現像装置及び画像形成装置
【課題】エア漏れを防止し現像剤循環の安定化を図ることができる現像装置を実現する。
【解決手段】現像部と、現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部40と、現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダ50と、ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して現像部に移送する現像剤搬送経路31を備えた現像装置において、ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータ55と、ステータの上部側に設けられ現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔56と、ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔57と、ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータ51を備え、ロータリフィーダの現像剤排出孔と、現像剤排出孔から排出された現像剤が現像剤搬送経路31に合流する合流部35の間に、現像剤を保持する現像剤保持部70を設けた。
【解決手段】現像部と、現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部40と、現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダ50と、ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して現像部に移送する現像剤搬送経路31を備えた現像装置において、ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータ55と、ステータの上部側に設けられ現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔56と、ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔57と、ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータ51を備え、ロータリフィーダの現像剤排出孔と、現像剤排出孔から排出された現像剤が現像剤搬送経路31に合流する合流部35の間に、現像剤を保持する現像剤保持部70を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いた現像装置と、その現像装置を備えた複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体等の潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するための現像装置を備えており、この現像装置は、例えばトナーとキャリアから成る二成分現像剤を用いて、潜像担持体上の静電潜像を現像剤のトナーで現像して可視化する装置である。
このような二成分現像剤を用いた現像装置では、現像領域で現像処理を終了してトナーが消費された現像剤は回収され、トナーホッパーやトナーカトリッジ等から補給されるトナーと混合、撹拌され、再び現像に供される。また、このような構成の現像装置に用いられる現像剤は、安定したトナー画像を得るために、一定のトナー濃度と帯電量を維持する必要がある。トナー濃度は現像で消費したトナーと補給トナー量により調整され、帯電量はキャリアとトナーとの混合時の摩擦帯電により付与される。そして現像装置は、トナーとキャリアから成る二成分現像剤の撹拌を充分に行い、トナー濃度分布を均一化するとともに、トナーに帯電を付与し、トナー画像の安定化を行っている。
【0003】
一般的な現像装置では、補給されたトナーが現像剤担持体である現像ローラ(現像スリーブ)に汲み上げられるまでの僅かな時間の間に、2本の現像剤混合攪拌部材(例えばスクリュ)の回転による撹拌効果を利用してトナーの分散及び帯電付与を行っているため、特にトナーの収支が多い場合には補給されたトナーが十分に分散することなく現像ローラに汲み上げられてしまい、地汚れやトナー飛散が発生してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、現像部から離れた位置に別途撹拌部を設けると共に、現像部と撹拌部とを現像剤循環手段によって接続し、撹拌部で現像剤の状態に応じた撹拌を行うことでトナー濃度及び帯電量を適切に調整した後に、現像剤を現像部に供給する現像装置が提案されている(例えば、特許文献1(特許第3734096号公報)、特許文献2(特許第3349286号公報)及び特許文献3(特開平11−143196号公報))。
また、本発明者らは先に、上記と同様の構成で、より撹拌性能の優れた撹拌システムを用いた現像装置を提案している(特許文献4(特開2007−193301号公報)、特許文献5(特開2008−299217号公報)、特許文献6(特開2008−3561号公報)、特許文献7(特開2009−103751号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の先行技術のような、空気(エア)を利用して現像剤を循環させる現像装置においては以下のような課題がある。
現像剤を空気を利用して管内を連続的に搬送する場合、現像装置の主な構成は、現像部、現像剤収納部、現像剤供給部、現像剤循環手段(輸送管、空気供給源)である。この構成では空気の圧力(正圧)と流速とを利用して現像剤を搬送するため、空気搬送元と搬送先(大気圧)との間には差圧が発生する。また、この現像装置は、現像部に送られた現像剤が、現像部から現像剤収納部に回収され、再び搬送される(循環している)ため、現像剤収納部も大気圧である。
従って、現像剤を現像部へ搬送するためには、現像剤供給部と現像剤収納部をシールし、空気供給源の空気が現像剤収容部に洩れないようにする必要がある。空気が洩れると、現像剤を搬送するための圧力が低下して搬送量が十分確保できない。また、空気が現像剤収納部に逆流する(現像剤収容部に圧力がかかる)と、現像剤収容部から現像剤供給部に入る現像剤が逆流する空気によって妨げられ、排出量の低下や、ばらつきが発生する。また、現像剤収納部が流入する空気によって内圧が上昇し、現像部から回収する現像剤の流入を妨げる恐れもある。
【0006】
現像剤供給部を構成する供給装置として一般的に用いられるものに、ロータリフィーダがある。ロータリフィーダは、回転する複数の羽根を持ったロータと、ロータを覆うステータからなり、定量性、制御性に優れた機構であるが、シール性が不足すると上述した空気の逆流が発生する。シール性を確保する方法として、ロータの羽根を弾性体としてステータとの間で食い込みを持たせる方法があるが、経時の劣化(ロータ及びステータの削れ等)が顕著となり実用的ではない。特に、現像剤を構成するキャリアは鉄やフェライトであるため、硬度が高いことからこの方法により耐久性を得ることは困難である。
【0007】
そこで、この課題を解決する方法として、本発明者らは、特許文献5において、ロータととステータの間の隙間(クリアランス)を適正化することで空気の逆流を防止する方法を提案している。しかし、この方法ではロータとステータの加工精度が要求され、コスト高となる。
【0008】
また、本発明者らは、特許文献7において、ロータリフィーダのシール性を向上させる手段として、故意に現像剤の一部を排出しないで、ロータとステータのクリアランス部に現像剤を滞留させる方法を提案している。しかし、この方法では、現像剤の一部を排出しないため、ロータリフィーダの容積効率が低下するという課題(副作用)がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、空気供給源(エアポンプ等)からの空気がロータリフィーダへ進入する進入量を大幅に低減すると共に、確実にロータリフィーダ内部の現像剤を排出して容積効率を向上でき、現像剤収容部から現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に安定供給することができる現像装置を提供することを目的とし、さらには、その現像装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の解決手段は、潜像担持体上の潜像を現像する現像部と、前記現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像剤収納部の下方に設けられ該現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダと、前記ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して前記現像部に移送する現像剤搬送経路とを備えた現像装置において、前記ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータと、該ステータの上部側に設けられ前記現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔と、前記ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔と、前記ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータを備え、前記ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が前記現像剤搬送経路に合流する位置(合流部)の間に、該現像剤を保持する現像剤保持部を設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0011】
本発明の第2の解決手段は、潜像担持体上の潜像を現像する現像部と、前記現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像剤収納部の下方に設けられ該現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダと、前記ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して前記現像部に移送する現像剤搬送経路とを備えた現像装置において、前記ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータと、該ステータの上部側に設けられ前記現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔と、前記ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔と、前記ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータを備え、前記ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が前記現像剤搬送経路に合流する位置(合流部)の間に、該現像剤を保持し搬送するスクリュ搬送部を設けたことを特徴とする(請求項2)。
【0012】
本発明の第3の解決手段は、第2の解決手段の現像装置において、前記スクリュ搬送部のスクリュの回転によって搬送される現像剤の理論値の最大値である現像剤搬送能力は、前記ロータリフィーダの現像剤排出量より少なく設定することを特徴とする(請求項3)。
また本発明の第4の解決手段は、第2または第3の解決手段の現像装置において、前記スクリュ搬送部のスクリュは略水平に配置されており、該スクリュにより搬送された現像剤は、前記現像剤搬送経路の搬送路の略垂直に配置された部分で前記空気と合流することを特徴とする。
さらに本発明の第5の解決手段は、第2〜第4のいずれか一つの解決手段の現像装置において、前記スクリュ搬送部の前記ロータリフィーダの現像剤排出部との合流点より上流側に、現像剤を排出する開口部を設けたことを特徴とする(請求項5)。
さらに本発明の第6の解決手段は、第4または第5の解決手段の現像装置において、前記現像剤搬送経路の現像剤と空気との合流部に、フィルタを設置することを特徴とする(請求項6)。
さらに本発明の第7の解決手段は、第2〜第6のいずれか一つの解決手段の現像装置において、前記スクリュ搬送部のスクリュの径、及びスクリュ経路断面を、現像剤搬送方向下流側で小さくすることを特徴とする(請求項7)。
