説明

生ごみ処理機

【課題】乾燥性能の向上と維持を図った生ごみ処理機を提供する。
【解決手段】生ごみ32を収納する生ごみ収納容器12と、間欠的に回転して前記生ごみ収納容器12内に投入された生ごみ32を粉砕、攪拌する回転刃14と、生ごみ収納容器12の底面または/及び側面を加熱するヒータ20と、生ごみ収納容器12内に風を送る送風ファン19とを備え、運転初期に、回転刃14の動作時間を運転初期以外での動作時間より長くして、運転初期に生ごみを粉砕減容するもので、ヒータ20からの熱伝達が向上し乾燥性能が向上すると共に生ごみ32が減容するのでファンカバー22へのごみの付着を防止することができ乾燥性能の維持が図れる。また、生ごみの乾燥がすすんだときにも送風ファン19による風によって生ごみ収納容器12に接触していない生ごみ32も乾燥でき、乾燥性能の優れた生ごみ処理機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭の台所で発生する生ごみを減量および減容させる生ごみ処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の生ごみ処理機のうち乾燥方式を採用しているものでは、主として温風を生ごみ収納容器内に送り込む方式(温風方式)と、生ごみ収納容器を加熱して生ごみ収納容器内を加熱する方式の2種類が知られている。温風方式の従来の生ごみ処理機は、図2に示すように、外容器1に挿入され取外し自在の生ごみ収納容器3と、外容器1の底面に設けた駆動部4と、生ごみ収納容器3の底面に設けた縦軸式の回転刃5と、駆動部4と回転刃5を連結する連結部6と、生ごみ収納容器3の上部に設けた送風ファン8およびリング状の電気ヒータなどからなる加熱手段9と、送風ファン8と加熱手段9とを覆うと共に多数の孔(図示せず)を有するファンカバー10からなり、回転刃5を回転させることによって生ごみ2を粉砕攪拌しながら、加熱手段9と送風ファン8によって生ごみ収納容器3内に、上方から温風を拡散させ、生ごみ2を加熱乾燥するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、生ごみ収納容器を加熱する(送風手段のない)方式を用いた従来の生ごみ処理機においては、図3に示すように、生ごみ収納容器3の底面近傍に加熱手段9を設けて、生ごみ収納容器3を加熱し、生ごみ2に生ごみ収納容器3の熱を伝達し生ごみ2を乾燥させるようにしていた(例えば、特許文献2参照)。尚、図2に示した生ごみ処理機と同一部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3006365号公報
【特許文献2】特許第3279218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の温風方式の生ごみ処理機の構成では、加熱乾燥する温風が、生ごみ2の表面だけに流れ、生ごみ収納容器3の底面近傍の生ごみ2には届き難いため、乾燥性能が向上できないという課題を有していた。また、特に、生ごみ2が多量に投入された場合、生ごみ2が送風ファン8の近傍に存在するので、温風が生ごみ収納容器3の中央を上昇して乾燥ファン8に戻る際に、生ごみ2の破片や粉を巻き上げ、生ごみ2の破片や粉がファンカバー10に付着するという課題を有していた。これらの付着が送風ファン8により生ごみ収納容器3内に形成する対流を少なくするので、乾燥性能が低下する。
【0006】
一方、生ごみ収納容器3を外部から加熱する(送風手段のない)方式の従来の生ごみ処理機の構成では、生ごみ収納容器3の内表面に接する生ごみには熱が伝わるが、生ごみ収納容器3の内表面から離れた部分にある生ごみには熱が伝わりにくく、また、生ごみ2の乾燥がすすむにつれて生ごみ2が固形化し、生ごみ収納容器3から生ごみ2への熱が伝わりにくくなり乾燥性能が低下するという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、乾燥性能の向上と維持を図った生ごみ処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明の生ごみ処理機は、生ごみを収納する生ごみ収納容器と、間欠的に回転して前記生ごみ収納容器内に投入された生ごみを粉砕、攪拌する回転刃と、前記生ごみ収納容器を加熱する加熱手段と、前記生ごみ収納容器内に風を送る送風ファンとを備え、運転初期に、前記回転刃の動作条件をそれ以外の時期に対して変更させて運転初期に生ごみを粉砕減容するものである。