説明

生ゴミ処理機

【課題】 生ゴミの粉砕乾燥処理を短時間で効率よく行うことができる撹拌手段を備えた生ゴミ処理機を提供する。
【解決手段】 処理槽1内の底部に駆動回転する撹拌部材5を備え、該撹拌部材で生ゴミを撹拌破砕する生ゴミ処理機において、前記撹拌部材は回転中心を挟んで杆10、10’が径方向に延び、その両杆10、10’の端部の高さが異なり、且つ下方に位置する杆10の径方向側端に、処理槽1内面に配置固定した固定刃28との協動作用により生ゴミを切断破砕する刃体26を備え、更に前記撹拌部材5の両杆10,10’に亘って、該撹拌部材の回転時、前記刃体26より先行する位置に湾曲撹拌杆29を固着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レストラン等の厨房や食品加工工場等、更に各家庭で発生する生ゴミを乾燥処理する生ゴミ処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乾燥型の生ゴミ処理機として、処理槽内に投入した生ゴミを撹拌しながら該生ゴミに上方から熱風を吹き付け、乾燥処理する生ゴミ処理機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、上記生ゴミ処理機は、処理槽の内面に設けた固定刃と、該処理槽の底部に設けた回転刃とからなる撹拌手段を備え、これにより生ゴミが撹拌され、乾燥むらを防止し、更に、乾燥が進行して固くなった生ごみを突出部と回転刃で粉砕し、乾燥を一層促進するようになっている。
【0003】
しかし、前記回転刃は処理槽の底面から突き出した回転軸に、上下方向に段差を付けて固定されているだけであるため、該回転刃は堆積した生ゴミの中を分けて回転しているだけで、収容された生ゴミを上下入れ替える働きは殆ど行われない。
従って、処理槽に収容した生ゴミを均等に粉砕することも難しく、十分に粉砕乾燥して次工程に進めるような状態になるまでに長い処理時間が必要となり、消費電力も多く掛かるといった問題を有する。
【0004】
【特許文献1】特許第3097639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、生ゴミの粉砕乾燥処理を短時間で効率よく行うことができる撹拌手段を備えた生ゴミ処理機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の生ゴミ処理機は、処理槽内の底部に駆動回転する撹拌部材を備え、該撹拌部材で生ゴミを撹拌破砕する生ゴミ処理機において、前記撹拌部材は回転中心を挟んで杆が径方向に延び、その両杆の端部の高さが異なり、且つ下方に位置する杆の径方向側端に、処理槽内面に配置固定した固定刃との協動作用により生ゴミを切断破砕する刃体を備え、更に前記撹拌部材の両杆に亘って、該撹拌部材の回転時、前記刃体より先行する位置に湾曲撹拌杆を固着した構成を特徴とする(請求項1)。
【0007】
前記撹拌部材は回転中心軸を挟んで径方向に突出する両杆の端部の高さ位置が異なればよく、その形態としては例えば、両杆の付け根の位置が上下方向に間隔をおいて水平に突出させる、或いは下方の杆を水平に突出させ、上方の杆は上向の傾斜状に突出するなど、何れでもよい。
前記処理槽の内面に配置固定する固定刃は、前記下方に位置する杆(水平杆)の側端が移動する軌跡を挟んで上下に配置され、それを1箇所又は周方向に間隔をおいて複数個所(例えば3箇所)に設けるなど、任意である。
又、撹拌部材の両杆に亘って固着する湾曲撹拌杆は、断面円形或いは角形のパイプ、帯板等、何れでもよく、要は高低差のある両杆に亘って湾曲撹拌杆を固着する。
【0008】
上記手段によれば、撹拌部材が回転することで処理槽に収容された生ゴミは、先ず上部の杆が生ゴミ層を撹拌し、その上部の杆が通過した後を湾曲撹拌杆が回転して生ゴミを処理槽の底面側且つ周面側へ移動させる。そして、前記湾曲撹拌杆が通過した後に下部の杆が底面上を回転することで、底面側に集められた生ゴミは処理槽の底面と回転する下部の杆とで摺擦されて粉砕されると共に、該下部の杆の側端に固定した刃体が処理槽の内面に固定した固定刃との間を通過することで周面側に集められた生ゴミを効率よく破砕する。従って、生ゴミを短時間で効率よく粉砕処理することができる。
【0009】
前記撹拌部材は断面円形等のパイプで構成してもよいが、断面形状を略正三角形又は二等辺三角形等のパイプ又は棒材とし、頂点が底辺に対し上方に位置するよう配置した構成としてもよい(請求項2)。
【0010】
