説明

画像データ管理システムおよび画像データ管理方法

【課題】容易に画像データを管理する画像データ管理技術を提供する。
【解決手段】画像データ取得部11はユーザから画像データを取得し、画像データ保存部12に保存する。通信部15はユーザからのアクセスを可能にし、画像提示部16はユーザに対して画像データを提示する。また、画像特徴解析部13は、画像データの画像特徴を解析する。さらに、画像属性決定部14は、画像特徴解析部13の解析結果に基づき、画像データの属性を決定する。画像属性決定部14により決定された属性は、画像データと関連付けられて前記画像データ保存部に保存される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを管理する画像データ管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データを効率的に管理するために様々な方法が検討されている。例えば、特許文献1の技術では、個人情報を読取る読取手段と、読取った個人情報に基づき対応するデータサーバに接続する通信接続手段と、接続したデータサーバに対して撮影画像を送信する機能を備えたカメラが開示されている。
【0003】
特許文献1のカメラでは、撮影された画像データはその撮影者に対応するデータサーバに逐次送信される。そのため、撮影された画像データはデータサーバにおいて一括管理することができる。
【0004】
また、特許文献2には画像を取り込む画像取込手段と、前記画像取込手段により取り込まれた画像を保存する画像保存手段と、ユーザ情報を保存するユーザ情報保存手段と、保存すべき画像が選択されたことを示す画像選択情報を受信する受信手段と、前記画像保存手段に保存された画像であって前記受信手段で受信された画像選択情報が示す画像と、 前記ユーザ情報保存手段に保存されたユーザ情報とを関連付けた画像管理情報を保存する画像管理情報保存手段と、を備えた画像保存装置が開示されている。
【0005】
この特許文献2の画像保存装置では、所定の保存期間が経過するとユーザに対して削除対象としない画像の選択を促し、いずれの画像を削除対象から除外する、すなわち保存すべき画像が選択された情報(画像選択情報)が受信手段により受信される。その後、選択されなかった画像が削除される。また、この画像保存装置では、画像とその画像の属性情報とを関連付けて保存しており、これにより属性情報に基づく検索等を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11‐164282号公報(段落番号0016−0017、図6)
【特許文献2】特開2003‐115975号公報(段落番号0010、図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、画像データをデータサーバに転送する手間を省き、データサーバにおける一括管理を実現できるものであるが、多数の画像データをいかにして管理するかについては言及していない。
【0008】
一方、特許文献2の技術では、保存する画像の上限を維持するために、いかにしてユーザに保存すべき画像を選択させるかについて重きを置いたものである。また、この画像選択時に、ユーザが保存すべき画像を選択しやすくするために、画像の属性情報を用いることも開示しているが、この属性情報は撮影日時や撮影場所等の静的な情報であり、画像選択の基準として用いるには十分でない場合がある。
【0009】
本発明の目的は、このような課題に鑑み、容易に画像データを管理する画像データ管理技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の画像データ管理システムは、画像データを管理する画像データ管理システムであって、ユーザから画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データを保存する画像データ保存部と、前記ユーザからのアクセスを可能にする通信部と、前記ユーザに対して前記画像データを提示する画像提示部と、前記画像データの画像特徴を解析する画像特徴解析部と、前記画像特徴解析部の解析結果に基づき、前記画像データの属性を決定する画像属性決定部と、を備え、前記画像データ保存部は、前記画像属性決定部により決定された前記画像データの属性を当該画像データと関連付けて保存する。
【0011】
この構成では、ユーザから取得した画像データは画像保存部により保存されると共に、画像特徴解析部により画像特徴が解析される。さらに、画像属性決定部は画像特徴解析部の解析結果に基づき画像データの属性を決定する。この決定された属性は、画像データと関連付けられて画像データ保存部に保存される。これにより、画像データ取得部により、ユーザが撮影等した画像データを取得した際には、自動的に画像データの画像特徴が解析され、その解析結果に基づき属性が決定される。そのため、大量の画像データを保存する場合でも、画像データの解析が完了するまで待機する必要がなくなるため、時間的な拘束から開放され、ユーザのストレスを低減することができる。
