説明

現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】省エネルギー化や低コスト化を図ることができる現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】現像装置において、正相用パルス電圧発生回路、逆相用パルス電圧発生回路、パルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源及び第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のトナーの帯電極性と同極性の直流電源である第2の電源からなり、トナーをホッピングさせる電界をトナー担持体上の電極間に発生させるホッピング電界発生手段を有する。そして、パルス発生回路の高電位出力側に接続されるスイッチング素子のONタイミングを、パルス発生回路の低電位側に接続されるスイッチング素子のONタイミングよりも遅くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる現像装置、並びに、その現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー担持体の表面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるホッピング現像方式を採用した画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、周方向に所定のピッチで配設された複数のホッピング電極を具備する筒状のトナー担持体を有している。複数のホッピング電極のうち、偶数番目の配列位置にあるものに対しては、互いに同じA相の繰り返しパルス電圧を印加する一方で、奇数番目の配列位置にあるものに対しては、互いに同じA相とは異なるB相の繰り返しパルス電圧を印加する。これにより、互いに隣り合う2つのホッピング電極の間に交番電界を形成して、前記交番電界によってトナーに対して働く静電気力によりトナーを電極間でホッピングさせる。そして、ホッピングさせたトナーを、像担持体上の潜像に付着させることで現像を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願出願人は、上述したようなホッピング現像方式を採用した現像装置として、特願2009−277640号(以下、「先願」という)に記載の現像装置を提案した。
【0004】
すなわち、複数の電極を有するトナー担持体と、トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、複数の電極にパルス電圧を印加することによって、トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界をトナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって潜像を現像する現像装置において、マイナス極性に帯電したトナーを用いる場合、ホッピング電界発生手段は、正相用のパルス電圧を発生するための正相用パルス発生回路と、逆相用のパルス電圧を発生するための逆相用パルス電圧発生回路と、正相用パルス電圧発生回路と逆相用パルス電圧発生回路とに前記パルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源とからなり、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて第2の電源の出力レベルを変化させるものである。
【0005】
ホッピング電界発生手段としては、正相用パルス電圧発生回路が、第1の電源の端子間にスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2及び電流規制抵抗R1,R2を直列で接続したものであり、また、それとは並列で逆相用パルス電圧発生回路が、第1の電源の端子間にスイッチング素子Q3、スイッチング素子Q4及び電流規制抵抗R3,R4を直列で接続したものであり、トナー担持体に設けられた複数の電極の内の一方の電極群をスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間に接続し、他方の電極群をスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間に接続したブリッジ構成とし、正相のパルス電圧を印加する場合はスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにし、逆相のパルス電圧を印加する場合はスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とをONにする構成のものが用いられている。
【0006】
ここで、正相のパルス電圧を印加する場合に、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにし、トナー担持体に設けられた複数の電極の内の正相用パルス電圧回路側の電極群の電位が500[V]で、前記複数の電極の内の逆相用パルス電圧回路側の電極群の電位が0[V]で、前記複数の電極で形成されるコンデンサが充電されるとする。そして、その後、逆相のパルス電圧を印加するために、スイッチング素子Q2をOFFからONにした瞬間、前記複数の電極の内の正相用パルス電圧回路側の電極群から、電流規制抵抗R2、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q4のボディーダイオード、電流規制抵抗R4、前記複数の電極の内の逆相用パルス電圧回路側の電極群へ順に電流が流れるような閉ループが構成され、前記コンデンサの放電が開始する。
【0007】
すなわち、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにして上述したように前記コンデンサが充電された状態から、スイッチング素子Q2をONすると、前記コンデンサにかかる電圧を電流規制抵抗R2と電流規制抵抗R4との双方で分圧することになる。電流規制抵抗R2=電流規制抵抗R4とすると、電流規制抵抗R2と電流規制抵抗R4とに250[V]ずつ均等に電圧がかかり、電流規制抵抗R2と電流規制抵抗R4との中点には250[V]の電位が発生するが、この中点が0[V]にクランプされているため電位的に一気に前記コンデンサを構成する正相用パルス電圧側の前記電極群の電位が500[V]から250[V]に下降する。また前記コンデンサを構成する逆相用パルス電圧側の前記電極群の電位が0[V]から−250[V]に下降する。その後、時間の経過とともに、前記コンデンサを構成する正相用パルス電圧側の前記電極群の電位は250[V]から0[V]へ、コンデンサを構成する逆相用パルス電圧側の前記電極群の電位は−250[V]から0[V]へ、と放電を行いつつ遷移していく。
【0008】
また、スイッチング素子Q3をONすることで、前記コンデンサを構成する正相用パルス電圧回路側の電極群の電位が0[V]で、前記コンデンサを構成する逆相用パルス電圧回路側の電極群の電位が500[V]で、前記コンデンサが充電される。
【0009】
しかしながら、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とをOFFからONにすることで、上述したような放電と充電とが同じタイミングで行なわれる。そのため、前記コンデンサを構成する逆相用パルス電圧回路側の電極群は、上述したような放電によって一旦0[V]から−250[V]に電位が下降し、−250[V]から500[V]へ充電されることになる。よって、本来0[V]から500[V]へ充電すれば良いところ、充電開始時の電位が−250[V]と低くなった分、充電電流が増加することになり、充電にかかる消費電流が増加して近年進められている省エネルギー化を図るのが困難となる。また、スイッチング素子の耐圧を上げる必要があり、高耐圧のスイッチング素子を用いることで現像装置のコストアップに繋がってしまう。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、省エネルギー化や低コスト化を図ることができる現像装置、並びに、その現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の電極を有するトナー担持体と、該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、上記ホッピング電界発生手段は、正相用のパルス電圧を発生するための正相用パルス電圧発生回路と、逆相用のパルス電圧を発生するための逆相用パルス電圧発生回路と、該正相用パルス電圧発生回路と該逆相用パルス電圧発生回路とに前記パルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のトナーの帯電極性と同極性の直流電源である第2の電源とからなり、上記正相用パルス電圧発生回路が、上記第1の電源の端子間の高電位出力側に第1のスイッチング素子、低電位出力側に第2のスイッチング素子、及び、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間に電流規制抵抗を直列で接続したものであり、また、それとは並列で上記逆相用パルス発生回路が、前記第1の電源の端子間の高電位出力側に第3のスイッチング素子、低電位出力側に第4のスイッチング素子、及び、前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に電流規制抵抗を直列で接続したものであり、上記トナー担持体に設けられた上記複数の電極の内の一方の電極群を前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間に接続し、他方の電極群を前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に接続したブリッジ構成とし、正相のパルス電圧を印加する場合は前記第1のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子とをONにし、逆相のパルス電圧を印加する場合は前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子とをONにして、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、前記第1のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子とをONにする際は、前記第4のスイッチング素子をONにした後、所定タイミング遅延後に前記第1のスイッチング素子をONにし、前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子とをONにする際は、前記第2のスイッチング素子をONにした後、所定タイミング遅延後に前記第3のスイッチング素子をONにする、ことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記第1の電源は上記バイアスの出力レベル可変に構成されており、前記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させてパルス電圧の波高値を制御することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の現像装置において、上記第1のスイッチング素子及び上記第3のスイッチング素子それぞれにONタイミング遅延手段を設け、前記ONタイミング遅延手段は、上記第1のスイッチング素子及び上記第3のスイッチング素子それぞれのONタイミングを、上記所定タイミング遅延時間として上記一方の電極群と上記他方の電極群とで構成されるコンデンサの放電時定数の少なくとも2〜3倍の時間、上記第2のスイッチング素子や上記第4のスイッチング素子をONした時から遅延させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記像担持体上の画像の画像濃度を検出する画像濃度検出手段を有しており、前記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、請求項4のプロセスカートリッジを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記プロセスカートリッジを複数備えたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明においては、第4のスイッチング素子をONにした後、所定タイミング遅延後に第1のスイッチング素子をONにしたり、第2のスイッチング素子をONにした後、所定タイミング遅延後に第3のスイッチング素子をONにしたりする。すなわち、正相用パルス発生回路や逆相用パルス発生回路の高電位出力側に接続されるスイッチング素子のONタイミングを、正相用パルス発生回路や逆相用パルス発生回路の低電位側に接続されるスイッチング素子のONタイミングよりも遅くしている。これにより、低電位側のスイッチング素子のONによる放電動作中に高電位側のスイッチング素子による充電動作の重畳が避けられる。例えば、前記一方の電極群と前記他方の電極群とで構成されるコンデンサの放電がし終えてから、前記コンデンサの充電を行なうことができる。よって、前記コンデンサの充電にかかる消費電流を低減でき省エネルギー化を図ることができる。また、低電位側に放電電流と充電電流とが重畳した電流が流れるのを抑制することが可能となるので、低電位側のスイッチング素子の耐圧を上げる必要がなく、高耐圧のスイッチング素子を用いることによるコストアップを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明によれば、省エネルギー化や低コスト化を図ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】マイナス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図2】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図3】実施形態に係る複写機における感光体と現像装置とを示す概略構成図。
【図4】(a)トナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図。(b)トナー担持ローラの模式的断面図。
【図5】A相用電極及びB相用電極にそれぞれ印加するA相用電圧とB相用電圧の一例を示すグラフ。
【図6】(a)トナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図。(b)トナー担持ローラの模式的断面図。
【図7】内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフ。
【図8】マイナス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図9】プラス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路を用いた場合の波形図。
【図10】マイナス帯電トナー使用時の概略構成において、電源31並びに電源32の制御方法の例を示した図。。
【図11】各電源からクラウドパルスとバイアス用の電圧が供給されたクラウドパルス発生回路の回路図。
【図12】クラウドパルスのLow側ピーク値(−650[V])一定で、クラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp]、500[Vpp]、600[Vpp]に変化させた場合の波形図。
【図13】(a)クラウドパルスのピーク間電圧400[Vpp]、クラウドパルス−250[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。(b)クラウドパルスのピーク間電圧500[Vpp]、クラウドパルス−150[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。(c)クラウドパルスのピーク間電圧600[Vpp]、クラウドパルス−50[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。
【図14】図13(a)、図13(b)、図13(c)それぞれに対応した現像Gap内のY方向位置の電界強度を示したグラフ。
【図15】クラウドパルスの波高値の平均値(−400[V])を一定で、クラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp](クラウドパルス−200[V]〜−600[V])、500[Vpp](−150[V]〜−650[V])、600[Vpp](−100[V]〜−700[V])に変化させた場合の波形図。
【図16】図15に示した各波形に対応した現像Gap内Y方向位置の電界強度を示したグラフ。
【図17】(a)クラウドパルスのピーク間電圧400[Vpp]、クラウドパルス−250[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。(b)クラウドパルスのピーク間電圧500[Vpp]、クラウドパルス−150[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。(c)クラウドパルスのピーク間電圧600[Vpp]、クラウドパルス−50[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。
【図18】比較例のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図19】図11に示したパルス電圧印加手段の回路のフルブリッジ部を抽出し、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4それぞれに対してボディーダイオードBD1,BD2,BD3,BD4を追記した図。
【図20】パワーMOSFETの内部構成の説明図。
【図21】動作シーケンスのタイミング1おける回路動作にかかる図。
【図22】スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン・オフ動作シーケンス図。
【図23】図22に示したタイミングチャート図のタイミング1における回路動作にかかる回路の部分を抽出した図。
【図24】図22に示した動作シーケンス図のタイミング2における回路動作にかかる図。
【図25】図22に示したタイミングチャート図のタイミング2における回路動作にかかる回路の部分を抽出した図。
【図26】図22に示した動作シーケンス図のタイミング3における回路動作にかかる図。
【図27】図22に示したタイミングチャート図のタイミング3における回路動作にかかる回路の部分を抽出した図。
【図28】図27においてスイッチング素子Q2がONした瞬間に、容量負荷Cの右端側にマイナスヒゲが発生するメカニズムの説明に用いる図。
【図29】(a)200[μs/div]の波形図、(b)図29(a)の中央付近で枠に囲まれた部分を拡大し、図29(a)の波形に対して時間を40倍引き延ばした5[μs/div]の波形図。
【図30】ダイオードD5及びダイオードD6を、電源31のLOWレベルと容量負荷Cの両端に挿入した回路図。
【図31】ダイオードD5及びダイオードD6を電源31のLOWレベルと容量負荷Cの両端に挿入していない回路を用いた場合の波形図。
【図32】ダイオードD5及びダイオードD6を電源31のLOWレベルと容量負荷Cの両端に挿入された回路を用いた場合の波形図。
【図33】図22に示した動作シーケンス図のタイミング4における回路動作にかかる図。
【図34】図22に示した動作シーケンス図のタイミング5における回路動作にかかる図。
【図35】遅延回路を設けるとともに、ダイオードD5及びダイオードD6を、電源31のLOWレベルと容量負荷Cの両端に挿入した回路図。
【図36】遅延回路を設けた場合のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン・オフ動作シーケンス図。
【図37】遅延回路を設けるとともに、ダイオードD5及びダイオードD6を、電源31のLOWレベルと容量負荷Cの両端に挿入した回路図。
【図38】スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン・オフ動作シーケンス図。
【図39】遅延回路を設けた場合のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン・オフ動作シーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である複写機について適用した実施形態について説明する。
図2は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、像担持体としてのドラム状の感光体49は、図中時計回り方向に回転駆動される。操作者がコンタクトガラス90に図示しない原稿を装置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源91及びミラー92を具備する第1走査光学系93と、ミラー94,95を具備する第2走査光学系96とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。走査された原稿画像がレンズ97の後方に配設された画像読み取り素子98で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化された後に画像処理される。そして、画像処理後の信号でレーザーダイオード(LD)が駆動され、このレーザーダイオードからのレーザー光がポリゴンミラー99で反射した後、ミラー80を介して感光体49を走査する。この走査に先立って、感光体49は帯電装置50によって一様に帯電され、レーザー光による走査により感光体49の表面に静電潜像が形成される。
