説明

現像装置、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

【課題】現像剤担持体表面汚れに起因する濃度ムラの発生を抑制することができる現像装置、並びにこの現像装置を備えた画像形成装置、およびプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】現像スリーブ302cの内側に複数の磁極を有するマグネットローラ302dを内包する現像ローラ302と、供給室304a及び回収室305aと、を有し、マグネットローラ302dの磁界によって、汲み上げ領域ηと、剤離し領域γとが形成され、現像バイアス用電源302gによって現像スリーブ302cにトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加された現像装置3において、現像領域αに対して現像スリーブ302cの表面移動方向の下流側、且つ、汲み上げ領域ηに対して上流側の位置となる現像スリーブ302cの表面近傍の現像剤320に接触する位置に、接地した導電性接地部材50を配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トナーと磁性キャリアとを含む二成分の現像剤を用いた現像装置を備える画像形成装置が広く用いられている。
この種の現像装置では、現像ローラ等の現像剤担持体を形成する現像スリーブ等の表面部材の内部に磁界発生手段を備え、磁界発生手段が形成する磁界によって現像剤担持体の表面部材の表面に現像剤の磁気ブラシを形成させる。そして、現像剤担持体と潜像担持体とが近接する現像領域では、トナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加された表面部材と、潜像担持体の表面上に形成された潜像との電位差によって現像電界を形成し、磁気ブラシを形成する現像剤内のトナーが潜像に受け渡される。これにより現像装置による潜像担持体表面上の潜像に対する現像が行われ、潜像担持体の表面にトナー像が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、二成分の現像剤を用いる現像装置では、現像剤担持体の表面部材の表面に直接にトナーが付着する「現像剤担持体表面汚れ」に起因して、現像したトナー像に濃度ムラが発生することがあった。
この濃度ムラの問題について、まず、その原因となる「現像剤担持体表面汚れ」について説明する。
【0004】
現像剤担持体が現像剤を搬送するときに現像剤は表面部材に対して動きながら搬送される。詳しくは、磁界発生手段が形成する磁界によって表面部材の表面上における現像剤の磁気ブラシは、穂立ちした状態や寝た状態となる。磁気ブラシが穂立ちした状態や寝た状態を繰り返しながら現像剤は表面部材の表面上を搬送されているので、穂立ち状態から寝た状態への変化、または、寝た状態から穂立ち状態への変化などのタイミングで磁気ブラシを形成する現像剤に衝撃が加わる。この衝撃により、トナーがキャリアから離れて表面部材の表面に直接に付着することがあり、これが現像剤担持体表面汚れとなる。
【0005】
トナーは現像剤担持体に現像剤として担持される前のキャリアとの摩擦帯電によって所定の極性(以下、一例としてマイナス極性とするがプラス極性でも良い)の電荷を帯びており、当然、現像剤担持体表面汚れを形成するトナーもマイナス極性の電荷を帯びている。表面部材にはナーの帯電極性と同極性(マイナス極性)の現像バイアスが印加されているが、現像剤担持体表面汚れが発生している部分では、トナーが持つマイナス電荷によって、表面部材の見かけ上の電位がマイナス極性に大きくなる。このため、現像剤担持体表面汚れが発生し、表面部材の表面にトナーが付着している部分は、現像領域において、他の部分よりも現像電界の電界強度が強くなる。よって、表面部材の表面にトナーが付着している部分では、より多くのトナーが潜像担持体の潜像へと受け渡され、表面部材の表面上にトナーが付着している部分と付着していない部分とで濃度ムラが生じる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、現像剤担持体表面汚れに起因する濃度ムラの発生を抑制することができる現像装置、並びにこの現像装置を備えた画像形成装置、およびプロセスカートリッジを提供することである。
を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーと磁性キャリアとからなる二成分の現像剤を無端移動する表面上に担持して、潜像担持体に対向する現像領域で潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体に供給する現像剤を収容する現像剤収容部と、を有し、該現像剤担持体は、無端移動する表面部材の内側に複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、該磁界発生手段によって発生する磁界によって、該現像剤収容部から供給される現像剤を該現像剤担持体表面上に汲み上げる汲み上げ部と、該現像領域を通過した後の現像剤を該現像剤担持体表面から離脱させる剤離れ部とが形成され、該表面部材には該トナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加された現像装置において、上記現像領域に対して上記現像剤担持体の表面移動方向下流側、且つ、上記汲み上げ部に対して該現像剤担持体の表面移動方向上流側の位置となる該現像剤担持体の表面近傍の現像剤に接触する位置に、接地した導電性部材を配置したことを特徴とするものである。
【0008】
表面部材の現像剤担持体表面汚れが発生した部分が汲み上げ部に到達し、現像剤の供給が成されると、現像剤担持体表面汚れを形成するトナーの上に汲み上げ部で供給された現像剤の磁気ブラシが形成され、現像領域において、他の部分よりも現像電界の電界強度が強くなる。すなわち、汲み上げ部における表面部材上に現像剤担持体表面汚れが発生していなければ、現像剤担持体表面汚れに起因する濃度ムラの発生を防止することができる。
【0009】
本発明においては、導電性部材は接地されており、表面部材はトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加されている。したがって表面部材と導電性部材との間に電界が形成され、この電界は所定極性に帯電したトナーが導電性部材に動く方向に形成される。この電界により表面部材と導電性部材との間に存在する現像剤中のトナーは導電性部材の方向へと移動する。このとき、表面部材の表面に付着していたトナーは表面部材から離れ、表面部材と導電性部材との間に存在する現像剤内に取り込まれる。
【0010】
また、表面部材と導電性部材との間に存在する現像剤中のトナーは導電性部材の方向へと移動するため、現像剤中のトナー濃度が変化することが考えられる。このため、汲み上げ部に対して現像剤担持体の表面移動方向下流側、且つ、現像領域に対して現像剤担持体の表面移動方向上流側の位置に導電性部材を配置すると、現像剤担持体に供給される前に所望のトナー濃度に調整された現像剤のトナー濃度が変化し、所望のトナー濃度とは異なる状態の現像剤が現像領域に供給されるおそれがある。これに対して、本発明においては、現像領域に対して現像剤担持体の表面移動方向下流側、且つ、汲み上げ部に対して現像剤担持体の表面移動方向上流側の位置に導電性部材を配置しており、汲み上げ部から現像領域までの間には導電性部材を配置していない。よって、汲み上げ部で現像剤担持体上に供給された現像剤は、トナー濃度が変化することなく、現像領域まで搬送される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、汲み上げ部で現像剤担持体表面汚れを形成する可能性があるトナーを現像剤担持体の表面部材の表面上から離すことができるため、現像剤担持体表面汚れに起因する濃度ムラの発生を抑制することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の現像装置の概略構成図。
【図2】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図3】作像装置の概略構成図。
【図4】現像ローラの回転軸方向に平行な断面の断面説明図。
【図5】現像装置の主要部の内部斜視図。
【図6】現像装置の主要部の外観斜視図。
【図7】現像容器中の現像剤の流れを説明する模式図。
