説明

現像装置および画像形成装置

【課題】現像装置が、高温高湿環境に長時間放置された場合においても、現像剤層厚規制部材への現像剤の融着を防止する手段を提供する。
【解決手段】現像剤と、現像剤を担持する現像剤担持体と、現像剤担持体上に担持された現像剤の層厚を所定層厚に規制する板状の現像剤層厚規制部材と、現像剤層厚規制部材の一端を曲折して形成された先端曲折部と、現像剤層厚規制部材の先端曲折部の反対側の端部を固定する固定部材とを備えた現像装置において、現像剤層厚規制部材を、先端曲折部と固定部材との間の中間部で現像剤担持体を押圧する初期位置と、先端曲折部で現像剤担持体を押圧する使用位置とに移動させる移動機構を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式のプリンタによって用紙上に画像を形成する場合は、画像形成ユニットの感光体ドラム上に帯電および露光によって形成した静電潜像に、現像ローラ上に現像ブレードの先端曲折部による押圧により形成したトナー層を付着させてトナー像を形成し、このトナー像を転写ローラによって用紙上に転写し、用紙上に転写されたトナーを定着装置で加熱、加圧により溶融させて用紙に定着させている。
【0003】
このような画像形成ユニットは、輸送条件等によっては、高温の環境下に放置される場合あり、高温の環境下で長期間保管されると、トナーが画像形成ユニット内の各部材に融着(トナーが融けて固まった状態をいう。)して印刷品質の低下が生ずる。
このため、従来のプリンタにおいては、トナーカプセルの最外層をガラス転位温度が75℃以上の樹脂で形成したトナーを用いて、画像形成ユニット内の各部材へのトナーの融着を防止している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、近年のプリンタの印刷速度の高速化の進展に伴い、トナーには低温定着化が求められ、トナーをより低融点化した低融点トナーが用いられるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−242355号公報(段落0003、0017、0051−0052、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術においては、トナーに高ガラス転移点の樹脂を用いて画像形成ユニット内の各部材へのトナーの融着を防止しているため、近年の印刷速度の高速化に対応できないという問題がある、
すなわち、低融点トナーを用いた画像形成ユニットは、工場出荷後の輸送状態等によって長期間高温高湿環境で保管された場合、現像ブレードの先端曲折部と現像ローラとの押圧部において、トナーが現像ブレードに融着し、それによって現像ローラ上へのトナー層の形成が不均一になり、用紙上に形成された画像に縦筋等の画像不良が発生し、印刷品質が低下するという問題が生ずる。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、現像装置としての画像形成ユニットが、高温高湿環境に長時間放置された場合においても、現像剤層厚規制部材としての現像ブレードへの現像剤としてのトナーの融着を防止する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、現像剤と、前記現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体上に担持された現像剤の層厚を所定層厚に規制する板状の現像剤層厚規制部材と、前記現像剤層厚規制部材の一端を曲折して形成された先端曲折部と、前記現像剤層厚規制部材の前記先端曲折部の反対側の端部を固定する固定部材とを備えた現像装置において、前記現像剤層厚規制部材を、前記先端曲折部と前記固定部材との間の中間部で前記現像剤担持体を押圧する初期位置と、前記先端曲折部で前記現像剤担持体を押圧する使用位置とに移動させる移動機構を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明は、低融点現像剤を用いた現像装置の輸送時等の初期状態において、現像剤層厚規制部材を初期位置として高温高湿環境に長時間放置されたとしても現像剤の融着を防止することができると共に、印刷動作時に現像剤層厚規制部材を使用位置へ移動させて先端曲折部により現像剤担持体を所定の押圧力で押圧することができ、現像剤担持体上に所定層厚の均一な現像剤層の形成を可能として、低融点現像剤を用いた高速印刷においても良好な印刷品質の画像を得ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の画像形成装置の構成を示す説明図
【図2】実施例1の現像ブレードの外観を示す説明図
【図3】実施例1の現像ブレードの側面を示す説明図
【図4】実施例1の移動機構の初期位置の状態を示す説明図
【図5】実施例1の初期位置における現像ローラの近傍を示す説明図
【図6】実施例1の移動機構の使用位置の状態を示す説明図
【図7】実施例1の使用位置における現像ローラの近傍を示す説明図
【図8】実施例1の画像形成ユニットの左側面を含む外観を示す説明図
【図9】実施例1の画像形成ユニットの右側面を含む外観を示す説明図
【図10】実施例1の現像ブレードの初期位置における作用を示す説明図
【図11】実施例1の現像ブレードの使用位置における作用を示す説明図
【図12】実施例1の比較試験1における現像ブレードの作用を示す説明図
【図13】実施例1の比較試験2における現像ブレードの作用を示す説明図
【図14】実施例1の現像ブレードの他の形態を示す説明図
【図15】実施例2の画像形成ユニットの構成を示す説明図
【図16】実施例2の移動機構の作用を示す説明図