【0016】
感光体49の表面に形成された静電潜像には現像装置1の現像処理によってトナーが付着し、これによりトナー像が形成される。このトナー像は、感光体49の回転に伴って、転写チャージャー60との対向位置である転写位置に搬送される。この転写位置に対しては、感光体49上のトナー像と同期するように、第1給紙コロ70aを具備する第1給紙部70、又は第2給紙コロ71aを具備する第2給紙部71から記録紙Pが送り込まれる。そして、感光体49上のトナー像は、転写チャージャー60のコロナ放電によって記録紙P上に転写される。
【0017】
このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、分離チャージャー61のコロナ放電によって感光体49表面から分離され、その後、搬送ベルト75によって定着装置76に向けて搬送される。そして、定着装置76内において、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ76aと、これに向けて押圧される加圧ローラ76bとの当接による定着ニップに挟み込まれる。その後、定着ニップ内での加圧や加熱によってトナー像が表面に定着せしめられた後、機外の排紙トレイ77に向けて排紙される。
【0018】
上述の転写位置を通過した感光体49表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置45によって感光体49表面から除去される。このようにしてクリーニング処理が施された感光体49表面は、除電ランプ44によって除電されて次の潜像形成に備えられる。
【0019】
また、現像装置1と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45とを、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして一体でユニット化している。これにより、現像装置1などのメンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0020】
図3は、実施形態に係る複写機における感光体49と現像装置1とを示す概略構成図である。同図において、ドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中右側方には、現像剤担持体であるトナー担持ローラ101を有する現像装置1が配設されている。
【0021】
現像装置1は、トナー担持ローラ101の他、トナー供給ローラ18やトナー摩擦ブレード22を有している。表面がスポンジからなるトナー供給ローラ18は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、現像装置1内に収容されているトナーをローラ表面に担持する。同図では、トナー供給ローラ18の回転方向として、トナー担持ローラ101との対向部で表面をトナー担持ローラ101とは逆方向に移動させる方向に設定した例を示した。これとは逆に、前記対向部で表面をトナー担持ローラ101と同じ方向に移動させる方向に設定してもよい。
【0022】
トナー供給ローラ18の金属からなる回転軸部材には、供給バイアス電源24によって供給バイアスが印加される。一方、トナー担持ローラ101には、後述するA相用電極やB相電極が複数形成されており、それら電極にはパルス電圧印加手段30によって繰り返しのパルス電圧が印加される。これらパルス電圧の平均値は、前述した供給バイアスよりも、トナーの帯電極性とは逆極性側に大きな値になっている。これにより、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ101との間には、トナーを前者から後者に静電移動させる電界が形成される。
【0023】
トナー供給ローラ18の表面に担持されたトナーは、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ101との当接部において、トナー供給ローラ18からトナー担持ローラ101に供給される。このときの供給量については、供給バイアスの大きさによって調整することが可能である。なお、供給バイアスは、直流電圧であっても、交流電圧であっても、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスであってもよい。
【0024】
トナー担持ローラ101の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ101の図中反時計回り方向の回転に伴って周回移動する。トナー担持ローラ101の表面において、トナー供給ローラ18との当接部を通過してから、感光体49に対向する現像領域に進入する前の箇所には、片持ち支持されるトナー摩擦ブレード22の自由端側が当接している。トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ101の回転に伴って全体的に図中反時計回り方向に移動するトナーは、トナー担持ローラ101とトナー摩擦ブレード22との間に進入すると、トナー担持ローラ101の表面やトナー摩擦ブレード22の表面に擦り付けられる。これにより、摩擦帯電が促される。その後、トナー担持ローラ101の回転に伴ってトナー担持ローラ101とトナー摩擦ブレード22との当接部を抜けると、再びトナー担持ローラ101の表面上でトナーがホッピングしながら、現像領域へと搬送される。
【0025】
トナー担持ローラ101は、現像装置1のケーシング11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ101と感光体49とが対向している位置が、本複写機における現像領域となっている。トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ101と感光体49上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像に寄与しなかったトナーは、ホッピングしながらトナー担持ローラ101の回転によってさらに搬送されて、繰り返し利用される。
【0026】
なお、トナー摩擦ブレード22をトナー担持ローラ101の代わりにトナー供給ローラ18に当接させて、トナー供給ローラ18の表面上でトナー摩擦ブレード22によるトナー摩擦帯電を促すようにしてもよい。
【0027】
次に、トナー担持ローラ101の一例について図4を参照して説明する。なお、図4(a)はトナー担持ローラ101を展開した状態で示す模式的平面図であり、図4(b)はトナー担持ローラ101の模式的断面図である。
【0028】
この例は、トナー担持体表面に複数の電極を設け、1本おきの2組を共通にした2相用電極を備え、180[°]位相の異なる2相パルス(図5参照)を印加して、隣接電極同士で吸引と反発を繰り返す2相電界を形成するトナー担持体の例である。
【0029】
このトナー担持ローラ101は、絶縁性基板101Aの表面上に複数の電極111としてA相用電極111Aと、B相用電極111Bとを設け、その上に表面保護層101Bを設けたものである。櫛歯状のA相用電極111A,B相用電極111Bは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設け、両サイドには共通のバスライン111Aa,111Baで外部の図示しない2相パルス出力回路にそれぞれ接続されている。
【0030】
A相用電極111A、B相用電極111Bに印加するパルス電圧は、周波数が0.3[kHz]〜2[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧であるが、その波高値は300[V]〜600[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する。この2相電界の場合は、隣接するA相用電極111AとB相用電極111Bとの間で生じる電界の電界方向の切り替わりに応じてトナーの反発飛翔と吸引飛翔とを繰り返し、トナーは相互の電極間を往復移動する。
【0031】
次に、A相用電極111A及びB相用電極111Bに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ101上のA相用電極111A及びB相用電極111Bには、パルス電圧印加手段30からA相用電圧及びB相電圧が印加される。パルス電圧印加手段30が印加するA相用電圧及びB相電圧は、矩形波が最も適している。また、本複写機では、クラウド用電極を形成するための電極がA相用電極111A及びB相用電極111Bの2相構成であり、各電極111A,111Bには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0032】
図5は、A相用電極111A及びB相用電極111Bにそれぞれ印加するA相用電圧とB相用電圧の一例を示すグラフである。本複写機において、各電圧は矩形波であり、A相用電極111AとB相用電極111Bにそれぞれ印加されるA相用電圧とB相用電圧とは、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、A相用電極111AとB相用電極111Bとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるクラウド用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。
【0033】
このように、トナー担持ローラ表面のトナーを飛翔させてクラウド化する手段が、トナー担持ローラ表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で配設された複数の電極を有し、各電極に印加する電圧は隣接電極相互の間でトナーを吸引する方向と反発する方向とを交互に繰り返す関係の電圧を印加し、トナー担持ローラ101が回転移動することでトナーの搬送とクラウド化を行う構成とすることで、トナー担持ローラ表面のトナーの搬送に関して、トナーの帯電品質に左右されない安定なトナーの搬送が可能となり、装置全体としても信頼性の高い複写機を実現できる。
【0034】
次に、本実施形態に係る現像装置に用いられるトナー担持ローラ2の他の例について図6を用いて説明する。なお、図6(a)はトナー担持ローラ2を展開した状態で示す模式的平面図、図6(b)はトナー担持ローラ2の模式的断面図である。
【0035】
この例は、トナー担持ローラ表面に複数の電極を設け、表層側の各電極を共通とし、絶縁層を介して下層に設けた導体基材電極との間に180[°]位相の異なる2相パルス(図5参照)を印加して、表層側電極と下層導体基材電極相互の電界で吸引と反発とを繰り返すトナー担持ローラの例である。
