説明

生体応答性ポリマー

本発明は、生体活性物質をデリバリーするための生分解性ポリマーに関する。このポリマーは、ペプチダーゼ酵素による選択的加水分解に対して感受性のポリアミドリンカーを介して共有結合している生体活性物質を少なくとも1つ含む。ポリアミドリンカーが加水分解されると、インビボで生体活性物質が放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体活性物質を徐放デリバリーするための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料は、特に医用デバイス、例えば人工臓器、インプラント、医用デバイス、人工血管、血液ポンプ、人工腎臓、心臓弁、ペースメーカーリード線絶縁体、大動脈内バルーン、人工心臓、透析器及び血漿分離器を製造するために広く使用されている。医用デバイス内で使用されるポリマーは生体相容性でなければならない(例えば、毒性、アレルギー、炎症性反応または他の副作用を生じさせてはならない)。これは生体系と使用される合成材料の界面での物理的、化学的及び生物学的プロセスであり、これにより具体的デバイスの短期間及び長期間使用の可能性が規定される。通常、医用材料の化学的及び物理的/機械的特性(すなわち、弾性、応力、延性、靱性、時間依存性変形、強度、疲労、硬度、耐摩耗性及び透明性)を含めた生体相容性及び生分解性の正確なプロフィールは大きく変動し得る。
医用デバイスのポリマーコーティングは生体活性物質をデリバリーするための貯蔵室としても役立ち得る。活性物質が薬物の場合、該薬物を医用デバイスから長期間にわたり放出させることが多くの場合望ましい。薬物を動態学的にコントロールして直接デリバリーするためのシステムの多くはポリマーを使用している。例えば、物質はポリマーが体内で酵素により分解もしくは崩壊すると放出されたり、ポリマーマトリックスから制御速度で拡散され得る。部位特異的なドラッグトランスファーシステムは、全身投与に関係する副作用を最小限に抑えながら治療部位に高濃度の物質を与え得る。
薬物の放出をコントロールするために使用されているポリマー系は、不利な生体応答を誘発する不純物を含んでいてはならず(すなわち、生物学的に不活性でなければならず)、望ましい放出プロフィールを生じさせなければならず、医用デバイスに必要な機械的特性を有していなければならない。
多くの場合も、生体活性物質は適当な溶媒系中でポリマープラットフォームと単に混合されているだけである。その後、生体活性物質は、(非生腐食性マトリックスが使用されている場合には)粒子溶解または拡散により、または(生分解性ポリマーが使用されている場合には)ポリマー分解中に放出される。このような系の場合、生体活性物質は移植部位の組織の生体機能または状態に関係なく放出される。
移植部位の組織の生体機能または状態に応答するポリマー系を設計することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、生体活性物質をデリバリーするための生分解性ポリマーに関する。このポリマーは、ペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性のポリアミドリンカーを介して該ポリマーに共有結合している生体活性物質を少なくとも1つ含んでいる。ポリアミドリンカーが加水分解されると、インビボで生体活性物質が放出される。
第1の態様において、本発明は、ペプチダーゼ酵素による選択的加水分解に対して感受性の生体応答性ポリアミドリンカーに共有結合している生体活性物質を含む反復単位を有する生分解性ポリマーに関し、前記ポリマーは加水分解に応答してインビボで生体活性物質を放出し、前記ポリマーは5kDaより大きい。上記態様の実施形態では、ポリマーは10kDa、20kDa、40kDa、80kDa、100kDa、200kDa、500kDaまたは1,000kDaよりも大きい。
具体的実施形態では、ポリマーは式IまたはII:
【化1】

【0004】
により示される。式I及びII中、各Bioは独立して、加水分解性共有結合を介してポリアミドリンカーPに連結している1つ以上の生体活性物質またはその前駆体である;各Pはペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性であり、Bio及びC1に連結しているポリアミドリンカーである;C1はPをOligoに結合させるカップリングセグメントである;C2はBioをBioに結合させる加水分解性カップリングセグメントまたはペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性のポリアミドリンカーである;Oligoは5,000Da未満の分子量を有し且つ100個未満のモノマー反復単位を含む短いポリマーセグメントである;n、o及びpの各々は独立して0より大きい整数である;mは0または1の整数である;q及びrの各々は独立して0以上の整数である。特定実施形態では、C1はエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、l,4-シクロヘキサンジメタノール、トリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)ジアミン、リシンエステル、シリコーンジオール及びジアミン、ポリエーテルジオール及びジアミン、カーボネートジオール及びジアミン、ジヒドロキシビニル誘導体、ジヒドロキシジフェニルスルホン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン、3,3,-ジアミノ-n-メチルジプロピルアミン、1,4-ジアミノブタン、1,7-ジアミノヘプタンまたは1,8-ジアミノオクタン部分を含む。更に別の実施形態では、C1はウレタン、エステル、尿素、スルホンアミド、エーテル、アミン、炭素−炭素、カーボネート、無水物またはアミド結合によりOligoに共有結合している。他の実施形態では、C2はペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性のポリアミドリンカーまたは選択的加水分解性でないカップリングセグメントである。
関連する態様において、本発明は、ペプチダーゼ酵素による選択的加水分解に対して感受性の生体応答性ポリアミドリンカーに共有結合している生体活性物質を含むペンダント基を含むポリマーに関し、前記生体応答性ポリアミドリンカーはポリマーに共有結合しており、前記ポリマーは加水分解に応答してインビボで生体活性物質を放出する。
具体的実施形態では、ポリマーは式III:
【化2】