具体的には、前記回転刃の動作時間を運転初期以外での動作時間より長くして、運転初期に生ごみを粉砕減容するもので、加熱手段からの熱伝達が向上し乾燥性能が向上すると共に生ごみが減容するので、送風ファンを覆うファンカバーへのごみの付着を防止することができ、乾燥性能の向上とその維持が図れる。また、生ごみの乾燥が進んだときにも送風ファンによる風によって生ごみ収納容器に接触していない生ごみを乾燥させることができるので、乾燥性能の優れた生ごみ処理機を提供することができる。
【0009】
また、本発明の生ごみ処理機は、運転初期に、前記回転刃の動作速度を、運転初期以外での動作速度より早くし、運転初期に生ごみを粉砕減容するもので、送風ファンを覆うファンカバーへのごみの付着を防止することができ乾燥性能の向上とその維持が図れる。また、生ごみの乾燥が進んだときにも送風ファンによる風によって生ごみ収納容器に接触していない生ごみを乾燥させることができるので、乾燥性能の優れた生ごみ処理機を提供することができる。
【0010】
また、本発明の生ごみ処理機は、運転初期に、前記回転刃の回転動作間隔を運転初期以外での回転動作間隔より短くし、運転初期に生ごみを粉砕減容するもので、送風ファンを覆うファンカバーへのごみの付着を防止することができ乾燥性能の向上とその維持が図れる。また、生ごみの乾燥が進んだときにも送風ファンによる風によって生ごみ収納容器に接触していない生ごみを乾燥させることができるので、乾燥性能の優れた生ごみ処理機を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の生ごみ処理機は、乾燥性能の向上とその維持が図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態における生ごみ処理機の断面図
【図2】従来の生ごみ処理機の断面図
【図3】従来の生ごみ処理機の他の例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、生ごみを収納する生ごみ収納容器と、間欠的に回転して前記生ごみ収納容器内に投入された生ごみを粉砕、攪拌する回転刃と、前記生ごみ収納容器を加熱する加熱手段と、前記生ごみ収納容器内に風を送る送風ファンとを備え、前記回転刃の動作条件を、運転初期とそれ以外の期間で変更させて、運転初期に生ごみを粉砕減容するものである。具体的には運転初期に、前記回転刃の動作時間を運転初期以外での動作時間より長くして、運転初期に生ごみを粉砕減容するもので、加熱手段からの熱伝達が向上し乾燥性能が向上すると共に生ごみが減容するので、送風ファンを覆うファンカバーへのごみの付着を防止することができ、乾燥性能の向上とその維持が図れる。また、生ごみの乾燥が進んだときにも送風ファンによる風によって生ごみ収納容器に接触していない生ごみを乾燥させることができるので、乾燥性能の優れた生ごみ処理機を提供することができる。
【0014】
第2の発明は、運転初期に、前記回転刃の動作速度を、運転初期以外での動作速度より早くし、運転初期に生ごみを粉砕減容するもので、送風ファンを覆うファンカバーへのごみの付着を防止することができ乾燥性能の向上とその維持が図れる。また、生ごみの乾燥
が進んだときにも送風ファンによる風によって生ごみ収納容器に接触していない生ごみを乾燥させることができるので、乾燥性能の優れた生ごみ処理機を提供することができる。
【0015】
第3の発明は、運転初期に、前記回転刃の回転動作間隔を運転初期以外での回転動作間隔より短くし、運転初期に生ごみを粉砕減容するもので、送風ファンを覆うファンカバーへのごみの付着を防止することができ乾燥性能の向上とその維持が図れる。また、生ごみの乾燥が進んだときにも送風ファンによる風によって生ごみ収納容器に接触していない生ごみを乾燥させることができるので、乾燥性能の優れた生ごみ処理機を提供することができる。
【0016】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の運転初期は、送風ファンの動作を停止するもので、ファンカバーへのごみの付着を防止することができるので乾燥性能を維持できる生ごみ処理機を提供することができる。
