説明

環境放射能測定管理システム及び放射能強度の分析方法

【課題】環境放射能を測定するための測定試料を安価に大量に処理することができる環境放射能測定管理システム及び放射能強度の分析方法を提供する。
【解決手段】顧客の現場110(110A,110B,110C,110D)においてラドン、トロンの子孫核種をフィルタに捕集し、捕集から、一時間以内にα線量のグロス測定を行なう(ステップS01)。次いで、捕集条件情報、グロス測定情報、採取現場情報等を付してフィルタを分析センタ120に送付する(ステップS02)。分析センタ120では、送付されたフィルタのグロス測定を再度行い、又、放射性核種分析を行い、精密な放射能強度の評価を行なう(ステップS03)。次いで、現場110での測定試料採取時点でのラドン量、トロン量を算出し(ステップS04)、顧客にラドン量、トロン量の分析結果を報告する(ステップS05)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境放射能測定に係り、特に、それに用いる環境放射能測定管理システム及び放射能強度の分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICRP(International Commission on Radiological Protection:国際放射線防護委員会)の勧告(ICPR Publication 60,1990年)において、自然放射線源による放射線被曝であっても、例えば、「規制当局が、ラドンに注意が必要と言明し、該当する作業場所であると認定した場所における操業」は、職業被曝の範囲に加えるべきであると勧告している。従って、例えば、温泉や多くの地下鉱山、ある種の地下作業場所における操業がこれに該当する可能性がある。
ところで、このような操業場所における空気中には、放射性希ガスであるラドン又はその子孫核種の系列(ウラニウム系列)と、同じく放射性希ガスであるトロン又はその子孫核種の系列(トリウム系列)の放射性元素が混在していることが多。また、トロンの子孫核種の系列は212Pb(Pb−212)の半減期が10.64時間と比較的長いのに対し、ラドンの子孫核種の系列は214Pb(Pb−214)の半減期が26.8分と短く、捕集機でフィルタに捕集しても、分析センタに送られて、測定分析がなされる前に214Pbが減衰してしまい、ラドンの子孫核種の系列の放射性元素が検出できなくなる問題があった。
【0003】
また、α線を放射する複数種の放射性元素が混じっている場合に、そのα線のエネルギが互いに近い値の場合に、化学分離を行なわずにα線検出器に入射したパルスの時間間隔を求めて解析することにより、放射性核種を同定し、定量する方法が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2002−196078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、一般的に測定試料を採取する多数箇所の現場で採用するには、コスト的に困難であり、より簡便な方法で、顧客の依頼する環境の空気中のラドンやトロン、又はそれらの子孫核種の系列の放射性元素による放射能を測定することが、内部被曝管理上求められる。
【0005】
本発明の目的は、環境放射能を測定するための測定試料を安価に大量に処理することができる環境放射能測定管理システム及び放射能強度の分析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、第1の発明は、顧客の依頼する測定場所において測定試料を採取して、現場に配置された第1の測定器により放射線のグロス測定をし、グロス測定の結果及び測定試料を分析センタに送付し、分析センタにて測定試料の採取時点における放射性核種の量を算出して顧客に報告する環境放射能測定業務を管理するサーバを有する環境放射能測定管理システムであって、
サーバは、顧客の依頼する測定場所を含む測定契約情報を管理する契約管理手段と、現場に配置された第1の測定器の校正スケジュールを管理する測定器校正管理手段と、を有し、測定器校正管理手段は、契約管理手段の管理する測定契約情報にもとづいて顧客の依頼する測定場所に配置された第1の測定器の校正有効期限内に、代替の第1の測定器を配達し、引き換えにそれまで配置されていた第1の測定器を引きとって、校正実施に回すように、指示を出すことを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、測定器校正管理手段により校正有効期限に近づいた第1の測定器に対して、校正有効期限切れ前に新たな第1の測定器が配送されるように手配するので、現場におけるグロス測定の品質管理が適切に行なえる。
【0008】
第2の発明は、環境中での天然放射性核種の短半減期成分と長半減期成分の混じった測定試料の放射能強度の分析方法であって、
測定試料の採取現場には、第1の検出効率で放射線のグロス測定を行なう第1の測定器を配置し、測定試料の精密測定をする分析センタには、第2の検出効率で放射線のグロス測定を行なう第2の測定器と、放射線のエネルギを分析して放射性核種を特定し、放射能強度を算出する放射線測定装置と、第1の検出効率及び第2の検出効率を記憶手段に予め記憶した分析用の計算機と、を配置し、
測定試料の採取現場にて、第1の測定器により測定試料の第1のグロス測定値を取得し、その第1のグロス測定値と、それに対応する測定時刻情報とを採取された測定試料とともに分析センタに送付されると、
分析センタにて、計算機は、
送付された第1のグロス測定値と、それに対応する測定時刻情報とを、入力手段を介して取得する工程Aと、
採取時間から所定の時間幅内に、第2の測定器により送付された測定試料の第2のグロス測定値と、それに対応する測定時刻情報を、入力手段を介して取得する工程Bと、
第2のグロス測定値を取得した時点から短時間内に測定試料を直接、又は前処理して、放射線測定装置により測定される放射性核種と、放射能強度とを、入力手段を介して取得する工程Cと、
取得された放射性核種、放射能強度、第2のグロス測定値及び第2の検出効率にもとづいて、グロス測定補正係数を算出する工程Dと、
第2のグロス測定値、第2の検出効率、グロス測定補正係数、第2のグロス測定値の測定時刻情報、及び第1のグロス測定値の測定時間情報にもとづいて、第1のグロス測定値を取得した時点における長半減期成分の放射能強度を算出する工程Eと、
第1のグロス測定値、第1の検出効率及びグロス測定補正係数にもとづいて、第1のグロス測定値を取得した時点における短半減期成分と長半減期成分の両方を合わせた放射能強度を算出したものから、更に工程Eで算出された長半減期成分の放射能強度を差し引いて第1のグロス測定値を取得した時点における短半減期成分の放射能強度を算出する工程Fと、
を有することを特徴とする。
【0009】
第2の発明によれば、測定試料を採取する現場における簡便な測定方法を組み合わせることにより、天然放射性核種の短半減期成分を、分析センタで分析することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、環境放射能を測定するための測定試料を安価に大量に処理することができる環境放射能測定管理システム及び放射能強度の分析方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
《環境放射能測定業務全体の流れ》
次に、本発明の好適な一実施形態である環境放射能測定管理システムを適用した環境放射能測定業務について、適宜図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係わる環境放射能測定業務における測定試料を採取する顧客の現場と、環境放射能測定業務を請け負う業者の分析センタとの間の、測定試料やデータの流れを示す図であり、図2は環境放射能測定業務における測定試料やデータの流れを示す全体フローチャートである。図3は、環境放射能測定業務における環境放射能測定管理システム全体の概要構成図である。
【0012】
図1に示すようにそれぞれの顧客の現場110(図1では110A,110B,110C,110Dで表示)において室内又は屋外の空気を捕集し、空気中に含まれるラドン、トロンの子孫核種をフィルタに捕集し、捕集から、例えば、一時間以内にα線量のグロス測定を行なう(図2のステップS01に対応)。
なお、捕集場所(試料採取場所)は、室内に限らず、一般の空間(公道上、河川近辺、山間部、温泉場付近等)を含む。
このグロス測定で得られる測定値が請求項に記載の第1のグロス測定値に対応する。
次いで、捕集条件情報、グロス測定情報、採取現場情報等を付してフィルタ(測定試料)を分析センタ120に送付する(図1中の実線矢印及び図2のステップS02に対応)。
なお、捕集条件情報、グロス測定情報、採取現場情報の具体的な内容については、図7〜図13を参照しながら後記する「第1のグロス測定」の作業の流れの説明の中で述べる。
【0013】
分析センタ120では、送付されたフィルタ(測定試料)のグロス測定を再度行い、又、放射性核種分析を行い、精密な放射能強度の評価を行なう(図2におけるステップS03に対応)。この、分析センタ120におけるグロス測定により得られる測定値が請求項に記載の第2のグロス測定値に対応する。
なお、第2のグロス測定値の取得や精密な核種分析は、ラドンの子孫核種の前記した半減期(214Pbの半減期26.8分)及びトロンの子孫核種の前記した半減期(212Pbの半減期が10.64時間)を考慮すると、ラドンの子孫核種が十分ゼロとみなせるまでに減衰し、且つ、トロンの子孫核種の測定精度が悪くなる程までトロンの子孫核種が減衰しないような測定試料の採取後、10時間から24時間以内に行なわれることが望ましい。
【0014】
次いで、分析センタ120では、現場110での測定試料採取時点での(遡っての)ラドン量、トロン量を算出する(図2におけるステップS04に対応)。
そして、分析センタ120は、ネット2を介して顧客にラドン量、トロン量の分析結果を報告する(図2におけるステップS05に対応)。
【0015】
そして、このような環境放射能測定業務を行なうために、環境放射能測定業務を請け負う業者は、図3に示すようにマニュアル5A、捕集機6、放射線測定器(以下、単に測定器と称する)7、測定台8、RFID(Radio frequency Identification)タグ・リーダライタ付き携帯端末(以下、携帯端末と称する)9を顧客に貸し出す。
現場110に配置された測定器7が請求項に記載の第1の測定器に対応する。
このような、顧客の現場110におけるグロス測定(第1のグロス測定)と、分析センタ120への測定試料の迅速な送付とによって、ラドン、トロンの子孫核種の減衰があっても正確な環境空気中のラドン量、トロン量の分析を行なうことができる環境放射能測定業務は、以下に記述する環境放射能測定管理システムによって実現できる。
【0016】
《環境放射能測定管理システム》
図3に示すように顧客が環境放射能を測定する測定試料採取の現場110(図3では、110A,110B,110C,110Dで表示)には、インターネット2を介して分析センタ120のサーバ3と接続する、例えば、パーソナルコンピュータで構成された端末1Aと、現場110における測定試料採取方法や第1のグロス測定方法を記載した現場用のマニュアル5A、エアロゾルを捕集する捕集機6、測定器7、測定台8、携帯端末9が配置されている。
端末1Aは、環境放射能の測定結果の報告を分析センタ120から受けたり、契約に伴う環境放射能測定の測定試料採取スケジュール案内を分析センタ120から受けたり、逆に分析センタ120へ連絡事項を伝えたりするのに使われる。
【0017】
また、環境放射能測定業務を分析センタ120に依頼した顧客依頼元130にも、例えば、パーソナルコンピュータで構成された端末1Bが配され、サーバ3とネットワーク2を介して接続しており、環境放射能の測定結果の報告を分析センタ120から受けたり、環境放射能の測定業務に対する請求書を受けたりする。
顧客依頼元130は、例えば、作業所や温泉等を複数、離れた地点に有している場合は、端末1Aと、端末1Bは異なるが、作業所や温泉等を1箇所しか有しない顧客依頼元130の場合は、顧客依頼元130と現場110が同じ場所となり、端末1Aと端末1Bは兼用されることもある。
【0018】
採取された測定試料を集中的に分析する分析センタ120には、例えば、パーソナルコンピュータで構成されたサーバ3が配置され、例えば、インターネットのネットワーク2を介して、端末1A、1Bと接続している。
分析センタ120には、サーバ3の他にセンタにおける第2のグロス測定方法等が記載された分析センタ用のマニュアル5B、測定器7、測定台8、携帯端末9、測定試料を精密測定する放射線測定装置17が配置されている。ここで分析センタ120に配置された測定器7が請求項に記載の第2の測定器に対応する。
サーバ3は、本体3a、記憶部(記憶手段)3b、液晶表示装置等で構成された表示部3c、キーボードやマウス等で構成された入力部3d、プリンタ3e等を含んで構成されている。本体3aは、図示しないCPU、CPUに接続する図示しないバス、バスに接続されたROM、RAM、I/Oインターフェース等から構成されている。
サーバ3は分析センタ120内の各部門(後記する測定試料受け付け部門、分析担当部門、測定器校正作業部門等)に配置された図示省略した複数の端末1AとLANで通信可能に接続されている。
ちなみに、放射線測定装置17は、例えば、特開2003−50279号公報等に記載の核種分析や放射能強度を分析できる公知のα線測定装置であり、詳細な説明は省略する。
【0019】
《現場における測定試料採取及びグロス測定》
次に、現場110に配置される機器等について図4から図6を参照しながら説明する。図4は現場に配置される機器等の構成を説明する図であり、(a)は現場用のマニュアルを説明する図であり、(b)は捕集機の構成図であり、(c)は測定器でグロス測定する場合の機器構成を説明する図であり、(d)はRFIDタグ・リーダライタ付の携帯端末の外形図であり、(e)は測定試料を容器に収納した状態を説明する図であり、(f)は端末の構成図である。
【0020】
(現場用のマニュアル)
