説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】現像剤のみならず現像剤担持体表面の劣化をも抑制して、長期間にわたって画像品質を安定して確保可能な現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置3a〜3dには磁気ローラ22、現像ローラ23及び規制ブレード25、間隔調整装置27が設けられている。規制ブレード25は、間隔調整装置27によって磁気ローラ22に対して近接及び離間可能であり、高印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22の周速度を低下させると共に、規制ブレード25を磁気ローラ22から離間させて磁気ローラ22上の現像剤量を増加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に搭載される現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、磁性キャリアとトナーとから成る二成分現像剤を使用し、帯電したトナーのみを移動させて像担持体上の静電潜像を現像する現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置における乾式トナーを用いた現像方式としては、キャリアを用いない一成分現像方式と、磁性キャリア(以下、単にキャリアともいう)を用いて非磁性のトナーを帯電させる二成分現像剤を使用し、現像ローラ上に形成されたトナー及びキャリアから成る磁気ブラシにより感光体上の静電潜像を現像する二成分現像方式とが知られている。
【0003】
一成分現像方式は、磁気ブラシによって像担持体上の静電潜像が乱されることがなく高画質化に適している反面、規制ブレードにトナーが付着し、層形成が不均一になって画像欠陥をきたすことがあった。
【0004】
また、色重ねを行うカラー印刷の場合、カラートナーに透過性が要求されるため、非磁性トナーである必要がある。そこで、フルカラー画像形成装置においてはキャリアを用いてトナーを帯電及び搬送する二成分現像方式を採用する場合が多い。しかし、二成分現像方式は安定した帯電量を長期間維持することができトナーの長寿命化に適している反面、前述した磁気ブラシによる影響のため画質の面で不利であった。
【0005】
これらの問題を解決する手段の一つとして、磁気ローラ(現像剤担持体)を用いて現像剤を感光体(像担持体)に対して非接触に設置した現像ローラ(トナー担持体)上に移行させる際に、磁気ローラ上に磁性キャリアを残したまま現像ローラ上に非磁性トナーのみを転移させてトナー薄層(トナー層)を形成し、交流電界によって感光体上の静電潜像にトナーを付着させる現像方式が提案されている。
【0006】
しかし、このような現像装置においては、長時間駆動時に熱的ストレスを受けた現像剤が劣化したり、トナーが過剰に帯電して現像ローラに付着する(スリーブ汚染)等の問題があった。また、現像剤の劣化やトナーの現像ローラに対する付着は、印字率等によっても影響される。
【0007】
そこで、特許文献1には、印字率に応じて単位作動時間当たりの攪拌手段の回転量を制御することにより、攪拌性能を強化した現像装置におけるストレスによる現像剤の劣化及び劣化に起因する画質の低下を防止して高画質の画像を形成する方法が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、現像剤担持体表面の現像剤量を規制する規制部に発生する磁界の強さを可変することにより、トナーへのストレスを緩和して、トナー寿命を長くし、安定したトナー像を形成する方法が開示されている。
【0009】
また、特許文献3には、トナー担持体上に担持されるトナーの層厚を6μm〜15μmにすると共に、該トナーの第1トナー帯電量個数分布と、現像剤担持体に担持されるトナーの第2トナー帯電量個数分布と、の半値幅の差を0.8(10-10C/m)以下とすることにより、画像濃度不良、カブリ、トナー飛散、ゴースト等を抑制し、長期に亘って安定した性能を維持する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−235271号公報
【特許文献2】特開2006−208579号公報
【特許文献3】特開2009−31749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1の方法では、攪拌手段による攪拌時の現像剤のストレスは緩和するものの、現像剤と現像ローラとの間で生じるストレスを緩和させることはできず、現像剤の劣化を十分に抑制できないおそれがある。また、特許文献2の方法では、トナーに対するストレスの緩和を図ることは可能となるが、更なる画質の向上に向けて一層のストレスの緩和が求められている。
【0012】
一方、特許文献3の方法では、現像ローラ(トナー担持体)の表面をシリコン変性ウレタン樹脂で被覆することによってトナーの離形性等を向上させているが、二成分現像方式においてトナー担持体にこのようなコート層を設けると、長時間駆動時に磁気ローラ上に形成された磁気ブラシからの摺擦により、現像ローラ表面にトナーの外添成分等が堆積する場合があり、かかる場合には、画像濃度の低下や、現像ローラに交流電圧を印加する際にリークが発生して画像不具合が発生するおそれもある。
【0013】
また、二成分現像方式で安定して画像形成を行うためには、磁気ローラから現像ローラ上に移動したトナーを該現像ローラ上で一定量に保つ必要があるが、トナー量が少ない場合やトナーと現像ローラとの付着力が大きい場合には、画像濃度が低下するおそれもある。また、かかる不具合は、トナーに外添成分として樹脂微粒子を添加する程大きくなり、また印字率によっても影響を受ける。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑み、現像剤のみならず現像剤担持体表面の劣化をも抑制して、長期間にわたって画像品質を安定して確保可能な現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、少なくともトナーとキャリアとを含む現像剤が用いられ、複数の磁極を有する磁界発生部材が内部に設けられ像担持体にトナーを供給するための現像剤担持体と、該現像剤担持体に担持される現像剤を攪拌搬送する攪拌搬送部材と、前記現像剤担持体上の現像剤量を規制する規制部材と、が設けられた現像装置であって、第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、前記現像剤担持体の周速度を小さくすると共に、前記現像剤担持体上に担持される現像剤量を増加することを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記現像剤担持体から供給されたトナーを担持し、前記像担持体にトナーを供給するトナー担持体が設けられ、前記第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との周速度の差を小さくすることを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記トナー担持体には、直流電圧及び交流電圧が印加され、前記第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、前記交流電圧の周波数を大きくすることを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記トナー担持体の表面に、樹脂コート層が設けられたことを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記規制部材の前記現像剤担持体との間隔を大きくすることにより、前記現像剤量を増加することを特徴としている。
【0020】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記規制部材と該規制部材に直近する前記磁極との間に発生する磁界の強さを小さくすることにより、前記現像剤量を増加することを特徴としている。
【0021】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記現像剤担持体には、直流バイアス及び交流バイアスが印加され、前記第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、前記直流バイアスを大きくすることを特徴としている。
【0022】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下の印字率の画像を印字するとき、前記攪拌搬送部材の回転速度を小さくすることを特徴としている。
【0023】
また本発明は、上記構成の現像装置において、樹脂微粒子が外添されたトナーが用いられることを特徴としている。
【0024】
また本発明は、上記構成の現像装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の構成によれば、第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、現像剤担持体の周速度を小さくすると共に、現像剤担持体上に担持される現像剤量を増加することによって、現像剤担持体上に担持された現像剤と現像剤担持体との間の摺擦力を低減すると共に、現像剤担持体上に担持された現像剤における現像剤担持体と接触する現像剤の割合を小さくすることができる。これにより、現像剤のみならず現像剤担持体の劣化をも抑制して、長期間にわたって画像品質を安定して確保することができる。
