説明

生体認証システムおよび生体認証方法

【課題】同時に複数の入力がなされた場合であっても認証時間の短縮を図ることが可能な生体認証システムおよび生体認証方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る生体認証システムは、生体情報に関連付けられた、ユーザの生体パターンに固有な特徴量情報に基づいて第一次認証を行い、ユーザに割り当てられている識別番号を特定する第1のグループと、第一次認証に成功した生体情報を、識別番号と予め登録されている登録生体情報とに基づいて第二次認証を行う第2のグループと、に区分された複数の情報処理装置を備える。入力された生体情報は、第1のグループに属する全ての情報処理装置に伝送され、第一次認証に成功した生体情報は、第二次認証の開始を待ち受ける待ち行列に待機情報として追加され、第2のグループに属する各情報処理装置は、自装置で実行中の第二次認証処理が終了すると、待ち行列の先頭に位置する待機情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証システムおよび生体認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばある場所の入退室を管理するシステム等のように、複数の登録情報をメモリ等に登録し、登録された登録情報と一致する情報を入力した者が登録者であるか否かを検索する場合がある。この場合、入力される認証対象の情報を、メモリ等に登録された複数の登録情報それぞれと照合する、いわゆる「1対N認証」が行われる。
【0003】
ここで、上述の1対N認証において、パーソナルコンピュータや携帯電話等の情報家電のセキュリティ用途や、小規模なオフィスの入退室管理など、1台のセンサを用いたシステムの場合には、1対N認証におけるNが大きな数になることは少なく、認証時間の長さが問題になることはない。
【0004】
例えば、出入り制御の場合、数十人が働くオフィス等では、扉の外に設置される一台のセンサを用いて同時に一人しか入退室が生じないという設定の元でも、十分に対応することが可能である。出入りの際、登録者は自分の指静脈画像や指紋画像や顔画像や虹彩画像等の生体画像を入力する。オフィスの中に設置されているコンピュータは、保存されている全ての登録データと入力データとの1対N認証を行って、入室を認めるか否かを判断する。登録者の数Nが少ない場合には、比較するデータの数が少ないため、登録者を待たせることなく、認証処理を簡単に実行可能である。ノートパソコンや携帯電話等の場合であっても、例えば静脈認証や指紋認証などの場合にはユーザが複数本の指を予め登録しておくことで、登録者の利便性を損なうことなく、1対N認証を実行できる。
【0005】
しかしながら、大規模な生体認証システムが必要な場合、1対N認証のNが大きくなり、ある一つの入力に対して必要な認証時間が、莫大な長さになる。また、例えば、同じ建物の複数階にオフィスがあるような場合には、複数のセンサを設置することとなるが、同時または微小時間の間に、複数人に対して認証処理を行う必要が生じることも多い。よって、一台の装置で全ての登録者のデータを管理すると、一人に対する認証時間が長くなり、かつ、認証処理待ちの長いキュー(Queue)が発生しうる。これは、入退場を行う登録者にとっても、システム全体にとっても好ましくない状況である。
【0006】
このようなシステムでは、登録情報として、テンプレートと呼ばれる画像データが用いられるが、このテンプレートと入力された情報とを比較するマッチング処理を高速化することができれば、認証時間を短くすることが可能となる。以下に示す特許文献1では、マッチング処理に要する時間を短縮するために、マッチング処理をいくつかのジョブに分け、分けられたジョブを順次並列処理する方法(いわゆるジョブ数方向に並列化する一次元並列化)が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−362186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の方法では、ジョブ数方向にのみ並列化しているため、同時に複数の入力がなされた場合には、認証時間の短縮を図ることができないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、同時に複数の入力がなされた場合であっても認証時間の短縮を図ることが可能な、新規かつ改良された生体認証システムおよび生体認証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザの身体的な特徴を現した生体パターンに対応する情報である生体情報を用いて認証を行う情報処理装置を複数備え、前記複数の情報処理装置は、前記生体情報に関連付けられた、前記ユーザの身体的な特徴を現した生体パターンに固有な特徴量情報に基づいて第一次認証を行い、前記ユーザに割り当てられている識別番号を特定する第1のグループと、前記第一次認証に成功した前記生体情報を、前記識別番号と、予め登録されている登録生体情報とに基づいて第二次認証を行う第2のグループと、に区分されており、入力された前記生体情報は、前記第1のグループに属する全ての前記情報処理装置に伝送され、前記第一次認証に成功した前記生体情報は、前記第二次認証の開始を待ち受ける待ち行列に待機情報として追加され、前記第2のグループに属するそれぞれの前記情報処理装置は、自装置で実行中の第二次認証処理が終了すると、前記待ち行列の先頭に位置する前記待機情報を取得して、前記第二次認証処理を実行する、生体認証システムが提供される。
【0011】
前記第2のグループは、前記第一次認証に成功した前記生体情報を、予め登録されている登録生体パターンのサムネイル画像に基づいて認証を行うサムネイル認証グループと、サムネイル認証に成功した前記生体情報を、予め登録されている登録生体パターンであるテンプレートに基づいて認証を行うテンプレート認証グループと、に更に区分され、前記サムネイル認証グループに成功した生体情報は、前記テンプレートに基づく認証の開始を待ち受ける待ち行列に待機情報として追加され、前記テンプレート認証グループに属するそれぞれの前記情報処理装置は、自装置で実行中のテンプレートに基づく認証処理が終了すると、前記待ち行列の先頭に位置する前記待機情報を取得して、前記テンプレートに基づく認証処理を実行することが好ましい。
【0012】
前記第1のグループに属するそれぞれの前記情報処理装置において前記第一次認証の実行に要する時間と、前記サムネイル認証グループに属するそれぞれの前記情報処理装置において前記サムネイル画像に基づく認証の実行に要する時間と、前記テンプレート認証グループに属するそれぞれの前記情報処理装置において前記テンプレートに基づく認証の実行に要する時間と、が互いに等しくなるように、各グループに属する前記情報処理装置の個数が決定されることが好ましい。
【0013】
前記登録生体情報が登録されている前記ユーザの人数をN人とし、前記第1のグループに属する情報処理装置の個数をA個とした際に、前記第1のグループに属するそれぞれの情報処理装置は、互いに異なる(N/A)人分の前記登録生体情報を保持することが好ましい。
【0014】
前記サムネイル認証グループに属する前記情報処理装置の個数をB個とし、前記テンプレート認証グループに属する前記情報処理装置の個数をC個とした際に、前記第1グループに属する前記情報処理装置の個数と前記サムネイル認証グループに属する前記情報処理装置の個数の比が、以下の式1を満たすように設定され、前記サムネイル認証グループに属する前記情報処理装置の個数と前記テンプレート認証グループに属する前記情報処理装置の個数の比が、以下の式2を満たすように設定されることが好ましい。
【0015】
【数1】

【0016】
ここで、上記式1および式2において、
:第1のグループに属する情報処理装置を通過し待機情報となる生体情報の個数
:サムネイル認証グループに属する情報処理装置を通過し待機情報となる生体情報の個数
:第1のグループに属する情報処理装置において第一次認証の実行に要する時間
:サムネイル認証グループに属する情報処理装置においてサムネイル画像に基づく認証の実行に要する時間
:テンプレート認証グループに属する情報処理装置においてテンプレートに基づく認証の実行に要する時間
