説明

現像装置及びこれを用いた現像方法

【課題】初期画像において濃度薄やゴーストの発生しない高品位な画像を得るための現像装置及びこれを用いた現像方法を提供すること。
【解決手段】現像剤と、該現像剤を薄膜状に担持可能な現像ローラとを具備し、前記現像剤の表面及び前記現像ローラの表面には、それぞれ金属元素化合物が外添されており、かつ、前記現像剤の表面に外添されている金属元素化合物の少なくとも1種と、前記現像ローラの表面に外添されている金属元素化合物の少なくとも1種とが、同一の金属元素を有する電子写真装置用現像装置により、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリの受信装置など電子写真装置に組み込まれる感光体を現像処理する現像装置および現像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたプリンター等の電子写真装置においては、潜像担持体である感光体が帯電ローラにより均一に帯電され、レーザー等によりその一部の電荷を除去することで静電潜像を形成する。次に、現像容器内の現像剤が、現像剤供給ローラ及び現像剤規制部材により適正電荷で均一に現像剤担持体としての現像ローラ上に塗布され、感光体と現像ローラとの接触部で現像剤の転写が行われ、静電潜像が可視化される(現像)。その後、感光体上の現像剤は、転写ローラにより記録紙に転写され、熱と圧力により定着され、感光体上に残留した現像剤はクリーニングブレードによって除かれ、一連のプロセスが完了する。
【0003】
このような電子写真装置への高速、高画質の要求が高まるにつれ、特に現像剤や現像ローラに求められる性能が多くなってきている現状がある。現像剤としては、カブリや画像濃度安定のためにその帯電量の向上が課題の1つとなり、例えばチタン酸バリウムなどを含有させる方法により帯電量の向上が図られてきた(特許文献1参照)。また、現像ローラとしても、現像剤の帯電量の向上を目的として、例えば表面層にフタログアナミンなどを添加する方法により、現像ローラの帯電付与能力の向上が図られてきた(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−107999号公報
【特許文献2】特開2000−147899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、そのような状況で、現像剤と現像ローラとの適度な親和性が得られにくく、初期画像(1枚目〜100枚目程度)における濃度薄や初期に発生するゴーストなどが顕著になっており、高品質な初期画像を得るのが困難になってきている。この現象は特に低温低湿環境(15℃/10%RH)で特に顕著に起こりやすい。
【0005】
本発明の課題は、初期画像において濃度薄やゴーストの発生しない高品位な画像を得るための現像装置及びこれを用いた現像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、現像剤と現像ローラの親和性を高め、初期画像における問題点を解決するため精意検討を行った。そして、現像剤表面と現像ローラ表面に同一な金属元素を有する化合物を付着せしめることにより、それらの界面での親和性が非常に向上し、電荷の高すぎる現像剤が生成されないことができることの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
現像剤と、該現像剤を薄膜状に担持可能な現像ローラとを具備し、静電潜像が形成された潜像担持体に現像剤を供給して該静電潜像を可視化するための電子写真装置用現像装置において、
前記現像ローラは、軸体と、軸体上に設けられた導電性弾性層と、該導電性弾性層の外周に設けられた表面層とを有し、
前記現像剤の表面及び前記現像ローラの表面には、それぞれ金属元素化合物が外添されており、かつ、前記現像剤の表面に外添されている金属元素化合物の少なくとも1種と、前記現像ローラの表面に外添されている金属元素化合物の少なくとも1種とが、同一の金属元素を有することを特徴とする電子写真装置用現像装置に関する。
【0008】
更に本発明は、上記の電子写真装置用現像装置を用いて、前記現像ローラの表面に前記現像剤を担持させ、該現像ローラを静電潜像が形成された潜像担持体に接触させて該静電潜像を現像することを特徴とする現像方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、初期画像において濃度薄やゴーストの発生のない高品位な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0011】
(現像ローラ)
現像ローラとしては、図1に示すように、良導電性シャフトである軸体1の外周に導電性弾性層2を有し、この導電性弾性層2を表面層3で被覆して形成されたものを用いることができる。
【0012】
上記軸体1としては、良好な導電性を有し軸体として機能するものであればいずれのものも使用し得るが、通常は、アルミニウム、鉄、SUSなどの金属製円筒体が用いられる。軸体1の外径は、通常4〜10mmである。
【0013】
この軸体1の外周に形成する導電性弾性層2は、基材に電子導電性物質やイオン導電物質などの導電性付与剤を配合し、適切な抵抗領域(体積抵抗率:103〜1010Ω・cm、好ましくは104〜108Ω・cm)に調整したものが用いられる。
【0014】
上記基材としては、ポリウレタン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、及びこれらの混合物等のエラストマーやフォーム材料が挙げられる。好ましくは、シリコーンゴムまたはEPDMが用いられる。
【0015】