【0026】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、現像剤担持体から供給されたトナーを担持し、像担持体にトナーを供給するトナー担持体を設け、第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、現像剤担持体とトナー担持体との周速度の差を小さくすることによって、トナー担持体上においてトナー量を増加させると共に磁気ブラシによる摺擦力を低減することができるため、トナー担持体上においてトナーの劣化を抑制することができる。
【0027】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の現像装置において、トナー担持体に、直流電圧及び交流電圧を印加し、第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、交流電圧の周波数を大きくすることによって、トナー担持体から像担持体へのトナーの移動を促進することができるため、トナーとトナー担持体との間の摺擦力を低減すると共に、現像性を向上させることができる。
【0028】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第2または第3の構成の現像装置において、トナー担持体の表面に、樹脂コート層を設けることによって、トナー担持体に対するトナーの付着を抑制できるため、より効果的にトナーの劣化を抑制すると共に、トナー担持体と像担持体との間におけるリークの発生を防止することができる。
【0029】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1〜第4のいずれかの構成の現像装置において、規制部材の現像剤担持体との間隔を大きくすることにより、現像剤量を増加することによって、現像剤担持体上の現像剤量を、確実に増加させることができるため、効果的である。
【0030】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1〜第4のいずれかの構成の現像装置において、規制部材と該規制部材に直近する磁極との間に発生する磁界の強さを小さくすることにより、現像剤量を増加することによって、現像剤担持体上の現像剤量を確実に増加させることができるため、効果的である。
【0031】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1〜第6のいずれかの構成の現像装置において、現像剤担持体に、直流バイアス及び交流バイアスを印加し、第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、直流バイアスを大きくすることによって、現像剤を現像剤担持体から離間させ易くすることができるため、現像剤及び現像剤担持体の劣化を、より抑制することができる。
【0032】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1〜第7のいずれかの構成の現像装置において、第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下の印字率の画像を印字するとき、攪拌搬送部材の回転速度を小さくすることによって、現像剤担持体上に現像剤が滞留し易い状態であっても、現像剤の劣化を抑制できる。
【0033】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第1〜第8のいずれかの構成の現像装置において、樹脂微粒子が外添されたトナーを用いることによって、現像剤担持体にトナーが付着し易い状態であっても、トナーの劣化を抑制することができる。
【0034】
また、本発明の第10の構成によれば、上記第1〜第9のいずれかの構成の現像装置を備えた画像形成装置とすることによって、長期間にわたって安定して品質が確保された画像を形成可能な画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の全体構成を示す概略図
【図2】本実施形態に係る現像装置の構成を示す側面断面図
【図3】本実施形態に係る現像装置の規制ブレード周辺を示す部分側面断面図であって、図3(a)は、非高印字率の画像を印字するときの状態を示す図であり、図3(b)は、高印字率の画像を印字するときの状態を示す図
【図4】磁気ローラ及び現像ローラに印加するバイアス構成の一例を示す図
【図5】現像ローラ及び磁気ローラに印加されるバイアス波形の一例を示す図
【図6】本発明の第2実施形態に係る現像装置の規制ブレード周辺を示す部分側面断面図であって、図6(a)は、非高印字率の画像を印字するときの状態を示す図であり、図6(b)は、高印字率の画像を印字するときの状態を示す図
【図7】本発明の第1実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の制御機構の一例を示すブロック図
【図8】本発明の第1実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の制御手順の一例を示フローチャート
【図9】ゴーストの評価に用いられる図形の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラー画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0037】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0038】
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
【0039】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0040】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0041】
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
【0042】
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラ対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
【0043】
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラ対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ対15によって排出トレイ17に排出される。
【0044】
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pの一部を一旦排出ローラ対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Pは排出ローラ対15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラ対12bに再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラ対15から排出トレイ17に排出される。
【0045】
図2は、本発明の第1実施形態に係る現像装置の構成を示す側面断面図であり、図3は、本実施形態に係る現像装置の規制ブレード周辺の構成を示す部分側面断面図であって、図3(a)は、非高印字率の画像を印字するときの状態を示す図であり、図3(b)は、高印字率の画像を印字するときの状態を示す図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0046】
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー(攪拌搬送部材)21a及び第2攪拌スクリュー(攪拌搬送部材)21bが回転可能に配設されている。
【0047】
トナーは、結着樹脂と着色剤とを含有したものを母剤とし、かかる母剤と外添成分とを混合することにより形成されている。外添成分として、ポリスチレン樹脂等から成る樹脂微粒子を0.8重量%、疎水性フェームドシリカを2%、酸化チタン微粒子を1%、ステアリン酸亜鉛を0.1%添加することができるが、これら外添成分の種類や添加量等は、トナーの特性等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではない。
【0048】
また、トナーの体積平均粒子径を小さくすると、トナーをキャリア若しくは現像ローラ23表面から引き剥がすことが困難となる傾向にあり、大きくすると、高画質化を十分に図れないおそれがある。従って、かかる観点を考慮すれば、トナーの体積平均粒子径Dtをたとえば4.0μm≦Dt≦7.0μmの範囲に規定することが好ましい。また、選択現像性を回避するという観点を考慮すれば、トナーの個数粒度分布におけるCV値を25%以下となるように粒子径の分布の広がりを抑えることが好ましい。
【0049】
また、キャリアとしては、マグネタイトキャリア、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Cu−Zn系、樹脂中に磁性体を分散した樹脂キャリアなどを用いることができ、適宜表面処理して用いることも可能である。トナーを磁気ブラシから良好に引き剥がすという観点を考慮すれば、キャリアの体積固有抵抗率を106Ωcm〜1013Ωcmとすることが好ましい。
【0050】
また、トナーと共に良好な磁気ブラシを形成するという観点を考慮すれば、キャリアの重量平均粒子径を50μm以下とすることが好ましい。また、キャリアの飽和磁化は、例えば65emu/gとすることができ、キャリアに対するトナーの混合比率T/Cは、例えば12重量%とすることができる。
【0051】