である。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザの身体的な特徴を現した生体パターンに対応する情報である生体情報を用いて認証を行う情報処理装置を複数備え、前記複数の情報処理装置が、前記生体情報に関連付けられた、前記ユーザの身体的な特徴を現した生体パターンに固有な特徴量情報に基づいて第一次認証を行い、前記ユーザに割り当てられている識別番号を特定する第1のグループと、前記第一次認証に成功した前記生体情報を、前記識別番号と、予め登録されている登録生体情報とに基づいて第二次認証を行う第2のグループと、に区分されている生体認証システムに入力された前記生体情報を、前記第1のグループに属する全ての前記情報処理装置に伝送し、前記第一次認証を行うステップと、前記第1のグループに属する前記情報処理装置が、前記第一次認証に成功した前記生体情報を、前記第二次認証の開始を待ち受ける待ち行列に待機情報として追加するステップと、前記第2のグループに属するそれぞれの前記情報処理装置が、自装置で実行中の第二次認証処理が終了した後に、前記待ち行列の先頭に位置する前記待機情報を取得して、前記第二次認証処理を実行するステップと、を含む生体認証方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、生体認証処理をジョブ数の方向に並列化するだけでなく登録データ数の方向にも並列化するため、同時に複数の入力がなされた場合であっても認証時間の短縮を図ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
以下の説明では、生体認証の一例として、静脈認証を例にとって説明を行なうものとする。しかしながら、本発明は、静脈認証のみに限定されるわけではなく、指紋認証、顔認証、虹彩認証など、他の様々な生体認証についても適用することが可能である。
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)第1の実施形態
(1−1)静脈認証システムの概略について
(1−2)入力装置の構成について
(1−3)情報処理装置の構成について
第1階層に属する情報処理装置
第2階層に属する情報処理装置
第3階層に属する情報処理装置
(1−4)静脈認証システムの詳細について
(1−5)静脈認証方法について
(2)本発明の各実施形態に係る静脈認証システムが備える各装置のハードウェア構成について
(3)まとめ
【0021】
(第1の実施形態)
<静脈認証システムの概略について>
まず、図1および図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る静脈認証システムの概略について、詳細に説明する。図1および図2は、本実施形態に係る静脈認証システムを説明するための説明図である。
【0022】
本実施形態に係る静脈認証システム1は、例えば図1に示したように、入力装置10と、複数の情報処理装置とを含む。
【0023】
入力装置10には、静脈認証システム1の使用者(ユーザ)により、指などの体表面BSがかざされる。入力装置10は、体表面BSの内部に存在する静脈のパターンを抽出して、静脈認証処理に利用される静脈情報を生成する。また、入力装置10は、ユーザの静脈パターンに固有な特徴量に関する情報である特徴量情報を生成する。入力装置10は、生成した静脈情報および特徴量情報を、後述する複数の情報処理装置に伝送する。
【0024】
情報処理装置は、ユーザの静脈パターンを表す情報である静脈情報を用いて、ユーザの認証を行う。本実施形態に係る静脈認証システム1では、複数の情報処理装置は、以下に説明するような、2種類のグループに大別される。第1のグループは、特徴量情報に基づいて第一次認証を行い、ユーザに割り当てられている固有の識別番号を特定する情報処理装置が属するグループである。第2のグループは、第一次認証に成功した静脈情報を、識別番号と、予め登録されている登録静脈情報とに基づいて第二次認証を行う情報処理装置が属するグループである。
【0025】
図1および図2に示した例では、第1階層に属するA台の情報処理装置20が、第1のグループに属する情報処理装置群である。また、第2階層に属するB台の情報処理装置30と、第3階層に属するC台の情報処理装置40が、第2のグループに属する情報処理装置群である。
【0026】
また、第2のグループは、例えば図2に示したように、更に2種類のグループから構成されていてもよい。ひとつのグループは、第一次認証に成功した静脈情報を、予め登録されている登録静脈パターンのサムネイル画像に基づいて認証を行うサムネイル認証グループである。もう一つのグループは、サムネイル認証に成功した静脈情報を、予め登録されている登録静脈パターンであるテンプレートに基づいて認証を行うテンプレート認証グループである。
【0027】
図1および図2に示した例では、第2階層に属するB台の情報処理装置30が、サムネイル認証グループに属する情報処理装置群である。また、第3階層に属するC台の情報処理装置40が、テンプレート認証グループに属する情報処理装置群である。
【0028】
また、第1階層と第2階層との間には、待ち行列50が設定されており、第2階層と第3階層との間には、待ち行列60が設定される。
【0029】
本実施形態に係る静脈認証システム1について詳細に説明する前に、以下では、まず、入力装置10および各階層に属する情報処理装置20,30,40の構成について、詳細に説明する。
【0030】
<入力装置の構成について>
まず、図3を参照しながら、本実施形態に係る静脈認証システム1が備える入力装置10の構成について、詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る入力装置10の構成を説明するためのブロック図である。
【0031】
本実施形態に係る入力装置10は、例えば図3に示したように、撮像部101と、撮像制御部103と、静脈情報抽出部105と、特徴量抽出部107と、認証情報伝送部109と、記憶部111と、を主に備える。
【0032】
撮像部101は、体表面BSに対して所定の波長帯域を有する近赤外光を照射する光源部と、撮像素子およびレンズ等の光学素子から構成される光学系と、を含む。
【0033】
近赤外光は、身体組織に対して透過性が高い一方で、血液中のヘモグロビン(還元ヘモグロビン)に吸収されるという特徴を有するため、近赤外光を指や手のひらや手の甲に照射すると、指や手のひらや手の甲の内部に分布している静脈が影となって画像に現れる。画像に表れる静脈の影を、静脈パターンという。このような静脈パターンを良好に撮像するために、発光ダイオード等の光源部は、約600nm〜1300nm程度の波長、好ましくは、700nm〜900nm程度の波長を有する近赤外光を照射する。
【0034】
ここで、光源部が照射する近赤外光の波長が600nm未満または1300nm超過である場合には、血液中のヘモグロビンに吸収される割合が小さくなるため、良好な静脈パターンを得ることが困難となる。また、光源部が照射する近赤外光の波長が700nm〜900nm程度である場合には、近赤外光は、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの双方に対して特異的に吸収されるため、良好な静脈パターンを得ることができる。
【0035】
光源部から射出された近赤外光は、体表面BSに向かって伝搬し、直接光として、生体の側面などから内部に入射する。ここで、人体は良好な近赤外光の散乱体であるため、生体内に入射した直接光は四方に散乱しながら伝搬する。生体内を透過した近赤外光は、光学系を構成する光学素子に入射することとなる。
【0036】
撮像部101を構成する光学系は、1または複数の光学素子と、1または複数の撮像素子と、から構成される。
【0037】
人体の皮膚は、表皮層、真皮層および皮下組織層の3層構造となっていることが知られているが、静脈の存在する静脈層は、真皮層に存在している。真皮層は、指表面に対して0.1mm〜0.3mm程度の位置から2mm〜3mm程度の厚みで存在している層である。したがって、このような真皮層の存在位置(例えば、指表面から1.5mm〜2.0mm程度の位置)にレンズ等の光学素子の焦点位置を設定することで、静脈層を透過した透過光を、効率よく集光することが可能となる。
【0038】