【0012】
本発明の画像データ管理システムの好適な実施形態の一つでは、前記画像属性決定部は、前記画像特徴解析部の解析結果に基づき前記画像データの数値的な評価を行う画像評価部を備え、前記画像データ保存部は、前記画像データに対する前記画像評価部の評価結果を当該画像データと関連付けて保存する。この構成では、画像評価部が画像特徴解析部の解析結果に基づき画像データの評価を行う。画像データ保存部は、画像データとこの評価とを関連付けて保存する。これにより、ユーザに対して画像データを提示等する際には、この評価をも同時に提示等することができ、ユーザは画像データに対する評価結果を認知することができる。
【0013】
上述のような評価は多少なりとも主観が入るため、一般的な尺度に基づいた評価を行うと、評価結果とユーザ主観との間にずれがある場合にはユーザを満足させることができない。そのため、本発明の画像データ管理システムの好適な実施形態の一つでは、前記画像提示部は、前記画像データを選択可能に提示し、前記ユーザが選択した前記画像データの情報を取得する画像選択情報取得部と、選択された前記画像データの前記画像特徴に基づき、前記画像評価部の評価パラメータを調整する評価パラメータ調整部と、を備えている。この構成では、例えばユーザが削除やプリントした画像データの画像特徴から、ユーザの画像の嗜好が推定できる。そのため、評価パラメータ調整部がその嗜好に基づき評価パラメータをユーザよりに調整する。これにより、評価結果をユーザの主観に近づけることができる。
【0014】
本発明の画像データ管理システムの好適な実施形態の一つでは、前記画像属性決定部は、前記画像特徴解析部の解析結果に基づき前記画像データを分類する画像分類部を備え、前記画像データ保存部は、前記画像データに対する前記画像分類部の分類結果を当該画像データと関連付けて保存する。この構成では、画像評価部が画像特徴解析部の解析結果に基づき画像データの分類を行う。画像データ保存部は、画像データとこの分類結果とを関連付けて保存する。これにより、ユーザに対して画像データを提示等する際には、この分類をも同時に提示等することができ、ユーザは画像データに対する分類結果を認知することができる。また、ユーザは、種々の観点から類似する画像データを一括して管理する等が可能となり、画像データの管理が容易となる。
【0015】
上述のような画像データの分類も主観が入り易い。そのため、本発明の画像データ管理システムの好適な実施形態の一つでは、前記画像提示部は、前記画像データを選択可能に提示し、前記ユーザが選択した前記画像データの情報を取得する画像選択情報取得部と、選択された前記画像データの前記画像特徴に基づき、前記画像分類部の分類パラメータを調整するパラメータ調整部と、を備えている。この構成では、ユーザの選択動作に基づきユーザの主観を推定することができ、その主観に基づき分類パラメータを調整することで、分類結果をユーザの主観に近づけることができる。
【0016】
本発明の画像データ管理システムの技術的特徴は、同様の画像データ管理方法にも適用することができる。例えば、画像データ保存部に保存された画像データを管理する画像データ管理方法であって、ユーザから画像データを取得する画像データ取得ステップと、前記ユーザからのアクセスを可能にする通信ステップと、前記ユーザに対して前記画像データを提示する画像提示ステップと、前記画像データの画像特徴を解析する画像特徴解析ステップと、前記画像特徴解析ステップの解析結果に基づき、前記画像データの属性を決定する画像属性決定ステップと、を備え、前記画像データ保存部には、前記画像属性決定ステップにより決定された前記画像データの属性を当該画像データと関連付けて保存する画像データ管理方法に用いることができる。当然ながら、このような画像データ管理方法にも、上述した画像データ管理システムの付加的特徴を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像データ管理システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の画像データ管理システムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の画像データ管理システムの画像データの登録処理の流れを表すフローチャートである。
【図4】本発明の画像データ管理システムの画像データの閲覧処理の流れを表すフローチャートである。