【図17】実施例3の画像形成ユニットの構成を示す説明図
【図18】実施例3の移動機構の作用を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して本発明による現像装置および画像形成装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー電子写真方式のプリンタであり、その装置下部には、内部に記録紙としての用紙Sを積層した状態で収納した用紙カセット2が着脱自在に装着されている。
【0013】
用紙カセット2に収納されている用紙Sは、その最上部から一枚ずつ繰出されて用紙搬送路3によって画像形成部4に搬送され、その用紙Sには画像形成部4の各画像形成ユニット5により形成された各色の現像剤像としてのトナー像が転写部6によって転写され、用紙S上に転写されたトナー像は定着装置7により定着された後に、更に用紙搬送路3により搬送されて、装置上面に設けられたスタッカ8上へ排出される。
【0014】
画像形成部4は、用紙搬送路3の用紙Sの搬送方向(用紙搬送方向という。)に沿ってトナー像を現像する順に搬送ベルト11上に着脱自在に配置された4つの現像装置としての画像形成ユニット5c、5y、5m、5kと、各画像形成ユニット5により形成されたトナー像を用紙Sの上面にクーロン力により転写する転写部6から構成される。
【0015】
転写部6は、用紙Sを静電吸着して搬送する搬送ベルト11、図示しない駆動部により回転駆動され搬送ベルト11を駆動するドライブローラ11a、ドライブローラ11aに対向配置されて搬送ベルト11を張架するテンションローラ11b、各画像形成ユニット5の後述する各感光体ドラム21に対向配置され、トナー像を用紙Sに転写するよう電圧を印加する転写ローラ12、搬送ベルト11上に付着したトナーを掻き取って除去するベルトクリーニングブレード13、ベルトクリーニングブレード13により掻き取られ回収された廃棄トナーを収容する廃棄トナータンク14から構成される。
【0016】
定着装置7は、図示しない温度制御手段によって制御されて所定の表面温度に保たれる発熱ローラ16、発熱ローラ16との間で用紙Sを押圧する加圧ローラ17、加圧ベルト18を備えている。
【0017】
上記した4つの画像形成ユニット5c、5y、5m、5kは全て同じ構成であり、使用される現像剤としてのトナーの色が、シアン(Cy)、イエロー(Ye)、マゼンタ(Ma)、ブラック(Bk)であることのみが異なる。
【0018】
本実施例の画像形成部4には、上記したように、シアン(Cy)、イエロー(Ye)、マゼンタ(Ma)、ブラック(Bk)の各色のトナーを収容した現像剤収容体としてのトナーカートリッジ20が装着された4つの画像形成ユニット5c、5y、5m、5kが設けられており、これら4つの画像形成ユニット5は、基本的に同一の構造であるので、その内の一つについて以下に説明する。
【0019】
画像形成ユニット5は、感光体ドラム21、およびその周囲に配置された帯電ローラ22、現像ローラ23、供給ローラ24、現像ブレード25、クリーニングブレード26を有しており、感光体ドラム21は、図1において時計方向に回転し(この回転方向を用紙搬送回転方向という。)、帯電ローラ22と現像ローラ23は、感光体ドラム21の表面に接触して感光体ドラム21と逆方向に回転し、供給ローラ24は現像ローラ23を押圧しながら現像ローラ23と同方向に回転し(図7参照)、クリーニングブレード26は感光体ドラム21の外周面に摺接している。
【0020】
27は露光手段としての露光ヘッドであり、LED(Light Emitting Diode)素子とレンズアレイを有してLED素子から出力される照射光が感光体ドラム21の表面に結像する位置に対向配置されており、画像信号に対応した光を感光体ドラム21の表面に照射して感光体ドラム21上に静電潜像を形成する機能を有している。
【0021】
静電潜像担持体としての感光体ドラム21は、導電性支持体と光導電層によって構成され、導電性支持体としてのアルミニウムの金属パイプに、光導電層としての電荷発生層および電荷輸送層を順次積層して形成された感光体である。
【0022】
本実施例の感光体ドラム21としては、アルミニウム等の導電性基体素管上に、セレン、非晶質シリコン等の感光層を設けた無機感光体ドラムや、バインダー樹脂中に電荷発生剤や電荷輸送剤を分散させた有機感光層を設けた有機感光体ドラム等が使用される。
【0023】
帯電手段としての帯電ローラ22は、金属製のシャフトに半導電性エピクロロヒドリンゴム等の半導電性ゴム層を被覆して形成された円柱状部材であって、感光体ドラム21の表面を一様均一に帯電させる機能を有している。
【0024】
現像剤担持体としての現像ローラ23は、金属製のシャフトの外周面に半導電性ウレタンゴム層等の弾性体層を被覆して形成された円柱状部材であって、露光ヘッド27により感光体ドラム21上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する機能を有している。
【0025】
転写手段としての転写ローラ12は、搬送ベルト11を介して感光体ドラム21を押圧した状態で対向配置されており、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像を用紙S上に転写する機能を有している。
【0026】
現像剤供給体としての供給ローラ24は、金属製のシャフトに半導電性発泡シリコンスポンジ層を被覆して形成された円柱状部材であって、トナーカートリッジ20から補給されたトナーを現像ローラ23に供給する機能を有している。
【0027】
