説明

現像装置および画像形成装置

【課題】画像濃度の低下を抑制することができる現像装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤収容部Sには、案内部材11が設けられている。案内部材11は、板状の部材であり、先端が、現像スリーブ4の現像剤が剥離する箇所に所定のギャップをもって配置され、そこから連通口9へ向かって延び、途中で屈曲して連通口9と所定のギャップをもって対向し、現像剤収容部S(現像剤が溜まっている箇所)の上方部分を仕切っている。剥離磁極41dまで搬送されてきた現像済み現像剤3aのうち、トナー濃度が低下してない現像済み現像剤3aは、案内部材11と現像スリーブ4との間からそのまま現像剤収容部へ落下し、トナー濃度が低下した現像剤は、案内部材11に案内されて、現像剤収容部Sの連通口近傍へ落下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を収容する現像剤収容部と、現像剤収容部と連通口を介して連通し且つトナーを収容するトナー収容部とを有し、二成分現像剤のトナー濃度変化によって、二成分現像剤へのトナーの取り込みを自律的に制御することで、トナー濃度を調整する現像装置が記載されている。具体的には、現像工程が開始される前、連通口は、現像剤収容部内の二成分現像剤により塞がれている。現像工程が開始されると、現像剤担持体内の磁界発生手段の磁気吸引力により現像剤が現像剤担持体に担持される。その結果、現像剤担持体に担持された現像剤の分、現像剤収容部の現像剤の嵩高さが減少する。その結果、連通口が開口し、トナーが現像剤収容部へ取り込まれる。
【0003】
現像剤収容部内の二成分現像剤のトナー濃度が低い場合は、磁性キャリアの密度が大きくなっており、現像剤担持体内の磁界発生手段から現像剤収容部内の二成分現像剤が受ける磁気吸引力が大きくなる。従って、現像剤収容部内の二成分現像剤のトナー濃度が低い場合は、現像剤担持体が担持する現像剤量が多く、現像剤収容部の現像剤の減少量が大きくなり、現像剤の嵩高さが大きく減少する。よって、通通口が大きく開口し、多くのトナーが現像剤収容部へ取り込まれる。このように、現像剤収容部内のトナー濃度の応じて、二成分現像剤へのトナーの取り込みが自律的に制御されるのである。
【0004】
これにより、現像剤収容部の現像剤のトナー濃度を検知する検知手段を設け、検知手段の検知結果に基づいて、現像剤収容部へ供給するトナー量を制御する現像装置に比べて、安価な構成で、現像剤収容部内の現像剤のトナー濃度を一定に保つことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の現像装置では、現像領域でトナーが消費されトナー濃度が低下した現像済み現像剤は、現像剤担持体から剥離して、現像剤収容部の現像剤担持体近傍付近に回収される。一方、連通口は、現像剤収容部の現像剤担持体から離間した位置に設けられている。現像剤収容部の現像剤担持体近傍に回収されたトナー濃度が低下した現像済み現像剤は、現像剤収容部内の攪拌部材により攪拌されながら、連通口近傍へ移動することにより、連通口から取り込まれたトナーと混ざり、現像済み現像剤のトナー濃度が回復する。このように、特許文献1に記載の現像剤装置では、現像剤収容部に回収された現像済み現像剤は、攪拌部材により連通口近傍へ移動されることにより連通口から取り込まれたトナーと混ざり合うため、現像済み現像剤のトナー濃度の回復が遅いという課題が生じる。
【0006】
現像剤収容部に回収されたトナー濃度の低い現像済み現像剤は、トナー濃度が規定の現像剤に比べて現像剤担持体内の磁界発生手段から受ける磁気吸引力が大きい。よって、この現像剤収容部に回収されたトナー濃度が低下した現像済み現像剤は、攪拌部材により連通口近傍へ移動してトナー濃度が回復する前に、磁界発生手段の磁気吸引力により、現像剤担持体に担持され、再度、現像領域へ移動してしまうおそれがあり、画像濃度が低下しまうおそれがあった。
【0007】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、画像濃度の低下を抑制することができる現像装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して現像領域へと搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体の表面に供給する現像剤を収容し、かつ、前記現像剤担持体から剥離した現像済み現像剤が回収される現像剤収容部と、連通口を介して該現像剤収容部と連通し、該連通口から前記現像剤収容部へ前記トナーが供給可能なようにトナーを収容するトナー収容部とを備え、前記現像剤収容部内の現像剤のトナー濃度が規定のトナー濃度以上のときは、前記現像剤収容部内の現像剤が、前記連通口を塞いでおり、前記現像剤収容部内の現像剤のトナー濃度が規定のトナー濃度よりも低くいときは、前記連通口が開口されてトナー収容部内のトナーが、前記連通口から前記現像剤収容部へ自律的に供給される現像装置において、前記現像剤担持体から剥離した現像済み現像剤を、前記現像剤収容部の前記連通口近傍へ案内する案内部材を設けたことを特徴とした現像装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、案内部材により現像剤担持体から剥離した現像済み現像剤が、現像剤収容部の連通口近傍へ案内される。その結果、現像領域でトナーが消費され、トナー濃度が低下した現像済み現像剤は、現像剤収容部の連通口近傍に回収される。これにより、現像済み現像剤が現像剤担持体近傍に回収される特許文献1に記載の現像装置のように、現像剤収容部に回収された現像済み現像剤が、攪拌部材により連通口近傍へ移動する前に、磁界発生手段の磁気吸引力により、現像剤担持体に担持され、再度、現像領域へ移動してしまうのを防止することができる。その結果、画像濃度が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の複写機の概略構成図。
【図2】本実施形態の現像装置の斜視図。
【図3】同現像装置の断面図。
【図4】同現像装置の現像スリーブから現像済み現像剤の剥離の様子を説明する図。
【図5】同現像装置の案内部材の実施例を示す図。
【図6】同現像装置に攪拌部材と吸引磁石とを設けた実施例を示す図。
【図7】現像装置に設けられた攪拌部材の実施例を示す図。
【図8】変形例1の現像装置の斜視図。
【図9】変形例1の現像装置の現像部の断面図。
【図10】同変形例1の現像装置の現像部の連通口よりも下側の壁面に攪拌部を設けた実施例を示す現像部の断面図。
【図11】同攪拌部の第1実施例を示す図。
【図12】同攪拌部の第2実施例を示す図。
【図13】変形例2の現像装置の現像部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