上記手段によれば、撹拌部材の回転により生ゴミは上向の傾斜面に沿って上方へ移動する流れができ、それにより生ゴミの層は下層と上層が効果的に入れ替わり、均一に撹拌することができる。
【0011】
前記湾曲撹拌杆は、直径線上の水平杆と傾斜杆に亘って直径線より外側に突出して取り付けられるが、その形状は平面視略円弧形状、或いは平面視略コの字型、平面視略く字型等とし、その湾曲又は屈曲の外周面が処理槽の内面に対して近接するように配置する(請求項3)。尚、湾曲撹拌杆の平面視形状は、曲線の連続からなる円弧形状に限らず、直線と曲線の組み合わせからなるもの、或いは直線の不連続(屈曲)で構成されたものなどでもよい。
【0012】
上記手段によれば、撹拌部材の回転により湾曲撹拌杆は生ゴミ層の中を掻き分けながらスムーズに回転移動すると共に、生ゴミを処理槽の底面側に移動させる働きを効果的に行うことができる。
【0013】
又、前記撹拌部材の回転は、水平杆の側端に固着した刃体より湾曲撹拌杆が先行する方向(時計回り方向)に連続回転、或いは間欠回転の何れでもよいが、時計回り方向の回転と、反時計回り方向の回転を交互に繰り返すようにしてもよい(請求項4)。
【0014】
上記手段によれば、撹拌部材が時計回り方向と反時計回り方向に交互に回転することで、処理槽内の生ゴミは上層と下層が効果的に掻き混ぜられる。即ち、時計回り方向の回転により処理槽の底面側に移動し堆積した生ゴミを、反時計回り方向の回転によってバラし、下層と上層を効果的に入れ替えることができる。それにより、処理槽の底面側に堆積し、撹拌部材の回転で破砕された生ごみは反時計回り方向の回転で上方へ移動され、逆に上層の破砕が十分でない生ゴミは底面側に移動し、撹拌部材の回転で破砕される。
【0015】
また、前記撹拌部材の傾斜杆側端は前記処理槽の内面近傍までに延設し、その側端に掻き板を処理槽内面と対向させて配置する(請求項5)。
上記手段によれば、処理槽の上部内面に付着した生ゴミを、該処理槽の内面近傍位置を回動する掻き板によって効果的に掻き取ることができる。従って、生ゴミ全体を均一に粉砕処理することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の生ゴミ処理機は請求項1記載の構成により、処理槽内に収容した生ゴミを該処理槽の内面に固着した固定刃と、撹拌部材の低い位置にある杆の側端に固着した刃体との協働作用によって破砕する破砕箇所に効率よく移動でき、それにより生ゴミを短時間で効率よく破砕乾燥することができる。
又、請求項2記載の構成により、生ゴミの上層と下層を効果的に入れ替え、均一に撹拌することができる。
更に、請求項3記載の構成により、上層の生ゴミを処理槽の底面側に効率よく移動させることができる。
【0017】
又、請求項4記載の構成により、生ゴミ層の上層と下層を効率よく入れ替えることができ、よって生ゴミ全体を均等に破砕することができる。
請求項5記載の構成により、処理槽の上部内面に生ゴミが付着したままになるのを防止できる。従って、生ゴミ全体を均一に粉砕処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る生ゴミ処理機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は生ゴミ処理機の全体を示す概略図で、図中、1は処理槽、2は送風機(ブロワー)、3は前記送風機で処理槽1に送り込む空気を加熱するヒータ、4は脱臭器、5は前記処理槽1内に収容した生ゴミを攪拌する撹拌部材、6は各部の作動を制御する制御部で、それらが器枠7に収容されて構成されている。
【0019】
処理槽1は、金属板で有底筒状に形成され、その上面開口部は器枠7に開閉可能に設けた蓋体8の閉動によって閉鎖されるように構成されている。そして、この処理槽1の上部内周面には熱風吹出し口9が周方向に向けて略水平に設けられ、底面の中央位置には処理槽1内に収容された生ゴミを撹拌する撹拌部材5の水平杆10、傾斜杆10’が、該処理槽1の下面外側に配置した駆動手段11で駆動回転するように設けられている。
駆動手段11は、モータ11aとそのモータ11aの回転力を前記撹拌部材5に伝達する動力伝達機構(変速機)11bとで構成されている。尚、撹拌部材5の詳細な構造については後段で説明する。
又、処理槽1の周壁下部には乾燥処理済みの生ゴミを取り出す取出し口12が開設され、その取出し口12の外側に蓋板12’が開閉可能に取り付けられている。
上記の如く構成した処理槽1の外周面は断熱材(図示省略)で被覆され、放熱及び温度低下が抑制されている。
【0020】