現像剤除去部材としてのクリーニングブレード26は、感光体ドラム21の長手方向に沿って平行に配置され、その先端部が感光体ドラム21の表面を押圧するようにその根元部分が画像形成ユニット5のベースフレーム28に取付けられて固定され、その先端部が感光体ドラム21の外周面に摺接しており、感光体ドラム21の回転に伴ってその表面上に残留したトナーを掻き取って除去する。
【0028】
現像剤層厚規制部材としての現像ブレード25は、図2、図3に示すように、現像ローラ23の軸方向長さと同等の長手方向長さを有する矩形のステンレスやリン青銅等の板バネ材の短手方向の一端を、所定の曲げ角度θでL字状に曲折して形成された板状部材であって、その長手方向を現像ローラ23の軸方向と平行にして、現像ローラ23と供給ローラ24との押圧部の現像ローラ23の回転方向の下流側に配置されており、先端の曲げR部(先端曲折部30という。)の半径方向外側の面で、現像ローラ23の外周面を所定の押圧力で押圧して、現像ローラ23の表面上のトナー厚を所定層厚に薄層化した現像剤層としてのトナー層を形成する機能を有している(図7参照)。
【0029】
また、現像ブレード25の先端曲折部30の反対側の端部には、固定部材31、32を取付けるための固定領域(図2に示すハッチング部)が設定されている。
【0030】
本実施例の現像ブレード25は、厚さt=0.08mm、縦弾性係数E=193GPaのステンレス鋼板(SUS304)からなる板バネを用いて成形され、固定部材31、32による固定端から先端曲折部30までの長さである自由端長L1=16.0mm、先端曲折部30の曲げR=0.20mm、先端曲折部30からの曲げ部分の先端までの長さL2=1.5mm、長手方向長さL3=221mm、曲げ角度θ=90度に形成されている。
【0031】
固定部材31は、図3に示すように、現像ブレード25の長手方向長さより長い長手方向長さを有するV字状断面形状の板状部材であって、固定部31aと、固定部31aから鋭角に曲折させて形成された係止部31bとが設けられている。
【0032】
固定部材32は、固定部材31の長手方向長さより長い長手方向長さを有するL字状断面形状の板状部材であって、固定部32aと、固定部32aから直角に曲折させて形成されたガイド部32bとが設けられており、その長手方向の両端部には、それぞれ当接部32cが形成されている(図4参照)。
【0033】
本実施例の画像形成ユニット5には、現像ブレード25の移動機構33が設けられており、現像ブレード25は固定領域を固定部材31、32のそれぞれの固定部31a、32aとの間に挟まれ固定された状態で、画像形成ユニット5の内部で図4、図5に示す初期位置から、図6、図7に示す使用位置まで移動可能に構成されている。
【0034】
図4、図5において、34は移動機構33のガイドレールであり、斜面34aが形成されたブロック部材であって、画像形成ユニット5のベースフレーム28の長手方向の両端部に配置され、これらの間に固定部材32のガイド部32bが挿入される。
【0035】
36は移動機構33の位置決め部材であり、ガイドレール34の間に現像ブレード25の長手方向と平行に配置された直方体状のブロック部材であって、固定部材31の係止部31bが当接して現像ブレード25の使用位置における位置決めを行う機能を有している。
【0036】
37は移動機構33のレバーであり、固定部材32の当接部32cの端部と画像形成ユニット5の側面38との間に配置された回動軸37aを中心に回動し、その一端で当接部32cを下方から押上げて現像ブレード25を初期位置から使用位置へ移動させる機能を有しており、回動軸37aを挟んだ反対側の端部は、現像ブレード25の初期位置において画像形成ユニット5の側面38から外部に突出している。
【0037】
なお、本実施例の初期位置は、工場出荷時、輸送時等の画像形成ユニット5の使用前の初期状態における現像ブレード25の位置であって、図5に示すように、現像ブレード25の先端曲折部30と固定部部材31、32の固定部31a、32aとの間の中間部で現像ローラ23の外周面を押圧する位置のことをいう(この状態の現像ブレード25をハラ当て状態という。)。
【0038】
また、使用位置は、プリンタ1の印刷動作を行うときの現像ブレード25の位置であって、図7に示すように、現像ブレード25の先端曲折部30で現像ローラ23の外周面を所定の押圧力で押圧する位置のことをいう。
【0039】
上記のレバー37は、工場出荷時、輸送時等の初期状態における現像ブレード25の初期位置においては、レバー37の固定部材32の当接部32cと当接する側と回動軸37aを挟んだ反対側の端部が、図8に示すように、画像形成ユニット5長手方向の両側の側面38から外部に突出しており(図4参照)、その端部を、図9に示すように、プリンタ1への装着前に画像形成ユニット5の内部へ押込むと、図6に示すように、レバー37が回動軸37aを中心に回動して固定部材32の当接部32cを上方へ押上げ、ガイドレール34の斜面34aに沿ってガイド部32bに長手方向を案内されながら固定部材32が上方へ移動し、固定部材31の係止部31bが位置決め部材36に当接したときに現像ブレード25が使用位置で停止してその先端曲折部30で現像ローラ23の外周面を所定の押圧力で押圧し、印刷動作におけるトナーの薄層化が可能になる。
【0040】
以下に、トナーについて説明する。本実施例のトナーは、少なくとも結着樹脂を含有する母粒子に無機微粉体や有機微粉体等が適宜表面処理されたものである。
この結着樹脂としては、特に限定するものではないが、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、またはスチレン−ブタジエン系樹脂等公知のものが挙げられる。
トナーは、結着樹脂に対して以下のような着色剤、離型剤、帯電制御剤、処理剤等公知のものが適宜混合または表面処理される。