【0013】
本発明の第8の解決手段は、潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像して可視化する現像手段を備えた画像形成装置であって、前記現像手段として第1〜第7のいずれか一つの解決手段の現像装置を備えたことを特徴とする(請求項8)。
【発明の効果】
【0014】
第1の解決手段の現像装置では、ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が現像剤搬送経路に合流する位置(合流部)の間に、該現像剤を保持する現像剤保持部を設けたことにより、現像剤排出孔から排出された現像剤が現像剤保持部に溜まって、該現像剤保持部に現像剤が充満している状態、あるいは該現像剤保持部の少なくとも一部が現像剤で満たされている状態であると、空気供給源からの空気(エア)が、合流部からロータリフィーダに流れ込むのを防止することができ、空気供給源からの空気を無駄に消費することが無い。よって、空気供給源からの空気がロータリフィーダへ進入する進入量を大幅に低減することができるので、ロータリフィーダの搬送効率が向上し、確実にロータリフィーダ内部の現像剤を排出して容積効率を向上でき、現像剤収容部から現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に安定供給することができる。
【0015】
第2の解決手段の現像装置では、ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が現像剤搬送経路に合流する位置(合流部)の間に、該現像剤を保持し搬送するスクリュ搬送部を設けたことにより、現像剤排出孔から排出された現像剤がスクリュ搬送部にに溜まって、該スクリュ搬送部に現像剤が充満している状態、あるいは該スクリュ搬送部の少なくとも一部が現像剤で満たされている状態であると、空気供給源からの空気(エア)が、合流部からロータリフィーダに流れ込むのを防止することができ、空気供給源からの空気を無駄に消費することが無い。よって、空気供給源からの空気がロータリフィーダへ進入する進入量を大幅に低減することができるので、ロータリフィーダの搬送効率が向上し、確実にロータリフィーダ内部の現像剤を排出して容積効率を向上でき、現像剤収容部から現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に安定供給することができる。また、ロータリフィーダの現像剤排出孔から排出された現像剤は、現像剤搬送経路の合流部にスクリュにより搬送されるため、搬送量が安定化し、搬送量のばらつきを低減することができる。
【0016】
第3の解決手段の現像装置では、第2の解決手段の効果に加え、スクリュ搬送部のスクリュの回転によって搬送される現像剤の理論値の最大値である現像剤搬送能力は、ロータリフィーダの現像剤排出量より少なく設定することにより、スクリュによって搬送される現像剤は最大搬送能力(効率を100%としたときの搬送量)と等しくなり、すなわち、現像剤搬送経路が十分に充填された状態(現像剤で満たされている状態)になるため、確実に空気がロータリフィーダに流れ込むのを防止することができる。
【0017】
第4の解決手段の現像装置では、第2または第3の解決手段の効果に加え、スクリュ搬送部のスクリュは略水平に配置されており、該スクリュにより搬送された現像剤は、現像剤搬送経路の搬送路の略垂直に配置された部分で空気と合流するようにしたので、水平の空気搬送経路に現像剤を上方から合流させ空気で搬送する方式に対し、スクリュにより搬送された現像剤を現像剤搬送経路の搬送路の略垂直に配置された部分で空気と合流させた方が、現像剤を加速するために必要な圧力が少なくて済むため、空気による現像剤搬送の負荷を低減でき、省エネルギである。
【0018】
第5の解決手段の現像装置では、第2〜第4のいずれか一つの解決手段の効果に加え、スクリュ搬送部のロータリフィーダの現像剤排出部との合流点より上流側に、現像剤を排出する開口部を設けたので、メンテナンス等で現像剤を交換する際には、スクリュ搬送部のロータリフィーダの現像剤排出部との合流点より上流側に設けた開口部を開口させ、スクリュを通常と逆回転することにより、スクリュ搬送部内の現像剤を外部に排出することができ、循環経路に残る現像剤量を低減することができる。
【0019】
第6の解決手段の現像装置では、第4または第5の解決手段の効果に加え、現像剤搬送経路の現像剤と空気との合流部にフィルタを設置したので、フィルタにより、空気供給源(エアポンプ等)側に現像剤が進入するのを防止でき、空気供給源(エアポンプ等)の破損を防止することができる。
【0020】
第7の解決手段の現像装置では、第2〜第6のいずれか一つの解決手段の効果に加え、スクリュ搬送部のスクリュの径、及びスクリュ経路断面を、現像剤搬送方向下流側で小さくすることにより、スクリュ径、経路断面を小さくした部位では搬送能力が少なくなるため、現像剤が滞留し、シール効果がより向上するので、より確実に空気がロータリフィーダに流れ込むのを防止することができる。
【0021】
第8の解決手段の画像形成装置では、現像手段として第1〜7の解決手段のいずれか一つに記載の現像装置を備えたことにより、現像剤の循環、混合、攪拌、帯電の安定化が図れるため、画質や画像濃度の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示す現像装置の概略斜視図である。
【図2】図1に示す現像装置の現像部(現像器)の概略断面図である。
【図3】図1に示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
【図4】従来の現像剤保持部を設けていない現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
【図5】現像装置のロータリフィーダ、現像剤保持部(スクリュ搬送部)内の現像剤の様子の一例を示す概略要部断面図である。
【図6】本発明の別の実施例を示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
【図7】図3及び図6の現像装置で、現像剤を搬送しているときの、エア搬送経路内の圧力のグラフを示す図である。
【図8】図6に示す現像装置の合流部の構成例を示す概略要部断面図である。
【図9】本発明のさらに別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図10】本発明のさらに別の実施例を示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
【図11】本発明の一実施例を示す画像形成装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態について、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
[実施例1]
{現像剤循環方式の現像装置の説明}
図1は本発明の一実施例を示す現像装置の概略斜視図、図2は図1に示す現像装置の現像部(現像器)の概略断面図、図3は図1に示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
図1、図2に示すように、現像装置3の現像部10は、現像器を構成するケーシング15を有しており、ケーシング15の内部には螺旋状のフィンを有する2つの搬送スクリュ11,12と、現像ローラ13とが回転自在に設けられている。現像ローラ13は、回転する円筒状の現像スリーブと、その現像スリーブの内部に固定配置された複数の磁石(または複数の磁極が着磁されたマグネットローラ)で構成されている。
現像装置3のケーシング15の内部にはトナーとキャリアを混合した2成分現像剤が収納されており、この現像剤は搬送スクリュ11の回転により図2の手前側から奥側に向けて搬送され、この一部が現像ローラ13の内部に設けられた図示しない磁石によって現像ローラ13の表面に吸い上げられて吸着する。現像ローラ13の表面に吸着した現像剤はドクタブレード14によってその層厚が均一となるように均された後、潜像担持体である感光体ドラム2に接することで感光体ドラム2上に形成された静電潜像をトナーで現像して顕像化し、トナー像を形成する。
【0025】
現像後の現像剤は、搬送スクリュ12の端部に設けられた図示しない孔から循環路30を経由して現像剤収納部40の現像剤流入口43に搬送される。搬送スクリュ12の現像剤搬送方向最下流位置には図示しないトナー濃度検知手段が配設されており、このトナー濃度検知手段からの検知信号に基づいてトナーカートリッジ20からトナー補給が行われる。トナーカートリッジ20からのトナー補給は、モータ21によってトナー補給路22内に設けられた図示しない搬送部材(コイル、軸無しスクリュ等)を回転させることにより行われる。トナー補給は現像剤循環経路内において現像剤収納部40の直前の位置で行われ、現像剤収納部40では現像後の現像剤と補給されたトナーとが混合され、適切なトナー濃度及び帯電量を有する現像剤となる。
【0026】
図1、図3に示すように、現像剤収納部40内の現像剤は、現像剤収納部40の下部に配設された排出口と連通するロータリフィーダ50の現像剤流入孔(ステータ55の円筒状空間に連通する上部側の開口部)56を経由してロータリフィーダ50内に運ばれる。ロータリフィーダ50内に運ばれた現像剤は、ロータリフィーダ50を構成するステータ55内に設けられたロータ51がモータ53で回転されることにより下方へと運ばれ、ステータ55の現像剤排出孔(ステータ55の円筒状空間に連通する下部側の開口部)57から下方に排出され、現像剤保持部70に搬送されて保持される。ここで現像剤保持部70は、現像剤を一時的に滞留させて保持するためのものであり、円管状等の容器でもよいが、図3の例では、現像剤保持部内での現像剤の詰まりを防止するため、現像剤保持部内に搬送用のスクリュ71を設置したスクリュ搬送部としている。そして、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内に保持された現像剤は、スクリュ71により図中左側に移動し、搬送方向下流側の開口部72から現像剤搬送経路31の合流部35に排出される。なお、図1中の符号52はロータを駆動させるモータ、75はスクリュ71を駆動させるモータである。
【0027】
現像剤搬送経路31の合流部35には、空気供給源であるエアポンプ60が空気供給路31を介して連結されており、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70の開口部72から合流部35に排出された現像剤は、エアポンプ60から発生する空気(エア)の圧力により循環路となる現像剤搬送経路31内を現像部(現像器)10に移送され、再び現像部(現像器)10のケーシング15内に供給される。
【0028】
以上のように、本発明に係る現像装置3では、現像剤は、現像部(現像器)10→循環路30→現像剤収納部40→ロータリフィーダ50→現像剤保持部(スクリュ搬送部)70→合流部35→現像剤搬送経路(循環路)31→現像部(現像器)10と循環され、トナー補給は現像剤循環経路内において現像剤収納部40の直前の位置で行われ、現像剤収納部40では現像後の現像剤と補給されたトナーとが混合され、適切なトナー濃度及び帯電量を有する現像剤となるので、現像部(現像器)10では、常に適切なトナー濃度及び帯電量を有する現像剤による現像を行うことができる。
【0029】
{撹拌部(現像剤収容部)及びロータリフィーダの詳細説明}
次に現像剤収容部40とロータリフィーダ50についてより詳細に説明する。図3はロータリフィーダ50のロータ51の回転軸に対して垂直な平面で切断したときの現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す断面図であり、図3に示すように、現像剤収容部40内には、攪拌スクリュ41と、撹拌羽根42がある。撹拌羽根42はモータ45により回転する板状の部材で、図のように、複数の格子状の空間が設けられている。そして攪拌羽根42の回転により、この格子状の空間の中を現像剤が通過することにより、現像剤が撹拌され、補給されたトナーが現像剤中に分散される。攪拌スクリュ41は現像剤を上方に動かす向きに回転し、攪拌羽根42と同じくモータ45が駆動源である。この攪拌スクリュ41によって、中心付近の現像剤が上方に持ち上げられ、攪拌羽根42の回転により、攪拌スクリュ41の下部に現像剤が入り込む。このように現像剤が、攪拌羽根42によりせん断されつつ、全体は対流運動を行うことにより、より素早くトナーが現像剤中に分散する仕組みである。このようにして現像剤収容部40で撹拌された現像剤は、ステータ55の現像剤流入孔56を通りロータリフィーダ50内に入る。
