説明

生ごみ処理装置

【課題】気温の高い時期や直射日光をあびても臭気の抑制が図れる生ごみ処理装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】生ごみの処理部21と、処理部21において生ごみを攪拌する攪拌手段22と、処理部21に供給される外気の温度を検知する温度検知手段42と、処理部21内の含水率を検知する含水率検知手段43と、含水率検知手段43の出力に応じて攪拌手段22を駆動する制御部44とを備え、温度検知手段42が設定値より高い温度を検知した場合、含水率検知手段43の出力を水分過多へ補正する、または含水率の出力に対する攪拌手段22の攪拌量を増加へ変更するものである。これによって、温度検知手段42が設定値より高い温度を検知すれば、制御部44は乾燥側へ攪拌手段22を駆動するので、気温の高い時期や直射日光をあびても臭気の抑制を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭の台所で発生する生ごみを減量および減容させる生ごみ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の生ごみ処理装置は生ごみを乾燥し撹拌することにより減量、減容している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、この従来の生ごみ処理装置を示すものである。生ごみ処理装置は、微生物(好気性)の生息場所となるおがくずや未分解の処理物などの微生物担体1を入れた処理部2と、投入された生ごみ3と微生物担体1とを混合、撹拌するための攪拌手段4およびその駆動部5を有し、投入された生ごみ3を微生物により最終的には二酸化炭素と水に分解し、生ごみ3を減量および減容するようになっている。そして、駆動部5、処理部2内の温度を適正に保つための槽加熱手段6、酸素(空気)を供給するための換気ファン7と吸気口8、それらの制御を行う制御部(図示せず)を備え、微生物の働きにより生ごみ3を分解し減量および減容する。また、処理部2の上部側面に開口した二つの長方形形状の排出口9は貯蔵室10に連通している。さらに、処理部2の下部外面に含水率検知手段11が設けられている。
【0004】
また、処理部2の上部には乾燥室12が設けられ、この乾燥室12は回転可能なプレート13で仕切られている。乾燥室12には、乾燥用吸気ファン14を有する乾燥用吸気口15が設けられるとともに、乾燥用排気ファン16を有する乾燥用排気口17が設けられている。そして、この乾燥用吸気ファン14からの空気を加熱する乾燥用加熱ヒータ18が設けられている。なお、図中19は重量センサで、プレート13上の生ごみ3の重量を検出するものである。
【0005】
以上のように構成された生ごみ処理装置の動作を説明する。
【0006】
微生物が生ごみ3を分解する方式の生ごみ処理装置は、この微生物を生息させ、活性化させるための環境を作る必要がある。その一つは、微生物が多く生息でき増殖するための場所づくりであり、そのための微生物担体1には、おがくずのような木片チップや、多孔質のプラスチック片などが用いられている。二つめは、微生物による分解に必要な条件である酸素(空気)を微生物担体1に供給することであり、攪拌手段4の攪拌作用により実現している。そして三つめは、適度の含水率が必要であり、乾燥しすぎの状態では、微生物は生存できないし、水分の多い状態でも分解の能力が低下する。
【0007】
この適度の含水率確保のために生ごみ処理装置は、まず生ごみ3が乾燥室12に投入されると、乾燥用吸気ファン14の吸引作用により乾燥用吸気口15から外部空気を吸引してこれを乾燥用加熱ヒータ18により加熱し、乾燥室12に投入された生ごみ3を温風乾燥する。次に、重量センサ19が生ごみ3の乾燥状態、すなわち、所定の減量を検知すると、プレート13を回転して、乾燥した生ごみ3を処理部2内に落下させる。続いて、落下した生ごみ3を攪拌手段4の攪拌作用により微生物担体1と十分に混合させ、微生物分解を始める。その際、生ごみ3の表面が乾いているので、生ごみ3自身や生ごみ3と微生物担体1の絡み付きが抑制でき、生ごみ3や微生物担体1の小粒化が防止できる。
【0008】
