説明

生体外の/コンピュータによる予測を用いた酸化窒素供与体(ジアゼン―1―イウム―1、2―ジオラート部分)を有するプロドラッグの開発

本発明は、生理学的に基づいた薬物動態学的モデルを用いる方法を提供し、治療薬X(例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID))及び適切な酸化窒素供与体NOを備えるプロドラッグ分子(NO−X)を選択することである。NSAIDは、非選択的又は選択的シクロオキシゲナーゼ阻害剤、又はカルボキシル基を備える生体適合性のある他の化合物であってもよい。薬物動態学的モデルは、生体外の及び/又はコンピュータによるデータを用いてパラメータの最適な組み合わせを推測する。該パラメータは、特定のNO−X候補が所望の治療効果(例えば、機能強化された抗炎症活性、腸、心臓、及び腎臓の毒性の低減など)をもたらすことが可能かどうか予測する。したがって、本発明は薬剤の開発に相応しい適切な候補の妥当な選択を大いに強化し、それによって開発にかかる時間を最小化し、コストを削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に挙げる米国の仮出願番号の優先権を主張するものである。即ち、2005年10月13日に仮出願を行った仮出願第60/726、530号、2005年10月21日に仮出願を行った仮出願第60/730、120号、2006年1月5日に仮出願を行った仮出願第60/756、446号、及び2006年6月9日に仮出願を行った仮出願第60/812、230号である。前述した出願の公開は参照することにより全体として本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は治療薬(非ステロイド系抗炎症薬など)及び酸化窒素供与体を備えるプロドラッグ分子の開発に関する。
【背景技術】
【0003】
百年以上前にアスピリンが開発されて以来、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs:Nonsteroidal anti-inflammatory drugs)は様々な関節炎に苦しむ患者の治療に用いられてきた。NSAIDの抗炎症作用は主としてシクロオキシゲナーゼ(COX)由来のプロスタグランジン(PG)の合成阻害を媒介とする(非特許文献7)。PG阻害はNSAIDの主たる副作用でもあり、胃潰瘍がそれに当たる(非特許文献85)。なぜなら、PGは血管の恒常性及び胃腸管の保護に関与しているからである(非特許文献38、59、68)。
【0004】
1990年代初め、COX酵素が2つのアイソフォーム、COX−1及びCOX−2の中に存在することが発見された。当初、COX−1は胃腸管を含む多くの組織内に現存する構成酵素であり、普遍酵素であると考えられていた(非特許文献45、10)。その一方で、COX−2は厳密には誘導酵素と見做されてきた。サイトカイン、成長因子、リポ多糖類、又はプロスタノイドのような前炎症性メディエータは、このアイソフォームを上方制御してきた(非特許文献37、36)。理論上では、COX−2のアイソザイム阻害は抗炎症作用をもたらすが、その一方で胃腸管を損傷させないようにする。この発見は選択的COX−2阻害剤の開発に貢献した。1999年の終わりに、第1のCOX−2阻害剤、セレコキシブが市場で発表された。セレコキシブの発表の直後には、より特異的なCOX−2阻害剤、ロフェコキシブが発売された。臨床研究によると、これらCOX−2阻害剤は痛みや炎症に対して他の非選択的NSAIDと同様に効果的であることが実証された(非特許文献52、62、11、Day et al., 2000)。リウマチ性関節炎に苦しむ8076人の患者が治療を受けたVIGORという臨床試験においては(非特許文献6)、ロフェコキシブはナプロキセンと比較して胃腸への副作用がはるかに少ないことが分かった。別の大規模な臨床試験CLASSでは(非特許文献70)、胃腸の副作用領域内におけるCOX−2阻害剤の非選択的NSAIDに対する優位性が、セレコキシブと非選択的NSAIDであるジクロフェナクを比較することで実証された。COX−2阻害剤の非選択的NSAIDに対する優位性が認識されたため、COX−2阻害剤は市場で巨大な成功を収めるようになった。2003年にはセレコキシブとロフェコキシブでアメリカのNSAID市場の75%を占めるようになった(非特許文献26、27)。それ以来、薬物動態的特徴を有する選択的COX−2阻害剤を開発する争いが繰り広げられている。例としては、バルデコキシブ(又はそのプロドラッグである非経口用のパレコキシブ)、エトリコキシブ、及びルミラコキシブが挙げられる。
【0005】
Merckにより実施された、結腸直腸腺腫を予防するロフェコキシブの有効性を調査するAPPROVeという臨床試験においては、選択的COX−2阻害剤であるロフェコキシブは、18ヶ月使用後の心筋梗塞及び脳虚血などの心血管系イベントと関係していることが発見された。この臨床試験の結果は近年になって、New England Journal of Medicine で発表された(非特許文献6)。ロフェコキシブの上述のような潜在的な副作用が発見されたため、ロフェコキシブは市場からの撤退を余儀なくされた。続いて他の2つのCOX−2阻害剤も細かな詮索を受けるようになった。一般的には、心血管系イベントがロフェコキシブに限定されるのか、又は他のCOX−2阻害剤も同じ効果をもたらすのかが疑問視されている。2005年4月7日にはアメリカの食品医薬品局(FDA)がファイザーに国内でのベクストラ(バルデコキシブ)の販売の一時停止を要求した。FDAは現在でもNSAIDのあらゆる処方に心血管及び胃腸のリスクに関する付加情報を提供するよう求めている。
【0006】
すべての選択的及び非選択的COX阻害剤に対して警告を表示するようにしたFDAの決定を正当に評価するには、アラキドン酸代謝を理解する必要がある(以下の表1を参照のこと:アラキドン酸カスケード。CYP:チトクロームP450酵素、EETs:エポキシエイコサトリエン酸、HETEs:ヒドロキシエイコサテトラエン酸、HODEs:ヒドロキシオクタデカジエン酸、DP:プロスタグランジンD受容体、EP:プロスタグランジンE受容体、IP:プロスタサイクリン受容体、FP:プロスタグランジンF受容体、TP:プロスタグランジンT受容体)。
【0007】
【表1】