電子導電性物質としては、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理等を施したカラー(インク)用カーボン;銅、銀、ゲルマニウム等の金属または金属酸化物等;が挙げられる。この中で、少量で導電性を制御しやすいカーボンブラック(導電性カーボンやゴム用カーボン)は好ましく用いられる。
【0016】
イオン導電性物質としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質;変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフェート、ステアリルアンモニウムアセテート等の有機イオン性導電物質;などが挙げられる。
【0017】
電子導電性物質やイオン導電性物質などの導電性付与剤は、導電性弾性層2が所望の抵抗値となる量を用いれば良いが、通常基材100質量部に対して0.5〜50質量部、好ましくは1〜30質量部の範囲で用いられる。
【0018】
導電性弾性層2は、次のような方法などで形成することができる。
(1)芯金を予め配した成型金型のキャビティ内に得られた上記のような成分を配合した組成物を注入し、加熱して反応硬化または固化させることにより一体的に形成し製造する方法。
(2)予め、上記組成物を用いて別途形成したスラブやブロックから、切削加工等により、チューブ状等の所定の形状、寸法に切り出し、これに芯金を圧入して芯金上に導電性弾性層を製造する方法。
(3)これらの方法を適宜組み合わせた方法。
所望の場合には、さらに、切削や研磨処理などによって所定の外径に調整してもよい。導電性弾性層2の厚さは、通常0.3mm〜10mmの厚さで形成することができ、好ましくは1.0mm〜5.0mmの範囲で形成される。
【0019】
この導電性弾性層2を被覆する表面層3は、導電性樹脂で形成される。その体積抵抗率は、通常103〜1010Ω・cm、好ましくは104〜108Ω・cmに調整される。
【0020】
上記導電性樹脂を構成する樹脂成分としては、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、イミド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂等、及びこれらの混合物が挙げられる。ウレタン樹脂は、摩擦により現像剤を帯電する能力が大きく且つ耐摩耗性を有しているので、導電性樹脂を構成する樹脂成分として好ましく用いられる。
【0021】
上記導電性樹脂は、上記樹脂成分に、導電性を付与するための、電子導電性物質やイオン導電性物質などの導電性付与剤が配合される。また、必要に応じて、現像ローラの表面粗さを調整するための粗し粒子が添加される。
【0022】
電子導電性物質としては、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理等を施したカラー(インク)用カーボン;銅、銀、ゲルマニウム等の金属または金属酸化物等;が挙げられる。この中で、少量で導電性を制御しやすいカーボンブラック(導電性カーボンやゴム用カーボン)は好ましく用いられる。
【0023】
イオン導電性物質としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質;変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフェート、ステアリルアンモニウムアセテート、等の有機イオン性導電物質;などが挙げられる。
【0024】
電子導電性物質やイオン導電性物質などの導電性付与剤は、表面層3が所望の抵抗値となる量を用いれば良いが、通常樹脂成分100質量部に対して1〜50質量部の範囲で用いられる。
【0025】
粗し粒子としては、EPDM、NBR、SBR、CR、シリコーンゴム等のゴム粒子;ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド系の熱可塑性エラストマー(TPE)等のエラストマー粒子;PMMA、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル樹脂等の樹脂粒子;を、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0026】
現像ローラの表面粗さRzは、一般的に1〜15μm、好ましくは3〜10μmに調整される。なお、このローラの表面粗さRzは、JIS B0601:2001により測定されるRzとする。現像ローラが所望の表面粗さを有するように、粗し粒子の添加量及び粒子径は選択される。通常、粗し粒子の体積平均粒子径は1.0〜30μm、添加量は樹脂成分及び導電性付与剤の合計100質量部に対して1.0〜50質量部とされる。
【0027】
表面層3の形成は、例えば次のような方法で行うことができる。まず、硬化剤もしくは硬化触媒を除いた樹脂成分と導電性付与剤とをボールミル等を用いて混合攪拌する。その後、適時必要に応じ粗し粒子を添加し分散し、硬化剤もしくは硬化触媒を添加して撹拌することで、塗料を得る。得られた塗料を、軸体1の外周に形成された導電性弾性層2の表面にスプレー、ディッピング等の方法で塗布し、乾燥・硬化することで、表面層3を形成することができる。表面層3の厚さは、通常0.5μm〜200μmの範囲である。
【0028】
(現像剤)
現像剤としては、非磁性一成分現像剤として使用可能な現像剤を使用することができる。このような現像剤は、例えば重合法または破砕法により得ることができる。
【0029】
重合法で現像剤を製造する方法としては、重合性単量体及び着色剤を含有する現像剤組成物を水系懸濁液中で重合する方法が挙げられる。
【0030】
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のその他の単量体;が挙げられる。これらの単量体は単独でまたは2種以上を混合して使用される。
【0031】