【図5】本発明の画像データ管理システムにおける画像閲覧時の表示画面の例である。
【図6】本発明の画像データ管理システムにおける画像閲覧時の表示画面の例である。
【図7】本発明の画像データ管理システムのパラメータ調整処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔全体構成〕
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および2は、本発明における画像データ管理システムのシステム構成および機能ブロックを表す図である。図から明らかなように、本実施形態における画像データ管理システムは、画像データ管理サーバSにより構成されている。画像データ管理サーバSはインターネット等の広域ネットワークNに接続されている。
【0019】
また、画像データ管理サーバSには、ソフトウェアおよびハードウェアの少なくともいずれかにより、ユーザから画像データを取得する画像データ取得部11、ハードディスク等の不揮発性記憶媒体からなり画像データを保存する画像データ保存部12、画像データ取得部11により取得された画像データの画像特徴を解析する画像特徴解析部13、画像特徴解析部13による解析結果に基づき画像データの属性を決定する画像属性決定部14、ユーザからのアクセスを受け付けると共にユーザからのインタラクションを処理する通信部15、ユーザに対して画像データを提示する画像提示部16、ユーザに提示した画像データに対するユーザの選択処理の情報を取得する選択情報取得部17、ユーザが選択した画像データの画像特徴に基づき属性決定に用いるパラメータを調整するパラメータ調整部18を備えている。
【0020】
また、画像属性決定部14は、画像データの評価を行い、その評価結果を画像属性とする画像評価部14a、画像特徴に基づき画像データを分類し、分類結果を画像属性とする画像分類部14bを備えている。
【0021】
パラメータ調整部18は、画像評価部14aにおいて画像評価に用いるパラメータを調整する評価パラメータ調整部18a、画像分類部14bにおいて画像分類に用いるパラメータを調整する分類パラメータ調整部18bを備えている。
【0022】
〔画像データの登録処理〕
図3は、画像データ管理システムにおける画像データの登録処理の流れを表すフローチャートである。上述したように、画像データ管理サーバSには、広域ネットワークNに接続されているため、広域ネットワークNに接続可能な機器であれば画像データ管理サーバSにアクセスすることができる。例えば、汎用コンピュータからなる端末T、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末P、デジタルカメラC等を接続することができる。デジタルカメラCとしては、例えば、特開平11‐164282号公報に開示されたカメラを用いることができる。
【0023】
本説明では、デジタルカメラCから画像データを登録する場合を例として用いるが、他の機器から画像データを登録する場合も同様の処理が行われる。本実施形態におけるデジタルカメラCは、図2に示すように、画像を撮影し画像データを生成する画像データ生成部21、画像データを記録する画像データ記録部22、広域ネットワークNに接続し各種通信を行う通信部23を備えている。
【0024】
まず、ユーザはデジタルカメラCにより適宜画像を撮影する(#01)。この撮影された画像は、画像データ生成部21によりデジタルデータに変換され、画像データ記録部22に記録される。
【0025】
デジタルカメラCの通信部22は、所定のタイミングで画像データ管理サーバSに接続要求を行う(#02)。なお、所定のタイミングとは、画像データが生成される都度、所定時間間隔、撮影が行われていない時点等様々なタイミングで構わない。具体的には、通信部22は画像データ管理サーバSを表す所定のURL(Uniform Resource Locator)またはIPアドレスに対して接続要求を送信する。
【0026】
画像データ管理サーバSの通信部15は、通信部22からの接続要求に対して、ユーザ認証を行うためにユーザIDとパスワードとを要求する。これに対して通信部22は、予めデジタルカメラに登録しているユーザIDおよびパスワードを送信する(#03)。ユーザIDとパスワードを受信した通信部15は、ユーザIDとパスワードとを関連付けて記録しているユーザデータベース(図示せず)に、これらが登録されているかを検証する(#04)。ユーザIDとパスワードの少なくとも一方がユーザデータベースの登録内容と異なっている場合(#04のNo分岐)には、認証失敗として通信を切断して終了する(#10)。
【0027】
