説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】攪拌・搬送手段と現像器底面との間に滞留する現像剤の量を低減させ、より精度良くトナー濃度を測定する。
【解決手段】現像装置10は攪拌・搬送手段として2本のスクリュー13,14を備え、トナー濃度センサー15が設けられた側のスクリュー14を取り巻くようにシート状の現像剤搬送補助手段18を配置する。さらに、トナー濃度センサー15と現像剤搬送補助手段18との間にゴムパッキン20を現像容器11の内面に貼り付ける。これにより、トナー濃度センサー15と現像剤搬送補助手段18との間に現像剤が侵入せず、センサ部での現像剤の滞留が防止され、より正確なトナー濃度測定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した画像形成装置における現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平6−308833号公報
【特許文献2】特開2000−29301号公報
【特許文献3】特開2003−295589号公報
【特許文献4】特開2003−307918号公報
【特許文献5】特開平11−202610号公報
【特許文献6】特開2006−3682号公報
【特許文献7】特許第3434118号公報
【0003】
従来、電子写真方式を利用した画像形成装置の現像装置においては、攪拌・搬送手段を配設した部分の現像器底面の形状を、攪拌・搬送手段の外径とほぼ同心円状とした一部円弧形状に設けたものが多数開発されており、例えば特許文献1〜4等に記載されている。このような現像装置では、攪拌・搬送手段と現像器底面との間に0.5〜1mm程度の隙間を設けないと攪拌・搬送部材の摺動による異常音発生やトルク増大の原因となるため、上記の隙間を設ける必要があった。
【0004】
また、近年の小型化された画像形成装置においては、上記攪拌・搬送手段は現像装置の幅に近い細長い形状のスクリュー等で構成されることが多く、部品自体での反りが発生しやすく、現像剤量が少ない条件では攪拌・搬送手段の下側部分で現像剤を攪拌・搬送するため、反力によって中央部が上に反った状態となるなどの原因で、攪拌・搬送手段と現像容器底面との間の部分が充分に攪拌されず、停留する現像剤ができ易くなっていた。
【0005】
また、一般的に、現像容器内のトナー濃度を検知するトナー濃度センサは現像器底面部に設けられるため、現像容器底面部すなわちトナー濃度センサ部で上記のような攪拌・搬送されにくい現像剤が有ると、(1)光学式トナー濃度センサを用いる場合には攪拌・搬送されないトナーの濃度を測定してしまう、(2)透磁率センサを用いる場合には攪拌・搬送されずに停留していた現像剤を含んだトナー濃度測定となり、トナー濃度変化に対する感度が低下する、(3)装置放置(停止)後の起動直後において、滞留している現像剤の影響で現像剤の嵩密度が安定するまでに時間がかかり、トナー濃度が変動していないにもかかわらず現像剤の嵩密度変化によりトナー濃度検出値が変化する時間が長い、等の、トナー濃度を安定に測定することができない問題を生じていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これを改善するため、トナー濃度センサ部分の攪拌手段に現像剤を掻き取る手段を設けることが、例えば特許文献5〜7等により提案されている。
しかしながら、(a)センサ部分の現像剤をスクレーパで掻き取るため、トナー濃度センサの出力波形が複雑となってしまう、(b)センサ部分以外で滞留する現像剤があるため、スクレーパのない攪拌・搬送手段の部分での影響が残ってしまう、等の問題があった。
【0007】
本発明は、従来の現像装置における上述の問題を解決し、トナー濃度検出精度低下の原因となる攪拌・搬送手段と現像器底面との間に滞留する現像剤の量を低減させ、より精度良くトナー濃度を測定することのできる現像装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【0008】