光学素子によって集光された静脈層を透過した透過光は、CCDやCMOS等の撮像素子に結像されて、静脈撮像データとなる。生成された静脈撮像データは、後述する静脈情報抽出部105に伝送される。
【0039】
撮像制御部103は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されている。撮像制御部103は、光学系および撮像素子を制御して、撮像データを生成する。
【0040】
撮像制御部103は、撮像素子によって生成された撮像データを、後述する静脈情報抽出部105に出力させる。また、撮像制御部103は、得られた撮像データを、後述する記憶部111に記録してもよい。また、記憶部111への記録に際して、撮像制御部103は、生成した撮像データに撮像日や撮像時刻等を関連づけてもよい。なお、生成される撮像データは、RGB(Red−Green−Blue)信号であってもよいし、それ以外の色やグレースケール等の画像データであってもよい。
【0041】
静脈情報抽出部105は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されており、撮像部101から伝送された近赤外撮像データのなかから、ユーザの静脈パターンを表す情報である静脈情報を抽出する。この静脈情報抽出部105は、例えば、画像平滑化部、輪郭抽出部、マスク画像生成部、切出部、静脈平滑化部、2値化部、太線化部、細線化部、サムネイル画像生成部といった処理部を更に有する。
【0042】
画像平滑化部は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。画像平滑化部は、撮像制御部103から撮像結果として与えられる静脈撮像データに対して、例えばガウシアンと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈撮像データに対応する静脈画像を平滑化する。
【0043】
輪郭抽出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。輪郭抽出部は、画像平滑化部によって平滑化された静脈画像に対して、例えばLog(Laplacian of Gaussian)フィルタと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈画像における輪郭を強調して浮き彫りにする。
【0044】
マスク画像生成部は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。マスク画像生成部は、輪郭抽出部によって輪郭が強調された静脈画像から、背景部分とのコントラストを基に、指輪郭などの輪郭線を検出する。また、マスク画像生成部は、検出された輪郭線に囲まれる指領域と、それ以外の領域とを、2値で示す画像(以下、これをマスク画像とも称する。)を生成する。
【0045】
切出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。切出部は、輪郭抽出部によって輪郭が強調された静脈画像から、マスク画像生成部によって生成されたマスク画像を用いて、指輪郭に囲まれる指領域を含む所定サイズの画像を切り出す。
【0046】
静脈平滑化部は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。静脈平滑部は、切出部によって切り出された静脈画像に対して、例えばメディアンと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈画像における静脈部分を平滑化する。
【0047】
2値化部は、静脈平滑化部によって静脈部分が平滑化された静脈画像を、設定された輝度レベルを基準として、2値レベルに変換する。ここで、仮に、静脈が平滑化される前の静脈画像を2値化対象の画像とした場合、実際には一本の静脈が、2値化によって2本の静脈として分離される確率が高くなる。したがって、静脈が平滑化された静脈画像を2値化対象とすることで、実際の静脈に近似する状態での2値化が可能となる。
【0048】
太線化部は、2値化部によって2値化された静脈画像に対して、例えばダイレーションと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈画像に含まれる静脈を太線化する。この結果、本来連結された静脈箇所であるにもかかわらず途切れていた静脈箇所が連結される。
【0049】
細線化部は、太線化部によって静脈部分が太線化された静脈画像に対して、例えばエロージョンと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈部分の静脈幅を一定とする。
【0050】
サムネイル画像生成部は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。サムネイル画像生成部は、静脈幅が一定となった静脈部分と、背景部分とを2値で示す静脈画像を細線化部から取得し、この静脈画像から、縦横サイズをn分の1倍に圧縮した画像であるサムネイル画像を生成する。
【0051】
このようにして静脈情報抽出部105は、静脈幅が一定とされる静脈部分と、背景部分とを2値で示す画像を、静脈情報として抽出する。静脈情報抽出部105は、抽出された静脈情報およびサムネイル画像と、静脈情報抽出部105が備える各処理部が生成した各種の情報とを、後述する特徴量抽出部107に伝送する。また、静脈情報抽出部105は、抽出した静脈情報およびサムネイル画像を、後述する認証情報伝送部109へと伝送する。なお、静脈情報抽出部105は、抽出した静脈情報およびサムネイル画像や、静脈情報抽出部105が備える各処理部が生成した各種の情報を、後述する記憶部111に記録してもよい。
【0052】
特徴量抽出部107は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。特徴量抽出部107は、静脈情報抽出部105から伝送された静脈情報や、各種の情報に基づいて、ユーザの静脈パターンに固有な特徴量に関する情報である特徴量情報を抽出する。ユーザの静脈パターンに固有な特徴量として、例えば、静脈情報である静脈パターンを表す画像のサムネイル画像や、体の一部(例えば指等)の輪郭に関する情報や、静脈画像の輝度分布に関する情報や、静脈画像の血管量に関する情報等がある。この特徴量抽出部107は、例えば、輪郭形状抽出部、度数分布抽出部、血管量抽出部等を更に有する。
【0053】
輪郭形状抽出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。輪郭形状抽出部は、ノイズ成分の除去段階で生成される静脈画像を用いて、体の一部(例えば、指等)の輪郭形状を表す情報を抽出する。
【0054】
この抽出手法の具体的な一例を説明する。輪郭形状抽出部は、マスク画像生成部からマスク画像を取得し、取得したマスク画像から、指輪郭(指枠を構成する画素)の一部を含む特定領域を切り出す。
【0055】
その後、輪郭形状抽出部は、特定領域を、縦横サイズがn分の1倍となるように圧縮し、圧縮された特定領域に含まれる指輪郭(指枠を構成する画素)の位置を、特定領域での基準(例えば、左端)からの距離を示す座標値(x座標値)として抽出する。
【0056】
度数分布抽出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。度数分布抽出部は、ノイズ成分の除去段階で生成される静脈画像を用いて、指などの体の一部の輪郭に囲まれる生体領域の度数分布を表す情報を抽出する。
【0057】
この抽出手法の具体的な一例を説明する。度数分布抽出部は、画像平滑化部から、平滑化された静脈画像を取得するとともに、マスク画像生成部からマスク画像を取得する。
【0058】
そして度数分布抽出部は、平滑化された静脈画像から、マスク画像を用いて体の部分に該当する領域(例えば指領域)を認識し、体の部分に該当する領域から、設定された輝度階級ごとの画素数を抽出する。
【0059】
血管量抽出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。血管量抽出部は、2値画像における静脈の太線化段階で生成される静脈画像を用いて、指等の体の一部の輪郭に囲まれる領域内の静脈量を表す情報を抽出する。この抽出手法の具体的な一例を説明する。血管量抽出部は、静脈が太線化された2値の静脈画像を太線化部から取得し、静脈画像から、静脈を構成する画素の数(血管量)を表す情報を抽出する。