【0030】
ロータリフィーダ50は、内部に円筒状の空間を有するステータ55と、該ステータの上部側に設けられた開口部であり現像剤収納部40からの現像剤が流入する現像剤流入孔56と、ステータ55の下部側に設けられた開口部であり現像剤が排出される現像剤排出孔57と、ステータ55の空間内に配置され軸部(回転軸)から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータ51を備えている。このロータリフィーダ50のロータ51は、図1に示すように、回転軸をステータ55の側壁に回転自在に軸支され、その回転軸の一方側がモータ52と連結されて、図3中ではモータ52によって回転軸を中心に時計回りに回転される。
【0031】
このように、ロータリフィーダ50は複数の羽を持つロータ51と、ロータを覆うステータ55から構成され、現像剤収納部40から自重によって落下してくる現像剤を下方に定量排出する役割と、現像剤収納部40と現像剤搬送経路31のエア合流部35の圧力差を維持するシール機能の役割がある。しかしながら、「発明の解決しようとする課題」で述べたとおり、ロータ51とステータ55には、わずかな隙間があるため、エアポンプ60のエアの一部がこの隙間を通り現像剤収納部40に流れ込んでしまう。このエアの漏れを防止するためには、ロータ51の羽根とステータ55の間の隙間(クリアランス)をできるだけ小さくすることが好ましいが、寸法精度を考慮すると限界がある。また、この方法では、ロータとステータの加工精度が要求され、コスト高となる。
また、別の方法としては、ロータ51の羽根の枚数を増やすことが考えられ、ロータ51の羽根の枚数を増やすことで、羽根とステータ55の近接部が増えるため、空気抵抗が増し、漏れを低減(シール性を高く)することができる。しかし、ロータ51の羽根の枚数を増やすと、羽根の厚みの分、ロータ51内の現像剤の充填量が減ってしまい、同じ量の現像剤を搬送するためには、ロータ51の外径を大きくする必要があり、ロータリフィーダ50が大型化するという問題がある。
【0032】
そこで本発明では、上記のような従来構成を用いずに、エアポンプ60からの空気がロータリフィーダ50へ進入する進入量を大幅に低減すると共に、確実にロータリフィーダ内部の現像剤を排出して容積効率を向上でき、現像剤収容部40から現像部10に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に安定供給することができる現像装置を実現するものであり、その解決手段として、ロータリフィーダ50の現像剤排出孔57と、該現像剤排出孔57から排出された現像剤が現像剤搬送経路31に合流する位置(合流部35)の間に、現像剤を保持する現像剤保持部70を設けている。なお、前述したように図3の例では、現像剤保持部70はスクリュ搬送部で構成されている。以下、現像剤保持部(スクリュ搬送部)についてより詳しく説明する。
【0033】
{現像剤保持部(スクリュ搬送部)の説明}
本発明の特徴は、ロータリフィーダ50と現像剤搬送経路31の合流部35の間に、現像剤保持部70を設けたことである。
ここで、図4に示すような現像剤保持部70を設けていない従来の合流部35のみの構成では、エアがロータリフィーダ部に流れ易いが、図3に示すように現像剤保持部(スクリュ搬送部)70を設けた場合には、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70には、現像剤排出孔57から排出された現像剤が現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内に溜まって、該現像剤保持部(スクリュ搬送部)70に現像剤が充満している状態、あるいは該現像剤保持部(スクリュ搬送部)70の少なくとも一部が現像剤で満たされている状態となるため、現像剤がシールの役割をもつことができるため、エアが合流部35からロータリフィーダ側に、流れにくくなっている。したがって、ロータリフィーダ50の現像剤排出孔57からの落下現像剤をエアが妨げることが無いため、排出現像剤量が安定化する。また、ロータリフィーダ側に漏れるエアを大幅に低減できるので、使用するエアの量も低減することができる。また、現像部10への搬送のみにエアを使用することができるため、ロータリフィーダ部への漏れを考慮して、過剰にエアポンプ60のエア流量を設定する必要が無くなる。
【0034】
なお、図3の例では、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内には、スクリュ71が設置されており、スクリュ71の回転により、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内に保持されている現像剤を図中左方向に搬送し、搬送方向下流側に設けた開口部72から、現像剤搬送経路(循環路)31との合流部35に現像剤を落下させている。このようにスクリュ71を用いることで現像剤搬送量が安定化し、搬送量のばらつきを低減することができので、循環現像剤量の定量性も保たれている。
【0035】
次に現像剤保持部(スクリュ搬送部)70のスクリュ71の設定値について説明する。
図のようなスクリュ71によって現像剤を搬送する場合、現像剤の搬送能力(最大搬送能力)は、スクリュ71の断面積、羽のピッチ、回転数によって決まる。断面積はスクリュの軸及び、羽(スパイラル)の断面積を除いた面積である。
断面積をA(cm2)、ピッチをP(cm)、回転数をN(rpm)、効率をα、現像剤のかさ密度をρ(g/cm3)とすると、搬送量能力M1(g/s)は、
M1=ρ×α×A×(P×N/60) (1)
で表される。
【0036】
上記の式(1)で効率αを1としたときが、スクリュ71の最大搬送能力である。ここでロータリフィーダ50の現像剤排出量をM2としたとき、M1<M2となるように、スクリュ71及びロータリフィーダ50のパラメータを設定することが本発明の特徴である。ロータリフィーダ50の現像剤排出量はロータ51の大きさ、回転数等で設定可能である。このように設定すると、ロータリフィーダ50の現像剤排出量に比べスクリュ71の現像剤搬送能力が低いため、スクリュ71は常に効率1、すなわち現像剤保持部70が完全に充填された状態(現像剤で満たされている状態)で搬送されることになるため、エアの漏れを確実に防止することが可能となる。
【0037】
ここで、図5にロータリフィーダ50、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内の現像剤の様子の一例を示す。図示の様に現像剤保持部(スクリュ搬送部)70が現像剤でほぼ満たされているため、合流部35からエアがロータリフィーダ50に進入するのを防止している。なお、ロータリフィーダ50の現像剤排出量が、スクリュ71の現像剤搬送量より多い場合は、図示のように現像剤の一部が現像剤保持部(スクリュ搬送部)70に落下せず、ロータ51の回転によって上部に戻される。
【0038】
[実施例2]
次に本発明に係る現像装置の別の実施例について説明する。
図6は本発明の別の実施例を示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
本実施例の現像装置の基本的な構成は実施例1と同様であるが、本実施例では、現像剤保持部(ここではスクリュ搬送部とする)70のスクリュ71は略水平に配置されており、該スクリュ71により搬送された現像剤が、現像剤搬送経路31の搬送路の略垂直に配置された部分でエアポンプ60からのエアと合流するように合流部35を設けたものである。
【0039】
スクリュ搬送部70から合流部35に現像剤を搬送し、エアと混合し現像剤を搬送する場合、図3のように現像剤のスクリュ搬送部70からの落下が垂直方向でエアの方向が水平である場合に比べ、図6のように現像剤の落下方向に対しエアの方向も垂直にすると、現像剤を加速するために必要な圧力が低くなることが分かった。図7に、図3及び図6の現像装置で、現像剤を搬送しているときの、エア搬送経路内の圧力のグラフを示す。圧力の測定は、現像剤搬送経路31に圧力計を取り付け測定した。
【0040】
図6の装置のように、スクリュ71により搬送された現像剤を現像剤搬送経路31の搬送路の略垂直に配置された部分でエアと合流させた方が、現像剤を加速するために必要なエアの圧力が少なくて済むため、エアによる現像剤搬送の負荷を低減でき、省エネルギである。
【0041】
次に図8は、図6のように、スクリュ搬送部70のスクリュ71は略水平に配置されており、該スクリュ71により搬送された現像剤が、現像剤搬送経路31の搬送路の略垂直に配置された部分でエアポンプ60からのエアと合流するように合流部35を設けた場合の、現像装置の合流部の構成例を示す概略要部断面図である。
【0042】
図6のように、スクリュ71により搬送された現像剤を、現像剤搬送経路31の搬送路の略垂直に配置された部分の合流部35でエアと合流させる場合、装置が停止し、エアポンプ60が停止すると、垂直部の搬送経路内の現像剤が自重により合流部35に落下するため、空気供給路31を通ってエアポンプ60に現像剤が進入し易い。
そこで図8の構成例では、合流部35内に、エアは通過し、現像剤の通過を遮断する部材44を設けたものである。このエアは通過し、現像剤の通過を遮断する部材44としては、一般的なエアフィルタや、現像剤の粒径より小さい樹脂又は金属製のメッシュからなるフィルタでも良い。この遮断部材(フィルタ)により、現像剤はエアポンプ側に進入しないため、エアポンプ内に現像剤が進入し、エアポンプを破損させることがない。
【0043】
[実施例3]
次に本発明に係る現像装置のさらに別の実施例について説明する。
図9は本発明のさらに別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。本実施例では、図6と同様の構成の現像装置の、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70の上流側端部の底に、蓋74により開閉可能な開口部(孔)73を設けたものである。
この現像剤保持部(スクリュ搬送部)70に設けた開口部(孔)73は、長期にわたり現像装置が使用され、現像剤が劣化した場合に、現像剤の交換がし易いように設けたものであり、現像剤を交換する際に現像剤を排出するための開口部である。
【0044】
このように、本実施例では、スクリュ搬送部70のロータリフィーダ50の現像剤排出部57との合流点より上流側に、現像剤を排出する開口部(孔)73を設けたので、メンテナンス等で現像剤を交換する際には、スクリュ搬送部70のロータリフィーダ50の現像剤排出部57との合流点より上流側に設けた開口部(孔)73の蓋74を外して開口させ、スクリュ71を通常と逆回転させる(現像剤を図の右方向に移動させる)ことにより、スクリュ搬送部内に保持されている現像剤を外部に排出することができ、ロータリフィーダ内部や現像剤収納部40に残った現像剤も排出することができる。
【0045】
[実施例4]
次に本発明に係る現像装置のさらに別の実施例について説明する。
図10は本発明のさらに別の実施例を示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
本実施例の現像装置の基本的な構成は図6と同様であるが、本実施例では、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70のスクリュ71の外径、及びスクリュ経路断面(断面積)を、現像剤搬送方向下流側で小さくするように設定している。
すなわち、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70のスクリュ71の現像剤搬送方向下流側(図の左側)のスクリュ部71aのスクリュ径(外径)は、上流側のスクリュ部のスクリュ径(外径)より小さく、現像剤搬送方向下流側(図の左側)のスクリュ経路77の断面積も、上流側のスクリュ経路76の断面積より小さい。したがって下流側のスクリュ部71aの現像剤搬送能力は、前述の式(1)から上流側のスクリュ部より少ない。よって、現像剤搬送方向上流側のスクリュ経路76を搬送されてきた現像剤は、下流側のスクリュ部71aの搬送能力が低いため、一部が下流側のスクリュ経路77に進入できずに滞留することになる。そして、この滞留する現像剤が下流側のスクリュ経路77に充満し、エアの進入を防ぐ効果をより確実にするものである。
