説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】本発明は、縦攪拌型の現像装置において、装置が複雑化、大型化することなく、トナーの片寄りを軽減して、濃度ムラや現像剤担持体の開口部からのトナー溢れを十分に抑制できる現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る現像装置及び画像形成装置の代表的な構成は、現像剤を収容する現像容器4aと、現像室4hと、現像室4h内の現像剤を担持して感光ドラム1と対向する現像領域へと搬送する現像スリーブ4bと、現像室4hの下方に配設され、現像領域を通過した後の現像剤を現像スリーブ4bから回収する攪拌室4iと、現像室4hと攪拌室4iの間で現像剤を循環する搬送スクリュー4e、4fと、を有し、感光ドラム1に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置において、現像容器4aの現像剤に接する壁面4lに低反発性部材Aを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置およびこれに用いられる現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の現像装置として、図11に示すように、現像室4hと攪拌室4iを上下に配置して装置の小型化を図った縦攪拌型の現像装置4がある。しかしながら、縦攪拌型の現像装置4では、現像室4hと攪拌室4i両方において、現像装置4内のトナー量(現像剤量)の分布は主走査方向に対して片寄りが生じやすい。具体的には、現像室4hの搬送方向上流側(6)部から中央部(1)部、下流側(2)部にかけてトナー量が減り、攪拌室4iの搬送方向上流側(3)部から中央部(4)部、下流側(5)にかけてトナー量が増える。
【0003】
現像室内のトナー量に片寄りが生じた場合には、現像スリーブ4bへのトナー(現像剤)の供給ムラ、つまり現像スリーブ上のトナーコートムラを生じさせ、画像濃度ムラが発生するおそれがある。
【0004】
また、攪拌室4iでは攪拌室下流端(図11中(5)部)でトナーが貯まり過ぎると、トナーがストレスを受けてトナー樹脂がキャリア表面に固着するなどのキャリア劣化が促進し、受け渡し部を通って現像室4hに受け渡せずに現像スリーブ4bの開口部にトナーが溢れ出すおそれがある。
【0005】
上記課題を解決する方法として、特許文献1では、第1及び第2の搬送スクリュー4e、4fのトナー搬送量を、現像スリーブへの供給量より十分大きくして、片寄りの影響を相対的に小さくしている。
【0006】
しかしながら、搬送スクリュー4e、4fの回転速度を大きくしてトナー搬送量を大きくした場合には、搬送スクリュー4e、4fの回転トルクの上昇、トナーに対するストレスの増加、トナー飛散等のおそれがある。このため、ある程度以上にトナー搬送量を大きくすることができない。また、搬送スクリュー4e、4fのピッチや形状等の改良でトナー搬送量を大きくする場合には、トナー搬送量をそれほど大きくすることはできず、トナーの片寄りを十分に防止することができない。
【0007】
また、特許文献2では、現像室の下流端に設けられた受け渡し部の直前に、現像室の底部を遮るように障壁を設けて、下流端付近にトナーを溜るようにしている。これにより、現像室から攪拌室へ受け渡し部を通じて搬送されるトナーの量を一定量以下に規制し、現像室内におけるトナー量分布の片寄りを軽減している。
【0008】
しかしながら、障壁近傍でトナーが滞留及び逆行が生じ、障壁部近傍で濃度ムラが発生するおそれがある。これを防止するには、障壁を画像形成領域から離さなければならないが、現像装置4の大きさを主走査方向に長くする必要があり、現像装置が大型化してしまう。
【0009】
また、特許文献3では、現像室内のトナー剤面の位置を検知するトナー剤面検知手段を設け、その検知結果に基づいて現像室内におけるトナー量分布の片寄りを補正している。しかしながら、この方法では現像装置が複雑化、大型化すると共に、トナー剤面を一定状態にするための制御時間が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−333691号
【特許文献2】特開2002−6599号