【0005】
により示される。式III中、各Bioは独立して、加水分解性共有結合を介してポリアミドリンカーPに連結している1つ以上の生体活性物質またはその前駆体である;各Pはペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性であり、Bio及びLinkBに連結しているポリアミドリンカーである;Cは鎖末端基である;Oligoはオリゴマーセグメントである;LinkBはカップリングセグメントである;aは0より大きい整数である。特定実施形態では、Cはポリジメチルシロキサン、炭化水素、ポリフルオロアルキル、フッ素化ポリエーテル、ポリアルキレンオキシド及びその組合せから選択される表面活性基である。望ましくは、Cは100〜1,500Daの分子量を有するポリフルオロアルキルである。使用され得るポリフルオロアルキルは、例えば一般式CF3(CF2)rCH2CH2-(ここで、rは2〜20である)及びCF3(CF2)s(CH2CH2O)x(ここで、xは1〜10であり、sは1〜20である)を有する基を含む。他の実施形態では、式IIIを有するポリマーは約2kDa未満の絶対分子量を有するOligoを含み、aは10未満である。望ましくは、Oligoは約15kDa、14kDa、13kDa、12kDa、11kDa、10kDa、8kDa、6kDa、4kDaまたは1kDa未満の絶対分子量を有している。
上記態様の特定実施形態では、Oligoはポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリシリコーン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニル誘導体、ポリペプチド、多糖、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン−ブチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシドまたはポリエチレンブチレンセグメントを含む。望ましくは、Oligoは15,000Da未満の分子量を有している。
上記態様の別の実施形態では、Pはカルボン酸エステル、アミドまたはスルホンアミド結合によりBioに連結しているが、ただし少なくとも1つのリンクはアミド結合である。別の実施形態では、各Pは2〜60アミノ酸の独立ポリアミドリンカーである。
上記態様の別の実施形態では、Bioは炭水化物、抗生物質、抗増殖性物質、ラパマイシンマクロライド、鎮痛薬、麻酔薬、抗血管新生薬、抗血栓薬、血管作用薬、抗凝固薬、免疫調節薬、細胞毒性薬、抗ウイルス薬、抗体、神経伝達物質、向精神薬、オリゴヌクレオチド、ビタミン、脂質及びそのプロドラッグから選択される生体活性物質の1つ以上である。望ましくは、Bioは1つ以上の抗炎症薬または抗生物質である。
本発明のポリマーは、ペプチダーゼ酵素の存在下での選択的加水分解に対して設計されている。ペプチダーゼ酵素は、非限定的にエンドペプチダーゼ(例えば、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-10、MMP-11及びMMP-13のようなマトリックスメタロプロティナーゼ)、エキソペプチダーゼ(例えば、カルボキシペプチダーゼ及びアミノペプチダーゼ)から選択される。ペプチダーゼは寄生生物、例えばブドウ球菌(Staphylococcus spp.)またはカンジダ・アルビカンス(C.albicans)により産生されるものであり得る。1つの具体的実施形態では、ペプチダーゼ酵素はカテプシンKである。
本発明はまた、相容性ベースポリマーと混合されてなる本発明のポリマーに関する。本発明のポリマーと一緒に使用され得るベースポリマーには、非限定的にポリウレタン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリシリコーン、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエンスチレン)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、セルロース及び他の多糖が含まれる。
本発明は更に、相容性ベースポリマーと混合されてなる本発明のポリマーを含む成形品に関する。
本発明は更に、本発明のポリマーを含む成形品に関する。
本発明の成形品は、埋込型医用デバイス(例えば、補助人工心臓、カテーテル、ステント、人工インプラント、縫合糸、カフ、メッシュ、ヘルニアパッチ、創傷包帯、絆創膏、人工括約筋またはドラッグデリバリーデバイス)、自立性フィルムまたはファイバの形態をとり得る。
本発明はまた、炎症を減少させる必要がある哺乳動物の部位に本発明の成形品を移植することを含む前記哺乳動物の部位における炎症の減少方法に関し、前記成形品は炎症中に発現するペプチダーゼによる選択的加水分解に応答して該成形品の表面から放出される抗炎症薬を炎症を減少させるのに十分な量含んでいる。
本発明はまた、再狭窄を抑制する必要がある哺乳動物の部位に本発明の成形品を移植することを含む前記哺乳動物の部位における再狭窄の抑制方法に関し、前記成形品は増殖中に発現するペプチダーゼによる選択的加水分解に応答して該成形品の表面から放出される抗増殖性物質を再狭窄を抑制するのに十分な量含んでいる。
別の態様で、本発明は、疼痛を低下させる必要がある哺乳動物の部位に本発明の成形品を移植することを含む前記哺乳動物の部位における疼痛の低下方法に関し、前記成形品は疼痛中に発現するペプチダーゼによる選択的加水分解に応答して該成形品の表面から放出される鎮痛薬または麻酔薬を疼痛を低下させるのに十分な量含んでいる。
更に別の態様で、本発明は、筋肉を弛緩させる必要がある哺乳動物の部位に本発明の成形品を移植することを含む前記哺乳動物の部位における筋肉の弛緩方法に関し、前記成形品は筋痙攣中に発現するペプチダーゼによる選択的加水分解に応答して該成形品の表面から放出される鎮痙薬を筋肉を弛緩させるのに十分な量含んでいる。
「オリゴマーセグメント」は、比較的短い反復単位、通常約50個未満のモノマー単位及び10,000未満、好ましくは<5000の分子量を有していることを意味する。好ましくは、[Oligo]は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリシリコーン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリペプチド、多糖;並びにそのエーテル及びアミン結合セグメントからなる群から選択される。
「表面活性基」は、表面修飾因子に共有結合されている親油性基を意味する。表面活性基は、表面修飾因子の中心ポリマー部分の一端または両端にキャップを形成するように配置されていても、または表面修飾因子の中心ポリマー部分中に存在する1つ以上の側鎖に結合していてもよい。表面活性基の例には、非限定的にポリジメチルシロキサン、炭化水素、フルオロカーボン、フッ素化ポリエーテル、ポリアルキレンオキシド及びその組合せが含まれる。
【0006】
本明細書中で使用されている「LinkB」は、2つのオリゴ部分及び生体応答性ポリアミドリンカーを共有結合させることができるカップリングセグメントを指す。典型的には、linkB分子は40〜700の範囲の分子量を有する。好ましくは、linkB分子は官能化されているジアミン、ジイソシアネート、ジスルホン酸、ジカルボン酸、ジ酸クロリド及びジアルデヒドの群から選択され、前記官能化成分は表面活性基を化学的に結合するために接近される第2官能基を有している。前記第2の基の例にはエステル、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、チオール、ビニル及び第2級アミンが含まれる。オリゴ中間体上の末端ヒドロキシル、アミンまたはカルボン酸はジアミンと反応すると、オリゴ−アミドが形成され得る;ジイソシアネートと反応すると、オリゴ−ウレタン、オリゴ−尿素、オリゴ−アミドが形成され得る;ジスルホン酸と反応すると、オリゴ−スルホネート、オリゴ−スルホンアミドが形成され得る;ジカルボン酸と反応すると、オリゴ−エステル、オリゴ−アミドが形成され得る;ジ酸クロリドと反応すると、オリゴ−エステル、オリゴ−アミドが形成され得る;ジアルデヒドと反応すると、オリゴ−アセタール、オリゴ−イミンが形成され得る。
【0007】
本明細書中で使用されている「C」は鎖末端基を指す。鎖末端基の例にはアミン、アルコールまたはカルボン酸官能基を含む単官能基が含まれる。鎖末端基が例えば表面活性基を含んでいてもよい。
「カップリングセグメント」は、生体応答性ポリマー中のセグメントを一緒に共有結合する分子または化学結合を意味する。典型的には、カップリングセグメントは16〜2000Daの範囲の分子量を有し、多官能性、好ましくは2つのセグメントをカップリングし得る二官能性を有し得る。カップリングセグメントは、ジオール,ジアミン、及び/またはアミン及びヒドロキシル基の両方を含有する化合物から選択される前駆体モノマーの基から合成され得る。カップリングセグメントに導入され得る前駆体には、非限定的にエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、l,4-シクロヘキサンジメタノール、トリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)ジアミン、リシンエステル、シリコーンジオール及びジアミン、ポリエーテルジオール及びジアミン、カーボネートジオール及びジアミン、ジヒドロキシビニル誘導体、ジヒドロキシジフェニルスルホン、エチレンジアミン、ヘキサチレンジアミン、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン、3,3-ジアミノ-n-メチルジプロピルアミン、1,4-ジアミノブタン、1,7-ジアミノヘプタンまたは1,8-ジアミノオクタンが含まれる。
「生体活性物質」は、加水分解性共有結合を介してポリアミドリンカーにカップリングされ得る分子を意味する。生体活性物質は幾つかの特有の意図する物理的、薬理学的または生物学的作用にてらして選択される。典型的には、生体活性物質は40〜2,000Daの範囲の分子量を有している。本発明の方法及び組成物中に使用され得る生体活性物質には、非限定的に抗炎症薬、抗酸化剤、抗凝固薬、抗菌剤(すなわち、フルオロキノロン)、細胞受容体リガンド及び生物接着性分子(例えば、オリゴ糖、DNA及び遺伝子配列結合のためのオリゴ核酸配列、及び細胞膜模擬体を与えるためのリン脂質頭基)が含まれる。望ましくは、生体活性物質は罹患組織の部位にデリバリーしたとき植物または動物を治療するのに有用な化合物である。或いは、生体活性物質は表面に対して非治療機能を与えるように選択され得る。前記物質には、例えば殺虫剤、殺細菌剤、殺真菌剤、フレグランス及び染料が含まれる。
「十分な量」は、所望の結果を得るのに必要な生体活性物質の量を意味する。十分な量は各種パラメーターに応じて異なり、前記パラメーターには治療対象の状態(例えば、特に疼痛または微生物増殖)、治療対象の部位、選択される生体活性物質及び使用するデリバリービヒクル(例えば、特に移植デバイス、クリームまたはペレット)が含まれる。十分な量は標準方法を用いて所与の組の条件に対して決定され得る。例えば、生体活性物質の表面からの放出は上記パラメーターの関数としてモニターされ得る。これらの結果に基づいて、所望の結果を生ずる速度で生体活性物質を放出するビヒクルが用意される。
「ポリアミドリンカー」は、ペプチダーゼ酵素に対する特異的切断認識部位を含む生体応答性ポリアミド配列を意味する。前記配列はエンドペプチダーゼ及びエキソペプチダーゼによる加水分解に対して感受性であり、前記酵素が存在するとき加水分解されて生体活性物質を含むポリマー断片が形成される。ポリアミドリンカーはペプチダーゼ酵素の非存在下では安定である。
「ベースポリマー」は、約350〜約10,000psiの引張強度、約300〜約1500%の破断点伸び、約5〜100ミクロンの非補強厚さ及び約1〜約100ミクロンの補強厚さを有するポリマーを意味する。
「プロドラッグ」は、インビボで例えば酵素及び/または加水分解メカニズムにより生体活性物質に変換される生体活性物質に対する前駆体を意味する。プロドラッグには、非限定的にエステル化生体活性物質が含まれる。
本明細書中で使用されている「選択的加水分解に対して感受性」は、1つ以上のペプチダーゼ酵素の存在に応答して加水分解されるように設計されているポリアミドを含む本発明のポリマーで観察される加水分解速度の増加を指す。生理学的pH及び温度下、場合により生理学的に適切な濃度で標的ペプチダーゼ酵素(すなわち、ポリアミドを認識し、切断するペプチダーゼ酵素)を添加した全血中で本発明のポリマーで観察される加水分解速度がポリアミドを以下の配列番号1及び2:
VFFRRQTA(配列番号1)
PRRICV(配列番号2)
のような非選択的ポリアミド配列で置換した以外は同一のポリマー系について同一条件下で観察される分解速度より5、10、15、20、30または40倍高いならば、本発明のポリアミド含有ポリマーは選択的加水分解に対して感受性である。配列番号1及び2のポリアミドはペプチダーゼ酵素により選択的に認識されず、従って上記非選択的配列を含有するポリマーの所与の組の条件下での加水分解速度は非選択的加水分解の速度の尺度である。
「エンドペプチダーゼ」は、ポリペプチドまたはポリアミド鎖のアミノ酸間のペプチド結合を分解する酵素を意味する。
「エキソペプチダーゼ」は、ポリペプチドまたはポリアミド鎖のカルボキシまたはアミノ末端からのアミノ酸の除去を触媒する酵素を意味する。
本発明の他の特徴及び作用効果は以下の詳細説明及び請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の方法及び組成物は、生体活性物質をデリバリーするための医薬的に活性なポリマーに関する。本発明は、1つ以上の生体応答性ポリアミドリンカー間に共有結合されている生体活性物質を1つ以上含み、前記ポリアミドリンカーは更に生体活性物質の放出または拡散を防止するオリゴマーセグメントに連結している。ポリアミドリンカーは、ペプチダーゼ酵素の存在下での加水分解に対して感受性の特有のペプチダーゼ切断部位を含む。生体活性物質は、ペプチダーゼ活性をアップレギュレートさせる生理学的または病理学的プロセス中にオリゴマーセグメントから放出される。例えば、エンドペプチダーゼのマクロファージ放出を引き出す免疫応答によりポリアミドリンカーが加水分解されて、生体活性物質を含有する小さなポリアミド断片が放出され得る。或いは、侵入微生物は、ポリアミドリンカーを加水分解し得るタンパク質分解酵素を分泌し得る。更に、エキソペプチダーゼにより加水分解されると、連結されているポリアミドまたは個々のアミノ酸から生体活性物質が完全に放出される。
生物学的応答
生体活性物質は、例えば生理学的応答または病理学的プロセス中にアップレギュレートされるペプチダーゼ酵素に応答してオリゴマーセグメントから放出され得る。例えば、典型的な免疫応答中、マクロファージはマトリックスメタロプロティナーゼ(MMP)やセリンプロテイナーゼ(SP)のようなプロテアーゼを放出する。マトリックスメタロプロティナーゼは、正常及び病気関連組織リモデリングに関与する亜鉛依存性エンドペプチダーゼ酵素のファミリーに相当し、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-10、MMP-11及びMMP-13が含まれる。マトリックスメタロプロティナーゼは正常な成体組織では低レベルでしか発現しないが、子宮内膜周期、創傷治癒、肝臓、肝硬変または癌侵潤のような生理学的及び病理学的プロセス中にアップレギュレートされる。このMMPのファミリーの中で3つ、すなわちMMP-1、MMP-2及びMMP-9は特に炎症応答中アップレギュレートされる。MMP-2及びMMP-9は、コラーゲンに対して高い結合アフィニティーを有しているフィブロネクトンタイプIIリピートを3つ含有しているので他のMMPとは異なる。線維芽細胞、内皮細胞及び上皮細胞(例えば、非炎症細胞)は主にMMP-1、MMP-2(ゼラチナーゼ-A)及び/またはMMP-9(ゼラチナーゼ-B)を分泌するのに対して、多形核好中球(PMN)及び肺胞マクロファージ(例えば、炎症性細胞)は主にMMP-8及びMMP-9を放出する。
或いは、生体活性物質はオリゴマーセグメントから侵入微生物より放出されるタンパク質分解酵素に応答して放出され得る。多数の原核生物は偏在的にタンパク質分解酵素を分泌する。多くの場合、原核生物は栄養素獲得に関与しているが、病原性細菌は病原性因子としてペプチダーゼを放出し得る。更に、ブドウ球菌、特に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)がセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ及び金属酵素を含めた幾つかの細胞外プロテアーゼを産生することは公知である。インビトロ研究で、主に接着因子として機能する表面タンパク質はブドウ球菌の早期増殖相中に抑制され、あるタンパク質の産生が強まることが判明している。細菌性プロテアーゼの分泌は遺伝子発現により調節され、細菌クロモゾームは4つの異なるオペロン、すなわちブドウ球菌性セリンプロテアーゼ(ssp)オペロン、セリンプロテアーゼ様タンパク質オペロン(sp1)、ブドウ球菌性システインプロテアーゼ(scp)オペロン及びアウレオリシン(aur)に組織化される。細菌増殖の後期段階でアップレギュレートされるタンパク質分解酵素には黄色ブドウ球菌セリングルタミルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼ及びアウレオリシンが含まれる。
ある実施形態では、生体活性物質はオリゴマーセグメントから特定の病状のためにアップレギュレートされるペプチダーゼ酵素に応答して放出され得る。例えば、本発明のポリマーが変性骨疾患に対する治療の一部として使用されている場合にはカテプシンKに対して応答性のポリアミド配列が使用され得る。
本発明は、ペプチダーゼ酵素に対する切断認識部位を含むポリアミドリンカーを使用している。ペプチダーゼ活性がアップレギュレートされると、ポリアミドリンカーが加水分解され、生体活性物質が放出される。
生体応答性ポリアミドリンカー
本発明に配合されるポリアミドリンカーは、直鎖または分岐状配列中にアミド結合を介してカップリングされる天然アミノ酸を含む。ポリアミドリンカーは、生理学的応答または病理学的プロセス中にアップレギュレートされる特定のエンドペプチダーゼ酵素、例えば黄色ブドウ球菌セリングルタミルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼ、アウレオリシン及びMMP-9を含めたメタロプロティナーゼ;及びエキソペプチダーゼ、例えばカルボキシペプチダーゼA、カルボキシペプチダーゼB、アミノペプチダーゼN/CD及びアミノペプチダーゼPによる加水分解に対して感受性であるように設計される。
ポリアミドリンカーの加水分解は特定のプロテアーゼ切断認識部位で生ずる。特に、MMP-9がPro-X-X-Hy-(Ser/Thr)、Gly-Leu-(Lys/Arg)、Arg-Arg-X-(Ile/Lys)及びArg-X-(Ile/Lys)(ここで、Xは任意の残基であり、Hyは疎水性残基である)を含めた幾つかのコンセンサス配列を認識し、切断することは公知である。MMP-9は、P2及びP1の両方でArgに対する優位性、P2でSer/Thrに対する優位性を有する。V8プロテアーゼはP1及びP2位置でそれぞれグルタミン酸及びProまたはLeuを支持するのに対して、V8プロテアーゼのS3サブ部位はロイシンを支持する。アウレオリシンは低い基質特異性を有し、かさ高、脂肪族または疎水性残基のN末端側上の結合を切断する。更に、ヒトエキソペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼB及びアミノペプチダーゼN/CDはそれぞれ塩基性残基(Arg/Lys)及びAlaを標的とする。
カテプシンKによる分解に対して感受性のポリマーを製造するためには、ポリアミドリンカーはこの酵素により特異的に認識されるペプチド配列:KLRFSKQEDD;KXPGSKQEDD;及びKPXGSKQEDDの1つを含み得る(例えば、Alvesら,Biochem.J.,373:981(2003)参照)。
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の存在下での分解に対して感受性のポリマーを製造するためには、ポリアミドリンカーはこの生物により発現されるペプチダーゼ酵素により認識されるペプチド配列(例えば、カンジダ・アルビカンスにより発現されるアスパルチルプロテイナーゼはペプチド配列SLASPPTSLVFを認識する)を含み得る(例えば、Putnamら,J.Biol.Chem.,254:2865(1979)参照)。
炎症に対して応答性のポリマー系は、炎症状態によりアップレギュレートされる酵素の存在下での選択的加水分解に対して設計され得る。これらの酵素及びその基質を表1に掲載する。
【表1】