【0046】
このように、本実施例の現像装置では、スクリュ搬送部70のスクリュ71の径、及びスクリュ経路断面(断面積)を、現像剤搬送方向下流側で小さくしたことにより、スクリュ径、経路断面を小さくした下流側の部位では搬送能力が少なくなるため、現像剤が滞留し、下流側のスクリュ経路77に現像剤が充満してシール効果がより向上するので、より確実にエアがロータリフィーダ50に流れ込むのを防止することができる。
【0047】
[実施例5]
次に以上に説明した本発明の現像装置3を装備する画像形成装置の構成例について説明する。
図11は、本発明の一実施例を示す画像形成装置の概略構成図である。同図において画像形成装置100は、装置本体のほぼ中央部に中間転写ベルト4と4個の1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkとを有する中間転写ユニット6を備えている。中間転写ベルト4の下面と対向する位置には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色に対応した作像部1Y,1M,1C,1Bkが中間転写ベルト4の走行方向と平行して配置されている。各作像部1Y,1M,1C,1Bkは作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外は同一構造であり、それぞれ潜像担持体としての感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkと、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの周囲に配設された図示しない帯電手段、図示しない露光部、現像装置3Y,3M,3C,3Bk、図示しないクリーニング手段等を有している。
なお、図11は画像形成装置本体の上部に原稿画像の読取部(スキャナ)80を設置したカラー複写機の構成例であるが、さらに通信機能を持たせて外部回線(電話回線、光回線)やローカルエリアネットワーク(LAN)等と接続すれば、複写機、プリンタ、ファクシミリの機能を有するデジタルカラー複合機の構成となる。
【0048】
図11において、各作像部1Y,1M,1C,1Bkの感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkは図示しない駆動部によって図において時計回り方向に回転駆動され、図示しない帯電手段により表面を一様に帯電された後に、図示しない露光部から発せられたレーザ光等によって露光されることにより、装置本体の上部に設けられた画像読取部80において読み取られた原稿画像(あるいは外部回線やLAN等を介して入力された画像情報)に基づいた静電潜像がその表面上に形成される。各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bk形成された静電潜像は各現像装置3Y,3M,3C,3Bk(図1の現像装置3の現像部10)により現像されることにより所望のトナー像へと可視像化され、このトナー像は各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの表面が中間転写ベルト4を介して各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkとの対向部に達した際に、各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkの作用によって中間転写ベルト4上に順次1次転写される。
【0049】
各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkは、それぞれ中間転写ベルト4を各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成しており、各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkにはトナーとは逆極性の転写バイアスが印加される。中間転写ベルト4が図11の矢印方向に走行して各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkの1次転写ニップを順次通過することにより、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bk上の各色のトナー像が中間転写ベルト3上に重ねて1次転写される。1次転写後、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの表面が図示しないクリーニング手段との対向位置に達すると、クリーニング手段の作用により各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの表面上に残存した未転写トナーが回収される。クリーニング後、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの表面は図示しない除電装置により電位を初期化され、一連の作像プロセスが終了する。
【0050】
装置本体2の下部には給紙部90が配設されており、給紙部90には記録媒体で有る複数枚の転写紙Pが収納されている。この転写紙Pは、上記の作像プロセスの開始にタイミングを合せて、給紙ローラ91と図示しない分離部材(分離ローラ、分離パッド等)により1枚ずつ分離給送され、給送された転写紙Pはレジストローラ対92で一時停止され、斜めずれを修正された後に所定のタイミングで2次転写ニップに向けて給送される。
また、上記の作像プロセスで各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト4は、2次転写ローラ93との対向位置である2次転写ニップに到達する。そして中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップ位置に搬送された転写紙P上に転写される。
【0051】
2次転写ニップ位置においてカラー画像を転写された転写紙Pは定着装置94へと搬送され、定着装置94の加熱ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより転写紙表面に転写されたカラー画像が定着される。定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対95により装置本体上面に形成された排紙部96へと排出され積載される。このようにして画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0052】
なお、以上の実施例では、画像形成装置としてカラー複写機(またはカラー複合機)を例に挙げて説明したが、前述の本発明の現像装置3は、作像部が一つのみのモノクロ画像形成装置に適用することができることは言うまでもない。
【0053】
本発明の画像形成装置では、現像手段として前述の実施例1〜4で説明した構成の現像装置3を備えたことにより、現像剤の循環、混合、攪拌、帯電の安定化が図れるため、画質や画像濃度の安定化を図ることができる。
【符号の説明】
【0054】
1Y,1M,1C,1Bk:作像部
2(2Y,2M,2C,2Bk):感光体ドラム(潜像担持体)
3(3Y,3M,3C,3Bk):現像装置
4:中間転写ベルト
5Y,5M,5C,5Bk:1次転写ローラ
6:中間転写ユニット
10:現像部(現像器)
11,12:搬送スクリュ
13:現像ローラ
14:ドクタブレード
15:ケーシング
20:トナーカートリッジ
21:モータ
22:トナー補給路
30:循環路
31:現像剤搬送経路(循環路)
33:空気供給路
35:合流部
40:現像剤収容部
41:攪拌スクリュ
42:撹拌羽根
43:現像剤流入口
45:モータ
50:ロータリフィーダ
51:ロータ
52:モータ
55:ステータ
56:現像剤流入孔
57:現像剤排出孔
60:エアポンプ(空気供給源)
70:現像剤保持部(スクリュ搬送部)
71:スクリュ
72:現像剤保持部(スクリュ搬送部)の搬送方向下流側の開口部
73:現像剤保持部(スクリュ搬送部)の搬送方向上流側端部の開口部(孔)
74:蓋
80:画像読取部
90:給紙部
91:給紙ローラ
92:レジストローラ対
93:2次転写ローラ
94:定着装置
95:排紙ローラ対
96:排紙部
100:画像形成装置
P:転写紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特許第3734096号公報
【特許文献2】特許第3349286号公報
【特許文献3】特開平11−143196号公報
【特許文献4】特開2007−193301号公報
【特許文献5】特開2008−299217号公報
【特許文献6】特開2008−3561号公報
【特許文献7】特開2009−103751号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いた現像装置と、その現像装置を備えた複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体等の潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するための現像装置を備えており、この現像装置は、例えばトナーとキャリアから成る二成分現像剤を用いて、潜像担持体上の静電潜像を現像剤のトナーで現像して可視化する装置である。
このような二成分現像剤を用いた現像装置では、現像領域で現像処理を終了してトナーが消費された現像剤は回収され、トナーホッパーやトナーカトリッジ等から補給されるトナーと混合、撹拌され、再び現像に供される。また、このような構成の現像装置に用いられる現像剤は、安定したトナー画像を得るために、一定のトナー濃度と帯電量を維持する必要がある。トナー濃度は現像で消費したトナーと補給トナー量により調整され、帯電量はキャリアとトナーとの混合時の摩擦帯電により付与される。そして現像装置は、トナーとキャリアから成る二成分現像剤の撹拌を充分に行い、トナー濃度分布を均一化するとともに、トナーに帯電を付与し、トナー画像の安定化を行っている。
【0003】
一般的な現像装置では、補給されたトナーが現像剤担持体である現像ローラ(現像スリーブ)に汲み上げられるまでの僅かな時間の間に、2本の現像剤混合攪拌部材(例えばスクリュ)の回転による撹拌効果を利用してトナーの分散及び帯電付与を行っているため、特にトナーの収支が多い場合には補給されたトナーが十分に分散することなく現像ローラに汲み上げられてしまい、地汚れやトナー飛散が発生してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、現像部から離れた位置に別途撹拌部を設けると共に、現像部と撹拌部とを現像剤循環手段によって接続し、撹拌部で現像剤の状態に応じた撹拌を行うことでトナー濃度及び帯電量を適切に調整した後に、現像剤を現像部に供給する現像装置が提案されている(例えば、特許文献1(特許第3734096号公報)、特許文献2(特許第3349286号公報)及び特許文献3(特開平11−143196号公報))。
また、本発明者らは先に、上記と同様の構成で、より撹拌性能の優れた撹拌システムを用いた現像装置を提案している(特許文献4(特開2007−193301号公報)、特許文献5(特開2008−299217号公報)、特許文献6(特開2008−3561号公報)、特許文献7(特開2009−103751号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の先行技術のような、空気(エア)を利用して現像剤を循環させる現像装置においては以下のような課題がある。
現像剤を空気を利用して管内を連続的に搬送する場合、現像装置の主な構成は、現像部、現像剤収納部、現像剤供給部、現像剤循環手段(輸送管、空気供給源)である。この構成では空気の圧力(正圧)と流速とを利用して現像剤を搬送するため、空気搬送元と搬送先(大気圧)との間には差圧が発生する。また、この現像装置は、現像部に送られた現像剤が、現像部から現像剤収納部に回収され、再び搬送される(循環している)ため、現像剤収納部も大気圧である。