また、攪拌・搬送手段の構造上起こりやすい反りや偏心運動が発生した場合でも攪拌・搬送手段と現像器底面との間に滞留する現像剤の量を低減させることの可能な設計自由度の高い現像装置を提供することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題は、本発明により、現像剤を担持して現像領域に搬送する現像剤担持体と、互いに逆方向に回転して現像剤を攪拌・搬送する攪拌・搬送手段と、該攪拌・搬送手段の下部に配置されて現像剤中のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段とを備える現像装置において、前記攪拌・搬送手段うちの少なくとも前記トナー濃度検出手段が配置された攪拌・搬送手段と前記トナー濃度検出手段との間に設けられ、前記攪拌・搬送手段の回転軸に垂直な方向の断面においてその両端が前記トナー濃度検出手段が配置された攪拌・搬送手段の両側に位置して該攪拌・搬送手段の外周部の下側を覆うように設けられたシート状の現像剤搬送補助手段と、該現像剤搬送補助手段と前記トナー濃度検出手段との間に配置され、前記トナー濃度検出手段部への現像剤の侵入を防止するシール部材とを有することにより解決される。
【0010】
また、前記現像剤搬送補助手段の一端部が前記攪拌・搬送手段の回転方向上流側で現像容器内面に装着支持され、他端部が自由端として現像容器内面に当接すると好ましい。
【0011】
また、前記現像剤搬送補助手段を弾性体を介して現像容器内面に装着支持させるとともに、前記弾性体が前記シール部材を兼ねると好ましい。
また、前記現像剤搬送補助手段の少なくとも前記トナー濃度検出手段部が透明部材として構成されていると好ましい。
【0012】
また、前記トナー濃度検出手段が配置された攪拌・搬送手段が前記現像剤担持体から遠い側の攪拌・搬送手段であると好ましい。
【0013】
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置により解決される。
また、前記トナー濃度検出手段の検出結果に基づいて前記現像装置内のトナー濃度が所定濃度になるように前記現像装置内にトナー補給を行なうと好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の現像装置によれば、上記のような構成の現像剤搬送補助手段とシール部材とを有するので、攪拌・搬送手段と現像容器底面との間に滞留する現像剤の量を低減させることができ、より精度良くトナー濃度を測定することが可能となる。
【0015】
また、攪拌・搬送手段の反りや偏心運動が発生する場合などにおいても攪拌・搬送手段と現像容器底面との間に滞留する現像剤の量を低減できるので、攪拌・搬送手段の機械的精度や回転動作時の影響を受けにくくすることができ、より設計自由度の高い現像装置を実現できる。
【0016】
請求項2の構成により、現像剤搬送補助手段を簡単に現像容器に装着支持できるとともに、攪拌・搬送手段の回転によって現像剤搬送補助手段が攪拌・搬送手段回転方向に引っ張る力を受け、巻き付くようにして攪拌・搬送手段に安定して接触させることができる。したがって、現像剤の侵入が効果的に防止され、滞留現像剤をより低減させることができる。
【0017】
請求項3の構成により、多様な素材を攪拌・搬送手段として使用することが可能となり、設計自由度を広くすることができる。また、弾性体がシール部材を兼ねることにより部品点数を少なくすることができる。
【0018】
請求項4の構成により、トナー濃度検出手段として光学式トナー濃度センサの使用が可能となる。
請求項5の構成により、現像剤担持体から遠い側の攪拌・搬送手段でより精度良くトナー濃度を検出することができる。
【0019】
請求項6の画像形成装置によれば、精度良くトナー濃度を検出できる現像装置を備えることにより、より良好な画像を形成することができる。
請求項7の構成により、現像装置内のトナー濃度を最適な濃度に維持することが可能となり、常に高品質な出力画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る現像装置の一例を示す断面構成図である。この図に示す現像装置10は、現像容器11内にトナーとキャリアからなる二成分現像剤を収容している。現像容器11内には、現像剤担持体12や2本の攪拌・搬送手段13,14が配設されている。本例の攪拌・搬送手段13,14は、直径5mmの軸に螺旋状の突起を設けた回転外径14mm,スクリューピッチ20mmのスクリューであり、2本のスクリュー13,14は互いに逆の方向に300rpmで回転され、現像容器11内で現像剤を還流させるよう構成されている。すなわち、現像剤収容部は現像容器11の一部である分離板11aによって仕切られているが、その分離板11aの奥側(図面に垂直な方向の下側)と手前側(図面に垂直な方向の上側)には現像剤が通過できる(本例では幅25mmの)開口部が設けてあり、装置奥側では図の右側のスクリュー13側から図の左側のスクリュー14側へ、装置手前側ではスクリュー14側からスクリュー13へ現像剤が送られて還流する構造となっている。