【図8】現像装置の連通口部分の説明図。
【図9】現像スリーブと導電性接地部材との対向部を模式的に示す説明図。
【図10】導電性接地部材の有無による「画像先端濃い」のレベルを比較したグラフ。
【図11】変形例1の現像装置の概略構成と感光体とを示す説明図。
【図12】変形例2の現像装置の概略構成と感光体とを示す説明図。
【図13】二つの現像剤攪拌搬送部材を現像ローラから離れる方向に二つ並べて配置した現像装置の説明図。
【図14】表面の一部にスリーブ汚れが生じた現像スリーブと感光体との対向部を模式的に示す説明図。
【図15】「画像先端濃い」が発生した画像のイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を画像形成装置としてのプリンタ(以下、プリンタ100という)に適用した実施形態について説明する。
図2は、プリンタ100の概略構成図である。プリンタ100は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラー画像形成装置であり、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアン(以下、K,M,Y,Cと記す)の各色トナー像を形成する四つの作像装置17(K,M,Y,C)を備えている。
【0014】
四つの作像装置17(K,M,Y,C)の下方には、下流側張架ローラ18及び上流側張架ローラ19に掛け回されて転写紙Pを表面に担持して搬送し、各作像装置17(K,M,Y,C)に対向しながら表面移動する無端ベルト状の転写搬送ベルト15が配設されている。
転写搬送ベルト15を張架する下流側張架ローラ18と上流側張架ローラ19との二つのローラのうちの一方が、駆動源から回転駆動が伝達されることで回転駆動する駆動ローラであり、駆動ローラの回転駆動によって転写搬送ベルト15が図2中の矢印A方向に無端移動する。二つのローラのうちの他方が、転写搬送ベルト15の無端移動に従って従動回転する従動ローラである。
また、転写搬送ベルト15を挟んで各作像装置17(K,M,Y,C)と対向する転写バイアスローラ5(K,M,Y,C)を備えている。
また、転写搬送ベルト15による転写紙搬送方向について下流側張架ローラ18よりも下流側には、転写搬送ベルト15から分離した転写紙P上の未定着トナーを定着する定着装置24を備えている。また、プリンタ100の本体上部には、定着装置24を通過しトナー像が定着した転写紙Pを積載するための排紙トレイ25を備えている。
【0015】
転写搬送ベルト15の下方には、転写紙Pを収容する複数の給紙カセット20を備えている。また、転写搬送ベルト15と作像装置17(K,M,Y,C)とが対向する転写領域に各給紙カセット20から転写紙Pを供給する転写紙供給手段としての給紙搬送装置26と、給紙カセット20から搬送されてきた転写紙Pを作像装置17(K,M,Y,C)による作像タイミングに合わせて供給するレジストローラ対23とを備えている。
【0016】
なお、図2ではプリンタ100が図2中の左右方向において小型になるよう、転写搬送ベルト15が斜め方向に配設され、矢印Aで示す転写紙Pの搬送方向が斜め方向となっている。これにより、プリンタ100は、図2中の左右方向における筐体の幅が、A3サイズの転写紙長手方向の長さよりも僅かに長い大きさとなっている。すなわち、プリンタ100は、内部に転写紙を収容するために最低限必要な大きさとされることで大幅に小型化されている。
【0017】
各作像装置17(K,M,Y,C)は、潜像担持体としてドラム状の感光体1(K,M,Y,C)を有している。この感光体1(K,M,Y,C)の回転方向に関して順に、それぞれ帯電装置2(K,M,Y,C)、現像装置3(K,M,Y,C)、クリーニング装置6(K,M,Y,C)、等を有している。また、帯電装置2(K,M,Y,C)と現像装置3(K,M,Y,C)との間で書込光Lを潜像形成手段である露光装置16(K,M,Y,C)から照射される周知の構成である。感光体1(K,M,Y,C)はドラム状でなく、ベルト状としても良い。
【0018】
このような構成のプリンタ100では、画像形成スタートとともに、各作像装置17(K,M,Y,C)で各色トナー像が形成される。各作像装置17(K,M,Y,C)では、感光体1(K,M,Y,C)が、図示されないメインモータにより回転駆動され、帯電装置2(K,M,Y,C)によって一様帯電された後、露光装置16(K,M,Y,C)より、画像を色分解した色毎の画像情報に応じて書込光Lが照射され、静電潜像が形成される。感光体1(K,M,Y,C)上に形成された静電潜像は、現像装置3(K,M,Y,C)により現像され、各感光体1(K,M,Y,C)の表面上に各色トナー像が形成される。
【0019】
一方、複数ある給紙カセット20のうちの1つから給紙搬送された転写紙Pは、レジストローラ対23の位置で一旦待機させら、作像装置17(K,M,Y,C)による作像タイミングに合わせてレジストローラ対23から転写搬送ベルト15の表面上に供給される。転写搬送ベルト15の表面上に供給された転写紙Pは、静電吸着によって転写搬送ベルト15に吸着され、転写搬送ベルト15に担持される。転写搬送ベルト15に担持された転写紙Pは転写搬送ベルト15の表面移動によって各色の作像装置17(K,M,Y,C)による転写領域に順次搬送される。
【0020】
各感光体1(K,M,Y,C)上に形成されたトナー像は、感光体1(K,M,Y,C)と転写搬送ベルト15との対向部で転写バイアス手段である転写バイアスローラ5(K,M,Y,C)によって転写搬送ベルト15上に担持された転写紙Pに順次転写される。このようにしてK(黒)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)の順で各感光体1(K,M,Y,C)上に形成されたトナー像が転写され、重ね合わせカラートナー像が転写紙P上に形成される。トナー像を転写された転写紙Pは、転写搬送ベルト15から分離され、定着装置24に搬送され、トナー像が定着されて機外の排紙トレイ25に排出される。
一方、転写紙P上にトナー像を転写した後の感光体1(K,M,Y,C)は、クリーニング装置6(K,M,Y,C)によって転写残トナーの除去がなされ、必要に応じて図示しない除電ランプで除電された後、再度、帯電装置2(K,M,Y,C)で一様に帯電される動作を繰り返す。
また、本実施形態のプリンタ100では、作像装置17を構成する複数部材を一体的に支持してユニットを構成し、プロセスカートリッジとしてプリンタ100本体から着脱可能な構成となっている。作像装置17としては、必ずしもユニットとして構成されている必要はない。
【0021】
図2に示すプリンタ100では、転写紙Pを搬送する転写搬送ベルト15の表面移動方向(搬送方向)に沿って、搬送方向上流側から、K(黒)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)の順に四つの作像装置17(K,M,Y,C)が配置されている。しかし、各色の作像装置17(K,M,Y,C)を配置する順序はこの限りではない。例えば、黒用の作像装置17Kを搬送方向最下流側に配置し、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)、K(黒)の順に四つの作像装置17(M,Y,C,K)を配置してもよい。
【0022】
次に、作像装置17について詳しく説明する。本実施形態のプリンタ100の作像装置17(K,M,Y,C)は、現像装置3内の画像形成物質として、互いに異なる色(K,M,Y,C)のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。このため、以下、添字K,M,Y,Cを省略し、作像装置17として説明する。
【0023】
図3は、本実施形態のプリンタ100に適用可能な現像装置3を含む作像装置17の概略構成図である。
現像装置3は感光体1に対向配置され、感光体1は図3中矢印aに示すように図3における時計回り方向に回転駆動する。
感光体1の上方、時計の文字盤で表現すれば図3中の感光体1の略11時の位置に帯電装置2が配置されている。帯電装置2は本例では感光体1と同じ表面移動速度で回転される回転体からなるが、回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
【0024】