上記重合性単量体を重合して得られる結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜70℃であることが好ましく、45〜65℃であることがさらに好ましい。ここで言うTgは、以下の方法により決定することができる。すなわち、Tgは、結着樹脂のTg測定用サンプルを一旦昇温し冷却した後、二度目の昇温時のDSCカーブより、吸熱ピーク前の基線と吸熱ピーク後の基線の中線と、立ち上がり曲線での交点をもってTgとした。
【0032】
ただし、使用する重合性単量体として、ポリマーハンドブック第2版III−p139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が40〜70℃を示すように、重合性単量体を適宜選択することもできる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には現像剤の保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、70℃を超える場合には現像剤の定着点の上昇をもたらす。特にフルカラー画像を形成するためのカラー現像剤の場合においては各色現像剤の定着時の混色性が低下し色再現性に乏しいため好ましくない。
【0033】
重合性単量体を重合するために使用される重合開始剤としては、アゾ系またはジアゾ系重合開始剤または過酸化物系重合開始剤が好適である。例えば、半減期0.5〜30時間の重合開始剤を、重合性単量体100質量部に対して0.5〜20質量部添加して重合反応を行うことができる。このような重合反応により、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体となり、現像剤に望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
【0034】
重合性単量体を重合するにあたり、架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、芳香族ジビニル化合物、二重結合を2個有するジビニル化合物、3個以上のビニル基を有する化合物を、単独でもしくは2種以上を混合して用いられる。好ましい添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量%である。
【0035】
現像剤組成物には、高分子重合体を含んでいても良い。例えば、単量体の状態では水溶性であり水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こしてしまう単量体を重合した高分子重合体を添加することができる。この方法により、アミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等の親水性官能基を含有する単量体を現像剤中に導入することができる。具体的には、これらの親水性官能基を含有する単量体の単独重合体、または他の単量体との共重合体の形での使用が可能である。共重合体としては、例えば、親水性官能基を含有する単量体と、スチレン、エチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の付加重合体が使用できる。その他、ポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等の重付加重合体の形でも良い。高分子重合体としては特にポリエステル系の重合体が好ましい。
【0036】
このような高分子重合体を使用する場合、その数平均分子量は4000を超えることが好ましく、5,000以上がより好ましい。5,000未満、特に4,000以下では、高分子重合体が表面付近に集中し易いことから、現像性や耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなる。数平均分子量が大きい分には特に問題は生じないが、容易に高分子重合体が得られることから、10万以下が好ましい。
【0037】
高分子重合体の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、20質量部を超えると現像剤の種々の物性設計が難しくなる傾向が見られる。
【0038】
現像剤組成物には、着色力を付与するために着色剤が配合される。好適に使用される着色剤としては、以下のものが挙げられる。
【0039】
シアン系着色剤となる有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が用いられる。
【0040】
マゼンタ系着色剤となる有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。
【0041】
イエロー系着色剤となる有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物等が用いられる。
【0042】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、あるいは上記イエロー/マゼンタ/シアン着色剤となる有機顔料又は有機染料を黒色に調色したものを利用することができる。
【0043】
これらの着色剤は、単独で、又は2種以上を混合して、さらには2種以上の固溶体の状態で用いることができる。着色剤の種類は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、現像剤中への分散性の点から選択される。
【0044】
着色剤の添加量は、通常、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部の範囲で用いられる。
【0045】