【0009】

【0010】
細胞増殖に対して応答性のポリマー系は、細胞増殖中にアップレギュレートされる酵素の存在下での選択的加水分解に対して設計され得る。これらの酵素及びその基質を表2に掲載する。
【表2】

【0011】
疼痛に対して応答性のポリマー系は、疼痛に応答してアップレギュレートされる酵素の存在下での選択的加水分解に対して設計され得る。これらの酵素及びその基質を表3に掲載する。
【表3】

【0012】
筋痙攣に対して応答性のポリマー系は、筋痙攣に応答してアップレギュレートされる酵素の存在下での選択的加水分解に対して設計され得る。これらの酵素及びその基質を表4に掲載する。
【表4−1】

【0013】
ポリアミドリンカーは非天然またはD-アミノ酸を含み得、分泌された原核プロテアーゼによる加水分解に対して感受性のままであり得る。V8プロテアーゼはそのP1’位置に大きな疎水性ポケットを有し、p-ニトロアニリド基質を消化し得る。分泌された原核プロテアーゼはD-アミノ酸をも認識し得、優先的に真核プロテアーゼの存在下でポリアミドリンカーを加水分解する。
ポリアミドリンカーは、エンドペプチダーゼによる加水分解により遊離カルボキシ-またはアミノ末端を有するポリアミド断片が生成されるまでエキソペプチダーゼ活性に対して安定のままである。アミノペプチダーゼに対する必要性は、生体活性物質に結合しているポリアミドリンカーのC-末端にエンドペプチダーゼ切断部位を配置することにより最小限とし得る。
プロテアーゼ認識配列は通常たった数個のアミノ酸の長さを有しているので、比較的短いポリアミドリンカーは幾つかの切断認識部位を含み得る。本発明で使用されるポリアミドリンカーの長さは2〜60アミノ酸の範囲であり得る。
生体活性物質
本発明に配合され得る生体活性物質には治療薬、診断薬及び予防薬が含まれる。生体活性物質は天然に存在する化合物、合成有機化合物または無機化合物であり得る。本発明のポリマー化合物に配合され得る物質には、炭水化物、抗生物質、抗増殖性物質、ラパマイシンマクロライド、鎮痛薬、麻酔薬、抗血管新生薬、血管作用薬、抗凝固薬、免疫調節薬、細胞毒性薬、抗ウイルス薬、抗血栓薬(例えば、ターブロゲル及びラマトロバン)、抗体、神経伝達物質、向精神薬、オリゴヌクレオチド、タンパク質、脂質及びその組合せが含まれるが、これらに限定されない。
理想的には、生体活性物質は、1つ以上のポリアミドリンカーに連結され得るようにヒドロキシル、アミン、カルボン酸またはスルホン酸から選択される二官能基を有していなければならない。例えば、遊離の第2級アミン基及びカルボキシ基を含有するシプロフロキサシンは2つのポリアミドリンカー間に共有結合され、固定化され得る。
【化3】

【0014】
高濃度の生体活性物質または異なる生体活性物質の組合せを放出するためには、複数の薬物をポリアミドリンカー中のα-置換グリシンを介して本発明に配合し得る。この修飾は、連結α−サブユニットが良好な離脱基(X=-Cl、-Br、-OAc、-SRまたは-NR2)であるアミノ-α-置換グリシンの固有不安定性に依拠している。
【化4】

【0015】
このタイプの化合物はα-サブユニットを放出しながら急速に分解することが判明している。アミノ末端がアシル化されているときにはα-置換グリシンは安定のままである。
アミノ-α-置換グリシンの不安定性により、複数の生体活性物質を本発明に配合するための複数の方法が得られる。ペプチダーゼ活性によるポリアミドリンカーの断片化及びα-置換グリシンの崩壊により、多数の生体活性物質が放出される。
【化5】

【0016】
生体活性物質は加水分解性共有結合または連結セグメントを介しても一緒に連結され得る。2つの薬物間の共有結合またはセグメントの加水分解により生ずる薬物の早期放出は、各薬物部分にオリゴマーセグメントを結びつけることにより防止される。
【化6】