【特許文献3】特開2003−186293号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明は、縦攪拌型の現像装置において、装置が複雑化、大型化することなく、トナーの片寄りを軽減して、濃度ムラや現像剤担持体の開口部からのトナー溢れを十分に抑制できる現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る現像装置及び画像形成装置の代表的な構成は、現像剤を収容する現像容器と、現像室と、前記現像室内の現像剤を担持して像担持体と対向する現像領域へと搬送する現像剤担持体と、前記現像室の下方に配設され、前記現像領域を通過した後の現像剤を前記現像剤担持体から回収する攪拌室と、前記現像室と前記攪拌室の間で現像剤を循環する搬送部材と、を有し、前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置において、前記現像容器の現像剤に接する壁面に低反発性部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像容器のトナーに接する壁面に低反発性部材を設けることで、縦攪拌型の現像装置において、装置が複雑化、大型化することなく、トナーの片寄りを軽減して、濃度ムラや現像剤担持体開口部からのトナー溢れを十分に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図3】(a)第1実施形態に係る縦攪拌型の現像装置における、現像室中の剤圧が低い場合のトナーの循環の一例を示す模型図である。(b)第1実施形態に係る縦攪拌型の現像装置における、現像室中の剤圧が高い場合のトナーの循環の一例を示す模型図である。
【図4】(a)第1実施形態に係る現像室のトナー受け渡し部の壁面が受けるトナー剤圧の測定方法を示す模式図である。(b)第1実施形態に係る現像室のトナー受け渡し部近傍のトナー剤面高さと、トナー受け渡し部の壁面が受けるトナー剤圧の関係を示す関係図である。
【図5】第1実施形態の低反発性部材のたわみ率と圧力の関係を示す関係図である。
【図6】(a)従来の縦攪拌型の現像装置におけるトナーの循環を示す模型図である。(b)従来及び第1実施形態の主走査方向の濃度ムラを示す関係図である。
【図7】(a)第1実施形態に係る低反発性部材の他の形状の示す図である。(b)第1実施形態に係る低反発性部材の他の形状の示す図である。
【図8】(a)第2実施形態に係る縦攪拌型の現像装置における、現像室中の剤圧が低い場合のトナーの循環の一例を示す模型図である。(b)第2実施形態に係る縦攪拌型の現像装置における、現像室中の剤圧が高い場合のトナーの循環の一例を示す模型図である。
【図9】(a)第2実施形態に係る攪拌室のトナー受け渡し部に配設した低反発性部材の形状の一例を示す模型図である。(b)第2実施形態に係る攪拌室のトナー受け渡し部に配設した低反発性部材の形状の一例を示す模型図である。
【図10】(a)第3実施形態に係る縦攪拌型の現像装置における、現像室中の剤圧が低い場合のトナーの循環の一例を示す模型図である。(b)第3実施形態に係る縦攪拌型の現像装置における、現像室中の剤圧が高い場合のトナーの循環の一例を示す模型図である。
【図11】従来の縦攪拌型の現像装置におけるトナーの循環を示す模型図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
本発明に係る現像装置及び画像形成装置の第1実施形態について、図を用いて説明する。図2は本実施形態に係る画像形成装置の構成図である。図2に示すように、本実施形態の画像形成装置100において、帯電ローラ2によって帯電した感光ドラム(像担持体)1は、露光装置3により画像情報に応じてレーザー光Lを照射され、静電潜像が形成される。感光ドラム1に形成された静電潜像は、現像装置4によりトナー像として現像され、1次転写ローラ5aとのニップ部で中間転写ベルト5bに1次転写される。
【0016】
上記トナー像の形成は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各ステーションで(Y−st、M−st、C−st、K−st)で行われ、中間転写ベルト5bに重畳される。1次転写後に感光ドラム1に残った転写残トナーは、クリーニング装置6によりクリーニングされる。
【0017】
一方、シートカセット9に積載されたシートPは、中間転写ベルト5bと2次転写ローラ5fとのニップ部に搬送され、トナー像を2次転写される。トナー像を2次転写されたシートPは、定着装置8により加熱加圧され、トナー像を定着され、画像形成装置本体外へ排出される。2次転写後に中間転写ベルト5bに残った転写残トナーは、クリーニング装置7によりクリーニングされる。
【0018】
(現像装置4)
図1は本実施形態に係る縦攪拌型の現像装置4の構成図である。図3は本実施形態に係る縦攪拌型の現像装置4におけるトナーの循環を示す模型図である。図3に示すように、本実施形態の縦攪拌型の現像装置4は、図11に示す従来の縦攪拌型の現像装置4に、低反発性部材Aを設けたものである。
【0019】
図1、図3に示すように、現像装置4は、現像容器4a、現像スリーブ(現像剤担持体)4b、マグネットローラ4c、現像剤コーティングブレード4d、第1及び第2の搬送スクリュー(第1及び第2の搬送部材)4e、4f、隔壁4gを有している。現像容器4aの現像室4hに収容されたトナー(現像剤)は、現像スリーブ4b内のマグネットローラ4cの磁力により現像スリーブ4bの外周面に吸着保持(担持)される。そして、現像スリーブ4bの回転に伴い回転搬送され、現像剤コーティングブレード4dにより所定の薄層に整層され、感光ドラム1と対向する現像領域にて、感光ドラム1表面の静電潜像に対応して選択的に付着して、トナー像となる。現像領域を通過した後のトナーは攪拌室4iに回収される。