図1は、複写機500の概略構成図である。複写機500は、画像形成装置の本体部としてのプリンタ部100の上部に、書き込みユニット118、画像読取部106及び原稿自動搬送装置(以下、ADF101という)を備える。
【0012】
以下、複写機500における複写機機能の動作について説明する。
ADF101の原稿台102に画像面が上となる状態で原稿束が載置され、図示しない操作部上のスタートキーが押下されると、最上位の原稿が原稿給送ローラ103、給送ベルト104によってコンタクトガラス105上の所定位置に給送される。コンタクトガラス105上の原稿は、画像読取部106によって画像情報が読み取られた後に給送ベルト104によって搬送され、排出ローラ107によって排紙台108上に排出される。原稿台102からコンタクトガラス105への原稿の給送が終了した後、原稿検知センサ109によって原稿台102上に次の原稿が存在することが検知された場合には、上述と同様にこの原稿がコンタクトガラス105上に給送される。
【0013】
画像読取部106は、コンタクトガラス105上の原稿を2個のランプ128で照射しながら原稿の画像情報を副走査方向にライン走査する。そして、その反射光を画像データとして第一ミラー129、第二ミラー130及び第三ミラー131により所定の方向に反射させ、画像を縮小結像させるレンズユニット132を介してCCD133に送り、画像データの読み込みを行う。
画像読取部106によって読み込まれた画像データは、図示しない画像処理手段を介してレーザ発光装置134、fθレンズ135、反射ミラー136等を有する書き込みユニット118に送られる。そして、書き込みユニット118のレーザ発光装置134が原稿画像に対応したレーザ光を発することでよって感光体117上に原稿画像に対応した静電潜像が形成される。
【0014】
プリンタ部100の内部には、感光体117、現像装置10、定着部121、排紙ユニット122、第一〜第三給紙装置110,111,112、縦搬送ユニット116等が配設されている。感光体117は、図示しない帯電器により一様に帯電された後に書き込みユニット118からのレーザ光によって露光されて静電潜像が形成され、この静電潜像は現像装置10により現像されて感光体117の表面上にトナー像が形成される。
【0015】
第一〜第三給紙装置110,111,112はそれぞれ記録媒体である転写紙が積載された第一〜第三給紙カセット113,114,115を備えている。そして、上述したトナー像の形成動作と並行して、第一〜第三給紙装置110,111,112のうちの選択された一つの給紙装置がその給紙カセット内に積載された転写紙の最上部の一枚を縦搬送ユニット116に給送する。給送された転写紙は、縦搬送ユニット116によって感光体117と転写ベルト120とが当接する位置まで搬送される。
【0016】
感光体117の下方には転写ベルト120が配設されている。転写ベルト120は記録媒体である転写紙の搬送手段及び転写手段を兼ねており、転写ローラ120aと張架ローラ120bとによって張架されている。図示しない電源から転写ローラ120aに転写バイアスが印加され、転写ベルト120が縦搬送ユニット116からの転写紙を感光体117と等速で搬送しつつ感光体117上のトナー像を転写紙に転写させる。
感光体117と転写ローラ120aとの対向部を通過した転写紙は転写ベルト120によって定着部121へと搬送される。転写紙に転写されたトナー像は定着部121において転写紙上に定着され、画像を定着された転写紙は排紙ユニット122を介して排紙トレイ123上に排出される。感光体117はトナー像転写後に図示しないクリーニング手段によってクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。
【0017】
排紙ユニット122の下方には、反転ユニット125が配置されており、反転ユニット125は、排紙ユニット122内に設けられた不図示の分岐手段によって分岐された転写紙が図1中の矢印Aで示すように搬送ローラ対124によって送り込まれる。
図1中の矢印Bで示すように反転ユニット125内に進入した転写紙は、反転ユニット125によって図1中の矢印C方向に搬送される。反転ユニット125と排紙ユニット122との間には、反転した転写紙を図1中の矢印Dで示すように再び排紙ユニット122側に戻す排紙搬送路127を有する。反転ユニット125で反転した転写紙を、排紙搬送路127を介して排紙することで、画像が形成された面を下にして転写紙を排紙トレイ123上に排出することができる。
【0018】
また、反転ユニット125の下方には反転ユニット125で反転した転写紙を再び縦搬送ユニット116側に搬送する両面画像形成搬送路126が配設されている。転写紙の両面に画像を形成するときには、反転ユニット125によって図1中の矢印C方向に搬送された転写紙が図1中の矢印Eで示すように両面画像形成搬送路126へ搬送される。そして、転写紙が縦搬送ユニット116に受け渡されることで、画像が形成された面を下にした状態で感光体117と転写ローラ120aとの対向部に転写紙が供給される。これにより、転写紙の画像が形成されていない面が感光体117と対向し、トナー像が転写されることで転写紙の両面に画像を形成して排紙トレイ123上に排出することができる。
【0019】
複写機500において、プリンタ機能によって画像を形成するときには、画像処理手段からの画像データの代わりに外部からの画像データが書き込みユニット118に入力され、画像形成手段によって転写紙上に画像が形成される。ファクシミリ機能時には画像読取部106からの画像データが図示しないファクシミリ送受信部により相手に送信され、相手からの画像データがファクシミリ送受信部で受信されて画像処理手段からの画像データに代えて書き込みユニット118に入力されることにより、画像形成手段が作動して転写紙上に画像が形成される。
上述した構成では、画像形成装置として複合機を用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置はこれに限られず、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の他の画像形成装置にも本発明は適用可能である。
【0020】
図2は、本実施形態の現像装置10の斜視図であり、図3は、現像装置10の断面図である。
図2に示すように、現像装置10は、感光体117の側方に配置され、ケーシング2内部には、現像部7、トナー収容部としてのトナーホッパ8を有している。上記現像部7には、感光体117に向けて開口部が形成された現像ケーシング2の開口部から一部が露出した、トナー及び磁性キャリアからなる現像剤3を表面に担持する現像剤担持体としての非磁性材質からなる現像スリーブ4、現像スリーブ4の内部に固定配置された磁界発生手段としてマグネットローラ5、現像スリーブ4上に担持されて搬送されている現像剤の量を規制する現像剤規制部材としてのドクタ6などを備えている。また、現像部7は、現像剤を収容する現像剤収容部Sを形成している。
