説明

産業機械

【課題】制御装置の追従特性を低下させることなく、空間誤差を適切に補正することができる産業機械の提供。
【解決手段】産業機械は、対象物に対して所定の軸方向に沿って移動する測定子と、対象物を載置するとともに、所定の軸と直交する2軸方向に沿って移動させるステージと、制御装置5とを備える。制御装置5は、測定子、及びステージの位置を検出する位置検出部51と、位置検出部51による検出位置を補正する空間誤差補正部52と、空間誤差補正部52にて補正された検出位置の位置指令値に対する偏差に基づいて、測定子、及びステージの位置を制御する位置制御部53と、所定の軸方向における測定子の位置に基づいて、所定の軸と直交する2軸方向における測定子の位置の誤差を算出し、ステージを移動させることで誤差を補正する測定子誤差補正部54とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械に関し、特に、対象物に対して所定の軸方向に沿って移動する移動体と、所定の軸と直交する2軸方向に沿って対象物を移動させるステージとを備える産業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物を測定するための測定子を有する移動体を対象物に対して相対的に移動させることで対象物を測定する測定機や、対象物を加工するための工具を有する移動体を対象物に対して相対的に移動させることで対象物を加工する加工機械等の産業機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の三次元座標測定機(産業機械)では、対象物を測定するための測定子を有するタッチプローブ(移動体)の位置を位置指令値に追従させる空間誤差補正装置を備え、タッチプローブを対象物に対して相対的に移動させることで対象物を測定している。
【0003】
図6は、空間誤差補正装置10の概略構成を示すブロック図である。
空間誤差補正装置10は、特許文献1に記載の三次元座標測定機における空間誤差補正装置と同様の構成を簡略化したものであり、図6に示すように、タッチプローブ11の位置を検出する位置検出部12と、位置検出部12による検出位置を補正する空間誤差補正部13と、空間誤差補正部13にて補正された検出位置の位置指令値に対する偏差に基づいて、タッチプローブ11の位置を制御する位置制御部14とを備え、タッチプローブ11の位置をフィードバック制御している。また、空間誤差補正装置10は、フィードバック制御のループ内において、空間誤差補正部13を備えることで空間誤差を適切に補正している。なお、空間誤差とは、指令座標系と、運動座標系との間の誤差である(特許文献1参照)。
【0004】
例えば、タッチプローブ11の目標位置Ptを位置指令値とした場合には、タッチプローブ11が実際に位置決めされる位置は、Pm(=Pt−Δm)となる。この時、位置検出部12は、空間誤差Δmを含むタッチプローブ11の位置Pm(=Pt−Δm)を検出する。そして、空間誤差補正部13によって空間誤差Δmを取り除いた値(Pt)に変換された後、フィードバックされる。この時、位置偏差は0であるから、空間誤差補正装置10は、タッチプローブ11の位置を指令座標系における目標位置Ptに位置決めさせつつ、実体は指令座標系と運動座標系との差を加味した位置に位置決めさせることができる。
なお、空間誤差の補正は、産業機械のキネマティックモデルに基づいて算出される補正量を用いて行われるのが望ましい(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、従来、対象物に対して所定の軸方向に沿って移動する移動体と、所定の軸と直交する2軸方向に沿って対象物を移動させるステージと、移動体、及びステージの位置を位置指令値に追従させる制御装置とを備え、移動体を対象物に対して相対的に移動させることで対象物を測定する測定機等の産業機械が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3に記載の表面性状測定装置(産業機械)では、対象物に対して鉛直軸(以下、Z軸とする)方向に沿って移動する倣いプローブ(移動体)と、Z軸と直交する2軸(以下、X,Y軸とする)方向に沿って対象物を移動させるXYステージと、制御装置とを備え、倣いプローブを対象物に対して相対的に移動させることで対象物を測定している。
【0006】
図7は、倣いプローブ20に対する測定子20Aの移動範囲を示す模式図である。