図5の(a)は現場用のマニュアルに貼付されたRFIDタグのRFIDタグ情報の内容を例示する図であり、(b)は捕集機に貼付されたRFIDタグのRFIDタグ情報の内容を例示する図である。
現場用のマニュアル5Aには、マニュアル番号等の識別用のマニュアルID、測定目的、発行日、改定番号、適用する測定器7の型式である適用測定器型式、適用する測定台8の型式である適用測定台型式、測定器設定条件、顧客への送付日、顧客を識別するための情報である顧客コード、契約を識別する後記するサービス契約ID40c(図15参照)、捕集機6にセットしてエアロゾル13を捕集したフィルタ11を測定台8に設定し、測定器7を用いてグロス測定する方法、フィルタ11に貼付されたRFIDタグ12Cにデータを、携帯端末9を用いて行なう方法、分析センタ120へのフィルタ11の送付方法等が記載されている。
なお、捕集機6には、捕集機6の使用方法を説明する図示省略のマニュアルが別途備えられている。
【0021】
マニュアル5Aには、図4の(a)に示すように、にRFIDタグ12Aが貼付されている。RFIDタグ12A及び、後記するRFIDタグ12B,12C,12D,12Eは、ここでは、全てRAM型のRFIDタグとしており、製造段階で書き込まれたそのRFIDタグを識別するためのRFIDタグ識別番号については変更不能であるが、他の情報については書き直し可能なものである。RFIDタグ12Aには、図5の(a)に示すように、製造段階で書き込まれたそのRFIDタグ12Aを識別するためのRFIDタグ識別番号の他に、顧客に届けられる前に予め前記したマニュアルID、適用測定器型式、適用測定台型式、測定器設定条件、顧客への送付日、顧客コード、サービス契約ID等のマニュアル情報50が記録されている。
【0022】
(捕集機)
次に図4の(b)を参照しながら捕集機の構成と測定試料の採取方法について説明する。空気中に浮遊するエアロゾル13は、吸入口を有する吸引ノズル6aと図示しない排気口以外は密閉構造を形成可能な筐体構造の捕集機6により捕集される。先ず、捕集機6の筐体6bの前面側に設けられた図示しない扉を開けて、エアロゾル捕集用のフィルタ11をセットする。前記扉の裏面は筐体6bの前面側の開口部縁部と密着して密閉可能な構成であり、図示しない吸引ファンを所定時間回転させ、吸引ノズル6aから取り込まれた空気をフィルタ11の上面側に導き、フィルタ11の上面側から下面側に通過させ、その後吸引ファンの排気を図示しない排気口から排出する。単位時間当たりの空気の吸込み量は、あらかじめ性能仕様として検定されており、運転時間(タイマ設定時間)、つまり捕集時間から捕集したエアロゾル13に対する空気容積が分かるようになっている。または、排気側に流量計を設けて空気の吸込み量を測定するようにしても良い。
【0023】
筐体6bの前面側には操作部6cが設けられ、顧客の作業者は操作部6cを操作して図示しないタイマを設定して前記吸引ファンを所定時間回転させる。
なお、捕集機6は、操作部6cに、例えば、液晶等の表示画面を有しており、設定されたタイマ設定時間が終了すると、単位時間当たりの空気容積とタイマ設定時間、捕集終了時刻を、それぞれ表示する構成となっている。また、タイマ設定時間が終了するとアラーム音が鳴るようになっている。
【0024】
捕集機6の筐体6bにはRFIDタグ12B(図4の(b)参照)が貼付されており、図5の(b)に示すように、製造段階で書き込まれたそのRFIDタグ12Bを識別するためのRFIDタグ識別情報や、顧客に届けられる前に予め、捕集機6を識別するための捕集機ID、捕集機型式、単位時間当たりの空気の吸込み量である送風容量(例えば、リットル/分単位の表示であり、捕集容量とも呼ばれる)、製造番号、製造者、所有者等の捕集機情報51Aや、顧客の現場110に設置した年月日や、最寄りの点検年月日(設置日/点検日)、点検者名等の点検情報51Bが記録されている。
なお、前記フィルタ11の周縁部の捕集部ではないところにRFIDタグ12Cが貼付されている。RFIDタグ12Cに記録される情報については、図13の説明の中で後記する。
【0025】
(測定器)
測定器7について図4の(c)及び図6の(a)を参照しながら説明する。
図6の(a)は測定器に貼付されたRFIDタグのRFIDタグ情報の内容を例示する図であり、(b)は測定台に貼付されたRFIDタグのRFIDタグ情報の内容を例示する図である。
測定器7は、例えば、ZnS(Ag)シンチレーション検出器、GM管等のα線をグロス測定するグロスα線測定器である。測定器7は、プローブ7aと、プローブ7aとケーブルで接続された測定器本体7bとから構成されている。測定器本体7bには、操作ボタンを有する操作部7cと、測定値を表示する表示部7dを有する。
【0026】
操作部7cは、例えば、測定器7の電源をオン/オフするON/OFFボタン、測定値の単位を切り換える単位変更ボタン、計数の開始、停止を操作する計数開始/停止ボタン、測定器7の内蔵する図示しないスピーカや照明をオン/オフするためのそれぞれのON/OFFボタン、レンジを切り換えるためのレンジ切換ボタン、ファンクションを切り換えるためのファンクション切換ボタン、GM管式を用いた測定器7の場合は、時定数又は測定時間を切り換えるためのボタン等が設けられている。
表示部7dは、測定した測定値を表示するが、図4の(c)に示すように測定結果を目盛りのついたスケールと針で表示する表示器であっても、測定結果をデジタル表示するLCD(Liquid Crystal Display)であっても良い。
【0027】
測定器7には、RFIDタグ12D(図4の(c)参照)が貼付されており、図6の(a)に示すように製造段階で書き込まれたそのRFIDタグ12Dを識別するためのRFIDタグ識別情報や、顧客に届けられる前に予め、測定器7を識別するための測定器ID、測定器型式、製造番号、製造者、所有者、校正実施日、校正有効期限、校正実施者、適用する測定台型式(適用測定台型式)、適用するマニュアルのID(適用マニュアルID)、検出効率等の測定器情報52が記録されている。
ここで、現場110に配置された測定器7の検出効率が請求項に記載の第1の検出効率に対応する。
【0028】
このグロスα線測定器のプローブ7aの入射窓は0.8〜1mg/cm程度の厚さであり、アルミニウムの透過厚に換算すると4μmに相当する。入射窓はアルミマイラ膜等で構成される。
【0029】
α線放出核種からのα線のエネルギは数MeV〜9MeVまでである。また、一般環境に存在するα線放出核種(ラドン、トロンとそれらの子孫核種)からのアルファ線のエネルギは、4MeV〜9MeVである。4MeVのα線のアルミ透過厚は16μm、5MeVでは21μmである。このエネルギ範囲のα線は、入射窓が0.8〜1mg/cm程度であれば、わずかなエネルギロスを伴うが、ほとんど入射窓を透過することになる。つまり、エネルギ分析をしないグロス測定では、1個のα線の入射を入射窓により遮へいすることなく、1個と正確に検出することができる。
従って、グロスα線測定の検出効率の校正は、通常、放射能強度が既知のAm−241(アメリシウム241)の5.49MeVのα線を放出する標準線源を用いて、校正する。
【0030】
(測定台)
作業者は、捕集機6のタイマ設定時間が終了した時点で、フィルタ11を捕集機6から取り出し、トレイ8a(図4の(c)参照)に載せ、測定台8の測定棚8bに設置する。
そして、測定器7を動作状態にして、そのプローブ7aの入射窓を下にして、測定台8のプローブ設置面8cの上に設定する。プローブ設置面8cには、プローブ7aの入射窓に対応する開口部が設けてある。この測定台8は、フィルタ11とプローブ7aの入射窓との距離を予め決められた一定の値に規定するためのものであり、図示しないプローブ固定腕が設けられており、プローブ固定腕にプローブ7aを固定して、前記したフィルタ11とプローブ7aの入射窓との距離を一定の値に規定する。このプローブ固定腕にプローブ7aが固定された状態で、測定器7は、所定の感度に設定されたとき、幾何学的効率を含む校正された前記検出効率になるようになっている。
【0031】
測定台8には、RFIDタグ12E(図4の(c)参照)が貼付されており、図6の(b)に示すように製造段階で書き込まれたそのRFIDタグ12Eを識別するためのRFIDタグ識別情報や、顧客に届けられる前に予め、測定台8を識別するための測定台ID、測定台型式、適用する測定器型式(適用測定器型式)、所有者、設置日等の測定台情報53が記録されている。
【0032】
次に、携帯端末9について説明する。図4の(d)に示すように携帯端末9は、手で握る把持部9a、テンキー、カーソル移動ボタン、決定ボタン等の操作ボタンを有する操作部9b、表示部9cを備えている。この携帯端末9は、単にRFIDタグの情報を読み出したり、RFIDタグに情報を書き込んだりするだけでなく、携帯端末の機能を有し、予め携帯端末9にダウンロードされたアプリケーションプログラムに従って、顧客の操作者が、現場110において採取した測定試料に対するグロス測定の結果を前記したフィルタ11に貼付されたRFIDタグ12Cに書き込む作業を確実にするような手順を携帯端末9が指示するようになっている。
【0033】
ちなみに、顧客の現場110には図4の(f)に示すように顧客の自己所有の端末1A、例えば、パーソナルコンピュータが備えられている。端末1Aは、図示しないCPU、バス、ROM、RAM、インターフェース回路、記憶装置等を含む端末本体1aと、端末本体1aに接続する表示装置1b、キーボード1c、マウス1d等を有している。端末本体1aは、例えば、ターミナルアダプタ(TA)21を介して、ネットワーク2に接続している。
そして、携帯端末9は、端末1Aを介して前記したプログラムをダウンロードするための、例えば、USBコネクタ受け部9d(図4(d)参照)を備え、端末1AのUSBコネクタ1e(図4の(f)参照)と接続可能になっている。
【0034】
以下に、図7から図13を参照しながら現場110における測定試料の採取とグロス測定の作業の流れを説明する。
図7から図12は現場における測定試料の採取とグロス測定の作業を携帯端末で援助する制御の流れを示すフローチャートである。図13は測定試料に貼付されたRFIDタグに書き込まれるRFIDタグ情報の内容を例示する図である。
顧客の現場110における環境放射能測定担当の作業者は、事前にマニュアル5Aや捕集機6のマニュアルを読み、作業の流れを熟知しているものとする。そして、ポリエチレン袋等の密封袋に密封されている清浄なフィルタ11を密封袋から取り出し、捕集機6にセットし、測定試料を採取すべき場所に捕集機6を設置し、捕集機6の操作部6cのタイマを設定し、所定の時間空気を捕集する。
そして、タイマ設定された捕集終了時刻前後に、携帯端末9をオン状態にして、予めロードされている前記したグロス測定作業援助用のアプリケーションプログラムを動作させ、以下のように携帯端末9を用いて、表示部9cに表示されるメッセージに従って、作業を進める。
【0035】
携帯端末9を起動すると、携帯端末9は、「マニュアルのRFIDタグを読み取ってください」を表示部9cに表示し(ステップS111)、作業者が携帯端末9のRFIDタグR/Wのアンテナ部側(表示部9cの裏側)をRFIDタグ12Aに近づけると、それと通信して、RFIDタグ12Aを読み取る(ステップS112)。ステップS113では、携帯端末9は、RFIDタグ12AのRFIDタグ情報(図5の(a)のマニュアル情報50参照)を読み取れたか否かをチェックし、読み取れた場合(Yes)はステップS114へ進み、読み取れなかった場合(No)はステップS112に戻る。
【0036】
ステップS114では、携帯端末9は、「測定作業者名と採取場所名称を入力して、決定ボタンを押下して下さい」を表示する。そして、作業者が操作部9bを用いて行なう測定作業者名と採取場所名称の入力操作を受け付け(ステップS115)、ステップS116において決定ボタンが押下されたか否かをチェックする。決定ボタンが押下された場合(Yes)はステップS117へ進み、そうでない場合(No)はステップS115に戻り、入力操作の受け付けを続ける。
ステップS117では、携帯端末9は、ステップS112で取得したRFIDタグ情報を表示部9cに表示するとともに、「捕集機でフィルタにエアロゾルの捕集、完了しましたか?完了したら決定ボタンを押下して下さい」を表示する。そして、入力操作を受け付け(ステップS118)、ステップS119において決定ボタンが押下されたか否かをチェックする。決定ボタンが押下された場合(Yes)はステップS120へ進み、そうでない場合(No)はステップS118に戻り、入力操作の受け付けを続ける。
【0037】
ステップS120では、「捕集機6の捕集終了時刻を入力して、決定ボタンを押下して下さい」を表示する。そして、入力操作を受け付け(ステップS121)、ステップS122において決定ボタンが押下されたか否かをチェックする。決定ボタンが押下された場合(Yes)はステップS123へ進み、そうでない場合(No)はステップS121に戻り、入力操作の受け付けを続ける。
なお、捕集終了時刻とは、年月日を含む時刻情報である。
ステップS123では、「タイマ設定時間を入力して、決定ボタンを押下してください」を表示する。そして、入力操作を受け付け(ステップS124)、ステップS125において決定ボタンが押下されたか否かをチェックする。決定ボタンが押下された場合(Yes)はステップS126へ進み、そうでない場合(No)はステップS124に戻り、入力操作の受け付けを続ける。
【0038】
ステップS126では、「捕集機のRFIDタグを読み取って下さい」を表示する。作業者が携帯端末9のRFIDタグR/Wのアンテナ部側をRFIDタグ12Bに近づけると、それと通信して、RFIDタグ12Bを読み取る(ステップS127)。ステップS128では、携帯端末9は、RFIDタグ12BのRFIDタグ情報(図5の(b)の捕集機情報51A、点検情報51B参照)を読み取れたか否かをチェックし、読み取れた場合(Yes)はステップS129へ進み、読み取れなかった場合(No)はステップS127に戻る。
