説明

生体情報管理システム及び生体情報管理装置

【課題】検体検査や治療の際に人為的ミスに起因した医療事故を防止することが可能な生体情報管理システム及び生体情報管理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】生体情報管理システム1において、生体情報発信装置2に電気的な信号を伝達する伝達媒体としての生体に電気的な信号を誘起させる生体通信トランシーバ5aを備えると共に、生体情報管理装置3に生体に誘起された電気的な信号を検出して生体情報を受信する生体通信トランシーバ5bを備えたことで、生体を伝送路として生体情報発信装置2から生体情報管理装置3へ生体を識別する生体情報が伝送され、生体情報管理装置3で受信した生体情報が自動的に格納されるので、検体検査や治療の際に格納した生体情報を利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の情報を管理する技術に関し、特に、検体検査や治療の際に利用すべき生体情報の管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体を識別するための生体情報を管理する際には、生体情報をバーコードなどでコード化して管理していた(例えば、特許文献1を参照)。図15に示すように、例えば血液検査などの検体検査では、看護師などの検査を行う人間が、採取した血液などの検体に識別子としてのバーコードを張り付けて、検体と生体とを関連付けてその検体の個別管理を行う。
【0003】
また、輸血や点滴などの治療を行う際には、予め輸血用血液や薬液の入った袋などの容器に生体情報を書き込んでおき、治療にあたって看護士又は医師などの治療を行う人間が、生体に注入する輸血用血液や薬液と、生体とが適合しているかどうかを確認する。
【特許文献1】特開平7−89178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検体検査では検査を行う人間が検体の入った瓶などの容器に識別子を張り付ける作業を行うため、誤ってバーコードを張り間違えてしまう。また、輸血又は点滴などの治療の際には治療を行う人間が、生体に注入する輸血用血液又は薬液と、生体とが適合しているかどうかの確認作業を行うため、誤って取り違えて生体内に注入してしまう。このような人為的なミスが原因で医療事故が発生してしまう問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、検体検査や治療の際に人為的ミスに起因した医療事故を防止することが可能な生体情報管理システム及び生体情報管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明に係る生体情報管理システムは、生体情報発信装置及び生体情報管理装置を備えた生体情報管理システムであって、生体情報発信装置は、生体を識別するための生体情報を予め記憶しておく記憶手段と、電気的な信号を伝達する伝達媒体としての生体に電気的な信号を誘起させる生体通信送信手段と、記憶手段から生体情報を読み出すとともに生体通信送信手段に生体情報を発信させる生体情報発信手段とを備え、生体情報管理装置は、生体に誘起された電気的な信号を検出して生体情報を受信する生体通信受信手段と、生体通信受信手段が受信した生体情報を格納する生体情報格納手段と、を備えることを特徴とする。尚、本発明における電気的な信号を伝達する伝達媒体とは、例えば金属、生体、絶縁性の誘電体膜などが含まれる。
【0007】
本発明にあっては、生体情報発信装置に電気的な信号を伝達する伝達媒体としての生体に電気的な信号を誘起させる生体通信送信手段を備えると共に、生体情報管理装置に生体に誘起された電気的な信号を検出して生体情報を受信する生体通信受信手段を備えたことで、生体を伝送路として生体情報発信装置から生体情報管理装置へ生体を識別する生体情報が伝送されるので、生体情報管理装置で受信した生体情報を自動的に格納することができ、検体検査や治療の際に格納した生体情報を利用することができる。
【0008】
上記生体情報管理システムにおける生体情報発信装置は、生体の個体認証を行う際の判断基準となる認証情報を予め記憶しておくメモリと、認証情報の入力を受け付ける入力受付手段と、入力受付手段が受け付けた認証情報及び判断基準となる認証情報を比較し一致するかどうかを判定する比較判定手段とを更に備え、生体情報発信手段は、比較判定手段が一致したと判定した場合に記憶手段から生体情報を読み出すとともに生体通信送信手段に生体情報を発信させることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、生体情報発信装置において、比較判定手段により入力受付手段が受け付けた認証情報及び前記判断基準となる認証情報を比較し一致した場合に、生体情報発信手段により生体通信送信手段に生体情報を発信させるようにしたことで、誤って他の生体情報発信装置を使用するのを防止することができる。
【0010】
第2の本発明に係る生体情報管理装置は、電気的な信号を伝達する伝達媒体としての前記生体に誘起された電気的な信号を検出して生体を識別するための生体情報を受信する生体通信受信手段と、生体通信受信手段が受信した生体情報を格納する生体情報格納手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、生体通信受信手段により電気的な信号を伝達する伝達媒体としての生体に誘起された電気的な信号を検出して生体を識別するための生体情報を受信し、生体通信受信手段により受信した生体情報を生体情報格納手段に格納するようにしたことで、生体を伝送路として生体側から伝送された生体情報を受信し自動的に格納することができるので、検体検査や治療の際に格納した生体情報を利用することができる。
【0012】
上記生体情報管理装置は、治療を受けるべき生体を認証する際の判断基準となる生体情報を予め記憶しておくメモリと、生体通信受信手段が受信した生体情報及び判断基準となる生体情報を比較し治療を受けるべき生体かどうかを判定する生体判定手段と、生体判定手段が判定した結果を外部へ通知する判定結果通知手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、生体判定手段により、生体通信受信手段が受信した生体情報及び予め記憶された治療を受けるべき生体を認証する際の判断基準となる生体情報を比較し治療を受けるべき生体かどうかを判定し、判定結果通知手段により生体判定手段が判定した結果を外部へ通知することで、治療を行う前に治療を受けるべき生体かどうかを確認することができるので、誤った治療を行うのを防止することができる。
【0014】