【0017】
治療薬の例には、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン)、カルシトニン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、毛様体神経栄養因子及び副甲状腺ホルモンが含まれる。他の具体的な治療薬には、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、ソマトスタチン、テストステロン、プロゲステロン、エストラジオール、ニコチン、フェンタニル、ノルエチステロン、クロニジン、スコポラミン、サリチレート、サルメテロール、ホルメテロール、アルベテロール、バリウム、ヘパリン、デルマタン、フェロクロムA、エリスロポエチン、ジエチルスチルベストロール、リュープロン、エストロゲンエストラジオール、アンドロゲンハロテスチン、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン、ゾロデックス、タキソール、リシノプリル/ゼストリル、ストレプトキナーゼ、アミノ酪酸、止血性アミノカプロン酸、パーロデル、タクリン、ポタバ、アジペックス、メムブロラル、フェノバルビタール、インスリン、γ−グロブリン、アザチオプリン、パペイン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、エピネフリン、フルクロロニド、オキシコドンペルコセット、ダルガン、フレニリンブタビタル、プロカイン、ノボカイン、モルヒネ、オキシコドン、アロキシプリン、ブロムフェナク、ケトプロフェン、ケトロラック、ヘミン、ビタミンB-12、葉酸、マグネシウム塩、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンU、ビタミンL、ビタミンK、パントテン酸、アミノフェニル酪酸、ペニシリン、アシクロビル、オフロキサシン、アモキシシリン、トブラマイシン、レトロビオール、エピビル、ネビラピン、ゲンタマイシン、デュラセフ、アベルセット、ブトキシカイン、ベノキシネート、トロペンジル、ジポニウム塩、ブタベリン、アポアトロピン、フェクレミン、レイオピロール、オクタミラミン、オキシブチニン、アルブテロール、メタプロテレノール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセトアミド、ブデソニドアセトニド、臭化イプラトロピウム、フルニソリド、クロモグリク酸ナトリウム、酒石酸エルゴタミン、及びタンパク質またはペプチド薬(例えば、TNFアンタゴニストまたはインターロイキンアンタゴニスト)が含まれる。例えば、生体活性物質は抗炎症薬、例えばNSAID、コルチコステロイドまたはCOX-2インヒビター(例:ロフェコキシブ、セレキシブ、バルデコキシブまたはルミラコキシブ)であり得る。治療薬には抗生物質も含まれ得る。
診断剤の例には、ポジトロン放射断層法(PET)、コンピューター断層法(CAT)、単一電子放射断層法、X線、透視検査及び磁気共鳴イメージング(MRI)において使用されているようなイメージング剤が含まれる。MRIにおける造影剤として使用するのに適した物質にはガドリニウムキレート、並びに鉄、マグネシウム、マンガン、銅及びクロムのキレートが含まれる。CAT及びX線用に有用な物質の例にはヨウ素を主成分とする物質が含まれる。
(ラパマイシンマクロライド)
ラパマイシン(シロリムス)は、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)により産生される免疫抑制ラクタムマクロライドである。例えば、参照により本明細書に組み入れるMcAlpine,J.B.ら,J.Antibiotics,44:688(1991);Schreiber,S.L.ら,J.Am.Chem.Soc.,113:7433(1991);及び米国特許第3,929,992号を参照されたい。本発明の方法及び組成物中に使用され得るラパマイシンマクロライドの例には、非限定的にラパマイシン、CCI-779、エベロリムス(RAD001としても公知)及びABT-578(40-epi-(N1-テトラゾリル)-ラパマイシン、例えばPagano T.G.,Magn.Reson.Chem.,43:174(2005)参照)が含まれる。CCI-779は、米国特許第5,362,718号に開示されているラパマイシンのエステル(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロピオン酸との42-エステル)である。エベロリムスは、米国特許第5,665,772号に開示されているアルキル化ラパマイシン(40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンである。
(抗増殖性物質)
本発明の方法及び組成物中に使用され得る抗増殖性物質の例には、非限定的にメクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ウラシルマスタード、エストラムスチン、マイトマイシンC、AZQ、チオテパ、ブスルファン、ヘプスルファム、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メトトレキセート、トリメトレキセート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、フルダラビン、カペシタビン、アザシチジン、チオグアニン、メルカプトプリン、アロプリン、クラドリビン、ゲムシタビン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、カンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル,ダウノルビシン、ドキソルビシン、ダクチノマイシン、イダルビシン、プリカマイシン、マイトマイシン、アムサクリン、ブレオマイシン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、フィナステリド、ケトコナゾール、タモキシフェン、フルタミド、ロイプロリド、ゴセリン、Gleevec(商標)(Novartis)、レフルノミド(Pharmacia)、SU5416(Pharmacia)、SU6668(Pharmacia)、PTK787(Novartis)、Iressa(商標)(AstraZeneca)、Tarceva(商標)(Oncogene Science)、トラスツズマブ(Genentech)、Erbitux(商標)(ImClone)、PKI166(Novartis)、GW2016(GlaxoSmithKline)、EKB-509(Wyeth)、EKB-569(Wyeth)、MDX-H210(Medarex),2C4(Genentech)、MDX-447(Medarex)、ABX-EGF(Abgenix)、CI-1033(Pfizer)、Avastin(商標)(Genentech)、IMC-1C11(ImClone)、ZD4190(AstraZeneca)、ZD6474(AstraZeneca)、CEP-701(Cephalon)、CEP-751(Cephalon)、MLN518(Millenium)、PKC412(Novartis)、13-cis-レチノイン酸、イソトレチノイン、レチニルパルミテート、4-(ヒドロキシカルボフェニル)レチナミド、ミソニダゾール、イトラクリン、ミトキサントロン、ヒドロキシ尿素、L-アスパルギナーゼ、インターフェロンα、AP23573、セリバスタチン、トログリタゾン、CRx-026DHA-パクリタキセル、タキサオプレキシン、TPI-287、スフィンゴシンを主成分とする脂質及びミトタンが含まれる。
(コルチコステロイド)
本発明の方法及び組成物中に使用され得るコルチコステロイドの例には、非限定的に21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、クロベタゾン、酪酸クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコン、デソニド、デスオキシメラゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオロシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロコルトロンヘキサノエート、吉草酸ジフルコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン21-ナトリウムスクシネート、テブト酸ヒドロコルチゾン、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニコロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン21-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンナトリウムホスフェート、プレドニゾロンナトリウムスクシネート、プレドニゾロンナトリウム21-m-スルホベンゾエート、プレドニゾロンナトリウム21-ステアログリコレート、プレドニゾロンテブテート、プレドニゾロン21-トリメチルアセテート、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、プレドニリデン21-ジエチルアミノアセテート、チクソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド及びトリアムシノロンヘキサアセトニドが含まれる。類似の抗炎症活性を有する構造的に関連するコルチコステロイドもこの群に包含されると意図される。
(NSAID)
本発明の方法及び組成物中で使用され得る非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の例には、非限定的にナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、コリンマグネシウムトリサリチレート、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサラート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク及びトルメチンが含まれる。
(鎮痛薬)
本発明の方法及び組成物中で使用され得る鎮痛薬の例には、非限定的にフェンタニル、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、エチルモルフィン、O-カルボキシメチルモルフェン、O-アセチルモルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、テバイン、メトポン、エトルフィン、アセトルフィン、ジプレノルフィン、ブプレノルフィン、フェノモルファン、レボルファノール、エトヘプタジン、ケトベミドン、ジヒドロエトルフィン及びジヒドロアセトルフィンが含まれる。
【0018】
(抗菌薬)
本発明の方法及び組成物中で使用され得る抗菌薬の例には、非限定的にペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、テモシリン、セファロチン、セファピリン、セフラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セフロキシム、セファレキシン、セフプロジル、セファクロル、ロラカルベフ、セフォキシチン、セフメトゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフジニル、セフピロム、セフェピム、BAL5788、BAL9141、イミペネム、エルタペネム、メロペネム、アズトレオナム、クラブラネート、スルバクタム、タゾバクタム、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、スペクチノマイシン、シソマイシン、ジベカリン、イセパマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、ABT-773、リンコマイシン、クリンダマイシン、バンコマイシン、オリタバンシン、ダルババンシン、テイコプラニン、キヌプリスチン及びダルホプリスチン、スルファニルアミド、p-アミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフィソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファサリジン、リネゾリド、ナリジクス酸、オキソリニック酸、ノルフロキサシン、ペルフロキサシン、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキシン、ゲミフロキサシン、シタフロキサシン、メトロニダゾール,ダプトマイシン、ガレノキサシン、ラモプラニン、ファロペネム、ポリミキシン、チゲサイクリン、AZD2563及びトリメトプリムが含まれる。
【0019】
(局所麻酔薬)
本発明の方法及び組成物中で使用され得る局所麻酔薬の例には、非限定的にコカイン、プロカイン、リドカイン、プリロカイン、メピビカイン、ブピビカイン、アルチカイン、テトラカイン、クロロプロカイン、エチドカイン及びロピバカインが含まれる。
【0020】
(鎮痙薬)
本発明の方法及び組成物中で使用され得る鎮痙薬の例には、非限定的にアトロピン、ベラドンナ、ベンチル、シストスパヅ、デトロール(トルテロジン)、ジサイクロミン、ジトロパン、ドンナタール、ドンナジム、ファスジル、フレクセリル、グリコピロレート、ホマトロピン、ヒオスチアミン、レブシン、レビシネックス、リブラックス、マルコトラン、ノバルチン、オキシフェンサイクリミン、オキシブチニン、パミン、トルテロジン、チキジウム、プロザピン及びピナベリウムが含まれる。
合成及び評価
本発明のポリマーの合成における合成中間体であるペプチド及びコンジュゲートは、十分に確立されている標準の液相または固相ペプチド合成法(これらの包括的記載は広く入手することができる)に従って容易に製造され得る。或いは、前記ペプチド及びコンジュゲートは液相方法により、または固相、液相及び溶液化学の組合せにより溶液中で、例えばまず反復ペプチド部分を完成させ、次いで所望もしくは適当ならば存在する保護基を除去した後製造され得る。例えば、前記中間体は、例えばBodanszky,“The Principles of Peptide”,Hafner,Rees,Trost,Lehn,Schleyer,Zahradnik編,ベルリンに所在のSpringer-Verlag(1984)発行に記載されているようにまたは以下のスキーム1に記載されているように一般的な固相Fmocまたはt-Boc化学を用いて製造され得る。
【化7】

【0021】
上記した中間体を用いて、本発明の生体応答性ポリマーは標準ポリマー化学を用いて製造され得る。例えば、ウレタンを主成分とするポリマーはスキーム2に示されるように製造され得る。
【化8】

【0022】
本発明のポリマーの生体応答性性能は以下のスキーム3に示されるように検査され得る。
【化9】

【0023】
非分解性ポリマー系:
本発明のポリマーは、生体活性物質に結合しているペプチド特異的配列だけが該ポリマーの分解部分であるように構成してもよい。非分解性ポリマー系は、例えばポリ(ブチルメタクリレート)、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びビニルアルコールから製造され得る。これらの系の各々は、特定の生物学的事象に対して応答性であるペプチドを配合するように改変され得る。
メタクリレート系は、エステルをまずケン化し、その後生じた酸を応答性ペプチドのアミノ末端と反応させることにより修飾され得る。この酸の末端は生体活性物質をカップリングさせるのに使用され得る(スキーム4参照)。
【化10】

【0024】
或いは、米国特許第6,770,725号(参照により本明細書に組み入れる)に記載されている表面修飾生物活性フッ素化添加剤を、特定の生物学的事象に対して応答性であるペプチドを配合するように修飾してもよい。スキーム5(以下)は、LDIのメチルエステルをフッ素化添加剤系中でケン化した後、アミノ末端を生体応答性ペプチドに結合することを記載している。ペプチドの酸末端も生体活性物質をカップリングするために使用される。
【化11】

【0025】
酢酸ビニル系は、生体応答性ペプチドの酸末端と反応し得るアルコールを裸にすべくエステルをケン化した後ペプチドのアミノ末端を適当な生体活性物質と反応させることにより修飾され得る。或いは、よりロバストな連結は、まずアルコールを2-アミノ-1-ブロモエタンと反応させた後、応答性ペプチドの酸部分と上記のように反応させることにより形成され得る(スキーム6参照)。
【化12】