ステップS129では、携帯端末9は、ステップS127で取得したRFIDタグ情報を表示部9cに表示するとともに、「OKなら決定ボタンを押下して下さい」を表示する。そして、入力操作を受け付け(ステップS130)、ステップS131において決定ボタンが押下されたか否かをチェックする。決定ボタンが押下された場合(Yes)はステップS132へ進み、そうでない場合(No)はステップS130に戻り、入力操作の受け付けを続ける。
【0039】
ステップS132では、「測定器のRFIDタグを読み取って下さい」を表示し、作業者が携帯端末9のRFIDタグR/Wのアンテナ部側をRFIDタグ12Dに近づけると、それと通信して、RFIDタグ12Dを読み取る(ステップS133)。ステップS134では、携帯端末9は、RFIDタグ12DのRFIDタグ情報(図6の(a)の測定器情報52参照)を読み取れたか否かをチェックし、読み取れた場合(Yes)はステップS135へ進み、読み取れなかった場合(No)はステップS133に戻る。
ステップS135では、携帯端末9は、ステップS133で取得したRFIDタグ情報(図6の(a)の測定器情報52参照)を表示部9cに表示するとともに、「OKなら決定ボタンを押下して下さい」を表示する。そして、入力操作を受け付け(ステップS136)、ステップS137において決定ボタンが押下されたか否かをチェックする。決定ボタンが押下された場合(Yes)はステップS138へ進み、そうでない場合(No)はステップS136に戻り、入力操作の受け付けを続ける。
【0040】
ステップS138では、「測定台のRFIDタグを読み取って下さい」を表示し、作業者が携帯端末9のRFIDタグR/Wのアンテナ部側をRFIDタグ12Eに近づけると、それと通信して、RFIDタグ12Eを読み取る(ステップS139)。ステップS140では、携帯端末9は、RFIDタグ12EのRFIDタグ情報(図6の(b)の測定台情報53参照)を読み取れたか否かをチェックし、読み取れた場合(Yes)はステップS141へ進み、読み取れなかった場合(No)はステップS139に戻る。
ステップS141では、携帯端末9は、ステップS139で取得したRFIDタグ情報(図6の(b)の測定台情報53参照)を表示部9cに表示するとともに、「OKなら決定ボタンを押下して下さい」を表示する。そして、入力操作を受け付け(ステップS142)、ステップS143において決定ボタンが押下されたか否かをチェックする。決定ボタンが押下された場合(Yes)はステップS144へ進み、そうでない場合(No)はステップS142に戻り、入力操作の受け付けを続ける。
【0041】
ステップS144では、ステップS112で取得したマニュアル情報50に含まれる適用測定器型式とステップS133において取得した測定器情報52に含まれる測定器型式が合致するか否かをチェックする(「マニュアルの適用測定器型式と合致?」)。合致する場合(Yes)はステップS145へ進み、合致しない場合(No)はステップS146へ進む。
ステップS145ではステップS112で取得したマニュアル情報50に含まれる適用測定台型式とステップS139において取得した測定台情報53に含まれる測定台型式が合致するか否かをチェックする(「マニュアルの適用測定台型式と合致?」)。合致する場合(Yes)はステップS147へ進み、合致しない場合(No)はステップS148へ進む。
ステップS147では、「フィルタを測定台にセットし、測定器を以下の測定条件に設定して下さい」との表示をして、更に、ステップS112で取得したマニュアル情報50に含まれる測定器設定条件を表示する。この後、作業者は、表示部9cに表示された指示に従い、マニュアル5Aを確認しつつ、フィルタ11を測定台8にセットし、測定器7の操作部7cの操作ボタンを押して、所定の指示された条件に測定器7を設定し、放射線の第1のグロス測定を行なう。
【0042】
ステップS144からステップS146へ進んだ場合は、「マニュアルと測定器型式が合致しません。分析センタの指示に従って下さい」を表示し、ステップS149へ進む。
ステップS145からステップS148へ進んだ場合は、「マニュアルと測定台型式が合致しません。分析センタの指示に従って下さい」を表示し、ステップS149へ進む。
ステップS146又はステップS148の後、ステップS149へ進み、「分析センタの指示に従ってフィルタを測定台にセットし、測定器を分析センタの指示に従って設定して下さい」と表示する。作業者は分析センタ120へ電話連絡して、相談窓口に状況を伝え、相談窓口の技術サポートエンジニアの指示を受けて、測定台8にフィルタ11をセットし、測定器7を設定する。
ステップS146,S148,S149は、マニュアル5Aに記載の適用測定器型式と測定器7の型式に食い違いがあった場合、又は、マニュアル5Aに記載の適用測定台型式と測定台8の型式に食い違いがあった場合に、応急的に対処するための流れである。
ステップS147及びステップS149の後、ステップS150に進む。
【0043】
ステップS150では、「現在の測定値を入力して、決定ボタンを押下して下さい」を表示する。そして、作業者による第1のグロス測定値の入力操作を受け付け(ステップS151)、ステップS152において決定ボタンが押下されたか否かをチェックする。決定ボタンが押下された場合(Yes)はステップS153へ進み、そうでない場合(No)はステップS151に戻り、入力操作の受け付けを続ける。
ステップS153では、携帯端末9は、内蔵しているカレンダ・時計機能により現在時刻を取得する。
【0044】
ステップS154では、「フィルタを容器に収納して、RFIDタグに情報を書き込んで下さい」を表示する。作業者は容器14(図4の(e)参照)にフィルタ11を収納し、蓋を強く締めて密閉する。そして、容器14の蓋越しに携帯端末9のRFIDタグR/Wのアンテナ部側をRFIDタグ12Cに近づけると、それと通信して、RFIDタグ12Cに図13に例示した、現場測定作業者名欄以下の各種の情報を書き込む(ステップS155、「RFIDタグ情報書き込み」)。
【0045】
図13にステップS155においてRFIDタグ12Cに書き込まれるRFIDタグ情報の例を示す。フィルタ11の識別を兼ねるRFIDタグ識別番号は、製造段階で書き込まれたRFIDタグ12Cの識別用のものである。現場測定作業者名54aと採取場所名称54bはステップS115において作業者の入力操作を受け付けたものである。捕集終了時刻55aは、ステップS121において作業者の入力操作を受け付けたものであり、タイマ設定時間55bは、ステップS124において作業者の入力操作を受け付けたものである。捕集機ID、捕集機型式、送風容量等の捕集機情報51Aは、ステップS127においてRFIDタグ12Bから取得したものである。
グロス測定値及び測定時刻のグロス測定情報56は、ステップS151において作業者の入力操作を受け付けた現在の測定値とステップS153で取得した現在時刻である。
ちなみに、測定時刻は年月日の情報も含んでいる。
ステップS151において作業者の入力操作を受け付けた現在の測定値は、請求項に記載の第1のグロス測定値に対応し、ステップS153で取得した現在時刻は請求項に記載の第1のグロス測定値に対応する測定時刻情報である。
【0046】
測定器ID、測定器型式、校正有効期限、検出効率等の測定器情報52は、ステップS133においてRFIDタグ12Dから取得したものである。測定台ID、測定台型式等の測定台情報53は、ステップS139においてRFIDタグ12Eから取得したものである。マニュアルID、顧客コード、サービス契約ID等のマニュアル情報50は、ステップS112においてRFIDタグ12Aから取得したものである。
ここで、捕集終了時刻55a及びタイマ設定時間55bや、捕集機ID、捕集機型式、送風容量等の捕集機情報51Aは、前記したステップS02における「捕集条件情報」に対応し、グロス測定値や測定時刻のグロス測定情報56は、ステップS02における「グロス測定情報」に対応し、現場測定作業者名54a及び採取場所名称54bや、マニュアルID、顧客コード、サービス契約ID等のマニュアル情報50は、ステップS02における「採取現場情報」に対応する。
なお、RFIDタグ12Cにフィルタを識別するためのフィルタIDをRFIDタグ識別番号とは別に記録するようにしても良い。
【0047】
ステップS156では、ステップS155で書き込んだ内容を表示して作業者に確認させるとともに(RFIDタグ情報確認表示)、「フィルタのRFIDタグに書き込み完了の場合は、単に決定ボタンを押下し、完了でない場合は、表示の「戻る」ボタンにカーソルを合わせて、決定ボタンを押下して下さい」を表示する。
そして、作業者による入力操作を受け付け(ステップS157)、ステップS158において「決定」、又は、「戻る」のいずれかをチェックする。「決定」の場合は、「測定試料の測定は完了しました。分析センタに急ぎ送付下さい。また、分析センタにこの内容を送信して下さい」を表示(ステップS159)し、一連の携帯端末9による会話処理の作業は終了する。「戻る」の場合はステップS155へ戻り、RFIDタグ情報の書き込みをやり直す。
【0048】
RFIDタグ12CにRFIDタグ情報の書き込みを終了した後、作業員は、測定試料(フィルタ11)を容器14に収納して容器に貼付された図示しないラベルにサービス契約ID、捕集終了時刻、採取場所名称等を記載し、捕集完了時刻から、例えば、24時間以内の日時を配達時間として指定して、宅配便で分析センタ120に送付する。また、携帯端末9を端末1AのUSBコネクタ1eに接続して、RFIDタグ12Cに書き込ませた内容を、端末1A経由で、分析センタ120のサーバ3に送信しても良い。
【0049】
《分析センタの詳細な説明》
次に分析センタ120における環境放射能測定業務とサーバ3の詳細な機能構成について図14から図34を参照しながら説明する。
(サーバ)
先ず、図14を参照しながらサーバ3の機能構成について説明する。
図14は、分析センタに配置されるサーバの機能構成ブロック図である。サーバ3の本体3aに含まれるCPUにおいて記憶部3bに格納されたアプリケーションプログラム23を実行することによって本体3aの機能が実現される。
本体3aは、契約管理部(契約管理手段)32、サービス管理部33、課金処理部37を含んでいる。そして、サービス管理部33は、測定スケジュール管理部34、レンタル機器管理部(レンタル機器管理手段)35、測定データ管理部36、課金処理部(課金処理手段)37を含んでいる。
記憶部3bには、アプリケーションプログラム23、顧客データベース(以下、顧客DBと称する)40、サービス契約データベース(以下、サービス契約DBと称する)41、顧客レンタル機器データベース(以下、顧客レンタル機器DBと称する)42、測定器データベース(以下、測定器DBと称する)43、測定台データベース(以下、測定台DBと称する)44、捕集機データベース(以下、捕集機DBと称する)45、RFIDタグR/W付き携帯端末データベース(以下、携帯端末DBと称する)46、マニュアル・データベース(以下、マニュアルDBと称する)47、測定データ・データベース(以下、測定データDBと称する)48、課金データベース(以下、課金DBと称する)49が格納されている。
顧客レンタル機器DB42には、測定器レンタルデータ61、測定台レンタルデータ63、捕集機レンタルデータ65、携帯端末レンタルデータ67、マニュアル・レンタルデータ69が含まれている。
以下に個々のDBについて図を参照しながら各管理部との機能と対応させて説明する。
【0050】
(契約管理部)
図15は顧客DBのデータ内容を例示する図であり、図16はサービス契約DBのデータ内容を例示する図である。
契約管理部32は、顧客との環境放射能測定業務の請負内容を登録したり更新したりする機能を有し、顧客DB40、サービス契約DB41を管理する。
顧客DB40には、図15に示すように顧客毎に顧客名称40a、顧客を識別するための識別番号である顧客コード40b、顧客の環境放射能測定を依頼する現場110毎に業務請負の契約内容を登録したサービス契約の識別IDであるサービス契約ID40c、顧客の契約担当部門の所在地、部門名の情報(所在地・部門)40d、連絡先電話番号40e(この中にはメールアドレスの情報も含んでも良い)、契約担当部門の連絡担当者の氏名(連絡担当者)40f、顧客が業者と契約時に顧客が登録したパスワードである認証情報40g、端末1B(図3参照)の端末アドレス情報40h等の顧客基本データ60が含まれる。
顧客が、例えば、複数の温泉ホテルや温泉旅館を傘下に擁する会社の場合、サービス契約ID40cは、それぞれの温泉ホテルや温泉旅館の現場110毎に存在し、図16に示すサービス契約の内容がそれぞれ登録される。
【0051】
サービス契約DB41には、サービス契約ID41a、顧客コード41b、各現場110の所在地と、そこにおいて環境放射能測定業務を担当する部門名の情報(現場所在地・部門)41c、電話番号41d、担当者名41e、各場毎に定められたパスワードである識別情報41f、測定器7の買取・レンタル状況41g、測定器7の校正サービスの有無41h、捕集機6の買取・レンタル状況41i、捕集機6のメンテナンス・サービスの有無41j、測定台8の買取・レンタル状況41k、携帯端末9の買取・レンタル状況41m、端末1Aのアドレス情報41n、環境放射能を測定する頻度、例えば、1回/月とか、1回/6ヶ月とかの測定頻度41p、測定開始起算日41q、1回あたりの測定試料数41r、契約の有効状況41s等の情報が記録されている。
【0052】
なお、測定頻度41pは、ラドン、トロンの濃度管理が法制化された場合の管理基準値と測定結果との結果にもとづいて決まるものであり、契約段階で実際に試しに測定して、その結果で顧客と業者との合意の下に設定される。従って、現場110のラドン、トロンの濃度が高いほど測定頻度は相対的に高く設定される。
また、1回の測定試料数41rは、現場110においてラドン、トロンの濃度管理をすべき空間が複数存在する場合は管理基準にもとづいて必要に応じて、契約段階で実際に試しに測定して、その結果で顧客と業者との合意の下に設定される。
ちなみに、ここでは、一つの現場に対して、マニュアル5A、捕集機6、測定器7、測定台8、携帯端末9は、それぞれ1つのみ配置されるとしているが、それに限定されるものではない。
