生分解性インプラント及びその製造方法
本発明は、マグネシウムを含む生分解性インプラントにおいて、前記マグネシウムは、不純物としてマンガン(Mn)と;鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下であることを特徴とする生分解性インプラント及びその製造方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生分解性インプラント及びその製造方法に係り、より詳しくは生分解速度の容易な制御が可能であり、強度及び骨組職との界面力に優れ、骨形成速度を向上させ、耐食性及び機械的物性が同時に向上する生分解性(biodegradable)インプラント及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療的治療を目的で使われるインプラントの代表的な材料としては、金属、セラミック及び高分子などがある。この中で、金属性インプラントは機械的性質及び加工性に優れている。しかし、金属性インプラントは応力遮蔽現象(stress shielding)、画質劣化(image degradation)及びインプラント移動(implant migration)などの欠点がある。また、セラミック性インプラントは他のインプラントに比べて生体適合性が相対的に優れる。しかし、セラミック性インプラントは外部衝撃に易しく破損され、加工が難しい欠点がある。また、高分子インプラントは他のインプラント材料に比べて相対的に強度が低い欠点がある。
【0003】
近年、人体への挿入の際、骨組職形成を加速させ、ヤング率を低めて応力遮蔽現象を防止した多孔性インプラントが開発されている。しかし、このような多孔性インプラントは機械的強度が低くて外部衝撃に弱い欠点がある。また、人体手術の後、所期の目的を達成した後、インプラントを除去する手術過程が不要な生分解性インプラントに対する研究開発が進んだ。このような生分解性材料の医学的適用は1960年代中盤からポリ乳酸(polylactic acids、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、またはこれらの共重合体(copolymer)であるPLGAなどの高分子を主として既に研究され始めていた。しかし、生分解性高分子は、低い機械的強度、分解時の酸発生の問題及び生分解速度制御の困難さなどのためその応用が制限されていた。特に、生分解性高分子は、機械的強度が低い高分子特性によって強い荷重を受ける整形外科分野や歯科分野のインプラントに適用し難かった。よって、生分解性高分子の欠点を克服するためにいくつかの種類の生分解性材料が研究された。代表的なものとしては、トリ−カルシウム−フォスフェート(tri−calcium phosphate、TCP)のようなセラミック、生分解性高分子、生分解性ヒドロキシアパタイト(hydroxy apatite、HA)の複合材料などがある。
【0004】
しかし、このような材料の機械的特性が生分解性高分子に比べて著しく変わったものはなかった。特に、セラミック材料の脆弱な耐衝撃性は生体材料として致命的な欠点として提起された。また、生分解速度の制御が難しくて実効性に疑問がある。
【0005】
一方、生分解性インプラントは人体内に適用されるとき、負荷を受ける部分が発生するので高強度でなければならない。高強度化を具現するために、生分解性インプラントに急速冷却、押出し、熱処理などの追加工程を実施してインプラントの組職を微細化し、内部の残留応力を制御することが要求される。また、生分解性インプラントとして使われる金属の合金組成を適切に設計、つまり金属の合金組成を変化させなければならない。ここで、合金組成の変化は一般に添加元素量を調節して遂行し、合金に含まれる添加元素量が増加するほど機械的強度は向上する。
【0006】
しかし、添加元素量が増加すれば、インプラントを構成する金属が組成の不均質性及び微細組職の不均質性を増加させて腐食速度を速めるガルバニックサーキット(Galvanic circuit)が形成しやすい条件になり、インプラントの腐食速度が速くなる。よって、強度の高いながらも生分解速度が遅い合金素材をインプラントに適用しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来技術の問題点を解決ために、本発明の目的は、生分解速度を制御することができる生分解性インプラントを提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、既存の多孔性インプラントの低い機械的強度、耐衝撃性を補う生分解性インプラントを提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、耐食性及び機械的物性を同時に向上させることができる生分解性インプラントを提供することである。
【0010】
また、本発明の目的は、骨形成速度を向上させ、手術後に一定時間が経過すれば気孔を充填している生分解性金属素材が消滅して骨組職で取り替えられる生分解性インプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、
本発明は、マグネシウムを含む生分解性インプラントにおいて、
前記マグネシウムは、不純物として、
マンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下であることを特徴とする生分解性インプラントを提供する。
【0012】
また、本発明は、
a)不純物としてマンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量がマグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて1以下のマグネシウムを提供する段階;及び
b)前記マグネシウムを成形する段階を含むことを特徴とする生分解性インプラントの製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、下記化学式1で示され、総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%以下;Xを0重量%を超えて10重量%以下;及びMgを残部に含むマグネシウム合金を含むことを特徴とする生分解性インプラントを提供する。
【0014】
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【0015】
また、本発明は、i)前記マグネシウム合金を提供する段階;及びii)前記マグネシウム合金を成形する段階を含むことを特徴とする生分解性インプラントの製造方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、マグネシウムを含む生分解性インプラントに超音波を適用したことを特徴とする生分解性インプラントの製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、総重量に対し、マンガンを0重量%を超えて10重量%以下;鉄を0重量%を超えて1重量%以下;及びマグネシウムを含む金属を残部に含むことを特徴とする生分解性インプラントを提供する。
【0018】
また、本発明は、総重量に対し、酸化マグネシウム(MgO)を0重量%を超えて90重量%以下;及びマグネシウムを含む金属を残部に含む生分解性インプラントを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による生分解性インプラントは分解速度が極めて低く制御されて生体内で長期間留まることができる利点がある。
【0020】
また、本発明による生分解性インプラントが多孔性構造体を含む場合、気孔を通じて血管(blood vessel)が形成されて骨形成速度が向上し、ヤング率の減少による応力遮蔽現象が減少する。
【0021】
また、本発明による生分解性インプラントは機械的強度及び耐衝撃性を改善することができる。
【0022】
また、本発明による生分解性インプラントは耐食性及び機械的物性が同時に向上する利点がある。
【0023】
したがって、本発明によるインプラントは骨代替物または骨治療などへの応用に適し、整形外科用、歯科用、形成外科用または血管用などに使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は実施例1、実施例2及び比較例1の浸漬時間による水素発生量を示すグラフである。
【図2】図2は押出し前の実施例3、実施例4及び比較例3の生分解性インプラントの機械的強度評価結果を示すグラフである。
【図3】図3は押出し後の実施例3、実施例4及び比較例3の生分解性インプラントの機械的強度評価結果を示すグラフである。
【図4】図4は実施例3、実施例4及び比較例3の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。
【図5】実施例4〜実施例6の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。
【図6】図6は実施例7〜実施例11、比較例2及び比較例4の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。
【図7】図7は亜鉛含量による水素発生量を示すグラフである。
【図8】図8は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片の表面を示す電子燎微鏡写真である。
【図9】図9は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片をEDSで分析した表面写真である。
【図10】図10は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片に生じた腐食物を除去した写真である。
【図11】図11は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片の断面図である。
【図12】図12は図11の写真を拡大した写真である。
【図13】図13は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片をWDS(製造社:JEOL、製品名:JXA−8500F)で撮影した写真である。
【図14】図14は61時間生体模写液中に放置した実施例8のインプラント試片の断面図である。
【図15】図15は61時間生体模写液中に放置した実施例8のインプラント試片をWDS(製造社:JEOL、製品名:JXA−8500F)で撮影した写真である。
【図16】図16は二つの実施例8のインプラント試片の中で、一方に超音波を適用するが、他方には超音波を適用しなかった後、生体模写液に浸漬し、時間による水素発生量を測定したグラフである。
【図17】図17は超音波を適用した実施例8のインプラントを生体模写液に浸漬し、時間による水素発生量を測定したグラフである。
【図18】図18は実施例12〜実施例14の浸漬時間による水素発生量を示すグラフである。
【図19】図19は実施例14の押出し前の結晶粒のサイズを示す写真である。
【図20】図20は実施例14の押出し前後の浸漬時間による水素発生量を示すグラフである。
【図21】図21は比較例4をネズミ(rat)の体内に挿入した場合、体内に発生した水素ガスの脹れ(swelling)現象を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0026】
I.不純物を含む生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントはマグネシウムを含み、
前記マグネシウムは不純物として、
マンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下である。
【0027】
好ましくは、前記{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて0.5以下である。前記{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)が前述した範囲を満たせば、生体内で分解速度が極めて低く制御されて耐食性が向上する。これにより生体内でインプラントがより長期間留まることができる。
【0028】
前記不純物としてニッケル(Ni)とマンガン(Mn)が含まれるとき、ニッケル(Ni)が人体にアレルギー反応を引き起こし、純Mgの腐食速度を速める。したがって、ニッケル含量は100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下が最も好ましい。
【0029】
前記マグネシウムは不純物としてアルミニウム(Al)をさらに含むことが好ましい。
【0030】
本発明の生分解性インプラントは前記不純物を含むマグネシウムが多孔性構造体の気孔に充填されたものであることができる。
【0031】
前記多孔性構造体の気孔の大きさは200〜500μmであることが好ましく、前記気孔の大きさは当該技術分野の通常の方法を用いて使用分野によって調節することができる。前記気孔の大きさが前述した範囲を満たせば、栄養分、ミネラル及びイオンの供給を担当する血管が気孔を通過することが容易である。
【0032】
前記多孔性構造体の気孔率は5〜95%であることが好ましい。ここで、気孔率は全体積のうち気孔が占める体積比を言う。前記気孔率は、適用しようとする対象の要求強度が高い場合、気孔率を低めて多孔性構造体の強度を高めることができる。具体的な例を挙げれば、多孔性構造体が強度の高いタンタルのような金属の場合であるか、単に損失された骨の空洞(cavity)を満たす役目をする場合、気孔率を高めても構わない。
【0033】
前記多孔性構造体は、金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種以上であることができる。前記多孔性構造体が金属の場合、チタンまたはチタン合金、コバルト−クロム合金及びステンレスよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記多孔性構造体がセラミックの場合、カルシウムフォスフェート(Calcium Phosphate)、アルミナ、ジルコニア及びマグネシアよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記多孔性構造体が高分子の場合、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid:PGA)及びこれらの共重合体であるPLGAよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。ここで、多孔性構造体が前述した高分子の場合、生体内で分解可能な酸が発生してpHが低くなる現象が発生する。この際、マグネシウムで気孔が充填された高分子複合材の場合、マグネシウムが分解してpHを高める効果があるので、高分子とマグネシウムの分解速度を制御すれば生体内のpHを任意に調節することができる更なる効果も期待することができる。
【0034】
前述した本発明による生分解性インプラントは、整形外科用、歯科用、形成外科用または血管用インプラントに使われることができる。具体的に、前記インプラントは脊椎用インターボディースペーサー(interbody spacer)、骨充填材(bone filler)、骨プレート(bone plate)、骨ピン(bone pin)、骨ネジ(bone screw)、スカフォルド(scaffold)、ステント(Stent)及び人工歯根などのインプラントとして使用可能である。
【0035】
II.不純物を含む生分解性インプラントの製造方法
以下、本発明の生分解性インプラントの製造方法を説明する。
【0036】
本発明による生分解性インプラントの製造方法は、
a)不純物としてマンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量がマグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下のマグネシウムを提供する段階;及び