この帯電装置2により感光体1の表面は暗中で一様に帯電された後、図3では図示していない書き込み手段である露光装置16からの書込光Lの照射を受けて静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体1の回転と共に、感光体1の表面移動方向下流側に移動し、現像装置3との対向部である現像領域αに至る。図3では現像装置3は感光体1の右横に配置されている。
現像装置3はケーシング301内に、現像剤320を撹拌搬送する供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305、現像ローラ302などの回転部材及びその他の部材を具備している。
現像ローラ302は図3中の感光体1の2時と3時との間の位置(2時半の位置)で感光体1に近接して対向することで現像領域αを構成するようにして近接配置されている。この感光体1との対向部位に相当するケーシング301の部位は現像ローラ302を露出させるため開口している。
【0025】
現像ローラ302が図3中の矢印b方向に表面移動することにより、ケーシング301内の現像剤320は現像ローラ302の表面上に担持され、図3中の矢印B方向に搬送され、現像領域αへ搬送される。現像領域αでは感光体1の表面に形成されている静電潜像に現像剤320中のトナーが付着してトナー像として顕像化される。
このトナー像は感光体1の回転と共に感光体1の表面移動方向下流側に移動し、転写装置の転写バイアスローラ5との対向部である転写領域βに至る。転写バイアスローラ5は、感光体1の下方、図3中の感光体1の6時の位置に配置されている。本実施形態の転写装置は、転写部材として回転体からなる転写バイアスローラ5を備える構成であるが、転写部材としては回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
【0026】
感光体1上のトナー像は転写領域βにおいて転写紙Pに転写され、転写紙P上の画像となる。本実施形態のプリンタ100は、感光体1上に形成したトナー像を転写紙Pに直接転写する構成である。感光体1上に形成したトナー像を転写紙Pに転写する構成としては、感光体上のトナー像を中間転写体(中間転写ベルトなど)に一旦転写し、中間転写体上で各色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、その後、多色トナー像を一括して転写紙に転写する中間転写体方式の画像形成装置にも本発明の現像装置は適用可能である。この場合は、転写領域βで感光体上のトナーを中間転写体(中間転写ベルト)に転写することになる。
【0027】
転写領域βを通過した感光体1表面は感光体1の回転に伴い、その表面移動方向下流側へ移動してクリーニング装置6との対向部に至る。
図3において、クリーニング装置6は感光体1に対して10時の位置に配置されている。クリーニング装置6は、転写領域βで転写紙Pに転写し切れずに感光体1の表面に残ったトナーを、クリーニングブレード601により除去する。クリーニング装置6との対向部を通過した感光体1の表面は、その後、帯電装置2により一様に帯電され、次の画像形成工程を繰り返す。
【0028】
次に、現像装置3について詳しく説明する。
図3に示すように、現像装置3は、ケーシング301の内部に現像ローラ302、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305、及び、現像剤規制部材303を有し、現像剤320を撹拌搬送して循環させている。本実施形態の現像装置3では、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305として、回転軸部に螺旋形状のスクリュ羽部を固定したスクリュ部材を用いており、スクリュ羽部の外径が16[mm]以下のものを用いている。
【0029】
図1は、現像ローラ302回りに形成される磁界の法線磁束密度分布を追記した本実施形態の現像装置3の概略構成と感光体1とを示す説明図である。
図1に示すように、現像ローラ302は、円周方向に複数の磁石MG(MG1〜MG3)を配置したマグネットローラ302dを内部に有し、その周囲を円筒状の現像スリーブ302cが回転軸302eと一体的に回転する構成となっている。
現像スリーブ302cはアルミ等の非磁性の金属で形成されている。マグネットローラ302dは、各磁石MGが所定の方向を向くように不動部材、例えば、ケーシング301に固定されており、その周囲を現像スリーブ302cが回転して、磁石MGによって引き付けた現像剤320を搬送していく。
【0030】
図4は、現像ローラ302の回転軸方向に平行な断面の断面説明図である。
図4に示すように、現像ローラ302は、不動部材であるケーシング301に固定されている固定軸302aと、この固定軸302aに一体的に形成され、円柱状をしたマグネットローラ302dと、マグネットローラ302dのまわりをギャップを介して覆っている現像スリーブ302cと、この現像スリーブ302cに一体的に構成された回転軸302e等からなる。固定軸302aに対して回転軸302eは軸受302fを介して回転自在であり、回転軸302eは図示省略の回転駆動手段から動力を伝達されて回転駆動する。
マグネットローラ302dの外周部には、図4に示すように所定の間隔をおいて複数の磁石MGが固定されている。これらの磁石MGの周囲を現像スリーブ302cが回転する構成となっている。
【0031】
マグネットローラ302dに配置された複数の磁石MGは、現像スリーブ302cの周表面に現像剤320を穂立ちさせ、また穂切りなどさせるように磁界を形成するためのものである。これらの磁石MGから発せられる法線方向磁力線に沿うように、磁性のキャリアが集合して磁気ブラシが形成される。
マグネットローラ302dとしては種々の構成が適用可能であるが、本実施形態の現像装置3では、図1に示すように、現像スリーブ302cの内部に3つの磁石MGを有し、3つの磁極MP(磁力分布)が生じるマグネットローラ302dを備える。
図1に示すように、現像ローラ302の中心である現像ローラ中心線O―1と感光体1の中心である感光体中心O−2とを結ぶ仮想直線上で、感光体1と対向する位置に第一磁石MG1を配置し、現像領域αにおいて現像スリーブ302cの周表面に現像剤320を穂立ちさせる現像磁極MP1を形成する。さらに、現像磁極MP1に対して図1中の反時計回り方向(現像スリーブ302cの回転方向)に、ケーシング対向極MP2を形成する第二磁石MG2、現像剤規制部材対向極MP3を形成する第三磁石MG3が配置されている。
【0032】
本実施形態の現像装置3では、現像磁極MP1をN極、ケーシング対向極MP2及び現像剤規制部材対向極MP3をS極としているが、各磁極の極性は各磁極がこれと反対の極性であってもよい。現像磁極MP1は、感光体1に対向し、ケーシング対向極MP2はケーシング301に対向しており、現像剤規制部材対向極MP3現像剤規制部材303に対向している。
現像領域αでは、現像ローラ302の表面と感光体1の表面とは直接には接触せず、現像に適した一定の間隔である現像ギャップGPを保持して対向している。現像装置3は、現像ローラ302表面上において、現像剤320を穂立ちさせ、現像剤320を感光体1に接触させることで、感光体1表面の静電潜像にトナーを付着させて顕像化する。
【0033】
現像装置3の現像ローラ302を構成する固定軸302aには接地された現像バイアス用電源302gが接続されている。現像バイアス用電源302gは、図4中に示す導電性の軸受302f及び導電性の回転軸302eを経て現像スリーブ302cに正規帯電したトナーの帯電極性と同極性で所定の電圧を印加する。一方、感光体1を構成する最下層の導電性支持体は接地されている。このような構成により、現像領域αには、キャリアから離脱したトナーを感光体1側へ移動させる現像電界が形成され、現像スリーブ302cと感光体1の表面に形成された静電潜像との電位差により、トナーを感光体1側に向けて移動させることができる。
【0034】
本実施形態の現像装置3は、図2及び図3に示すように書込光Lで感光体1の表面上に潜像を書き込む方式の画像形成装置と組み合わせたものである。帯電装置2により感光体1の表面上に一様に負極性の電荷を乗せ、書き込み量を少なくするために画像部を書込光Lで露光することで、電位が低下した画像部(静電潜像)に負極性のトナーで現像する、所謂反転現像方式を採用している。これは一例であり、本発明の特徴部を備えた現像装置を適用する構成としては、感光体1の表面上に乗せる帯電電荷の極性は大きな問題ではない。