一方、ユーザIDとパスワードの双方が正当である場合(#04のYes分岐)には、認証が成功した旨が通信部15から通信部22に送信される。通信部22は、これに対して、画像データ記録部22に記録されている画像データのうち画像データ管理サーバSに送信していない画像データを送信する(#05)。
【0028】
通信部22から画像データを受信した通信部15は、画像データに対して識別子(以下、画像IDと称する)を付与し、ユーザIDと画像データと画像IDとを関連付けて画像データ保存部12に保存する(#06)。同時に、画像データと画像IDとはRAM(図示せず)を介して画像特徴解析部13に送られる。
【0029】
画像特徴解析部13では、種々の方法を用いて画像データの特徴を解析する(#07)。解析する画像特徴としては、人物情報(人物の有無、人数、特定人物、表情、眼や口の開度、人物の性別/年代等)、風景(屋外/屋内、夜景等)、色情報(カラーバランス、代表色、平均色、コントラスト等)、構図、ピント等を用いることができる。これらの解析方法は、公知の方法を用いることができるため、解析方法に関する説明は省略する。画像特徴解析部13の解析結果はRAMに一時的に記憶され、解析が完了した旨が画像属性決定部14に通知される。
【0030】
画像特徴の解析が完了した旨の通知を受けた画像属性決定部14は、RAMに記憶された画像特徴を用いて、画像データの属性の決定を行う(#08)。本実施形態における画像データの属性とは、画像データの評価値および画像データの分類結果をいう。画像データの評価値とは、画像データの良否を表す値(0〜100点)であり、デジタルカメラCにより撮影された画像データの場合には、撮影の良否を表す数値である。一方、画像データの分類結果とは、画像データをある観点から分類した場合に、その画像データが属する集合を示す情報をいう。
【0031】
本実施形態における画像データの評価は画像評価部14aが、画像特徴解析部13により解析されたコントラスト、ピントに基づいて行う。当然ながら、他の画像特徴に基づいて行っても構わない。本実施形態の画像評価部14aには、コントラストとピントとに基づく評価値が評価値テーブル14at(本発明における評価パラメータの例)に記憶されている。したがって、画像評価部14aは、画像特徴解析部13により解析されたコントラストおよびピントを用いて、評価値テーブル14atから評価値を求める。求められた評価値は、属性情報として画像データIDと関連付けられて画像データ保存部12に保存される(#09)。
【0032】
一方、画像データの分類は画像分類部14bにより行われる。画像分類部14bは、画像特性解析部13の解析結果に基づき、所定の観点から見て画像データが属する集合を決定する。例えば、人物という観点から分類した場合には、各々の画像データは人物画像と非人物画像という集合に分類されるため、各々の画像データには“人物”または“非人物”という分類ラベル(属性)が付与される。さらに、人物画像の場合には人数の観点から分類することができ、“ピンショット(1人)”や“集合写真(多人数)”といった分類ラベルが付与される。また、分類の観点には上述のように客観性の強いものだけでなく、画像の印象といった主観性の強いものも用いることができる。このような観点から分類を行う場合には、印象(分類ラベル)とパラメータ(色情報に関するもの等)との関係が所定の分類テーブル14btに記憶されており、画像分類部14bはこの分類テーブル14btと画像特徴解析部13の解析結果に基づき印象を決定する。
【0033】
このようにして求められた分類ラベルは、属性情報として画像データIDと関連付けられて画像データ保存部12に保存される(#09)。
【0034】
なお、画像分類部14bによる分類結果は分類の観点毎に付与されるため、各画像データには分類の観点数と同数の分類ラベルが付与される。そのため、画像データを検索・抽出する際には、各々の観点の分類ラベルを複合的に用いることができる。
【0035】
このように、本実施形態では、画像が撮影される都度、画像データが画像データ管理サーバSに送信され、画像データの画像特徴が解析されて保存される。そのため、演算量が多い画像解析を行っても、ユーザにストレスを与えることがない。
【0036】
〔画像閲覧処理〕
図4は、ユーザが画像データ管理サーバSにアクセスして、画像データ管理サーバSに保存されている画像データを閲覧する場合の処理の流れを表すフローチャートである。ユーザが画像データ管理サーバSにアクセスするためには、広域ネットワークNに接続でき、画像を表示可能な機器であれば様々なものを用いることができる。本説明では、端末Tを用いた場合を説明する。
【0037】
図1に示すように、端末Tは汎用コンピュータからなる本体Tb、ディスプレイTd、キーボードTk、マウスTmにより構成されている。ユーザは、キーボードTkおよびマウスTmを用いて各種操作を実行し、ディスプレイTdを介して種々の状態を知覚することができる。