【0036】
本実施形態のトナー担持ローラ2は、中空状のローラ部材で構成されており、その最内周に位置する最内周電極部材又は内周側電極部材としての内側電極3aと、最外周側に位置していて内側電極3aへ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される最外周電極部材としての外側電極4aとを備えている。また、内側電極3aと外側電極4aとの間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層5が設けられている。また、外側電極4aの外周面側を覆う保護層としての表層6も設けられている。すなわち、本複写機のトナー担持ローラ2は、内周側から順に、内側電極3a、絶縁層5、外側電極4a、表層6の4層構造となっている。
【0037】
内側電極3aは、トナー担持ローラ2の基体としても機能しており、ステンレス鋼(SUS)やアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、内側電極3aの構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。
【0038】
内側電極3aの外周面側は絶縁層5に覆われている。本複写機において、この絶縁層5は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。絶縁層5はスプレー法やディップ法等によって内側電極3a上に均一な膜厚で形成することができる。
【0039】
絶縁層5の上には外側電極4aが形成される。本複写機において、この外側電極4aは、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。外側電極4aの形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層5の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層5の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0040】
外側電極4a及び絶縁層5の外周面側は、表層6により覆われている。表層6の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。表層6は、絶縁層5と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0041】
本実施形態では、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3aの外側電極4aとは対向していない部分(外側電極4aの間に位置する内側電極3aの部分)と外側電極4aの部分との間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3aに絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0042】
次に、内側電極3a及び外側電極4aに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ2上の内側電極3a及び外側電極4aには、パルス電圧印加手段30から内側電圧及び外側電圧が印加される。本実施形態では、外側電極4aは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設けられており、その両サイドには後述する被給電部が設けられており外部の図示しないパルス電圧印加手段30にそれぞれ接続されている。パルス電圧印加手段30が印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。また、本複写機では、クラウド用電極を形成するための電極が内側電極3a及び外側電極4aの2相構成であり、内側電極3aと外側電極4aとには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0043】
図7は、内側電極3a及び外側電極4aにそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
本複写機において、各電圧は矩形波であり、内側電極3aと外側電極4aにそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧とは、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極3aと外側電極4aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるクラウド用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。
【0044】
内側電極3a,外側電極4aに印加するパルス電圧は、周波数が0.3[kHz]〜2[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧であるが、その波高値は300[V]〜600[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する。そして、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3aの外側電極4aとは対向していない部分(外側電極4aの間に位置する内側電極3aの部分)と外側電極4aとの間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3aに絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。また、トナー担持ローラ2全体は、トナーを搬送する方向に回転移動するものである。
【0045】
図1は、パルス電圧印加手段30の構成を示す。電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。電源32は、マイナスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。また、パルス電圧印加手段は、A相パルスを発生するA相パルス発生回路33と、B相パルスを発生するB相パルス発生回路34と、からなる2相パルス出力回路37を有している。
【0046】
例えば、電源31の出力が500[V]とすると、High側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の上側、Low側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の下側に接続、同時にLow側は電源32のマイナスHigh側に接続されている。電源32は、マイナス帯電トナーを利用する場合の現像バイアスは潜像電位に対してマイナス電位であるから、ここでは例えば−650[V]とすると、電源31のLow側は−650[V]の電位となる。従って、電源31の電圧500[V]が供給された各パルス発生回路で生成されるパルス波形は、波高値−650[V]〜−150[V]のクラウドパルスを発生することになる(図8参照)。
【0047】
ここで、画像形成動作時の環境が高湿度環境であると、トナーの液架橋力が大きくなってトナーとトナー担持体表面との間で作用する付着力が大きくなったり、トナーの帯電効率が下がるためトナーの帯電量が低下しトナーに対して働くクラウド用電界による静電気力が小さくなったりする。そのため、トナー担持ローラ101上でトナーがホッピングし難くなり、感光体49上の潜像に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなる。一方、低湿度環境であると、トナーの液架橋力が小さくなってトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が小さくなったり、トナーの帯電効率が上がるためトナーの帯電量が上昇しトナーに対して働くクラウド用電界による静電気力が大きくなったりする。そのため、トナー担持ローラ101上でトナーが勢い良く高くホッピングし過ぎて、感光体49上の潜像に付着するトナーが多くなって画像濃度が高くなる。このように、ホッピング現像方式を採用した現像装置では、画像形成動作時の環境によって感光体49上に形成された画像の濃度が変動する。
【0048】
そのため、本実施形態では、電源32を出力レベル可変のDC電源とし、感光体49上に現像したテストパタンの画像濃度を画像濃度検知センサー65で検知して、その濃度基準レベルに対する判定を画像濃度制御回路66で行ない、画像濃度が低い場合は画像濃度制御回路66によって電源32のDC出力レベルをマイナス側に高くして潜像電位に対する現像バイアスを強くする制御を行ない、画像濃度を一定にする制御を行う。また、画像濃度が基準より高い場合は画像濃度制御回路66によって電源32のDC出力レベルをマイナス側よりに低くして潜像電位に対する現像バイアスを弱くする制御を行ない、画像濃度を一定にする制御を行う。
【0049】
図9は、プラス帯電トナーを使用する場合のパルス電圧印加手段30の構成を示す。電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。電源32は、プラスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。
【0050】
ここで、例えば電源31の出力が500[V]とすると、High側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の上側、Low側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の下側に接続、同時にLow側は電源32のマイナスHigh側に接続されている。電源32は、プラス帯電トナーを利用する場合の現像バイアスは潜像電位に対してプラス電位であるから、ここでは例えば150[V]とすると、電源31のLow側は150[V]の電位となる。従って、電源31の電圧500[V]が供給された各パルス発生回路で生成されるパルス波形は、波高値650[V]〜150[V]のクラウドパルスを発生することになる。
【0051】
次に、図10は図1における電源31を出力レベル可変のDC電源の構成とし、クラウドパルスの波高値を制御する例を示したものである。電源31の出力を可変して、そのレベルに応じたクラウドパルス出力が可能であるが、電源32の出力が固定であればクラウドパルスの低電位側は固定のままは高値のみを可変できる。例えば、トナー担持ローラ101の経時使用による劣化を画像形成枚数などから経時センサー40によって検知し、その検知結果に基づいてクラウドパルス制御回路67により電源31の出力レベルを下げてクラウドパルスの波高値を低くし、トナーのクラウド量が適切になるように制御を行なうことで、トナー担持ローラ101の経時劣化に対する画像濃度制御が容易となり、高画質、高信頼性の現像が可能となる。