【0035】
現像領域αを通過した現像スリーブ302cの表面上に担持された現像剤320は、ケーシング対向極MP2の磁力によって現像スリーブ302c上に担持され、現像スリーブ302cの回転と共に表面移動方向下流側に搬送され、ケーシング301内に引き入れられる。
ケーシング対向極MP2と現像剤規制部材対向極MP3とは同極性であり、図1に示すように、現像スリーブ302cの表面移動方向について、ケーシング対向極MP2と対向する位置よりも下流側で、且つ、現像剤規制部材対向極MP3と対向する位置よりも上流側となる現像スリーブ302cの表面上の領域では、現像剤320を穂立ちさせる磁界が形成されない。このため、この領域の現像スリーブ302cの表面上では、現像剤320の穂が寝た状態となり、この領域よりも上流側で現像スリーブ302cの表面上に引き寄せていた現像剤320を現像ローラ302から引き離す「剤離し」の作用が働く。このように穂が寝た状態となる現像スリーブ302cの表面上のケーシング対向極MP2と対向する位置よりも下流側で、且つ、現像剤規制部材対向極MP3と対向する位置よりも上流側となる領域は、図1に示すように、法線磁束密度分布の山形のピークが他領域と比べて極めて低い領域となり、この領域は、現像スリーブ302cから現像剤320を離す、剤離し領域γ(図3中に示す)を形成している。
【0036】
感光体1にトナーを付着させた現像剤320は、現像剤320中のトナー濃度が下がっている。このため、仮に、このトナー濃度が低下した現像剤320が現像ローラ302から離れずに再び現像領域αに搬送され現像に供されると、狙いの画像濃度を得ることが出来ないという不具合が生じてしまう。
これを防止する構成として、本実施形態の現像装置3では、現像領域αを通過した現像スリーブ302c表面上に担持された現像剤320を剤離し領域γにおいて現像ローラ302から離脱させる。現像ローラ302から離脱した現像剤320は、回収室305aに回収され、その後、狙いのトナー濃度、トナー帯電量になるように、ケーシング301内で十分に撹拌混合される。このようにして、狙いのトナー濃度、帯電量にされた現像剤320は、供給室304a内から供給室搬送部材304によって現像剤貯留スペースεに供給される。
【0037】
現像剤貯留スペースεに供給された現像剤320は、現像剤規制部材対向極MP3の磁力によって現像スリーブ302cの表面に担持され、現像剤規制部材対向極MP3のピーク位置の直近下流部に位置する現像剤規制部材303との対向部を通過することにより、所定の厚さに整えられる。現像剤規制部材303との対向部を通過した現像剤320は、磁気ブラシを形成しながら現像領域αに搬送される。また、現像剤規制部材対向極MP3は、現像剤320を搬送する搬送極の機能を担っている。また、現像剤規制部材対向極MP3の磁力によって現像剤貯留スペースε内の現像剤320が現像スリーブ302cの表面に担持される領域が剤汲み上げ領域ηである。
【0038】
図5は、現像装置3の主要部の内部斜視図であり、図6は、現像装置3の主要部の外観斜視図である。また、図7は、現像装置3を図6中の矢印E方向から見た、ケーシング301内の現像剤320の流れを説明する模式図である。図8は、現像装置3の長手方向両端部の仕切板306に連通孔を設けた部分を上方から見た説明図である。
図5及び図7中の矢印D1〜D4がケーシング301内の現像剤320の流れを示している。
【0039】
図1及び図3に示すように、供給室搬送部材304は現像ローラ302のまわりの位置であって、図3及び図1中における現像ローラ302の2時の方向に配置されている。この位置は現像剤規制部材303との対向部に対して現像ローラ302の表面移動方向上流側でもある。図5にしめすように、供給室搬送部材304は回転軸の回りに螺旋状の羽部を設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ302の現像ローラ中心線O―302aと平行な供給スクリュ中心線O−304を中心に、図1及び図3中の矢印fで示す時計回り方向に回転する。この回転により、図5中の矢印D4で示すように、供給スクリュ中心線O−304に沿って現像装置3の長手方向の手前側FSから奥側BSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、供給室搬送部材304は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320をその軸方向、手前側FSから奥側BSに向けて搬送する。
【0040】
図1及び図3に示すように、回収室搬送部材305は現像ローラ302のまわりの位置であって、図1及び図3中における現像ローラ302の4時の方向で、剤離し領域γの近傍に配置されている。また、図5に示すように、回収室搬送部材305は回転軸の回りに螺旋状の羽部を設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ中心線O−302aと平行な回収スクリュ中心線O−305を中心に、図1及び図3中の矢印gで示す反時計回り方向に回転する。この回転により、図5中の矢印D2で示すように、回収スクリュ中心線O−305に沿って現像装置3の長手方向の奥側BSから手前側FSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、回収室搬送部材305は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320を供給室搬送部材304による搬送方向とは逆向きの奥側BSから手前側FSに向けて搬送する。
【0041】
回収室搬送部材305に対して供給室搬送部材304は上方に位置する関係となっており、ケーシング301内で供給室搬送部材304の周囲の空間である供給室304aと、回収室搬送部材305の周囲の空間である回収室305aとは仕切板306を挟んで隣接している。
図5及び図6に示すように、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の手前側端部は現像ローラ302の手前側端部よりも若干手前側に位置するように設定して、現像ローラ302の手前側端部への供給室304a内からの現像剤320の供給を確保している。また、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の奥側端部は現像ローラ302の奥側端部よりも奥側に位置するように設定している。これにより、後述するトナー補給のためのスペースを確保している。現像剤規制部材303の長手方向の長さは、現像ローラ302の長さに合わせて設定されている。
【0042】
図1、図3及び図7に示すように、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305との間には、供給室304aと回収室305aとを空間的に仕切る仕切板306がケーシング301の内側に支持されている。この仕切板306の長手方向両側端部には、それぞれ連通口(41及び42)が設けられている。
回収室搬送部材305によって長手方向の奥側BSから手前側FS(図5中矢印D2方向)に搬送された現像剤320は、その搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれるため側壁に沿って盛り上がる。この盛り上がりによって、回収室305a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切板306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向手前側端部に設けられた持ち上げ口41を通過し(図5中矢印D3)、供給室304aに受け渡される。
【0043】
供給室304aに受け渡された現像剤320は、供給室搬送部材304によって供給室304a内を長手方向の手前側FSから奥側BS(図5中矢印D4方向)に搬送される。
回収室305aの場合と同様に、供給室搬送部材304によって長手方向の手前側FSから奥側BS(図5中矢印D4方向)に搬送された現像剤320は、その搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれる。供給室304a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切板306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向奥側端部に設けられた落下口42より落下し、回収室305aに受け渡される。