【0038】
ユーザが画像データ管理サーバSにアクセスする場合には、本体Tbにインストールされているアプリケーションソフトウェアを用いる。本実施形態では、画像データ管理サーバS上で画像データの閲覧処理がWEBアプリケーションとして実装されているものとする。そのため、ユーザはWEBブラウザ(以下、ブラウザと称する)を用いて、画像データ管理サーバSにアクセスすることができる。
【0039】
まず、ユーザはマウスTmを操作してブラウザを起動し、画像データ管理サーバSのURLを入力することにより、画像データ管理サーバSに接続を要求する(#11)。この接続要求を受けた画像データ管理サーバSの通信部15は、端末Tに対してユーザIDおよびパスワードの入力を要求する。この入力要求は、ディスプレイTdに表示されるため、ユーザはユーザIDおよびパスワードの入力が必要なことを知覚することができる。
【0040】
この入力要求に対してユーザがキーボードTk,マウスTmを操作してユーザIDおよびパスワードを入力すると、入力された内容が画像データ管理サーバSに送信される(#12)。
【0041】
ユーザが入力したユーザIDおよびパスワードを受信した通信部15は、ユーザデータベースに登録されている内容と照合する(#13)。認証が失敗した際には、通信部15は端末Tとの通信を切断し、処理を終了する(#18)。一方、認証が成功した際には、認証が成功した旨とユーザIDとが画像提示部16に通知される。
【0042】
通知を受けた画像提示部16は、取得したユーザIDに関連付けられている画像データを画像データ保存部12から検索する(#14)。上述したように、画像データ保存部12には画像データを登録したユーザのユーザIDと画像データとを関連付けて保存している。そのため、ユーザIDをキーとしてそのユーザIDを持つユーザが登録した画像データを検索することができる。同時に、その画像データの属性情報も取得しておく。
【0043】
画像提示部16は、検索して取得した画像データを端末TのディスプレイTdに表示させるために、所定のHTMLファイルにその画像データの情報を埋め込み、通信部15を介してそのHTMLファイルを送信する(#15)。本実施形態では、初期画面での画像データの配置は、評価値の降順に整列するものとする(以下この表示態様をベストショット画面と称する)。そのため、上述のHTMLファイルを受け取った端末Tのブラウザの表示は、図5のようになる。図から明らかなように、本実施形態のベストショット画面40には、画像データのサムネイル画像を表示するサムネイル画像領域41、各々のサムネイル画像に対応する画像データの評価値を表示するための評価値表示領域42、サムネイル画像に対応する画像データを選択するための選択チェックボックス43、ページ切換のための前ページボタン44および次ページボタン45、選択チェックボックス43により選択された画像データに対して画像プリントの注文処理を行うためのプリント注文ボタン46、選択チェックボックス43により選択された画像データを削除するための削除ボタン47、表示態様を切り替えるための表示モード切替メニュー48を備えている。
【0044】
このベストショット画面40では、上述のように画像データの評価値の降順にサムネイル画像が整列表示されるため、一般的によい写真と評価される画像が先に表示される。そのため、画像データを写真プリント注文する等の場合には、全ての画像データをチェックする手間を省くことができる。また、評価値の昇順に整列表示した場合には、一般的に悪い写真と評価される画像が先に表示される。このような表示態様は、画像データを削除する等の場合に適している。
【0045】
また、ユーザはこのベストショット画面40を介して操作対象とする画像データを選択することができる。操作対象とする画像を選択する際には、ユーザはマウスTmを操作して、操作対象としたい画像データのサムネイル画像に対応する選択チェックボックス43にチェックを入れる。チェックボックスとは、マウスTm等でクリックする度にON/OFFが切り替わるトグルスイッチである。対応する選択チェックボックス43がON(図では「レ」が示されたもの)となったサムネイル画像の画像データが処理対象として選択される。本実施形態の処理は、上述のように画像プリント注文と削除である。例えば、画像プリントを注文したい画像データに対応する選択チェックボックス43をON操作した後、プリント注文ボタン46を押下すると、選択された画像データの画像IDと処理態様「画像プリント注文処理」が画像データ管理サーバSに送信される。これらの情報は、選択情報として選択情報取得部17で取得され、所定の画像プリント注文処理が実行される。一方、削除したい画像データの対応する選択チェックボックス43をON操作した後、削除ボタン47を押下すると、選択された画像データの画像IDと処理態様「削除」が選択情報として選択情報取得部17で取得される。その後、選択情報に含まれる画像IDを持つ画像データが画像データ保存部12から削除される。
