説明

現像装置、画像形成装置及び画像形成方法

【課題】複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に備えられ、磁極の配置以外の手法により現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで感光体等の像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能な現像装置、これを有する画像形成装置、これらを用いる画像形成方法の提供。
【解決手段】像担持体20Yに対向して配置され2成分現像剤を担持して移動する現像剤担持体51Yと、現像剤担持体51Yが像担持体20Yに対向する対向領域Dにおける現像剤担持体51Yと像担持体20Yとの間の位置であって、対向領域Dにおいて現像剤担持体51Yに担持された2成分現像剤に埋没する位置に配置され、対向領域Dにおいて現像剤担持体51Yに担持された2成分現像剤に当接して同2成分現像剤を撹拌する撹拌部材86Y、87Yとを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に備えられ、感光体等の像担持体を2成分現像剤によって現像する現像装置、これを有する画像形成装置、これらを用いる画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置において、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いて感光体等の像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置が種々提案されている(たとえば〔特許文献1〕〜〔特許文献6〕参照)。この現像装置は一般に、2成分現像剤を担持し回転に伴って担持した2成分現像剤を像担持体との対向領域に搬送し、同対向領域においてかかる現像剤中のトナーを像担持体に供給する現像剤担持体を備えている。このような現像装置は経時的に高画質の画像形成を行う点において優れ、白黒デジタル複写機、高画質を要求されるフルカラー複写機を中心に多くの画像形成装置に搭載されている。
【0003】
近年では、画像形成の高速化が求められるようになっており、これに伴って像担持体の移動速度が高められてきている。
一方、次に例示するように、像担持体に供給されるトナー量を増加させる技術が種々提案されており、このような技術によれば、像担持体の移動速度が高められても、現像能力を担保し得るとも考えられる。
【0004】
・現像剤担持体の回転速度を大きくして、像担持体との対向領域において単位時間当たりに像担持体に供給されるトナー量を増加させる技術。
【0005】
・現像剤担持体と像担持体との間に、現像剤担持体上の磁気ブラシの先端に衝突し、磁気ブラシ中のトナーをキャリアから分離して飛散させる衝突部材を設けることで、像担持体に供給されるトナー量を増加させる技術(たとえば〔特許文献1〕参照)。
【0006】
・2成分現像剤を像担持体との対向領域に搬送し、同対向領域においてかかる現像剤を内部の磁極によって穂立ちさせて磁気ブラシとし、この磁気ブラシを形成している現像剤中のトナーを像担持体に供給する現像剤担持体において、同極の磁極をかかる対向領域内において現像剤担持体の回転方向に沿って並設して反発磁界を形成し、磁気ブラシの形成領域をかかる回転方向において大きくすることで像担持体に供給されるトナー量を増加させる技術(たとえば〔特許文献2〕参照)。
【0007】
・現像剤担持体を像担持体の移動方向に沿って複数設け、これらの現像剤担持体により現像剤の受け渡しを行うことで現像領域を拡大し、像担持体に供給されるトナー量を増加させる技術(たとえば〔特許文献3〕参照)。
【0008】
・現像剤担持体の曲率に沿った形状の電極ワイヤであって、現像剤担持体と像担持体との間に等電位面を形成するための電極ワイヤを、現像剤担持体と像担持体との間に、現像剤担持体の全幅にわたって多数並設し、像担持体に供給されるトナー量を増加させる技術(たとえば〔特許文献4〕参照)。
【0009】
しかし、現像剤担持体の回転速度を大きくする技術では、担持している現像剤に作用する遠心力が大きくなって現像剤の飛散が増加する可能性がある。飛散した現像剤は画像形成装置内部の汚染を引き起こして機能低下を招き得るため問題である。また、現像剤担持体の回転速度を大きくすると、現像剤担持体によって担持された現像剤が像担持体を摺擦する力が大きくなり、像担持体に供給されたトナーが掻き落とされ、形成画像が乱れて異常画像が発生しやすくなるという問題もある。
【0010】
また、衝突部材を設ける技術では、トナー飛散を生じさせるため、飛散した現像剤が画像形成装置内部の汚染を引き起こして機能低下を招き得るという、上述の問題と同様の問題を生じ得る。なお、上記の技術の他に、像担持体に供給されるトナー量を増加させるための技術として、2成分現像剤中のトナー濃度を増加させる技術があるが、この技術でも、トナー飛散が生じ、飛散した現像剤が画像形成装置内部の汚染を引き起こして機能低下を招き得るという、上述の問題と同様の問題を生じ得る。
【0011】
また、反発磁界を形成して磁気ブラシの形成領域を現像剤担持体の回転方向において大きくする技術では、反発磁界が形成されている領域において、現像剤担持体が磁性キャリアを担持する磁力が低下し、磁性キャリアが像担持体に付着して形成画像の品位を低下させることがあり、必ずしも好適な画像形成がなされるとは限らないという問題がある。
【0012】
また、現像剤担持体を像担持体の移動方向に沿って複数設ける技術では、現像装置が高コスト化、大型化し、特にフルカラー画像を行う画像形成装置のように複数の現像装置を搭載する画像形成装置では、高コスト化、大型化の程度が大きく、近年の、画像形成装置の低コスト化、小型化の要請に反することとなるという問題がある。また、現像剤担持体間で現像剤の受け渡しが円滑に行われず、隣り合う現像剤担持体の間隙に現像剤が密集して現像剤担持体の回転が停止したり、一方の像担持体の回転に他方の像担持体が連れ回りしたりして現像に支障を来たし得るという問題がある。そのため現像剤担持体間で現像剤の受け渡しを円滑に行うべく、隣り合う現像剤担持体に対向する位置に配設された磁極を互いに異極とされる技術も提案されているが、この構成では現像剤担持体が互いに磁気的に引き合うことで撓みが生じ、現像剤担持体の駆動に必要なトルクが大きくなりモータの大型化、消費電力の増大を招き、また場合によってはかかるトルクが大きくなることで現像剤担持体の回転が停止してやはり現像に支障を来たし得るといった問題がある。
【0013】
また多数の電極ワイヤを並設する技術では、電極ワイヤを位置決めすることが難しく、またコストも上昇するという問題がある。
【0014】
ところで、2成分現像剤を用いる現像装置においては、現像剤担持体と像担持体との対向領域において、2成分現像剤が現像剤担持体上に固定化された状態で担持されることなどに起因して、現像剤担持体に担持された2成分現像剤のうち、実際に現像に寄与するのは、像担持体側の表層部分に過ぎないことが知られている(たとえば〔特許文献5〕、〔特許文献6〕参照)。
【0015】
そこで、次に例示するように、現像剤担持体側の2成分現像剤も現像に寄与させるために、現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱する技術が種々提案されており、このような技術によれば、像担持体に供給されるトナー量が増加することで、像担持体の移動速度が高められても、現像能力を担保し得るとも考えられる。
【0016】
・現像剤担持体と像担持体との対向領域において2成分現像剤を現像剤担持体上に穂立ちさせる磁極を、かかる対向領域に対応する範囲に位置調製して配置することで、現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱する技術(たとえば〔特許文献5〕参照)。
【0017】
・現像剤担持体と像担持体との対向領域において2成分現像剤を現像剤担持体上に穂立ちさせる磁極の他に、かかる対向領域において現像剤担持体に担持された2成分現像剤を現像剤担持体表面に沿って水平移動させる磁極を配置することで、現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱する技術(たとえば〔特許文献6〕参照)。
【0018】
【特許文献1】特開平08−044214号公報
【特許文献2】特開昭51−43151号公報
【特許文献3】特開2004−021125号公報
【特許文献4】特許第3541203号公報
【特許文献5】特開2003−084573号公報
【特許文献6】特許第3166441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、磁極の配置によって現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱する技術は、磁極の位置決め精度が高いレベルで要求されるため、製品ごとに現像性能にばらつきが生じ得るという問題や、かかるばらつきによって歩留まりが低下することなどに起因してコストが上昇し得るという問題がある。よって、磁極の配置という手法以外の手法により現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱する技術を提案することが望ましい。