ここで前記したサービス契約DB41の情報が請求項に記載の測定契約情報に対応する。
このように顧客基本データ60と、サービス契約DB41の情報を分離して管理することで、現場110毎の契約内容の違いや、現場110毎の契約内容の変更に柔軟に対応できる。
【0053】
(測定スケジュール管理部)
測定スケジュール管理部34は、サービス契約DB41を検索して、測定頻度41p、測定開始起算日41qにもとづいて測定予定日を算出し、算出された測定予定日の所定日数前、例えば、測定予定日の4日前に相当するサービス契約ID41aを抽出し、そのサービス契約ID41a、顧客コード41b、現場所在地・部門41c、電話番号41d、担当者名41e、1回の測定試料数41r、端末1Aのアドレス情報41n、測定予定日をプリンタ3eに出力させる。
分析センタ120の測定スケジュール管理の担当者は、プリントされた前記情報にもとづいて、RFIDタグ12Cが貼付されたフィルタ11を密封包装したものと容器14とのセットを、必要組数だけ準備して、宅配便にてその現場110に測定予定日の前日までに送達できるように手配する。
なお、この手配をプリントせずにLANを使用した電子通知で行なっても良い。
【0054】
(レンタル機器管理部)
次に、図14、及び図17から図24を参照しながらレンタル機器管理部35の詳細な説明をする。レンタル機器管理部35は、測定器管理部35a、測定台管理部35b、捕集機管理部35c、マニュアル管理部35e、携帯端末管理部35dを含んでいる。
以下では、説明を簡単化するために、捕集機6、測定器7、測定台8、携帯端末9は全て環境放射能測定業務を請け負う業者が顧客に有料で貸し出しているレンタル機器であるとする。
【0055】
図17の(a)は顧客レンタル機器DBの中に顧客の現場毎に記録される、貸し出されている測定器に対する測定器レンタルデータを例示したものであり、(b)は顧客レンタル機器DBの中に現場毎に記録される、貸し出されている測定台に対する測定台レンタルデータを例示したものである。
(測定器管理部の機能説明)
測定器管理部35aは、顧客レンタル機器DB42に記録される測定器レンタルデータ61及び測定器DB43の情報を登録したり、更新したりする。そして、測定器レンタルデータ61を検索して測定器7の校正有効期限に近づいたものを抽出して、交換の測定器7を顧客の現場110に送付する手配を指示する機能を有する。この手配指示をする制御のフローチャートについては後記する。
測定器レンタルデータ61は、図17の(a)に示すように、顧客コード61a、サービス契約ID61b、1レンタル期間分の測定器レンタルデータ単位62から構成され、サービス契約ID毎に一つのファイルに纏められている。1レンタル期間分の測定器レンタルデータ単位62の中には、初めてのレンタル開始年月日、又は校正有効期限が近づいたために交換のために送付された年月日である期間開始日(送付日)62a、校正有効期限が近づいたために回収された年月日である期間終了日(回収日)62b、測定器ID62c、その測定器7に貼付されているRFIDタグ12D(図4の(c)参照)のRFIDタグ識別番号62d、測定器型式62e、校正有効期限62f、検出効率62g、その測定器7に適用されるマニュアルID62h等の情報が含まれる。
現在レンタル中の測定器7に対しては、期間開始日62aが記録されているが、期間終了日62bがブランクになっている。それに対して、すでに回収された測定器7は、期間開始日62a、期間終了日62bがともに記録されているので判別ができる。
そして、一つの現場110において、どのような測定器7の貸し出しがなされているかの履歴情報が測定器レンタルデータ61の中に含まれる複数のレンタル期間分の測定器レンタルデータ単位62を見ることによって確認できるように構成されている。
【0056】
また、1レンタル期間分の測定器レンタルデータ単位62の中に、その測定器7に対して適用されるマニュアルID62gが含まれているので、測定器7の型式がそれまで貸し出されていた測定器7の型式と異なる場合に、マニュアル5Aの変更が必要か否かの判断が容易にできる。また、測定器7に合わせて適用すべき測定台8の型式もマニュアル5Aに記載されているので、マニュアルID62hを特定することによって、測定器7の型式がそれまで貸し出されていた測定器7の型式と異なる場合に、測定台8の変更が必要か否かの判断が容易にできる。
【0057】
測定器管理部35aは、測定器DB43を管理して、環境放射能測定業務を請負う業者がレンタル用に所有している測定器7それぞれについて、管理履歴情報を記録している。
図20は測定器DBにおける1つの測定器に対する管理履歴情報を例示したものである。1つの測定器7に対する管理履歴情報は、測定器ID43a、測定器7に貼付されているRFIDタグ12D(図4の(c)参照)のRFIDタグ識別番号43b、測定器名称43c、測定器型式43d、適合測定台型式43e、製造番号43f、製造者43g、製造者の補修サービスを受けることができなくなる使用限界予定日43h、使用が禁止されたことを示す廃棄フラグ43i、所有者43j、所在状況フラグ43k、適用マニュアルID43m、レンタルのために貸し出される毎に記録されるレンタル履歴情報43nを含んでいる。
【0058】
ちなみに、所在状況フラグ43kは、「現在貸し出し中」、「貸し出し待機中」、「校正作業中」、「修理中」等の状況を示すフラグである。
レンタル履歴情報43nの中には、レンタル先を調べることができるようにサービス契約ID、貸し出しのために送付した年月日と回収された年月日である供用期間(開始、終了)が含まれ、更に、グロス測定の精度に対する品質保証の追跡が可能なように校正実施日、校正有効期限、校正実施者、検出効率等の情報が含まれている。
【0059】
(測定台管理部の機能説明)
測定台管理部35bは、顧客レンタル機器DB42に記録される測定台レンタルデータ63及び測定台DB44の情報を登録したり、更新したりする。
測定台レンタルデータ63は、図17の(b)に示すように、顧客コード63a、サービス契約ID63b、測定台レンタルデータ単位64から構成され、サービス契約ID毎に一つのファイルに纏められている。測定台レンタルデータ単位64の中には、初めてのレンタル開始年月日、又は交換された測定器7との整合性を取るために交換のために送付された年月日である期間開始日(送付日)64a、交換のため回収された年月日である期間終了日(回収日)64b、測定台ID64c、その測定台8に貼付されているRFIDタグ12E(図4の(c)参照)のRFIDタグ識別番号64d、測定台型式64e、その測定台8に測定器7の測定器型式にもとづいて適用されるマニュアルID64f、適合測定器型式64g等の情報が含まれる。
現在レンタル中の測定台8に対しては、期間開始日64aが記録されているが、期間終了日64bがブランクになっている。それに対して、すでに回収された測定台8は、期間開始日64a、期間終了日64bがともに記録されているので判別ができる。
そして、一つの現場110において、どのような測定台8の貸し出しがなされているかの履歴情報が測定台レンタルデータ63の中に含まれる複数の測定台レンタルデータ単位64を見ることによって確認できるように構成されている。
【0060】
測定台管理部35bは、測定台DB44を管理して、環境放射能測定業務を請負う業者がレンタル用に所有している測定台8それぞれについて、管理履歴情報を記録している。
図21は測定台DBにおける1つの測定器に対する管理履歴情報を例示したものである。1つの測定台8に対する管理履歴情報は、測定台ID44a、測定台8に貼付されているRFIDタグ12EのRFIDタグ識別番号44b、測定台型式44c、適用測定器型式44d、所有者44e、所在状況フラグ44f、レンタルのために貸し出される毎に記録されるレンタル履歴情報44gを含んでいる。
【0061】
ちなみに、所在状況フラグ44fは、「現在貸し出し中」、「貸し出し待機中」等の状況を示すフラグである。
レンタル履歴情報44gの中には、レンタル先を調べることができるようにサービス契約ID、貸し出しのために送付した年月日と回収された年月日である供用期間(開始、終了)の情報が含まれている。
【0062】
(捕集機管理部の機能説明)
図18の(a)は顧客レンタル機器DBの中に顧客の現場毎に記録される、貸し出されている捕集機に対する捕集機レンタルデータを例示したものであり、(b)は顧客レンタル機器DBの中に顧客の現場毎に記録される、貸し出されている携帯端末に対する携帯端末レンタルデータを例示したものである。
捕集機管理部35cは、顧客レンタル機器DB42に記録される捕集機レンタルデータ65及び捕集機DB45の情報を登録したり、更新したりする。そして、捕集機レンタルデータ65を検索して捕集機6の前回点検日から所定の日数Nに達したものを抽出して、点検のために顧客の現場110に巡回点検員を訪問させる手配を指示する機能を有する。
捕集機レンタルデータ65は、図18の(a)に示すように、顧客コード65a、サービス契約ID65b、捕集機レンタルデータ単位66から構成され、サービス契約ID毎に一つのファイルに纏められている。捕集機レンタルデータ単位66の中には、初めてのレンタル開始年月日、又はメンテナンスや故障機との交換のために新たに捕集機6が送付された年月日である期間開始日(送付日)66a、メンテナンスや故障のため回収された年月日である期間終了日(回収日)66b、捕集機ID66c、その捕集機6に貼付されているRFIDタグ12B(図4の(b)参照)のRFIDタグ識別番号66d、捕集機型式66e、送風容量(リットル/分)66f、製造番号66g、製造者66h、点検データ66i等の情報が含まれる。
点検データ66iには、点検年月日、点検者、備考等の情報が含まれる。
【0063】
なお、本実施形態では、後記するように捕集機6の点検に合わせて他のレンタル機器も含めた巡回点検をすることにしているので、備考欄には、点検時のメモが記録される。
ちなみに、巡回点検員は、図示しないが携帯端末9に点検用のアプリケーションプログラムをロードして、携帯しており、点検対象のレンタル機器に貼付されているRFIDタグを読み取って、レンタル機器を特定し、補修交換等の必要があるものについてその記録を携帯端末9に記録し、分析センタ120に戻って、サーバ3に接続し、顧客レンタル機器DB42にアクセスして、捕集機レンタルデータ65に点検データ66iとして記録させる。従って、点検データ66iの備考欄はレンタル機器全てに対する点検情報を含んでいる。便宜的に捕集機レンタルデータ65の一部を利用しているだけであり、独立の点検データファイルをサービス契約ID毎に作成し、一つの点検DBに纏めて運用しても良い。
【0064】
現在レンタル中の捕集機6に対しては、期間開始日66aが記録されているが、期間終了日66bがブランクになっている。それに対して、すでに回収された捕集機6は、期間開始日66a、期間終了日66bがともに記録されているので判別ができる。
そして、一つの現場110において、どのような捕集機6の貸し出しがなされ、定期的な巡回点検がなされているか否かの履歴情報が捕集機レンタルデータ65の中に含まれる複数の捕集機レンタルデータ単位66を見ることによって確認できるように構成されている。
【0065】
捕集機管理部35cは、捕集機DB45を管理して、環境放射能測定業務を請負う業者がレンタル用に所有している捕集機6それぞれについて、管理履歴情報を記録している。
図22は捕集機DBにおける1つの捕集機に対する管理履歴情報を例示したものである。1つの捕集機6に対する管理履歴情報は、捕集機ID45a、捕集機6に貼付されているRFIDタグ12B(図4の(b)参照)のRFIDタグ識別番号45b、捕集機型式45c、送風容量45d、製造番号45e、製造者45f、所有者45g、購入日45h、製造者の補修サービスを受けることができなくなる使用限界予定日45i、使用が禁止されたことを示す廃棄フラグ45j、所在状況フラグ45k、レンタルのために貸し出される毎に記録されるレンタル履歴情報45mを含んでいる。
【0066】
ちなみに、所在状況フラグ45kは、「現在貸し出し中」、「貸し出し待機中」、「修理中」等の状況を示すフラグである。
レンタル履歴情報45mの中には、レンタル先を調べることができるようにサービス契約ID、貸し出しのために送付した年月日と回収された年月日である供用期間(開始、終了)、点検毎の点検データ(点検日、点検者、備考)等の情報が含まれている。
【0067】
(携帯端末管理部の機能説明)
携帯端末管理部35dは、顧客レンタル機器DB42に記録される携帯端末レンタルデータ67及び携帯端末DB46の情報を登録したり、更新したりする。
携帯端末レンタルデータ67は、図18の(b)に示すように、顧客コード67a、サービス契約ID67b、携帯端末レンタルデータ単位68から構成され、サービス契約ID毎に一つのファイルに纏められている。携帯端末レンタルデータ単位68の中には、初めてのレンタル開始年月日、又はメンテナンスや故障機との交換のために新たに携帯端末9が送付された年月日である期間開始日(送付日)68a、メンテナンスや故障のため回収された年月日である期間終了日(回収日)68b、携帯端末ID68c、型式68d、製造番号68e、製造者68f等の情報が含まれる。
現在レンタル中の携帯端末9に対しては、期間開始日68aが記録されているが、期間終了日68bがブランクになっている。それに対して、すでに回収された携帯端末9は、期間開始日68a、期間終了日68bがともに記録されているので判別ができる。
そして、一つの現場110において、どのような携帯端末9の貸し出しがなされているかの履歴情報が携帯端末レンタルデータ67の中に含まれる複数の携帯端末レンタルデータ単位68を見ることによって確認できるように構成されている。
【0068】
携帯端末管理部35dは、携帯端末DB46を管理して、環境放射能測定業務を請負う業者がレンタル用に所有している携帯端末9それぞれについて、管理履歴情報を記録している。
図23は携帯端末DBにおける1つの携帯端末に対する管理履歴情報を例示したものである。1つの携帯端末9に対する管理履歴情報は、携帯端末ID46a、型式46b、製造番号46c、製造者46d、所有者46e、購入日46f、製造者の補修サービスを受けることができなくなる使用限界予定日46g、使用が禁止されたことを示す廃棄フラグ46h、所在状況フラグ46i、レンタルのために貸し出される毎に記録されるレンタル履歴情報46j等の情報を含んでいる。
