説明

現像装置

【課題】細線や微小ドットの再現性の向上を図るとともにトナーの濃度ムラやカブリを抑制できるハイブリッド方式の現像装置を得る。
【解決手段】トナーを外周面に担持し、感光体1に対してその回転方向に沿って配置され感光体1とは非接触で配置された現像ローラ21a,21bと、トナーとキャリアとからなる現像剤を担持し、現像ローラ21a,21bにトナーを供給する現像剤担持ローラ23とを備え、感光体1上に形成された静電潜像の電圧と、現像ローラ21a,21bに印加された交流バイアス電圧との間で形成される電界によりトナーを静電潜像に付着させる現像装置。感光体1の回転方向上流側の現像領域aを通過した後の現像トナー量は、回転方向下流側の現像領域bを通過した後の現像トナー量よりも多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、特に、電子写真方式による画像形成において感光体上に形成された静電潜像を現像するための現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式による画像形成の分野において、感光体(像担持体)上に形成された静電潜像の現像方式としては、トナーのみを用いる1成分現像方式及びトナーとキャリアとを攪拌/混合した2成分現像方式の長所を併せ持つハイブリッド現像方式が注目されている。このハイブリッド現像方式では、トナーとキャリアを攪拌/混合してトナーに対する荷電を行った後に、現像剤(トナーとキャリアとの混合物)を担持する現像剤担持ローラと感光体にトナーを供給するための現像(トナー担持)ローラとの間に形成された分離電界の作用によりトナーをキャリアから分離してトナーのみを現像ローラ上に保持させ、感光体上の静電潜像に対して1成分現像を行うようにしている。
【0003】
ハイブリッド現像においては、高速現像に対応するために、複数の現像ローラを感光体に対してその回転方向に沿って配置し、現像領域の拡大を図っている(特許文献1,2参照)。
【0004】
このような複数の現像ローラを有するハイブリッド現像装置においては、感光体と現像ローラとの間の現像領域に交流電界を形成し、現像ローラと感光体との間でトナーを往復移動させて現像を行うのが一般的である。きめ細かな濃度(現像トナー量)の均一性を維持する現像を行うには、トナーの十分な往復回数が必要となるが、高速化に伴って現像時間が不足しているのが現状である。それを補うために交流バイアス電圧の周波数を上げて対応している。しかし、この対応策では、エッジ電界を伴い、ライン、ドットの再現性が低下する。
【0005】
また、感光体上でトナーが低付着量となる低現像電位部分においては、感光体上に移動したトナーが現像ローラに回収されやすいので、現像電位に対する現像トナー量の特性は、線形ではなく、低現像電位部分でトナー量がより少なくなるS字型の特性となる。それゆえ、必然的に、現像トナー量の傾きが大きくなる領域が発生し、静電潜像の電位ムラに対する感度が高く、低電位部分に濃度ムラが発生しやすいという問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−37523号公報
【特許文献2】特開2006−276853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、細線や微小ドットの再現性の向上を図るとともにトナーの濃度ムラやカブリを抑制できるハイブリッド方式の現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態である現像装置は、
トナーを外周面に担持し、像担持体に対してその回転方向に沿って像担持体とは非接触で配置された複数のトナー担持体と、
トナーとキャリアとからなる現像剤を担持し、前記複数のトナー担持体にトナーを供給する現像剤担持体と、
を備え、
前記像担持体上に形成された静電潜像の電圧と前記トナー担持体に印加された交流バイアス電圧との間で形成される電界によりトナーを静電潜像に付着させる現像装置において、
前記像担持体の回転方向上流側の現像領域を通過した後の現像トナー量が、回転方向下流側の現像領域を通過した後の現像トナー量よりも多いこと、
を特徴とする現像装置。
【0009】
前記現像装置においては、像担持体の回転方向上流側の現像領域を通過した後の現像トナー量が、回転方向下流側の現像領域を通過した後の現像トナー量よりも多いため、上流側の現像領域で感光体に過剰に現像されたトナーが回転方向下流側の現像領域で回収される(回収が促進される)。その結果、細線や微小ドットの再現性が向上するとともに、特に低濃度部分でのトナーの濃度ムラやカブリが抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、細線や微小ドットの再現性の向上を図るとともにトナーの濃度ムラやカブリを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施例である現像装置と感光体ドラム及びその周辺機器を示す断面図である。