上記生体情報管理装置は、電気的な信号を伝達する伝達媒体としての中継用の生体通信用の電極に電気的な信号を誘起させる中継用の生体通信送信手段と、生体情報格納手段から生体情報を読み出すとともに中継用の生体通信送信手段に生体情報を発信させる中継用の生体情報発信手段と、中継用の生体通信用の電極に誘起された電気的な信号を検出して生体情報を受信する中継用の生体通信受信手段と、中継用の生体通信受信手段が受信した生体情報を最終的に格納する生体情報最終格納手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、中継用の生体通信送信手段により中継用の生体通信用の電極に電気的な信号を誘起させ、中継用の生体情報発信手段により生体情報格納手段から生体情報を読み出し中継用の生体通信送信手段に生体情報を発信させる。一方で中継用の生体通信受信手段により中継用の生体通信用の電極に誘起された電気的な信号を検出して生体情報を受信するようにしたことで、一旦生体情報格納手段で格納された生体情報を中継して、もう一方の生体情報最終格納手段に生体情報を格納することができる。
【0016】
上記生体通信受信手段は、生体から血液を採取する金属性の採血針に兼用された生体通信用の電極を備え、生体に誘起された電気的な信号をその生体通信用の電極を介して検出して生体情報を受信することを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、生体通信受信手段において生体から血液を採取する金属性の採血針に兼用された生体通信用の電極を備え、生体に誘起された電気的な信号をその生体通信用の電極を介して検出して生体情報を受信するようにしたことで、採血検査において生体から金属性の採血針により採血する際に、生体を伝送路として生体側から伝送された生体情報を、採血針に兼用された生体通信用の電極を介して受信し自動的に格納することができる。これにより、採取された血液と生体情報とを関連付けて管理することができる。
【0018】
上記生体情報管理装置は、金属性の採血針が採取する血液に関する物理量を計測する血液量計測手段と、血液量計測手段が計測した物理量から採血されているか否かを判定する採血判定手段と、採血判定手段が採血されていると判定した場合に生体通信受信手段が受信した生体情報を生体情報格納手段に格納させるように制御する制御手段と、を更に備えることを特徴とする。
本発明にあっては、採血判定手段により血液量計測手段が計測した採取する血液に関する物理量から採血されていると判定した場合に、制御手段により生体通信受信手段が受信した生体情報を生体情報格納手段に格納させるように制御することで、上記生体情報を、採血が行われている正確なタイミングで採血針に兼用された生体通信用の電極を介して受信し自動的に格納することができる。
【0019】
上記生体通信受信手段は、生体から生体組織の一部を採取する金属性のメスに兼用された生体通信用の電極を備え、生体に誘起された電気的な信号をその生体通信用の電極を介して検出して生体情報を受信することを特徴とする。
本発明にあっては、生体通信受信手段において生体から生体組織の一部を採取する金属性のメスに兼用された生体通信用の電極を備え、生体に誘起された電気的な信号をその生体通信用の電極を介して検出して生体情報を受信するようにしたことで、生体組織検査において生体から金属性のメスにより生体組織の一部を採取する際に、生体を伝送路として生体側から伝送された生体情報を、メスに兼用された生体通信用の電極を介して受信し自動的に格納することができる。これにより、採取された生体組織と生体情報とを関連付けて管理することができる。
【0020】
上記生体通信受信手段は、生体の体内に薬液又は輸血用血液を注入するための金属性の注射針に兼用された生体通信用の電極を備え、生体に誘起された電気的な信号をその生体通信用の電極を介して検出して生体情報を受信することを特徴とする。
本発明にあっては、生体通信受信手段において生体の体内に薬液又は輸血用血液を注入するための金属性の注射針に兼用された生体通信用の電極を備え、生体に誘起された電気的な信号をその生体通信用の電極を介して検出して生体情報を受信するようにしたことで、点滴や注射、輸血を行うにあたって、生体を伝送路として生体側から伝送された生体情報を、注射針に兼用された生体通信用の電極を介して受信し自動的に格納することができる。
【0021】
上記生体通信受信手段は、生体の体内に臓器を移植するための金属性のピンセットに兼用された生体通信用の電極を備え、生体に誘起された電気的な信号をその生体通信用の電極を介して検出して前記生体情報を受信することを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、生体通信受信手段において生体の体内に臓器を移植するための金属性のピンセットに兼用された生体通信用の電極を備え、生体に誘起された電気的な信号をその生体通信用の電極を介して検出して生体情報を受信するようにしたことで、臓器移植を行うにあたって、生体を伝送路として生体側から伝送された生体情報を、ピンセットに兼用された生体通信用の電極を介して受信し自動的に格納することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の生体情報管理システム及び生体情報管理装置によれば、検体検査や治療の際に人為的ミスに起因した医療事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0025】
図1は、第1の実施の形態に係る生体情報管理システムの概略的な構成を示す図である。同図に示すように、生体情報管理システム1は、生体情報発信装置2と、生体情報管理装置3とで構成される。
【0026】
生体情報発信装置2は、記憶部4と、腕輪型生体通信用電極7aを備えた生体通信トランシーバ5aと、生体情報発信部6とを備える。ここで例えば生体情報発信装置2は、腕輪型生体通信用電極7a以外はICチップに内蔵されているものとする。
【0027】
記憶部4は、生体を識別するための生体情報を予め記憶しておく。ここでは記憶部4は、ICチップに内蔵されたメモリであり、メモリには生体情報として例えば患者の氏名が、1次元のバーコード情報として記憶される。
【0028】
生体通信トランシーバ5aは、電気的な信号を伝達する伝達媒体としての生体に電界を誘起させる生体通信送信手段として機能する。
【0029】
患者の腕に装着された腕輪型生体通信用電極7aは、生体通信トランシーバ5aに電気的に接続され、生体通信トランシーバ5aからの電気的な信号を効率よく生体としての患者の体全体に伝達するようにしている。腕輪型生体通信用電極7aの表面は絶縁性の誘電体膜で覆われており、電流が患者の体内に流れるのを防止するようにしている。
【0030】
生体情報発信部6は、記憶部4から生体情報を読み出すとともに生体通信トランシーバ5bに生体情報を発信させる。ここで生体情報発信部6は、ICチップに内蔵されたCPUであり、CPUは、メモリから読み出した生体情報を生体通信トランシーバ5bに一定の間隔で繰り返し発信させるように制御する。