【0021】
図において左側の(現像剤担持体12から遠い方の)スクリュー14下方の現像容器底部にはトナー濃度センサ15が設けられている。本例ではトナー濃度センサ15として現像剤の透磁率を検知する透磁率センサを用いている。また、スクリュー14の上方には、当該現像装置10が装着される後述する画像形成装置のトナー補給装置からのトナーが補給されるトナー補給口16が設けられている。そして、現像剤担持体12の下方に位置して、現像剤量規制手段17が設けられている。
【0022】
本実施例では、トナー濃度センサ15の検出結果に基づいて、現像装置内のトナー濃度が所定濃度(本例では7%)になるように現像容器11内にトナー補給が行なわれる。そのトナー補給は、あらかじめトナー質量とキャリア質量を測定して作成した現像剤の「トナー質量/(キャリア質量+トナー質量)」から求めたトナー濃度とトナー濃度センサー15の出力の関係(図2に示す)を事前に確認し(テーブルとして備え)、トナー濃度センサ15の出力から換算したトナー濃度が7%となるようにトナー補給量を制御することにより行なわれる。
【0023】
現像容器11内でトナーは、上記現像剤の還流中にキャリアとの摩擦により帯電(本例の場合は負に帯電)され、現像剤担持体12の内部に配置された図示しない着磁ローラの汲み上げ磁極によって形成された磁界により現像剤の状態で引き寄せられ、現像剤担持体12表面の回転スリーブにより搬送され、現像部の手前で現像剤量規制手段17によって回転スリーブ上の現像剤量が適正な量に調整された状態で現像部に供給される。本実施例では、現像担持体12には直流バイアス−350Vを印加し、後述する画像形成装置の潜像担持体に形成された背景部−500V、画像部−100Vの静電潜像と現像剤担持体12との間にできる電界により、トナーが現像剤担持体12から潜像担持体の画像部のみに移動し、静電潜像パターンを可視化する。
【0024】
さて、本実施例では、図1に示すように、トナー濃度センサー15が設けられた側の攪拌・搬送手段であるスクリュー14の下側外周部を取り巻くようにシート状の現像剤搬送補助手段18が設けられている。本実施例では現像剤搬送補助手段18として厚さ0.1mmのマイラーシート(商品名)を用いており、該現像剤搬送補助手段18の一端部を両面テープ19により現像容器11の内面に貼り付けている。現像剤搬送補助手段18の現像容器への貼り付け端部は、スクリュー14が配置されている現像剤室の上端部付近であり、反対側端部は、スクリュー14を回り込んで、貼り付け端部とは反対側でスクリュー14よりも高くなるように設けられている。該反対側端部(他端部)は、自由端として現像容器11の内面に当接されている。このように現像剤搬送補助手段18を配置することで、マイラーシートからなる現像剤搬送補助手段18がスクリュー14の下側回転外径に接触するように設けられている。
【0025】
そして、上記のように現像剤搬送補助手段18を取り付けることにより、スクリュー14の回転によって、現像剤搬送補助手段18はスクリュー14の回転方向に引っ張る力を受け、巻き付く形で現像剤搬送補助手段18をスクリュー14に安定して接触させることができる。さらに、トナー濃度センサー15と現像剤搬送補助手段18との間に現像剤が侵入しないように、シール部材ドーナツ状のゴムパッキン20を現像容器11の内面に貼り付けて設けてある。
【0026】
本実施例の現像装置10は、上記のように現像剤搬送補助手段18を設けたことにより、トナー濃度センサー15と現像剤搬送補助手段18との間に現像剤が侵入せず、センサ部での現像剤の滞留が防止され、より正確なトナー濃度測定が可能となった。
【0027】