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aに形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第1攪拌スクリュー21aの上方には磁気ローラ22が配置され、磁気ローラ22の左斜め上方には現像ローラ23が対向配置されている。そして、現像ローラ23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラ22及び現像ローラ23は図中時計回りに回転する。
【0052】
なお、現像容器20には、第2攪拌スクリュー21bと対面してトナー濃度センサ(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサで検知されるトナー濃度に応じて補給装置(図示せず)からトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
【0053】
磁気ローラ22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブ22aの内部に配置され、複数の磁極を有するマグネット体から成る磁界発生部材22bで構成されている。また、回転スリーブ22aは、支軸22cを中心として回転し、磁界発生部材22bは、回転スリーブ22aの内部に回転不能に固定されている。磁界発生部材22bの磁極は、S極から成る主極35、N極から成る規制極36、N極から成る剥離極37、S極から成る分離極38、及びS極から成る汲上極39の5極構成である。
【0054】
また、現像容器20には規制ブレード(規制部材)25が磁気ローラ22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、規制ブレード25は、磁気ローラ22の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、規制ブレード25の先端部と磁気ローラ22表面との間には僅かな隙間(規制ギャップ)が形成されている。
【0055】
また、図2及び図3に示すように、規制ブレード25は、規制ブレード25を磁気ローラ22に対して近接及び離間させ、規制ギャップの間隔を調整する間隔調整装置27と連結されている。間隔調整装置27は、規制ブレード25の長手方向両端に配置されており、かかる両端と連結されたソレノイドから構成されている。
【0056】
そして、間隔調整装置27が作動することにより、図3(a)に示すように規制ブレード27が磁気ローラ22に対して近接して規制ギャップの間隔をL1に設定し、ソレノイドが停止することにより、図3(b)に示すように規制ブレード25が磁気ローラ22に対して離間して規制ギャップの間隔をL1よりも大きいL2に設定するようになっている。かかる間隔調整機構27としては、規制ブレード25を移動させて規制ギャップの間隔を調整可能であれば特に限定されず、その他例えば、偏心カムとパルスモータとを用いること等もできる。
【0057】
現像ローラ23は、円筒状の回転スリーブ23aと、回転スリーブ23a内に固定された現像ローラ側磁極23bで構成されており、磁気ローラ22と現像ローラ23とはその対面位置(対向位置)において所定の隙間(現像ギャップ)をもって対向している。また、回転スリーブ23aは、支軸23cを中心として回転する。現像ローラ側磁極23bはN極から構成され、磁界発生部材22bの対向する主極35と異極性である。また、回転スリーブ23aの表面は、シリコン変性ウレタン樹脂でコートされている。
【0058】
図4は、磁気ローラ及び現像ローラに印加するバイアス構成の一例を示す図である。図4に示すように、現像ローラ23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)を印加する第1バイアス印加装置30が接続されており、磁気ローラ22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)を印加する第2バイアス印加装置31が接続されている。また、第1バイアス印加装置30及び第2バイアス印加装置31は共通のグランドに接地されている。これら第1及び第2バイアス印加装置30、31から印加されるバイアスについては後述する。
【0059】
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第1攪拌スクリュー21aによって現像剤が磁気ローラ22に搬送される。規制ブレード25には磁界発生部材22bの規制極36が対向するため、規制ブレード25として非磁性体或いは規制極36と異なる極性の磁性体を用いることにより、規制ブレード25の先端と回転スリーブ22aとの隙間に引き合う方向の磁界が発生する。
【0060】
この磁界により、規制ブレード25と回転スリーブ22aとの間に磁気ブラシが形成される。そして、磁気ローラ22上の磁気ブラシは規制ブレード25によって層厚規制された後、現像ローラ23に対向する位置に移動すると、磁界発生部材22bの主極35及び現像ローラ側磁極23bにより引き合う磁界が付与されるため、磁気ブラシは現像ローラ23表面に接触する。そして、磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)と現像ローラ23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラ23上にトナー薄層を形成する。
【0061】
現像ローラ23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラ22と現像ローラ23との周速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラ23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
【0062】
図5は、現像ローラ23及び磁気ローラ22に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図5(a)に示すように、現像ローラ23には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が第1バイアス印加装置30から印加される。また、磁気ローラ22には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相が異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が第2バイアス印加装置31から印加される。
【0063】
従って、磁気ローラ22及び現像ローラ23間(以下、MS間という)に印加される電圧は、図5(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図5で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
【0064】
磁気ブラシによって現像ローラ23上に形成されたトナー薄層は、現像ローラ23の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラ23との対向部分に搬送される。現像ローラ23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0065】
さらに回転スリーブ22aが時計回りに回転すると、今度は主極35に隣接する異極性の剥離極37により発生する水平方向(ローラ周方向)の磁界により磁気ブラシは現像ローラ23表面から引き離され、現像に用いられずに残ったトナーが現像ローラ23から回転スリーブ22a上に回収される。
【0066】
さらに回転スリーブ22aが回転すると、磁界発生部材22bの分離極38及びこれと同極性の汲上極39により反発する磁界が付与されるため、現像剤は現像容器20内で回転スリーブ22aから離脱する。そして、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bにより攪拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として汲上極39により再び回転スリーブ22a上に磁気ブラシを形成し、規制ブレード25へ搬送される。
【0067】
ここで、高印字率の画像を印字するときには、磁気ローラ22から現像ローラ23、現像ローラ23から感光体ドラム1aへとトナーが消費され、かかるトナー消費に追従するように第1攪拌室20bから磁気ローラ22上へとトナーを供給する必要がある。また、トナー補給口20dから補給されたトナーを十分に帯電するためには、例えば第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を大きくする必要がある。
【0068】
このため、攪拌によるストレスを受けてキャリア及びトナーが劣化し易い。このように現像剤が劣化すると、十分に帯電されていないトナーが磁気ローラ22上に担持される。また、磁気ローラ22上に担持された現像剤は、磁気ローラ22と規制ブレード25との間の規制ギャップを通過する際、これらの間に発生した磁界による拘束力によって磁気ローラ22表面に摺擦される。
【0069】
かかる摺擦力により、現像剤はストレスを受け、同時に磁気ローラ22もストレスを受ける。さらに、劣化により帯電不十分なトナーが磁気ローラ22から現像ローラ23へと移動した後、現像ローラ23上で磁気ブラシによる摺擦を受けると、トナーの劣化が一層進行する。
【0070】
そこで、本実施形態では、印字率Sが第1基準印字率(第1の所定値)S1以上の画像を印字するとき、磁気ローラ22の周速度を小さくすると共に、磁気ローラ22上の現像剤量を増加することにより、現像剤及び磁気ローラ22の劣化を抑制することとした。また、間隔調整装置27によって規制ブレード25を磁気ローラ22から離間させ、規制ギャップの間隔を大きくすることにより、磁気ローラ22上の現像剤量を増加することとした。
【0071】