【0031】
生体情報管理装置3は、採血針型生体通信用電極7bを備えた生体通信トランシーバ5bと、採血管8と、生体情報格納部9と、制御部10と、生体情報表示部11とを備える。ここで採血針型生体通信用電極7b及び採血管8以外は例えばICチップに内蔵されているものとする。
【0032】
生体通信トランシーバ5bは、生体に誘起された電気的な信号を検出して生体情報を受信する生体通信受信手段として機能する。ここでは更に生体通信トランシーバ5bに電気的に接続された採血針型生体通信用電極7bを備える。採血針型生体通信用電極7bは生体から血液を採取する採血針に兼用された生体通信用の電極として機能する。生体に誘起された電気的な信号をその採血針型生体通信用電極7bを介して検出して生体情報を受信する。採血針は、例えばステンレス製とする。
【0033】
採血管8は、採血針型生体通信用電極7bが採取した血液を格納する。ここでは採血前に内部が真空状態を維持している真空採血管を使用する。
【0034】
生体情報格納部9は、生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報を格納する。ここでは生体情報格納部9は、採血管8に備え付けられたICチップに内蔵されたメモリであり、メモリには生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報が、1次元のバーコード情報として記憶される。
【0035】
制御部10は、生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報を生体情報格納部9に格納させるように制御する。ここでは制御部10は、採血管8に備え付けられたICチップに内蔵されたCPUであり、CPUは、生体情報格納部9から生体情報を読み出して生体情報表示部11に表示させるように制御する。
【0036】
生体情報表示部11は、生体情報を表示する。ここでは例えば小型の平面表示装置により、生体情報がコード化された1次元のバーコード情報として表示される。
【0037】
次に、生体情報管理システム1における生体情報発信装置2及び生体情報管理装置3が備える生体通信トランシーバ5の内部の具体的な構成について図2を用いて説明する。同図に示す生体通信トランシーバ5は、例えば送信すべき情報に基づく電気的な信号としての電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに誘起された電界を検出して情報の送受信を行う電界検出型の生体通信トランシーバを使用する。ここで電界伝達媒体とは例えば生体だけでなく、ステンレスなどの金属、絶縁性の誘電体膜や合成樹脂なども含まれる。
【0038】
生体情報発信装置2が備える生体通信送信手段としての生体通信トランシーバ5aは、送信時において、ICチップ内部の生体情報発信部6などのコンピュータからの送信データを入出力(I/O)回路501を介して受け取ると、この送信データを、送信部502を介して腕輪型生体通信用電極7aに供給し、この腕輪型生体通信用電極7aを介して生体に電界を誘起させ、この電界を伝達させるようになっている。
【0039】
また、生体情報管理装置3が備える生体通信受信手段としての生体通信トランシーバ5bは、受信時において、生体に誘起されて伝達されてくる電界を、採血針型生体通信用電極7bで検出し、この電界を電界検出光学部503に結合して電気信号に変換するようになっている。そして、この電気信号は、信号処理回路504で増幅、雑音除去などの信号処理を施され、更に波形整形回路505で波形整形されてから、入出力(I/O)回路501を介してICチップ内部の制御部10などのコンピュータに出力されるようになっている。
【0040】
このように電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに生体に誘起された電界を検出して情報の送受信を行う電界検出型の生体通信トランシーバを使用することで、生体に電流が流れることなく生体を伝送路とした生体通信が可能になる。
【0041】
このような構成の生体情報管理システム1において、生体を伝送路として生体情報発信装置2から生体情報管理装置3へ生体を識別する生体情報が伝送されるので、生体情報管理装置3で受信した生体情報を自動的に格納することができ、検体検査や治療の際に格納した生体情報を利用することができる。
【0042】
次に、採血検査を例にして、生体情報管理システム1の処理の流れについて図1を用いて説明する。以下では、生体情報発信装置2により、ステップ1〜ステップ3を実行し、生体情報管理装置3により、ステップ4〜ステップ5を実行する。
【0043】
ステップ1:まず、生体情報発信装置2により、生体を識別するための生体情報を予め記憶部4に記憶しておく。
【0044】
ステップ2:生体通信送信手段としての生体通信トランシーバ5aにより腕輪型生体通信用電極7aを介して生体に電界を誘起させる。
【0045】
ステップ3:生体情報発信部6により記憶部4から生体情報を読み出すとともに生体通信トランシーバ5aに生体情報を発信させる。ここでは、生体通信トランシーバ5aに生体情報を一定の時間間隔で繰り返し発信させるように制御する。
【0046】
ステップ4:次に、生体情報管理装置3により、生体通信トランシーバ5bにより生体に誘起された電気的な信号を、採血針型生体通信用電極7bを介して検出して生体情報を受信する。このとき、採血針型生体通信用電極7bにより生体から血液が採取され採血管8に格納される。
【0047】
ステップ5:制御部10により、生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報を生体情報格納部9に格納する。
【0048】
図3は、生体情報管理装置3を内蔵したICチップが備え付けられた採血管及び採血針型生体通信用電極7bを示している。同図に示すように、採血管8には採取された血液が格納されている。生体情報管理装置3上には生体情報表示部11が配置されている。生体情報表示部11には、例えば小型平面表示装置を使用し、生体情報管理装置3内部のメモリに格納された生体情報を1次元のバーコード情報として表示する。ここで表示されたバーコード情報は、専用の読み取り装置で自動に読み取りが可能であるので、例えば看護士などの検体を管理する管理者にとって検体の管理が容易になる。
【0049】
一方で、採血針型生体通信用電極7bには、採血針型生体通信用電極7bを固定するためのホルダー12を装着した採血針ホルダー18を使用する。ホルダー12には絶縁性の合成樹脂を使用する。
【0050】