上記処理槽1の開口部を閉鎖する蓋体8は、中空構造の扁平箱体に構成され、その箱体の下面8aには前記処理槽1の上側開口部を囲繞するようにパッキン13が取り付けられ、そのパッキン13の取付位置より内側で、且つ前記処理槽1内に臨む範囲内には排気口14が内部空間と連通させて開設され、更に排気口14の真下には該排気口14の口径より大径な遮蔽板15が所定の間隔をおいて水平に垂下支持されている。
そして、この蓋体8に取付アーム16が連結され、その取付アーム16を器枠7に軸17で回動可能に軸支すると共に、該取付アーム16と器枠7とに亘ってダンパー18が架設されて、開閉可能に支持されている。
【0021】
上記遮蔽板15は、図1に示すように、蓋体8の下面に垂下固定してもよいが、該蓋体8を開いた時、前記遮蔽板15が処理槽1の開口上面前方(装置の正面側)に向けて突出し、生ゴミを処理槽内に投入する時、生ゴミを入れた容器(バケツ等)が前記遮蔽板15に当たる虞れがある。その為に、該遮蔽板15を可動式にし、蓋体8を開いた時、それに伴って該遮蔽板15が投入動作の邪魔にならない位置、即ち蓋体8側に傾動退避するようにしてもよい。
【0022】
前記熱風吹出し口9は、前記処理槽1内に収容した生ゴミを乾燥するために熱風を該処理槽1の周壁上部から周方向に向かって略水平状に吐出するように構成されている。具体的には、熱風吹出し口9を区画する筒体9’を処理槽1の周壁を貫通して配設し、該筒体9’の反対側は器枠7内に収容した送風機(ブロワー)2の送風通路の途中に配置したヒータ3部分に接続されている。それにより、ヒータ3で加熱された空気(熱風)が筒体9’を通って処理槽1内に突出開口する熱風吹出し口9から吹出される。
上記送風機(ブロワー)2の送風能力は、例えば1回の生ゴミ処理能力が50kgの装置であれば、4m/分以上が好ましいが、それ以下であっても生ゴミ表面上に適度な熱風が当たればよい。
【0023】
前記排気口14は、蓋体8の下面中央部に開設した開口19を閉鎖し得る大きさの補助蓋8’に、所定高さの円筒を一体的に固着した排気板14’の一側を蝶番(図示省略)によって回動可能に支持するとともに、前記蝶番と反対側は止ネジで固着して構成され、前記補助蓋8’には前記排気口14の真上(下流側)に位置させて第1のフィルタ20が着脱交換可能に装着されている。尚、蓋体8に対する補助蓋8’の取り付けは、上記した方式に限定されず、例えば補助蓋8’の4辺を止ネジで着脱可能に固定する方式等、何れの方式でもよい。
前記フィルタ20は、処理槽1内に吐出され、生ゴミの乾燥に供した熱風が排気口14に流入する時、排気流に乾燥した生ゴミが混入するため、その生ゴミを除去するためのフィルタであり、粒状のものを除去できる程度の網目状になっている。
【0024】
上記第1のフィルタ20のメンテナンスは、蓋体8の開動が可能な時(乾燥処理をしていない時)に、該蓋体8を開き、次に排気板14’を固定する止ネジを外し、蝶番を中心として回動することで第1のフィルタ20が現出し、第1のフィルタ20の交換が可能となる。
又、蓋体8を開いた後、排気板14’が取り付けられている補助蓋8’を固定する止ネジを外して、第1のフィルタ20を一緒に外すこともできる。
【0025】
又、前記蓋体8の背板8bには通孔21が開設され、その通孔21は該蓋体8を閉鎖状態にした時、器枠7内に装備した送風機2の吸込み口2aと対向し、蓋体8の内部に吸気作用が生じるように構成されている。尚、送風機2の吸込み口2aが臨む器枠7部分には開口22が形成され、その開口22の周囲にパッキン(図示省略)が取り付けられており、それにより蓋体8の通孔21と送風機2の吸込み口2aが連通状となるように構成されている。そして、前記開口22部分には排気流に混じっている乾燥生ゴミ等を除去する金網(図示省略)が取り付けられている。
【0026】
上記送風機2の送風口2bはヒータ3を配設したボックス3’に配管接続され、そのボックス3’の出口は二方向に分岐され、一方は前記処理槽1に熱風を供給する熱風吹出し口9を有する筒体9’に配管接続し、他方は大気中に開口する排気管23に接続されている。前記排気管23には排気口方向に向かって脱臭器前フィルタ(第2のフィルタ)24と脱臭器4が配置され、更に脱臭器前フィルタ(第2のフィルタ)24と脱臭器4との間の管路には排気の流量を調整する排気調整バルブ25が設けられている。
上記脱臭器4は、今日一般的に知られている白金触媒式の脱臭装置である。
上記構成により、処理槽1と送風機2とヒータ3とで循環経路が形成され、そのヒータ3より下流の分岐された他方は大気中に開放され、脱臭処理等をして大気中に排気される。