図3は、本発明の現像装置と2つの比較例における、トナー濃度センサ出力と現像装置内の実測したトナー濃度との関係を示すグラフである。本発明の現像装置は、図1に示す実施例の現像装置10である。比較例1(図4)は従来の現像装置の一例であり、図1の現像装置10から現像剤搬送補助手段18とその固定手段である両面テープ19及びシール部材であるゴムパッキン20を取り除いたものである。比較例2(図5)は、図1の現像装置10からシール部材であるゴムパッキン20のみを取り除いたものである。比較例1及び比較例2の現像装置は、上記各部材の有無以外は、実施例の現像装置10と同一構造である。
【0028】
また、比較は、上記の各現像装置(実施例、比較例1、比較例2)に対し、開始時点でトナー濃度7%の現像剤を充填した状態から、現像装置への(トナー補給装置による)トナー補給を手動制御とし、現像剤担持体12から静電的にトナーを消費させたり、トナー補給装置からトナーを補給した後、トナーセンサ出力がほぼ安定する15秒時点でのトナー濃度センサ15の出力と、現像装置内のスクリュー14側の現像剤を実測したトナー濃度とを、比較した。図中の黒丸印は実施例の現像装置10、図中の四角印は比較例1、図中の三角印は比較例2をそれぞれ示す。なお、実線は図2のグラフであり、上記のように、あらかじめ現像装置の外部で作成した現像剤のトナー濃度とトナー濃度センサー15の出力の関係(現像装置内全体でトナー濃度が均一になっている現像剤における、トナー濃度とトナー濃度センサー出力の関係)を示すものである。したがって、図3において、実線からの偏差が小さいものが、より正確なトナー濃度を示していることになる。
【0029】
そこで、図3を見ると、比較例1(四角印)及び比較例2(三角印)では実線からの偏差が大きく、実測値とセンサ出力の関係が、現像装置の外でトナー濃度を均一に作成して現像装置に充填した場合と現像装置でトナー消費・補給した後で測定した場合とで変わり、ばらつきが大きくなっていることが判った。これに対し、実施例の現像装置(黒丸印)では、実線からの偏差が小さく、現像装置の外でトナー濃度を均一に作成して現像装置に充填した場合と現像装置でトナー消費・補給した後で測定した場合でも実測値とセンサ出力の関係にズレやバラツキが少なく、より正確なトナー濃度測定が可能であることが確認できた。
【0030】
本発明の効果をより明確にするため、図5(比較例2)の現像装置において、装置外で作成したそれぞれトナー濃度が5wt%,7wt%,9wt%の現像剤を現像剤搬送補助手段18のシートと容器底部(トナー濃度センサ15取り付け部)の間に充填し、装置外で作成したトナー濃度3〜9wt%の現像剤を現像容器11内に収納して駆動した場合のトナー濃度とトナー濃度センサ出力との関係を図6に示す。なお、現像装置内全体で均一な濃度の現像剤が入っている場合との差異を分かりやすくするため、図2のグラフ(図中の「実線:均一」)を同時に示した。
【0031】
図6から分かるように、トナー濃度センサ15と攪拌・搬送手段(スクリュー14)の間にある現像剤と装置内で攪拌・搬送されている現像剤のトナー濃度が異なると、攪拌・搬送部にある現像剤のトナー濃度を正確に測定することができない。言い換えれば、トナー濃度センサ出力をもとにトナー濃度を所定の制御目標値に制御しようとした場合、トナー濃度センサ15と攪拌・搬送手段(スクリュー14)の間の現像剤が制御目標値と同一のトナー濃度でないと、トナー濃度を適正に制御できないことになる。また、トナー濃度センサ15と攪拌・搬送手段(スクリュー14)の間の現像剤は、トナー濃度センサの出力感度を低下させていることが分かり、トナー濃度制御の精度低下につながっていることが明らかになった。
【0032】
従来の現像装置である比較例1(図4)の場合も同様に、攪拌・搬送手段(スクリュー14)と現像容器11との間に現像剤が滞留すると、攪拌・搬送されている現像剤のトナー濃度検出値に誤差が生じ、また、滞留する現像剤の量やトナー濃度が変動し、トナー濃度を制御目標値に制御できないという問題が生じている。
【0033】
一方、本発明の現像装置では、上記した構成により、トナー濃度センサ15と攪拌・搬送手段(スクリュー14)の間の滞留現像剤をほぼ無くすことができるため、攪拌・搬送されている現像剤のトナー濃度をより正確に測定できることが確認できた。
【0034】
図7は、本発明による現像装置の第2実施例を示す断面構成図である。