次に、含水率検知手段11は間歇的に、例えば、180分間隔で微生物担体1の含水率を測定する。そして、含水率検知手段11のバラツキを解消するために、制御部は間歇的に検知した含水率検知手段11の出力を移動平均(例えば5点)した平均含水率に応じて駆動部5の駆動間隔を設定する。例えば、30分〜240分間の駆動間隔で駆動部5が2分程度駆動する。すなわち、制御部は攪拌手段4の攪拌量を調整して、微生物担体1を適度の含水率となるようにしていた。なお、攪拌手段4の攪拌作用は微生物担体1の水分(水蒸気)を外へ排出させて、続いて換気ファン7の吸引作用により吸気口8から流入した外気は換気しながら水分(水蒸気)を排気する。
【特許文献1】特開平10−99826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の構成では、換気ファン7の吸引作用により吸気口8から流入した外気は処理部2を換気するが、真夏において外気の温度は非常に高いので、外気は微生物担体1を加熱する。すなわち、外気は微生物担体1を冷却しない。また、直射日光をあびる場合、処理部2は温度上昇する。これらの結果、微生物分解の際に、微生物の自己発熱により微生物担体1の温度が設定値(30〜40℃)より上昇し、微生物の活性が高く維持されるので、微生物分解により生成される臭気成分(主にトリメチルアミン、メチルメルカプタン)量が増加して臭気が強くなるという課題を有していた。また、すいかなどの水分の多い生ごみが投入されると、微生物担体1の含水率が急激に上昇し、設定値(20〜40%)より高くなり、微生物担体1の水分により微生物担体1の通気性が悪化するので、微生物担体1に熱がこもり易くなる。この結果、微生物担体1の温度と含水率が非常に高くなり、微生物の活性が非常に高く維持されるので、微生物分解により生成される臭気成分量が非常に増加して強烈な悪臭が発生するという課題を有していた。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、気温の高い時期や直射日光をあびても臭気の抑制が図れる生ごみ処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の生ごみ処理装置は、生ごみの処理部と、処理部において生ごみを攪拌する攪拌手段と、処理部に供給される外気の温度を検知する温度検知手段と、処理部内の含水率を検知する含水率検知手段と、含水率検知手段の出力に応じて攪拌手段を駆動する制御部とを備え、温度検知手段が設定値より高い温度を検知した場合、含水率検知手段の出力を水分過多へ補正する、または含水率の出力に対する攪拌手段の攪拌量を増加へ変更するものである。
【0012】
これによって、温度検知手段が設定値より高い温度を検知すれば、制御部は乾燥側へ攪拌手段を駆動するので、気温の高い時期や直射日光をあびても臭気の抑制を図ることができる。
【0013】
また、本発明の生ごみ処理装置は、温度検知手段の所定期間の出力から代表温度を求める温度演算部を備え、温度演算部が設定値より高い温度を演算した場合、含水率検知手段の出力を水分過多へ補正する、または含水率の出力に対する攪拌手段の攪拌量を増加へ変更するものである。
【0014】
これによって、温度演算部が設定値より高い温度を演算すれば、制御部は乾燥側へ攪拌手段を駆動するので、気温の高い時期や直射日光をあびても臭気の抑制を図ることができる。特に、含水率検知手段の出力補正や攪拌手段の攪拌量変更の有無は、所定期間の外気の温度から求めた代表温度で決めるので、攪拌手段の駆動が一日の外気の温度変化に左右されず、微生物への負荷が小さく、微生物分解性能が安定するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の生ごみ処理装置は、夏の気温の高い時期や直射日光をあびても、微生物分解性能を適正に維持しながら臭気を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の発明は、生ごみの処理部と、前記処理部において生ごみを攪拌する攪拌手段と、前記処理部に供給される外気の温度を検知する温度検知手段と、前記処理部内の含水率を検知する含水率検知手段と、前記含水率検知手段の出力に応じて前記攪拌手段を駆動する制御部とを備え、前記温度検知手段が設定値より高い温度を検知した場合、含水率検知手段の出力を水分過多へ補正する生ごみ処理装置とするものである。