倣いプローブ20は、特許文献3に記載の表面性状測定装置における倣いプローブと同様の構成を簡略化したものであり、図7に示すように、対象物を測定するための測定子20Aを有している。また、倣いプローブ20は、Z軸方向に沿って移動可能に構成されたZ軸スライダ(図示略)に固定され、Z軸スライダの移動に伴って全体が移動する。また、測定子20Aは、倣いプローブ20に対してZ軸方向に沿って移動可能に構成されている。
【0007】
図8は、対象物Wの表面性状を測定している状態を示す図である。図9は、測定子20Aの移動に伴うX,Y軸方向の誤差を示す模式図である。
対象物Wの表面性状を測定する場合には、図8に示すように、XYステージ、及びZ軸スライダの位置を制御することで測定子20Aを対象物Wに接触させる。そして、測定子20Aにかかる負荷が一定となるように倣いプローブ20に対して測定子20AをZ軸方向に沿って移動させながら測定をする。
ここで、倣いプローブ20に対して測定子20Aを移動させると、測定子20Aの位置は、図9に示すように、測定子20Aの移動に伴ってX,Y軸方向に誤差が生じる場合がある(図9中太線)。
【0008】
図10は、対象物Wの表面性状の測定結果を示す図である。なお、図10(A)は、測定結果G1と、真値G2との比較を示す図であり、縦軸をZ軸方向における測定値とし、横軸をX軸方向における測定位置として示している。また、図10(B)は、測定結果G1と、真値G2との間の偏差G3を示す図であり、縦軸をZ軸方向における形状偏差とし、横軸をX軸方向における測定位置として示している。
【0009】
このような場合において、空間誤差の補正をするには、前述した産業機械のキネマティックモデルを測定子の移動に伴うX,Y軸方向の誤差を含めた産業機械のキネマティックモデルに拡張することが望ましい。しかしながら、キネマティックモデルが複雑化することで補正量の演算時間が増加し、ひいては制御装置の追従制御特性が低下するという問題がある。
これに対して、特許文献3に記載の表面性状測定装置は、測定子の位置、及び測定子の移動に伴うX,Y軸方向の誤差を関連付けた補正データテーブルを備え、測定時における測定子の位置と、補正データテーブルとに基づいて算出された補正量を変位検出手段にて検出される倣いプローブ、及びXYステージの位置に加算することで、測定子の移動に伴うX,Y軸方向の誤差を補正している。
【0010】
【特許文献1】特開平5−248852号公報
【特許文献2】特開平8−247756号公報(図3参照)
【特許文献3】特開2008−216122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献3に記載の表面性状測定装置における補正では、倣いプローブ、及びXYステージの検出位置に補正量を加算しているので、前述した産業機械のキネマティックモデルを用いた空間誤差の補正と干渉してしまうという問題があり、空間精度補正機能を搭載したコントローラへの適用が困難であった。また、この問題を回避するために、測定中は補正を行わず、測定完了後に補正を行って測定値のみを加工する測定方法が考えられる。しかしながら、この測定方法では、実際の測定における測定子の軌跡は、理想的な走査軌跡に対して、プローブの運動誤差分だけ異なる位置を走査しているため、補正効果は高いものの、望ましい測定方法ではないという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、制御装置の追従特性を低下させることなく、空間誤差を適切に補正することができる産業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の産業機械は、対象物に対して所定の軸方向に沿って移動する移動体と、前記所定の軸と直交する2軸方向に沿って前記対象物を移動させるステージと、前記移動体、及び前記ステージの位置を位置指令値に追従させる制御装置とを備え、前記移動体を前記対象物に対して相対的に移動させることで前記対象物を測定、または加工する産業機械であって、前記制御装置は、前記移動体、及び前記ステージの位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部による検出位置の前記位置指令値に対する偏差に基づいて、前記移動体、及び前記ステージの位置を制御する位置制御部と、前記所定の軸方向における前記移動体の位置に基づいて、前記2軸方向における前記移動体の位置の誤差を算出し、前記ステージを移動させることで前記誤差を補正する移動体誤差補正部とを備えることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、産業機械は、所定の軸方向(例えば、Z軸方向)における移動体の位置に基づいて、2軸方向(例えば、X,Y軸方向)における移動体の位置の誤差を算出し、ステージを移動させることで誤差を補正する移動体誤差補正部を備え、この移動体誤差補正部による補正は、前述した産業機械のキネマティックモデルを用いた空間誤差の補正とは独立している。すなわち、フィードバック制御のループに対して、移動体の移動に伴うX,Y軸方向の誤差を補正するので、キネマティックモデルを複雑化させることなく、移動体の移動に伴うX,Y軸方向の誤差を補正することができる。