【0060】
特徴量抽出部107は、輪郭形状を表す情報、度数分布を表す情報、および血管量を表す情報を、後述する認証情報伝送部109に伝送する。また、特徴量抽出部107は、輪郭形状を表す情報、度数分布を表す情報、および血管量を表す情報を、後述する記憶部111に記録してもよい。
【0061】
認証情報伝送部109は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等から構成されている。認証情報伝送部109は、静脈情報抽出部105から伝送された静脈情報およびサムネイル画像と、特徴量抽出部107から伝送された輪郭形状を表す情報、度数分布を表す情報、および血管量を表す情報と、を互いに関連づけて認証情報とする。また、認証情報伝送部109は、生成された認証情報の生成時間に基づいて、認証情報伝送部109が備えるスタックに順に格納される。認証情報伝送部109は、後述する第1階層に属する情報処理装置20群から処理中の第一次認証が終了した旨の通知を受信すると、格納されている認証情報のうち、最先の生成時間を有するものを、第1階層に属する全ての情報処理装置20に伝送する。
【0062】
記憶部111には、本実施形態に係る入力装置10が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベース等が、適宜記録される。この記憶部111は、撮像部101、撮像制御部103、静脈情報抽出部105、特徴量抽出部107、認証情報伝送部109等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
【0063】
また、本実施形態に係る静脈認証システム1のユーザは、本実施形態に係る入力装置10の静脈情報抽出部105および特徴量抽出部107と同様の機能を有する装置を用いて、予め、静脈情報、サムネイル画像、各種の特徴量に関する情報等を登録可能である。
【0064】
以上、本実施形態に係る入力装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0065】
なお、上述のような本実施形態に係る入力装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、撮像部を備えたパーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0066】
<情報処理装置の構成について>
続いて、図4〜図6を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置の構成について、詳細に説明する。図4〜図6は、本実施形態に係る静脈認証システムが備える情報処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0067】
[第1階層に属する情報処理装置20について]
まず、図4を参照しながら、第1階層に属する情報処理装置20の構成について、詳細に説明する。
【0068】
第1階層に属する情報処理装置20は、例えば図4に示したように、認証情報取得部201と、認証部203と、通過情報伝送部205と、記憶部207と、を主に備える。
【0069】
認証情報取得部201は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。認証情報取得部201は、情報処理装置20内で現在行われている第一次認証処理が終了して後述する待ち行列50に通過情報が伝送されると、入力装置20に対して認証情報を伝送するように要請する。入力装置20から新たな認証情報が伝送されると、認証情報取得部201は、伝送された認証情報を取得して、後述する認証部203に伝送する。
【0070】
認証部203は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。認証部203は、後述する記憶部207に格納されている、登録者の特徴量に関する情報が記載されているデータベースを参照して、認証情報中に含まれる特徴量に関して第一次認証処理を行う。特徴量に関する情報は、上述のように、輪郭形状に関する情報、度数分布に関する情報、血管量に関する情報等がある。認証部203は、これらの特徴量を表す情報の中から、いずれか一つを用いて第一次認証処理を行ってもよく、特徴量を表す情報を複数用いて第一次認証処理を行ってもよい。
【0071】
認証部203は、認証処理の結果、自装置に予め登録されている特徴量を表す情報と、伝送された認証情報に含まれる特徴量を表す情報との類似度が、所定の閾値以上であった場合に、伝送された認証情報の第一次認証が成功したと判断する。後述するように、第1階層に属する情報処理装置20には、静脈認証システム1に登録されている登録者の登録データのうち、一部のみが格納されている。そのため、自装置に格納されているデータベースに該当する特徴量を表す情報が存在しない場合には、認証部203は、認証に失敗したと判断する。しかしながら、第1階層に属するいずれかの情報処理装置20には、正規登録者の特徴量を表す情報が存在している。そのため、正規登録者であれば、第1階層に属するいずれかの情報処理装置20が、認証に成功したという判断を下すこととなる。
【0072】
認証部203は、第一次認証処理に成功した特徴量が存在した場合には、該当する特徴量のデータベースを参照し、この特徴量に関連づけて記録されている登録者の認識番号(ID)を取得する。続いて、認証部203は、第一次認証に成功した特徴量を含む認証情報と、取得した識別番号(ID)とを互いに関連づけて通過情報とし、後述する通過情報伝送部205に伝送する。
【0073】
通過情報伝送部205は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等から構成されている。通過情報伝送部205は、認証部203から伝送された通過情報を、第1階層と第2階層との間に設けられた待ち行列50に伝送して、待機情報とする。また、通過情報を待ち行列50に伝送すると、通過情報伝送部205は、認証情報取得部201に対して、入力装置10から新たな認証情報を取得するように要請する。
【0074】
記憶部207には、静脈認証システム1に登録されている登録者の登録データのうち、一部のみが、特徴量データベースとして格納されている。また、記憶部207には、本実施形態に係る情報処理装置20が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベース等が、適宜記録される。この記憶部207は、認証情報取得部201、認証部203、通過情報伝送部205等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
【0075】
以上、本実施形態に係る情報処理装置20の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0076】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置20の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0077】
[第2階層に属する情報処理装置30について]
まず、図5を参照しながら、第2階層に属する情報処理装置30の構成について、詳細に説明する。
【0078】
第2階層に属する情報処理装置30は、例えば図5に示したように、待機情報取得部301と、認証部303と、通過情報伝送部305と、記憶部307と、を主に備える。
【0079】
待機情報取得部301は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。待機情報取得部301は、自装置で現在行われているサムネイル認証処理が終了して後述する待ち行列60に通過情報が伝送されると、待ち行列50の先頭から待機情報を取得して、後述する認証部303に伝送する。
【0080】