【0020】
隔壁4gは、現像容器4aを上方の現像室4hと、下方の攪拌室4iに分けている。隔壁4gの両端には、現像室4hから攪拌室4iへトナーを搬送する受け渡し部4j、攪拌室4iから現像室4hへトナーを搬送する受け渡し部4kが設けられている。
【0021】
低反発性部材Aは、搬送スクリュー4eにより搬送されたトナーが衝突する、搬送方向下流側の壁面4lに設けられている。低反発性部材Aは、トナー搬送方向と垂直に、現像容器4aの天井から受け渡し部4jまで設けられている。
【0022】
ここで、低反発性部材とは、JISK6401に準じ、50%圧縮した状態で70℃の環境下に22時間放置し、その後圧縮状態を開放して30分経過した後の厚みの変化が3.0%以下のである材料特性を有する。このような材料特性は、高密度マイクロカプセルからなる均一なセル構造を有する発砲体を用いることで実現可能であり、本実施形態では低反発ウレタンフォームからなる低反発性部材Aを用いた。
【0023】
また、低反発性部材A表面には、フッ素系の樹脂をコーティングさせて低摩擦処理を施してある。これは、低反発性部材Aの表面とトナーの摩擦を軽減し、低反発性部材Aが現像装置4内のトナーの流れを阻害することを防止すると共に、低反発性部材A表面にトナーが付着することを防止するためである。
【0024】
(低反発性部材Aの効果)
図11の従来の縦攪拌型の現像装置4では、受け渡し部4jが大きいために、現像室4hから攪拌室4iに受け渡されるトナー量(現像剤量)も多くなる。その結果、搬送スクリュー4eの搬送方向下流側でトナー剤面が低くなってしまう。
【0025】
そこで本実施形態では、図3(a)に示すように、受け渡し部4jの大きさを規制するように低反発性部材Aを配設している。つまり、低反発性部材Aで現像室4hから攪拌室4iへ受け渡されるトナー量は制限され、現像室4hの搬送スクリュー4eの搬送方向下流側でトナー剤面が低くなることを抑制している。
【0026】
しかし、この効果だけであれば、単に、受け渡し部4jの大きさを小さくするだけでよい。しかしながら、受け渡し部4jの大きさを小さくした場合、トナーの流動性の変化により攪拌室4iに比べて現像室4hのトナー量が多くなってしまうおそれがある。
【0027】
ここで、トナーの流動性の変化の例としては、トナーの使用に伴って、例えばトナー表面の外添剤の付着状態が変化したり、キャリア表面にトナー樹脂が付着したりすることによるトナーの粉体特性の変化に伴う流動性の低下がある。また、現像装置4の使用環境が高湿環境下であった場合には、雰囲中の水分による粉体間の液架橋に伴う流動性の低下がある。
【0028】
現像室4hのトナーが多くなりすぎて攪拌室4iのトナーが減った場合、つまり現像装置4内でトナーの循環が十分できない場合には、補給されたトナーがトナー中に均一に混合、攪拌されなくなり、画像濃度ムラを発生させる原因となる。
【0029】
この現象に対して、本実施形態では低反発性部材Aを用いているため、現像室4hのトナー量が増加した場合には、低反発性部材Aに対するトナーの剤圧が上昇し、図3(b)に示すように、低反発性部材Aが押し縮められる。これにより、受け渡し部4jの大きさが大きくなり、攪拌室4iへ受け渡されるトナー量が増加するため、現像室4hのトナー量は増加することなく最適量を維持する。
【0030】
つまり、現像室中のトナー量が少ない場合(低反発性部材Aが受けるトナーの剤圧が低い場合)には、低反発性部材Aが規制部材としての役割を果たし、受け渡し部4jの大きさを小さいまま維持する。これにより、攪拌室4iへ受け渡されるトナー量が少なく、現像室内にトナーを蓄積してトナー剤面を主走査方向で均一に維持することが可能となる。
【0031】
一方、現像室4hのトナー量が増加してきた場合(低反発性部材Aが受けるトナーの剤圧が増加してきた場合)には、低反発性部材Aが押し縮められ、受け渡し部4jの大きさが増加し、攪拌室4iへ受け渡されるトナー量も増加することで、現像室内にトナーが過剰に多くなることを防止できる。
【0032】
図4(a)は現像室4hから攪拌室4iへのトナー受け渡し部4j近傍のトナーの剤圧を測定する方法を示す模式図である。図4(a)に示すように、受け渡し部4jに圧力センサ10を設け、トナーの剤圧を測定している。
【0033】
圧力センサ10としては、フィゾー、テクノロジー社製の光ファイバー超小型センサを用いた。圧力センサ10はシリコンダイアフラムのたわみ量を測定する方式をとっており、センサ面0.5mm×0.5mm、測定レンジは0〜34kPa、測定精度は1%である。
【0034】