本第2実施例の現像装置10Bでは、厚さ0.05mmのポリイミドシートからなる現像剤搬送補助手段18Bを圧縮ポリウレタンフォームからなる弾性体21に貼り付け、トナー濃度センサ15部分に弾性体21の開口部を合わせて現像容器11の底面に貼り付けた。
【0035】
厚さ0.05mmのポリイミドシートからなる現像剤搬送補助手段18Bは、第1実施例の現像剤搬送補助手段18(厚さ0.1mmのマイラーシート)のような取り付け方が不可能であるため、弾性体21を介して現像容器11の底面に貼り付けた。
【0036】
また、現像剤搬送補助手段18Bは、第1実施例の現像剤搬送補助手段18に比べて剛性が小さく、現像剤の重さで攪拌・搬送手段(スクリュー14)に当接することができないことによって使用できないようなシート材料でも、弾性体を用いることで安定してに当接させることができ、同時に、弾性体21がそのままシール部材(トナー濃度センサ15と攪拌・搬送手段14との間に現像剤が侵入しないようにする部材)の機能を兼ね備えることができた。この弾性体を用いて現像剤搬送補助手段を攪拌・搬送手段に当接させる方法により、さらに、ポリエチレンテレフタレートシートや円筒を半分に切った形状のガラス管あるいはジルコニアセラミクス等の材料でも現像剤搬送補助手段に使用可能とすることができる。
【0037】
さらに、最大0.7mm程度の反りがある攪拌・搬送手段であっても、また、回転時に現像剤から受ける力で中央部が上方に反る攪拌・搬送手段であっても、また、非対称の攪拌羽根を付けたことにより偏心運動が発生する攪拌・搬送手段であっても、弾性体によって現像剤搬送補助手段18Bを攪拌・搬送手段14に安定して当接させることができ、センサ部に滞留する現像剤をほぼ無くすことができた。
【0038】
また、トナー濃度センサとして光学式のセンサを用いた場合、検出光の反射がごく表面の現像剤でしか反射しないため、従来の現像装置では現像容器底面に滞留した現像剤のトナーを測定してしまっていたが、検出部に攪拌・搬送されている現像剤が来るため、本発明の現像装置で用いる現像剤搬送補助手段(18,18B)に透明なガラス材料やジルコンセラミクスを使用することにより、光学式トナー濃度センサでもトナー濃度をより正確に測定することが可能となった。
【0039】
上記のように、本発明による現像装置は、攪拌・搬送手段と現像容器底面との間に滞留する現像剤の量を低減させることができることによって、より精度良くトナー濃度を測定することが可能となった。
【0040】
また、攪拌・搬送手段の構成や形状による反りや偏心運動が発生する場合などにおいても攪拌・搬送手段と現像容器底面との間に滞留する現像剤の量を低減できることにより、攪拌・搬送手段の機械的精度や回転動作時の影響を受けにくくでき、より設計自由度の高い現像装置を提供することができた。
【0041】
最後に、本発明による現像装置を備える画像形成装置の一例を図8により説明する。
図8に示すカラープリンタ1は、装置本体の下部に給紙部2が設けられ、その上方に作像部3を配置した構成となっている。装置上面には排紙トレイ60が形成されている。図に破線で記録紙の搬送経路を示すように、給紙部2から用紙を給送し、作像部3にて形成した画像を用紙上に転写し、定着装置50で定着して排紙トレイ60に排紙する。装置側面からは手差し給紙も可能となっている。
【0042】
作像部3には、給紙側を下に、排紙側を上となるように傾斜して配置された転写搬送ベルト31が配設されている。この転写搬送ベルト31の上部走行辺に沿って、下から順にマゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),黒(Bk)用の4つの作像ユニット4M,4C,4Y,4Bkが並んで配置されている。各作像ユニット4M,4C,4Y,4Bkの構成は同じであり、各色を示すアルファベット(M,C,Y,4Bk)を省略して説明する。また、図では、シアン(C)の作像ユニット4Cにのみ作像ユニットを構成する機器に符号を付している。
【0043】
各作像ユニット4は像担持体としての感光体ドラム5を備えており、該感光体ドラム5は図示していない駆動手段によって図中時計方向へ回転駆動される。感光体ドラム5の回りには帯電器6,クリーニング装置7,転写ブラシ8,現像装置10等が設けられている。現像装置10は上記説明した各実施例の現像装置を使用することができる。光書込み装置9からのレーザ光は、帯電器6と現像装置10の間から感光体ドラム5に照射される。