【図2】現像ローラに印加されるバイアス電圧を示すチャート図であり、(A)は上流側の現像ローラに印加する交流バイアス電圧と感光体上のソリッド状の潜像電位との関係を示し、(B)は下流側の現像ローラと感光体上のソリッド状の潜像電位との関係を示す。
【図3】現像ローラに印加される交流バイアス電圧の平均電圧値と現像剤担持ローラに印加される直流バイアス電圧との関係を示すチャート図である。
【図4】感光体上へのトナー付着の状態を示す説明図である。
【図5】第2実施例である現像装置と感光体ドラム及びその周辺機器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る現像装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図面において、同じ部材、部分には共通する符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
(現像装置の第1実施例、図1〜図4参照)
第1実施例である現像装置2Aは、感光体(像担持体)1上に形成された静電潜像をトナーによって可視像化するものである。感光体1は、図1に示すように矢印で示す反時計回り方向回転に伴って、帯電用ローラ6にて所定の電位に均一に帯電され、図示しないレーザ走査装置から放射されるレーザビームBにて静電潜像を形成され、現像装置2Aにて現像され、転写ローラ8から付与される電界にて記録紙Sにトナー画像が転写され、ブレード9にて残留トナーが除去される。また、図示しないイレーサにて残留電化が除去される。なお、この種の作像手段を用いて電子写真法にて画像を形成するプロセスは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0014】
なお、帯電手段や転写手段としてはローラ6やローラ8に代えてコロトロン方式あるいはスコロトロン方式の放電器であってもよく、露光装置もレーザ以外の光を用いるものであってもよい。
【0015】
現像装置2Aは、トナー補給ボトル3と、トナーとキャリアとからなる現像剤25を収容する現像剤槽28と、現像剤25を外周面に担持してその回転方向(時計回り方向)に搬送する現像剤担持ローラ23と、現像剤担持ローラ23の外周面からトナーを分離して自らの外周面に担持してその回転方向(時計回り方向)に搬送する第1及び第2現像(トナー担持)ローラ21a,21bを備え、ハイブリッド現像を行うものである。また、現像剤担持ローラ23には高圧電源回路4が接続され、第1及び第2現像ローラ21a,21bには高圧電源回路5a,5bが接続されている。
【0016】
トナーは、トナー補給ボトル3からトナー補給ローラ27の回転に基づいて現像剤槽28へ所定量ずつ補給される。現像剤槽28の底部には二つの攪拌搬送ローラ26が配置されている。補給されたトナーはローラ26の回転に基づいてキャリアと攪拌/混合され、所定の電位に帯電されて現像剤担持ローラ23に搬送される。攪拌搬送ローラ26による現像剤25の攪拌/混合作用は従来の現像装置と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0017】
現像剤担持ローラ23は、矢印方向(時計回り方向)に回転駆動されるスリーブと、該スリーブに内蔵/固定された磁石ローラとで構成されている。磁石ローラは、スリーブの回転方向に沿って、磁極N1,S1,N2,S2,S3,N3,S4を有している。スリーブの回転方向は第1及び第2現像ローラ21a,21bの回転方向と同じであり、対向部分において互いに反対方向に移動する。
【0018】
攪拌搬送ローラ26によって現像剤担持ローラ23の近傍に搬送された現像剤25は、磁石ローラの磁極S3の磁力によってスリーブの外周面に担持され、規制ブレード24で層厚(通過量)を規制されて第1及び第2現像ローラ21a,21bとの対向部分に送られる。第1現像ローラ21aは、感光体1の回転方向(反時計回り方向)の上流側に配置され、矢印で示すように時計回り方向に回転駆動される。第2現像ローラ21bは、感光体1の回転方向の下流側に配置され、矢印で示すように時計回り方向に回転駆動される。
【0019】