なお、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、表面改質、例えば、重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておくことが好ましい。特に、染料系やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので、使用の際に注意を要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を現像剤組成物に添加れば良い。また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等で処理を行っても良い。
【0046】
現像剤組成物には、荷電特性を安定化するために更に荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。該荷電制御剤は重合性単量体100質量部に対し0.5〜10質量部使用することが好ましい。しかしながら、荷電制御剤の添加は必須ではなく、現像剤の層厚規制部材や現像剤担持体との摩擦帯電を積極的に利用することで現像剤組成物中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0047】
現像剤組成物には、上記の他、離型剤、可塑剤、有機溶剤、分散剤、ワックス等を添加することもできる。
【0048】
現像剤組成物を重合する懸濁液の調製は、次の方法で行うことができる。すなわち、上述の成分を、ホモジナイサー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解または分散せしめた現像剤組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁させて造粒する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望の現像剤のサイズに造粒すると、得られる現像剤の粒径がシャープになる。なお、重合開始剤の添加時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加するとき同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0049】
分散安定剤としては、公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粒粉が生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので、反応温度を変化させても安定性が崩れ難い。すなわち、無機分散剤は、洗浄も容易で現像剤に悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。無機分散剤としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩が好適に用いられる。
【0050】
分散安定剤としては、無機分散剤を重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部使用することが好ましい。ただし、現像剤の微粒化の観点から、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。なお、無機分散剤は、重合終了後に酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
【0051】
前記重合の温度は、一般には40℃以上、好ましくは50〜90℃に設定する。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、重合温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。
【0052】
重合により得られた粒子は、重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粉体を混合し表面に付着させることで、現像剤を得ることができる。また、製造時に分級工程を行い、粗粉や微粉をカットすることも、本発明の望ましい形態の一つである。
【0053】
破砕法で現像剤を製造する方法としては、公知の方法が用いられるが、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、前記したものと同様の種類及び組成の結着樹脂、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に他の現像剤原料を分散又は溶解せしめる。冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて球形化処理等の表面処理を行って現像剤を得ることができる。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。粉砕は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。
【0054】
(現像ローラの表面及び現像剤の表面への金属元素化合物の外添)
本発明では、現像ローラ及び現像剤として、上記のような構成の現像ローラの表面及び現像剤の表面に、それぞれ金属元素化合物を外添したものを用いる。
【0055】
そして、現像ローラの表面及び現像剤の表面に外添される金属元素化合物のうち少なくとも1種は、同一の金属元素を有する構成とする。すなわち、同じ金属元素が含まれていれば金属元素化合物自体の組成や構造が異なってもよい。また、現像ローラの表面及び現像剤の表面に外添される金属元素化合物はそれぞれ1種でも2種以上でも良いが、少なくとも1種の金属元素を有する化合物には、同一の金属元素が含まれている必要がある。このような現像ローラと現像剤とを組み合わせることで、両者の界面での親和性が非常に向上する。
【0056】