このような構成の生体情報管理装置3により、採血検査において生体から金属性の採血針により採血する際に、生体を伝送路として生体側から伝送された生体情報を、採血針型生体通信用電極7bを介して受信し自動的に格納することができる。これにより、採取された血液と生体情報とを関連付けて管理することができる。また、採血針ホルダー18からICチップが備え付けられた採血管8を分離することで、管理が更に容易になる。
【0051】
したがって、本実施の形態によれば、生体情報発信装置2に電気的な信号を伝達する伝達媒体としての生体に電気的な信号を誘起させる生体通信トランシーバ5aを備えると共に、生体情報管理装置3に生体に誘起された電気的な信号を検出して生体情報を受信する生体通信トランシーバ5bを備えたことで、生体を伝送路として生体情報発信装置2から生体情報管理装置3へ生体を識別する生体情報が伝送されるので、生体情報管理装置3で受信した生体情報を自動的に格納することができ、検体検査や治療の際に格納した生体情報を利用することができる。これにより、検体検査や治療の際に人為的ミスに起因した医療事故を防止することができる。
【0052】
更に、生体通信トランシーバ5bにおいて生体から血液を採取する金属性の採血針に兼用された採血針型生体通信用電極7bを備え、生体に誘起された電気的な信号を採血針型生体通信用電極7bを介して検出して生体情報を受信するようにしたことで、採血検査において生体から金属性の採血針により採血する際に、生体を伝送路として生体側から伝送された生体情報を、採血針に兼用された採血針型生体通信用電極7bを介して受信し自動的に格納することができる。これにより、採取された血液と生体情報とを関連付けて管理することができる。
【0053】
[第2の実施の形態]
以下、第2の実施の形態に係る生体情報管理システムについて説明する。
【0054】
本実施の形態に係る生体情報管理システムの構成は、第1の実施の形態で説明したものと基本的な構成は同様である。第1の実施の形態と異なる点は、図4に示すように、生体情報発信装置2が、生体の個体認証を行う際の判断基準となる認証情報を予め記憶しておくメモリ15と、認証情報の入力を受け付ける入力受付手段としての指紋センサ16a及びパターン認識部16bと、指紋センサ16a及びパターン認識部16bが受け付けた認証情報及び判断基準となる認証情報を比較し一致するかどうかを判定する比較判定部17とを更に備え、生体情報発信部6により、比較判定部17が一致したと判定した場合に記憶部4から生体情報を読み出すとともに生体通信トランシーバ5aに生体情報を発信させる点である。
【0055】
生体情報発信装置2を上記構成としたことで、本実施の形態による生体情報管理システムによる処理は、第1の実施の形態における生体情報発信装置2によるステップ1〜3に、以下に示すステップ8〜10が更に追加される。ステップ3は追加されたステップ9に従ってステップ3’となる。
【0056】
ステップ1:まず、生体情報発信装置2により、生体を識別するための生体情報を予め記憶部4に記憶しておく。
【0057】
ステップ8:生体の個体認証を行う際の判断基準となる認証情報を予めメモリ15に記憶しておく。認証情報としてここでは例えば患者の指紋パターンを予めメモリ15に記憶し登録しておく。
【0058】
ステップ9:指紋センサ16a及びパターン認識部16bにより認証情報の入力を受け付ける。ここでは例えば患者が生体情報発信装置2の装着前に、自分の指を指紋センサ上に置く。指紋センサ16aにより、認証情報としての指紋パターンを検知し、パターン認識部16bにより、指紋センサ16aが検知した指紋パターンをデジタルデータに変換する。
【0059】
ステップ10:比較判定部17により指紋センサ16a及びパターン認識部16bが受け付けた認証情報及び判断基準となる認証情報を比較し一致するかどうかを判定する。ここでは予め登録された指紋パターンと入力を受け付けた指紋パターンが一致しているか比較する。そして比較判定部17が一致していないと判定した場合は認証判定通知部20として赤色のLEDが点灯し、一致していると判定した場合は緑色のLEDが点灯するようにする。このようにして患者に個体認証の結果が視覚的に通知されるので、患者は装着前に生体情報発信装置2が自分用か他人用のものかどうかを認識することができる。
【0060】
ステップ2:生体通信送信手段としての生体通信トランシーバ5aにより腕輪型生体通信用電極7aを介して生体に電界を誘起させる。
【0061】
ステップ3’:ステップ10において比較判定部17が一致したと判定した場合に生体情報発信部6により記憶部4から生体情報を読み出すとともに生体通信トランシーバ5aに生体情報を発信させる。ここでも、生体通信トランシーバ5aに生体情報を一定間隔で繰り返し発信させるように制御する。
【0062】
したがって、本実施の形態によれば、生体情報発信装置2において、比較判定部17により指紋センサ16a、パターン認識部16bが受け付けた認証情報及び判断基準となる認証情報を比較し一致した場合に、生体情報発信部6により生体通信トランシーバ5aに生体情報を発信させるようにしたことで、第1の実施の形態に係る効果に加えて、誤って他の生体情報発信装置を使用するのを防止することができる。
【0063】
尚、本実施の形態においては、生体の個体認証を行う際の判断基準となる認証情報を患者の指紋パターンとし、患者は、指紋認証により生体情報発信装置2の所有者であることを認証するようにしたが、これに限られるものではなく、静脈のパターン、顔や声紋、瞳の虹彩などの生体に関する特徴を認証情報として使用した生体認証により個体認証を行うようにしてもよい。また、その他、パスワードを入力するようにして個体認証を行うようにしてもよい。
【0064】
また、本実施の形態においては、比較判定部17の判定結果を通知する認証判定通知部20には、表示色の異なる2種類のLEDを使用し、患者に個体認証の結果を視覚的に通知するようにしたが、これに限られるものではなく、例えばスピーカなどにより音声で通知するようにしてもよい。これにより例えば目の不自由な患者も個体認証の結果を知覚することができる。
【0065】
[第3の実施の形態]
以下、第3の実施の形態に係る生体情報管理システムについて説明する。
【0066】
本実施の形態に係る生体情報管理システムの構成は、第1の実施の形態で説明したものと基本的な構成は同様である。第1の実施の形態と異なる点は、図5に示すように、生体情報管理装置3が、金属性の採血針7bが採取する血液に関する物理量を計測する血液量計測部13と、血液量計測部13が計測した物理量から採血されているか否かを判定する採血判定部14とを更に備え、制御部10により、採血判定部14が採血されていると判定した場合に生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報を生体情報格納部9に格納させるように制御する点である。
【0067】