【0046】
本実施形態の画像閲覧は他の表示態様とすることもできる。表示態様を変更する場合には、ユーザはマウスTm等により表示モード切替メニュー48を操作する。表示モード切替メニュー48は、いわゆるプルダウンメニューとして構成されており、マウスTmによりクリックされると、下方に選択可能な項目がメニュー形式で表示される。ユーザは、表示されたメニューから、所望の表示モードを選択すると、選択された表示モードの種類が画像提示部16に通知される(#16のYes分岐)。これに対して、画像提示部16は、選択された表示モードに応じてHTMLファイルを生成して、端末Tに送信する。
【0047】
例えば、ユーザは表示モード切替メニューを操作して、「分類表示(人物)」を選択すると、ディスプレイTdには図6のような分類表示画面50が表示される。この分類表示画面50を表示するためには、画像提示部16は、属性情報として「人物」を持つ画像データのみを画像データ保存部12から取得し、それらの画像データの情報を埋め込んだHTMLファイルを生成する。本実施形態では、画像データに含まれる人物の数も属性情報として保持しているため、分類表示において人数を用いることもできる。例えば、人数により整列したり、ピンショットや集合写真のみを表示させることも可能である。また、分類表示はこれに限定されるものではなく、画像データの他の属性情報に基づいても構わない。さらに、一の属性情報だけでなく、複数の属性情報の論理式(論理和、論理積等)により分類しても構わない。なお、分類表示画面50にもベストショット画面40と同様に、サムネイル画像領域51、選択チェックボックス53、前ページボタン54、次ページボタン55、プリント注文ボタン56、削除ボタン57、表示モード切替メニュー58が備えられている。これらの動作は、ベストショット画面におけるものと同様なので説明は省略する。
【0048】
上述の処理は、所定の終了処理(ログアウト、ブラウザの終了、端末Tの終了等)が行われるまで繰り返される(#17)。
【0049】
また、他の分類表示態様として類似画像を表示することもできる。この表示態様に移行するためには、ユーザは、一の選択チェックボックス43(53)のみをONにした状態で表示モード切替メニュー48(58)から分類(類似)を選択する。この選択された画像の画像IDと表示態様「分類(類似)」が画像提示部16に取得される。画像提示部16は、選択された画像データの属性情報と類似する属性情報を持つ画像データを取得し、これらの情報を埋め込んだHTMLファイルを生成し、端末Tに送信する。なお、画像データの類似の判定方法は、例えば、構図、色調、印象等に基づき類似の判定を行うことができる。個別の類似の判定方法は公知の方法を用いることができるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
〔パラメータの調整処理〕
上述の処理で用いた画像データの評価や類似の判定は、主観に左右されるものである。そのため、一般的な尺度すなわち固定的なパラメータに基づいてなされた評価や類似判定に対してユーザが違和感を持つことがある。その違和感を解消するために、本発明ではこれらのパラメータを調整する機能を備えている。以下に、図7のフローチャートを用いて、このパラメータ調整処理の流れを説明する。
【0051】
ここでは、評価値の算出パラメータを調整する場合を説明する。まず、上述のようにベストショット画面40にサムネイル画像と評価値とが表示される(#21)。パラメータ調整を行うためには、本発明の画像データ管理システムが提示した内容に対するユーザからのフィードバックを得る必要がある。そのためには、ベストショット画面40の評価値表示領域42を編集可能に構成している。したがって、ユーザはマウスTmやキーボードTk等を操作して、表示されている評価値を変更することができる。変更された評価値とその画像データの画像IDとは、フィードバックとして選択情報取得部17を介してパラメータ調整部18に取得される(#22)。パラメータ調整部18の評価パラメータ調整部18aでは、選択された画像データの評価値とその画像データの属性情報(ピント、コントラスト)を参照し(#23)、それらの画像データの評価値が設定された評価値に近づくように評価値テーブル14at(画像評価のパラメータ)を調整する(#24)。パラメータを調整した旨はパラメータ調整部18から画像属性決定部14に通知される。画像属性決定部14では、調整された評価値テーブル14atを用いて、そのユーザの全ての画像データの評価値を再計算し、画像データ保存部12に保存されている評価値を更新する(#25)。