【0041】
着色剤としては、特に限定するものではないが、従来のブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を単独もしくは複数種併用して使用することができ、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、パーマネントブラウンFG、ピグメントグリーンB、ピグメントブルー15:3、ソルベントブルー35、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾイエロー、イソインドリン等公知のものが挙げられる。この着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して2〜25重量部、好ましくは2〜15重量部添加される。
【0042】
離型剤としては、特に限定するものではないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、パラフィンワックス、カルナバワックス等公知のものが挙げられる。そして含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜12重量部添加されるのが効果的であり、また複数種のワックスを併用してもよい。
【0043】
帯電制御剤としては、特に限定するものではないが、例えば、正帯電性トナーの場合には4級アンモニウム塩系帯電制御剤、負帯電性トナーの場合には、アゾ系錯体帯電制御剤、サリチル酸系錯体帯電制御剤、カリックスアレン系帯電制御剤等公知のものが挙げられる。この帯電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部添加される。
【0044】
処理剤は、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保管性向上のために添加され、シリカ、チタニア、アルミナ等公知のものを用いることができ、処理剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜8重量部添加される。
【0045】
本実施例で用いたトナーは、結着樹脂(ポリエステル樹脂、軟化温度T1/2=110℃)を100重量部として、帯電制御剤としてボントロンE−84(オリエント化学工業社製)を0.5重量部、着色剤として銅フタロシアニン(大日精化工業社製)4.0重量部、離型剤としてカルナウバワックス(加藤洋行社製、カルナウバワックス1号粉末)4.0重量部、をヘンシェルミキサーにて混合した後、二軸押出機により溶融混練し、冷却後、直径2mmのスクリーンを有するカッターミルで粗砕化した後、衝突板式粉砕機を用いて粉砕し、更に風力分級機を用いて分級を行い、トナー母粒子を得た。次に外添工程として、得られたトナー母粒子を100重量部に対し、疎水性シリカR972(日本アエロジル社製、平均粒径16nm)を3.0重量部加え、ヘンシェルミキサーで3分間攪拌を行うことで、平均粒径5.9μmのシアン色のトナーを得る。トナーの平均粒径は粒度分布測定装置(コールターマルチサイザー3、ベックマン・コールター株式会社製、アパチャー径100μm)にて測定できる。
【0046】
また、使用する着色剤の種類を変えることで、ブラック色、マゼンタ色、イエロー色のトナーを得ることができる。
以下に、上述した構成を有するプリンタ1の印刷動作について説明する。
【0047】
感光体ドラム21は、図示しない駆動手段により用紙搬送回転方向(図1において時計方向)に一定周速度で回転し、感光体ドラム21の表面に接触して設けられた帯電ローラ22は逆方向に回転しながら、図示しない帯電ローラ用高圧電源によって供給される直流電圧を感光体ドラム21の表面に印加し、この表面を一様均一に帯電させる。
【0048】
次に、感光体ドラム21に対向して設けられた露光ヘッド27によって、画像信号に対応した光が感光体ドラム21の一様均一に帯電された表面に照射され、光照射部分の電位を光減衰して感光体ドラム21上に静電潜像が形成される。
【0049】
また、トナーは、図示しない供給ローラ用高圧電源によって電圧が印加された供給ローラ24より、感光体ドラム21に接触して配置されている現像ローラ23に供給される。
【0050】
この現像ローラ23には、図示しない現像ローラ用高圧電源によって電圧が印加されており、現像ローラ23は供給ローラ24により供給されたトナーを吸着して図7に示す矢印方向(感光体ドラム21と逆方向)に回転搬送する。
【0051】
この回転搬送の過程で、供給ローラ24の下流側に現像ローラ23を押圧して配置された現像ブレード25は、現像ローラ23が回転することで現像ローラ23の表面に付着したトナーから余分な部分を掻き取る。これにより現像ローラ23上の、現像ブレード25の先端曲折部30による押圧部より現像ローラ23の回転方向下流側では、現像ローラ23の表面に均一に薄層化されたトナー層が形成され、そのトナー層は感光体ドラム21へ搬送される。
【0052】
感光体ドラム21と現像ローラ23間には高圧電源によってバイアス電圧が印加されているため、現像ローラ23と感光体ドラム21の間には、感光体ドラム21に形成された静電潜像に伴う電気力線が発生する。このため、現像ローラ23上の帯電したトナーは、静電気力により感光体ドラム21上の静電潜像部分に付着し、この部分が現像されてトナー像が形成される。なお、感光体ドラム21の回転開始で始まるこの現像プロセスは、後述する所定のタイミングで開始される。
【0053】
一方、用紙カセット2に収容された用紙Sは、用紙カセット2から図示しない用紙ガイドに沿って一枚ずつ繰出されて用紙搬送路3により搬送され、ドライブローラ11aによって回転する搬送ベルト11へ搬送される。なお、上述した現像プロセスは、用紙Sが搬送ベルト11へ搬送される間の所定のタイミングで開始される。