【0021】
上記マグネットローラ5は、プラスチックローラに5つのマグネットブロックを埋め込み、5つの磁場を形成している。なお、本実施形態では、プラスチックローラに対してマグネットブロックを嵌合した固定磁石体、いわゆるブロック型マグネットローラを用いたが、これに限定されるものではない。例えば、所定の形に成形されたプラスチック磁石材料を磁気配向と同時に着磁させて作製するいわゆるフェライト系一体型プラスチックマグネットローラ5を用いてもよいことはもちろんである。
【0022】
上記マグネットローラ5の表面に形成される磁極は、現像領域に対向する位置に形成される主磁極41b、上記現像剤収容部Sから、上記現像領域にまで磁場が及ぶ汲み上げ磁極41a、現像スリーブ4上に現像剤を担持し続けながら搬送するための2個の搬送磁極41c1、41c2、現像スリーブ4上の現像剤を、剥離するための剥離磁極41dが形成されている。
【0023】
上記トナーホッパ8と上記現像部7とは、ケーシング2に設けられた仕切り部12により仕切られており、上記トナーホッパ8と上記現像部7は、連通口9を介して連通している。上記トナーホッパ8には、トナーホッパ8内の新しいトナーTを連通口9に向けて攪拌しながら送り出すトナー供給部材としてのトナー補給アジテータ81が配置されている。トナーホッパ8の底面部は、トナー補給アジテータ81の回転中心を中心とする曲面状となっており、トナー補給アジテータ81の回転軸の位置、羽の長さが調節され、トナー補給アジテータ81の羽の先端部分が、トナーホッパ8の底面部を摺擦して移動するように設定されている。
【0024】
現像剤収容部S内の現像剤3のトナー濃度が規定値のときは、現像剤3により連通口9は、塞がれており、連通口9から現像剤収容部S内へトナーが取り込まれないようになっている。現像剤収容部S内の現像剤3のトナー濃度が規定値よりも低いときは、現像剤収容部S内の現像剤3の嵩高さが低下し、連通口9が開口する。すると、この連通口9の開口した部分からトナー補給アジテータ81により送り出されたトナーが、現像剤収容部Sへ所定量取り込まれ、連通口9を塞ぐ。これにより、現像剤収容部S内のトナー濃度が規定値となるように自律的に制御される。このように、現像剤収容部S内の現像剤3のトナー濃度が規定値となるように自律的に制御されるので、現像剤収容部S内の現像剤3のトナー濃度を検知するセンサや、その検知結果に基づいて、補給するトナー量を制御する手段などが不要となり、装置を安価にすることができる。
【0025】
現像剤3は、汲み上げ磁極41aの吸引力により現像スリーブ近傍へ移動し、現像スリーブ4の搬送力によりドクタ6側へ移動し、ドクタ6に規制された後、後続のドクタ6により規制された現像剤3に押し出されて、現像スリーブ4から離間する方向へ移動した後、再び汲み上げ磁極41aにより現像スリーブ側へ移動するような循環しながら、攪拌される。連通口9から取り込まれキャリア表面に付着したトナーは、後続のドクタ6により規制された現像剤3に押し出されてきたキャリアや現像剤収容部S内の壁面と摺擦しながら、汲み上げ磁極41aの吸引力により付着したキャリアとともに現像スリーブ表面に向かって移動する。これにより連通口9から取り込まれたトナーTは、現像スリーブ4に担持されるまでの間に規定の帯電量にまで十分に摩擦帯電される。
【0026】
また、現像剤収容部Sには、剥離磁極41dを通過して現像スリーブ4から剥離した現像済みの現像剤を連通口9近傍へ案内し、現像領域でトナー濃度が低下した現像済み現像剤が、現像剤収容部Sの現像スリーブ近傍へ落下するのを阻止するための案内部材11が設けられている。案内部材11は、板状の部材であり、先端が、現像スリーブ4の現像剤が剥離する箇所に所定のギャップをもって配置され、そこから連通口9へ向かって延び、途中で屈曲して連通口9と所定のギャップをもって対向し、現像剤収容部S(現像剤が溜まっている箇所)の上方部分を仕切っている。
【0027】
現像スリーブ4が回転すると、現像剤収容部S内の現像剤3が汲み上げ磁極41aの吸引力により現像スリーブ4へ汲み上げられ、ドクタ6で均一の厚さに均されてから、感光体117と対向する現像領域へ搬送される。そして、現像スリーブ4上の現像剤が感光体117に接する事で感光体117上の静電潜像がトナーで現像され、感光体117上にトナー像が形成される。現像後の現像済み現像剤3aは搬送磁極41c1,41c2により現像スリーブ4上を搬送され、剥離磁極41dと汲み上げ磁極41aとの間の領域から現像スリーブ4表面から離脱し、現像剤収容部Sへと回収される。
【0028】
本実施形態においては、現像スリーブ4から剥離した現像済み現像剤3aのうち、現像領域でトナーが消費されトナー濃度が低下した現像済み現像剤3aは、案内部材11に案内されて、連通口近傍へ回収され、現像領域でトナーが消費されず、トナー濃度が低下していない現像済み現像剤3aは、そのまま現像剤収容部Sの現像スリーブ4近傍へ回収されるようになっている。以下に、図4を用いて、具体的に説明する。
【0029】
図4に示すように、剥離磁極41dまで搬送されてきた現像済み現像剤3aは、剥離磁極41dによる磁気吸引力によりその場の留まり、溜まっていく。これは、剥離磁極41dと、汲み上げ磁極41aとの間は十分に離れており、現像スリーブ4により搬送されていっても、次の磁極から磁気吸引力を受けないため、そのまま剥離磁極41eの吸引力により拘束され続け、剥離磁極41dの磁場dの範囲に留まるのである。そこへ現像スリーブ4の回転に伴い現像剤3がさらに剥離磁極41dへ搬送されてくることで、現像剤溜りが大きくなり、重力や遠心力に対して、剥離磁極41dの磁気吸引力では支えきれなくなった現像剤3が後続の現像剤により押される形で、剥離磁極41dの磁場d範囲から離脱する。そして、剥離磁極41dの磁場d範囲から離脱した現像剤3は、剥離磁極41dと汲み上げ磁極41aとの間の吸引磁力が働いていない領域で現像スリーブ4から剥離し、現像剤収容部Sへ落下する。
【0030】
ここで、画像面積率の小さい画像が現像されたときなど、現像済み現像剤3aのトナー濃度が、ほとんど低下していないときは、磁性キャリアを覆うトナー量が多いため、磁性キャリアの密度が小さく外部磁界から受ける磁気吸引力は小さい。よって、図4(a)に示すように、剥離磁極41dでの現像剤溜りは小さくなる。よって、このときの現像済み現像剤3aは、現像スリーブ4に対して比較的近い位置で離脱し、落下する。その結果、図4(a)に示すように、案内部材11と現像スリーブ4の間から現像剤3が落下し、現像済み現像剤3aは、図3に示すように、現像剤収容部Sの現像スリーブ近傍へ落下する。
【0031】