【0017】
第5の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の運転初期は、送風ファンの回転速度を遅くするもので、ファンカバーへのごみの付着を防止することができるので乾燥性能を維持できる生ごみ処理機を提供することができる。
【0018】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明の生ごみ収納容器の少なくとも底部を金属としたもので、加熱手段から効率的に生ごみに熱伝達することができるので乾燥性能の優れた生ごみ処理機を提供することができる。
【0019】
第7の発明は、特に、第6の発明の加熱手段は、生ごみ収納容器を電磁誘導作用で加熱するもので、生ごみ収納容器を直接加熱することができるので乾燥性能の優れた生ごみ処理機を提供することができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における生ごみ処理機の断面図である。図1において、本実施の形態における生ごみ処理機の本体40は、生ゴミ等を収納する生ごみ収納容器12を着脱自在に収容する外容器11を備えている。生ごみ収納容器12は、樹脂でも金属でもかまわないが、金属のほうが効率的に加熱することができるので、より乾燥性能の優れたものとなる。生ごみ収納容器12の内壁には固定刃13が設けられ、この固定刃13と交差しながら回転する回転刃14がセンター軸16に連結されている。センター軸16は、外容器11の底部に設けた連結部17により、着脱自在に回転軸18に連結されており、回転軸18は、駆動モータ15で駆動される。
【0022】
上記固定刃13と回転刃14により、生ごみ収納容器12の内部の生ごみ等を粉砕撹拌する粉砕撹拌手段を構成している。20は、生ごみ収納容器12を加熱する加熱手段となるヒ−タであり、生ごみ収納容器12の下部に配置してある。
【0023】
本実施の形態では、ヒータ20は、リング状の電気ヒータで構成しているが、金属製の生ごみ収納容器12と電磁誘導コイル(図示せず)の組み合わせで構成すれば、直接生ゴミ収納容器12を誘導加熱することができるので、より乾燥性能の優れたものとなる。24は、本体40に開閉可能に設けた蓋で、蓋24の内側に、裏蓋27を設け、生ごみ収納容器12の開口12aを、裏蓋27に取着したパッキン25にてシールしている。この裏蓋27には、外気を導入する吸気口26と、生ごみ32から発生した蒸気を排出する排出口30が設けられている。
【0024】
生ごみ収納容器12の上部には、生ごみ収納容器12内に風を送る送風ファン19が裏蓋27の上部に取り付けられた送風モータ21の軸を介して配置されている。送風ファン19の周囲は、生ごみ32が送風ファン19に接触するのを防止すると共に、多数の開口部(図示せず)を有するファンカバー22で囲まれており、送風ファン19で発生した風は、ファンカバー22の外側の開口部を通って生ごみ収納容器12内に送られると共に、ファンカバー22の内側の開口部からは空気を吸い込み、生ごみ収納容器12内に対流を起こしている。
【0025】
排出口30には、排気通路23が接続されており、排気の臭いを脱臭する脱臭装置31に連結し、排気用の通路を形成している。脱臭装置31の排気側には、排気ファン28と排気ファンモータ29からなる吸引手段が配されており、生ごみ収納容器12内の蒸気は、排気ファン28によって吸引されると共に外部に排出されるようになっている。
【0026】
以上のように構成された本実施の形態における生ごみ処理機の動作を、以下に説明する。
【0027】
生ごみ収納容器12に投入された生ごみ32は、間欠的に正転、反転を行なう回転刃14により攪拌されると共に回転刃14と固定刃13により粉砕される。ヒータ20により加熱された生ごみ収納容器12は、生ごみ32等を加熱し、加熱された生ごみ32等からは水蒸気が発生する。発生した臭気を含む水蒸気は、排気ファン28と排気ファンモータ29からなる吸引手段により吸引され、生ごみ収納容器12の上部の排出口30、排気通路23を通って脱臭装置31に導入される。
【0028】