【0054】
シアン(Cy)の画像形成ユニット5cに、搬送ベルト11に静電吸着されて搬送された用紙Sが達すると、その感光体ドラム21に対向配置され、図示しない転写ローラ用高圧電源から電圧が印加された転写ローラ12によって、用紙S上に上記した現像プロセスによって感光体ドラム21上に形成されたシアンのトナー像が転写される転写プロセスが行われる。
【0055】
その後、用紙Sは搬送ベルト11上を用紙搬送方向に更に搬送され、画像形成ユニット5cおよび転写ローラ12による現像プロセスおよび転写プロセスと同様にして、他の画像形成ユニット5と転写ローラ12によってイエロー、マゼンダ、ブラックの各トナー像が、順次に用紙S上に転写される。
【0056】
各色のトナー像が転写された用紙Sは定着装置7へ搬送され、その用紙Sが所定の表面温度に保たれて図1において時計方向に回転する発熱ローラ16と、その逆方向に回転する加圧ローラ17、加圧ベルト18の間へ搬送されると、発熱ローラ16の熱によって用紙S上のトナー像が溶融され、用紙S上で溶融したトナー像は発熱ローラ16と加圧ローラ17、加圧ベルト18との押圧部で加圧されて用紙Sに定着される。
トナー像が定着された用紙Sは、用紙搬送路3を更に用紙搬送方向に搬送され、プリンタ1のスタッカ8上へ排出される。
【0057】
上記した転写プロセスにおいて、転写後の感光体ドラム21の表面には、若干のトナーが残留する場合がある。この残留したトナーは、感光体ドラム21の回転によって、感光体ドラム21の表面上に摺接するクリーニングブレード26によって除去され、クリーニングされた感光体ドラム21は繰り返し使用される。
【0058】
また、連続通紙時の用紙S間等では、各画像形成ユニット5の感光体ドラム21から一部の帯電不良のトナーが搬送ベルト11に転写される場合がある。この搬送ベルト11に転写されたこのトナーは、搬送ベルト11が回転することによってベルトクリーニングブレード13へ運ばれ、ベルトクリーニングブレード13によって搬送ベルト11から除去されて廃棄トナータンク14に収容され、クリーニングされた搬送ベルト11は繰り返し使用される。
【0059】
次に、本実施例の現像ブレード25の作用について説明する。
上記したように、画像形成ユニット5の出荷時等の初期状態では、現像ブレード25は、図5に示す初期位置、つまり現像ブレード25は、トナーを介して現像ブレード25の中間部で現像ローラ23を押圧するハラ当て状態になっている。
【0060】
また、画像形成ユニット5の使用時においては、図7に示すように、移動機構30によって現像ブレード25を固定部材31、32とともに上部の使用位置へ移動させ、現像ブレード25の先端の曲げR部である先端曲折部30で現像ローラ23の外周面をトナーを介して押圧した状態になっている。
上記のハラ当て状態におけるトナーの現像ブレード25の中間部への融着についての評価を行うために、評価試験を実施した。
【0061】
この評価試験は、現像ブレード25と現像ローラ23とを、図10に示すように初期位置におけるハラ当て状態で配置し、ガラス転移温度53℃のトナーと、弾性体層のアスカーC硬度75度の現像ローラ23を組込んだ画像形成ユニット5を、輸送時における最も高温高湿の環境を想定した環境温度50℃、湿度55%の恒温槽(タバイエスペック製、PL−3KPH型)に30日間放置し、30日経過後に取出して更に環境温度25℃、湿度55%の環境で1日放置し、その放置試験後の印刷開始時に両側のレバー37を押し込んで、図11に示すように現像ブレード25の先端曲折部30で現像ローラ23を押圧する使用位置に移動させ、A4サイズ全面ベタ印刷およびハーフトーン印刷をすることによって行った。この評価試験の結果は、画像不良のない非常に良好な印刷画像であった。
【0062】
なお、トナーのガラス転移温度は、SII製DSC6220によってトナー5mg、開始温度−50℃、リミット温度200℃、昇温速度10℃/分、ホールド時間2分、1回昇温時、の条件で測定した。また、現像ローラ23の弾性体層のアスカーC硬度は、高分子計器株式会社製アスカーゴム硬度計C型によって長手方向に等間隔で10箇所測定した硬度の平均値である。
【0063】
一般に、現像ローラ23と現像ブレード25との押圧部における圧力Pは、
P =(E×t×δ)/(4L×h)(単位:Pa) ・・・・・・・(1)
で算出される。
【0064】
ここに、δは現像ブレード25のたわみ量(単位:mm)、hは現像ローラ23と現像ブレード25の押圧部長さ(単位:mm、図10参照)、Lは固定部材31、32による固定端から押圧部の中心までの長さである有効長(単位:mm、図10参照)、Eは縦弾性係数(単位:GPa、本実施例ではE=193GPa)、tは現像ブレード25の厚さ(単位:mm、本実施例ではt=0.08mm)である。
【0065】
本評価試験の初期位置(ハラ当て状態)での現像ローラ23と現像ブレード25との押圧部における圧力Phは、たわみ量δ=2.9mm、有効長L=13.0mm、押圧部長さh=4.0mmに設定されているので、Ph=8.2kPaとなる。
【0066】
また、使用位置(先端曲折部30による押圧時)での現像ローラ23と現像ブレード25との押圧部における圧力Psは、たわみ量δ=2.6mm、有効長L=16.0mm、押圧部長さh=1.0mmに設定されているので、Ps=15.7kPaとなり、初期位置での圧力Phは、使用位置での圧力Psの約0.52倍であったと考えられる。
【0067】
上記した評価試験との比較のために、以下に示す比較試験1および比較試験2を実施した。