現像剤と現像ローラとの親和性を高めるために、現像剤の表面と現像ローラの表面に存在する金属元素の種類が全て同一であることが好ましい。
【0057】
さらに、現像ローラの表面及び現像剤の表面の双方に同じ組成及び構造の金属元素化合物を外添することが好ましい。すなわち、金属元素化合物は1種でも2種以上でも良いが、1種の場合はその金属元素化合物が、2種以上の場合はその全ての金属元素化合物が双方の表面に外添されることが好ましい。
【0058】
外添される金属元素化合物としては、例えば公知の金属元素化合物を用いることができる。金属元素化合物は、金属元素を含んでいれば無機化合物でも有機化合物でも構わない。金属元素化合物としては、Ge化合物、Ba化合物、Sr化合物、Si化合物、Ti化合物、Al化合物、Zn化合物、Cu化合物、Mg化合物、Ni化合物、Co化合物、Cr化合物、V化合物、Ga化合物、Fe化合物、Ca化合物等が挙げられる。現像剤と現像ローラの親和性をより効果的に高めることが可能であるため、Si化合物、Ti化合物、Al化合物、Mg化合物が外添されていることが好ましい。また、現像剤の表面及び現像ローラの表面に外添されている金属元素化合物は、両者に共通して存在する同一の金属元素として、Ge、Ba、Sr、Si、Ti、Al、Zn、Cu、Mg、Ni、Co、Cr、V、Ga、Fe、及びCaのいずれかを有していることが好ましい。特に、現像剤と現像ローラの親和性をより効果的に高めることが可能であるため、同一の金属元素として、Si、Ti、Al、及びMgのいずれかを有することが好ましい。また、複数種の金属元素を含有する金属元素化合物を用いることもできる。
【0059】
Si化合物の具体例としては、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素などが挙げられる。Ti化合物の具体例としては、チタニア、酸化チタン、有機チタン化合物などが挙げられる。Al化合物の具体例としては、アルミナ、有機アルミニウム化合物などが挙げられる。Mg化合物の具体例としては、マグネタイト、酸化マグネシウムなどが挙げられる。また、複数種の金属元素を含有する金属元素化合物の具体例としては、Mg及びAlを含有するハイドロタルサイトや、Tiを含有するチタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、等が挙げられる。
【0060】
また、本発明に用いられる外添剤は、必要に応じ疎水化、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、有機ケイ素化合物や有機チタン化合物の処理剤で処理されていることも可能である。
【0061】
現像剤の表面への金属元素化合物の外添は、ヘンシェルミキサー等を用いた従来公知の方法を利用することができる。現像ローラの表面への金属元素化合物の外添は、ローラコート、静電塗布など従来公知の方法が利用できる。
【0062】
現像ローラの表面に外添されている金属元素化合物に含まれる金属元素のAt%は、1〜15%であることが好ましい。この範囲とすることで、現像剤及び現像ローラの界面での親和性を効果的に高めることができ、本発明の効果が大きくなる。より好ましくは、3〜12%である。なお、金属元素化合物に含まれる金属元素のAt%は、現像ローラ表面上の金属元素の個数割合(検出される金属元素の個数/検出される全ての元素の個数)を表す。2種以上の金属元素化合物が外添されている場合は、外添されている金属元素化合物に含まれる金属元素のAt%の総和を表す。金属元素のAt%は、EDAXなどによるX線元素分析により求めることができる。
【0063】
現像剤の表面に外添されている金属元素化合物の量は、外添前の現像剤100質量部に対して0.1〜5.0質量部であることが好ましい。この範囲とすることで、現像剤及び現像ローラの界面での親和性を効果的に高めることができ、本発明の効果が大きくなる。より好ましくは、外添前の現像剤100質量部に対して0.5〜3.0質量部である。なお、複数種の金属元素化合物が外添されている場合は、その合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0064】
現像剤、現像ローラ表面に上記金属元素化合物が外添されていることの確認は、SEMやESCAにより最表面の観察、分析により明らかにすることができる。また、現像剤、現像ローラ表面の金属化合物の特定には、金属の種類などはEDAXや蛍光X線分析で分析できる。さらに、適切な方法で金属元素化合物を分取、単離し、X線回折や熱分解分析により無機物、有機物の同定をすることが可能である。
【0065】
(電子写真用現像装置及び現像方法)
本発明の電子写真用現像装置は、静電潜像が形成された潜像担持体に現像剤を供給して該静電潜像を可視化するための電子写真装置用現像装置であって、上記の現像剤と、その現像剤を薄膜状に担持可能な上記の現像ローラとを具備している。そして、本発明の現像方法では、上記の電子写真装置用現像装置を用いて、現像ローラの表面に現像剤を担持させ、現像ローラを静電潜像が形成された潜像担持体に接触させて静電潜像を現像する。
【0066】
本発明の電子写真装置用現像装置は、複写機、ファクシミリ、プリンターなどの電子写真装置に設けられる現像装置であれば特に限定されるものではなく、例えば、図2に示すプリンターなどの電子写真装置に用いられる現像装置を挙げることができる。
【0067】
図2は、本発明の現像装置を用いた電子写真装置の概略構成図であり、図3は本発明の現像装置を用いた電子写真プロセスカートリッジの断面図である。
【0068】