【0017】
これによって、温度検知手段が設定値より高い温度を検知すれば、含水率検知手段の出力を水分過多へ補正するので、制御部は補正した含水率に応じて乾燥側へ攪拌手段を駆動する。この結果、微生物担体の含水率が低めに維持でき、微生物の活性が抑えられるので、臭気の抑制が図れる。また、常に微生物担体の含水率が低めに維持されているので、すいかなどの水分の多い生ごみが投入されても、微生物担体の含水率が比較的低く維持できる。この結果、微生物の活性が抑えられるので、臭気の抑制が図れる。
【0018】
第2の発明は、生ごみの処理部と、前記処理部において生ごみを攪拌する攪拌手段と、前記処理部に供給される外気の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の所定期間の出力から代表温度を求める温度演算部と、前記処理部内の含水率を検知する含水率検知手段と、前記含水率検知手段の出力に応じて前記攪拌手段を駆動する制御部とを備え、前記温度演算部が設定値より高い温度を演算した場合、含水率検知手段の出力を水分過多へ補正する生ごみ処理装置とするものである。
【0019】
これによって、温度演算部が設定値より高い温度を演算すれば、第1の発明と同様の効果が図れる。特に、約一日の単位で変化する系である微生物分解に即して、含水率検知手段の出力補正の有無は所定期間の外気の温度から求めた代表温度で決めるので、微生物への負荷が小さく、微生物分解性能が安定する。言い換えると、その時々の外気の温度で含水率検知手段の出力補正の有無を決める場合、攪拌手段の駆動が一日の範囲で急激な変化になり、微生物の育成に悪影響を与える。
【0020】
第3の発明は、生ごみの処理部と、前記処理部において生ごみを攪拌する攪拌手段と、前記処理部に供給される外気の温度を検知する温度検知手段と、前記処理部内の含水率を検知する含水率検知手段と、前記含水率検知手段の出力に応じて前記攪拌手段を駆動する制御部とを備え、前記温度検知手段が設定値より高い温度を検知した場合、含水率の出力に対する攪拌手段の攪拌量を増加へ変更する生ごみ処理装置とするものである。
【0021】
これによって、温度検知手段が設定値より高い温度を検知すれば、含水率の出力に対する攪拌手段の攪拌量を増加へ変更するので、第1の発明と同様、制御部は変更した攪拌量に応じて乾燥側へ攪拌手段を駆動する。この結果、微生物担体の含水率が低めに維持でき、微生物の活性が抑えられるので、臭気の抑制が図れる。また、すいかなどの水分の多い生ごみが投入された場合も、同様に臭気の抑制が図れる。
【0022】
第4の発明は、生ごみの処理部と、前記処理部において生ごみを攪拌する攪拌手段と、前記処理部に供給される外気の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の所定期間の出力から代表温度を求める温度演算部と、前記処理部内の含水率を検知する含水率検知手段と、前記含水率検知手段の出力に応じて前記攪拌手段を駆動する制御部とを備え、前記温度演算部が設定値より高い温度を演算した場合、含水率の出力に対して攪拌手段の攪拌量を増加へ変更する生ごみ処理装置とするものである。
【0023】
これによって、温度演算部が設定値より高い温度を演算すれば、第3の発明と同様の効果が図れる。また、第2の発明と同様、微生物への負荷が小さく、微生物分解性能が安定する。
【0024】
第5の発明は、特に、第1または第2の発明において、処理部内に生ごみ乾燥用の空気を供給する乾燥ファンと、生ごみ乾燥用の空気を加熱する加熱手段とを備え、制御部は、処理部に生ごみが投入されると乾燥ファンを運転しつつあらかじめ定めた所定の乾燥期間、攪拌手段の駆動を禁止し、含水率に応じて乾燥期間加熱手段を動作させるものである。
【0025】