【0008】
アラキドン酸(AA)はホスホリパーゼAを経た膜結合型のリン脂質の代謝産物である。AAはシクロオキシゲナーゼ及びペルオキシダーゼの基質で、エンドロペロキシド、プロスタグランジンH(PGH)を発生させる(非特許文献86、非特許文献19、非特許文献27)。PGHはトロンボキサンA(TxA)、プロスタノイド及びプロスタサイクリンの前駆物質である。これらの反応は、組織特異酵素であるトロンボキサンシンターゼ、プロスタノイド合成酵素及びプロスタサイクリンシンターゼのそれぞれを媒介にしている。COX−1アイソフォーム阻害は循環しているトロンボキサン及びプロスタグランジンの濃度の低下をもたらす。他の組織に加え、COX−1は血小板及び胃腸管内でも見られる。血小板の凝集が粥腫の発生を伴うため、血中のトロンボキサンの減少は血栓形成のリスクを減らし、ゆえに心臓血管の虚血のリスクも減らす(非特許文献44)。他方では、COX−2アイソザイムの阻害はPGI2の減少をもたらす。このプロスタサイクリンは即効性の血管拡張剤であり、抗血小板凝集剤である(非特許文献44)。COX−2アイソザイム阻害は患者に観察される予期しなかった心血管系イベントを引き起こすものと仮定されてきた(非特許文献44)。伝統的なNSAID(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシンなど)のような非選択的COX阻害剤は、様々な程度のCOX−1阻害及びCOX−2阻害を有するために、心臓血管系リスクの程度はさまざまである。
【0009】
非特許文献44において、トロンボキサンとPGIとの間のバランスが選択的及び非選択的NSAIDの両方にとって心血管系イベントの重大な決定要因であると仮定されていた。このことにより、COX阻害の選択性がNSAIDの心血管の安全に非常に重要な役割を果たすという前提につながった。さらに、COX−1/COX2−選択性の比率、薬物速度論的特性、投薬量、及び患者の心血管系の状態も観察された心血管系のリスクの一因となり得る要因である。
【0010】
前述の見解とは反対に、COX−2はただ誘導性を有するだけでなく、構成的に発現されるものでもある(非特許文献88、非特許文献39、非特許文献54、非特許文献14、非特許文献72、非特許文献73、非特許文献18、非特許文献76)。この酵素は腸(非特許文献88、非特許文献39)子宮筋層(非特許文献72、非特許文献73)、腎臓(非特許文献76)を含む様々な組織で発現される。COX−2阻害によりナトリウム貯留及び水分貯留がもたらされ、このナトリウム及び水分の貯留により高血圧が引き起こされることもある(非特許文献44)。高血圧は公知の粥腫発生因子である。
【0011】
一酸化窒素(NO:Nitric Oxide)は胃腸粘膜の抵抗力の決定的なメディエータであり、胃腸管内でプロスタグランジンと同じ作用を発揮する(非特許文献85)。実験モデルの胃障害の重篤性が軽減されたことは一度もない(非特許文献50、43)。NO放出部分とNSAIDを結合させることにより、後者の毒性を減らすこともあるという提案がなされている(非特許文献83、 非特許文献84)。動物を使った研究では、NOアスピリン、NOナプロキセン、NOフルルビプロフェン、及びNOジクロフェナクを含む様々なNSAIDのNO放出誘導体は、親薬物と同じくらい効果的にプロスタグランジンの合成を抑制するものの、胃腸管には危害を加えないことが示された(非特許文献83、非特許文献84、非特許文献63、非特許文献17、非特許文献21)。ニトロオキシアルキル官能基をNO源として利用する他の多くのNO−NSAIDが明らかにされてきた(非特許文献61、非特許文献40、特許文献2、非特許文献32、特許文献1、特許文献6、特許文献11、特許文献25、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献3、特許文献20、特許文献26)。
【0012】
しかしながら、この型の欠点は、有機硝酸エステルからのNOの生成が酵素(グルタチオンS−トランスフェラーゼ、シトクロムP−450、及び他の未特性化酵素)と化学反応(非タンパク質チオール)の両方の多くの機構を介して行われることが報告されていることである(非特許文献29)。有機硝酸エステルはまた薬剤を継続使用した際の効果低減を実証しており、「硝酸塩耐性」の一因となっている(非特許文献15)。この点について、ジアゼン―1―イウム―1、2―ジオラート(ジアゼニウムジオラート又はNONOatesとも呼ばれる)は、半減期のNO同等物を最大で2まで放出する可能性がある。このNO同等物は薬理学的(薬力学的)な作用の持続時間と密接に関連している。これらの観察は、o−非置換ジアゼニウムジオラートが代謝の影響を最小限にしか受けず、現在有効な臨床血管拡張剤とは本質的に異なることを示唆している(非特許文献41)。
【0013】
o−置換ジアゼニウムジオラートは様々な病状を治療する薬剤の開発に特に魅力的な3つの属性を有している。その3つとは、構造多様性、信頼に足るNO放出速度、及び化学的に高い誘導体化性質である。この誘導体化反応は、NOが特定の標的器官及び/又は特定の標的組織部位を標的とするのを促進する(非特許文献41)。非置換ジアゼニウムジオラートはoの位置で誘導化され、生理的状態へのより強い耐性を示すNO供与体を形成することもある。結果として半減期のNO供与体が著しく増加する。非特許文献66によると、o−メトキシ置換ジアゼニウムジオラートに基づくNO−NSAIDがピペラジンに由来することを報告された。NSAIDのイブプロフェンはアミド結合を介してピペラジンのリンカーの末端部の窒素と共有結合している。o−メトキシのジアゼニウムジオラートは、約17日の半減期という生理的条件下で自発的にNOを放出した。あるいは、ジアゼニウムジオラートをoの位置でアセチルロキシ・メチルの機能性と置き換えることが可能である。アセチルロキシ・メチルの機能性は生理的条件には耐性があるが、エステラーゼに晒された際には酵素加水分解されやすい(非特許文献67)。これらNO生成部分は、NSAIDなどの他の生体適合性化合物と組み合わせることが可能であるため、NSAID及び非置換ジアゼニウムジオラートは酵素的に放出される。特許文献23では、NO供与体としてジアゼニウムジオラートを有するこの型の新規なNSAID分子が発表され、これら分子にはラットの胃を保護する絶大な効果があることが示されている。しかしながら、NO−NSAID及びその活性代謝物、NO供与体及びNSAID、吸収作用及び体内動態の分析結果は明らかにされていない。さらに、これら候補の腎臓及び心血管の機能への効果も明らかではない。
【0014】
COX−2阻害剤の崩壊を考慮に入れると、COX−2阻害剤を用いてNO−NSAIDを開発することへの関心が生じる。NOは心血管システム及び腎臓に優れた効果を発揮すると示されてきた(非特許文献51)。COX−2阻害剤をNO供与体と合成させること、及び/又はCOX−2阻害剤をNO供与体とともに投与することは論理にかなうものであった。特許文献13には、COX−2阻害剤と一酸化窒素供与薬を組み合わせて投与する段階を備える方法が記載された。
【0015】
カルボキシル基を有し、ジアゼニウムジオラートなどの酸化窒素供与体と共有結合を形成する伝統的な非選択的COX阻害剤と違って、ロフェコキシブのようなCOX−2阻害剤はいつも機能的な基を有しているというわけではない。この基は、酸化窒素供与体部分の結合を容易く可能なものにする。しかしながら、いくつかのCOX−2阻害剤と、特定のCOX−2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ)のプロドラッグは、カルボン酸を含むことが報告されている。このカルボン酸はエステル結合を介してニトロオキシアルキルNO供与体と共有結合することが可能である(非特許文献23、特許文献19、特許文献24)。セレコキシブ及びバルデコキシブのようなCOX−2阻害剤のなかには、スルホンアミド官能基を含んでいるものもある。スルホンアミド官能基はニトロオキシアルキルNO供与体との共有結合部位として用いられる(特許文献19、特許文献5)。NO供与体をCOX−2阻害剤結合させる代替戦略は、硝酸エステル(ONO)部分を一酸化窒素(NO)―供与体として含むピラゾールを有している(非特許文献60、特許文献21)。特許文献4によると、酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)、及び/又は窒素などの1以上の部位を介して、ニトロソ化及びニトロシル化されたCOX−2阻害剤が形成された。非特許文献22によると、硝酸エステルのバルデコキシブ誘導体、4−{5−[(ニトロオキシ)メチル]−3−フェニルイソオキサゾール−4−yl}ベンゼンスルホナミドが研究された。特許文献22によると、COX−2阻害剤の一連の酸化窒素誘導体が合成された。一連のo−非置換N−ジアゼニウムジオラートの塩はアリール基窒素を介してCOX−2阻害剤と結合すると報告された。o位に置換基がないため、ジアゼニウムジオラート誘導体からの一酸化窒素の放出は、他の報告されたo−非置換N−ジアゼニウムジオラートの放出の次に起こるということが示唆される。したがって、これら誘導体がNOを直接放出し、この放出のために生体内で酵素の効果を必要としないということが推測される。この型の誘導体はNO供与体及びNO放出に関して組織特異性を欠くこともある。一方で、特許文献23で合成されたo−置換ジアゼニウムジオラートは、エステラーゼの作用を必要とし、NO供与体を放出し、その後、NOを放出する。NOの組織特異的デリバリーは、分子構造を調節することにより胃腸管、肝臓、血液などの様々な器官で所望の加水分解速度を得ることで、ある程度は獲得される。しかしながら、これらの部分は未知であるため、加水分解速度の調節は考慮されていない。
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【特許文献1】国際公開第2006/008196号公報
【特許文献2】国際公開第WO 2004/026808号公報
【特許文献3】国際公開第WO 00/25776号公報
【特許文献4】米国特許第6,649,629号公報
【特許文献5】国際公開第WO 2004/002409号公報
【特許文献6】国際公開第WO 00/51988号公報
【特許文献7】米国特許第5,698,584号公報
【特許文献8】米国特許第5,733,909号公報
【特許文献9】米国特許第5,789,413号公報
【特許文献10】米国特許第5,925,631号公報
【特許文献11】国際公開第WO 2005/030224号公報
【特許文献12】国際公開第WO 2005/046575号公報
【特許文献13】米国特許公開第2005/0113409号公報
【特許文献14】国際公開第WO 02/100400号公報
【特許文献15】国際公開第WO 02/092072号公報
【特許文献16】国際公開第WO 03/084550号公報
【特許文献17】国際公開第WO 2004/000273号公報
【特許文献18】国際公開第WO 2004/0003000号公報
【特許文献19】国際公開第WO 2004/000781号公報
【特許文献20】国際公開第WO 2004/004648号公報
【特許文献21】国際公開第WO 02/060378号公報
【特許文献22】米国特許第6,825,185号公報
【特許文献23】米国特許仮出願第60/681,842号公報
【特許文献24】国際公開第WO 03/103602号公報
【特許文献25】国際公開第WO 2005/054175号公報
【特許文献26】米国特許公開第2006/0046967号公報
【特許文献27】米国特許公開第2006/0063827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献23に記載されたNO−供与性ジアゼニウムジオラートNO−NSAIDは、血清エステラーゼにより血中に放出されるよう意図されている。このNO−NSAID開発の研究方法は最適ではないこともある。エステラーゼは伝統的に非特異的であると公知である。しかしながら、最近の研究では、肝臓や腸など特定の器官で高濃度な特定のエステラーゼが発見されている。特許文献23や、NCX-4016、及びAZD3582によって合成されたものも含む、経口投与されるNSAIDを血漿に晒すと、ごく小さくなることが明らかになった。したがって、NO−NSAIDの開発には、これら候補の薬剤らしい特性を考慮に入れる系統的な手法が必要である。o−置換ジアゼニウムジオラートNO−NSAID候補の可撓分子ライブラリーは、制御された方法でその特性を発揮し、修正する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は生理学的に基づいた薬物動態学的/薬理学的モデルを提供するものである。このモデルは生体外の又はコンピュータによる入力を必要とし、検査対象の薬物動態学的/薬理学的パラメータを評価する。このモデルは(1)開発に適切かどうかNO−NSAIDを検査すること、及び(2)新しいNO−NSAID(選択的及び非選択的の両方の)候補の合成情報を供給することに役立つ。この新しいNO−NSAID候補は開発段階においてより大きな成功をおさめる可能性がある。
【0018】
本発明の生理学的に基づいた薬物動態学的/薬理学的モデルは、一連のコンパートメントを含む。このコンパートメントは、非ステロイド系抗炎症プロドラッグ投与後の腸、肝臓、腎臓、血液/血漿、及び心臓における、非ステロイド系抗炎症プロドラッグ、その活性代謝物、及び一酸化窒素放出の経時変化を記述するものである。非ステロイド系抗炎症プロドラッグ、その活性代謝物、及び一酸化窒素放出の経時変化は、生体外の/コンピュータによる入力を用いてシミュレートすることが可能である。胃腸管腔内のそれぞれの構成要素の安定性は、人工胃液及び人工腸液から採取されたデータを用いて予測される。腸での代謝は腸ミクロソームを用いて予測され、吸収速度はCaco−2のような細胞単層から採取された透過率データを用いて予測される。肝臓排せつは肝臓ミクロソームを用いて予測され、血漿中の安定性は中膜内の各構成要素の分解を用いて算出される。血漿タンパク結合は標準化された生体外の方法を用いて測定するか、又はコンピュータによる方法を用いて予測されることが可能である。体の様々な部位の各構成要素の分布は、コンピュータによる方法を用いて予測される。一酸化窒素の放出速度は生体外の内皮細胞モデルを用いて予測される。プロドラッグ、その活性代謝物、及び一酸化窒素の経時変化は、対応する生体外の及びコンピュータによるデータが入力値として用いられる場合、この生理学的に基づいた薬物動態学的/薬理学的モデルを利用して、ヒト及び動物の体内でシミュレートすることが可能である。
【0019】
このモデルは投与後のNO−NSAIDプロドラッグ及びNSAIDの経時変化を予測することに成功してきた。既存のNO−NSAIDの利点及び欠陥が確認された。これらの結果に基づき、消化管、心臓、及び腎臓に一酸化窒素の最適なデリバリーを供給するNO−NSAIDの一般的構造体が考案された。このNO−NSAID分子はNSAID分子を含む。NSAID分子は、アルキルジエステルを介して無毒性のリンカー(例えばアミノ酸)に接続している。他方で、酸化窒素供与体はエステル結合を介してリンカーに結合している。一酸化窒素の放出部分はジアゼニウムジオラートであることが好ましい。
【0020】
本発明で適用可能なNSAIDは、アセチルサリチル酸(ASA、CHCOOCCOOH)、イブプロフェン(C1318)、ナプロキセン(NAP、C1414)、インドメタシン(C1916ClNO)、又はジクロフェナク(C1410ClNNaO)のような非選択的COX阻害剤、セレコキシブのような選択的COX−2阻害剤を備えるが、それらに限定されるわけではない。セレコキシブは、スルホンアミド基、又はロフェコキシブのプロドラッグを含む。ロフェコキシブはカルボキシル基を含む。
【0021】
ある実施形態において、本発明は治療薬と適切な酸化窒素供与体を組み合わせる方法を供給し、効果的なプロドラッグ分子を作る。この方法は、(i)生体外の薬物動態学的又は薬理学的データ、又はコンピュータによる薬物動態学的又は薬理学的データを獲得する段階と、(ii)データを生理学的に基づいた薬物動態学的モデルに設定する段階を備え、このモデルは胃腸管をコンパートメントに分けるコンパートメントモデルを備え、さらに第2コンパートメントモデルを備え、このモデルは体内を血漿/血液、及び、組織コンパートメントに分け、
(iii)薬物動態学的モデルから出力パラメータを生成する段階を備え、出力パラメータは治療薬と適切な酸化窒素供与体との適切な組み合わせを決定し、効果的なプロドラッグ分子を作る。
【0022】
本発明はまた上記方法により選択されたプロドラッグ分子を提供し、プロドラッグ分子は治療薬及び酸化窒素供与体を備える。
【0023】
別の実施形態においては、非ステロイド系抗炎症薬及び一酸化窒素放出部分を備えるプロドラッグ分子が提供され、この部分は加水分解及び吸収の総時間よりも長い半減期を有し、一酸化窒素の治療用量は腸細胞に放出され、それによって胃腸の刺激、出血、及び潰瘍により引き起こされる損傷から保護する。
【0024】
本発明はここに記載された方法で識別されたプロドラッグ分子の使用を含み、治療法を提供する。本発明はまた、ここで記載された又は識別されたプロドラッグ分子を備えるキットを提供する。
【0025】
本発明はまたプロドラッグ分子を提供するものであって、プロドラッグ分子は、(i)酵素加水分解及び酵素的切断されやすい結合を介してアミノ酸と結合する一酸化窒素放出部分と、(ii)アミノ酸と直接、又はスペーサを介して結合している治療薬を備え、治療薬及びスペーサ間の結合、又はスペーサとアミノ酸の間の結合が酵素加水分解又は酵素的切断されやすい。前記一酸化窒素放出部分及び治療薬のプロドラッグ分子からの放出が独立して制御される。
【0026】
別の実施形態では、以下の構造式(化1)に表される化合物が提供される。
【0027】
【化1】