なお、印字率Sが8%以上の場合に上記した現像剤の劣化が生じ易いことから、第1基準印字率を8%とし、8%以上の印字率S(S≧S1=8%)を高印字率とした。また、かかる印字率Sに応じた磁気ローラ22の周速度や規制ギャップの間隔の切り替え等は、制御部45(図7参照)によって制御される。
【0072】
図3(a)に示すように、印字率Sが8%未満(非高印字率とする)の画像を印字するとき、例えば磁気ローラ22の周速度を600rpm、規制ブレード25と磁気ローラ22との間隔(規制ギャップの間隔)をL1(ここでは0.3mm)に設定した。そして、図3(b)に示すように、高印字率の画像を印字するときには、磁気ローラ22の周速度を450rpmと小さく、規制ギャップの間隔をL2(ここでは例えば0.5mm)と大きくなるように設定した。このとき、非高印字率及び高印字率の画像の印字時において、例えば第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を300rpmとし、現像ローラ23の周速度を400rpmとした。
【0073】
このように、高印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22の周速度を非高印字率の画像の印字時よりも小さくしたため、規制ギャップを通過する際の現像剤と磁気ローラ22との間に生じる摺擦力によるストレスを低減することができる。加えて、規制ギャップの間隔を大きくすることにより磁気ローラ22上の現像剤量を増加することができる。
【0074】
また、高印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22の周速度を600rpmから450rpmへと小さくする一方、非高印字率及び高印字率の画像の印字時において、現像ローラ23の周速度は変化させず400rpmに設定した。これにより、磁気ローラ22と現像ローラ23との周速度差を小さくすることができる。
【0075】
また、高印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)を大きくすることとした。例えば、非高印字時の画像の印字時に、Vmag(DC)を280Vに設定し、高印字率の画像の印字時には、Vmag(DC)を300Vに設定した。このとき、非高印字率及び高印字率の画像の印字時において、例えばVmag(AC)のVpp2を1800V、周波数を4500Hz、デューティ比を70%とした。
【0076】
また、高印字率の画像を印字するとき、現像ローラ23に印加するVslv(AC)の周波数を大きくすることとした。例えば、非高印字時の画像の印字時に、Vslv(DC)を50V、Vslv(AC)のVpp1を1100V、周波数を3000Hzに設定した場合、高印字率の画像の印字時には、Vslv(AC)の周波数のみを4000Hzと大きくなるように設定した。このとき、非高印字率及び高印字率の画像の印字時において、例えばVslv(AC)のデューティ比を40%とした。
【0077】
一方、低印字率の画像を印字するときには、現像ローラ23上で現像に使用されずに残留するトナー量が増加して現像ローラ23上に滞留し、磁気ローラ22に回収される残留トナー量も増加して磁気ローラ22上に滞留する。このため、現像ローラ23のトナー及び磁気ローラ22上の現像剤において、より多くのストレスを受けて劣化したトナーの割合が増加する。
【0078】
そこで、本実施形態では、印字率Sが第1基準印字率S1よりも小さい第2基準印字率(第2の所定値)S2以下の画像を印字するとき、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を小さくすることにより、現像剤の劣化を抑制することとした。また、ここでは併せて磁気ローラ22の周速度を小さくすることとした。なお、印字率Sが3%以下の場合に上記した残留トナー量が増加し易いことから、第2基準印字率S2を3%とし、3%以上の印字率S(S≦S2=3%)を低印字率とした。
【0079】
印字率Sが3%超8%未満(通常印字率とする)の画像を印字するとき、上記と同様に磁気ローラ22の周速度を600rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を300rpmに設定した。そして、低印字率の画像を印字するときには、磁気ローラ22の周速度を450rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を225rpmに設定した。このとき、非高印字率及び高印字率の画像の印字時において、例えば規制ギャップの間隔を0.3mm、現像ローラ23の周速度を400rpmとした。
【0080】
このように、低印字率の画像を印字するとき、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を通常印字率の画像の印字時よりも小さくしたため、磁気ローラ22上の現像剤量が少なくなり、現像ローラ23に移動するトナー量も現像ローラ23から回収する残留トナー量も低減することができる。また、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの攪拌によって現像剤が受けるストレスを低減することもできる。また、磁気ローラ22の周速度を小さくすることにより、現像剤と磁気ローラ22との間で発生する摺擦力を低減することもできる。
【0081】
上記の通り、本実施形態では、高印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22の周速度を小さくすると共に、磁気ローラ22上の現像剤量を増加したため、摺擦力によって生じる現像剤及び磁気ローラ22に対するストレスを低減することができる。また、磁気ローラ22上に担持された現像剤においてストレスを受けた現像剤の割合が減少するため、全体として現像剤に対するストレスを低減することができる。
【0082】
これにより、現像剤及び磁気ローラ22の劣化を抑制することができるため、かかる劣化によって生じる画像濃度のバラツキ、カブリ、ゴースト等の画像不具合の発生を防止できる。また、長期間にわたって画像品質を安定して確保することができる。また、磁気ローラ22から現像ローラ23に移動するトナー量も増加するため、後述するように現像ローラ23上でのトナーの劣化も抑制して、画像不具合の発生を防止できる。
【0083】
また、ここでは、規制ブレード25の磁気ローラ22との間隔を大きくすることにより磁気ローラ22上の現像剤量を増加したため、磁気ローラ22上の現像剤量を確実に増加させることができ、効果的である。また、磁気ローラ22上の現像剤量が増加することにより、現像ローラ23上のトナー量も増加する。
【0084】
また、本実施形態では、磁気ローラ22に加えて現像ローラ23を設け、高印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22と現像ローラ23との周速度の差を小さくしたため、現像ローラ23上に担持されたトナーが、磁気ローラ22上に形成された磁気ブラシによって受ける摺擦力を、低減できる。
【0085】
これにより、トナーの劣化を抑制することができる。また、現像ローラ23の周速度を変化させることなく磁気ローラ22の周速度のみを変化させて周速度の差を小さくしたため、現像ローラ23から感光体ドラム1aへの現像性を印字率Sによらず一定に維持することができ、画像不具合の発生を、より防止することも可能となる。
【0086】
加えて、磁気ブラシに摺擦されても、トナーの一部や外添成分といったトナー成分がトナーから脱離することを抑制できるため、脱離したトナー成分が現像ローラ23上に堆積し、現像ローラ23と感光体ドラム1aとの間でリークが発生することを防止できる。さらに、磁気ローラ22上の現像剤量が増加すると現像ローラ23上のトナー量も増加するため、現像ローラ23上に担持されたトナーにおいてストレスを受けたトナーの割合が減少する。これにより、全体としてトナーに対するストレスを低減し、トナーの劣化を抑制できる。
【0087】
また、本実施形態では、高印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)を大きくしたため、磁気ローラ22上のトナーが帯電不足であっても、より確実に磁気ローラ22からトナーを離間させ、現像ローラ23へと移動させることができる。ここでは現像ローラ23を用いたため、現像ローラ23上のトナー量を増加することもでき、現像ローラ23上においてもトナーの劣化を抑制できる。なお、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)、Vmag(AC)は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、現像剤の種類や、その他装置構成等に応じて適宜設定することができる。
【0088】
また、本実施形態では、高印字率の画像を印字するとき、現像ローラ23に印加するVslv(AC)の周波数を大きくしたため、現像ローラ23上のトナーが帯電不足であっても、現像ローラ23から感光体ドラム1aへのトナーの移動を促進することができる。これにより、現像性を向上し、カブリ等の画像不具合の発生を抑制することができる。なお、現像ローラ23に印加するVslv(DC)、Vslv(AC)は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、トナーの種類や、その他装置構成等に応じて適宜設定することができる。
【0089】
