説明

画像再生方法および装置並びに記録媒体

【課題】画像データに対して施した画像処理内容に応じて発生する著作権等の権利を有効に保護する。
【解決手段】オリジナル画像データS0に対して複数の画像処理装置M1〜Mn2において画像処理を施し、各処理毎にこの画像処理の内容を付帯情報として生成し、付帯情報を暗号化するとともに、暗号化鍵K1〜Knを生成する。画像データS0に暗号化付帯情報を深層暗号化して埋め込んで画像データQnを得る。画像データQnおよび所望とする復号化鍵を入手し、これに基づいて所望とする画像処理内容に対応する暗号化付帯情報を復号化して付帯情報を得、この付帯情報により画像データQnに対して画像処理を施して再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに対して画像処理を施して再生する画像再生方法および装置並びに画像再生方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像データのデジタル化が進み、それに合わせて多様なデジタルコンテンツが登場してきている。このようなデジタル画像データは、その加工のし易さから、様々なソフトウエアを利用して用途に合わせて加工、画像処理が施されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようにデジタル画像データは加工しやすいため、容易に改竄されてしまい、その画像データにより表される画像の著作権や意匠権が侵害されやすいという問題がある。さらに、近年のネットワークインフラの整備によりデータの送配信が容易となることによって、より一層画像データの改竄の問題が大きくなってきている。
【0004】
一方、オリジナル画像データに対して段階的に複数の審美的処理や修正を加えた場合は、処理内容とその処理内容に関する著作権あるいは意匠権との対応付けが困難なものとなる。したがって、各処理内容毎に発生する権利を確実に保護しつつ、画像データを利用する側の便宜も損なわないようにする何らかの手法が必要とされている。
【0005】
この場合、各処理を行う毎に画像データを暗号化し、特定の権利を有する者のみが画像データを復号できるようにする、あるいは画像データに容易に除去できない方法で著作情報を埋め込み、画像データを配布した後に著作情報を照会・課金する等の方法により、これらの権利を保護することができる。しかしながら、画像データを暗号化する方法の場合、画像データを復号化するための鍵を入手しなければ画像データの内容を知ることができず、一見しただけではその画像データがどのような内容のものであるか分からないため、その画像データを商品として流通させることが困難となる。また、著作権情報等を画像データに埋め込む方法の場合、画像データの利用者が申請しない場合は、著作権者自らが不正使用を摘発しなくてはならないという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、画像データに対して施した処理内容に応じて発生する著作権等の権利を有効に保護することができる画像再生方法および装置並びに画像再生方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の画像再生方法は、画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を深層暗号化して埋め込むことにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込み、
あらかじめ取得した解読鍵に基づいて、前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出し、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得、
該処理済み画像データを再生することを特徴とするものである。
【0008】
本発明による第2の画像再生方法は、画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を前記画像データのヘッダに付与することにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込み、
前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出し、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得、
該処理済み画像データを再生することを特徴とするものである。
【0009】
本発明による第1の画像再生装置は、画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を深層暗号化して埋め込むことにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込む読込手段と、
あらかじめ取得した解読鍵に基づいて、前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出す付帯情報読出手段と、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得る復号化手段と、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得る処理手段と、
該処理済み画像データを再生する再生手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明による第2の画像再生装置は、画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を前記画像データのヘッダに付与することにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込む読込手段と、