次に、画像面積率の大きな画像が現像されたときなど、現像済み現像剤3aのトナー濃度が大きく低下しているときは、磁性キャリアを覆うトナー量が少ないため、磁性キャリア密度が高く外部磁界から受ける磁気吸引力は大きい。よって、図4(b)に示すように、剥離磁極41d上で剤溜りを形成している現像剤3の磁気穂が現像スリーブ4に対して外側に広がっていき剤溜りが大きくなる。このように剤溜りの外側の現像剤3は現像スリーブから離れることで、剥離磁極41dの磁場が小さくなり、磁気吸引力が弱まる。磁気吸引力が重力や遠心力などに対して弱くなった時点で現像済み現像剤3aは現像スリーブ4から離脱、落下することになる。このような低トナー濃度の現像済み現像剤3aは剤溜りを形成している(外側から)磁気穂が途中で切れて離脱していく。その結果、現像済み現像剤3aは、案内部材11へ落下し、案内部材11に案内されながら、現像剤収容部Sの連通口9近傍へ落下する。
【0032】
通常は、現像領域でトナーが消費されトナー濃度が低下した現像剤と、現像領域でトナーが消費されず、トナー濃度が低下してない現像剤が混在しており、図4(c)に示すように、トナー濃度が低下してない現像済み現像剤3aは、案内部材11と現像スリーブ4との間からそのまま現像剤収容部へ落下し、トナー濃度が低下した現像剤は、案内部材11に案内されて、現像剤収容部Sの連通口近傍へ落下する。そして、現像領域でのトナー消費量が多い場合は、案内部材11と現像スリーブ4との間からそのまま現像剤収容部Sへ落下する現像剤が減少し、逆に現像領域でのトナー消費量が少ない場合は、案内部材11と現像スリーブ4との間からそのまま現像剤収容部Sへ落下する現像剤3が増加する。
【0033】
このように、現像済み現像剤3aのうち、トナー濃度が低下した現像剤済み現像剤が、現像剤収容部Sの連通口近傍へ落下し、現像スリーブの近傍への落下が阻止される。そして、連通口9から現像剤収容部Sへ取り込まれたトナーは、このトナー濃度が低下した現像剤済み現像剤に付着し、トナー濃度が低下した現像剤のトナー濃度が、回復する。
【0034】
上述したように、トナー濃度が低下した現像剤は、外部磁界から受ける磁気吸引力は大きいが、現像スリーブ4から離れた連通口近傍へ落下するため、汲み上げ磁極41aから強い磁気吸引力を受けない。よって、現像剤のトナー濃度が回復する前に、汲み上げ磁極41aにより汲み上げられることはない。よって、このようなトナー濃度が低下した現像剤が、汲み上げ磁極aにより汲み上げられ、現像領域へ搬送させることが防止され、画像濃度不足が発生するのを抑制することができる。
【0035】
また、トナー濃度が低下した現像剤に対してトナーが供給されるので、現像剤収容部S内に攪拌部材などを設けずとも、現像剤収容部S内の現像剤の汲み上げ、現像スリーブ4によるドクタ6への搬送、ドクタ6による規制というような現像剤収容部内での現像剤の循環による攪拌でも現像剤収容部内のキャリアとトナーとを効率よく混合することができ、現像剤収容部内の現像剤のトナー濃度を均一にすることができる。これにより、攪拌部材の攪拌により現像剤へストレスを与えることがないので、現像剤の長寿命化を達成可能である。
【0036】
また、現像領域でトナーが消費されず、トナー濃度が低下してない現像剤は、現像剤収容部Sの現像スリーブ近傍へ落下する。よって、比較的早く汲み上げ磁極41aにより現像スリーブ4に汲み上げられ、早期に現像剤のトナーが消費される。これにより、長期にわたり、現像剤収容部Sに留まるトナーが生じるのを抑制することができ、劣化したトナーが現像に用いられるのを抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態においては、案内部材11を、連通口9と所定の間隔をおいて対向する位置まで延ばしている。案内部材11の一部を、連通口9と所定の間隔をおいて対向させていない場合、トナー補給アジテータ81により連通口9から供給されたトナーTが、現像剤収容部Sの現像スリーブ4近傍まで流れ込んでしまう場合がある。その結果、現像スリーブ4近傍の現像剤のトナー濃度が規定のトナー濃度よりも高くなる場合があり、画像濃度が規定の濃度よりも濃くなるおそれがある。また、現像スリーブ4近傍まで流れ込んだトナーは、キャリアなどと十分に摺擦して所定の帯電量にまで摩擦帯電していない。よって、このトナーがキャリアとともに現像スリーブ4に担持され、現像に使用されてしまうと、地汚などが生じるおそれがある。また、案内部材10により現像剤収容部Sの連通口9近傍へ落下したトナー濃度が低下した現像済み現像剤が、現像スリーブ4近傍まで流れ込んでしまうおそれもあり、このトナー濃度が低下した現像済み現像剤が、トナー濃度が回復する前に、現像スリーブに担持され、現像領域へ搬送されるおそれもある。
【0038】
しかしながら、本実施形態に示すように、案内部材11の一部を連通口9と対向配置することにより、連通口9から取り込まれたトナーが、現像スリーブ近傍まで流れ込もうとするのを、案内部材11により阻止することができる。よって、現像スリーブ近傍の現像剤のトナー濃度が規定の濃度より高くなり、所定の画像濃度よりも濃い画像が現像されたり、地汚れが生じたりするのを抑制することができる。また、トナー濃度が低下した現像済み現像剤3aを、案内部材11により確実に連通口近傍へ落下させることができる。さらに、連通口近傍に落下したトナー濃度が低下した現像済み現像剤3aが、現像スリーブ4近傍まで流れ込んでしまうのも防止できる。これにより、トナー濃度が低下した現像剤にトナーを付着することができ、現像剤のトナー濃度を効率よく回復することができる。また、連通口9から取り込まれたトナーが付着した現像剤(キャリア)は、鉛直下方へ移動し、その後、汲み上げ磁極41aにより現像スリーブへ移動することになり、現像スリーブ4により担持されるまでの間に十分に摩擦帯電される。よって、所定の帯電量になったトナーを現像スリーブに担持することができ、地汚れの発生を抑制することができる。
【0039】
また、現像部7とトナーホッパ8とが一体となっているので、トナーホッパ8と現像部7とが別体で、離れた位置にある現像装置のように、現像部7に設けられた連通口9とトナーホッパ8とをつなぐトナー搬送路などを設ける必要がなく、部品点数を削減することができ、装置を安価にすることができる。また、単色の画像形成装置や縦方向に(重力方向に)複数現像装置を配列する構成においては、小型化にも有効である。
【0040】
本実施形態においては、現像済み現像剤3aのうち、トナー濃度が低下した現像剤のみを、連通口近傍へ落下させているが、現像剤済み現像剤全てを、連通口近傍へ落下させてもよい。この場合は、トナー濃度が低下して現像剤と、トナー濃度が低下していない現像剤とが混在するため、連通口9から取り込まれたトナーが、トナー濃度が低下した現像剤に付着しにくくなり、トナー濃度が低下した現像剤が回復するのは、上記に比べ遅くなるが、案内部材11を設けずに、そのまま現像剤収容部Sへ現像済み現像剤3aを落下させた場合に比べて、十分早くトナー濃度が低下した現像剤のトナー濃度を回復することができる。また、このようなトナー濃度が低下した現像剤のトナー濃度が、回復しないうちに、現像スリーブに汲み上げられることがないので、画像濃度の低下も抑制することができる。