比較試験1は、現像ブレード25と現像ローラ23とを、使用位置での先端曲折部30による押圧状態で配置し、他は評価試験と同様の試験条件にて放置試験を行い、その放置試験後に、A4サイズ全面ベタ印刷およびハーフトーン印刷をすることによって行った。この比較試験1の結果は、ベタ画像、ハーフトーン画像ともに印刷画像上に白い縦筋が無数に発生し、画像不良であった。
【0068】
この比較試験1に用いた画像形成ユニット5を分解したところ、現像ローラ23の表面上のトナー層の多くの部分に現像ローラ23の周方向にトナー層が形成されずに現像ローラ23の表面が露出している様子が観察され、また、現像ブレード25の先端曲折部30について調べたところ、トナーが融着しているのが観察された。
【0069】
これは、図10に示すハラ当て状態で放置試験を行った評価試験では、広い押圧面積に圧力が分散されることで融着しないが、比較試験1では図12に示すように現像ブレード25の先端曲折部30は現像ローラ23との押圧面積が小さく圧力が高いため、高温高湿環境で長時間保管することでトナーが先端曲折部30に融着し、その融着したトナーが現像ローラ23上へのトナー層の形成を妨げ、その部分の静電潜像にトナーが付着せず、印刷画像にトナーが抜けた縦筋が発生したと考えられる。
【0070】
比較試験2は、評価試験と同様の条件で放置試験を行った後に、現像ブレード25を移動させずに初期位置のままとし、図10に示すハラ当て状態で評価試験と同様の印刷を行った。
この比較試験2の結果は、比較試験1のような縦筋の発生はないが、ハーフトーン画像においてドット形成ができずに、感光体ドラム21上の非潜像部にもトナーが現像し、用紙Sの紙面の大部分でトナー汚れが発生した。ハラ当て状態のままでは均一なトナー層の形成ができずにトナー層が厚くなりすぎたためと考えられる。
【0071】
以上の3つの試験結果から、画像形成ユニット5を製造し、出荷検査では現像ブレード25を使用位置に移動させ、現像ローラ23を先端曲折部30で押圧した状態でテスト印刷を行い、テスト印刷後に現像ブレード25を初期位置に移動させ、現像ローラ23に対してハラ当て状態にして出荷し、輸送等の後の使用時に現像ブレード25を使用位置に移動させ、現像ローラ23を先端曲折部30で押圧した状態にすることで、良好な印刷画像を得ることができることが判った。
【0072】
この場合のトナーのガラス転移温度は、53℃以上、63℃以下とすることが望ましい。53℃未満ではハラ当て状態で保管したとしても環境温度50℃、湿度55%による30日の放置試験において、図13に示すようにトナーが現像ブレード25の放置試験における押圧部に融着する現象が発生し、トナーのガラス転移温度が63℃よ高いと、低温定着性が損なわれてしまうからである。
但し、例えハラ当て状態における押圧部に融着が発生したとしても、本実施例の現像ブレード25は、使用時に使用位置へ移動させるので、使用時におけるトナー層の形成に影響を及ぼすことはない。
【0073】
また、現像ローラ23の弾性体層の硬度は、アスカーC硬度で69度以上、83度以下とすることが望ましい。69度以下では環境温度50℃、湿度55%による30日の放置試験において現像ローラ23の外周面に凹みが発生し、硬度が83度より大きいと、画像形成ユニット5使用時に十分なトナーの帯電が行われず、カブリ等の問題が発生するからである。
【0074】
上記のように、本実施例の画像形成ユニット5は、輸送時等の初期状態において、現像ブレード25を初期位置として先端曲折部30から離れた中間部で現像ローラ23を押圧するので、低融点トナーを用いた画像形成ユニット5が高温高湿環境に長時間放置されたとしてもトナーの融着を防止することができると共に、印刷動作時に現像ブレード25を使用位置へ移動させて先端曲折部30による押圧状態とするので、現像ローラ23上に均一なトナー層を形成することができ、低融点トナーを用いた高速印刷においても良好な印刷画像を得ることができる。
【0075】
なお、本実施例では、現像ブレード25の初期位置においては、現像ブレード25の金属材を現像ローラ23の外周面に直接押付けるとして説明したが、現像ブレード25の当該押圧部に、図14に示すように、現像ブレード23の金属表面よりも低摩擦係数の表面を備えるシート部材39(例えばポリプロピレン等を表面にした粘着テープ)を現像ブレード25の表面に貼付しても良い。これによってトナー融着の防止効果に加えて、現像ブレード25の初期位置と使用位置との移動時における移動力をより小さくすることができる。
【0076】
また、本実施例の画像形成ユニット5は、初期位置による保管時の方が、使用位置による使用時に比べより高温高湿環境での保管が可能であるため、画像形成ユニット5を含む梱包箱に、輸送時と使用時とで保管できる条件が異なる旨を明記するようにしてもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施例では、トナーを担持する現像ローラと、現像ローラ上に担持されたトナーの層厚を所定層厚に規制する板状の現像ブレードと、現像ブレードの一端を曲折して形成された先端曲折部と、現像ブレードの先端曲折部の反対側の端部を固定する固定部材とを備えた画像形成ユニットに、現像ブレードを、先端曲折部と固定部材との間の中間部で現像ローラを押圧する初期位置と、先端曲折部で現像ローラを押圧する使用位置とに移動させる移動機構を設けたことによって、低融点トナーを用いた画像形成ユニットの輸送時等の初期状態において、現像ブレードを初期位置として高温高湿環境に長時間放置されたとしてもトナーの融着を防止することができると共に、印刷動作時に現像ブレードを使用位置へ移動させて先端曲折部により現像ローラを押圧することができ、現像ローラ上に所定層厚の均一なトナー層の形成を可能として、低融点トナーを用いた高速印刷においても良好な印刷品質の画像を得ることができる。