【0044】
このように、現像装置3は、現像ローラ302、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305及び仕切板306等を備える構成である。現像ローラ302は、現像剤320を担持して表面移動し、感光体1に形成された静電潜像を可視像化するものである。供給室搬送部材304は、現像ローラ302の現像ローラ中心線O−302aに平行な供給スクリュ中心線O−304を中心に回転し、この供給スクリュ中心線O−304に沿って現像装置3の長手方向に現像剤320を撹拌しつつ搬送する。回収室搬送部材305は、現像ローラ302から現像剤320を離す剤離し領域γの近傍に配置され、現像ローラ中心線O−302aと平行な回収スクリュ中心線O−305を中心に回転することで、現像剤320を撹拌しつつ、供給室搬送部材304が現像剤320を搬送する方向とは反対方向に搬送する。また、仕切板306は、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305との間であって、供給室304aと回収室305aとの空間を仕切り、長手方向の両端部にそれぞれ連通口を有する。このような構成により、現像装置3は、図5中の矢印D1〜D4に沿った現像剤320の循環経路を形成する。
【0045】
また、本実施形態の現像装置3内で現像剤320を循環させる現像剤撹拌搬送部材(304及び305)が現像ローラ302の横に上下に二本並べて配置される。
従来の現像装置3としては、図13に示すように二つの現像剤攪拌搬送部材(供給回収スクリュ404、循環スクリュ405)を現像ローラ302から離れる方向(水平方向)に並べて配置する構成のものがある。このように、二つの現像剤攪拌搬送部材を水平方向に並べて配置する構成にくらべて、本実施形態の現像装置3は、装置の横方向(水平方向)の大きさを小さくすることができる。
【0046】
また、本実施形態の現像装置3は、仕切板306により供給室304a回収室305aとの空間が仕切られている。このため、現像ローラ302に対しては供給室搬送部材304により、トナーとキャリアを十分に撹拌混合された現像剤320のみが供給され、現像直後のトナー濃度の下がった現像剤320は専ら回収室搬送部材305により撹拌搬送され、直ぐに現像ローラ302に供給されることがない。よって、狙いの帯電量を持ったトナーを含み、狙いのトナー濃度となった現像剤320だけが現像ローラ302に供給され、現像に用いられることとなるため、高画質を得ることができる。
このように、本実施形態の現像装置3は、水平方向のコンパクト化を図りつつ、高画質を得ることができる。
【0047】
次に、現像装置3におけるトナー補給について説明する。
現像装置3内の現像剤320は、現像動作を繰り返す内にトナーが消費されていくため、現像装置3の外部から装置内の現像剤320に対してトナーを補給する必要がある。本実施形態の現像装置3は、長手方向の奥側BSの端部近傍にトナー補給口309を備え、このトナー補給口309より図7中の矢印Tで示すように、外部からのトナーの補給を行う。本実施形態の現像装置3では長手方向の奥側BSの端部近傍は、現像ローラ302に現像剤を供給する供給室304a内の搬送方向下流側端部近傍となるため、トナー補給口309より補給されたトナーが直ちに現像に供されることはなく、落下口42を通過して回収室305aに供給されることとなる。回収室305aに供給されたトナーは、回収室搬送部材305で現像剤320と混合・撹拌され、所定のトナー濃度となった現像剤320に含有された状態で、持ち上げ口41から供給室304aへと受け渡され、現像に供される。
【0048】
また、回収室搬送部材305を配置した回収室305aは、現像ローラ302の表面から離脱した供給室搬送部材304によって現像装置3の長手方向の奥側BS(図5中矢印D4方向)に搬送されながら現像ローラ302に供給され現像に使用される。
【0049】
次に、トナー濃度センサ201について説明する。
図7に示すように、現像装置3は、回収室305a内の持ち上げ口41の下方にトナー濃度センサ201を配置している。本実施形態のトナー濃度センサ201は、透磁率を測定するセンサであり、現像剤のキャリア濃度(=100−トナー濃度)を検出することができる。このトナー濃度センサ201での検出結果に基づいて、不図示の制御部がキャリア濃度からトナー濃度センサ201の検出領域における現像剤320のトナー濃度が適正か否かを判断し、補給するトナーの量を決定する。
【0050】
トナー濃度センサ201を配置した持ち上げ口41の下方は、回収室305a内における回収室搬送部材305の搬送方向下流側端部である。
現像装置3内における現像剤320の流れは、図5中の矢印D1〜D4や図7中の矢印に示す通りである。そして、供給室304a内では、多くの現像剤320が供給室搬送部材304によって奥側BSの端部まで搬送される前に、現像ローラ302に供給され現像に使用され、回収室305aへと受け渡される。このため、回収室305a内では回収室搬送部材305の搬送方向下流側となる手前側FSほど現像剤320の量が多くなり、手前側FS端部近傍に現像剤320が溜まる傾向がある。よって、本実施形態の現像装置3のように、回収室305a内における回収室搬送部材305の搬送方向下流側端部にトナー濃度センサ201を配置することで、トナー濃度センサ201の上方には現像剤320が常に充填しており、安定したキャリア濃度検知が可能となる。
【0051】
図2に示すように、本実施形態のプリンタ100は、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアンの各色毎に、感光体1を横方向に並べて各感光体1に帯電装置2や現像装置3等を設けて静電潜像を形成し、可視像化してから転写紙Pに順次転写してフルカラー画像を得るタンデム方式のカラー画像形成装置である。このような画像形成装置では、横方向に並べた感光体1(K,M,Y,C)に対してそれぞれ現像装置3(K,M,Y,C)が設けられているので、プリンタ100の省スペース化を図るには、各感光体1同士の間隔を狭めることが求められる。各感光体1同士の間隔を狭めるには各現像装置3も水平方向(横方向)の大きさを小さくすることが求められる。
【0052】
プリンタ100が備える複数の現像装置として図1に示すような現像装置3を使用することにより、一つの現像装置3の横寸法が図13に示した従来のものよりも小さくできるので、プリンタ100の水平方向の小型化を図ることができる。また、本実施形態の現像装置3(K,M,Y,C)は上述したように、剤離し領域γ、剤汲み上げ領域η、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305、仕切板306などを具備した構成としているので、狙いの帯電量を持ったトナーが現像に用いられることとなり、高画質を得ることができる。また、現像領域αを通過した現像剤320が、すぐに、再度の現像に用いられることが無いため、現像剤320の劣化を抑制できで、現像剤320の性能を長期にわたり安定して維持することが可能であるため、高寿命、高耐久な現像装置を提供することができる。このような利益はタンデム式のフルカラー画像形成装置に特有のもとではなく、単色の画像形成装置においても得ることができることはもちろんである。
【0053】
次に、本発明の現像装置3の特徴部について説明する。
図1に示すように、現像装置3は、現像領域αに対して現像スリーブ302cの回転方向下流側、且つ、汲み上げ領域ηとなる現像剤貯留スペースεとの対向部に対して現像スリーブ302cの回転方向上流側の位置となるケーシング対向極MP2との対向部となるケーシング301の内壁に接地した導電性部材である導電性接地部材50を配置している。図1に示す導電性接地部材50は、非磁性の金属部材であり、現像ローラ302の回転軸方向に平行に延在する円柱状の金属棒である。
【0054】
ここで、導電性接地部材50を備えない従来の現像装置で生じていた課題である、「濃度ムラ」や「画像先端濃い」という現象について説明する。
まず、これらの現象の原因となるスリーブ汚れについて説明する。現像スリーブ302cが現像剤320を搬送するときに現像剤320は現像スリーブ302cに対して動きながら搬送される。つまり現像スリーブ302c表面上における磁束密度が、現像スリーブ302cの表面に対して垂直方向に向いているときは現像剤320が穂立ちし、磁束密度が接線方向に向いているときは現像剤320が寝た状態となる。この繰り返しにより現像剤320は搬送されているので、穂立ち状態から寝た状態への変化、または、寝た状態から穂立ち状態への変化などのタイミングで現像剤320に衝撃が加わる。この衝撃により、トナーがキャリアから離れて現像スリーブ302cの表面に付着することがあり、これがスリーブ汚れとなる。
【0055】
トナーは現像スリーブ302cに受け渡される前のキャリアとの摩擦帯電によってマイナス極性の電荷を帯びており、当然、現像スリーブ302cの表面に付着したトナーもマイナス極性の電荷を帯びている。
図14は、表面の一部にスリーブ汚れが生じた現像スリーブ302cと感光体1との対向部を模式的に示す説明図である。
図14に示す状態では、現像スリーブ302cの表面の端部側にトナーTが付着しており、この付着したトナーTの持つマイナス電荷によって、見かけ上の現像スリーブ302cの電位がマイナス極性に大きくなる。これにより、現像剤320と感光体1とが接触する現像領域αのうち現像スリーブ302cの表面にトナーが付着した図14中の領域1Aでは、所望の現像電界よりも電界が強くなる。一方、現像スリーブ302cの表面にトナーが付着していない図14中の領域1Bでは、所望の現像電界となっている。
【0056】
このような現像スリーブ302cの電位上昇によって、所望の現像バイアスに現像スリーブ302cに付着したトナーTの電位分、実行現像バイアスが大きくなるため、現像スリーブ302cにトナーが付着している部分では狙いよりも現像されるトナーTの量が多くなる。よって、スリーブ汚れが生じた状態では、現像スリーブ302cの表面上にトナーTが付着している部分と付着していない部分とで濃度ムラが生じる。
【0057】
ここで、現像スリーブ302cの表面にトナーTが付着している部分(領域1A)が現像領域αを通過し、この部分の現像剤320を用いて現像が行われると、現像バイアスによって現像スリーブ302cの表面に付着したトナーTにも感光体1に向かう方向の力が働く。これにより、領域1Aに対応する現像スリーブ302cの表面上からトナーTが離脱し、領域1Bと同様の状態となる。
このため、スリーブ汚れが発生した状態でベタ画像を作像すると、現像スリーブ302cの回転を始め、感光体1へのベタ画像の現像動作を始めてから現像スリーブ302c一周分のみ、画像が濃くなる濃度ムラの一種の現象が発生した。以下、この現象を「画像先端濃い」と呼ぶ。図15は、「画像先端濃い」が発生した画像のイメージ図である。図15に示すように、スリーブ汚れが発生した状態で、全ベタを出力した場合は、画像先端の現像スリーブ302cの一周分だけ画像濃度が濃くなり、二周目以降は画像濃度が薄くなる(狙いの濃度になる)。
【0058】
上述したようなスリーブ汚れに起因する濃度ムラの発生を抑制するには、現像スリーブ302cの表面に付着した状態となるトナーの量を少なくすることが求められる。
特許文献1に記載の現像装置では磁極間に現像剤の一部を滞留させる滞留部材を設けている。しかしこの発明では攪拌するときに現像スリーブへのトナー付着が行われるが、電界によってスリーブへのトナー付着を抑制する効果は無い。
一方、本実施形態の現像装置3では、導電性接地部材50を設けることにより、現像スリーブ302cの表面に付着した状態となるトナーの量を少なくしている。
以下、その原理について図9を用いて説明する。
【0059】
図9は、本実施形態の現像装置3における現像スリーブ302cと導電性接地部材50との対向部を模式的に示す説明図である。
導電性接地部材50は接地されており、現像スリーブ302cにはマイナス極性の現像バイアスが印加されている。したがって現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間に電界が形成され、この電界はマイナスに帯電したトナーTが導電性接地部材50に動く方向に形成される。この電界により現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間に存在するトナーTは導電性接地部材50の方向へと移動する。
このとき、現像剤320としてキャリアに付着していたトナーT2は導電性接地部材50に付着し、現像スリーブ302cの表面に付着していたトナーT1は現像スリーブ302cの表面から離れ、現像剤320内に取り込まれる。
【0060】
このように、現像スリーブ302cに付着していたトナーTは、現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間の電界により現像スリーブ302cから離れる。これにより、濃度ムラの原因となっていたトナーTが現像スリーブ302cの表面から離れるため、濃度ムラ(ベタ画像の場合は「画像先端濃い」)の発生を抑制することが出来る。
【0061】
上述したように、現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間に形成される電界によって導電性接地部材50にマイナス極性に帯電したトナーTが付着する。導電性接地部材50にトナーTが付着し続けると、付着したトナーTにより導電性接地部材50表面にマイナス電荷が貯まるため、現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間の電界は弱くなる。そして導電性接地部材50に付着したトナーTによって現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間に電界が形成されなくなるとトナーTの移動は無くなる。
【0062】
このような問題を解決可能な構成として、本実施形態の現像装置3では、ケーシング対向極MP2との対向部となるケーシング301の内壁に導電性接地部材50を配置し、導電性接地部材50の表面に、ケーシング対向極MP2によって形成される磁気ブラシが接触する構成となっている。
このような構成により、導電性接地部材50の周りには磁気ブラシを形成する現像剤320があり、しかもこの現像剤320は現像スリーブ302cの表面移動によって動いている。動いている現像剤320中のキャリアはプラスに帯電しており、さらに、導電性接地部材50と接触する際に導電性接地部材50に付着したトナーTと摩擦帯電することによって、導電性接地部材50に付着しているトナーを現像剤320で掻き取ることができる。これにより、導電性接地部材50に付着するトナーTには入れ替わりが発生するため、現像装置3では、現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間の電界がなくなることは無い。
【0063】
ここで、導電性接地部材50に付着しているトナーを現像剤320で掻き取るためには、導電性接地部材50が非磁性であることが望ましい。導電性接地部材50が磁性物質の場合、マグネットローラ302dが発生させる磁界によって導電性接地部材50が磁化してしまう。導電性接地部材50が磁化すると、その周りに存在する現像剤320中に含まれるキャリアを導電性接地部材50が吸着してしまい、導電性接地部材50の周りの現像剤320が動かなくなってしまう。導電性接地部材50の周りの現像剤320が動くことによって導電性接地部材50に付着したトナーTを剥ぎ取る効果があるため、導電性接地部材50の周りの現像剤320が動かなくなると、導電性接地部材50に付着するトナーTの入れ替わりが無くなり、現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間の電界がなくなるおそれがある。
【0064】
また、導電性接地部材50の配置としては、現像剤320の中にあることが求められる。導電性接地部材50が現像剤320中に無くても現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間に最初は電界が形成される。しかし、導電性接地部材50が現像剤320中にないと、導電性接地部材50に付着したトナーTを剥ぎ取るものがないため、現像スリーブ302cと導電性接地部材50との電界が0になる状態まで導電性接地部材50にトナーTが付着し続けてしまう。この状態になると現像スリーブ302cに付着したトナーTを電界によって離す効果が無くなるため、「画像先端濃い」等の濃度ムラを抑制しきれなくなる。
【0065】