【0052】
同様に、画像データの分類に用いるパラメータも調整することができる。例えば、画像データの類似の判定は、個人により、着眼点や色の類似の判断が異なるため、主観に左右される面が大きい。そのため、本実施形態では、画像データの分類表示おける画像データの類似性判断のパラメータを調整する処理を説明する。
【0053】
まず、ユーザに対して上述のように画像データが提示される(#21)。このときの提示画面は、ベストショット画面40、分類表示画面50だけでなく他の表示画面であっても構わないが、表示画面にはチェックボックスが含まれていることが望ましい。ユーザは、マウスTm等を操作して、表示されている画像のうち類似すると思う画像データに対応するチェックボックスをONにする。これにより、ユーザの類似の判断基準を得ることができる。この操作内容すなわち選択された画像データの画像IDは、選択情報取得部17によりフィードバックとして取得され、パラメータ調整部18に送られる。
【0054】
画像IDを取得したパラメータ調整部18では、分類パラメータ調整部18bがこれらの画像同士が類似となるようにパラメータを調整し、分類テーブル14btを更新する(#23、24)。パラメータを調整した旨はパラメータ調整部18から画像属性決定部14に通知される。画像属性決定部14では、調整された分類テーブル14btを用いて、そのユーザの全ての画像データの分類を再計算し、画像データ保存部12に保存されている分類を更新する(#25)。
【0055】
本実施形態のように複数の属性を持つデータ間の類似度を測る場合には、各々の種類の属性間で類似度を測り、それらの類似度の加重和を求めることが行われる。そのため、その加重和の重みをパラメータとして、調整の対象とすることができる。すなわち、パラメータ調整部18の分類パラメータ調整部18bは、選択された画像データの各属性同士の類似度を計算し、それらの加重和が大きくなるように重みを調整する。したがって、これらの画像データ間で類似する値を持つ属性に対する重みは大きく、類似しない値を持つ属性に対する重みは小さく調整される。
【0056】
また、色調の類似のパラメータも調整することが可能である。一般的に、色の類似は均等色空間におけるユークリッド距離が用いられる。したがって、類似度は均等色空間では等方的である。しかし、上述の処理によりユーザが選択した画像データ同士の色の距離(例えば、平均色や代表色間の距離)を求めた場合に、距離計算を異方的に行った方が適する場合がある。そのような場合には、均等色空間の座標すなわち色に応じて補正係数(パラメータ)を用いればよい。
【0057】
上述のように、本発明の画像データ管理システムによれば、画像データを画像データ管理サーバSで一括管理することができるだけでなく、画像データをユーザに提示する際には、画像データの画像特性に基づく表示が行われるため、ユーザは画像データの選択等の処理を容易に行うことができる。
【0058】
〔別実施形態〕
(1)本発明における画像データ管理サーバSは広域ネットワーク接続されている。そのため、複数のユーザから画像データを受付、管理することができる。このような場合には、他のユーザの操作等を用いて表示態様を変更する等を行うことができる。例えば、一のユーザに対して画像データを提示する際に、他のユーザが画像プリントを注文している画像データの属性に基づき、画像プリントをする画像を推奨することができる。これは、公知の協調フィルタリングの技術を用いることで実現することができる。これにより、世の中の嗜好傾向に沿った画像データを推奨することができる。
【0059】
(2)上述の実施形態では、ユーザがパラメータを調整するための明示的な処理に基づきパラメータの調整を行ったが、ユーザがパラメータ調整を意図しない操作に基づいてパラメータ調整を行うことも可能である。例えば、ベストショット画面40において、ユーザが画像プリントを注文した際には、その注文された画像データはユーザが気に入ったものと推定することができる。すなわち、その画像データはそのユーザにとっては評価が高いものである。したがって、パラメータ調整部18は、ユーザが画像プリントした画像データの評価値が高くなるようパラメータを調整する。
【0060】
(3)上述の実施形態のベストショット画面40では、画像データのサムネイル画像とその評価値とが単に表示されるものであるため、ユーザは評価値の高い画像データの画像プリントを注文したり、それらを保存したりすると考えられる。しかしながら、デジタル画像は画像処理が容易であり、評価値の低い画像データでもシャープネス補正、コントラスト調整等の画像処理を施すことで、評価値が向上する画像データも存在する。そこで、そのような画像データに対しては、画像処理を施せば評価値が向上する旨をユーザに通知する構成としても構わない。