【0028】
別の実施形態では、以下の構造式(化2)に表される化合物が提供される。式(化2)中、n=0−2である。
【0029】
【化2】

【0030】
本発明はまた以下の構造式(化3)に表される化合物を提供する。
【0031】
【化3】

【0032】
本発明はまた以下の構造式(化4)に表される化合物を提供する。
【0033】
【化4】

【0034】
本発明はまた以下の構造式(化5)に表される化合物を提供する。式(化5)中、n=1、2である。
【0035】
【化5】

【0036】
本発明はまた以下の構造式(化6)に表される化合物を提供する。式(化6)中、n=1、2である。
【0037】
【化6】

【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
臨床実験において成功を収める可能性に優位性を与えるために、NSAID、ジアゼニウムジオラート、及びNO供与体の関連のある薬物動態学及び薬理学を理解することが必要である。このような情報の組み合わせは、NSAIDに適切なNO供与体を選択するために重要である。本発明は過程を提供する。この過程により、生体外の及びコンピュータによる入力を必要とする生理学的に基づいた薬物動態学的/薬理学的モデルが、プロドラッグ部分の薬物動態学的及び薬理学的行動を予測するために用いられる。
【0039】
上述のモデルにパラメータを提供するため、生体外実験が選択される。不適切な検査を用いると誤った予測を立ててしまうことになる。例えば、米国出願第60/681、842号(特許文献23)で公開されているように、モルモットの血清と豚のエステラーゼを用いて、アスピリンのo−置換ジアゼニウムジオラート誘導体を加水分解した。これらの実験は、生体外のヒトのNO−NSAID代謝速度、及びNO供与体とNSAIDへの代謝変換が発生する頻度に関しては、ほとんど何の情報ももたらさなかった。しかしながら、PYRO−NO−ASA(N3−108)、及びDMA−NO−ASA(N3−112)(図2)のようなこれら候補のいくつかが、ヒトの腸及び肝臓のミクロソームとインキュベートされた場合(図3乃至図6)、それらが急速に加水分解されることが明らかになった。半減期の値は1分未満であった。このような観察に基づいて、体循環に入る前に、NO−NSAIDは腸細胞で加水分解され、血流中ではNO−NSAIDはほとんど又はまったく検知されないことが明らかになった。さらに、NO供与体がNSAIDから分離するとすぐにNOの放出が開始される。
【0040】
エステラーゼを用いて活性成分を放出するプロドラッグの型は一般的に使用されてきた(非特許文献2)。エステラーゼの機能及び分布は、特にここ数年で広く研究されてきた。エステラーゼは非特異的であると知られるが、種ごとに及び器官ごとに劇的な相違がある。誤ったエステラーゼをプロドラッグの開発に用いると、誤った選択を導き、結果として失敗してしまう(非特許文献2、非特許文献49)。
【0041】
腸細胞でNO供与体を放出すると、胃腸が保護される可能性が高くなる。しかしながら、ジアゼニウムジオラートを含むNO−NSAIDが、心臓や腎臓のような他の器官を保護するかどうかは確かではない。Gao のグループ(非特許文献28)は他の研究グループ(非特許文献71)とともに、ヘモグロビンを血中の一酸化窒素の運搬役として調査してきた。これは一酸化窒素の様々な組織への全身的な伝達を記載した仮説である。Gao の最新の解説によると、「一酸化窒素は生体系における孤立した分離した化学物質であるとは決して考えられない」と示されている。(非特許文献30)。
【0042】
組織特異性の運搬は、適切なジアゼニウムジオラート分子を用いて改善される。非特許文献42によると、2秒から20時間以上の幅の半減期のNO発生を有するジアゼニウムジオラートの系が開発された。さらに、Keefer らはNOがグルコシダーゼの作用によって放出されるように炭水化物を用いてジアゼニウムジオラートを機能的にした。これにより、NOの放出がこの分類の酵素を含む組織に限定された(非特許文献69)。しかしながら、系統的な手法がない場合は、適切なジアゼニウムジオラートの選択は困難である。
【0043】
関節炎、心臓血管の病気、及びガンを含む他の病気の治療にプロドラッグ分子NO−X(例えば、NO−NSAID)の開発を成功させるのが困難なのは、主として一酸化窒素を放出する所望の速度、程度、及び部位を獲得するのが難しいからである。
【0044】
例えば、もし、NO−NSAIDの分子が経口投与の後、その大部分が体循環に吸収される場合、胃膜及び腸間膜は血中に放出された一酸化窒素によってのみ潰瘍形成させないようにする。胃及び腸内での一酸化窒素の濃度が十分高くないこともある。なぜなら、血中のNO供与体の濃度は、吸収過程において胃に局所的に存在する濃度より少なくとも10倍は低いからである。
【0045】
NO供与体の半減期が短いなら、この供与体は半減期の長いNSAIDから胃腸管を保護するにはおそらく十分ではない。なぜなら、放出されたNOは体内では非常に短期間しかもたないからである。
【0046】
吸収過程において腸細胞でNO−NSAIDからNO供与体を素早く放出することにより、最適な胃腸保護を提供することができる。しかしながら、心臓や腎臓のような他の器官での一酸化窒素濃度は、保護するほど十分に高くはない。というのもNOは体循環に決して到達しないからである。
【0047】
本発明は最善のパラメータを予測するための生理学的に基づいた薬物動態学的/薬理学的モデルを提供する。このパラメータ一式により、NSAID又は他の治療薬又は生体適合性のある薬剤と、ジアゼニウムジオラートのような適切なNO供与体とを科学的に組み合わせることができる。
【0048】
本記載のプロドラッグの設計手法は、NO−NSAIDにのみ適用可能というわけではない。他の治療薬又は生体適合性のある薬剤は、ジアゼニウムジオラートのようなNO供与体と結合させることが可能であり、この結合により特定の器官内で運搬と放出が最適化される。本目的のために生体適合性の原理を用いることは、単独の治療薬としてのジアゼニウムジオラートを設計することである。
【0049】
本発明の薬物動態学的/薬理学的モデルは、動物及びヒトにおける吸収、分布、代謝、NO放出(図13乃至28)、及びCOX阻害の経時変化を記載するものである。この薬物動態学的/薬理学的モデルは、胃腸の吸収を記述する7つのコンパートメントを含むモデルを備える。この薬物動態学的/薬理学的モデルはさらに、多くの生理学的なコンパートメントモデルを備える。これらモデルは、関連する器官および組織の供給源を含む残りの体内の独立した種の経時変化を記述する。NO放出及びCOX阻害の経時変化を記述している薬理学的コンパートメントは、適切な薬物動態学的コンパートメントにつながっている(図13)。同じ薬物動態学的/薬理学的モデルは他のプロドラッグ部分の経時変化を記述するために容易に適合される。ある実施例において、このモデルの入力パラメータは、NO−NSAID、又はこの活性及び安定代謝物の生体外実験又はコンピュータによる予測から得られる。この活性及び安定代謝物は例えば、ジアゼニウムを含む分子及びリンカー分子である。
【0050】
代表的な生体外の又はコンピュータによる予測は、以下を備える。
(a)pKa予測又は測定
(b)対数Pの測定又はコンピュータによる予測
(c)様々な生理学的流動体での溶解度
(d)透過率(Caco−2及び/又はNOVOKIN が所有する動物又はヒトの細胞株はこのパラメータを獲得するために用いることが可能である)
(e)腸及び肝臓での代謝速度(ヒト又は動物の腸ミクロソーム、S9分画、シトソルをこの目的のために用いることが可能である。ヒト又は動物の肝細胞、肝臓、肝臓ミクロソーム、S9分画、及びシトソルも同様に使用可能である)
(f)ヒト又は動物の血漿中の加水分解
(g)血清結合又は血漿タンパク結合(血清結合又は血漿タンパク結合は、生体外で測定されるか又はコンピュータによる予測で推定される。)
(h)NO放出速度
(i)NSAID又は生体適合性のある薬剤の現存する薬物動態学的/薬理学的データ
(j)応用可能であれば、公知のジアゼニウムジオラートの現存するNO放出速度
(k)胃腸環境の安定性、及び
(l)コンピュータによる分布予測量
【0051】
特別なNO−X(例えば、NO−NSAID)種に対するこのシミュレーションの典型的な出力には以下のものが挙げられる。
(a)胃腸管内でのNO−Xの安定性
(b)腸におけるNO−X吸収の経時変化及び程度
(c)腸細胞におけるNO及びX放出の経時変化及び程度
(d)胃腸管、肝臓、心臓、及び腎臓を含む様々な組織内におけるNO供与体からのNO発生の経時変化
(e)腸内のCOX−1阻害の経時変化
(f)血中内のNOの経時変化
(g)胃腸管、肝臓、心臓、及び腎臓を含む組織のNOの経時変化
(h)胃腸管、肝臓、心臓、及び腎臓を含む組織と血液内でのNOの経時変化
(i)一酸化窒素に起因する全身的作用の予測
【0052】
例えば、関節炎を治療するNO−ナプロキセンの最適な候補は、以下のパラメータを有するべきである。
(a)酸性及び塩基性条件下で安定していること
(b)胃腸の環境下で安定していること
(c)最適な親水性及び疎水性を有すること
(d)腸細胞への最大限の吸収
(e)NO−NSAIDの投薬量のかなりの割合が腸細胞でのNO供与体及びNSAIDに加水分解されること
(f)NO供与体がかなりの程度、吸収されること(一酸化窒素のかなりの割合がNO供与体全体から腸細胞へと放出されるのが好ましい。一酸化窒素は、炎症、出血、及び潰瘍から胃管及び腸管を保護するほど十分に高い濃度であるべきである。酸化窒素供与体のかなりの割合は胃腸管内に放出されるが、投与量と同量の5%から50%ぐらいが好ましい)
(g)NO供与体は血漿中及び/又は内皮細胞中で十分に加水分解され、NOを放出すること
【0053】
ある実施形態において、本発明は治療薬と適切な酸化窒素供与体を組み合わせて、効果的なプロドラッグ分子を作り出す方法を提供する。この方法は、(i)生体外の薬物動態学的又は薬理学的データ、又はコンピュータによる薬物動態学的又は薬理学的データを獲得する段階と、(ii)データを生理学的に基づいた薬物動態学的又は薬理学的モデルに設定する段階を備え、このモデルは胃腸管をコンパートメントに分ける第1コンパートメントモデルを備え、(iii)薬物動態学的モデルから出力パラメータを生成する段階を備え、出力パラメータは治療薬と適切な酸化窒素供与体との適切な組み合わせを決定し、効果的なプロドラッグ分子を作る。
【0054】
ある実施形態においては、本発明の薬物動態学的モデルは、(i)胃腸管を7つのコンパートメントに分ける7つのコンパートメントを含むモデルを備え、前記コンパートメントモデルは前記プロドラッグ分子の胃腸吸収を記述し、前記薬物動態学的モデルはさらに、(ii)体を血漿/血液及び組織コンパートメントに分けるコンパートメントモデル群を備え、前記コンパートメントモデル群は胃腸管、血液、及び組織内の治療薬、酸化窒素供与体、及び一酸化窒素の経時変化を記述する。代表的な生体外の又はコンピュータによるモデルに対する入力データは、胃腸環境におけるpKa値、オクタノール/水分配係数、溶解度データ、透過性値、代謝データ、加水分解データ、血清タンパク質結合データ、一酸化窒素放出速度、治療薬の薬物動態学的及び薬理学的データ、及び安定性のデータを含む。
【0055】
本発明はまた上記方法により選択されたプロドラッグ分子を提供し、プロドラッグ分子は治療薬及び酸化窒素供与体を備える。一般的に、治療薬は非ステロイド系抗炎症薬又は抗生物質であってよい。代表的な非ステロイド系抗炎症薬は、非選択的なシクロオキシゲナーゼのアイソザイム阻害剤又はシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含むが、これらに限定されるものではない。非選択的なシクロオキシゲナーゼのアイソザイム阻害剤は例えば、アセチルサリチル酸(CHCOOCCOOH)、イブプロフェン(C1318)、ナプロキセン(C1414)、インドメタシン(C1916ClNO)、及びジクロフェナク(C1410ClNNaO)である。さらに、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤はカルボキシル基を備えてもかまわない。酸化窒素供与体の実施例はジアゼン−1−イウム−1、2−ジオラートのようなジアゼニウムジオラートである。そして、当業者は本発明の教示的な点を考慮して抗生物質を治療薬として容易に適用するであろう。
【0056】
ある実施形態においては、非ステロイド系抗炎症薬及び一酸化窒素放出部分を備えるプロドラッグ分子が提供され、この放出部分は加水分解及び吸収の総時間よりも長い半減期を有するとともに、一酸化窒素の治療用量が腸細胞に放出され、それによって胃腸の刺激、出血、及び潰瘍により引き起こされる損傷から保護する。さらに、一酸化窒素の治療用量は血流に放出され、その結果、心臓、腎臓、及び心臓血管系のような1以上の器官システムを保護する。一般的に治療薬は非ステロイド系抗炎症薬又は抗生物質であり、一酸化窒素放出部分の実施例は例えば、ジアゼン−1−イウム−1、2−ジオラートのようなジアゼニウムジオラートである。
【0057】
本発明はまたプロドラッグ分子を提供し、プロドラッグ分子は(i)酵素分解及び酵素的切断されやすい結合を介してアミノ酸と結合している一酸化窒素放出部分と、(ii)アミノ酸と直接、又はスペーサを介して結合している治療薬を備え、治療薬及びスペーサ間の結合、又はスペーサとアミノ酸の間の結合が酵素加水分解又は酵素的切断されやすい。前記一酸化窒素放出部分及び前記治療薬のプロドラッグ分子からの放出は独立して制御される。一般的には、酵素加水分解又は酵素的切断されやすい結合は、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、及びスルホンアミド結合である。このプロドラッグ分子のアミノ酸は、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、又はアスパラギン酸である。さらに、アミノ酸は遊離アミン又は置換アミン、又は遊離アミン塩又は置換アミン塩を備えていてもかまわない。
【0058】
本発明はまた以下の構造式(化7)を有する化合物を提供する。
【0059】
【化7】

式中、Rが非ステロイド系抗炎症薬(例えば、ナプロキセン、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、サリチル酸、メサラミン、フルニキシン、ケトロラク、トルフェナム酸、ニフルム酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、エンフェナム酸、エトドラク、ピラゾラク、トルメチン、ブロモフェナク、フェンブフェン、モフェゾラク、ジクロフェナク、ペメドラク、スリンダク、スプロフェン、ケトプロフェン、チアプロフェン酸、フェノプロフェン、インドプロフェン、カルプロフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、プラノプロフェン、ベルモプロフェン、ザルトプロフェン、フルルビプロフェン、テノキシカム、ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、テニダップ、パラセタモール、ラクトアミド)のカルボキシル化されていない核であるか、又は以下の構造式(化8)の構造である。
【0060】
【化8】

式8中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、又は非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキルである。
【0061】
式(化7)中のXは、以下の構造式(化9)の構造を有し、式(化9)中、n=1−6であり、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、Xが酸素、硫黄、又はNHである。
【0062】
【化9】

【0063】
さらに、式(化7)中のXは以下の構造式(化10)の構造を有し、式(化10)中、n=1−6、m=0−2であり、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、Xが酸素、硫黄、又はNHである。
【0064】
【化10】

【0065】
別の実施形態では、式(化7)中のXは以下の構造式(化11)の構造を有する。
【0066】
【化11】

【0067】
さらに別の実施形態では、式(化7)中のXは以下の構造式(化12)の構造を有し、式(化12)中、n=1−6であり、Xが酸素、硫黄、又はNHである。
【0068】
【化12】

【0069】
式(化7)中のRは、水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、又は非置換又置換C3−12分枝鎖アルキルであってもよい。
【0070】
式(化7中)のRは、水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、又は非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキルであってもよい。
【0071】
式(化7)中のRは、水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、又は非置換又は置換へテロアリールであるか、又は以下の構造式(化13)の構造体であってもよい。
【0072】
【化13】