前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出す付帯情報読出手段と、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得る復号化手段と、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得る処理手段と、
該処理済み画像データを再生する再生手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
なお、本発明による第1および第2の画像再生方法をコンピュータに実行させるプログラムとして、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0012】
本発明による第1の画像処理方法は、画像データに対して画像処理を施す画像処理方法において、
前記画像データに前記画像処理を施した際の画像処理内容に関する付帯情報を生成し、
該付帯情報を前記画像データに暗号化して付与することを特徴とするものである。
【0013】
ここで、付帯情報の付与方法としては、付帯情報を暗号化して画像データのタグに埋め込む、付帯情報を画像データに深層暗号化して埋め込む等の方法を採用することができる。
【0014】
なお、「深層暗号化して埋め込む」とは、オリジナルデータの冗長な部分に付帯情報を埋め込むことをいい、その詳細な手法については後述する松井の文献に記載されている。
【0015】
本発明による第2の画像処理方法は、画像データに対して画像処理を施す画像処理方法において、
前記画像データに前記画像処理を施した際の画像処理内容に関する付帯情報を生成し、
該付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得、
該暗号化付帯情報を前記画像データに深層暗号化して埋め込むことを特徴とするものである。
【0016】
本発明による第3の画像処理方法は、画像データに対して段階的に複数の画像処理を施す画像処理方法において、
前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、
該各付帯情報を暗号化して前記画像データに付与することを特徴とするものである。
【0017】
本発明による第4の画像処理方法は、画像データに対して段階的に複数の画像処理を施す画像処理方法において、
前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、
該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得、
該各暗号化付帯情報を前記画像データに深層暗号化して埋め込むことを特徴とするものである。
【0018】
ここで、本発明による第3および第4の画像処理方法における各付帯情報の暗号化方式は、画像処理を行う毎にそれぞれ異なるものとすることが好ましい。
【0019】
なお、本発明による第3および第4の画像処理方法においては、前記画像データは、オリジナル画像データであってもよく、少なくとも1段階の画像処理が施された処理済み画像データであってもよい。
【0020】
本発明による第1の画像処理装置は、画像データに対して画像処理を施す画像処理装置において、
前記画像データに前記画像処理を施した際の画像処理内容に関する付帯情報を生成する付帯情報生成手段と、
該付帯情報を前記画像データに暗号化して付与する付与手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0021】
なお、前記付与手段は、前記付帯情報を前記画像データに深層暗号化して埋め込む手段であることが好ましい。
【0022】
本発明による第2の画像処理装置は、画像データに対して画像処理を施す画像処理装置において、
前記画像データに前記画像処理を施した際の画像処理内容に関する付帯情報を生成する付帯情報生成手段と、
該付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得る暗号化手段と、
該暗号化付帯情報を前記画像データに深層暗号化して埋め込む埋込手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0023】
本発明による第3の画像処理装置は、画像データに対して段階的に複数の画像処理を施す画像処理装置において、
前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成する付帯情報生成手段と、
該各付帯情報を暗号化して前記画像データに付与する付与手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0024】
本発明による第4の画像処理装置は、画像データに対して段階的に複数の画像処理を施す画像処理装置において、
前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成する付帯情報生成手段と、
該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得る暗号化手段と、
該各暗号化付帯情報を前記画像データに深層暗号化して埋め込む埋込手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0025】