【0069】
ちなみに、所在状況フラグ46iは、「現在貸し出し中」、「貸し出し待機中」、「修理中」等の状況を示すフラグである。
レンタル履歴情報46jの中には、レンタル先を調べることができるようにサービス契約ID、貸し出しのために送付した年月日と回収された年月日である供用期間(開始、終了)等が含まれている。
【0070】
(マニュアル管理部の機能説明)
図19は顧客レンタル機器DBの中に顧客の現場毎に記録される、貸し出されているマニュアルに対するマニュアル・レンタルデータを例示したものである。
マニュアル管理部35eは、顧客レンタル機器DB42に記録されるマニュアル・レンタルデータ69及びマニュアルDB47の情報を登録したり、更新したりする。
マニュアル管理部35eは、顧客レンタル機器DB42に記録されるマニュアル・レンタルデータ69及びマニュアルDB47の情報を登録したり、更新したりする。
マニュアル・レンタルデータ69は、図19に示すように、顧客コード69a、サービス契約ID69b、マニュアル・レンタルデータ単位70から構成され、サービス契約ID毎に一つのファイルに纏められている。マニュアル・レンタルデータ単位70の中には、初めてのレンタル開始年月日、又はマニュアル5Aの交換のために送付された年月日である期間開始日(送付日)70a、交換のために回収された年月日である期間終了日(回収日)70b、マニュアルID70c、そのマニュアル5Aに貼付されているRFIDタグ12A(図4の(a)参照)のRFIDタグ識別番号70d、適用される測定器型式70e、適用される測定台型式70f、マニュアルの発行日70g、改定番号70h、改定日70i等の情報が含まれる。
現在レンタル中のマニュアル5Aに対しては、期間開始日70aが記録されているが、期間終了日70bがブランクになっている。それに対して、すでに回収されたマニュアル5Aは、期間開始日70a、期間終了日70bがともに記録されているので判別ができる。
そして、一つの現場110において、どのようなマニュアル5Aの貸し出しがなされているかの履歴情報がマニュアル・レンタルデータ69の中に含まれる複数のマニュアル・レンタルデータ単位70を見ることによって確認できるように構成されている。
ちなみに、回収されたマニュアル5Aは、廃棄される。
【0071】
図24はマニュアルDBにおける1つのマニュアルに対する管理情報を例示したものである。1つのマニュアル5A、又はマニュアル5Bに対する管理履歴情報は、マニュアルID47a、現場110におけるグロス測定用であるか、分析センタ120におけるグロス測定用及び精密測定用であるかを示す測定目的47b、発行日47c、改定番号47d、改定日47e、適用測定器型式47f、適用測定台型式47g、改訂版が存在、又は対応した測定器7が使用中止になってこのマニュアル5A又はマニュアル5Bが適用されなくなったことを示す無効フラグ47h、マニュアル5A又はマニュアル5Bの内容を保存しているファイル名(内容の保存ファイル名)47i等の情報を含んでいる。
前記した測定器レンタルデータ61(図17の(a)参照)、測定台レンタルデータ63(図17の(b)参照)、捕集機レンタルデータ65(図18の(a)参照)、携帯端末レンタルデータ67(図18の(b)参照)、マニュアル・レンタルデータ69(図19参照)は請求項に記載のレンタル情報に対応する。
【0072】
《測定器の検出効率と校正有効期限の管理方法》
次に、図14、及び図25から図27を参照(随時、図16、図17の(a)、図20参照)しながら分析センタ120における測定器7の検出効率と校正有効期限の管理方法を説明する。
図25から図27は、分析センタのサーバにおける校正有効期限に近づいた現場配置済みの検出器の交換手配指示を出力する制御処理の流れを示すフローチャートである。
この制御は本体3a(図14参照)の測定器管理部35aで主に処理され、随時、測定台管理部35b、マニュアル管理部35eでも処理される。
特別、断らない限り測定器管理部35aにおける処理である。
【0073】
ステップS201では、測定器管理部35aは、顧客レンタル機器DB42の測定器レンタルデータ61を検索して、レンタル中の測定器7の中で校正有効期限の所定日数前のものを抽出する。ここで、所定日数とは、例えば、4日とする。
そして、サービス契約DB41上で、契約は有効か否かをチェックする(ステップS202)。ステップS201で抽出された測定器レンタルデータ61には、図17の(a)に示すようにサービス契約ID61bが含まれており、サービス契約ID61bにもとづいてサービス契約DB41を検索して契約の有効状況41s(図16参照)をチェックして、契約が有効か否かチェックできる。
契約が有効で無い場合(No)は、ステップS201で抽出されたレンタル中の測定器7に対する校正有効期限前の交換用の測定器7の手配指示の制御処理は終了し、別のレンタル中の測定器7を検索することになる。ステップS202で契約が有効の場合(Yes)は、ステップS203に進む。
【0074】
ステップS203では、現在レンタル中のものと同一型式の測定器7を測定器DB43で検索する。図20に示すように測定器DB43には、所在状況フラグ43kが記録されており、所在状況フラグ43kが「貸し出し待機中」の物の中から、現在レンタル中の測定器7と同一型式のものを容易に測定器DB43により検索できる。そして、ステップS204において同一型式の測定器があるか否かをチェックし、あった場合(Yes)はステップS205へ進み、無い場合(No)はステップS209へ進む。
ここで、現在貸し出し中のものと同一測定器型式のものを優先するのは、製造者が同じで、同じプローブ方式、つまり、同じGM管検出器又はZnS(Ag)シンチレーション検出器であり、メーカの呼称する型式も同じものは、操作部7cの操作ボタンの設定条件も同じとなり、測定器7を交換してもマニュアル5A、測定台8を交換せずとも、以前と同じままで良いからである。
【0075】
ステップS205では、ステップS203で検索された測定器7の校正有効期限は所定日数以上あるか否かをチェックする。これは、測定器DB43上で「貸し出し待機中」の測定器7は、レンタル履歴情報43n中のサービス契約IDと供用期間(開始、終了)の欄がブランクで、校正実施日、構成有効期限、校正実施者、検出効率が記録されているので、そのレンタル履歴情報43nの校正有効期限をチェックすれば容易に判定できる。校正有効期限が、例えば、50%未満では、貸し出して、すぐに又交換の必要が生じるので、所定日数以上、例えば、校正有効期限の50%以上の日数の余裕のある測定器7の中で、余裕の少ないものから順に貸し出すことにするものである。
ステップS205で校正有効期限が所定日数以上ある場合(Yes)は、ステップS206へ進み、校正有効期限が所定日数以上のものがない場合(No)は、ステップS209へ進む。
【0076】
ステップS206では、測定器DB43中のその測定器7に対してレンタル履歴情報43nのブランクになっていたサービス契約IDと、供用期間の開始日を記録する。もちろん、所在状況フラグ43kは、「貸し出し待機中」から「貸し出し中」に書き換えられる。そして、ステップS207では、その検出器7に対して新たな測定器7の貸し出しの手続きと、それと引き換えに回収する測定器7の回収の手続きの手配指示書をプリンタ3e(図3参照)に出力する。
この手配指示書には、図示省略するが、サービス契約ID41a、顧客コード41b、現場所在地・部門41c、電話番号41d、担当者名41e、新しく貸し出される測定器7の情報(測定器ID43a、RFIDタグ識別番号43b、測定器名称43c、測定器型式43d、適合測定台型式43e、校正実施日、校正有効期限、検出効率等)が印刷され、回収すべき測定器7の測定器情報として測定器ID62c、RFIDタグ識別番号62d、校正有効期限62f等が印刷されている。
ステップS207の後ステップS208へ進む。
【0077】
ステップS204又はステップS205からステップS209へ進むと、同一プローブ方式、つまり、以前と同じGM管検出器又はZnS(Ag)シンチレーション検出器の測定器を測定器DB43で検索する。そして、ステップS210において同一プローブ方式の測定器があるか否かをチェックし、あった場合(Yes)はステップS211へ進み、無い場合(No)はステップS212へ進む。
これは、同一プローブ方式の測定器7の方が顧客の作業者にとって変化が少なく、現場におけるグロス測定の際の測定器7の動作設定がほとんど同じであり、測定器7の動作設定において操作ボタンの配置が異なるだけ等の微小な操作の変化であり、作業者の誤操作が防止できるためである。
ステップS211では、ステップS209で検索された測定器7の校正有効期限は所定日数以上あるか否かをチェックする。これは、ステップS205で説明した理由によるものである。
ステップS211で校正有効期限が所定日数以上ある場合(Yes)は、ステップS215へ進み、校正有効期限が所定日数以上のものがない場合(No)は、ステップS212へ進む。
【0078】
ステップS212では、他のプローブ方式の測定器を測定器DB43で検索し、ステップS213において測定器があるか否かをチェックし、あった場合(Yes)はステップS214へ進み、無い場合(No)はステップS222へ進む。
ステップS214では、ステップS212で検索された測定器7の校正有効期限は所定日数以上あるか否かをチェックする。これは、ステップS205で説明した理由によるものである。
ステップS214で校正有効期限が所定日数以上ある場合(Yes)は、ステップS215へ進み、校正有効期限が所定日数以上のものがない場合(No)は、ステップS222へ進む。
【0079】
ステップS215では、現在貸し出し中の当該の測定器7に対する測定器レンタルデータ単位62のマニュアルID62hが、ステップS209又はステップS212で検索された測定器7に対する測定器DB43の適用マニュアルID43mと同一(適用マニュアルは以前と同一)か否かをチェックする。同一の場合(Yes)はステップS218へ進み、同一でない場合(No)はステップS216へ進む。
ステップS216では、マニュアル管理部35eは、マニュアルDB47を検索して新たなマニュアル送付手続きと、引き換えに回収するマニュアルの回収手続きの手配指示書をプリンタ3eに出力する。
この手配指示書には、図示省略するが、サービス契約ID41a、顧客コード41b、現場所在地・部門41c、電話番号41d、担当者名41e、新しく貸し出されるマニュアル5Aの情報(マニュアルID47a、測定目的47b、発行日47c、改定番号47d、改定日47e、適用測定器型式47f、適用測定台型式、内容の保存ファイル名47i)が印刷され、回収すべきマニュアル5Aの情報としてマニュアルID70c、RFIDタグ識別番号70d等が印刷されている。
なお、新しく貸し出されるマニュアル5Aに貼付されるRFIDタグ12AのRFIDタグ識別番号は、マニュアル5Aを印刷して顧客の現場110へ測定器7とともに発送手続きする担当者が、RFIDタグ12Aをマニュアル5Aに貼付して、そのRFIDタグ識別番号を読み出して登録する。
【0080】
ステップS217では、マニュアル管理部35eは、当該のサービス契約ID69bを有するマニュアル・レンタルデータ69に新たなマニュアル・レンタルデータ単位70を記録する。ただし、期間終了日(回収日)70bはブランクとする。一つ前のマニュアル・レンタルデータ単位70の期間終了日(回収日)は、実際に回収されたときに、記録される。ステップS217の後ステップS218へ進む。
【0081】
ステップS218では、測定台管理部35bは、当該のサービス契約ID61bにもとづいて測定台レンタルデータ63を検索し、現在貸し出し中の測定台8の測定台型式が、、ステップS209又はステップS212で検索された測定器7に対する測定器DB43の適合測定台型式43eと同一(適用測定台は以前と同一)か否かをチェックする。同一の場合(Yes)はステップS206へ進み、同一でない場合(No)はステップS219へ進む。
ステップS219では、測定台DB44中の適合測定台型式43eと同じ測定台型式44cの所在状況フラグ45kが「貸し出し待機中」の測定台8を検索し、レンタル履歴情報44gのブランクになっていたサービス契約IDと、供用期間の開始日を記録する。もちろん、所在状況フラグ44fは、「貸し出し待機中」から「貸し出し中」に書き換えられる。そして、ステップS220では、測定台管理部35bは、その測定台8に対して新たな測定だい8の貸し出しの手続きと、それと引き換えに回収する測定台8の回収の手続きの手配指示書をプリンタ3e(図3参照)に出力する。
【0082】
この手配指示書には、図示省略するが、サービス契約ID41a、顧客コード41b、現場所在地・部門41c、電話番号41d、担当者名41e、新しく貸し出される測定台8の情報(測定台ID44a、RFIDタグ識別番号44b、測定台型式43c、適用測定器型式44d等)が印刷され、回収すべき測定台8の測定台情報として測定台ID64c、RFIDタグ識別番号64d等が印刷されている。
【0083】
ステップS221では、当該の測定台レンタルデータ63に新たな測定台レンタルデータ単位64を記録する。ただし、期間終了日(回収日)はブランクとする。一つ前の測定台レンタルデータ単位64の期間終了日(回収日)64bは、実際に回収されたときに、記録される。ステップS221の後ステップS206へ進む。その後は、前記したステップS207を経てステップS208へ進む。
【0084】
ステップS208では、当該の測定器レンタルデータ61に新たなレンタル期間分の測定器レンタルデータ単位62を記録する。ただし、期間終了日(回収日)はブランクとする。一つ前のレンタル期間分の測定器レンタルデータ62の期間終了日(回収日)は、実際に回収されたときに、記録される。これにより、ステップS201、で抽出され、契約が有効であったレンタル中の一つの測定器7に対する交換用の測定器7の手配指示書を出力する制御処理が終了する。その後再びステップS201に戻り、他のレンタル中の測定器7に対する校正有効期限の管理を行なう。