磁石ローラの主磁極N1,S1は第1及び第2現像ローラ21a,21bのそれぞれと対向して配置されており、現像剤25からトナーを分離して現像ローラ21a,21bに供給する。磁極S2,S3は、現像剤槽28の直上に配置され、スリーブ上に担持されている現像剤25をスリーブから剥離するための反発磁界を発生させる。
【0020】
現像剤担持ローラ23と第1及び第2現像ローラ21a,21bの対向領域には、高圧電源回路4によってトナーを現像剤25から電気的に分離してローラ21a,21bの外周面に移行させる電界が形成される。また、第1及び第2現像ローラ21a,21bと感光体1とが対向する現像領域a,bには、高圧電源回路5a,5bによってトナーを感光体1の外周面に移動させる電界が形成される。
【0021】
そこで、現像剤担持ローラ23から供給されて第1現像ローラ21aの外周面に層状に担持されたトナーは、第1現像ローラ21aの回転に基づいて、感光体1と対向する現像領域aに搬送される。これらのトナーは、感光体1上に形成された静電潜像の電圧と現像ローラ21aに高圧電源回路5aから印加された交流バイアス電圧との間で形成される電界によって感光体1と現像ローラ21aの間を往復運動しながら静電潜像を現像する。また、現像剤担持ローラ23から第2現像ローラ21bの外周面に層状に担持されたトナーは、第2現像ローラ21bの回転に基づいて、感光体1と対向する現像領域bに搬送される。これらのトナーは、感光体1上に形成された静電潜像の電圧と現像ローラ21bに高圧電源回路5bから印加された交流バイアス電圧との間で形成される電界によって感光体1と現像ローラ21bの間を往復運動しながら静電潜像を現像する。
【0022】
現像ローラ21a,21bは、金属材からなる導電性ローラ、例えば、アルマイト加工を表面に施したアルミニウム製ローラで構成されている。ローラ基体上にポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などのコーティングを施したり、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどのコーティングを施したものであってもよい。
【0023】
ちなみに、トナーとキャリアとの混合物である現像剤において、トナーとしては、一般に用いられている、バインダ樹脂中に着色剤や必要に応じて荷電制御材や離型材などを含有させ、外添材を処理したものを使用することができる。トナー粒径としては3〜10μm程度が望ましい。キャリアとしては、一般に使用されている、バインダ型キャリアやコート型キャリアなどを使用することができる。キャリア粒径としては15〜100μm程度が好ましい。トナーとキャリアとの混合比は、所望のトナー帯電量が得られるように調整されていればよく、実際上、キャリアの表面に対するトナーの被覆率が20〜40%程度となるように設定される。
【0024】
ここで、現像ローラ21a,21bに印加されるバイアス電圧について説明する。高圧電源回路4,5a,5bによって、現像ローラ21a,21bと現像剤担持ローラ23との間には交流電界が形成され、現像剤担持ローラ23から現像ローラ21a,21bへトナーが供給される電位関係とされている。現像領域a,bでは、現像ローラ21a,21bと感光体1との間の空間を電界力によってトナーが飛翔して感光体1上の静電潜像を忠実に現像するために、現像ローラ21a,21bと感光体1との間が非接触に構成されたうえで、交流電界が形成されるようになっている。
【0025】
図2(A)に上流側の第1現像ローラ21aに印加する交流バイアス電圧と感光体1上のソリッド状の潜像電位との関係を示し、図2(B)に下流側の第2現像ローラ21bと感光体1上のソリッド状の潜像電位との関係を示す。図3に現像ローラ21a,21bに印加される交流バイアス電圧の平均電圧値と現像剤担持ローラ23に印加される直流バイアス電圧との関係を示す。なお、感光体1及びトナーはマイナス帯電である。また、図2及び図3の各種電圧値については、以下の実験例で詳細に説明する。
【0026】
ここで、現像装置2Aにおいては、図4に示すように、上流側の第1現像ローラ21aの現像領域aを通過した後の現像トナー量M1が、下流側の第2現像ローラ21bの現像領域bを通過した後の現像トナー量M2よりも多くなるように、高圧電源回路5a,5bから印加される交流バイアス電圧が設定されている。
【0027】
即ち、図2(A),(B)に示すように、現像ローラ21a,21bには、矩形波の交流バイアス電圧が印加され、その平均電圧値(ローラ21aに対してはV1(A)avg:−350V、ローラ21bに対してはV1(B)avg:−200V)とソリッド状の静電潜像部電位Viとの電位差に対応した量のトナーが感光体1へ転移する。トナーは、印加されるバイアス電圧が最小値にあるときに感光体1に移動し、最大値にあるときに現像ローラ21a,21bに移動する。1周期における最小値期間の比を現像デューティ比と称し、本実施例では現像デューティ比を40%に設定している。