【0020】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に備えられ、磁極の配置以外の手法により現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで感光体等の像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能な現像装置、これを有する画像形成装置、これらを用いる画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体に対向して配置され2成分現像剤を担持して移動する現像剤担持体と、この現像剤担持体が像担持体に対向する対向領域における同現像剤担持体と像担持体との間の位置であって、前記対向領域において同現像剤担持体に担持された2成分現像剤に埋没する位置に配置され、前記対向領域において同現像剤担持体に担持された2成分現像剤に当接して同2成分現像剤を撹拌する撹拌部材とを有する現像装置にある。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の現像装置において、前記撹拌部材は、前記現像剤担持体の移動方向に沿って、像担持体との間に2成分現像剤の密度の高い高密度領域と2成分現像剤の密度の低い低密度領域とを交互に形成することで、前記対向領域において同現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹拌するものであり、前記高密度領域を前記移動方向に沿って複数形成することを特徴とする。
【0023】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の現像装置において、前記高密度領域のうち、前記移動方向において最下流に位置する高密度領域以外の高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔は、2成分現像剤の層厚において少なくとも2層以上の間隔であることを特徴とする。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の現像装置において、前記高密度領域であって前記移動方向において互いに隣り合う高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔は、同移動方向において下流側の高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔が同移動方向において上流側の高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔以上となっていることを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の発明は、請求項2ないし5の何れか1つに記載の現像装置において、前記高密度領域のうち少なくとも1つは、前記移動方向において、前記現像剤担持体が像担持体に最も近接する位置よりも上流側に位置していることを特徴とする。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の現像装置において、前記撹拌部材が非磁性であることを特徴とする。
【0027】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の現像装置を有する画像形成装置にある。
【0028】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の現像装置、または、請求項7記載の画像形成装置を用いて画像形成を行う画像形成方法にある。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、像担持体に対向して配置され2成分現像剤を担持して移動する現像剤担持体と、この現像剤担持体が像担持体に対向する対向領域における同現像剤担持体と像担持体との間の位置であって、前記対向領域において同現像剤担持体に担持された2成分現像剤に埋没する位置に配置され、前記対向領域において同現像剤担持体に担持された2成分現像剤に当接して同2成分現像剤を撹拌する撹拌部材とを有する現像装置にあるので、磁極の配置を用いなくても現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで像担持体近傍におけるトナー濃度を高め、像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能であり、画像形成が高速で行われるときにも良好な画像形成に寄与することが可能な現像装置を提供することができる。
【0030】
前記撹拌部材は、前記現像剤担持体の移動方向に沿って、像担持体との間に2成分現像剤の密度の高い高密度領域と2成分現像剤の密度の低い低密度領域とを交互に形成することで、前記対向領域において同現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹拌するものであり、前記高密度領域を前記移動方向に沿って複数形成することとすれば、高密度領域を通過した現像剤が低密度領域で撹乱されることにより、磁極の配置を用いなくても現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで像担持体近傍におけるトナー濃度を高め、像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能であり、画像形成が高速で行われるときにも良好な画像形成に寄与することが可能な現像装置を提供することができる。
【0031】
前記高密度領域のうち、前記移動方向において最下流に位置する高密度領域以外の高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔は、2成分現像剤の層厚において少なくとも2層以上の間隔であることとすれば、2成分現像剤をかかる間隔に通過させることで効率の良い現像を行うとともに、高密度領域を通過した現像剤が低密度領域で撹乱されることにより、磁極の配置を用いなくても現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで像担持体近傍におけるトナー濃度を高め、像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能であり、画像形成が高速で行われるときにも良好な画像形成に寄与することが可能な現像装置を提供することができる。
【0032】
前記高密度領域であって前記移動方向において互いに隣り合う高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔は、同移動方向において下流側の高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔が同移動方向において上流側の高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔以上となっていることとすれば、低密度領域を確保し、高密度領域を通過した現像剤が低密度領域で撹乱されることにより、磁極の配置を用いなくても現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで像担持体近傍におけるトナー濃度を高め、像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能であり、画像形成が高速で行われるときにも良好な画像形成に寄与することが可能な現像装置を提供することができる。
【0033】
前記高密度領域のうち少なくとも1つは、前記移動方向において、前記現像剤担持体が像担持体に最も近接する位置よりも上流側に位置していることとすれば、高密度領域を可能な限り現像剤担持体と像担持体との対向領域内あるいはかかる対向領域近傍に形成し高密度領域によって画質を低下させる要因を抑制するとともに、高密度領域を通過した現像剤が低密度領域で撹乱されることにより、磁極の配置を用いなくても現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで像担持体近傍におけるトナー濃度を高め、像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能であり、画像形成が高速で行われるときにも良好な画像形成に寄与することが可能な現像装置を提供することができる。
【0034】
前記撹拌部材が非磁性であることとすれば、撹拌部材による2成分現像剤の滞留を抑制し、磁極の配置を用いなくても現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで像担持体近傍におけるトナー濃度を高め、像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能であり、画像形成が高速で行われるときにも良好な画像形成に寄与することが可能な現像装置を提供することができる。