図3に示す電子写真プロセスカートリッジ11は、現像装置24と、潜像担持体ユニット23とを有しており、図2の電子写真装置に着脱可能に装着することができる。図2に示す電子写真装置には、4つの電子写真プロセスカートリッジ11(イエロー用カートリッジ11Y、マゼンタ用カートリッジ11M、シアン用カートリッジ11C、ブラック用カートリッジ11K)が装着されている。なお、電子写真プロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、潜像担持体、帯電部材、クリーニング部材および転写部材の少なくとも一つとを有し、これらが一体的に保持されてなるものであり、電子写真装置に着脱可能に装着されるものである。
【0069】
図3に示す潜像担持体としての感光ドラム21は、矢印方向に回転し、感光ドラム21を帯電処理するための帯電部材22によって、その表面が一様に帯電される。そして、表面が帯電された感光ドラム21に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光を発するスキャナ部41により、感光ドラム21の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、電子写真プロセスカートリッジに保持される現像装置24から現像剤16を付与されることにより現像され、現像剤像として可視化される。
【0070】
可視化された感光ドラム21上の現像剤像は、図2の転写部43によって記録媒体である転写材46に転写される。転写材46は給送部42により転写部43に導入される。現像剤像が転写された転写材46は、定着装置44により定着処理され、排出部45に排紙されプリント動作が終了する。
【0071】
一方、転写されずに感光ドラム上21上に残存した現像剤は、感光ドラム上21表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード30により掻き取られ、廃現像剤容器31に収納される。クリーニングされた感光ドラム21は上述の動作を繰り返し行う。
【0072】
現像装置24は、現像剤16を収容した現像容器14と、現像容器14内の長手方向に延在する開口部に位置し感光ドラム21と対向設置された現像剤担持体としての現像ローラ25とを備えている。現像装置24は、感光ドラム21上の静電潜像を現像して可視化するように配置される。
【0073】
ここで、現像ローラ25は、感光ドラム21と当接幅をもって配置される。また、現像装置24においては、現像剤規制部材である弾性ブレード27が現像ローラ25表面と当接して配置され、現像ローラ25表面に担持される現像剤の厚さを規制している。また、トナー供給ローラ26が、弾性ブレード27と現像ローラ25表面との当接部に対し現像ローラ25回転方向上流側に現像ローラ25表面と当接して配置され、かつ、回転可能に支持されている。
【0074】
トナー供給ローラ26の構造としては、発泡骨格状スポンジ構造のもの、またはファーブラシ構造のものが、現像ローラ25への現像剤16の供給および未現像現像剤の剥ぎ取りの点から好ましい。ファーブラシ構造としては、軸体上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したものが挙げられる。また、例えば、軸体上にポリウレタンフォームを設けた直径16mmのトナー供給ローラを用いることができる。
【0075】
このトナー供給ローラ26の現像ローラ25に対する当接幅としては、1〜8mmが好ましい。また、現像ローラ25に対してその当接部において相対速度をもたせることが好ましい。例えば、当接幅を3mmに設定し、トナー供給ローラ26の周速として現像動作時に50mm/s(現像ローラ25との相対速度は130mm/s)となるように駆動手段(図示せず)により所定タイミングで回転駆動させることができる。
【0076】
また、トナー容器13と現像容器14は出荷時等、使用開始前はトナーの漏れを起こさないように、開口部をシール部材であるトナーシール17で閉鎖している。すなわち、現像装置24が具備する現像剤16と現像ローラ25とは隔離されている。使用開始時にトナーシール17を開封することでトナー容器13と現像容器14は連通し、トナー容器13内のトナーは現像容器14へ移動する。
【実施例】
【0077】
以下に本発明の現像ローラを、実施例および比較例により説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0078】
(現像剤1の製造)
60℃に加温したイオン交換水900質量部に、リン酸三カルシウム3質量部を添加し、撹拌装置(商品名:TK式ホモミキサー、特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて攪拌し、水系媒体を作製した。
【0079】
一方、下記成分からなる混合物1−1を60℃に加温した後、上記撹拌装置を用いて9,000rpmにて攪拌し、溶解、分散した。これに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部を60℃にて溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
スチレン 90質量部
n−ブチルアクリレート 10質量部
ジビニルベンゼン 4質量部
ステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス 2質量部
(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)
飽和ポリエステル樹脂 7質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
サリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製)
カーボンブラック(比表面積:60m3/g) 7質量部
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下において、上記撹拌装置を用いて8,000rpmにて攪拌し、造粒した。