式(化13)中のRは、水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、アミノ酸のカルボキシル基を介して結合したアミド誘導体(例えば、β−アラニン、アラニン、2−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、α−アミノイソ酪酸、α−アミノスベリン酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、β−シクロヘシキルアラニン、システイン、3、4−デヒドロプロリン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ホモシトルリン、ホモセリン、ヒドロキシプロリン、β−ヒドロキシバリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、ペニシラミン、フェニルアラニン、フェニルグリシン、プロリン、ピログルタミン、サルコシン、セリン、スタチン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はポリペプチドのアミド誘導体である。
【0073】
別の実施形態では、式(化7)中のRは、以下の構造式(化14)の構造である。
【0074】
【化14】

式(化14)中、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、R10が非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、又は非置換又は置換へテロアリールである。
【0075】
さらに別の実施形態においては、Rが以下の構造式(化15)の構造である。
【0076】
【化15】

式(化15)中、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、R11が水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリールであり、R12が水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、又は非置換又は置換へテロアリールである。
【0077】
式(化7)中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、構造式(化13)の構造、構造式(化14)の構造、又は構造式(化15)の構造である。
【0078】
式(化7)中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、構造式(化13)の構造、又は構造式(化14)の構造である。
【0079】
式(化7)中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、構造式(化13)の構造、構造式(化14)の構造、又はNRは以下の式(化16)の環状複素環である。
【0080】
【化16】

式(化16)中、n=1−3であり、R13が水素、又は以下の構造式(化17)の構造である。
【0081】
【化17】

式(化17)中、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、R14が水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、又はXがアミノ酸のアミノ基であるアミノ酸(例えば、β−アラニン、アラニン、2−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、α−アミノイソ酪酸、α−アミノスベリン酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、β−シクロヘキシルアラニン、システイン、3、4−デヒドロプロリン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ホモシトルリン、ホモセリン、ヒドロキシプロリン、β−ヒドロキシバリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、ペニシラミン、フェニルアラニン、フェニルグリシン、プロリン、ピログルタミン、サルコシン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はアミノ官能基を介して結合したポリペプチド)である。
【0082】
あるいは、式(化7)中のNRが、以下の構造式(化18)の環状複素環である。
【0083】
【化18】

式(化7)中、Yは以下の構造式(化19)の構造である。
【0084】
【化19】

式(化19)中、n=1−6である。
式(化7)中、Yは構造式(化20)の構造である。
【0085】
【化20】

式(化20)中、R15が水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、又は非置換又は置換へテロアリールである。
【0086】
本発明はまた以下の構造式(化21)に表される化合物を提供し、式(化21)中、n=0−2であり、Zが構造式(化19)の構造、又は構造式(化20)の構造である。
【0087】
【化21】

【0088】
本発明はまた以下の構造式(化22)の化合物を提供する。
【0089】
【化22】

【0090】
本発明は以下の構造式(化23)の化合物を提供する。
【0091】
【化23】

以下の構造式(化24)で表される前記式(化23)中の基礎構造は、
【0092】
【化24】

アミノ酸アラニン、2−アミノ酪酸、酸、α−アミノスベリン酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、β−シクロヘキシルアラニン、システイン、3、4−デヒドロプロリン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ホモシトルリン、ホモセリン、ヒドロキシプロリン、β−ヒドロキシバリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、ペニシラミン、フェニルアラニン、フェニルグリシン、プロリン、ピログルタミン、サルコシン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、又はバリンの核構造を表す。
式(化23)中のR18は以下の構造式(化25)の構造である。
【0093】
【化25】

【0094】
あるいは、式(化23)中のR18は以下の構造式(化26)、又は(化27)、又は(化28)の構造である。
【0095】
【化26】

【0096】
【化27】

式(化27)中、n=1−6である。
【0097】
【化28】

【0098】
本発明はさらに以下の構造式(化29)の構造を提供する。
【0099】
【化29】

式(化29)中、n=1、2である。
【0100】
本発明はさらに、以下の構造式(化30)の構造を提供する。
【0101】
【化30】

式30中、n=1、2である。
【0102】
1以上の不斉原子を含む本発明の化合物は存在可能である。1以上の不斉原子を含む本発明の化合物は、光学的な純エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、純ジアステレオマーのエナンチオマーの混合物、エナンチオマーとジアステレオマーの混合物、完全なラセミ混合物として用いられることが可能である。1以上の炭素−炭素二重結合を含む本発明の化合物は、純粋なEの又はZの異性体、又はこれら異性体の混合物として存在することもある。1以上の炭素窒素二重結合を含む本発明の化合物は、純粋なEの又はZの異性体又はこれら異性体の混合物として存在することもある。1以上のアトロプ異性体を含む本発明の化合物は純粋な異性体又はこれら異性体の混合物として存在することもある。本発明は上記全ての異性体及び混合物を想定し含むものとする。
【0103】
酸(例えば、1級、2級及び3級アミン)で塩を形成する1以上の官能基を含む本発明の化合物は、対応する塩に変えてもよい。これに用いられる有機酸は、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸であってもよい。これに用いられる無機酸の例が、硝酸、塩酸、硫酸、及びリン酸である。
【0104】
一般的に記述される本発明は、以下の実施例を参照にすることにより容易に理解される。この実施例は、単に本発明の様々な特徴及び実施形態の説明のために含まれ、本発明をなんら限定するものではない。
【実施例】
【0105】
(実施例1)
<適切なNO−NSAID候補を選ぶ>
【0106】
本実施例の主たる目的は、(1)生体外のデータ(例えば、NSAID及びNOの動力学的データ)を提供し、コンピュータによる薬物動態学的/薬理学的モデルの発現しやすくすること、(2)モデルの予測の正当性を立証すること、及び(3)今後の開発のために適切なNO−NSAID候補を選択することである。あるNO−NSAID候補が、元のNSAID抗炎症薬の活性を維持する潜在性を示し、有害な胃腸、心血管系、及び腎臓イベントを発症させることなくNOの生成及びPKデータによって裏付けられる場合、それは優位であると示される。
【0107】
非選択的及び選択的NSAIDの抗炎症薬の活性は、バイオマーカーを用いて間接的に測定された。該バイオマーカーは、COX−1及びCOX−2活性を阻害する能力を示す。NOの活性は、心血管系及び腎臓イベントのようなNSAIDの副作用を無効にする潜在的な能力に関連していると測定された。
【0108】
患者にとって非常に危険な心筋梗塞及び虚血イベントは、もっとも有名なCOX−2阻害剤の1つの終焉を招いた(非特許文献6)。非選択的NSAIDもまた、COX−2を阻害する能力に応じて同様の問題を引き起こすこともある。PGIのトロンボキサンA2に対する比率の変化は、アテローム生成の初期の兆候を示すものであると主張されてきた(非特許文献44)。アデノシン二リン酸(ADP)の生成は、アラキドン酸カスケードと関係のない心筋梗塞の指標である(非特許文献4)。ADPの量はNOによって低くなることが明らかにされている。長期に渡るNSAIDの使用は、腎臓の損傷、及び高血圧と関連付けられている(非特許文献87)。NSAIDを一度投与した後では、近位尿細管障害が実証されている(非特許文献57)。これは、尿中のアラニン−アミノ−ペプチダーゼ(AAP)及びクレアチニンの比率の増加と関連付けられてきた。
【0109】
表2は、275グラムから300グラムの雄のウィスター系ラット(動物)を用いて行われた研究の手順の概要を示している。その動物は、研究開始前に少なくとも5日間、環境に適応させた。研究の手順は地元の動物倫理委員会により承認を得たものである。
【0110】
【表2】

【0111】
動物は検体を投与される前、夜通し絶食させた。検体は研究日の朝、強制飼養によって経口投与された。すべての検査ラットが検査期間中は検体投与後1、3、6時間後に、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)チューブ及びSST(血清分離チューブ)の両方で血液採取された。血液は尾端を切断することにより1時間後と3時間後にのみEDTAチューブに採取された。採取された血液の量は、各チューブにつき0.5ミリリットルから1ミリリットルであった。最後の採取は、イソフルレンによる全身麻酔下で腹部の大静脈を刺すことにより行われた。最後の血液採取は、以下を目標としたものである(即ち、第1EDTA#1−1.5ミリリットル、第2SST−1.5ミリリットル、第3EDTA#2−可能な限り多く)。
【0112】
EDTAのサンプルは遠心分離機にかけられ、血漿部分が集められて−80度で冷凍された。SSTのサンプルは約45分間、37度で培養され、遠心分離機にかけられ、その後血清が集められて分析まで−80度で冷凍された。
【0113】
すべての検査動物は代謝ケージに収容され、投与後6時間、氷に浸しながら尿が採取された。各動物から一定量の尿が採取され、クレアチニンの濃度が決定された。尿の残余は1000gで10分間、遠心分離機にかけられた。浮遊物は集められ、1ミリリットルの尿の浮遊物につき0.4ミリリットルのエチレングリコールの比率で、分析用のエチレングリコールを用いて混ぜ合わされた。エチレングリコールと尿の混合物は分析まで−80度で保存された。
【0114】
すべてのラットは、最後の血液採取ののち、最初の投与から6時間後に心臓を除去され安楽死させられた。最終的な血液採取が完了するとすぐに開胸され、心臓が除去された。心臓は縦方向に半分に切断された。心臓の半分は組織学的検査のためにホルマリンに漬けられた。残りの半分は生理食塩水で洗浄され、冷凍固定された(改良されたはさみの顎部で押し付けられ、液体窒素により冷却された)。1つの腎臓は全体を冷凍固定された。もう一方の腎臓は病理学者の検査のために元の位置にそのまま残された。冷凍固定された組織はラベルが貼られたアルミホイルに包まれ、−80度の冷凍室へ運ばれるまで液体窒素で保管された。冷凍固定された組織はドライアイスに入ったまま、分析のためNOVOKINに届けられた。すべての群の各動物について、審議会の有資格獣医病理学者の監視下で十分な解剖が行われた。
【0115】
各ラットの胃は大きく湾曲して切断された。内容物はポリプロピレン(ファルコン)チューブ内に排出され、粘膜は生理食塩水で洗浄され、明らかな潰瘍又は糜爛部分は最も長い軸椎に沿って測定された。該測定はそれぞれの胃の中で観察された潰瘍又は糜爛ごとに記録された。ファルコンチューブ及びその内容物は−80度で冷凍され、分析のためにドライアイスに入ったままNOVOKINへ送られた。
【0116】
胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、大腸、肝臓、腎臓、及び心臓は検査され、10%の中性緩衝ホルマリン中に集められた。各群からの2つの胃はその群を代表しているものとし、粘膜表面の写真を撮影した。他の組織の写真も撮影した。
【0117】
上記の組織には、ヘマトキシリン染色及びエオシン染色を用いる病理組織学的な検査のためにあらゆる処理がなされた。さらに、無染色のスライドがタネル染色の提供者に渡された。
【0118】
任意の動物内で発見された胃潰瘍すべての統計上の長さが計算された。任意の群における複数の動物の潰瘍の統計としての平均的な長さが計算された。この平均値はその群の潰瘍指数として記録された。
【0119】
改良された各薬剤の潰瘍指数は、関連する親薬物の、及び対象の潰瘍指数と比較された。この比較には対比較のための分散分析及びダンカンの多重範囲検定が用られた。統計分析はSASを用いて行われた(SAS Institute Inc., Cary, NC)。
【0120】
この研究結果により、ナプロキセンとAZD3582は重篤な潰瘍を誘発することがわかった(表3、図7)。DMA/NO−NAPはそれほど潰瘍を誘発するものではないが、一方で、PYRO/NO−NAP及びROFは、賦形剤と大きく異なるものではなかった。
【0121】
プロドラッグ候補又はAZD3582を投与した後のナプロキセンのAUC0−6h(μM−h)値(表4、図8)は、ナプロキセンの親薬物よりも低かった。このことは、3つの化合物すべてが親薬物よりも吸収率が悪いことを示している。
【0122】
6時間後の血清の硝酸エステル濃度に示されているように(表5、図9)、NOの放出はNO供与体の場合と同様であったものの不安定であり、たとえ平均値がROF又はVEHの何倍も高くても、たいていの場合は高濃度であるという傾向になった。
【0123】
NAPはPGI2及びTXA2レベルの両方で下がっており(表6、図10)、対象と比較すると(p>0.05)、PGI2/TXA2比率においてわずかな違いしか見られなかった。両方のジアゼニウムジオラート化合物は、重要な意義のあるDMA−NO−NAPについてNAPよりも高い比率を有している。このことは心臓血管系のリスクが減ったことを示唆している。対照的に、両方のROFは文献報告に沿っているが、AZD3582も賦形剤よりも低い比率を示した。これは本実験中の傾向に過ぎないものの、潜在的なリスクが増えたことを示している。心臓への強い負担を示す心臓のADPの濃度及び他のすべての潜在的なヌクレオチドの濃度及び比率は、すべての群で同じであった。このことは、バイオマーカーがこの群の化合物の影響を受けた任意の特定の毒性に対しては反応しにくいということを指し示している(データは示さず)。
【0124】
ナプロキセン及びジアゼニウムジオラートのプロドラッグ化合物は、尿のAAP/クレアチニン比率の著しい増加を引き起こすものではなかった(表7、図11)。一方で、ROF及びAZD3582は、このバイオマーカーの増加をもたらした。このことは、近位尿細管の腎臓の損傷がこれら2つの化合物によるものであるということを指し示している。どの化合物もNAG/crで重大な変化をもたらしてはおらず(表8、図12)、遠位尿細管には毒性が欠如していることを指し示している。
【0125】
要約すると、新しいNO−NSAID候補は効果的なように思われ、ロフェコキシブ及びAZD3582に対して以下のような優位性を有している。
(a)血漿の亜硝酸エステル及び硝酸エステル濃度が増加したこと
(b)潰瘍指数がナプロキセン又はAZDの潰瘍指数より低かったものの、ロフェコキシブ処理した動物よりは低くなかったこと(この結果は新しい化合物の対象の潰瘍指数と類似していた)
(c)心臓のPGI2/TXB2がナプロキセンの賦形剤および新しい化合物よりも高く、ロフェコキシブ及びAZD3582の賦形剤よりも低かったこと(これは心臓に影響を及ぼす毒性がジアゼニウムジオラートのNO供与体からもたらされることを示している)
(d)尿のAAP/クレアチニン比率が対象の比率と類似しており、AZD3582及びロフェコキシブ処理された動物の比率よりも小さかったこと(これは腎臓の毒性がジアゼニウムジオラートへもたらされることを示している)
【0126】
これらの結果は関連する生体外のミクロソームのデータ結果と比較された。NO−NSAID候補は腸内でNOを完全に放出すると推測され、生体内のデータは新しい化合物が心臓及び腎臓への効果を有していることを示している。このことはNOがニトロソチオール及びNO−ヘモグロビンなどのキャリアにより少なくともある程度は運搬されるということを示している。この比較はある情報を提供するものである。該情報とはNO−NSAIDの将来の開発、及び薬物動態学的/薬理学的モデルの入力値に非常に価値のあるものである。
【0127】
本実施例は、各バイオマーカーのカテゴリーで示された潜在的なNO−放出の利益にかかわらず、実際の再現性及び改善の程度は、これら化合物の商業的な成功を保証するほど十分ではない。というのも、本研究で用いられた投与量は毒性の範囲内であり、NO放出量は少なくとも数回は臨床用量の段階で減少すると考えられるためである。生体外の研究によると、本研究で用いられたジアゼニウムジオラートの候補は、NO供与体などの有機硝酸塩を含むAZD3582のような候補と比較して、NO生成量が13倍であることが明らかになっている(特許文献23)。興味深いことに、本研究中で観察された硝酸エステル濃度はまったく近接しない。このことは、多くのNOが生体内で浪費されることを示している(図9)。それゆえ、開発過程を介して新しい化合物を受け取るよりも前に、研究された化合物を上回る溶解度、透過率、及びNO放出の特性を改善させる必要がある。特に、ナプロキセンと結合するより安定した、又はより安定化させたNO供与体は、全身の搬送を改善するものと思われる。したがって、心臓及び腎臓への分布/これら器官のNO暴露は、NOに由来する利益を増大させる。本実施例は、特許文献23に報告された分子を改善させる必要性を実証しており、これらはコンピュータにより定められた薬物動態学的/薬理学的モデルを用いて、効果的及び効率的になされるものである。
【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】
【表5】