また、本実施形態では、現像ローラ23の表面に樹脂コート層を設けたため、現像ローラ23に対するトナーの付着を抑制できる。これにより、より効果的にトナーの劣化を抑制すると共に、現像ローラ23と感光体ドラム1aとの間におけるリークの発生を防止することができる。また、本実施形態では、樹脂微粒子が外添されたトナーを用いたため、磁気ローラ22や現像ローラ23にトナーが付着し易い状態であっても、トナーの劣化を抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態では、低印字率の画像を印字するとき、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を小さくしたため、現像ローラ23から回収した残留トナー量を低減すると共に、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの攪拌によって現像剤が受けるストレスを低減することができる。これにより、磁気ローラ22上にトナーが滞留し易い状態であっても、現像剤の劣化を抑制できる。また、ここでは磁気ローラ22の周速度を小さくしたため、現像剤と磁気ローラ22との間で発生する摺擦力を低減することができ、現像剤の劣化を、より抑制することができる。
【0091】
ここでは現像ローラ23の周速度を変化させなかったが、現像ローラ23の周速度を小さくすることにより、現像ローラ23上でのトナーの劣化を抑制することも可能となる。ただし、現像ローラ23の周速度を印字率Sに応じて変化させると画像不具合が発生するおそれがあるので、かかる不具合の発生状況や装置構成等に応じて現像ローラ23の周速度を適宜設定することができる。
【0092】
また、磁気ローラ22上の現像剤量が少なくなることにより、現像ローラ23上に移動するトナー量も現像後に現像ローラ23上に滞留する残留トナー量も低減することができるため、現像ローラ23上においてもトナーの劣化を抑制できる。なお、低印字率の画像を印字するときには、現像によるトナーの消費量が少なく、かかるトナー消費量に追従するトナー量も少なくて済むため、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を通常印字率の画像の印字時よりも小さくしても、かかる回転速度の低下がトナーの帯電に及ぼす影響は少ない。
【0093】
また、本実施形態では、高印字率の画像を印字するとき、規制ブレード25の間隔をL1からL2へと大きくとしたが、かかる間隔L1、L2は特に限定されるものではなく、現像性、現像剤の劣化の程度やその他の装置構成等に応じて適宜設定することができる。例えば、L2が小さ過ぎると、磁気ローラ22上の現像剤量を十分に増加させることができず、摺擦力を十分に低減できないおそれがある。
【0094】
一方、L2大き過ぎると、磁気ローラ22上の現像剤量が増加し過ぎて画像不具合が発生するおそれがある。従って、例えばかかる観点を考慮してL2を適宜設定することができる。また、磁気ローラ22上の現像剤量の調整方法は本実施形態の規制ブレード25に特に限定されるものではない。
【0095】
図6は、本発明の第2実施形態に係る現像装置の規制ブレード周辺を示す部分側面断面図であって、図6(a)は、非高印字率の画像を印字するときの状態を示す図であり、図6(b)は、高印字率の画像を印字するときの状態を示す図である。図2及び図3と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
【0096】
本実施形態では、図6に示すように、磁気ブレード22の内部に配置される磁界発生部材22bを、支軸22cを中心として回転可能とした。支軸22cの先端は図示しないがDカット形状に加工されており、図示しない駆動モータに連結されている。また、磁界発生部材22bは、回転スリーブ22aとは別途回転する。
【0097】
非高印字率の画像を印字するときは、図6(a)に示すように規制極36を規制ブレード25に対向(直近)する通常の位置に配置する。そして、高印字率の画像を印字するときは、図6(b)に示すように磁界発生部材22bを図の反時計回りに所定量θ(ここでは5°)回転させて、規制極36を図3(a)の状態からずらした位置に配置する。これにより、高印字率の画像を印字するときには、規制ギャップに発生する磁界の強さを小さくして、磁気ローラ22上の現像剤量を増加することができる。
【0098】
磁界発生部材22bを回転する駆動モータとしては、回転量(回転角度)の微調整が必要となるため、所定の周期の駆動波形を用いて駆動制御されるステッピングモータを用いることが好ましい。また、磁界発生部材22bの回転量が大きくなるほど規制ブレード25に対する規制極36のずれ量も大きくなり、磁界の強さをより大きく可変させることができるが、同時に他の磁極、すなわち主極35、剥離極37、分離極38、汲上極39のずれ量も大きくなる。例えば磁界発生部材22bの回転量が大きい場合、主極35が元の位置から大きくずれ、感光体ドラム1aに対向する位置での磁界の強さが小さくなって現像に不具合が生じるおそれがある。
【0099】
一方、磁界発生部材22bの回転角度が小さくなるほど、磁界の変化が小さく現像剤が受ける摺擦力の低減効果が十分に得られないおそれがある。従って、例えばかかる観点を考慮して磁界発生部材22bの回転量を適宜設定することができ、磁界発生部材22bを回転させる所定量θは、例えば、2°以上10°以下とすることが好ましい。
【0100】
このように、本実施形態では、磁気ローラ22の内部に、回転可能な磁界発生部材22bを設け、磁界発生部材22bが所定量回転して、規制ブレード25と、規制ブレード25に直近する規制極36と、の間に発生する磁界の強さを小さくすることにより、磁気ローラ22上に担持される現像剤量を増加したため、磁気ローラ22上の現像剤量を確実に増加させることができ、効果的である。また、現像ローラ23上のトナー量も確実に増加させることができる。
【0101】
なお、ここでは磁界発生部材22bを磁気ローラ22の回転方向とは反対方向に回転させているが、磁界発生部材22bの回転方向は他の磁極に与える影響等を考慮して適宜設定すれば良い。その他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0102】
次に、本発明に係る現像装置を備えた画像形成装置の制御機構について説明する。図7は、上記した第1実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の制御機構の一例を示すブロック図である。図1〜図3と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置100は、画像形成部Pa〜Pd、定着部7、画像入力部42、AD変換部43、記憶部44、制御部45、操作パネル46、及び装置各部を駆動する駆動モータであるメインモータ47、攪拌用モータ48を含む構成である。
【0103】
画像入力部42は、画像形成装置100が複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部(図示せず)であり、画像形成装置100が図1に示すようなプリンタである場合、パーソナルコンピュータ(不図示)等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部42より入力された画像信号は制御部45に送出され、階調処理等の画像処理を適宜行い、AD変換部43においてデジタル信号に変換された後、後述する記憶部44内の画像メモリ50に送出される。なお、画像入力部42及びAD変換部43は、印字される画像の印字率Sを検知する印字率検知手段としての機能も有する。
【0104】
画像形成部Pa〜Pdは、感光体ドラム1a〜1d、帯電ユニット2a〜2d、露光ユニット4、現像装置3a〜3d、一次転写ローラ6a〜6d等から構成され、AD変換部43において変換され画像メモリ50に記憶された画像データをもとに感光体ドラム1a〜1d上に静電潜像を形成する。
【0105】
記憶部44は、画像メモリ50、RAM51、及びROM52を備えており、画像メモリ50は、画像入力部42において入力され、AD変換部43においてデジタル変換された画像信号を記憶し、制御部45に送出する。RAM51及びROM52は、制御部45の画像処理プログラムや処理内容等を記憶する。また、記憶部44には、画像の印字率Sと磁気ローラ22の周速度及び現像ローラ23の周速度とを関連付けたパラメータや、印字率Sと第1バイアス印加装置30及び第2バイアス印加装置31(図4参照)によって磁気ローラ22及び現像ローラ23に印加されるバイアスとを関連付けたパラメータや、印字率Sと第1及び第2攪拌スクリュー21a、21b(図2参照)の回転速度とを関連付けたパラメータ等も記憶されている。
【0106】
操作パネル46は、画像形成装置100が複写機の場合には、複数の操作キーから成る操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成されており、ユーザが印刷サイズ等、印刷条件等の設定を行う他、例えば画像形成装置100がファクシミリ機能を有する場合は、記憶部44にファクシミリ送信先を登録し、さらに登録された送信先の読み出しや書き換えを行う等の種々の設定にも使用される。また、画像形成装置100が図1に示すプリンタの場合には、操作パネル46は、パーソナルコンピュータ(不図示)上に表示される入力部から構成されている。
【0107】
メインモータ47は、制御部45からの制御信号に応じて感光体ドラム1a〜1d、一次転写ローラ6a〜6d、定着部7等を駆動する。攪拌用モータ48は、制御部45からの制御信号に応じて現像装置3a〜3d内の第1及び第2攪拌スクリュー21a、21b、磁気ローラ22及び現像ローラ23(図2参照)を回転させる。なお、攪拌用モータ48に代えて、メインモータ47からクラッチ(不図示)で駆動力を伝達するようにすることもできる。
【0108】