認証部303は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。認証部303は、待機情報取得部301から伝送された待機情報について、後述する記憶部307に格納されている、登録者のサムネイル画像に関する情報が記載されているデータベースを参照して、サムネイル認証処理を行う。待機情報には、第1階層に属する情報処理装置20によって、登録者の識別番号(ID)が関連づけられているため、第2階層に属する情報処理装置30は、関連づけられている識別番号(ID)に基づいて、データベースの検索を行うことが可能である。
【0081】
認証部303は、認証処理の結果、自装置が保持しているデータベースに記録されているサムネイル画像に関するデータと、伝送された待機情報に含まれるサムネイル画像との類似度が、所定の閾値以上であった場合に、サムネイル認証が成功したと判断する。
【0082】
認証部303は、サムネイル認証処理に成功した待機情報を、認証に成功した通過情報として後述する通過情報伝送部305に伝送する。
【0083】
通過情報伝送部305は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等から構成されている。通過情報伝送部305は、認証部303から伝送された通過情報を、第2階層と第3階層との間に設けられた待ち行列60に伝送して、待機情報とする。また、通過情報を待ち行列60に伝送すると、通過情報伝送部305は、待機情報取得部301に対して、待ち行例50から新たな待機情報を取得するように要請する。
【0084】
記憶部307には、静脈認証システム1に登録されている登録者の登録データ(特にサムネイル画像に関するデータ)が、データベースとして格納されている。また、記憶部307には、本実施形態に係る情報処理装置30が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベース等が、適宜記録される。この記憶部307は、待機情報取得部301、認証部303、通過情報伝送部305等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
【0085】
以上、本実施形態に係る情報処理装置30の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0086】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置30の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0087】
[第3階層に属する情報処理装置40について]
まず、図6を参照しながら、第3階層に属する情報処理装置40の構成について、詳細に説明する。
【0088】
第3階層に属する情報処理装置40は、例えば図6に示したように、待機情報取得部401と、認証部403と、通過情報伝送部405と、記憶部407と、を主に備える。
【0089】
待機情報取得部401は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。待機情報取得部401は、自装置で現在行われているテンプレート認証処理が終了して認証結果に関する情報が伝送されると、待ち行列60の先頭から待機情報を取得して、後述する認証部403に伝送する。
【0090】
認証部403は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成されている。認証部403は、待機情報取得部401から伝送された待機情報について、後述する記憶部407に格納されている、登録者のテンプレート画像に関する情報が記載されているデータベースを参照して、テンプレート認証処理を行う。待機情報には、第1階層に属する情報処理装置20によって、登録者の識別番号(ID)が関連づけられているため、第3階層に属する情報処理装置40は、関連づけられている識別番号(ID)に基づいて、データベースの検索を行うことが可能である。
【0091】
認証部403は、認証処理の結果、自装置が保持しているデータベースに記録されているテンプレート画像に関するデータと、伝送された待機情報に含まれる静脈情報(すなわち、テンプレート画像)との類似度が、所定の閾値以上であった場合に、テンプレート認証が成功したと判断する。
【0092】
認証部403は、テンプレート認証処理に成功した待機情報を、後述する認証結果伝送部405に伝送する。
【0093】
認証結果伝送部405は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等から構成されている。認証結果伝送部405は、認証部403からテンプレート認証に成功した旨の通知を取得すると、認証結果を情報処理装置40の外部へと通知する。また、認証結果の伝送が終了すると、認証結果伝送部405は、待機情報取得部401に対して、待ち行例60から新たな待機情報を取得するように要請する。
【0094】
記憶部407には、静脈認証システム1に登録されている登録者の登録データ(特にテンプレート画像に関するデータ)が、データベースとして格納されている。また、記憶部407には、本実施形態に係る情報処理装置40が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベース等が、適宜記録される。この記憶部407は、待機情報取得部401、認証部403、認証結果伝送部405等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
【0095】
以上、本実施形態に係る情報処理装置40の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0096】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置40の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0097】
<静脈認証システムの詳細について>
続いて、図1および図2に戻って、静脈認証システム1の詳細について、詳細に説明する。
【0098】
本実施形態に係る静脈認証システム1の第1階層に属する各情報処理装置20には、本静脈認証システムに登録されている登録者のうち、一部の登録者に関する登録データが格納されている。本静脈認証システム1に登録されている登録者の数がN人であり、第1階層に属する情報処理装置20の台数がA台である場合には、例えば図2に示したように、各情報処理装置20には、(N/A)人分の登録データが格納されている。すなわち、1台目の情報処理装置20には、ユーザの識別番号が1番から(N/A)番に該当するデータベースが格納されている。同様に、2台目の情報処理装置20には、ユーザの識別番号が(N/A)+1番から(2N/A)番に該当するデータベースが格納されている。また、A台目の情報処理装置20には、{N・(A−1)}/A番目からN番に該当するデータベースが格納されている。
【0099】
入力装置10にて撮像され、生成された認証情報は、第1階層に属する全ての情報処理装置20に伝送される。認証処理を要求しているユーザが正規の登録者である場合には、A台の情報処理装置20のうち、いずれかの情報処理装置20で第一次認証が成功することとなる。第1階層に属する情報処理装置20を通過した認証情報は、待機情報として、第1階層と第2階層との間に設置された待ち行列50に入力される。情報処理装置20は、待ち行列50に待機情報を伝送すると、入力装置10から新たな認証情報を取得する。
【0100】
第2階層に属するそれぞれの情報処理装置30は、自装置で行っているサムネイル認証処理が終了すると、サムネイル認証を通過した情報を、待機情報として、第2階層と第3階層との間に設置された待ち行列60に伝送する。同時に、情報処理装置30は、待ち行列50の先頭に位置する待機情報を順番に取得して、取得した待機情報について、サムネイル認証処理を実行する。
【0101】
同様に、第3階層に属するそれぞれの情報処理装置40は、自装置で行っているテンプレート認証処理が終了すると、認証結果を外部に設けられた装置に出力する。同時に、情報処理装置40は、待ち行列60の先頭に位置する待機情報を順番に取得して、取得した待機情報について、テンプレート認証処理を実行する。
【0102】
本実施形態に係る静脈認証システム1は、このような処理を行うことにより、いわゆるパイプライン方式で同時に複数のユーザデータを処理することができる。
【0103】