【0131】
【表6】

【0132】
【表7】

【0133】
【表8】

【0134】
(実施例2)
<生理学的に基づいた薬物動態学的/薬理学的モデル>
本実施例の目的は、コンピュータによる生理学的に基づいた薬物動態学的コンピュータモデルの実施形態を実証することである。該薬物動態学的コンピュータモデルは主要な工程及びパラメータすべてを組み込んでおり、記載のように出力を発生させることが可能である。
【0135】
該モデルは多くのコンパートメントを備えており、各々のコンパートメントは特定の解剖領域を表す。モデル内の各化合物に有利になるように、各コンパートメントは特定の量(分布量)及び化合物の一定の内部濃度(「十分に攪拌された」状態)を有している(図13)。化合物は元のコンパートメント内の物質量に比例した速度でコンパートメント間を運ばれる(一次反応速度論)。上述の化合物の運搬は、生理学的に隣接するコンパートメント間の大部分の流れ及び拡散を反映する。上述の化合物の運搬のほとんどは血漿循環を表しており、任意のコンパートメントに流れる化合物の合計は、コンパートメントから流れてくるすべての血漿の合計と等しい。コンパートメント内で、化合物は代謝反応を受けて、化合物及びコンパートメントの特定速度に対する化学量論的割合の代謝産物を生成する。新しい物質は元の化合物量に比例した量で生成される(一次反応速度論)。
【0136】
シミュレーションは動脈血の血漿コンパートメント(図26)を含む。該血漿コンパートメントは腸領域への流れを有する。この流れは腸領域から肝臓を表すコンパートメントへ至る(図25)。動脈血の血漿コンパートメントは心臓(図23)、肝臓(図25)、腎臓(図24)、及び他の組織(図27)を表す4つのコンパートメントへの流れを有する。これらの流れは4つのコンパートメントから静脈血コンパートメントへ至る。静脈血コンパートメントは肺コンパートメントへの流れを有し、この流れは次に動脈血のコンパートメントに流れ込む。腸領域は7つの部分に分けられ、各々が5つのコンパートメントを備えている(図15乃至図21)。各々の腸の部分の5つのコンパートメントの1つは腸管腔を表しており、該管腔コンパートメントは次々とつながっていて、腸の蠕動運動を含む薬剤の通過を促す。7つの腸部分の各々の内部で、管腔コンパートメントは腸細胞(管腔を満たす吸収細胞)コンパートメントとの間で双方向の流れを有し、該腸細胞コンパートメントも血漿コンパートメントとの間で双方向の流れを有する。第2血漿コンパートメントは第5コンパートメントとの間に双方向の流れを有し、該第5コンパートメントは頭蓋の腸間膜動脈によって供給される他の腸組織を表す。各血漿コンパートメントは動脈血から入ってくる流れを受け取り、匹敵する肝臓コンパートメントへの出力を有する。どの他の腸コンパートメントも他のモデルの残りの部分とはつながっていない。第1管腔コンパートメントへの流れを有する最後のコンパートメントは、薬剤の経口投与量のモデルを作るために用いられる。体重、心拍出量、様々な器官へ流れる血流、各器官の体積及び重量、細胞外液及び細胞内液、脂質に関するヒト及び動物からの生理学的データが文献から集められ、以下の表にまとめられた。対数P、血漿タンパク結合、及び器官の体積ごとの分布のコンピュータによる予測は、非特許文献31、Lobell & Sivarajah、及び非特許文献58それぞれによって発表された方法を用いて行われる。
【0137】
生体外の予測が達成可能なときはいつでも、血漿タンパク結合などの生体外の結果が用いられる。非特許文献5、非特許文献47、非特許文献78、及び非特許文献77によって報告された方法は、腸内クリアランス、吸収速度定数、及び肝クリアランスのための生体外の及び生体内のスケールアップのために、用いられる。シミュレーションは、あるコンパートメント(典型的には胃コンパートメント)の初期の急速静注を除けば、すべてのコンパートメントに物質が存在しない状態で始まる。シミュレーションは物質分配の経時変化を推測する。
【0138】
シミュレーションの現在のバージョンは、MatLab及びSimulink Toolbox(ともにMathworks社、Natick, MA)を用いて実行され、Simulinkのグラフィカル・モデルインターフェース、Matlabのコマンド言語、及びパール(Perl)で書き込まれたコード生成ルーティンの混合体である。該モデルの構造は図13乃至28に描写されている。
【0139】
(実施例3)
<NSAID及びNO供与体の血小板凝集への効果>
本実施例の目的は、(1)NSAID及びNO供与体の血小板凝集、血管拡張、及び血栓形成に与える効果を調べること、(2)供与体の血小板凝集、血管拡張、及び血栓形成のNSAID及びNO供与体の間の潜在的な相互作用について調べること、及び(3)NSAID及びNOのCOX作用への効果を調べることである。
【0140】
非特許文献1、35、80、及び79によって発表された方法は、これらの目的を達成するために用いられる。
【0141】
これらの研究により得られた生体外の結果は、NO−NSAID候補投与後の供与体の血小板凝集、血管拡張、及び血栓形成の経時変化をシミュレートするために用いられる。
【0142】
(実施例4)
<薬物動態学的/薬理学的モデルの効果>
本実施例の目的は、(1)生理学的に基づいた薬物動態学的/薬理学的モデル(PBPK/PD)を作ること、及び(2)PBPK/PDモデルを用いてヒト及びラット内の潜在的な候補の生体外の薬物動態学的/薬理学的作用を予測することである。生理学的な生体外の及びコンピュータによるモデルへの入力は表9に挙げられている。
【0143】
ナプロキセン、AZD3582、及びPYRO/NO−ナプロキセンは、モデルを作るために用いられる。生体外のパラメータは他に指定されなければ、研究室内で生成される。モデルパラメータは表10に挙げられている。
【0144】
【表9】

【0145】
【表10】

【0146】
出力データは図29乃至35、及び表11にまとめられている。一般的に、PBPK/PDモデルはナプロキセン(図29及び30)、及びAZD3582(図31、32及び34、35)から形成されたナプロキセンの血漿濃度を適切に予測する。予測値は報告されたデータの2倍の範囲内である。該モデルは、文献で報告されたデータと一致しており(非特許文献24、非特許文献25)、また、著しく低いAZD3582のバイオアベイラビリティを予測する。初回通過効果が大きいのは、腸及び肝臓において加水分解が多数起こることに起因する。両器官はラット及びヒトにおいてAZD3582の初回通過による除去に大きく関与している(図33及び図36)。NO供与体を運ぶ代謝産物が最後にどうなるのか知られていないため、NOがどこで生成されるのか予測するのは困難である。注視すべきは、AZD3582の初回通過による除去の観点から言えば、ラット及びヒトは異なることである。肝臓の初回通過はラットで優勢だが、腸の初回通過はヒトで優勢である。本実施例は、代謝予測に関して言えば、コンピュータによる予測ではなく、生体外実験を用いる重要性を示している。原則として、ラットの代謝速度はヒトの代謝速度より速いものの、現在の研究では幾つかの違いが見られる。
【0147】
図35はN−119を経口投与した後の、管腔、胃腸管組織、肝臓、心臓、腎臓、及び体内の他の組織のジアゼニウムジオラートのAUCを示している。N―119は腸管腔内では安定しておらず、ラットの腸ミクロソームにおける加水分解反応速度が高いため(表10)、このプロドラッグ候補は肝臓に入る前に窒素の大部分を放出した。全身的な一酸化窒素暴露は最小になると予想される。このシミュレーション結果は、PYRO/NO−ナプロキセン投与後の血漿の比較的低い硝酸濃度と一致している。PYRO/NO−ナプロキセンのNO生成量は生体外のAZD3582の生成量より13倍も高いものの(特許文献23)、血漿の硝酸濃度はAZD3582の濃度ほど高くはない。このデータはある推測と一致している。その推測とは、特許文献23によって生成された候補は、心臓及び腎臓では注目すべき効果を挙げたにもかかわらず、さらなる開発を進めるためには適切でなかったというものである。
【0148】
AZD3582の薬物動態学的作用は、AZD3582が腸管腔及び腸ミクロソームではより安定しているということを除けば、PYRO/NO−ナプロキセンの薬物動態学的作用と類似している(表10)。AZD3582を投与した後のナプロキセンの放出特性(図33及び34)は、酸化窒素供与体も初回通過器官で放出されたということを示している。測定可能な酸化窒素供与体と代謝データがないため、いつNOが生成されたのか予測できない。実施例1に挙げられている生体外の研究によると、生体内の血漿の硝酸濃度は、心臓及び腎臓内で目に見える効果を引き出すほど十分に高くはないことが明らかになった(図9乃至図12)。体循環中において十分なNOが生成されていないことが推測される。これは、(1)あまりにも多量のNOが腸管腔、腸、及び肝臓内で生成されるため、及び/又は(2)NO生成量が少なすぎるためであるとされる。
【0149】
【表11】