b)前記マグネシウムを成形する段階を含む。
【0037】
前記a)段階は前記マグネシウムを溶融させて提供する段階であることが好ましい。より詳細に説明すれば、前記a)段階はマグネシウムと反応しないアルゴン(Ar)のような不活性ガス雰囲気または真空雰囲気で前記マグネシウムを溶融させて提供する段階であることができる。また、前記a)段階は低抗体に電気を印加して熱を発生させる抵抗加熱方式、誘導コイルに電流を流して誘導加熱する方式、またはレーザーまたは集束光による方式などの多様な方法によって前記マグネシウムを溶融させて提供する段階であることができる。ここで、前述した溶融方式の中で、抵抗加熱方式が最も経済的である。マグネシウムの溶融の際、不純物がよく混合されるように溶融合金(以下、溶湯)を撹拌することが好ましい。
【0038】
本発明の他の実施例による生分解性インプラントが多孔性構造体の気孔に前記マグネシウム合金が充填されたものであるなら、前記a)段階は、a−1)多孔性構造体を準備する段階;及びa−2)前記多孔性構造体の気孔を前記マグネシウムで充填させる段階をさらに含むことができる。
【0039】
前記a−1)段階において、多孔性構造体は、金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種であることができる。
【0040】
前記多孔性構造体を金属のみから製造する場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0041】
まず、金属を粉末または線材(wire)に製造する。前記粉末または線材に製造された金属を予備成形体(Green preform)に製造する。前記予備成形体を製造する方法は、焼結法及び前記焼結法の変形方法を用いることができる。
【0042】
前記焼結法による予備成形体の製造方法は下記のようである。まず、前記粉末または線材に製造された金属を容器に入れるかあるいは100MPa以下の適正な力で押し付けて低い強度を持つようにし、前記のように低い強度を持つようになった金属を前記金属の融点の2/10〜9/10の温度で維持して粉末または線材どうし結合して機械的強度を持つ予備成形体を製造する。
【0043】
また、前記焼結法が変形された方法による製造方法は下記のようである。前記粉末または線材に製造された金属をグラファイトのような伝導性容器に入れ、伝導性容器に高電流を流して、前記粉末または線材に製造された金属の接触部で瞬間的に熱が発生するようにすることで焼結体を形成して予備成形体を製造する。
【0044】
前記多孔性構造体が金属及び高分子を含んで製造される場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0045】
まず、金属を粉末または線材(wire)に製造する。ついで、前記粉末または線材に製造された金属に高分子を混合し、温度を上昇させる過程で低温で高分子が分解して消滅され、高温で粉末または線材に製造された金属が焼結されて適切な機械的強度を持つ予備成形体を製造する。この際、焼結温度、加圧力、高分子と金属の混合比などによって気孔率と焼結体の強度が決定され、必要によって適切な条件を選択することができる。焼結温度は多孔性構造体の製造に使用された素材の種類によって変わり、一般的に多孔性構造体の融点の1/2〜9/10程度が好ましい。焼結の際、圧力を加えなくても焼結は起こるが、加圧力が高いほど焼結が早く進む。ただ、加圧力を高めるほど装置費用と金型費用などの追加費用がかかるため、適切な圧力を選択することが良い。
【0046】
また、前述した方法の外に、前記多孔性構造体が金属及び高分子を含んで製造される場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0047】
まず、高分子表面を金、白金及びPdなどの貴金属でメッキする。その後、高分子を除去することで、生体適合性がより良い金属多孔性構造体を製造することができる。
【0048】
前記多孔性構造体が水溶性塩と金属から製造される場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0049】
まず、水溶性塩と金属粉末を混合して高温成形することで予備成形体を製造する。ここで、前記水溶性塩は、NaNO2、KNO2、NaNO3、NaCl、CuCl、KNO3、KCl、LiCl、KNO3、PbCl2、MgCl2、CaCl2及びBaCl3よりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。
【0050】
ついで、前記予備成形体を金属粉末融点の2/10〜9/10の温度で加圧する。加圧過程において、金属粉末は原子移動によって互いに結合されて構造体を形成し、水溶性塩が内部に含まれた複合材を形成するようになる。前記複合材を水に浸せば、水溶性塩のみが溶出することにより、気孔を持つ金属多孔性構造体が製造される。さらに、金属素材を完全に溶融した後、ガスを発生させる発泡剤を注入して金属多孔性構造体を製造することもできる。
【0051】
前記多孔性構造体が高分子及び金属イオンを含む電解液から製造される場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0052】
まず、多孔性高分子の表面を金属イオンを含む電解液を用いて金属でメッキする。この際、前記金属イオンは特に限定されないが、Ti、Co、Cr及びZrよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。ついで、温度をあげて高分子を除去すれば多孔性金属構造体を製造することができる。
【0053】
前記多孔性構造体がセラミックから製造される場合、前記a−2)段階は下記のようである。
【0054】
まず、セラミック微分とバインダーポリマー(高分子)を混合する。前記混合物をポリウレタンのような除去可能な素材でなった発泡材(foam)の骨格構造表面に被せた後、乾燥させて多孔性構造体を製造する、その後、温度を高めれば結合材高分子の燃焼温度付近で高分子が燃消して除去され、温度をより高めれば、残ったセラミックどうし焼結されることで、機械的強度を有する多孔性構造体を製造することができる。
【0055】
ここで、前記セラミック微分はヒドロキシアパタイト(HA)、ジルコニア及びアルミナよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。
【0056】
前記a−1)段階は、前述した多孔性構造体の製造方法を変形するか組み合わせる方法、または異種素材の一部に適用して内部と外部の気孔率が互いに異なるように制御された多孔性構造体を製造する方法であることもできる。後者の方法においては、内部は、気孔が少ないか存在しない高密度であり、外側は気孔率が高くて位置別気孔率が異なる多孔性構造体を製造することができる。これは、インプラントの表面での高い骨形成速度を誘導し、全体としては高い外部応力に耐えるようにインプラントを製造する場合に使用できる。また、前述した多孔性構造体の製造方法は多様な多孔性構造体製造方法の一例であるだけであり、多孔性構造体の製造方法を異にすることによって本発明の権利範囲が限定されるものではない。
【0057】
前記a−2)段階は、マグネシウムの溶融液に前記多孔性構造体を浸漬させる方法、前記多孔性構造体を固定させたままでマグネシウムの溶融液を流して気孔を充填させる方法、及び前記両者の方法において外部から1気圧以上の圧力を加えて溶融マグネシウムがより容易に多孔性構造体の気孔の間に充填されるようにする方法よりなる群から選ばれる一つを用いることができる。この際、溶融マグネシウムが気孔を充填させるうちに凝固しないように多孔性構造体を加熱するかあるいは表面の各種汚染物質を除去して溶融マグネシウムが容易に気孔を満たすように誘導することができる。
【0058】
また、前記a−2)段階は下記のような段階であることもできる。より詳細に説明すれば、まず、マグネシウムを高温で、好ましくは700℃以上で維持して気化させた後、マグネシウム蒸気が多孔性構造体の気孔の間を通過しながら気孔表面に蒸着するようにし、マグネシウムで多孔性構造体の気孔を充填させる段階であることができる。
【0059】
また、前記a−2)段階は下記のような段階であることができる。より詳細に説明すれば、マグネシウムを含む塩を液体に溶解した後、多孔性構造体をその液体に通過させることで多孔性構造体の気孔表面にマグネシウムが吸着されるようにする段階であることができる。
【0060】
前述したような充填方法の外に、さらに他の変形例として、多孔性構造体の気孔をマグネシウム合金で全て充填させずに一部のみを充填させることもできる。すなわち、多孔性構造体に溶融マグネシウムを充填させた後、マグネシウムが完全に凝固する前に多孔性構造体に高圧ガスを吹きつけたり、多孔性構造体を回転させたり叩いたりすると、凝固しなかったマグネシウムが多孔性構造体から除去され、一部のマグネシウムのみ気孔に残存することにより、気孔の一部にマグネシウムが含浸された複合材を製造することができる。この場合、多孔性構造体の気孔の位置別マグネシウム充填率が異なるように制御できる。
【0061】
また、他の変形例として、多孔性構造体の骨格表面にだけマグネシウムが付いており、気孔は一定の部分が残っているように制御して、インプラントの内部に骨形成に必要な微細血管が容易に形成されるように空間を維持するとともにマグネシウムによってより容易に骨形成がなされることができる更なる効果を期待することができる。
【0062】
一方、融点がマグネシウムに比べて低い高分子の場合、多孔性構造体を先に製造し、後に溶融マグネシウムで気孔を充填させる場合、高分子多孔性構造体が正常形状を維持することができなくなる。したがって、高分子とマグネシウムを含む生分解性インプラントは、マグネシウム粉末と高分子を体積比5:95〜95:5の範囲で混合した後、150〜500℃に昇温して1気圧〜100気圧の範囲に加圧する方法で生分解性インプラントを製造することが好ましい。前述した条件は高分子−Mg生分解性インプラントの好ましい製造条件であるだけであり、前記条件から外れた条件でも高分子−マグネシウム生分解性インプラントが成形できないものではないので、製造条件の変更によって本発明の権利が侵害されないのではない。
【0063】
前述したような金属、セラミック及び高分子多孔性構造体の製造方法及び多孔性構造体の気孔をマグネシウム合金で充填させる方法と、マグネシウム充填高分子生分解性インプラントの製造方法は本発明を例示するためのものであるだけ、本発明の保護範囲がこれに限定されるものではない。
【0064】
本発明の生分解性インプラントの製造方法に含まれるb)段階は、前記溶融した生分解速度制御用マグネシウム合金を冷却法、押出し法及び金属加工法よりなる群から選ばれる一つ以上で成形する段階であることができる。
【0065】
前記冷却法は、マグネシウム合金の機械的強度を向上させる目的で用いることができる。より詳しく説明すれば、前記a)段階でマグネシウムが溶融したら、溶融マグネシウムが含まれたるつぼを水に浸漬させる方法を用いることができる。また、前記溶融マグネシウムをアルゴンなどの不活性ガスを用いて噴霧する冷却法を用いることができる。前記噴霧する冷却法はずっと高い速度で冷却して非常に微細な組職を形成させることができる。しかし、小さくマグネシウムを鋳造する場合、内部に多数の気孔(黒い部分)が形成されることもできるので、気を付けなければならない。
【0066】
前記押出し法は、マグネシウムの組職を均一にして機械的性能を向上させる目的で用いられる。前記押出し法は300〜450℃で行われることが好ましい。また前記マグネシウムの押出しは押出し前後の断面積減少比(押出し比)が10:1〜30:1となるように実行することができる。押出し比が大きくなるほど押出し材の微細組職が均一になり、鋳造の際に形成された欠陷が容易に除去される利点があるが、この場合、押出し装置の容量を増加させることが好ましい。
【0067】
前記金属加工法は、当該技術分野に公知の金属加工法であるなら、特に限定されない。例えば、最終製品に近い形状に加工された型に前述したように溶融マグネシウムを注いで直接鋳造する方法、棒状や板状などの中間材に製造した後、これを旋盤またはフライス盤で加工する方法、マグネシウム合金を高い力で加圧鍛造して最終製品の形状に製造する方法などをあげることができる。
【0068】
III.Mg−Ca−Xで示される生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントは下記化学式1で示され、総重量に対し、Caは0重量%を超えて23重量%以下、Xは0重量%を超えて10重量%以下、かつMgは残部に含まれるマグネシウム合金を含む。
【0069】
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1において、XはMnまたはZnである。
【0070】
前記マグネシウム合金が前述した範囲を満たせば、機械的物性及び耐食性が同時に向上し、脆性破壊が起こらない生分解性インプラントを提供することができる。
【0071】
また、前記マグネシウム合金は、好ましくは総重量に対し、前記Caを0重量%を超えて23重量%以下、Xを0.1〜5重量%及びMgを残部に含むものであり、より好ましくは、前記Caを0重量%を超えて23重量%以下、Xを0.1〜3重量%及びMgを残部に含むものである。その理由は、発生し得る不純物の副作用を考慮して、同一腐食速度を具現する場合、不純物の含量が少ないことが有利であるからである。
【0072】
本発明の生分解性インプラントは前記化学式1で示され、総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%未満、Xを0重量%を超えて10重量%未満、かつMgを残部にを含むマグネシウム合金で多孔性構造体の気孔が充填されたものであることができる。
【0073】
前記多孔性構造体の気孔の大きさは200〜500μmであることが好ましい。前記気孔の大きさは当該技術分野の通常の方法を用いて使われる分野によって調節できる。前記気孔の大きさが前述した範囲を満たせば、栄養分、ミネラル及びイオンの供給を担当する血管が気孔を通過し易くなる。
【0074】
前記多孔性構造体の気孔率は5〜95%であることが好ましい。ここで、気孔率は全体積のうち気孔が占める体積比を言う。前記気孔率は適用しようとする対象の要求強度が高い場合、気孔率を低めて多孔性構造体の強度を高めることができる。具体的な例を挙げれば、多孔性構造体が強度の高いタンタルのような金属の場合であるか、単に損失された骨の空洞(cavity)を満たす役目をする場合、気孔率を高めても構わない。
【0075】
前記多孔性構造体は、金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記金属はチタンまたはチタン合金、コバルト−クロム合金及びステンレスよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記セラミックはカルシウムフォスフェート(Calcium Phosphate)、アルミナ、ジルコニア及びマグネシアよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記高分子は、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid:PGA)及びこれらの共重合体であるPLGAよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。ここで、多孔性構造体が前述した高分子の場合、生体内で分解可能な酸が発生してpHが低くなる現象が起こる。この際、マグネシウム合金で気孔が充填された高分子複合材の場合、マグネシウムが分解してpHを高める効果があるので、高分子とマグネシウムの分解速度を制御すれば生体内のpHを任意に調節することができる更なる効果も期待することができる。
【0076】