なお、本発明による画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムとして、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、画像データに対して画像処理を施した際に、処理が施された画像を暗号化するのではなく、画像処理の内容を暗号化し、これを付帯情報として画像データに付与するようにしたものである。このため、その画像処理内容を知るためには暗号化された付帯情報を復号化するための鍵が必要となり、この鍵を持たない者は画像処理の内容を知ることができず、画像処理が施された画像データを得ることができないこととなる。したがって、画像処理を施した者は、正当に料金を支払った者にのみ暗号を復号化するための鍵を渡せば、その者以外の不正な利用を制限することができ、また確実に使用料金を徴収できることとなる。また、利用者は鍵を入手しなくとも処理前の画像データは入手することができるため、画像の内容をある程度知ることができ、これにより、画像データの流通が阻害されることもなくなる。
【0027】
また、画像データに対して段階的に画像処理を施した場合は、その画像処理内容毎に付帯情報を暗号化して画像データに付与することにより、利用者は所望とする画像処理が施された画像データが必要な場合は、その画像処理を施した者に対して使用料金を支払うことにより、鍵を入手してその画像処理が施された画像データを得ることができる。したがって、支払った料金に応じた処理内容の画像を得ることができることとなる。
【0028】
さらに、付帯情報を深層暗号化して画像データに埋め込むことにより、画像データに対して種々の処理や、保存、読出しを繰り返しても、ヘッダに記録された情報のように付帯情報が紛失したり変更されたりすることがなくなる。また、付帯情報と画像データとの対応付けが分からなくなることもなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0030】
図1は本発明の第1の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態による画像処理装置は、デジタルカメラ、フイルムあるいはプリント画像から画像データを得る読取装置等のオリジナル画像データS0を得るデータ生成手段1と、オリジナル画像データS0に対して画像処理を施して処理済み画像データS1を得る画像処理手段2と、画像処理手段2においてオリジナル画像データS0に対して施した画像処理の内容を付帯情報H0として生成する付帯情報生成手段3と、付帯情報H0を暗号化して暗号化付帯情報H1を得るとともに暗号化鍵K1を得る暗号化手段4と、暗号化付帯情報H1をオリジナル画像データS0に深層暗号化して埋め込んで暗号化付帯情報H1が埋め込まれた画像データS2を得、この画像データS2をハードディスク、ネットワーク上のデータベース、MO、CD−R、ZIP等の記録媒体6に記録する埋込手段5とを備える。
【0031】
画像処理手段2においてはオリジナル画像データS0に対してフィルタリング処理、階調処理等の画像処理が施される。
【0032】
付帯情報生成手段3においては、画像処理手段2においてオリジナル画像データS0に対して施した画像処理の内容が付帯情報H0として生成される。ここで、画像処理がフィルタリング処理の場合は、フィルタの帯域特性やその強度が付帯情報H0として生成される。また、画像処理が階調処理の場合は、各チャンネルのガンマ特性、色変換方法、変換先の色空間特性、ルックアップテーブルのプロファイル等が付帯情報H0として生成される。
【0033】
暗号化手段4においては、種々の暗号化の方法により付帯情報H0が暗号化されて暗号化付帯情報H1が得られる。また、この際、暗号化の内容に応じた暗号化鍵K1が生成される。
【0034】
埋込手段5においては、例えば特開平8−289159号、同10−108180号、同9−214636号等に記載されているような、著作権情報等をオリジナルデータに深層暗号化して埋め込む手法により、暗号化付帯情報H1がオリジナル画像データS0に深層暗号化して埋め込まれる。この手法は、データの冗長な部分に認証情報や著作権情報を埋め込むことにより、例えばオリジナルデータが画像データの場合、その画像データを再生しただけでは埋め込まれている情報を確認することはできないが、その情報を読出すための装置やソフトウエアを用いることにより、データに埋め込まれている情報を読出して表示等することができるものである。この深層暗号化については種々の文献にその詳細が記載されている(例えば、「電子透かし、松井甲子雄、O plus E No.213,1997年8月)。
【0035】
このような深層暗号化の手法として、他にも画素空間利用型、量子化誤差利用型、周波数領域利用型等種々の手法が知られている。画素空間利用型は対象画素の近傍の例えば3×3画素の平面を取り出し、この周囲8ビットに付帯情報を埋め込む方法である。量子化誤差利用型は、画像データを圧縮する過程において発生する量子化誤差に着目し、付帯情報のビット系列の0,1で量子化出力を偶数と奇数とに制御して見かけ上量子化ノイズとして付帯情報を画像データに埋め込む方法である。この量子化誤差利用型については、「画像深層暗号」(松井甲子雄、森北出版、1993年)にその詳細が記載されている。周波数領域利用型は、画像領域上において視覚的に鈍感な周波数領域に付帯情報を埋め込む方法である。例えば、画像中の高周波成分は視覚的に鈍感な領域であるため、画像データを複数の周波数帯域に分解し、高周波帯域に付帯情報を埋め込み、さらに画像データに再構成することにより付帯情報を埋め込むことができる。また、人間の視覚特性としては、色差や彩度情報は一般に輝度情報よりも階調識別能力が低下し、輝度と色差あるいは彩度情報との差の部分に見えない記録が可能となる領域が存在する。したがって、この領域に付帯情報を埋め込むこともできる。