【0015】
また、移動体誤差補正部による補正は、キネマティックモデルを用いた空間誤差の補正とは独立しているので、移動体誤差補正部による補正の周期を、キネマティックモデルを用いた空間誤差の補正の周期と比較して長くするように移動体誤差補正部を構成することもできる。
したがって、産業機械は、制御装置の制御周期を低下させることなく、空間誤差演算を適切に処理することができる。
【0016】
本発明では、前記産業機械は、前記対象物を測定するための測定子を有する前記移動体を前記対象物に対して相対的に移動させることで前記対象物を測定する測定機であることが好ましい。
このような構成によれば、前述した産業機械と同様の作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔表面性状測定装置の概略構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る表面性状測定装置1を示す正面図である。図2は、表面性状測定装置1を示す側面図である。なお、図1、及び図2では、紙面上方向を+Z軸とし、Z軸と直交する2軸をX軸、及びY軸として説明する。
【0018】
産業機械としての表面性状測定装置1は、図1、及び図2に示すように、対象物Wに対してZ軸方向に沿って移動するプローブ2と、プローブ2を移動させる移動機構3と、対象物Wを載置するとともに、X,Y軸方向に沿って移動させるステージ4と、プローブ2、及びステージ4の位置を位置指令値に追従させる制御装置5(図3参照)とを備え、プローブ2を対象物Wに対して相対的に移動させることで対象物Wを測定する測定機である。なお、制御装置5については後に詳述する。
【0019】
移動体としてのプローブ2は、対象物に対してZ軸方向に沿って移動するものであり、−Z軸方向側の先端には、対象物Wを測定するための測定子2Aを有している。すなわち、本実施形態では、所定の方向はZ軸方向とされている。
移動機構3は、基台31と、基台31の上面に跨って設けられる門形フレーム32と、門形フレーム32におけるクロスレール32Aに設けられたスライダ33と、スライダ33をZ軸方向に沿って移動させるZ軸駆動機構34とを備える。そして、スライダ33の−Z軸方向側の先端位置には、プローブ2が取り付けられている。また、プローブ2は、前述した倣いプローブ20と同様の構成を有し、スライダ33の移動に伴って全体が移動する。さらに、測定子2Aは、プローブ2に対してZ軸方向に沿って移動可能に構成されている。
ステージ4は、対象物Wを載置する平坦な載置面41Aを有し、X,Y軸方向へ移動可能に設けられる台座41と、台座41をX,Y軸方向に沿って移動させるX軸駆動機構42、及びY軸駆動機構43とを備える。
【0020】
〔制御装置の概略構成〕
図3は、制御装置5の詳細構成を示すブロック図である。
制御装置5は、測定子2A、及びステージ4の位置を位置指令値に追従させるものであり、図3に示すように、測定子2A、及びステージ4の位置を検出する位置検出部51と、位置検出部51による検出位置を補正する空間誤差補正部52と、空間誤差補正部52にて補正された検出位置の位置指令値に対する偏差に基づいて、各駆動機構34,42,43に速度指令値を出力することで測定子2A、及びステージ4の位置を制御する位置制御部53とを備え、測定子2A、及びステージ4の位置をフィードバック制御している。なお、空間誤差とは、指令座標系と、運動座標系との間の誤差である。また、空間誤差補正部52は、表面性状測定装置1のキネマティックモデルに基づいて補正量を算出する。
【0021】
また、制御装置5は、Z軸方向における測定子2Aの位置に基づいて、X,Y軸方向における測定子2Aの位置の誤差(以下、測定子誤差とする)を算出する誤差算出部541を有し、ステージ4を移動させることで誤差算出部541にて算出される誤差を補正する移動体誤差補正部としての測定子誤差補正部54を備える。なお、誤差算出部541は、例えば、測定子の位置、及び測定子誤差を関連付けた補正データテーブルを用いて測定子誤差を算出することができる。
【0022】
図4は、測定子誤差補正部54にて測定子誤差を補正している状態を示す概念図である。