【0027】
次に、処理槽1に投入された生ゴミを破砕処理する撹拌部材5について説明する。
撹拌部材5は、該撹拌部材5を駆動回転する駆動手段11の出力軸(動力伝達機構11b)に固着する軸部を挟んで径方向の一方に水平に延びる水平杆10と、前記水平杆の始端位置と同じ高さ位置から径方向の反対方向に向かって上向き傾斜状に延びる傾斜杆10’とで構成されている。即ち、撹拌部材5は全体として「へ」の字の天地を逆にした形状に形成されている。
【0028】
撹拌部材5を構成する水平杆10及び傾斜杆10’は、断面略正三角形のパイプ(又は棒材)を用い、頂点が底辺に対し上方に位置するように配置されている。尚、撹拌部材5を構成するパイプの断面形状は、略正三角形に限らず、略二等辺三角形でもよく、その場合も、頂点は底辺に対し上方に位置するよう配置する。
【0029】
そして、前記水平杆10の先端には断面略逆L字型に形成した刃体26が、水平片26aの先端を処理槽1の内面と対向させて固着され、傾斜杆10’の先端には掻き板27が処理槽1の内面と略平行に固着されている。
水平杆10の先端に固着した刃体26は、処理槽1の内面に、上下方向に所定の間隔をおき、且つ周方向にずらして配置した上下一組の固定刃28の間を通過するように配置されている。そして、前記固定刃28は、処理槽1の内面に周方向に間隔をおいて複数個所(図面では3箇所)に配置固定されている。前記刃体26の先端と処理槽1の内面との間隔は、破砕効果が発揮される間隔に設定する。間隔が大きければ破砕効果が少なく、間隔が小さいと生ゴミが詰まり撹拌部材5の回転に支障をきたす問題が生じる。その間隔としては、例えば、刃体26の先端と処理槽1の内面との間隔は25mm前後、掻き板27と処理槽1の内面との間隔は15mm前後とする。
【0030】
又、前記撹拌部材5の水平杆10と傾斜杆10’とに亘って湾曲撹拌杆29が、該撹拌部材5の時計回り方向の回転時、前記刃体26より先行して回転するように配置固定されている。
湾曲撹拌杆29は、断面円形の丸パイプを用いて平面視略半円弧形状に湾曲形成し、その一方端部を略直角下向きに屈曲して前記水平杆10の回転中心寄りの頂点上に固着し、他方端部は前記傾斜杆10’の先端寄りの外側面(斜面)に接続固着されている。それにより、湾曲撹拌杆29の半円弧形状部分は撹拌部材5を中心として一方側(本実施例(図5)では撹拌部材より左側)に突出し、且つ水平杆10との接続点から傾斜杆10’との接続点に向かって上向の傾斜となるように取り付けられている。
【0031】
更に、前記湾曲撹拌杆29は、傾斜杆10’との接続点に近い円弧部分が処理槽1の内面に対して近接するように配置されている。処理槽1の内面と湾曲撹拌杆29における円弧部分のもっとも接近する箇所の間隔は、例えば40mm前後とする。
【0032】
上記の如く構成した撹拌部材5が駆動手段11で駆動回転されると、処理槽1に収容された生ゴミは水平杆10が該処理槽1の底面上を水平回転することで底面との間で擦られ、且つ該水平杆10が生ゴミの下層部分を通過することで生ゴミは水平杆10の斜面で掻き混ぜられる。更に、撹拌部材5の傾斜杆10’は処理槽1の周壁に向かって上向きに傾斜している為、生ゴミの下層、中層、上層が混じりあうように均一に撹拌される。そして、傾斜杆10’の先端に固着した掻き板27が該処理槽1の周壁内面近傍を回転するため、処理槽1の上部周面に付着残存する生ゴミを掻き取り、破砕されずに乾燥処理される生ゴミの発生を解消することができる。
【0033】
又、前記撹拌部材5の回転(時計回り方向)により、湾曲撹拌杆29は水平杆10より先行して回転し、その湾曲撹拌杆29が水平杆10側から傾斜杆10’に向かって上向きに傾斜する為、中層から上層の生ゴミは前記湾曲撹拌杆29で処理槽1の底面側に移動される。即ち、撹拌部材5の時計回り方向の回転により、生ゴミには処理槽上部→処理槽周壁→処理槽底面→湾曲撹拌杆29と撹拌部材5との空間といった順に、湾曲撹拌杆29を中心に処理槽1に対して略垂直方向に生ゴミが移動するような流れが発生し、生ゴミは処理槽の上部から下部へと移動する。そして、処理槽の下部(底面側)に移動された生ゴミは、湾曲撹拌杆29の後を追って回転する水平杆10に固定の刃体26と処理槽1に固定の固定刃28の間に集まり、両刃により破砕処理される。
【0034】
また、前記撹拌部材5を反時計回り方向に回転すると、処理槽内の生ゴミは処理槽底面→処理槽周壁→処理槽上部→湾曲撹拌杆と撹拌部材5との空間といった順に、湾曲撹拌杆29を中心に処理槽1に対して略垂直方向に生ゴミが移動するような流れが発生し、生ゴミは処理槽下部から上部へと移動する。即ち、撹拌部材5の回転方向が逆転することにより、湾曲撹拌杆29を中心として発生する生ゴミの流れ方向(移動方向)も逆転する。