【0052】
図11は、パルス電圧印加手段30の具体的な回路例を示す。このパルス電圧印加手段30では、A相パルス発生回路33に対してDC出力の電源31端子の間にシリーズに接続した2個のスイッチング素子としてMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect−Transistor)からなるスイッチング素子Q1,Q2および電流規制抵抗R1,R2を設け、B相パルス発生回路34に対して同様に接続した2個のスイッチング素子であるMOSFETからなるスイッチング素子Q3,Q4および電流規制抵抗R3,R4を設け、トナー担持ローラ101の一方の電極群を2個のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間、ここでは電流規制抵抗R1と電流規制抵抗R2との間に接続し、他方の電極群を残り2個のスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間、ここでは電流規制抵抗R3と電流規制抵抗R4との間に接続した、容量負荷(電極負荷容量)を有するブリッジ構成とし、正相(本実施形態ではA相パルス)のクラウドパルスを印加する場合はスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにし、逆相(本実施形態ではB相パルス)のクラウドパルスを印加する場合はスイッチング素子Q2とスイッチングQ3とをONする構成である。これによって、トナー担持ローラ表面のトナーは2つの電極群の間で飛翔を繰り返してクラウド状態となる。
【0053】
なお、本実施形態では、MOSFETを駆動するためのドライブ回路は15[V]の低圧パルスを生成した後、スイッチング素子Q1のゲート信号はC1,D1,R5からなるクランプ回路35によって15[V]パルスのHigh側は電源31のHighレベルにクランプされる。具体的には、電源31が500[V]、電源32が−650[V]の場合は、スイッチング素子Q1のゲート信号は−150[V]〜−135[V]のパルスとなり、Low期間にスイッチング素子Q1はONすることになる。
【0054】
また、スイッチング素子Q2のゲート信号はコンデンサC2,ダイオードD2,電流規制抵抗R6からなるクランプ回路35によって15[V]パルスのLow側は電源31のLowレベルにクランプされる。具体的には、電源31が500[V]、電源32が−650[V]の場合は、スイッチング素子Q2のゲート信号は−650[V]〜−635[V]のパルスとなり、High期間にスイッチング素子Q2はONすることになる。
【0055】
同様に、逆相であるB相パルス側も180[°]位相が遅れたタイミングで、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とが動作する。
【0056】
図12は、クラウドパルスのLow側ピーク値(−650[V])一定で、クラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp]、500[Vpp]、600[Vpp]に変化させた場合の波形図である。
【0057】
図13(a)は、クラウドパルスのピーク間電圧400[Vpp]、クラウドパルス−250[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラ101と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。図13(b)は、クラウドパルスのピーク間電圧500[Vpp]、クラウドパルス−150[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラ101と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。図13(c)は、クラウドパルスのピーク間電圧600[Vpp]、クラウドパルス−50[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラ101と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。
【0058】
ここで、トナー担持ローラ101のクラウド電極には、幅100[μm]、間隔100[μm]でA相用(正相用)、B相用(逆相用)が交互に配置されている。トナー担持ローラ101に対向して配置した感光体表面の画像情報に応じて露光された潜像部の潜像幅は、0.2[mm]幅であり、感光体表面のその他は地肌部である。地肌部の帯電電位は−600[V]であり、潜像部の帯電電位は−70[V]である。トナー担持ローラ101の表面と感光体49の表面との間隔である現像Gapは0.3[mm]である。なお、図13に示された電気力線は、トナー担持ローラ101のクラウド電極表面から上方20[μm]位置を横切る電気力線をプロットしたものであり、トナー担持ローラ101のクラウド電極表面から上方20[μm]の位置を横切らないその他の電気力線は省略している。
【0059】
図14は、図13(a)、図13(b)、図13(c)それぞれに対応した現像Gap内のY方向位置の電界強度を示したものであり、電位差が最も大きい、潜像の中央部とクラウドパルスの低電位が印加された電極中央部とを結ぶY方向位置の電界強度を示している。
【0060】
クラウドパルスのLow側ピーク値(−650[V])一定でクラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp]、500[Vpp]、600[Vpp]に変化させた場合は、図14からわかるように、クラウド電極面近傍(トナー担持ローラ電極面近傍)はクラウドパルスのピーク値が大きい方が小さい方よりも電界強度は強いが、感光体表面近傍の電界強度は逆にクラウドパルスピーク値が大きい方が小さい方よりも電界強度が弱いため、現像結果としてほぼ一定の画像濃度となる。よって、クラウドパルスのピーク値を変化しても画像濃度を一定とするためには、トナーの飛翔特性に寄与が大きい、クラウド電極に印加されるトナーを反発させる電圧(クラウドパルスのLow側ピーク値の電圧)を制御すると有効であることがわかる。
【0061】
図15は、クラウドパルスの波高値の平均値(−400[V])を一定で、クラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp](クラウドパルス−200[V]〜−600[V])、500[Vpp](−150[V]〜−650[V])、600[Vpp](−100[V]〜−700[V])に変化させた場合の波形図である。
【0062】
図16は図15に示した各波形に対応した現像Gap内Y方向位置の電界強度を示したものである。クラウドパルスの波高値の平均値を一定にした場合は、図16からわかるように、クラウド電極面近傍(トナー担持ローラ電極面近傍)はクラウドパルスピーク値が大きい方が電界強度は強いが、感光体表面近傍の電界強度は変動がなく、現像結果としてクラウドパルスのピーク値が大きい方が小さい方よりも画像濃度は高くなる。
【0063】
図17(a)は、クラウドパルスのピーク間電圧400[Vpp]、クラウドパルス−250[V]〜−650[V]の場合の図6に示したトナー担持ローラ2と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。図17(b)は、クラウドパルスのピーク間電圧500[Vpp]、クラウドパルス−150[V]〜−650[V]の場合の図6に示したトナー担持ローラ2と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。図17(c)は、クラウドパルスのピーク間電圧600[Vpp]、クラウドパルス−50[V]〜−650[V]の場合の図6に示したトナー担持ローラ2と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。
【0064】
この例では、下電極はアルミ等の素管であり全面ベタの導体。その表層に厚さ10[μm]〜20[μm]の絶縁層(このシミュレーションでは16[μm])、その表面に上電極として幅100[μm]、間隔300[μm]、最表面に15[μm]の絶縁コート層を設けた構成。各絶縁層の比誘電率はいずれもεr=3である。
【0065】
ここで、クラウドパルスが、図17(a)では−250[V]〜−650[V]、図17(b)では−150[V]〜−650[V]、図17(c)では−50[V]〜−650[V]と振れた場合でも、図4に示すトナー担持ローラ101を用いたときの図14の結果と同様であり、クラウド電極に印加されるトナーを反発させる電圧(クラウドパルスのLow側ピーク値の電圧)の電位を一定に制御することで画像濃度はほぼ一定となる。
【0066】
環境湿度が標準時よりも高くなった際には、上述したような架橋力などによる付着力に打ち勝ってトナーをトナー担持ローラ表面上で良好にホッピングさせるだけの電界を作り出すために、クラウドパルスの波高値を高くする制御を行う。例えば、電源32のDCバイアス電圧が−650[V]の状態で、電源31から生成されるパルス波高値を標準時の500[V]から600[V]へと大きくした場合には、パルス発生回路から出力される出力パルスの波高値が−650[V]〜−50[V]であるが、電源32のDCバイアス電圧は一定であるからクラウド電極に印加されるトナーを反発させる電圧(クラウドパルスのLow側ピーク値の電圧)の電位は−650[V]一定で画像濃度は安定する。
【0067】
一方、環境湿度が標準時よりも低くなった際には、トナー付着力が低下し、トナーのクラウド高さが高くなった場合は地汚れ余裕度が小さくなるため、クラウドパルスの波高値を低くする制御を行う。例えば、電源32のDCバイアス電圧が−650[V]の状態で、電源31から生成されるパルス波高値を標準時の500[V]から400[V]へと小さくした場合には、パルス発生回路から出力される出力パルスの波高値が−650[V]〜−250[V]となるが、電源32のDCバイアス電圧は一定であるからクラウド電極に印加されるトナーを反発させる電圧(クラウドパルスのLow側ピーク値の電圧)の電位は−650[V]一定で画像濃度は安定する。
【0068】
図18は、比較例のパルス電圧印加手段の構成の一例を示す。