【0035】
本発明は、かかる現像装置を有する画像形成装置にあるので、磁極の配置を用いなくても現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで像担持体近傍におけるトナー濃度を高め、像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能であり、画像形成が高速で行われるときにも良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0036】
本発明は、かかる現像装置、または、かかる画像形成装置を用いて画像形成を行う画像形成方法にあるので、磁極の配置を用いなくても現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹乱することで像担持体近傍におけるトナー濃度を高め、像担持体に供給されるトナー量を増加させることが可能であり、画像形成が高速で行われるときにも良好な画像形成を行うことが可能な画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機であってフルカラーの画像形成を行うことができるようになっているが、他の画像形成装置、すなわち、モノクロ機や、複写機、プリンタ、ファクシミリの単体、あるいは複写機とプリンタとの複合機等他の複合機であっても良い。画像形成装置100は、プリンタとして用いられる場合には、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。これは画像形成装置100がファクシミリとして用いられる場合も同様である。
【0038】
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。画像形成装置100は、記録媒体としての記録体である転写紙の両面に画像形成可能な両面画像形成装置でもある。
【0039】
画像形成装置100は、上下方向において中央位置を占めプリンタ部として機能する本体101と、本体101の上側に位置し原稿を読み取るスキャナとしての読取装置21および原稿を積載され積載された原稿を読取装置21に向けて送り出すADFといわれる原稿自動搬送装置である自動原稿給紙装置22と、本体101の下側に位置し感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙を積載した給紙テーブルとしての給紙装置であるシート給送装置23とを有している。
【0040】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な複数の像担持体としての感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを並設したタンデム構造を採用したタンデム型の画像形成装置である。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、同一径であり、画像形成装置100の本体101の内部のほぼ中央部に配設された無端ベルトである中間転写体たる中間転写ベルトとしての転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に、等間隔で並んでいる。
【0041】
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら図中時計方向である矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、転写紙に一括転写されるようになっている。このように画像形成装置100は間接転写方式を採用している。
【0042】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのそれぞれに対向する位置に配設され転写ベルト11の内周面に接触配置された転写チャージャとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの真下の位置すなわち転写位置にて行われる。
【0043】
各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並設されている。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
【0044】
画像形成装置100は、4つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによって構成される画像形成部としての作像部60と、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの下方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写ユニットであるベルトユニットとしての転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に当接し、転写ベルト11への当接位置において転写ベルト11と同方向に回転し無端移動する転写部材としての紙搬送ベルトである2次転写ベルト5を備え転写ベルト11上のトナー像を転写紙に転写するとともに搬送する2次転写装置としての2次転写ユニット76とを有している。
【0045】
画像形成装置100はまた、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKの上方に対向して配設された書き込み手段である光書き込み装置としての光書込みユニットである露光装置たる光走査装置8と、シート給送装置23から搬送されてきた転写紙を、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト11と2次転写ベルト5との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対13と、転写紙の先端がレジストローラ対13に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0046】
画像形成装置100はまた、2次転写ユニット76によって転写ベルト11上のトナー像を転写され搬送されてきた転写紙が進入し、転写紙にトナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みの転写紙を本体101外に排出する排紙経路と再度レジストローラ対13に向けて搬送する反転経路とを備え転写紙を何れかの経路に搬送する排紙ユニット79と、排紙ユニット79が一方の面に画像を形成された転写紙を反転経路に搬送した場合に、その転写紙をスイッチバックして反転させ、再度、レジストローラ対13に向けて搬送する再給紙ユニットとしてのシート反転装置である両面ユニット96とを有している。
【0047】
画像形成装置100はまた、本体101外部に配設され画像形成済みの転写紙を積載するスタック部としての排紙トレイ75と、図1における本体101の右側面に配設された手差し給紙装置33と、画像形成装置100の操作を行う図示しない操作パネルと、画像形成装置100全体の動作を制御する制御部としての図示しない制御手段とを有している。
【0048】
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられた、テンションローラ72、転写入口ローラ73および張架ローラとしての駆動ローラ74と、駆動ローラ74との間に転写ベルト11を挟み込み転写ベルト11表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置14と、駆動ローラ72を回転駆動することで転写ベルト11をA1方向に無端移動させる図示しないベルト駆動モータと、画像形成が2色以上の多色画像で行われるか黒色のみの単色画像すなわちモノクロ画像で行われるかに応じて転写ベルト11等を変位させる図示しない転写ベルトユニット駆動手段とを有している。
【0049】
転写ベルトユニット駆動手段は、画像形成が2色以上の多色画像で行われるときには、転写ベルト11が図1に示すように略水平に張架される態位として転写ベルト11を各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに接触させ、画像形成がモノクロ画像で行われるときには、同図左方を下側に変位させるようにして転写ベルト11を感光体ドラム20Y、20M、20Cから離間させ転写ベルト11が各感光体ドラム20BKのみに接触する態位とする。なお、画像形成がモノクロ画像で行われるときには、感光体ドラム20Y、20M、20Cの回転をはじめとして画像ステーション60Y、60M、60Cの各構成の動作が停止される。
【0050】
2次転写ユニット76は、2次転写ベルト5の他に、2次転写ベルト5を巻き掛けた張架ローラである、駆動ローラ15及び従動ローラ16と、2次転写ベルト5に対向して配設され転写ベルト11を介して押圧された対向ローラとしてのバックアップローラである転写入口ローラ73と、トナーと逆極性の2次転写バイアスを駆動ローラ15に印加する図示しない電源とを有している。
【0051】