制御部45は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部42、画像形成部Pa〜Pd、定着部7やこれらの駆動するメインモータ47、攪拌用モータ48、及び用紙カセット16(図1参照)からの用紙Pの搬送等を全般的に制御するとともに、画像入力部42から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データに変換する。露光ユニット4は、処理後の画像データに基づいてレーザ光を照射し、感光体ドラム1a〜1d上に潜像を形成する。
【0109】
さらに制御部45は、AD変換部43においてデジタル変換された画像信号の印字情報に基づいて磁気ローラ22の周速度、現像ローラ23の周速度、間隔調整装置27の駆動、第1及び第2バイアス印加装置30、31から印加されるバイアス、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を制御する機能を有している。
【0110】
次に、第1実施形態の現像装置を備えた画像形成装置の制御動作について説明する。図8は、第1実施形態の現像装置を備えた画像形成装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。図2、図3及び図7を参照しながら、図8のステップに従い本制御例の実行手順について説明する。
【0111】
先ず、ユーザにより印字(画像形成)が開始されると、制御部45は、例えば初期条件として、磁気ローラ22の周速度を600rpm、現像ローラ23の周速度を400rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を300rpm、規制ギャップをL1(ここでは0.3mm)、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)を280V、現像ローラ23に印加するVslv(AC)の周波数を3000Hzに設定する(ステップS1)。
【0112】
次に、画像入力部42より入力された画像信号はAD変換部43においてデジタル信号に変換された後、画像メモリ50に出力されると、画像メモリ50内のデジタル信号が制御部45に読み出され、制御部45はデジタル信号に基づいて印字率Sを算出する(ステップS2)。次に、算出された印字率Sが第1基準印字率S1以上(ここでは8%以上)か否かが判断される(ステップS3)。
【0113】
印字率Sが第1基準印字率S1以上(S≧S1=8%)である場合は、制御部45から攪拌用モータ48、間隔調整装置27及び第1及び第2バイアス印加装置30、31に制御信号が送信され、例えば磁気ローラ22の周速度を450rpmと小さく(減少)すると共に(ステップS4)、規制ブレード25を磁気ローラ22に対して離間させることにより規制ギャップの間隔をL2(ここでは0.5mm)と大きく(増大)し(ステップS5)、磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)を300Vと大きくし(ステップS6)、現像ローラ23に印加されるVslv(AC)の周波数を4000Hzと大きくする(ステップS7)。そして、ステップS4〜ステップS7で設定された条件で印字が開始され(ステップS8)、処理を終了する。
【0114】
一方、ステップS3において印字率Sが第1基準印字率S1未満(S<S1=8%)の場合は、印字率Sが第2基準印字率S2(ここでは3%)以下か否かが判断される(ステップS9)。印字率Sが第2基準印字率S2以下(S≦S2=3%)である場合は、制御部45から攪拌用モータ48に制御信号が送信され、磁気ローラ22の周速度を例えば450rpmと小さくして現像ローラ23との周速度の差を小さくすると共に(ステップS10)、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を例えば225rpmと小さくする(ステップS11)。そして、ステップS10及びステップS11で条件を設定後、ステップS8に移行して印字が開始され、処理を終了する。
【0115】
一方、ステップS9において印字率Sが第2基準印字率S2超(S>S2=3%)の場合は、初期状態のまま、すなわち磁気ローラ22の周速度、現像ローラ23の周速度、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度、規制ギャップの間隔、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)、現像ローラ23に印加するVslv(AC)の周波数を変化させることなく、ステップS8に移行して印字が開始され、処理を終了する。
【0116】
本制御例では、規制ブレード25を磁気ローラ22に対して離間させる例を示したが、これは一例に過ぎず、制御動作は特に限定されるものではない。その他例えば、上記第2実施形態に示す現像装置3a〜3dを用いる場合には、ステップS5において規制ギャップの間隔を大きくする代わりに、磁界発生部材22bを、上記図6(a)に示す規制極36が規制ブレード25と対向する位置から、上記図6(b)に示す位置まで回転させればよい。
【0117】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、磁気ローラ22の周速度、現像ローラ23の周速度、規制ギャップの間隔、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)、現像ローラ23に印加するVslv(AC)の周波数、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度、磁気ローラ22の磁界発生部材22bの回転角度等は、特に限定されず、装置構成等に応じて適宜設定することができる。
【0118】
また、上記各実施形態では、磁気ローラ22の磁界発生部材22bを構成する磁極として、主極35、分離極38及び汲上極39がS極、規制極36及び剥離極37がN極である場合について説明したが、主極35、分離極38及び汲上極39をN極、規制極36及び剥離極37をS極とすることもできる。また、上記各実施形態では、磁気ローラ23の内部の磁極を5極としたが、かかる磁極数も5極に限られず、その他7極等とすることもできる。また、上記実施形態では、制御部45を画像形成装置100に設けたが、現像装置3a〜3dに設けることもできる。
【0119】
また、上記各実施形態では、現像ローラ23を用いた現像装置3a〜3dについて説明したが、その他、現像ローラ23を設けず、現像剤を磁気ローラ22上に担持させ、磁気ローラ22上の現像剤からトナーのみを、感光体ドラム1a〜1dとの電位差により感光体ドラム1a〜1d上に移動させる現像装置についても同様に、本発明を適用することができる。
【0120】
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンタに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンタ及びロータリー現像式のカラープリンタ及びカラー複写機、ファクシミリ等、現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0121】
実験例1
図2及び図3に示す第1実施形態に係る現像装置3a〜3dを備えた図1に示す画像形成装置100を用いた。また、トナーとして、母剤に疎水性フュームドシリカアエロジル(登録商標)R104(日本アエロジル製)を2%、酸化チタン微粒子EC−100(チタン工業製)を1%、ステアリン酸亜鉛(川村化成製)を0.1%、ポリスチレン樹脂微粒子(重量平均分子量28万〜32万、平均一次粒子径:0.07μm、軟化点200℃以上)を0.8%外添した平均粒径6.8μmの正帯電トナーを用い、キャリアとして、体積固有抵抗1010Ω、飽和磁化65emu/g、平均粒径45μmのコーティングフェライトキャリアを用い、T/Cを12重量%とした。
【0122】
そして、表1に示すように、印字率Sが8%未満(非高印字率)の画像の印字時には、磁気ローラ22の周速度を600rpm、現像ローラ23の周速度を400rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を300rpm、規制ブレード25による規制ギャップの間隔を0.3mmとし、印字率Sが8%以上(高印字率)の画像の印字時には、磁気ローラ22の周速度を450rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を225rpm、規制ギャップの間隔を0.5mmとするように制御を行い、印字を行った。
【0123】
なお、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)を280V、Vmag(AC)のVpp2を1800V、周波数を4500Hz、デューティ比を70%とし、現像ローラ23に印加するVslv(DC)を50V、Vslv(AC)のVpp1を50V、周波数を3000Hz、デューティ比を40%とした。
【0124】
実験例2
図6に示す第2実施形態に係る現像装置3a〜3dを備えた図1に示す画像形成装置100を用いた。表1に示すように、印字率Sが8%以上の画像の印字時に、規制ギャップの間隔を大きくする代わりに、磁気ローラ22内の第2磁界発生部材22bが磁気ローラ22の回転方向上流側に向かって5°回転(図6(b)参照)するように制御を行う以外は、実験例1と同様にして印字を行った。
【0125】
実験例3
表1に示すように、印字率Sが8%以上の画像の印字時においても、印字率Sが8%未満の画像の印字時と同じ条件で印字すること以外は、実験例1と同様にして印字を行った。
【0126】
【表1】

【0127】
評価
上記した実験例1〜実験例3について、濃度維持性、カブリ、現像ローラ23に対するトナーの付着性(スリーブ汚染)及びゴーストについて評価を行った。各評価方法は、以下の通りであり、評価結果を表2に示す。
【0128】
<濃度維持性>