【0080】
その後パドル攪拌翼で攪拌しつつ、60℃で8時間重合反応を行い、重合体粒子を製造した。反応終了後、該粒子を含む懸濁液を室温(25℃)まで冷却した。冷却された懸濁液に塩酸を加えてリン酸カルシウム塩を溶解し、ろ過、水洗、乾燥を行った後、風力分級によって、着色粒子(現像剤1)を得た。
【0081】
(現像ローラ1の製造)
外径8mmの芯金を内径16mmの円筒状金型内に同心となるように設置し、弾性層として液状導電性シリコーンゴム(東レダウシリコーン社製、ASKER−C硬度40度、体積抵抗率107Ω・cm品)を注型した。その後、130℃のオーブンに入れ20分加熱成型し、脱型後、200℃のオーブンで4時間2次加硫を行い、芯金の外周に厚み4mmの導電性弾性層を形成した。
【0082】
ウレタン塗料(商品名:ニッポランN5033、日本ポリウレタン社製)を固形分濃度10質量%となるようにメチルエチルケトンで希釈した。次いで、ウレタン塗料の固形分100質量部に対して、導電材としてカーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)を15質量部、粗し粒子としてPMMA粒子(商品名:MX−1000、綜研化学社製)を12質量部添加し、ボールミルで攪拌分散した。その後、硬化剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)をウレタン塗料の固形分100質量部に対し10質量部添加し攪拌した。得られた塗料を先に成型したローラ上にディッピングにより塗布し、80℃のオーブンで15分乾燥後、140℃のオーブンで4時間硬化して、導電性弾性層の外周に表面層(厚み15μm、体積抵抗率:1.0×109Ωcm)を形成した。このようにして、現像ローラ(現像ローラ1)を得た。
【0083】
(金属元素化合物の外添)
現像剤1の表面及び現像ローラ1の表面には、所定の金属元素化合物を各々外添した。現像剤1の表面への外添は、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて行った。現像ローラ1の表面への外添は、金属元素化合物をメタノールに適切な方法で分散させ、得られた分散液を現像ローラ1の表面にスプレーコートを用いて塗布し、溶媒を乾燥させることで行った。なお、分散液の濃度や塗布量は、現像ローラ1の表面に目的とする量の金属元素化合物が外添されるように適宜調整した。また、現像ローラ1の表面に外添された金属元素化合物の量(At%)は、SEM装置(商品名:FE−SEM4700、日立製作所製)に装着したEDAX装置(エダックスジャパン製)にて測定を行った。
【0084】
[実施例1]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R972、日本アエロジル製)を1.5部、酸化チタン(商品名:STT−30、チタン工業製)を0.5部、外添した。現像ローラ1には、酸化チタン(商品名:STT−30、チタン工業製)を外添した。現像ローラ1表面のTiのAt%は1.0%であった。
【0085】
[実施例2]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R972、日本アエロジル製)を1.5部、酸化チタン(商品名:STT−30、チタン工業製)を0.5部、外添した。現像ローラ1には、シリカ(商品名:R972、日本アエロジル製)と酸化チタン(商品名:STT−30、チタン工業製)を外添した。現像ローラ1表面の、SiのAt%は3.5%、TiのAt%は1.0%であった。
【0086】
[実施例3]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R805、日本アエロジル製)を1.5部、酸化チタン(商品名:STT−30A、チタン工業製)を0.5部、外添した。現像ローラ1には、シリカ(商品名:R805、日本アエロジル製)を外添した。現像ローラ1表面のSiのAt%は15%であった。
【0087】
[実施例4]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R972、日本アエロジル製)を1.5部、酸化チタン(商品名:STT−30A、チタン工業製)を0.5部、外添した。現像ローラ1には、シリカ(商品名:R972、日本アエロジル製)を外添した。現像ローラ1表面のSiのAt%は17%であった。
【0088】
[実施例5]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R972、日本アエロジル製)を1.5部、酸化チタン(商品名:STT−30A、チタン工業製)を0.5部、外添した。現像ローラ1には、シリカ(商品名:R972、日本アエロジル製)を外添した。現像ローラ1表面のSiのAt%は0.8%であった。
【0089】
[実施例6]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R202、日本アエロジル製)を1.5部外添した。現像ローラ1には、シリカ(商品名:R202、日本アエロジル製)を外添した。現像ローラ1表面のSiのAt%は5.0%であった。
【0090】
[実施例7]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R805、日本アエロジル製)を1.5部、下記の構造を有する有機アルミニウム錯体を0.5部、外添した。現像ローラ1には、下記の構造を有する有機アルミニウム錯体を外添した。現像ローラ1表面のAlのAt%は1.5%であった。
【0091】
【化1】

【0092】