【0041】
本実施形態の案内部材11の先端形状は、図5(a)に示すように鋭角状であるが、図5(b)に示すように、直角状でもよいし、図5(c)に示すように円状のものでもよい。また、案内部材11の形状としては、図5(d)に示すように、先端から2つの分かれるような2又形状でもよい。また、案内部材11は、板状の部材ではなく、図5(E)〜図5(H)に示すような軸方向に延びる棒状の部材でもよい。図5(E)は、案内部材11として、断面形状四角(四角柱)なもの、図5(F)は、断面が中空円(円筒)なもの、図5(G)は、断面形状が楕円なもの、図5(H)は、断面形状が三角なものである。なお、この形状に限らず、現像スリーブ4から落下(剥離)した現像済み現像剤3aを2つに分断して、現像スリーブ4から離れた位置から剥離したトナー濃度が低下している現像済み現像剤3aを連通口近傍へ落下できる形状であればよい。しかしながら、案内部材11の先端に現像剤の溜りが出来ず、スムーズに現像剤収容部Sや連通口近傍へ落下するようにするには、先端が鋭角状の図5(A)、(D)、(H)のようなものが望ましい。
【0042】
また、図6に示すように、ケーシング2の剥離磁極41dに対向する箇所に、現像済み現像剤3aの現像スリーブ4からの剥離を補助するための剥離補助磁界発生手段としての吸引磁石13を設けてもよい。
吸引磁石13は、剥離磁極41d(S極)とは異なる磁極(N極)を剥離磁極41dに向けている。これにより、現像スリーブ4から離脱する現像済み現像剤3aに対して吸引磁石13に向かう方向(現像スリーブ4に対して離れる方向)の磁気吸引力が働く。この際、トナー濃度の低い現像済み現像剤3aほど磁気吸引力を強く受ける。その結果、吸引磁石13を設けていないものに比べて、現像剤3aのトナー濃度の違いによる落下位置の違いをより顕著にすることができ、トナー濃度の低い現像剤を、積極的に連通口近傍へ落下させることができる。
【0043】
また、図6に示すように、現像剤収容部Sに攪拌部材を設けた構成としてもよい。現像剤3の寿命は現像剤の量に依存する(ドクタ付近でのせん断によるストレスが大きい)ため、現像剤の長寿命化のために現像剤の量を増やすことで、現像剤の寿命を延ばすことができる。しかし、現像剤収容部Sの現像剤量を多くすると、くみ上げ磁極41aの磁気吸引力による現像剤の汲み上げ、現像スリーブによるドクタへの搬送、ドクタによる規制というような現像剤収容部S内の循環による攪拌では、現像剤収容部S内の現像剤が十分に攪拌されず、現像剤収容部S内の現像剤3にトナー濃度にムラが生じてしまう可能性がある。よって、現像剤収容部S内の現像剤量を多くする場合は、図6に示すように、攪拌部材14により現像剤収容部S内の現像剤を攪拌するのが好ましい。
【0044】
攪拌部材としては、図7(a)に示すように、回転軸14aに板状のブレード部材14bを軸方向に平行に等間隔に4枚配置した攪拌パドルでもよいし、図7(b)に示すように、回転軸14aに図中右方向に現像剤を搬送する第1の羽根部材14cと、図中左方向に現像剤を搬送する第2の羽根部材14dとが、回転軸14の回転方向に対して軸周方向180度毎に不連続的に分割して形成された攪拌スクリュでもよい。第1、第2羽根部材14c,14dは、略半楕円形状であり、各羽根部材14c,14dは、軸方向に等間隔で軸方向に対して傾斜して回転軸14aに設けられている。回転軸14aが回転駆動されると、現像剤収容部S内の第1羽根部材14c近傍の現像剤は、第1羽根部材14cにより図中右方向へ移動し、現像剤収容部S内の第2羽根部材14d近傍の現像剤は、第2羽根部材14dにより第1羽根部材14cによる搬送方向と逆方向(図中左方向)へ移動する。これにより、現像剤収容部S内の現像剤は、攪拌スクリューにより軸方向に往復移動し、現像剤のトナー濃度が均一化される。なお、攪拌部材14の構成は、図7(a)、図7(b)に示す形状に限られるものではなく、現像剤収容部Sの現像剤を均一に混合できる撹拌部材であれば、特に形を制限する必要はない。例えば、回転軸に螺旋状の羽根部材を設けた攪拌スクリューなどでもよい。
【0045】
次に、本実施形態の現像装置の変形例について、説明する。
【0046】
[変形例1]
図8は、変形例1の現像装置10の斜視図であり、図9は変形例1の現像装置10aの現像部7の断面図である。
この変形例1の現像装置10aは、図8に示すように、現像部7とトナーホッパ8とが別体で現像部7とトナーホッパ8とが互いに離れた位置に設けられており、トナーホッパ8と現像部内の現像剤収容部Sにトナーが取り込まれるための連通口9との間は、トナー搬送路Hでつながっている。図2、図3に示す構成では、現像装置を複数横並べ(タンデム)にして、カラー画像を形成する装置においては、現像装置の横幅の占める割合が大きくなり、画像形成装置自体が非常に大型化してしまう懸念があるが、図8に示すように、現像部7とトナーホッパ8とを別体として、トナーホッパ8を現像部7と離れた位置に設けることで、タンデム型画像形成装置において、小型化を図ることができる。
【0047】
トナー搬送路Hは、チューブ状に形成されたトナー搬送部17と、現像部7に設けられ、トナー搬送部17から搬送されてきたトナーを軸方向へ搬送しながら、連通口9へ供給するための供給部15とで構成されている。トナー搬送部17の途中には、トナー搬送手段であるエアポンプ18が設けられており、エアポンプ18が稼動することで、外部からのエアを取り込みながらトナー搬送部17を通じて、トナーホッパ8内のトナーTが供給部15へと搬送される。この変形例1では、トナーホッパ8のトナーTをトナー供給部15へ搬送するトナー搬送手段としてエアポンプ18を用いているが、トナー搬送手段を、トナー搬送部内に配置したスクリューまたはコイルからなるトナー搬送部材と、トナー搬送部材を回転駆動する駆動手段たる駆動モータとで構成してもよい。
【0048】
トナー供給部15には、トナー供給部材としての供給コイル16が設けられ、トナー搬送部17から搬送されてきたトナーTを供給コイル16の回転により軸方向へ移動させながらが、連通口9へ通じる供給経路19へトナーTを移動させる。
【0049】