例えば、対象物Wの+Z軸方向における頂点に測定子2Aを接触させる場合には、図4に示すように、制御装置5は、スライダ33、及びステージ4の位置を制御することで測定子2Aを対象物Wの上方に位置させる。そして、制御装置5は、プローブ2に対して測定子2AをZ軸方向に沿って移動させる(図4中矢印A)。
ここで、プローブ2に対して測定子2Aを移動させると、測定子2Aの位置には、測定子2Aの移動に伴って測定子誤差が生じる場合がある(図4中矢印B)。
そこで、測定子誤差補正部54は、ステージ4を移動させることで対象物Wを移動させて測定子2Aの移動に伴う測定子誤差を補正する(図4中矢印C)。
【0023】
なお、ステージ4を移動させることで誤差算出部541にて算出される測定子誤差を補正する処理は、制御装置5のブロック図(図3参照)において、誤差算出部541にて算出される測定子誤差を位置検出部51による検出位置に合成する処理に相当する。
例えば、測定子2A、及びステージ4の目標位置Ptを位置指令値とした場合には、測定子2A、及びステージ4が実際に位置決めされる位置は、Pm+ΔL(=Pt−Δm+ΔL)となる。この時、位置検出部51は、空間誤差Δm、及び測定子誤差ΔLを含む測定子2A、及びステージ4の位置Pm+ΔL(=Pt−Δm+ΔL)を検出する。そして、測定子誤差補正部54によって測定子誤差ΔLを取り除き、空間誤差補正部13によって空間誤差Δmを取り除いた値(Pt)に変換された後、フィードバックされる。この時、位置偏差は0であるから、制御装置5は、測定子2A、及びステージ4の位置を指令座標系における目標位置Ptに位置決めさせつつ、実体は指令座標系と運動座標系との差を加味した位置に位置決めさせることができる。
【0024】
このような本実施形態によれば以下の効果がある。
(1)表面性状測定装置1は、測定子誤差補正部54を備え、この測定子誤差補正部54による補正は、空間誤差補正部52による空間誤差の補正とは独立しているので、キネマティックモデルを複雑化させることなく、測定子2Aの移動に伴うX,Y軸方向の誤差を補正することができ、測定子誤差補正部54による補正の周期を、空間誤差補正部52による空間誤差の補正の周期と比較して長くするように測定子誤差補正部54を構成することもできる。したがって、表面性状測定装置1は、制御装置5の制御周期を低下させることなく、空間誤差演算を適切に処理することができる。
【0025】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る制御装置5Aの詳細構成を示すブロック図である。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
制御装置5Aは、位置フィードフォワード制御部55と、補正量フィードフォワード制御部56とを備える。
【0026】
位置フィードフォワード制御部55は、位値指令値に基づいて、各駆動機構34,42,43をフィードフォワード制御するものであり、位置フィードフォワード制御部55のループ内には、位置FF(フィードフォワード)補償器551が設けられている。位置FF補償器551は、位値指令値に基づく速度指令値を各駆動機構34,42,43に出力する。
そして、位置FF補償器551にて出力される速度指令値は、位置制御部53にて出力される速度指令値に加算されて各駆動機構34,42,43に出力される。
【0027】
補正量フィードフォワード制御部56は、測定子誤差補正部54、及び空間誤差補正部52による検出位置の補正量に基づいて、各駆動機構34,42,43をフィードフォワード制御するものであり、補正量フィードフォワード制御部56のループ内には、補正量FF(フィードフォワード)補償器561が設けられている。補正量FF補償器561は、測定子誤差補正部54、及び空間誤差補正部52による検出位置の補正量に基づく速度指令値を各駆動機構34,42,43に出力する。
【0028】
ここで、補正量FF補償器561への入力は、測定子誤差補正部54、及び空間誤差補正部52で実施される補正後の位置と、補正前の位置との差、すなわち、系全体で実施された全ての補正量を算出したものが与えられる。
そして、補正量FF補償器561にて出力される速度指令値は、位置制御部53にて出力される速度指令値から減算されて各駆動機構34,42,43に出力される。
【0029】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(2)前記第1実施形態における制御装置5では、目標位置Ptの変化速度が大きくなると、測定子2A、及びステージ4の位置が位置指令値に追従できなくなり、追従誤差が生じる場合がある。これに対して、制御装置5Aは、位置フィードフォワード制御部55を備えるので、目標位置の変化速度に起因して生じる追従誤差を抑制することができる。