脱臭装置31に導入された臭気を含む蒸気は、脱臭装置31にて臭いが除去された後、外部に排出される。生ごみ収納容器12内へは、吸気口26から常に新鮮な空気が吸引され、乾燥中の蒸気は、スムーズに脱臭装置31側に吸引されるため、乾燥ごみへの臭いの再付着も抑えられる。よって乾燥中は異臭もない上、棄てやすく、また乾燥して水分活性が低下しているので、腐敗したりカビが発生することはない。よって生ごみ32に比べ、扱いやすく、少量の処理しやすいごみに変換することができる。
【0029】
ここで運転開始から5分間から30分間の運転初期において、回転刃14の回転時間を長くするあるいは回転速度を早くするあるいは回転周期を短くすることで、運転初期において生ごみ32を粉砕し減容液状化して、生ごみ収納容器12の底面との接触面積を増やし、効率的に生ごみ32へ熱を伝達することができるようになる。生ごみ32が減容液状化した後は、回転刃14の回転時間を短くするあるいは回転速度を遅くするあるいは回転周期を長くすることで、回転刃14の回転時に生ずる騒音の低減、駆動モータ15の負荷低減をはかることができる。
【0030】
さらに、本実施の形態では、運転初期、つまり生ごみ32が送風ファン19に近接している間は、送風ファン19を停止あるいはその回転速度を遅くしているので、ファンカバー22への生ごみ32の付着が抑えられ、乾燥性能の低下を防止することができる。
【0031】
また、生ごみ32の乾燥がすすむにつれて、液状化していた生ごみ32が固形化し生ごみ収納容器12から生ごみ32へ熱が伝わりにくくなるが、送風ファン19による風が生ごみ処理容器12の壁面に沿って旋回しながら下降していくので加熱された生ごみ収納容器12の熱によって温風となって生ごみ32の表面を流れことになり、生ごみ収納容器12に接触していない生ごみ32の表面を加熱することができるので、生ごみ32の乾燥がすすんでいる状態でも、乾燥性能を維持することができ、乾燥性能に優れた生ごみ処理機を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように本発明にかかる生ごみ処理機は乾燥性能の向上と維持を図ったものであり、主に家庭の台所で発生する生ごみを処理する生ごみ処理機として最適なものである。
【符号の説明】
【0033】
12 生ごみ収納容器
13 固定刃
14 回転刃
19 送風ファン
20 ヒータ(加熱手段)
22 ファンカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを収納する生ごみ収納容器と、間欠的に回転して前記生ごみ収納容器内に投入された生ごみを粉砕、攪拌する回転刃と、前記生ごみ収納容器を加熱する加熱手段と、前記生ごみ収納容器内に風を送る送風ファンとを備え、前記回転刃の動作条件を、運転初期とそれ以外の期間で変更させて、運転初期に生ごみを粉砕減容する生ごみ処理機。
【請求項2】
運転初期は、回転刃の動作時間を長くしたことを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理機。
【請求項3】
運転初期は、回転刃の動作速度を早くしたことを特徴とする請求項1または2に記載の生ごみ処理機。
【請求項4】
運転初期は、回転刃の回転動作間隔を短くしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生ごみ処理機。
【請求項5】
運転初期は、送風ファンの動作を停止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生ごみ処理機。
【請求項6】
運転初期は、送風ファンの回転速度を遅くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生ごみ処理機。
【請求項7】
生ごみ収納容器の少なくとも底部を金属としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の生ごみ処理機。
【請求項8】
加熱手段は、生ごみ収納容器を電磁誘導作用で加熱することを特徴とする請求項1〜7に記載の生ごみ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−115716(P2011−115716A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275120(P2009−275120)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】