【0028】
本実施例において、前記平均電位差は、上流側の現像ローラ21aの現像領域aにおける電位差の方が、下流側の現像ローラ21bの現像領域bにおける電位差よりも大きく設定されている。換言すれば、上流側の現像ローラ21aに印加される交流バイアス電圧の平均電圧値が、下流側の現像ローラ21bに印加される交流バイアス電圧の平均電圧値よりも大きい。それゆえに、図4に示すように、上流側の現像ローラ21aの現像領域aを通過した後の現像トナー量M1が、下流側の現像ローラ21bの現像領域bを通過した後の現像トナー量M2よりも多くなる。
【0029】
ちなみに、従来の現像装置においては、現像領域a,bでのそれぞれの現像トナー量を積み上げるようにして目標とする現像トナー量を達成している。これに対して、本実施例では、上流側の現像領域aを通過した後の現像トナー量M1を多くして、いわば過剰に現像を行い、下流側の現像領域bを通過した後の現像トナー量M2を少なくして、過剰に現像されたトナーを下流側の現像領域bで回収するようにしている。その結果、細線や微小ドットの再現性が向上するとともに、特に低濃度部分でのトナーの濃度ムラやカブリが抑制される。
【0030】
(他の現像トナー量調整方法)
なお、現像領域a,bにおける現像トナー量M1,M2を調整する方法としては、前述した交流バイアス電圧の平均値を変える方法以外に、現像デューティ比を変えたり、交流バイアス電圧波形を変えることによっても調整できる。例えば、第1現像ローラ21aに印加するバイアス電圧としては、感光体1へトナーを移動させる際には急激な電圧変化が加わるような鋸歯状の電圧、第2現像ローラ21bに印加するバイアス電圧としては、感光体1からトナーを戻す方向に際しては急激な電圧変化が加わるような鋸歯状の電圧であってもよい。また、図2(A),(B)に示した矩形波形の間に0Vのブランク状態を有する波形であってもよい。
【0031】
(現像装置の第2実施例、図5参照)
第2実施例である現像装置2Bは、図5に示すように、前記第1実施例で示した現像剤担持ローラ23を、第1現像ローラ21aに対向する第1現像剤担持ローラ23aと、第2現像ローラ21bに対向する第2現像剤担持ローラ23bに分けて配置したものである。第1現像剤担持ローラ23aの回転方向は反時計回り方向、第2現像剤担持ローラ23bの回転方向は時計回り方向である。その他の構成は図1に示した第1実施例と同様である。
【0032】
現像剤槽28内の現像剤25は、まず、規制ブレード24で層厚(通過量)を規制されて第1現像剤担持ローラ23aに供給され、ローラ23a,23bの対向部分において、内蔵磁石による磁力の作用で第1現像剤担持ローラ23aに保持されているトナーの半分の量が第2現像剤担持ローラ23bに供給される。その後、トナーはローラ23a,23bから現像ローラ21a,21bに供給されることになる。現像ローラ21a,21bによる現像の作用は第1実施例と同様であり、現像のための交流バイアス電圧の印加は図2に示したとおりである。従って、第2実施例である現像装置2Bにおいても第1実施例と同様に、細線や微小ドットの再現性が向上するとともに、特に低濃度部分でのトナーの濃度ムラやカブリが抑制される。
【0033】
(実験例)
第1実施例である現像装置2Aを用いて以下の実験を行った。システム速度(用紙搬送速度)は700mm/secである。図2及び図3に示すように、現像剤担持ローラ23にはDC−550Vを印加した。第1現像ローラ21aには、振幅2kVで最小値Vmin−1550V、最大値Vmax450V、平均値Vavg−350V、現像デューティ比40%、周波数5kHzの交流バイアス電圧(矩形波)を印加した。第2現像ローラ21bには、振幅2kVで最小値Vmin−1400V、最大値Vmax600V、平均値Vavg−200V、現像デューティ比40%、周波数5kHzの交流バイアス電圧(矩形波)を印加した。
【0034】
現像ローラ21a,21bと現像剤担持ローラ23との間には、図3に示すように、それぞれ実効電位差ΔVavg−200VとΔVavg−350Vの電位差によるトナー供給電界が形成されることになる。現像剤担持ローラ23と現像ローラ21a,21bとの最近接部のギャップは0.5mmとした。現像剤担持ローラ23の上の単位面積当たりの現像剤搬送量が目標搬送量となるように、規制ブレード24と現像剤担持ローラ23との間隔を設定した。
【0035】