【0035】
従って、前記撹拌部材5の回転方向は一方向、例えば時計回り方向のみでもよいが、時計回り方向と反時計回り方向の回転を交互に繰り返すようにすることで、生ゴミは処理槽1の上部と下部の間を定期的に流動し、処理槽の下部にて破砕処理された生ゴミは上部に移動し、上部の破砕が充分に行われていない生ゴミは下部に入れ替わり移動しては再処理される。これを繰り返すことにより処理槽内の生ゴミを効率よく均等に破砕でき、その結果、処理時間の短縮、及び消費電力の節約を図ることができる。
【0036】
本発明は図示の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1) 処理槽1の周壁内面に固定する上下一組の固定刃28は周方向にずらして配置してあるが、上下重なる位置に配置してもよい。
(2) 撹拌部材5の水平杆10先端に固定する刃体26は、上下一組の固定刃28の間を通る一枚刃の形態に限らず、固定刃28を上下より挟む三枚刃の形態としてもよい。
(3)撹拌部材は一方(下部の杆)が水平で、他方の杆(上部の杆)が傾斜した形状に限らず、両杆の端部の高さが異なればよい。例えば、両杆が傾斜(傾斜角度は相違する)したり、一方が垂直でもよい。
(4)湾曲撹拌杆29は、撹拌部材が反時計回り方向の回転で生ゴミを固定刃28に集める場合は、図5の平面視において撹拌部材5の右側に位置するように配置する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る生ゴミ処理機の実施の一例を示す縦断側面図。
【図2】同背面図。
【図3】一部切欠平面図。
【図4】蓋体の開閉及び取付構造を示す外観図。
【図5】撹拌部材及び処理槽内面の固定刃の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0038】
1…処理槽 2…送風機(ブロワー)
3…ヒータ 5…撹拌部材
10…水平杆 10’…傾斜杆
11…駆動手段 26…刃体
27…掻き板 28…固定刃
29…湾曲撹拌杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽内の底部に駆動回転する撹拌部材を備え、該撹拌部材で生ゴミを撹拌破砕する生ゴミ処理機において、
前記撹拌部材は回転中心を挟んで杆が径方向に延び、その両杆の端部の高さが異なり、且つ下方に位置する杆の径方向側端に、処理槽内面に配置固定した固定刃との協動作用により生ゴミを切断破砕する刃体を備え、更に前記撹拌部材の両杆に亘って、該撹拌部材の回転時、前記刃体より先行する位置に湾曲撹拌杆を固着したことを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項2】
前記撹拌部材を構成する杆が、回転中心から水平に突出する水平杆と、回転中心から上向き傾斜状に突出する傾斜杆からなり、前記水平杆及び傾斜杆は、断面略正三角形又は二等辺三角形で、頂点が底辺に対し上方に位置するよう配置されていることを特徴とする請求項1記載の生ゴミ処理機。
【請求項3】
前記湾曲撹拌杆は、平面視略円弧形状とし、その円弧の頂部を処理槽の内面に近接配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の生ゴミ処理機。
【請求項4】
前記撹拌部材が、時計回り方向、反時計回り方向に回転することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の生ゴミ処理機。
【請求項5】
前記撹拌部材の上部杆側端又は傾斜杆側端は前記処理槽の内面近傍に位置し、その側端に掻き板を処理槽内面と対向させて配置したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の生ゴミ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−207113(P2008−207113A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47112(P2007−47112)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【出願人】(502038842)株式会社デジアイズ (18)
【Fターム(参考)】