これによって、処理部に生ごみが投入されると、あらかじめ定めた乾燥期間、制御部は攪拌手段の駆動を中止して生ごみを微生物担体の表面に留まらせるとともに、この生ごみは乾燥ファンにより供給される生ごみ乾燥用の空気によって乾燥する。同時に、水分過多へ補正された含水率検知手段の出力が含水率の閾値を超えた場合、制御部は加熱手段を運転するので、生ごみ乾燥用の空気(外気)の温度が上昇し相対湿度が低くなる分、効率よく乾燥することができる。この結果、微生物担体の含水率が低く維持でき、微生物の活性が抑えられるので、臭気の抑制が図れる。また、常に微生物担体の含水率が低く維持されているので、すいかなどの水分の多い生ごみが投入されても、微生物担体の含水率が低めに維持できる。この結果、微生物の活性が抑えられるので、臭気の抑制が図れる。また、特別な乾燥室を必要とすることなく乾燥が可能となる。
【0026】
第6の発明は、特に、第3または第4の発明において、処理部内に生ごみ乾燥用の空気を供給する乾燥ファンと、生ごみ乾燥用の空気を加熱する加熱手段とを備え、制御部は、処理部に生ごみが投入されると乾燥ファンを運転しつつあらかじめ定めた所定の乾燥期間、攪拌手段の駆動を禁止し、攪拌手段の攪拌量に応じて乾燥期間加熱手段を動作させるものである。これによって、増加へ変更された攪拌手段の攪拌量が攪拌量の閾値を超えた場合、加熱手段を運転して効率よく乾燥することができる。この結果、第5の発明と同様の効果が図れる。
【0027】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、温度検知手段は、処理部における微生物担体の単位時間あたりの温度変化を捉える含水率検知手段の温度センサである。これによって、温度センサが温度検知手段を兼ねている分、低コストが図れる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
図1〜図5は、本発明の実施の形態1における生ごみ処理装置を示すものである。
【0030】
図1、図2に示すように、本実施の形態における生ごみ処理装置は、有底状をした生ごみの処理部21と、処理部21内に収容され生ごみを攪拌する攪拌手段22と、処理部21の外側を覆い間隙を有して設けた外装25と、処理部21に供給される外気の温度を検知する温度検知手段42と、処理部21内の含水率を検知する含水率検知手段43と、含水率検知手段43の出力に応じて攪拌手段22を駆動する制御部44とを備え、温度検知手段42が設定値より高い温度を検知した場合、含水率検知手段43の出力を水分過多へ補正するようにしているものである。
【0031】
前記生ごみの処理部21は、微生物の生息場所となるおがくずや未分解の処理物などの微生物担体26および投入された生ごみ27を収容する。攪拌手段22は、回転撹拌棒23と、駆動モータと伝達ギアなどからなる駆動部24とから構成されており、回転撹拌棒23が投入された生ごみ27と微生物担体26とを混合、撹拌して、微生物担体26に酸素(空気)を供給する。
【0032】
また、処理部21の下部には、処理部21内の温度を適正に保つための電気ヒータからなる槽加熱手段28を設け、処理部21の上部には、生ごみ27を投入する際に開閉する蓋29をヒンジ30により回動自在に設けている。
【0033】
処理部21の側面上部から外装25の底面には、処理部21と外気に連通した排気通路31があり、換気ファン32を内蔵している。蓋29の開閉を検知する蓋開閉検知部33は、例えば、磁石とリードスイッチとで構成している。そして、処理部21内に外気を供給して生ごみ27を乾燥させる送風乾燥処理部34は、処理部21の上部側面に設けられおり、空気室35と、乾燥ファン36と、生ごみ27を乾燥させる空気を処理部21に対して噴出する空気噴出口37と、空気室35を外気に連通した吸気通路38と、乾燥ファン36と空気噴出口37の間に設けられ生ごみ27を乾燥させる空気を加熱する電気ヒータからなる加熱手段39とで構成されている。
【0034】
また、処理部21の攪拌手段22が取り付けてある側面上部に、かつ攪拌手段22に略対称になるように二つ開口した排出口40が設けられ、この排出口40は丸形状で外へ突出している。この排出口40を上部に内設して貯蔵室41が処理部21に連通して設けられている。
【0035】