従って、現像剤を現像部へ搬送するためには、現像剤供給部と現像剤収納部をシールし、空気供給源の空気が現像剤収容部に洩れないようにする必要がある。空気が洩れると、現像剤を搬送するための圧力が低下して搬送量が十分確保できない。また、空気が現像剤収納部に逆流する(現像剤収容部に圧力がかかる)と、現像剤収容部から現像剤供給部に入る現像剤が逆流する空気によって妨げられ、排出量の低下や、ばらつきが発生する。また、現像剤収納部が流入する空気によって内圧が上昇し、現像部から回収する現像剤の流入を妨げる恐れもある。
【0006】
現像剤供給部を構成する供給装置として一般的に用いられるものに、ロータリフィーダがある。ロータリフィーダは、回転する複数の羽根を持ったロータと、ロータを覆うステータからなり、定量性、制御性に優れた機構であるが、シール性が不足すると上述した空気の逆流が発生する。シール性を確保する方法として、ロータの羽根を弾性体としてステータとの間で食い込みを持たせる方法があるが、経時の劣化(ロータ及びステータの削れ等)が顕著となり実用的ではない。特に、現像剤を構成するキャリアは鉄やフェライトであるため、硬度が高いことからこの方法により耐久性を得ることは困難である。
【0007】
そこで、この課題を解決する方法として、本発明者らは、特許文献5において、ロータととステータの間の隙間(クリアランス)を適正化することで空気の逆流を防止する方法を提案している。しかし、この方法ではロータとステータの加工精度が要求され、コスト高となる。
【0008】
また、本発明者らは、特許文献7において、ロータリフィーダのシール性を向上させる手段として、故意に現像剤の一部を排出しないで、ロータとステータのクリアランス部に現像剤を滞留させる方法を提案している。しかし、この方法では、現像剤の一部を排出しないため、ロータリフィーダの容積効率が低下するという課題(副作用)がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、空気供給源(エアポンプ等)からの空気がロータリフィーダへ進入する進入量を大幅に低減すると共に、確実にロータリフィーダ内部の現像剤を排出して容積効率を向上でき、現像剤収容部から現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に安定供給することができる現像装置を提供することを目的とし、さらには、その現像装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の解決手段は、潜像担持体上の潜像を現像する現像部と、前記現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像剤収納部の下方に設けられ該現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダと、前記ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して前記現像部に移送する現像剤搬送経路とを備えた現像装置において、前記ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータと、該ステータの上部側に設けられ前記現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔と、前記ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔と、前記ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータを備え、前記ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が前記現像剤搬送経路に合流する位置(合流部)の間に、該現像剤を保持する現像剤保持部を設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0011】
本発明の第2の解決手段は、潜像担持体上の潜像を現像する現像部と、前記現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像剤収納部の下方に設けられ該現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダと、前記ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して前記現像部に移送する現像剤搬送経路とを備えた現像装置において、前記ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータと、該ステータの上部側に設けられ前記現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔と、前記ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔と、前記ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータを備え、前記ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が前記現像剤搬送経路に合流する位置(合流部)の間に、該現像剤を保持し搬送するスクリュ搬送部を設けたことを特徴とする(請求項2)。
【0012】
本発明の第3の解決手段は、第2の解決手段の現像装置において、前記スクリュ搬送部のスクリュの回転によって搬送される現像剤の理論値の最大値である現像剤搬送能力は、前記ロータリフィーダの現像剤排出量より少なく設定することを特徴とする(請求項3)。
また本発明の第4の解決手段は、第2または第3の解決手段の現像装置において、前記スクリュ搬送部のスクリュは略水平に配置されており、該スクリュにより搬送された現像剤は、前記現像剤搬送経路の搬送路の略垂直に配置された部分で前記空気と合流することを特徴とする。
さらに本発明の第5の解決手段は、第2〜第4のいずれか一つの解決手段の現像装置において、前記スクリュ搬送部の前記ロータリフィーダの現像剤排出部との合流点より上流側に、現像剤を排出する開口部を設けたことを特徴とする(請求項5)。
さらに本発明の第6の解決手段は、第4または第5の解決手段の現像装置において、前記現像剤搬送経路の現像剤と空気との合流部に、フィルタを設置することを特徴とする(請求項6)。
さらに本発明の第7の解決手段は、第2〜第6のいずれか一つの解決手段の現像装置において、前記スクリュ搬送部のスクリュの径、及びスクリュ経路断面を、現像剤搬送方向下流側で小さくすることを特徴とする(請求項7)。
【0013】
本発明の第8の解決手段は、潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像して可視化する現像手段を備えた画像形成装置であって、前記現像手段として第1〜第7のいずれか一つの解決手段の現像装置を備えたことを特徴とする(請求項8)。
【発明の効果】
【0014】
第1の解決手段の現像装置では、ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が現像剤搬送経路に合流する位置(合流部)の間に、該現像剤を保持する現像剤保持部を設けたことにより、現像剤排出孔から排出された現像剤が現像剤保持部に溜まって、該現像剤保持部に現像剤が充満している状態、あるいは該現像剤保持部の少なくとも一部が現像剤で満たされている状態であると、空気供給源からの空気(エア)が、合流部からロータリフィーダに流れ込むのを防止することができ、空気供給源からの空気を無駄に消費することが無い。よって、空気供給源からの空気がロータリフィーダへ進入する進入量を大幅に低減することができるので、ロータリフィーダの搬送効率が向上し、確実にロータリフィーダ内部の現像剤を排出して容積効率を向上でき、現像剤収容部から現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に安定供給することができる。
【0015】
第2の解決手段の現像装置では、ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が現像剤搬送経路に合流する位置(合流部)の間に、該現像剤を保持し搬送するスクリュ搬送部を設けたことにより、現像剤排出孔から排出された現像剤がスクリュ搬送部にに溜まって、該スクリュ搬送部に現像剤が充満している状態、あるいは該スクリュ搬送部の少なくとも一部が現像剤で満たされている状態であると、空気供給源からの空気(エア)が、合流部からロータリフィーダに流れ込むのを防止することができ、空気供給源からの空気を無駄に消費することが無い。よって、空気供給源からの空気がロータリフィーダへ進入する進入量を大幅に低減することができるので、ロータリフィーダの搬送効率が向上し、確実にロータリフィーダ内部の現像剤を排出して容積効率を向上でき、現像剤収容部から現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に安定供給することができる。また、ロータリフィーダの現像剤排出孔から排出された現像剤は、現像剤搬送経路の合流部にスクリュにより搬送されるため、搬送量が安定化し、搬送量のばらつきを低減することができる。
【0016】
第3の解決手段の現像装置では、第2の解決手段の効果に加え、スクリュ搬送部のスクリュの回転によって搬送される現像剤の理論値の最大値である現像剤搬送能力は、ロータリフィーダの現像剤排出量より少なく設定することにより、スクリュによって搬送される現像剤は最大搬送能力(効率を100%としたときの搬送量)と等しくなり、すなわち、現像剤搬送経路が十分に充填された状態(現像剤で満たされている状態)になるため、確実に空気がロータリフィーダに流れ込むのを防止することができる。
【0017】
第4の解決手段の現像装置では、第2または第3の解決手段の効果に加え、スクリュ搬送部のスクリュは略水平に配置されており、該スクリュにより搬送された現像剤は、現像剤搬送経路の搬送路の略垂直に配置された部分で空気と合流するようにしたので、水平の空気搬送経路に現像剤を上方から合流させ空気で搬送する方式に対し、スクリュにより搬送された現像剤を現像剤搬送経路の搬送路の略垂直に配置された部分で空気と合流させた方が、現像剤を加速するために必要な圧力が少なくて済むため、空気による現像剤搬送の負荷を低減でき、省エネルギである。
【0018】
第5の解決手段の現像装置では、第2〜第4のいずれか一つの解決手段の効果に加え、スクリュ搬送部のロータリフィーダの現像剤排出部との合流点より上流側に、現像剤を排出する開口部を設けたので、メンテナンス等で現像剤を交換する際には、スクリュ搬送部のロータリフィーダの現像剤排出部との合流点より上流側に設けた開口部を開口させ、スクリュを通常と逆回転することにより、スクリュ搬送部内の現像剤を外部に排出することができ、循環経路に残る現像剤量を低減することができる。
【0019】
第6の解決手段の現像装置では、第4または第5の解決手段の効果に加え、現像剤搬送経路の現像剤と空気との合流部にフィルタを設置したので、フィルタにより、空気供給源(エアポンプ等)側に現像剤が進入するのを防止でき、空気供給源(エアポンプ等)の破損を防止することができる。
【0020】
第7の解決手段の現像装置では、第2〜第6のいずれか一つの解決手段の効果に加え、スクリュ搬送部のスクリュの径、及びスクリュ経路断面を、現像剤搬送方向下流側で小さくすることにより、スクリュ径、経路断面を小さくした部位では搬送能力が少なくなるため、現像剤が滞留し、シール効果がより向上するので、より確実に空気がロータリフィーダに流れ込むのを防止することができる。
【0021】
第8の解決手段の画像形成装置では、現像手段として第1〜7の解決手段のいずれか一つに記載の現像装置を備えたことにより、現像剤の循環、混合、攪拌、帯電の安定化が図れるため、画質や画像濃度の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示す現像装置の概略斜視図である。
【図2】図1に示す現像装置の現像部(現像器)の概略断面図である。
【図3】図1に示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