【実施例2】
【0078】
以下に、図15、図16を用いて本実施例の画像形成ユニットについて説明する。なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の画像形成ユニット5には、図15、図16に示すように、トナーカートリッジ20を着脱自在に装着する半円弧状のカートリッジ装着部40が設けられている。
【0079】
また、固定部材32には、固定部32aを現像ローラ23の反対側に伸張させた伸張部41が設けられており、伸張部41の端部には引張コイルスプリング等のバネ部材42の一端が接続している。また、バネ部材42の他端は、画像形成ユニット5のベースフレーム28に固定されている。
【0080】
図15において、43は回転体であり、大径部43aと小径部43bとを同軸として一体に形成された軸芯を中心に回転する段付回転部材であって、カートリッジ装着部40の下方に配置され、その大径部43aおよび小径部43bの外周面はそれぞれ摩擦部材で被覆されている。
【0081】
45は係止バーであり、一端がベースフレーム28に設けられた嵌合部46に嵌合し、他端が回転体43の小径部43bの外周面に接触するように配置された角柱状部材であって、その嵌合部46側の面で固定部材32の伸張部41の端面を係止する機能を有している。
47は駆動バーであり、一端がカートリッジ装着部40の内部に突出し、他端が回転体43の大径部43aの外周面に接触するように配置された角柱状部材である。
【0082】
図16において、49はトナーカートリッジ20のシャッタであり、トナーカートリッジ20の底部に形成された開口部をスライドにより開閉する機能を有している。
本実施例の移動機構33は、ガイドレール34、位置決め部材36、バネ部材42、回転体43、係止バー45、駆動バー47等により構成される。
【0083】
本実施例の画像形成ユニット5は、少量のトナーを画像形成ユニット5内に投入してテスト印刷を行った後にトナーカートリッジ20を未装着としたままで出荷され、その出荷時および輸送時等の初期状態では、バネ部材42の一端を接続した固定部材32の伸張部42の端面を、嵌合部46に一端を嵌合させた係止バー45に、バネ部材42を伸ばした状態で係止させて現像ブレード25をハラ当て状態とした初期位置に保持した状態で保管される。このとき駆動バー47は、一端をカートリッジ装着部40の内部に突出させた状態になっている。
【0084】
そして、画像形成ユニット5の使用開始時に、図15に示すように、トナーカートリッジ20をカートリッジ装着部40に装着する。
このとき、カートリッジ装着部40の内部に突出している駆動バー47の一端が、トナーカートリッジ20の装着と同時に、トナーカートリッジ20の底面によって下方に押し下げられ、駆動バー47の他端に接続している回転体43の大径部43aが駆動バー47との摩擦力によって、図15において時計方向に回転し、これに連動して一体に形成された小径部43bも同方向に回転し、小径部43bに接続された係止バー45が図15において右方向へ移動する。
【0085】
この係止バー45の移動に伴って、嵌合部46に一端が嵌合していた係止バー45による固定部材32の伸張部41の端面の係止が解除され、バネ部材42が収縮して固定部材32が、ガイドレール34の斜面34aに沿ってガイド部32bに長手方向を案内されながら上方へ引上げられ、固定部材31の係止部31bが位置決め部材34に当接したときに現像ブレード25が使用位置で停止してその先端曲折部30で現像ローラ23の外周面を所定の押圧力で押圧し、印刷動作におけるトナーの薄層化が可能になる。
【0086】
その後に、トナーカートリッジ20のシャッタ49がスライドして開き、開口部からトナーが画像形成ユニット5内に補給され、印刷動作が可能な状態となる。
このように本実施例によれば、トナーを収容するトナーカートリッジ20を画像形成ユニット5のカートリッジ装着部40に装着する動作に連動して、現像ブレード25を初期位置から使用位置へ移動させることができ、現像ブレード25を移動させる手間を省いて、使用開始時における操作の簡便化を図ることができる。
【0087】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、トナーを収容するトナーカートリッジを画像形成ユニットに装着する動作に連動して、現像ブレードを初期位置から使用位置へ移動させるようにしたことによって、画像形成ユニットの使用開始時における操作の簡便化を図ることができる。
【実施例3】
【0088】
以下に、図17、図18を用いて本実施例の画像形成ユニットについて説明する。なお、上記実施例1および実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の画像形成ユニット5には、図17、図18に示すように、カートリッジ装着部40の底部に設けられた回動軸51aを中心に回動するレバー51が設けられている。
【0089】
このレバー51の一端は、カートリッジ装着部40の底部から内部に突出し、回動軸51aを挟んだ反対側の他端が固定部材32の伸張部41と接続部材53によって接続されている。
本実施例の移動機構33は、ガイドレール34、位置決め部材36、レバー51、接続部材53等により構成される。
【0090】
本実施例の画像形成ユニット5は、少量のトナーを画像形成ユニット5内に投入してテスト印刷を行った後にトナーカートリッジ20を未装着としたままで出荷され、その出荷時および輸送時等の初期状態では、レバー51の一端をカートリッジ装着部40の内部に突出させた状態で、現像ブレード25をハラ当て状態とした初期位置に保持した状態で保管される。