そして、外気の温度を検知する温度検知手段42は、吸気通路38内に設けられ、処理部21内の含水率を検知する含水率検知手段43は、処理部21の外面に設けられている。含水率検知手段43は、例えば、温度センサ(図示せず)により処理部21内における微生物担体26の単位時間あたりの温度変化を捉えて含水率を検知する構成としてある。また、制御部44は、蓋開閉検知部33、温度検知手段42、および含水率検知手段43からの出力に基づき攪拌手段22、乾燥ファン36、加熱手段39をも制御するように構成している。
【0036】
以上のように構成された生ごみ処理装置において、図3と図4を用いて、その動作を説明する。
【0037】
まず、電源プラグをコンセントに接続、或いは電源スイッチをONして電源が供給されると、制御部44に通電され、換気ファン32が運転を開始(S1)し、外部から取り込まれた空気が乾燥ファン36(停止している)から空気室35を通り空気噴出口37から処理部21の上部に流入する。続いて、この空気は換気ファン32の排気作用により外部へ排気される。すなわち、処理部21の上部を略連続的に換気する。なお、この換気ファン32は電源プラグをコンセントに接続、或いは電源スイッチをONにしている間中、回転しつづけるが、必要に応じて蓋29を開いたときは停止するようにしてもよいものである。
【0038】
この状態で生ごみ27を処理部21に投入するために蓋29を開けると、制御部44は蓋開閉検知部33からの出力で蓋29が開いたことを検知(S2)し、攪拌手段22の駆動装置25の駆動を禁止(S3)する。そして、生ごみ27を処理部21に投入した後、再び蓋29を閉めると、制御部44は蓋開閉検知部33からの出力で蓋29が閉じられたことを検知(S4)し、乾燥ファン36の運転を開始(S5)する。
【0039】
次に、温度検知手段42が設定値より高い温度、例えば、30℃以上を検知(S6)した場合、含水率検知手段43の出力を水分過多へ補正(S7)する。例えば、含水率検知手段43が検知している微生物担体26の含水率を10%高く補正する。なお、平均含水率(微生物担体26の代表含水率)は間歇的に検知した含水率検知手段43の出力(補正してあれば補正後の値)を移動平均(例えば、5点)とする。そして、平均含水率が閾値(高含水率)、例えば、40%を超えた(S8)場合、制御部44は加熱手段39を動作(S9)させる。続いて、制御部44は乾燥ファン36を運転しつつあらかじめ定めた乾燥期間(例えば、4時間)、攪拌手段22の駆動装置25の駆動を禁止(S10)しつづける。これら一連の動作の結果、生ごみ27は微生物担体26の表面に留まっている。
【0040】
他方、乾燥ファン36が送風を開始すると、空気室35に空気が送り込まれる(例えば、300L/min)。空気室35に送り込まれた空気は空気噴出口37から処理部21、特に、微生物担体26の表面に留まっている生ごみ27に向かって噴出する。噴出された空気は生ごみ27の上部から下部に通り抜け、そして微生物担体26に衝突後、生ごみ27の側部から生ごみ27の外へ出て排気口32から排気される。その際に、空気が生ごみ27から発生する蒸気を運び出すので、生ごみ27は乾燥する(例えば、夏の場合、水分は30%減:生ごみ27の送風乾燥処理)。特に、加熱手段39が運転している場合、乾燥ファン36から空気室35へ送風された空気は加熱手段38に加熱されて10〜40℃程度温度上昇し、飽和蒸気量が増加する。この結果、空気噴出口37から噴出した温度上昇した空気(乾いた空気)は処理部21、特に、微生物担体26の表面に留まっている生ごみ27に向かって噴出する。温度上昇した空気が生ごみ27から発生する蒸気を直ちに運び出すので、生ごみ27は十分に乾燥する(例えば、夏の場合、水分は50%減:生ごみ27の温風乾燥処理)。また、空気が微生物担体26の表面近傍に浸透するので、十分な好気性雰囲気が維持できる。また、従来例で説明した乾燥室の機能を処理部が兼ねているので、コンパクト化が図れる。
【0041】
次に、乾燥期間が経過した場合について説明する。
【0042】