【図4】従来の現像剤保持部を設けていない現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
【図5】現像装置のロータリフィーダ、現像剤保持部(スクリュ搬送部)内の現像剤の様子の一例を示す概略要部断面図である。
【図6】本発明の別の実施例を示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
【図7】図3及び図6の現像装置で、現像剤を搬送しているときの、エア搬送経路内の圧力のグラフを示す図である。
【図8】図6に示す現像装置の合流部の構成例を示す概略要部断面図である。
【図9】本発明のさらに別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図10】本発明のさらに別の実施例を示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
【図11】本発明の一実施例を示す画像形成装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態について、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
[実施例1]
{現像剤循環方式の現像装置の説明}
図1は本発明の一実施例を示す現像装置の概略斜視図、図2は図1に示す現像装置の現像部(現像器)の概略断面図、図3は図1に示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
図1、図2に示すように、現像装置3の現像部10は、現像器を構成するケーシング15を有しており、ケーシング15の内部には螺旋状のフィンを有する2つの搬送スクリュ11,12と、現像ローラ13とが回転自在に設けられている。現像ローラ13は、回転する円筒状の現像スリーブと、その現像スリーブの内部に固定配置された複数の磁石(または複数の磁極が着磁されたマグネットローラ)で構成されている。
現像装置3のケーシング15の内部にはトナーとキャリアを混合した2成分現像剤が収納されており、この現像剤は搬送スクリュ11の回転により図2の手前側から奥側に向けて搬送され、この一部が現像ローラ13の内部に設けられた図示しない磁石によって現像ローラ13の表面に吸い上げられて吸着する。現像ローラ13の表面に吸着した現像剤はドクタブレード14によってその層厚が均一となるように均された後、潜像担持体である感光体ドラム2に接することで感光体ドラム2上に形成された静電潜像をトナーで現像して顕像化し、トナー像を形成する。
【0025】
現像後の現像剤は、搬送スクリュ12の端部に設けられた図示しない孔から循環路30を経由して現像剤収納部40の現像剤流入口43に搬送される。搬送スクリュ12の現像剤搬送方向最下流位置には図示しないトナー濃度検知手段が配設されており、このトナー濃度検知手段からの検知信号に基づいてトナーカートリッジ20からトナー補給が行われる。トナーカートリッジ20からのトナー補給は、モータ21によってトナー補給路22内に設けられた図示しない搬送部材(コイル、軸無しスクリュ等)を回転させることにより行われる。トナー補給は現像剤循環経路内において現像剤収納部40の直前の位置で行われ、現像剤収納部40では現像後の現像剤と補給されたトナーとが混合され、適切なトナー濃度及び帯電量を有する現像剤となる。
【0026】
図1、図3に示すように、現像剤収納部40内の現像剤は、現像剤収納部40の下部に配設された排出口と連通するロータリフィーダ50の現像剤流入孔(ステータ55の円筒状空間に連通する上部側の開口部)56を経由してロータリフィーダ50内に運ばれる。ロータリフィーダ50内に運ばれた現像剤は、ロータリフィーダ50を構成するステータ55内に設けられたロータ51がモータ53で回転されることにより下方へと運ばれ、ステータ55の現像剤排出孔(ステータ55の円筒状空間に連通する下部側の開口部)57から下方に排出され、現像剤保持部70に搬送されて保持される。ここで現像剤保持部70は、現像剤を一時的に滞留させて保持するためのものであり、円管状等の容器でもよいが、図3の例では、現像剤保持部内での現像剤の詰まりを防止するため、現像剤保持部内に搬送用のスクリュ71を設置したスクリュ搬送部としている。そして、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内に保持された現像剤は、スクリュ71により図中左側に移動し、搬送方向下流側の開口部72から現像剤搬送経路31の合流部35に排出される。なお、図1中の符号52はロータを駆動させるモータ、75はスクリュ71を駆動させるモータである。
【0027】
現像剤搬送経路31の合流部35には、空気供給源であるエアポンプ60が空気供給路31を介して連結されており、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70の開口部72から合流部35に排出された現像剤は、エアポンプ60から発生する空気(エア)の圧力により循環路となる現像剤搬送経路31内を現像部(現像器)10に移送され、再び現像部(現像器)10のケーシング15内に供給される。
【0028】
以上のように、本発明に係る現像装置3では、現像剤は、現像部(現像器)10→循環路30→現像剤収納部40→ロータリフィーダ50→現像剤保持部(スクリュ搬送部)70→合流部35→現像剤搬送経路(循環路)31→現像部(現像器)10と循環され、トナー補給は現像剤循環経路内において現像剤収納部40の直前の位置で行われ、現像剤収納部40では現像後の現像剤と補給されたトナーとが混合され、適切なトナー濃度及び帯電量を有する現像剤となるので、現像部(現像器)10では、常に適切なトナー濃度及び帯電量を有する現像剤による現像を行うことができる。
【0029】
{撹拌部(現像剤収容部)及びロータリフィーダの詳細説明}
次に現像剤収容部40とロータリフィーダ50についてより詳細に説明する。図3はロータリフィーダ50のロータ51の回転軸に対して垂直な平面で切断したときの現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す断面図であり、図3に示すように、現像剤収容部40内には、攪拌スクリュ41と、撹拌羽根42がある。撹拌羽根42はモータ45により回転する板状の部材で、図のように、複数の格子状の空間が設けられている。そして攪拌羽根42の回転により、この格子状の空間の中を現像剤が通過することにより、現像剤が撹拌され、補給されたトナーが現像剤中に分散される。攪拌スクリュ41は現像剤を上方に動かす向きに回転し、攪拌羽根42と同じくモータ45が駆動源である。この攪拌スクリュ41によって、中心付近の現像剤が上方に持ち上げられ、攪拌羽根42の回転により、攪拌スクリュ41の下部に現像剤が入り込む。このように現像剤が、攪拌羽根42によりせん断されつつ、全体は対流運動を行うことにより、より素早くトナーが現像剤中に分散する仕組みである。このようにして現像剤収容部40で撹拌された現像剤は、ステータ55の現像剤流入孔56を通りロータリフィーダ50内に入る。
【0030】
ロータリフィーダ50は、内部に円筒状の空間を有するステータ55と、該ステータの上部側に設けられた開口部であり現像剤収納部40からの現像剤が流入する現像剤流入孔56と、ステータ55の下部側に設けられた開口部であり現像剤が排出される現像剤排出孔57と、ステータ55の空間内に配置され軸部(回転軸)から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータ51を備えている。このロータリフィーダ50のロータ51は、図1に示すように、回転軸をステータ55の側壁に回転自在に軸支され、その回転軸の一方側がモータ52と連結されて、図3中ではモータ52によって回転軸を中心に時計回りに回転される。
【0031】
このように、ロータリフィーダ50は複数の羽を持つロータ51と、ロータを覆うステータ55から構成され、現像剤収納部40から自重によって落下してくる現像剤を下方に定量排出する役割と、現像剤収納部40と現像剤搬送経路31のエア合流部35の圧力差を維持するシール機能の役割がある。しかしながら、「発明の解決しようとする課題」で述べたとおり、ロータ51とステータ55には、わずかな隙間があるため、エアポンプ60のエアの一部がこの隙間を通り現像剤収納部40に流れ込んでしまう。このエアの漏れを防止するためには、ロータ51の羽根とステータ55の間の隙間(クリアランス)をできるだけ小さくすることが好ましいが、寸法精度を考慮すると限界がある。また、この方法では、ロータとステータの加工精度が要求され、コスト高となる。
また、別の方法としては、ロータ51の羽根の枚数を増やすことが考えられ、ロータ51の羽根の枚数を増やすことで、羽根とステータ55の近接部が増えるため、空気抵抗が増し、漏れを低減(シール性を高く)することができる。しかし、ロータ51の羽根の枚数を増やすと、羽根の厚みの分、ロータ51内の現像剤の充填量が減ってしまい、同じ量の現像剤を搬送するためには、ロータ51の外径を大きくする必要があり、ロータリフィーダ50が大型化するという問題がある。
【0032】
そこで本発明では、上記のような従来構成を用いずに、エアポンプ60からの空気がロータリフィーダ50へ進入する進入量を大幅に低減すると共に、確実にロータリフィーダ内部の現像剤を排出して容積効率を向上でき、現像剤収容部40から現像部10に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に安定供給することができる現像装置を実現するものであり、その解決手段として、ロータリフィーダ50の現像剤排出孔57と、該現像剤排出孔57から排出された現像剤が現像剤搬送経路31に合流する位置(合流部35)の間に、現像剤を保持する現像剤保持部70を設けている。なお、前述したように図3の例では、現像剤保持部70はスクリュ搬送部で構成されている。以下、現像剤保持部(スクリュ搬送部)についてより詳しく説明する。
【0033】
{現像剤保持部(スクリュ搬送部)の説明}
本発明の特徴は、ロータリフィーダ50と現像剤搬送経路31の合流部35の間に、現像剤保持部70を設けたことである。
ここで、図4に示すような現像剤保持部70を設けていない従来の合流部35のみの構成では、エアがロータリフィーダ部に流れ易いが、図3に示すように現像剤保持部(スクリュ搬送部)70を設けた場合には、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70には、現像剤排出孔57から排出された現像剤が現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内に溜まって、該現像剤保持部(スクリュ搬送部)70に現像剤が充満している状態、あるいは該現像剤保持部(スクリュ搬送部)70の少なくとも一部が現像剤で満たされている状態となるため、現像剤がシールの役割をもつことができるため、エアが合流部35からロータリフィーダ側に、流れにくくなっている。したがって、ロータリフィーダ50の現像剤排出孔57からの落下現像剤をエアが妨げることが無いため、排出現像剤量が安定化する。また、ロータリフィーダ側に漏れるエアを大幅に低減できるので、使用するエアの量も低減することができる。また、現像部10への搬送のみにエアを使用することができるため、ロータリフィーダ部への漏れを考慮して、過剰にエアポンプ60のエア流量を設定する必要が無くなる。
【0034】
なお、図3の例では、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内には、スクリュ71が設置されており、スクリュ71の回転により、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内に保持されている現像剤を図中左方向に搬送し、搬送方向下流側に設けた開口部72から、現像剤搬送経路(循環路)31との合流部35に現像剤を落下させている。このようにスクリュ71を用いることで現像剤搬送量が安定化し、搬送量のばらつきを低減することができので、循環現像剤量の定量性も保たれている。
【0035】
次に現像剤保持部(スクリュ搬送部)70のスクリュ71の設定値について説明する。
図のようなスクリュ71によって現像剤を搬送する場合、現像剤の搬送能力(最大搬送能力)は、スクリュ71の断面積、羽のピッチ、回転数によって決まる。断面積はスクリュの軸及び、羽(スパイラル)の断面積を除いた面積である。