前述した本発明による生分解性インプラントは、整形外科用、歯科用、形成外科用または血管用インプラントとして使われることができる。具体的に、前記インプラントは、脊椎用インターボディースペーサー(interbody spacer)、骨充填材(bone filler)、骨プレート(bone plate)、骨ピン(bone pin)、骨ネジ(bone screw)、スカフォルド(scaffold)及び人工歯根などのインプラントとして使われることができる。
【0077】
IV.Mg−Ca−Xで示される生分解性インプラントの製造方法
以下、本発明の生分解性インプラントの製造方法を説明する。
【0078】
本発明による生分解性インプラントはi)下記化学式1で示されるものの総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%未満、Xを0重量%を超えて10重量%未満、かつMgを67重量%を超えて100重量%未満含むマグネシウム合金を提供する段階;及びii)前記マグネシウム合金を成形する段階を含む。
【0079】
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【0080】
ここで、前記マグネシウム合金についての説明は前述したので省略する。
【0081】
前記i)段階は前記マグネシウム合金を溶融させて提供する段階であることが好ましい。前記i)段階についての説明は前記a)段階についての説明と同様であるのでその記載を省略する。
【0082】
本発明の他の実施例による生分解性インプラントが多孔性構造体の気孔に前記マグネシウム合金が充填されたものであるなら、前記i)段階は、i−1)多孔性構造体を準備する段階;及びi−2)前記多孔性構造体の気孔を前記マグネシウム合金で充填させる段階をさらに含むことができる。
【0083】
前記i−1)段階とi−2)段階についての説明は前記a−1)段階及びa−2)段階についての説明と同様であるのでその記載を省略する。
【0084】
本発明の生分解性インプラントの製造方法に含まれるii)段階は、前記溶融した生分解速度制御用マグネシウム合金を冷却法、押出し法及び金属加工法よりなる群から選ばれる一つ以上で成形する段階であることができる。
【0085】
前記ii)段階についての説明は前記b)段階についての説明と同様であるので省略する。
【0086】
V.超音波を適用した生分解性インプラントの製造方法
本発明はマグネシウムを含む生分解性インプラントに超音波を適用する生分解性インプラントの製造方法を提供する。前記マグネシウムを含む生分解性インプラントに超音波を適用すれば、生体内での腐食速度が速くなってより短い時間内にインプラントが消滅する利点がある。
【0087】
前記マグネシウムを含む生分解性インプラントは多孔性構造であることができ、不純物として、マンガン(Mn)と;鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対し、0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて1以下の生分解性インプラントであることができ、下記化学式1で示され、総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%未満;Xを0重量%を超えて10重量%未満;かつMgを67重量%を超えて100重量%未満含むマグネシウム合金を含むことを特徴とする生分解性インプラントであることができる。
【0088】
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【0089】
本発明による生分解性インプラントは分解速度が極めて低く制御されて生体内で長期間留まることができる利点がある。また、本発明による生分解性インプラントが多孔性構造体を含む場合、気孔を通過する血管(blood vessel)が形成されて骨形成速度が向上し、ヤング率の減少による応力遮蔽現象が減少する。また、本発明による生分解性インプラントは機械的強度及び耐衝撃性を改善することができる。また、本発明による生分解性インプラントは耐食性及び機械的物性が同時に向上する利点がある。よって、本発明によるインプラントは骨代替物または骨治療などへの応用に適し、整形外科用、歯科用、形成外科用または血管用などに使うことができる。
【0090】
VI.マンガンの含量を調節した生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントは、総重量に対し、マンガンを0重量%を超えて10重量%以下;鉄を0重量%を超えて1重量%以下;及びマグネシウムを含む金属を99重量%以上100重量%未満含む。この際、前記マンガンの含量は0.3〜0.6重量%であることが好ましい。
【0091】
また、本発明の生分解性インプラントは不純物として鉄をさらに含むことが好ましい。
【0092】
本発明の生分解性インプラントは前述した含量のマンガンを含むことにより、前記マグネシウムを含む金属に含まれた鉄と結合して電位差を下げてガルバニック腐食性を減少させることができる。また、前記マンガンが前記マグネシウムを含む金属に含まれた鉄を被覆してマグネシウムと鉄の接触を遮断することで、腐食が発現することを防止ないし減少させることができる。
【0093】
ここで、マグネシウムを含む金属は、純粋マグネシウム、不純物を微量含むマグネシウム、またはマグネシウム合金であることができる。前記不純物は、Xがジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ニオビューム(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、リン(P)及びニッケル(Ni)の中で選択されるものであることができる。
【0094】
VII.酸化マグネシウムを含む生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントは、総重量に対し、酸化マグネシウム(MgO)を0重量%を超えて90重量%以下;及びマグネシウムを含む金属を10重量%以上100重量%未満含む。
【0095】
本発明の生分解性インプラントに前述した含量の酸化マグネシウムが含まれれば、前記生分解性インプラントに腐食特性を制御するので、体内に前記生分解性インプラントが挿入されたとき、水素発生による脹れ(swelling)現象を防止することができる。
【0096】
本発明の生分解性インプラントの酸化マグネシウムの量が多いほどマグネシウムを含む金属の腐食性を減少させることができるが、前述した範囲に含まれることが最も好ましい。
【0097】
ここで、マグネシウムを含む金属は、純粋マグネシウム、不純物を微量含むマグネシウム、またはマグネシウム合金であることができる。前記不純物は、Xがジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ニオビューム(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、リン(P)及びニッケル(Ni)の中で選択されるものであることができる。
【0098】
VIII.押出しによって腐食特性が制御された生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントは押出しによって素材内部の粗大な結晶粒によって発生するPCP(Preferred Crystallographic Pitting Corrosion)腐食を防止することができる。より詳細に説明すれば、結晶粒が粗大になれば、結晶粒の間で腐食が発生する可能性が高い。結晶粒の大きさを押出しで減らせば、結晶粒の間隔が小さくなり、これにより腐食を防止することができる。
【0099】
この際、押出し前後の断面積減少比(押出し比)は2:1以上であれば特に限定されないが、25:1または20:1を超えることが好ましい。
【実施例】
【0100】
以下、実施例に基づいて生分解速度制御用マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む生分解性インプラントの製造をより詳細に説明する。ただ、下記の実施例は本発明を例示するためのものであるだけ、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0101】
実施例1、実施例2及び比較例1:マンガン(Mn)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を含む不純物の総和がマグネシウム100重量部に対し、0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)+ニッケル(Ni)}/マンガン(Mn)が0を超えて5以下の生分解速度制御用マグネシウム合金を含む生分解性インプラントの製造
【0102】
下記表1に記載した含量の鉄、ニッケル、アルミニウム、マンガン及びマグネシウムをステンレススチール(SUS410)で製作された内径50mmのるつぼに装入した。ついで、るつぼ中の鉄、ニッケル、マンガン、アルミニウム及びマグネシウムが空気と接触しないように、るつぼの周りにアルゴンガスを流し、抵抗加熱炉を用いてるつぼの温度を約700℃〜750℃の範囲にあげることで、鉄、ニッケル、アルミニウム、マンガン及びマグネシウムを溶融させた。溶融した鉄、ニッケル、アルミニウム、マンガン及びマグネシウムが互いによく混じるようにるつぼを振って撹拌させた。完全に溶融したマグネシウム合金を冷却させて、固状のマグネシウム合金を製造した。また、冷却の際には、マグネシウムの機械的強度を向上させるために、るつぼを水に浸漬することで、溶融マグネシウム合金が急速に冷却されるようにした。
【0103】
前記固状のマグネシウム合金を押し出し、押出し温度は400℃であり、押出し前後の断面積減少比(押出し比)を15:1に固定した。
【0104】
【表1】
【0105】
試験例1:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例1、実施例2及び比較例1の生分解性インプラントを下記表2の組成を有する溶液に浸漬し、浸漬時間による水素発生量で腐食速度を評価し、結果を図1に示した。
【0106】
【表2】
【0107】
図1を参照すれば、実施例1は50時間が経過した後から水素が発生し、実施例2は浸漬初期から200時間が経過した時点まで水素がほとんど発生しないことから、インプラントの腐食がほとんど発生しないことが分かる。一方、比較例1は浸漬初期から水素が発生することが分かる。このような結果から、{鉄(Fe)+ニッケル(Ni)}/マンガン(Mn)が0を超えて5以下の実施例1及び実施例2が生分解性インプラントの生分解速度が、{鉄(Fe)+ニッケル(Ni)}/マンガン(Mn)が5を超える比較例1より遅いことが分かる。
【0108】
実施例3〜実施例11及び比較例2〜比較例5:生分解性インプラント製造
下記表3に記載した含量のマグネシウム、カルシウム、マンガン及び亜鉛をステンレススチール(SUS410)で製作された内径50mmのるつぼに装入した。ついで、るつぼ中のマグネシウム、カルシウム、マンガン及び亜鉛が空気と接触しないように、るつぼの周りにアルゴンガスを流し、抵抗加熱炉を用いてるつぼの温度を約700℃〜750℃の範囲にあげてマグネシウム、カルシウム、マンガン及び亜鉛を溶融させた。溶融したマグネシウム、カルシウム、マンガン及び亜鉛が互いによく混じるようにるつぼを振って撹拌させた。完全に溶融したマグネシウム合金を冷却させて固状のマグネシウム合金を製造した。また、冷却の際には、マグネシウムの機械的強度を向上させるためにるつぼを水に浸漬して、溶融マグネシウム合金が急速に冷却するようにした。
【0109】
前記固状のマグネシウム合金を押し出し、押出し温度は400℃であり、押出し前後の断面積減少比(押出し比)を15:1に固定した。
【0110】
【表3】
【0111】
試験例1:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントの機械的強度評価
図2は押出し前の生分解性インプラントの機械的強度評価結果を示すものであり、図3は押出し後の生分解性インプラントの機械的強度評価結果を示すものである。
【0112】
図2及び図3を参照すれば、押出し前には実施例3は、比較例3に比べ、降伏強度が220MPaから180MPaに少し落ち、押出し後にも320MPaから280MPaに少し落ちたことが分かる。しかし、280MPaは負荷を受けるインプラント製品に充分に適用可能な値であるので、製品の適用に全然無理がない。また、押出し前、7%〜10%に至ることができなかった伸び率が押出し後に12%〜16%まで増加した。これはインプラントが外部から強い衝撃を受けたときに耐える性能が優秀であることを意味する。
【0113】
また、実施例4は強度が220MPaから170MPaに落ちたが、押出し後には比較例3と同等な320MPaを維持した。伸び率も押出し前の12%から押出し後の17%に増加して、機械的な面でも比較例3と同等以上を維持している。
【0114】
一方、前述した降伏強度は各グラフで勾配が変わる時点での強度を意味する。
【0115】
試験例2:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例3〜実施例11、比較例3〜6の生分解性インプラントを前記表2の組成を有する生体模写液に浸漬し、浸漬時間による水素発生量で腐食速度を評価した。その理由は、一般的にインプラントの腐食速度はマグネシウムが生分解すれば水素が発生するため生体模写液による水素発生量で測定する。
【0116】
図4は実施例3、実施例4及び比較例3の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。図5は押出し前の実施例4〜実施例6の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。図6は押出し前の実施例7〜実施例11、比較例2及び比較例4の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。図7は亜鉛含量による水素発生量の結果を示す。
【0117】
図4を参照すれば、比較例3は5時間後に急速分解が始まるが、実施例3は17時間が経過した後に急速分解が始まることが分かる。また、実施例4は、浸漬後に30日が経過しても急激な腐食現象が発生しなかった。よって、本発明による生分解性インプラントは比較例3に比べて耐食性が優秀であることが分かる。
【0118】
図5及び6を参照すれば、Zn含量による腐食速度が分かる。つまり、亜鉛含量が増加するほど腐食速度が速くなることが分かる。
【0119】
図7を参照すれば、水素発生量0.5ml/cm2となるときのZn含有量別腐食速度を示す。腐食速度を見れば、本合金の最適組成は0.1〜5%であるが、好ましくは0.1〜3%であると言える。その理由は、腐食速度が同一である区間が存在するが、人体に及ぼすかも知れないZnの副作用を考慮すれば、同一腐食速度を具現すると仮定してZnの含有量が少ないことが良いと判断される。
【0120】
一方、x軸において、0.5は実施例7、0.76は実施例8、1.63は実施例9、3は実施例10、4.12は実施例11を示す。
【0121】
図8は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片の表面を示す電子燎微鏡写真、図9は図8に示した実施例7のインプラント試片をEDSで分析した表面写真である。図10は図8に示した実施例7のインプラント試片に生じた腐食物を除去した写真である。
【0122】
図8及び図9を参照すれば、表面に腐食物が生成したことが分かる。前記腐食物に対して分析して見た結果、構成要素は表4に示した。
【0123】
【表4】
【0124】
表4を参照すれば、腐食物の構成要素として酸素が測定されたことから、実施例7のインプラント試片が酸化したことが分かり、リンとカルシウムは生体模写液から来由したと予測することができる。よって、リンとカルシウムを含む腐食物によって骨の結合効果が促進されることを予測することができる。
【0125】
図10は図8及び図9に示す腐食物を除去したことを示す写真であり、腐食物が除去された実施例7のインプラント試片を分析した結果を表5に示した。