トナー担持ローラのクラウド電極に印加する信号はクラウドパルスとDCバイアスを含む信号を出力する必要があり、図示しないD/Aコンバータにより低電圧のDC含むパルス信号を生成し、それを300[V]〜600[V]に増幅するフィードバック回路構成を含むDCアンプ回路を、正相パルス用DCアンプ回路51と逆相パルス用DCアンプ回路52と2組設けて、容量負荷53の両端に印加していた。この場合、回路コストのアップ、温度変化などによるアンプ回路の直流ドリフトが問題であった。また、温度経時による増幅率の変動は、パルス波高値、DCバイアス電圧両方ともに変動となり、クラウド特性、画像濃度の品質低下に影響するものであった。その他、トランスによって高圧パルスを生成し、同時にDCバイアスを加える回路構成もあるが、回路部品の大型化、コスト、電力ロス等において問題であった。これに対し、図1や図11などに示すような構成を有する本実施形態のパルス電圧印加手段30の構成を採用することで、DCアンプ回路ではなくスイッチング回路を設けるのでDCアンプ回路を設ける場合よりも、部品点数が少なく、出力レベルも安定しているため、小型化や低コスト化を図りつつ、高信頼性を得ることができる。また、現像バイアス調整(パルス電圧の平均値の調整)のためのDC成分調整は、スイッチング回路単独では不可能であり、本実施形態のパルス電圧印加手段30のような構成にすることで容易に可能となる。これらのことから本実施形態のパルス電圧印加手段30を用いることによって、前述したような種々の問題を抑制することができる。
【0069】
図19は、図11に示したパルス電圧印加手段30の回路のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4それぞれに対してボディーダイオードBD1,BD2,BD3,BD4を追記した図である。
【0070】
ここで、A相、B相パルス発生回路に使用のパワーMOSFETの内部構成について図20を用いて説明する。パワーMOSFETは、図21に示すように回路シンボル的にはボディーダイオードを記述しない場合もあるが、実際の素子内部においてはボディーダイオードが存在する。パワーMOSFETがオフ状態のときにおいても、ソース側からドレイン側に向かう電流はボディーダイオードを通して流れる。
【0071】
スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4それぞれが、ボディーダイオードBD1,BD2,BD3,BD4を有することで、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4がオフ状態のときにおいても、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のソース側からドレイン側に向かう電流はボディーダイオードを通して流れる。
【0072】
さらに簡素化するため、電源31の出力を+500[V]とし、電源32の出力を0[V]とすると考えやすいので、以下その条件で説明していく。
【0073】
図22や図38に、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン・オフ動作シーケンス図を示す。なお、前述した図21は図22の動作シーケンス図のタイミング1における回路動作にかかるものである。また、図23は、図22に示した動作シーケンス図のタイミング1における回路動作にかかる回路の部分を抽出したものである。
【0074】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにすることで、スイッチング素子Q1のドレイン→R1→容量負荷C→R4→Q4のループで電流が流れ、容量負荷(コンデンサ)が、τ=C×(R1+R4)の時定数をもって充電される。
【0075】
この回路例では、R1=R4=100[Ω]〜300[Ω]であり、容量負荷C=100[nF]であるので、時定数は2[μs]〜6[μs]となる。充電電圧を時定数で考察した場合、時定数の1倍で63.2[%]、2倍で86.5[%]、3倍で95[%]、4倍で98.2[%]の充電電圧となる。したがって5倍の30[μs]程度経過すると、容量負荷Cの左端側はほぼ500[V]に、また容量負荷Cの右端側はほぼ0[V]に充電され充電電流はほぼゼロとなる。
【0076】
図24は、図22に示した動作シーケンス図のタイミング2における回路動作にかかるものである。また、図25は図22に示した動作シーケンス図のタイミング2における回路動作にかかる回路の部分を抽出したものである。
【0077】
スイッチング素子Q1がONからOFFになると同時にスイッチング素子Q2がOFFからONに推移する際、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との双方が同時に変化を行うと、スイッチング素子Q1やスイッチング素子Q2の動作時間のばらつきが原因で、スイッチング素子Q1がまだONを維持している状態でスイッチング素子Q2がONされると、スイッチング素子Q1からスイッチング素子Q2へ500[V]/(R1+R2)の電流が流れてしまう。この現象をシュートスルー(貫通電流)といい、スイッチング素子Q2に対してダメージを与えたり、大電流による電源31側の負担が増えたり、消費電流が増大したり、あるいはノイズ発生し回路誤動作させる、などの諸々不具合が現れてくる。
【0078】
このため、シュートスルー(貫通電流)を防止するために、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の全てを1[μs]の間OFFにする期間(図22のタイミング2)を設け、シュートスルー(貫通電流)に起因する上述した不具合が生じるのを抑えている。また、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の全てを1[μs]の間OFFにする期間(図22のタイミング2)においては、容量負荷(コンデンサ)Cの放電経路が無いので容量負荷Cに電荷が保持されている。
【0079】
図26は、図22に示した動作シーケンス図のタイミング3における回路動作にかかるものである。また、図27は図22に示した動作シーケンス図のタイミング3における回路動作にかかる回路の部分を抽出したものである。
【0080】
スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の全てを1[μs]の間OFFした後、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とがON動作を開始する。このとき、スイッチング素子Q2がONした瞬間に、容量負荷C左端→R2→Q2→BD4→R4→容量負荷C右端、の閉ループが構成され放電が開始する。
【0081】
図28は、図27においてスイッチング素子Q2がONした瞬間に、容量負荷Cの右側にマイナスヒゲが発生するメカニズムの説明に用いる図である。
【0082】
すなわち、容量負荷Cの左端500[V]、右端0[V]で充電されており、このように充電されている状態からスイッチング素子Q2がONすると、この電圧をR2とR4の双方で分圧することになる。本回路構成ではR2=R4なので、R2とR4とに250[V]ずつ均等に電圧がかかり、R2とR4の中点には250[V]の電位が発生するが、この中点が0[V]にクランプされているため電位的に一気に容量負荷Cの左端側が500[V]から250[V]に下降する。また容量負荷Cの右端側が0[V]から−250[V]に下降し、この下降部分をマイナスヒゲと称しており、この時点で容量負荷Cの右端側にはマイナスヒゲが現れる。その後、放電時定数C×(R2+R4)によって、容量負荷Cの左端側は250[V]から0[V]へ、容量負荷Cの右端側は−250[V]から0[V]へ、放電を行いつつ遷移していく。このときの波形を図29に示す。
【0083】
図29(a)は200[μs/div]の波形図であり、図29(b)は、図29(a)の中央付近で枠に囲まれた部分を拡大し、図29(a)の波形に対して時間を40倍引き延ばした5[μs/div]の波形図である。図29(a)及び図29(b)の上段の波形は相切換入力信号であり、LOWレベルが0[V]、HIGHレベルが+5[V]である。また、相切換入力信号がLOWのときにスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とがOFF、相切換入力信号がHIGHのときにスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とがONである。下段の波形は負荷容量Cの右端側の電圧を示している。
【0084】
相切換入力信号がLOWからHIGHに切り換わり容量負荷Cの右端側の電位が0[V]から+500[V]に上昇しようとする瞬間に、容量負荷Cの右端側の電位が0[V]から一旦−250[V]まで下降する(この部分をマイナスヒゲと称している)。そして、その後、容量負荷Cの右端側の電位は−250[V]から+500[V]へと上昇する。
【0085】
前述したマイナスヒゲは、通常の論理回路制御で見られるオーバシュートやアンダーシュートと言われているものとは根本的に異なるものである。オーバシュートやアンダーシュートは、立ち上りあるいは立下りの波形が所望する電圧に到達後、所望電圧をオーバランする現象で、原因は回路網に存在するインダクタンス成分Lや容量成分Cの過渡応答特性によるものである。これに対し、マイナスヒゲと称した本現象は過渡応答の始まる直前に起きる現象で、原因は0[V]の基準点が移動するためによるものである。
【0086】
さらに詳細には、図22に示した動作シーケンス図のタイミング1における0[V]基準点は容量負荷Cの右端側(R4が介在するが、充電完了時には容量負荷Cの右端側が完全に0[V]になる)である。これに対し、図22に示したタイミングチャート図のタイミング3においては、R2とR4との中点が0[V]になるため、(電源31の電圧)×1/2の電位のシフトが容量負荷Cの左端側と右側端とに発生し、これがマイナスヒゲの発生原因となる。
【0087】
このようなマイナスヒゲが生じると、パワーMOSFETのドレイン−ソース間耐圧を上げる必要があったり、容量負荷Cの絶縁層耐電圧を上げる必要があったりする。そのため、高耐圧のパワーMOSFETや容量負荷Cを用いるとコストアップに繋がってしまう。特に、パワーMOSFETのドレイン−ソース間耐圧を高耐圧としパワーMOSFETのデバイスコストが上がってしまうのは、大きな問題である。また、もともと0[V]から500[V]の充電に対して−250[V]から充電が開始されることになるので充電時間にロスタイムが生じ、回路の性能低下を招いてしまう。さらに、容量負荷Cの右端側は本来0[V]から500[V]へ充電すれば良いところ、マイナスヒゲが生じることによって−250[V]から500[V]へ充電をすることになり、充電開始時の容量負荷Cの右端側の電位が低い分、充電電流が増加することになるため、充電にかかる消費電流が増加してしまう。
【0088】
また、これと同時にスイッチング素子Q3がONされることでスイッチング素子Q3とR3を通して充電電流が流れる。すなわち、一つのタイミング中で、充電と放電が行われるという、非効率的な状況が存在することになる。また、スイッチング素子Q2においては、放電電流と充電電流とが重畳した電流が流れるため、スイッチング素子Q2に電流定格の大きいMOSFETを使用する必要があるが、電流定格の大きいMOSFETを用いるとコストアップに繋がってしまう。