制御部44は加熱手段39が運転中の場合、直ちに加熱手段39を停止(S11)し、続いて乾燥ファン36を停止(S12)する。また、微生物担体26を所定の温度(例えば、30℃程度)に維持するように、槽加熱手段28がON/OFF制御される。そして、蓋29を閉めた直後と同様に、温度検知手段42が高い温度、例えば、30℃以上を検知(S13)した場合、含水率検知手段43の出力を水分過多へ補正(S14)する。そして、図5に示すように、平均含水率に応じて攪拌手段22を間歇的(例えば、30〜240分間隔)に駆動装置25を介して通常の攪拌時間(例えば、2分間)駆動(S15)し、回転撹拌棒23が乾燥した生ごみ27と微生物担体26とを混合する(通常攪拌)。この結果、微生物による分解処理が開始され継続される。特に、含水率検知手段43の出力を水分過多へ補正している分、制御部44が攪拌手段22の駆動間隔を短く設定するので、換気ファン32の換気作用による微生物担体26の乾燥能力が向上する。すなわち、夏の高温時期、乾燥能力をさらに向上する。この結果、微生物担体26の含水率が低め(例えば、20%前後)に維持でき、微生物の活性が抑えられるので、微生物分解により生成される臭気成分(主にトリメチルアミン、メチルメルカプタン)量が少なく臭気の抑制が図れる。また、常に微生物担体26の含水率が低めに維持されているので、すいかなどの水分の多い生ごみ27が投入されても、微生物担体26の含水率が比較的低く(例えば、30〜40%前後)維持できる。この結果、微生物の活性が抑えられるので、臭気の抑制が図れる。
【0043】
(実施の形態2)
図6、図7は、本発明の実施の形態2における生ごみ処理装置を示すものである。実施の形態1と基本構成は同一であるので、同一要素については同一符号を付してその説明は省略する。
【0044】
本実施の形態において、実施の形態1と異なるところは、温度検知手段42の所定期間の出力から代表温度を求める温度演算部45を備え、温度演算部45が設定値より高い温度を演算した場合、含水率検知手段43の出力を水分過多へ補正するようにしたことである。すなわち、温度演算部45は過去一日の温度検知手段42の出力から平均温度を演算し、この平均温度を設定値より高い温度と演算した場合、含水率に対して攪拌手段22の攪拌量を増加へ変更している。
【0045】
次に、上記構成の生ごみ処理装置について、その動作を説明する。
【0046】
図6において、温度演算部45が、例えば、過去一日、かつ1時間毎に検知した温度検知手段42の出力から平均温度を演算(S16)(S20)し、制御部44が平均温度を設定値より高い温度と、例えば、30℃以上と演算(S17)(S21)した場合、図7に示すように、含水率に対する攪拌手段22の攪拌量を増加するように(攪拌手段22の攪拌間隔が短く)変更(S18)(S22)している。そして、攪拌間隔が、例えば、30分以下(S19)の場合、制御部44は加熱手段39を動作(S9)させる。この結果、実施の形態1と同様の効果が図れる。すなわち、約一日の単位で変化する系である微生物分解に対して、一日の平均温度で含水率検知手段43の出力補正の有無を判断することで、微生物への負荷が小さく、微生物分解の能力が安定になる。言い換えると、その時々の温度検知手段42の出力で、含水率に対して攪拌手段22の攪拌量を増加へ変更することの有無を決める場合、攪拌手段22の駆動が一日の範囲で急激な変化になり、例えば、制御部44が攪拌手段22を最長攪拌間隔240分から最短攪拌間隔30分に変更するということが頻繁に起こり、微生物の育成に悪影響を与える。
【0047】
なお、実施の形態1、2において、温度検知手段42は微生物担体26の単位時間あたりの温度変化を捉える含水率検知手段43の温度センサ(図示せず)を用いてもよい。これによって、温度センサが処理部21の壁温度を高い温度(例えば、40℃以上)と検知した場合、含水率検知手段43の出力を水分過多へ補正するので、制御部44は補正した含水率に応じて乾燥側へ攪拌手段22を駆動する。この結果、実施の形態1と同様の効果が図れる。また、温度センサが温度検知手段42を兼ねている分、低コストが図れる。
【0048】
以上の実施の形態1、2において、送風乾燥処理部34を吸気口と兼用しているが、吸気口を別途設けても同様の効果が得られる。また、含水率に対する攪拌手段22の攪拌量を増加へ変更する場合、回転撹拌棒23の回転数を増加させても攪拌間隔を短くしても同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明にかかる生ごみ処理装置は、微生物担体の水分調整能力に優れているので、家庭、レストラン、各種施設の食堂から排出される厨芥を処理する機器の低臭気化に極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1、2における生ごみ処理装置の構成を示す縦断面図
