スリーブ51表面の溝に従った現像剤の移動を確実に促進させることができる。よって、現像スリーブ51の長手方向の現像密度をより確実に高めることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置では、上述したように構成された現像装置5を備えることで、上述したように構成された現像装置5と同様な作用・効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 キャリア
4 書込部
5 現像装置
6 転写ローラ
7 クリーニング部
8 感光体除電部
9 レジストローラ対
10 定着部
13 ファーブラシ
16 中間転写ベルト
18 二次転写ローラ
51 現像スリーブ
52 マグネットロール
53 ドクタブレード
54 現像剤収容部
55 搬送スクリュ
56 ケーシング
57a、b 現像剤圧迫手段
58a、b 圧迫面
100 プリンタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2002?202638号公報
【特許文献2】特開2002?287545号公報
【特許文献3】特開平7−175329号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアからなる現像剤を担持し潜像担持体に対向する現像領域へ搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体上に担持された現像剤量を規制する層規制部材と、現像剤を撹拌・搬送する現像剤攪拌搬送部材と、現像剤を収容する現像剤収容部を形成するケースとを少なくとも有し、該現像剤担持体によって現像領域へ搬送された現像剤によって潜像担持体上の潜像を現像する現像装置において、
上記現像剤担持体上に担持されて搬送される現像剤を、現像剤担持体長手方向に圧迫する面が形成された現像剤圧迫手段を備え、
上記現像剤圧迫手段は、上記層規制部材と上記現像領域の間であって、上記現像剤担持体の長手方向両端部に位置し、
上記現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面の現像剤担持体長手方向の間隔が、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって狭くなることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面が、フッ素コートされていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の現像装置において、
現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面が、導電性DLCでコートされていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の現像装置において、
現像剤担持体の両端部に位置する現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面は、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって該現像剤担持体の長手方向中央側に近づくように形成され、
現像剤担持体表面には、両端部から中央に現像剤が集まるような溝が、上記現像剤担持体の長手方向中央の現像剤担持体回転軸に垂直な平面に対して対称に形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の現像装置において、
現像剤担持体の一端部に位置する現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面は、現像剤担持体回転軸に対し垂直に形成され、他端部に位置する現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面は、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって現像剤担持体の長手方向中央側に近づくように形成されており、
現像剤担持体表面には、螺旋状に溝が形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の現像装置において、
現像剤担持体表面に形成される溝と現像剤担持体回転軸に垂直な平面とがなす角度が、現像剤担持体の長手方向中央側に近づくように形成された現像剤圧迫手段の現像剤を圧迫する面と上記現像剤担持体回転軸に垂直な平面とがなす角度よりも、大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
現像装置として、請求項1乃至6のいずれか一に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−58622(P2012−58622A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203711(P2010−203711)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】