図9に示すように、連通口9は、鉛直方向下向きであり、現像剤収容部S内の現像剤3のトナー濃度が規定値のときは、現像剤収容部S内の現像剤3によって連通口9がふさがっており、連通口9を塞いでいる現像剤上に供給経路19のトナーTが堆積したような状態となっている。そして、現像剤収容部S内の現像剤3のトナー濃度が規定値よりも低くなると、現像剤収容部S内の現像剤の嵩高さが減少して、連通口9が開口する。その結果、連通口9から所定量のトナーが現像剤収容部Sへ取り込まれる。そして、連通口9から所定量のトナーが現像剤収容部Sへ取り込まれ、現像剤収容部S内の現像剤3のトナー濃度が規定値に回復すると、現像剤3により再び連通口9が塞がれ、連通口9からトナーが取り込まれなくなる。これにより、現像剤収容部S内の現像剤3のトナー濃度が規定値となるように現像剤収容部Sへのトナー補給が自律的に行われる。
【0050】
エアポンプ18および供給コイル16は、画像の画像面積率に基づいて、駆動時間が制御され、トナーの消費量分、供給経路19へトナーTが供給される。
【0051】
この変形例1においても、案内部材11を設け、現像済み現像剤3aのうち、トナー濃度が低下した現像済み現像剤3aを、連通口9近傍へと落下させて、トナー濃度が低下した現像剤済み現像剤3aが、現像スリーブに担持されるのを抑制している。また、トナー濃度が低下した現像済み現像剤3a上にトナーが供給される。これにより、トナー濃度が低下した現像済み現像剤3aのトナー濃度を早期に回復することができる。また、この変形例1においても、案内部材11を、連通口9より鉛直方向下側に延ばして、現像剤収容部の上方部分を仕切っている。このように仕切ることで、連通口付近に落下したトナー濃度が低下した現像済み現像剤3aが、攪拌部材14により現像スリーブ側へ移動したり、連通口9から供給されたトナーが、現像剤収容部内で十分に攪拌されずに、現像スリーブ側へ移動したりするのを抑制することができる。すなわち、案内部材11が、連通口周辺の現像剤が現像スリーブ側へ移動するのを阻止することができるのである。これにより、連通口近傍の現像剤は、連通口9からトナーが供給され、トナー濃度回復後、鉛直下側へ移動したのち、攪拌部材14の攪拌作用により攪拌されながら、現像スリーブ4へ移動することになる。これにより、トナーが十分に摩擦帯電したのち、現像スリーブ4へ担持させることができ、地汚れの発生を抑制することができる。
【0052】
また、図10に示すように現像剤収容部Sの連通口9よりも鉛直下方の壁面に、現像剤を攪拌するための攪拌部20を設けてもよい。攪拌部20は、図11に示すように、壁面に凹凸を設けたり、図12に示すように、壁面に現像剤3が、分割・合流を繰り返すような板状の仕切り部材20a,20bを設けたりすることで構成される。
【0053】
図11に示す構成においては、現像剤3が攪拌部20の凹凸を落下移動すると、一部の現像剤(トナー)が攪拌部20の凹凸に引っかかり、一部がそのまま通過することで速度差が生じ、現像剤3を混合することができる。これにより、トナー濃度が低下した現像済み現像剤3aと連通口9から取り込まれたトナーとが混合され、すばやく現像剤3のトナー濃度を回復することができる。図11に示した攪拌部20の構成は、山状以外にも、半球状の凹凸や、切り込みの入った板でも、落下移動する現像剤に速度差をつけられるものであれば特に形状は制限されない。
【0054】
また、図12に示す攪拌部20の構成においては、現像剤落下方向に対して同じ方向傾斜した複数の第1板状部材20aが等間隔で設けられており、案内部材11と攪拌部20との間の現像剤搬送経路をこれら第1板状部材20aで分割する第1分割経路が形成されている。第1分割経路の下側には、複数の第2板状部材20bで分割する第2分割経路が形成されている。第2板状部材20bの上端は、第1板状部材20a間の略中央部にあり、第1分割経路から搬送された現像剤の搬送方向を、第2板状部材20bにより変更されるよう、傾斜している。
【0055】
図12に示す構成においては、現像剤は、複数の第1板状部材20aにより、搬送経路が複数に分割されて、下方へと移動する。下方へ移動した各搬送経路の現像剤は、第2板状部材20bにより2つに分割される。また、第1分割経路の隣の搬送経路(図では右隣)の現像剤の一部が、合流する。このように現像剤が分割・合流を繰り返すことにより、トナーとキャリアとが混合され、現像剤のトナー濃度が均一化される。図12の構成では、案内部材11と攪拌部20との間を抜けるまでの間に1回、現像剤が、分割・合流される構成であるが、このような分割・合流の回数が増えるほど、トナーとキャリアとの混合性が増し、現像剤のトナー濃度をより均一にすることができる。また、自重落下による混合であるため、現像剤に余計なストレスを掛ける心配もない。記載した実施例の他にも一つの経路から複数の経路へと分かれる構成でもトナーとキャリアとの混合を向上することができる。
【0056】
ここまで、現像スリーブ4の下部にドクタ6を配置した実施例を示してきたが、本発明はその構成で制限されるものではない。例えば、図13に示すように、現像スリーブ4の上部にドクタ6を配置した現像装置10Bにも本発明を適用することができる。この図13に示す現像装置10Bにおいては、現像スリーブ4から剥離した現像済み現像剤3aの回収経路を現像済み現像剤3aのトナー濃度によって切り分けるための板状の案内部材11を不図示の剥離磁極と対向する位置に設けている。また、この案内部材11の上方には、現像剤収容部S内の現像剤を、不図示の汲み上げ磁極近傍へ供給するための板状の供給部材21を有している。そして、案内部材11と供給部材21との間には、不図示のトナーホッパと連通した連通口9が設けられている。
【0057】
現像剤収容部Sに収容された現像剤は、攪拌部材14により供給部材21上に供給される。供給部材21上に供給された現像剤は、不図示の汲み上げ磁極の磁気吸引力により現像スリーブ4へ汲み上げられる。現像スリーブ4に汲み上げられた現像剤はドクタ6により均一な厚みの層に規制された後、現像に供される。ドクタ6により堰き止められた現像剤は、供給部材21上に落下し、再度、汲み上げ磁極により現像スリーブに汲み上げられる。
【0058】
現像後の現像済み現像剤は不図示の剥離磁極近傍で現像スリーブ4から離脱する。図13では、トナー濃度が高い現像剤は磁化が小さくなるため、自重により早期に現像スリーブ4から離脱する。一方、トナー濃度の低い現像剤の場合、磁化が大きいため離脱位置が、トナー濃度が高い現像剤に比べて現像スリーブ移動方向下流側になる。この離脱位置の違いによりトナー濃度が低い現像剤は、案内部材11上に回収される。
【0059】
この図13においても、現像剤収容部S内の現像剤のトナー濃度が規定値のときは、案内部材11上の連通口9は、現像剤により塞がれている。現像領域でトナーが消費され、現像剤収容部S内の現像剤のトナー濃度が減少すると、現像剤収容部S内の現像剤の嵩高さが減少し、連通口9が開口し、連通口9からトナーが、トナー濃度が低下した現像剤上に供給される。よって、この図13に示す構成においても、トナー濃度が低下している現像剤のトナー濃度をすばやく回復することができる。そして、トナー濃度が回復した後、攪拌部材14により上方へ運ばれ、供給部材21上に供給される。よって、この図13に示す構成においても、トナー濃度が回復していない現像済み現像剤が、汲み上げ磁極により現像スリーブに汲み上げられ、現像領域へ移動するのを抑制することができる。