【0126】
【表5】
【0127】
表5を参照すれば、腐食物が除去された後にもリンとカルシウムが残っていることが分かる。これにより生体模写液から来由したリンとカルシウムはなかなか除去されないことが分かる。
【0128】
図11は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片の断面図、図12は図11の写真を拡大した写真、図13は61時間前記表2の生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片をWDS(製造社:JEOL、製品名:JXA−8500F)で撮影した写真である。
【0129】
図11〜図13を参照すれば、マグネシウムの間に明るい線のようなものはMg2Caであり、黒い線のようなものは腐食された領域であることが分かる。黒い線が徐々にマグネシウムに食い込みながら腐食が進むことが分かる。
【0130】
図14は61時間生体模写液中に放置した実施例8のインプラント試片の断面図である。
【0131】
図15は61時間生体模写液中に放置した実施例8のインプラント試片をWDS(製造社:JEOL、製品名:JXA−8500F)で撮影した写真である。
【0132】
図14及び図15を参照すれば、Mg−Ca−Znの化合物がMg2Ca(Zn)を包んでいることが分かり、亜鉛の含量が増加するとき、Mg2Caに亜鉛がさらに含有されることが分かる。
【0133】
試験例3:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例7〜実施例11及び比較例2のインプラント試片の降伏強度、破壊強度及び伸び率を測定して表6に示した。
【0134】
【表6】
【0135】
試験例4:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントに超音波を適用したときの腐食速度評価
実施例8のインプラント試片を横9.65cm、縦19.66cm、厚さ1.18cmに切断して二つの試片を準備した。二つの試片に超音波を適用した後、前記表2の生体模写液に3時間浸漬し、水素発生量を測定して図15及び図16に示した。
【0136】
図16及び図17を参照すれば、超音波を適用した試片が水素発生量が多いことから腐食がより早く発生することが分かる。
【0137】
実施例12〜実施例14:生分解性インプラント製造
下記表7に記載された含量のマグネシウム及びマンガンをステンレススチール(SUS410)で製作された内径50mmのるつぼに装入した。ついで、るつぼ中のマグネシウム及びマンガンが空気と接触しないように、るつぼの周りにアルゴンガスを流し、抵抗加熱炉を用いてるつぼの温度を約700℃〜750℃の範囲にあげてマグネシウム及びマンガンを溶融させた。溶融マグネシウム及びマンガンが互いによく混じるようにるつぼを振って撹拌させた。完全に溶融したマグネシウム合金を冷却させて固状のマグネシウム合金を製造した。また、冷却の際には、マグネシウムの機械的強度を向上させるためにるつぼを水に浸漬して、溶融マグネシウム合金が急速に冷却されるようにして生分解性インプラントを製造した。
【0138】
【表7】
【0139】
試験例5:マンガンの含量を調節した生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例12〜14のインプラント試片を横9.65cm、縦19.66cm、厚さ1.18cmに切断して二つの試片を準備した。二つの試片に超音波を適用した後、前記表2の生体模写液に3時間浸漬し、水素発生量を測定して図18に示した。
【0140】
図18を参照すれば、マンガンが0重量%を超えて1重量%以下含まれれば、50時間の後に腐食が発生し始め、0.5重量%以上のマンガンが含まれた場合、腐食特性が最良に制御されることが分かる。
【0141】
試験例6:押し出された生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例14の生分解性インプラントを押し出し、押出し温度は400℃であり、押出し前後の断面積減少比(押出し比)を25:1に固定した。
【0142】
押出し前後の実施例14の生分解性インプラントを前記表2の生体模写液に3時間浸漬し、水素発生量を測定した。
【0143】
図19は実施例14の生分解性インプラントを押し出さなかったときの結晶粒を示す写真である。
【0144】
図19を参照すれば、結晶粒に沿ってPCP腐食が発生することが分かる。
【0145】
図20は実施例14の生分解性インプラントの押出し前後の腐食特性を示すグラフである。
【0146】
図20を参照すれば、押出しを実施しなければ、腐食特性が低下することが分かる。
【0147】
実施例15:生分解性インプラントの製造
下記表8に記載した含量のマグネシウム及び酸化マグネシウムをステンレススチール(SUS410)で製作された内径50mmのるつぼに装入した。ついで、るつぼ中のマグネシウム及び酸化マグネシウムが空気と接触しないように、るつぼの周りにアルゴンガスを流し、抵抗加熱炉を用いてるつぼの温度を約700℃〜750℃の範囲にあげてマグネシウム及び酸化マグネシウムを溶融させた。溶融マグネシウム及び酸化マグネシウムが互いによく混じるようにるつぼを振って撹拌させた。完全に溶融したマグネシウム合金を冷却させて固状のマグネシウム合金を製造した。また、冷却の際には、マグネシウムの機械的強度を向上させるためにるつぼを水に浸漬して、溶融マグネシウム合金が急速に冷却するようにすることで生分解性インプラントを製造した。
【0148】
【表8】
【0149】
試験例7:酸化マグネシウムを含む生分解性インプラントの体内水素発生量評価
実施例15及び比較例4をネズミ(rat)の体内に挿入して体内水素発生量を評価した。
【0150】
図21は比較例4の生分解性インプラントを挿入したネズミ(rat)を撮影した写真である。
【0151】
図21を参照すれば、ネズミの体内で水素が発生して脹れ現象が発生したことが分かる。
【0152】
しかし、実施例15をネズミの体内に挿入すれば、脹れ現象が全然発生しなかった。
【技術分野】
【0001】
本発明は生分解性インプラント及びその製造方法に係り、より詳しくは生分解速度の容易な制御が可能であり、強度及び骨組職との界面力に優れ、骨形成速度を向上させ、耐食性及び機械的物性が同時に向上する生分解性(biodegradable)インプラント及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療的治療を目的で使われるインプラントの代表的な材料としては、金属、セラミック及び高分子などがある。この中で、金属性インプラントは機械的性質及び加工性に優れている。しかし、金属性インプラントは応力遮蔽現象(stress shielding)、画質劣化(image degradation)及びインプラント移動(implant migration)などの欠点がある。また、セラミック性インプラントは他のインプラントに比べて生体適合性が相対的に優れる。しかし、セラミック性インプラントは外部衝撃に易しく破損され、加工が難しい欠点がある。また、高分子インプラントは他のインプラント材料に比べて相対的に強度が低い欠点がある。
【0003】
近年、人体への挿入の際、骨組職形成を加速させ、ヤング率を低めて応力遮蔽現象を防止した多孔性インプラントが開発されている。しかし、このような多孔性インプラントは機械的強度が低くて外部衝撃に弱い欠点がある。また、人体手術の後、所期の目的を達成した後、インプラントを除去する手術過程が不要な生分解性インプラントに対する研究開発が進んだ。このような生分解性材料の医学的適用は1960年代中盤からポリ乳酸(polylactic acids、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、またはこれらの共重合体(copolymer)であるPLGAなどの高分子を主として既に研究され始めていた。しかし、生分解性高分子は、低い機械的強度、分解時の酸発生の問題及び生分解速度制御の困難さなどのためその応用が制限されていた。特に、生分解性高分子は、機械的強度が低い高分子特性によって強い荷重を受ける整形外科分野や歯科分野のインプラントに適用し難かった。よって、生分解性高分子の欠点を克服するためにいくつかの種類の生分解性材料が研究された。代表的なものとしては、トリ−カルシウム−フォスフェート(tri−calcium phosphate、TCP)のようなセラミック、生分解性高分子、生分解性ヒドロキシアパタイト(hydroxy apatite、HA)の複合材料などがある。
【0004】
しかし、このような材料の機械的特性が生分解性高分子に比べて著しく変わったものはなかった。特に、セラミック材料の脆弱な耐衝撃性は生体材料として致命的な欠点として提起された。また、生分解速度の制御が難しくて実効性に疑問がある。
【0005】
一方、生分解性インプラントは人体内に適用されるとき、負荷を受ける部分が発生するので高強度でなければならない。高強度化を具現するために、生分解性インプラントに急速冷却、押出し、熱処理などの追加工程を実施してインプラントの組職を微細化し、内部の残留応力を制御することが要求される。また、生分解性インプラントとして使われる金属の合金組成を適切に設計、つまり金属の合金組成を変化させなければならない。ここで、合金組成の変化は一般に添加元素量を調節して遂行し、合金に含まれる添加元素量が増加するほど機械的強度は向上する。
【0006】
しかし、添加元素量が増加すれば、インプラントを構成する金属が組成の不均質性及び微細組職の不均質性を増加させて腐食速度を速めるガルバニックサーキット(Galvanic circuit)が形成しやすい条件になり、インプラントの腐食速度が速くなる。よって、強度の高いながらも生分解速度が遅い合金素材をインプラントに適用しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来技術の問題点を解決ために、本発明の目的は、生分解速度を制御することができる生分解性インプラントを提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、既存の多孔性インプラントの低い機械的強度、耐衝撃性を補う生分解性インプラントを提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、耐食性及び機械的物性を同時に向上させることができる生分解性インプラントを提供することである。
【0010】
また、本発明の目的は、骨形成速度を向上させ、手術後に一定時間が経過すれば気孔を充填している生分解性金属素材が消滅して骨組職で取り替えられる生分解性インプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、
本発明は、マグネシウムを含む生分解性インプラントにおいて、
前記マグネシウムは、不純物として、
マンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下であることを特徴とする生分解性インプラントを提供する。
【0012】
また、本発明は、
a)不純物としてマンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量がマグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて1以下のマグネシウムを提供する段階;及び
b)前記マグネシウムを成形する段階を含むことを特徴とする生分解性インプラントの製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、下記化学式1で示され、総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%以下;Xを0重量%を超えて10重量%以下;及びMgを残部に含むマグネシウム合金を含むことを特徴とする生分解性インプラントを提供する。
【0014】
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【0015】
また、本発明は、i)前記マグネシウム合金を提供する段階;及びii)前記マグネシウム合金を成形する段階を含むことを特徴とする生分解性インプラントの製造方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、マグネシウムを含む生分解性インプラントに超音波を適用したことを特徴とする生分解性インプラントの製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、総重量に対し、マンガンを0重量%を超えて10重量%以下;鉄を0重量%を超えて1重量%以下;及びマグネシウムを含む金属を残部に含むことを特徴とする生分解性インプラントを提供する。
【0018】
また、本発明は、総重量に対し、酸化マグネシウム(MgO)を0重量%を超えて90重量%以下;及びマグネシウムを含む金属を残部に含む生分解性インプラントを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による生分解性インプラントは分解速度が極めて低く制御されて生体内で長期間留まることができる利点がある。
【0020】
また、本発明による生分解性インプラントが多孔性構造体を含む場合、気孔を通じて血管(blood vessel)が形成されて骨形成速度が向上し、ヤング率の減少による応力遮蔽現象が減少する。
【0021】
また、本発明による生分解性インプラントは機械的強度及び耐衝撃性を改善することができる。
【0022】
また、本発明による生分解性インプラントは耐食性及び機械的物性が同時に向上する利点がある。
【0023】
したがって、本発明によるインプラントは骨代替物または骨治療などへの応用に適し、整形外科用、歯科用、形成外科用または血管用などに使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は実施例1、実施例2及び比較例1の浸漬時間による水素発生量を示すグラフである。
【図2】図2は押出し前の実施例3、実施例4及び比較例3の生分解性インプラントの機械的強度評価結果を示すグラフである。
【図3】図3は押出し後の実施例3、実施例4及び比較例3の生分解性インプラントの機械的強度評価結果を示すグラフである。
【図4】図4は実施例3、実施例4及び比較例3の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。
【図5】実施例4〜実施例6の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。
【図6】図6は実施例7〜実施例11、比較例2及び比較例4の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。
【図7】図7は亜鉛含量による水素発生量を示すグラフである。
【図8】図8は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片の表面を示す電子燎微鏡写真である。
【図9】図9は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片をEDSで分析した表面写真である。
【図10】図10は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片に生じた腐食物を除去した写真である。
【図11】図11は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片の断面図である。
【図12】図12は図11の写真を拡大した写真である。
【図13】図13は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片をWDS(製造社:JEOL、製品名:JXA−8500F)で撮影した写真である。
【図14】図14は61時間生体模写液中に放置した実施例8のインプラント試片の断面図である。