駆動ローラ15と転写入口ローラ73とは、これらの間に転写ベルト11と2次転写ベルト5とを挟み込んでおり、この挟み込みにより、転写ベルト11と2次転写ベルト5とが接触する2次転写ニップが形成されている。2次転写ニップには、2次転写バイアスの印加により、後述するようにして転写ベルト11上に担持された4色トナー像を、転写ベルト11側から駆動ローラ15側に向けて静電移動させる、2次転写電界が形成される。かかる4色トナー像は、後述するようにしてレジストローラ13により転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に搬送されてきた転写紙に、2次転写電界、ニップ圧によって転写される。
【0052】
なお、2次転写ユニット76としては、転写ローラや非接触のチャージャを採用した構成を用いても良いが、この場合には他に転写紙を定着装置6に向けて搬送する部材を要する。
【0053】
光走査装置8は、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの表面によって構成された被走査面をそれぞれ走査して露光し、静電潜像を形成するための、画像信号に基づくレーザービームとしての図示しないレーザー光を発する図示しない光源と、光源によって発せられたレーザー光をその回転により走査する図示しないポリゴンミラーと、ポリゴンミラーを回転駆動する図示しないポリゴンモータと、ポリゴンミラーによって走査されたレーザー光を感光体ドラム20Y、20M、20C、20B上に結像させ走査する図示しないf−θレンズ、反射ミラー等の図示しない多数の光学素子とを有している。
【0054】
定着装置6は、熱源を内部に有する加熱ローラ62と、加熱ローラ62に巻き掛けられた定着ベルト64と、加熱ローラ62とともに定着ベルト64を巻き掛けた定着ローラ65と、定着ローラ65との間で定着ベルト64に圧接し圧接部である定着部としての定着ニップを形成する加圧ローラ63とを有している。加熱ローラ62と、定着ベルト64と、定着ローラ65とは、定着ベルト64が無端移動するベルトユニットを構成している。定着装置6は、トナー像を担持した転写紙を定着ニップに通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙の表面に定着するようになっている。
【0055】
排紙ユニット79は、定着装置6から搬送されてきた定着済みの転写紙を、両面ユニット96に向けて搬送する搬送ローラ97と、本体101外に排出する排紙ローラ98と、定着済みの転写紙を搬送ローラ97のある排紙経路に導いて本体101外に排出するか、排紙ローラ98のある反転経路に導いて両面ユニット96に進入させるかを切り換える切換爪94とを備えている。
【0056】
両面ユニット96は、排紙ユニット79から搬送されてきた、一方の面に画像形成された転写紙を一旦積載するトレイ92と、トレイ92上の転写紙をスイッチバックさせる反転ローラ93と、反転ローラ93によってスイッチバックされた転写紙をレジストローラ13に向けて送り出す給紙ローラ95等を有している。
【0057】
シート給送装置23は、複数枚の転写紙を紙束の状態で収容可能な給紙カセット25を鉛直方向に複数重なるように配置したペーパーバンク26と、給紙カセット25に積載された転写紙のうち最上位の転写紙の上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ24と、給送ローラ24により繰り出された転写紙を1枚ずつ分離する分離ローラ27と、給紙ローラ24及び分離ローラ27により送り出された転写紙が通過する給紙路29とを有している。
【0058】
給紙路29は、給紙ローラ24及び分離ローラ27により送り出された転写紙をレジストローラ対13に向けて搬送する搬送ローラ28と、転写紙の搬送方向下流端に位置するレジストローラ13とを備え、搬送ローラ28によって搬送される転写紙シート給送装置23から本体101内に連続するように設けられており、本体101内の給紙路29にも搬送ローラ28が配設されている。
【0059】
シート給送装置23は、給送ローラ24が図中反時計回り方向に回転駆動され、分離ローラ27が作用することにより、最上位の転写紙を給紙路29内に導き、搬送ローラ28の回転によりレジストローラ対13に向けて給送し、搬送された転写紙がレジストローラ対13に突き当てて止められるようになっている。
【0060】
手差し給紙装置33は、転写紙を積載する手差しトレイ34と、手差しトレイ34に積載された転写紙のうち最上位の転写紙の上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ35と、給送ローラ35により繰り出された転写紙を1枚ずつ分離する分離ローラ36と、手差しトレイ34上に転写紙が載置されたことを検知する用紙センサとを有している。
【0061】
手差し給紙装置33は、給送ローラ35が図中時計回り方向に回転駆動され、分離ローラ36が作用することにより、最上位の転写紙を本体101側の給紙路29内に導くとともにレジストローラ対13に向けて給送し、搬送された転写紙がレジストローラ対13に突き当てて止められるようになっている。
【0062】
読取装置21は、原稿を載置するコンタクトガラス21a、コンタクトガラス21aに載置された原稿に光を照射する図示しない光源及び光源から原稿に照射され反射された光を反射する図示しない第1の反射体を備え図1における左右方向に走行する第1走行体21b、第1走行体21bの反射体によって反射された光を反射する図示しない第2の反射体を備えた第2走行体21c、第2走行体21cからの光を結像するための結像レンズ21d、結像レンズ21dを経た光を受け原稿の内容を読み取る読み取りセンサ21e等を備えている。
自動原稿給紙装置22は回動自在であって、上方に向けて回動したときコンタクトガラス21aを露出させるようになっている。
【0063】
操作パネルは、液晶ディスプレイ、複写を開始するためのコピースタートスイッチ等として機能するスタートボタン、複写枚数等を入力するためのテンキー等の各種キーボタン等を有する操作表示部となっている。操作パネルにおいては、画像形成を多色画像で行うかモノクロ画像で行うかを指定可能となっているとともに、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードを設定可能となっている。片面プリントモードには、ダイレクト排出モード、反転排出モード、反転デカール排出モードが含まれ、このうちの1つが選択される。
制御手段は、CPU、記憶手段としてのメモリ等を備えている。
【0064】
画像ステーション60Y、60C、60M、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像ステーションの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーションの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像ステーションの構成に付し、詳細な説明については適宜省略することとし、符号の末尾にY、C、M、Kが付されたものはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
【0065】
図2に示すように、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中反時計方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Yと、クリーニング手段としてのクリーニング装置40Yと、帯電手段である帯電ユニットとしての帯電装置30Yと、現像手段としての現像ユニットである現像装置50Yとを有している。
【0066】
感光体ドラム20Yと、クリーニング装置40Yと、帯電装置30Yと、現像装置50Yとは一体化されており、プロセスカートリッジ95Yを構成している。プロセスカートリッジ95Yは本体101に固定された図示しないガイドレールに沿って本体101に対して引き出し自在であるとともに、本体101に押し込むことが可能であり、本体101に対して着脱自在に設置されている。
【0067】
プロセスカートリッジ95Yは、本体101に押し込むと、画像形成に適した所定の位置に装填され、位置決めされるようになっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことができるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。なお、プロセスカートリッジ95Y、95M、95C、95BKは画像形成ユニットを構成している。
【0068】
プロセスカートリッジ95Yは、感光体ドラム20Yと、ドラムクリーニング装置であるクリーニング装置40Yと、帯電手段である現像器としての帯電装置30Yと、現像装置50Yとのうち、少なくとも感光体ドラム20Yと現像装置50Yとが、一体化されることによって構成され、本体101に着脱自在に設置されるユニットである。
【0069】
帯電装置30Yは、直流に交流成分のバイアスを重畳印加する図示しない電圧印加手段を有しており、感光体ドラム20Yと対向する帯電領域において、感光体ドラム20Yの表面を除電すると同時に、所定の極性に一様に帯電するようになっている。