【0036】
他にも、画像としてS/Nの悪いビットプレーンにノイズの冗長に紛れさせて付帯情報を埋め込む方法や、一定の範囲の画素ブロック(空間)における情報変化の冗長性に埋め込む方法、データ圧縮を行う際に符号化によりデータ情報量が縮退する場合の量子化誤差に埋め込む方法等が挙げられる。
【0037】
次いで、第1の実施形態の動作について説明する。まず、データ生成手段1においてオリジナル画像データS0を得る。このオリジナル画像データS0に対して画像処理手段2において画像処理が施され、処理済み画像データS1が得られる。付帯情報生成手段3においては、画像処理手段2においてオリジナル画像データS0に対して施された画像処理の内容が付帯情報H0として生成され、暗号化手段4において付帯情報H0が暗号化されて暗号化付帯情報H1が得られる。暗号化付帯情報H1は埋込手段5においてオリジナル画像データS0に深層暗号化されて埋め込まれ、暗号化付帯情報H1が埋め込まれた画像データS2が記録媒体6に記録される。
【0038】
図2は、暗号化付帯情報H1が深層暗号化された埋め込まれた画像データS2から暗号化付帯情報H1を読出し、この暗号化付帯情報H1に基づいて画像データS2に対して画像処理を施して処理済み画像を再生する画像再生装置の構成を示す概略ブロック図である。図2に示すように、この画像再生装置は、記録媒体6から画像データS2を読み込む読込手段11と、画像データS2から暗号化付帯情報H1を読出す付帯情報読出手段12と、暗号化付帯情報H1を暗号化鍵K1に基づいて復号化して付帯情報H0を得る復号化手段13と、付帯情報H0により表される画像処理の内容に基づいて画像データS2に対して画像処理を施して処理済み画像データS3を得る処理手段14と、処理済み画像データS3あるいは画像データS2を再生するプリンタ、モニタ等の再生手段15とを備える。
【0039】
なお、暗号化鍵K1および暗号化付帯情報H1の深層暗号化の手法を解読するための解読鍵は、画像データS2を生成した権利者に対して正当に料金を支払った者、あるいは権利者から利用許諾を受けた者のみが入手可能である。
【0040】
次いで、図2に示す画像再生装置の動作について説明する。まず、記録媒体6に記録された画像データS2が読込手段11において読み込まれる。ここで、画像データS2を再生手段15において再生して得られる画像は、何ら処理が施されたものではなく、図1に示す画像処理装置のデータ生成手段1において得られたオリジナル画像データS0を再生した画像と同様の画像である。一方、付帯情報読出手段12において画像データS2から暗号化付帯情報H1が読出される。読出された暗号化付帯情報H1は、復号化手段13に入力され、暗号化鍵K1に基づいて復号化されて付帯情報H0が得られる。付帯情報H0は処理手段14に入力され、ここで付帯情報H0により表される画像処理内容に基づいて画像データS2に対して画像処理が施され、処理済み画像データS3が得られる。処理済み画像データS3は再生手段15において再生される。ここで、再生手段15に再生される画像は、図1に示す画像処理装置において得られる処理済み画像データS1を再生した画像と同様の画像となる。
【0041】
このように、第1の実施形態は、オリジナル画像データS0に対して画像処理を施した際に、処理が施された画像を暗号化するのではなく、画像処理の内容を付帯情報H0として生成し、この付帯情報H0を暗号化して暗号化付帯情報H1を得、この暗号化付帯情報H1をオリジナル画像データS0に深層暗号化して埋め込むようにしたものである。このため、その画像処理内容を知るためには暗号化付帯情報H1を復号するための暗号化鍵K1および深層暗号化の手法を解読するための解読鍵が必要となり、この暗号化鍵K1および解読鍵を持たない者は画像処理の内容を知ることができず、画像処理が施された処理済み画像データS3を得ることができないこととなる。したがって、画像処理を施した者は、正当に料金を支払った者にのみ暗号化付帯情報H1を復号化するための暗号化鍵K1および解読鍵を渡せば、その者以外の不正な利用を制限することができ、また確実に使用料金を徴収できることとなる。また、利用者は暗号化鍵K1を入手しなくとも処理前の画像データS2は入手することができるため、画像の内容をある程度知ることができ、これにより、画像データの流通が阻害されることもなくなる。
【0042】
また、暗号化付帯情報H1を深層暗号化してオリジナル画像データS0に埋め込むことにより、情報が埋め込まれた画像データS2に対して種々の処理や、保存、読出しを繰り返しても、ヘッダに記録された情報のように付帯情報が紛失したり変更されたりすることがなくなる。また、暗号化付帯情報H1と画像データS2との対応付けが分からなくなることもなくなる。
【0043】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は本発明の第2の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図である。第2の実施形態においては、暗号化付帯情報H1を深層暗号化してオリジナル画像データS0に埋め込む埋込手段5に代えて、暗号化付帯情報H1をオリジナル画像データS0のヘッダに埋め込んで、暗号化付帯情報H1が埋め込まれた画像データS4を得るヘッダ埋込手段5Aを備えた点が第1の実施形態と異なるものである。
【0044】