次に生体情報管理装置3の血液量計測部13の構成について図6,図7を用いて具体的に説明する。図6の外観図に示すように、採取する血液に関する物理量を計測する血液量計測部13としての発光素子と受光素子が、採血管8の底部の周囲にアレイ状に配列されている(以下、発光・受光素子アレイと称する)。発光・受光素子アレイは、採血管8内部の明るさを計測し、採血管8内部に採血された血液が通過したことを検知する。
【0068】
図7は採血管8を上から見た平面図である。同図に示すように、対向して配置された発光素子であるLED及び受光素子であるフォトトランジスタの組が複数配列されている。例えばLED(1)からの光が採血管8内部を通過し、対向するフォトトランジスタ(1)で受光される。ここではLEDとフォトトランジスタには、それぞれが赤色の波長の光で動作するものを使用し、LEDからの光が血液で吸収されるようにする。
【0069】
採血前は、採血管8は空の状態であるので、LED(1)〜(10)からの光が採血管8内部を通過し、それぞれ対向するフォトトランジスタ(1)〜(10)で受光される。この場合には、フォトトランジスタ(1)〜(10)で受光される光検出強度は十分に高く、採血判定部14は、採血されていないと判定するので、生体情報表示部11のLEDは点灯しない。
【0070】
採血中は、採血管8に血液が注入され、LED(1)〜(10)からの光が採血管8内部の血液で吸収されるので、フォトトランジスタ(1)〜(10)で受光される光検出強度が弱まる。フォトトランジスタで検出される光検出強度が基準値よりも弱くなった場合に採血判定部14は採血されていると判定し、制御部10は生体情報表示部11のLEDを点灯させ、採血されていることを外部へ通知すると共に生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報を生体情報格納部9に格納させるように制御する。
【0071】
これにより、採血が行われている正確なタイミングで採血針に兼用された生体通信用の電極7bを介して生体情報を受信し自動的に格納することができる。
【0072】
また、生体情報は生体情報発信装置2から一定間隔で送信されるので、ここでは最初に格納した生体情報のみを有効とし、それ以後に受信した生体情報は格納しないように制御する。これにより誤った生体情報を格納するのを防止できる。
【0073】
したがって、本実施の形態によれば、採血判定部14により血液量計測部13としての発光・受光素子アレイが計測した採取する血液に関する物理量から、採血されていると判定した場合に、制御部10により生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報を生体情報格納部9に格納させるように制御することで、第1の実施の形態に係る効果に加えて、生体情報を、採血が行われている正確なタイミングで採血針に兼用された生体通信用の電極7bを介して受信し自動的に格納することができる。
【0074】
尚、本実施の形態においては、採血管8の底部の周囲にアレイ状に配列した発光素子及び受光素子により、採取する血液に関する物理量として採血管8内部の明るさを計測するような構成にしたが、これに限られるものではない、例えば、採取した血液の重量を検知するセンサ、血液の体積を検知する体積センサ、採血針に加わる圧力を検知する圧力センサのうち少なくとも1つのセンサを使用して、採取する血液に関する物理量を計測するようにしてもよい。また、採血管の表面に採血の際に必ず触れる必要のある部分にスイッチを設け、そのスイッチが押されている期間に採血されているとみなすような構成にしてもよい。
【0075】
[第4の実施の形態]
以下、第4の実施の形態に係る生体情報管理システムについて説明する。
【0076】
本実施の形態に係る生体情報管理システムの構成は、第1の実施の形態で説明したものと基本的な構成は同様である。第1の実施の形態と異なる点は、図8に示すように、生体情報管理装置3が、中継用生体情報管理装置3aと最終格納用生体情報管理装置3bとで構成される点である。
【0077】
中継用生体情報管理装置3aは、メス型生体通信用電極7cを備えた生体通信トランシーバ5aと、生体情報格納部9aと、制御部10aとを備える。
【0078】
メス型生体通信用電極7cは、生体から生体組織の一部を採取する金属性のメスに兼用された中継用の生体通信用の電極として機能する。
【0079】
生体通信トランシーバ5aは、生体に誘起された電気的な信号を、メス型生体通信用電極7cを介して検出して生体情報を受信する生体通信受信手段としての機能と、メス型生体通信用電極7cに電気的な信号を誘起させる中継用の生体通信送信手段としての機能とを備える。
【0080】
生体情報格納部9aは、生体通信トランシーバ5aが受信した生体情報を格納する生体情報格納手段として機能する。
【0081】
制御部10aは、生体情報格納部9aから生体情報を読み出すとともに生体通信トランシーバ5aに生体情報を発信させる中継用の生体情報発信手段として機能する。
【0082】
最終格納用生体情報管理装置3bは、トレイ型生体通信用電極7dを備えた生体通信トランシーバ5bと、生体情報格納部9bと、制御部10bと、生体情報表示部11bとを備える。
【0083】
トレイ型生体通信用電極7dは、メス型生体通信用電極7cにより採取した生体組織の一部を格納しておく金属性の容器に兼用された中継用の生体通信用の電極として機能する。
【0084】
生体通信トランシーバ5bは、メス型生体通信用電極7cに誘起された電気的な信号を、トレイ型生体通信用電極7dを介して検出して生体情報を受信する中継用の生体通信受信手段として機能する。
【0085】
生体情報格納部9bは、生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報を最終的に格納する生体情報最終格納手段として機能する。
【0086】
制御部10bは、生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報を生体情報格納部9bに格納させるように制御する。
【0087】
生体情報表示部11bは、生体情報を表示する。ここでは例えば液晶表示装置により、生体情報として例えば患者の氏名がコード化され、コード化された1次元のバーコード情報が表示される。
【0088】
次に、本実施の形態に係る生体情報管理システム1における生体情報管理装置3による処理の流れについて生体組織検査を例にして図9,10を用いて説明する。
【0089】
ステップ1:まず、図9に示すようにメス型生体通信用電極7cで生体から生体組織の一部を採取する際に、中継用生体情報管理装置3a内部の生体通信トランシーバ5aにより、生体に誘起された電気的な信号を、メス型生体通信用電極7cを介して検出して生体情報を受信する。
【0090】
ステップ2:生体通信トランシーバ5aが受信した生体情報を中継用生体情報管理装置3a内部の生体情報格納部9aに格納する。
【0091】