【0044】
無端ループ状の転写搬送ベルト31は複数の支持ローラ及び補助ローラに巻回張架され、ベルト上に記録紙を静電的に吸着して搬送する。転写搬送ベルト31の下方(上流側)にはレジストローラ40が配置される。光書込み装置9の斜め上方に位置する部材(符号70)はトナー収納部であり、図では1つのみを示しているが、マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),黒(Bk)に対応する4つのトナーボトルが備えられる。また、本例のカラープリンタ1では、トナー収納部70(各色トナーボトル)から各色現像装置10へトナーを補給する、モーノポンプを利用したトナー補給装置(図示せず)が配備されている。
【0045】
本例のカラープリンタ1におけるプリント動作について簡単に説明する。
マゼンタ用の作像ユニット4Mにおいて、感光体ドラム5の表面は帯電ロール6によって所定の電位に均一に帯電される。露光装置9においては、パソコン等のホストマシーンより送られた画像データに基づいて図示しないLD(レーザダイオード)を駆動してレーザ光をポリゴンミラーに照射し、シリンダーレンズ等を介して反射光を感光体ドラム5上に導き、感光体ドラム5上にマゼンタトナーで現像すべき静電潜像を形成する。この潜像に現像装置10からトナーが付与され、マゼンタトナーの可視像となる。
【0046】
一方、給紙部2からは転写材として指定された用紙が給紙され、給紙された用紙はレジストローラ対40に一旦突き当てられる。そして、用紙は上記可視像に同期するようにしてベルト31上に給送され、該ベルトの走行により感光体ドラム5に対向する転写位置に到る。この転写位置では、転写搬送ベルト31の裏面側に配置された転写ブラシ8の作用によりマゼンタトナーの可視像が用紙に転写される。
【0047】
マゼンタ色の場合と同様にして、他の作像ユニット4C,4Y,4Bkにおいてもそれぞれの感光体ドラム5の表面に各トナーによる可視像が形成され、これら可視像は転写搬送ベルト31によって搬送される用紙が各転写位置に到来するごとに重ね転写される。したがって、本例のカラープリンタ1はフルカラーの画像がモノクロとほぼ同様な短時間で形成可能である。
【0048】
いっぽう、モノクロプリントの場合は、黒用の作像ユニット4Bkのみにおいて感光体ドラム5の表面にブラックトナーの可視像が形成され、このBkの可視像に同期するようにしてベルト31上に給送された用紙に対してBkトナー像が転写される。
【0049】
トナー像転写後の用紙は、転写搬送ベルト31から分離されて、定着装置50により定着される。本例の定着装置は、ベルト定着方式であって、剛性のある加圧ローラ51上に比較的柔らかい、例えばスポンジローラからなる定着ローラ52が圧接され、定着ローラ52と、その用紙搬送方向上流側に配置された加熱ローラ53とにベルト54が巻き掛けられている。このベルト定着方式は、ローラ定着と比べてウォーミングアップ時間が短い等の利点を有するものである。
【0050】
定着を終えた用紙は、装置本体の上面に設けられた排紙トレイ60に排紙される。このとき用紙は反転されて裏面排紙される。プリンタにとって裏面排紙は、プリントをページ順に揃えるためのほぼ必須の条件となっている。
【0051】
上記の本発明による現像装置を備える画像形成装置は、現像装置におけるトナー濃度を精度良く測定することができるので、トナー濃度を所定の濃度の維持してより良好な画像を得ることが可能となり、高品質な画像を形成することができる。
【0052】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像装置の構成は本発明の範囲で適宜変更可能であり、攪拌・搬送手段をスクリュー状とする場合の条数や形状などは任意である。また、現像剤搬送補助手段を構成する部材の材質なども適宜なものを採用することができる。現像剤搬送補助手段の両端の高さ位置は、図示の各実施例では攪拌・搬送手段(スクリュー)の高さ以上としたが、一方側、好ましくは攪拌・搬送手段回転方向下流側の端部が攪拌・搬送手段の高さ以下であっても良い。
【0053】