すなわち、暗号化手段4において付帯情報H0が暗号化されているため、とくに暗号化付帯情報H1を深層暗号化しなくとも、付帯情報H0の秘匿性は保持されるものである。したがって、第2の実施形態のように、オリジナル画像データS0のヘッダに暗号化付帯情報H1を埋め込んでも、画像データS4の利用者は暗号化鍵K1を権利者から入手しなければ、権利者が施した画像処理の内容を確認して処理済み画像データS3を得ることができない。したがって、暗号化鍵K1を入手した正当な権利者以外の不正な利用を制限することができ、また確実に使用料金を徴収できることとなる。
【0045】
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。図4は本発明の第3の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図である。第3の実施形態においては、付帯情報生成手段3において生成された付帯情報Hを暗号化することなく深層暗号化してオリジナル画像データS0に埋め込んで付帯情報H0が埋め込まれた画像データS5を得るようにした点が第1の実施形態と異なるものである。
【0046】
すなわち、付帯情報H0を深層暗号化してオリジナル画像データS0に埋め込めば、深層暗号化の手法を解読するための解読鍵を知らない者は、付帯情報H0の内容を知ることができないため、とくに付帯情報H0を暗号化しなくとも、付帯情報H0の内容の秘匿性は保持されるものである。したがって、第3の実施形態のように、オリジナル画像データS0に付帯情報H0を深層暗号化して埋め込んでも、画像データS5の利用者は深層暗号化の手法を解読するための解読鍵を権利者から入手しなければ、権利者が施した画像処理の内容を確認して処理済み画像データS3を得ることができない。したがって、深層暗号化の手法を解読するための解読鍵を入手した正当な権利者以外の不正な利用を制限することができ、また確実に使用料金を徴収できることとなる。
【0047】
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。図5は本発明の第4の実施形態を説明するための概略ブロック図である。図5に示すように、本発明の第4の実施形態は、図1に示す画像処理装置と同様の画像処理装置M1において、オリジナル画像データS0に対して画像処理を施し、施された画像処理の内容を表す付帯情報H0を暗号化して暗号化付帯情報H1を得るとともに暗号化鍵K1を生成し、暗号化付帯情報H1をオリジナル画像データS0に深層暗号化して埋め込んで画像データQ1を得、さらに画像処理装置M2において画像データQ1に対して同様の処理を施して暗号化鍵K2を生成して画像データQ2を得、この処理を複数の画像処理装置M1〜Mnにおいて繰り返し行って、複数の暗号化付帯情報が埋め込まれた画像データQnおよび暗号化鍵K1〜Knを得るようにしたものである。
【0048】
ここで、画像処理装置M2〜Mnにおいては、入力される画像データQ1〜Qn-1に対して処理を施してもよく、その前段の処理を施した権利者から暗号化鍵K1〜Kn-1を入手した場合は、前段までの処理が施された画像データに対して付帯情報を暗号化して埋め込むようにしてもよい。
【0049】
このようにして得られた画像データQnに対しては、以下のようにして処理が施される。すなわち、利用者が所望とする画像処理を施した権利者から暗号化鍵K1〜Knおよび深層暗号化の手法を解読するための解読鍵を入手し、画像データQnからその解読鍵に対応する暗号化付帯情報を読出す。そしてこの暗号化付帯情報を暗号化鍵K1〜Knにより復号化して画像処理の内容を表す付帯情報を得、この付帯情報に基づいて画像データQnに対して画像処理を施して処理済み画像データを得、これを再生する。
【0050】
この第4の実施形態のように、オリジナル画像データS0に対して段階的に画像処理を施した場合は、その画像処理内容毎に付帯情報を暗号化して画像データに付与することにより、利用者は所望とする画像処理が施された画像データが必要な場合は、その画像処理を施した者に対して使用料金を支払うことにより、暗号化鍵K1〜Knおよび深層暗号化を解読するための解読鍵を入手してその画像処理が施された画像データを得ることができる。したがって、支払った料金に応じた処理内容の画像を得ることができることとなる。
【0051】
なお、所望とする画像処理の内容が、その前段の画像処理装置M1〜Mnにおいて処理が施された処理済み画像データに対して処理を施したものである場合には、その画像処理の内容に応じた料金を権利者に支払い、所望とする画像処理を施した権利者からその前段の処理を施した権利者に、前段の処理までの使用料金を支払うようにすれば、権利者は確実に料金を徴収することが可能となる。
【0052】
また、第4の実施形態においては、図1に示す第1の実施形態の画像処理装置により画像処理を施すようにしているが、図3に示す第2の実施形態の画像処理装置により画像処理を施してもよい。この場合、利用者は権利者から暗号化付帯情報を解読するための暗号化鍵K1〜Knのみを入手すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】第1の実施形態において得られた画像データを再生するための画像再生装置の構成を示す概略ブロック図
【図3】本発明の第2の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図
【図4】本発明の第3の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図
【図5】本発明の第4の実施形態の構成を示す概略ブロック図
【符号の説明】
【0054】
1 データ生成手段
2 画像処理手段
3 付帯情報生成手段
4 暗号化手段
5 埋込手段
5A ヘッダ埋込手段
6 記録媒体
11 読込手段
12 付帯情報読出手段
13 復号化手段
14 処理手段
15 再生手段