【0026】
アクリロニトリルポリマーは、裸のニトリル官能基を酸に変換するために酸で処理することにより修飾され得る。この酸をメタクリレート系で記載されているのと同一方法で処理すると、本発明の生体応答性ポリマー系が生成され得る(スキーム7参照)。
【化13】

【0027】
ベースポリマーとのブレンド
本発明のポリマーがベースポリマー特性を有していない場合には、例えば成形品にとって必要な機械的特性を与えるためにベースポリマーとのブレンドを作成することが望ましいことがある。望ましくは、本発明のポリマーは外部ポリマー界面のnm範囲内に集中しており、相分離を防止するためにベースポリマーと熱力学的に相容性であるように設計される。
ベースポリマー特性を有する多くの材料が当業界で公知である。本発明のブレンドにおいて有用なベースポリマーには、非限定的にポリウレタン、ポリスルホン、ポリカーボネート、多糖、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエンスチレン)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレンスチレンブロックコポリマー、ポリ-R-メチルペンタン、ポリイソブチレン、ポリメチル−メタクリレート、ポリ酢酸ビニル−ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、セルロース並びにそのエステル及び誘導体、ポリアミド、ポリエステル−ポリエーテル、スチレン−イソプレン、スチレンブタジエン、熱可塑性ポリオレフィン、スチレン−飽和オレフィン、ポリエステル−ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−アクリル酸エチル、イオノマー及び熱可塑性ポリジエンが含まれる。
成形品
本発明の成形品は、単独でまたはベースポリマーとのブレンドとして使用される本発明のポリマーから形成され得る。成形品を形成するためのベースポリマーとして本発明のポリマーを単独で使用する1つの利点は、ポリマーを混合しない、エントロピーが低下しない、相分離の可能性がないことである。
成形品は本発明の組成物を用いて作成され得る。例えば、体液と接触させるのに適した成形品、例えば医用デバイスは本明細書中に記載されている組成物を用いて作成され得る。接触期間は短くても(例えば、手術器具の場合)または長くても(例えば、インプラントの場合)よい。医用デバイスには、非限定的にカテーテル、ガイドワイヤ、血管ステント、微小粒子、電子リード、プローブ、センサー、薬物デポー、経皮パッチ、血管パッチ、血液バッグ及びチューブが含まれる。医用デバイスは埋込型デバイス、経皮型デバイスまたは皮膚型デバイスであり得る。埋込型デバイスには、患者中に完全に埋め込まれる、すなわち完全に内部にある成形品が含まれる。経皮型デバイスには、皮膚を貫通し、これにより体外から体内に延びる成形品が含まれる。皮膚型デバイスは表在的に使用される。埋込型デバイスには、非限定的に人工装具(例えば、ペースメーカー)、電気リード(例えば、ペーシングリード)、除細動器、人工心臓、補助人工心臓、解剖学的再構成人工装具(例えば、乳房インプラント)、人工心臓弁、心臓弁ステント、心膜パッチ、手術パッチ、冠動脈ステント、血管グラフト、血管及び構造ステント、血管または心血管シャント、生物学的導管、綿球、縫合糸、環状形成リング、ステント、ステープル、有弁グラフト、創傷治癒用皮膚グラフト、整形外科用脊椎インプラント、整形外科用ピン、子宮内デバイス、尿ステント、顎顔面再形成プレーティング、歯科用インプラント、眼内レンズ、クリップ、胸骨ワイヤ、骨、皮膚、靱帯、腱及びその組合せが含まれる。経皮型デバイスには、非限定的に各種タイプのカテーテル、カニューレ、排液管(例えば、胸管)、手術器具(例えば、鉗子、開創器、針及び手袋)及びカテーテルカフが含まれる。皮膚型デバイスには、非限定的に火傷包帯、創傷包帯及び歯科ハードフェア(例えば、ブリッジサポート及びブレイシング部品)が含まれる。
上記した埋込型医用デバイスは、通常ソリッドステートフォーマットでベースの金属製またはポリマー製プラットフォームから構成され得る。この主プラットフォーム内の単独でまたはブレンドとしての本発明のポリマーにより、治療薬のデバイスからの放出がコントロールされる。
本発明の方法及び組成物は、化粧品(例えば、クリーム、ジェル及びローション)の表面に対して、例えば雑草や害虫のような有害生物の増殖を防除するためのペレットに対して、または例えば抗菌剤を水に放出する水精製プロセスに使用するための膜に対して生体活性物質をデリバリーするためにも使用され得る。
本明細書中に特許請求されている方法及び化合物をどのように実施、作成及び評価するかの完全な開示及び記載を当業者に与えるために以下の実施例を提示し、これらの実施例は本発明の単なる例示であると意図され、本発明者らが発明とみなしている範囲を限定するものと意図していない。
略号:
Boc:t-ブチルオキシカルボニル
Fmoc:9-フルオレニルメチル
DMF:ジメチルホルムアミド
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
HATU:O-(7-アザベンゾトリアゾル-1-イル)-N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムPF6
MALDI:マトリックス支援レーザー脱離イオン化
MS:質量分光法
MMP:マトリックスメタロプロティナーゼ
SAP:アスパラギン酸プロテイナーゼ
SEC:トリメチルシリルエトキシカルボニル
THF:テトラヒドロフラン
TFA:トリフルオロ酢酸
TOF:タイム・オブ・フライト
【表4−2】

【0028】

【0029】
合成
材料:
保護アミノ酸のNovaSyn(登録商標)TGT樹脂はカリフォルニア州サンジェゴに所在のNovabiochemから入手し、そのまま使用した。無水ジメチルホルムアミド、O-(7-アザベンゾトリアゾル-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムPF6(HATU)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、9-フルオレニルメチルN-(2-アミノエチル)カルバメート臭化水素酸塩、臭化亜鉛、無水ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、酢酸、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、シプロフロキサシン、TFA、ピペリジンはミズーリ州セントルイスに所在のSigma Chemical Co.から入手し、更に精製することなく使用した。マトリックスメタロプロティナーゼ-9はカリフォルニア州テメキュラに所在のChemiconから入手した。スタポパインA及びスタポパインBはポーランド国クラクフに所在のBioCentrumから入手した。アウレオリシンはカリフォルニア州サンジェゴに所在のAxxoraから入手した。V8プロテイナーゼはフロリダ州マルコアイランドに所在のMo Bi Tec.から入手した。SAPは日本国大津に所在のTaKaRaから入手した。カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼPはミズーリ州セントルイスに所在のSigmaから入手した。
【実施例1】
【0030】
2-(トリメチルシリル)エチル−4−ニトロフェニルカーボネート(1)の製造:
凝縮器及び窒素をフラッシュした滴下漏斗を備えた乾いた100mL容量の2首丸底フラスコに4-ニトロフェニルクロロホルメート(6.88g,34ミリモル)及びDCM(50mL)を装入した。この溶液を攪拌し、ここに滴下漏斗を用いてピリジン(3mL)及びDCM(3mL)中の2-(トリメチルシリル)エタノール(4.0g,34ミリモル)を30分間かけて滴下した。熱が発生し、透明な溶液がわずかに曇った。室温まで戻した後、溶液を2時間放置した。0.5M HCl(150mL)で抽出し、有機層を中性まで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させると、薄黄色油状物が生じた。粉砕した4-ニトロフェニルカーボネートlをヘキサン(185mL)を用いて濾過した後、溶媒を減圧下で除去すると、油状物が生じた。この油状物を1滴の2N ギ酸を含有する氷冷水(150mL)と一緒に攪拌した。形成された白色沈殿を濾過し、減圧下室温で一晩乾燥すると、8.3g(87%)が生じた。Rf=0.93(クロロホルム中10% メタノール)。mp=35-36℃[文献のmp=34.3-35.9℃]。
【実施例2】
【0031】
N-(2-トリメチルシリル)エチル-4-ニトロフェニルカルボニル)シプロフロキサシン(2)の製造:
乾いた100mL容量の丸底フラスコに水(12.5mL)及びTHF(12.5mL)中のシプロフロキサシン塩酸塩(1.66g,5.0ミリモル)、炭酸ナトリウム(2.65g,25ミリモル)を装入した。この生じた溶液に1(1.45g,5.12ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で30時間攪拌した。生じた黄色溶液にチオ硫酸ナトリウム(3.625g,20ミリモル)を添加して、黄褐色を漂白した(p-ニトロフェノールをp-アミノフェノールに還元)。1.0N HClを添加することにより生じた溶液のpHを6.0に調節した。この系を分液漏斗に移し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で除去した。こうすると、2.33gの粗生成物が生じ、この粗生成物をクロロホルム中1.5% メタノールで溶離させるカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。こうして、1.353g(57%)の所望生成物を得た(Rf=0.60;クロロホルム中10% メタノール)。21H NMR:(400MHz,CDCl3)δ:8.73(s,1H,OH),8.00(s,2H,ar-H及びビニル-H),7.40(d,1H,J=9.4Hz,ar-H),4.17(t,2H,J=12.16Hz,SiCH2CH2O),3.69(q,4H,J=6.8Hz,N-CH2-CH2NCO),3.25(q,4H,J=4.8Hz,N-CH2-CH2NCO),1.34(q,2H,J=8.64,シクロプロピル-H),1.19(t,1H,J=8.64,シクロプロピル-H),1.14(m,62H,シクロプロピル-H),0.97(t,2H,J=12.16Hz,SiCH2CH2O),0.00(s,9H,Si(CH3)3)。2のEI-MS(m/z,%):計算値(C23H30FN3O5Si):475.58amu,実測値:475.31(M+,30);432.2(20)、231.2(65)。下記スキーム8参照。
【化14】