例えば、現像剤規制部材303は非磁性金属部材(非磁性の導電性部材)でできている。しかし、現像剤規制部材303を接地したとしても、現像剤320に触れていない部分(図1中における現像剤規制部材303の左側面部分)もあるため、この部分にトナーTが付着して堆積してしまう。このため、現像剤規制部材303を接地したとしても、「画像先端濃い」等の濃度ムラを抑制する構成としては不十分である。本実施形態の現像装置3では、現像剤規制部材303をフロートの状態で使用している。
また、本実施形態の現像装置3では、導電性接地部材50として非磁性金属物質であるSUS303を用いているが、非磁性の導電性物質であればこの限りではない。
【0066】
図10は、導電性接地部材50の有無による「画像先端濃い」のレベルを比較したグラフである。図10のグラフの縦軸は、ベタ画像における現像スリーブ一周目の画像濃度と二周目の画像濃度との濃度差を表している。この値が小さいほど「画像先端濃い」のレベルは良好であることを示している。なお、画像濃度は反射分光濃度計「X−rite938」による画像濃度測定値である。図10のグラフより、導電性接地部材50を設けることによって、「画像先端濃い」のレベルが改善していることがわかる。
【0067】
導電性接地部材50と現像スリーブ302cとの最近接距離は、現像スリーブ302cと感光体1との最近接距離よりも遠くすることが望ましい。これは、以下の理由による。
すなわち、現像スリーブ302cと感光体1との間に形成される電界よりも現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間に形成される電界の方が強くなると、現像スリーブ302cと導電性接地部材50との間でリークが発生する場合があるためである。リークが発生すると現像スリーブ302cの電位が落ち、感光体1上の潜像に対する現像が不安定となってしまう。よって、導電性接地部材50と現像スリーブ302cとの最近接距離は、現像スリーブ302cと感光体1との最近接距離よりも遠くすることが望ましい。
【0068】
また、導電性接地部材50と現像スリーブ302cとの最近接距離が短すぎると現像剤320が通過するスペースが無くなり、現像剤320がケーシング301の外に出てしまう剤漏れという問題が発生してしまう。このような理由からも、導電性接地部材50と現像スリーブ302cとの最近接距離は、現像スリーブ302cと感光体1との最近接距離よりも遠くすることが望ましい。
【0069】
また、本実施形態の現像装置3が導電性接地部材50を配置したケーシング対向極MP2との対向部は、現像領域αに対して現像スリーブ302cの回転方向下流側であって、剤離し領域γよりも回転方向上流側である。このため、導電性接地部材50との対向部で現像スリーブ302cの表面から現像剤320内に移動したトナーは、剤離し領域γで現像剤320に含有した状態で、現像スリーブ302cから離れる。これにより、現像スリーブ302cの表面に付着していたトナーを現像スリーブ302cから分離することができる。その後、汲み上げ領域ηで現像剤貯留スペースε内の現像剤320が現像スリーブ302cの表面に担持されることで、スリーブ汚れのない現像スリーブ302cの表面に現像剤320を供給できるため、スリーブ汚れに起因する濃度ムラをより確実に抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態の現像装置3では、磁界発生手段であるマグネットローラ302dが形成する磁極MPが三つの構成である。磁界発生手段が形成する磁極の数としては三極に限るものではなく、五極など複数の磁極を備え、少なくとも現像領域で磁気ブラシを形成する現像磁極を備え、汲み上げ部と剤離れ部とを形成することが出来る構成であればよい。
【0071】
〔変形例1〕
次に、本発明を適用した現像装置3の一つ目の変形例(以下、変形例1と呼ぶ)について説明する。
図11は、変形例1の現像装置3の概略構成と感光体1とを示す説明図である。
図11に示す現像装置3は、導電性接地部材50として、ケーシング301の内壁面の現像スリーブ302cに対向する位置に金属板を貼り付けた構成である。導電性接地部材50としては、図1に示すように金属棒を配置してもよいが、図11に示すように、金属板を配置した構成であっても同様の効果を得ることが出来る。
【0072】
〔変形例2〕
次に、本発明を適用した現像装置3の二つ目の変形例(以下、変形例2と呼ぶ)について説明する。
図12は、変形例2の現像装置3の概略構成と感光体1とを示す説明図である。
変形例2の現像装置3は、図13に示す装置が水平方向に大きくなる従来の現像装置3に本発明の特徴部である導電性接地部材50を配置する構成を適用したものである。
【0073】
変形例2の現像装置3では、実施形態の現像装置3や変形例1の現像装置3のように、現像ローラ302に供給する現像剤320の収容部と、現像ローラ302から回収した現像剤320の収容とを分けていないため、現像ローラ302の回転軸方向の濃度ムラを抑制することが出来ない。また、二つの現像剤攪拌搬送部材を水平方向に配置しているため、現像装置3の水平方向の省スペース化を図ることは出来ない。しかし、現像領域αに対して現像ローラ302の表面移動方向下流側、且つ、汲み上げ領域ηに対して表面移動方向上流側、さらには、剤離し領域γに対して表面移動方向上流側の位置に、導電性接地部材50を配置することで、スリーブ汚れに起因する濃度ムラを抑制することができる。
【0074】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
〔態様A〕
トナーと磁性キャリアとからなる現像剤320等の二成分の現像剤を無端移動する表面上に担持して、潜像担持体に対向する現像領域で潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像ローラ302等の現像剤担持体と、現像剤担持体に供給する現像剤を収容する供給室304a及び回収室305a等の現像剤収容部と、を有し、現像剤担持体は、無端移動する現像スリーブ302c等の表面部材の内側に複数の磁極を有するマグネットローラ302d等の磁界発生手段を内包し、磁界発生手段によって発生する磁界によって、現像剤収容部から供給される現像剤を現像剤担持体表面上に汲み上げる汲み上げ領域η等の汲み上げ部と、現像領域α等の現像領域を通過した後の現像剤を現像剤担持体表面から離脱させる剤離し領域γ等の剤離れ部とが形成され、表面部材にはトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加された現像装置3等の現像装置において、現像領域に対して現像剤担持体の表面移動方向下流側、且つ、汲み上げ部に対して現像剤担持体の表面移動方向上流側の位置となる現像剤担持体の表面近傍の現像剤に接触する位置に、接地した導電性接地部材50等の導電性部材を配置している。これによれば、上記実施形態、変形例1及び変形例2について説明したように、スリーブ汚れ等の現像剤担持体表面汚れに起因する濃度ムラの発生を抑制することができる。
〔態様B〕
〔態様A〕において、導電性接地部材50等の導電性部材は、SUS303を含む非磁性金属物質等の非磁性体である。これによれば、上記実施形態について説明したように、導電性部材が磁化してその周辺の現像剤が滞留することを防止し、導電性部材周辺の現像剤の入れ替わりを妨げないことで、現像剤による導電性部材からのトナーの除去を促し、トナーが導電性部材に付着しつづけることに起因する導電性部材と表面部材との間の電界が弱まることを防止することが出来る。
〔態様C〕
〔態様A〕または〔態様B〕において、導電性接地部材50等の導電性部材を、現像領域α等の現像領域に対して現像ローラ302等の現像剤担持体の表面移動方向下流側、且つ、剤離し領域γ等の剤離れ部に対して現像剤担持体の表面移動方向上流側の位置となる現像剤担持体の表面近傍の位置に配置している。これによれば、上記実施形態について説明したように、剤離れ部よりも前で導電性部材に付着したトナーを掻き取った現像剤は、掻き取ったトナーと共に剤離れ部で現像剤担持体から離脱する。これに対して、剤離れ部よりも後に導電性部材を配置すると、塊の状態で導電性部材から掻き取られたトナーが現像領域に搬送され、潜像担持体に受け渡されて異常画像となるおそれがある。〔態様C〕では、導電性部材から掻き取ったトナーに塊の状態が含まれていても、掻き取ったトナーを現像剤と共に剤離れ部で現像剤担持体から離脱させるため、トナーの塊に起因する異常画像の発生を抑制することができる。
〔態様D〕