印字率Sが10%のテスト画像を5000枚印字後において、スペクトロアイ反射濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて画像濃度(ID)を測定した。そして、印字1枚目と5000枚目とでベタ画像のIDの差が0.15未満である場合を○、0.15以上0.3以下である場合を△、0.3超である場合を×とした。
【0129】
<カブリ>
印字率Sが0.2%のテスト画像を5000枚印字し、次いで印字率Sが20%のテスト画像を1000枚印字した後において、スペクトロアイ反射濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて印字1000枚目の白紙部のカブリ濃度を測定した。そして、カブリ濃度が0.009未満である場合を○、0.009以上0.015以下である場合を△、0.015超である場合を×とした。
【0130】
<スリーブ汚染>
印字率Sが10%の画像を20000枚印字した後において、現像ローラ23表面の堆積抵抗率RをハイレスタUPMCP−HT450(三菱化学アナリテック製)にて測定し、印字前の堆積抵抗値R0に対する2000枚印字後の堆積抵抗値R1の比(R1/R0)を算出した。そして、R1/R0が10未満である場合を○、10以上100以下である場合を△、100超である場合を×とした。
【0131】
<ゴースト>
印字率Sが0.2%のテスト画像を5000枚印字した後、図9に示すように、印字濃度100%の図形F1からなるベタ画像と、図形F1を含むような大きさの図形F2から成るハーフ画像と、を転写紙Pの搬送方向(図9の矢印方向)下流側から順に、現像ローラ23の1周分以上の間隔を隔てて並べた画像を印字し、スペクトロアイ反射濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて、図形F2においてF1と重なる部分と、重ならない部分と、の濃度を測定し、両者間の濃度差を算出した。
【0132】
そして、濃度差が0.10%未満である場合を○、0.10%以上0.20%以下である場合を△、0.20%超である場合を×とした。なお、ゴーストの評価においては、実験例1及び実験例2共に、印字率Sが8%以上の画像の印字時の条件で、印字率Sが0.2%のテスト画像を印字した。また、図9に示す図形は一例に過ぎず、特に限定されるものではない。
【0133】
【表2】

【0134】
表2に示すように、8%以上の高印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22の周速度を小さくすると共に規制ギャップの間隔を大きくした実験例1、及び、磁気ローラ22の周速度を小さくすると共に磁気ローラ22の第1磁界発生部材22bを回転させた実験例2ではいずれも、濃度維持性が良好であり、カブリ、スリーブ汚染の発生も抑制されていた。
【0135】
また、実験例1及び実験例2に示すように、磁気ローラ22の周速度を小さくしたり、磁気ローラ22上の現像剤量を増加したり、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を小さくした場合には、ゴーストが発生し易くなっている。しかし、ゴースト評価の結果、このような場合であっても、ゴーストの発生が認められないことが確認された。また、実験例1及び実験例2では、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度も低下させたが、帯電不足によるスリーブ汚染や画像不具合は認められなかった。
【0136】
一方、高印字率の画像を印字するときに印字条件を変化させない実験例3では、現像ローラ23に対するトナーの付着が顕著であった。なお、濃度維持性の低下及びカブリの発生も認められたが、許容できる範囲であった。
【実施例2】
【0137】
実験例4
表3に示すように、印字率Sが8%未満の画像の印字時に、磁気ローラ22の周速度を600rpm、第1及び第2攪拌スクリューの回転速度を300rpm、規制ブレード25による規制ギャップの間隔を0.3mm、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)を280V、現像ローラ23に印加するVslv(AC)のVppを1100V、周波数を3000Hzとし、印字率Sが8%以上の画像の印字時には、磁気ローラ22の周速度を450rpm、第1及び第2攪拌スクリューの回転速度を225rpm、規制ギャップの間隔を0.5mm、Vmag(DC)を300V、Vslv(AC)の周波数を4000Hzとするように制御を行うこと以外は、実験例1と同様にして印字を行った。
【0138】
実験例5
表3に示すように、印字率Sが8%以上の画像の印字時には、規制ギャップの間隔を0.3mmに維持したまま、磁気ローラ22の周速度を450rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を225rpm、Vmag(DC)を300Vとするように制御を行うこと以外は、実験例4と同様にして印字を行った。
【0139】
実験例6
表3に示すように、印字率Sが8%以上の画像の印字時に、規制ギャップの間隔を0.3mmに維持したまま、磁気ローラ22の周速度を450rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を225rpm、Vmag(DC)を300V、Vslv(AC)の周波数を4000Hzとするように制御を行うこと以外は、実験例4と同様にして印字を行った。
【0140】
実験例7
表3に示すように、印字率Sが8%以上の画像の印字時においても、印字率Sが8%未満の画像の印字時と同じ条件で印字すること以外は、実験例4と同様にして印字を行った。
【0141】
【表3】

【0142】
評価
上記した実験例4〜実験例7について、上記実験例1〜実験例3と同様にして、濃度維持性、カブリ、スリーブ汚染及びゴーストについて評価を行った。なお、ゴーストの評価においては、実験例4〜実験例6共に、印字率Sが8%以上の画像の印字時の条件で、印字率Sが0.2%のテスト画像を印字した。評価結果を表4に示す。
【0143】
【表4】

【0144】
表4に示すように、8%以上の高印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22の周速度を小さくし、規制ギャップの間隔を大きくすると共に、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)及び現像ローラ23に印加するVslv(AC)の周波数を大きくした実験例4では、濃度維持性が良好であり、カブリ、スリーブ汚染も抑制されていた。また、ゴーストの発生も認められなかった。
【0145】
また、高印字率の画像を印字するとき、規制ギャップの間隔はそのままにして、磁気ローラ22の周速度を小さくし、磁気ローラ22に印加するVmag(DC)を大きくした実験例5では、カブリの発生が認められたが許容できる範囲であった。一方、濃度維持性は良好であり、スリーブ汚染及びゴーストの発生は抑制されていた。
【0146】
また、高印字率の画像を印字するとき、実験例5に加え、現像ローラ23に印加するVslv(AC)の周波数を大きくした実験例6では、濃度維持性は良好であり、スリーブ汚染、ゴーストの発生が抑制されていたのに加え、カブリの発生も抑制されていた。また、実験例5及び実験例6の結果、現像ローラ23に印加するVslv(AC)の周波数を大きくすると、特にカブリの発生を効果的に抑制できることがわかった。
【0147】
さらに、実験例4の結果を、実験例5及び実験例6と共に考察すると、実験例4の方が実験例5よりもカブリ、スリーブ汚染の発生の抑制効果に優れる傾向にあることがわかった。また、実験例4の方が実験例6よりも、濃度維持性に優れる傾向にあることがわかった。なお、実験例4では磁気ローラ22上の現像剤量が増加しているため、さらに長期間の使用においては、実験例5及び実験例6よりも現像剤の劣化を抑制できると推察される。また、実験例4〜実験例6では、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度も低下させたが、帯電不足によるスリーブ汚染や、顕著な画像不具合は認められなかった。
【0148】
一方、高印字率の画像を印字するときに印字条件を変化させない実験例7では、現像ローラ23に対するトナーの付着が顕著であった。なお、濃度維持性の低下及びカブリの発生も認められたが、許容できる範囲であった。
【実施例3】
【0149】
実験例8
図2及び図3に示す第1実施形態に係る現像装置3a〜3dを備えた図1に示す画像形成装置100を用いた。そして、表5に示すように、印字率Sが3%超(通常印字率)の画像の印字時に、磁気ローラ22の周速度を600rpm、現像ローラ23の周速度を400rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を300rpm、規制ギャップの間隔を0.3mmとし、印字率3%以下(低印字率)の画像の印字時には、磁気ローラ22の周速度を450rpm、現像ローラ23の周速度を300rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を225rpmとするような制御を行い、印字を行った。
【0150】
なお、その他、用いたトナー及びキャリア、磁気ローラ22及び現像ローラ23に印加するVmag(DC)及びVmag(AC)、現像ローラ23に印加するVslv(DC)、Vslv(AC)は、実験例1と同様とした。
【0151】
実験例9
表5に示すように、印字率Sが3%以下の画像の印字時に、磁気ローラ22の周速度を600rpmに維持したまま、現像ローラ23の周速度を300rpm、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を225rpmとするように制御を行うこと以外は、実験例8と同様にして印字を行った。
【0152】