このように校正有効期限内に次の校正済みの測定器7を届けるように手配指示書が出力されたのを受けて、測定器7の貸し出し及び回収を担当する部門の作業者は、該当の測定器7や測定台8を保管室から取り出し、又、必要に応じてマニュアル準備の担当者にRFIDタグ12Aが添付されたマニュアル5Aを準備してもらい、必要な回収品を顧客の現場110の担当者に送り返してもらう依頼レターを準備し、梱包して宅配便で送付する。
このようにして現場110へ貸し出す測定器7、測定台8、マニュアル5Aを管理する。測定器7とそれに適合した測定台8、それに適用すべきマニュアル5Aを現場110に配置するようにするので、現場110に配置された測定器7の検出効率は、測定器7の構成有効期限の維持と、それに適する測定台8、マニュアル5Aの確保とあいまって、常に現場110におけるグロス測定の目的に対し一定の信頼性が確保される。
【0085】
ステップS213又はステップS214からステップS222へ進んだ場合は、測定器管理部35aは、「同一型式の測定器の校正完了品が早急に必要」とメッセージと、測定器情報(当該サービス契約ID41a、顧客コード41b、現場所在地・部門41c、電話番号41d、担当者名41e、測定器型式43d、製造者43g等)とを、プリンタ3eへ出力し、その測定器レンタルデータ61にペンディングのフラグを立てる。
この手続き指示書を渡された測定器校正作業部門の技術者は急ぎ該当する測定器7の校正作業を行ない、交換作業に間に合わせることができる。
【0086】
ちなみに、図示省略したが測定器校正作業部門にもLANでサーバ3と接続した端末1Aと、携帯端末9と、各測定器型式に対応したマニュアル5A及び測定台8の1式とが揃えられている。そして、技術者は、校正実施に回されてきた測定器7をそれに対応した適用すべき測定台8と組み合わせて、測定器7のマニュアル5Aに記載された設定条件に設定して、前記した標準線源により計数値を得て検出効率を算出する。算出された検出効率は、携帯端末9を用いて貼付されているRFIDタグ12Dに対して、校正実施日、新たな校正有効期限、校正実施者の情報とともに書き換えられる。そして、端末1Aを用いてサーバ3の測定器管理35aにより測定器DB43(図20参照)にアクセスし、当該の測定器IDのファイルに対し、所在状況フラグ43kを、「校正作業中」から「貸し出し待機中」に変更し、新たなレンタル履歴情報欄43nにサービス契約ID、供用期間(開始、終了)をブランクとして、校正実施日、校正有効期限、校正実施者、検出効率を入力して登録する。
【0087】
なお、手配指示書を出力する形をとって説明したがそれに限定されるものではなく、LANによる電子通知を用いても良い。
また、本フローチャートにおけるステップS201〜S22は、請求項に記載の測定器校正管理手段を構成する。
【0088】
《レンタル機器の巡回点検の管理方法》
次に、図28を参照しながら環境放射能測定を請け負う業者がレンタル機器の巡回点検をするのを管理する方法を説明する。図28は、分析センタのサーバにおける現場配置済みのレンタル機器の巡回点検手配指示を出力する制御処理の流れを示すフローチャートである。
捕集機管理部35cは、顧客レンタル機器DB42の捕集機レンタルデータ65を検索して、前回点検日から所定日数N経過したものを抽出する(ステップS301)。
そして、サービス契約DB41上で、契約は有効か否かをチェックする(ステップS302)。ステップS301で抽出された捕集機レンタルデータ65には、図18の(a)に示すようにサービス契約ID65bが含まれており、サービス契約ID65bにもとづいてサービス契約DB41を検索して契約の有効状況41s(図16参照)をチェックして、契約が有効か否かチェックできる。
【0089】
契約が有効で無い場合(No)は、ステップS301で抽出されたレンタル中のレンタル機器(捕集機6、測定器7、測定台8、携帯端末9)に対する巡回点検の手配指示の制御処理は終了し、別のサービス契約IDのレンタル中の捕集機6を検索することになる。ステップS302で契約が有効の場合(Yes)は、ステップS303に進む。
ステップS303では、サービス契約ID41a、現場所在地・部門41c、電話番号41d、担当者名41e等を含む巡回点検の手配指示書をプリンタ3eに出力し、巡回点検部門に手配させる。
【0090】
この手配指示書には、図示省略するが、その他に測定器7の情報(測定器ID43a、RFIDタグ識別番号43b、測定器名称43c、測定器型式43d、適合測定台型式43e、製造者43g、校正実施日、校正有効期限、検出効率等)、捕集機情報(捕集機ID45a、RFIDタグ識別番号45b、捕集機型式45c、送風容量45d、製造者45f、前回点検日等)、携帯端末情報(携帯端末ID46a、型式46b、製造者46d等)、測定台8の情報等が印刷されている。
ここでは、レンタル機器の巡回点検を捕集機6の点検日の周期Nにもとづいて行なうこととしているが、それに限定されるものではない。少なくとも捕集機6は、動的機器であるので、送風容量45dが一定に維持されないと環境放射能を測定する上で不正確となるので、その点検の段階で、測定器7、携帯端末9等の他のレンタル機器に異常がないかを同時にチェックするものである。
【0091】
《分析センタにおけるトロン・ラドン量の分析方法と測定データ管理部の機能》
(分析センタにおけるトロン・ラドン量の分析方法)
次に、図29から図33を参照しながら分析センタにおけるトロン・ラドン量の分析方法と測定データ管理部の機能について説明する。
図29の(a)はウラン系列の天然放射性核種の崩壊系列を示すもので、壊変の流れを示す実線の下側に半減期を示してある。放射性希ガスであるラドン(Rn−222)は、鉱物等から空気中に放出され、その後、壊変して半減期26.8mと比較的半減期の長いPb−214になり、更に崩壊してPo−214に至り、それが極めて短い半減期でα崩壊して、エネルギ7.68MeVのα線を放出する。
図29の(b)はトリウム系列の天然放射性核種の崩壊系列を示すもので、同様に、壊変の流れを示す実線の下側に半減期を示してある。放射性希ガスであるトロン(Rn−220、Tnとも表記する)は、鉱物等から空気中に放出され、その後、壊変して(Pb−214の半減期と比較すると相当長い半減期である)半減期10.64hと比較的半減期の長いPb−212になり、更に崩壊してBi−212やPo-212に至り、それが短い半減期でα崩壊して、エネルギ6.05Meや7.68MeVのα線を放出する。
そして、ウラン系列の場合α線を放出するPo−214の量は、半減期の長いPb−214により律速された放射平衡状態になっている。同様に、Bi−212やPo-212の量も半減期の長いPb−212により律速された放射平衡状態になっている。
【0092】
空気中のラドン(半減期が3.825d)やトロン(半減期が55s)の量は、現場にα線測定装置を持ち込めば直接測定可能であるが、多くの測定試料を分析する場合には、それは高価なα線測定装置を現場に配置することで、現実的ではない。
そこで、ラドンやトロンを含む空気を捕集機6で吸い込んで、ラドンやトロンと放射平衡状態になっている子孫核種、ここでは主にPb−214やPb−212をフィルタ11に捕集し、それらが壊変した核種の放射能強度を測定して、放射平衡状態にあるラドンやトロンそれぞれの量を分析することができる。
【0093】
図2のフローチャートに戻ると、ステップS01で現場110において捕集から1時間以内にα線量を測定器7でグロス測定すると、次式のように第1のグロス測定値が得られ、トロン(Tn)子孫核種とラドン(Rn)子孫核種の量と関係付けられる。
G1(t0)=η・ε{λTnTn(t0)+λRnRn(t0)}…(1)
ここで、CG1(t0):現場における時刻t0でのグロス測定値
η :現場の測定器の既知の検出効率
ε :グロス測定補正係数(未知数)
λTn :トロン子孫核種の放射平衡状態での実効的な崩壊定数
(0.693/10.64h)
Tn(t0):現場における時刻t0でのトロン子孫核種の量
(実際にはBi−212、Po−212の量)
λRn :ラドン子孫核種の放射平衡状態での実効的な崩壊定数
(0.693/30m)
Rn(t0):現場における時刻t0でのラドン子孫核種の量
(実際にはPo−214の量)
【0094】
そして、ステップS03において捕集してから10時間から24時間以内に、分析センタ120α線量を測定器7でグロス測定すると、次式のように第2のグロス測定値が得られ、トロン(Tn)子孫核種とラドン(Rn)子孫核種の量と関係付けられる。
G2(t1)=η・ε{λTnTn(t0)・exp(−λTnΔt)
+λRnRn(t0)・exp(−λRnΔt)}…(2)
ここで、CG2(t1):分析センタにおける時刻t1でのグロス測定値
η :分析センタの測定器の既知の検出効率
Δt :時間(t1−t0)
【0095】
Pb−214の半減期は26.8mであり、10時間経過すると1・10−6となる。それに対して混在するPb-212の量は約1/2である。従って、フィルタ11に捕集されたラドンの子孫核種の量がトロンの子孫核種の量の1000倍あったとしても、10時間後には、トロンの子孫核種の量が主となる。つまり、式(2){ }の中の第2項は0である。
【0096】
従って、第2のグロス測定値を取得した後、測定試料(フィルタ11)を直接、又は灰化等の前処理をして、精密なα線測定ができる放射線測定装置17により核種分析をして、Po−212、Bi−212の時刻t1における量を測定することができる。その結果から第2のグロス測定と精密なα線測定における比例定数である前記したグロス測定補正係数εが得られ、次式のように時刻t0におけるトロンの子孫核種の放射能強度が求まる。
λTnTn(t0)=CG2(t1)・exp(λTnΔt)/(η・ε)
…(3)
式(1)、(3)により時刻t0におけるラドンの子孫核種の放射能強度が求まる。
λRnRn(t0)=CG1(t0)/(η・ε)−λTnTn(t0)
…(4)
Tn(t0)、NRn(t0)の量が分かれば、捕集機6の捕集時のタイマ設定時間と送風容量とから単位空気容積(m)のNTn(t0)、NRn(t0)の量が分かり、放射平衡状態におけるトロン、ラドンそれぞれの量(濃度)そのものが比例計算で算出できる。
【0097】
以下に、図3及び図30から図34を参照しながら測定データ管理部36の機能を説明する。
図30は分析センタにおける測定試料受け入れ機能の制御の流れを示すフローチャートであり、図31、図32は分析センタにおけるトロン・ラドン量の分析評価及び報告機能の制御の流れを示すフローチャートである。
図33は測定データDBの一つの測定試料に対する測定データのファイルの内容を例示する図である。
測定データ管理部36は、(1)測定試料受け入れ機能と、(2)測定試料の分析及び報告機能を有している。
なお、図3では分析センタ120にはサーバ3と携帯端末9が示されているが、サーバ3とLANで接続した複数の図示省略の端末1Aが測定試料受け付け部門、分析担当部門に用意され、端末1Aの本体1aと携帯端末9とがUSBコネクタ1eにより接続されているとする。また、携帯端末9には分析センタ120用のアプリケーションプログラムが搭載されており、サーバ3の測定データ管理部36と協調して機能するようになっている。
また、分析担当部門には分析センタ120用のマニュアル5Bがそれと対応する測定器7、測定台8とともに配置され、更に、精密α線測定装置である放射線測定装置17が配置されている。
【0098】
(測定データ管理部の機能(1)−測定試料受け入れ)
先ず、分析センタ120の宅配便で顧客の現場110から送られてきた測定試料を受け入れる作業について説明をする。
測定試料受け入れの担当者は、宅配便を開梱し、容器14を密封状態のままにしてRFIDタグ12Cを携帯端末9で読み取らせ(ステップS401)、容器14を分析担当部門に配送し、容器14に貼付されたラベルに記載の捕集終了時刻の早い順に並べる。測定データ管理部36は、RFIDタグ12Cから読み取った情報を図33に示す書式にして、捕集終了時刻55aの早い順に、測定データDB48に測定データとして登録する(ステップS402)。この測定データは図33に示すようにフィルタ11に貼付されたRFIDタグ12CのRFIDタグ識別番号毎に生成される。ただし、符号81〜88に対応する情報はブランクである。
ちなみに、フローチャートのステップS401,S402は、請求項に記載の第1のグロス測定情報取得手段及び工程Bに対応する。
【0099】
(測定データ管理部の機能(2)−分析及び報告)
分析担当部門の担当者は、先ず、測定データ管理部36を用いて、測定データDBを検索して、未分析の測定試料で、捕集終了時刻の最も早いものを抽出する(ステップS501)。フィルタ11に貼付されたRFIDタグ12CのRFIDタグ識別番号48aでラベルされた個々の測定データのファイルは、図33に示すように符号81〜88で示した情報がブランクであり、未分析であるということがすぐ分かる。抽出された測定データのファイルは表示装置に表示される。
【0100】
担当者は、表示装置に表示された測定データのファイルの内容を見て、容器14のラベルのサービス契約ID、捕集終了時刻の記載、携帯端末9によるRFIDタグ12Cの情報読み取りで、測定試料受け入れ部門から配送されて配置されている測定試料(フィルタ11)を収納した容器14の中から、当該の容器14を容易に確認して取り出しできる。
測定データ管理部36は、読み取ったRFIDタグ識別番号が、ステップS501で抽出された測定データのファイルのRFIDタグ識別番号と合致していることを確認する。もし合致していない場合は、担当者に表示部9cを介して注意喚起する。そして、合致している場合は、ステップS502に進み、現在の時刻が捕集終了時刻から10時間以上経過しているか否かをチェックする。10時間以上経過している場合(Yes)はステップS504へ進み、経過していない場合(No)はステップS503へ進む。
【0101】
ステップS503へ進んだ場合は、10時間経過するまで待機のメッセージを出力して、ステップS502に戻る担当者は、10時間経過するまでしばらく待つことになる。