ステップ3:次に、図10に示すように中継用生体情報管理装置3a内部の生体通信トランシーバ5aにより、メス型生体通信用電極7cに電界を誘起させる。
【0092】
ステップ4:中継用生体情報管理装置3a内部の制御部10aにより生体情報格納部9aから生体情報を読み出すとともに生体通信トランシーバ5aに生体情報を発信させる。
【0093】
ステップ5:最終格納用生体情報管理装置3bのトレイ型生体通信用電極7dに、金属性のメスにより採取した生体組織の一部を格納する際に、最終格納用生体情報管理装置3b内部の生体通信トランシーバ5bにより、メス型生体通信用電極7cに誘起された電界を、トレイ型生体通信用電極7dを介して検出して生体情報を受信する。
【0094】
ステップ6:生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報を、最終格納用生体情報管理装置3b内部の生体情報格納部9bに格納する。ここでは生体情報格納部9bに格納された生体情報は生体情報表示部11bにより表示される。
【0095】
したがって、本実施の形態によれば、中継用生体情報管理装置3aにおいて、生体通信トランシーバ5aに生体から生体組織の一部を採取する金属性のメスに兼用されたメス型生体通信用電極7cを備え、生体に誘起された電気的な信号をその生体通信用電極7cを介して検出して生体情報を受信するようにしたことで、生体組織検査において生体から金属性のメスにより生体組織の一部を採取する際に、生体を伝送路として生体側から伝送された生体情報を、メスに兼用された生体通信用電極7cを介して受信し自動的に格納することができる。
【0096】
更に、生体通信トランシーバ5aによりメス型生体通信用電極7cに電気的な信号を誘起させ、制御部10aにより生体情報格納部9aから生体情報を読み出し生体通信トランシーバ5aに生体情報を発信させる。一方で最終格納用生体情報管理装置3bにおいて、メス型生体通信用電極7cで採取した生体組織をトレイ型生体通信用電極7dに格納する際に、生体通信トランシーバ5bによりメス型生体通信用電極7c及びトレイ型生体通信用電極7dに誘起された電気的な信号を検出して生体情報を受信するようにしたことで、一旦生体情報格納部9aで格納された生体情報を中継して、もう一方の生体情報格納部9bに生体情報を格納することができる。
【0097】
これにより、最終格納用生体情報管理装置3bにおいて、採取された生体組織と生体情報とを関連付けて管理することができる。
【0098】
上記各実施の形態においては、生体情報として患者の氏名を使用したが、生体を識別するための情報であれば、これに限られるものではなく、例えば診察券などで使用する患者の登録識別番号に関する情報を使用してもよい。
【0099】
また、生体情報は1次元のバーコード情報としてコード化され、専用の読み取り装置で読み取るようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、バーコード以外のQRコードなどの2次元コードを使用する自動認識技術や、無線ICタグ技術を利用して生体情報の管理を行ってもよい。
【0100】
その他、生体情報表示部11によりコード化された生体情報を表示するようにしたが、コード化された生体情報だけでなく、例えば生体情報を直接表示してもよい。これにより、看護士などの検体を管理する管理者が目視で読み取りができるので管理がより容易になる。
【0101】
[第5の実施の形態]
以下、第5の実施の形態に係る生体情報管理システムについて説明する。
【0102】
本実施の形態に係る生体情報管理システムの構成は、第1の実施の形態で説明したものと基本的な構成は同様である。第1の実施の形態と異なる点は、図11に示すように、生体情報管理装置3が、治療を受けるべき生体を認証する際の判断基準となる生体情報を予め記憶しておくメモリとしての生体情報格納部9と、生体通信トランシーバ5bが受信した生体情報及び判断基準となる生体情報を比較し治療を受けるべき生体かどうかを判定する生体判定部21と、生体判定部21が判定した結果を外部へ通知する判定結果通知部22と、を更に備える点である。
【0103】
ここで生体情報格納部9には治療を受けるべき生体を認証する際の判断基準となる生体情報として例えば注射管19内の薬液の情報を予め格納しておく。
【0104】
一方で、生体情報発信装置2の記憶部4には、生体を識別するための生体情報として例えば、生体が受け入れ可能な薬液の情報を予め記憶しておく。
【0105】
また、同図の生体通信トランシーバ5bは、生体の体内に薬液を注入するための金属性の注射針に兼用された注射針型生体通信用電極7eを備えている。生体に誘起された電気的な信号を、注射針型生体通信用電極7eを介して検出して生体情報を受信する。
【0106】
このような構成としたことで、生体に薬液を注射するにあたって、生体通信トランシーバ5bにおいて生体に誘起された電気的な信号を、注射針型生体通信用電極7eを介して検出して生体情報が受信される。
【0107】
更に、生体判定部21により、生体通信トランシーバ5bが受信した生体が受け入れ可能な薬液の情報及び注射管19内の薬液の情報を比較し、注射を受けるべき生体かどうかを判定する。
【0108】
判定結果通知部22により生体判定部21が判定した結果を外部へ通知する。例えば注射を受けるべき生体でないと判定した場合には警告を発生する。このようにして、治療を行う人間が治療を行う前に、治療を受けるべき生体かどうかを確認することができるので、誤った治療を行うのを防止することができる。
【0109】
また、本実施の形態においては、生体通信トランシーバ5bが備えた生体通信用電極は、生体の体内に薬液を注入するための注射針型の生体通信用電極としたが、これに限られるものではなく、例えば、点滴を行う際の点滴用注射針や、輸血用血液を生体に注入する際の輸血用針であってもよい。これにより、点滴や輸血を行う際でも、治療を受けるべき生体かどうかを確認することができるので、誤った治療を行うのを防止することができる。
【0110】
[第6の実施の形態]
以下、第6の実施の形態に係る生体情報管理システムについて説明する。
【0111】
本実施の形態に係る生体情報管理システムの構成は、第5の実施の形態で説明したものと基本的な構成は同様である。第5の実施の形態と異なる点は、図12に示すように、生体情報管理装置3が、中継用生体情報管理装置3aと、最終格納用生体情報管理装置3bとで構成される点である。
【0112】
中継用生体情報管理装置3aは、ピンセット型生体通信用電極7fを備えた生体通信トランシーバ5aと、生体情報格納部9aと、生体判定部21と、判定結果通知部22とを備える。
【0113】
ピンセット型生体通信用電極7fは、生体の体内に臓器を移植するための金属性のピンセットに兼用された生体通信用の電極として機能する。生体通信トランシーバ5aは、生体に誘起された電気的な信号を、ピンセット型生体通信用電極7fを介して検出して生体情報を受信する。