本形態では、非接触型の帯電システムを採用しているが、帯電システムは、近接ローラ、接触ローラを用いたものであっても良い。
【0070】
1次転写ローラ12Yには、図示しない電源を備えたバイアス印加手段とバイアス制御手段とによって1次転写に適した所定の電圧が印加されようになっており、1次転写ローラ12Yは1次転写バイアスローラとして機能するようになっている。1次転写ローラ12Yは、転写ベルト11をその内周面側から感光体ドラム20Yに押圧して1次転写ニップを形成している。この1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、1次転写電界が形成される。
【0071】
図1に示した光走査装置8は、図2に示すように、感光体ドラム20Yにおける帯電領域と現像領域Dとの間の領域に、画像情報に応じて光変調されたレーザー光Lを照射して帯電装置30Yにより帯電された後の感光体ドラム20Yの表面を露光し、現像装置50Yによってイエロートナー像として可視像化される静電潜像を形成するようになっている。
【0072】
クリーニング装置40Yは、感光体ドラム20Yに対向する部分に開口部を有するクリーニングケース43Yと、感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の残留トナー、キャリア、紙粉等の不要物を掻き取ってクリーニングする回転ブラシとしてのブラシローラ45Yと、感光体ドラム20Yの回転方向B1において、ブラシローラ45Yよりも下流側の位置で感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の不要物を掻き取ってクリーニングするためのブレードとしてのクリーニングブレード41Yとを有している。
【0073】
クリーニング装置40Yはまた、クリーニングケース43Yに回転自在に支持され、ブラシローラ45Y、クリーニングブレード41Yによって掻き取られ、また除去されることによって生じた廃トナー等の不要物を廃トナータンク83に向けて搬送するための図示しない廃トナー経路の一部を構成する排出スクリュ42Yを有している。
【0074】
現像装置50Yは、感光体ドラム20Yに対向する部分に開口部を有する現像ケース55Yと、かかる開口部から感光体ドラム20Yに臨むよう感光体ドラム20Yに近接対向して配設された現像剤担持体としての現像ローラ51Yと、現像ローラ51Y上の現像剤を一定の高さに規制する剤規制部材としてのドクタである現像ブレード52Yとを有している。
【0075】
現像装置50Yはまた、現像ケース55Yの下部に互いに対向するように配設され、互いに逆方向に回転駆動されることで現像剤を攪拌するとともに現像ローラ51Yに現像剤を供給するための現像剤供給部材としての第1搬送スクリュ53Y及び第2攪拌スクリュ54Yと、第1搬送スクリュ53Yと第2搬送スクリュ54Yとの間に設けられた仕切り壁57Yと、仕切り壁57Yによって仕切られ第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yをそれぞれ収容した現像剤収容器としての現像剤収容部を構成する第1収容室58Y、第2収容室59Yとを有している。
【0076】
現像装置50Yはまた、イエロー色のトナーを蓄えるトナーホッパー80Yと、第2収容室59Yの底部に備えられ現像剤中のトナー濃度を測定するトナー濃度検知手段たるトナー濃度測定センサとしてのTセンサであるトナー濃度検知装置たるトナー濃度検知センサ56Yとを有している。
【0077】
現像装置50Yはまた、直流成分の現像バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段と、現像ローラ51Yを駆動する図示しない現像駆動手段と、第1搬送スクリュ53Yと第2搬送スクリュ54Yとを互いに逆方向に回転駆動する図示しない搬送駆動手段と、トナーをトナーホッパー80Yから第2収容室59Yに補給する図示しないトナー補給手段等を有している。
【0078】
現像ローラ51Yは、磁界発生手段としてのマグネットローラ81Yと、マグネットローラ81Yを内包し現像駆動手段により図中時計方向であるC1方向に駆動され移動する非磁性の現像スリーブ82Yとを有している。なお、本形態では現像ローラ51Yを現像剤担持体として説明しているが、現像スリーブ82Yが現像剤担持体であっても良い。
【0079】
マグネットローラ81Yは、図示を省略するが、現像ケース55Yに固定されたプラスチックローラと、プラスチックローラ84Yに埋め込まれた複数の磁極を形成する複数の磁石であるマグネットブロックとを有し、このマグネットブロックが、図2に示す位置に同図に示す極性の磁極を形成している。
【0080】
現像スリーブ82Yは、現像ケース55Y及びマグネットローラ81Yに回転自在に支持されている。現像スリーブ82Yは、バイアス印加手段により感光体ドラム20Yとの間に適当な大きさの現像バイアスを印加される。現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとが対向した対向領域である現像領域Dにおける現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとのギャップすなわち現像ギャップは、0.3±0.05mmとなるように設定されている。
【0081】
現像ブレード52Yは、SUS材料で形成されている。現像スリーブ82Yと現像ブレード52Yとのギャップすなわちドクターギャップは、0.5±0.04mmとなるように設定され、余分な現像剤を掻き取り、現像領域Dに適正量の現像剤が進入するようになっている。
【0082】
現像剤は、トナーとキャリアとを含む粉体状の2成分現像剤である。
キャリアは、磁性キャリアであり、芯材と、芯材表面に形成された樹脂被覆層とを有している。樹脂被覆層の層中には、基体粒子表面に二酸化スズ層と二酸化スズ層上に設けた二酸化スズを含む酸化インジウム層とからなる導電性被覆層を設けてなる導電性粒子が含有されている。
【0083】
トナーは、磁性トナーであるが非磁性トナーであってもよく、主として、結着樹脂、離型剤、着色剤で構成される。結着樹脂は、ビニル系重合体とポリエステル系重合体とを有するハイブリッド樹脂を含有している。離型剤の含有量に対するハイブリッド樹脂の含有量は、0.5〜3の範囲になるように形成されている。
【0084】
現像剤中のトナー濃度は、トナー濃度検知センサ56Yによる検知に基づき、制御手段による次に述べる制御によって、約4〜11重量%の所定の範囲内となるように制御され、キャリアに対するトナーの混合比率が常に適正値に保たれ、高品質の画像を得るのに寄与する。制御手段による制御とは、現像によるトナーの消費に伴ってトナー濃度が低下し、トナー濃度検知センサ56Yが、トナー濃度が上述の所定の範囲の下限値を下回ったことを検知したときに、トナーホッパー80Yからトナー補給手段により第2収容室59Yにトナーを補給させるものである。
【0085】
第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yは、現像ローラ51Yの幅方向言い換えると現像ローラ51Yの長手方向である図2における紙面に垂直な方向に延在するように配設されている。
【0086】
第1搬送スクリュ53Yは、搬送駆動手段によって回転駆動されることで、第1収容室58Y内の現像剤を図2における紙面奥側から手前側へと搬送しながら現像ローラ51Yに供給する。第1搬送スクリュ53Yによって第1収容室58Y内の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁57Yに形成された図示しない開口部を通って第2収容室59Y内に進入する。
【0087】
第2収容室59Y内において、第2搬送スクリュ54Yは、搬送駆動手段によって回転駆動されることで第1収容室58Yから送られてくる現像剤を第1搬送スクリュ53Yとは逆方向に搬送する。このとき、トナーホッパー80Yからトナーが補給された場合には、補給されたトナーを現像剤中に攪拌混合しながら搬送を行う。第2搬送スクリュ54Yによって第2収容室59Yの端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁57Yに設けられたもう一方の図示しない開口部を通って第1収容室58Y内に戻る。
【0088】
このようにして供給されたトナーは、第1搬送スクリュ53Y及び第2搬送スクリュ54Yによって、現像剤と攪拌搬送されながら攪拌混合され、摩擦帯電され、現像ローラ51Yに供給され担持される。
【0089】
現像ブレード52Yによって現像剤の担持量を規制され層厚を規制された現像ローラ51Yは、その回転及びバイアス印加手段による現像バイアスにより、現像領域Dに、現像ブレード52Yによって量を適量とされた現像剤を運び、現像剤中のイエロートナーが感光体ドラム20Yの表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像をイエロートナー像として可視像化するようになっている。
【0090】
現像によりイエロートナーを消費した現像剤は、現像ローラ51Yの回転に伴って現像装置50Y内に戻される。