【0030】
(3)制御装置5Aにおいて、位置FF補償器551には、フィードバック時に実施される補正量を含まない位置指令値が入力されるため、測定子誤差補正部54、及び空間誤差補正部52によって加味される補正量に対しては、フォワード効果が得られず、補正量に依存した追従誤差が生じてしまう。これに対して、制御装置5Aは、補正量フィードフォワード制御部56を備えるので、フィードバック時に実施される補正量に依存した追従誤差を抑制することができる。
【0031】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、所定の方向はZ軸方向(鉛直方向)とされていたが、水平方向や、これら以外の方向とされていてもよい。要するに、本発明は、対象物に対して所定の軸方向に沿って移動する移動体を備える産業機械に適用することができる。
前記各実施形態では、産業機械として表面性状測定装置1を例示していたが、例えば、他の測定機や、工作機械等の他の産業機械を採用してもよい。要するに、本発明は、対象物に対して所定の軸方向に沿って移動する移動体と、所定の軸と直交する2軸方向に沿って対象物を移動させるステージとを備える産業機械に適用することができる。
【0032】
前記第2実施形態では、補正量フィードフォワード制御部56は、空間誤差補正部52の入出力の差を取ることで算出される補正量に基づいて、各駆動機構34,42,43をフィードフォワード制御していた。これに対して、例えば、空間誤差補正部52による補正量が既知である場合には、補正量フィードフォワード制御部56は、既知の補正量に基づいて、各駆動機構34,42,43をフィードフォワード制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表面性状測定装置を示す正面図。
【図2】前記実施形態における表面性状測定装置を示す側面図。
【図3】前記実施形態における制御装置の詳細構成を示すブロック図。
【図4】前記実施形態における測定子誤差補正部にて測定子誤差を補正している状態を示す概念図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る制御装置の詳細構成を示すブロック図。
【図6】空間誤差補正装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】倣いプローブに対する測定子の移動範囲を示す模式図。
【図8】対象物の表面性状を測定している状態を示す図。
【図9】測定子の移動に伴うX,Y軸方向の誤差を示す模式図。
【図10】対象物の表面性状の測定結果を示す図。
【符号の説明】
【0034】
1…表面性状測定装置(産業機械)
2…プローブ(移動体)
2A…測定子
4…ステージ
5,5A…制御装置
51…位置検出部
53…位置制御部
54…測定子誤差補正部(移動体誤差補正部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対して所定の軸方向に沿って移動する移動体と、前記所定の軸と直交する2軸方向に沿って前記対象物を移動させるステージと、前記移動体、及び前記ステージの位置を位置指令値に追従させる制御装置とを備え、前記移動体を前記対象物に対して相対的に移動させることで前記対象物を測定、または加工する産業機械であって、
前記制御装置は、
前記移動体、及び前記ステージの位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部による検出位置の前記位置指令値に対する偏差に基づいて、前記移動体、及び前記ステージの位置を制御する位置制御部と、
前記所定の軸方向における前記移動体の位置に基づいて、前記2軸方向における前記移動体の位置の誤差を算出し、前記ステージを移動させることで前記誤差を補正する移動体誤差補正部とを備えることを特徴とする産業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の産業機械において、
前記産業機械は、前記対象物を測定するための測定子を有する前記移動体を前記対象物に対して相対的に移動させることで前記対象物を測定する測定機であることを特徴とする産業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−107438(P2010−107438A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281561(P2008−281561)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】