【実施例3】
【0032】
LAR-6139の製造:
ペプチド合成を、Fmoc化学を用いてNovaSyn Crystal自動ペプチド合成装置(1990)において実施した。典型的なカップリング法はNovaBiochem TGT樹脂を用いて実施した。DMF中20% ピペリジン溶液で10分間処理することにより最初の購入したFmoc保護アミノ酸樹脂を脱保護した。各々のカップリング及びFmoc脱保護ステップ後樹脂をDMF(2×20mL)で洗浄した。DMF(4.5mL)中4M HATU及び8M ジイソプロピルエチルアミンで5分間活性化した4Mのfmoc保護アミノ酸を用いてカップリングを実施した後、1Mの樹脂を収容している反応チャンバに導入した。カップリングを周囲温度で1時間実施した後、脱保護及びカップリングプロセスを繰り返した。最後のアミノ酸はBoc保護アミノ酸であり、N末端にBocアミノ酸を有する対応のペプチドが生じた。保護されているペプチドを樹脂からDCM中0.5%TFAを用いて1時間切断した後、DIPEAで中和した(Rf=0.23;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C48H85N19O16(β-Ala-gly-ser-gly-arg-pro-arg-gln-ile-thr-ala-ala)):1184.31amu、実測値:1184.65。
【実施例4】
【0033】
LAR-7009の製造
本化合物を、fmocアラニンNovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。保護されているペプチドを樹脂からDCM中0.5%TFAを用いて1時間切断した後、DIPEAで中和した(Rf=0.38;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C58H107N27O14(Pro-arg-arg-arg-arg-pro-arg-gln-ile-thr-ala)):1406.64amu、実測値:1406.85。
【実施例5】
【0034】
LAR-7022の製造:
本化合物を、fmocグルタミン酸NovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。保護されているペプチドを樹脂からDCM中0.5%TFAを用いて1時間切断した後、DIPEAで中和した(Rf=0.26;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C47H77N15O21(Pro-arg-arg-arg-arg-pro-arg-gln-ile-thr-ala)):1406.64amu、実測値:1188.5。
【実施例6】
【0035】
LAR-7023の製造:
本化合物を、fmocグルタミンNovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。保護されているペプチドを樹脂からDCM中0.5%TFAを用いて1時間切断した後、DIPEAで中和した(Rf=0.26;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C47H77N15O21(Phe-ala-ala-gly-ile-gly-thr-ser-arg-pro-gln):1104.22amu、実測値:1104.58。
【実施例7】
【0036】
LAR-7024の製造:
本化合物を、fmocグルタミン酸NovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。保護されているペプチドを樹脂からDCM中0.5%TFAを用いて1時間切断した後、DIPEAで中和した(Rf=0.21;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C30H51N9O12(Gly-gly-gly-gly-gly-ala-leu-leu-glu):730.00amu、実測値:730.37。
【実施例8】
【0037】
LAR-7041の製造:
本化合物を、fmocロイシン酸NovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。保護されているペプチドを樹脂からDCM中0.5%TFAを用いて1時間切断した後、DIPEAで中和した(Rf=0.16;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C55H86N14O11(β-ala-gly-lys-pro-ala-leu-phe-phe-arg-leu)):1119.36amu、実測値:1119.67。
【実施例9】
【0038】
LAR-7042の製造:
本化合物を、fmocフェニルアラニンNovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。保護されているペプチドを樹脂からDCM中0.5%TFAを用いて1時間切断した後、DIPEAで中和した(Rf=0.13;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C55H88N12O7(β-ala-ser-leu-ala-ser-pro-pro-thr-ser-leu-val-phe)):1189.36amu、実測値:1189.65。
【実施例10】
【0039】
LAR-7043の製造:
本化合物を、fmocフェニルアラニンNovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。保護されているペプチドを樹脂からDCM中0.5%TFAを用いて1時間切断した後、DIPEAで中和した(Rf=0.27;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C49H74N10O10(Gly-lys-pro-ala-leu-phe-phe-ala-leu)):963.17amu、実測値:963.57。
【実施例11】
【0040】
LAR-7044の製造:
本化合物を、fmocアスパラギン酸NovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。保護されているペプチドを樹脂からDCM中0.5%TFAを用いて1時間切断した後、DIPEAで中和した(Rf=0.18;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C57H93N17O20(β-ala-lys-leu-arg-phe-ser-lys-gln-glu-asp-asp)):1336.45amu、実測値:1336.70。
【実施例12】
【0041】
LAR-7047の製造:
本化合物を、fmocアラニンNovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C49H74N10O10(val-phe-phe-arg-arg-gln-thr-ala)):1024.17amu、実測値:1024.55。
【実施例13】
【0042】
LAR-7048の製造:
本化合物を、fmocアラニンNovaBiochem TGT樹脂から出発して実施例3と同一方法で製造した。こうすると、凍結乾燥後所望化合物が白色固体として生じた。ニートなTFAで処理することにより遊離ペプチドが生じた。溶媒を除去した後、凍結乾燥すると、所望生成物が得られた。MALDI-TOF MS:計算値(C31H58N12O7S(Pro-arg-arg-ile-sys-val)):742.93amu、実測値:743.45。
【実施例14】
【0043】
LAR-6139-CIPRO-LAR-7009の製造:
ステップAにおいて、ペプチドLAR-7009(A)(200mg,0.065ミリモル)をエチレンfmocエチレンジアミン(23.7mg,0.065ミリモル)及びDIEA(25μL,0.14ミリモル)と一晩反応させた。反応が終了したら、DMFを回転蒸発器により除去した。残渣をDCM中に溶解し、分液漏斗に移し、ここでブライン(2×20mL)で洗浄した。合わせた水性層をDCM(1×20mL)で逆抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧雰囲気下で除去した。こうすると、107mg(50%)の粗な混合物(Rf=0.37;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)が生じた。この粗な混合物を更に精製することなく次の合成ステップで使用した。こうして得た物質をDCM(5mL)中に溶解し、攪拌しながらこの溶液に臭化亜鉛(3.6g、15.91ミリモル)を添加した。生じた不均質混合物を周囲温度で24時間攪拌した。系をDCM(30mL)で希釈し、分液漏斗に移し、ここでブライン(2×20mL)で洗浄した。水性層をDCM(1×10mL)で逆抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧雰囲気下で除去した。クロロホルム/メタノール/酢酸溶液(9:1:0.5)を展開剤として用いるカラムクロマトグラフィーにより生成物3を単離した。こうして、45mg(50%)の所望生成物(Rf=0.14;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)を得た。
ステップBにおいて、SEC保護シプロフロキサシン(2)(6.7mg,0.013ミリモル)をDMF(2mL)及びDIEA(5.3μL,0.03ミリモル)中でHATU(5.8mg,0.015ミリモル)を用いて活性化した。5分間の活性化後、DMF(1mL)中の3(45mg、0.013ミリモル)を添加し、生じた溶液を一晩攪拌した。反応が終了したら、DMFを回転蒸発器により除去した。残渣をDCM(100mL)中に溶解し、分液漏斗に移し、ここでブライン(2×20mL)で洗浄した。合わせた水性層をDCM(1×20mL)で逆抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧雰囲気下で除去した。クロロホルム/メタノール/酢酸溶液(9:1:0.5)を展開剤として用いるカラムクロマトグラフィーにより生成物4を単離した。こうして、45mg(50%)の所望生成物(Rf=0.33;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)を得た。
プロセス1のステップCでは、2(43mg,0.017ミリモル)を10mL反応容器においてTHF(3mL)中に溶解した。この溶液を攪拌し、ここにTBAF(1M,2mL,2ミリモル)を添加した。溶液を38℃で2時間攪拌した。その後、溶媒を減圧雰囲気下で除去した。残渣をDCM(100mL)中に溶解し、分液漏斗に移し、ここで水(2×10mL)で洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧雰囲気下で除去した。こうすると、9.0mgの粗生成物(Rf=0.60;クロロホルム中10% メタノール,0.5% 酢酸中)が生じた。この粗生成物を更に精製することなく次のカップリングに使用した。
プロセス2では、LAR-6139(A)(8mg,0.0036ミリモル)を上記と同一方法でDMF(1mL)及びDIEA(1.4μL,0.008ミリモル)中でHATU(1.5mg,0.004ミリモル)を用いて予め活性化することによりLAR-6139(A)をプロセス1で得た生成物(9mg,0.0036ミリモル)にカップリングした。プロセス1からの生成物をDMF(1mL)中に溶解した後、カップリング反応に導入した。反応が終了したら、DMFを回転蒸発器により除去した。この残渣をDCM(100mL)中に溶解し、分液漏斗に移し、ここでブライン(2×20mL)で洗浄した。合わせた水性層をDCM(1×20mL)で逆抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧雰囲気下で除去した。こうして得た生成物をDCM中90% TFA(2mL)で室温で1時間処理した。ピペリジンを添加することにより溶液を中和した。完了したら、溶媒を減圧雰囲気下で除去した。生じた残渣をDMF中20% ピペリジンで20分間処理した。クロロホルム/メタノール/酢酸溶液(8:2:1.0)を展開剤として用いるカラムクロマトグラフィーにより生成物5を単離した。こうして、10mg(63%)の所望生成物(Rf=0.15;クロロホルム中20% メタノール,1.0% 酢酸中)を得た。MALDI-TOF MS:計算値(C115H184FN39O31):2627.93amu,実測値:2627.95。下記スキーム9参照。
【化15】