また、画像形成装置各部の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの配置順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置した構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置でも良い。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る現像装置の一例を示す断面構成図である。
【図2】均一現像剤を用いたトナー濃度とトナー濃度センサー出力の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の現像装置と2つの比較例における、トナー濃度センサ出力と実測したトナー濃度との関係を示すグラフである。
【図4】比較例1の現像装置を示す断面図である。
【図5】比較例2の現像装置を示す断面図である。
【図6】本発明の効果を明確にするための実験におけるトナー濃度とトナー濃度センサ出力との関係を示すグラフである。
【図7】現像装置の第2実施例を示す断面構成図である。
【図8】本発明の現像装置を備える画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【符号の説明】
【0055】
1 カラープリンタ
3 作像部
4 作像ユニット
5 感光体ドラム
9 光書込み装置
10,10B 現像装置
11 現像容器
12 現像剤担持体
13,14 スクリュー(攪拌・搬送手段)
15 トナー濃度センサ(トナー濃度検出手段)
17 現像剤量規制手段
18,18B 現像剤搬送補助手段
19 両面テープ
20 ゴムパッキン(シール部材)
21 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持して現像領域に搬送する現像剤担持体と、互いに逆方向に回転して現像剤を攪拌・搬送する攪拌・搬送手段と、該攪拌・搬送手段の下部に配置されて現像剤中のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段とを備える現像装置において、
前記攪拌・搬送手段うちの少なくとも前記トナー濃度検出手段が配置された攪拌・搬送手段と前記トナー濃度検出手段との間に設けられ、前記攪拌・搬送手段の回転軸に垂直な方向の断面においてその両端が前記トナー濃度検出手段が配置された攪拌・搬送手段の両側に位置して該攪拌・搬送手段の外周部の下側を覆うように設けられたシート状の現像剤搬送補助手段と、
該現像剤搬送補助手段と前記トナー濃度検出手段との間に配置され、前記トナー濃度検出手段部への現像剤の侵入を防止するシール部材と
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤搬送補助手段の一端部が前記攪拌・搬送手段の回転方向上流側で現像容器内面に装着支持され、他端部が自由端として現像容器内面に当接することを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤搬送補助手段を弾性体を介して現像容器内面に装着支持させるとともに、前記弾性体が前記シール部材を兼ねることを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤搬送補助手段の少なくとも前記トナー濃度検出手段部が透明部材として構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記トナー濃度検出手段が配置された攪拌・搬送手段が前記現像剤担持体から遠い側の攪拌・搬送手段であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー濃度検出手段の検出結果に基づいて前記現像装置内のトナー濃度が所定濃度になるように前記現像装置内にトナー補給を行なうことを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−292820(P2008−292820A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139164(P2007−139164)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】