図4(b)は図4(a)に従って測定した、受け渡し部近傍のトナー剤面高さと圧力の関係を示す図である。図4(b)に示すように、トナー剤面が低い場合には、ほとんど剤圧が加わらない。一方、トナー剤面が2.0mm以上では、急激に加わる剤圧が上昇する。主走査方向での濃度均一性を維持するための現像室4hのトナー剤面高さは、本実施形態では約1.1mm以上(スクリュー径の75%以上)である。
【0035】
図5に低反発性部材Aの圧縮率と圧力の関係を示す。図4(b)と図5から、例えば、現像室4hのトナー剤面高さが2.0mmになったとき、低反発性部材Aが受ける圧力は3.0kPaとなり、低反発性部材は40%縮むことがわかる。
【0036】
低反発性部材Aの代わりに弾性部材を用いても同様の効果が望めるが、弾性部材の場合にはトナーに対して反発力がかかるため、キャリア表面へのトナー樹脂の付着によるキャリア劣化や、トナー表面の外添剤埋め込みといったトナー劣化を促進させるおそれがある。低反発性部材は、変形したままの形状を一定時間保持するという特性を有するため、トナーにかかる反発力が小さく、弾性部材よりもの方が好ましい。
【0037】
図6は現像室4hの主走査方向に対する濃度均一性(反射濃度)の関係を示す図である。図6に示すように、従来の現像装置4では、現像室下流側でトナー剤面が低下することを原因として濃度が大きく低下している。一方、本実施形態の現像装置4では、現像室4hのトナー剤面が均一であるため、現像室下流側でも濃度が低下することなく、濃度の均一性を維持している。
【0038】
図7は低反発性部材Aの他の形状を示す図である。図7(a)の形状では、樹脂モールドで形成された断面三角形の基材A1を壁面4lに設け、基材A1に断面三角形の低反発性部材A2を貼り付けて、図3に示す低反発性部材Aと同様の形状としている。図7(b)の形状は、基材A1をを断面円弧状に凹んだ形状として、その凹んだ部分に断面1/4円の形状の低反発性部材A2を貼り付けて、図3に示す低反発性部材Aと同様の形状としている。
【0039】
このような形状をとることで、現像室4hから攪拌室4iへトナーを引き渡す上で、低反発性部材A2の鉛直方向下側の変化量が大きくなる。このため、安定してトナーを受け渡すことが可能となる。
【0040】
上記構成によれば、装置が複雑化、大型化することなく、現像装置4の現像室内の主走査方向におけるトナー片寄りを軽減でき、トナーの片寄りを原因として発生する主走査方向における濃度ムラを抑制し、長期にわたって高画質画像を安定して出力できる。
【0041】
[第2実施形態]
次に本発明に係る現像装置及び画像形成装置の第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
図8は本実施形態に係る縦攪拌型の現像装置4における、トナーの循環の一例を示す模型図である。図8に示すように、本実施形態の現像装置4は、上記第1実施形態の現像装置4に低反発性部材Bを設けたものである。
【0043】
上述したように、攪拌室4iでは攪拌室下流端(図11中(5)部)では、トナーの受け渡しのため、ある程度のトナーの剤圧を必要とする。しかし、トナーが貯まり過ぎると、現像スリーブ4bの開口部にトナーが溢れ出すおそれがある。
【0044】
そこで、本実施形態では、図8(a)に示すように、低反発性部材Bを、受け渡し部4k近傍の、搬送スクリュー4fにより搬送されたトナーが衝突する、攪拌室4iの搬送方向下流側、且つ現像室4hの現像剤搬送方向上流側の壁面4mに設けている。低反発性部材Bは、トナー搬送方向と垂直に、現像容器4aの底面から天井まで設けられている。
【0045】
このように、低反発性部材Bを設けて攪拌室4iから現像室4hの受け渡し部4kの大きさを小さくすることで、トナーの剤圧が低くても攪拌室4iから現像室4hにトナーを受け渡すことが可能となる。
【0046】
一方、攪拌室4iのトナー量が増加してきた場合(低反発性部材Bが受けるトナーの剤圧が増加してきた場合)には、低反発性部材Bが押し縮められる。これにより、受け渡し部4kの大きさが増加し、現像室4hへ受け渡されるトナー量も増加することで、攪拌室下流側でトナーが過剰に多くなることを抑制できる。
【0047】
図9は低反発性部材Bの他の形状を示す図である。図9(a)の形状では、樹脂モールドで形成された断面三角形の基材B1を壁面4mに設け、基材B1に断面三角形の低反発性部材B2を貼り付けて、図8に示す低反発性部材Bと同様の形状としている。図9(b)の形状は、基材B1をを断面円弧状に凹んだ形状として、その凹んだ部分に断面1/4円の形状の低反発性部材B2を貼り付けて、図8に示す低反発性部材Bと同様の形状としている。
【0048】
このような形状をとることで、攪拌室4iから現像室4hへトナーを引き渡す上で、低反発性部材B2の鉛直方向上側の変化量が大きくなる。このため、安定してトナーを受け渡すことが可能となる。
【0049】