【0150】
(実施例5)
<候補化合物を開発する>
本発明はまた、前述の実施例に記載されたすべての要素を用いて、上述のNO−NSAIDのような化合物の輸送管路を開発し、改善していく工程を提供する。
【0151】
該工程は、複数の原型化合物から始まる。該原型化合物は、例えば、特許文献23の化学に基づくDMA/NO−ナプロキセン及びPYRO/NO−NAPのような所望の特性を有する。DMA/NO−ナプロキセンのシミュレーションの結果は、PYRO/NO−ナプロキセンのシミュレーション結果と類似した。単純化するために、PYRO/NO−ナプロキセンの結果は上記の実施例4に示されたものとする。
【0152】
実施例4で記載された予測によると、本発明で記載された薬物動態学的モデルは潜在的な候補の欠点を特定することができる。特許文献23で考案された候補は(図36)、多量のNOを放出するという利点を有している。しかしながら、心臓及び腎臓のような内臓器官を対象とするという観点からすれば、これら候補はNO運搬に対して特異的なものではない。
【0153】
これらのシミュレーションから、理想的な候補は生理学的な水素イオン指数(pH)で最適な対数P値を取らなければならないことが明らかである。さらに重要なことは、一酸化窒素及びNSAIDの放出はある程度の特異性を有していなければならない。例えば、プロドラッグを投与した後には放出されたNSAIDを大量に摂取することが望ましい。それによって抗炎症薬の効果がすぐに効き始めるからである。しかしながら、NO供与体はプロドラッグ投与後の初回通過の間、不安定であってはならない。
【0154】
シミュレーション結果に基づき、本発明はモジュール式の科学的なライブラリーについて記載する(図37)。該科学的なライブラリーはNOプロドラッグの物理的性質及び反応速度を系統的に制御するために用いられることが可能である。これにより、NOの全身への運搬がなされる。目標は、NOの最適な投与量を胃腸管、心臓、及び腎臓に運搬することにより、NSAIDの潜在的副作用を軽減することである。
【0155】
アミノ酸を含むNO−NSAIDのプロドラッグの実施例が報告されている(非特許文献61、非特許文献40、特許文献2、非特許文献32、特許文献1、特許文献6、特許文献11、特許文献25、特許文献14、15、16、17、18)。これらはニトロオキシアルキル官能基をNO源として使う実施例に制限されている。上記プロドラッグ(又はその分解産物)からのNO放出速度は、ニトロオキシアルキルの還元によって決定される。該ニトロオキシアルキルの還元は多重経路を介して起こり(非特許文献29、非特許文献12、非特許文献30、特許文献26)、それゆえ制御は困難である。
【0156】
本発明において、プロドラッグからのNO放出速度は、系統的に制御可能である。o−置換ジアゼニウムジオラートからのNO放出のメカニズムは、2つの区別されうる段階で起こる。プロドラッグからのジアゼニウムジオラートの酵素放出により、o−非置換ジアゼニウムジオラートがもたらされる。該o2−非置換ジアゼニウムジオラートはその後、NOを放出する生理学的条件下で急速に分解される。もし、正しいo−置換ジアゼニウムジオラートが用いられると、NO−NSAIDの候補は生理学的なpHに向かって安定する。酵素加水分解(t1/2=数分から数時間)を介する候補化合物からのジアゼニウムジオラートの放出速度が、放出された非置換ジアゼニウムジオラートの半減期を十分に上回る場合((実施例はPROL−NO(t1/22S、非特許文献42)、PYRRO−NO(t1/23S、非特許文献67)を含むが、これに限定されるものではない))、アミノ酸とジアゼニウムジオラート間のエステル結合の酵素加水分解は、NO放出の段階を決定する速度であると考えられる。
【0157】
酵素の放出速度は多くの要因によって制御される。特許文献23で開発されたNO−NSAID候補では、o−置換ジアゼニウムジオラートは直接NSAIDに結合する(図8)。酵素的切断はNSAIDとo−置換ジアゼニウムジオラートの両方の放出を伴うことになる。酵素加水分解の速度、それゆえNO及びNSAIDの放出速度は、ジアゼニウムジオラートの選択によって直接制御される。この手法の1つの限界は、酵素加水分解の速度を変えることに加え、ジアゼニウムジオラートを変えることが、NO生成の効率性及び半減期(t1/2)の両方に影響を与えかねないことである。さらに、毒性/代謝プロフィールも変化する。なぜなら、2級アミンがNO放出の間に生成されるからである。2級アミンとアミノ酸に由来する潜在的ジアゼニウムジオラートのリストは多く列挙されるが、プロドラッグに用いられる生物学的に生存可能な誘導体の数は限られている。なぜなら、多くのアミン及び/又はそれらの代謝産物には毒性がみられるからである(非特許文献48、非特許文献53)。したがって、NO−NSAID候補を開発する際は、十分な特徴を備えた速度及び毒性パラメータを有する特定のジアゼニウムジオラート誘導体の放出速度を制御できることが望ましい。
【0158】
本発明において、NSAID又はCOX−2阻害剤、及びo−置換ジアゼニウムジオラートは、官能基(エステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドが代表的である)を介して中央のアミノ酸に独立して結合する。該官能基は酵素加水分解又は酵素的切断されやすい。これにより、NSAID及びジアゼニウムジオラートの酵素放出が様々な速度で起こることが可能である。NO(ジアゼニウムジオラートの放出に起因する)及び特定のNSAIDの絶対速度及び相対速度の制御は、モジュール構造、特にアミノ酸、アミノ酸窒素置換基、及び/又はNSAIDをアミノ酸につなげるスペーサを修正することによって制御可能である。ジアゼニウムジオラートの選択は、酵素の放出速度を変更するが、ジアゼニウムジオラートを一定に保つ間、酵素の放出速度は他のモジュールを変えることによって変更可能である。本発明により、NSAID又はジアゼニウムジオラートを変える必要なく、様々な運動学的、物理学的、薬理学的、薬物動態学的特性を備えた新しい候補を生成することが可能になる。
【0159】
本発明のモジュール構造の酵素分解は、NO、2級アミン、ホルムアルデヒド、N−置換アミノ酸、NSAIDを作り出すよう考案される。N−置換アミノ酸は、対応する親アミノ酸(非特許文献56)のプロドラッグ、又は別の治療薬(特許文献12、特許文献27)のどちらかとみなされる。適切なN−置換基の実施例は、アミド(非特許文献16)、カルバミン酸塩(非特許文献34)、及びα−ヒドロキシル、又はα−アシロキシメチル(非特許文献9)を備えるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
(実施例6)
<NO−NSAIDプロドラッグからのジアゼニウムジオラートの放出速度を制御する>
モジュールライブラリー(1―3)の3つの実施例は、3つの共通したモジュール、すなわち、NSAIDとしてのナプロキセン、アミノ酸としてのヒドロキシプロリン、及びDMAジアゼニウムジオラートに基づいて合成された。それらはアミノ酸の窒素置換基でのみ変化した(即ち、遊離アミン基(1)、アセチル基(2)、及びピバロイル基(3))。これらの化学安定性は、30分以上かけて様々なpHのリン酸緩衝液内で調査された(表12)。遊離アミン1はpH2.5から7.0の範囲にわたって急速に分解し、非置換ジアゼニウムジオラート(図示されず)及びNSAID−アミノ酸4を放出する。N−アセチル誘導体2はかなり遅い速度で分解を起こすよう決定され、pH7.0で非置換ジアゼニウムジオラート(図示されず)、及びNSAID−アミノ酸5を生成する。プロドラッグ2は30分以上にわたってpH2.5から5.0の間で安定していることが分かった。ピバロイルアミド3はpH2.5から7.0の全範囲を通して安定していることが観察された。
【0161】
【化31】

【0162】
【表12】

【0163】
プロドラッグ3の酵素加水分解に対する感度は、LC−MSによって調べられた。肝臓と腸のミクロソームの製剤が用いられた。NSAID−アミノ酸6の形成をもたらした非置換ジアゼニウムジオラートの切断は、肝臓の製剤(2時間後に完全に加水分解)及び腸の製剤(2時間後に50%変換)の双方において急速に行われたことが分かった。しかしながら、これらの速度は、1→4、及び2→5と変化する酵素加水分解(肝臓ミクロソームの製剤では10分と30分にそれぞれ完全な加水分解が観察された)の速度よりは遅かった。
【0164】
【化32】

【0165】
ナプロキセンをアミノ酸と結合させるエステルの酵素加水分解は、あらゆる場合で低速であることが分かった。2時間後にナプロキセンの2%放出されたことが肝臓ミクロソームで観察された。
【0166】
本発明のさらなる実施形態は、NSAID及びジアゼニウムジオラートを独立して放出する2つの不等価なエステルの使用が、特定のエステラーゼ又は他に分類される酵素の作用を介して進行するという認識に基づいている。エステラーゼの分配がヒトの組織や器官の至るところで変化するため、特定の酵素が特定対象の組織又は器官において、NSAID及び/又はジアゼニウムジオラートのどちらかを選択的に放出することが可能である。
【0167】
特許文献23で開発されたNO−NSAIDの限界は、カルボン酸を含むNSAIDの使用に限定されていることである(図36)。同様の限界は、非特許文献66でも報告されたように、アミド結合を介したNSAIDイブプロフェンとピペラジン・ジアゼニウムジオラートの末端窒素との結合にも適用される。親アミノ酸がアスパラギン酸(n=1)又はグルタミン酸(n=2)のような二塩基酸である場合、本発明のさらなる実施形態は、他の官能基を有する薬剤又はリンカー群(アルコール、チオール、アミン、スルホンアミドを含むがこれらに限定されない)と、アミノ酸モジュールを結合させる能力に基づいている。この原理はセレコキシブ及びバルデコキシブのジアゼニウムジオラートのプロドラッグ、及び強力な選択的COX−2阻害剤によって実証されている(図38)。これら実施例において、薬剤(セレコキシブ又はバルデコキシブ)は、スルホンアミド官能基を介してプロドラッグのアミノ酸と結合しており、構造7及び8をそれぞれ提供する。
【0168】
本発明のさらなる実施形態は以下の認識に基づいている。すなわち、NSAID/リンカー、又はジアゼニウムジオラートのどちらかのニ塩酸基アミノ酸モジュール(アスパラギン酸及びグルタミン酸を含むが限定されない)からの切断は、残っているNSAID/リンカー、又はジアゼニウムジオラートの酵素加水分解速度を明白に減少させるという認識である。これはdi−ナプロキセンのプロドラッグ(NAP−AA−NAP)9によって実証される(図39)。両エステルの初期の酵素的切断は急激にかつ非選択的に発生し(肝臓ミクロソームで30分後に完全に加水分解する)、主にナプロキセン(AA−NAP)のプロドラッグ11及び12からなる混合物を提供する。第2リンカーの切断により、AA−NAP11及び12からナプロキセンの分子がさらに放出された。しかしながら、この放出は低速で行われる(90分後には40%から65%が13に変化する)。
【0169】
di−DMA−ジアゼニウムジオラート・N−アシル・グルタミン酸(di-DMA-diazeniumdiolate N-acyl glutamic acid)(DMA/NO−AA−DMA/NO)14(図40)に関する研究により、エステルがジアゼニウムジオラートをグルタミン酸及びアスパラギン酸のアミノ酸と結合させる場合、加水分解速度の解剖学的変化も起こることが示された。
【0170】
この原理はさらに、ジアゼニウムジオラートに基づくNO−NSAIDのプロドラッグ(NO−AA−NSAID)15に拡大適用することが可能である(図41)。もし、NSAIDとジアゼニウムジオラート部分に関する2つのエステル結合が、初めに様々な速度で加水分解される場合(たとえば、NSAIDは初めにジアゼニウムジオラートよりも早く切断される)、NSAIDはまず圧倒的に15から放出される。これにより、一酸ジアゼニウムジオラートのプロドラッグのエステル(NO−AA)16、及び遊離NSAID(又は生物学的に関連する塩)が生成される。(NO−AA)16はそれ以降、NO−AA−NSAID15の場合に比べ、ジアゼニウムジオラートの酵素放出が遅くなる。これにより、NO放出も低速で行われる。逆に、ジアゼニウムジオラートが最初に、NO−AA−NSAIDから早めに切断されると、ジアゼニウムジオラートが迅速に生成され(そして、それゆえNOも)、NSAIDの放出は低速で行われる。
【0171】
(実施例7)
<NO−AA−NSAIDからのNSAID及びジアゼニウム−ジオラートの放出差>
加水分解の速度差の原理は、NO−AA−NSAIDSのCMD113及びCMD114で実証された(図42、43)。CMD113及びCMD114双方を様々な酵素製剤(図44乃至図51)に晒すことにより、プロドラッグ候補は急速に失われ、ナプロキセン及びNO−AA(図42)が得られる。その一方で、ジメチルアミノ・ジアゼニウムジオラートの競合放出は遅れ、AA−NAPが得られる(図43)。NO−AA(図42)、及びAA−NAP(図43)双方の残っているエステルのその後の酵素加水分解は、初期の加水分解よりも低速で行われ、N−ピバロイル・グルタミン酸が得られる。
【0172】
CMD113及びCMD114から形成されたNO−AAが、複数の特徴を共有していることに注視することは重要である。最初の特徴は、両方の化合物がヒト及びラットの腸及び肝臓ミクロソーム双方において、比較的安定しているということである(図44乃至51)。第2の特徴は、両方の化合物の加水分解が、ラットの血漿中では比較的早い速度で行われるということである(表13及び14)。同様の構造を備えるNO−AAは、腸及び肝臓で各々のプロドラッグ部分から放出された後は安定することもあるが、これら種は血漿中でNODを、次いでNOを放出することが可能である。腸及び肝臓ミクロソームに対するNO−AAの反応と血漿に対するNO−AAの反応の違いは、NO−AAの開発において重要な特徴である。潜在的なNO−AAは、最適な放出速度であらゆるエステラーゼの影響を受けやすいのが理想的である。
【0173】
【表13】