【0089】
そこで、本実施例では、図24を用いて説明した、スイッチング素子Q2のON時に0[V]の電位基準が容量負荷Cの右端側からR2とR4との中点に変わることで発生するマイナスヒゲの除去手段として、図30に示したようにダイオードD5及びダイオードD6を、電源31のLowレベルと容量負荷Cの両端に挿入している。このように、ダイオードD5及びダイオードD6を、電源31のLowレベルと容量負荷Cの両端に挿入することで、マイナス電位が発生すると同時にダイオードD5またはダイオードD6のアノード側からカソード側に電流が流れ、ダイオードD5またはダイオードD6の順方向電圧降下Vf(通常1〜2[V]以内)分だけ容量負荷Cの右端側の電位が0[V]からマイナス側に落ちるのみとなる。よって、ダイオードD5及びダイオードD6を電源31のLowレベルと容量負荷Cの両端に挿入されておらず、容量負荷Cの右端側の電位が0[V]から−250[V]になる場合と比較して、格段にマイナスヒゲの電圧を低減させることができる。さらに、ホッピング動作の安定化を図ることができる。
【0090】
ダイオードD5及びダイオードD6の順方向電流の最大値は、(電源31の電圧)/R2から求められる電流値に耐えるものであれば良く、ダイオードD5及びダイオードD6のカソードとアノード間の逆方向耐圧は、電源31の電圧以上有れば良い。また、本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果、ダイオードD5及びダイオードD6として、逆方向から順方向に反転する時間がより高速なファーストリカバリーダイオードを用いることで、さらに効果的であることがわかった。
【0091】
ここで、ボディーダイオードの無いパワーMOSFETをスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4とに実装して、スイッチング素子Q2がONした瞬間に、容量負荷C左端→R2→Q2→BD4→R4→容量負荷C右端、の閉ループが形成されないような構成を採用することも考えられる。しかしながら、この構成では回路形成上、どうしても僅かな浮遊容量などで結合されているので、浮遊容量の値次第でマイナスヒゲの量が変化してしまうので、最適値の選定が難しいという欠点がある。
【0092】
図31は、ダイオードD5及びダイオードD6を電源31のLOWレベルと容量負荷Cの両端に挿入していない回路を用いた場合の波形図である。図31に示された、上から一番目の波形は相切換入力信号であり、二番目の波形は電源31からの流れ出す電流の波形であり、三番目は容量負荷Cの左端側の電圧の波形であり、四番目は容量負荷Cの右端側の電圧の波形である。相切換入力信号を切り換えたときに、容量負荷Cの右側端の電圧に0[V]から−250[V]に落ち込むような大きなマイナスヒゲが生じているのを確認できる。
【0093】
図32は、ダイオードD5及びダイオードD6を電源31のLOWレベルと容量負荷Cの両端に挿入された回路を用いた場合の波形図である。図32に示された、上から一番目の波形は相切換入力信号であり、二番目の波形は電源31からの流れ出す電流の波形であり、三番目は容量負荷Cの左端側の電圧の波形であり、四番目は容量負荷Cの右端側の電圧の波形である。相切換入力信号を切り換えたときに、容量負荷Cの右側端の電圧が一瞬0[V]より低い側に落ち込むが、ダイオードD5及びダイオードD6を電源31のLOWレベルと容量負荷Cの両端に挿入することで得られる上述したような効果によって、その落ち込み量が数[V]以内に抑えられている。なおかつ0[V]から500[V]に向かって充電を開始しているので、図31で示したような−250[V]から500[V]に向けての充電波形よりも立ち上りが早い。
【0094】
図33は、図22に示した動作シーケンス図のタイミング4における回路動作にかかるものである。
【0095】
スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とをONにしてから1.47K×Cの充電時定数を十分経過すると、容量負荷Cの右端側の電位は電源31の電圧で−250[V]から+500[V]へと上昇して満充電状態となり充電電流はゼロとなる。
【0096】
図34は、図22に示した動作シーケンス図のタイミング5における回路動作にかかるものである。
【0097】
スイッチング素子Q3がONからOFFになると同時にスイッチング素子Q4がOFFからONに推移する際、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との双方が同時に変化を行うと、スイッチング素子Q3やスイッチング素子Q4の動作時間のばらつきが原因で、スイッチング素子Q3がまだONを維持している状態でスイッチング素子Q4がONされると、スイッチング素子Q3からスイッチング素子Q4へ電流が流れてしまうシュートスルー(貫通電流)が生じてしまう。
【0098】
このため、シュートスルー(貫通電流)を防止するために、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の全てを1[μs]の間OFFにする期間(図22のタイミング5)を設け、シュートスルー(貫通電流)が生じるのを抑えている。また、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の全てを1[μs]の間OFFにする期間(図22のタイミング5)においては、容量負荷(コンデンサ)Cの放電経路が無いので容量負荷Cに電荷が保持されている。
【0099】
ここで、本実施例では、図35や図37に示すようにダイオードD5及びダイオードD6を電源31のLOWレベルと容量負荷Cの両端に挿入した回路構成において、スイッチング素子Q1,Q3それぞれを構成するパワーMOSFETのゲート回路に遅延回路dを設け、スイッチング素子Q1のONタイミングをスイッチング素子Q4のONタイミングに対して遅延させたり、スイッチング素子Q3のONタイミングをスイッチング素子Q2のONタイミングに対して遅延させたりする。
【0100】
図36や図39に、遅延回路dを設けた場合のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン・オフ動作シーケンス図を示す。図36の動作シーケンス図のタイミング3’では、スイッチング素子Q2のONタイミングに対してスイッチング素子Q3のONタイミングを遅延させたものを示している。これにより、図35に示した回路において容量負荷Cの放電動作と充電動作とを分けて行なうことが可能となり、容量負荷Cの放電がし終えてから、容量負荷Cの充電を行なうことが可能となる。
【0101】
ここで、本実施例の回路例では、R2=R4=470[Ω]であり、容量負荷C=10[nF]であり、ダイオードD5及びダイオードD6の抵抗値が0[Ω]であるとすると、放電時定数は10[nF]×470[Ω]=4.7[μs]となる。そして、放電時定数を約5[μs]とした場合、遅延回路による遅延時間を時定数の1倍(5[μs])としたときには63「%」、遅延時間を時定数の2倍(10[μs])としたときには87[%]、遅延時間を時定数の3倍(15[μs])としたときには95[%]、の電荷の放電が終了する。よって、本実施例では、容量負荷Cの放電時定数の少なくとも2〜3倍の時間、スイッチング素子Q2やスイッチング素子Q4をONした時からスイッチング素子Q1やスイッチング素子Q4のONタイミングを遅延させることで、容量負荷Cの放電がほとんどし終えてから、容量負荷Cの充電を行なうことができる。
【0102】
よって、容量負荷Cの充電にかかる消費電流を低減でき省エネルギー化を図ることができる。また、容量負荷Cの放電動作と充電動作とを分けて行なうことが可能なことで、スイッチング素子Q2に放電電流と充電電流とが重畳した電流が流れるのを抑制することが可能となるため、スイッチング素子Q2に電流定格の大きいMOSFETを使用する必要がなくなり、スイッチング素子Q2に電流定格の大きいMOSFETを用いることによるコストアップを抑えることができる。
【0103】
本実施例の図35に示した回路構成で図36に示した動作シーエンスでスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン・オフを行なうことで、消費電力が38.66[W]だったものが29.86[W]となり、8.68[W]の電力の削減が可能となった。
【0104】
なお、容量負荷Cの充電完了までの動作時間が、上述したような遅延時間を設ける分遅くなってしまうが、トナー担持ローラ101上でトナーをホッピングさせる性能には何ら影響の無い範囲であった。
【0105】
以上、本実施形態によれば、複数の電極を有するトナー担持体であるトナー担持ローラ101と、トナー担持ローラ101の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、トナー担持ローラ101の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界をトナー担持ローラ101の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、上記ホッピング電界発生手段は、正相用のパルス電圧を発生するための正相用パルス電圧発生回路であるA相パルス発生回路33と、逆相用のパルス電圧を発生するための逆相用パルス電圧発生回路であるB相パルス発生回路34と、A相パルス発生回路33とB相パルス発生回路34とに前記パルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源である電源31と、電源31の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のトナーの帯電極性と同極性の直流電源である第2の電源である電源32とからなり、A相パルス発生回路33が、電源31の端子間の高電位出力側に第1のスイッチング素子であるスイッチング素子Q1、低電位出力側に第2のスイッチング素子であるスイッチング素子Q2、及び、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間に電流規制抵抗R1,R2を直列で接続したものであり、また、それとは並列でB相パルス発生回路34が、電源31の端子間の高電位出力側に第3のスイッチング素子であるスイッチング素子Q3、低電位出力側に第4のスイッチング素子であるスイッチング素子Q4、及び、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間に電流規制抵抗R3,R4を直列で接続したものであり、トナー担持ローラ101に設けられた上記複数の電極の内の一方の電極群をスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間に接続し、他方の電極群をスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間に接続したブリッジ構成とし、正相のパルス電圧を印加する場合はスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにし、逆相のパルス電圧を印加する場合はスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とをONにして、トナー担持ローラ101の表面に担持されているトナーを像担持体である感光体49と対向する現像領域へ搬送して感光体49上の潜像にトナーを付着させることによって潜像を現像する現像装置1において、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにする際は、スイッチング素子Q4をONにした後、所定タイミング遅延後にスイッチング素子Q1をONにし、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とをONにする際は、スイッチング素子Q2をONにした後、所定タイミング遅延後にスイッチング素子Q3をONにする。