【図15】図15は61時間生体模写液中に放置した実施例8のインプラント試片をWDS(製造社:JEOL、製品名:JXA−8500F)で撮影した写真である。
【図16】図16は二つの実施例8のインプラント試片の中で、一方に超音波を適用するが、他方には超音波を適用しなかった後、生体模写液に浸漬し、時間による水素発生量を測定したグラフである。
【図17】図17は超音波を適用した実施例8のインプラントを生体模写液に浸漬し、時間による水素発生量を測定したグラフである。
【図18】図18は実施例12〜実施例14の浸漬時間による水素発生量を示すグラフである。
【図19】図19は実施例14の押出し前の結晶粒のサイズを示す写真である。
【図20】図20は実施例14の押出し前後の浸漬時間による水素発生量を示すグラフである。
【図21】図21は比較例4をネズミ(rat)の体内に挿入した場合、体内に発生した水素ガスの脹れ(swelling)現象を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0026】
I.不純物を含む生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントはマグネシウムを含み、
前記マグネシウムは不純物として、
マンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下である。
【0027】
好ましくは、前記{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて0.5以下である。前記{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)が前述した範囲を満たせば、生体内で分解速度が極めて低く制御されて耐食性が向上する。これにより生体内でインプラントがより長期間留まることができる。
【0028】
前記不純物としてニッケル(Ni)とマンガン(Mn)が含まれるとき、ニッケル(Ni)が人体にアレルギー反応を引き起こし、純Mgの腐食速度を速める。したがって、ニッケル含量は100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下が最も好ましい。
【0029】
前記マグネシウムは不純物としてアルミニウム(Al)をさらに含むことが好ましい。
【0030】
本発明の生分解性インプラントは前記不純物を含むマグネシウムが多孔性構造体の気孔に充填されたものであることができる。
【0031】
前記多孔性構造体の気孔の大きさは200〜500μmであることが好ましく、前記気孔の大きさは当該技術分野の通常の方法を用いて使用分野によって調節することができる。前記気孔の大きさが前述した範囲を満たせば、栄養分、ミネラル及びイオンの供給を担当する血管が気孔を通過することが容易である。
【0032】
前記多孔性構造体の気孔率は5〜95%であることが好ましい。ここで、気孔率は全体積のうち気孔が占める体積比を言う。前記気孔率は、適用しようとする対象の要求強度が高い場合、気孔率を低めて多孔性構造体の強度を高めることができる。具体的な例を挙げれば、多孔性構造体が強度の高いタンタルのような金属の場合であるか、単に損失された骨の空洞(cavity)を満たす役目をする場合、気孔率を高めても構わない。
【0033】
前記多孔性構造体は、金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種以上であることができる。前記多孔性構造体が金属の場合、チタンまたはチタン合金、コバルト−クロム合金及びステンレスよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記多孔性構造体がセラミックの場合、カルシウムフォスフェート(Calcium Phosphate)、アルミナ、ジルコニア及びマグネシアよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記多孔性構造体が高分子の場合、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid:PGA)及びこれらの共重合体であるPLGAよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。ここで、多孔性構造体が前述した高分子の場合、生体内で分解可能な酸が発生してpHが低くなる現象が発生する。この際、マグネシウムで気孔が充填された高分子複合材の場合、マグネシウムが分解してpHを高める効果があるので、高分子とマグネシウムの分解速度を制御すれば生体内のpHを任意に調節することができる更なる効果も期待することができる。
【0034】
前述した本発明による生分解性インプラントは、整形外科用、歯科用、形成外科用または血管用インプラントに使われることができる。具体的に、前記インプラントは脊椎用インターボディースペーサー(interbody spacer)、骨充填材(bone filler)、骨プレート(bone plate)、骨ピン(bone pin)、骨ネジ(bone screw)、スカフォルド(scaffold)、ステント(Stent)及び人工歯根などのインプラントとして使用可能である。
【0035】
II.不純物を含む生分解性インプラントの製造方法
以下、本発明の生分解性インプラントの製造方法を説明する。
【0036】
本発明による生分解性インプラントの製造方法は、
a)不純物としてマンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量がマグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下のマグネシウムを提供する段階;及び
b)前記マグネシウムを成形する段階を含む。
【0037】
前記a)段階は前記マグネシウムを溶融させて提供する段階であることが好ましい。より詳細に説明すれば、前記a)段階はマグネシウムと反応しないアルゴン(Ar)のような不活性ガス雰囲気または真空雰囲気で前記マグネシウムを溶融させて提供する段階であることができる。また、前記a)段階は低抗体に電気を印加して熱を発生させる抵抗加熱方式、誘導コイルに電流を流して誘導加熱する方式、またはレーザーまたは集束光による方式などの多様な方法によって前記マグネシウムを溶融させて提供する段階であることができる。ここで、前述した溶融方式の中で、抵抗加熱方式が最も経済的である。マグネシウムの溶融の際、不純物がよく混合されるように溶融合金(以下、溶湯)を撹拌することが好ましい。
【0038】
本発明の他の実施例による生分解性インプラントが多孔性構造体の気孔に前記マグネシウム合金が充填されたものであるなら、前記a)段階は、a−1)多孔性構造体を準備する段階;及びa−2)前記多孔性構造体の気孔を前記マグネシウムで充填させる段階をさらに含むことができる。
【0039】
前記a−1)段階において、多孔性構造体は、金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種であることができる。
【0040】
前記多孔性構造体を金属のみから製造する場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0041】
まず、金属を粉末または線材(wire)に製造する。前記粉末または線材に製造された金属を予備成形体(Green preform)に製造する。前記予備成形体を製造する方法は、焼結法及び前記焼結法の変形方法を用いることができる。
【0042】
前記焼結法による予備成形体の製造方法は下記のようである。まず、前記粉末または線材に製造された金属を容器に入れるかあるいは100MPa以下の適正な力で押し付けて低い強度を持つようにし、前記のように低い強度を持つようになった金属を前記金属の融点の2/10〜9/10の温度で維持して粉末または線材どうし結合して機械的強度を持つ予備成形体を製造する。
【0043】
また、前記焼結法が変形された方法による製造方法は下記のようである。前記粉末または線材に製造された金属をグラファイトのような伝導性容器に入れ、伝導性容器に高電流を流して、前記粉末または線材に製造された金属の接触部で瞬間的に熱が発生するようにすることで焼結体を形成して予備成形体を製造する。
【0044】
前記多孔性構造体が金属及び高分子を含んで製造される場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0045】
まず、金属を粉末または線材(wire)に製造する。ついで、前記粉末または線材に製造された金属に高分子を混合し、温度を上昇させる過程で低温で高分子が分解して消滅され、高温で粉末または線材に製造された金属が焼結されて適切な機械的強度を持つ予備成形体を製造する。この際、焼結温度、加圧力、高分子と金属の混合比などによって気孔率と焼結体の強度が決定され、必要によって適切な条件を選択することができる。焼結温度は多孔性構造体の製造に使用された素材の種類によって変わり、一般的に多孔性構造体の融点の1/2〜9/10程度が好ましい。焼結の際、圧力を加えなくても焼結は起こるが、加圧力が高いほど焼結が早く進む。ただ、加圧力を高めるほど装置費用と金型費用などの追加費用がかかるため、適切な圧力を選択することが良い。
【0046】
また、前述した方法の外に、前記多孔性構造体が金属及び高分子を含んで製造される場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0047】
まず、高分子表面を金、白金及びPdなどの貴金属でメッキする。その後、高分子を除去することで、生体適合性がより良い金属多孔性構造体を製造することができる。
【0048】
前記多孔性構造体が水溶性塩と金属から製造される場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0049】
まず、水溶性塩と金属粉末を混合して高温成形することで予備成形体を製造する。ここで、前記水溶性塩は、NaNO2、KNO2、NaNO3、NaCl、CuCl、KNO3、KCl、LiCl、KNO3、PbCl2、MgCl2、CaCl2及びBaCl3よりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。
【0050】
ついで、前記予備成形体を金属粉末融点の2/10〜9/10の温度で加圧する。加圧過程において、金属粉末は原子移動によって互いに結合されて構造体を形成し、水溶性塩が内部に含まれた複合材を形成するようになる。前記複合材を水に浸せば、水溶性塩のみが溶出することにより、気孔を持つ金属多孔性構造体が製造される。さらに、金属素材を完全に溶融した後、ガスを発生させる発泡剤を注入して金属多孔性構造体を製造することもできる。
【0051】
前記多孔性構造体が高分子及び金属イオンを含む電解液から製造される場合、前記a−1)段階は下記のようである。
【0052】
まず、多孔性高分子の表面を金属イオンを含む電解液を用いて金属でメッキする。この際、前記金属イオンは特に限定されないが、Ti、Co、Cr及びZrよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。ついで、温度をあげて高分子を除去すれば多孔性金属構造体を製造することができる。
【0053】
前記多孔性構造体がセラミックから製造される場合、前記a−2)段階は下記のようである。
【0054】
まず、セラミック微分とバインダーポリマー(高分子)を混合する。前記混合物をポリウレタンのような除去可能な素材でなった発泡材(foam)の骨格構造表面に被せた後、乾燥させて多孔性構造体を製造する、その後、温度を高めれば結合材高分子の燃焼温度付近で高分子が燃消して除去され、温度をより高めれば、残ったセラミックどうし焼結されることで、機械的強度を有する多孔性構造体を製造することができる。
【0055】
ここで、前記セラミック微分はヒドロキシアパタイト(HA)、ジルコニア及びアルミナよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。
【0056】
前記a−1)段階は、前述した多孔性構造体の製造方法を変形するか組み合わせる方法、または異種素材の一部に適用して内部と外部の気孔率が互いに異なるように制御された多孔性構造体を製造する方法であることもできる。後者の方法においては、内部は、気孔が少ないか存在しない高密度であり、外側は気孔率が高くて位置別気孔率が異なる多孔性構造体を製造することができる。これは、インプラントの表面での高い骨形成速度を誘導し、全体としては高い外部応力に耐えるようにインプラントを製造する場合に使用できる。また、前述した多孔性構造体の製造方法は多様な多孔性構造体製造方法の一例であるだけであり、多孔性構造体の製造方法を異にすることによって本発明の権利範囲が限定されるものではない。
【0057】
前記a−2)段階は、マグネシウムの溶融液に前記多孔性構造体を浸漬させる方法、前記多孔性構造体を固定させたままでマグネシウムの溶融液を流して気孔を充填させる方法、及び前記両者の方法において外部から1気圧以上の圧力を加えて溶融マグネシウムがより容易に多孔性構造体の気孔の間に充填されるようにする方法よりなる群から選ばれる一つを用いることができる。この際、溶融マグネシウムが気孔を充填させるうちに凝固しないように多孔性構造体を加熱するかあるいは表面の各種汚染物質を除去して溶融マグネシウムが容易に気孔を満たすように誘導することができる。
【0058】
また、前記a−2)段階は下記のような段階であることもできる。より詳細に説明すれば、まず、マグネシウムを高温で、好ましくは700℃以上で維持して気化させた後、マグネシウム蒸気が多孔性構造体の気孔の間を通過しながら気孔表面に蒸着するようにし、マグネシウムで多孔性構造体の気孔を充填させる段階であることができる。
【0059】
また、前記a−2)段階は下記のような段階であることができる。より詳細に説明すれば、マグネシウムを含む塩を液体に溶解した後、多孔性構造体をその液体に通過させることで多孔性構造体の気孔表面にマグネシウムが吸着されるようにする段階であることができる。
【0060】
前述したような充填方法の外に、さらに他の変形例として、多孔性構造体の気孔をマグネシウム合金で全て充填させずに一部のみを充填させることもできる。すなわち、多孔性構造体に溶融マグネシウムを充填させた後、マグネシウムが完全に凝固する前に多孔性構造体に高圧ガスを吹きつけたり、多孔性構造体を回転させたり叩いたりすると、凝固しなかったマグネシウムが多孔性構造体から除去され、一部のマグネシウムのみ気孔に残存することにより、気孔の一部にマグネシウムが含浸された複合材を製造することができる。この場合、多孔性構造体の気孔の位置別マグネシウム充填率が異なるように制御できる。
【0061】
また、他の変形例として、多孔性構造体の骨格表面にだけマグネシウムが付いており、気孔は一定の部分が残っているように制御して、インプラントの内部に骨形成に必要な微細血管が容易に形成されるように空間を維持するとともにマグネシウムによってより容易に骨形成がなされることができる更なる効果を期待することができる。
【0062】
一方、融点がマグネシウムに比べて低い高分子の場合、多孔性構造体を先に製造し、後に溶融マグネシウムで気孔を充填させる場合、高分子多孔性構造体が正常形状を維持することができなくなる。したがって、高分子とマグネシウムを含む生分解性インプラントは、マグネシウム粉末と高分子を体積比5:95〜95:5の範囲で混合した後、150〜500℃に昇温して1気圧〜100気圧の範囲に加圧する方法で生分解性インプラントを製造することが好ましい。前述した条件は高分子−Mg生分解性インプラントの好ましい製造条件であるだけであり、前記条件から外れた条件でも高分子−マグネシウム生分解性インプラントが成形できないものではないので、製造条件の変更によって本発明の権利が侵害されないのではない。
【0063】
前述したような金属、セラミック及び高分子多孔性構造体の製造方法及び多孔性構造体の気孔をマグネシウム合金で充填させる方法と、マグネシウム充填高分子生分解性インプラントの製造方法は本発明を例示するためのものであるだけ、本発明の保護範囲がこれに限定されるものではない。