ここで、本実施形態に係る静脈認証システム1では、各階層における総合処理時間が互いに等しくなることが好ましい。そのため、各階層の単位IDごと(すなわち、一つの認証情報ごと)の処理時間と、処理されるIDの総数に基づいて、各階層における情報処理装置の台数を決定する。
【0104】
ここで、時刻Tの時点で、一人のユーザが入力装置10に指静脈画像を入力したとする。また、登録されている登録者の数をN人とし、第1階層に属する情報処理装置20から、平均的にN個の認証データが、第2階層へと通過するものとする。この平均的なデータの個数は、統計的な推定に基づくものであってもよく、システムにおける平均値であってもよい。また、第1段階を通過したN個のデータのうち、平均的にN個のデータが第3段階に通過するものとする。また、1個の認証データについて、第1階層〜第3階層それぞれに要する処理時間が、t、t、tであるとする。
【0105】
この際に、第1階層に属する情報処理装置20の台数Aと、第2階層に属する情報処理装置30の台数Bとの比率を、各階層における処理時間が等しくなるように設定する。すなわち、情報処理装置20の台数Aと、情報処理装置30の台数Bとは、以下の式101を満たすようにする。
【0106】
【数2】

【0107】
上記式101を変形して、情報処理装置20の台数Aと、情報処理装置30の台数Bとの台数の比率は、以下の式102で表される関係を満たす。
【0108】
【数3】

【0109】
同様に、第2階層に属する情報処理装置30の台数Bと、第3階層に属する情報処理装置40の台数Cとの比率を、各階層における処理時間が等しくなるように設定する。その結果、情報処理装置30の台数Bと、情報処理装置40の台数Cとは、以下の式103を満たすようにする。
【0110】
【数4】

【0111】
ここで、具体的な数字を一例として挙げながら、図1および図2に示した静脈認証システム1を説明する。
【0112】
例えば、10000人の出入り管理を考える。この場合、データベースには、N=10000個の登録データセットがあり、入力の際、入力したデータが上記データベースにあるデータのいずれかと認証が成功したら、入室が許可される。ここで、登録データセットとは、ユーザの認証番号、静脈情報、サムネイル画像、輪郭形状に関する情報、度数分布に関する情報および血管量に関する情報が互いに関連づけられているデータセットを意味する。
【0113】
本静脈認証システムでは、第1階層に属する情報処理装置群で、特徴量データ(サムネイル画像、輪郭形状に関する情報、度数分布に関する情報および血管量に関する情報等)の照合による、簡単な1対N認証が行われる。ここで、第1階層に属する情報処理装置群によって、結果的に10000個の全てのデータセットに対して、第一次認証処理が行われ、所定の条件を満たすデータセットだけが、入力データに類似性が高いと判断される。その結果、第1階層に属する情報処理装置20は、類似性が高いと判断された情報に関連づけられたIDおよび認証情報を、第二階層の手前に設けられた待ち行列50に伝送する。
【0114】
ここで、第1階層で1回の照合に0.01msecが必要であり、第1階層に10台の情報処理装置20があるとする。この場合に、各情報処理装置20が1000個の認証情報を担当し、10msecで処理を行うことができる。ここで、第1階層で処理が始まった時点で、第2階層の手前に一本の待ち行列50が用意される。また、第1階層の各情報処理装置20を通過したIDが、直ちに第2階層への待ち行列50に入る。従って、第1階層から最初のIDが渡された時点で、第2階層における処理が開始される。また、入力した本人のIDの順番にかかわらず、第1階層での処理が一定時間(上述の例では10msec)で終了する。
【0115】
第1階層から平均的に2500個の通過情報が、第2階層に渡されるとする。第2階層では、この2500回のサムネイル認証を、待ち行列方式を用いて行う。サムネイル認証一回に0.2msecが必要であるとすると、2500個の認証情報に対して10msecでサムネイル認証が可能であるようにするため、第2階層には50台の情報処理装置30が必要となる。
【0116】
テンプレートを用いた静脈情報の認証(本認証)のため、第2階層から第3階層に待ち行列方式で認証情報が渡される。渡された認証情報の平均個数を20とし、本認証には1回5msecが必要であるとする。この場合には、10msecで20個の認証情報に対して本認証を行うため、10台の情報処理装置40が必要となる。
【0117】
このように、各階層の総合処理時間が同じくなるようにするため、本静脈認証システム1では、各階層の単位認証情報ごとの処理時間と、処理される認証情報の総数とを参考にし、各階層に区分される情報処理装置の台数を決定する。各階層における処理に要する時間が同じであると、複数のユーザがパイプライン方式でシステムを使用する際に、情報処理装置における命令待ち時間が少なくなる。以下では、情報処理装置における命令の待ち時間に関して、説明する。
【0118】
続いて、図7および図8を参照しながら、本実施形態に係る静脈認証システムにおける命令の待ち時間に関して、詳細に説明する。図7は、パイプライン処理における待機時間を説明するための説明図であり、図8は、本実施形態に係るパイプライン処理における待機時間を説明するための説明図である。
【0119】
大規模なシステム、例えば同一のデータベースを用いて建物の複数階への出入り制御を行う場合、各階に複数のセンサを設置し、ユーザは、それぞれのセンサを通してデータを入力する。この場合、同時または微小時間の間に複数のユーザが異なるセンサを通して、自身の生体情報を入力する場合が生じうる。このような場合、本実施形態に係る静脈認証システム1では、各階層におけるそれぞれの処理を、パイプライン方式で行う。つまり、生体情報を入力した人に関する認証処理の開始は、前の人に対する認証処理全体が終了した後ではなく、前の人に対する第1階層での処理が終了した時点になる。
【0120】
まず、図7および図8で用いる記号について説明する。図7および図8において、縦軸は、上から下へ向かって、生体情報を入力したユーザの入力順を表しており、横軸は、時間を表す。ここで、Si(i=1,2,・・・,n)は、i番目のユーザがセンサに生体情報を入力する時点を表す。また、図7および図8に示すように、各ユーザに対して行う処理またはジョブを、三つの段階に分けて表示する。各処理を英文字Jで表し、Jikは、i番目のユーザに対する第k階層の処理(ジョブ)を表す。また、各処理を表す矩形の横方向の長さは、各処理に対応する処理時間を意味する。また、Wiはi番目のユーザの待ち時間を示し、各Wiに対応する破線が、待ち時間の長さを表す。
【0121】
図7では、第2階層のジョブJi2が他の階層でのジョブに比べて長い処理時間がかかる場合について図示している。この場合に、ユーザ2に関して、第2階層での処理開始への待ち時間が生じると共に、その影響で、J13のジョブ終了後第3階層の情報処理装置40がJ23を開始する前に、ある一定時間何もしない状態になる。つまり、情報処理装置40が何も処理を実行しない無駄時間が発生する。また、図7から明らかなように、ユーザ2に対して待ち時間が発生することで、連鎖的にユーザ3およびユーザ4に対しても、無用の待ち時間が生じることとなる。この無駄時間をなくすために、本実施形態に係る静脈認証システム1では、各階層での一人当たりの総合計算時間が同じくなるように、静脈認証システムを構築する。
【0122】
図8は、本実施形態に係る静脈認証システム1におけるパイプライン方式を示している。図8に示した例では、ユーザ1に対して第1階層の処理が終わる前に、直後のユーザ2が生体情報を入力している。よって、ユーザ2が入力してからユーザ1に対する第1階層の処理が終わるまでが、ユーザ2の待ち時間になる。また、ユーザ3が、その直前の人であるユーザ2に対する処理が始まる前に、生体情報を入力している。よって、ユーザ3の待ち時間が長くなる。それに対して、ユーザ4は、その直前のユーザ3に対する第1階層の処理が終了後、生体情報を入力している。よって、ユーザ4の場合、待ち時間は0(ゼロ)になる。
【0123】