【0061】
(4)上述の実施形態における画像データの特徴解析は、原画像を用いても縮小画像を用いても構わない。原画像を用いた場合には、画像データに含まれる全ての情報を使用することができるために、精細な解析を行うことが可能である反面、演算量が増大するという問題が生じる。しかしながら、本発明の画像データ管理システムでは、画像データはサーバ上で処理されるため、演算量が増大したとしてもユーザにストレスを与えることがない。特に、上述のように画像データを撮影した都度画像データを画像データ管理サーバSに送信する構成とすると、画像データを転送する際の待ち時間も画像データを処理する際の待ち時間もユーザは知覚せず、ストレスとはならない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、画像データの管理に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
S:画像データ管理サーバ
11:画像データ取得部
12:画像データ保存部
13:画像特徴解析部
14:画像属性決定部
15:通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを管理する画像データ管理システムであって、
ユーザから画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データを保存する画像データ保存部と、
前記ユーザからのアクセスを可能にする通信部と、
前記ユーザに対して前記画像データを提示する画像提示部と、
前記画像データの画像特徴を解析する画像特徴解析部と、
前記画像特徴解析部の解析結果に基づき、前記画像データの属性を決定する画像属性決定部と、を備え、
前記画像データ保存部は、前記画像属性決定部により決定された前記画像データの属性を当該画像データと関連付けて保存することを特徴とする画像データ管理システム。
【請求項2】
前記画像属性決定部は、前記画像特徴解析部の解析結果に基づき前記画像データの数値的な評価を行う画像評価部を備え、
前記画像データ保存部は、前記画像データに対する前記画像評価部の評価結果を当該画像データと関連付けて保存することを特徴とする請求項1記載の画像データ管理システム。
【請求項3】
前記画像属性決定部は、前記画像特徴解析部の解析結果に基づき前記画像データを分類する画像分類部を備え、
前記画像データ保存部は、前記画像データに対する前記画像分類部の分類結果を当該画像データと関連付けて保存することを特徴とする請求項1または2記載の画像データ管理システム。
【請求項4】
前記画像提示部は、前記画像データを選択可能に提示し、
前記ユーザが選択した前記画像データの情報を取得する画像選択情報取得部と、
選択された前記画像データの前記画像特徴に基づき、前記画像評価部の評価パラメータを調整する評価パラメータ調整部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の画像データ管理システム。
【請求項5】
前記画像提示部は、前記画像データを選択可能に提示し、
前記ユーザが選択した前記画像データの情報を取得する画像選択情報取得部と、
選択された前記画像データの前記画像特徴に基づき、前記画像分類部の分類パラメータを調整する分類パラメータ調整部と、を備えたことを特徴とする請求項3記載の画像データ管理システム。
【請求項6】
画像データ保存部に保存された画像データを管理する画像データ管理方法であって、
ユーザから画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記ユーザからのアクセスを可能にする通信ステップと、
前記ユーザに対して前記画像データを提示する画像提示ステップと、
前記画像データの画像特徴を解析する画像特徴解析ステップと、
前記画像特徴解析ステップの解析結果に基づき、前記画像データの属性を決定する画像属性決定ステップと、を備え、
前記画像データ保存部には、前記画像属性決定ステップにより決定された前記画像データの属性を当該画像データと関連付けて保存することを特徴とする画像データ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−225082(P2010−225082A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74250(P2009−74250)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】