【0064】
本発明の生分解性インプラントの製造方法に含まれるb)段階は、前記溶融した生分解速度制御用マグネシウム合金を冷却法、押出し法及び金属加工法よりなる群から選ばれる一つ以上で成形する段階であることができる。
【0065】
前記冷却法は、マグネシウム合金の機械的強度を向上させる目的で用いることができる。より詳しく説明すれば、前記a)段階でマグネシウムが溶融したら、溶融マグネシウムが含まれたるつぼを水に浸漬させる方法を用いることができる。また、前記溶融マグネシウムをアルゴンなどの不活性ガスを用いて噴霧する冷却法を用いることができる。前記噴霧する冷却法はずっと高い速度で冷却して非常に微細な組職を形成させることができる。しかし、小さくマグネシウムを鋳造する場合、内部に多数の気孔(黒い部分)が形成されることもできるので、気を付けなければならない。
【0066】
前記押出し法は、マグネシウムの組職を均一にして機械的性能を向上させる目的で用いられる。前記押出し法は300〜450℃で行われることが好ましい。また前記マグネシウムの押出しは押出し前後の断面積減少比(押出し比)が10:1〜30:1となるように実行することができる。押出し比が大きくなるほど押出し材の微細組職が均一になり、鋳造の際に形成された欠陷が容易に除去される利点があるが、この場合、押出し装置の容量を増加させることが好ましい。
【0067】
前記金属加工法は、当該技術分野に公知の金属加工法であるなら、特に限定されない。例えば、最終製品に近い形状に加工された型に前述したように溶融マグネシウムを注いで直接鋳造する方法、棒状や板状などの中間材に製造した後、これを旋盤またはフライス盤で加工する方法、マグネシウム合金を高い力で加圧鍛造して最終製品の形状に製造する方法などをあげることができる。
【0068】
III.Mg−Ca−Xで示される生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントは下記化学式1で示され、総重量に対し、Caは0重量%を超えて23重量%以下、Xは0重量%を超えて10重量%以下、かつMgは残部に含まれるマグネシウム合金を含む。
【0069】
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1において、XはMnまたはZnである。
【0070】
前記マグネシウム合金が前述した範囲を満たせば、機械的物性及び耐食性が同時に向上し、脆性破壊が起こらない生分解性インプラントを提供することができる。
【0071】
また、前記マグネシウム合金は、好ましくは総重量に対し、前記Caを0重量%を超えて23重量%以下、Xを0.1〜5重量%及びMgを残部に含むものであり、より好ましくは、前記Caを0重量%を超えて23重量%以下、Xを0.1〜3重量%及びMgを残部に含むものである。その理由は、発生し得る不純物の副作用を考慮して、同一腐食速度を具現する場合、不純物の含量が少ないことが有利であるからである。
【0072】
本発明の生分解性インプラントは前記化学式1で示され、総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%未満、Xを0重量%を超えて10重量%未満、かつMgを残部にを含むマグネシウム合金で多孔性構造体の気孔が充填されたものであることができる。
【0073】
前記多孔性構造体の気孔の大きさは200〜500μmであることが好ましい。前記気孔の大きさは当該技術分野の通常の方法を用いて使われる分野によって調節できる。前記気孔の大きさが前述した範囲を満たせば、栄養分、ミネラル及びイオンの供給を担当する血管が気孔を通過し易くなる。
【0074】
前記多孔性構造体の気孔率は5〜95%であることが好ましい。ここで、気孔率は全体積のうち気孔が占める体積比を言う。前記気孔率は適用しようとする対象の要求強度が高い場合、気孔率を低めて多孔性構造体の強度を高めることができる。具体的な例を挙げれば、多孔性構造体が強度の高いタンタルのような金属の場合であるか、単に損失された骨の空洞(cavity)を満たす役目をする場合、気孔率を高めても構わない。
【0075】
前記多孔性構造体は、金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記金属はチタンまたはチタン合金、コバルト−クロム合金及びステンレスよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記セラミックはカルシウムフォスフェート(Calcium Phosphate)、アルミナ、ジルコニア及びマグネシアよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。前記高分子は、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid:PGA)及びこれらの共重合体であるPLGAよりなる群から選ばれる1種以上のものが好ましい。ここで、多孔性構造体が前述した高分子の場合、生体内で分解可能な酸が発生してpHが低くなる現象が起こる。この際、マグネシウム合金で気孔が充填された高分子複合材の場合、マグネシウムが分解してpHを高める効果があるので、高分子とマグネシウムの分解速度を制御すれば生体内のpHを任意に調節することができる更なる効果も期待することができる。
【0076】
前述した本発明による生分解性インプラントは、整形外科用、歯科用、形成外科用または血管用インプラントとして使われることができる。具体的に、前記インプラントは、脊椎用インターボディースペーサー(interbody spacer)、骨充填材(bone filler)、骨プレート(bone plate)、骨ピン(bone pin)、骨ネジ(bone screw)、スカフォルド(scaffold)及び人工歯根などのインプラントとして使われることができる。
【0077】
IV.Mg−Ca−Xで示される生分解性インプラントの製造方法
以下、本発明の生分解性インプラントの製造方法を説明する。
【0078】
本発明による生分解性インプラントはi)下記化学式1で示されるものの総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%未満、Xを0重量%を超えて10重量%未満、かつMgを67重量%を超えて100重量%未満含むマグネシウム合金を提供する段階;及びii)前記マグネシウム合金を成形する段階を含む。
【0079】
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【0080】
ここで、前記マグネシウム合金についての説明は前述したので省略する。
【0081】
前記i)段階は前記マグネシウム合金を溶融させて提供する段階であることが好ましい。前記i)段階についての説明は前記a)段階についての説明と同様であるのでその記載を省略する。
【0082】
本発明の他の実施例による生分解性インプラントが多孔性構造体の気孔に前記マグネシウム合金が充填されたものであるなら、前記i)段階は、i−1)多孔性構造体を準備する段階;及びi−2)前記多孔性構造体の気孔を前記マグネシウム合金で充填させる段階をさらに含むことができる。
【0083】
前記i−1)段階とi−2)段階についての説明は前記a−1)段階及びa−2)段階についての説明と同様であるのでその記載を省略する。
【0084】
本発明の生分解性インプラントの製造方法に含まれるii)段階は、前記溶融した生分解速度制御用マグネシウム合金を冷却法、押出し法及び金属加工法よりなる群から選ばれる一つ以上で成形する段階であることができる。
【0085】
前記ii)段階についての説明は前記b)段階についての説明と同様であるので省略する。
【0086】
V.超音波を適用した生分解性インプラントの製造方法
本発明はマグネシウムを含む生分解性インプラントに超音波を適用する生分解性インプラントの製造方法を提供する。前記マグネシウムを含む生分解性インプラントに超音波を適用すれば、生体内での腐食速度が速くなってより短い時間内にインプラントが消滅する利点がある。
【0087】
前記マグネシウムを含む生分解性インプラントは多孔性構造であることができ、不純物として、マンガン(Mn)と;鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対し、0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて1以下の生分解性インプラントであることができ、下記化学式1で示され、総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%未満;Xを0重量%を超えて10重量%未満;かつMgを67重量%を超えて100重量%未満含むマグネシウム合金を含むことを特徴とする生分解性インプラントであることができる。
【0088】
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【0089】
本発明による生分解性インプラントは分解速度が極めて低く制御されて生体内で長期間留まることができる利点がある。また、本発明による生分解性インプラントが多孔性構造体を含む場合、気孔を通過する血管(blood vessel)が形成されて骨形成速度が向上し、ヤング率の減少による応力遮蔽現象が減少する。また、本発明による生分解性インプラントは機械的強度及び耐衝撃性を改善することができる。また、本発明による生分解性インプラントは耐食性及び機械的物性が同時に向上する利点がある。よって、本発明によるインプラントは骨代替物または骨治療などへの応用に適し、整形外科用、歯科用、形成外科用または血管用などに使うことができる。
【0090】
VI.マンガンの含量を調節した生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントは、総重量に対し、マンガンを0重量%を超えて10重量%以下;鉄を0重量%を超えて1重量%以下;及びマグネシウムを含む金属を99重量%以上100重量%未満含む。この際、前記マンガンの含量は0.3〜0.6重量%であることが好ましい。
【0091】
また、本発明の生分解性インプラントは不純物として鉄をさらに含むことが好ましい。
【0092】
本発明の生分解性インプラントは前述した含量のマンガンを含むことにより、前記マグネシウムを含む金属に含まれた鉄と結合して電位差を下げてガルバニック腐食性を減少させることができる。また、前記マンガンが前記マグネシウムを含む金属に含まれた鉄を被覆してマグネシウムと鉄の接触を遮断することで、腐食が発現することを防止ないし減少させることができる。
【0093】
ここで、マグネシウムを含む金属は、純粋マグネシウム、不純物を微量含むマグネシウム、またはマグネシウム合金であることができる。前記不純物は、Xがジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ニオビューム(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、リン(P)及びニッケル(Ni)の中で選択されるものであることができる。
【0094】
VII.酸化マグネシウムを含む生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントは、総重量に対し、酸化マグネシウム(MgO)を0重量%を超えて90重量%以下;及びマグネシウムを含む金属を10重量%以上100重量%未満含む。
【0095】
本発明の生分解性インプラントに前述した含量の酸化マグネシウムが含まれれば、前記生分解性インプラントに腐食特性を制御するので、体内に前記生分解性インプラントが挿入されたとき、水素発生による脹れ(swelling)現象を防止することができる。
【0096】
本発明の生分解性インプラントの酸化マグネシウムの量が多いほどマグネシウムを含む金属の腐食性を減少させることができるが、前述した範囲に含まれることが最も好ましい。
【0097】
ここで、マグネシウムを含む金属は、純粋マグネシウム、不純物を微量含むマグネシウム、またはマグネシウム合金であることができる。前記不純物は、Xがジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ニオビューム(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、リン(P)及びニッケル(Ni)の中で選択されるものであることができる。
【0098】
VIII.押出しによって腐食特性が制御された生分解性インプラント
本発明の生分解性インプラントは押出しによって素材内部の粗大な結晶粒によって発生するPCP(Preferred Crystallographic Pitting Corrosion)腐食を防止することができる。より詳細に説明すれば、結晶粒が粗大になれば、結晶粒の間で腐食が発生する可能性が高い。結晶粒の大きさを押出しで減らせば、結晶粒の間隔が小さくなり、これにより腐食を防止することができる。
【0099】
この際、押出し前後の断面積減少比(押出し比)は2:1以上であれば特に限定されないが、25:1または20:1を超えることが好ましい。
【実施例】
【0100】
以下、実施例に基づいて生分解速度制御用マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む生分解性インプラントの製造をより詳細に説明する。ただ、下記の実施例は本発明を例示するためのものであるだけ、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0101】
実施例1、実施例2及び比較例1:マンガン(Mn)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を含む不純物の総和がマグネシウム100重量部に対し、0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)+ニッケル(Ni)}/マンガン(Mn)が0を超えて5以下の生分解速度制御用マグネシウム合金を含む生分解性インプラントの製造
【0102】
下記表1に記載した含量の鉄、ニッケル、アルミニウム、マンガン及びマグネシウムをステンレススチール(SUS410)で製作された内径50mmのるつぼに装入した。ついで、るつぼ中の鉄、ニッケル、マンガン、アルミニウム及びマグネシウムが空気と接触しないように、るつぼの周りにアルゴンガスを流し、抵抗加熱炉を用いてるつぼの温度を約700℃〜750℃の範囲にあげることで、鉄、ニッケル、アルミニウム、マンガン及びマグネシウムを溶融させた。溶融した鉄、ニッケル、アルミニウム、マンガン及びマグネシウムが互いによく混じるようにるつぼを振って撹拌させた。完全に溶融したマグネシウム合金を冷却させて、固状のマグネシウム合金を製造した。また、冷却の際には、マグネシウムの機械的強度を向上させるために、るつぼを水に浸漬することで、溶融マグネシウム合金が急速に冷却されるようにした。
【0103】
前記固状のマグネシウム合金を押し出し、押出し温度は400℃であり、押出し前後の断面積減少比(押出し比)を15:1に固定した。
【0104】
【表1】
【0105】
試験例1:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例1、実施例2及び比較例1の生分解性インプラントを下記表2の組成を有する溶液に浸漬し、浸漬時間による水素発生量で腐食速度を評価し、結果を図1に示した。
【0106】
【表2】
【0107】
図1を参照すれば、実施例1は50時間が経過した後から水素が発生し、実施例2は浸漬初期から200時間が経過した時点まで水素がほとんど発生しないことから、インプラントの腐食がほとんど発生しないことが分かる。一方、比較例1は浸漬初期から水素が発生することが分かる。このような結果から、{鉄(Fe)+ニッケル(Ni)}/マンガン(Mn)が0を超えて5以下の実施例1及び実施例2が生分解性インプラントの生分解速度が、{鉄(Fe)+ニッケル(Ni)}/マンガン(Mn)が5を超える比較例1より遅いことが分かる。
【0108】