【0174】
【表14】

【0175】
この原理は拡大適用してCOX−2阻害剤(ロフェコキシブを含むが限定されない)を備えるとすることも可能である。ロフェコキシブのようなCOX−2阻害剤のプロドラッグ、及びCOX−2阻害剤のいくつかは、カルボン酸又はアルコール機能的な基を含み(例えば、特許文献7、8、9、10を参照)、それらは分子を上記のモジュラの骨格と結合させるために用いられる。そのような場合、公知のロフェコキシブのプロドラッグ20(非特許文献23)に基づいたCOX−2阻害剤のプロドラッグ(18に示されている)は、急速に放出される(解剖学的なNSAID誘導体に関しては記載済)。この放出により、同じNO−AA16がもたらされる(図52)。前述のように、ジアゼニウムジオラート21(それゆえ、NOも)を放出するNO−AA16の加水分解は、初期の加水分解段階よりも著しく遅い。このことによりCOX−2阻害剤(又はプロドラッグ)は急速に放出され、ジアゼニウムジオラート(それゆえ、NO)の放出速度は遅くなる。
【0176】
(実施例8)
<NONOate−アミノ酸−ナプロキセンプロドラッグ26の調製のための一般的な方法>
N−Boc保護のNO−AAの24(図53)
塩化物23の溶液(11.0mmol、特許文献23)を含むヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA、5mL)が、N−Bocアミノ酸22(9.13mmol、非特許文献23)と、NaCO(9.13mmol)の懸濁液を含むHMPA(5mL)に添加された。この添加は室温(rt)下で行われた。結果として得られた混合物は一晩中攪拌された。その後、水が混合物に加えられ、得られた水層は酢酸エチル(EtOAc)(×5)で抽出された。有機画分は取り除かれ、乾燥させられ(NaSO又はMgSO)、真空内で濃縮された。残留物はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって浄化され、一般的にはヘキサン/EtOAcで溶離し、物質24を得た。
【0177】
N−BOC保護のNO−AA−NAPの25を保護(図53)
無水のCHCl(10mL)中に、物質24(1.0mmol)、ナプロキセン(1mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、1.0mmol)、及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(0.1mmol)を含む溶液は、rt(室温)で1時間から一晩中に渡って攪拌された[反応は薄層クロマトグラフィーによって測定された(TLC)]。その結果生じた白い残留物は、ろ過によって除去され、ろ過された液体は真空内で濃縮された。残留物はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって浄化され、一般的にはヘキサン/EtOAcで溶離し、物質25を得た。
【0178】
N−アセチルNO−AA−NAPの(R=Me)26(図53)
物質25(0.1mmol)はrt(室温)でトリフルオロ酢酸(TFA、1mL)内で溶かされ、1時間から6時間攪拌された(反応はTLCで測定された)。生じた混合物は真空内で濃縮された。残留物は酢酸(AcOH、1mL)で溶解され、無水酢酸(AC2O、0.18mL)が滴状で追加された。この追加はrt(室温)で攪拌されながら行われた。生じた混合物は、rt(室温)で一晩中攪拌された。反応混合物はその後、真空内で濃縮され、残留物はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製され、一般的にはEtOAc/CHClで溶離し、物質26を得た。
【0179】
N―ピバロイルNO−AA−NAPの(R=CMe)26(図53)
物質25(1mmol)はrt(室温)でTFA(5mL)に溶かされ、1時間から6時間攪拌された(反応はTLCで観察された)。生じた混合物は真空内で濃縮された。残留物は、CHCl(5mL)で溶解され、塩化ピバロイル(PivCl、0.17mL)及びその後EtN(0.32mL)が滴状で追加された。この追加はrt(室温)で攪拌されながら行われた。生じた混合物はrt(室温)で一晩中攪拌された。反応混合物はその後、真空内で濃縮され、残留物はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製され、一般的にはEtOAc/ヘキサンで溶離し、物質26を得た。
【0180】
(実施例9)
<N−Ac NAP−Glu−NAP9を調製するための一般的な方法>
該方法は図54に示される。無水ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)中のN−Ac−L−Glu(250mg、1.3mmol)、塩化物27[(362mg、1.3mmol)、非特許文献55]、KI(50mg、0.3mmol)、及びNaCO(140mg、1.3mmol)の懸濁液は、一晩中rt(室温)で攪拌された。反応混合物はそれから真空内で濃縮され、生じた残留物は水で溶解された。pHは1N HCLを用いて2に調節され、水層はEtOAc(×3)で抽出された。有機画分は採取されて、乾燥させられ(NaSO)、真空内で濃縮された。残留物は、一般的には初めにヘキサン:EtOAc(1:1)と、その後EtOAc:ヘキサン(2:1)で溶離し、白い固形物(132mg、30%)として物質9を得た。
【0181】
(実施例10)
<N―Ac DMA/NO−Glu−NO/DMA14の調製のための一般的な方法>
該方法は図55に示される。HMPA(3mL)中のDMA塩化物23[(3.2mmol)、特許文献23]、N−アセチル−L−glu(250mg、1.32mmol)、及びNaCO(280mg、2.64mmol)の懸濁液は一晩中rt(室温)で攪拌された。水が混合物に加えられ、生じた水層はEtOAcで抽出された(×3)。有機画分は採取されて、乾燥させられ(NaSO)、真空内で濃縮された。残留物はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製され、一般的にはEtOAcで溶離し、物質14を得た(239mg、43%)。
【0182】
(実施例11)
<CMD113及びCMD114の調製のための一般的な方法>
N−Boc−O−ベンジルGlu−NAP28及び29
無水DMF(10mL)中のBoc−L−Gluベンジルエステル(1.36mmol)、塩化物27[(1.36mmol)、非特許文献55]、KI(100mg、0.6mmol)、及びNaCO(150mg、1.36mmol)の混合物は、一晩中rt(室温)で攪拌された。反応混合物は真空内で濃縮され、生じた残留物は水で溶解された。水層はEtOAc(×3)で抽出された。有機画分は採取されて、乾燥させられ(NaSO)、真空内で濃縮された。残留物はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製され、一般的にはEtOAc/ヘキサンで溶離し、表題化合物を得た。
【0183】
N−Boc−O−ベンジル Glu−Nap30及び31の脱保護
EtOAc(50mL)中のN−Boc−O−ベンジルGlu−NAP(0.79mmol)、及び5%のPd/C(50mg)の懸濁液は、H(1atm)の大気下においてrt(室温)で3時間から6時間、盛んに攪拌された(反応はTLCによって測定された)。混合物はセリットのパッドを介してろ過され、ろ過された液体は真空内で濃縮され、表題化合物を得た。
【0184】
N−Boc保護されたDMA/NO−Glu−Nap32及び33の合成
HMPA(5mL)中の塩化物23[(0.73mmol)、特許文献23]、N−Boc−O−ベンジルGlu−NAP(0.49mmol)、及びNaCO(78mg、0.74mmol)の懸濁液は、一晩中rt(室温)で攪拌された。水が混合物に加えられ、生じた水層はEtOAc(×3)で抽出された。有機画分は採取されて、乾燥させられ(NaSO)、真空内で濃縮された。残留物はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製され、一般的にはEtOAc/ヘキサンで溶離し、表題化合物を得た。
【0185】
N−ピバロイル グルタミン酸−NONOates CMD113及び114
N−Boc保護されたDMA/NO−Glu−NAP(0.31mmol)は、rt(室温)でTFA(3mL)内で溶解され、30分から2時間、攪拌された(反応はTLCによって観察された)。生じた混合物は真空内で濃縮された。残留物はCHCl(5mL)で溶解され、塩化ピバロイル(58μL)及びその後EtN(100μL)が滴状で追加された。この追加はrt(室温)で攪拌されながら行われた。生じた混合物は、rt(室温)で一晩中攪拌された。反応混合物はそれから真空内で濃縮され、残留物はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製され、一般的にはEtOAc/ヘキサンで溶離し、表題化合物を得た。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】いくつかの典型的なNO−NSAID(有機硝酸塩)の化学構造である。
【図2】N3−108及びN3−112の構造である。
【図3】ヒトの腸ミクロソームにおけるPYRO−NO−ASA(N3−108)の加水分解である。
【図4】ヒトの肝臓ミクロソームにおけるPYRO−NO−ASA(N3−108)の加水分解である。
【図5】ヒトの腸ミクロソームにおけるDMA/NO−ASA(N3−112)の加水分解である。
【図6】ヒトの肝臓ミクロソームにおけるDMA/NO−ASA(N3−112)の加水分解である。
【図7】ナプロキセンの潰瘍指数、その2つのジアゼニウムジオラートのプロドラッグ化合物、及びそのコンパレータである。
【図8】2つのジアゼニウムジオラートのプロドラッグ化合物及びAZD3582を投与した後のナプロキセンのAUC0−6h(μM−h)である。
【図9】ナプロキセンにおける血清の硝酸エステル濃度、その2つのジアゼニウムジオラートのプロドラッグ化合物、及びそのコンパレータである。
【図10】ナプロキセンにおける心臓組織のプロスタサイクリン(PGI2)とトロンボキサンA2(TXB2)との比率、その2つのジアゼニウムジオラートのプロドラッグ化合物、及びコンパレータである。
【図11】ナプロキセンにおけるクレアチニン濃度(AAP/Cr)に対する尿中のアラニンアミノペプチダーゼの比率、その2つのジアゼニウムジオラートのプロドラッグ化合物、及びコンパレータである。
【図12】ナプロキセンにおける尿中のN−アセチルグルコサミニダーゼのクレアチニン濃度に対する比率(NAG/Cr)、その2つのジアゼニウムジオラートのプロドラッグ化合物、及びコンパレータである。
【図13】簡易化した器官のモジュールとともに薬物動態学的/薬理学的モデルの全体の配置図である。
【図14】腸部分のモジュールの構成要素の配置図である。
【図15】腸細胞及び腸管の間に分離された胃コンパートメント及び血流からの入力を示す腸部分1の詳細な配置図である。
【図16】腸細胞と腸組織とに分かれた血液の流れを示す腸部分2の詳細な配置図である。
【図17】腸細胞と腸組織とに分かれた血液の流れを示す腸部分3の詳細な配置図である。
【図18】腸細胞と腸組織とに分かれた血液の流れを示す腸部分4の詳細な見取り図である。
【図19】腸細胞と腸組織とに分かれた血液の流れを示す腸部分5の詳細な見取り図である。
【図20】腸細胞と腸組織とに分かれた血液の流れを示す腸部分6の詳細な見取り図である。
【図21】腸細胞と腸組織とに分かれた血液の流れを示す腸部分7の詳細な見取り図である。
【図22】投与量が取り込まれる胃コンパートメントの詳細な配置図である。
【図23】心臓コンパートメントの詳細な配置図である。
【図24】腎臓コンパートメントの詳細な配置図である。
【図25】二重(門脈及び動脈)の血液供給を示す肝臓コンパートメントの詳細な配置図である。
【図26】血漿、動脈、及び静脈のコンパートメントの詳細な配置図である。
【図27】毛細血管床から間質液、そして細胞内腔まで、及びその逆の双方向の分布を示す組織コンパートメントの詳細な配置図である。
【図28】肺コンパートメントの詳細な配置図である。
【図29】ラットに3mg/kgのナプロキセンを投与した後のナプロキセンの薬物動態学的/薬理学的モデルから得られたシミュレーション結果と文献との比較を示す。―はモデルを用いて発生した線である。斜線部分は推定値の2倍の変動である。円は非特許文献65の図1から得られたデータである。
【図30】ヒトに300mg/kgのナプロキセンを投与した後のナプロキセンの薬物動態学的/薬理学的モデルから得られたシミュレーション結果と文献との比較を示す。―はモデルを用いて発生した線である。斜線部分は推定値の2倍の変動である。円は非特許文献65の図6から得られたデータである。
【図31】ラットに15μmol/kgのAZD3582を投与した後のナプロキセン及びAZD3582の薬物動態学的/薬理学的モデルから得られたシミュレーション結果と文献との比較である。―はモデルを用いて発生した線である。斜線部分は推定値の2倍の変動である。円は非特許文献24、25の図3から得られたデータである。
【図32】ヒトに375mgのAZD3582を投与した後のナプロキセン及びAZD3582の薬物動態学的/薬理学的モデルから得られたシミュレーション結果と文献との比較を示す。―はモデルを用いて発生した線である。斜線部分は推定値の2倍の変動である。円は非特許文献24、25の図6から得られたデータである。
【図33】50mg/kgのAZD3582が経口投与された後、ラット内のAZD3582の分布の推定モデルを示す。
【図34】50mg/kgのAZD3582が経口投与された後、70キロのヒトのAZD3582の分布の推定モデルを示す。
【図35】50mg/kgのN−119が経口投与された後、ラット内のPYRO/NO−NAP(N−119)の分布の推定モデルを示す。
【図36】特許文献23で報告されたジアゼニウムジオラートの候補である。
【図37】新しく生成されたNO−NSAIDの一般的な構造である。このNO−NSAIDはNOを全身に送るよう調整可能である。
【図38】スルホンアミドCOX−2阻害剤に基づくCOX−2−AA−NONOateプロドラッグである。
【図39】di−ナプロキセンのプロドラッグの加水分解である(NAP−AA−NAP)。
【図40】DMA/NO−AA−DMA/NOの構造である。
【図41】NO−AA−NSAIDの区別されうる酵素加水分解である。
【図42】CMD113及びCMD114のための加水分解の経路である。
【図43】CMD113及びCMD114のための加水分解の第2経路である。
【図44】ラットの腸ミクロソームにおけるCMD113の加水分解を示す。ナプロキセン−AA及びNO−AAは傾向のみを意味するものであり、量的なものではない。
【図45】ラットの肝臓ミクロソームにおけるCMD113の加水分解を示す。ナプロキセン−AA及びNO−AAは傾向のみを意味するものであり、量的なものではない。
【図46】ヒトの腸ミクロソームにおけるCMD113の加水分解を示す。ナプロキセン−AA及びNO−AAは傾向のみを意味するものであり、量的なものではない。
【図47】ヒトの肝臓ミクロソームにおけるCMD113の加水分解を示す。ナプロキセン−AA及びNO−AAは傾向のみを意味するものであり、量的なものではない。
【図48】ラットの腸ミクロソームにおけるCMD114の加水分解を示す。ナプロキセン−AA及びNO−AAは傾向のみを意味するものであり、量的なものではない。
【図49】ラットの肝臓ミクロソームにおけるCMD114の加水分解を示す。ナプロキセン−AA及びNO−AAは傾向のみを意味するものであり、量的なものではない。
【図50】ヒトの腸ミクロソームにおけるCMD114の加水分解を示す。ナプロキセン−AA及びNO−AAは傾向のみを意味するものであり、量的なものではない。
【図51】ヒトの肝臓ミクロソームにおけるCMD114の加水分解を示す。ナプロキセン−AA及びNO−AAは傾向のみを意味するものであり、量的なものではない。
【図52】NO−AA−COX2プロドラッグの提案された区別しうる加水分解を示す。
【図53】nonoate−アミノ酸−ナプロキセンプロドラッグ26を調製するための一般的な方法である。
【図54】N−AcNAP−Glu−NAP9を調製するための一般的な方法である。
【図55】N−AcDMA/NO−Glu−NO/DMA14を調製するための一般的な方法である。
【図56】CMD113及びCMD114を調製するための一般的な方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬を適切な酸化窒素供与体と組み合わせて効果的なプロドラッグ分子を作る方法であって、
(i)生体外実験の薬物動態学的及び/又は薬理学的データ、あるいはコンピュータによる薬物動態学的及び/又は薬理学的データを獲得する段階と、
(ii)前記データを生理学的に基づいた薬物動態学的/薬理学的モデルに設定する段階を備え、
前記薬物動態学的/薬理学的モデルは、
胃腸管をコンパートメントに分ける第1コンパートメントモデルを備え、
前記第1コンパートメントモデルは前記プロドラッグ分子の胃腸管吸収を記述し、
前記薬物動態学的/薬理学的モデルはさらに、
体を血漿/血液、及び組織コンパートメントに分ける第2コンパートメントモデルを備え、
前記第2コンパートメントモデルは胃腸管、血液、及び組織中の治療薬、酸化窒素供与体及び、一酸化窒素の経時変化を記述し、
前記プロドラッグ分子を作る方法はさらに、
(iii)前記薬物動態学的モデルから出力パラメータを生成する段階を備え、
前記出力パラメータは治療薬と適切な酸化窒素供与体との組み合わせの妥当性を決定し、効果的なプロドラッグ分子を作ることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1コンパートメントモデルが胃腸管を7つのコンパートメントに分けることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組織コンパートメントが心臓、肝臓、及び腎臓からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記治療薬が非ステロイド系抗炎症薬及び抗生物質からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記生体外実験又はコンピュータによるデータが、胃腸環境におけるpKa値、オクタノール/水分配係数、溶解度データ、対数Pの値、透過性値、代謝データ、加水分解データ、血清タンパク質結合データ、一酸化窒素放出速度、プロドラッグ及び治療薬の薬物動態学的及び薬理学的データ、及び安定性のデータからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生体外実験又はコンピュータによるデータが前記プロドラッグ及び前記酸化窒素供与体の分布量の測定値を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プロドラッグ分子が治療薬及び酸化窒素供与体を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法によって選択されたプロドラッグ分子。
【請求項8】
前記治療薬が非ステロイド系抗炎症薬又は抗生物質であることを特徴とする請求項7に記載のプロドラッグ分子。
【請求項9】
前記非ステロイド系抗炎症薬が非選択的シクロオキシゲナーゼ・アイソザイム阻害剤又はシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤であることを特徴とする請求項8に記載のプロドラッグ分子。
【請求項10】
前記非選択的シクロオキシゲナーゼ・アイソザイム阻害剤がアセチルサリチル酸(CHCOOCCOOH)、イブプロフェン(C1318)、ナプロキセン(C1414)、インドメタシン(C1916ClNO)、及びジクロフェナク(C1410ClNNaO)からなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載のプロドラッグ分子。
【請求項11】
前記シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤がカルボキシル基を備えることを特徴とする請求項9に記載のプロドラッグ分子。
【請求項12】
前記酸化窒素供与体がジアゼニウムジオラートであることを特徴とする請求項7に記載のプロドラッグ分子。
【請求項13】
前記ジアゼニウムジオラートがジアゼン−1−イウム−1、2−ジオラートであることを特徴とする請求項12に記載のプロドラッグ分子。
【請求項14】
非ステロイド系抗炎症薬及び一酸化窒素放出部分を備えることを特徴とするプロドラッグ分子であって、
前記放出部分が加水分解及び吸収の総時間よりも長い半減期を備えるとともに、一酸化窒素の治療用量が腸細胞に放出され、それによって胃腸の刺激、出血、又は潰瘍により引き起こされる損傷から保護することを特徴とするプロドラッグ分子。
【請求項15】
一酸化窒素の治療用量が血流に放出され、それによって1以上の器官システムを保護することを特徴とする請求項14に記載のプロドラッグ分子。
【請求項16】
前記器官システムが心臓、腎臓、及び心血管系システムからなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載のプロドラッグ分子。
【請求項17】
前記酸化窒素放出部分がジアゼニウムジオラートであること特徴とする請求項14に記載のプロドラッグ分子。
【請求項18】
前記ジアゼニウムジオラートがジアゼン−1−イウム−1、2−ジオラートであることを特徴とする請求項17に記載のプロドラッグ分子。
【請求項19】
前記非ステロイド系抗炎症薬が非選択的シクロオキシゲナーゼ・アイソザイム阻害剤又はシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤であることを特徴とする請求項14に記載のプロドラッグ分子。
【請求項20】
前記一酸化窒素の腸細胞への放出がプロドラッグ投与量の5%から50%と等しいことを特徴とする請求項14に記載のプロドラッグ分子。
【請求項21】
プロドラッグ分子であって、
前記プロドラッグ分子は、
(i)酵素加水分解及び酵素的切断されやすい結合を介してアミノ酸と結合している一酸化窒素放出部分と、
(ii)前記アミノ酸と直接、又はスペーサを介して結合している治療薬を備え、
前記治療薬及び前記スペーサ間の前記結合、又は前記スペーサと前記アミノ酸の間の前記結合が酵素加水分解又は酵素的切断されやすく、
前記一酸化窒素放出部分及び前記治療薬の前記プロドラッグ分子からの放出が独立して制御されることを特徴とするプロドラッグ分子。
【請求項22】
前記一酸化窒素放出部分がジアゼニウムジオラートであることを特徴とする請求項21に記載のプロドラッグ分子。
【請求項23】
前記ジアゼニウムジオラートがジアゼン−1−イウム−1、2−ジオラートであることを特徴とする請求項22に記載のプロドラッグ分子。
【請求項24】
前記治療薬が非ステロイド系抗炎症薬又は抗生物質であることを特徴とする請求項21に記載のプロドラッグ分子。
【請求項25】
前記非ステロイド系抗炎症薬が非選択的シクロオキシゲナーゼ・アイソザイム阻害剤又はシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤であることを特徴とする請求項24に記載のプロドラッグ分子。
【請求項26】
前記アミノ酸がヒドロキシプロリン、グルタミン酸、及びアスパラギン酸からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載のプロドラッグ分子。
【請求項27】
前記アミノ酸が、遊離アミン又は置換アミン、遊離アミン塩又は置換アミン塩をさらに有することを特徴とする請求項21に記載のプロドラッグ分子。
【請求項28】
酵素加水分解又は酵素的切断されやすい前記結合が、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合及びスルホンアミド結合からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載のプロドラッグ分子。
【請求項29】
下式(化1)により表される化合物であって、
【化1】