〔態様C〕において、現像スリーブ302c等の表面部材の表面上には磁界発生手段によって発生する磁界によって現像剤からなる磁気ブラシが形成され、磁気ブラシを形成する現像剤に接触する位置に導電性接地部材50等の導電性部材を配置している。これによれば、上記実施形態について説明したように、磁気ブラシを形成する現像剤は、表面部材が表面移動している間は常に動いているため、現像装置が駆動している間は、導電性部材に接触する現像剤は常に動いている状態となる。導電性部材の周りの現像剤が動くことによって導電性部材に付着したトナーを剥ぎ取る効果があるため、導電性部材の周りの現像剤が動かなくなると、導電性部材に付着するトナーの入れ替わりが無くなり、表面部材と導電性部材との間の電界がなくなるおそれがある。これに対して、〔態様D〕では、導電性部材に接触する現像剤は常に動いている状態となるため、導電性部材に付着するトナーの入れ替わりを維持でき、表面部材と導電性部材との間の電界がなくなることを防止でき、安定的に表面部材上のトナーの除去を行うことができるため、現像剤担持体表面汚れに起因する濃度ムラの発生を安定的に抑制することができる。
〔態様E〕
〔態様C〕または〔態様D〕において、現像剤収容部は、剤汲み上げ領域η等の汲み上げ部で現像ローラ302等の現像剤担持体に現像剤を供給しながら現像剤を搬送する供給室304a等の供給搬送部と、剤離し領域γ等の剤離れ部で現像剤担持体から離脱した現像剤を回収しながら現像剤を搬送する回収室305a等の回収搬送部とを空間的に仕切られた状態で備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、導電性接地部材50等の導電性部材から掻き取られたトナーは、現像剤とともに回収搬送部に回収され、十分に他の現像剤と混ざってから供給搬送部を介して現像剤担持体に供給され、現像領域に搬送される。よって、導電性部材に付着したトナーが撹拌不十分のまま現像領域に搬送されることを防止し、撹拌が不十分なトナーが現像に用いられることに起因する異常画像の発生を防止することが出来る。
〔態様F〕
少なくとも感光体1等の潜像担持体と、潜像担持体表面を帯電させるための帯電装置2等の帯電手段と、潜像担持体上に静電潜像を形成するための露光装置16等の潜像形成手段と、静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有するプリンタ100等の画像形成装置において、現像手段として、〔態様A〕乃至〔態様E〕の何れか一つの態様の現像装置を用いる。これによれば、実施形態、変形例1及び変形例2について説明したように、スリーブ汚れ等の現像剤担持体表面汚れに起因する濃度ムラの発生を抑制することができ、高い画像品質の画像を形成可能な画像形成装置を提供することが出来る。
〔態様G〕
潜像を担持する感光体1等の潜像担持体と、潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備えるプリンタ100等の画像形成装置における少なくとも潜像担持体と現像手段とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して着脱可能にした作像装置17等のプロセスカートリッジにおいて、現像手段として、〔態様A〕乃至〔態様E〕の何れか一つの態様の現像装置を用いる。これによれば、実施形態について説明したように、濃度ムラの発生を抑制することが出来る現像装置の画像形成装置本体に対する交換性を高めることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 感光体
2 帯電装置
3 現像装置
5 転写バイアスローラ
6 クリーニング装置
16 露光装置
17 作像装置
24 定着装置
50 導電性接地部材
100 プリンタ
201 トナー濃度センサ
301 ケーシング
302 現像ローラ
302a 固定軸
302c 現像スリーブ
302d マグネットローラ
302e 回転軸
302f 軸受
302g 現像バイアス用電源
303 現像剤規制部材
304 供給室搬送部材
304a 供給室
305 回収室搬送部材
305a 回収室
306 仕切板
320 現像剤
MP1 現像磁極
MP2 ケーシング対向極
MP3 現像剤規制部材対向極
P 転写紙
α 現像領域
β 転写領域
γ 剤離し領域
ε 現像剤貯留スペース
η 剤汲み上げ領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2007−003864号公報
【特許文献2】特開2010−204639号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーと磁性キャリアとからなる二成分の現像剤を無端移動する表面上に担持して、潜像担持体に対向する現像領域で潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体に供給する現像剤を収容する現像剤収容部と、を有し、
該現像剤担持体は、無端移動する表面部材の内側に複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、該磁界発生手段によって発生する磁界によって、該現像剤収容部から供給される現像剤を該現像剤担持体表面上に汲み上げる汲み上げ部と、該現像領域を通過した後の現像剤を該現像剤担持体表面から離脱させる剤離れ部とが形成され、
該表面部材には該トナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加された現像装置において、
上記現像領域に対して上記現像剤担持体の表面移動方向下流側、且つ、上記汲み上げ部に対して該現像剤担持体の表面移動方向上流側の位置となる該現像剤担持体の表面近傍の現像剤に接触する位置に、接地した導電性部材を配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記導電性部材は、非磁性体であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の現像装置において、
上記導電性部材を、上記現像領域に対して上記現像剤担持体の表面移動方向下流側、且つ、上記剤離れ部に対して該現像剤担持体の表面移動方向上流側の位置となる該現像剤担持体の表面近傍の位置に配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項3の現像装置において、
上記表面部材の表面上には磁界発生手段によって発生する磁界によって現像剤からなる磁気ブラシが形成され、
該磁気ブラシを形成する現像剤に接触する位置に上記導電性部材を配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項3または4の現像装置において、
上記現像剤収容部は、上記汲み上げ部で現像剤担持体に現像剤を供給しながら現像剤を搬送する供給搬送部と、上記剤離れ部で現像剤担持体から離脱した現像剤を回収しながら現像剤を搬送する回収搬送部とを空間的に仕切られた状態で備えることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
少なくとも潜像担持体と、
該潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、
該潜像担持体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、
該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、
該現像手段として、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置における少なくとも該潜像担持体と該現像手段とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して着脱可能にしたプロセスカートリッジにおいて、
上記現像手段として、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−83742(P2013−83742A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222566(P2011−222566)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】