【0114】
生体情報格納部9aは、治療を受けるべき生体を認証する際の判断基準となる生体情報が記憶されるメモリとして機能する。ここで判断基準となる生体情報には例えば、移植用臓器に関する情報とする。
【0115】
生体判定部21は、生体通信トランシーバ5aが受信した生体情報及び判断基準となる生体情報を比較し治療を受けるべき生体かどうかを判定する。
【0116】
判定結果通知部22は、生体判定部21が判定した結果を外部へ通知する。
【0117】
最終格納用生体情報管理装置3bは、トレイ型生体通信用電極7dを備えた生体通信トランシーバ5bと、生体情報格納部9bと、制御部10bと、生体情報表示部11bとを備える。
【0118】
トレイ型生体通信用電極7dは、移植用臓器を格納しておく金属性の容器に兼用された生体通信用の電極として機能する。
【0119】
生体通信トランシーバ5bは、トレイ型生体通信用電極7dに電気的な信号を誘起させる中継用の生体通信送信手段として機能する。
【0120】
生体情報格納部9bは、治療を受けるべき生体を認証する際の判断基準となる生体情報を予め記憶しておくメモリとして機能する。判断基準となる生体情報は移植用臓器に関する情報である。
【0121】
制御部10bは、生体情報格納部9bから生体情報を読み出すと共に生体通信トランシーバ5bに生体情報を発信させる中継用の生体情報発信手段として機能する。
【0122】
次に、本実施の形態に係る生体情報管理システム1における生体情報管理装置3による処理の流れについて臓器移植を例にして図13,14を用いて説明する。生体情報発信装置2の記憶部4には、生体を識別するための生体情報として例えば、生体が受け入れ可能な移植用臓器の情報が予め記憶されているものとする。
【0123】
ステップ1:まず、図13に示すようにピンセット型生体通信用電極7fでトレイ型生体通信用電極7dに格納された移植用臓器を取り上げる際に、最終格納用生体情報管理装置3b内部の生体通信トランシーバ5bにより、トレイ型生体通信用電極7dに電気的な信号を誘起させる。
【0124】
ステップ2:次に、最終格納用生体情報管理装置3b内部の制御部10bにより、生体情報格納部9bから生体情報を読み出すと共に生体通信トランシーバ5bに生体情報を発信させる。
【0125】
ステップ3:中継用生体情報管理装置3a内部の生体通信トランシーバ5aにより、トレイ型生体通信用電極7d及びピンセット型生体通信用電極7fに誘起された電気的な信号を検出して生体情報を受信する。受信した生体情報を中継用生体情報管理装置3a内部の生体情報格納部9aに格納する。このようにして生体情報として移植用臓器に関する情報が中継用生体情報管理装置3a内部に格納される。
【0126】
ステップ4:次に、図14に示すようにピンセット型生体通信用電極7fで取り上げた移植用臓器を生体の患部に移植する際に、中継用生体情報管理装置3a内部の生体通信トランシーバ5aにより、生体情報発信装置2から生体に誘起された電気的な信号を、ピンセット型生体通信用電極7fを介して検出して生体情報を受信する。このようにして生体情報としての生体が受け入れ可能な移植用臓器の情報が受信される。
【0127】
ステップ5:中継用生体情報管理装置3a内部の生体判定部21により、生体通信トランシーバ5aが受信した生体が受け入れ可能な移植用臓器の情報及び生体情報格納部9aに格納された判断基準となる移植用臓器に関する情報を比較し臓器移植を受けるべき生体かどうかを判定する。
【0128】
ステップ6:判定結果通知部22により、生体判定部21が判定した結果を外部へ通知する。臓器移植を受けるべき生体でないと判定した場合には警告を発生する。このようにして、治療を行う人間が治療を行う前に、治療を受けるべき生体かどうかを確認することができるので、誤った治療を行うのを防止することができる。
【0129】
したがって、本実施の形態によれば、中継用生体情報管理装置3aにおいて生体通信トランシーバ5aに生体の体内に臓器を移植するための金属性のピンセットに兼用されたピンセット型生体通信用電極7fを備え、生体に誘起された電気的な信号を、ピンセット型生体通信用電極7fを介して検出して生体情報を受信するようにしたことで、臓器移植を行うにあたって、生体を伝送路として生体側から伝送された生体情報を、ピンセットに兼用された生体通信用の電極を介して受信し自動的に格納することができる。
【0130】
更に、判定結果通知部22により、生体判定部21が判定した結果を外部へ通知するようにしたことで、治療を行う人間が治療を行う前に、治療を受けるべき生体かどうかを確認することができるので、誤った治療を行うのを防止することができる。
【0131】
尚、上記各実施の形態においては、生体通信トランシーバは、送信すべき情報に基づく電気的な信号としての電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに誘起された電界を検出して情報の送受信を行う電界検出型の生体通信トランシーバを使用したが、これに限られるものではない、例えば、生体に電気的な信号として電流を流すことで情報の送受信を行うようにして、生体を伝送路として通信を行う生体通信を行ってもよい。
【0132】
尚、上記の各実施の形態においては、患者の生体に関する生体情報を管理するようにしたが、生体は人間の生体に限られるものではない。例えば、人間以外のペットや家畜などの生体に関する生体情報を管理するようにしてもよい。このような場合においても、生体を伝送路として伝送された生体情報を管理することができるので、本実施の形態と同様な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】第1の実施の形態に係る生体情報管理システムの概略的な構成を示す図である。
【図2】上記生体情報管理システムにおける生体情報発信装置及び生体情報装置が備える電界トランシーバの内部構成を示す図である。
【図3】上記生体情報管理装置を備えた採血管及び採血針の外観を示す図である
【図4】第2の実施の形態に係る生体情報管理システムにおける生体情報発信装置の概略的な構成を示す図である。
【図5】第3の実施の形態に係る生体情報管理システムにおける生体情報管理装置の概略的な構成を示す図である。
【図6】上記生体情報管理装置を備えた採血管及び採血針の外観を示す図である。
【図7】上記採血管を上から見た平面図である。
【図8】第4の実施の形態に係る生体情報管理システムにおける生体情報管理装置の概略的な構成を示す図である。
【図9】上記生体情報管理装置の第1の使用例を示す図である。
【図10】上記生体情報管理装置の第2の使用例を示す図である。
【図11】第5の実施の形態に係る生体情報管理システムにおける生体情報管理装置の概略的な構成を示す図である。
【図12】第5の実施の形態に係る生体情報管理システムにおける生体情報管理装置の概略的な構成を示す図である。