M1〜Mn 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を深層暗号化して埋め込むことにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込み、
あらかじめ取得した解読鍵に基づいて、前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出し、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得、
該処理済み画像データを再生することを特徴とする画像再生方法。
【請求項2】
画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を前記画像データのヘッダに付与することにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込み、
前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出し、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得、
該処理済み画像データを再生することを特徴とする画像再生方法。
【請求項3】
画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を深層暗号化して埋め込むことにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込む読込手段と、
あらかじめ取得した解読鍵に基づいて、前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出す付帯情報読出手段と、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得る復号化手段と、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得る処理手段と、
該処理済み画像データを再生する再生手段とを備えたことを特徴とする画像再生装置。
【請求項4】
画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を前記画像データのヘッダに付与することにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込む読込手段と、
前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出す付帯情報読出手段と、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得る復号化手段と、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得る処理手段と、
該処理済み画像データを再生する再生手段とを備えたことを特徴とする画像再生装置。
【請求項5】
画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を深層暗号化して埋め込むことにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込む手順と、
あらかじめ取得した解読鍵に基づいて、前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出す手順と、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得る手順と、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得る手順と、
該処理済み画像データを再生する手順とを有することを特徴とする画像再生方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項6】
画像データに対して段階的に複数の画像処理を施すに際し、前記画像データに前記画像処理を施す毎に、各画像処理内容に関する付帯情報をそれぞれ生成し、該各付帯情報を暗号化して暗号化付帯情報を得るとともに各暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵K1〜Knを生成し、該各暗号化付帯情報を前記画像データのヘッダに付与することにより得られた前記画像データおよび所望とする画像処理内容に関する暗号化付帯情報に対応する暗号化鍵Kiが記録された記録媒体から、前記画像データおよび前記暗号化鍵Kiを読み込む手順と、
前記画像データから前記暗号化付帯情報を読み出す手順と、
前記暗号化付帯情報を前記暗号化鍵Kiに基づいて復号化して復号された付帯情報を得る手順と、
該復号された付帯情報により表される画像処理の内容に基づいて前記画像データに対して画像処理を施して処理済み画像データを得る手順と、
該処理済み画像データを再生する手順とを有することを特徴とする画像再生方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−238455(P2006−238455A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60582(P2006−60582)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【分割の表示】特願平10−214985の分割
【原出願日】平成10年7月30日(1998.7.30)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】