【0102】
ステップS504へ進んだ場合は、測定データ管理部36は、担当者に第2のグロス測定を実行するように指示する。
それを受けて、担当者は、測定試料(フィルタ11)を容器14から取り出し、図4の(c)に示すように測定台8にセットし、グロス測定(第2のグロス測定)を行ない、携帯端末9からグロス測定値、担当者名を入力し、更に、マニュアル5Aに貼付されているRFIDタグ12A、測定器7に貼付されているRFIDタグ12D、測定台8に貼付されているRFIDタグ12EをRFIDタグR/Wで読み込ませる。
ステップS505では、測定データ管理部36は、操作部9bによる入力操作やRFIDタグR/WによるRFIDタグ情報の読み取り結果を受け付けて、第2のグロス測定の結果を測定データDB48の該当する測定データのファイルに記録する。
具体的には、第2のグロス測定値(値CG2)と測定時刻(t1)の第2のグロス測定情報81、分析センタ120に配置された測定器7に貼付されたRFIDタグ12Dから読み取った測定器ID、測定器型式、校正有効期限、検出効率(第2の検出効率η)などの測定器情報82、RFIDタグ12Eから読み取った測定台ID、測定台型式等の測定台情報、RFIDタグ12Aから読み取ったマニュアルID等である。図33では、第2のグロス測定情報81、測定器情報82のみを例示して、他は表示を省略してある。
【0103】
その後、担当者は、測定試料(フィルタ11)を直接、又は灰化処理等の前処理をして放射線測定装置17にセットする試料を作る。そして、放射線測定装置17で分析し、核種分析、核種毎の放射能強度等の結果を取得し、それらの結果を携帯端末9で入力し、測定データ管理部36は受け付ける(「放射線測定装置の各種分析結果入力受け付け」)。このとき、放射線測定装置17に貼付されている図示しないRFIDタグを読み取らせ、放射線測定装置ID、放射線測定装置型式の情報も入力する(放射線測定装置の核種分析結果入力受け付け)。
ステップS506では、測定データ管理部36は、第2のグロス測定時点のトロン子孫核種の放射能強度λTnTn(t1)を算出する。これは、第2のグロス測定時刻t1と放射線測定装置17による測定時刻との間に時間差が生じるので、崩壊定数λTnを用いて補正するものである。
【0104】
次いで、グロス測定補正係数εを算出する(ステップS507)。
ε=CG2(t1)/{λTnTn(t1)・η
現場110における第1のグロス測定や分析センタ120における第2のグロス測定は、フィルタ11の一部から測定器7のプローブ7aの入射窓への幾何学的条件で入射するα線だけを測定しているのに対し、放射線測定装置17による測定は測定試料であるフィルタ11を灰化処理して、捕集された核種を全て検出器の視野内に濃縮して配置する方法であり、フィルタ11に捉えられた核種の数を、つまり、捕集空気容量に対する核種の数を測定することができる。従って、グロス測定による放射能強度の測定結果とは一定の比例関係にある。
同様に、灰化処理をせず、フィルタ11を直接、放射線測定装置17で分析する場合も、グロス測定による放射能強度の測定結果とは一定の比例関係にある。この場合は、第1及び第2のグロス測定値、並びに放射線測定装置17による測定値をそれぞれの幾何学的条件を含む検出効率を用いて、フィルタ11の単位面積当たりの放射能強度に換算して統一的に扱うことで、前記したグロス測定補正係数εを算出することができる。
【0105】
次いで、ステップS508では、第1のグロス測定時t0のトロン子孫核種の放射能強度λTnTn(t0)を算出する。
ステップS506でが、ステップS507でグロス測定補正係数εが算出されているので、容易に次式の関係から逆算して、λTnTn(t0)が算出できる。
λTnTn(t1)=λTnTn(t0)・exp(−λTnΔt)…(5)
次いで、第1のグロス測定時t0のラドン子孫核種の放射能強度λRnRn(t0)を算出する(ステップS509)。これは、次式のようにして容易に算出できる。
λRnRn(t0)={CG1(t0)}/(η・ε)−λTnTn(t0)
…(6)
【0106】
更に、ステップS510では、ラドン及びトロンの子孫核種の放射能強度を捕集終了時刻のものに換算する。これは、より精度を高めるために捕集終了時刻と第1のグロス測定時t0との時間差分を、崩壊定数λRn,λTnを用いて補正するものである。
ステップS511では、捕集機の送風容量、タイマ設定時間から空気容量を算出し、次いで、単位空気容積(m)当たりのラドン及びトロンの子孫核種の放射能強度を算出する(ステップS512)。
ステップS513では、放射平衡状態にある単位空気容積当たりのラドン量、トロン量を算出する。放射平衡状態にある場合の、ラドンの子孫核種の量とラドンの量、トロンの子孫核種の量とトロンの量は比例関係にあるので、測定データ管理部36が予めそれぞれの定数を有しており、それらの比例定数を用いて容易に算出できる。
そして、ステップS514では、測定データ管理部36は、算出した結果を測定データDB48の該当する測定データのファイルに記録する。例えば、図33に示すように、ステップS506で算出したトロン子孫核放射能強度の値83、ステップS507で算出したグロス測定補正係数εの値84、ステップS505の後、携帯端末9からされた放射線測定装置ID及び放射線測定装置型式の情報85、ステップS513で算出されたトロン量の値86及びラドン量の値87である。
なお、ステップS508〜S512における他の途中経過の算出値をも測定データのファイルに記録しても良い。
【0107】
ステップS515では、測定データ管理部36は、算出されたラドン量、トロン量を所定の書式で、サービス契約ID,顧客DBにもとづいて、メールにて顧客の契約部門及び現場110の担当部門に送付する(顧客DB、サービス契約DBにもとづいてトロン・ラドン量の分析結果を送信)。そして、測定データのファイルに報告日時88を記録する。
ちなみに、測定データのファイルには、図33に示すようにマニュアル情報50で示した欄にサービス契約ID、顧客コードが記録されており、顧客DB40を顧客コードで検索して端末アドレス情報を、サービス契約DB41をサービス契約IDで検索して端末アドレス情報をそれぞれ容易に入手することができる。
以上により、一つの測定試料に対する分析及び顧客への分析結果の報告の一連の作業の分析センタ120における管理の制御が終了する。
【0108】
本フローチャートにおけるステップS505は、請求項に記載の「第2のグロス測定情報取得手段」及び「工程C」に対応し、ステップS505に続く「放射線測定装置の核種分析結果入力受け付け」は、請求項に記載の「精密分析結果取得手段」及び「工程D」に対応し、ステップS506、S507は請求項に記載の「補正係数取得手段」及び「工程E」に対応し、ステップS508は請求項に記載の「採取時トロン子孫核種量算出手段」及び「工程F」に対応し、ステップS509は請求項に記載の「採取時ラドン子孫核種量算出手段」及び「工程G」に対応する。
また、本実施形態における分析センタ120に配置された携帯端末9は請求項に記載の入力手段に対応する。
【0109】
《課金処理部の機能説明》
次に、図34を参照しながら課金処理部37の機能について説明する。
図34は、顧客の環境放射能測定業務を委託した部門に定期的に環境放射能測定業務の請負費用を請求するための課金データの書式例である。この課金データ90は、課金処理部37が出力し、課金DB49に記録する、
課金処理部37は、記憶部3bに格納されているアプリケーションプログラム23によって、所定の期日に自動的に起動する機能であり、前回課金処理した以降に今回の課金処理までに発生した分析料金、その期間のレンタル機器に対するレンタル料金、測定器7に対する校正処理に掛かる料金、レンタル機器の巡回点検に掛かった人件費やそのときの補修費の料金等を請求する。
図34に示すように、分析料金は測定試料の数に応じて課金されるが、これは、課金処理部37が測定データDB48の当該顧客コードに対して検索して、所定の期間内に含まれる報告日時88の付いた測定データのファイルがいくつ存在するかを抽出することによって行なわれる。
【0110】
レンタル機器へのレンタル料金は、測定器7、測定台8、マニュアル5A等1式の単位、携帯端末9の1式の単位、捕集機6の1式の単位でそれぞれ単価が決められ、その単位の数で小計が算出される。これらの情報は、課金処理部37がサービス契約DB41を顧客コードにもとづいて検索することでレンタルされている機器の数を算出することができる。
測定器7の校正処理の料金やレンタル機器点検の料金は、レンタル料金の中に含めることとしても良いが、ここでは別途課金として課金している。測定器7の校正処理料金は、顧客レンタル機器DB42中の測定器レンタルデータ61を顧客コードで検索して、所定の期間内に含まれる期間開始日62a(図17の(a)参照)を有するものを抽出することによって、何台の測定器7を校正有効期限の接近のため交換したかが分かる。
【0111】
また、レンタル機器点検費は、顧客レンタル機器DB42の捕集機レンタルデータ65を課金処理部37で検索して、点検データ66i(図18の(a)参照)が所定の期間内に含まれるものを抽出することによって行なわれる。
以上のように、課金処理部37は、サービス契約DB41、顧客レンタル機器DB42、測定データDB48等を検索することにより課金処理をすることができる。
【0112】
以上、本実施形態によれば、専門技術者でない顧客の現場110の担当者でも、校正された測定器7、巡回点検された捕集機6やその他のレンタル機器の提供と相まって、捕集機6でフィルタ11に捕集したトロン子孫核種、ラドン子孫核種に対する第1のグロス測定を正確に行なうことができる。
特に、測定台8を使用することによって測定器7のプローブ7aの幾何形状的な検出効率を一定にでき、校正されたときの検出効率ηと同じ検出効率ηで現場110における第1のグロス測定を行なうことができる。
【0113】
又、現場110における第1のグロス測定においてラドン子孫核種による寄与がある場合でも、分析センタ120における第2のグロス測定を捕集終了時刻から少なくとも10時間以上経過して行なうようにするので、第2のグロス測定にはラドン子孫核種の寄与はゼロとみなせる。そして、精密なα線測定ができる放射線測定装置17によってトロン子孫核種の放射能強度を測定して、トロン子孫核種の絶対量を知ることができ、グロス測定補正係数εを容易に算出することができる。
【0114】
顧客レンタル機器DB42の測定器レンタルデータ61と測定器DB43を有し、測定器管理部35aにより測定器レンタルデータ61を検索して校正有効期限に近づいたレンタル中の測定器7に対して、校正有効期限切れ前に新たな測定器7が配送されるように手配するので、現場110における第1のグロス測定の品質管理が適切に行なえる。
また、捕集機6の前回点検日から所定の日数を経たものを巡回点検して、捕集機6の送風容量の確認等を行ない、又、その際に他のレンタル機器、マニュアル5A、測定器7、携帯端末9等の点検も行なうので、測定試料採取の面の品質管理が適切に行なえる。
【0115】
測定データ管理部36は、分析センタ120における、ラドン子孫核種の寄与が略ゼロとなってからの第2のグロス測定及び放射線測定装置17による精密なα線測定の結果の入力のあと、簡単な算出法で自動的にトロン・ラドン量を算出して、顧客の現場110及び環境放射の測定業務の発注部門に自動的に分析結果報告をするので、迅速な報告が可能である。特に、ラドンが含まれている場合にも、現場110における第1のグロス測定値が取得されていることにより、ラドン量を算出することができる。
【0116】
課金処理部37は、測定データDB48の中から、課金の対象としている所定の期間に報告日が含まれる報告された測定データのファイルを顧客コードにもとづいて検索するので、測定試料の数に対応して課金することができる。また、顧客レンタル機器DB42を検索することにより、容易に測定器7の校正処理費用の抽出、巡回点検員による巡回点検費用の算出をすることができる。
【0117】
《変形例》
本実施形態では、現場110におけるグロス測定の結果(グロス測定情報)は、捕集条件情報、採取現場情報ともフィルタ11に添付されたRFIDタグ12Cに記録されたRFIDタグ情報として分析センタ120においてサーバ3に取り込んでいるが、それに限定されるものではない。前記したように携帯端末9を端末本体1aにUSBコネクタ1eを介して接続し、図12に示したフローチャートのステップS155において、RFIDタグ12Cに書き込んだ情報を全て、ネットワーク2経由でサーバ3に送信し、サーバ3の測定データ管理部36が、そのデータを図30に示したステップS401,S402の代わりに測定データDB48に、捕集終了時刻の早い順に並べて記録するようにしても良い。
その場合、測定試料受け入れの作業は、RFICタグ12Cを読み取って、測定データDB48に記録済みの測定試料が到着していることを示す図33には図示してない測定試料到着フラグを追加して記録し、分析可能なことを示す。そして、図31のフローチャートのステップS501では、「測定データDBを検索して、測定試料到着フラグが立っていて、且つ、未分析の測定試料で、捕集終了時刻の最も早いものを抽出」と読み替える。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の実施形態に係わる環境放射能測定業務における測定試料を採取する顧客の現場と、環境放射能測定業務を請け負う業者の分析センタとの間の、測定試料やデータの流れを示す図である。
【図2】環境放射能測定業務における測定試料やデータの流れを示す全体フローチャートである。
【図3】環境放射能測定業務における環境放射能測定管理システム全体の概要構成図である。
【図4】現場に配置される機器等の構成を説明する図であり、(a)は現場用のマニュアルを説明する図であり、(b)は捕集機の構成図であり、(c)は測定器でグロス測定する場合の機器構成を説明する図であり、(d)はRFIDタグ・リーダライタ付の携帯端末の外形図であり、(e)は測定試料を容器に収納した状態を説明する図であり、(f)は端末の構成図である。