【実施例15】
【0044】
LAR-7022-CIPRO-LAR-7023の製造:
本化合物を実施例14と同一方法で製造した。こうすると、15mg(60%)の所望化合物が生じた(Rf=0.15;クロロホルム中20% メタノール,1.0% 酢酸中)。MALDI-TOF MS:計算値(C114H176FN35O36):2631.83amu、実測値:2631.92。
【実施例16】
【0045】
LAR-7022-CIPRO-LAR-7024の製造:
本化合物を実施例14と同一方法で製造した。こうすると、50mg(96%)の所望化合物が生じた(Rf=0.15;クロロホルム中20% メタノール,1.0% 酢酸中)。MALDI-TOF MS:計算値(C96H150FN29O33):2257.39amu、実測値:2257.65。
【実施例17】
【0046】
LAR-7041-CIPRO-LAR-7043の製造
本化合物を実施例14と同一方法で製造した。こうすると、20mg(80%)の所望化合物が生じた(Rf=0.15;クロロホルム中20% メタノール,1.0% 酢酸中)。MALDI-TOF MS:計算値(C123H182FN29O21):2627.93amu、実測値:2627.98。
【実施例18】
【0047】
アップレギュレートされた炎症性ペプチダーゼに対して応答性の生理活性ポリマーの合成:
THDI/PCL/Si-OH/Ciproは、本発明に従う5%の薬物を含有する医薬活性ポリウレタンの例である。この反応の合成条件は次の通りである。
PCL(0.8g)及びアルキルヒドロキシ末端シリコーン(0.56g)を窒素雰囲気下ジメチルスルホキシド(DMSO)(6mL)中で触媒のジラウリン酸ジブチル錫(30μl)の存在下でTHDI(0.16mL)と1時間反応させる。反応温度を60〜70℃の範囲に維持する。LAR-6139-CIPRO-LAR-7009(0.67g)をDMSO(3ml)中に溶解し、これを反応系に添加する。反応物を60〜70℃で5時間保持した後、室温で一晩保持する。最後に、反応をメタノール(1ml)で停止させる。最終薬物ポリマーをエーテル/水(50v/v%)の混合物中で沈殿させる。次いで、沈殿したポリマーをアセトン中に溶解し、再びエーテル中に沈殿させる。この洗浄手順を3回繰り返す。
シプロフロキサシンは、UV範囲の280nmで強い検出可能な吸光を有する薬物ポリマー中の唯一の成分である。よって、その存在はUV検出を用いて検出され得る。図5は、薬物ポリマーについてのUVクロマトグラムをユニバーサル屈折率検出器を用いてユニバーサルゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)曲線に重ねる。後者は、存在する物質の質量に依存し、GPCカラムから特定時間に溶離するのですべての物質の存在を検出する。よって、2つのシグナルの比較から、シプロフロキサシンの分布が実際の分子量鎖の分布と同一であることが判明し、低分子量鎖対高分子量鎖へのノルフロキサン/シプロフロキサシンの優先的なカップリングまたはその逆がないことを意味する。シプロフロキサシンのカップリングが均一であることが暗示される。
【実施例19】
【0048】
排出された微生物ペプチダーゼに対して応答性の生理活性ポリマーの合成:
本化合物を、鎖伸長剤としてLAR-7022-CIPRO-LAR-7023を使用した以外実施例18と同一方法で製造した。
【実施例20】
【0049】
排出された微生物ペプチダーゼに対して応答性の生理活性ポリマーの合成:
本化合物を、鎖伸長剤としてLAR-7022-CIPRO-LAR-7024を使用した以外実施例18と同一方法で製造した。
【実施例21】
【0050】
排出された真菌ペプチダーゼに対して応答性の生理活性ポリマーの合成:
本化合物を、鎖伸長剤としてLAR-7041-CIPRO-LAR-7043を使用した以外は実施例18と同一方法で製造した。
生物学
【実施例22】
【0051】
MMP-9生体応答性分解アッセイ:
基質の加水分解をMMP活性化バッファー中で実施した。このバッファーは15mM トリス-HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM CaCl2及び1mM APMA(酢酸4-アミノフェニル水銀)を含有している。この活性化バッファーに100nM MPP-9を添加し、37℃で4時間インキュベートして酵素を活性化した。活性化後、室温で3時間加水分解すべく1mM 基質を添加した。LAR-7009((β-ala-gly-ser-gly-arg-pro-arg-gln-ile-thr-ala-ala):1408.85amuの分解により、PRRRRPRQ配列に相当する特定の断片ピック:1121.66が生じた。
【実施例23】
【0052】
スタポパインA及びB生体応答性分解アッセイ:
基質の加水分解をスタポパインバッファー中で実施した。このバッファーは50mM トリス-HCl(pH7.4)、2mM システイン、0.001%(w/v) CHAPS、5mM EDTAを含有している。このバッファーに100nM スタポパイン及び1μM 基質を添加し、室温で2時間インキュベートした。LAR-7022(b-ADDIG-TSRPQE):1188.56amuの分解により、TSRPQE配列に相当する特定の断片ピック:717.37が生じた。
【実施例24】
【0053】
アウレオリシン生体応答性分解アッセイ:
基質の加水分解をアウレオリシン活性化バッファー中で実施した。このバッファーは100mM トリス-HCl(pH7.8)、1mM CaCl2及び1mM 3,4-ジクロロイソウマリンを含有している。このバッファーに100nM アウレオリシン及び1μM 基質を添加した後、37℃で3時間インキュベートした。
【実施例25】
【0054】
V8プロテイナーゼ生体応答性分解アッセイ:
基質の加水分解をV8プロテイナーゼ活性化バッファー中で実施した。このバッファーは100mM トリス-HCl(pH7.8)、1mM CaCl2及び10mM ο-フェナントロリンを含有している。このバッファーに100nM V8プロテイナーゼ及び1μM 基質を添加した後、37℃で3時間インキュベートした。
【実施例26】
【0055】
SAP生体応答性分解アッセイ:
SAPの再構成を、10mM クエン酸ナトリウムバッファー(pH6.0)中の最終濃度が1.0mg/mlであるように凍結乾燥粉末を蒸留水(200μl)中に溶解することにより実施した。加水分解を100mM 酢酸ナトリウムバッファー(pH3.3)中で実施した。反応バッファーに100nM SAP及び1μM 基質を添加した後、37℃で3時間インキュベートした。
【実施例27】
【0056】
カルボキシペプチダーゼ生体応答性分解アッセイ:
基質の加水分解をカルボキシペプチダーゼバッファー中で実施した。このバッファーは25mM トリス-HCl、100mM NaCl(pH7.8)を含有している。このバッファーに100nM カルボキシペプチダーゼ及び1μM 基質を25℃で1時間添加することにより加水分解を実施した。
【実施例28】
【0057】
アミノペプチダーゼP生体応答性分解アッセイ:
基質の加水分解をアミノペプチダーゼPバッファー中で実施した。このバッファーは100mM リン酸カリウム、10mM EDTA、5% グリセロール及び5mM DTT(pH8.0)を含有している。使用直前に酵素溶液を調製した。この溶液は10mg 固体/ml-冷バッファーを含有している。1mlのバッファーに1μM 基質を添加した後、37℃で1時間インキュベートした。
【実施例29】
【0058】
P-CIPRO-Pのペプチダーゼ酵素による分解:
P-CIPRO-Pのアップレギュレートされたペプチダーゼによる分解を実施例30〜32に記載されているように調べた。表5に示す結果から、シプロフロキサシンが酵素の存在下で放出されるが、酵素の非存在下では放出されないことが分かる。
【表5】

【実施例30】
【0059】
P-CIPRO-Pのアップレギュレートされた炎症性ペプチダーゼによる分解:
市販されているヒトMMP-9は88kDaでMMP-9のプロ酵素である。プロ酵素MMP-9を、市販のMMP-9を100μMの最終濃度で活性化バッファー(15mM トリス-HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM CaCl2及び1mM 酢酸4-アミノフェニル水銀)中に添加することにより活性化した。
LAR-6139-CIPRO-LAR-7009の1mM 基質を15mM トリス-HCl(pH7.4)、150mM NaClバッファー中に溶解した。1μL カルボキシペプチダーゼB(100μM)、1μL アミノペプチダーゼP(3.5mM)及び1μL 活性化MMP-9を添加することにより分解を開始した。室温で3時間、次いで37℃で1時間インキュベートした。シプロフロキサシンの放出量を定量HPLCにより調べた。
【実施例31】
【0060】
P-CIPRO-Pの分泌された微生物ペプチダーゼによる分解:
LAR-7022-CIPRO-LAR-7023またはLAR-7022-CIPRO-LAR-7024を、両ペプチドの最終濃度を1μMとして25mM トリス-HCl(pH7.4)中に溶解した。
1μL スタポパイン(100μM)を添加した後、室温で2時間インキュベートすることにより分解を開始した。最初のインキュベート後、分解系のpHを8.0以下に調節した。1μLのアウレオリシン(100μM)、アミノペプチダーゼ(3.5mM)及びピロリジノンカルボキシペプチダーゼ(100μM)を添加することにより分解を再開した。インキュベーターにおいて37℃で3時間インキュベートした。シプロフロキサシンの放出量を定量HPLCにより調べた。
【実施例32】
【0061】
P-CIPRO-Pの排出された真菌ペプチダーゼによる分解:
LAR-7041-CIPRO-LAR-7043を、最終濃度を1μMとして1mL 100mM 酢酸ナトリウム(pH3.3)中に溶解した。1μL 100μM SAPストック、1μL 100μM カルボキシペプチダーゼB及び1μL 100μM アミノぺプチダーゼPを添加することにより分解を開始した。37℃で3時間インキュベートした。シプロフロキサシンの放出量を定量HPLCにより調べた。
【実施例33】
【0062】
生体応答性ポリマーのペプチダーゼ酵素による分解:
アップレギュレートされたペプチダーゼに対して応答性のポリアミドを含むポリマーの分解を実施例34〜37に記載されているように調べた。表6に示す結果から、シプロフロキサシンが酵素の存在下で放出されるが、酵素の非存在下では放出されないことが分かる。更に、アップレギュレートされたペプチダーゼをバッファーから除去したならばシプロフロキサシンの放出は停止し、アップレギュレートされたペプチダーゼをバッファーに戻したら放出は戻る。
【表6】