式中、Rが非ステロイド系抗炎症薬のカルボキシル化されていない核であるか、又は、下式(化2)により表される構造であって、
【化2】

[式中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、又は非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル]
式(化1)中、Xが以下の(i)乃至(iv)からなる群から選択された構造式を有し、
(i)構造式(化3)
【化3】

[式中、n=1−6であり、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、Xが酸素、硫黄、又はNHである]
(ii)構造式(化4)
【化4】

[式中、n=1−6、M=0−2であり、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、Xが酸素、硫黄、又はNHである]
(iii)構造式(化5)
【化5】

(iv)構造式(化6)
【化6】

[式中、n=1−6であり、Xが酸素、硫黄、又はNHである]
前記式(化1)中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、又は非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキルであって、
前記式(化1)中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、又は非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキルであって、
前記式(化1)中、Rが以下の(i)乃至(iv)からなる群から選択され、
(i)水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、又は非置換又は置換へテロアリール、
(ii)構造式(化7)
【化7】

[式中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、アミノ酸のカルボキシル基を介して結合したアミド誘導体、又はポリペプチドのアミド誘導体である]
(iii)構造式(化8)
【化8】

[式中、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、R10が非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、又は非置換又は置換へテロアリールである]
(iv)構造式(化9)
【化9】

[式中、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、R11が水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、又は非置換又は置換へテロアリールであり、R12が水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、又は非置換又は置換へテロアリールである]
前記式(化1)中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、構造式(化7)の構造、構造式(化8)の構造、又は構造式(化9)の構造であって、
前記式(化1)中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、構造式(化7)の構造、又は構造式(化8)の構造であって、
前記式(化1)中、Rが水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、構造式(化7)の構造、構造式(化8)の構造、又は下式(化10)の構造であって、
【化10】

[式中、Xが酸素、硫黄、又はNHであり、R14が水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、非置換又は置換へテロアリール、又はXが前記アミノ酸のアミノ基であるアミノ酸である]
前記式(化1)中、Yが下式(化11)の構造であるか、
又は、下式(化12)の構造であることを特徴とする化合物。
【化11】

[式中、n=1−6]
【化12】

[式中、R15が水素、非置換又は置換C1−12直鎖アルキル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルキル、非置換又は置換C1−12直鎖アルケニル、非置換又は置換C3−12分枝鎖アルケニル、非置換又は置換ベンジル、非置換又は置換フェニル、非置換又は置換C1−4アリールアルキル、又は非置換又は置換へテロアリールである]
【請求項30】
前記式(化1)中、NRが以下の(i)又は(ii)の構造式に表される環状複素環であることを特徴とする請求項29に記載の化合物。
(i)構造式(化13)
【化13】

[式中、n=1−3であり、R13が水素である]
(ii)構造式(化14)
【化14】

【請求項31】
以下の構造式(化15)の化合物。
【化15】

[式中、n=0−2であり、Zが構造式(化11)の構造、又は構造式(化12)の構造である]
【請求項32】
以下の構造式(化16)の化合物。
【化16】

【請求項33】
以下の構造式(化17)を含み、
【化17】

式(化17)中、R18が以下の(i)乃至(iv)からなる群から選択され、
前記群が、
(i)構造式(化18)、
【化18】

(ii)構造式(化19)、
【化19】

(iii)構造式(化20)、及び
【化20】

[式中、n=1−6である]
(iv)構造式(化21)からなり、
【化21】

前記式(化17)中、下式(化22)の基礎構造は、アミノ酸アラニン、2−アミノ酪酸、酸、α−アミノスベリン酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、β−シクロヘキシルアラニン、システイン、3、4−デヒドロプロリン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ホモシトルリン、ホモセリン、ヒドロキシプロリン、β−ヒドロキシバリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、ペニシラミン、フェニルアラニン、フェニルグリシン、プロリン、ピログルタミン、サルコシン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、又はバリンの核構造を表すことを特徴とする化合物。
【化22】

【請求項34】
以下の構造式(化23)の化合物。
【化23】

[式中、n=1、2である]
【請求項35】
以下の構造式(化24)の化合物。
【化24】

[式中、n=1、2である]

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【公表番号】特表2009−515824(P2009−515824A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535771(P2008−535771)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/040382
【国際公開番号】WO2007/044963
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508109933)ノボキン バイオテック インク. (1)
【Fターム(参考)】