また、本実施形態に係る静脈認証システム1では、パイプライン方式を適用することにより、システムが同時に複数のユーザに対する処理(例えば、図8におけるJ13,J22,J31)を行い、システム全体の効率を向上させる。図8から明らかなように、i番目に入力を行ったユーザとi+1番目に入力を行ったユーザの処理時間差の最大値が、max(Ji1,Ji2,Ji3,J(i+1)1,J(i+1)2,J(i+1)3)となる。従って、各ユーザにおける各ジョブ間の待ち時間を最小とするために、Ji1、Ji2、Ji3の処理時間を同一の長さとする。このような処理時間となるように各階層における情報処理装置の台数を設定することにより、システム全体における認証時間の短縮を図ることができる。
【0124】
<静脈認証方法について>
続いて、図9を参照しながら、本実施形態に係る静脈認証システム1で行われる静脈認証方法について、詳細に説明する。図9は、本実施形態に係る静脈認証システムで行われる静脈認証方法を説明するための流れ図である。
【0125】
なお、以下の説明では、静脈認証システム1のユーザは、入力装置10を介して生体情報を入力済みであるとする。
【0126】
入力装置10の認証情報伝送部109に備えられたスタックには、第1階層に属する情報処理装置20へ伝送待ちとなっている認証情報が、認証情報の作成時刻等に関連付けられて順に格納されている。第1階層に属する情報処理装置20から、第一次認証処理が終了した旨の通知が伝送されると、認証情報伝送部109は、スタックの先頭に位置する認証情報を、第1階層に属する全ての情報処理装置20に伝送する(ステップS101)。
【0127】
認証情報を取得した第1階層に属する各情報処理装置20は、伝送された認証情報に対して、特徴量に基づく認証(第一次認証)を、並列処理により実施する(ステップS103)。特徴量に基づく第一次認証が終了すると、情報処理装置20の通過情報伝送部205は、第一次処理が終了した旨を入力装置10のスタックへと通知する(ステップS105)。また、情報処理装置20の通過情報伝送部205は、第1階層を通過した認証情報を、第1階層と第2階層との間に設けられた第2階層の待ち行列50に伝送して(ステップS107)、待機情報とする。
【0128】
第2階層に属する情報処理装置30では、待ち行列方式による認証処理(サムネイル認証処理)が行われる(ステップS109)。より詳細には、第2階層に属する各情報処理装置30は、自装置で実施しているサムネイル認証処理が終了すると、第2階層の待ち行列50の先頭に位置する待機情報を取得して、取得した待機情報に対して、サムネイル認証処理を実施する。サムネイル認証処理が終了すると、第2階層に属する情報処理装置30は、第2階層を通過した認証情報を、第2階層と第3階層との間に設けられた第3階層の待ち行列60に伝送して(ステップS111)、待機情報とする。
【0129】
第3階層に属する情報処理装置40においても、待ち行列方式による認証処理(テンプレート認証処理)が行われる(ステップS113)。より詳細には、第3階層に属する各情報処理装置40は、自装置で実施しているテンプレート認証処理が終了すると、第3階層の待ち行列60の先頭に位置する待機情報を取得して、取得した待機情報に対して、テンプレート認証処理を実施する。テンプレート認証処理が終了すると、第3階層に属する情報処理装置40の認証結果伝送部405は、認証結果を伝送する(ステップS115)。
【0130】
本実施形態に係る静脈認証システム1は、このような処理を行うことにより、いわゆるパイプライン方式で同時に複数のユーザデータを処理することができる。
【0131】
<ハードウェア構成について>
次に、図10を参照しながら、本発明の各実施形態に係る入力装置10のハードウェア構成について、詳細に説明する。図10は、本発明の各実施形態に係る入力装置10のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0132】
入力装置10は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、情報処理装置10は、更に、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919と、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備える。
【0133】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、入力装置10内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0134】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0135】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、入力装置10の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。入力装置10のユーザは、この入力装置915を操作することにより、入力装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0136】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、入力装置10が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、入力装置10が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0137】
ストレージ装置919は、入力装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種データなどを格納する。
【0138】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、入力装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、メモリースティック、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0139】
接続ポート923は、機器を入力装置10に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、i.Link等のIEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、入力装置10は、外部接続機器929から直接各種データを取得したり、外部接続機器929に各種データを提供したりする。
【0140】
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0141】
以上、本発明の各実施形態に係る入力装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0142】
なお、本発明の各実施形態に係る情報処理装置20,30,40のハードウェア構成は、本発明の各実施形態に係る入力装置10のハードウェア構成と同様の構成であり、ほぼ同様の効果を奏するものであるため、詳細な説明は省略する。
【0143】
<まとめ>
以上説明したように、本発明の各実施形態に係る静脈認証システムでは、システムを静脈認証処理のジョブ数(特徴量による認証、サムネイル認証、テンプレート認証)方向だけでなく、データベース上の登録データ数(すなわち、登録者数)の方向にも並列化する。すなわち、本静脈認証システムでは、ジョブ数方向にシステムを階層化するとともに、登録データ数方向に、各階層に属する情報処理装置を並列化している。
【0144】
また、本発明の各実施形態に係る静脈認証システムでは、階層と階層との間に待ち行列を設置することにより、階層に属する情報処理装置に対して、平等にジョブを分配することが可能となる。
【0145】
また、各階層に属する情報処理装置の台数を、各階層における処理に要する時間と、各情報処理装置が担当する登録データ数とに基づいて設定することにより、パイプライン方式における無駄時間を最小化することが可能となる。
【0146】
このように、本発明の各実施形態に係る静脈認証システムでは、静脈認証処理をジョブ数の方向に並列化するだけでなく登録データ数の方向にも並列化するため、同時に複数の入力がなされた場合であっても認証時間の短縮を図ることが可能となる。
【0147】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0148】