[実施例8]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R805、日本アエロジル製)を1.5部、ハイドロタルサイト(商品名:ALCA4、協和化学製)を0.5部、外添した。現像ローラ1にはハイドロタルサイト(商品名:ALCA4、協和化学製)を外添した。現像ローラ1表面の、MgのAt%は3.0%、AlのAt%は1.0%であった。
【0093】
[比較例1]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R972、日本アエロジル製)を1.5部、酸化チタン(商品名:STT−30、チタン工業製)を0.5部、外添した。現像ローラ1には何も外添しなかった。
【0094】
[比較例2]
100質量部の現像剤1に、シリカ(商品名:R972、日本アエロジル製)を1.5部外添した。現像ローラ1には酸化チタン(商品名:STT−30、チタン工業製)を外添した。現像ローラ1表面のTiのAt%は1.0%であった。
【0095】
(画像評価)
得られた現像ローラと現像剤を電子写真プロセスカートリッジに装着し、カラーレーザープリンタ(商品名:LBP5500、キヤノン製)で実際に画だしをし、以下の画像評価を行った。その結果をまとめて表1に示した。
【0096】
(ゴースト評価)
低温低湿環境(15℃/10%RH)下において、1枚目の画像におけるゴースト判定パターン(画像1枚内に15mm角のベタ画像とハーフトーン画像を続けて形成するパターン)を出力した。そして、ハーフトーン部分における濃度不均一発生の有無を目視で確認し、下記の基準にて評価した。
◎:濃淡差が全くない。
○:濃淡差がわずかに認められるが実用画像上問題なし。
△:濃淡差が画像濃度差に現れる。
【0097】
(初期濃度評価)
常温常湿環境(23℃/55%RH)下においてベタ画像の画だしを行い、初期の画像の画像濃度を測定した。具体的には、反射濃度計(商品名:RD918、マクベス製)を使用して1枚目の画像におけるベタ部の画像濃度を5点測定し、その平均値を初期濃度とした。通常、初期濃度が1.25以上であることが高品位な画像としては好ましく、さらに1.30以上になることがより好ましい。
【0098】
【表1】

【0099】
本発明の現像方法である実施例1〜8では、初期濃度が十分であり、ゴーストの発生についても良好な結果であった。特に、現像剤と現像ローラ表面に全く同じ組成及び構造の金属元素化合物が外添をした実施例2、6では、初期濃度が非常に高く、ゴーストの発生についても特に優れた結果であった。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明に用いられる現像ローラの一例の断面図であり、(a)は軸方向に垂直方向の断面図、(b)は軸方向に平行方向の断面図である。
【図2】本発明の現像装置を用いた電子写真装置の概略構成図である。
【図3】本発明の現像装置を用いた電子写真プロセスカートリッジの断面図である。
【符号の説明】
【0101】
1:軸体
2:導電性弾性層
3:表面層
11:電子写真プロセスカートリッジ
11Y:イエロー用カートリッジ
11M:マゼンタ用カートリッジ
11C:シアン用カートリッジ
11K:ブラック用カートリッジ
13:トナー容器
14:現像容器
16:現像剤
17:トナーシール
21:感光ドラム
22:帯電部材
23:潜像担持体ユニット
24:現像装置
25:現像ローラ
26:トナー供給ローラ
27:弾性ブレード
30:クリーニングブレード
31:廃現像剤容器
41:スキャナ部
42:給送部
43:転写部
44:定着装置
45:排出部
46:転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤と、該現像剤を薄膜状に担持可能な現像ローラとを具備し、静電潜像が形成された潜像担持体に現像剤を供給して該静電潜像を可視化するための電子写真装置用現像装置において、
前記現像ローラは、軸体と、軸体上に設けられた導電性弾性層と、該導電性弾性層の外周に設けられた表面層とを有し、
前記現像剤の表面及び前記現像ローラの表面には、それぞれ金属元素化合物が外添されており、かつ、前記現像剤の表面に外添されている金属元素化合物の少なくとも1種と、前記現像ローラの表面に外添されている金属元素化合物の少なくとも1種とが、同一の金属元素を有することを特徴とする電子写真装置用現像装置。
【請求項2】
前記現像ローラの表面を元素分析して得られる、前記現像ローラの表面に外添されている金属元素化合物に含まれる金属元素のAt%が、1%以上15%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置用現像装置。
【請求項3】
前記現像剤の表面及び前記現像ローラの表面に外添されている前記金属元素化合物のそれぞれが、前記同一の金属元素として、Si、Ti、Al、及びMgのいずれかを有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真装置用現像装置。
【請求項4】
前記現像剤の表面と前記現像ローラの表面に存在する金属元素の種類が全て同一であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真装置用現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真装置用現像装置を用いて、前記現像ローラの表面に前記現像剤を担持させ、該現像ローラを静電潜像が形成された潜像担持体に接触させて該静電潜像を現像することを特徴とする現像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−163950(P2007−163950A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361800(P2005−361800)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】