そして、画像形成ユニット5の使用開始時に、図17に示すように、トナーカートリッジ20をカートリッジ装着部40に装着する。
【0091】
このとき、カートリッジ装着部40の内部に突出しているレバー51の一端が、トナーカートリッジ20の装着と同時に、トナーカートリッジ20の底面によって下方に押し下げられてレバー51が回転軸51aを中心に、図17において時計方向に回動し、レバー51の他端に接続部材53を介して接続している固定部材32が、ガイドレール34の斜面34aに沿ってガイド部32bに長手方向を案内されながら上方へ引上げられ、固定部材31の係止部31bが位置決め部材34に当接したときに現像ブレード25が使用位置で停止してその先端曲折部30で現像ローラ23の外周面を所定の押圧力で押圧し、印刷動作におけるトナーの薄層化が可能になる。
【0092】
その後に、トナーカートリッジ20のシャッタ49がスライドして開き、開口部からトナーが画像形成ユニット5内に補給され、印刷動作が可能な状態となる。
このように本実施例によれば、トナーを収容するトナーカートリッジ20を画像形成ユニット5のカートリッジ装着部40に装着する動作に連動して、現像ブレード25を初期位置から使用位置へ移動させることができ、現像ブレード25を移動させる手間を省いて、使用開始時における操作の簡便化を図ることができる。
【0093】
以上説明したように、本実施例では、カートリッジ装着部の底部に設けられた回動軸を中心に回動するレバーの一端を、カートリッジ装着部の底部から内部に突出させ、回動軸を挟んだ反対側の他端を接続部材を介して固定部材の伸張部と接続するようにしたことによって、上記実施例2と同様の効果の得ることができる。
【0094】
なお、上記各実施例においては、画像形成装置はプリンタであるとして説明したが、画像形成装置は前記に限らず、ファクシミリや複写装置、複合機(MFP:Multi Function Peripherals)等であってもよい。
また、本発明は、上記各実施例の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 プリンタ
2 用紙カセット
3 用紙搬送路
4 画像形成部
5、5c、5m、5y、5k 画像形成ユニット
6 転写部
7 定着装置
8 スタッカ
11 搬送ベルト
11a ドライブローラ
11b テンションローラ
12 転写ローラ
13 ベルトクリーニングブレード
14 廃棄トナータンク
16 発熱ローラ
17 加圧ローラ
18 加圧ベルト
20 トナーカートリッジ
21 感光体ドラム
22 帯電ローラ
23 現像ローラ
24 供給ローラ
25 現像ブレード
26 クリーニングブレード
27 露光ヘッド
28 ベースフレーム
30 先端曲折部
31、32 固定部材
31a、32a 固定部
31b 係止部
32b ガイド部
32c 当接部
33 移動機構
34 ガイドレール
36 位置決め部材
37、51 レバー
37a、51a 回動軸
38 側面
39 シート部材
40 カートリッジ装着部
41 伸張部
42 バネ部材
43 回転体
43a 大径部
43b 小径部
45 係止バー
46 嵌合部
47 駆動バー
53 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤と、前記現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体上に担持された現像剤の層厚を所定層厚に規制する板状の現像剤層厚規制部材と、前記現像剤層厚規制部材の一端を曲折して形成された先端曲折部と、前記現像剤層厚規制部材の前記先端曲折部の反対側の端部を固定する固定部材とを備えた現像装置において、
前記現像剤層厚規制部材を、前記先端曲折部と前記固定部材との間の中間部で前記現像剤担持体を押圧する初期位置と、前記先端曲折部で前記現像剤担持体を押圧する使用位置とに移動させる移動機構を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記移動機構は、前記固定部材の移動を案内するガイドレールと、前記先端曲折部を前記使用位置に停止させる位置決め部材と、前記固定部材を前記初期位置から前記使用位置へ移動させる回動可能なレバーとを有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤規制部材の前記初期位置における前記現像剤担持体への押圧部に、前記現像剤規制部材よりも摩擦係数の低いシート部材を貼付したことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像装置に前記現像剤を補給する現像剤収容体を設け、
前記現像剤収容体を前記現像装置に装着する動作に連動して、前記現像剤層厚規制部材を前記初期位置から前記使用位置へ移動させることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤のガラス転移温度は、53℃以上、63℃以下であることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤担持体のアスカーC硬度は、69度以上、83度以下であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−113004(P2012−113004A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259608(P2010−259608)
【出願日】平成22年11月20日(2010.11.20)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】