実施例3〜実施例11及び比較例2〜比較例5:生分解性インプラント製造
下記表3に記載した含量のマグネシウム、カルシウム、マンガン及び亜鉛をステンレススチール(SUS410)で製作された内径50mmのるつぼに装入した。ついで、るつぼ中のマグネシウム、カルシウム、マンガン及び亜鉛が空気と接触しないように、るつぼの周りにアルゴンガスを流し、抵抗加熱炉を用いてるつぼの温度を約700℃〜750℃の範囲にあげてマグネシウム、カルシウム、マンガン及び亜鉛を溶融させた。溶融したマグネシウム、カルシウム、マンガン及び亜鉛が互いによく混じるようにるつぼを振って撹拌させた。完全に溶融したマグネシウム合金を冷却させて固状のマグネシウム合金を製造した。また、冷却の際には、マグネシウムの機械的強度を向上させるためにるつぼを水に浸漬して、溶融マグネシウム合金が急速に冷却するようにした。
【0109】
前記固状のマグネシウム合金を押し出し、押出し温度は400℃であり、押出し前後の断面積減少比(押出し比)を15:1に固定した。
【0110】
【表3】
【0111】
試験例1:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントの機械的強度評価
図2は押出し前の生分解性インプラントの機械的強度評価結果を示すものであり、図3は押出し後の生分解性インプラントの機械的強度評価結果を示すものである。
【0112】
図2及び図3を参照すれば、押出し前には実施例3は、比較例3に比べ、降伏強度が220MPaから180MPaに少し落ち、押出し後にも320MPaから280MPaに少し落ちたことが分かる。しかし、280MPaは負荷を受けるインプラント製品に充分に適用可能な値であるので、製品の適用に全然無理がない。また、押出し前、7%〜10%に至ることができなかった伸び率が押出し後に12%〜16%まで増加した。これはインプラントが外部から強い衝撃を受けたときに耐える性能が優秀であることを意味する。
【0113】
また、実施例4は強度が220MPaから170MPaに落ちたが、押出し後には比較例3と同等な320MPaを維持した。伸び率も押出し前の12%から押出し後の17%に増加して、機械的な面でも比較例3と同等以上を維持している。
【0114】
一方、前述した降伏強度は各グラフで勾配が変わる時点での強度を意味する。
【0115】
試験例2:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例3〜実施例11、比較例3〜6の生分解性インプラントを前記表2の組成を有する生体模写液に浸漬し、浸漬時間による水素発生量で腐食速度を評価した。その理由は、一般的にインプラントの腐食速度はマグネシウムが生分解すれば水素が発生するため生体模写液による水素発生量で測定する。
【0116】
図4は実施例3、実施例4及び比較例3の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。図5は押出し前の実施例4〜実施例6の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。図6は押出し前の実施例7〜実施例11、比較例2及び比較例4の浸漬時間による水素発生量の結果を示すグラフである。図7は亜鉛含量による水素発生量の結果を示す。
【0117】
図4を参照すれば、比較例3は5時間後に急速分解が始まるが、実施例3は17時間が経過した後に急速分解が始まることが分かる。また、実施例4は、浸漬後に30日が経過しても急激な腐食現象が発生しなかった。よって、本発明による生分解性インプラントは比較例3に比べて耐食性が優秀であることが分かる。
【0118】
図5及び6を参照すれば、Zn含量による腐食速度が分かる。つまり、亜鉛含量が増加するほど腐食速度が速くなることが分かる。
【0119】
図7を参照すれば、水素発生量0.5ml/cm2となるときのZn含有量別腐食速度を示す。腐食速度を見れば、本合金の最適組成は0.1〜5%であるが、好ましくは0.1〜3%であると言える。その理由は、腐食速度が同一である区間が存在するが、人体に及ぼすかも知れないZnの副作用を考慮すれば、同一腐食速度を具現すると仮定してZnの含有量が少ないことが良いと判断される。
【0120】
一方、x軸において、0.5は実施例7、0.76は実施例8、1.63は実施例9、3は実施例10、4.12は実施例11を示す。
【0121】
図8は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片の表面を示す電子燎微鏡写真、図9は図8に示した実施例7のインプラント試片をEDSで分析した表面写真である。図10は図8に示した実施例7のインプラント試片に生じた腐食物を除去した写真である。
【0122】
図8及び図9を参照すれば、表面に腐食物が生成したことが分かる。前記腐食物に対して分析して見た結果、構成要素は表4に示した。
【0123】
【表4】
【0124】
表4を参照すれば、腐食物の構成要素として酸素が測定されたことから、実施例7のインプラント試片が酸化したことが分かり、リンとカルシウムは生体模写液から来由したと予測することができる。よって、リンとカルシウムを含む腐食物によって骨の結合効果が促進されることを予測することができる。
【0125】
図10は図8及び図9に示す腐食物を除去したことを示す写真であり、腐食物が除去された実施例7のインプラント試片を分析した結果を表5に示した。
【0126】
【表5】
【0127】
表5を参照すれば、腐食物が除去された後にもリンとカルシウムが残っていることが分かる。これにより生体模写液から来由したリンとカルシウムはなかなか除去されないことが分かる。
【0128】
図11は61時間生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片の断面図、図12は図11の写真を拡大した写真、図13は61時間前記表2の生体模写液中に放置した実施例7のインプラント試片をWDS(製造社:JEOL、製品名:JXA−8500F)で撮影した写真である。
【0129】
図11〜図13を参照すれば、マグネシウムの間に明るい線のようなものはMg2Caであり、黒い線のようなものは腐食された領域であることが分かる。黒い線が徐々にマグネシウムに食い込みながら腐食が進むことが分かる。
【0130】
図14は61時間生体模写液中に放置した実施例8のインプラント試片の断面図である。
【0131】
図15は61時間生体模写液中に放置した実施例8のインプラント試片をWDS(製造社:JEOL、製品名:JXA−8500F)で撮影した写真である。
【0132】
図14及び図15を参照すれば、Mg−Ca−Znの化合物がMg2Ca(Zn)を包んでいることが分かり、亜鉛の含量が増加するとき、Mg2Caに亜鉛がさらに含有されることが分かる。
【0133】
試験例3:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例7〜実施例11及び比較例2のインプラント試片の降伏強度、破壊強度及び伸び率を測定して表6に示した。
【0134】
【表6】
【0135】
試験例4:マグネシウム合金を用いた生分解性インプラントに超音波を適用したときの腐食速度評価
実施例8のインプラント試片を横9.65cm、縦19.66cm、厚さ1.18cmに切断して二つの試片を準備した。二つの試片に超音波を適用した後、前記表2の生体模写液に3時間浸漬し、水素発生量を測定して図15及び図16に示した。
【0136】
図16及び図17を参照すれば、超音波を適用した試片が水素発生量が多いことから腐食がより早く発生することが分かる。
【0137】
実施例12〜実施例14:生分解性インプラント製造
下記表7に記載された含量のマグネシウム及びマンガンをステンレススチール(SUS410)で製作された内径50mmのるつぼに装入した。ついで、るつぼ中のマグネシウム及びマンガンが空気と接触しないように、るつぼの周りにアルゴンガスを流し、抵抗加熱炉を用いてるつぼの温度を約700℃〜750℃の範囲にあげてマグネシウム及びマンガンを溶融させた。溶融マグネシウム及びマンガンが互いによく混じるようにるつぼを振って撹拌させた。完全に溶融したマグネシウム合金を冷却させて固状のマグネシウム合金を製造した。また、冷却の際には、マグネシウムの機械的強度を向上させるためにるつぼを水に浸漬して、溶融マグネシウム合金が急速に冷却されるようにして生分解性インプラントを製造した。
【0138】
【表7】
【0139】
試験例5:マンガンの含量を調節した生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例12〜14のインプラント試片を横9.65cm、縦19.66cm、厚さ1.18cmに切断して二つの試片を準備した。二つの試片に超音波を適用した後、前記表2の生体模写液に3時間浸漬し、水素発生量を測定して図18に示した。
【0140】
図18を参照すれば、マンガンが0重量%を超えて1重量%以下含まれれば、50時間の後に腐食が発生し始め、0.5重量%以上のマンガンが含まれた場合、腐食特性が最良に制御されることが分かる。
【0141】
試験例6:押し出された生分解性インプラントの腐食速度評価
実施例14の生分解性インプラントを押し出し、押出し温度は400℃であり、押出し前後の断面積減少比(押出し比)を25:1に固定した。
【0142】
押出し前後の実施例14の生分解性インプラントを前記表2の生体模写液に3時間浸漬し、水素発生量を測定した。
【0143】
図19は実施例14の生分解性インプラントを押し出さなかったときの結晶粒を示す写真である。
【0144】
図19を参照すれば、結晶粒に沿ってPCP腐食が発生することが分かる。
【0145】
図20は実施例14の生分解性インプラントの押出し前後の腐食特性を示すグラフである。
【0146】
図20を参照すれば、押出しを実施しなければ、腐食特性が低下することが分かる。
【0147】
実施例15:生分解性インプラントの製造
下記表8に記載した含量のマグネシウム及び酸化マグネシウムをステンレススチール(SUS410)で製作された内径50mmのるつぼに装入した。ついで、るつぼ中のマグネシウム及び酸化マグネシウムが空気と接触しないように、るつぼの周りにアルゴンガスを流し、抵抗加熱炉を用いてるつぼの温度を約700℃〜750℃の範囲にあげてマグネシウム及び酸化マグネシウムを溶融させた。溶融マグネシウム及び酸化マグネシウムが互いによく混じるようにるつぼを振って撹拌させた。完全に溶融したマグネシウム合金を冷却させて固状のマグネシウム合金を製造した。また、冷却の際には、マグネシウムの機械的強度を向上させるためにるつぼを水に浸漬して、溶融マグネシウム合金が急速に冷却するようにすることで生分解性インプラントを製造した。
【0148】
【表8】
【0149】
試験例7:酸化マグネシウムを含む生分解性インプラントの体内水素発生量評価
実施例15及び比較例4をネズミ(rat)の体内に挿入して体内水素発生量を評価した。
【0150】
図21は比較例4の生分解性インプラントを挿入したネズミ(rat)を撮影した写真である。
【0151】
図21を参照すれば、ネズミの体内で水素が発生して脹れ現象が発生したことが分かる。
【0152】
しかし、実施例15をネズミの体内に挿入すれば、脹れ現象が全然発生しなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウムを含む生分解性インプラントにおいて、
前記マグネシウムは不純物として、
マンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、
{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下であることを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項2】
前記{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて0.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の生分解性インプラント。
【請求項3】
前記不純物はアルミニウムをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の生分解性インプラント
【請求項4】
前記マグネシウムは多孔性構造体の気孔に充填されたことを特徴とする、請求項1に記載の生分解性インプラント。
【請求項5】
前記多孔性構造体の気孔は大きさが200〜500μmであることを特徴とする、請求項4に記載の生分解性インプラント。
【請求項6】
前記多孔性構造体は気孔率が5〜95%の範囲であることを特徴とする、請求項4に記載の生分解性インプラント。
【請求項7】
前記マグネシウムが多孔性構造体の気孔の全体にかけて充填されるかあるいは位置別に充填率が異なるように充填されたことを特徴とする、請求項4に記載の生分解性インプラント。
【請求項8】
前記多孔性構造体は金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の生分解性インプラント。
【請求項9】
前記金属はチタンまたはチタン合金、コバルト−クロム合金、及びステンレスよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項8に記載の生分解性インプラント。
【請求項10】
前記セラミックは、カルシウムフォスフェート(Calcium Phosphate)、アルミナ、ジルコニア及びマグネシアよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項8に記載の生分解性インプラント。
【請求項11】
前記高分子は、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、またはこれらの共重合体(copolymer)であるPLGAよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項8に記載の生分解性インプラント。
【請求項12】
前記生分解性インプラントは、整形外科、歯科、形成外科及び血管よりなる群から選ばれる一つ以上の用途に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の生分解性インプラント。
【請求項13】
a)不純物としてマンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量がマグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下のマグネシウムを提供する段階;及び
b)前記マグネシウムを成形する段階を含むことを特徴とする、生分解性インプラントの製造方法。
【請求項14】
前記a)段階は、
a−1)多孔性構造体を準備する段階;及び
a−2)前記多孔性構造体の気孔を前記マグネシウムで充填させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項15】
前記b)段階は、冷却法、押出し法及び金属加工法よりなる群から選ばれる一つ以上で成形する段階であることを特徴とする、請求項13に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項16】
下記化学式1で示され、
総重量に対し、
Caを0重量%を超えて23重量%以下;
Xを0重量%を超えて10重量%以下;及び
Mgを残部に含むマグネシウム合金を含むことを特徴とする、生分解性インプラント:
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【請求項17】
前記マグネシウム合金は、
総重量に対し、
前記Caを0重量%を超えて23重量%以下;
前記Xを0.1〜5重量%;及び
前記Mgを残部に含むことを特徴とする、請求項16に記載の生分解性インプラント。
【請求項18】
前記マグネシウム合金は、
総重量に対し、
前記Caを0重量%を超えて23重量%以下;
前記Xを0.1〜3重量%;及び
前記Mgを残部に含むことを特徴とする、請求項16に記載の生分解性インプラント。