実験例10
表5に示すように、印字率Sが3%以下の画像の印字時に、磁気ローラ22の周速度を600rpm、現像ローラ23の周速度を400rpmに維持したまま、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を225rpmとするように制御を行うこと以外は、実験例8と同様にして印字を行った。
【0153】
実験例11
表5に示すように、印字率3%以下の画像の印字時においても、3%超の印字率の画像の印字時と同じ条件で印字すること以外は、実験例8と同様にして印字を行った。
【0154】
【表5】

【0155】
評価
上記した実験例8〜実験例11について、濃度維持性についは印字率Sが0.2%のテスト画像、スリーブ汚染については印字率Sが2%のテスト画像を印字すること以外は上記実験例1〜実験例3と同様にして、濃度維持性、カブリ、スリーブ汚染及びゴーストについて評価を行った。評価結果を表6に示す
【0156】
【表6】

【0157】
表6に示すように、3%以下の低印字率の画像を印字するとき、磁気ローラ22及び現像ローラ23の周速度を小さくし、両者の周速度の差を小さくすると共に、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を低下させた実験例8では、濃度維持性が良好であり、カブリ、スリーブ汚染の発生も抑制されていた。また、ゴーストの発生は認められたが、許容できる範囲であった。
【0158】
また、低印字率の画像を印字するとき、現像ローラ23の周速度を小さくすると共に第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を低下させた実験例9では、濃度維持性が良好であり、カブリ、スリーブ汚染の発生も抑制されていた。また、ゴーストの発生は認められたが、許容できる範囲であった。
【0159】
また、低印字率の画像を印字するとき、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を低下させた実験例10では、濃度維持性が良好であり、カブリ、スリーブ汚染、ゴーストの発生も抑制されていた。低印字時の画像を印字する場合には、トナーの消費が少なく、かかるトナー消費に追従するトナーも少なくて済むため、第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bの回転速度を通常印字率の画像の印字時よりも小さくしても、かかる回転速度の低下がトナーの帯電に及ぼす影響は小さく、画像に及ぼす影響は小さかった。
【0160】
また、実験例8〜実験例10を比較すると、実験例9の方が実験例10よりも濃度維持性及び、スリーブ汚染の発生の抑制効果に優れる傾向にあり、実験例8の方が実験例9よりも濃度維持性及び、カブリ、スリーブの抑制効果に優れる傾向にあった。なお、実験例8では磁気ローラ22の周速度を小さくしているため、さらに長期間の使用においては、実験例9及び実験例10よりも現像剤の劣化を抑制できると推察される。
【0161】
一方、低印字率の画像を印字するときに印字条件を変化させない実験例11では、ゴーストの発生は認められなかったものの、濃度維持性が顕著に低下するのみならずスリーブ汚染も顕著であった。なお、カブリの発生も認められたが、許容できる範囲であった。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、現像剤担持体の周速度を小さくすると共に、現像剤担持体上に担持される現像剤量を増加するものである。
【0163】
これにより、現像剤のみならず現像剤担持体の劣化をも抑制して、長期間にわたって画像品質を安定して確保することができるため、メンテナンス性を向上させて作業者の負担を軽減することもできる。また、現像剤担持体から供給されたトナーを担持し、像担持体にトナーを供給するトナー担持体を設け、第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、現像剤担持体とトナー担持体との周速度の差を小さくすることによって、トナー担持体上においてトナーの劣化を抑制することができる。
【0164】
また、トナー担持体に、直流電圧及び交流電圧を印加し、第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、交流電圧の周波数を大きくすることによって、トナーとトナー担持体との間の摺擦力を低減すると共に、現像性を向上させることができる。また、トナー担持体の表面に樹脂コート層を設けることによって、より効果的にトナーの劣化を抑制すると共に、トナー担持体と像担持体との間でのリークの発生を防止できる。
【0165】
また、規制部材の現像剤担持体との間隔を大きくすることにより、現像剤量を増加することによって、現像剤担持体上の現像剤量を確実に増加させることができる。また、規制部材と該規制部材に直近する磁極との間に発生する磁界の強さを小さくすることにより、現像剤量を増加することによって、現像剤担持体上の現像剤量を確実に増加させることができる。また、現像剤担持体に、直流バイアス及び交流バイアスを印加し、第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、直流バイアスを大きくすることによって、現像剤及び現像剤担持体の劣化を、より抑制することができる。
【0166】
また、第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下の印字率の画像を印字するとき、攪拌搬送部材の回転速度を小さくすることによって、現像剤担持体上に現像剤が滞留し易い状態であっても、現像剤の劣化を抑制できる。また、樹脂微粒子が外添されたトナーを用いることによって、現像剤担持体にトナーが付着し易い状態であっても、トナーの劣化を抑制することができる。また、上記現像装置を備えた画像形成装置とすることによって、長期間にわたって安定して品質が確保された画像を形成可能な画像形成装置となる。
【符号の説明】
【0167】
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
3a〜3d 現像装置
21a 第1攪拌スクリュー
21b 第2攪拌スクリュー
22 磁気ローラ(現像剤担持体)
22a 回転スリーブ
22b 磁界発生部材
23 現像ローラ(トナー担持体)
23a 回転スリーブ
23b 現像ローラ側磁極
25 規制ブレード(規制部材)
30 第1バイアス印加装置
31 第2バイアス印加装置
35 主極
36 規制極
45 制御部
100 画像形成装置
Pa〜Pd 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともトナーとキャリアとを含む現像剤が用いられ、
複数の磁極を有する磁界発生部材が内部に設けられ像担持体にトナーを供給するための現像剤担持体と、
該現像剤担持体に担持される現像剤を攪拌搬送する攪拌搬送部材と、
前記現像剤担持体上の現像剤量を規制する規制部材と、が設けられた現像装置であって、
第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、前記現像剤担持体の周速度を小さくすると共に、前記現像剤担持体上に担持される現像剤量を増加することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体から供給されたトナーを担持し、前記像担持体にトナーを供給するトナー担持体が設けられ、
前記第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との周速度の差を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記トナー担持体には、直流電圧及び交流電圧が印加され、
前記第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、前記交流電圧の周波数を大きくすることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記トナー担持体の表面に、樹脂コート層が設けられたことを特徴とする請求項2または3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記規制部材の前記現像剤担持体との間隔を大きくすることにより、前記現像剤量を増加することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記規制部材と該規制部材に直近する前記磁極との間に発生する磁界の強さを小さくすることにより、前記現像剤量を増加することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤担持体には、直流バイアス及び交流バイアスが印加され、
前記第1の所定値以上の印字率の画像を印字するとき、前記直流バイアスを大きくすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下の印字率の画像を印字するとき、前記攪拌搬送部材の回転速度を小さくすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
樹脂微粒子が外添されたトナーが用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の現像装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−95350(P2011−95350A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247222(P2009−247222)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】