【図2】同生ごみ処理装置の平断面図
【図3】同生ごみ処理装置のタイミングチャート
【図4】本発明の実施の形態1における生ごみ処理装置のフローチャート
【図5】同生ごみ処理装置の攪拌間隔と含水率との関係を示す図
【図6】本発明の実施の形態2における生ごみ処理装置のフローチャート
【図7】同生ごみ処理装置の攪拌間隔と含水率との関係を示す図
【図8】従来の生ごみ処理装置の構成を示す縦断面図
【符号の説明】
【0051】
21 処理部
22 攪拌手段
27 生ごみ
36 乾燥ファン
39 加熱手段
42 温度検知手段
43 含水率検知手段
44 制御部
45 温度演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみの処理部と、前記処理部において生ごみを攪拌する攪拌手段と、前記処理部に供給される外気の温度を検知する温度検知手段と、前記処理部内の含水率を検知する含水率検知手段と、前記含水率検知手段の出力に応じて前記攪拌手段を駆動する制御部とを備え、前記温度検知手段が設定値より高い温度を検知した場合、含水率検知手段の出力を水分過多へ補正する生ごみ処理装置。
【請求項2】
生ごみの処理部と、前記処理部において生ごみを攪拌する攪拌手段と、前記処理部に供給される外気の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の所定期間の出力から代表温度を求める温度演算部と、前記処理部内の含水率を検知する含水率検知手段と、前記含水率検知手段の出力に応じて前記攪拌手段を駆動する制御部とを備え、前記温度演算部が設定値より高い温度を演算した場合、含水率検知手段の出力を水分過多へ補正する生ごみ処理装置。
【請求項3】
生ごみの処理部と、前記処理部において生ごみを攪拌する攪拌手段と、前記処理部に供給される外気の温度を検知する温度検知手段と、前記処理部内の含水率を検知する含水率検知手段と、前記含水率検知手段の出力に応じて前記攪拌手段を駆動する制御部とを備え、前記温度検知手段が設定値より高い温度を検知した場合、含水率の出力に対する攪拌手段の攪拌量を増加へ変更する生ごみ処理装置。
【請求項4】
生ごみの処理部と、前記処理部において生ごみを攪拌する攪拌手段と、前記処理部に供給される外気の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の所定期間の出力から代表温度を求める温度演算部と、前記処理部内の含水率を検知する含水率検知手段と、前記含水率検知手段の出力に応じて前記攪拌手段を駆動する制御部とを備え、前記温度演算部が設定値より高い温度を演算した場合、含水率の出力に対して攪拌手段の攪拌量を増加へ変更する生ごみ処理装置。
【請求項5】
処理部内に生ごみ乾燥用の空気を供給する乾燥ファンと、生ごみ乾燥用の空気を加熱する加熱手段とを備え、制御部は、処理部に生ごみが投入されると乾燥ファンを運転しつつあらかじめ定めた所定の乾燥期間、攪拌手段の駆動を禁止し、含水率に応じて乾燥期間加熱手段を動作させる請求項1または2に記載の生ごみ処理装置。
【請求項6】
処理部内に生ごみ乾燥用の空気を供給する乾燥ファンと、生ごみ乾燥用の空気を加熱する加熱手段とを備え、制御部は、処理部に生ごみが投入されると乾燥ファンを運転しつつあらかじめ定めた所定の乾燥期間、攪拌手段の駆動を禁止し、攪拌手段の攪拌量に応じて乾燥期間加熱手段を動作させる請求項3または4に記載の生ごみ処理装置。
【請求項7】
温度検知手段は、処理部における微生物担体の単位時間あたりの温度変化を捉える含水率検知手段の温度センサである請求項1〜6のいずれか1項に記載の生ごみ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−198534(P2006−198534A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−13627(P2005−13627)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】