例えば、上述した実施形態においては、静脈認証に関する処理を、特徴量による認証、サムネイル画像を用いた認証、および、テンプレート画像を用いた認証の3段階に区分した場合について説明したが、2段階に区分してもよく、4段階以上に区分してもよい。
【0149】
また、上述した実施形態においては、静脈認証を例にとって説明を行なったが、本発明の各実施形態は、静脈認証に限定されるわけではなく、他の様々な生体認証に対しても適用することが可能である。
【0150】
また、上述した実施形態においては、複数の情報処理装置を用いて、いわゆるグリッド・コンピューティングを行なう場合について説明したが、1または複数のマルチコアCPUを用いて、本発明の各実施形態に係る生体認証システムを構築してもよい。すなわち、マルチコアCPUが備える複数のプロセッサコアの一部をそれぞれの階層における処理に割り当てて、本発明の各実施形態に係る生体認証システムを実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る静脈認証システムを説明するための説明図である。
【図2】同実施形態に係る静脈認証システムを説明するための説明図である。
【図3】同実施形態に係る静脈認証システムが備える入力装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】同実施形態に係る静脈認証システムが備える情報処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】同実施形態に係る静脈認証システムが備える情報処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】同実施形態に係る静脈認証システムが備える情報処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】パイプライン処理における待機時間を説明するための説明図である。
【図8】同実施形態に係るパイプライン処理における待機時間を説明するための説明図である。
【図9】同実施形態に係る静脈認証方法を説明するための流れ図である。
【図10】本発明の各実施形態に係る静脈認証システムが備える入力装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0152】
1 静脈認証システム
10 入力装置
20,30,40 情報処理装置
50,60 待ち行列
101 撮像部
103 撮像制御部
105 静脈情報抽出部
107 特徴量抽出部
109 認証情報伝送部
201 認証情報取得部
203,303,403 認証部
205,305 通過情報伝送部
207,307,407 記憶部
301,401 待機情報取得部
405 認証結果伝送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体的な特徴を現した生体パターンに対応する情報である生体情報を用いて認証を行う情報処理装置を複数備え、
前記複数の情報処理装置は、
前記生体情報に関連付けられた、前記ユーザの身体的な特徴を現した生体パターンに固有な特徴量情報に基づいて第一次認証を行い、前記ユーザに割り当てられている識別番号を特定する第1のグループと、
前記第一次認証に成功した前記生体情報を、前記識別番号と、予め登録されている登録生体情報とに基づいて第二次認証を行う第2のグループと、
に区分されており、
入力された前記生体情報は、前記第1のグループに属する全ての前記情報処理装置に伝送され、
前記第一次認証に成功した前記生体情報は、前記第二次認証の開始を待ち受ける待ち行列に待機情報として追加され、
前記第2のグループに属するそれぞれの前記情報処理装置は、自装置で実行中の第二次認証処理が終了すると、前記待ち行列の先頭に位置する前記待機情報を取得して、前記第二次認証処理を実行する、生体認証システム。
【請求項2】
前記第2のグループは、
前記第一次認証に成功した前記生体情報を、予め登録されている登録生体パターンのサムネイル画像に基づいて認証を行うサムネイル認証グループと、
サムネイル認証に成功した前記生体情報を、予め登録されている登録生体パターンであるテンプレートに基づいて認証を行うテンプレート認証グループと、
に更に区分され、
前記サムネイル認証グループに成功した生体情報は、前記テンプレートに基づく認証の開始を待ち受ける待ち行列に待機情報として追加され、
前記テンプレート認証グループに属するそれぞれの前記情報処理装置は、自装置で実行中のテンプレートに基づく認証処理が終了すると、前記待ち行列の先頭に位置する前記待機情報を取得して、前記テンプレートに基づく認証処理を実行する、請求項1に記載の生体認証システム。
【請求項3】
前記第1のグループに属するそれぞれの前記情報処理装置において前記第一次認証の実行に要する時間と、前記サムネイル認証グループに属するそれぞれの前記情報処理装置において前記サムネイル画像に基づく認証の実行に要する時間と、前記テンプレート認証グループに属するそれぞれの前記情報処理装置において前記テンプレートに基づく認証の実行に要する時間と、が互いに等しくなるように、各グループに属する前記情報処理装置の個数が決定される、請求項2に記載の生体認証システム。
【請求項4】
前記登録生体情報が登録されている前記ユーザの人数をN人とし、前記第1のグループに属する情報処理装置の個数をA個とした際に、
前記第1のグループに属するそれぞれの情報処理装置は、互いに異なる(N/A)人分の前記登録生体情報を保持する、請求項3に記載の生体認証システム。
【請求項5】
前記サムネイル認証グループに属する前記情報処理装置の個数をB個とし、前記テンプレート認証グループに属する前記情報処理装置の個数をC個とした際に、
前記第1グループに属する前記情報処理装置の個数と前記サムネイル認証グループに属する前記情報処理装置の個数の比が、以下の式1を満たすように設定され、
前記サムネイル認証グループに属する前記情報処理装置の個数と前記テンプレート認証グループに属する前記情報処理装置の個数の比が、以下の式2を満たすように設定される、請求項4に記載の生体認証システム。
【数1】


ここで、上記式1および式2において、
:第1のグループに属する情報処理装置を通過し待機情報となる生体情報の個数
:サムネイル認証グループに属する情報処理装置を通過し待機情報となる生体情報の個数
:第1のグループに属する情報処理装置において第一次認証の実行に要する時間
:サムネイル認証グループに属する情報処理装置においてサムネイル画像に基づく認証の実行に要する時間
:テンプレート認証グループに属する情報処理装置においてテンプレートに基づく認証の実行に要する時間
である。
【請求項6】
ユーザの身体的な特徴を現した生体パターンに対応する情報である生体情報を用いて認証を行う情報処理装置を複数備え、前記複数の情報処理装置が、前記生体情報に関連付けられた、前記ユーザの身体的な特徴を現した生体パターンに固有な特徴量情報に基づいて第一次認証を行い、前記ユーザに割り当てられている識別番号を特定する第1のグループと、前記第一次認証に成功した前記生体情報を、前記識別番号と、予め登録されている登録生体情報とに基づいて第二次認証を行う第2のグループと、に区分されている生体認証システムに入力された前記生体情報を、前記第1のグループに属する全ての前記情報処理装置に伝送し、前記第一次認証を行うステップと、
前記第1のグループに属する前記情報処理装置が、前記第一次認証に成功した前記生体情報を、前記第二次認証の開始を待ち受ける待ち行列に待機情報として追加するステップと、
前記第2のグループに属するそれぞれの前記情報処理装置が、自装置で実行中の第二次認証処理が終了した後に、前記待ち行列の先頭に位置する前記待機情報を取得して、前記第二次認証処理を実行するステップと、
を含む、生体認証方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−146120(P2010−146120A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320221(P2008−320221)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】