【図13】上記生体情報管理装置の第1の使用例を示す図である。
【図14】上記生体情報管理装置の第2の使用例を示す図である。
【図15】従来の生体情報の管理の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0134】
1…生体情報管理システム
2…生体情報発信装置
3…生体情報管理装置
3a…中継用生体情報管理装置
3b…最終格納用生体情報管理装置
4…記憶部
5,5a,5b…生体通信トランシーバ
6…生体情報発信部
7…生体通信用電極
7a…腕輪型生体通信用電極
7b…採血針型生体通信用電極
7c…メス型生体通信用電極
7d…トレイ型生体通信用電極
7e…注射針型生体通信用電極
7f…ピンセット型生体通信用電極
8…採血管
9,9a,9b…生体情報格納部
10,10a,10b…制御部
11,11b…生体情報表示部
12…ホルダー
13…血液量計測部
14…採血判定部
15…メモリ
16a…指紋センサ
16b…パターン認識部
17…比較判定部
18…採血針ホルダー
19…注射管
20…認証判定通知部
21…生体判定部
22…判定結果通知部
501…生体通信トランシーバの入出力(I/O)回路
502…生体通信トランシーバの送信部
503…生体通信トランシーバの電界検出光学部
504…生体通信トランシーバの信号処理回路
505…生体通信トランシーバの波形整形回路












【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報発信装置及び生体情報管理装置を備えた生体情報管理システムであって、
前記生体情報発信装置は、
生体を識別するための生体情報を予め記憶しておく記憶手段と、
電気的な信号を伝達する伝達媒体としての生体に電気的な信号を誘起させる生体通信送信手段と、
前記記憶手段から前記生体情報を読み出すとともに前記生体通信送信手段に生体情報を発信させる生体情報発信手段とを備え、
前記生体情報管理装置は、
前記生体に誘起された電気的な信号を検出して前記生体情報を受信する生体通信受信手段と、
前記生体通信受信手段が受信した前記生体情報を格納する生体情報格納手段と、
を備えることを特徴とする生体情報管理システム。
【請求項2】
前記生体情報発信装置は、
生体の個体認証を行う際の判断基準となる認証情報を予め記憶しておくメモリと、
認証情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段が受け付けた認証情報及び前記判断基準となる認証情報を比較し一致するかどうかを判定する比較判定手段とを更に備え、
前記生体情報発信手段は、前記比較判定手段が一致したと判定した場合に前記記憶手段から前記生体情報を読み出すとともに前記生体通信送信手段に生体情報を発信させることを特徴とする請求項1に記載の生体情報管理システム。
【請求項3】
電気的な信号を伝達する伝達媒体としての前記生体に誘起された電気的な信号を検出して生体を識別するための生体情報を受信する生体通信受信手段と、
前記生体通信受信手段が受信した前記生体情報を格納する生体情報格納手段と、
を備えることを特徴とする生体情報管理装置。
【請求項4】
治療を受けるべき生体を認証する際の判断基準となる生体情報を予め記憶しておくメモリと、
前記生体通信受信手段が受信した生体情報及び前記判断基準となる生体情報を比較し治療を受けるべき生体かどうかを判定する生体判定手段と、
前記生体判定手段が判定した結果を外部へ通知する判定結果通知手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の生体情報管理装置。
【請求項5】
電気的な信号を伝達する伝達媒体としての中継用の生体通信用の電極に電気的な信号を誘起させる中継用の生体通信送信手段と、
前記生体情報格納手段から前記生体情報を読み出すとともに前記中継用の生体通信送信手段に生体情報を発信させる中継用の生体情報発信手段と、
前記中継用の生体通信用の電極に誘起された電気的な信号を検出して前記生体情報を受信する中継用の生体通信受信手段と、
前記中継用の生体通信受信手段が受信した前記生体情報を最終的に格納する生体情報最終格納手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の生体情報管理装置。
【請求項6】
前記生体通信受信手段は、生体から血液を採取する金属性の採血針に兼用された生体通信用の電極を備え、
前記生体に誘起された電気的な信号を当該生体通信用の電極を介して検出して前記生体情報を受信することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の生体情報管理装置。
【請求項7】
前記金属性の採血針が採取する血液に関する物理量を計測する血液量計測手段と、
前記血液量計測手段が計測した物理量から採血されているか否かを判定する採血判定手段と、
前記採血判定手段が採血されていると判定した場合に前記生体通信受信手段が受信した生体情報を前記生体情報格納手段に格納させるように制御する制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の生体情報管理装置。
【請求項8】
前記生体通信受信手段は、生体から生体組織の一部を採取する金属性のメスに兼用された生体通信用の電極を備え、
前記生体に誘起された電気的な信号を当該生体通信用の電極を介して検出して前記生体情報を受信することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の生体情報管理装置。
【請求項9】
前記生体通信受信手段は、生体の体内に薬液又は輸血用血液を注入するための金属性の注射針に兼用された生体通信用の電極を備え、
前記生体に誘起された電気的な信号を当該生体通信用の電極を介して検出して前記生体情報を受信することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の生体情報管理装置。
【請求項10】
前記生体通信受信手段は、生体の体内に臓器を移植するための金属性のピンセットに兼用された生体通信用の電極を備え、
前記生体に誘起された電気的な信号を当該生体通信用の電極を介して検出して前記生体情報を受信することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の生体情報管理装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−222478(P2007−222478A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48605(P2006−48605)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】