上記構成により、上記第1実施形態の効果に加えて、現像装置4の攪拌室4iの搬送方向下流部でトナーに過剰なストレスがかかることを防止できる。これにより、トナーにかかるストレスを原因として発生するトナー劣化の促進や、現像スリーブ4bの開口部からのトナー溢れを抑制でき、長期にわたって高画質画像を安定して出力できる。
【0050】
[第3実施形態]
次に本発明に係る現像装置及び画像形成装置の第3実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。図11は本実施形態に係る縦攪拌型の現像装置4における、トナーの循環の一例を示す模型図である。図11に示すように、本実施形態の現像装置4は、上記第1実施形態の現像装置4に低反発性部材Cを設けたものである。
【0051】
上述したように、攪拌室4iでは攪拌室下流端(図11中(5)部)では、トナーの受け渡しのため、ある程度のトナーの剤圧を必要とする。しかし、トナーが貯まり過ぎると、現像スリーブ4bの開口部にトナーが溢れ出すおそれがある。
【0052】
そこで、本実施形態では、図10(a)に示すように、攪拌室4iの底面全域に低反発性部材Cを設けた。これにより、図10(b)に示すように、攪拌室4iの搬送方向下流側に行くに従ってトナーの剤圧が高くなると、攪拌室4iの底面の低反発性部材Cが押し縮められて容積を増加する。これにより、攪拌室4iの搬送方向下流部でトナーに過剰なストレスがかかることを抑制でき、トナーにかかるストレスを原因として発生するトナー劣化の促進や、現像スリーブ4bの開口部からのトナー溢れを抑制し、長期にわたって高画質画像を安定して出力できる。
【符号の説明】
【0053】
A、B、C …低反発性部材
P …シート
1 …感光ドラム(像担持体)
4 …現像装置
4a …現像容器
4b …現像スリーブ(現像剤担持体)
4c …マグネットローラ
4e、4f …搬送スクリュー(搬送部材)
4g …隔壁
4h …現像室
4i …攪拌室
4j、4k …受け渡し部
4l、4m …壁面
5a …1次転写ローラ
5b …中間転写ベルト
10 …圧力センサ
100 …画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像容器と、
現像室と、
前記現像室内の現像剤を担持して像担持体と対向する現像領域へと搬送する現像剤担持体と、
前記現像室の下方に配設され、前記現像領域を通過した後の現像剤を前記現像剤担持体から回収する攪拌室と、
前記現像室と前記攪拌室の間で現像剤を循環する搬送部材と、を有し、
前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置において、
前記現像容器の現像剤に接する壁面に低反発性部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記低反発性部材は、前記搬送部材により搬送されたトナーが衝突する、前記現像室から前記攪拌室へ現像剤を受け渡す受け渡し部近傍の前記現像容器の壁面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記低反発性部材は、前記搬送部材により搬送されたトナーが衝突する、前記攪拌室から前記現像室へ現像剤を受け渡す受け渡し部近傍の前記現像容器の壁面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記低反発性部材の厚みが、現像剤の搬送方向に伴って厚くなることを特徴とする請求項2又は3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記低反発性部材は、前記攪拌室の底面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
前記低反発性部材の表面は、低摩擦処理されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記低反発性部材は、JIS K 6401に準じ、50%圧縮した状態で70℃の環境下に22時間放置し、その後圧縮状態を開放して30分経過した後の厚みの変化が3.0%以下のである部材であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
静電潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像する請求項1乃至7のいずれかに記載の現像装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−150205(P2012−150205A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7701(P2011−7701)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】