【請求項19】
前記マグネシウム合金は多孔性構造体の気孔に充填されることを特徴とする、請求項16に記載の生分解性インプラント。
【請求項20】
前記多孔性構造体は気孔率が5〜95%であることを特徴とする、請求項19に記載の生分解性インプラント。
【請求項21】
前記多孔性構造体は、金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種で製造されたことを特徴とする、請求項19に記載の生分解性インプラント。
【請求項22】
前記金属は、チタンまたはチタン合金、コバルト−クロム合金及びステンレスよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項21に記載の生分解性インプラント。
【請求項23】
前記セラミックは、カルシウムフォスフェート(Calcium Phosphate)、アルミナ、ジルコニア及びマグネシアよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項21に記載の生分解性インプラント。
【請求項24】
前記高分子は、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、またはこれらの共重合体(copolymer)であるPLGAよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項21に記載の生分解性インプラント。
【請求項25】
前記インプラントは、整形外科、歯科、形成外科及び血管よりなる群から選ばれる一つの用途に使うことを特徴とする、請求項16に記載の生分解性インプラント。
【請求項26】
i)下記化学式1で示されるものの総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%未満、Xを0重量%を超えて10重量%未満、及びMgを残部に含むマグネシウム合金を提供する段階;及び
ii)前記マグネシウム合金を成形する段階を含むことを特徴とする、生分解性インプラントの製造方法:
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【請求項27】
前記i)段階は、
i−1)多孔性構造体を準備する段階;及び
i−2)前記多孔性構造体の気孔を前記マグネシウム合金で充填させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項28】
前記ii)段階は、前記マグネシウム合金を冷却法、押出し法及び金属加工法よりなる群から選ばれる一つ以上で成形する段階であることを特徴とする、請求項26に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項29】
マグネシウムを含む生分解性インプラントに超音波を適用することを特徴とする、生分解性インプラントの製造方法。
【請求項30】
前記マグネシウムを含む生分解性インプラントは多孔性構造であることを特徴とする、請求項29に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項31】
前記マグネシウムを含む生分解性インプラントは、不純物として、
マンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、
{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下であることを特徴とする、請求項29に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項32】
前記マグネシウムを含む生分解性インプラントは、
下記化学式1で示され、
総重量に対し、
Caを0重量%を超えて23重量%未満;
Xを0重量%を超えて10重量%未満;及び
Mgを残部に含むマグネシウム合金を含むことを特徴とする、請求項29に記載の生分解性インプラントの製造方法:
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【請求項33】
総重量に対し、
マンガンを0重量%を超えて10重量%以下;
鉄を0重量%を超えて1重量%以下;及び
マグネシウムを含む金属を99重量%以上100重量%未満含むことを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項34】
前記マンガン0.3〜0.6重量%を含むことを特徴とする、請求項33に記載の生分解性インプラント。
【請求項35】
前記マグネシウムを含む金属は、純粋マグネシウム、不純物を含むマグネシウムまたはマグネシウム合金であることを特徴とする、請求項33に記載の生分解性インプラント。
【請求項36】
総重量に対し、
酸化マグネシウム(MgO)を0重量%を超えて90重量%以下;及び
マグネシウムを含む金属を10重量%以上100重量%未満含むことを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項1】
マグネシウムを含む生分解性インプラントにおいて、
前記マグネシウムは不純物として、
マンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、
{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下であることを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項2】
前記{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて0.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の生分解性インプラント。
【請求項3】
前記不純物はアルミニウムをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の生分解性インプラント
【請求項4】
前記マグネシウムは多孔性構造体の気孔に充填されたことを特徴とする、請求項1に記載の生分解性インプラント。
【請求項5】
前記多孔性構造体の気孔は大きさが200〜500μmであることを特徴とする、請求項4に記載の生分解性インプラント。
【請求項6】
前記多孔性構造体は気孔率が5〜95%の範囲であることを特徴とする、請求項4に記載の生分解性インプラント。
【請求項7】
前記マグネシウムが多孔性構造体の気孔の全体にかけて充填されるかあるいは位置別に充填率が異なるように充填されたことを特徴とする、請求項4に記載の生分解性インプラント。
【請求項8】
前記多孔性構造体は金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の生分解性インプラント。
【請求項9】
前記金属はチタンまたはチタン合金、コバルト−クロム合金、及びステンレスよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項8に記載の生分解性インプラント。
【請求項10】
前記セラミックは、カルシウムフォスフェート(Calcium Phosphate)、アルミナ、ジルコニア及びマグネシアよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項8に記載の生分解性インプラント。
【請求項11】
前記高分子は、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、またはこれらの共重合体(copolymer)であるPLGAよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項8に記載の生分解性インプラント。
【請求項12】
前記生分解性インプラントは、整形外科、歯科、形成外科及び血管よりなる群から選ばれる一つ以上の用途に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の生分解性インプラント。
【請求項13】
a)不純物としてマンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量がマグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下のマグネシウムを提供する段階;及び
b)前記マグネシウムを成形する段階を含むことを特徴とする、生分解性インプラントの製造方法。
【請求項14】
前記a)段階は、
a−1)多孔性構造体を準備する段階;及び
a−2)前記多孔性構造体の気孔を前記マグネシウムで充填させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項15】
前記b)段階は、冷却法、押出し法及び金属加工法よりなる群から選ばれる一つ以上で成形する段階であることを特徴とする、請求項13に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項16】
下記化学式1で示され、
総重量に対し、
Caを0重量%を超えて23重量%以下;
Xを0重量%を超えて10重量%以下;及び
Mgを残部に含むマグネシウム合金を含むことを特徴とする、生分解性インプラント:
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【請求項17】
前記マグネシウム合金は、
総重量に対し、
前記Caを0重量%を超えて23重量%以下;
前記Xを0.1〜5重量%;及び
前記Mgを残部に含むことを特徴とする、請求項16に記載の生分解性インプラント。
【請求項18】
前記マグネシウム合金は、
総重量に対し、
前記Caを0重量%を超えて23重量%以下;
前記Xを0.1〜3重量%;及び
前記Mgを残部に含むことを特徴とする、請求項16に記載の生分解性インプラント。
【請求項19】
前記マグネシウム合金は多孔性構造体の気孔に充填されることを特徴とする、請求項16に記載の生分解性インプラント。
【請求項20】
前記多孔性構造体は気孔率が5〜95%であることを特徴とする、請求項19に記載の生分解性インプラント。
【請求項21】
前記多孔性構造体は、金属、セラミック及び高分子よりなる群から選ばれる1種で製造されたことを特徴とする、請求項19に記載の生分解性インプラント。
【請求項22】
前記金属は、チタンまたはチタン合金、コバルト−クロム合金及びステンレスよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項21に記載の生分解性インプラント。
【請求項23】
前記セラミックは、カルシウムフォスフェート(Calcium Phosphate)、アルミナ、ジルコニア及びマグネシアよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項21に記載の生分解性インプラント。
【請求項24】
前記高分子は、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、またはこれらの共重合体(copolymer)であるPLGAよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項21に記載の生分解性インプラント。
【請求項25】
前記インプラントは、整形外科、歯科、形成外科及び血管よりなる群から選ばれる一つの用途に使うことを特徴とする、請求項16に記載の生分解性インプラント。
【請求項26】
i)下記化学式1で示されるものの総重量に対し、Caを0重量%を超えて23重量%未満、Xを0重量%を超えて10重量%未満、及びMgを残部に含むマグネシウム合金を提供する段階;及び
ii)前記マグネシウム合金を成形する段階を含むことを特徴とする、生分解性インプラントの製造方法:
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【請求項27】
前記i)段階は、
i−1)多孔性構造体を準備する段階;及び
i−2)前記多孔性構造体の気孔を前記マグネシウム合金で充填させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項28】
前記ii)段階は、前記マグネシウム合金を冷却法、押出し法及び金属加工法よりなる群から選ばれる一つ以上で成形する段階であることを特徴とする、請求項26に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項29】
マグネシウムを含む生分解性インプラントに超音波を適用することを特徴とする、生分解性インプラントの製造方法。
【請求項30】
前記マグネシウムを含む生分解性インプラントは多孔性構造であることを特徴とする、請求項29に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項31】
前記マグネシウムを含む生分解性インプラントは、不純物として、
マンガン(Mn)と;
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種とを含み、
前記不純物の含量が前記マグネシウム100重量部に対して0重量部を超えて1重量部以下であり、
{鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)とニッケル(Ni)の混合物よりなる群から選ばれる1種}/マンガン(Mn)=0を超えて5以下であることを特徴とする、請求項29に記載の生分解性インプラントの製造方法。
【請求項32】
前記マグネシウムを含む生分解性インプラントは、
下記化学式1で示され、
総重量に対し、
Caを0重量%を超えて23重量%未満;
Xを0重量%を超えて10重量%未満;及び
Mgを残部に含むマグネシウム合金を含むことを特徴とする、請求項29に記載の生分解性インプラントの製造方法:
<化学式1>
Mg−Ca−X
前記化学式1で、XはMnまたはZnである。
【請求項33】
総重量に対し、
マンガンを0重量%を超えて10重量%以下;
鉄を0重量%を超えて1重量%以下;及び
マグネシウムを含む金属を99重量%以上100重量%未満含むことを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項34】
前記マンガン0.3〜0.6重量%を含むことを特徴とする、請求項33に記載の生分解性インプラント。
【請求項35】
前記マグネシウムを含む金属は、純粋マグネシウム、不純物を含むマグネシウムまたはマグネシウム合金であることを特徴とする、請求項33に記載の生分解性インプラント。
【請求項36】
総重量に対し、
酸化マグネシウム(MgO)を0重量%を超えて90重量%以下;及び
マグネシウムを含む金属を10重量%以上100重量%未満含むことを特徴とする、生分解性インプラント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2012−524599(P2012−524599A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507158(P2012−507158)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002542
【国際公開番号】WO2010/123302
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(504080618)ユー アンド アイ コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002542
【国際公開番号】WO2010/123302
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(504080618)ユー アンド アイ コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】
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