本形態では、バイアス印加手段により直流成分の現像バイアスを印加しているが、現像バイアスは、交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
【0091】
このように、現像装置50Yにおいては、第1搬送スクリュ53Y及び第2搬送スクリュ54Yによって攪拌搬送された現像剤は、マグネットローラ81Yの磁力により汲み上げられて現像スリーブ82Yに担持されて現像領域Dまで搬送され、感光体ドラム20Y上の潜像に現像剤中のトナーが静電的に移行して供給され、現像すなわち潜像の可視像化が行われる。現像後のトナーを消費した現像剤は、現像スリーブ82Y表面から第1収容室58Y内に解放され、第1搬送スクリュ53Y及び第2搬送スクリュ54Yにより第1収容室58Y、第2収容室59Y内の現像剤と攪拌され、再び現像スリーブ82Y表面に汲み上げられるというサイクルを繰り返す。マグネットブロックはこのようなサイクルを繰り返すように配設されている。
【0092】
図3に示すように、現像領域Dでは、現像スリーブ82Yに担持された2成分現像剤が感光体ドラム20Yに接触した状態となっている。この、現像スリーブ82Yに担持された2成分現像剤が感光体ドラム20Yに接触している範囲を、現像ニップという。なお、後述するように、現像装置50Yにおける実際の現像ニップは図3に示した状態と異なる。
【0093】
ところで、図3に示した現像ニップにおける2成分現像剤の挙動を観察してみると、図4に示すようになっていた。同図において、白抜けの大きな丸はキャリアを示しており、黒塗りの小さな丸はトナーを示している。同図に示されているように、現像スリーブと感光体との間の現像ニップでは、2成分現像剤が現像スリーブ上に固定化された状態言い換えるとパッキングされた状態で担持されることに起因して、現像スリーブに担持された2成分現像剤のうち、実際に現像に寄与するのは、感光体側の表層部分に過ぎず、2成分現像剤によって形成される現像剤層のうち、感光体側の1〜2層部分のみが現像に寄与するに過ぎないことが分かっている。
【0094】
このような現象が生じるのは次の理由によると考えられる。すなわち、現像剤は現像スリーブによって感光体に対して速度差を持って搬送されているため、感光体近傍の現像剤は、感光体に摺擦されることにより、現像剤の一部であるトナーが移動しやすい状態であるといえる。一方感光体から離れた、つまりは現像スリーブ近傍の現像剤は、現像スリーブと感光体の速度差が生み出す摺擦力を受けづらく、現像剤の一部であるトナーは動きにくい状態となっている。よって、現像剤内のトナー全てに同じ電界が印加したとしても、トナーの可動性の観点から、表層の現像剤内のトナーが主に現像に寄与するにすぎない。
【0095】
さて、上述したように、現像ニップを搬送される現像剤のうち、現像に寄与する部分は表層1〜2層のみであるため、現像領域通過後の現像剤のトナー濃度を比較すれば、感光体付近の現像剤と現像スリーブ付近の現像剤で、トナー濃度が異なることになる。つまり、感光体付近の現像剤は、トナーが消費された状態となっているため、現像前と比較するとトナー濃度が低くなるが、現像スリーブ付近の現像剤は、トナーの消費がほとんどないため、トナー濃度は変化せず、よって現像剤はその厚み方向における位置によってトナー濃度が異なる状態となる。
【0096】
よって、現像ニップ中でトナー濃度が比較的高い現像スリーブ側の現像剤を感光体側へ移動させることができれば、トナーを十分に持ちトナー濃度の高い現像剤が感光体側へ移動するため、トナー濃度の高い現像剤による現像が再び行われ、現像に供されるトナー量が増える。つまり、現像効率が向上する。
【0097】
そこで、現像装置50Yでは、図5に示すように、現像領域Dにおける現像ローラ51Yと感光体ドラム20Yとの間の位置であって、現像領域Dにおいて現像ローラ51Yに担持された現像剤に埋没する位置に配置され、現像領域Dにおいて現像ローラ51Yに担持された現像剤に当接して現像剤を撹拌する撹拌部材としての現像剤整流部材86Y、87Yを、C1方向の上流から下流に向けてこの順で有している。
【0098】
現像剤整流部材86Y、87Yはそれぞれ、非磁性の材料たとえば高分子樹脂材料によってワイヤ状に形成され、現像ローラ51Yの幅方向において、現像ローラ51Yの配設範囲を含む範囲で延在するように、両端を現像ケース55Yに固定され張設されている。現像剤整流部材86Y、87Yはそれぞれ、現像ケース55Yに張設するのみで配設が完了するため、配設作業が容易に行われる。なお、同図においては、断面形状が円形の現像剤整流部材86Y、87Yを示しているが、断面形状はこれに限らず、多角形であっても良い。ただし、断面形状は円形である方が現像剤の流れに対する抵抗になりにくい。
【0099】
図6に示すように、C1方向上流側の現像剤整流部材86Yと感光体ドラム20Yとの間隔E1と、C1方向下流側の現像剤整流部材87Yと感光体ドラム20Yとの間隔E2とでは、間隔E2が間隔E1よりも大きくされている。また、間隔E1は、現像剤の層厚において2層以上の間隔とされている。同図において、間隔E3は、現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとの最近接位置における間隔を示している。間隔E3は、当然のことながら、間隔E1、E2よりも大きい。現像剤整流部材86Y、87Yはそれぞれ、現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとの最近接位置近傍におけるC1方向上流側、C2方向下流側に配設されている。
【0100】
この構成により、現像ブレード52Yを通過して、層厚を規制された現像剤は、現像スリーブ82Yの回転に伴い、現像領域Dまで搬送され、感光体ドラム20Yと現像スリーブ82Yの間隔が、現像剤の磁気穂の高さより小さくなった時点で、感光体ドラム20Yと接触し、現像バイアスにより、現像を行いながら、現像スリーブ82Yの回転に伴い、C1方向上流側の現像剤整流部材86Yの配置位置に至り、現像剤整流部材86Yによりその流量を規制されつつさらに搬送される。このとき、現像剤整流部材86Yと感光体ドラム20Yとの間を通過する現像剤量は、間隔E1により決定される。
【0101】
C1方向において現像剤整流部材86Yと現像剤整流部材87Yとの間の領域における現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとの間隔である間隔E3は、上述のように、間隔E1に対し、広くなっている。よって現像剤整流部材86Yと現像剤整流部材87Yとの間の領域では、現像剤整流部材86Yと感光体ドラム20Yとの間を通過した現像剤量に対し、十分なスペースが設けられているため、現像剤は移動しやすくなっており、かつ、マグネットローラ81Yの磁気力により、現像剤は現像スリーブ82Y側へ引き寄せられるため、現像剤整流部材86Yと感光体ドラム20Yとの間を通過した現像剤は、感光体ドラム20Yを離れ、撹乱されつつ現像スリーブ82Yに向けて移動する。現像スリーブ82Yに吸引された現像剤は、自身が持っている運動量及び現像スリーブ82Yの回転に伴い現像剤整流部材87Yに向けて搬送される。
【0102】
現像剤整流部材87Yに向けて搬送された現像剤は、現像剤整流部材87Yにより再びC1方向への移動を規制されるため、現像剤整流部材87YよりC1方向上流側で現像剤が溜まり始め、現像剤は感光体ドラム20Yに再度接触し、現像を行う。
【0103】
上述のように、間隔E2は間隔E1より大きくなっているため、C1方向において現像剤整流部材86Yと現像剤整流部材87Yとの間の領域における現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとの間の空間には、現像剤が滞留することがなく、現像剤の撹乱が良好に行われる。ただし、間隔E2が大きすぎると、現像剤整流部材87Y近傍で現像剤が感光体ドラム20Yに接触しなくなり現像が行われなくなるため、間隔E2は、現像剤整流部材87Y近傍で現像剤が感光体ドラム20Yに接触するように決定されている。
【0104】
このようにして、現像ローラ51Yに担持された現像剤は、現像スリーブ82YがC1方向に回転移動する過程で、現像剤整流部材86Y近傍、現像剤整流部材87Y近傍のそれぞれで、感光体ドラム20Yに接触し、現像剤密度の高い高密度領域である第1の現像ニップG1、第2の現像ニップG2を形成するとともに、これら現像ニップG1、G2の間には、現像剤の密度の低い低密度領域Hが形成される。
【0105】
現像ニップG1、G2では、現像剤がパッキングされた状態か、パッキングされたに近い状態となる。一方、低密度領域Hでは、現像剤が比較的自由に移動可能な状態となっている。
【0106】
なお、上記説明では、低密度領域Hでは現像剤が感光体ドラム20Yに接触しなくなる旨述べたが、低密度領域Hは、次に述べるように現像剤の撹乱、撹拌が行われる程度に現像剤の密度が低下していれば、現像剤は感光体ドラム20Yに接触していても良い。
【0107】
図7を参照して、現像ニップG1、G2、低密度領域Hを通過する過程における現像剤中のトナー濃度について説明する。
【0108】