【図5】(a)は現場用のマニュアルに貼付されたRFIDタグのRFIDタグ情報の内容を例示する図であり、(b)は捕集機に貼付されたRFIDタグのRFIDタグ情報の内容を例示する図である。
【図6】(a)は測定器に貼付されたRFIDタグ情報の内容を例示する図であり、(b)は測定台に貼付されたRFIDタグ情報の内容を例示する図である。
【図7】現場における測定試料の採取とグロス測定の作業を携帯端末で援助する制御の流れを示すフローチャートである。
【図8】現場における測定試料の採取とグロス測定の作業を携帯端末で援助する制御の流れを示すフローチャートである。
【図9】現場における測定試料の採取とグロス測定の作業を携帯端末で援助する制御の流れを示すフローチャートである。
【図10】現場における測定試料の採取とグロス測定の作業を携帯端末で援助する制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】現場における測定試料の採取とグロス測定の作業を携帯端末で援助する制御の流れを示すフローチャートである。
【図12】現場における測定試料の採取とグロス測定の作業を携帯端末で援助する制御の流れを示すフローチャートである。
【図13】測定試料に貼付されたRFIDタグに書き込まれるRFIDタグ情報の内容を例示する図である。
【図14】分析センタに配置されるサーバの機能構成ブロック図である
【図15】顧客DBのデータ内容を例示する図である。
【図16】サービス契約DBのデータ内容を例示する図である。
【図17】(a)は顧客レンタル機器DBの中に顧客の現場毎に記録される、貸し出されている測定器に対する測定器レンタルデータを例示したものであり、(b)は顧客レンタル機器DBの中に顧客の現場毎に記録される、貸し出されている測定台に対する測定台レンタルデータを例示したものである。
【図18】(a)は顧客レンタル機器DBの中に顧客の現場毎に記録される、貸し出されている捕集機に対する捕集機レンタルデータを例示したものであり、(b)は顧客レンタル機器DBの中に顧客の現場毎に記録される、貸し出されている携帯端末に対する携帯端末レンタルデータを例示したものである。
【図19】顧客レンタル機器DBの中に現場毎に記録される、貸し出されているマニュアルに対するマニュアル・レンタルデータを例示したものである。
【図20】測定器DBにおける1つの測定器に対する管理履歴情報を例示したものである。
【図21】測定台DBにおける1つの測定器に対する管理履歴情報を例示したものである。
【図22】捕集機DBにおける1つの捕集機に対する管理履歴情報を例示したものである。
【図23】携帯端末DBにおける1つの携帯端末に対する管理履歴情報を例示したものである。
【図24】マニュアルDBにおける1つのマニュアルに対する管理情報を例示したものである。
【図25】分析センタのサーバにおける校正有効期限に近づいた現場配置済みの検出器の交換手配指示を出力する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】分析センタのサーバにおける校正有効期限に近づいた現場配置済みの検出器の交換手配指示を出力する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図27】分析センタのサーバにおける校正有効期限に近づいた現場配置済みの検出器の交換手配指示を出力する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図28】分析センタのサーバにおける現場配置済みのレンタル機器の巡回点検手配指示を出力する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図29】(a)はウラン系列の天然放射性核種の崩壊系列を示す図であり、(b)はトリウム系列の天然放射性核種の崩壊系列を示す図である。
【図30】分析センタにおける測定試料受け入れ機能の制御の流れを示すフローチャートである。
【図31】分析センタにおけるトロン・ラドン量の分析評価及び報告機能の制御の流れを示すフローチャートである。
【図32】分析センタにおけるトロン・ラドン量の分析評価及び報告機能の制御の流れを示すフローチャートである。
【図33】測定データDBの一つの測定試料に対する測定データのファイルの内容を例示する図である。
【図34】顧客の環境放射能測定業務を委託した部門に定期的に環境放射能測定業務の請負費用を請求するための課金データの書式例である。
【符号の説明】
【0119】
1A、1B 端末
2 ネットワーク
3 サーバ(計算機)
3a 本体
3b 記憶部(記憶手段)
5A,5B マニュアル
6 捕集機
7 放射線測定器(第1及び第2の測定器)
8 測定台
9 RFIDタグR/W付き携帯端末
11 フィルタ
12A,12B,12C,12D,12E RFIDタグ
13 エアロゾル
14 容器
17 放射線測定装置
23 アプリケーションプログラム
32 契約管理部(契約管理手段)
33 サービス管理部
34 測定スケジュール管理部
35 レンタル機器管理部(レンタル機器管理手段)
35a 測定器管理部
35b 測定台管理部
35c 捕集機管理部
35d 携帯端末管理部
35e マニュアル管理部
36 測定データ管理部
37 課金処理部(課金処理手段)
40 顧客DB
41 サービス契約DB(測定契約情報)
43 測定器DB
44 測定台DB
45 捕集機DB
46 携帯端末DB
47 マニュアルDB
61 測定器レンタルデータ(レンタル情報)
63 測定台レンタルデータ(レンタル情報)
65 捕集機レンタルデータ(レンタル情報)
67 携帯端末レンタルデータ(レンタル情報)
69 マニュアル・レンタルデータ(レンタル情報)
110A,110B,110C,110D 現場
120 分析センタ
130 顧客依頼元

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の依頼する測定場所において測定試料を採取して、現場に配置された第1の測定器により放射線のグロス測定をし、該グロス測定の結果及び前記測定試料を分析センタに送付し、該分析センタにて前記測定試料の採取時点における放射性核種の量を算出して顧客に報告する環境放射能測定業務を管理するサーバを有する環境放射能測定管理システムであって、
前記サーバは、
顧客の依頼する測定場所を含む測定契約情報を管理する契約管理手段と、
前記現場に配置された第1の測定器の校正スケジュールを管理する測定器校正管理手段と、
を有し、
前記測定器校正管理手段は、前記契約管理手段の管理する測定契約情報にもとづいて前記顧客の依頼する測定場所に配置された前記第1の測定器の校正有効期限内に、代替の前記第1の測定器を配達し、引き換えにそれまで配置されていた前記第1の測定器を引きとって、校正実施に回すように、指示を出すことを特徴とする環境放射能測定管理システム。
【請求項2】
前記サーバは、更に前記現場に配置されている前記第1の測定器の前記校正有効期限を含む測定器情報を記憶する記憶手段を有し、
前記測定器校正管理手段は、前記記憶手段に前記測定器情報として、更に前記第1の測定器の検出効率を記憶させて管理することを特徴とする請求項1に記載の環境放射能測定管理システム。
【請求項3】
前記環境放射能測定業務は、空気中のラドン、トロンの子孫核種を前記測定場所に配置した捕集機でフィルタに捕集し、それを前記測定試料とし、空気中のラドン、トロンの捕集時の量を算出して顧客に報告するものであり、
前記サーバは、
前記測定場所に配置される、前記捕集機、第1の測定器、及び第1の測定器に対して所定の測定条件に前記測定試料を設定する測定台をレンタル機器として顧客にレンタルし、そのレンタル情報を前記記憶手段に記憶させるレンタル機器管理手段と、
顧客に料金を請求する課金処理手段と、を更に有し、
前記課金処理手段は、前記測定試料の数と前記レンタル情報にもとづいて、定期的に料金を算出することを特徴とする請求項2に記載の環境放射能測定管理システム。
【請求項4】
前記レンタル機器管理手段は、所定の期間毎に点検員が前記測定場所に配置されたレンタル機器を点検するようにスケジュール管理することを特徴とする請求項3に記載の環境放射能測定管理システム。
【請求項5】
顧客の依頼する測定場所において測定試料を採取して、現場に配置された第1の測定器により放射線のグロス測定をし、該グロス測定の結果及び前記測定試料を分析センタに送付し、該分析センタにて前記測定試料の採取時点におけるラドン量及びトロン量を算出して顧客に報告する環境放射能測定業務を管理するサーバを有する環境放射能測定管理システムであって、
前記測定試料の採取現場には、第1の検出効率で放射線のグロス測定を行なう第1の測定器を配置し、
前記分析センタには、第2の検出効率で放射線のグロス測定を行なう第2の測定器と、前記測定試料の精密測定をするために放射線のエネルギを分析して放射性核種を特定し、放射能強度を算出する放射線測定装置と、を配置し、
前記サーバは、
前記第1の検出効率及び第2の検出効率を予め記憶した記憶手段と、
前記測定試料の採取現場にて、前記第1の測定器により前記測定試料の第1のグロス測定値を取得し、その第1のグロス測定値と、それに対応する測定時刻情報とを前記採取された測定試料とともに前記分析センタに送付したのを受けて、前記送付された第1のグロス測定値と、それに対応する測定時刻情報とを、入力手段を介して取得する第1のグロス測定情報取得手段と、
採取時間から所定の時間幅内に、前記第2の測定器により前記送付された測定試料の第2のグロス測定値と、それに対応する測定時刻情報を、入力手段を介して取得する第2のグロス測定情報取得手段と、
第2のグロス測定値を取得した時点から短時間内に前記測定試料を直接、又は前処理して、前記放射線測定装置により測定される放射性核種と、放射能強度とを、入力手段を介して取得する精密分析結果取得手段と、
前記取得された放射性核種、放射能強度、第2のグロス測定値及び前記第2の検出効率にもとづいて、グロス測定補正係数を算出する補正係数算出手段と、
前記第2のグロス測定値、第2の検出効率、グロス測定補正係数、第2のグロス測定値の測定時刻情報、及び第1のグロス測定値の測定時間情報にもとづいて、第1のグロス測定値を取得した時点におけるトロン子孫核種の放射能強度を算出する採取時トロン子孫核種量算出手段と、
前記第1のグロス測定値、第1の検出効率及びグロス測定補正係数にもとづいて、第1のグロス測定値を取得した時点におけるトロン子孫核種とラドン子孫核種の両方を合わせた放射能強度を算出したものから、更に前記採取時トロン子孫核種量算出手段により算出されたトロン子孫核種の放射能強度を差し引いて前記第1のグロス測定値を取得した時点におけるラドン子孫核種の放射能強度を算出する採取時ラドン子孫核種量算出手段と、
を有することを特徴とする環境放射能測定管理システム。
【請求項6】
前記測定試料は、空気中の粉塵やエアロゾルを捕集機でフィルタに捕集したものであって、
前記フィルタには、書き込み可能なRFIDタグが貼付され、
捕集後に、少なくとも採取場所に関する採取現場情報、前記捕集機での捕集作業に関する捕集条件情報が前記フィルタのRFIDタグに書き込まれて、前記測定試料は前記分析センタに送られたのを受けて、
前記サーバは、前記採取現場情報及び捕集条件情報をフィルタのRFIDタグから入力手段で取得し、前記捕集条件情報にもとづいて単位空気容量当たりの前記ラドン量及びトロン量を算出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の環境放射能測定管理システム。
【請求項7】
環境中での天然放射性核種の短半減期成分と長半減期成分の混じった測定試料の放射能強度の分析方法であって、
前記測定試料の採取現場には、第1の検出効率で放射線のグロス測定を行なう第1の測定器を配置し、
前記測定試料の精密測定をする分析センタには、第2の検出効率で放射線のグロス測定を行なう第2の測定器と、放射線のエネルギを分析して放射性核種を特定し、放射能強度を算出する放射線測定装置と、前記第1の検出効率及び第2の検出効率を記憶手段に予め記憶した分析用の計算機と、を配置し、
前記測定試料の採取現場にて、前記第1の測定器により前記測定試料の第1のグロス測定値を取得し、その第1のグロス測定値と、それに対応する測定時刻情報とを前記採取された測定試料とともに前記分析センタに送付されると、
前記分析センタにて、前記計算機は、
前記送付された第1のグロス測定値と、それに対応する測定時刻情報とを、入力手段を介して取得する工程Aと、
採取時間から所定の時間幅内に、前記第2の測定器により前記送付された測定試料の第2のグロス測定値と、それに対応する測定時刻情報を、入力手段を介して取得する工程Bと、
第2のグロス測定値を取得した時点から短時間内に前記測定試料を直接、又は前処理して、前記放射線測定装置により測定される放射性核種と、放射能強度とを、入力手段を介して取得する工程Cと、
前記取得された放射性核種、放射能強度、第2のグロス測定値及び前記第2の検出効率にもとづいて、グロス測定補正係数を算出する工程Dと、
前記第2のグロス測定値、第2の検出効率、グロス測定補正係数、第2のグロス測定値の測定時刻情報、及び第1のグロス測定値の測定時間情報にもとづいて、第1のグロス測定値を取得した時点における前記長半減期成分の放射能強度を算出する工程Eと、
前記第1のグロス測定値、第1の検出効率及びグロス測定補正係数にもとづいて、第1のグロス測定値を取得した時点における前記短半減期成分と前記長半減期成分の両方を合わせた放射能強度を算出したものから、更に前記工程Eで算出された前記長半減期成分の放射能強度を差し引いて前記第1のグロス測定値を取得した時点における前記短半減期成分の放射能強度を算出する工程Fと、
を有することを特徴とする放射能強度の分析方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate


【公開番号】特開2009−63510(P2009−63510A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233252(P2007−233252)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】