【0060】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の(1)〜(16)態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
複数の磁極を有するマグネットローラ5などの磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して現像領域へと搬送する現像スリーブなどの現像剤担持体と、現像剤担持体の表面に供給する現像剤を収容する現像剤収容部と、連通口を介して現像剤収容部と連通し、連通口から現像剤収容部へトナーが供給可能なようにトナーを収容するトナーホッパなどのトナー収容部とを備え、現像剤収容部内の現像剤のトナー濃度が規定のトナー濃度以上のときは、現像剤収容部内の現像剤が、連通口を塞いでおり、現像剤収容部内の現像剤のトナー濃度が規定のトナー濃度よりも低くいときは、連通口が開口されてトナー収容部内のトナーが、連通口から現像剤収容部へ自律的に供給される現像装置において、現像剤担持体から剥離した現像済み現像剤を、現像剤収容部の連通口近傍へ案内する案内部材を設けた。
かかる構成を備えることで、現像領域でトナーが消費され、トナー濃度が低下した現像済み現像剤が、現像剤担持体近傍へ落下するのを抑制することができ、トナー濃度が回復していない現像済み現像剤が、現像剤担持体に担持されてしまうのを抑制することができる。また、連通口近傍に落下するので、連通口から供給されたトナーが付着し、現像済み現像剤のトナー濃度がすばやく回復することができる。
【0061】
(2)
また、上記(1)に記載の態様の現像装置において、現像済み現像剤のうち、現像領域においてトナーが消費されトナー濃度が低下した現像済み現像剤が、連通口へ案内されるよう案内部材を構成した。これにより、トナー濃度が低下した現像済み現像剤に対して効率よく連通口から供給されたトナーを付着させることができ、現像済み現像剤のトナー濃度をすばやく回復することができる。
【0062】
(3)
また、上記(1)または(2)に記載の態様の現像装置において、案内部材を、連通口が形成された箇所まで延ばし、案内部材により現像剤収容部の連通口近傍を仕切った。かかる構成を備えることにより、連通口から供給されたトナーが、現像スリーブ近傍へ流れ込むのを案内部材により阻止することができる。これにより、現像スリーブ近傍の現像剤のトナー濃度が、規定のトナー濃度よりも高くなるのを防止することができる。また、現像済み現像剤を確実に連通口近傍へ案内することができ、連通口近傍の規定のトナー濃度よりも低いトナー濃度の現像剤に対して、確実に連通口から供給されたトナーを付着させることができる。
【0063】
(4)
また、上記(1)乃至(3)に記載のいずれかの態様の現像装置において、現像剤収容部に現像剤を攪拌する攪拌部材を設けた。これにより、現像剤収容部内の現像剤のトナー濃度を均一にすることができる。また、現像剤収容部内のトナーが、キャリアや現像剤収容部の壁面と摺擦して、現像剤収容部内のトナーの帯電量を上げることができる。
【0064】
(5)
また、上記(4)に記載の態様の現像装置において、攪拌部材として、攪拌パドルを用いることで、現像剤収容部内の現像剤を攪拌することができる。
【0065】
(6)
また、上記(4)に記載の態様の現像装置において、攪拌部材として、攪拌スクリューを用いた。環半スクリューを用いても、現像剤収容部内の現像剤を攪拌することができる。
【0066】
(7)
また、上記(1)乃至(6)いずれかに記載の態様の現像装置において、トナー収容部は、現像剤収容部に隣接配置されており、トナー収容部にトナー収容部のトナーを連通口に供給するトナー供給部材を設けた。これにより、連通口から現像剤収容部へトナーを良好に供給することができる。また、トナー収容部は、現像剤収容部に隣接配置することにより、トナー収容部のトナーを現像収容部の連通口へ向けてトナーを搬送するトナー搬送手段などが不要となり、装置のコストダウンを図ることができる。
【0067】
(8)
また、上記(1)乃至(6)いずれかに記載の態様の現像装置において、トナー収容部は、前記現像剤収容部に対して離れた箇所に配置されており、トナー収容部のトナーを、前記トナー搬送路を介して連通口へ搬送するトナー搬送手段を設けた。
トナー収容部を、現像収容部に対して離れた箇所に配置することで、現像装置を横並びに配置するタンデム型画像形成装置に適用した場合、画像形成装置の横方向の長さを、現像収容部に隣接してトナー収容部を配置したものに比べて短くすることができる。
【0068】
(9)
また、上記(8)に記載の態様の現像装置において、トナー搬送手段を、トナー搬送路内に設けられたスクリューまたはコイルからなるトナー搬送部材と、トナー搬送部材を回転駆動する駆動手段とで構成した。これにより、トナー収容部からトナー搬送路へ供給されたトナーを連通口へ搬送することができる。
【0069】
(10)
また、上記(8)に記載の態様の現像装置において、トナー搬送手段として、エアポンプを用いた。かかる構成においても、トナー収容部からトナー搬送路へ供給されたトナーを連通口へ搬送することができる。
【0070】
(11)
また、上記(8)乃至(10)いずれかに記載の現像装置において、トナー搬送路は、トナーを、軸方向へ搬送しながら、前記連通口へ供給するトナー供給部を備えた。これにより、連通口へ軸方向均一にトナーを供給することができる。
【0071】
(12)
(1)乃至(11)いずれかに記載の現像装置において、現像剤収容部の連通口よりも鉛直方向下側の壁面に現像剤を攪拌する現像剤攪拌部を設けた。かかる構成により、現像済み現像剤と連通口から供給されたトナーとを攪拌することができ、現像済み現像剤のトナー濃度をすばやく回復することができる。
【0072】
(13)
また、(12)に記載の態様の現像装置において、現像剤攪拌部は、凹凸形状を有している。現像剤攪拌部の凹凸形状に引っ掛かる現像剤と、凹凸形状に引っ掛からずに移動する現像剤との間で移動の速度差が生じることで、現像剤を攪拌することができる。
【0073】
(14)
また、(12)に記載の態様の現像装置において、現像剤攪拌部は、移動してきた現像剤を複数に分割するための板状部材を有する。現像剤を分割することにより、現像済み現像剤とトナーとが混合されやすくなり、現像済み現像剤のトナー濃度をすばやく回復することができる。
【0074】
(15)