現像ニップG1での現像に使用される前の現像剤のトナー濃度1Aと現像ニップG1での現像に使用された後の現像剤のトナー濃度1Bとでは、トナー濃度1Bの方が、トナー濃度1Aよりも低い。このとき、トナー濃度1Bの詳細について述べると、感光体側のトナーは、現像に使用されて感光体側へと移動し、そのトナー濃度は低くなっているが、現像スリーブ側のトナーは、移動しづらく現像に使用されにくいため、そのトナー濃度はほとんど変わらない。
【0109】
低密度領域Hでは、現像剤はパッキング状態から開放されるため移動しやすく、現像ニップG2に至るまでに、トナー濃度の比較的高い現像剤とトナー濃度の比較的低い現像剤が撹乱され、再撹拌される。
【0110】
したがって、現像ニップG2に到達した現像剤は、再撹拌され、トナー濃度が高い現像剤とトナー濃度が低い現像剤が混在され、トナー濃度が均一化されているため、感光体側のトナー濃度のみについて、現像ニップG2での現像に使用される前の現像剤のトナー濃度2Aを、トナー濃度1Bと比較すると、前者の方が相対的に高くなり、よって、現像ニップG2においても現像が比較的良好に行われる。そして、現像ニップG2通過後の現像剤のトナー濃度2Bは、現像ニップG2通過時におけるトナーの消費により、トナー濃度2Aと比較して低くなっている。
【0111】
結果として、現像ニップG1、G2でのトナー消費量の合計は、図3に示したような、現像領域Dにおいて現像剤がパッキング状態を維持される構成におけるトナー消費量に比べて、増加している。つまり、現像剤の密度に関して、高密度領域と低密度領域とを交互に形成して現像剤の撹拌を行うとともに、高密度領域を複数形成して撹拌された現像剤を現像に供することで、現像効率が向上している。なお、本形態では、撹拌部材を2つ設けることでかかる高密度領域を2つ設けているが、低密度領域と交互に形成するのであれば、撹拌部材を3つ以上設けることで高密度領域を3つ以上設けても良い。また、後述するように、1つの撹拌部材で複数の高密度領域を形成することも可能である。
【0112】
また、間隔E1は、現像剤の層厚において2層以上の間隔とされているため、現像ニップG1での現像が良好に行われるとともに、低密度領域Hにおける撹拌によって、感光体ドラム20Y側のトナー濃度が効率よく上昇し、全体としてのトナー消費率が向上する。すなわち、現像剤は、上述のように、その層厚の1〜2層程度に存在するトナーが現像に使用されるため、かりに、間隔E1での層厚が1層程度であると、トナー供給量が低下して現像性能が低下するが、間隔E1は、現像剤の層厚において2層以上の間隔とされているため、現像ニップG1においてトナーが効率よく現像に供され、現像が良好に行われる。また、現像ニップG1におけるトナー使用効率が高いため、現像ニップG1通過直後における感光体ドラム20Y近傍の現像剤中のトナー濃度は大きく低下するが、このトナー濃度の低下率が高い分、低密度領域Hにおける撹拌によるトナー濃度の上昇率が高く、トナー濃度が上昇した現像剤が現像ニップG2で現像に供されることで、全体としてのトナー消費率が向上し、現像効率が高くなっている。
【0113】
また、低密度領域Hは、間隔E2が間隔E1よりも大きいことによって確実に形成される。すなわち、C1方向において現像剤整流部材86Yと現像剤整流部材87Yとの間の領域における現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとの間の空間への現像剤の流入量と、同空間からの現像剤の流出量との関係について説明すると、流出量に対して流入量が多ければ、かかる空間における現像剤の密度は高い状態となって現像剤がパッキング状態となり、図3に示したのと同様の状態となるため、上述したような現像剤の撹拌が行われないこととなる。一方、かかる流入量、かかる流出量は、それぞれ間隔E1、E2の大きさによって左右され、間隔E1が大きいほどかかる流入量が増加し、また間隔E2が大きいほどかかる流出量が増加する。そうすると、現像装置50Yでは間隔E2が間隔E1よりも大きくなっているため、かかるパッキングが生じることはなく、低密度領域Hが形成される。そのため、上述の現像剤の撹拌が良好に行われ、良好な現像に寄与することとなる。
【0114】
なお、かかる流入量とかかる流出量とにおいて、かかる流入量がかかる流出量より大きいとパッキングを生じるため、パッキングが生じないためには、間隔E1は間隔E2以上となっていれば良い。また、上述のように高密度領域を3つ以上設けるときには、パッキングが生じないようにするために、C1方向において隣り合う高密度領域を形成する撹拌部材のうち、同方向において下流側の撹拌部材と感光体ドラム20Yとの間隔が、同方向において上流側の撹拌部材と感光体ドラム20Yとの間隔以上となるようにする。これは後述のように1つの撹拌部材で複数の高密度領域を形成する場合も同様である。
【0115】
ここで、低密度領域Hで現像剤を撹乱するためには、C1方向において現像剤整流部材86Yと現像剤整流部材87Yとの間の領域における現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとの間の空間をある程度の大きさに確保する必要がある。実際に実験を行ったところ、現像剤整流部材86Y、87Yの間隔が狭すぎると、現像剤の撹乱は起こらず、現像がパッキングされた状態で現像剤整流部材87Yまで搬送されてしまうことが確認され、現像剤整流部材86Y、87Yの間隔をある程度確保し、かかる空間をある程度の大きさに確保する必要があることが分かった。その一方で、現像剤整流部材87Yの配置位置をC1方向において下流側にしすぎてしまうと、感光体ドラム20Yへのキャリア付着等の観点から望ましくないことも分かった。この点、C1方向上流側の現像剤整流部材86Yを現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとの最近接位置よりもC1方向下流側に配置すると、C1方向下流側の現像剤整流部材87YはさらにC1方向下流側に配設せざるを得なくなり、かかるキャリア付着等の観点において好ましくない。そのため、下流の整流部材は、さらに下流に配置せざるを得なくなり、ある領域よりも下流に配置すると、キャリア付着などが懸念されるため、少なくとも1つは上流側に配置することが望ましい。そこで、C1方向上流側の現像剤整流部材86Yは、現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとの最近接位置よりもC1方向上流側に配置している。なお、上述のように高密度領域を3つ以上設けるときにも、同様の理由により、その少なくとも1つを構成する撹拌部材を、現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとの最近接位置よりもC1方向上流側に配置することが望ましい。これは後述のように1つの撹拌部材で複数の高密度領域を形成する場合も同様である。
【0116】
また、現像剤整流部材86Y、87Yを非磁性の材料で構成したことにより、現像剤整流部材86Y、87Y近傍で磁気的拘束力による現像剤溜りが形成されることがないため、間隔E1、E2において現像剤の流れ、移動が妨げられることがなく、結果、現像が良好に行われることとなる。
【0117】
図8に、撹拌部材の変形例を示す。同図に示されている現像剤整流部材88Yは、上述の現像剤整流部材86Y、87Yにそれぞれ対応する撹拌部としての現像剤整流部88aY、88bYを一体に有する部材となっているが、全体が非磁性の材料で構成されており、また現像剤整流部88aY、88bYはそれぞれ、感光体ドラム20Yとの間隔がE1、E2とされ、E1≦E2を満たし、現像ニップG1、G2、低密度領域Hを形成するなど、現像剤整流部材86Y、87Yと同様の機能を備えている。このように、撹拌部材は、種々の形態をとることができ、高密度領域を3つ以上形成する場合には、現像剤整流部材86Y、87Y、88Yを適宜組み合わせて用いても良い。
【0118】
このような構成の画像形成装置100において、複写を行うときには、自動原稿給紙装置22に原稿をセットするか、自動原稿給紙装置22を上方に回動してコンタクトガラス21a上に原稿を載置したうえで自動原稿給紙装置22を下方に回動して閉じ原稿を押さえた状態としたうえで、操作パネルのスタートボタンを押下する。なお、自動原稿給紙装置22にセットされる原稿は、たとえば束状のシート原稿であり、コンタクトガラス21a上にセットされる原稿は、たとえば本状に綴じられている片綴じ原稿である。画像形成装置100をプリンタとして使用する場合には、画像形成装置100に接続したPC等の外部入力装置において画像形成を行う画像データを選択、入力等したうえで画像形成開始の操作を行う。
【0119】
複写を行う場合であって、原稿を自動原稿給紙装置22にセットした場合には、セットした原稿がコンタクトガラス21a上に送り出されてから読取装置21による原稿の読み取りが行われ、また、原稿をコンタクトガラス21a上に載置したときにはスタートボタンの押下によって読取装置21による原稿の読み取りが行われ、画像データが生成される。
【0120】
生成された画像データ又は入力された画像データに基づいて、上述の構成の画像ステーション60Y、60M、60C、60BKが作動する。また、かかる原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ95Y、95M、95C、95BK内の各機器や、転写ベルトユニット10、2次転写ユニット76、定着装置6等がそれぞれ駆動を開始する。