断面積をA(cm2)、ピッチをP(cm)、回転数をN(rpm)、効率をα、現像剤のかさ密度をρ(g/cm3)とすると、搬送量能力M1(g/s)は、
M1=ρ×α×A×(P×N/60) (1)
で表される。
【0036】
上記の式(1)で効率αを1としたときが、スクリュ71の最大搬送能力である。ここでロータリフィーダ50の現像剤排出量をM2としたとき、M1<M2となるように、スクリュ71及びロータリフィーダ50のパラメータを設定することが本発明の特徴である。ロータリフィーダ50の現像剤排出量はロータ51の大きさ、回転数等で設定可能である。このように設定すると、ロータリフィーダ50の現像剤排出量に比べスクリュ71の現像剤搬送能力が低いため、スクリュ71は常に効率1、すなわち現像剤保持部70が完全に充填された状態(現像剤で満たされている状態)で搬送されることになるため、エアの漏れを確実に防止することが可能となる。
【0037】
ここで、図5にロータリフィーダ50、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70内の現像剤の様子の一例を示す。図示の様に現像剤保持部(スクリュ搬送部)70が現像剤でほぼ満たされているため、合流部35からエアがロータリフィーダ50に進入するのを防止している。なお、ロータリフィーダ50の現像剤排出量が、スクリュ71の現像剤搬送量より多い場合は、図示のように現像剤の一部が現像剤保持部(スクリュ搬送部)70に落下せず、ロータ51の回転によって上部に戻される。
【0038】
[実施例2]
次に本発明に係る現像装置の別の実施例について説明する。
図6は本発明の別の実施例を示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
本実施例の現像装置の基本的な構成は実施例1と同様であるが、本実施例では、現像剤保持部(ここではスクリュ搬送部とする)70のスクリュ71は略水平に配置されており、該スクリュ71により搬送された現像剤が、現像剤搬送経路31の搬送路の略垂直に配置された部分でエアポンプ60からのエアと合流するように合流部35を設けたものである。
【0039】
スクリュ搬送部70から合流部35に現像剤を搬送し、エアと混合し現像剤を搬送する場合、図3のように現像剤のスクリュ搬送部70からの落下が垂直方向でエアの方向が水平である場合に比べ、図6のように現像剤の落下方向に対しエアの方向も垂直にすると、現像剤を加速するために必要な圧力が低くなることが分かった。図7に、図3及び図6の現像装置で、現像剤を搬送しているときの、エア搬送経路内の圧力のグラフを示す。圧力の測定は、現像剤搬送経路31に圧力計を取り付け測定した。
【0040】
図6の装置のように、スクリュ71により搬送された現像剤を現像剤搬送経路31の搬送路の略垂直に配置された部分でエアと合流させた方が、現像剤を加速するために必要なエアの圧力が少なくて済むため、エアによる現像剤搬送の負荷を低減でき、省エネルギである。
【0041】
次に図8は、図6のように、スクリュ搬送部70のスクリュ71は略水平に配置されており、該スクリュ71により搬送された現像剤が、現像剤搬送経路31の搬送路の略垂直に配置された部分でエアポンプ60からのエアと合流するように合流部35を設けた場合の、現像装置の合流部の構成例を示す概略要部断面図である。
【0042】
図6のように、スクリュ71により搬送された現像剤を、現像剤搬送経路31の搬送路の略垂直に配置された部分の合流部35でエアと合流させる場合、装置が停止し、エアポンプ60が停止すると、垂直部の搬送経路内の現像剤が自重により合流部35に落下するため、空気供給路31を通ってエアポンプ60に現像剤が進入し易い。
そこで図8の構成例では、合流部35内に、エアは通過し、現像剤の通過を遮断する部材44を設けたものである。このエアは通過し、現像剤の通過を遮断する部材44としては、一般的なエアフィルタや、現像剤の粒径より小さい樹脂又は金属製のメッシュからなるフィルタでも良い。この遮断部材(フィルタ)により、現像剤はエアポンプ側に進入しないため、エアポンプ内に現像剤が進入し、エアポンプを破損させることがない。
【0043】
[実施例3]
次に本発明に係る現像装置のさらに別の実施例について説明する。
図9は本発明のさらに別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。本実施例では、図6と同様の構成の現像装置の、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70の上流側端部の底に、蓋74により開閉可能な開口部(孔)73を設けたものである。
この現像剤保持部(スクリュ搬送部)70に設けた開口部(孔)73は、長期にわたり現像装置が使用され、現像剤が劣化した場合に、現像剤の交換がし易いように設けたものであり、現像剤を交換する際に現像剤を排出するための開口部である。
【0044】
このように、本実施例では、スクリュ搬送部70のロータリフィーダ50の現像剤排出部57との合流点より上流側に、現像剤を排出する開口部(孔)73を設けたので、メンテナンス等で現像剤を交換する際には、スクリュ搬送部70のロータリフィーダ50の現像剤排出部57との合流点より上流側に設けた開口部(孔)73の蓋74を外して開口させ、スクリュ71を通常と逆回転させる(現像剤を図の右方向に移動させる)ことにより、スクリュ搬送部内に保持されている現像剤を外部に排出することができ、ロータリフィーダ内部や現像剤収納部40に残った現像剤も排出することができる。
【0045】
[実施例4]
次に本発明に係る現像装置のさらに別の実施例について説明する。
図10は本発明のさらに別の実施例を示す現像装置の現像剤収容部、ロータリフィーダ、現像剤循環手段の概略を示す概略構成図である。
本実施例の現像装置の基本的な構成は図6と同様であるが、本実施例では、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70のスクリュ71の外径、及びスクリュ経路断面(断面積)を、現像剤搬送方向下流側で小さくするように設定している。
すなわち、現像剤保持部(スクリュ搬送部)70のスクリュ71の現像剤搬送方向下流側(図の左側)のスクリュ部71aのスクリュ径(外径)は、上流側のスクリュ部のスクリュ径(外径)より小さく、現像剤搬送方向下流側(図の左側)のスクリュ経路77の断面積も、上流側のスクリュ経路76の断面積より小さい。したがって下流側のスクリュ部71aの現像剤搬送能力は、前述の式(1)から上流側のスクリュ部より少ない。よって、現像剤搬送方向上流側のスクリュ経路76を搬送されてきた現像剤は、下流側のスクリュ部71aの搬送能力が低いため、一部が下流側のスクリュ経路77に進入できずに滞留することになる。そして、この滞留する現像剤が下流側のスクリュ経路77に充満し、エアの進入を防ぐ効果をより確実にするものである。
【0046】
このように、本実施例の現像装置では、スクリュ搬送部70のスクリュ71の径、及びスクリュ経路断面(断面積)を、現像剤搬送方向下流側で小さくしたことにより、スクリュ径、経路断面を小さくした下流側の部位では搬送能力が少なくなるため、現像剤が滞留し、下流側のスクリュ経路77に現像剤が充満してシール効果がより向上するので、より確実にエアがロータリフィーダ50に流れ込むのを防止することができる。
【0047】
[実施例5]
次に以上に説明した本発明の現像装置3を装備する画像形成装置の構成例について説明する。
図11は、本発明の一実施例を示す画像形成装置の概略構成図である。同図において画像形成装置100は、装置本体のほぼ中央部に中間転写ベルト4と4個の1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkとを有する中間転写ユニット6を備えている。中間転写ベルト4の下面と対向する位置には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色に対応した作像部1Y,1M,1C,1Bkが中間転写ベルト4の走行方向と平行して配置されている。各作像部1Y,1M,1C,1Bkは作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外は同一構造であり、それぞれ潜像担持体としての感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkと、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの周囲に配設された図示しない帯電手段、図示しない露光部、現像装置3Y,3M,3C,3Bk、図示しないクリーニング手段等を有している。
なお、図11は画像形成装置本体の上部に原稿画像の読取部(スキャナ)80を設置したカラー複写機の構成例であるが、さらに通信機能を持たせて外部回線(電話回線、光回線)やローカルエリアネットワーク(LAN)等と接続すれば、複写機、プリンタ、ファクシミリの機能を有するデジタルカラー複合機の構成となる。
【0048】
図11において、各作像部1Y,1M,1C,1Bkの感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkは図示しない駆動部によって図において時計回り方向に回転駆動され、図示しない帯電手段により表面を一様に帯電された後に、図示しない露光部から発せられたレーザ光等によって露光されることにより、装置本体の上部に設けられた画像読取部80において読み取られた原稿画像(あるいは外部回線やLAN等を介して入力された画像情報)に基づいた静電潜像がその表面上に形成される。各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bk形成された静電潜像は各現像装置3Y,3M,3C,3Bk(図1の現像装置3の現像部10)により現像されることにより所望のトナー像へと可視像化され、このトナー像は各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの表面が中間転写ベルト4を介して各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkとの対向部に達した際に、各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkの作用によって中間転写ベルト4上に順次1次転写される。
【0049】
各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkは、それぞれ中間転写ベルト4を各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成しており、各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkにはトナーとは逆極性の転写バイアスが印加される。中間転写ベルト4が図11の矢印方向に走行して各1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkの1次転写ニップを順次通過することにより、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bk上の各色のトナー像が中間転写ベルト3上に重ねて1次転写される。1次転写後、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの表面が図示しないクリーニング手段との対向位置に達すると、クリーニング手段の作用により各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの表面上に残存した未転写トナーが回収される。クリーニング後、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Bkの表面は図示しない除電装置により電位を初期化され、一連の作像プロセスが終了する。
【0050】
装置本体2の下部には給紙部90が配設されており、給紙部90には記録媒体で有る複数枚の転写紙Pが収納されている。この転写紙Pは、上記の作像プロセスの開始にタイミングを合せて、給紙ローラ91と図示しない分離部材(分離ローラ、分離パッド等)により1枚ずつ分離給送され、給送された転写紙Pはレジストローラ対92で一時停止され、斜めずれを修正された後に所定のタイミングで2次転写ニップに向けて給送される。