感光体1上に形成された静電潜像の背景部電位は−450V、ソリッド状画像部電位は−50Vである。感光体1と現像ローラ21a,21bとの最近接部のギャップは0.2mmとした。また、現像ローラ21a,21bの回転数は、それらの回転周速と感光体1の回転周速の比がそれぞれ1.5:1となるように設定した。
【0036】
現像剤としては以下のものを用いた。トナーは、湿式造粒法により作成された体積平均粒径約6.5μmのトナー母材100重量部に対し、第1の疎水性シリカ0.2重量部と第2の疎水性シリカ0.5重量部と疎水性酸化チタン0.5重量部を外添処理した負極性のものを用いた。キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子にアクリル系樹脂コートがなされているコート型キャリアで、平均粒径約33μmのものを用いた。現像剤中のトナー比率(現像剤全量に対するトナー量の割合)は8wt%とした。
【0037】
前記各種条件に基づいて、現像ローラ21a,21bと現像剤担持ローラ23との間のトナー供給電位差を一定に保ちつつ、現像ローラ21a,21bに印加する現像バイアスの平均電圧値Vavgを以下の表1の本発明例1〜4及び比較例1〜5に示すように変化させてプリント処理を行った。表1には、その際に現像領域a,bを通過後のソリッド状の画像部に対する現像トナー量M1,M2と、画像品質の相関関係を示す。下流側の現像領域bを通過後の現像トナー量については、必要な画像濃度が得られる付着量である5g/m2に設定している。
【0038】
評価した画像品質は、1200dpiで1ドット細線の再現性と、ハーフトーン部濃度ムラ、カブリであり、極めて良好なレベルを◎、実用上良好とされるレベルを○、好ましくないレベルを×として記載した。本発明例1〜4は、全て現像トナー量M1,M2がM1>M2の関係を満たし、全ての画像品質で良好な評価を得た。
【0039】
これに対して、比較例1〜5は、いずれも、M1≦M2の関係にあり、細線再現性、濃度ムラ、カブリのいずれかが好ましくないレベルに評価された。また、現像トナー量M2の値を5g/m2よりも大きく設定した比較例2,3については、トナー消費量が大きくなってランニングコストの上昇を招いたり、ソリッド画像中の白抜き細線の再現性が低下した。
【0040】
【表1】

【0041】
(他の実施例)
なお、本発明に係る現像装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0042】
例えば、感光体、現像剤ローラ、第1及び第2現像ローラの回転方向は前記実施例に記載した方向に限定するものではない。各種ローラは種々の材料にて製作することができる。また、トナーやキャリアも種々の材料を用いることができる。現像方式も従来知られている正規現像あるいは反転現像のいずれであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明は、現像装置に有用であり、特に、細線や微小ドットの再現性が向上し、トナーの濃度ムラやカブリを抑制できる点で優れている。
【符号の説明】
【0044】
1…感光体
2A,2B…現像装置
5a,5b…高圧電源回路
21a…第1現像ローラ
21b…第2現像ローラ
23…現像剤担持ローラ
a,b…現像領域
M1,M2…現像トナー量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを外周面に担持し、像担持体に対してその回転方向に沿って像担持体とは非接触で配置された複数のトナー担持体と、
トナーとキャリアとからなる現像剤を担持し、前記複数のトナー担持体にトナーを供給する現像剤担持体と、
を備え、
前記像担持体上に形成された静電潜像の電圧と前記トナー担持体に印加された交流バイアス電圧との間で形成される電界によりトナーを静電潜像に付着させる現像装置において、
前記像担持体の回転方向上流側の現像領域を通過した後の現像トナー量が、回転方向下流側の現像領域を通過した後の現像トナー量よりも多いこと、
を特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記像担持体の回転方向上流側のトナー担持体に印加される交流バイアス電圧の平均電圧値が、回転方向下流側のトナー担持体に印加される交流バイアス電圧の平均電圧値よりも大きいこと、を特徴とする請求項1に記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−257532(P2011−257532A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130907(P2010−130907)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】