【0121】
画像ステーション60Yにおいては、感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電装置30Yにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からの、変調及び偏向されたレーザー光Lの露光走査により、露光部言い換えると照射部における感光体ドラム20Yの電位が減衰してイエロー色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置50Yによりイエロー色のトナーにより良好に現像され、現像により得られたイエロー色のトナー像を1次転写ローラ12Yによって形成される一次転写電界、ニップ圧によりA1方向に移動する転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留したトナーを含む不要物をクリーニング装置40Yにより除去されて帯電装置30Yによる次の除電、帯電に供され初期状態に戻される。
【0122】
他の感光体ドラム20C、20M、20BKにおいても同様に各色のトナー像が良好な現像により良好に形成等され、形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ12C、12M、12BKにより、A1方向に移動する転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像によって構成された4色重ね合わせトナー像すなわち4色トナー像は、転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ5との対向位置である2次転写ニップまで移動し、転写紙に2次転写され、転写紙上にフルカラー画像が担持される。
【0123】
転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に搬送されてきた転写紙は、シート給送装置23の1つの給送ローラ24が選択されこの回転によって対応する給紙カセット25から繰り出されてフィードされたものであるか、または、手差し給紙装置33の給送ローラ35の回転によって手差しトレイ34から繰り出されてフィードされたものであるか、または、両面ユニット96から給紙ローラ95によって繰り出されてフィードされたものであるかの何れかであって、レジストローラ対13によって、センサによる検出信号に基づいて、転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ベルト5に対向するタイミングで送り出されたものである。かかるフィード動作は、上述の原稿読取動作と略同時に開始される。
【0124】
転写紙は、すべての色のトナー像を転写され、担持すると、定着装置6に進入し、定着ベルト64と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、転写紙上にカラー画像が形成される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙は、切換爪94の態位に応じて、排紙ローラ98を経て排紙トレイ75上にスタックされるか、または搬送ローラ97を経て両面ユニット96に進入して両面画像形成に備える。一方、2次転写を終えた転写ベルト11は、中間転写ベルトクリーニング装置14によってこれに残留する残留トナー等を除去されてクリーニングされ、次の画像形成に備える。
【0125】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0126】
たとえば、画像形成装置は、いわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することができる。画像形成装置は、モノカラー画像のみを形成可能なものであっても良い。
【0127】
いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写体を用いず、各色のトナー像を転写紙S等のシートに直接転写しても良い。この場合、複数の像担持体上のトナー像は、シートがたとえば搬送ベルトによって搬送される過程で、直接、同シートに転写される。
【0128】
画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機でなく、これらの単体であっても良いし、その他、複写機とプリンタとの複合機等の他の組み合わせの複合機であっても良い。
なお、撹拌部材は、〔背景技術〕の欄で述べた技術、たとえば磁極の配置を利用する技術との組み合わせで用いることも可能である。
【0129】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられた複数の像担持体のうち1つの像担持体周りの構成を示す概略正面図である。
【図3】現像ニップの参考図である。
【図4】現像ニップにおけるトナー消費の概念図である。
【図5】図2に示した現像装置に備えられた撹拌部材及びこの周辺の現像剤の挙動の概略を示す概略正面図である。
【図6】図5に示した撹拌部材と像担持体との距離を示す概略正面図である。
【図7】図5に示した現像装置におけるトナー消費の概念図である。
【図8】図5に示した撹拌部材の変形例を示す概略正面図である。
【符号の説明】
【0131】
20Y、20M、20C、20BK 像担持体
50Y、50M、50C、50BK 現像装置
51Y 現像剤担持体
86Y、87Y、88Y 撹拌部材
100 画像形成装置
C1 現像剤担持体の移動方向
D 対向領域
E1 現像剤担持体の移動方向において上流側の撹拌部材と像担持体との間隔
E2 現像剤担持体の移動方向において下流側の撹拌部材と像担持体との間隔
G1、G2 高密度領域
H 低密度領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向して配置され2成分現像剤を担持して移動する現像剤担持体と、
この現像剤担持体が像担持体に対向する対向領域における同現像剤担持体と像担持体との間の位置であって、前記対向領域において同現像剤担持体に担持された2成分現像剤に埋没する位置に配置され、前記対向領域において同現像剤担持体に担持された2成分現像剤に当接して同2成分現像剤を撹拌する撹拌部材とを有する現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記撹拌部材は、前記現像剤担持体の移動方向に沿って、像担持体との間に2成分現像剤の密度の高い高密度領域と2成分現像剤の密度の低い低密度領域とを交互に形成することで、前記対向領域において同現像剤担持体に担持された2成分現像剤を撹拌するものであり、前記高密度領域を前記移動方向に沿って複数形成することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像装置において、
前記高密度領域のうち、前記移動方向において最下流に位置する高密度領域以外の高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔は、2成分現像剤の層厚において少なくとも2層以上の間隔であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の現像装置において、
前記高密度領域であって前記移動方向において互いに隣り合う高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔は、同移動方向において下流側の高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔が同移動方向において上流側の高密度領域における前記攪拌部材と像担持体との間隔以上となっていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項2ないし5の何れか1つに記載の現像装置において、
前記高密度領域のうち少なくとも1つは、前記移動方向において、前記現像剤担持体が像担持体に最も近接する位置よりも上流側に位置していることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の現像装置において、
前記撹拌部材が非磁性であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の現像装置を有する画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の現像装置、または、請求項7記載の画像形成装置を用いて画像形成を行う画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−8964(P2010−8964A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171596(P2008−171596)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】