また、上記の作像プロセスで各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト4は、2次転写ローラ93との対向位置である2次転写ニップに到達する。そして中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップ位置に搬送された転写紙P上に転写される。
【0051】
2次転写ニップ位置においてカラー画像を転写された転写紙Pは定着装置94へと搬送され、定着装置94の加熱ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより転写紙表面に転写されたカラー画像が定着される。定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対95により装置本体上面に形成された排紙部96へと排出され積載される。このようにして画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0052】
なお、以上の実施例では、画像形成装置としてカラー複写機(またはカラー複合機)を例に挙げて説明したが、前述の本発明の現像装置3は、作像部が一つのみのモノクロ画像形成装置に適用することができることは言うまでもない。
【0053】
本発明の画像形成装置では、現像手段として前述の実施例1〜4で説明した構成の現像装置3を備えたことにより、現像剤の循環、混合、攪拌、帯電の安定化が図れるため、画質や画像濃度の安定化を図ることができる。
【符号の説明】
【0054】
1Y,1M,1C,1Bk:作像部
2(2Y,2M,2C,2Bk):感光体ドラム(潜像担持体)
3(3Y,3M,3C,3Bk):現像装置
4:中間転写ベルト
5Y,5M,5C,5Bk:1次転写ローラ
6:中間転写ユニット
10:現像部(現像器)
11,12:搬送スクリュ
13:現像ローラ
14:ドクタブレード
15:ケーシング
20:トナーカートリッジ
21:モータ
22:トナー補給路
30:循環路
31:現像剤搬送経路(循環路)
33:空気供給路
35:合流部
40:現像剤収容部
41:攪拌スクリュ
42:撹拌羽根
43:現像剤流入口
45:モータ
50:ロータリフィーダ
51:ロータ
52:モータ
55:ステータ
56:現像剤流入孔
57:現像剤排出孔
60:エアポンプ(空気供給源)
70:現像剤保持部(スクリュ搬送部)
71:スクリュ
72:現像剤保持部(スクリュ搬送部)の搬送方向下流側の開口部
73:現像剤保持部(スクリュ搬送部)の搬送方向上流側端部の開口部(孔)
74:蓋
80:画像読取部
90:給紙部
91:給紙ローラ
92:レジストローラ対
93:2次転写ローラ
94:定着装置
95:排紙ローラ対
96:排紙部
100:画像形成装置
P:転写紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特許第3734096号公報
【特許文献2】特許第3349286号公報
【特許文献3】特開平11−143196号公報
【特許文献4】特開2007−193301号公報
【特許文献5】特開2008−299217号公報
【特許文献6】特開2008−3561号公報
【特許文献7】特開2009−103751号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体上の潜像を現像する現像部と、前記現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像剤収納部の下方に設けられ該現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダと、前記ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して前記現像部に移送する現像剤搬送経路とを備えた現像装置において、
前記ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータと、該ステータの上部側に設けられ前記現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔と、前記ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔と、前記ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータを備え、
前記ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が前記現像剤搬送経路に合流する位置の間に、該現像剤を保持する現像剤保持部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
潜像担持体上の潜像を現像する現像部と、前記現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像剤収納部の下方に設けられ該現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダと、前記ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して前記現像部に移送する現像剤搬送経路とを備えた現像装置において、
前記ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータと、該ステータの上部側に設けられ前記現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔と、前記ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔と、前記ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータを備え、
前記ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が前記現像剤搬送経路に合流する位置の間に、該現像剤を保持し搬送するスクリュ搬送部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置において、
前記スクリュ搬送部のスクリュの回転によって搬送される現像剤の理論値の最大値である現像剤搬送能力は、前記ロータリフィーダの現像剤排出量より少なく設定することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の現像装置において、
前記スクリュ搬送部のスクリュは略水平に配置されており、該スクリュにより搬送された現像剤は、前記現像剤搬送経路の搬送路の略垂直に配置された部分で前記空気と合流することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一つに記載の現像装置において、
前記スクリュ搬送部の前記ロータリフィーダの現像剤排出部との合流点より上流側に、現像剤を排出する開口部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の現像装置において、
前記現像剤搬送経路の現像剤と空気との合流部に、フィルタを設置することを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一つに記載の現像装置において、
前記スクリュ搬送部のスクリュの径、及びスクリュ経路断面を、現像剤搬送方向下流側で小さくすることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像して可視化する現像手段を備えた画像形成装置であって、
前記現像手段として請求項1〜7のいずれか一つに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
潜像担持体上の潜像を現像する現像部と、前記現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像剤収納部の下方に設けられ該現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダと、前記ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して前記現像部に移送する現像剤搬送経路とを備えた現像装置において、
前記ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータと、該ステータの上部側に設けられ前記現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔と、前記ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔と、前記ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータを備え、
前記ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が前記現像剤搬送経路に合流する位置の間に、該現像剤を保持する現像剤保持部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
潜像担持体上の潜像を現像する現像部と、前記現像部の外部に設けられ現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像剤収納部の下方に設けられ該現像剤収納部の現像剤を排出するロータリフィーダと、前記ロータリフィーダから排出された現像剤を空気を利用して前記現像部に移送する現像剤搬送経路とを備えた現像装置において、
前記ロータリフィーダは、内部に円筒状の空間を有するステータと、該ステータの上部側に設けられ前記現像剤収納部からの現像剤が流入する現像剤流入孔と、前記ステータの下部側に設けられ現像剤が排出される現像剤排出孔と、前記ステータの空間内に配置され軸部から放射状に延びる複数の羽根を有する回転自在に軸支されたロータを備え、
前記ロータリフィーダの現像剤排出孔と、該現像剤排出孔から排出された現像剤が前記現像剤搬送経路に合流する位置の間に、該現像剤を保持し搬送するスクリュ搬送部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置において、
前記スクリュ搬送部のスクリュの回転によって搬送される現像剤の理論値の最大値である現像剤搬送能力は、前記ロータリフィーダの現像剤排出量より少なく設定することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の現像装置において、
前記スクリュ搬送部のスクリュは略水平に配置されており、該スクリュにより搬送された現像剤は、前記現像剤搬送経路の搬送路の略垂直に配置された部分で前記空気と合流することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一つに記載の現像装置において、
前記スクリュ搬送部の前記ロータリフィーダの現像剤排出部との合流点より上流側に、現像剤を排出する開口部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の現像装置において、
前記現像剤搬送経路の現像剤と空気との合流部に、フィルタを設置することを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一つに記載の現像装置において、
前記スクリュ搬送部のスクリュの径、及びスクリュ経路断面を、現像剤搬送方向下流側で小さくすることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像して可視化する現像手段を備えた画像形成装置であって、
前記現像手段として請求項1〜7のいずれか一つに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−103280(P2012−103280A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248911(P2010−248911)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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