また、(1)乃至(14)いずれかに記載の態様の現像装置において、記現像剤担持体の現像剤が剥離する位置と対向する箇所に、現像剤担持体の現像剤に対して、磁気吸引力を発生させて現像剤の現像剤担持体への剥離を補助する剥離補助磁界発生手段を設けた。これにより、現像剤担持体上の現像剤済み現像剤を現像剤担持体から離して剥離させることができ、連通口近傍へ現像済み現像剤を確実に案内することができる。また、現像領域においてトナーが消費されトナー濃度が低下した現像済み現像剤は、トナー濃度が低下していない現像済み現像剤に比べて、強い剥離補助磁界発生手段の磁気吸引力を受けるため、現像剤担持体から離れた箇所に落下する。これにより、トナー濃度が低下した現像済み現像剤のみ連通口へ落下させることもできる。
【0075】
(16)
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、上記現像手段として、上記(1)乃至(15)のいずれかに記載の態様の現像装置を用いた。これにより、画像面積率の高い画像を連続形成しても、高品位な画像を形成することができる。
【符号の説明】
【0076】
2:ケーシング
3:現像剤
3a:現像済み現像剤
4:現像スリーブ
5:マグネットローラ
6:ドクタ
7:現像部
8:トナーホッパ
9:連通口
10:現像装置
11:案内部材
12:仕切り部
13:吸引磁石
14:攪拌部材
15:トナー供給部
16:供給コイル
17:トナー搬送部
18:エアポンプ
19:供給経路
20:攪拌部
21:供給部材
41a:汲み上げ磁極
41d:剥離磁極
81:トナー補給アジテータ
100:プリンタ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特許第4292899号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して現像領域へと搬送する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の表面に供給する現像剤を収容し、かつ、前記現像剤担持体から剥離した現像済み現像剤が回収される現像剤収容部と、
連通口を介して該現像剤収容部と連通し、該連通口から前記現像剤収容部へ前記トナーが供給可能なようにトナーを収容するトナー収容部とを備え、
前記現像剤収容部内の現像剤のトナー濃度が規定のトナー濃度以上のときは、前記現像剤収容部内の現像剤が、前記連通口を塞いでおり、前記現像剤収容部内の現像剤のトナー濃度が規定のトナー濃度よりも低くいときは、前記連通口が開口されてトナー収容部内のトナーが、前記連通口から前記現像剤収容部へ自律的に供給される現像装置において、
前記現像剤担持体から剥離した現像済み現像剤を、前記現像剤収容部の前記連通口近傍へ案内する案内部材を設けたことを特徴とした現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
前記現像済み現像剤のうち、現像領域においてトナーが消費されトナー濃度が低下した現像済み現像剤が、前記連通口へ案内されるよう前記案内部材を構成したことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、
前記案内部材を、前記連通口が形成された箇所まで延ばし、前記案内部材により上記現像剤収容部の前記連通口近傍を仕切ったことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの現像装置において、
前記現像剤収容部に現像剤を攪拌する攪拌部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4の現像装置において、
前記攪拌部材として、攪拌パドルを用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4の現像装置において、
前記攪拌部材として、攪拌スクリューを用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかの現像装置において、
前記トナー収容部は、前記現像剤収容部に隣接配置されており、
前記トナー収容部に前記トナー収容部のトナーを前記連通口に供給するトナー供給部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至6いずれかの現像装置において、
前記トナー収容部は、前記現像剤収容部に対して離れた箇所に配置されており、
前記トナー収容部のトナーを、前記トナー搬送路を介して前記連通口へ搬送するトナー搬送手段を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項8の現像装置において、
前記トナー搬送手段を、前記トナー搬送路内に設けられたスクリューまたはコイルからなるトナー搬送部材と、前記トナー搬送部材を回転駆動する駆動手段とで構成したことを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項8の現像装置において、
前記トナー搬送手段として、エアポンプを用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項8乃至10いずれかの現像装置において、
前記トナー搬送路は、前記トナーを、軸方向へ搬送しながら、前記連通口へ供給するトナー供給部を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項1乃至11いずれかの現像装置において、
前記現像剤収容部の前記連通口よりも鉛直方向下側の壁面に現像剤を攪拌する現像剤攪拌部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項12の現像装置において、
前記現像剤攪拌部は、凹凸形状を有していることを特徴とする現像装置。
【請求項14】
請求項12の現像装置において、
前記現像剤攪拌部は、移動してきた現像剤を複数に分割するための板状部材を有することを特徴とする現像装置。
【請求項15】
請求項1乃至14いずれかの現像装置において、
前記現像剤担持体の現像剤が剥離する位置と対向する箇所に、前記現像剤担持体の現像剤に対して、磁気吸引力を発生させて現像剤の現像剤担持体への剥離を補助する剥離補助磁界発生手段を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項16】
潜像を担持する潜像担持体と、
該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、
上記現像手段として、請求項1乃至15のいずれかの現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−41185(P2013−41185A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179181(P2011−179181)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】