【実施例34】
【0063】
アップレギュレートされた炎症性ペプチダーゼに対して応答性のポリアミドを含むポリマーの分解:
加水分解をP-Cipro-Pの濃度が1mMで維持されるように実施例30と同一の方法で実施した。これは、ポリマーに配合したP-Cipro-Pの濃度から推定される。これはポリマーのUV測定値から誘導され、ポリマー骨格中に存在するシプロフロキサシンの量を調べた。37℃で3時間インキュベートした。シプロフロキサシンの放出量を定量HPLCにより調べた。
【実施例35】
【0064】
排出された微生物ペプチダーゼに対して応答性のポリアミドを含むポリマーの分解:
加水分解をP-Cipro-Pの濃度が1mMで維持されるように実施例31と同一の方法で実施した。これは、ポリマーに配合したP-Cipro-Pの濃度から推定される。これはポリマーのUV測定値から誘導され、ポリマー骨格中に存在するシプロフロキサシンの量を調べた。37℃で5時間インキュベートした。シプロフロキサシンの放出量を定量HPLCにより調べた。
【実施例36】
【0065】
排出された真菌ペプチダーゼに対して応答性のポリアミドを含むポリマーの分解:
加水分解をP-Cipro-Pの濃度が1mMで維持されるように実施例32と同一の方法で実施した。これは、ポリマーに配合したP-Cipro-Pの濃度から推定される。これはポリマーのUV測定値から誘導され、ポリマー骨格中に存在するシプロフロキサシンの量を調べた。37℃で5時間インキュベートした。シプロフロキサシンの放出量を定量HPLCにより調べた。
【実施例37】
【0066】
アップレギュレートされたペプチダーゼに対して応答性のポリアミドを含むポリマーのオン−オフ−オン応答性:
オンの設定を実施例30に記載されているのと同一の方法で実施する。基質を同一実施例に記載されている酵素バッファー系とインキュベートすることによりオフポジションを設定した。系の変更の間にバッファーによる3回の洗浄を実施する。オン−オフ−オン−オフ応答性を実施例34〜37に記載されている炎症性ペプチダーゼ、微生物ペプチダーゼ及び真菌ペプチダーゼを用いて調べた。結果を表6に示す。
【実施例38】
【0067】
対照系:
すべての対照分解プロフィールを、それぞれLAR-7047及びLAR-7048と同定される対照ペプチドVFFRRQTA及びPRRICVを基質として使用して実施例22〜26に概説されているように実施した。これらの系では分解は観察されなかった。
他の実施形態
本明細書中に挙げられている刊行物、特許及び特許出願明細書はすべて、各々の独立の刊行物または特許出願明細書が具体的に且つ個別に参照により組み入れると記載されているのと同程度に参照により本明細書に組み入れられる。
本発明をその具体的実施形態に関連して記載してきたが、本発明を更に修飾することが可能であり、本出願は通常本発明の原理に従って本発明の開示から逸脱するが発明が属する当業界で公知もしくは一般的なプラクティスに入るものを含めた発明の変更、使用または改変を包すると意図され、上記されており、請求の範囲に入る必須要件に適用され得ると理解されたい。
他の実施形態は特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチダーゼ酵素による選択的加水分解に対して感受性の生体応答性ポリアミドリンカーに共有結合されている生体活性物質を含む反復単位を有する生分解性ポリマーであって、前記ポリマーは加水分解に応答してインビボで前記生体活性物質を放出し、前記ポリマーは5kDaより大きい、上記生分解性ポリマー。
【請求項2】
更に、式I:
【化1】

[式中、
(i)各Bioは独立して、加水分解性共有結合を介してポリアミドリンカーPに連結している1つ以上の生体活性物質またはその前駆体であり;
(ii)各Pはペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性であり、Bio及びC1に連結しているポリアミドリンカーであり;
(iii)C1はPをOligoに結合させるカップリングセグメントであり;
(iv)C2はBioをBioに結合させる加水分解性カップリングセグメントまたはペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性のポリアミドリンカーであり;
(v)Oligoは5,000未満の分子量を有し且つ100個未満のモノマー反復単位を含む短いポリマーセグメントであり;
n、o及びpの各々は独立して0より大きい整数であり;
mは0または1の整数であり;
q及びrの各々は独立して0以上の整数である]
により示される請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
更に、式II:
【化2】

[式中、
(i)各Bioは独立して,加水分解性共有結合を介してポリアミドリンカーPに連結している1つ以上の生体活性物質またはその前駆体であり;
(ii)各Pはペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性であり、Bio及びC1に連結しているポリアミドリンカーであり;
(iii)C1はPをOligoに結合させるカップリングセグメントであり;
(iv)C2はBioをBioに結合させる加水分解性カップリングセグメントまたはペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性のポリアミドリンカーであり;
(v)Oligoは5,000未満の分子量を有し且つ100個未満のモノマー反復単位を含む短いポリマーセグメントであり;
n、o及びpの各々は独立して0より大きい整数であり;
mは0または1の整数である]
により示される請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
C1はエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、l,4-シクロヘキサンジメタノール、トリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)ジアミン、リシンエステル、シリコーンジオール及びジアミン、ポリエーテルジオール及びジアミン、カーボネートジオール及びジアミン、ジヒドロキシビニル誘導体、ジヒドロキシジフェニルスルホン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン、3,3-ジアミノ-n-メチルジプロピルアミン、1,4-ジアミノブタン、1,7-ジアミノヘプタンまたは1,8-ジアミノオクタン部分を含む請求項2または3に記載のポリマー。
【請求項5】
C2はペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性のポリアミドリンカーである請求項2または3に記載のポリマー。
【請求項6】
ペプチダーゼ酵素による選択的加水分解に対して感受性の生体応答性ポリアミドリンカーに共有結合している生体活性物質を含むペンダント基を含むポリマーであって、前記生体応答性ポリアミドリンカーは前記ポリマーに共有結合しており、前記ポリマーは加水分解に応答してインビボで前記生体活性物質を放出する、上記ポリマー。
【請求項7】
更に、式III:
【化3】

[式中、
(i)各Bioは独立して、加水分解性共有結合を介してポリアミドリンカーPに連結している1つ以上の生体活性物質またはその前駆体であり;
(ii)各Pはペプチダーゼ酵素による加水分解に対して感受性であり、Bio及びLinkBに連結しているポリアミドリンカーであり;
(iii)Cは鎖末端基であり;
(iv)Oligoはオリゴマーセグメントであり;
(v)LinkBはカップリングセグメントであり;
(vi)aは0より大きい整数である]
で示される請求項6に記載のポリマー。
【請求項8】
Cはポリジメチルシロキサン、炭化水素、ポリフルオロアルキル、フッ素化ポリエーテル、ポリアルキレンオキシド及びその組合せから選択される表面活性基である請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
Cは100〜1,500Daの分子量を有するポリフルオロアルキルである請求項8に記載のポリマー。
【請求項10】
Cは一般式CF3(CF2)rCH2CH2-(ここで、rは2〜20である)及びCF3(CF2)s(CH2CH2O)x(ここで、xは1〜10であり、sは1〜20である)を有する基からなる群から選択される請求項9に記載のポリマー。
【請求項11】
オリゴマーセグメントは約2kDa未満の絶対分子量を有し、aは10未満である請求項10に記載のポリマー。
【請求項12】
Pはカルボン酸エステル、アミドまたはスルホンアミド結合によりBioに連結しており、少なくとも1つのリンクはアミド結合である請求項2、3または7のいずれか1項
に記載のポリマー。
【請求項13】
各Pは2〜60アミノ酸からなる独立ポリアミドリンカーである請求項2、3または7のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項14】
Bioは炭水化物、抗生物質、抗増殖性物質、ラパマイシンマクロライド、鎮痛薬、麻酔薬、抗血管新生薬、抗血栓薬、血管作用薬、抗凝固薬、免疫調節薬、細胞毒性薬、抗ウイルス薬、抗体、神経伝達物質、向精神薬、オリゴヌクレオチド、ビタミン、脂質及びそのプロドラッグから選択される1つ以上の生体活性物質である請求項2、3または7のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項15】
Bioは1つ以上の抗炎症薬である請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
Oligoはポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリシリコーン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニル誘導体、ポリペプチド、多糖、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン−ブチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシドまたはポリエチレンブチレンセグメントを含む請求項2、3または7のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項17】
Oligoは15,000Da未満の分子量を有する請求項2、3または7のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項18】
ペプチダーゼ酵素はエンドペプチダーゼである請求項1〜17のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項19】
エンドペプチダーゼはマトリックスメタロプロティナーゼである請求項18に記載のポリマー。
【請求項20】
マトリックスメタロプロティナーゼはMMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-10、MMP-11及びMMP-13から選択される請求項19に記載のポリマー。
【請求項21】
ペプチダーゼ酵素はエキソペプチダーゼである請求項1〜17のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項22】
エキソペプチダーゼ酵素はカルボキシペプチダーゼまたはアミノペプチダーゼである請求項21に記載のポリマー。
【請求項23】
ペプチダーゼ酵素は寄生生物により産生される請求項1〜17のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項24】
寄生生物はブドウ球菌(Staphylococcus spp.)である請求項23に記載のポリマー。
【請求項25】
寄生生物はカンジダ・アルビカンス(C.albicans)である請求項23に記載のポリマー。
【請求項26】
Bioは抗生物質を含む請求項23〜25のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項27】
ペプチダーゼ酵素はカテプシンKである請求項1〜17のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項28】
相容性ベースポリマーと混合して請求項1〜27のいずれか1項に記載のポリマーを含む組成物。
【請求項29】
ベースポリマーはポリウレタン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリシリコーン、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエンスチレン)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、テレフタレート、セルロース及び他の多糖からなる群から選択される請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
請求項28に記載の組成物を含む成形品。
【請求項31】
請求項1〜27のいずれか1項に記載のポリマーを含む成形品。
【請求項32】
成形品は埋込型医用デバイス、自立性フィルムまたはファイバの形態である請求項30または31に記載の成形品。
【請求項33】
成形品は補助人工心臓、カテーテル、ステント、人工インプラント、縫合糸、カフ、メッシュ、ヘルニアパッチ、創傷包帯、絆創膏、人工括約筋及びドラッグデリバリーデバイスから選択される埋込型医用デバイスである請求項32に記載の成形品。
【請求項34】
炎症を減少させる必要がある哺乳動物の部位に請求項30または31に記載の成形品を移植することを含む前記哺乳動物の部位における炎症の減少方法であって、前記成形品は炎症中に発現するペプチダーゼによる選択的加水分解に応答して該成形品の表面から放出される抗炎症薬を炎症を減少させるのに十分な量含んでいる、上記方法。
【請求項35】
再狭窄を抑制する必要がある哺乳動物の部位に請求項30または31に記載の成形品を移植することを含む前記哺乳動物の部位における再狭窄の抑制方法であって、前記成形品は増殖中に発現するペプチダーゼによる選択的加水分解に応答して該成形品の表面から放出される抗増殖性物質を再狭窄を抑制するのに十分な量含んでいる、上記方法。
【請求項36】
疼痛を低下させる必要がある哺乳動物の部位に請求項30または31に記載の成形品を移植することを含む前記哺乳動物の部位における疼痛の低下方法であって、前記成形品は疼痛中に発現するペプチダーゼによる選択的加水分解に応答して該成形品の表面から放出される鎮痛薬または麻酔薬を疼痛を低下させるのに十分な量含んでいる、上記方法。
【請求項37】
筋肉を弛緩させる必要がある哺乳動物の部位に請求項30または31に記載の成形品を移植することを含む前記哺乳動物の部位における筋肉の弛緩方法であって、前記成形品は筋痙攣中に発現するペプチダーゼによる選択的加水分解に応答して該成形品の表面から放出される鎮痙薬を筋肉を弛緩させるのに十分な量含んでいる、上記方法。

【公表番号】特表2010−501026(P2010−501026A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517485(P2009−517485)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004228
【国際公開番号】WO2008/053362
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(508305247)インターフェース バイオロジクス,インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】