これにより、低電位側のスイッチング素子Q2,Q4のONによる放電動作中に高電位側のスイッチング素子Q1,Q3による充電動作の重畳が避けられる。例えば、前記一方の電極群と前記他方の電極群とで構成されるコンデンサである容量負荷Cの放電がし終えてから、容量負荷Cの充電を行なうことができる。よって、容量負荷Cの充電にかかる消費電流を低減でき省エネルギー化を図ることができる。また、低電位側のスイッチング素子Q2,Q4に放電電流と充電電流とが重畳した電流が流れるのを抑制することが可能となるので、低電位側のスイッチング素子Q2,Q4の耐圧を上げる必要がなく、高耐圧のスイッチング素子を用いることによるコストアップを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、電源31は前記バイアスの出力レベル可変に構成されており、電源31の前記バイアスの出力レベルを変化させてクラウドパルスの波高値を制御することで、クラウドパルスの波高値とDCバイアス値を簡単な回路構成によって別々に調整ができる。
また、本実施形態によれば、画像形成装置に設けられた画像濃度検知センサー65や画像濃度制御回路66などからなる画像濃度検出手段から出力された感光体49上の画像に係る画像濃度信号に応じて電源32の出力レベルを変化させることで、感光体49上の画像の濃度が変動したとしても、画像濃度信号に応じて感光体49上の潜像電位に対する現像バイアスの強弱の制御が行なわれ、感光体49上の画像の濃度を一定に保つことが可能となる。よって、感光体49上に形成される画像の濃度が変動することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q3それぞれにONタイミング遅延手段である遅延回路dを設け、遅延回路dは、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q3それぞれのONタイミングを、上記所定タイミング遅延時間として容量負荷Cの放電時定数の少なくとも2〜3倍の時間、スイッチング素子Q2やスイッチング素子Q4をONした時から遅延させることで、容量負荷Cの放電がし終えてから、容量負荷Cの充電を行なうことができる。
また、本実施形態によれば、現像手段と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、本発明の現像装置1を用いることで、上述したような種々の効果が得られるので望ましい。
また、本実施形態によれば、感光体49上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより前記潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像手段として、本発明の現像装置を用いることで、上述したような種々の効果が得られることで、その結果、良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態によれば、現像手段と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、本発明の現像装置1を有するプロセスカートリッジを用いることで、上述したような種々の効果が得られるので望ましい。また、カラー画像形成装置に前記プロセスカートリッジを複数備えるのが好適である。
【符号の説明】
【0106】
1 現像装置
2 トナー担持ローラ
3a 内側電極
4a 外側電極
5 絶縁層
6 表層
11 ケーシング
18 トナー供給ローラ
22 トナー摩擦ブレード
24 供給バイアス電源
30 パルス電圧印加手段
31 電源
32 電源
33 A相パルス発生回路
34 B相パルス発生回路
35 クランプ回路
37 2相パルス出力回路
40 経時センサー
44 除電ランプ
45 クリーニング装置
49 感光体
50 帯電装置
51 アンプ回路
52 アンプ回路
53 容量負荷
60 転写チャージャー
61 分離チャージャー
65 画像濃度検知センサー
66 画像濃度制御回路
67 クラウドパルス制御回路
70 給紙部
70a 給紙コロ
71 給紙部
71a 給紙コロ
75 搬送ベルト
76 定着装置
76a 定着ローラ
76b 加圧ローラ
77 排紙トレイ
80 ミラー
90 コンタクトガラス
91 原稿照明光源
92 ミラー
93 走査光学系
94 ミラー
95 ミラー
96 走査光学系
97 レンズ
98 素子
99 ポリゴンミラー
101 トナー担持ローラ
101A 絶縁性基板
101B 表面保護層
111 電極
111A A相用電極
111B B相用電極
111Aa バスライン
111Ba バスライン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2007−133387号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を有するトナー担持体と、
該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、
該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、
上記ホッピング電界発生手段は、正相用のパルス電圧を発生するための正相用パルス電圧発生回路と、逆相用のパルス電圧を発生するための逆相用パルス電圧発生回路と、該正相用パルス電圧発生回路と該逆相用パルス電圧発生回路とに前記パルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のトナーの帯電極性と同極性の直流電源である第2の電源とからなり、
上記正相用パルス電圧発生回路が、上記第1の電源の端子間の高電位出力側に第1のスイッチング素子、低電位出力側に第2のスイッチング素子、及び、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間に電流規制抵抗を直列で接続したものであり、また、それとは並列で上記逆相用パルス発生回路が、前記第1の電源の端子間の高電位出力側に第3のスイッチング素子、低電位出力側に第4のスイッチング素子、及び、前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に電流規制抵抗を直列で接続したものであり、上記トナー担持体に設けられた上記複数の電極の内の一方の電極群を前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間に接続し、他方の電極群を前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に接続したブリッジ構成とし、正相のパルス電圧を印加する場合は前記第1のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子とをONにし、逆相のパルス電圧を印加する場合は前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子とをONにして、
該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、
前記第1のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子とをONにする際は、前記第4のスイッチング素子をONにした後、所定タイミング遅延後に前記第1のスイッチング素子をONにし、前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子とをONにする際は、前記第2のスイッチング素子をONにした後、所定タイミング遅延後に前記第3のスイッチング素子をONにする、ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記第1の電源は上記バイアスの出力レベル可変に構成されており、前記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させてパルス電圧の波高値を制御することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、
上記第1のスイッチング素子及び上記第3のスイッチング素子それぞれにONタイミング遅延手段を設け、
前記ONタイミング遅延手段は、上記第1のスイッチング素子及び上記第3のスイッチング素子それぞれのONタイミングを、上記所定タイミング遅延時間として上記一方の電極群と上記他方の電極群とで構成されるコンデンサの放電時定数の少なくとも2〜3倍の時間、上記第2のスイッチング素子や上記第4のスイッチング素子をONした時から遅延させることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記像担持体上の画像の画像濃度を検出する画像濃度検出手段を有しており、
前記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、
前記プロセスカートリッジとして、請求項4のプロセスカートリッジを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記プロセスカートリッジを複数備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2011−170317(P2011−170317A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227685(P2010−227685)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】